JP2020022442A - 農業用ハウス保温材 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物の生育に最適な遮光性を有すると共に、保温性と遮熱性を有し、使用時の結露防止および収束性が良好で、かつ軽量である農業用ハウス保温材を提供する。【解決手段】外側から順に、フラットヤーン織物層5と、保温層6と、樹脂フィルム層7と、機能性を有する層8とを積層した積層体9からなる農業用ハウス保温材であって、前記積層体が、複数箇所で、折り畳み方向に対して垂直または巻き取りの巻き取り軸方向に対して平行な直線部分で接合一体化され、前記複数箇所の直線部分で接合一体化させた互いの間隔が1インチ以上10インチ以下で、前記機能性を有する層の目付が、20g/m2以上100g/m2未満で、前記積層体の最大厚みが1.5mm以上12mm以下で、かつ遮光率が50%以上100%未満であることを特徴とする農業用ハウス保温材。【選択図】図1

Description

本発明は、農業用途に使用するハウス保温材に関する。
従来、果物や花卉などの栽培において、促成栽培や防寒、防霜を目的として、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの被覆材を外側に被覆した、いわゆる農業用ハウスを用いた栽培が広く行われている。
これらの農業用ハウスにおいても、初春、晩秋、冬季などの低温期の夜間には、また場合によっては昼間においても気温低下のため、栽培作物への生育遅れ、生育障害を引き起こす。その対策のため、ヒートポンプなどの暖房器具を用いて保温したり、ポリエチレンなどのフィルムやシートと不織布などから構成された保温性を備えた内張り複合材を展張したりすることが行われてきた。
ヒートポンプなどの暖房器具を用いる場合においても、また保温性を備えた内張り複合材を用いる場合においても、冬季に限らず、夜間においては、気温低下とともに湿度が上昇するためハウス内で結露し、栽培中の果物や花卉を濡らしたり、場合によっては霜となり、これらの栽培作物を損傷する原因となっていた。また、水稲育苗の発芽用のハウスでは加温が必要で、保温性を備えた内張り複合材を使用することがあるが、破れや出入り口付近のバタツキなどによる劣化によりハウス内に温度ムラが発生し、発芽のばらつきが起こり、苗揃えが悪くなる問題があった。
また、菌床しいたけなどの周年栽培には、遮光性のある農業用ポリオレフィン系特殊フィルムを展張して使用しているが、冬場の加温、夏場の冷房が必要で、燃料、電気代などのコストが大きいことが問題となっていた。また、じゃがいも、さつまいも、里芋などは収穫し、順次出荷するが、収穫時期により収穫量の変化があり、あるいは天候によっては収穫できず、収穫時期を逃してしまうことがあり、廃棄するものが出てしまうことが問題となっていた。
そこで、特許文献1には、多孔性フィルムと不織布が積層され、フィルム面に滴下した水滴の吸収速度が60秒以内である農業用保温材が開示され、苺などの農作物に夜露を触れさせなくすことができるとしている。
特許文献2には、遮光性、保温性を備え、かつ防霧性にすぐれた農業用ハウスの内張り材を提供することを目的として、合成樹脂の長繊維フィラメントが高密度にかつ無方向に堆積接合された不織布を細幅にスリットした遮光性テープおよび親水性素材からなる吸湿性テープを経糸に、他の合成繊維を緯糸に用いた織布からなることを特徴とする防霧性農業用ハウスの内張り材が開示されている。
特許文献3には、繊維布帛の片面側にコーティング樹脂を介して中空微粒子が保持されており、繊維布帛の少なくとも片面側の表面部に中空微粒子が付着していることを特徴とする農業用ハウス資材が開示され、保温性、遮熱性および吸湿性を備えているため、結露が防止され、かつ透光性や耐久性に優れているとしている。
しかしながら、特許文献1は、多孔性フィルムと不織布が積層されているものであり、吸水性には優れるものであるが、通気性を有し保温性が十分とはいえず、また柔軟性がなく、ハウス栽培のような採光、遮光を目的とした開閉作業(特に巻き取り作業)が容易でなかったことに加え、遮熱性については記載も示唆もない。特許文献2は、不織布を細幅にスリットした遮光性テープおよびポリビニルアルコールフィルムを細幅にスリットした吸湿性テープを経糸にし、高密度ポリエチレンのモノフィラメントを緯糸にした織布であるため、通気性を有し保温性が十分とはいえず、また遮熱性についても十分ではなかった。特許文献3は、不織布に中空微粒子をコーティングしたものであるため、通気性を有し保温性が十分とはいえなかった。
また、特許文献4には、軽量でかつ防風および防水性を有し、冬季の夜間における保温性に優れた農業用被覆シートとして、水流絡合不織布とフィルムとの積層シートが開示されている。
特許文献5には、透湿性および、または透水性を有するフィルムと、繊維シートとを重ねて、端縁部を熱接着により一体化することで、当該フィルムと繊維シートとの間に空気層が形成され、保温性に優れた農業用資材が開示されている。
しかしながら、特許文献4は、不織布とポリエチレンテレフタレートフィルムとをポリエチレン樹脂フィルムで全面に亘り一体化させて積層しているため、剛性が高く、ハウス栽培のような巻き取り作業が必要な場合、作業が容易でなかった。また、特許文献5は、繊維シートとしてスパンボンド不織布を使用しているため、剛性が強く、ハウス栽培のような巻き取り作業が必要な場合、作業が容易でなかった。また、どちらも遮熱性については記載も示唆もない。
特許文献6には、機能性シートと、気泡シートとを、縁部において固着することによって、機能性シートの吸湿性、遮光性、また吸湿性及び遮光性の双方の特徴と、気泡シートの保温性を有する農業用シートが開示されている。
しかしながら、特許文献6も、ハウス栽培のような巻き取り作業が必要な場合、作業が容易でなかった。また、遮熱性については記載も示唆もない。
特許文献7には、金属層を有する第1シートと、多数の気孔を有する断熱層を有する第2シートと、合成樹脂を主成分とする第3シートを重ね合わせ、接着剤で部分的に接合し、保温および遮光を行なうことができ、巻き取り作業が容易にできる農業用カーテンが開示されている。
しかしながら、特許文献7は、合成樹脂を主成分とするシート(第3シート)が最内層となるため、ハウス内に展張した場合、土壌や植物からの水分で、結露するおそれがある。また、これらのシートの接合に接着剤を用い、さらに第1接合部と第2接合部の一部が重なって接合しているため、この部分が特に固くなり、巻き取りに支障が出るおそれがある。また、遮熱性については記載も示唆もない。
特許文献8には、保温効果に優れ、使用時には結露を防止できるため栽培作物を濡らすことがない、また不使用時には簡単に折り畳んだり巻き取ったりできることを目的として、熱線遮断効果を備えた層と、保温効果を備えた層と、吸湿効果とを備えた層を積層し、得られた積層体を折り畳みまたは巻き取り方向と平行な複数の直線部分で接合一体化したことを特徴とする農業用ハウス保温材が開示されている。
しかしながら、特許文献8は、保温効果を備えた層が100〜150g/mと目付が大きいため、厚く、さらに重くなるため、展張時の施工性が悪く、また展張後の巻き取りの作業性や収束性も悪いため、巻き取った(収束した)際に、収束径が太く、また収束径の大小の発生により、陰になる部分ができてしまい、植物に対する日照ムラが生じ、発育の違いが出てしまう問題があった。
特開平9−300511号公報 特開2001−136843号公報 特開2012−191912号公報 特開2008−167711号公報 特開2010−45987号公報 特開2013−150580号公報 特開2016−149977号公報 特開2016−67349号公報
そこで、本発明は、栽培作物の生育に最適な遮光性を有すると共に、保温性と遮熱性を有し、使用時の結露防止および収束性が良好で、かつ軽量である農業用ハウス保温材を提供することを目的とする。
本発明者らは、通気性を有する層と、軽量で保温効果を有する層と、通気や浸透を防止する層と、および通気性、透水性、および流滴防止性などの機能を有する層とを積層し、得られた積層体を複数箇所で、折り畳み方向に対して垂直または巻き取りの巻き取り軸方向に対して平行な直線部分で接合一体化することによって課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)外側から順に、フラットヤーン織物層と、保温層と、樹脂フィルム層と、機能性を有する層とを積層した積層体からなる農業用ハウス保温材であって、
前記積層体が、複数箇所で、折り畳み方向に対して垂直または巻き取りの巻き取り軸方向に対して平行な直線部分で接合一体化され、
前記複数箇所の直線部分で接合一体化させた互いの間隔が1インチ以上10インチ以下で、
前記機能性を有する層の目付が、20g/m以上100g/m未満で、
前記積層体の最大厚みが1.5mm以上12mm以下で、
かつ遮光率が50%以上100%未満であることを特徴とする農業用ハウス保温材、
(2)前記保温層が、30g/m以上100g/m以下の目付を有する不織布または合成樹脂綿からなる層であることを特徴とする(1)に記載の農業用ハウス保温材、
(3)前記機能性を有する層が、通気性、透水性、および流滴防止性の中から選ばれる少なくとも一つの性質を有する層であることを特徴とする(1)または(2)に記載の農業用ハウス保温材、
(4)前記接合一体化が、縫合加工であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の農業用ハウス保温材、
(5)前記樹脂フィルム層が、ポリオレフィンフィルムからなる層であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の農業用ハウス保温材、
に関するものである。
本発明の農業用ハウス保温材によれば、当該農業用ハウス保温材を農業用ハウス内面に展張することで、夜間などの気温の低下、湿度の上昇時であっても、保温効果に優れる。また、土壌や植物などからの水分を吸収し、保水し、流滴防止の効果があり、結露の防止、水のぼた落ちを軽減する効果に優れる。特に、機能性を有する層を最内面に有することで、この効果が顕著に現れる。
さらに、厚みが薄く、軽量であるため、昼間などには、折り畳んだり、ロール状の巻き取りが容易で、収束性に優れ、収束径も細くなるため、保管やロール状態の保持も容易であるとともに、太陽光を遮ることが少なくなり、陰が小さくなるため、栽培作物の生育のばらつきを抑えられる。また、巻き取り癖もつきにくいため、展張の繰り返しも容易である。
また、栽培作物の生育に最適な遮光性も有するため、農業用ハウス内面に展張するだけでなく、太陽光が当たっては困る植物に対する保温などにも利用できる。
本発明の農業用ハウス保温材の構成の一例(断面図)である。 フラットヤーン織物層の構成の一例である。図2では、一方のフラットヤーンを網掛けで表現しているが、同一のフラットヤーンでよい。 フラットヤーン織物層の構成の一例である。 フラットヤーン織物層の構成の一例である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、実施の形態が可能である。
本発明の農業用ハウス保温材は、外側から順に、フラットヤーン織物層と、保温層と、樹脂フィルム層と、機能性を有する層とを積層した積層体からなる農業用ハウス保温材であって、前記積層体が、複数箇所で、折り畳み方向に対して垂直または巻き取りの巻き取り軸方向に対して平行な直線部分で接合一体化され、前記複数箇所の直線状に接合一体化させた互いの間隔が1インチ以上10インチ以下で、前記機能性を有する層の目付が、20g/m以上100g/m未満で、前記積層体の最大厚みが1.5mm以上12mm以下で、かつ遮光率が50%以上100%未満であることが好ましい。
前記フラットヤーン織物層は、図2のような熱可塑性樹脂の延伸したテープ状線条体(以下、「フラットヤーン」ともいう)を経緯に編んだもの、一方のフラットヤーンの繊度を変え、繊度の大きい方を経糸とし、繊度の小さい方を緯糸として編んだもの、図3のような一方をフラットヤーンの経糸とし、緯糸をモノフィラメントやマルチフィラメントとして編んだもの、またフラットヤーンの経糸と緯糸とを熱融着により接合したもの、あるいは低融点のフラットヤーンとそれより融点の高い異なるフラットヤーンとを介装し、低融点のフラットヤーンと緯糸の部分のみを熱融着により接合したものなどが好ましく用いられる。前記熱可塑性樹脂としては、延伸可能なものであれば使用可能であるが、耐光性を考慮するとポリエチレンが好ましい。前記緯糸としてのフィラメントの径としては、10〜400デニールが好ましく、30〜300デニールがより好ましく、50〜150デニールがさらに好ましい。
前記フラットヤーン織物層は、フラットヤーンの織り方により、そのフラットヤーン同士の間を疎密に調節でき、通気性を有するものである。また、隣接する保温層の保温性や遮光性を有するものである。織り方については、平織(例えば、図2)、綾織、斜文織、畦織、二重織、縦糸編み(例えば、図4、以下、「ラッセル織」ともいう)などで製織でき、特にラッセル織が好ましい。
また、フラットヤーンは、密度の異なるポリオレフィンフィルムを片面や両面に積層したフラットヤーン、ポリオレフィンフィルムなどにアルミニウムを蒸着したフラットヤーン、アルミニウム箔の両面をポリオレフィンフィルムなどで積層したフラットヤーン、無機顔料や有機顔料などをポリオレフィン樹脂などに練りこんだフラットヤーン、アルミニウム顔料をポリオレフィン樹脂などに練りこんだフラットヤーン、昇温防止や遮熱、遮光の効果のある添加剤をポリオレフィン樹脂などに練りこんだフラットヤーン、あるいは昇温防止や遮熱、遮光の効果のある塗布剤をポリオレフィンフィルムに塗布したものをスリット加工したフラットヤーンなどを用いることが好ましく、これらを適宜組み合わせることで、保温性、遮熱性(特に、赤外線遮熱)や遮光性が調節できるものである。前記塗布の方法としては、グラビアコーティング、ロールコーティング、ドクターブレードコーティング、ダイコーティング、バーコート、スプレーコーティングなど公知の方法を用いることができる。また、前記スリット加工によるスリット幅としては、1〜10mmであることが好ましく、2〜8mmであることがより好ましく、3〜5mmであることがさらに好ましい。
さらに、前記フラットヤーン織物層は、織物であることから適度な柔軟性を有し、展張および収束性、保管での取り扱いが容易である。通気性があるため、巻き取って収束する際に保温層に含まれる空気が抜け、かさ張りが低減される。
前記フラットヤーン織物層と隣接する保温層は、空気を含むことができるため保温効果を有する層である。
保温層としては、空気を十分に含むものであれば特に制限はないが、不織布、合成樹脂綿、繊維植物綿、スポンジ、発泡シート、気泡シートなどが挙げられ、なかでも不織布または合成樹脂綿であることが好ましく、30g/m以上100g/m以下の目付を有する不織布または合成樹脂綿であることがより好ましい。不織布または合成樹脂綿であることにより、土壌や栽培作物などからの水分を吸収し、保水し、流滴防止の効果を有することによって結露を防止し、水のぼた落ちを軽減する効果を現す。上記目付の範囲内であることにより、十分な保温とぼた落ちの低減に優れた効果が得られる。また、巻き取る場合、巻き取り作業が困難なくでき、両端部においてもムラなく均一に巻き取りが可能となる。折り畳む場合においても、折り畳み作業が困難なくでき、コンパクトな折り畳みが可能になる。すなわち、展張している際には、十分な保温とぼた落ち低減ができる一方、巻き取った際や折り畳んだ際には、この巻き取りの均一性や折り畳みのコンパクト性により、太陽光を遮る影が最小限に抑えられ、栽培作物の生育に与える影響を減らすことができる。なお、目付(めつけ)とは、単位面積あたりの質量のことをいう。
前記樹脂フィルム層は、前記保温層に隣接し、前記フラットヤーン層の反対面に積層される層であり、合成樹脂を主成分とする樹脂フィルムであることが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、PETフィルムまたはポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどにアルミニウムを蒸着させたアルミ蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルム、さらに異樹脂と共に共押出した共押出フィルム、遮光剤などを添加した遮光性フィルムなどが挙げられる。これらは延伸、無延伸のどちらでもよく、単独または2種類以上を積層していてもよい。なかでも、ポリオレフィンフィルムが好ましい。
前記樹脂フィルム層は、後述する機能性を有する層が吸収した水分を、前記保温層あるいはフラットヤーン層側に浸透を防止する、あるいはこれらの層が濡れることによる保温効果の減少を防止するとともに、通気を遮断し、保温効果を増強する層である。したがって、薄くてある程度の強度があれば使用可能である。
前記樹脂フィルム層の厚さは、特に制限はないが、1〜1000μmが好ましく、3〜100μmがより好ましい。
前記機能性を有する層が、通気性、透水性、および流滴防止性の中から選ばれる少なくとも一つの性質を有する層であることが好ましく、2つ以上の性質を有してもよい。例えば、不織布、タフタ生地、ポリクロス(ポリオレフィン、ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどの樹脂からなるクロス)などの通気性フィルム、透水性フィルム、および流滴防止性フィルムやこれらの効果が発現する加工を施したフィルムなどが挙げられる。前記機能性を有する層は、最も内側になる層であり、土壌や栽培作物などからの水分を吸収し、保水し、流滴防止の効果を有することによって結露を防止し、水のぼた落ちを軽減する顕著な効果を現す。また、親水性不織布として、高吸湿発熱性繊維(例えば、東洋紡(株)製のモイスケア)を使用したものは、さらに保温効果が増強される。
前記機能性を有する層の目付は、20g/m以上100g/m未満であることが好ましく、25g/m以上80g/m以下であることがより好ましく、30g/m以上60g/m以下であることがさらに好ましい。20g/m未満であると、薄くなりすぎて、折り畳みや巻き取りの際に裂けたり、また摩擦に弱く、毛羽立ちが発生するおそれがある。100g/mを超えると、厚くなりすぎて、収束性が劣るおそれがある。
外側から順に、前記フラットヤーン織物層と、前記保温層と、前記樹脂フィルム層と、前記機能性を有する層とを積層した前記積層体は、複数箇所で、折り畳み方向に対して垂直または巻き取りの巻き取り軸方向に対して平行な直線部分で接合一体化されていることが好ましい。このことによって、折り畳みまたは巻き取りが容易で、巻き癖もつきにくく、収束性や保管性が良好となる。さらに、前記複数箇所で直線部分で接合一体化させた互いの間隔が1インチ以上10インチ以下であることが好ましく、2インチ以上7インチ以下であることがより好ましく、2.5インチ以上5インチ以下であることがさらに好ましい。1インチ未満であると、保温層が狭くなり、厚みが薄くなり、保温効果が劣り、また水分を吸収しにくくなり、ぼた落ちしやすくなる。10インチより大きいと、折り畳みまたは巻き取りが困難となり、収束性が劣る。また、例えば、一定間隔ごとに、1〜2インチの間隔で2〜3箇所で直線状に接合一体化される部分を設けると、当該部分が積層体自体の大きさの目安となり、切断して端部としたり、また加工がしやすくなる。また、強度が出るため、連結手段を備える部分として有効である。
前記接合一体化は、縫合、熱融着、接着、針金、ステイプラー、ピンソニック加工などの加工方法により行なうことが好ましい。なかでも、縫合加工がより好ましい。熱融着や接着、ピンソニック加工は、接合した部分が固くなり、ごわごわした触感になり、折り畳みまたは巻き取りにくくなる傾向があるが、一方、縫合加工によれば、前記フラットヤーン織物層と前記機能性を有する層との間の不織布や合成樹脂綿などの保温層を挟んで積層して接合一体化が容易で、また、ミシン縫いなどの指し縫いをすることにより、前記不織布や合成樹脂綿に膨らみを出すことで保温性の向上効果がある。また、接合した部分が固くならず、折り畳みまたは巻き取りに支障が出ることが少なく、また針穴により接合一体化部分に小さな穴ができ、折り畳みまたは巻き取りの際に、一定の応力がかかると、当該針穴を通して、空気が抜け、収束性が向上する。
前記積層体の最大厚みは、1.5mm以上12mm以下であることが好ましい。当該範囲内であることにより、保温層が適度な厚みを保持することができ、保温効果が良好となる。1.5mm未満であると、保温層の厚みが薄くなり、保温効果が劣る。また、コシがないため、折り畳みまたは巻き取りの際に、ムラになってしまい、太陽光を遮る影に大小が出てしまい、栽培作物の生育にばらつきが出るなど支障が出るため、好ましくない。12mmより大きいと、折り畳みまたは巻き取りはできるが、収束性が低下し、収束径や収束幅が太くなってしまい、太陽光を遮り、陰が大きくなることになり、栽培作物の生育にばらつきが出るなど支障が出るため、好ましくない。
前記最大厚みは、マイクロメーター、ノギスやシックネスゲージといった厚みを測定できるものであれば、特に限定はない。最大厚みは、前記複数箇所の直線部分で接合一体化させた互いの間隔の中間部分の5ヶ所の厚みを測定し、その平均値とする。
また、前記最大厚みが、1.5mm以上12mm以下であることに加えて、前記積層体の遮光率が、50%以上100%未満であることが好ましい。遮光率が当該範囲内であることにより、栽培作物に対して適度な入射光を与えることができる。遮光率を50%程度にすることで、栽培作物の生育に最適な入射光を確保でき、遮光率を100%に近くすることで、太陽光が当たっては困る植物に対する保温などに利用できる。遮光率は、前記フラットヤーン層の織り方や使用するフラットヤーンの種類、保温層の選択、樹脂フィルム層の選択(特に遮光性フィルムの使用など)、機能性を有する層の選択により、調節ができる。このことにより、厚みが薄くても、保温効果があり、さらに遮光率を維持できるものである。
前記遮光率は、JIS L1055「カーテンの遮光性試験方法」の「照度計を用いる方法(A法)」に基づき、測定できる。例えば、遮光性試験機LE−1型(インテック(株)製)などが用いられる。遮光率は、試験機の光取り入れ部(直径100mm)に試験片を装着したときと装着しないときの試験機上部からの光源(ハロゲンランプ100V、500W)について、試験機下部の受光部における照度の比を次の式にて、求めたものである。なお、光源は、電圧調整器(スライダック0〜130V)で調節できるものであることが好ましい。
遮光率(%) = (1−(A/B)) × 100
(ここで、Aは試験片装着時の照度、Bは試験片未装着時の照度)
前記した積層体からなる農業用ハウス保温材は、その端部が熱融着や超音波接着(融着)、接着、縫合などにより接合加工処理を施したものや切断時に溶断加工処理を施したものであることが好ましい。さらに、強度を持たせるために、縫い合わせたり、フィルム、あて布などを貼り合わせたりする加工を施してもよい。これらの加工によって、端部からのほつれやほどけが起こらず、好ましい。また、当該端部の全面あるいは部分的に連結手段を備えていることが好ましい。連結手段は、縫合、ボタン、面ファスナー、ハトメ、金具、貫通孔などを備えたものであることが好ましい。なかでも、縫合がより好ましい。この連結手段を備えることによって、農業用ハウス保温材を簡単に農業用ハウスの大きさに合わせて調整することができる。
本発明の農業用ハウス保温材の保温性は、保温率を測定することにより、確認できる。保温率は、保温性測定装置(KES−F7 サーモラボII型、カトーテック(株)製)を用いて、測定できる。具体的には、熱板からなる熱源台の上に試験片を取り付け、熱板の温度を、風洞内の空気温度よりも10℃高く設定(設定温度は任意に変えられる)したときに、試験片を取り付けることにより、熱板表面から失われる熱量が減少すると、熱板の設定温度を維持するために必要な消費電力が減少する。このときの消費電力の変動を計測することで保温性を評価する。すなわち、消費電力が減少するということは、保温性が高いということになる。通常、ばらつきを考慮し、60秒あるいは180秒の測定を行ない、n回行なったときの消費電力の平均値を求める。保温率は、次の式にて求めたものである。
保温率(%) = (W−W)/W × 100
(ここで、Wは試験片未装着時の消費電力、Wは試験片装着時の消費電力)
保温率が高いほど、保温効果が高いことから、例えば、本発明の農業用ハウス保温材で覆った内部は、外部環境に左右されにくくなるため、温度ムラが減り、栽培作物の生育や栽培のばらつきが解消できたり、ある程度の温度範囲で貯蔵したりする栽培作物にも有効である。保温率は、概ね80%以上であることがより好ましい。
本発明の農業用ハウス保温材の遮熱性は、遮熱効果(℃)を測定することにより、確認できる。遮熱効果は、繊維布の測定方法である一般財団法人ボーケン品質評価機構のボーケン法により、測定できる。レフランプ(赤外線ランプ)と温度センサー(温度計)の間に試験片を置き、試験片の遮熱性能を測定する。試験片と温度センサーの間に5cmの空間を設けることで、実際に遮熱素材が使用される実態に即した試験方法である。試験片を置かない空試験時の温度変化と試験片を置いたときの温度変化の結果を比較したものである。試験時間は適宜、設定できる。遮熱効果は、次の式にて求めたものである。
遮熱効果(℃) = T−T
(ここで、Tは空試験時の一定時間経過時の上昇温度、Tは試験片を置いたときの一定時間経過時の上昇温度)
遮熱効果(℃)が高いほど、昼間の太陽光の赤外線を遮断できることから、農業用ハウス内の温度上昇を抑制することができるという効果がある。特に、夏場など外気温が高いときほど、遮熱効果が発揮される。一方、夜間においては、農業用ハウス内部の温度下降を抑制することができるという効果がある。特に、冬場など外気温が低いときほど、遮熱効果が発揮される。これらのことは、農業用ハウス内の冷暖房のエネルギーコストを削減する効果を有することは言うまでもないことである。遮熱効果は、概ね5℃以上であることがより好ましい。
保温性と遮熱性との違いは、保温性が流体(液体、気体)の循環による伝熱(すなわち、対流)であるのに対し、遮熱性は電磁波(赤外線)による伝熱(すなわち、放射(輻射))である。したがって、上記保温性測定では、主に保温層における気体の対流を評価するものであり、上記遮熱性測定では、主にフラットヤーン層における赤外線の放射を評価するものである。そのため、保温性が同等であっても、遮熱性が異なることがある。
本発明の農業用ハウス保温材の折り畳み性は、前記積層体を複数箇所で、折り畳み方向に対して垂直な直線部分で接合一体化したときに、例えば、ハウスの屋根の内側に農業用ハウス保温材を展張した、あるいは、吊り下げた状態(カーテン状)にし、これを屋根の頭頂部あるいは屋根の最下部に従来から使用されているカーテン開閉装置などを用いて、折り畳み方向に開閉することで確認できる。接合一体化部分の間隔が大きかったり、剛性が強かったり、また厚みが厚かったりすると折り畳みが困難(ムラ)となる。また、薄かったり、コシが小さすぎると、軟らかすぎて、引っ張りに耐えられず、破れるおそれがある。
一方、本発明の農業用ハウス保温材の巻き取り性は、前記積層体を複数箇所で、巻き取りの巻き取り軸方向に対して平行な直線部分で接合一体化したときに、例えば、農業用ハウスの屋根の内側に展張した状態にし、これを屋根の頭頂部あるいは屋根の最下部に従来から使用されている巻き取り機などを用いて、巻き取り軸に巻き取ることで確認できる。接合一体化部分の間隔が大きかったり、剛性が強かったり、また厚みが厚かったりすると巻き取りが困難(ムラ)となる。また、薄かったり、コシが小さすぎると、軟らかすぎて、巻き取りに耐えられず、破れるおそれがある。
さらに、本発明の農業用ハウス保温材は、前記折り畳み性や巻き取り性が優れることから、収束性が良好となる。このことは、折り畳んだときや巻き取ったときの幅や太さ(径)が細くなるため、例えば、採光したい場合、ハウス内部に収束した農業用ハウス保温材の影を最小限にすることができるため、栽培作物の生育への影響を減らすことができる。また、農業用ハウス内側の屋根に展張した場合、影をなくすためには、例えば、農業用ハウス保温材を地面近くまで巻き取って収納すれば良いが、これでは収納したときに地面の土や泥はねなどによって、汚れてしまう欠点があり、好まれない。本発明の農業用ハウス保温材は、影を最小限に抑えることができるため、地面近くではなく屋根の頭頂部や屋根の最下部に収納することができる。
また、本発明の農業用ハウス保温材は、軽量となるため、前記したカーテン開閉装置や巻き取り装置についても、従来設置のものや一般市販品が利用できるといった利点もある。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
順に、アルミ蒸着フィルムフラットヤーン織物(一軸延伸ポリエチレンフィルムにアルミ蒸着したフラットヤーンをポリエステルモノフィラメントで平織した織物)、合成樹脂綿((株)クラレ製)30g/m、ポリエチレン白黒フィルム(大倉工業(株)製)20g/m、およびポリエステル不織布(黒)(ユニチカ(株)製)50g/mを重ね、2m×10mの大きさに切りそろえ、折り畳み方向に対して垂直または巻き取りの巻き取り軸方向に対して平行な直線部分で、3インチ間隔で縫合加工することにより接合一体化して表1の構成の保温シート1を得た。保温シート1の最大厚みは2.5mm、遮光率は99.9%であった。
実施例2〜8
実施例1の合成樹脂綿30g/mを、25g/m、40g/m、60g/m、80g/m、100g/m、120g/m、および15g/m(それぞれ、(株)クラレ製)の合成樹脂綿にそれぞれ変更し、実施例1と同様にして表1の構成の保温シート2〜8を得た。
実施例9〜13
実施例6の白黒フィルムを透明ポリエチレンフィルム(大倉工業(株)製)20g/m、およびポリエステル不織布(黒)をポリエステル不織布(白)(東洋紡(株)製)50g/mに変更し、縫合加工を1インチ、2インチ、3インチ、5インチ、および10インチにそれぞれ変更し、表2の構成の保温シート9〜13を得た。
実施例14〜15
実施例13のアルミ蒸着フィルムフラットヤーン織物をフラットヤーン織物1(アルミニウム箔の両面にポリエチレンフィルムをラミネートしたフラットヤーン2本とポリエチレンフィルムのフラットヤーン1本をポリエステルモノフィラメントでラッセル織した織物)、およびフラットヤーン織物2(アルミニウム箔の両面にポリエチレンフィルムをラミネートしたフラットヤーンをポリエステルモノフィラメントでラッセル織した織物)にそれぞれ変更し、表2の構成の保温シート14〜15を得た。
実施例16
実施例11の合成樹脂綿100g/mを合成樹脂綿60g/mに変更し、表2の構成の保温シート16を得た。
実施例17〜20および比較例1〜11
同様にして、表3〜表5の構成の保温シート17〜31を得た。
比較例12
順に、スパンレース不織布(アピタス、ダイワボウポリテック(株)製)60g/mと、厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカルアグリドリーム(株)製)とを、ポリエチレン樹脂の溶融押出により積層し、接合一体化し、2m×10mの大きさに切りそろえて表5の構成の保温シート32を得た。保温シート32の最大厚みは0.2mm、遮光率は50%であった。
比較例13
順に、厚み75μmの透湿性および、または透水性を有するフィルム(ベジタロンスーパーキリナシUVカット、孔径1.5〜2.0mmの孔が形成、積水フィルム(株)製)と、ポリエステル不織布(白)(東洋紡(株)製)50g/mとを重ねあわせ、2m×10mの大きさに切りそろえて、その端部を3cmフィルムが内側になるように折り返し、超音波融着機により接合一体化し、表5の構成の保温シート33を得た。保温シート33の最大厚みは0.15mm、遮光率は70%であった。
比較例14
順に、厚み3.5mmの積層気泡シート(プチプチd35、川上産業(株)製)と、ポリエステル不織布(白)(東洋紡(株)製)50g/mとを重ねあわせ、2m×10mの大きさに切りそろえて、その端部をエンドレスシーラーにより3cm幅に接合一体化し、表5の構成の保温シート34を得た。保温シート34の最大厚みは4mm、遮光率は70%であった。
比較例15
順に、アルミ蒸着フィルムフラットヤーン織物(一軸延伸ポリエチレンフィルムにアルミ蒸着したフラットヤーンをポリエステルモノフィラメントで平織した織物)、厚み1.0mmの発泡シート(ミナフォーム、酒井化学工業(株)製)、および厚み90μmのポリエチレン無延伸フィルム(大倉工業(株)製)を重ね、2m×10mの大きさに切りそろえ、折り畳み方向に対して垂直または巻き取りの巻き取り軸方向に対して平行な直線部分で、上記フラットヤーン織物と上記発泡シートとを22cm間隔で、接着剤を使用し2.5cmの幅で接着(第1接合部)し、続いて同様に、上記発泡シートと上記ポリエチレン無延伸フィルムとを22cm間隔で、上記接着剤を使用し2.5cmの幅で接着(第2接合部)した。その際、第1接合部と第2接合部とを0.5cmの幅で重なるように接着した。このようにして、接合一体化した表5の構成の保温シート35を得た。保温シート35の最大厚みは1.5mm、遮光率は98%であった。
実施例21
順に、昇温防止性フラットヤーン織物(昇温防止剤マスターバッチ(PEX ST−0049、東京インキ(株)製)を低密度ポリエチレン樹脂に練りこみ、インフレーション成形により、フィルム状に加工し、さらに4mmのフィラメント状にスリット加工したフラットヤーンをポリエステルモノフィラメントでラッセル織した織物)、合成樹脂綿((株)クラレ製)30g/m、透明ポリエチレンフィルム(大倉工業(株)製)20g/m、およびポリエステル不織布(白)(東洋紡(株)製)50g/mを重ね、2m×10mの大きさに切りそろえ、折り畳み方向に対して垂直または巻き取りの巻き取り軸方向に対して平行な直線部分で、3インチ間隔で縫合加工することにより接合一体化して表6の構成の保温シート36を得た。保温シート36の最大厚みは2.7mm、遮光率は77%であった。
実施例22および比較例16〜18
同様にして、表6の構成の保温シート37〜40を得た。
実施例1〜22および比較例1〜18の各保温シートについて、最大厚み、遮光率、保温率、遮熱効果、折り畳み性、巻き取り性、およびぼた落ちを評価し、同表1〜6に示した。
<最大厚み>
最大厚みは、各保温シートについて、シックネスゲージを使用し、複数箇所で直線部分で接合一体化した互いの間隔の中間部分の5ヶ所の厚みを測定し、その平均値とした。
<遮光率>
各保温シートについて、JIS L1055「カーテンの遮光性試験方法」の「照度計を用いる方法(A法)」に基づき、測定した。遮光性試験機LE−1型(インテック(株)製)を用いた。試験機上部から、光源(ハロゲンランプ100V、500W)を、試験機の光取り入れ部(直径100mm)に当て、試験機下部の受光部における照度を測定した。遮光率は、試験片を装着したときと装着しないときの照度の比を次の式にて、求めた。
遮光率(%) = (1−(A/B)) × 100
(ここで、Aは試験片装着時の照度、Bは試験片未装着時の照度)
<保温率>
各保温シートについて、保温性測定装置(KES−F7 サーモラボII型、カトーテック(株)製)を用いて、測定した。各保温シートを200mm×200mmの大きさに断裁し、試験片とした。熱板からなる熱源台(100mm×100mm)の上に水量2.5mLの水で濡らしたろ紙(No.2、100mm×100mm、アドバンテック東洋(株)製)を載せ、この上に高さ5mmの枠を載せ、さらに試験片を載せた後、熱板の温度を、風洞内の空気温度よりも10℃高く設定し、180秒間、消費電力の変動を計測した。試験片を未装着の状態と装着した状態について、5回ずつ測定を行い、その消費電力の平均を求めた。保温率は、次の式にて求めた。
保温率(%) = (W−W)/W × 100
(ここで、Wは試験片未装着時の平均消費電力、Wは試験片装着時の平均消費電力)
保温率が高いほど、保温性が良好と判断した。
<遮熱効果>
各保温シートについて、一般財団法人ボーケン品質評価機構のボーケン法を参考とし、次の方法により遮熱効果を測定した。蓋のある断熱箱の蓋部分の上部を厚み150μmの透明樹脂フィルム(ダイヤスター、農POフィルム、三菱ケミカルアグリドリーム(株)製)に変えたものを用意した。断熱箱の底部に温度センサーを設置し、断熱箱の内部の温度計測ができるようにした。光源は、レフランプ(赤外線ランプ、IR100/110V125ERH、岩崎電気(株)製)とし、断熱箱の底から高さ60cmの距離に設置した。赤外線ランプの照射時間は30分間とした。試験片は、断熱箱の内部に前記透明樹脂フィルムから5cmの空間ができる場所に設置できるようにした。試験片を置いたときと置かないとき(空試験)の30分間経過時の上昇温度から求めた。遮熱効果は、次の式にて求めた。
遮熱効果(℃) = T−T
(ここで、Tは空試験時の30分経過時の上昇温度、Tは試験片を置いたときの30分経過時の上昇温度)
遮熱効果(℃)が高いほど、遮熱性が良好と判断した。
<折り畳み性>
ハウスの屋根の内側に保温シートを展張し、これを屋根の頭頂部に向かって手動カーテン開閉装置(シンワ(株)製)を用いて、折り畳み方向に開閉し、開閉具合と完全に折り畳んだときの状態について目視にて観察し、評価した。開閉作業をスムーズに行なうことができ、折り畳んだ状態が小さい(影が少ない)ものほど良好と判断した。開閉作業と折り畳み状態が、◎:開閉作業がスムーズで、折り畳んだ状態の影も少ない、○、開閉作業がスムーズで、折り畳んだ状態の影はやや多い、△:開閉作業がやや困難(剛性が強いまたはコシがない)で、折り畳んだ状態の幅がやや広く影が若干あるあるいは折り畳んだ状態がムラになる、×:開閉作業が困難(剛性が強く、硬いまたはコシがほとんどない)で、折り畳んだ状態の幅が広く影が多いあるいは折り畳んだ状態のムラが大きい、××:開閉作業が非常に困難(剛性が強すぎるまたはまったくコシがない)で、折り畳んだ状態の幅が非常に広く影も非常に多いあるいは折り畳みの際に破れが生じるまたはそのおそれがある、の5段階で評価した。
<巻き取り性>
ハウスの屋根の内側に保温シートを展張し、これを屋根の頭頂部に向かって手動巻上げ装置(シンワ(株)製)を用いて、巻き取り軸に一端を取り付けた保温シートを巻き取り、巻き取り具合と巻き取ったときの状態について目視にて観察し、評価した。巻き取り作業をスムーズに行なうことができ、巻き取った状態が小さい(影が少ない)ものほど良好と判断した。巻き取り作業と巻き取り状態が、◎:巻き取り作業がスムーズで、巻き取った状態が細く影も少ない、○、巻き取り作業がスムーズで、巻き取った状態がやや太いが影は少ない、△:巻き取り作業がやや困難(剛性が強いまたはコシがない)で、巻き取った状態の径がやや太く影が若干あるあるいは巻き取った状態のムラがある、×:巻き取り作業が困難(剛性が強く、硬いまたはコシがほとんどない)で、巻き取った状態の径が太く影が多いあるいは巻き取った状態のムラが大きい、××:巻き取り作業が非常に困難(剛性が強すぎるまたはまったくコシがない)で、巻き取った状態の径が非常に太く影も非常に多いあるいは巻き取った状態の際に破れが生じるまたはそのおそれがある、の5段階で評価した。
<ぼた落ち>
容量300mLの真空断熱カップ(サーモスJDD−301、サーモス(株)製)に熱湯を注ぎ、100mm×100mmの大きさに断裁した各保温シートの機能性を有する層の面を下にして、被せ、そのまま30分間静置した。30分後、保温シートをゆっくり外し、機能性を有する層の面に付着した水滴の有無の状態を目視にて観察し、評価した。水滴の付着が少ないものほど良好と判断した。水滴が、○:ない、×:ある、の2段階で評価した。
Figure 2020022442
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表1〜6によると、実施例1〜22の保温シートは、遮光性、保温性、遮熱性に優れ、かつ収束性が良好で、使用時のぼた落ち軽減の効果に優れることが明確であった。比較例1は、機能性を有する層が薄すぎるため、折り畳みや巻取りの際に破れるおそれがあった(繰り返し試験を行なうと破れが生じた)。比較例2は、機能性を有する層が厚すぎるため、折り畳みや巻き取りが困難で、ムラが生じ、影も多かった。比較例3は、比較例2よりも劣る結果であった。比較例4は、フラットヤーン織物層ではないため、柔軟性が失われ、折り畳みや巻き取りが困難であるとともに、遮光率も低下する傾向があった。比較例5は、接合一体化の間隔が広すぎるため、折り畳みの幅が太くまた巻き取りの径が太くなり、ムラが生じ、影が大きくなった。比較例6は、接合一体化の間隔が狭すぎるため、保温層が潰されてしまい、保温効果が低下するとともにコシが弱く、折り畳みや巻き取りがうまくいかず、また保温層での保水効果も損なわれ、ぼた落ちが生じた。比較例7は、保温層が発泡シートの例であるが、折り畳みや巻取りの際に保温層から空気が抜けず、折り畳みや巻き取りが非常に困難であるとともに発泡シートは保水効果がまったくなく、ぼた落ちが生じた。比較例8は、樹脂フィルム層がない例であるが、強度不足となり、コシが弱くなるとともに、保温効果が低下した。比較例9は、機能性を有する層がない例であるが、ぼた落ちにまったく効果がなかった。比較例10は、フラットヤーン織物層がない例であるが、遮光の効果がまったくなかった。比較例11は、樹脂フィルム層がなく、機能性を有する層をフラットヤーン層に替えた例であるが、遮光率も低く、遮熱効果もほとんどなくなってしまい、ぼた落ちにもまったく効果がなかった。引用文献4に類似の比較例12は、遮熱効果がなく、またポリエチレン押出による一体積層していることから、剛性が高く、折り畳みあるいは巻き取りが非常に困難であった。引用文献5に類似の比較例13は、遮熱効果がなく、また透水性のある有孔フィルムを使用しているため、ぼた落ちにも効果がなかった。引用文献6に類似の比較例14は、遮熱効果がなく、また積層気泡シートを使用しているため、収束性が非常に劣っていた。引用文献7に類似の比較例15は、遮熱効果は弱く、またシートの接合に接着剤を用い、さらに接合部が重なる部分があり、折り畳みあるいは巻き取りが困難であることに加え、ぼた落ちにはまったく効果がなかった。比較例16は、接合一体化の間隔が狭すぎるため、保温層が潰されてしまい、保温効果が低下するとともにコシが弱く、折り畳みや巻き取りがうまくいかず、また保温層での保水効果も損なわれ、ぼた落ちが生じた。比較例17は、機能性を有する層がない例であるが、保温効果も低下し、ぼた落ちにまったく効果がなかった。比較例18は、樹脂フィルム層がない例であるが、強度不足となり、コシが弱くなるとともに、保温効果が低下した。
1 フラットヤーン
2 フィラメント
3 ポリエステル糸
4 フラットヤーン織物
5 フラットヤーン織物層
6 保温層
7 樹脂フィルム層
8 機能性を有する層
9 積層体

Claims (5)

  1. 外側から順に、フラットヤーン織物層と、保温層と、樹脂フィルム層と、機能性を有する層とを積層した積層体からなる農業用ハウス保温材であって、
    前記積層体が、複数箇所で、折り畳み方向に対して垂直または巻き取りの巻き取り軸方向に対して平行な直線部分で接合一体化され、
    前記複数箇所の直線部分で接合一体化させた互いの間隔が1インチ以上10インチ以下で、
    前記機能性を有する層の目付が、20g/m以上100g/m未満で、
    前記積層体の最大厚みが1.5mm以上12mm以下で、
    かつ遮光率が50%以上100%未満であることを特徴とする農業用ハウス保温材。
  2. 前記保温層が、30g/m以上100g/m以下の目付を有する不織布または合成樹脂綿からなる層であることを特徴とする請求項1に記載の農業用ハウス保温材。
  3. 前記機能性を有する層が、通気性、透水性、および流滴防止性の中から選ばれる少なくとも一つの性質を有する層であることを特徴とする請求項1または2に記載の農業用ハウス保温材。
  4. 前記接合一体化が、縫合加工であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の農業用ハウス保温材。
  5. 前記樹脂フィルム層が、ポリオレフィンフィルムからなる層であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の農業用ハウス保温材。
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