JP2020020992A - 偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送時の張力の上昇を抑制することができる偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置を提供する。【解決手段】偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程と、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加し、シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射して第1架橋処理液を得る工程と、第1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置に関する。
偏光フィルムとして、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素のような二色性色素を吸着配向させたものが従来用いられている。一般に偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する染色処理、架橋剤で処理する架橋処理、及びフィルム乾燥処理を順次施すとともに、製造工程の間にポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して延伸処理を施すことによって製造される(例えば、特許文献1、2等)。
偏光フィルムを製造する際の染色処理工程や架橋処理工程では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを処理液と接触させて各処理が行われる。このような処理液では、そのpH値を適切な範囲に制御することが求められることがあり、例えば架橋液に硫酸を添加することがある(例えば、特許文献2)。
特開2016−27386号公報 特表2006−509250号公報
偏光フィルムは工業的には、長尺のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、偏光フィルムの製造装置が有するフィルムの搬送経路に沿って連続的に搬送させながら、該搬送経路上において染色処理、架橋処理、延伸処理等を施すことによって製造される。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを搬送しながら偏光フィルムを製造する場合、架橋液に硫酸を添加すると、搬送時の張力が上昇することが見出された。
本発明の目的は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送時の張力の上昇を抑制することができる偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置を提供することにある。
本発明は、以下に示す偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置を提供する。
〔1〕 ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造方法であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程と、
架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加し、前記シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射して第1架橋処理液を得る工程と、
前記第1架橋処理液を含む架橋処理液に、前記染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程と、を含む、偏光フィルムの製造方法。
〔2〕 前記第1架橋処理液を得る工程は、前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理する工程を含む、〔1〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔3〕 前記浸漬する工程は、前記架橋処理液を収容する架橋槽に、前記染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程であり、
前記第1架橋処理液を得る工程は、前記架橋槽の外部にある外部槽で行う、〔1〕又は〔2〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔4〕 前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、前記架橋槽内の前記架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であり、
前記抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を、前記外部槽に供給する工程と、
前記外部槽から前記架橋槽に前記第1架橋処理液を供給する工程と、をさらに含む、〔3〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔5〕 前記架橋槽に収容されている前記架橋処理液のpHは2以上4以下である、〔3〕又は〔4〕に記載の偏光フィルムの製造方法。
〔6〕 前記架橋槽に収容されている前記架橋処理液中のシュウ酸イオン濃度は、前記架橋処理液に対して0.5質量%以下である、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
〔7〕 前記架橋剤は、ホウ素化合物を含み、
前記ヨウ化物塩は、ヨウ化カリウムを含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
〔8〕 ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造装置であって、
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する染色処理部と、
架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加し、前記シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射して第1架橋処理液を得る第1架橋処理液調製部と、
前記第1架橋処理液を含む架橋処理液に、前記染色処理部で処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する架橋槽と、を含む、偏光フィルムの製造装置。
〔9〕 前記第1架橋処理液調製部は、前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理する活性炭処理部をさらに含む、〔8〕に記載の偏光フィルムの製造装置。
〔10〕 前記第1架橋処理液調製部は、前記架橋槽の外部に設けられている、〔8〕又は〔9〕に記載の偏光フィルムの製造装置。
〔11〕 前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、前記架橋槽内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であり、
前記抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を、前記第1架橋処理液調製部に供給する第1供給部と、
前記第1架橋処理液調製部から前記架橋槽に前記第1架橋処理液を供給する第2供給部と、をさらに含む、〔10〕に記載の偏光フィルムの製造装置。
本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの搬送時の張力の上昇を抑制して偏光フィルムを製造することができる。
本発明の偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルムの製造装置の一例を示す模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置の好ましい実施形態について説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
本実施形態に係る偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルムの製造装置は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下、「PVA系樹脂フィルム」ということがある。)を用いて偏光フィルムを製造するものである。偏光フィルムは、例えば、原料フィルムである長尺のPVA系樹脂フィルムから連続的に長尺物として製造することができる。
<偏光フィルムの製造方法>
図1は、本実施形態の偏光フィルムの製造方法及びそれに用いる偏光フィルムの製造装置の一例を示す模式図である。図1中の矢印は、フィルム搬送方向又は液の流れ方向を示す。図1に示す偏光フィルム25の製造方法では、長尺のPVA系樹脂フィルム10から連続的に長尺の偏光フィルム25を得ることができる。具体的には、PVA系樹脂フィルム10を巻出ロール11から連続的に巻き出しつつ、膨潤槽13での膨潤処理工程、染色処理液を収容する染色槽15(染色処理部)での染色処理工程、架橋処理液を収容する架橋槽17での架橋処理工程、及び、洗浄槽19での洗浄処理工程を順に行い、最後に乾燥炉21を通すことにより乾燥処理を行って偏光フィルム25を得ることができる。長尺物として製造される偏光フィルム25は、巻取ロール27に順次巻き取ってもよいし、巻き取ることなく、偏光フィルム25の片面又は両面に保護フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムを接着する偏光板作製工程に供されてもよい。
本実施形態の偏光フィルム25の製造方法は、
PVA系樹脂フィルム10を用いて偏光フィルム25を製造する偏光フィルム25の製造方法であって、
PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程と、
架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加し、シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射して第1架橋処理液を得る工程と、
第1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色処理液で処理する工程後のPVA系樹脂フィルム10を浸漬する工程と、を含む。
上記の工程により、PVA系樹脂フィルム10の架橋処理に用いる架橋処理液の少なくとも一部となる第1架橋処理液を得、この第1架橋処理液を含む架橋処理液を用いて、染色処理が施されたPVA系樹脂フィルム10の架橋処理を好適に行うことができる。以下、各工程について説明する。
(染色処理液で処理する工程)
染色処理液で処理する工程は、PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する染色処理工程であり、PVA系樹脂フィルム10にヨウ素を吸着、配向させる等の目的で行われる。染色処理液で処理するPVA系樹脂フィルム10は、図1に示す膨潤槽13において膨潤処理が行われた後のフィルムであることが好ましい。ヨウ素を含有する染色処理液で処理する方法としては、例えば図1に示すように、フィルム搬送経路に沿ってPVA系樹脂フィルム10を搬送しながら、染色処理液に所定時間浸漬した後、染色処理液から引き出すことによって行うことができる。染色処理液で処理する方法は、PVA系樹脂フィルム10に染色処理液を塗布する方法によって行ってもよい。
(第1架橋処理液を得る工程)
第1架橋処理液を得る工程は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加する工程と、シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射して第1架橋処理液を得る工程とを含む。第1架橋処理液を得る工程は、架橋槽17での架橋処理に用いる架橋処理液の一部をなす第1架橋処理液を得るために行われる。架橋処理に用いる架橋処理液は、架橋剤及びヨウ化物塩を含むため、第1架橋処理液を得る工程では、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物の添加や紫外線照射等を行う。
第1架橋処理液を得る工程は、架橋槽17で架橋処理に使用された後の架橋処理液(以下、「使用済みの架橋処理液」ということがある。)を、使用可能な架橋処理液として再利用するために行ってもよい。この場合、シュウ酸化合物が添加される架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、使用済みの架橋処理液であり、第1架橋処理液を得る工程で行うシュウ酸化合物の添加や紫外線照射は、使用済みの架橋処理液を、架橋処理のために使用可能な架橋処理液に再生するために行う処理となり得る。使用済みの架橋処理液を用いて第1架橋処理液を得る工程を行う場合、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、例えば架橋槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であってもよく、この場合、第1架橋処理液を得る工程は、図1に示すように、架橋槽17の外部にある外部槽31で行えばよい。外部槽31で第1架橋処理液を得る工程を行う場合、偏光フィルム25の製造方法は、架橋槽17から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を外部槽31に供給する工程を含んでいてもよく、また、外部槽31で調製された第1架橋処理液を架橋槽17に供給する工程を含んでいてもよい。
第1架橋処理液を得る工程は、上記したように、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加する工程を含む。第1架橋処理液を得る工程において、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加することにより、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液のpHを調整して、第1架橋処理液を含む架橋処理液のpHを適切な範囲に制御することができる。架橋処理液のpHは、得られる偏光フィルムの光学性能を良好なものとする等の観点から通常2以上4以下に維持されることが好ましいが、例えば架橋処理液に亜硫酸カリウム等の添加剤を添加した場合や、後述するように使用済みの架橋処理液の活性炭処理を行った場合等には、架橋処理液のpHが上昇しやすい。シュウ酸化合物は酸性物質であるため、シュウ酸化合物を添加することにより、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液のpHを低下させて、架橋処理液に用いるために好適なpH値を有する第1架橋処理液を調製することができる。
架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加されるシュウ酸化合物としては、シュウ酸無水和物、シュウ酸水和物、シュウ酸塩等を挙げることができる。シュウ酸水和物としては、シュウ酸二水和物を挙げることができる。シュウ酸塩としては、シュウ酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、シュウ酸アンモニウム等を挙げることができ、シュウ酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩としては、シュウ酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸リチウム、シュウ酸カルシウム、シュウ酸マグネシウム等を挙げることができる。シュウ酸化合物としては、シュウ酸無水和物、シュウ酸水和物を用いることが好ましい。
架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加されるシュウ酸化合物の添加量は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液のpHが所望のpHとなるように設定すればよい。図1に示すように、第1架橋処理液を得る工程を外部槽31で行う場合、架橋槽17に収容されている架橋処理液のpHは2以上4以下に保たれることが好ましい。そのため、外部槽31内の第1架橋処理液を架橋槽17に供給したときに、架橋槽17内の架橋処理液のpHが上記の範囲内に保たれるように、シュウ酸化合物の添加量を調整することが好ましい。架橋槽17に収容されている架橋処理液のpHは、2.3以上であることがより好ましく、2.5以上であってもよく、また、3.7以下であることがより好ましく、3.5以下であってもよい。架橋槽17内の架橋処理液のpHが4を超えると、得られる偏光フィルム25の光学性能が低下する傾向にある。
第1架橋処理液を得る工程は、上記したように、シュウ酸化合物を添加した架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に紫外線を照射する工程を含む。紫外線を照射する工程は、シュウ酸化合物を添加した液を少なくとも含む液に対して行うものであればよく、シュウ酸化合物を添加した架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液と、シュウ酸化合物を添加する前の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液とが混在した液に対して行ってもよい。シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射することにより、シュウ酸化合物に起因するシュウ酸イオンを分解し、二酸化炭素として液中から除去することにより、液中のシュウ酸イオン濃度を低減することができる。
上記したように、第1架橋処理液は、PVA系樹脂フィルム10を浸漬する架橋処理液の少なくとも一部となるものであるため、第1架橋処理液にシュウ酸イオンが含まれていると、このシュウ酸イオンは架橋処理液にも含まれることになる。本発明者らは、架橋処理液にシュウ酸イオンが高濃度に含まれている場合、図1に示すようにPVA系樹脂フィルム10を搬送しながら架橋処理液にPVA系樹脂フィルムを浸漬する工程を行うと、架橋槽17及び架橋槽17以降の工程においてPVA系樹脂フィルム10の張力が上昇することを見出した。このような張力の上昇により、架橋槽17や乾燥炉21においてPVA系樹脂フィルム10に良好なネックインが生じにくくなり、得られる偏光フィルム25の光学性能の低下を引き起こすことが推測される。本実施形態では、上記したように、シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射してシュウ酸イオンを分解して、液中のシュウ酸イオン濃度を低減している。これにより、第1架橋処理液を含む架橋処理液中のシュウ酸イオンの量を低減して、PVA系樹脂フィルムの張力の上昇を抑制し、PVA系樹脂フィルム10に良好にネックインを生じさせることができるため、偏光フィルム25の光学性能の低下を抑制することができると考えられる。
シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射する方法としては、架橋槽17内の架橋処理液の少なくとも一部に紫外線照射装置から紫外線を照射する方法、図1に示すように外部槽31中のシュウ酸化合物が添加された架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、紫外線照射装置34から紫外線を照射する方法等を挙げることができる。
シュウ酸化合物を添加した液に照射する紫外線の波長は、250〜400nmの範囲にあることが好ましく、270〜380nmの範囲であることがより好ましく、280〜360nmの範囲にあってもよい。上記の範囲の紫外線であれば、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液中に含まれるシュウ酸イオンの分解を促進することができるため、シュウ酸イオンの分解を効率的に行い、液中のシュウ酸イオン濃度を低減しやすい。
紫外線の照射エネルギーや照射時間は、シュウ酸イオンの分解により、液中のシュウ酸イオンの濃度が所望の範囲となるように設定すればよい。例えば、照射エネルギーは、シュウ酸イオンを含む液1[L]当たりのエネルギー量[W]で表した場合、0.1W/L以上10W/L以下とすることができ、0.2W/L以上であってもよく、0.3W/L以上であってもよく、また、5W/L以下であってもよく、1W/L以下であってもよい。また、照射時間は、1秒以上5時間以下とすることができ、1分以上であってもよく、1時間以上であってもよく、3時間以上であってもよく、また4時間以下であってもよい。図1に示すように、第1架橋処理液を得る工程を外部槽31で行う場合、架橋槽17内の架橋処理液のシュウ酸イオン濃度(シュウ酸として存在するものも含む濃度)は、架橋処理液に対して0.5質量%以下であることが好ましい。シュウ酸イオン濃度は、実施例に記載の方法によって測定することができる。そのため、外部槽31内の第1架橋処理液を架橋槽17に供給したときに、架橋槽17内の架橋処理液中のシュウ酸イオン濃度が上記の範囲内に保たれるように、紫外線の照射エネルギーや照射時間を調整することが好ましい。架橋槽17に収容されている架橋処理液中のシュウ酸イオン濃度は、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であってもよい。架橋槽17内の架橋処理液中のシュウ酸イオン濃度が0.5質量%を超えると、架橋槽17内の架橋処理液にPVA系樹脂フィルムを浸漬して架橋処理を行う際に、PVA系樹脂フィルムに張力の上昇が生じやすくなる傾向にあり、得られる偏光フィルム25の光学性能が低下しやすくなる。
第1架橋処理液を得る工程は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理する工程を含んでいてもよい。活性炭処理する工程は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を少なくとも含む液に対して行うものであればよく、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液とシュウ酸化合物が添加された液とが混在した液に対して行ってもよい。
活性炭処理する工程は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液が使用済みの架橋処理液である場合、例えば、架橋槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液である場合に行うと効果的である。これは、活性炭処理により、架橋処理液中の過剰なI を除去することができるためである。図1に示す染色槽15内の染色処理液は、ヨウ素を含むとともに通常、ヨウ素を水に溶解させるためにヨウ化物塩を含む。また、架橋槽17内の架橋処理液には、染色槽15を通過したPVA系樹脂フィルム10が浸漬されるため、架橋処理が行われた架橋処理液は、当該架橋処理液に含まれる架橋剤及びヨウ化物塩に加えて、染色槽15を通過したPVA系樹脂フィルム10によって持ち込まれたヨウ素やヨウ化物塩も含むことになる。そのため、PVA系樹脂フィルム10の架橋処理が繰返し行われると、架橋槽17内の架橋処理液は、染色処理液からのヨウ素の持込みやヨウ化物塩の空気酸化により架橋処理液内のI 濃度が上昇する傾向にある。架橋処理液におけるI 濃度の上昇は、得られる偏光フィルム25の光学性能、特に透過率を低下させる原因となり得る。そこで、使用済みの架橋処理液(例えば、架橋槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液)に対して活性炭処理を行うことにより、架橋処理液内のI を除去して架橋処理液におけるI 濃度の上昇を抑制することができる。
活性炭処理する工程は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭と接触させることにより行うことができる。活性炭処理を行う方法としては、例えば、架橋槽17や外部槽31に活性炭を添加して撹拌する方法、図1に示すように外部槽31中の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液の少なくとも一部を抜き出して、活性炭処理部33において活性炭と接触させる方法、架橋槽17から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を外部槽31に供給する工程の途中で活性炭と接触させる方法等を挙げることができる。
活性炭処理が施された架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、pHが上昇しやすい傾向にある。そのため、活性炭処理が施された架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、シュウ酸化合物を添加してpHの上昇を抑制することが好ましい。
第1架橋処理液を得る工程を、図1に示すように外部槽31で行う場合には、外部槽31内で第1架橋処理液が調製される。そのため、偏光フィルム25の製造方法は、得られた第1架橋処理液を外部槽31から架橋槽17に供給する工程をさらに含んでいてもよい。
(浸漬する工程)
浸漬する工程は、第1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色処理液で処理する工程後のPVA系樹脂フィルム10を浸漬する工程であり、PVA系樹脂フィルム10に架橋処理を行う架橋処理工程とすることができる。架橋処理工程は、架橋による耐水化や色相調整等の目的で行われる。架橋処理液にPVA系樹脂フィルム10を浸漬する方法としては、架橋槽17に収容されている、上記した第1架橋処理液を得る工程で得た第1架橋処理液を含む架橋処理液に、PVA系樹脂フィルムを浸漬する方法を挙げることができる。
第1架橋処理液を得る工程で得られた第1架橋処理液は、シュウ酸化合物の添加によりpH調整が行われ、紫外線照射によりシュウ酸イオンが分解が促進されている。そのため、得られた第1架橋処理液を含む架橋処理液を用いて、染色処理が行われたPVA系樹脂フィルム10の架橋処理を行うことにより、光学性能が良好な偏光フィルム25を得ることができる。
本実施形態の偏光フィルム25の製造方法における第1架橋処理液を得る工程は、図1に示す架橋槽17中で行ってもよく、図1に示すように架橋槽17の外部、例えば外部槽31で行ってもよい。また、第1架橋処理液を得る工程は、浸漬する工程(架橋処理を行う工程)と並行しながら行ってもよく、架橋槽17と外部槽31との間で架橋処理液や第1架橋処理液を循環させながら行ってもよい。例えば、図1に示すように、架橋槽17内の架橋処理液の抜き出し、外部槽31での第1架橋処理液の調製、得られた第1架橋処理液の架橋槽17への供給を連続的に行いつつ、架橋槽17では、染色処理液で処理する工程後のPVA系樹脂フィルム10を、第1架橋処理液を含む架橋処理液に浸漬して架橋処理を行ってもよい。また、活性炭処理、シュウ酸化合物の添加、及び紫外線照射の各処理は、これらを並行して行ってもよい。この場合、活性炭処理する工程では、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液とシュウ酸化合物が添加された液とが混在した液に対して行えばよい。また、紫外線照射する工程では、シュウ酸化合物を添加する前の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液と、シュウ酸化合物を添加した液とが混在した液に対して行えばよい。
<偏光フィルムの製造装置>
本実施形態の偏光フィルム25の製造装置は、上記した偏光フィルム25の製造方法に用いる装置である。図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、長尺のPVA系樹脂フィルム10に対して連続的に、膨潤槽13内の膨潤処理液、染色槽15(染色処理部)内の染色処理液、架橋槽17内の架橋処理液、及び、洗浄槽19内の洗浄処理液に順次浸漬する処理を行い、最後に乾燥炉21を通すことにより乾燥処理を行って、長尺の偏光フィルム25を得ることができる。
偏光フィルム25の製造装置は、例えば図1に示すように、フィルム搬送経路(PVA系樹脂フィルム10及び偏光フィルム25が搬送される経路)の上流側から順に、膨潤槽13、染色槽15(染色処理部)、架橋槽17、洗浄槽19、及び乾燥炉21を含む。また、偏光フィルム25の製造装置は、さらに第1架橋処理液調製部30を有し、この第1架橋処理液調製部30は、外部槽31、シュウ酸化合物供給部32、活性炭処理部33、及び紫外線照射装置34を有することができる。製造装置は、架橋槽17内の架橋処理液を外部槽31に供給する第1供給部35、及び、外部槽31から架橋槽17に第1架橋処理液を供給する第2供給部36を含むことができ、これにより、架橋槽17と第1架橋処理液調製部30との間を架橋処理液及び第1架橋処理液が循環するようになっている。また、偏光フィルム25の製造装置は、得られた偏光フィルム25の片面又は両面に保護フィルム等を貼合して偏光板を作製する偏光板作製部を有していてもよい。
上記したように、偏光フィルム25の製造装置は、長尺のPVA系樹脂フィルム10を搬送しながら各種の処理を行うものであり、フィルム搬送経路には、上記した各槽や各部を通るように、搬送中のフィルムを支持・案内する複数のロールが設けられている。複数のロールは、フィルムの片面を支持しフィルムに駆動力を与えないガイドロール、フィルムの両面に配置されてフィルムを挟み込む1対のロールからなるニップロール(通常は、フィルムに駆動力を与えることができる駆動ロール)を含む。図1に示す製造装置では、フィルム搬送経路に、ガイドロール1a〜1k及びニップロール2a〜2fが設けられている。ガイドロールの一部やニップロールの一部は、駆動ロールとすることができるサクションロール(吸引ロール)であってもよい。これら複数のロールは、フィルム搬送経路の任意の位置に設けることができる。
本実施形態の偏光フィルム25の製造装置は、
PVA系樹脂フィルム10を用いて偏光フィルム25を製造する偏光フィルム25の製造装置であって、
PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する染色槽15(染色処理部)と、
架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加し、シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射して第1架橋処理液を得る第1架橋処理液調製部30と、
第1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色槽15で処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する架橋槽17と、を含む。
上記の製造装置は、上記した偏光フィルム25の製造方法に用いることができる。上記の製造装置によれば、PVA系樹脂フィルム10の架橋処理に用いる架橋処理液の少なくとも一部となる第1架橋処理液を調製し、この第1架橋処理液を含む架橋処理液を用いて、染色処理が施されたPVA系樹脂フィルム10の架橋処理を好適に行うことができる。以下、偏光フィルム25の製造装置の各部について説明する。
(染色槽)
図1に示す染色槽15は、偏光フィルム25の製造方法における、PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程を行うために用いることができる。染色槽15は、その内部に染色処理液を収容しており、例えば膨潤槽13で膨潤処理されたPVA系樹脂フィルム10を染色処理液に浸漬するために用いられる。PVA系樹脂フィルム10は、染色槽15内の染色処理液内に設けられたガイドロール1d,1eに支持されて搬送されながら、染色処理液により染色処理される。染色処理液で処理されて染色槽15から引き出されたPVA系樹脂フィルム10は、ガイドロール1f、ニップロール2cを順に通過して架橋槽17に導入される。
なお、PVA系樹脂フィルム10を、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程を、PVA系樹脂フィルム10に染色処理液を塗布することによって行う場合、染色槽15に代えて、スプレー等の塗布装置を用いればよい。
(第1架橋処理液調製部)
第1架橋処理液調製部30は、偏光フィルム25の製造方法における第1架橋処理液を得る工程を行うために用いることができ、第1架橋処理液調製部30は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加し、シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射することができる。これにより、第1架橋処理液調製部30は、架橋槽17での架橋処理に用いる架橋処理液の一部をなす第1架橋処理液を調製する。第1架橋処理液調製部30は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加するためのシュウ酸化合物供給部や、シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射する紫外線照射装置を備えることができる。また、第1架橋処理液調製部30は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に対して活性炭処理を行う活性炭処理部33を備えていてもよい。
第1架橋処理液調製部30は、架橋槽17で用いる架橋処理液の一部となる第1架橋処理液を調製するものであるため、架橋槽17に設けられていてもよいが、架橋槽17の外部に設けられていてもよい。例えば、図1に示す第1架橋処理液調製部30は、架橋槽17の外部に設けられており、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を内部に収容する外部槽31と、外部槽31内の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加するシュウ酸化合物供給部32と、シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射する紫外線照射装置34とを備えている。また、第1架橋処理液調製部30は、外部槽31の外部に活性炭処理部33を備えていてもよい。
また、上記したように、第1架橋処理液調製部30で用いる架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、使用済みの架橋処理液であってもよく、架橋槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であってもよい。そのため、例えば図1に示すように、第1架橋処理液調製部30が架橋槽17の外部に設けられている場合には、偏光フィルム25の製造装置は、架橋槽17内の架橋処理液を外部槽31に供給するための第1供給部35、及び、外部槽31から架橋槽17に第1架橋処理液を供給する第2供給部36を有することができる。第1供給部35及び第2供給部36は、例えば架橋槽17と外部槽31とを繋ぐ配管としてもよい。また、第1供給部35は、架橋槽17から溢流した架橋処理液を、直接又は配管等を介して外部槽31に供給するものであってもよく、第2供給部36は、外部槽31から溢流した第1架橋処理液を、直接又は配管等を介して架橋槽17に供給するものであってもよい。
図1に示す外部槽31は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液として、架橋槽17内の架橋処理液から、第1供給部35を通じて抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を収容することができる。外部槽31は、その内部に収容する架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に、シュウ酸化合物を添加して混合するために用いることができ、また、シュウ酸化合物を添加した液に紫外線照射装置34により紫外線を照射するために用いることができる。外部槽31には、内部の液を撹拌するための撹拌羽根やスターラ等の撹拌装置が設けられていてもよい。
図1に示すシュウ酸化合物供給部32は、外部槽31内の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液に添加するシュウ酸化合物を供給することができる。これにより、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液のpHを調整することができる。シュウ酸化合物供給部32は、その内部にシュウ酸化合物を収容し、必要量のシュウ酸化合物を外部槽31内に供給することができる。シュウ酸化合物供給部32からのシュウ酸化合物の供給量は、例えば、第1架橋処理液調製部30で調整される第1架橋処理液のpHが、架橋槽17内の架橋処理液に必要とされているpH値(例えば、pHが2以上4以下)となるように予め設定されていてもよく、外部槽31内の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液について測定されたpH値に基づいて調整されるようになっていてもよい。
図1に示す紫外線照射装置34は、シュウ酸化合物が添加された液に紫外線を照射することができる。紫外線照射装置34は、シュウ酸化合物を添加した液を少なくとも含む液に対して行うものであればよく、シュウ酸化合物を添加した架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液と、シュウ酸化合物を添加する前の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液とが混在した液に対して行ってもよい。これにより、シュウ酸化合物が添加された液中のシュウ酸イオンを分解して除去し、液中のシュウ酸イオン濃度を低減することができる。紫外線照射装置34は、例えば250〜400nmの範囲の紫外線を照射することができるものであればよい。外部槽31内のシュウ酸化合物が添加された液に紫外線を照射する場合、紫外線照射装置34は、図1に示すように外部槽31の外部に設けられていてもよく、外部槽31の内部に設けられていてもよい。また、架橋槽17の外部又は内部に、紫外線照射装置を設けて紫外線照射を行ってもよい。
図1に示す活性炭処理部33は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭と接触させる処理を行うものである。活性炭処理部33は、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を少なくとも含む液に対して行うものであればよく、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液とシュウ酸化合物が添加された液とが混在した液に対して行ってもよい。活性炭処理部33は、例えば図1に示すように、外部槽31の外部に設けられており、外部槽31から抜き出された架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液の少なくとも一部を活性炭と接触させる。活性炭処理部33は、例えば活性炭のフィルタであってもよく、この場合、図1に示すように、外部槽31から抜き出された架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理部33に通して活性炭処理を行った後、外部槽31に戻すようにしてもよい。
なお、図1に示す製造装置では、活性炭処理部33を外部槽31の外部に設ける場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、外部槽31内の架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液中に活性炭を添加して撹拌する等により、活性炭処理を行ってもよい。また、架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液が使用済みの架橋処理液である場合は、架橋槽17の架橋処理液中に活性炭を添加してもよい。架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液が架橋槽17内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液である場合は、架橋槽17と外部槽31とを繋ぐ第1供給部35をなす配管の途中に活性炭処理部を設けてもよい。
図1に示す第1架橋処理液調製部30で調製された第1架橋処理液は、第2供給部36を通じて、外部槽31から架橋槽17に供給することができる。
(架橋槽)
架橋槽17は、偏光フィルム25の製造方法における、第1架橋処理液を含む架橋処理液に、染色処理液で処理する工程後のPVA系樹脂フィルム10を浸漬する工程を行うために用いることができる。架橋槽17は、その内部に第1架橋処理液を含む架橋処理液を収容しており、染色槽15で染色されたPVA系樹脂フィルム10を架橋処理液に浸漬するために用いられる。PVA系樹脂フィルム10は、架橋槽17内の架橋処理液内に設けられたガイドロール1g,1hに支持されて搬送されながら、架橋処理液で処理される。架橋処理液で処理されて架橋槽17から引き出されたPVA系樹脂フィルム10は、ガイドロール1i、ニップロール2dを順に通過して洗浄槽19に導入される。
本実施形態の偏光フィルム25の製造装置における第1架橋処理液調製部30は、図1に示す架橋槽17に設けてもよく、図1に示すように架橋槽17の外部に設けてもよい。また、第1架橋処理液調製部30での第1架橋処理液の調製は、架橋槽17での架橋処理と並行しながら行ってもよく、第1架橋処理液調製部30が架橋槽17の外部にある場合は、架橋槽17と第1架橋処理液調製部30との間で架橋処理液や第1架橋処理液を循環させるようにしてもよい。例えば、図1に示すように、架橋槽17からの架橋処理液の抜き出し、第1架橋処理液調製部30での第1架橋処理液の調製、得られた第1架橋処理液の架橋槽17への供給を連続的に行いつつ、架橋槽17では、染色槽15から引き出されたPVA系樹脂フィルム10を架橋処理液に浸漬して架橋処理を行ってもよい。また、図1に示す第1架橋処理液調製部30では、シュウ酸化合物供給部32、活性炭処理部33、及び紫外線照射装置34を並行して稼働するようにしてもよい。
以下、偏光フィルムの製造方法をなす各工程、及び、偏光フィルムの製造装置をなす各部材等について詳細に説明する。
(PVA系樹脂フィルム)
本実施形態の偏光フィルムの製造方法で用いるPVA系樹脂フィルム10は、ポリビニルアルコール系樹脂を用いて形成されたフィルムである。ポリビニルアルコール系樹脂とは、ビニルアルコール由来の構成単位を50質量%以上含む樹脂をいう。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂を鹸化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂の鹸化度は、JIS K 6727(1994)に準拠して求めることができ、例えば80.0〜100.0モル%の範囲とすることができる。
ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体等を挙げることができる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等を挙げることができる。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルからなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。その他の「(メタ)」を付した用語においても同様である。
PVA系樹脂フィルム10の一例は、ポリビニルアルコール系樹脂を製膜してなる未延伸フィルムであってもよく、この未延伸フィルムを延伸した延伸フィルムであってもよい。PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合、縦一軸延伸された延伸フィルムであることが好ましく、乾式延伸された延伸フィルムであることが好ましい。PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合の延伸倍率は、通常は1.1〜8倍である。
本実施形態の偏光フィルムの製造方法で用いるPVA系樹脂フィルム10の厚みは、通常10〜150μmであり、得られる偏光フィルム25の薄膜化の観点から、100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、30μm以下であってもよい。
(偏光フィルム)
本実施形態の偏光フィルムの製造方法で得られる偏光フィルム25は、延伸されたPVA系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向されているものである。偏光フィルム25の厚みは、通常2〜40μmであり、偏光フィルムの薄膜化の観点から、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。
得られる偏光フィルム25の視感度補正単体透過率Tyは、視感度補正偏光度Pyとのバランスを考慮して、40〜47%であることが好ましく、41〜45%であることがより好ましい。視感度補正偏光度Pyは、99.9%以上であることが好ましく、99.95%以上であることがより好ましい。Ty及びPyは、積分球付き吸光光度計を用いて、得られた透過率、偏光度に対してJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行うことによって求めることができる。
(膨潤処理工程及び膨潤槽)
膨潤処理工程は、PVA系樹脂フィルム10の異物除去、可塑剤除去、易染色性の付与、フィルムの可塑化等の目的で必要に応じて実施される処理である。図1に示すように、膨潤処理工程は、PVA系樹脂フィルム10を、膨潤処理液を収容する膨潤槽13に所定時間浸漬した後、引き出すことによって実施することができる。
膨潤槽13に収容される膨潤処理液は、例えば水(純水等)であってもよく、アルコール等の水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。また、膨潤処理液は、ホウ酸やホウ砂等のホウ素化合物、塩化物、無機酸、無機塩等を含有していてもよい。膨潤処理液の温度は、通常10〜70℃であり、15〜50℃であることが好ましく、15〜35℃であることがより好ましい。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(膨潤処理液中での滞留時間)は、通常10〜600秒であり、15〜300秒であることが好ましい。PVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合、膨潤処理液の温度は、例えば20〜70℃程度であり、30〜60℃であってもよい。
膨潤処理中に、PVA系樹脂フィルム10に対して湿式延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。その場合の延伸倍率は、通常1.2〜3倍であり、1.3〜2.5倍であることが好ましい。図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、例えば、ニップロール2aとニップロール2bとの周速差を利用して膨潤槽13中で一軸延伸処理を施すことができる。
図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、膨潤槽13から引き出されたフィルムは、ガイドロール1c,ニップロール2bを順に通過して染色槽15へ導入される。
(染色処理工程及び染色槽)
染色処理工程及び染色槽15について、上記で説明した以外の点について説明する。染色処理工程で用いる染色処理液としては、ヨウ素及びヨウ化物塩を含有する水溶液を用いることができる。ヨウ化物塩としては、例えば、アルカリ金属のヨウ化物塩、アルカリ土類金属のヨウ化物塩、ヨウ化亜鉛等が挙げられ、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛であることが好ましく、ヨウ化カリウムであることがより好ましい。ヨウ化カリウムと他のヨウ化物塩とを併用してもよい。
染色処理液は、ホウ酸やホウ砂等のホウ素化合物、塩化亜鉛、塩化コバルト等のヨウ化物塩以外の化合物を含んでいてもよい。ホウ素化合物を添加する場合は、ヨウ素を含む点で後述する架橋処理液と区別される。例えば、水溶液が水100質量部に対し、ヨウ素を約0.003質量部以上含んでいるものであれば、染色処理液とみなすことができる。染色処理液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常0.003〜1質量部である。染色処理液におけるヨウ化カリウム等のヨウ化物塩の含有量は、水100質量部あたり、通常0.1〜20質量部である。
染色処理液の温度は、通常10〜45℃であり、10〜40℃であることが好ましく、20〜35℃であることがより好ましい。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(染色処理液中での滞留時間)は、通常20〜600秒であり、30〜300秒であることが好ましい。
偏光フィルム25の製造装置は、染色槽15を2槽以上含んでいてもよい。この場合、各染色処理液の組成及び温度は、それぞれ独立して互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ヨウ素の染色性を高めるために、染色処理に供されるPVA系樹脂フィルム10は、少なくともある程度の延伸処理(通常は一軸延伸処理)が施されていることが好ましい。染色処理前の延伸処理の代わりに、あるいは染色処理前の延伸処理に加えて、染色処理を行いながら延伸処理を施してもよい。染色処理までの積算の延伸倍率(染色処理までに延伸工程がない場合は染色処理での延伸倍率)は、通常1.6〜4.5倍であり、1.8〜4倍であることが好ましい。図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、例えば、ニップロール2bとニップロール2cとの間の周速差を利用して染色槽15中で一軸延伸処理を施すことができる。
図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、染色槽15から引き出されたフィルムは、ガイドロール1f,ニップロール2cを順に通過して架橋槽17へ導入される。
(架橋処理工程及び架橋槽)
染色処理工程及び染色槽15について、上記で説明した以外の点について説明する。架橋処理工程で用いる架橋処理液は、ヨウ化物塩及び架橋剤を含有する液(通常は水溶液)を用いることができる。ヨウ化物塩としては、例えば、アルカリ金属のヨウ化物塩、アルカリ土類金属のヨウ化物塩、ヨウ化亜鉛等が挙げられ、ヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛であることが好ましく、ヨウ化カリウムであることがより好ましい。ヨウ化カリウムと他のヨウ化物塩とを併用してもよい。架橋剤としては、例えば、ホウ酸やホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げることができ、ホウ酸であることが好ましい。2種以上の架橋剤を併用することもできる。
架橋処理液は、ヨウ化物塩及び架橋剤以外の化合物を含有していてもよい。該化合物としては、例えば、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
架橋処理液におけるヨウ化物塩の含有量は通常、水100質量部あたり、通常0.1〜20質量部であり、5〜15質量部であることが好ましい。架橋処理液における架橋剤の含有量は通常、水100質量部あたり、通常0.1〜15質量部であり、1〜12質量部であることが好ましい。架橋処理液の温度は、通常20〜85℃であり、30〜70℃であることが好ましい。PVA系樹脂フィルム10の浸漬時間(架橋処理液中での滞留時間)は、通常10〜600秒であり、20〜300秒であることが好ましい。
偏光フィルム25の製造装置は、架橋槽17を2槽以上含んでいてもよい。この場合、各架橋処理液の組成及び温度は、それぞれ独立して互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。架橋槽17を複数含む場合、それぞれの架橋槽に、第1架橋処理液調製部を設けてもよい。
架橋処理を行いながら延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、例えば、ニップロール2cとニップロール2dとの間の周速差を利用して架橋槽17中で一軸延伸処理を施すことができる。
図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、架橋槽17から引き出されたフィルムは、ガイドロール1i、ニップロール2dを順に通過して洗浄槽19へ導入される。
(洗浄処理工程及び洗浄槽)
洗浄処理工程は、架橋処理工程後のPVA系樹脂フィルム10に付着した余分な薬剤を除去する等の目的で実施される処理である。図1に示すように、洗浄処理工程は、架橋処理工程(架橋槽17に浸漬された)後のPVA系樹脂フィルム10をフィルム搬送経路に沿って搬送させ、洗浄処理液を収容する洗浄槽19に所定時間浸漬し、次いで引き出すことによって実施することができる。
洗浄処理工程は、図1に示す洗浄槽19に浸漬する処理に代えて、架橋処理工程後のPVA系樹脂フィルム10に対して洗浄処理液を例えばシャワーとして噴霧する処理であってもよい。また、洗浄処理工程は、洗浄槽19への浸漬と洗浄処理液の噴霧とを組み合わせて行ってもよい。
洗浄処理液は、例えば水(純水等)であることができるほか、アルコール類等の水溶性有機溶媒を添加した水溶液であってもよい。洗浄浴の温度は、例えば2〜40℃である。
洗浄処理工程を行いながら延伸処理(通常は一軸延伸処理)を施してもよい。図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、例えば、ニップロール2dとニップロール2eとの間の周速差を利用して洗浄槽19中で一軸延伸処理を施すことができる。
図1に示す偏光フィルム25の製造装置では、洗浄槽19から引き出されたフィルムは、ガイドロール1l、ニップロール2eを順に通過して乾燥炉21へ導入される。
(延伸処理工程及び延伸処理部)
上記した膨潤処理工程、染色処理工程、架橋処理工程、及び洗浄処理工程の少なくとも1つの工程で処理を行いながら延伸処理を行ってもよい。これらの工程で行われる延伸処理は、湿式延伸であり、通常一軸延伸である。延伸処理工程は、架橋処理工程又はそれより前の1又は2以上の段階で行われることが好ましい。ヨウ素の染色性を高めて良好な偏光特性を有する偏光フィルム25を得るために、染色処理工程に供されるPVA系樹脂フィルム10は、少なくともある程度延伸処理が施されていることがより好ましい。
延伸処理工程における延伸倍率は、得られる偏光フィルム25の偏光特性の観点から、偏光フィルム25の最終的な累積延伸倍率(原反フィルムとしてのPVA系樹脂フィルム10が延伸フィルムである場合には、この延伸も含めた累積延伸倍率)が3〜8倍となるように調整される。
延伸処理工程を実施するために、偏光フィルムの製造装置は、PVA系樹脂フィルム10を延伸するための延伸処理部を含む。延伸処理部は、ロール間で延伸を行うものであることが好ましく、例えば図1に示す各槽の前後に配置される2つのニップロールを挙げることができる。
(乾燥処理工程及び乾燥炉)
乾燥処理部は、PVA系樹脂フィルム10のフィルム搬送経路上であって、図1に示す製造装置では、洗浄槽19の下流側に配置され、洗浄処理工程後のPVA系樹脂フィルム10を乾燥させるためのゾーンである。乾燥処理工程では、洗浄処理工程後のPVA系樹脂フィルム10を引き続き搬送させながら、乾燥炉21に当該フィルムを導入することによって乾燥処理を施すことができ、これにより偏光フィルム25が得られる。
乾燥炉21は、例えば、熱風の供給等により炉内温度を高めることができる熱風オーブンである。乾燥炉21に代えて、湿式処理工程後のPVA系樹脂フィルム10を密着させる凸曲面を有する1又は2以上の加熱体や、ヒーター等を用いて乾燥処理を行ってもよい。加熱体としては、熱源(例えば、温水等の熱媒や赤外線ヒーター)を内部に備え、表面温度を高めることができるロール(例えば熱ロールを兼ねたガイドロール)を挙げることができる。ヒーターとしては、赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、パネルヒーター等を挙げることができる。乾燥処理の温度(例えば、乾燥炉21の炉内温度、熱ロールの表面温度等)は、通常30〜100℃であり、50〜90℃であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」及び「部」は、特記しない限り、質量%及び質量部である。
[シュウ酸イオン濃度の測定]
架橋液処理液を純水で1000倍に希釈し、0.22μmのPTFE製フィルターで濾過処理した。得られた希釈液をイオンクロマトグラフ装置測定を用いて分析し、得られたスペクトルの面積積分値を、濃度既知のシュウ酸水溶液の分析で得られたスペクトルの面積積分値と比較して、シュウ酸濃度を定量した。分析装置には、Metrohm社製の883 Basic IC Plusを用い、カラムにはMetrosep A Supp 5 150/4.0を用いた。移動相には、1.0mMの濃度でNaHCO、並びに3.2mMの濃度でNaCOを含む水溶液に、質量の5%相当のアセトンを加えた水溶液を用いた。
[架橋槽でのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの張力の測定]
厚み60mm、幅50mmの小片PVAフィルムを、膨潤槽中の膨潤処理液、染色槽中の染色処理液にこの順に漬けながら2.2倍延伸し、さらに架橋処理液に漬けながら、累積5.8倍まで延伸した。PVAの延伸方向両端を保持するチャックの間に取り付けたロードセルで、延伸中のPVAの張力を測定し、架橋槽中の架橋処理液中で5.8倍延伸が完了した時点での張力を記録した。
〔実施例1〕
純水に、ホウ酸、ヨウ化カリウム、シュウ酸二水和物、及び水酸化カリウムを加えて、ホウ酸濃度が3.4%、ヨウ化カリウム濃度が10.1%、シュウ酸二水和物濃度が1.7%、水酸化カリウム濃度が0.9%となるようにして、シュウ酸含有液を調製した。得られたシュウ酸含有液のpHは3.9であり、シュウ酸イオン濃度は0.9%であった。
得られたシュウ酸含有液に対して、波長280nmの紫外光を、照射エネルギーが0.2W/L、照射時間が3hrとなるように照射して、光照射後のシュウ酸含有液を得た。得られた光照射後のシュウ酸含有液のシュウ酸イオン濃度を測定した。また、得られた光照射後のシュウ酸含有液を用いて、架橋槽でのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの張力を測定した。これらの結果を表1に示す。
〔実施例2〕
シュウ酸含有液に対して照射する光を、波長340nmの紫外光に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光照射後のシュウ酸含有液を得た。実施例1と同様の手順で、得られた光照射後のシュウ酸含有液を用いて、シュウ酸イオン濃度の測定、及び、架橋槽でのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの張力の測定を行った。これらの結果を表1に示す。
〔参考例1〕
純水に、ホウ酸及びヨウ化カリウムを加えて、ホウ酸濃度が3.5%、ヨウ化カリウム濃度が10.3%となるようにしてシュウ酸未含有液を調製した。得られたシュウ酸未含有液のpHは4.0であった。実施例1と同様の手順で、得られたシュウ酸未含有液を用いて、架橋槽でのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの張力の測定を行った。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1と同様にしてシュウ酸含有液を得たが、シュウ酸含有液に光照射を行わなかった。実施例1と同様の手順で、得られた光照射後のシュウ酸含有液を用いて、シュウ酸イオン濃度の測定、及び、架橋槽でのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの張力の測定を行った。その結果を表1に示す。
〔比較例2〜4〕
シュウ酸含有液に対して照射する光を、表1に示す光に変更したこと以外は、実施例1と同様にして光照射後のシュウ酸含有液を得た。実施例1と同様の手順で、得られた光照射後のシュウ酸含有液を用いて、シュウ酸イオン濃度の測定、及び、架橋槽でのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの張力の測定を行った。これらの結果を表1に示す。
なお、表1では、実施例1,2及び比較例1〜4におけるシュウ酸含有液のシュウ酸イオン濃度、及び、参考例1におけるシュウ酸未含有液のシュウ酸イオン濃度を、表1における「光照射前のシュウ酸イオン濃度」の欄に記載し、光照射後のシュウ酸含有液のシュウ酸イオン濃度を、表1における「光照射後のシュウ酸イオン濃度」の欄に記載し、架橋槽でのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの張力の値を「張力」の欄に記載している。
Figure 2020020992
1a〜1l ガイドロール、2a〜2f ニップロール、10 ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(PVA系樹脂フィルム)、11 巻出ロール、13 膨潤槽、15 染色槽(染色処理部)、17 架橋槽、19 洗浄槽、21 乾燥炉、25 偏光フィルム、27 巻取りロール、30 第1架橋処理液調製部、31 外部槽、32 シュウ酸化合物供給部、33 活性炭処理部、34 紫外線照射装置、35 第1供給部、36 第2供給部。

Claims (11)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造方法であって、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する工程と、
    架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加し、前記シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射して第1架橋処理液を得る工程と、
    前記第1架橋処理液を含む架橋処理液に、前記染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程と、を含む、偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記第1架橋処理液を得る工程は、前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理する工程を含む、請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記浸漬する工程は、前記架橋処理液を収容する架橋槽に、前記染色処理液で処理する工程後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する工程であり、
    前記第1架橋処理液を得る工程は、前記架橋槽の外部にある外部槽で行う、請求項1又は2に記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、前記架橋槽内の前記架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であり、
    前記抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を、前記外部槽に供給する工程と、
    前記外部槽から前記架橋槽に前記第1架橋処理液を供給する工程と、をさらに含む、請求項3に記載の偏光フィルムの製造方法。
  5. 前記架橋槽に収容されている前記架橋処理液のpHは2以上4以下である、請求項3又は4に記載の偏光フィルムの製造方法。
  6. 前記架橋槽に収容されている前記架橋処理液中のシュウ酸イオン濃度は、前記架橋処理液に対して0.5質量%以下である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  7. 前記架橋剤は、ホウ素化合物を含み、
    前記ヨウ化物塩は、ヨウ化カリウムを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  8. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造装置であって、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素を含有する染色処理液で処理する染色処理部と、
    架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液にシュウ酸化合物を添加し、前記シュウ酸化合物を添加した液に紫外線を照射して第1架橋処理液を得る第1架橋処理液調製部と、
    前記第1架橋処理液を含む架橋処理液に、前記染色処理部で処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する架橋槽と、を含む、偏光フィルムの製造装置。
  9. 前記第1架橋処理液調製部は、前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液を活性炭処理する活性炭処理部をさらに含む、請求項8に記載の偏光フィルムの製造装置。
  10. 前記第1架橋処理液調製部は、前記架橋槽の外部に設けられている、請求項8又は9に記載の偏光フィルムの製造装置。
  11. 前記架橋剤及びヨウ化物塩を含有する液は、前記架橋槽内の架橋処理液から抜き出される少なくとも一部の架橋処理液であり、
    前記抜き出される少なくとも一部の架橋処理液を、前記第1架橋処理液調製部に供給する第1供給部と、
    前記第1架橋処理液調製部から前記架橋槽に前記第1架橋処理液を供給する第2供給部と、をさらに含む、請求項10に記載の偏光フィルムの製造装置。
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