JP2020023689A - 呈味を改善したキトサンオリゴ糖及び該キトサンオリゴ糖の製造方法 - Google Patents

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誠司 黒住
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Abstract

【課題】従来のキトサンオリゴ糖と比較して、呈味を改善したキトサンオリゴ糖及び該キトサンオリゴ糖の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】キトサンオリゴ糖の製造工程において、塩酸や有機酸を含まないキトサンオリゴ糖の製造を試み、非晶質キトサンを炭酸に溶解させて酵素分解させることにより、従来のキトサンオリゴ糖と比較して、呈味を改善することに成功し、本発明を完成した。【選択図】なし

Description

本発明は、呈味を改善したキトサンオリゴ糖及び該キトサンオリゴ糖の製造方法に関する。
キトサンオリゴ糖(オリゴグルコサミン)は、免疫賦活活性や抗炎症作用があり、主に健康食品向け素材として流通している。
製造方法はキトサンを塩酸で溶解し、酵素分解することで得られる。日本では、キトサンオリゴ糖は、多くがキトサンオリゴ糖塩酸塩の形で流通している。本発明者らは、褐変を抑制した高含有のキトサンオリゴ糖を開発している(特許文献1)。
キトサンオリゴ糖は塩酸塩の形では、酸味、塩味、苦みが混ざり独特の味がする。塩酸塩は、素材の安定性に寄与するが、味の面ではマイナスの面が大きい。また、乳酸等の有機酸塩は酸味を強く感じる。
特開2013−79217号公報
本発明は、従来のキトサンオリゴ糖と比較して、呈味を改善したキトサンオリゴ糖及び該キトサンオリゴ糖の製造方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、キトサンオリゴ糖の製造工程において、(1)塩酸や有機酸を含まないキトサンオリゴ糖の製造を試み、非晶質キトサンを炭酸に溶解させて酵素分解させることにより、又は(2)キトサンオリゴ糖塩酸塩等を塩基性陰イオン交換樹脂で処理することにより、従来のキトサンオリゴ糖と比較して、呈味を改善することに成功し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.以下の工程を含むキトサンオリゴ糖の製造方法:
(1)1〜30重量%の非晶質キトサン炭酸液を作製する工程;
(2)キトサナーゼを上記(1)の炭酸液に添加し、酵素反応を行う工程。
2.前記非晶質キトサン炭酸液は塩酸塩を実質的に含有しない前項1に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
3.前記(2)の酵素反応における溶液のpHが5.39〜7.00である前項1又は2に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
4.さらに(3)前記(2)の酵素反応後の溶液を70〜100℃で加温する工程を含む前項1〜3のいずれか1に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
5.さらに(4)前記(3)の溶液を乾燥する工程を含む前項4に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
6.前記(3)の加温工程の後に、濃縮工程を含む前項4に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
7.前記(3)の加温工程の後又は前記濃縮工程の前に、1.0〜15.0w/w%になるように活性炭を添加する工程を含む前項4又は6に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
8.前項1〜7のいずれか1に記載の製造方法で得られるキトサンオリゴ糖。
9.2〜8糖の全糖に対する割合はフリー体換算で81.4〜100%である前項8に記載のキトサンオリゴ糖。
10.以下の特性を有するキトサンオリゴ糖。
(1)キトサンオリゴ糖の無機塩及び/又は有機塩の含有量が3wt%以下
(2)2〜8糖の全糖に対する割合はフリー体換算で81.4〜100%
(3)分子量は200〜2500又は80〜10000
(4)脱アセチル化率は50〜100%
11.以下の工程を含む、キトサンオリゴ糖の製造方法:
(1)0.1重量%〜30重量%のキトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩溶液を調製する工程;
(2)(1)で得た溶液を塩基性陰イオン交換樹脂により処理する工程。
12.さらに以下の工程を含む前項11に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法:
(3)前記(2)の処理後の溶液を乾燥する工程。
13.前記(2)の工程と前記(3)の工程の間に、濃縮工程を含む前項12に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
14.前項11〜13のいずれか1に記載の製造方法で得られるキトサンオリゴ糖。
15.塩酸塩を実質的に含有しない、前項14に記載のキトサンオリゴ糖。
16.以下の特性を有する、前項14又は前項15に記載のキトサンオリゴ糖。
(1)キトサンオリゴ糖の無機塩及び/又は有機塩の含有量が3wt%以下
(2)2〜8糖の全糖に対する割合はフリー体換算で70〜100%
本発明の製造方法によって得られるキトサンオリゴ糖は、呈味が改善し、及び有機塩及び/又は無機塩の総量が低減している。
キトサナーゼによる酵素分解時間及び産生した無機塩及び/又は有機塩低減(塩酸塩低減)キトサンオリゴ糖の各糖の組成の関係。 キトサンオリゴ糖とキトサンオリゴ糖(無機塩及び/又は有機塩低減)の味の強さ。採点方法:強い(4点)、やや強い(3点)、普通(2点)、やや弱い(1点)、なし(0点),n=16 平均点,マン=ホイットニーU検定 ** p<0.01。 キトサンオリゴ糖とキトサンオリゴ糖(無機塩及び/又は有機塩低減)の味の評価。採点方法:良い(+2)、やや良い(+1)、普通(0)、やや悪い(−1)、悪い(−2),n=16 平均点,マン=ホイットニーU検定 ** p<0.01。 キトサンオリゴ糖(塩酸塩)とキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)の味の評価(採点法)。採点方法:良い(+2)、やや良い(+1)、普通(0)、やや悪い(−1)、悪い(−2),n=16 平均点,マン=ホイットニーU検定** p<0.01。 キトサンオリゴ糖(塩酸塩)と樹脂処理により得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)の味の強さ(採点法)。採点方法:強い(4点)、やや強い(3点)、普通(2点)、やや弱い(1点)、なし(0点),n=10 平均点,マン=ホイットニーU検定 ** p<0.01。 キトサンオリゴ糖(塩酸塩)と樹脂処理により得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)の味の評価(採点法)。採点方法:良い(+2)、やや良い(+1)、普通(0)、やや悪い(−1)、悪い(−2),n=10 平均点,マン=ホイットニーU検定 ** p<0.01。 各キトサンオリゴ糖の重量平均分子量(Mw)の分子量分布(微分分子量分布曲線)。 各キトサンオリゴ糖の重量平均分子量(Mw)の分子量分布(積分分子量分布曲線)。
<本発明のキトサンオリゴ糖>
〇特性
本発明のキトサンオリゴ糖は、従来のキトサンオリゴ糖と比較して、呈味が改善されている。具体的には、本発明の呈味を改善したキトサンオリゴ糖は、キトサンオリゴ糖の無機塩及び/又は有機塩(特に、塩酸塩)よりも甘味が強く、塩味、酸味及び苦味が低減され(弱く)又は無く、後味及び総合的な味が良い。
〇2〜8糖の全糖に対する割合
本発明のキトサンオリゴ糖は、好ましくは、従来のキトサンオリゴ糖と比較して、純度が高い。具体的には、2〜8糖の全糖に対する割合は、フリー体換算で70〜100%、75〜99%、81.4〜100%、好ましくは83〜99%である。
〇分子量
本発明のキトサンオリゴ糖の分子量は、組成分析より、200〜2500、好ましくは300〜2400、より好ましくは400〜2300である。また、本発明のキトサンオリゴ糖の分子量は、GPC法での分子量測定より、80〜10000、100〜3000、100〜2000、200〜1000又は300〜900である。
〇脱アセチル化率
本発明のキトサンオリゴ糖の脱アセチル化率は、50〜100%程度のものが使用され、好ましくは、70〜100、より好ましくは80〜100%である。
〇粘度
粘度は、20℃において0.5%W/W溶液粘度が1〜10mPa・s、より好ましくは1〜5mPa・s、さらに好ましくは1〜2mPa・sである。
本発明のキトサンオリゴ糖は、無機塩及び/又は有機塩を実質的に含有しない。なお、無機塩及び有機塩は、塩酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸、グルコン酸、ガラクチュロン酸、フィチン酸、グルクロン酸等を例示することができる。
「無機塩及び/又は有機塩を実質的に含有しない」とは、無機塩及び/又は有機塩を全く含まないこと、あるいは、無機塩及び/又は有機塩をその効果や副作用が発生しない程度の量で含んでいてもよいこと、あるいは、その製造上不可避的に混入した程度の不純物として含んでいてもよいことを意味する。例えば、本発明のキトサンオリゴ糖の無機塩及び/又は有機塩の含有量が3wt%以下でもよく、好ましくは2.5wt%以下であり、より好ましくは2.0wt%、1.0wt%、0.1wt%又は0.05wt%以下である。
また、例えば、本発明のキトサンオリゴ糖を含む甘味料100mg中の無機塩及び/又は有機塩の含有量が2mg以下でもよく、好ましくは1mg以下であり、より好ましくは0.5mg以下である。
<本発明のキトサンオリゴ糖の構成>
本発明のキトサンオリゴ糖は、主成分がキトサンオリゴ糖(特に、2〜8糖のキトサンオリゴ糖)であり、無機塩及び/又は有機塩を実質的に含まない。より詳しくは、2〜8糖の全糖に対する割合は、フリー体換算で70〜100%、81.4〜100%又は75〜99%である。さらに、キトサンオリゴ糖の無機塩及び/又は有機塩の含有量は、全量に対して、2.0wt%以下である。
加えて、本品を純水で溶解させた1w/w%溶液では、pHが5.0〜11.0、好ましくは6.0〜10.0、より好ましくは7.0〜9.0、最も好ましくは7.5〜8.5である。
本発明のキトサンオリゴ糖は、好ましくは以下の特徴を有する。
塩化物イオンが20%以下、10%以下、5%以下、1%以下、0.5%以下、0.1%以下、0.05%以下、0.02%以下又は0.01%以下である。
1糖〜8糖のトータルアミノ基モル濃度は、3.0 mol/kg以上、4.0 mol/kg以上、4.5 mol/kg以上、4.6 mol/kg以上又は4.9 mol/kg以上であり、従来のキトサンオリゴ糖塩酸塩と比較して同等以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、97%以上又は100%以上である。
トータルアニオンモル濃度は、20 mol/kg以下、10 mol/kg以下、5.0 mol/kg以下、1.0 mol/kg以下、0.5 mol/kg以下、0.4 mol/kg以下、0.36 mol/kg以下又は0.25 mol/kg以下である。
塩化物イオンのアニオンモル濃度は、20 mol/kg以下、10 mol/kg下、5 mol/kg以下、1 mol/kg以下、0.5 mol/kg以下、0.1 mol/kg以下、0.06 mol/kg以下、0.05 mol/kg以下又は0.02 mol/kg以下である。
アニオン/アミノ基モル比は、0.5以下、0.1以下、0.08以下又は0.05以下である。
<本発明のキトサンオリゴ糖の製造方法1>
本発明の呈味を改善したキトサンオリゴ糖の製造方法は、以下に例示する。しかしながら、非晶質キトサンを炭酸に溶解させて酵素分解させること以外は、適宜変更、省略可能である。好ましくは、非晶質キトサンを炭酸に溶解・分散し、溶解・分散した状態で酵素分解することを特徴とする。さらに、必要に応じて、工程(4)及び(5)の間に、「活性炭処理工程」を加えてもよい。また、本発明の呈味が改善しているキトサンオリゴ糖を得ることができれば、下記の工程に限定されない。
(1)非晶質キトサンの調製
(2)炭酸への溶解工程
(3)酵素反応工程
(4)酵素失活工程
(5)濃縮工程
(6)乾燥工程
(使用するキトサン)
使用するキトサンの脱アセチル化率は、70〜100%程度のものが使用され、好ましくは80〜100%である。また、重量平均分子量(標準品にプルランを用いGPC分子量測定により算出)が1万〜400万程度のものが使用され、好ましくは300万以下、より好ましくは200万以下である。
粘度は、20℃において0.5%W/W溶液粘度が10〜300mPa・s、より好ましくは250mPa・s以下、さらに好ましくは200mPa・s以下である。
(非晶質キトサン)
本発明において、非晶質キトサン(再生キトサン)は、キトサン分子鎖が「結晶構造により接合した接合領域(結晶構造の領域)」と「接合していないほぐれた領域(非結晶の領域)」とを有する状態のキトサンを意味する。
非晶質キトサンは、通常のキトサンを酸性水溶液に溶解して得たキトサン水溶液に、アルカリ性水溶液を攪拌しながら注ぎ込むことによりアルカリ中和して、析出させることにより得られる。アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム等を用いればよい。
非晶質キトサンは、酸性水溶液に溶解していたキトサンがアルカリ中和によって再び結晶構造をとるために溶液中に析出する。析出したキトサンの結晶化度や配向性は、酸性水溶液に溶解する前の結晶キトサンより低下しており、キトサン分子鎖が部分的に水和結晶構造により接合しており、その他の部分はキトサン分子鎖が結晶構造をとっていない状態である。
(1)非晶質キトサンの調製
(1−1)キトサンを酸性水溶液に溶解する。
キトサンの溶解濃度は、特に限定されないが、酸性水溶液に対して0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜8重量%溶解する。
酸性水溶液としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、塩酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルコン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸等が挙げられ、好ましくは酢酸である。酸の濃度は、特に限定されないが、酢酸を用いる場合、キトサン水溶液における終濃度は0.03重量%〜10重量%、好ましくは0.15重量%〜5重量%、より好ましくは0.3重量%〜3重量%である。
(1−2)得られたキトサン水溶液に塩基性物質を添加し、水溶液をアルカリ中和して、非晶質キトサンを析出させる。
アルカリ中和は、0.15時間〜24時間、好ましくは0.3時間〜3時間かけて撹拌しながら行う。
アルカリ中和後のpHは、pH7以上、好ましくはpH8以上、より好ましくはpH9以上である。
塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウムである。
塩基性物質は、水溶液、固体であってもよいが、好ましくは水溶液である。水溶液の場合、塩基性物質の濃度は特に限定されないが、0.1重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜10重量%である。
(1−3)析出した非晶質キトサンを分散させる。
キトサンを分散させる方法としては、例えば、キトサン水溶液をホモミクサー等のミキサーで撹拌及び/又はホモジナイズする。撹拌速度及び時間は、5,000rpm〜15,000rpmで1分〜1時間、好ましくは9,000rpm〜12,000rpmで5分〜10分である。
(1−4)非晶質キトサンを水洗し、非晶質キトサンの脱水ケーキを得る。
水洗方法は、(1−3)で得られたキトサン分散液に含まれる塩を取り除くことができれば特に限定されないが、例えば、水、好ましくは25℃〜90℃に加熱した水を添加し、遠心(例えば、遠心脱水機)又はろ過により脱水する。この操作を1回以上、好ましくは3回〜10回繰り返す。ろ過の場合は、ろ液が中性(pH5.0〜pH9、好ましくはpH5.8〜pH8.5)、塩濃度(アルカリ中和のアルカリ性水溶液として水酸化ナトリウムを用いた場合は、Na濃度)200ppm以下、好ましくは100ppm以下(0.01%以下)になるまで、遠心分離の場合は、上清が中性、前記塩濃度になるまで行う。水洗後にろ過や遠心分離により脱水する。
以上の操作により、非晶質キトサンの脱水ケーキが得られる。
非晶質キトサンの脱水ケーキの水分は、特に限定されないが、例えば、0%〜99.9%、30%〜99%、50%〜99%、60%〜95%、75〜95%又は80%〜90%であってもよい。
非晶質キトサンのキチン含有率は、特に限定されないが、例えば、0.1%〜99.9%、1%〜50%、1%〜30%、5%〜25%又は10%〜20%であってもよい。
本工程で得られる非晶質キトサンの脱水ケーキは、70℃〜100℃、好ましくは75℃〜90℃で30分以上の温水加熱滅菌、又は、110〜130℃で10〜60分のオートクレーブ滅菌をし、密封状態で安定に保存することができる。滅菌は、脱水ケーキを小分け、真空包装して行ってもよい。
(2)炭酸への溶解工程
非晶質キトサンを炭酸水、好ましくは二酸化炭素濃度500ppm〜10000ppm(懸濁開始時の二酸化炭素濃度)の炭酸水に懸濁する。
キトサン炭酸懸濁液を撹拌し{好ましくは、同時に、炭酸ガスバブリング(二酸化炭素濃度500ppm〜10000ppm)を行い}、0.01〜15w/w%、好ましくは0.05〜10w/w%、より好ましくは0.1〜7w/w%、さらに好ましくは0.15〜5w/w%、特に好ましくは0.2〜2.5w/w%の非晶質キトサン炭酸液(なお、炭酸液には、非晶質キトサンの炭酸水溶液及び分散液を含む)を作製する。
(3)酵素反応工程
キトサンをオリゴ糖に分解するために、キトサナーゼを上記(2)の溶解工程後の炭酸液に添加する。酵素反応時間は4〜60時間、酵素反応温度は20〜45℃、好ましくは35℃〜45℃である。酵素反応中のpHは、4.5〜7.0、好ましくは4.9〜6.9がより好ましく、より好ましくは5.0〜6.8である。
使用できる酵素としては、キトサナーゼL(HBI製)等を例示することができるが特に限定されない。
なお、キトサナーゼ添加量は、所定量のキトサン1g当たり5単位を添加する。なお、キトサナーゼは必要により複数回に分けて添加しても良い。加えて、酵素反応終了後においてろ過を行うことにより不純物を除去しても良い。
炭酸ガスを添加し、酵素分解することで、その後の失活、濃縮、乾燥工程で炭酸ガスが抜けることで、塩化物イオン、炭酸イオン、有機酸等を含まないキトサンオリゴ糖のフリー体を簡単に作ることができる。
(4)酵素失活工程
上記酵素を失活させるために、上記(3)の酵素反応終了後の溶液を70〜100℃、10〜60分加温する。さらに、好ましくは、加温後終了後においてろ過を行うことにより不純物を除去する。
(5)活性炭処理工程
必要に応じて、活性炭を上記(4)の酵素失活後の溶液に添加する。活性炭は、1.0〜15.0w/w%になるように添加することが好ましい。さらに、好ましくは、活性炭処理工程終了後において、ろ過を行うことにより不純物を除去する。
(6)濃縮工程
効率的な乾燥を行う目的、または、目的のかさ比重の粉末を得るため、溶液の濃縮を行う。従って、本工程を行わなくてもキトサンオリゴ糖の粉末化を行うことができる。溶液の濃縮は、一般的なエバポレーターや濃縮装置を使用し、減圧濃縮する。
(7)乾燥工程
スプレードライや凍結乾燥機等の乾燥装置を用いて乾燥することにより、キトサンオリゴ糖粉末を得ることができる。
<本発明のキトサンオリゴ糖の製造方法2>
本発明のキトサンオリゴ糖は、以下に例示する製造方法によっても得ることができる。しかしながら、キトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩溶液を塩基性陰イオン交換樹脂により処理すること以外は、適宜変更、省略可能である。さらに、必要に応じて、工程(3)及び(4)の間に、「稀釈工程」を加えてもよい。
(1)キトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩溶液の調製
(2)塩基性陰イオン交換樹脂による処理工程
(3)濃縮工程
(4)乾燥工程
(使用するキトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩)
使用するキトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩は、特に限定されず、例えば、2〜8糖の全糖に対する割合が50〜100%、60〜100%、70〜100%、75〜100%又は80〜100%である一般的なキトサンオリゴ糖の有機酸塩及び/又は無機酸塩であってもよい。キトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩としては、特に限定されないが例えば、キトサンオリゴ糖塩酸塩、キトサンオリゴ糖乳酸塩、キトサンオリゴ糖酢酸塩、キトサンオリゴ糖クエン酸塩、キトサンオリゴ糖リンゴ酸塩、キトサンオリゴ糖グルコン酸塩、キトサンオリゴ糖アスコルビン酸塩、キトサンオリゴ糖リン酸塩、キトサンオリゴ糖フィチン酸塩等であってもよく、好ましくはキトサンオリゴ糖塩酸塩である。
(1)キトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩溶液の調製
キトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩を溶媒(水、緩衝液、生理食塩水、好ましくは水)に溶解する。
水は特に限定されず、上水、純水、超純水であってもよい。
キトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩の溶解濃度は、特に限定されないが、0.1重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜20重量%、より好ましくは5重量%〜15重量%である。
(2)塩基性陰イオン交換樹脂による処理工程
キトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩溶液を塩基性陰イオン交換樹脂に通液し、樹脂量の0.1〜10倍量、0.2〜5倍量、好ましくは0.5〜2倍量の水で押し出す。
水は特に限定されず、上水、純水、超純水であってもよい。
塩基性陰イオン交換樹脂は、特に限定されないが、好ましくは強塩基性陰イオン交換樹脂である。強塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えば、ダイヤイオンSA20A、SA10A、SA11A、SA12A、PA312、PA316(三菱化学)、アンバーライトIRA410J、IRA411、IRA400J(オルガノ)、マラソンA、A2(ダウエックス)等が挙げられる。樹脂量は特に限定されないが、例えばキトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩溶液中のキトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩の乾燥重量の0.1〜20倍量、1〜15倍量又は5〜10倍量であってもよい。
塩基性陰イオン交換樹脂は、カラムに充填したものであってもよい。カラムサイズは特に限定されず、樹脂量によって適宜選択できる。
通液速度は特に限定されず、カラムサイズ等によって適宜選択できる。
(3)濃縮工程
効率的な乾燥を行う目的、または、目的のかさ比重の粉末を得るため、溶液の濃縮を行う。従って、本工程を行わなくてもキトサンオリゴ糖の粉末化を行うことができる。溶液の濃縮は、一般的なエバポレーターや濃縮装置を使用し、減圧濃縮する。
必要に応じて、濃縮工程後、効率的な乾燥を行う目的、または、目的のかさ比重の粉末を得るため、溶液の稀釈を行ってもよい。稀釈する溶媒は、水である。水は特に限定されず、上水、純水、超純水であってもよい。
(4)乾燥工程
スプレードライや凍結乾燥機等の乾燥装置を用いて乾燥することにより、キトサンオリゴ糖粉末を得ることができる。
本発明に用いる各濃度の測定方法は以下の通りである。なお、以下の実施例でも使用した。
<Brixの測定方法>
本発明で使用したBrixの測定条件及び測定装置は、以下の通りである。
プリズム面をきれいに拭き、水道水、蒸留水、イオン交換水又は超純水をプリズム面に完全に覆うように適下し、ゼロ合わせを行う。ティッシュペーパーできれいにふき取った後、試料溶液をプリズム面に適下し、Brix測定を行う。
Brixの測定条件:測定範囲:Brix0.0〜45.0%
測定温度:5〜40℃自動温度補正
環境温度:5〜40℃
Brixの測定装置:デジタル糖度計(濃度計)パレットPR-101α(株式会社アタゴ製)
<脱アセチル化度の測定方法>
脱アセチル化度(DAC度)は、キトサン試料(非晶質キチン又はキトサン)を0.5%(w/w) 酢酸溶液に0.5%(w/w)になるように溶解し、指示薬としてトルイジンブルー溶液を用い、ポリビニル硫酸カリウム水溶液でコロイド滴定して乾物当たりのDAC度を求めたものである。
<粘度の測定方法>
粘度は、キトサン試料(非晶質キトサン)を0.5%(w/w) 酢酸溶液に0.5%(w/w)になるように溶解し、室温で3時間撹拌し、さらにホモジナイザーで2分間撹拌する。この溶液を恒温槽中で20℃に保ちながらB型粘度計で回転粘度(mPa・s)を測定したものである。
<キトサンの分類>
本発明では、各キトサンの特性を以下のように表現する。
コーヨーキトサンDAC100は、キトサン(DAC度95%以上、0.5%粘度100mPa・s以下)を意味する。
<キトサンオリゴ糖を含む組成物>
本発明のキトサンオリゴ糖を含む組成物は、例えば食品、健康食品等の原料、甘味料、pH調整剤等として使用できる。
本発明のキトサンオリゴ糖を含む組成物は、食品、飲料、食品添加物、健康食品、医薬品、医薬部外品、化粧品等に配合される成分として好適に利用することができる。従来のキトサンオリゴ糖(塩酸塩)では添加によりpH低下を引き起こす場合があったが、本発明のキトサンオリゴ糖は塩酸塩が少量であるため、添加された製品のpH低下の心配が無く、例えばpHが低いことによる金属類の容器等の腐食や、化粧品等の酸による肌への負担も心配なく、好適に利用することができる。
<キトサンオリゴ糖含有量>
本発明の組成物のキトサンオリゴ糖含有量(乾燥重量)は、特に限定されないが、例えば、0.1 mg/g〜1000 mg/g、100 mg/g〜1000 mg/g、200 mg/g〜900 mg/g、300 mg/g〜900 mg/g、1 mg/g〜500 mg/g、0.1 mg/g〜5 mg/g、50 mg/g〜150 mg/g、250 mg/g〜500 mg/g、500 mg/g〜1000 mg/g、700 mg/g〜950 mg/g又は950 mg/g〜1000 mg/gであってもよい。
本発明の組成物を食品の成分とする場合、例えば、食品1 gあたり、以下の範囲より選択される量を含めることができる。
キトサンオリゴ糖乾燥重量:0.1 mg/g食品〜1000 mg/g食品、0.1 mg/g〜5 mg/g、0.4 mg/g〜0.8 mg/g、50 mg/g〜150 mg/g又は60 mg/g〜140 mg/g。
本発明の組成物は、食品に配合される場合、一般の加工食品のほかに、健康食品、機能性食品、濃厚流動食、栄養補助食品、飲料および食品を含む飲食物、または、これらの添加物とすることができる。
本発明の組成物は、前記の非晶質キトサン含有量となるように食品の原材料に対して配合することにより、液状、ゲル状、粉末状、顆粒状、丸剤、錠剤あるいは固形状等の食品の形態とすることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<キトサンオリゴ糖の製造>
本発明の無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖(オリゴグルコサミン)は、非晶質キトサンを原料として製造した。詳細は以下の通りである。
1.非晶質キトサンの調製
以下の方法により、非晶質キトサンを調製した。
(1)コーヨーキトサンDAC100(乾燥減量:4.0%、灰分:0.18%、0.5%粘度(20℃):30 mPa・s、脱アセチル化率:102.9%、甲陽ケミカル株式会社)100 gを純水約4 kg及び酢酸37.2 gに溶解し、2.5%キトサン分散液とした。
(2)4.8%NaOH水溶液51.8 gを約10倍に希釈して添加し、pH9以上となるように中和した。その結果、pH10.8で沈殿が生成した。
(3)ホモミクサー(MARK-2 Model 2.5、PRIMIX社製)で9000〜12000rpm、5〜10分間ホモジナイズし、沈殿をコロイド状に分散させた。
(4)加熱した水約4 Lを加え、遠心脱水機(MY WAVE SuperSpinDy3.0、ケーズウェーブ社製)で2800rpm、5分間遠心し、上清を除去した。この作業を4回繰り返し、NaCl濃度0.01%以下(実測:0.01%)、pH8.5以下(実測8.20)とした。
(5)得られた非晶質キトサンの脱水ケーキ460.2 gを小分け、真空包装し、85℃で30分間滅菌し、非晶質キトサン(重量:460 g、水分:85.8%、キチン含有率:14.2%)を得た。
2.非晶質キトサンの酵素分解(キトサンオリゴ糖の生産)
[製造例1]
以下の方法により、非晶質キトサンの炭酸液を調製し、非晶質キトサンをキトサンオリゴ糖に分解するために、キトサナーゼにより酵素分解した。
(1)上記1.で調製した非晶質キトサン130.23 g(水分:85.8%,乾物換算:18.5 g)に全量741 gとなるように炭酸水を加えた。
(2)ホモミクサー(MARK-2 Model 2.5、PRIMIX社製)で5000〜6000rpm、10分程度撹拌し(同時に、炭酸ガスバブリング: 二酸化炭素濃度500ppm〜10000ppm)、2.5w/w%非晶質キトサン炭酸液(pH5.80)を得た。
(3)得られた溶液を40℃に加温し、キトサナーゼ(キトサナーゼL、HBI)0.37 g(5 U/g-キトサン)を加え、ホモミクサーで40℃、約3000rpm、24時間以上撹拌した(酵素分解)。pHは、撹拌開始直後の6.00から24時間後に6.55まで変化した。
(4)ろ紙(No.2、ADVANTEC)を用いてろ過した。ろ液のBrixは0.9%であった。
(5)ろ液をジャケット付き反応槽(1L)に入れ、ジャケット水に温水を流し(85℃〜90℃設定)、ろ液を加温した。ろ液温度が75℃を超えた後、30分間加熱し、酵素を失活させ、酵素反応を終了した。
(6)活性炭(精製白鷺)1.39g(全量の2.5w/w%)を加え、反応槽のジャケット水に冷却水(水道水)を流し冷却した。液温が50℃を下回ってから30分間冷却した(35℃ 30分)。
(7)ろ紙(GA100、ADVANTEC)を用いてろ過し、メンブレンフィルター(0.45μm)でろ過した。ろ液のBrixは0.6%であった。
(8)ろ液を濃縮し、凍結乾燥し、無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖2.17gを得た(収率:11.7%)。
[製造例2]
以下の方法により、非晶質キトサンの炭酸液を調製し、非晶質キトサンをキトサンオリゴ糖に分解するために、キトサナーゼにより酵素分解した。
(1)上記1.と同様の方法で調製した非晶質キトサン45.17 g(水分:77.4%,乾物換算:10.2 g)に全量402.7 gとなるように炭酸水を加え、ブレンダーで撹拌し、2.5w/w%非晶質キトサン炭酸液を得た。
(2)非晶質キトサン炭酸液341.2 gをメジウム瓶に投入した。
(3)炭酸水を全量864.2gになるように投入し、1.0w/w%非晶質キトサン炭酸液を得た。
(4)メジウム瓶のキャップを閉めて密封し、40℃に加温した。
(5)キャップを開け、キトサナーゼ(キトサナーゼL、HBI)0.17 g(5 U/g-キトサン)を投入後、再びキャップを閉めて密封した。
(6)振とう機で40℃、1.0min−1で、24時間振とうした(酵素分解)。
(7)密封したメジウム瓶を75℃の温水槽に入れ、30分間加熱し、酵素を失活させ、酵素反応を終了した。pHは、酵素投入直前の5.67から酵素失活後に6.33まで変化した。
(8)ろ紙(No.2、ADVANTEC)を用いてろ過した。ろ液のBrixは0.6%であった。
(9)ろ液をジャケット付き反応槽(1L)に入れ、ジャケット水に温水を流し(85℃〜90℃設定)、ろ液を加温した。ろ液温度が75℃を超えた後、30分間加熱し、酵素を失活させ、酵素反応を終了した。
(10)エバポレーターで40℃でろ液を濃縮し、濃縮液42 mL(Brix4.8%,pH8.18)を得た。濃縮液は使用するまで冷凍保存した。
(11)(1)〜(10)と同様の手順で濃縮液を5回製造し、得られた5回分の濃縮液を混合し、濃縮液混合品198 g(Brix 7.7%,pH 8.13)を得た。
(12)スプレードライヤーで乾燥し、無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖の粉末9.53 gを得た(収率:15.7%)。
[比較例]
以下の方法により、非晶質キトサンではないキトサンの炭酸水懸濁液を調製し、酵素分解した。
(1)コーヨーキトサンDAC100(水分:14.2%,乾物換算:18.5g、甲陽ケミカル株式会社)20.0 gに全量800 gとなるように炭酸水を加えた(実測:801.5g)。
(2)ブレンダーで粗粉砕後、ホモミクサー(MARK-2 Model 2.5、PRIMIX社製)で5000〜6000rpm、10分程度撹拌し(炭酸ガスバブリング)、2.5w/w%キトサン懸濁液を得た。
(3)得られた懸濁液を40℃に加温し、キトサナーゼ(キトサナーゼL、HBI)0.4 g(5 U/g-キトサン)を加え、ホモミクサーで40℃、約3000rpm、24時間撹拌した(酵素分解)。pHは、撹拌開始直後の5.08から24時間後に5.38まで変化した。
(4)ろ紙(No.2、ADVANTEC)を用いてろ過した。ろ液のBrixは0.0%であった。
(5)ろ液を75℃を超えるまで30分間加熱し、酵素を失活させ、酵素反応を終了した。
(6)活性炭(精製白鷺)1.39g(全量の2.5w/w%)を加え、50℃を下回るまで室温で30分間冷却した。
(7)ろ紙(GA100、ADVANTEC)を用いてろ過し、メンブレンフィルター(0.45μm)でろ過した。ろ液のBrixは0%であった。
(8)ろ液を濃縮し、凍結乾燥し、無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖は回収できなかった(収率:0%)。
<キトサンオリゴ糖の糖組成割合測定>
製造例1で得たキトサンオリゴ糖における糖組成割合を測定した。分析方法は、特許第6156829号(実施例3)を、キトサンオリゴ糖の塩酸塩としてではなくキトサンオリゴ糖のフリー体として定量するため、一部改変した。詳細は以下の通りである。
(1)キトサンオリゴ糖ミクスチャー(Citosan-Oligosaccharides Mixture、キトサンオリゴ糖塩酸塩、生化学バイオ)を約20 mg量り取り、水1 mlを加えて溶解し、0.45 μmフィルターでろ過し、標準溶液とした。
(2)上記の製造例1で得た無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖は、105℃で3時間乾燥し、20 mgを秤量し、水1 mlを加えて溶解し、0.45 μmフィルター(ADVANTEC、DISMIC)でろ過し、試験溶液とした。
(3)下記条件でHPLC分析を行なった。
(分析条件)
カラム:TSK-GELAMIDE-80 4.6×250 mm
移動相:アセトニトリル/250mMリン酸緩衝液=2/3
流速:0.8mL/min
温度:室温
注入量:20 μL
検出器:示差屈折計
装置:LC-20A(島津製作所)又は液体クロマトグラフィー(日本分光)
(4)試験溶液及び標準溶液の各重合度のキトサンオリゴ糖塩酸塩のピーク面積を測定し、下記式1により全糖に対する1〜8糖の各糖含有量を求めた。各糖含有量を合算してキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)の含有量とした。なお、7糖と8糖については6糖の標準ピークから計算した。
なお、オリゴグルコサミン(%)は、オリゴグルコサミンの各糖含有量(%)を意味する。
ここで算出される含有量は、キトサンオリゴ糖塩酸塩相当量である。塩酸塩低減キトサンオリゴ糖(フリー体)に換算するための換算式は、下記式2の通りである。
各糖の塩酸塩の分子量(理論値)を表1に示す。
試験溶液(上記の製造例1で得た無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖の溶液)の各重合度(1糖〜8糖)のキトサンオリゴ糖含有量のフリー体換算量、及び、標準溶液(キトサンオリゴ糖塩酸塩の溶液)の各重合度(1糖〜8糖)のキトサンオリゴ糖塩酸塩含有量のフリー体換算量を表2に示す。
キトサンオリゴ糖(オリゴグルコサミン)の各糖の塩酸塩、フリー体の分子量
キトサンオリゴ糖塩酸塩(コーヨーオリゴグルコサミンWG、従来品)とキトサンオリゴ糖(無機塩及び/又は有機塩低減、本発明)の糖組成
上記の製造例1で得た無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖の2〜8糖の含有量(フリー体の含有量)は、従来品と同等以上である。キトサンオリゴ糖(無機塩及び/又は有機塩低減)は塩化物が0.10±0.07%に低減化されている。塩化物が入っていないため、キトサンオリゴ糖(無機塩及び/又は有機塩低減、特に塩酸塩低減)含有量(フリー体の含有量)は、高い傾向にあった(表2)。
キトサナーゼによる酵素分解時間及び産生した無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖の各糖の組成の関係を図1に示す。図1に記載の結果より、各糖の組成の割合を変えたい場合、例えば2糖の割合を増やしたい場合は酵素分解時間を長くすることで、変更可能であることを確認した。
以上により、本発明のキトサンオリゴ糖は、従来のキトサンオリゴ糖(塩酸塩)と比較して、2〜8糖の全糖に対する割合が高い。また、本発明のキトサンオリゴ糖は、無機塩及び/又は有機塩、特に、塩化物(キトサンオリゴ糖塩酸塩)を実質的に含有しない。
製造例2で得たキトサンオリゴ糖の粉末、及び製造例2で得た混合前の濃縮液の一部をサンプリングしたものをフーリーズドライ(FD)して得られたキトサンオリゴ糖の粉末について、上記の実施例2と同様の手順により、試験溶液及び標準溶液を調製し、HPLC分析を行い、糖組成割合測定(各糖含有量、%)を算出した。試験溶液のpHをpH計で測定した。塩化物、炭酸塩(HCO3 )及びリン酸塩(P)について、下記条件のイオンクロマトグラフにより陰イオンを測定した。それぞれの結果を表3及び表4に示す。
(測定条件)
装置:イオンクトマトグラフ(Waters製,515HPLC Pump)
検出器:電気伝道度検出器(Waters製,432 Conductivity Detector)
温度:40℃
カラム:ShodexIC NI-424(φ4.6 mmI.D×100 mmH)
注入量:20 μL
移動相:8 mM4-ヒドロキシ安息香酸+2.8 mM Bis-Tris+2 mMフェニルボロン酸
+5 μM CyDTA
流 速:1.0mL/min
計算方法は、試験溶液及び標準溶液の各溶出時間、ピーク面積を測定し、対応する溶出時間の各標準液と試験液のピーク面積の比から定量値を求めた。
上記の製造例2で得た無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖は、2〜8糖の含有量(フリー体の含有量)が、従来のキトサンオリゴ糖(塩酸塩)の81.3±1.6%(平均±SD,n=4,フリー体換算)より高かった。製造例2において、製造例1と同様にスプレードライヤーでキトサンオリゴ糖(塩酸塩)の乾燥粉末が得られた。本乾燥粉末の潮解性は認められず、安定的であったため、安定化させるためのデキストリン等を添加しなくても良く、高純度の無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖を得る事ができることが確認できた。該キトサンオリゴ糖は、製造例1と同様に塩化物が低減化されており、特に炭酸塩(HCO3 )やリン酸塩(P)を含有しなかった(0%)。フリー体換算の分子量の理論値(Mw理論値)は、534であった。Mw理論値は、組成分析から求めた重量平均分子量であり、計算式{161(グルコサミン フリー体の1ユニットの分子量)×各糖(2から8糖)+18(H、OHの分子量)}×各糖の組成比(%)により算出される。
<キトサンオリゴ糖(無機塩及び/又は有機塩低減)の官能検査>
上記の製造例1で得た無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖塩酸塩を用いて官能検査を行った。
上記の製造例1で得た無機塩及び/又は有機塩低減キトサンオリゴ糖並びにキトサンオリゴ糖(塩酸塩,商品名:コーヨーオリゴグルコサミンWG)の2種類の検体をそれぞれ純水に溶解させ、5w/w%溶液を調製した。2種類の検体(A液:5w/w%キトサンオリゴ糖(塩酸塩低減),B液:5w/w%キトサンオリゴ糖(塩酸塩))について、分析型官能検査(2点識別法、2点嗜好法、採点法)を実施した。
検査官8名を第1グループ 4名、第2グループ 4名に分け、官能検査は日時を変え2回実施した。順序効果の影響を無視できるように検体試飲の順序は、1回目試験がA→Bであれば、2回目は順序を入れ替えB→Aとした(参照:表5)。2種類の検体の各味覚(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)の強さの比較(2点識別法)、後味、総合的な味の比較(2点嗜好法)及び評価(採点法)を行った。2点識別法、及び2点嗜好法は2項分布検定により、採点法はマン-ホイットニー U検定により、統計的な味の評価を行った。
官能検査における検査官の群分けと検体試飲の順序
2点識別法及び2点嗜好法の結果、本発明のキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)は、従来のキトサンオリゴ糖(塩酸塩)に比べ、有意に甘味が強く、塩味、酸味及び苦味が弱い。また、本発明のキトサンオリゴ糖の後味及び総合的な味は、有意に良いことが明らかになった(p<0.01,表6)。
採点法の結果、本発明のキトサンオリゴ糖は、普通からやや強い甘味を持ち、塩味、酸味及び苦味はほとんど感じない(図2)。一方、従来のキトサンオリゴ糖(塩酸塩)は、甘味はほとんどなく、塩味、酸味及び苦味はいずれも普通からやや強いものであった(図2)。また、後味及び総合的な味に関し、本発明のキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)が、それぞれ、普通〜やや良いであるのに対し、従来のキトサンオリゴ糖(塩酸塩)は、やや悪い〜悪い味であった(図3)。
本発明のキトサンオリゴ糖と従来のキトサンオリゴ糖の味の比較
<GPC法(別名:SEC法)による分子量測定>
上記の製造例1で得たキトサンオリゴ糖{無機塩及び/又は有機塩低減(塩酸塩低減)}及びキトサンオリゴ糖塩酸塩(従来品)は、GPC分析により、分子量を測定した。標準試薬は、プルラン(標準P-82、Shodex,分子量:5900(P-5)、11800(P-10)、22800(P-20)、47300(P-50)、112000(P-100)、212000(P-200)、404000(P-400)、788000(P-800))を用いた。また、キトサンオリゴ糖の分子量測定の精度を向上させるために、キトサンオリゴ糖6量体塩酸塩(分子量[MW]=1203:社内スタンダード,甲陽ケミカル)を標準試薬の1つとして使用した。約2 mgのキトサンオリゴ糖(塩酸塩)およびキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)をそれぞれ0.5 M酢酸および0.5 M酢酸ナトリウム緩衝液(1:1)5 mLに溶解した。 2つのカラムを接続したOH-Pak SB-803HQ(8 mm I.D.×300 mm L, Shodex)、およびOH-Pak SB-804HQ(8 mm I.D.×300 mm L, Shodex)使用し、HPLC(日本分光)を用いて以下の条件でGPC分析を行った。試料の分子量は、各標準溶液の分子量と溶出時間から算出した検量線を用い、試料の溶出時間から重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および多分散度(Mw/Mn)を求めた。
〈分析条件〉
カラム:Shodex, OHpak SB-803HQ 8×300 mm+SB-804HQ 8×300 mm 2本連結
移動相:0.5 M酢酸/0.5 M酢酸ナトリウム
流 速:1.0 mL/min
温 度:40℃
注入量:200 μL
検出器:示差屈折計
装 置:日本分光製液体クロマトグラフィー
解 析:日本分光ChromNAV GPC解析ソフト
(分子量分布)
GPC法で測定したキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)の重量平均分子量(Mw)は、1010±236であった(表7)。図7に示す微分分子量分布曲線及び図8に示す積分分子量分布曲線からGPC法によるMwはおよそ80〜10,000の範囲であった。
各キトサンオリゴ糖の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、多分散度(Mw/Mn)
<キトサンオリゴ糖塩酸塩の塩基性陰イオン交換樹脂での処理によるキトサンオリゴ糖の製造>
以下の方法により、キトサンオリゴ糖塩酸塩をイオン交換樹脂を用いて塩酸塩低減化処理した。
(1)キトサンオリゴ糖塩酸塩(コーヨーオリゴグルコサミンWG、従来品)11.0 gに純水を加え、全量110 gの10 w/w% キトサンオリゴ糖塩酸塩溶液とした。
(2)下記条件でイオン交換樹脂に通液し、純水100 mLで押し出した。
カラム内径:20 mm,樹脂高さ:220 mm,
樹脂:強塩基性陰イオン交換樹脂SA20A(三菱化学)70 mL
通液速度:7.3 mL/min
(3)エバポレーターで40℃で濃縮し、濃縮液18 mL(Brix 34%)を得た。
(4)濃縮液8 mLをサンプリングし、2倍希釈液16 mL(Brix 17%)を得た。
(5)2倍希釈液16 mLを凍結乾燥し、キトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)の粉末3.60 gを得た(収率:3.60/(11.0×8/18)×100=73.5%)。
<キトサンオリゴ糖の組成分析>
1.HPLCによる糖組成割合測定
本実施例で得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)、実施例1の製造例1と同様の手順により得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)及びキトサンオリゴ糖塩酸塩(従来品)について、実施例2と同様にHPLCを用いて各重合度(DP)(1糖〜8糖)のキトサンオリゴ糖塩酸塩含有量のフリー体換算量を求めた。結果を表8及び表9に示す。
2.イオンクロマトグラフィーによる無機イオンのアニオン分析
本実施例で得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)、実施例1の製造例1と同様の手順により得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)及びキトサンオリゴ糖塩酸塩(従来品)について、イオンクロマトグラフィーにより分析を行った。標準試薬は、塩化物イオン(Wako)、リン酸イオン(Wako)、フッ化物イオン(Wako)、炭酸水素イオン(岸田化学)、硝酸イオン(Wako)、硫酸イオン(Wako)を用いた。
20 mgのキトサンオリゴ糖(塩酸塩)およびキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)をそれぞれ20 mLの超純水に溶解し、溶液をIC NI-424カラム(4.6 mm I.D.×100 mm L、Shodex)を用いてイオンクロマトグラフィー(515 HPLCポンプ、Waters)によって分析した。サンプル溶液、及び標準用液は、移動相(8 mM 4-ヒドロキシ安息香酸、2.8 mM Bis-Tris、2 mM フェニルボロン酸、及び5 μMのCyDTAの混合物)を用いて、40℃で流速1.0 mL/minで各陰イオンを分離させ、電気伝導度検出器(432、Waters)を用いて検出した。結果を表8及び表9に示す。
[分析条件]
装置:Waters製 イオンクロマトグラフ
(分離条件)
カラム :IC NI-424(4.6mm I.D.×100mm L、Shodex)
移動相 :8 mM 4-ヒドロキシ安息香酸+2.8 mM Bis-Tris*+2 mM フェニルボロン酸+5 μM CyDTA**
* ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス−(ヒドロキシメチル)メタン
** トランス-1,2-シクロヘキサンジアミン-N,N,N’,N’-4酢酸
移動相流速:1.0 ml/min
温度 :40℃
検出器 :電気伝導度検出器(432、Waters)
注入量 :20μL
3.カルボン酸分析計による有機酸類のアニオン分析
本実施例で得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)、実施例1の製造例1と同様の手順により得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)及びキトサンオリゴ糖塩酸塩(従来品)について、カルボン酸分析計(島津)を用いて、有機酸を分析した。標準試料は、酢酸(Wako)、ギ酸(Wako)、コハク酸(Wako)、炭酸水素ナトリウム(関東化学)を用いた。初めにキトサンオリゴ糖(塩酸塩)およびキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)を超純水に溶解させ10 mg/mL溶液を調製した。2本連結させたShim-Pack SCR-102Hカラム(8 mm I.D.×300 mm L)で、HPLC有機酸分析システム(Shimadzu)を用い、以下の条件で分析した。結果を表8及び表9に示す。
[分析条件]
装置:島津製作所製 カルボン酸分析計
(分離条件)
カラム :Shim-Pak SCR-102H 2本連結
移動相 :5 mM p-トルエンスルホン酸水溶液
移動相流速:0.8 ml/min
温度 :40℃
(検出条件)
緩衝液 :5mM p-トルエンスルホン酸水溶液および100 μM EDTAを含む20 mM Bis-tris水溶液
緩衝液流速:0.8 ml/min
検出器 :CDD-6A 電気伝導度検出器
注入量 :10 μL
4.アニオン/アミノ基モル濃度分析
実施例1の製造例1と同様の手順により得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)及びキトサンオリゴ糖塩酸塩(従来品)について、アミノ基モル濃度及びアニオンモル濃度を以下のように算出した。
(1)アミノ基モル濃度
上記1.で測定した各重合度(DP)(1糖〜8糖)のキトサンオリゴ糖塩酸塩含有量のフリー体換算量(表8)から、キトサンオリゴ糖の各重合度(DP1〜8)のアミノ基モル濃度を式3に従って計算した。
ADP (w/w%):各DP (DP 1〜8) のキトサンオリゴ糖の含有量
161:グルコサミンモノマー(フリー体)の分子量(MW)
トータルアミノ基モル比は、式4に従って計算した。
(2)アニオンモル濃度
上記2.で分析した無機イオンのアニオンと上記3.で分析した有機酸のアニオンについて、それぞれ式5に従ってモル濃度を計算した。
続いて、無機イオンと有機酸とのアニオンモル濃度から、全アニオンモル濃度を算出し、これより、アニオンモル濃度とアミノ基モル濃度とのモル比を算出した。結果を表10に示す。
Ba (w/w %): 無機イオンと有機酸のアニオン濃度
MW: 無機イオンと有機酸のアニオンの各分子量
キトサンオリゴ糖(塩酸塩)(従来品,製品名:コーヨーオリゴグルコサミンWG)とキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)の糖組成(Student’s t-test,* p<0.05 ** p<0.01,N.D.: not detected)
キトサンオリゴ糖従来品(製品名:コーヨーオリゴグルコサミンWG)と樹脂処理したキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)の糖組成(Student’s t-test,* p<0.05 ** p<0.01,N.D.: not detected)
キトサンオリゴ糖従来品(製品名:コーヨーオリゴグルコサミンWG)とキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)のアミノ基とアニオンのモル比(Student’s t-test, * p<0.05 ** p<0.01,N.D.: not detected)
実施例1の製造例1と同様の非晶質キトサン酵素分解により得たキトサンオリゴ糖(無機塩及び/又は有機塩低減、特に塩酸塩低減)の2〜8糖の含有量(フリー体の含有量)は、従来品と同等以上であった。非晶質キトサン酵素分解により得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)は、塩化物が0.1±0.1%に低減化された。塩化物が入っていないため、キトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)含有量(フリー体の含有量)は、高い傾向にあった(表8)。
本実施例の塩基性陰イオン交換樹脂での処理により得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)の2〜8糖の含有量(フリー体の含有量)は、従来品とほぼ同等であった。樹脂カラム処理により得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)は、塩化物イオンが0.01%に低減化された。樹脂カラム処理により塩化物のみを効率的に除去できたことを確認できた(表9)。
実施例1の製造例1と同様の非晶質キトサン酵素分解により得たキトサンオリゴ糖は、トータルアミノ基モル濃度は従来品と同等以上である一方、トータルアニオンモル濃度は0.25±0.06%に低減化された。その結果、アニオン/アミノ基モル比は、従来のキトサンオリゴ糖(塩酸塩)が0.97±0.02であったのに対し、キトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)では0.05±0.01%に低減化された。したがって、非晶質キトサン酵素分解により得たキトサンオリゴ糖は、ほとんどが酸塩の形ではなく、無機塩及び有機塩の総量を低減できた(表10)。
本実施例の塩基性陰イオン交換樹脂での処理により得たキトサンオリゴ糖は、トータルアミノ基モル濃度は従来品とほぼ同等である一方、トータルアニオンモル濃度は0.36%に低減化された。その結果、アニオン/アミノ基モル比は、従来のキトサンオリゴ糖(塩酸塩)が0.97±0.02であったのに対し、キトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)では0.08%に低減化された。したがって、塩基性陰イオン交換樹脂での処理により得たキトサンオリゴ糖は、ほとんどが酸塩の形ではなく、無機塩及び有機塩の総量を低減できた(表10)。
なお、キトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)では、従来のキトサンオリゴ糖塩酸塩と比較して炭酸水素塩がわずかに増加したが(表8〜10)、これは、強酸である塩酸が引き抜かれたキトサンオリゴ糖(フリー体)に、水中に自然に存在する弱酸である炭酸水素イオンが結合したためであると考えられる。
<キトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)の官能検査>
実施例1の製造例1と同様の非晶質キトサン酵素分解により得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)及びキトサンオリゴ糖塩酸塩(従来品)を用いて実施例4と同様に後味、総合的な味の比較(2点嗜好法)及び評価(採点法)を行った。
その結果、本発明のキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)が、後味及び総合的な味に関し、それぞれ、やや良い〜普通であるのに対し、キトサンオリゴ糖塩酸塩(従来品)は、やや悪い〜悪い味であった(図4)。
実施例6で得たキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)及びキトサンオリゴ糖塩酸塩(従来品)を用いて実施例4と同様に後味、総合的な味の比較(2点嗜好法)及び評価(採点法)を行った(n=10)。
2点識別法及び2点嗜好法の結果、本発明のキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)は、従来のキトサンオリゴ糖(塩酸塩、商品名:コーヨーオリゴグルコサミンWG)に比べ、有意に甘味が強く、塩味、酸味、苦味が弱い。また後味、総合的な味は有意に良いことが明らかになった(p<0.01,表11)。
本発明のキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)は、普通からやや強い甘味を持ち、塩味、酸味、苦味はほとんど感じない(図5)。一方、キトサンオリゴ糖(塩酸塩)は、甘味はほとんどなく、やや強い〜強い塩味を持ち、酸味及び苦味はそれぞれ普通〜やや強いものであった(図5)。
後味及び総合的な味は、キトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)が、それぞれ普通〜やや良いであるのに対し、キトサンオリゴ糖(塩酸塩)は、やや悪い〜悪い味であった(図6)。
キトサンオリゴ糖(塩酸塩)とキトサンオリゴ糖(塩酸塩低減)樹脂処理の味の比較
<総論>
本発明のキトサンオリゴ糖は、以下のいずれか1以上の利点を有する。
1.無機塩及び/又は有機塩低減、特に、塩化物(キトサンオリゴ糖塩酸塩)を実質的に含有しない。
2.従来のキトサンオリゴ糖塩酸塩と比較して、呈味が改善している。より詳しくは、キトサンオリゴ糖塩酸塩よりも甘味が強く、塩味、酸味及び苦味が低減され(弱く)又は無く、後味及び総合的な味が良い。
3.従来のキトサンオリゴ糖塩酸塩と比較して、2〜8糖の全糖に対する割合は同等以上である。

Claims (16)

  1. 以下の工程を含むキトサンオリゴ糖の製造方法:
    (1)1〜30重量%の非晶質キトサン炭酸液を作製する工程;
    (2)キトサナーゼを上記(1)の炭酸液に添加し、酵素反応を行う工程。
  2. 前記非晶質キトサン炭酸液は塩酸塩を実質的に含有しない請求項1に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
  3. 前記(2)の酵素反応における溶液のpHが5.39〜7.00である請求項1又は2に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
  4. さらに(3)前記(2)の酵素反応後の溶液を70〜100℃で加温する工程を含む請求項1〜3のいずれか1に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
  5. さらに(4)前記(3)の溶液を乾燥する工程を含む請求項4に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
  6. 前記(3)の加温工程の後に、濃縮工程を含む請求項4に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
  7. 前記(3)の加温工程の後又は前記濃縮工程の前に、1.0〜15.0w/w%になるように活性炭を添加する工程を含む請求項4又は6に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1に記載の製造方法で得られるキトサンオリゴ糖。
  9. 2〜8糖の全糖に対する割合はフリー体換算で81.4〜100%である請求項8に記載のキトサンオリゴ糖。
  10. 以下の特性を有するキトサンオリゴ糖。
    (1)キトサンオリゴ糖の無機塩及び/又は有機塩の含有量が3wt%以下
    (2)2〜8糖の全糖に対する割合はフリー体換算で81.4〜100%
    (3)分子量は200〜2500又は80〜10000
    (4)脱アセチル化率は50〜100%
  11. 以下の工程を含む、キトサンオリゴ糖の製造方法:
    (1)0.1重量%〜30重量%のキトサンオリゴ糖有機酸塩及び/又は無機酸塩溶液を調製する工程;
    (2)(1)で得た溶液を塩基性陰イオン交換樹脂により処理する工程。
  12. さらに以下の工程を含む請求項11に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法:
    (3)前記(2)の処理後の溶液を乾燥する工程。

  13. 前記(2)の工程と前記(3)の工程の間に、濃縮工程を含む請求項12に記載のキトサンオリゴ糖の製造方法。
  14. 請求項11〜13のいずれか1に記載の製造方法で得られるキトサンオリゴ糖。
  15. 塩酸塩を実質的に含有しない、請求項14に記載のキトサンオリゴ糖。
  16. 以下の特性を有する、請求項14又は請求項15に記載のキトサンオリゴ糖。
    (1)キトサンオリゴ糖の無機塩及び/又は有機塩の含有量が3wt%以下
    (2)2〜8糖の全糖に対する割合はフリー体換算で70〜100%
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