JP2020020660A - 半導体デバイスの検査治具 - Google Patents

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Abstract

【課題】I/O変換の機能を持ち、10GHz以上の信号を送受信可能で、250μm以下の狭ピッチ電極を備えた半導体デバイス等を検査する検査治具を提供する。【解決手段】半導体デバイス50の電気特性の検査に使用され、検査電極51G,Sの対応位置に設けられた複数のプローブを、半導体デバイス50と高周波基板との間のホルダー12,13に保持した検査治具である。プローブ1G,Sは、半導体デバイス側接触ピン、スプリング及び高周波基板側接触ピンを導体筒4中にその順で有し、各接触ピンの一方又は両方が可動する構造であり、ホルダー4は、半導体デバイス側接触ピンを挿入する貫通孔13aを有する半導体デバイス側ホルダー13と、高周波基板側接触ピンを挿入する貫通孔を有する高周波基板側ホルダー12とで構成され、プローブが有する各接触ピが検査時に貫通孔内に収まるように構成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、半導体デバイスの検査治具に関し、さらに詳しくは、I/O変換の機能を持ち、10GHz以上の信号を送受信可能で、250μm以下の狭ピッチ電極を備えた半導体デバイス等を検査するための検査治具に関する。
半導体集積回路の検査では、半導体基板上の複数のチップ内の集積回路に所定の信号を同時入力させ、このときの出力信号の正常/異常を同時検査することで、一括動作確認を行っている。そのための検査装置としては、例えば特許文献1に記載のアライメント装置が提案されている。このアライメント装置は、プローブシートに設けられているプローブ端子と半導体ウエハに形成されている検査用電極とを正確に位置合わせできるようにした装置である。詳しくは、半導体基板の外周付近に2個の位置合わせマークを形成し、プローブ基板にも2個の位置合わせマークを形成し、これら位置合わせマークの位置をそれぞれ検出して位置ずれ量を測定している。検査基板には、位置合わせマークを検出するために2個の貫通孔が設けられ、その2個の貫通孔の上方にそれぞれ1台のCCDカメラを設置している。各CCDカメラは、検査基板の貫通孔を介して、半導体基板の位置合わせマーク及びプローブ基板の位置合わせマークを1個ずつ撮像し、撮像画像を用いて位置ずれ量を測定し、さらに、測定結果に基づいて基板載置台の位置を調整して、半導体基板の検査用電極とプローブ間の位置合わせと接触を行っている。
近年、半導体集積回路の多品種少量生産品に対応する半導体検査装置が要請されている。特許文献2では、特許文献1のような従来型の半導体検査装置をそのまま用いたときの問題(精度、その場観察及び価格に劣る)を解決した小型基板検査装置を提案している。その小型基板検査装置は、小形の半導体基板の集積回路中の検査用電極とプローブとの間の位置あわせ精度・接触精度が高く、処理基板全体の状態をその場で観察しながら検査ができる、安価で小型な基板検査装置であって、集積回路と、集積回路の電極に当接されるプローブ端子が設けられたプローブ基板とを位置合わせするために、プローブ基板を透明にして、集積回路に設けた複数の第1の位置合わせマークとプローブ基板に設けた複数の第2の位置合わせマークとをカメラにより撮像して位置合わせするという技術である。
こうした半導体検査装置において、固定された半導体デバイスの電極と検査治具のプローブとの位置合わせは、半導体デバイスの上に検査治具を移動させ、半導体デバイス上の目印(使用していない電極や回路パターンなど)を目視(カメラによる一つの画像)により確認しながら、検査治具側との位置を少しずつ移動(XYZθ方向)させて調整している。
ところで、現在の半導体デバイスでは、10GHz以上の高周波信号を送受信するなど、高速化が進んでおり、電気信号を取り出して検査する検査冶具の伝送線路もインピーダンス整合をしなければならない。また、半導体デバイスには、I/O変換機能のための複数の受光素子、発光素子及び電気信号電極を備えたものがあり、そうした半導体デバイスの検査では、受光素子と発光素子との間で光信号の送受信を行っている。また、半導体デバイスの小型化もさらに進んでおり、近年では、サイズは5mm角以下、電極ピッチは250μm以下になっており、狭ピッチ化が進んでいる。
狭ピッチ化に対応した技術として、特許文献3では、半導体装置の電極密度が高密度化された場合であっても、コンタクト端子の配列における狭ピッチ化に容易に対応しインピーダンス整合を図ることができる半導体装置用ソケットが、半導体装置の検査用治具として提案されている。この半導体装置用ソケットは、信号ラインに対応した金属製アッパハウジングのセルにおいて、電気絶縁性を有するアダプタの端部と電気絶縁性を有するロアハウジングの内面との間には、環状の隙間(空気領域)が互いに同一の構成を有するコンタクト端子のスリーブの周囲に形成され、また、接地ラインに対応したセルにおいては、コンタクト端子の接点部がロアハウジングの透孔に挿入され、その接点部がセルの内面に当接する導電性のカラーの小径孔に挿入されるものである。
特開2000−164655号公報 特開2015−82587号公報 特開2012−98219号公報
しかしながら、特許文献3の技術では、コンタクト端子周囲の電気絶縁性を有するアダプタと隙間(空気領域)との誘電率の違いにより特性インピーダンスの変化点が生じることになり、10GHzを超える周波数帯域においては、反射による減衰が生じる原因となる。また、250μm以下の狭ピッチ電極に対しては、同軸構造のプローブでは、特性インピーダンスを整合させることは困難である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、I/O変換の機能を持ち、10GHz以上の信号を送受信可能で、250μm以下の狭ピッチ電極を備えた半導体デバイス等を検査する検査治具を提供することにある。
本発明に係る半導体デバイスの検査治具は、高周波信号を送受信する半導体デバイスの電気特性の検査に使用され、前記電気特性を検査する電極の対応位置に設けられた複数のプローブを、前記半導体デバイスと高周波基板との間のホルダーに保持した検査治具であって、
前記プローブは、半導体デバイス側接触ピン、スプリング及び高周波基板側接触ピンを導体筒中にその順で有し、該半導体デバイス側接触ピン及び該高周波基板側接触ピンの一方又は両方が可動する構造であり、
前記ホルダーは、前記半導体デバイス側接触ピンを挿入する貫通孔を有する半導体デバイス側ホルダーと、前記高周波基板側接触ピンを挿入する貫通孔を有する高周波基板側ホルダーとで構成され、前記プローブが有する前記各接触ピンが検査時に前記貫通孔内に収まる、ことを特徴とする。
この発明によれば、プローブを構成する各接触ピンの一方又は両方が可動して、各接触ピンが電極に接触した検査時に貫通孔内に収まるので、検査時に貫通孔内に収まらずに電極側に露出した場合のような接触部位でのホルダーと隙間(空気領域)との誘電率の違いによる特性インピーダンスの変化点が生じない。その結果、接触ピンが貫通孔内に収まる接触部位での特性インピーダンスを低減することができ、特に10GHzを超える周波数帯域での反射による減衰を低減して減衰量を小さくすることができる。
本発明に係る半導体デバイスの検査治具において、前記半導体デバイス側ホルダーと前記高周波基板側ホルダーとは、一定の距離の空気層を空けて設置されている。この発明によれば、インピーダンス整合のためにプローブの周囲に誘電体を無くしており、高周波基板側ホルダーと半導体デバイス側ホルダーとの間を一定の距離とすることにより適当なインピーダンス整合を実現することができる。
本発明に係る半導体デバイスの検査治具において、前記ホルダーが、誘電率3.0〜6.0の範囲内の絶縁樹脂で構成されている。この発明によれば、ホルダーの誘電率を上記範囲内とすることにより、特性インピーダンスを調整して全体の減衰量を小さくすることができる。
本発明に係る半導体デバイスの検査治具において、前記各接触ピンの直径が、0.05〜0.1mmの範囲内であることが好ましい。この発明によれば、狭ピッチ電極にも対応できる検査治具を提供できる。
本発明に係る半導体デバイスの検査治具において、前記プローブは、電気信号電極用プローブとグランド電極用プローブとを有し、いずれも同一形状であることが好ましい。この発明によれば、プローブを共通化できるとともに、特性インピーダンスへの影響を極力少なくすることができる。
本発明によれば、I/O変換の機能を持ち、10GHz以上の信号を送受信可能で、250μm以下の狭ピッチ電極を備えた半導体デバイス等を検査する検査治具を提供することができる。この検査治具を使用することにより、特性インピーダンスの変化を抑制でき、反射による減衰が生じるのを抑制することができる。
本発明に係る半導体デバイスの検査治具の一例を示す模式図である。 図1の検査治具において、半導体デバイス側ホルダーを半導体デバイス上に配置して位置合わせする態様を例示する模式図である。 プローブの一例を示す全体図(A)と断面構成図(B)である。 本発明で使用される検査治具の説明図である。 従来の検査治具の説明図である。
本発明に係る半導体デバイスの検査治具について図面を参照しつつ説明する。本発明はその要旨の範囲で変形又は応用が可能であり、以下の実施形態に限定されない。なお、本発明の「検査治具」は「検査部品」に言い換えてもよい。
[半導体デバイスの検査治具]
本発明に係る半導体デバイスの検査治具10(単に「検査治具」ともいう。)は、図1〜図4に示すように、高周波信号を送受信する半導体デバイス50の電気特性の検査に使用され、その電気特性を検査する電極51の対応位置に設けられた複数のプローブ1を、半導体デバイス50と高周波基板11との間のホルダー14に保持した検査治具10である。プローブ1は、半導体デバイス側接触ピン2A、スプリング5及び高周波基板側接触ピン2Bを導体筒4中にその順で有し、各接触ピン2A,2Bの一方又は両方が可動する構造であり、ホルダー14は、半導体デバイス側接触ピン2Aを挿入する貫通孔を有する半導体デバイス側ホルダー13と、高周波基板側接触ピン2Bを挿入する貫通孔を有する高周波基板側ホルダー12とで構成され、プローブ1が有する各接触ピン2A,2Bが検査時に貫通孔内に収まるように構成されている。
この検査治具10では、プローブ1を構成する各接触ピン2A,2Bの一方又は両方が可動して、各接触ピン2A,2Bが電極(半導体デバイスの電極51及び高周波基板の電極)に接触した検査時に貫通孔内に収まるので、検査時に貫通孔内に収まらずに電極側に露出した場合のような接触部位でのホルダーと隙間L(空気領域)との誘電率の違いによる特性インピーダンスの変化点が生じない。その結果、接触ピン2A,2Bが貫通孔内に収まる接触部位での特性インピーダンスを低減することができ、特に10GHzを超える周波数帯域での反射による減衰を低減して減衰量を小さくすることができる。
以下、各構成要素を詳しく説明する。
(半導体デバイス)
半導体デバイス50は、図1に示すように、本発明に係る検査治具10の検査対象である。この半導体デバイス50は、I/O変換の機能を持ち、10GHz以上の信号を送受信可能で、250μm以下の狭ピッチ電極を備えた半導体デバイス等であれば特に限定されない。具体的には、受光素子、発光素子及び電気信号電極等を任意に同一面に有するI/O変換機能を備えたものを好ましく挙げることができる。半導体デバイス50は、10GHz以上の高周波で駆動し、受光素子と発光素子との間で光信号の送受信を行っている。また、小型化もさらに進んでおり、サイズは5mm角以下、電極ピッチは250μm以下、さらに150μm以下の狭ピッチ電極を備えたものに対して好ましく検査できる。
一例としては、100Gbpsの光信号を受信し、25Gbpsで4ラインの電気信号で発信する半導体デバイス50を挙げることができる。この半導体デバイス50は、5mm角以下のサイズの受光素子52を複数個備え、同一面に電気信号を発信する電極51を150μmピッチで複数個有しているもの等を例示できる。
(高周波基板)
高周波基板11は、図1に示すように、プローブ1の位置を固定するホルダー14(高周波基板側ホルダー12と半導体デバイス側ホルダー13)に接合して一体化した検査治具10を構成している。高周波基板11は、半導体デバイス50に対して、ホルダー14を挟んだ反対側の位置に設けられている。
高周波基板11は、上記半導体デバイス50の検査に使用されるものであり、インピーダンス整合のために、片面(裏面ともいう。)にGND層を有し、他方の面(表面ともいう。)に回路パターンを有した高周波伝送可能な基板である。この高周波基板11は、表面の回路パターンと裏面のGND層との間に絶縁層が設けられている。絶縁層としては、例えば低誘電率のフッ素系絶縁材料(例えばPFA等)を挙げることができ、その厚さは特に限定されない。高周波基板11の回路パターンのピッチも特に限定されないが、近年の小型化・集積化に対応したものとして、例えば250μm以下、さらには150μm以下等を挙げることができる。例えば、回路パターンのピッチが150μmの場合、導体幅が70μmで導体間が80μmで精密配線されるように構成できる。
高周波基板11は、表面には回路パターンが高密度配線され、裏面にはGND層が配置されていることから、GND層が設けられた位置には穴が開けられないし、大きな穴や余計な穴を開けるスペースもない。しかし、この高周波基板11では、伝送線路のインピーダンスを保持したまま、図2の半導体デバイス側ホルダー13が有する穴20と同様の穴をあけている。その穴は、半導体デバイス50が有する受光素子52を含む位置に開けられ、検査器(図示しない)側の光ファイバー(図示しない)から照射される光信号を受光素子で受光することができる。さらに、図1に示すように、撮像装置40で得た画像を見ながら、図2に示す半導体デバイス上の目印53,54と、半導体デバイス側ホルダー13に少なくとも設けられた切り欠き21とを、目視又は撮像して位置決め調整することで、半導体デバイス50と検査治具10との位置合わせを行い、半導体デバイス50が備える電極51と、検査治具10が備えるプローブ1とを位置合わせしたうえで接触させることができる。
なお、高周波基板11の表面に設けられる回路パターンは、プローブ1と接続される回路パターンと、裏面のGND層とビア(スルーホールの内周にメッキで接続)で接続させているGNDパターンとで構成されている。高周波基板11では、プローブ1に接触する電極付近の回路パターンは幅が細いけれども、その回路パターンの幅を広くするように変化させるとインピーダンスが変化してしまう。そのため、幅が変化した回路パターンには、前記したGNDパターンを沿わせることによりインピーダンスを一定にすることができる。
(高周波基板側ホルダー)
高周波基板側ホルダー12は、図1に示すように、プローブ1の位置を固定するホルダー14(高周波基板側ホルダー12と半導体デバイス側ホルダー13)のうち、高周波基板側に位置するホルダーである。
高周波基板側ホルダー12は、図4に示すように、プローブ1を構成する高周波基板側接触ピン2Bを挿入する貫通孔12aを有している。この貫通孔12aの大きさとピッチは特に限定されないが、プローブ1の直径、高周波基板側接触ピン2Bの直径、検査対象となる電極の大きさとピッチとを考慮して形成されている。この高周波基板側ホルダー12は、半導体デバイス側ホルダー13と一定の距離の空気層9を空けて設置されている。こうすることにより、適当なインピーダンス整合を実現しやすくなる。
高周波基板側ホルダー12は、加工性、絶縁性、誘電率等を考慮して選択された樹脂材料で形成されていればよい。例えば、誘電率調整、加工精度及び加工性の観点では、ポリエステル系樹脂等の加工精度の良い樹脂を採用でき、誘電率を小さくするという観点では、フッ素系樹脂材料等の樹脂を採用でき、インピーダンスへの影響を小さくすることができる。好ましい例としては、インピーダンスへ整合のために加工精度を重視し、全芳香族ポリエステル系樹脂(誘電率3.0〜6.0の範囲内)のものを挙げることができる。ポリエステル系樹脂を採用することにより、特性インピーダンスを調整して全体の減衰量を小さくすることができる。また、反射特性を最少とするために、厚さは薄い方が望ましい。
高周波基板側ホルダー12と半導体デバイス側ホルダー13とは、一定の距離の空気層9を空けて設置されている。後述のように、本発明ではインピーダンス整合のためにプローブ1の周囲に誘電体を無くしているので、高周波基板側ホルダー12と半導体デバイス側ホルダー13との間を一定の距離とすることにより適当なインピーダンス整合を実現することができる。
高周波基板側ホルダー12には、図2の半導体デバイス側ホルダー13が有する穴20と同様の穴をあけている。その穴は、半導体デバイス50が有する受光素子52を含む位置に開けられ、検査器(図示しない)側の光ファイバー(図示しない)から照射される光信号を受光素子で受光することができる。さらに、図1に示すように、撮像装置40で得た画像を見ながら、図2に示す半導体デバイス上の目印53,54と、半導体デバイス側ホルダー13に少なくとも設けられた切り欠き21とを、目視又は撮像して位置決め調整することで、半導体デバイス50と検査治具10との位置合わせを行い、半導体デバイス50が備える電極51と、検査治具10が備えるプローブ1とを位置合わせしたうえで接触させることができる。穴20への切り欠きは、少なくとも半導体デバイス側ホルダー13には設けられているが、高周波基板側ホルダー12には設けられていなくてもよいし、必要に応じて設けられていてもよい。
なお、高周波基板側ホルダー12には、後述する半導体デバイス側ホルダー13と同様の堀り込み部を設けてもよい。こうすることにより、高周波基板側ホルダー12を薄くすることができる。
(半導体デバイス側ホルダー)
半導体デバイス側ホルダー13は、図1及び図4に示すように、プローブ1の位置を固定するホルダー14(高周波基板側ホルダー12と半導体デバイス側ホルダー13)のうち、半導体デバイス側に位置するホルダーである。
半導体デバイス側ホルダー13は、図4に示すように、プローブ1を構成する半導体デバイス側接触ピン2Aを挿入する貫通孔13aを有している。この貫通孔13aの大きさとピッチは特に限定されないが、プローブ1の直径、半導体デバイス側接触ピン2Aの直径、検査対象となる半導体デバイス50の電極51の大きさとピッチとを考慮して形成されている。この半導体デバイス側ホルダー13は、適当なインピーダンス整合を実現しやすくするため、高周波基板側ホルダー12と一定の距離を空けて設置されている。例えば、高周波基板側ホルダー12と半導体デバイス側ホルダー13とは、上面からみた形状がロの字形状のプレート15を間に介して固定され、高周波基板側ホルダー12と半導体デバイス側ホルダー13との間の空間16が一定の空間距離となるよう構成されている。
半導体デバイス側ホルダー13も、高周波基板側ホルダー12と同様、加工性、絶縁性、誘電率等を考慮して選択された樹脂材料で形成されていればよい。例えば、誘電率調整、加工精度及び加工性の観点では、ポリエステル系樹脂等の加工精度の良い樹脂を採用でき、誘電率を小さくするという観点では、フッ素系樹脂材料等の樹脂を採用でき、インピーダンスへの影響を小さくすることができる。好ましい例としては、インピーダンスへ整合のために加工精度を重視し、全芳香族ポリエステル系樹脂(誘電率3.0〜6.0の範囲内)のものを挙げることができる。ポリエステル系樹脂を採用することにより、特性インピーダンスを調整して全体の減衰量を小さくすることができる。また、反射特性を最少とするために、厚さは薄い方が望ましい。
半導体デバイス側ホルダー13には、光信号を送受信させるための穴20が設けられている。この半導体デバイス側ホルダー13では、図2に示すように、穴20への切り欠き21が設けられている。切り欠き21は、半導体デバイス上の目印53,54と最も近い位置に配置される半導体デバイス側ホルダー13に、その目印53,54と対応するように設ける。こうすることで、目視確認も容易であるし、撮像装置(カメラ)40の焦点を最も合わせやすく、正確な位置決めを可能とするのに最も有効である。半導体デバイス側ホルダー13に設けられた穴20の大きさは、高周波基板11及び高周波基板側ホルダー12に設けられた穴よりも小さい。こうすることにより、高周波基板側から、半導体デバイス側ホルダー13に設けられた切り欠き21を目視や撮像装置40で観察し易くなる。
半導体デバイス側ホルダー13は、検査治具10に組み込む際に必要な機械的強度が必要であるが、その機械的強度を確保するために、半導体デバイス側ホルダー13の厚さを一定の厚さ(1.15mm以上)とすることが望ましい。しかし、その厚さが厚くなり過ぎると、高周波基板側の撮像装置(カメラ)40から半導体デバイス側ホルダー13の切り欠き21と半導体デバイス上の目印53,54とを撮像する場合、半導体デバイス側ホルダー13の高周波基板側の面と半導体デバイス上の目印53,54との距離が大きくなってしまうので、焦点を双方同時に合わせることができない。そのため、半導体デバイス側ホルダー13の高周波基板側の面を薄くするための掘り込み部18を設けることが好ましい。この堀り込み部18により、前記した距離を短くすることができ、焦点を合わせ易くすることができる。また、半導体デバイス50をはめ込むための半導体デバイス側の面にも掘り込み部17を必要に応じて設けてもよく、中央部分の厚さをさらに薄くすることが可能である。
(プローブ)
プローブ1は、図1に示すように、高周波信号を送受信する半導体デバイス50の電気特性の検査に使用され、その電気特性を検査する電極51の対応位置に設けられる。複数のプローブ1は、図4に示すように、半導体デバイス50と高周波基板11との間のホルダー14(高周波基板側ホルダー12と半導体デバイス側ホルダー13)に保持されている。
個々のプローブ1は、図3(A)(B)の例には限定されないが、半導体デバイス側接触ピン2A、スプリング5及び高周波基板側接触ピン2Bを導体筒4中にその順で有している。各接触ピン2A,2Bのうち、一方の接触ピン2Aはその先端2aが半導体デバイス50の電極51に接触し、他方の接触ピン2Bはその先端2bが高周波基板11の電極に接触又は接合する。スプリング5は、接触ピン2A,2Bの間に位置する弾性部材であり、スプリング5の弾性力で両方又は一方の接触ピン2A,2Bが電極に接触する。なお、「両方又は一方」としたのは、半導体デバイス側接触ピン2Aはスプリング5で動いて電極51に接触するが、高周波基板側接触ピン2Bは必ずしもスプリング5で動かなくてもよく、高周波基板11の電極に接合されてもよいためである。
接触ピン2A,2B及び導体筒4の形状、形態、材質等は特に限定されず、検査対象となる電極の大きさやピッチ等を考慮して形成されている。材質は、良導電性の材質で構成されていればよく、例えば銅、銅合金、タングステン、パラジウム等の導電材料を挙げることができる。接触ピン2A,2Bと導体筒4とは電気的に導通している。スプリング5は、接触ピン2A,2B及び導体筒4の形状、形態に応じて任意に選択でき、特に限定されない。材質は特に限定されず、導電性を有しても有していなくてもよいが、所望の弾性力を生じさせるものが選択される。スプリング5と接触ピン2A,2Bとは接合部6において、はんだ又はカシメによって接合されている。導体筒4は、その両端を高周波基板側ホルダー12と半導体デバイス側ホルダー13とに当接させることで、空気層9の間隔を規制できるので、希望する空気層9の間隔に応じた長さとすることが望ましい。
プローブ1は、高周波基板11の回路パターンとGND層との距離が決められているので、インピーダンス整合させるためには、プローブ1の太さが制限される。例えば、高周波基板11の回路パターンのピッチが250μmの場合は、プローブ1の直径は0.09〜0.12mm程度であることが好ましく、各接触ピン2A,2Bの直径は狭ピッチ電極51にも対応できる0.05〜0.1mmの範囲内であることが好ましい。また、半導体デバイス50が発信する例えば25Gbps(12.5GHz)程度の信号で共振しないように、プローブ1の長さも5mm以下に制限されることが好ましい。
プローブ1は、電気信号電極用プローブ1Sとグランド電極用プローブ1Gとを有するが、いずれも同一形状であることが好ましい。こうすることにより、プローブ1を共通化できるとともに、特性インピーダンスへの影響を極力少なくすることができる。
こうしたプローブ1は、その長手方向両側に設けられたホルダー14(高周波基板側ホルダー12と半導体デバイス側ホルダー13)に保持されているが、各ホルダー12,13については、既に説明している。図4に示すように、いずれのホルダー12,13も、各接触ピン2A,2Bを挿入する貫通孔12a,13aを有し、その貫通孔12a,12bに各接触ピン2A,2Bの先端2a,2bが挿入され、各プローブ1が位置決めされている。貫通孔12a,12bの大きさは、各接触ピン2A,2Bの直径に応じて任意に設計され、それよりもやや大きい直径で設けられる。
本発明では、各接触ピン2A,2Bが電極51に接触又は接合する検査時に、各接触ピ2A,2Bが貫通孔内に収まるように構成されている。こうした動作は、図4に示すように、プローブ1がスプリング5を有するとともに、接触時に貫通孔内に収まる長さとなるように調整された構造形態により実現できる。
図4の構造形態例では、半導体デバイス50と半導体デバイス側ホルダー13とが近づいて接触ピン先端2a’(破線で示している)と電極51とが最初に接触したときの半導体デバイス50と半導体デバイス側ホルダー13とは隙間Lが残っている。その後、さらに半導体デバイス50と半導体デバイス側ホルダー13とが近づくと、接触ピン先端2a(実線で示している)はスプリング5で貫通孔内に収容され、電極51と半導体デバイス側ホルダー13とが当接して隙間Lがなくなる。このような隙間Lがなくなることにより、検査時に貫通孔内に収まらずに電極側に露出した図5に示す従来例のような接触部位でのホルダー13と隙間L(空気領域)との誘電率の違いによる特性インピーダンスの変化点が生じない。その結果、本発明では、接触ピン2A,2Bが貫通孔内に収まる接触部位での特性インピーダンスを低減することができ、その結果、特に10GHzを超える周波数帯域での反射による減衰を低減して減衰量を小さくすることができる。
なお、高周波基板側ホルダー12においても、上記同様、高周波基板11と接触ピン先端2bとを接触又は接合させて、高周波基板11の電極と高周波基板側ホルダー12とが当接して隙間をなくすことができ、上記同様の効果を実現できる。
(検査方法)
検査治具10で行う検査方法は、図1及び図2に示すように、高周波基板側に撮像装置40を配置し、その撮像装置40で得た画像を見ながら、半導体デバイス上の目印(電極54及び/又は回路パターン53)と、半導体デバイス側ホルダー13に少なくとも設けられた切り欠き21との位置合わせを行い、その位置合わせにより、半導体デバイス上の電極51とプローブ1とを位置合わせする。位置合わせされたプローブ1は、半導体デバイス50の電気特性を検査する電極51に接触して半導体デバイス50の電気特性を正確に検査する。
なお、撮像装置40は特に限定されず、CCDカメラ等を用いることができる。位置決めのための微調整手段も特に限定されず、XYZθ方向に駆動するステージ等を自動又は手動で動作させることにより行うことができる。なお、微調整手段は、当該分野又は関連分野で通常行われる手段であるので、本願ではその説明を省略する。
(特性インピーダンス)
図4において、高周波基板側ホルダー12(誘電率3.24)の厚さを0.2mmとし、空気層9(誘電率1.0)の隙間厚さを3.5mmとし、半導体デバイス側ホルダー13(誘電率3.24)の厚さを0.2mmとし、プローブ1は外径0.11mm、接触ピン外径0.09mmとし、各電極と各ホルダー14との隙間Lをゼロとした。特性インピーダンスは、高周波基板側ホルダー12で99.8Ω、空気層9で79.7Ω、半導体デバイス側ホルダー13で99.8Ωであり、トータル減衰量は−12.1dBとなった。各部の特性インピーダンスの変化点は少なく且つ変化量が小さく、減衰量も小さかった。
図5において、高周波基板側ホルダー12(誘電率3.24)の厚さを0.2mmとし、絶縁層8(誘電率2.1)の厚さを3.5mmとし、半導体デバイス側ホルダー13(誘電率3.24)の厚さを0.2mmとし、プローブ1は外径0.11mm、接触ピン外径0.09mmとし、各電極と各ホルダー14との隙間Lを0.1mmとした。特性インピーダンスは、隙間Lを含む高周波基板側ホルダー12で147.1Ω、絶縁層8で57.4Ω、隙間Lを含む半導体デバイス側ホルダー13で147.1Ωであり、トータル減衰量は−14.2dBとなった。各部の特性インピーダンスの変化点が多く且つその変化量は各部で大きく、減衰量も大きかった。
以上説明したように、本発明は、検査時において、プローブ1を構成する各接触ピン2A,2Bの一方又は両方が可動して、各接触ピン2A,2Bが電極(半導体デバイスの電極51及び高周波基板の電極)に接触するが、その検査時に各接触ピン2A,2Bが貫通孔内に収まるので、検査時に貫通孔内に収まらずに電極側に露出した場合のような接触部位でのホルダーと隙間L(空気領域)との誘電率の違いによる特性インピーダンスの変化点が生じない。その結果、こうした検査方法により、接触ピン2A,2Bが貫通孔内に収まる接触部位での特性インピーダンスを低減することができ、特に10GHzを超える周波数帯域での反射による減衰を低減して減衰量を小さくすることができる。
1 プローブ
1S 電気信号電極用プローブ
1G グランド電極用プローブ
2 プローブ金属部
2A 半導体デバイス側接触ピン
2a 検査時の接触ピン先端
2a’ 非検査時の接触ピン先端
2B 高周波基板側接触ピン
2b 検査時の接触ピン先端
2b’ 非検査時の接触ピン先端
3 プローブ胴体部
4 導体筒
6 接合部
5 スプリング
8 絶縁層
9 空気層
10 検査治具
11 高周波基板
12 高周波基板側ホルダー
12a 貫通孔
13 半導体デバイス側ホルダー
13a 貫通孔
14 ホルダー
15 プレート
16 空間
17 半導体デバイス側の掘り込み部
18 高周波基板側ホルダー側の掘り込み部
20 穴
21 切り欠き
40 撮像装置(カメラ)
50 半導体デバイス
51 プローブが接触する電極
52 受光素子(光学素子)
53 目印(回路パターン)
54 目印(電極)
55 基材
L 隙間(空気領域)

Claims (5)

  1. 高周波信号を送受信する半導体デバイスの電気特性の検査に使用され、前記電気特性を検査する電極の対応位置に設けられた複数のプローブを、前記半導体デバイスと高周波基板との間のホルダーに保持した検査治具であって、
    前記プローブは、半導体デバイス側接触ピン、スプリング及び高周波基板側接触ピンを導体筒中にその順で有し、該半導体デバイス側接触ピン及び該高周波基板側接触ピンの一方又は両方が可動する構造であり、
    前記ホルダーは、前記半導体デバイス側接触ピンを挿入する貫通孔を有する半導体デバイス側ホルダーと、前記高周波基板側接触ピンを挿入する貫通孔を有する高周波基板側ホルダーとで構成され、前記プローブが有する前記各接触ピンが検査時に前記貫通孔内に収まる、ことを特徴とする半導体デバイスの検査治具。
  2. 前記半導体デバイス側ホルダーと前記高周波基板側ホルダーとは、一定の距離の空気層を空けて設置されている、請求項1に記載の半導体デバイスの検査治具。
  3. 前記ホルダーが、誘電率3.0〜6.0の範囲内の絶縁樹脂で構成されている、請求項1又は2に記載の半導体デバイスの検査治具。
  4. 前記各接触ピンの直径が、0.05〜0.1mmの範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体デバイスの検査治具。
  5. 前記プローブは、電気信号電極用プローブとグランド電極用プローブとを有し、いずれも同一形状である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体デバイスの検査治具。
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