JP2020019878A - タンパク質安定化剤及びタンパク質の安定化方法 - Google Patents

タンパク質安定化剤及びタンパク質の安定化方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020019878A
JP2020019878A JP2018144123A JP2018144123A JP2020019878A JP 2020019878 A JP2020019878 A JP 2020019878A JP 2018144123 A JP2018144123 A JP 2018144123A JP 2018144123 A JP2018144123 A JP 2018144123A JP 2020019878 A JP2020019878 A JP 2020019878A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
protein
monomer
group
acrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018144123A
Other languages
English (en)
Inventor
啓輔 倉内
Keisuke Kurauchi
啓輔 倉内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Artience Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Ink SC Holdings Co Ltd filed Critical Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority to JP2018144123A priority Critical patent/JP2020019878A/ja
Publication of JP2020019878A publication Critical patent/JP2020019878A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系重合体(A)を用いることで、タンパク質の機能を損なうことなく安定保管が可能な、タンパク質安定化剤を提供することにある。また、該タンパク質安定化剤とタンパク質とを共存させることで、タンパク質の機能を損なうことなく安定保管が可能な、タンパク質の安定化方法を提供することにある。【解決手段】上記課題は、末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系重合体(A)を含有する、タンパク質安定化剤及びタンパク質の安定化方法によって解決される。【選択図】 なし

Description

本発明は、タンパク質安定化剤及びタンパク質の安定化方法に関する。
タンパク質はポリペプチド鎖内のファンデルワールス相互作用、水素結合、静電的相互作用などの非共有結合性の弱い極性相互作用によって高次構造が維持されており、このような高次構造により様々な機能が発現されている。これらの結合は外的なさまざまな要因(温度、pH、塩濃度、タンパク質自身の濃度、界面活性剤、変性剤、二価金属、プロテアーゼの共存)によって変化し、場合によってはタンパク質の構造が壊れて本来の機能が失われた状態となる。そのためタンパク質の安定性は機能的な高次構造を維持する能力と言い換えることができる。
このような理由からタンパク質を水溶液中で安定化させる必要があり、緩衝溶液中で常に所定の温度にして保存するなど保管条件の最適化や、安定化剤(アルブミンなど他のタンパク質、グリセロース・ポリエチレングリコール・スクロースなどの多価アルコール、グルタミン酸・リジンなどのアミノ酸、グルタチオン・ジチオトレイトールなどの還元剤、EDTAなどの金属キレート剤、クエン酸などの有機酸塩、重金属塩、基質、補酵素)を単独又は併用しての使用が検討されている(非特許文献1)。
特に合成化合物の安定化剤としては、例えば、特許文献1にはホスホリルコリン基を有する重合体、特許文献2にはカルボベタイン構造を有する低分子化合物、が開示されている。
特開平10−45794号公報 特表2005−513007号公報
新生化学実験講座1 タンパク質I 分離・精製・性質 16章
しかし、これらの方法はタンパク質の種類によっては、保持率や安定期間が満足できるものではない場合があり、更なる改良が求められている。
そこで、本発明の課題は、末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系重合体(A)を用いることで、タンパク質の機能を損なうことなく安定保管が可能な、タンパク質安定化剤を提供することにある。また、該タンパク質安定化剤とタンパク質とを共存させることで、タンパク質の機能を損なうことなく安定保管が可能な、タンパク質の安定化方法を提供することにある。
本願発明は、末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系重合体(A)を含有する、タンパク質安定化剤を用いることにより、タンパク質の機能を損なうことなく安定保管を可能とする効果を奏するものである。
以下に、本願発明〔1〕〜〔7〕を示す。
〔1〕 末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系重合体(A)を含有する、タンパク質安定化剤。
〔2〕 前記ビニル系重合体(A)が、下記一般式1〜3で表される少なくともいずれかの構造を側鎖に有する、〔1〕に記載のタンパク質安定化剤。
[一般式1〜3中、
は、炭素数1〜6のアルキレン基、
及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は、炭素数1〜4のアルキレン基
Xは、酸素原子又はNH、
Yは、COO又はSO
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
は、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
10〜R14のうち4つは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R10〜R14のうちの1つは、ビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
15は、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
*は、ビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。]
〔3〕 前記末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位の合計が、ビニル系重合体(A)の全構成単位中30〜95mol%である、〔1〕又は〔2〕に記載のタンパク質安定化剤。
〔4〕 前記ビニル系重合体(A)が、下記(i)又は(ii)のいずれかである、〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のタンパク質安定化剤。
(i)少なくとも、末端アニオン性基のベタイン構造を有する単量体(a)を含む単量体を重合してなる重合体。
(ii)少なくとも、3級アミノ基を有する単量体(a’)を含む単量体を重合してなる重合体の3級アミノ基に、ベタイン化剤(D)を反応させてなる重合体。
〔5〕 前記(i)又は(ii)の重合体が、炭素数1〜18のアルキル基を有する単量体(b)を、重合体を構成する単量体に含む、〔4〕に記載のタンパク質安定化剤。
〔6〕 前記ビニル系重合体(A)のガラス転移温度が−20℃〜150℃である、〔1〕〜〔5〕いずれか1項に記載のタンパク質安定化剤。
〔7〕 〔1〕〜〔6〕いずれか1項に記載のタンパク質安定化剤と、タンパク質とを共存させることを特徴とする、タンパク質の安定化方法。
本願発明により、末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系重合体(A)を用いることで、タンパク質の機能を損なうことなく安定保管が可能な、タンパク質安定化剤を提供することできる。また、該タンパク質安定化剤とタンパク質とを共存させることで、タンパク質の機能を損なうことなく安定保管が可能な、タンパク質の安定化方法を提供することができる。
本発明のタンパク質安定化剤は、末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系重合体(A)を含有することを特徴とする。
<ビニル系重合体(A)>
ビニル系重合体(A)は、末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含む。ここでベタイン構造とは、正電荷と負電荷を同一分子内の隣り合わない位置に持ち、正電荷をもつ原子には解離しうる水素原子が結合しておらず、全体としては中性である(電荷を持たない)構造を指す。即ち、ビニル系重合体(A)は、側鎖にベタイン構造を有し、ベタイン構造のアニオン性基が、ビニル系重合体の主鎖から離れた位置に存在しているものをいう。
ビニル系重合体(A)は、下記一般式1〜3で表される少なくともいずれかの構造を側鎖に有することが好ましく、従来公知のポリマーを用いることができ、2種以上を併用してもよい。分子内に末端アニオン性基のベタイン構造を有することで、たんぱく質周囲の環境を適切に制御し、優れたタンパク質安定化効果を有することができる。
このベタイン構造は30〜95mol%含まれることが好ましい。すなわち、末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位の合計が、ビニル系重合体(A)の全構成単位中30〜95mol%である
[一般式1〜3中、
は、炭素数1〜6のアルキレン基、
及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は、炭素数1〜4のアルキレン基
Xは、酸素原子又はNH、
Yは、COO又はSO
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
は、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
10〜R14のうち4つは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R10〜R14のうちの1つは、ビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
15は、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
*は、ビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。]
本発明において、ビニル系重合体(A)は、以下のような2つの方法で得ることができる。
(i)少なくとも、末端アニオン性基のベタイン構造を有する単量体(a)を含む単量体を重合してなる重合体。
(ii)少なくとも、3級アミノ基を有する単量体(a’)を含む単量体を重合してなる重合体の3級アミノ基に、ベタイン化剤(D)を反応させてなる重合体。
中でも、
(i−1)下記一般式4〜6で表される少なくともいずれかの単量体(a1)〜(a3)と、単量体(a1)〜(a3)以外の共重合可能な単量体とを共重合してなる共重合体(ビニル系重合体(i−1)ともいう)。
あるいは、
(ii−1)下記一般式7〜9で表される少なくともいずれかの3級アミノ基を有する単量体(a’4)〜(a’6)と、単量体(a’4)〜(a’6)以外の共重合可能な単量体とを共重合してなる共重合体中の3級アミノ基に、ベタイン化剤(D)を反応させてなる共重合体(ビニル系重合体(ii−1)ともいう)。
であることが好ましい。
[一般式4〜9中、
及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
16〜R20のうち4つは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
16〜R20のうちの1つは、CH=C(R21)−、
21は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
**は、ベタイン化剤(D)との反応部位、を表す。
〜R、R〜R及びR15は、一般式1〜3で示したものと同義である。]
<水溶性ビニル系重合体(i−1)>
水溶性ビニル系重合体(i−1)は、前述の通り、一般式4〜6で示される群から選択される少なくもといずれかの単量体(a1)〜(a3)を共重合体の構成単位とするものである。単量体(a1)〜(a3)の利用によって、ビニル重合体の側鎖に末端アニオン性基のベタイン構造を導入することができる。そこで、単量体(a1)〜(a3)は、ベタイン単量体ということもできる。
<末端アニオン性基のベタイン構造を有する単量体(a)>
末端アニオン性基のベタイン構造を有する単量体(a)としては、前述の単量体(a1)〜(a3)が好適に用いられる。
<単量体(a1)>
単量体(a1)としては、例えば、
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインなどのN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインなどのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−スルホベタインなどが挙げられる。本発明において(メタ)アクリルと表記した場合、メタクリル若しくはアクリルであることを示す。
<単量体(a2)>
単量体(a2)としては、例えば、
1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−3−(3−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(4−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩などの1−ビニル−2−アルキル−3−(4−スルホアルキル)イミダゾリウム内部塩などが挙げられる。
<単量体(a3)>
単量体(a3)としては、例えば、
2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、2−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの2−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩;4−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、4−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの4−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩が挙げられる。
<3級アミノ基を有する単量体(a’)>
3級アミノ基を有する単量体(a’)>としては、前述の単量体(a’4)〜(a’6)が好適に用いられる。
<単量体(a’4)>
単量体(a’4)としては、例えば、
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアンモニウム、
N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアンモニウム、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウム;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウム、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウム;N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウム、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムが挙げられる。
<単量体(a’5)>
単量体(a’5)としては、例えば、1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルビニルイミダゾールなどが挙げられる。
<単量体(a’6)>
単量体(a’6)としては、例えば、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなど挙げられる。
<ベタイン化剤(D)>
ベタイン化剤(D)は、3級アミノ基を有する単量体(a’)を含む単量体を重合してなる重合体の3級アミノ基における窒素原子をベタイン化するために用いられる化合物群であり、好ましくは、単量体(a’4)〜(a’6)の**で示される窒素原子をベタイン化するために用いられる化合物群である。
ベタイン化剤(D)としては、スルホベタイン化又はカルボベタイン化するものが好ましく用いられ、このようなベタイン化剤としては、環状スルホン酸エステル(D1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(D2)、環状カルボン酸エステル(D3)及びω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(D4)からなる群より選択される。
環状スルホン酸エステル(D1)としては、例えば、1,2−エタンスルトン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンが挙げられる。
ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(D2)としては、例えば、2-クロロエタンスルホン酸ナトリウム、2-ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、3-クロロプロパンスルホン酸ナトリウム、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、4-クロロブタンスルホン酸ナトリウム、4-ブロモブタンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
環状カルボン酸エステル(D3)としては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンなどが挙げられる。
ω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(D4)としては、例えば、2−クロロ酢酸ナトリウム、2−ブロモ酢酸ナトリウム、3−クロロプロピオン酸ナトリウム、3−ブロモプロピオン酸ナトリウム、4−クロロ酪酸ナトリウム、4−ブロモ酪酸ナトリウム、5−クロロペンタン酸ナトリウム、5−ブロモペンタン酸ナトリウムなどが挙げられる。
<その他単量体>
前述の(i)又は(ii)の重合体を得る際に、末端アニオン性基のベタイン構造を有する単量体(a)、3級アミノ基を有する単量体(a’)の他に、その他単量体を用いることができる。
[炭素数1〜18のアルキル基を有する単量体(b)]
その他単量体としては、炭素数1〜18のアルキル基を有する単量体(b)を用いることが好ましい。単量体(b)に基づく構成単位の導入により、水への親和性や樹脂の硬さを適切に制御し、タンパク質周囲の環境を適切に制御することで、優れたタンパク質安定化効果を有することができる。
炭素数1〜18のアルキル基を有する単量体(b)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
単量体(b)以外のその他単量体(c)を用いることもできる。具体例を下記に示す。
[単量体(b)以外のその他単量体(c)]
(単量体(c1))
単量体(b)以外のその他単量体の中でも水酸基、カルボン酸基、無水カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、1〜3級アミド基、1〜4級アミン基、ポリエーテル鎖を分子構造内に有するものを単量体(c1)とする。ビニル系重合体(A)は、極性官能基を有する単量体(c1)に基づく構成単位を有することで、極性官能基を有することができる。
単量体(c1)としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコールなどの水酸基を有する単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、又は、これらのアルキル若しくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸などのカルボン酸基、若しくはその無水物を有する単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有する単量体;(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアッシドホスフェートなどのリン酸基を有する単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−ペントキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、
ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどの1〜3級アミド基を有する単量体;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、及びトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライドなどの1〜4級アミン基を有する単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖を有する単量体が挙げられる。
(単量体(c2))
単量体(b)及び(c1)以外のその他単量体(c2)としては、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアクリルエステル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族エステル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル,リノレン酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチルなどのエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和単量体などの(メタ)アクリレート系単量体が挙げられる。
また単量体(c2)としては、例えば、ラクトン変性(メタ)アクリレートなどのポリエステル鎖を有するエチレン性不飽和化合物などの側鎖に高分子構造を有する(メタ)アクリレート系単量体が挙げられる。
また単量体(c2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、アリルベンゼン、エチニルベンゼン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有エチレン性不飽和単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニル系化合物;ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系エチレン性不飽和単量体;酢酸アリル、シアン化アリルなどのアリル単量体;シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトンなどのビニル単量体;アセチレン、エチニルトルエンなどのエチニル単量体パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレンなどのパーフルオロアルキル、アルキレン類などのパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和化合物等の、(メタ)アクリレートではないエチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。
本発明において、その他単量体の有するエチレン性不飽和結合基は、重合性の観点から(メタ)アクリレート基若しくは芳香族ビニル基であることが好ましい。
<ビニル系重合体(A)の組成>
ビニル系重合体(i−1)の場合、全単量体(即ち、単量体(a1)〜(a3)、及び必要に応じて用いられるその他単量体との合計)100mol%中、単量体(a1)〜(a3)の合計量は、好ましくは30〜95mol%であり、より好ましくは40〜80mol%である。単量体(a1)〜(a3)が上記範囲にあることによって、好適な水溶性を発現すると共に、たんぱく質の周囲環境を適切に制御することで、優れたタンパク質安定化効果を得ることができる。
単量体(b)量は、全単量体(即ち、単量体(a1)〜(a3)、及び必要に応じて用いられるその他単量体との合計)100mol%中、好ましくは5〜70mol%であり、より好ましくは20〜60mol%である。70mol%以下とすることにより、たんぱく質に対する疎水的な相互作用を抑制でき、タンパク質の劣化を抑えることができる。5mol%以上であることにより、単量体(a1)〜(a3)が相対的に少なくなり、ビニル系重合体(i−1)の水溶性を適度に抑制し、タンパク質周囲の環境を適切に制御することができる。
単量体(b)以外のその他単量体(c)を用いる場合、全単量体(即ち、単量体(a1)〜(a3)、及び必要に応じて用いられるその他単量体との合計)100mol%中、単量体(c)量は、好ましくは0〜65mol%であり、より好ましくは0〜40mol%である。
単量体(c)として、極性官能基を有する単量体(c1)を用いる場合、全単量体(即ち、単量体(a1)〜(a3)、及び必要に応じて用いられるその他単量体との合計)100mol%中、極性官能基を有する単量体(c1)は0〜20mol%であることが好ましい。
単量体(a1)〜(a3)に由来するベタイン構造の効果を発揮させるため、その他単量体(c)は少ない方が好ましい。
また、ビニル系重合体(ii−1)の場合は、ビニル系重合体(i−1)と同様の理由から、全単量体(即ち、単量体(a’4)〜(a’6)、及び必要に応じて用いられるその他単量体との合計)100mol%中、単量体(a’4)〜(a’6)に由来する構造のうちベタイン化剤(D)と反応してなる部分が30〜95mol%であることが好ましく、40〜80mol%であることがより好ましい。
単量体(b)は、全単量体(即ち、単量体(a’4)〜(a’6)、及び必要に応じて用いられるその他単量体との合計)100mol%中、5〜70mol%であることが好ましく、20〜60mol%であることがより好ましい。
単量体(b)以外のその他単量体(c)を用いる場合、全単量体(即ち、単量体(a’4)〜(a’6)、及び必要に応じて用いられるその他単量体との合計)100mol%中、単量体(c)と単量体(a’4)〜(a’6)に由来する構造のうちベタイン化剤(D)が反応していない部分との合計量は0〜65mol%であることが好ましく、0〜40mol%であることがより好ましい。
その他の単量体(c)として、極性官能基を有する単量体(c1)を用いる場合、全単量体(即ち、単量体(a’4)〜(a’6)、及び必要に応じて用いられるその他単量体との合計)100mol%中、極性官能基を有する単量体(c1)と単量体(a’4)〜(a’6)に由来する部分にベタイン化剤(D)が反応していない部分は0〜20mol%であることが好ましい。
<ガラス転移温度>
ビニル系重合体(A)のガラス転移温度(以下、Tgともいう)は、−20℃〜150℃が好ましく、50〜130℃がより好ましい。Tgが−20℃以上150℃以下であることにより、たんぱく質の周囲の環境を適切に制御することができ、優れたタンパク質安定化効果を得ることができる。
DSC(示差走査熱量計)によるガラス転移温度の測定は以下のようにして行うことができる。ビニル系重合体(A)の溶液を乾固し、得られた樹脂約2mgをアルミニウムパン上で秤量し、該試験容器をDSC測定ホルダーにセットし、10℃/分の昇温条件にて得られるチャートの吸熱ピークを読み取る。このときのピーク温度を本発明のガラス転移温度とする。
<質量平均分子量>
ビニル系重合体(A)の質量平均分子量は、好ましくは2,000〜1,000,000であり、好ましくは10,000〜500,000であり、より好ましくは20,000〜200,000であり、特に好ましくは5,000〜150,000である。
ビニル系重合体(A)の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準プルラン換算で計測した値を採用した。測定装置及び測定条件としては下記条件1による。その他の事項については、JISK7252−1〜4:2008を参照した。なお、難溶の高分子化合物については下記条件の下、溶解可能な濃度で測定した。また、ビニル系重合体(A)の分子量測定が困難な場合は、末端アニオン性ベタイン変性前の前駆体ポリマーの質量平均分子量をビニル系重合体(A)の質量平均分子量とした。末端アニオン性ベタイン変性前の前駆体ポリマーの質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用し、測定装置及び測定条件としては、下記条件2によることを基本とした。
(条件1)
カラム:OHpak SB−G、
OHpak SB−806M HQを3本及び、
OHpak SB−802.5 HQを連結したもの。
キャリア:1/15 mol/L pH7.0 リン酸緩衝液
(りん酸緩衝剤粉末1/15 mol/L pH7.0(富士フイルム和光純薬(株)製)をイオン交換水1Lに溶解させたもの)
キャリア流量:1.0mL/min
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1mL
(条件2)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAW4000、
TOSOHTSKgelSuperAW3000 及び
TOSOHTSKgelSuperAW2500を連結したもの。
キャリア:N,N−ジメチルホルムアミド(1L)、トリエチルアミン(3.04g)、LiBr(0.87g)の混合液
測定温度:40℃
キャリア流量:0.6mL/min
<タンパク質の安定化方法>
本発明のタンパク質安定化剤と、タンパク質を共存させることにより、タンパク質を安定に保管することができる。安定化剤とタンパク質は、共通の溶媒に溶解又は分散させることで共存させることができる。
安定化剤とタンパク質を共存させる溶媒は水系の溶媒が好ましい。例えば、水やリン酸緩衝生理食塩水やトリス緩衝生理食塩水があげられる。水はメタノールやエタノール、プロピルアルコール、テトラヒドロフランなど水と混合できる有機溶剤を一部含んでもよい。
タンパク質に対して本発明の安定化剤は質量で好ましくは100倍、更に好ましくは10,000倍加えて使用する。安定化剤の添加量が不十分な場合、安定化効果が発現できない可能性がある。同じ理由から、安定化剤は溶液の全量に対して好ましくは0.01%以上、更に好ましくは0.1%以上加えて使用する。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例及び比較例における「部」は「質量部」を表し、molとは物質量を表し、mol%は全単量体中の物質量の割合を表す。なお、質量平均分子量(Mw)及びガラス転移温度(Tg)の測定方法は上述の通りである。
<各種ベタインモノマーの合成>
ビニル系重合体(a)の合成に用いたN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインは、特開2012−187907号公報の段落0262を参考に合成した。同様に、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボベタインは特開平11−222470号公報の段落0045を、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩と2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩は特開平8−218065号公報の段落0039を参考に合成した。2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンは東京化成工業株式会社から購入したものを用いた。
<ビニル系重合体(A)の合成>
(ビニル系重合体(A−1))
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、エタノール60部を仕込み、内温を75℃に昇温し十分に窒素置換した。別途用意しておいた、2,2‘−アゾビス−2−メチルプロピオンアビジンを0.4部、単量体(a1)としてN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインを29.5部(50mol%)、単量体(b)としてメチルメタクリレートを8.1部(40mol%)、単量体(c1)として2−ヒドロキシエチルアクリレートを1.2部(5mol%)、単量体(c1)としてジエチルアクリルアミドを1.3部(5mol%)混合したものを、内温を75℃に保ちながら3時間滴下を続け、さらに2時間撹拌を続けた。固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、冷却して取出した。その後、オーブンでエタノールを完全に揮発させ、ビニル系重合体(A−1)を得た。
得られたビニル系重合体(A−1)のTgは96℃であり、質量平均分子量は84,000であった。
(ビニル系重合体(A−2〜17))
表1に示す組成に変更した以外は、ビニル系重合体(A−1)と同様にして、ビニル系重合体(a−2〜17)を得た。
(ビニル系重合体(A−18))
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、エタノール60部を仕込み、内温を75℃に昇温し十分に窒素置換した。別途用意しておいた、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジンを0.4部、単量体(a’4)としてメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを29.0部(50mol%)、単量体(b)としてメチルメタクリレートを5.9部(30mol%)、ブチルアクリレートを5.1部(20mol%)混合したものを、内温を75℃に保ちながら3時間滴下を続け、さらに2時間撹拌を継続し、共重合体を得た。
固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、ベタイン化剤として、1,4−ブタンスルトンを31.7部(前記単量体(a’4)の1.5倍量)加え、更に20時間撹拌を続けた。
次いで、冷却して取出し、オーブンでエタノールを完全に揮発させた。乾燥させたビニル系重合体をメチルエチルケトンでよく洗浄し、副生成物や残存した原料を取り除き、末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系重合体(A−18)を得た。得られたビニル系重合体(A−18)のTgは96℃であり、質量平均分子量は99,000であった。
ビニル系重合体(A−18)は、以下の反応式10に示すように、1,4−ブタンスルトンの開環反応により、単量体(a1)の一種であるN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインを用いたビニル系重合体(A−1)等と同様のベタイン構造を側鎖に有するものである。
(ビニル系重合体(A−19〜23))
表2示す組成に変更した以外はビニル系重合体(A−18)と同様にして、3級アミノ基含有ビニル系重合体を得た後、3級アミノ基含有ビニル系重合体中の単量体(a’4)〜(a’6)に由来する3級アミノ基にベタイン化剤(D)を反応させて、ビニル系重合体(A−19〜23)を得た。以下に、各々の反応式11〜15を示す。
表1及び2中の略称を以下に示す。
DMBS:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン
DMMC:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボベタイン
VSPI:1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩
VSPP:2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩
MMA:メチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
AA:アクリル酸
DEAA:ジエチルアクリルアミド
St:スチレン
IBXMA:イソボルニルアクリレート
DM:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン
VI:1−ビニルイミダゾール
VP:2−ビニルピリジン
<タンパク質安定化剤水溶液の調整>
[実施例1]
(タンパク質安定化剤水溶液(AS−1))
ビニル系重合体(A−1)を、リン酸緩衝生理食塩水(以下PBS溶液)に溶解させ、固形分濃度0.1質量%のタンパク質安定化剤水溶液(AS−1)を得た。
[実施例2〜23]
(タンパク質安定化剤水溶液(AS−2〜23))
タンパク質安定化剤水溶液(AS−1)と同様の方法で、表3に示すビニル系重合体(A)をPBS溶液に溶解させ、タンパク質安定化剤水溶液(AS−2〜23)を得た。
[比較例1]
(タンパク質安定化剤水溶液(AS−24))
無水ベタイン(東京化成株式会社 製)を、タンパク質安定化剤水溶液(AS−1)と同様の方法でPBS溶液に溶解させ、タンパク質安定化剤水溶液(AS−24)を得た。
<タンパク質安定化剤の評価>
[評価用酵素水溶液の調整]
HRP標識CRP抗体(abcam社製)を8.0ng/mlとなるように、得られたタンパク質安定化剤水溶液1mlで希釈・混合し、評価用の酵素水溶液を作成した。評価用酵素水溶液は濃度変化が無いよう、よく密閉し25℃暗所で保管した。
[酵素活性評価]
ペルオキシダーゼ用発色キット(住友ベークライト製)を用い、発色剤(3,3‘,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)溶液)を10mlと基質液(過酸化水素水)100μlを混合し発色液を得た。
この発色液100μlと、評価用酵素水溶液100μlとを96穴ウェルプレートに加え、30℃暗所で20分間静置した。これに停止液(硫酸水溶液)を100μl加え反応を停止させた。450nmでの吸光度をプレートリーダーMultimode Reader Mithras2 LB943(BERTHOLD TECHNOLOGIES社製)で測定し、反応により生じたTMBZ酸化物の量を定量した。TMBZの酸化反応はHRP標識CRP抗体の活性と相関するため、得られた吸光度を酵素活性の指標として使用することができる。
[タンパク質安定化効果の評価]
上記酵素活性評価を、評価用酵素水溶液の保管前と25℃30日間保管後の2回行い、吸光度を測定した。保管前の吸光度を100%としたときの、保管後の吸光度の比率を計算して相対吸光度とし、下記基準にてタンパク質の変性を評価した。
30日保管後の相対吸光度
◎:95%以上(極めて良好)
○:90%以上、95%未満(良好)
△:80%以上、90%未満(使用可能)
×:80%未満(使用不可)
表3に示すように、末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系重合体(A)を含有する、タンパク質安定化剤を用いることで、優れたタンパク質安定化効果が得られた。
一方、末端アニオン性基のベタイン構造を有する低分子化合物を用いた比較例1は、タンパク質と共存させ保管しても十分な安定化効果が得られないことが分かった。これは、末端アニオン性基のベタイン構造を有するビニル系重合体でないことにより、タンパク質の外部環境を適切に制御できなかったためであると考えられる。

Claims (7)

  1. 末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系重合体(A)を含有する、タンパク質安定化剤。
  2. 前記ビニル系重合体(A)が、下記一般式1〜3で表される少なくともいずれかの構造を側鎖に有する、請求項1に記載のタンパク質安定化剤。
    [一般式1〜3中、
    は、炭素数1〜6のアルキレン基、
    及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は、炭素数1〜4のアルキレン基
    Xは、酸素原子又はNH、
    Yは、COO又はSO
    は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、
    は、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
    10〜R14のうち4つは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、R10〜R14のうちの1つは、ビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
    15は、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
    *は、ビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。]
  3. 前記末端アニオン性基のベタイン構造を有する繰り返し単位の合計が、ビニル系重合体(A)の全構成単位中30〜95mol%である、請求項1又は2に記載のタンパク質安定化剤。
  4. 前記ビニル系重合体(A)が、下記(i)又は(ii)のいずれかである、請求項1〜3いずれか1項に記載のタンパク質安定化剤。
    (i)少なくとも、末端アニオン性基のベタイン構造を有する単量体(a)を含む単量体を重合してなる重合体。
    (ii)少なくとも、3級アミノ基を有する単量体(a’)を含む単量体を重合してなる重合体の3級アミノ基に、ベタイン化剤(D)を反応させてなる重合体。
  5. 前記(i)又は(ii)の重合体が、炭素数1〜18のアルキル基を有する単量体(b)を、重合体を構成する単量体に含む、請求項4に記載のタンパク質安定化剤。
  6. 前記ビニル系重合体(A)のガラス転移温度が−20℃〜150℃である、請求項1〜5いずれか1項に記載のタンパク質安定化剤。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載のタンパク質安定化剤と、タンパク質とを共存させることを特徴とする、タンパク質の安定化方法。
JP2018144123A 2018-07-31 2018-07-31 タンパク質安定化剤及びタンパク質の安定化方法 Pending JP2020019878A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018144123A JP2020019878A (ja) 2018-07-31 2018-07-31 タンパク質安定化剤及びタンパク質の安定化方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018144123A JP2020019878A (ja) 2018-07-31 2018-07-31 タンパク質安定化剤及びタンパク質の安定化方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020019878A true JP2020019878A (ja) 2020-02-06

Family

ID=69588157

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018144123A Pending JP2020019878A (ja) 2018-07-31 2018-07-31 タンパク質安定化剤及びタンパク質の安定化方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020019878A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023243727A1 (ja) * 2022-06-17 2023-12-21 国立研究開発法人科学技術振興機構 生体試料の保存剤組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023243727A1 (ja) * 2022-06-17 2023-12-21 国立研究開発法人科学技術振興機構 生体試料の保存剤組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9714369B2 (en) Physically crosslinkable adhesive copolymer
JP2014048278A (ja) 無機材料で構成される表面用の表面処理剤、該表面処理剤でコーティングされた器具、その製造方法、及び新規重合体
JP2012136694A (ja) 高−界面活性剤配合物のためのポリマー
KR20140116133A (ko) 아크릴계 폴리머를 제조하는 방법 및 이에 의해 생산된 제품
CN103732635B (zh) 聚合物、含有该聚合物的表面亲水化剂以及具有亲水性表面的基材的制造方法
JP2005503452A (ja) 制御されたラジカル重合によって造られる界面活性ブロックコポリマー
JP7093975B2 (ja) 両性イオンポリマー、その製造方法、及び両性イオンポリマーを含むタンパク質安定化剤
JP2020019878A (ja) タンパク質安定化剤及びタンパク質の安定化方法
JPH08245731A (ja) 乳化剤特性を有するグラフトポリマー
CN110283272A (zh) 一种含苯环二元共聚物的应用方法
JP2004534893A (ja) 感圧型接着剤の水白化耐性を改善する方法
JP2019207143A (ja) 生化学分析用ブロッキング剤
JP6061520B2 (ja) 水溶性コポリマー
JP2014210888A (ja) 両性イオン型エチレン性不飽和単量体とその製造方法。
JP6874447B2 (ja) 生化学分析用ブロッキング剤。
JP2022020522A (ja) 硬化性組成物
KR20210145496A (ko) 아크릴계 에멀젼 점착제 조성물
US6368521B1 (en) Water-based coating composition
JP2018072148A (ja) 生化学分析用ブロッキング剤
JP7151203B2 (ja) 細胞培養培地添加剤、細胞培養培地及び細胞凝集塊の製造方法
TWI833755B (zh) 含(甲基)丙烯酸系共聚物之組成物
JP4070017B2 (ja) 水性樹脂分散体及びその製造方法
JP2013144801A (ja) ペイント中の接着促進剤としてのコポリマーの使用
JP5149564B2 (ja) エマルジョン燃料
CN113429510B (zh) 一种可擦式水性丙烯酸可移胶及其制备工艺