JP2020021929A - 電磁波シールドシート付きプリント配線板 - Google Patents

電磁波シールドシート付きプリント配線板 Download PDF

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祥太 森
遼太 梅澤
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遼太 梅澤
大将 岸
Hiromasa Kishi
大将 岸
豪 阪口
Go Sakaguchi
豪 阪口
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Abstract

【課題】マイグレーション耐性、耐熱圧着性、屈曲性、遮光性および難燃性に優れた電磁波シールドシート付きプリント配線板を提供すること。【解決手段】電磁波シールドシートと、カバーコート層と、信号配線および絶縁性基材を有する基板とを具備する電磁波シールドシート付きプリント配線板であって、前記電磁波シールドシートが、りん(P)を含有する層を有し、カバーコート層が、着色剤を含有する樹脂層の硬化物を有し、前記りん(P)を含有する層と信号配線との間の最短距離が、5μm以上100μm以下の範囲内であることを特徴とする、電磁波シールドシート付きプリント配線板。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波シールドシート付きプリント配線板に関する。
近年では、小型化・薄型化が急速に進む携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコンなどの電子機器において、柔軟で可撓性のあるフレキシブルプリント基板(以下、FPCという)は必要不可欠となっている。さらに電子機器の高性能化に伴い内蔵される信号配線の狭ピッチ化・高周波化が進むため、電磁波ノイズに対する対策が重要度を増している。そのためFPCには、信号配線から発生する電磁波ノイズを遮蔽もしくは吸収する電磁波シールド材を組み込むことが一般的になっている。
尚、FPCは、エッチング処理により回路形成した銅張積層版(CCL)とカバーコート層から構成される。カバーコート層の形成は、カバーレイフィルム、感光性インク(ソルダーレジスト)、または感光性フィルム(ドライレジストフィルム)等から選択するのが一般的であり、取り扱いの容易さ、耐久性、絶縁信頼性の高さから、カバーレイフィルムが多く使用されている。
カバーレイフィルムとは、絶縁性基材に熱硬化性接着剤を塗布した材料であり、このようなカバーレイフィルムを用いた利用形態として、特許文献1には、FPCのカバーコート層上に導電性接着剤層や金属薄膜層等を有するシールド層を貼り合せると共に、FPCのカバーコート層の開口部を介してグランド配線に導電接着剤層を接合して金属薄膜層を電気的に接続した電磁波シールド機能を有するFPCが開示されている。また、特許文献2には、FPCのカバーコート層上に有機リン系難燃剤を含む導電性接着剤層や金属層等を有するシールドフィルムが開示されている。
そして、電子機器の軽薄短小化に伴うFPCの高密度化により、微細な開口パターンを有するカバーコート層が求められるようになっており、特許文献3には、アルカリ現像性樹脂、エポキシ樹脂、光反応開始剤、光重合モノマーおよび表面処理された無機フィラーによって、解像性およびクラック耐性に優れる樹脂組成物およびドライフィルムが提案されている。
また、カバーコート層には情報保護や視認性の観点から高い遮光性も求められており、特許文献4には、カルボキシル基とエチレン性不飽和基とを有する化合物、ウレタン(メタ)アクリレート、それ以外のエチレン性不飽和基を有する重合性化合物、光重合開始剤、カーボンブラックによって、遮蔽性と保存安定性に優れる黒色感光性組成物およびドライフィルムが提案されている。
さらに、特許文献5には、熱硬化性樹脂と、無機充填材と、黒色酸化チタンを含む黒色顔料によって、絶縁性に優れたソルダーレジスト用樹脂組成物およびソルダーレジスト膜が提案されている。
特開2007−294996号公報 WO2016/190278号公報 特開2016−177174号公報 特開2012−141605号公報 特開2017−034213号公報
しかし、カバーコート層は、カバーレイフィルムに比べ絶縁基材を有さない単層構成である場合が多く、電磁波シールドシートを張り合わせた際、貼りあわせ時の熱と圧力によりカバーコート層がフローし、厚みが減少(耐熱圧着性)したり、マイグレーション耐性が極端に悪化することがある。また、遮光性を持たせるために用いられる着色剤により、活性エネルギー線による硬化が不足し、微細な開口部の形成が困難であるだけでなく、電磁波シールドシートを張り合わせた場合のマイグレーション耐性がより一層悪化してしまうことも問題となる。そして、上記マイグレーション耐性を改善するために架橋密度を増し、膜の硬度を高めると折り曲げ時にクラックが生じてしまう(屈曲性)という問題もあり、マイグレーション耐性と屈曲性の両立は困難となっている。
即ち、本発明が解決しようとする課題は、マイグレーション耐性、耐熱圧着性、屈曲性、遮光性および難燃性に優れた電磁波シールドシート付きプリント配線板を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、電磁波シールドシートのりん(P)を含有する層と信号配線との間の最短距離を特定の範囲に制御することにより、上記課題を解決できることを見い出した。
即ち、本発明は、電磁波シールドシートと、カバーコート層と、信号配線および絶縁性基材を有する基板とを具備する電磁波シールドシート付きプリント配線板であって、上記電磁波シールドシートが、りん(P)を含有する層を有し、カバーコート層が、着色剤を含有する樹脂層の硬化物を有し、上記りん(P)を含有する層と信号配線との間の最短距離が、5μm以上100μm以下の範囲内であることを特徴とする、電磁波シールドシート付きプリント配線板に関する。
また、本発明は、上記樹脂層の硬化物は、85℃における貯蔵弾性率が、1.0E+06〜1.0E+10Paである上記電磁波シールドシート付きプリント配線板に関する。
また、本発明は、上記電磁波シールドシートは、少なくとも絶縁層と導電層とを有し、上記導電層がりん(P)を含有している上記電磁波シールドシート付きプリント配線板に関する。
また、本発明は、上記電磁波シールドシートは、少なくとも絶縁層と導電層とを有し、上記導電層がりん(P)を含有せず、上記絶縁層がりん(P)を含有している上記電磁波シールドシート付きプリント配線板に関する。
本発明により、マイグレーション耐性、耐熱圧着性、屈曲性、遮光性および難燃性に優れた電磁波シールドシート付きプリント配線板を提供できるようになった。
図1は、マイグレーション試験を説明した概念図である。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。尚、以降の図における各部
材のサイズや比率は、説明の便宜上のものであり、これに限定されるものではない。また、本明細書において「任意の数A〜任意の数B」なる記載は、当該範囲に数Aが下限値として、数Bが上限値として含まれる。また、本明細書における「シート」とは、JISにおいて定義される「シート」のみならず、「フィルム」も含むものとする。また、本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。また、本明細書中、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
本発明の電磁波シールドシート付きプリント配線板は、電磁波シールドシートと、カバーコート層と、信号配線および絶縁性基材を有する基板とを具備する電磁波シールドシート付きプリント配線板であって、電磁波シールドシートが、りん(P)を含有する層を有し、カバーコート層が、着色剤を含有する樹脂層の硬化物を有し、上記りん(P)を含有する層と信号配線との間の最短距離が、5μm以上100μm以下の範囲内であることを特徴とする。
<カバーコート層>
カバーコート層は、基線板の信号配線を覆い外部環境から保護するための絶縁層であり、樹脂層の硬化物を有する。基板に樹脂層を設ける方法としては、硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有するドライレジストフィルムを形成し、基板にラミネートする方法や、基板に硬化性樹脂組成物を直接塗布する方法が挙げられる。これら樹脂層を硬化させることによりカバーコート層を得ることができる。ここで、硬化性樹脂組成物としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物および/または熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。本発明を適用した実施形態の説明において、主にドライレジストフィルムを用いた例を記載するが、これに限定されるわけではない。
カバーコート層の厚みは、5〜100μmが好ましく、10〜70μmがより好ましい。カバーコート層の厚みを5〜100μmの範囲にすることで、屈曲性とマイグレーション耐性を向上することができる。
カバーコート層のガラス転移温度(Tg)は40℃〜120℃が好ましく、50℃〜100℃がより好ましい。カバーコート層のガラス転移温度(Tg)を40℃〜120℃にすることで、屈曲性とマイグレーション耐性を向上することができる。
<ドライレジストフィルム>
ドライレジストフィルムは、着色剤を含有する樹脂層を有する。樹脂層を形成するものとして硬化性樹脂組成物を挙げることができるが、光等の活性エネルギー線によってパターンニングを行う場合、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用することが好ましい。尚、本明細書でいう活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とは、活性エネルギー線硬化性樹脂と活性エネルギー線重合開始剤を含むものを指す。
<硬化性樹脂組成物>
硬化性樹脂組成物としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物と熱硬化性樹脂組成物とに大別できる。
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化性樹脂と、活性エネルギー線重合開始剤と、着色剤とを含有する。
<熱硬化性樹脂組成物>
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、熱硬化剤と、着色剤とを含有する。
[樹脂]
樹脂としては、従来公知の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂等を用いることができるが、活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線の照射による硬化性を有する樹脂であり、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物であることが好ましい。また、現像性を付与するために、アルカリ可溶性であることが好ましい。
樹脂の質量平均分子量(Mw)は2000〜40000が好ましく、3000〜30000がより好ましい。樹脂のMwを2000〜40000にすることで、アルカリ可溶性が向上しパターニング性に優れたものとすることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、単独で用いることができるが、パターニング性をより向上する観点から、熱硬化性樹脂を併用することが好ましい。熱硬化性樹脂を併用する場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂との配合比率は、樹脂の固形分比で30:70〜70:30が好ましく、40:60〜60:40がより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂との配合比率を上記範囲とすることで、パターニング性が向上する。
(活性エネルギー線硬化性樹脂)
活性エネルギー線硬化性樹脂は、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに活性エネルギー線感度等を向上させるために、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
活性エネルギー線硬化性樹脂の酸価は、50〜120mgKOH/gが好ましく、60〜110mgKOH/gがより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂の酸価を50〜120mgKOH/gにすることで、パターニング性とマイグレーション耐性が向上する。
酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアクリル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、マイグレーション耐性が高いため、好適に用いられる。
エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂としては、たとえば以下に示す方法(i)や(ii)の方法によりエチレン性不飽和二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
・方法(i)
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、エチレン性不飽和二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4−エポキシシ
クロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすること等もできる。また、多塩基酸無水物として、エチレン性不飽和二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にエチレン性不飽和二重結合を増やすことができる。
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
・方法(ii)
方法(ii)としては、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用して用いてもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
上記活性エネルギー線硬化性樹脂として感光性樹脂(A)を用いることも好ましい。以下、感光性樹脂(A)について説明する。感光性樹脂(A)は、以下に示すように、ヒドロキシル基含有感光性樹脂(A−1)またはカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)であることを特徴とする。ヒドロキシル基含有感光性樹脂(A−1)は、第一の工程として、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と1分子中に少
なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)とを反応させて側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)を作製する。次に、第二の工程として、上記側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)と多塩基酸無水物(d)とを反応させてカルボキシル基含有樹脂(e)を作製する。更に、第三の工程として、上記カルボキシル基含有樹脂(e)と、エポキシ基またはオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)中のエポキシ基又はオキセタン基とを反応させることにより得ることができる。更に、カルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)は、第四の工程として、上記ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)中の水酸基多塩基酸無水物(d)中の酸無水物基により得ることができる。以下、感光性樹脂(A)の製造方法について詳細に説明する。
まず、第一の工程で得られる側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)について説明する。側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)とを反応させることで得ることができ、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)中のエポキシ基と1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)中のフェノール性水酸基とを、エポキシ基/フェノール性水酸基=1/1〜1/2.5のモル比で反応させて作製することが好ましい。上記モル比の範囲よりフェノール性水酸基が少ないと、残存する余剰のエポキシ基が後の合成工程で反応してゲル化する場合がある。また、上記モル比の範囲よりフェノール性水酸基が多い場合、最終的に得られる感光性樹脂(A)の分子量が低くなり、所望の塗膜耐性や成膜性が得られにくくなる。更には、余剰の1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)が半田耐熱性や電気絶縁性などの物性に悪影響を及ぼす場合がある。
尚、本発明でいう、モル比とは、実際に官能基同士が反応するモル比であり、各種出発材料は、上記モル比での反応を可能にする量を使用する。従って、例えば、「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)」と、「1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)」との反応において各出発材料を仕込む際、「1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)」中のエポキシ基1.0モルに対して「1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)」中のフェノール性水酸基が2.5モルを超える量で仕込んで(好ましくは2.7モルを上限として仕込んで)反応させることがある。
本発明で用いる1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)は、好ましくはエポキシ基を分子内に2個含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジ
オールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、
ビスフェノールF・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビフェノール・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、グリセリン・エピクロロヒドリン付加物のポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、ジヒドロキシアントラセン型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジフェニルスルホンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ジフェニルメタンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキ
シエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、特開2004−156024号公報、特開2004−315595号公報、特開2004−323777号公報に開示されている柔軟性に優れたエポキシ化合物や、下記式(1)−(3)で表される構造のエポキシ化合物等が挙げられる。
中でも、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルは、最終的に得られるヒドロキシル基含有感光性樹脂(A−1)に柔軟性やアルカリ現像液に対する溶解性を付与させる場合に好ましく、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂は、最終的に得られるカルボキシル基含有変性エステル樹脂(A)に耐熱性を付与させる場合に好ましい。このように本発明において、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(d)は目的に応じて選択することが可能であり、これらは単独で使用しても良いし、複数を併用することも好ましい。
本発明で用いる1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)としては、フェノール性水酸基を分子内に2個含有する化合物であればよく、
特に限定されるものではない。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA)が代表例であり、その他にも、ビス(4−ヒドロキシフェノル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−デカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルイルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−エチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−n−プロピルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−n−ブチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−ペンチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−ヘキシルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−クロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(2−フルオロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(2−クロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラクロロフェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン等の中心炭素に水素原子が結合しているビスフェノール類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ノナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(通称ビスフェノールP)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−トルイルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−n−プロピルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−イソプロピルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−n−ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ペンチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヘキシルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−フルオロフェニル)エタン、1,1−ビス(
4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−クロロフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−フルオロフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−クロロフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−テトラフルオロフェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−テトラクロロフェニルエタン等の中心炭素に1つのメチル基が結合しているビスフェノール類;
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールC)、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の中心炭素に2つのメチル基が結合しているビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン等のジフェニルメタン誘導体であるビスフェノール類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(通称ビスフェノールZ)、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のシクロヘキサン誘導体であるビスフェノール類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン誘導体であるビスフェノール類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のフルオレン誘導体であるビスフェノール類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン等のシクロアルカン誘導体であるビスフェノール類;
4,4’−ビフェノール等の芳香族環が直接結合したビフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル
)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のスルホン誘導体であるビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のエーテル結合を有するビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド等のスルフィド結合を有するビスフェノール類;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−イソブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等のスルホキシド誘導体であるビスフェノール類;
フェノールフタレイン等のヘテロ原子含有脂肪族環を有するビスフェノール類;
ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフルオロメタン、1,1−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロエタン、2,2−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン等の炭素−水素結合のないビスフェノール類等を挙げることができる。
さらに、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、メチルヒドロキノン等のジヒドロキシベンゼン類;
1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類等を挙げることができる。
本発明において、側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)の合成条件は特に限定されるものではなく、公知の条件で行うことができる。例えば、フラスコに、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)、1分子中に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物(b)、および溶剤を仕込み、撹拌しながら100〜150℃で加熱することで側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)を得ることができる。この際、必要に応じてトリフェニルホスフィンや、3級アミノ基含有化合物等の触媒を使用してもよい。
次に、第二の工程で得られるカルボキシル基含有樹脂(e)について説明する。カルボキシル基含有樹脂(e)は、上記側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)と多塩基酸無水物(d)とを反応させて得ることができ、側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)中の水酸基と多塩基酸無水物(d)中の酸無水物基とを、水酸基/酸無水物基=1/0.1〜1/1のモル比で反応させて作製することが好ましい。上記モル比の範囲より酸無水物基が少ないと、最終的に得られる感光性樹脂(A)中で架橋点として機能するカルボキシル基濃度が少なくなるため所望の耐熱性やアルカリ現像液に対する溶解性が得られにくくなる。また、
上記モル比の範囲より酸無水物基が多い場合、余剰の多塩基酸無水物(d)が後の合成工程において副生成物を生じさせるため最終塗膜の屈曲性や半田耐熱性、絶縁信頼性が低下する傾向にある。
本発明で用いる多塩基酸無水物(d)は、酸無水物基を分子内に1個以上含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルペンタヒドロ無水フタル酸、メチルトリヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロへキセンジカルボン酸無水物、無水ヘット酸、テトラブロモ無水フタル酸などの脂環構造、又は芳香環構造を有する、酸無水物基を含む化合物が挙げられる。その他の化合物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、ブチルコハク酸無水物、ヘキシルコハク酸無水物、オクチルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、ブチルマレイン酸無水物、ペンチルマレイン酸無水物、ヘキシルマレイン酸無水物、オクチルマレイン酸無水物、デシルマレイン酸無水物、ドデシルマレイン酸無水物、ブチルグルタミン酸無水物、ヘキシルグルタミン酸無水物、ヘプチルグルタミン酸無水物、オクチルグルタミン酸無水物、デシルグルタミン酸無水物、ドデシルグルタミン酸無水物などが挙げられる。本発明において、多塩基酸無水物(d)は、一種のみを単独で用いても良いし、複数を併用しても良い。
中でも、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸などは、本発明において、パターニング性、パターン形成性および塗膜耐性が非常に優れるため特に好ましい。
本発明において、カルボキシル基含有樹脂(e)の合成条件は特に限定されるものではなく、公知の条件で行うことができる。例えば、フラスコに、側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)、多塩基酸無水物(d)、および溶剤を仕込み、撹拌しながら25〜150℃で加熱することで側鎖ヒドロキシル基含有樹脂(c)を得ることができる。この反応は無触媒下でも進行するが、必要に応じて、3級アミノ基含有化合物等の触媒を使用してもよい。
次に、第三の工程で得られるヒドロキシル基含有樹脂(A−1)について説明する。ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)は、上記カルボキシル基含有樹脂(e)とエポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)とを反応させて得ることができ、カルボキシル基含有樹脂(e)中のカルボキシル基と、エポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)中のエポキシ基又はオキセタン基とを、カルボキシル基/エポキシ基又はオキセタン基=1/0.1〜1/1のモル比で反応させて作製することが好ましい。上記モル比の範囲よりエポキシ基又はオキセタン基が少ないと、最終的に得られる感光性樹脂(A)中で光架橋点として機能する二重結合当量が高くなるため、所望の耐熱性や塗膜耐性が得られにくくなる。また、上記モル比の範囲よりエポキシ基又はオキセタン基が多い場合、余剰のエポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)により最終塗膜の屈曲性が低下する傾向にある。
本発明で用いるエポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)は、エポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを分子内に1個以上含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル桂皮酸、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、グリシジルアリルエーテル、2,3−エポキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド、1,3−ブタジエンモノエポキシド、オキセタニル(メタ)アクリレート、オキセタニル桂皮酸、又、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどの、水酸基含有多官能アクリルモノマーの水酸基に、エピクロルヒド
リンを反応させた多官能アクリレート基含有モノエポキシドや、フェノールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の大半をアクリル酸などでアクリレート基に変性することで得られる、平均で1分子中に1つのエポキシ基を残した多官能アクリレート基含有モノエポキシド、カルボキシル基含有多官能アクリルモノマーのカルボキシル基に、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物のエポキシ基の一部を反応させることで得られる多官能アクリレート基含有モノエポキシド等が挙げられ、これらのエポキシ基又はオキセタン基を、カルボキシル基含有樹脂(e)中のカルボキシル基と反応させることで、ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)が得られる。本発明において、エポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)は、一種のみを単独で用いても良いし、複数を併用しても良い。
中でも、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどは、本発明において、カルボキシル基と反応性に富み、又、感光性が非常に優れるため特に好ましい。
又、本発明において、エチレン性不飽和基を有さず、エポキシ基又はオキセタン基を有する化合物を、エポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(b)と併用して用いることもできる。この場合、カルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂(A)の感光性をより幅広く制御することが可能である。エチレン性不飽和基を有さず、エポキシ基又はオキセタン基を有する化合物としては、例えば、スチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル、p−フェニルフェノールグリシジルエーテル、グリシジルシンナメート、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシドール、N−グリシジルフタルイミド、1,3−ジブロモフェニルグリシジルエーテル、セロキサイド2000(ダイセル化学工業株式会社製)、オキセタンアルコール等が挙げられる。
本発明において、ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)の合成条件は特に限定されるものではなく、公知の条件で行うことができる。例えば、フラスコに、酸素存在下、上記カルボキシル基含有樹脂(e)、エポキシ基又はオキセタン基とエチレン性不飽和基とを有する化合物(f)、および溶剤を仕込み、撹拌しながら25〜150℃で加熱することでヒドロキシル基含有樹脂(A−1)を得ることができる。この際、反応促進のために必要に応じて3級アミノ基含有化合物等の反応触媒を添加したり、あるいは、重合反応や重合進行によるゲル化等を起こすことのないよう、エチレン性不飽和基の重合禁止剤や分子状酸素を用いたりすることもできる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジ−t−ブチルベンゾキノン、ナフトキノン、フェノチアジン、N−オキシル化合物等を用いることができる。また、分子状酸素を反応容器内に存在させても重合禁止効果があり、例えば空気、あるいは空気と窒素等の不活性ガスとの混合ガス等を反応容器に吹き込む、いわゆるバブリングを行えばよい。重合禁止効果を高めるには、重合禁止剤と分子状酸素とを併用することが好ましい。
次に、第四の工程で得られるカルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)について説明する。カルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)は、上記ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)と多塩基酸無水物(d)とを反応させて得ることができ、ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)中の水酸基と、多塩基酸無水物(d)中の酸無水物基とを、水酸基/酸無水物基=1/0.01〜1/1のモル比で反応させて作製することが好ましい。上記モル比の範囲
より酸無水物基が少ないと、最終的に得られる感光性樹脂(A)中で架橋点として機能するカルボキシル基濃度が少なくなるため所望の耐熱性やアルカリ現像液に対する溶解性が得られにくくなる。また、上記モル比の範囲より酸無水物基が多い場合、余剰の多塩基酸無水物(d)により最終塗膜の屈曲性や半田耐熱性、絶縁信頼性が低下する傾向にある。
本発明で用いる多塩基酸無水物(d)は、前述の通り、酸無水物基を分子内に1個以上含有する化合物であればよく、特に限定されるものではなく、一種のみを単独で用いても良いし、複数を併用しても良い。中でも、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸などは、本発明において、パターニング性、パターン形成性および塗膜耐性が非常に優れるため特に好ましい。
本発明において、カルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)の合成条件は特に限定されるものではなく、第三の工程と同様、フラスコに、酸素存在下、上記ヒドロキシル基含有樹脂(A−1)、多塩基酸無水物(d)、および溶剤を仕込み、25〜150℃で加熱撹拌しながら加熱することで反応させることが好ましく、必要に応じて適した反応触媒及びエチレン性不飽和基の重合禁止剤を新たに追加することもできる。
感光性樹脂(A)の酸価は、50〜120mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは60〜110mgKOH/gである。酸価が50mgKOH/g未満の場合、充分なパターニング性が得られにくいことがあり、例えば、現像時に皮膜を溶解させて取り除きたい部分に、残渣として皮膜が残る場合がある。又、酸価が120mgKOH/gを超える場合、現像液に対する塗膜の溶解性が高くなり、光硬化させてパターンとして残したい部分までもが溶解し、パターンの形状が悪化する場合がある。
感光性樹脂(A)のエチレン性不飽和基当量は、200〜5000g/eqであることが好ましく、より好ましくは、300〜3000g/eqである。エチレン性不飽和基当量が200g/eq未満の場合、光感度が高すぎることがあり、現像時に皮膜を溶解させて取り除きたい部分までもが光で硬化してしまい、良好なパターン形状が得られない場合がある。エチレン性不飽和基当量が5000g/eqを超える場合、光感度が低すぎることがあり、光硬化させたい部分が充分硬化せず、現像時にパターンが溶解することで、良好なパターン形状が得られない場合がある。尚、本発明でいう「エチレン性不飽和基当量」とは、樹脂の合成時に使用した原材料の質量から算出される理論値であって、樹脂の質量を、樹脂中に存在するエチレン性不飽和基の数で除したものであり、エチレン性不飽和基1モルあたりの樹脂の質量、すなわち、エチレン性不飽和基濃度の逆数に相当するものである。
感光性樹脂(A)の質量平均分子量は、2000〜40000であることが好ましく、より好ましくは、3000〜30000である。質量平均分子量が2000以上の場合、半田耐熱性および可撓性が優れ、質量平均分子量が40000以下の場合は、パターニング性が良化できる。
感光性樹脂(A)の合成に使用する溶剤は、最終用途や、反応物の溶解性に応じて適宜選択することができる。ドライフィルム作成工程において、溶剤をすばやく乾燥させるためには、低沸点の溶剤を用いることが好ましい。この場合の低沸点溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、トルエン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
本発明において、これらの溶剤は、必要に応じて一種のみを単独で用いても良いし、複数を併用しても良く、又、反応過程で脱溶剤を行ったり、脱溶剤後、新たに別の溶剤を添加したりしても良い。
上述した感光性樹脂(A)は主鎖中に二塩基酸無水物によるハーフエステル化由来のエステル結合やイソシアネート基と水酸基の反応由来のウレタン結合を有しないため、主鎖が化学的に安定であることから、得られるカバーコート層は種々の塗膜耐性に優れ、半田浴等の高温条件下にさらされた場合でも優れた耐熱性を発揮し、又、高温多湿下でも優れた電気絶縁性を発揮するために好ましい。更には、感光性樹脂(A)は、側鎖に感光性基及びカルボキシル基を有しているため、含有する感光性基およびカルボキシル基の量が少ない場合でも、非常に優れたパターニング性を示す。これら側鎖に導入された官能基は、主鎖に直結した場合に比べ反応性に富み、又主鎖末端のみに導入されている場合に比べると導入量を任意に調整できるため、優れた光硬化性、パターニング性及び塗膜耐性を発揮することができる。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂は、加熱による架橋反応に利用できる官能基を複数有する樹脂である。官能基は、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリン基、オキサジン基、アジリジン基、チオール基、シラノール基等が挙げられる。
上記の官能基を有する熱硬化性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリエステル樹脂、縮合型ポリエステル樹脂、付加型ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール系樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸樹脂、オキサゾリン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
[熱硬化剤]
熱硬化剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂のカルボン酸基および水酸基と熱架橋することでマイグレーション耐性および屈曲性に優れるカバーコート層を形成する。熱硬化剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂および熱硬化性樹脂の官能基と反応可能な官能基を複数有している。熱硬化剤は、例えばエポキシ化合物、酸無水物基含有化合物、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、アミン化合物、フェノール化合物等の公知の化合物が挙げられ、イソシアネート化合物が特に好ましい。
イソシアネート化合物としては、イソシアネート基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、ジイソシアネート化合物としては、例えば、炭素数4〜50の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えばω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
分子中にイソシアネート基を1個または3個以上有するイソシアネート化合物としては、具体的には、1分子中に1個のイソシアネート基を有する単官能イソシアネートとして、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、1,6−ジイソシアナトヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸4,4’−ジフェニルメタン、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸トルエン、2,4−ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のジイソシアン酸エステル化合物と水酸基、カルボキシル基、アミド基含有ビニルモノマーとを等モルで反応せしめた化合物もイソシアン酸エステル化合物として使用することができる。
また、1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、リジントリイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられ、前述したジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体が挙げられる。これらの中でもジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体およびイソシアヌレート環を有する3量体が好ましい。さらにジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体およびイソシアヌレート環を有する3量体を併用することで、マイグレーション耐性と屈曲性を向上することができる。
ブロック化イソシアネート化合物としては、イソシアネート基がε−カプロラクタムやMEKオキシム等のブロック剤で保護されたイソシアネート化合物である。具体的には、上記イソシアネート化合物のイソシアネート基を、ε−カプロラクタム、MEKオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、フェノール等のブロック剤で保護したものなどが挙げられ、これらの中でもMEKオキシムが好ましい。これらの中でもイソシアネート化合物はブロックイソシアネート化合物が好ましい。ブロックイソシアネート化合物を
用いることで、シートライフが向上するため好ましい。
ブロックイソシアネート化合物のブロック剤の解離温度は、120〜200℃が好ましく130〜180℃がより好ましい。ブロックイソシアネート化合物のブロック剤の解離温度を120℃以上とすることで、硬化性樹脂組成物を透明基材上へ塗工する際の乾燥温度で解離する事が無く、優れたパターニング性を有したドライレジストフィルムが得られる。また、ブロック剤の解離温度を200℃以下とすることで、カバーコート層を形成する際の熱キュア時にカバーコート層内の発泡を抑制することができる。
ブロックイソシアネート化合物はイソシアネート当量が200〜400g/eqと、500〜900g/eqとを併用することが好ましい。イソシアネート当量が異なるブロックイソシアネートを併用することで、屈曲性とマイグレーション耐性を向上できる。本発明でいうイソシアネート当量とは、JIS K 7301に従い測定した値である。
エポキシ化合物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物の性状としては、液状および固形状を問わない。
エポキシ化合物としては、例えば、グリジシルエーテル型エポキシ化合物、グリジシルアミン型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、環状脂肪族(脂環型)エポキシ化合物等が好ましい。
エポキシ化合物の分子量は100〜2000が好ましく、200〜1500がより好ましい。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、α−ナフトールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ化合物としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
上記グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。
上記環状脂肪族(脂環型)エポキシ化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキシルメチル−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられる。
これらの中でも、エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、およびテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンが好ましい。これらのエポキシ化合物を用いることにより、マイグレーション耐性と屈曲性がより向上する。
エポキシ化合物の配合量は熱硬化剤の全量(100質量%)中、20質量%以下が好ま
しく15質量%以下がより好ましい。エポキシ化合物を20質量%以下とすることで、ドライレジストフィルム中での硬化反応が抑制されシートライフが向上するため、パターニング性を良化できる。
熱硬化剤の配合量は、活性エネルギー線硬化性樹脂および熱硬化性樹脂合計100質量部に対して、30〜150質量部であることが好ましく、50〜110質量部であることがより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂および熱硬化性樹脂の合計100質量部に対して、30〜150質量部の熱硬化剤を配合することで、高いマイグレーション耐性と屈曲性を得ることができる
[活性エネルギー線重合開始剤]
活性エネルギー線重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系活性エネルギー線重合開始剤、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系活性エネルギー線重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系活性エネルギー線重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系活性エネルギー線重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系活性エネルギー線重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系活性エネルギー線重合開始剤、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドのアシルフォスフィンオキサイド系活性エネルギー線重合開始剤、ボレート系活性エネルギー線重合開始剤、カルバゾール系活性エネルギー線重合開始剤、またはイミダゾール系活性エネルギー線重合開始剤等が用いられる。これらの活性エネルギー線重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
中でもアシルフォスフィンオキサイド系活性エネルギー線重合開始剤、およびアセトフェノン系活性エネルギー線重合開始剤は、膜の底部硬化性が良好でありマイグレーション耐性が向上することから、好ましい。アシルフォスフィンオキサイド系活性エネルギー線重合開始剤としては、具体的にはイルガキュアTPO(BASF社製)、イルガキュア819(BASF社製)、アセトフェノン系活性エネルギー線重合開始剤としては、具体的にはイルガキュア907(BASF社製)、イルガキュア379(BASF社製)、イル
ガキュア379EG(BASF社製)などが挙げられる。
活性エネルギー線重合開始剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂の固形分の100質量部に対して、0.5〜15質量部で用いることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、さらに増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤は、活性エネルギー線重合開始剤100質量部に対して、0.1〜10質量部の量で用いることができる。
[着色剤]
ドライレジストフィルムは、カバーコート層の遮光性を高めるために、着色剤を含有する。着色剤は、黒色、赤色、緑色、青色、黄色、紫色、シアンおよびマゼンタ等の有彩色の顔料、および染料が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、複数含む混合系着色剤として使用しても良い。黒色着色剤は情報保護や視認性の観点から好ましく、混合系着色剤は、複数の顔料を減色混合することで黒色を得ることができる。
黒色顔料は、例えばカーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、ペリレンブラック、チタンブラック、鉄黒、アニリンブラック等が挙げられる。これらの中でも遮光性とマイグレーション耐性を向上する観点から、ペリレンブラック、チタンブラック、鉄黒および、混合系着色剤が好ましく、ペリレンブラックおよびチタンブラックがより好ましい。特に好ましくは、チタンブラックである。
着色剤は、比重が2〜7g/cm3であることが好ましく4〜6g/cm3以上がより好ましい。着色剤の比重が2〜7g/cm3であることで、硬化性樹脂組成物を透明基材に
塗工後、含有する着色剤が適度に沈降する。これにより、乾燥しドライレジストフィルムを形成し剥離性シートを貼りつけると、着色剤の濃度は、透明基材面が濃く、剥離性シート面は薄くなる。
ドライレジストフィルムは、剥離性シートを剥がした面を信号回路側に張り付け、カバーコート層を形成することから、信号回路側の着色剤成分を少なくすることができると、不純物成分が少なくマイグレーション耐性がより向上できる。
着色剤は、平均一次粒子径が20〜100nmであることが好ましく、30〜90nmがより好ましく、40〜90nmがさらに好ましい。上記平均一次粒子径の着色剤を用いることでドライレジストフィルムから形成されるカバーコート層は、遮光性と屈曲性がより向上する。尚、着色剤の粒子形状が、1.5以上の平均アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)を有する場合、平均一次粒子径は、長軸長さを平均して求める。
着色剤の粉体抵抗値は3Ω・cm以上が好ましく、5Ω・cm以上がより好ましい。着色剤の粉体抵抗値を上記範囲にすることでマイグレーション耐性がより向上する。粉体抵抗値は、(株)三菱化学アナリテック製、粉体抵抗測定システムMCP−PD51、及び抵抗率計MCP−T610を用いて、プレス圧力2MPaでプレスした際の抵抗値である。
着色剤の比表面積は10〜50m2/gが好ましく、15〜40m2/gがより好ましい。着色剤の比表面積を上記範囲にすることでパターニング性がより向上する。
比表面積は、日本ベル(株)製BELSORP−miniII等を用いて、BET法により求めることができる。
尚、着色剤の平均一次粒子径は透過型電子顕微鏡(TEM)により5万倍〜100万倍程度に拡大した画像から観察できる20個程度の一次粒子の平均値から求めることができる。
混合系着色剤は、以下の顔料を使用できる。尚、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料およびマゼンタ顔料は、例えばC.I.ピグメントレッド 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、176、177、178、184、185、187、200、202、208、210、242、246、254、255、264、270、272および279等が挙げられる。
緑顔料は、例えばC.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55および58等が挙げられる。
青顔料およびシアン顔料は、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78および79等が挙げられる。
黄顔料は、例えばC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、184、185、187、188、193、194、198、199、213および214等が挙げられる。
紫顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49および50等が挙げられる。
着色剤は、ドライレジストフィルム100質量%中に0.5〜40質量%含むことが好ましく、1〜30質量%がより好ましい。着色剤を0.5〜40質量%含むことで、高い遮光性と、マイグレーション試験耐性を両立し易くなる。
[無機フィラー]
硬化性樹脂組成物は、さらに無機フィラーを含むことが好ましい。無機フィラーを含むことで、耐熱圧着性がより向上する。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、タルク、モンモロリナイト、カオ
リン、ベントナイト等の無機化合物が挙げられる。
これらの中でも、無機フィラーとしては、シリカ表面のシラノール基とハロゲン化シランとを反応させることにより得られる疎水性シリカ微粒子は、耐熱圧着性だけでなく、膜の疎水性を上げ、マイグレーション耐性をより向上させる点から好ましい。
無機フィラーのBET比表面積は、50〜300m2/gが好ましい。上記範囲にある
ことでドライレジストフィルムに無機フィラーが均一に分散され、耐熱圧着性が向上する。
無機フィラーの平均粒子径(平均粒子径D50)は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜8μmであることがより好ましい。無機フィラーの平均粒子径が0.01〜10μmであることで、耐熱圧着性をより向上することができる。
無機フィラーの含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分100質量%中、0.5〜40質量%であることが好ましい。すなわち、ドライレジストフィルムの樹脂層100質量%中、0.5〜40質量%であることが好ましい。より好ましくは1〜30質量%である。0.5質量%以上であれば、マイグレーション耐性が向上する。また40質量%以下であれば、耐熱圧着性が向上する。
硬化性樹脂組成物は、必要に応じてモノマー、溶剤、シランカップリング剤、イオン捕集剤、酸化防止剤、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤,充填剤,難燃剤等を含むことができる。
硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線硬化性樹脂と、活性エネルギー線重合開始剤と、着色剤とに、必要に応じて溶剤を加え、混合攪拌して作製できる。攪拌は、例えばディスパーマット、ホモジナイザー等の公知の攪拌装置を使用できる。
<85℃における貯蔵弾性率>
ドライレジストフィルムは、着色剤を含有する硬化性樹脂組成物から形成されてなる樹脂層を有する。そして、上記樹脂層の硬化物の、85℃における貯蔵弾性率が1.0E+06〜1.0E+10Paであることが好ましい。これにより、高い遮光性と、微細な開口部を形成できる優れたパターニング性とを有し、かつ耐熱圧着性、マイグレーション耐性および屈曲性をも満足させることができるカバーコート層とすることができる。また、1.0E+07〜5.0E+9Paがより好ましく、4.0E+07〜1.0E+9Paがさらに好ましい。85℃における貯蔵弾性率を、1.0E+06〜1.0E+10Paとすることで、マイグレーション耐性と屈曲性を付与することができる。
尚、1.0E+06〜1.0E+10Paは、1.0×106〜1.0×1010Pa、
および0.001〜10GPaと同義である。
樹脂層の硬化物は、硬化性樹脂組成物を、透明基材の一方の面に塗工、乾燥することによって得られた樹脂層を硬化することで得られる。すなわち、85℃における貯蔵弾性率とは、樹脂層を硬化されてなる硬化物を用いて得られた値である。
また、樹脂層の硬化物の厚みが薄かったり、または樹脂層が柔軟であることにより、85℃における貯蔵弾性率の測定が困難な場合には、樹脂層を積層して硬化物を得たり、また積層体の片面だけでなく、両面から活性エネルギー線照射を行い、十分に硬化された樹脂層とすることにより、貯蔵弾性率を求めることができる。具体的には、例えば、基材付きドライレジストフィルムの剥離性シートを剥離した試料を2枚準備し、露出した樹脂層面同士を真空ラミネート(加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒)によって積層した後、透明基材側から両面に200〜1000mJ/cm2の積算光量となるように活性エネルギー線を照射した後、片方の透明基
材を剥がし、露出した樹脂層面を液温30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間現像して、80〜100℃の乾燥オーブンを用いて膜中の水分を乾燥除去した後、140〜180℃のボックスオーブンで加熱硬化させ、最後にもう片側の透明基材を剥離して、得られた樹脂層の硬化物について、貯蔵弾性率を測定することができる。貯蔵弾性率は、前述した樹脂の種類や分子量、熱硬化剤の種類や含有比率、または着色剤の種類や含有量等により適宜調整することが可能である。
<ドライレジストフィルムの製造方法>
ドライレジストフィルムは、硬化性樹脂組成物を透明基材の一方の面に塗工、乾燥することによって得られた樹脂層を有する。さらに、樹脂層の保護のため、剥離性シートを貼りあわせ、透明基材/樹脂層/剥離性シートの積層構成とすることが一般的であり、以下、透明基材を有している形態を、基材付きドライレジストフィルムと呼ぶ場合がある。ドライレジストフィルムは、さらにクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層等を有していても良い。
上記ドライレジストフィルムの樹脂層は、透明基材に、例えば、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ロールコート、カーテンコート、バーコート、グラビアコート、フレキソコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート等の方法で、溶剤に溶解・分散させた液状の硬化性樹脂組成物を塗工後、通常、40〜120℃の温度で溶剤を乾燥させることにより形成することができる。
透明基材は、波長320〜700nmの最小光線透過率が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。波長320〜700nmの平均光線透過率が50%以上の透明基材を用いることで、活性エネルギー線がドライレジストフィルムに到達し、効率よく硬化するため、パターニング性が向上する。
このような透過率を有する透明基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリオレフィンフィルムが好適に用いられる。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリオレフィンフィルムの一方または、両面に離型剤がコーティングされていても良い。
剥離性シートは、ポリエチレンテレフタレートフィルムやOPPフィルムの一方または、両面に離型剤がコーティングされたフィルムであり、ドライレジストフィルムを保護するために張り合わせる部材である。剥離性シートの光線透過率は特に制限なく使用できる。
ドライレジストフィルムの樹脂層の厚さは、5〜100μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましい。ドライレジストフィルムは、透明基材上に樹脂層を形成し、他の面に剥離性シートをさらに貼り合わせ両面で挟みこんだドライレジストフィルムとすることで、その取り扱いが容易になる。
《プリント配線板》
続いて、ドライレジストフィルムを用いて形成されてなるカバーコート層を具備するプリント配線板について説明する。プリント配線板は電磁波シールドシートと、カバーコート層と、信号配線および絶縁性基材を有する基板とを具備する。ドライレジストフィルムを用いて形成されてなるカバーコート層を有することにより、耐イオンマイグレーション性、屈曲性、遮光性に優れた電磁波シールドシート付きプリント配線板とすることができる。
<電磁波シールドシート>
電磁波シールドシートは、導電層および絶縁層を備え、少なくともいずれか一方はりん
(P)を含有する。電磁波シールドシートにりん(P)を含有させることで、難燃性を向上させることができる。りん(P)としては、リン酸エステルや赤燐、リン酸アンモニウムやホスファゼン化合物、ホスフィン酸塩、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体などのりん系難燃剤が挙げられる。りん(P)を含有する層の全固形分に対して、りん(P)元素が1〜10%であることが好ましく、2〜7%であることがより好ましい。
[導電層]
電磁波シールドシートの導電層は、電磁波等のノイズをシールドし、主にFPCのカバーコート層に貼り付ける層である。導電層は、導電性接着剤から形成した導電層の第一の態様、および金属層と導電性接着剤から形成した導電層とを有する第二の態様の2つの態様からなる。上記導電性接着剤層は、金、白金、銀、銅およびニッケル等の導電性金属およびその合金からなる導電性微粒子と、上記ドライレジストフィルムを形成する活性エネルギー線樹脂祖組成物で説明した、熱硬化性樹脂、および熱硬化剤を混合した導電性樹脂組成物を塗膜化したものである。金属層は、例えば厚みが0.005〜10μmのアルミニウム、銅、銀、金等の導電性の金属蒸着膜および金属箔等が使用される。
[絶縁層]
絶縁層は、絶縁性樹脂組成物を使用して形成できる。絶縁層は、導電性接着剤と同様に熱硬化性樹脂および熱硬化剤を配合した絶縁性樹脂組成物を塗膜化して形成することができる。また、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド等の絶縁性樹脂を成形したフィルムを使用することもできる。
電磁波シールドシートは、導電層に含まれる熱硬化性樹脂と熱硬化剤が未硬化状態で存在し、カバーコート層とともに、熱プレスにより硬化することで、所望の接着強度を得ることが出来る。尚、上記未硬化状態は、熱硬化剤の一部が硬化した半硬化状態を含む。
<基板>
基板は信号配線および絶縁性基材を有する。信号配線としては、アースを取るグランド配線や電子部品に電気信号を送る配線回路等が挙げられ、銅箔をエッチング処理することで形成することが一般的である。絶縁性基材は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー等の屈曲可能なプラスチックが好ましく、ポリイミドがより好ましい。
<電磁波シールド付きプリントプリント配線板の製造方法>
本発明の電磁波シールドシート付きプリント配線板の製造方法について説明する。本発明の電磁波シールドシート付きプリント配線板は、絶縁性基材に信号配線を形成する工程(工程A)、信号配線上にドライレジストフィルムを積層する工程(工程B)、ドライレジストフィルムの樹脂層を露光し、現像後に熱硬化させて開口部を有するカバーコート層を形成する工程(工程C)、上記カバーコート層上に電磁波シールドシートを積層し熱プレスする工程(工程D)により製造することができる。以下各工程について具体的に説明する。
(工程A;信号配線形成工程)
まず絶縁性基板上の銅箔をエッチングすることでアースを取るグランド配線、電子部品に電気信号を送る配線回路を含む信号配線を形成する。
(工程B;ドライレジストフィルム積層工程)
次いで、両面を透明基材および剥離性シートで挟み込まれたドライレジストフィルムの剥離性シートを剥がし、露出した樹脂層面を絶縁性基板上の信号配線を覆うようにラミネ
ーターによって張り合わせる。
(工程C−1;カバーコート層形成工程)
ドライレジストフィルムに活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれる場合、透明基材の上面から所望のパターンに形成されたフォトマスクを介して活性エネルギー線を照射し、ドライレジストフィルムの樹脂層を活性エネルギー線硬化させる。
ドライレジストフィルムの樹脂層を硬化するための活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、350〜500nmの波長の光線を使用することができる。照射する電子線の線源には熱電子放射銃、電界放射銃等が使用できる。又、紫外線および350〜500nmの線源(光源)には、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ガリウムランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ等を使用することができる。具体的には、点光源であること、輝度の安定性から、超高圧水銀ランプ、キセノン水銀ランプ、メタルハライドランプ、が用いられることが多い。照射する活性エネルギー線量は、5〜2000mJ/cm2の範囲で適時設定できるが、工程上管理しやすい50〜
1000mJ/cm2の範囲であることが好ましい。又、これら活性エネルギー線と、赤
外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
その後、透明基材を剥がし、アルカリ水溶液によって現像することで未照射部が洗い流され、グランド配線上や必要な箇所に開口部を形成する。
通常のカバーレイフィルムへの穴開けはドリルを使用するため直径2〜5mmの開口部を形成することが一般的であるが、本発明におけるドライレジストフィルムを用いることにより、開口部の直径を0.05〜1mmでテーパー形状の現像残渣がない開口部を有するカバーコート層を形成可能である。0.05〜1mm開口径にすることで、例えばグランド配線面積を大幅に縮小できるため、FPCの短小化が可能となる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。又、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
現像液を水洗した後、80℃〜110℃で2分〜10分加熱して、不要な水分を除去した後、150℃〜180℃で30分〜2時間加熱し、熱硬化させることでカバーコート層を形成する。熱硬化の後にも必要に応じて活性エネルギー線を照射することができる。
(工程C−2;カバーコート層形成工程)
ドライレジストフィルムに活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれない場合、150℃〜180℃で1分〜2時間加熱し、熱硬化させた後、透明基材を剥がし、カバーコート層を形成する。その際、必要に応じて、圧力1〜3MPa程度のプレスを併用することができる。尚、グランド配線上や必要な箇所に開口部を形成する方法として、型抜き加工やルーター加工、レーザーカッターなどが挙げられるが、開口サイズの小型化の観点から、ルーター加工、レーザーカッターが好ましい。0.05〜1mm開口径にすることで、例えばグランド配線面積を大幅に縮小できるため、FPCの短小化が可能となる。尚、開口部の形成工程は、ドライレジストフィルムを基板に被着する前後、熱硬化したカバーコート層を形成するとき、のいずれでも良く、開口部を形成した際の形状を維持しやすい点から、熱硬化後の方がより好ましい。
(工程D;熱プレス工程)
次いで、カバーコート層の一部または全面に、所定のサイズに打ち抜き加工した電磁波シールドシートを積層し仮貼りする。その後、熱プレスすることで、電磁波シールドシートの導電層が熱硬化し接着される。この時、導電性接着剤層がグランド配線上に形成されたカバーコート層の開口部に流れ込み硬化するためグランドと導通することでシールド性がさらに向上する。
電磁波シールドシートと、配線板との熱プレスは、温度150〜190℃程度、圧力1〜3MPa程度、時間1〜60分程度の条件で行うことが一般的である。熱プレスにより熱硬化性樹脂と熱硬化剤が反応する。尚、硬化を促進させるため、熱プレス後に150〜190℃で30〜90分ポストキュアを行う場合もある。尚、電磁波シールドシートは、熱プレス後に電磁波シールド層ということがある。
得られた電磁波シールドシート付きプリント配線板における、電磁波シールドシートのりん(P)を含有する層と、信号配線との間の最短距離について、電磁波シールドシート付きプリント配線板を切断し断面を露出させ、その断面を垂直方向からSEMで観察することで測定することができる。
電磁波シールドシート付きプリント配線板を切断し、断面を露出させる方法は、割断法、機械研磨法、ミクロトーム法、FIB(集束イオンビーム)法等公知の方法がある。しかし、電磁波シールドシート付きプリント配線板のように硬さが異なる異種材料を含む場合、断面作製の際に、異種界面の剥離や空隙の変形などの構造変形、いわゆるアーティファクトが生じてしまい、真の断面構造が得られないことがある。一方、CP(クロスセクションポリッシャ)法はブロードなAr(アルゴン)イオンビームを用いた断面作製方法であり、金属、半導体、セラミックス、及びそれらの複合材料でも、平滑で歪みのない試料断面を作成することができる。すなわち本発明では、金属層を切断する方法は、CP法が好ましい。
電磁波シールドシートのりん(P)を含有する層と、信号配線との間の最短距離は、マイグレーション耐性の観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましい。また、屈曲性の観点から、80μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
電磁波シールドシートのりん(P)を含有する層と、信号配線との間の最短距離は、カバーコート層の厚みや、電磁波シールドシートのいずれの層にりん(P)を含有するか等により適宜調整することが可能である。
プリント配線板は、液晶ディスプレイ、タッチパネル等のほか、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の電子機器に備えることが好ましい。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。実施例で使用した活性エネルギー線硬化性樹脂等の合成方法を以下に示す。
[活性エネルギー線硬化性樹脂1]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、エポキシ当量650、軟化点81.1℃、溶融粘度(150℃)12.5ポイズのビスフェノールA型エポキシ樹脂371部、エピクロルヒドリン925部、ジメチルスルホキシド463部を投入し、均一に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%水酸化ナトリウム水溶液52.8部を100分かけて添加した。添加後、更に70℃で3時間反応を行った。次いで
、過剰の未反応エピクロルヒドリン及びジメチルスルホキシドの大半を減圧下に留去し、副生塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%水酸化ナトリウム水溶液10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量287、加水分解性塩素含有量0.07%、軟化点64.2℃、溶融粘度(150℃)7.1ポイズのエポキシ樹脂を340部得た。
別の撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、このエポキシ樹脂を287部投入し、更にアクリル酸72部、メチルハイドロキノン0.3部、シクロヘキサノン194部を仕込み、90℃に加熱、攪拌し、反応混合物を溶解した。次いで、酸素存在下、100℃で約48時間反応し、酸価1mgKOH/gの反応物を得た。次に、これに無水コハク酸78部、シクロヘキサノン42部を仕込み、95℃で約6時間反応した。この溶液にシクロヘキサノンを加えて固形分が50.0%になるように調整し、活性エネルギー線硬化性樹脂1溶液を得た。活性エネルギー線硬化性樹脂1は、主骨格がビスフェノールA型エポキシ樹脂であるカルボキシル基含有感光性樹脂であり、エチレン性不飽和基当量は450g/eq、ポリスチレン換算の質量平均分子量は7400、分子量分布2.23、実測による樹脂固形分の酸価は100mgKOH/gであった。
[活性エネルギー線硬化性樹脂2]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、ビスフェノールA64.8部、YD8125(新日鐵化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物)57.1部、EX861(ナガセケムテックス株式会社製:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)128.1部、触媒としてN,N−ジメチルベンジルアミン1.25部、溶剤としてトルエン250部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら110℃に昇温し12時間反応させ、ヒドロキシル基含有樹脂を得た。次に、酸無水物としてリカシッドSA(新日本理化株式会社製:無水コハク酸)54.6部を投入し、110℃のまま4時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却した。次に、このフラスコに、窒素導入管からの窒素を停止し乾燥空気の導入に切り替え、攪拌しながらGMA(日油株式会社製:グリシジルメタクリレート)26.0部、重合禁止剤としてヒドロキノン0.165部を投入し、80℃で8時間反応させた。反応終了後、この溶液にメチルエチルケトンを加えて固形分が50.0%になるように調整し、活性エネルギー線硬化性樹脂2溶液を得た。活性エネルギー線硬化性樹脂2は、ヒドロキシル基含有感光性樹脂(A−1)であり、エチレン性不飽和基当量は1803g/eq、ポリスチレン換算の質量平均分子量が23500、実測による樹脂固形分の酸価は63mgKOH/gであった。
[活性エネルギー線硬化性樹脂3]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、ビスフェノールA60.8部、YD8125(新日鐵化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ化合物)43.4部、EX861(ナガセケムテックス株式会社製:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)145.8部、触媒としてN,N−ジメチルベンジルアミン1.25部、溶剤としてトルエン250部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら110℃に昇温し12時間反応させ、ヒドロキシル基含有樹脂を得た。次に、酸無水物としてリカシッドSA(新日本理化株式会社製:無水コハク酸)49.8部を投入し、110℃のまま4時間反応させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却した。次に、このフラスコに、窒素導入管からの窒素を停止し乾燥空気の導入に切り替え、攪拌しながらGMA(日油株式会社製:グリシジルメタクリレート)41.1部、重合禁止剤としてヒドロキノン0.17部を投入し、80℃で8時間反応させた。反応終了後、乾燥空気を導入した状態のフラスコに、酸無水物としてリカシッドSA(新日本理化株式会社製:無水コハク酸)26.0部を投入し、80℃のまま4時間反応
させた。FT−IR測定にて酸無水物基の吸収が消失しているのを確認後、室温まで冷却した。この溶液にメチルエチルケトンを加えて固形分が50.0%になるように調整し、活性エネルギー線硬化性樹脂3溶液を得た。活性エネルギー線硬化性樹脂3は、カルボキシル基含有感光性樹脂(A−2)であり、エチレン性不飽和基当量は1269g/eq、ポリスチレン換算の質量平均分子量が20200、実測による樹脂固形分の酸価は73mgKOH/gであった。
[熱硬化性樹脂]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、ポリカーボネートジオール(UM90(3/1):宇部興産株式会社製、1,4−シクロヘキサンジメタノール/1,6−ヘキサンジオール=3/1共重合ポリカーボネートジオール)274.8部、イソホロンジイソシアネート39.2部、溶剤としてトルエン300部を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いてこのフラスコにジブチル錫ジラウレート0.1部を投入し、110℃に昇温し、3時間反応させた。その後、40℃に冷却後、テトラヒドロ無水フタル酸(リカシッドTH:新日本理化株式会社製)37.6部を添加して110℃に昇温し4時間反応させた。続いて40℃に冷却後、ビフェニル型エポキシ樹脂(YX4000H:三菱ケミカル社製:エポキシ当量=192g/eq)42.7部を添加して110℃に昇温し、12時間反応させた。40℃まで冷却後、テトラヒドロ無水フタル酸32.5部を添加し、110℃で3時間反応させた。40℃まで冷却後、トルエンで固形分が60%になるよう調整し、カルボキシル基含有変性ウレタンエステル樹脂(A)溶液を得た。得られたカルボキシル基含有変性ウレタンエステル樹脂(A)の質量平均分子量は37270、樹脂固形分の酸価は30.2mgKOH/gであった。
[表面処理難燃剤]
オルトケイ酸テトラエチル(以下、TEOSともいう)のエタノール溶液(濃度:0.4%)800mlに、後述する方法で求めたD95粒子径が5μmのホスフィン酸アルミニウムを10g加え、濃NH3水でpHを12に調整した後、3時間撹拌し、ろ過、エタ
ノールで洗浄することで、ホスフィン酸アルミニウムの表面にシリカが付着している表面処理難燃剤を得た。シリカの量を、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により求めたところ、ホスフィン酸アルミニウム100部に対し、0.01部であった。
<D95粒子径の測定方法>
D95は難燃剤の粒度分布において体積積算値95%が含まれる時の粒径を示す。難燃剤の粒子径は、マイクロトラックMT3000EX(日機装株式会社製)を用いて測定した。1%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液に対して、撹拌しながら、難燃剤を分散させ測定試料を作製した。測定は、水の屈折率、および難燃剤の屈折率を入力し、計測時間20秒、Signal Levelが緑色範囲内になるように試料濃度を調整して行った。
活性エネルギー線硬化性樹脂1〜3の物性を表1に示す。また、着色剤1および2の物性値を表2に示す。
活性エネルギー線重合開始剤:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン)「イルガキュアー907」BASF社製
増感剤:2,4−ジエチルチオキサントン「DETX−S」日本化薬社製
熱硬化剤1:HDIヌレート型MEKオキシムブロックイソシアネート化合物「デュラネートMF−B60X」(イソシアネート当量=525g/eq)旭化成ケミカルズ社製
熱硬化剤2:HDIアダクト型MEKオキシムブロックイソシアネート化合物「マイテックBLE−29」(イソシアネート当量=646g/eq)三菱化学社製
熱硬化剤3:ビスフェノールA型エポキシ化合物、「JER828」(エポキシ当量=189g/eq)三菱化学社製
無機フィラー:疎水性シリカ「「AEROSIL R812(一次平均粒子径7nm)」日本アエロジル(株)社製
<電磁波シールドシートの作製>
上記で製造した熱硬化性樹脂を100部、導電性微粒子(核体に銅、被覆層に銀を使用した樹枝状粒子D50平均粒子径=11.0μm、福田金属箔粉工業社製)を550部、熱硬化剤として「デナコールEX212」(2官能エポキシ化合物 エポキシ当量=151g/eq、ナガセケムテックス社製)を15部、および「ケミタイトPZ−33」(アジリジン化合物、日本触媒社製)を2.0部、さらにTEOS表面処理ホスフィン酸アルミニウム(D95平均粒子径=5μm)を23部容器に仕込み、不揮発分濃度が40質量%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(質量比2:1)の混合溶剤を加えディスパーで10分攪拌することで導電性樹脂組成物を得た。次いで、導電性樹脂組成物を剥離性シート上に、乾燥厚みが10μmになるようにバーコーターを使用して塗工し、さらに100℃の電気オーブンで2分間乾燥し、導電性微粒子以外の不揮発分中の含有率において、りん(P)濃度が4%の導電層を得た。
別途、上記で製造した熱硬化性樹脂100部、熱硬化剤として「デナコールEX212」(2官能エポキシ化合物 エポキシ当量=151g/eq、ナガセケムテックス社製)を15部、および「ケミタイトPZ−33」(アジリジン化合物、日本触媒社製)を2.0部、さらにTEOS表面処理ホスフィン酸アルミニウム(D95平均粒子径=5μm)を23部容器に仕込み、不揮発分濃度が40質量%になるようトルエン:イソプロピルアルコール(質量比2:1)の混合溶剤を加えディスパーで10分攪拌することで絶縁性樹脂組成物を得た。この絶縁性樹脂組成物を剥離性シートにバーコーターを用いて乾燥厚みが15μmになるように塗工し、さらに100℃の電気オーブンで3分間乾燥し、りん(P)濃度が4%の絶縁層を得た。さらに導電層と絶縁層をラミネーターで張り合わせることで電磁波シールドシートを得た。尚、実施例に応じて、導電層と絶縁層との間に金属薄膜を積層する場合には、導電層側に0.1μmの厚みになるよう銀蒸着した金属薄膜と、絶縁層とをラミネーターで張り合わせることで電磁波シールドシートを得ることができる。また、導電層および絶縁層の厚みを変更する場合には、それぞれ導電性樹脂組成物および絶縁性樹脂組成物の塗工する膜厚を変更した。また、導電層および絶縁層に含まれるりん(P)の濃度を変更する場合には、表3中のりん(P)濃度となるように、それぞれ導電性樹脂組成物および絶縁性樹脂組成物中のTEOS表面処理ホスフィン酸アルミニウムの配合量を加減して電磁波シールドシートを作製した。
[実施例1]
活性エネルギー線硬化性樹脂1を100部、疎水性シリカを1.5部、黒色系着色剤を3部容器に仕込み、固形分が50%になるようメチルエチルケトン:メチルポリグリコール=1:1(質量比)混合溶剤を加え、均一になるよう混合した。これを横型サンドミルDYNO−MILL(株式会社シンマルエンタープライズ製)を使用して、グラインドゲージによる粒子径が10μm未満になるまで分散した。次いで、分散塗液の活性エネルギー線硬化性樹脂1を100部に対し、活性エネルギー線重合開始剤を4部、増感剤を0.5部、熱硬化剤1を2部、熱硬化剤2を40部添加し均一に混合することで活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、ドクターブレードを使用して乾燥後の厚みが38μmとなるように透明基材(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(エンブレットS25、厚さ25μm、320〜700nmの最小光線透過率が60%以上、ユニチカ社製))上に均一塗工して100℃で5分乾燥させた後、室温まで冷却し樹
脂層を形成した。さらに得られた樹脂層を剥離性シート(離型剤がコーティングされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(PET75−AL5、厚さ75μm、320〜700nmの最小光線透過率が60%以上、リンテック社製)に貼り合わせることで透明基材および剥離性シートに挟み込まれた樹脂層を有するドライレジストフィルムを得た。
得られたドライレジストフィルムの剥離性シートを剥がし、露出した樹脂層面を、信号配線を形成した絶縁性基材の信号配線側に、真空ラミネーター(ニチゴーモートン製 小型加圧式真空ラミネーターV−130)で貼りあわせた。尚、真空ラミネート条件は加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒であった。ついで、得られたラミネート物の透明基材側から活性エネルギー線を照射した。活性エネルギー線の照射条件は下記の条件とした。マイラーフィルム(125μmPETフィルム)を使用したコンタクト露光方式、ショートアークUVランプ使用、積算露光量500mJ/cm2
次いで、片方の透明基材を剥がし、露出した樹脂層面を液温30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液で60秒現像し、水洗後、100℃、2分のボックスオーブンで乾燥した。160℃のボックスオーブンで1時間熱硬化させカバーコート層4付き配線板を得た。
さらに得られた電磁波シールドシートの導電層側と、カバーコート層4を貼り合わせ、150℃、2.0MPa、30分の条件で熱プレスすることで熱硬化性樹脂を硬化させ、電磁波シールドシート付きプリント配線板を得た。
[実施例2〜18、実施例20、比較例1〜3]
表3に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様に行うことで実施例2〜18、実施例20、比較例1〜3の電磁波シールドシート付きプリント配線板をそれぞれ得た。ただし、実施例2〜5、15〜18、20、比較例2〜3では、樹脂層の厚みが表3に記載された数値となるように、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗工する膜厚を変更した。
表中、特に断りがない限り、数値は部を表し、空欄は配合していないことを表す。
[実施例19]
熱硬化性樹脂を100部、疎水性シリカを1.5部、黒色系着色剤を3部容器に仕込み、固形分が50%になるようメチルエチルケトン:メチルポリグリコール=1:1(質量比)混合溶剤を加え、均一になるよう混合した。これを横型サンドミルDYNO−MILL(株式会社シンマルエンタープライズ製)を使用して、グラインドゲージによる粒子径が10μm未満になるまで分散した。次いで、熱硬化性樹脂を100部に対し、熱硬化剤1を2部、熱硬化剤2を40部添加し均一に混合することで熱硬化性樹脂組成物を得た。
得られた熱硬化性樹脂組成物を、ドクターブレードを使用して乾燥後の厚みが70μmとなるように厚さ25μmの両面に剥離処理した透明基材(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)上に均一塗工して100℃で5分乾燥させた後、室温まで冷却し樹脂層を形成した。さらに得られた樹脂層を厚さ75μmの剥離性シート(軽離型剤がコーティングされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)に貼り合わせることで透明基材および剥離性シートに挟み込まれた樹脂層を有するドライレジストフィルムを得た。
得られたドライレジストフィルムの剥離性シートを剥がし、露出した樹脂層面を、信号配線を形成した絶縁性基材の信号配線側に、真空ラミネーター(ニチゴーモートン製 小型加圧式真空ラミネーターV−130)で貼りあわせた。尚、真空ラミネート条件は加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒
であった。次いで、透明基材を剥がし、160℃のボックスオーブンで1時間熱硬化させカバーコート層4付き配線板を得た。
さらに得られた電磁波シールドシートの導電層側と、カバーコート層4を貼り合わせ、150℃、2.0MPa、30分の条件で熱プレスすることで熱硬化性樹脂を硬化させ、電磁波シールドシート付きプリント配線板を得た。
[実施例21]
活性エネルギー線硬化性樹脂1を100部、疎水性シリカを1.5部、黒色系着色剤を3部容器に仕込み、予備混合してから三本ロールミルで十分に混練した。次いで、分散塗液の活性エネルギー線硬化性樹脂1を100部に対し、活性エネルギー線重合開始剤を4部、増感剤を0.5部、熱硬化剤1を2部、熱硬化剤2を40部添加し、さらに溶剤として固形分が70%となるようセロソルブアセテートを加え、小型プラネタリーミキサーで混合して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、乾燥後膜厚が38μmになるようメッシュサイズを選定したポリエステル製スクリーン版を使用し、スクリーン印刷法で上記ドライフィルムを貼り合わせた同じ箇所に均一塗工した後、熱風炉で80℃、30分乾燥し樹脂層を形成した。以降、ドライレジストフィルムと同様の条件で調整しカバーコート層4付き配線板、電磁波シールドシート付きプリント配線板を得た。
得られた電磁波シールドシート付きプリント配線板について以下の物性を評価した。
<貯蔵弾性率、ガラス転移温度(Tg)>
ドライレジストフィルムの樹脂層の硬化物の貯蔵弾性率およびTgは、次の方法で求めた。基材付きドライレジストフィルムから剥離性シートを剥がした試料を2枚準備し、露出した樹脂層面同士を真空ラミネーター(ニチゴーモートン製 小型加圧式真空ラミネーターV−130)で貼りあわせた。尚、真空ラミネート条件は加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒であった。ついで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用して作製したドライレジストフィルムの場合には、得られた試料の両面に活性エネルギー線を照射した。活性エネルギー線の照射条件は下記の条件とした。マイラーフィルム(125μmPETフィルム)を使用したコンタクト露光方式、ショートアークUVランプ使用、積算露光量500mJ/cm2。次いで、片
方の透明基材を剥がし、露出した樹脂層面を液温30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液で60秒現像し、水洗後、100℃、2分のボックスオーブンで乾燥した。160℃のボックスオーブンで1時間熱硬化させ、幅5mm×長さ30mmの大きさに切断し、他方の透明基材を剥離して、ドライレジストフィルムの樹脂層の硬化物についての測定試料を得た。熱硬化性樹脂組成物を使用して作製したドライレジストフィルムの場合には、160℃のボックスオーブンで1時間熱硬化させ、幅5mm×長さ30mmの大きさに切断し、他方の透明基材を剥離して、ドライレジストフィルムの樹脂層の硬化物についての測定試料とした。
次いで、動的弾性率測定装置DVA−200(アイティー計測制御社製)を用いて、測定試料に対して変形様式「引張り」、周波数10Hz、昇温速度10℃/分、測定温度範囲30〜300℃の条件で測定を行い、85℃における貯蔵弾性率とTgを求めた。
<マイグレーション試験>
図1を参照してマイグレーション試験を説明する。厚さ12μmの銅箔と厚さ25μmポリイミドフィルムの積層体をエッチング処理することで図1(1)の平面図に示した通り、ポリイミドフィルム1上にライン/スペース=0.05mm/0.05mmの、カソード電極接続点2’を備えたカソード電極用櫛型信号配線2と、アノード電極接続点3’を備えたアノード電極用櫛型信号配線3とをそれぞれ形成した。
次いで基材付きドライレジストフィルムから、剥離性シートを剥がし、図1(2)の平面図に示した通り、カソード電極用櫛型信号配線2およびアノード電極用櫛型信号配線3を覆い、カソード電極接続点2’付近およびアノード電極接続点3’付近が露出する程度の大きさに樹脂層面を重ね、真空ラミネートすることでドライレジストフィルムを積層体に貼り合わせた。尚、真空ラミネート条件は加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒であった。さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用して作製したドライレジストフィルムの場合には、基材付きドライレジストフィルムの透明基材側からマイラーフィルム(125μmPETフィルム)を使用したコンタクト露光方式、ショートアークUVランプ使用、積算露光量500mJ/cm2となるように露光した。次いで、PETマイラーシートおよび透明基材を剥がし、現
像機で60秒間現像(現像液:濃度1%の炭酸ナトリウム水溶液、液温30℃、スプレー圧0.2 MPa)した。現像後、水洗し、100℃のボックスオーブンで2分間乾燥した後、160℃の熱風乾燥器でドライレジストフィルムの樹脂層を1時間熱硬化(ポストキュア)することでカバーコート層4付き配線板を得た。熱硬化性樹脂組成物を使用して作製したドライレジストフィルムの場合には、160℃の熱風乾燥器でドライレジストフィルムの樹脂層を1時間熱硬化(ポストキュア)した後、透明基材を剥がしたものをカバーコート層4付き配線板として使用した。
さらに得られた電磁波シールドシートの導電層側から剥離性シートを剥がし、露出した導電層面をカバーコート層4の上に貼り合わせることで図1(3)に示す平面図の通りに積層した試料を得た。得られた試料は、図1(4)に示す試料のA−A’断面図に記載した通り導電層5bはカソード電極用櫛型信号配線2と電気的に接続している。
得られた試料を150℃、2.0MPa、30分の条件で熱プレスすることで熱硬化性樹脂を硬化させた。次いで、試料を85℃−85%RH(相対湿度)の雰囲気下で、アノード電極接続点3’にアノード電極を接続し、カソード電極接続点2’にカソード電極を接続した上で、電圧50Vを印加し500時間継続した。そして500時間を経過するまでの抵抗値の変化を継続して測定した。尚、下記「リークタッチ」とは、短絡による絶縁破壊があり、瞬間的に抵抗が低下し電流が流れることをいう。リークタッチがない場合は絶縁性が低下しない。評価基準は以下の通りである。
◎:500時間経過後の抵抗値が1×107Ω以上、かつリークタッチ無し。極めて良好
○:500時間経過後の抵抗値が1×107Ω以上、かつリークタッチ1回有り。良好
△:500時間経過後の抵抗値が1×107Ω以上、かつリークタッチ2回有り。実用上
問題ない。
×:500時間経過後の抵抗値が1×107Ω未満、または、
500時間経過後の抵抗値が1×107Ω以上、かつリークタッチ3回以上有り。実用不
可。
<耐熱圧着性>
基材付きドライレジストフィルムの剥離性シートを剥がし、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトン200EN」)と真空ラミネートした。その後、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用して作製したドライレジストフィルムの場合には、マイグレーション試験と同様の手順で、露光、現像、ポストキュアを行い、カバーコート層付きポリイミドフィルム(試料a)を作製した。熱硬化性樹脂組成物を使用して作製したドライレジストフィルムの場合には、露光、現像を行わず、ポストキュア後に透明基材を剥がし、カバーコート層付きポリイミドフィルム(試料a)を作製した。次いで、試料aのカバーコート層面に、マイグレーション試験と同様の手順で電磁波シールドシートを貼りあわせ熱プレスすることで電磁波シールドフィルム/カバーコート層/ポリイミドフィルムからなる積層体(試料b)を作製した。
試料aおよび試料bをそれぞれクロスセクションポリッシャー(日本電子社製、SM−
09010)を用いてポリイミドフィルム側からイオンビーム照射により切断加工して、カバーコート層の断面を形成した。レーザーマイクロスコープVK−X100(キーエンス社製)、観察アプリケーションとしてVK−H1XV(キーエンス社製)を用いて試料aおよび試料bのカバーコート層の厚みを測定し、下記式より厚みの変化率を求めた。
厚み変化率
=100−(試料bのカバーコート層膜厚/試料aのカバーコート層膜厚×100)

厚み変化率により、耐熱圧着性について、以下の評価基準で評価した。

◎:2%未満。 極めて良好。
○:2%以上、4%未満。 良好。
△:4%以上、5%未満。 実用上問題ない。
×:5%以上。 実用不可。
<屈曲性>
基材付きドライレジストフィルムの剥離性シートを剥がし、ライン/スペース=0.05mm/0.05mmの回路基板上へ真空ラミネートした。その後、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を使用して作製したドライレジストフィルムの場合には、マイグレーション試験と同様の手順で、露光、現像、ポストキュアを行いカバーコート層付き回路基板を作製した。熱硬化性樹脂組成物を使用して作製したドライレジストフィルムの場合には、露光、現像を行わず、ポストキュア後に透明基材を剥がし、カバーコート層付き回路基板を作製した。
このカバーコート層付き回路基板を、カバーコート層が外側になるように180度折り曲げて、折り曲げ部位に500gの錘を5秒間載せた後、折り曲げた箇所を元の平面状態に戻して、再び500gの錘を5秒間載せ、これを折り曲げ回数を1回とした。カバーコート層にクラックが発生したかどうかを(株)キーエンス製マイクロスコープ「VHX−900」で観察し、クラックが発生しないで折り曲げられた回数を評価した。
500g荷重を掛けた折り曲げ部にクラックが発生までの折り曲げ回数をカウントした。評価基準は以下の通りである。
◎:5回以上。 極めて良好。
○:3回以上、5回未満。 良好
△:2回以上、3回未満。 実用上問題ない。
×:2回未満。 実用不可。
<遮光性>
基材付きドライレジストフィルムの剥離性シートを剥離して光学濃度をマクベス濃度計(GRETAGD200−II)により測定し、各実施例での膜厚における光学濃度(OD)を求めた。評価基準は以下の通りである。

◎:1.5以上。良好。
〇:1以上、1.5未満。実用上問題ない。
×:1未満。実用不可。
<難燃性>
電磁波シールドシートをカバーコート層全面に被着したこと以外はマイグレーション試験と同様の手順で、電磁波シールドシート付きプリント配線板を形成した。長さ200mm、幅50mmに切り出し、電磁波シールドシート面が外側となるように幅方向に巻いて筒状にし、筒の一方の端部から長さ方向に125mmの位置に印を付けたものを試験サン
プルとした。この試験サンプルを用いて、アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94薄型垂直燃焼試験規格に準拠した垂直燃焼性試験をn=10で実施し、難燃性を評価した。結果については次の基準を満たした回数で評価した。
下記(A)〜(E)の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が50秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が10秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは30秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。

◎・・・10回中10回すべて、条件を満たす。 極めて良好。
○・・・10回中9回、条件を満たす。 実用上問題ない。
×・・・10回中条件を満たすのが8回以下。 実用不可。
表3の結果から、イオンマイグレーション耐性が向上されることで、電磁波シールドシートを貼り合わせた回路において接続信頼性が良化することが確認できた。
1 ポリイミドフィルム
2 カソード電極用櫛形信号配線
2’ カソード電極接続点
3 アノード電極用櫛形信号配線
3’ アノード電極接続点
4 カバーコート層
5 電磁波シールドシート
5a 絶縁層
5b 導電層

Claims (4)

  1. 電磁波シールドシートと、カバーコート層と、信号配線および絶縁性基材を有する基
    板とを具備する電磁波シールドシート付きプリント配線板であって、
    前記電磁波シールドシートが、りん(P)を含有する層を有し、
    カバーコート層が、着色剤を含有する樹脂層の硬化物を有し、
    前記りん(P)を含有する層と信号配線との間の最短距離が、5μm以上100μm以下の範囲内であることを特徴とする、電磁波シールドシート付きプリント配線板。
  2. 前記樹脂層の硬化物は、85℃における貯蔵弾性率が、1.0E+06〜1.0E+10Paであることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールドシート付きプリント配線板。
  3. 前記電磁波シールドシートは、少なくとも絶縁層と導電層とを有し、前記導電層がりん(P)を含有していることを特徴とする請求項1または2記載の電磁波シールドシート付きプリント配線板。
  4. 前記電磁波シールドシートは、少なくとも絶縁層と導電層とを有し、前記導電層がりん(P)を含有せず、前記絶縁層がりん(P)を含有していることを特徴とする請求項1または2記載の電磁波シールドシート付きプリント配線板。
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