JP2019207143A - 生化学分析用ブロッキング剤 - Google Patents

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natsuko Kokubo
奈津子 小久保
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啓輔 倉内
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Abstract

【課題】本発明の課題は、標的のたんぱく質に対する染色剤の特異吸着による発色を妨げることなく、標的以外のたんぱく質を十分に覆い、標的以外のたんぱく質に対する染色剤の非特異吸着を防止して発色させない効果を発揮する生化学分析用ブロッキング剤を提供することである。【解決手段】上記課題は、ベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系スターポリマー(A)を含有する、生化学分析用ブロッキング剤によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、生化学分析用ブロッキング剤に関する。また本発明は、ビニル系スターポリマーに関する。
生化学分析の分野では、抗原抗体反応による特異吸着を利用し、標的のDNAやたんぱく質を検出し可視化する方法が、サザンブロッティング法、ウエスタンブロッティング法、ELISA法、免疫染色法等として広く知られている。抗体は、標的たんぱく質以外とも非特異的な吸着反応を起こす。このような非特異的吸着を防ぐために、検出・測定対象表面を、非特異的な吸着は防ぐけれど特異的吸着は妨げないようなブロッキング剤で覆うような前処理が行われる。
ブロッキング剤としては、正常血清、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、スキムミルクのような生体由来のたんぱく質が知られている(特許文献1、非特許文献1)。
また、ホスホリルコリン基を側鎖に有する共重合体を用いたブロッキング剤の開発も検討されている(特許文献2、非特許文献2)。
国際公開第2016/052690号 特開平07−083923号公報
「渡辺・中根 酵素抗体法」学際企画株式会社刊 2002年 高分子論文集 第35巻 7号 423(1978)
しかし、特許文献1や非特許文献1に開示されるような生体由来のたんぱく質は、性能にばらつきが生じやすいという潜在的な課題を有している。また、特許文献2や非特許文献2に開示される共重合体は、原料の単量体合成時に複数の反応やそれに伴う精製が必要であるなど生産性に問題を有している。さらに生化学分析においてブロッキング剤として用いた時に感度の低下をもたらすなど、さらなる改善が必要であった。
本発明は、標的のたんぱく質に対する染色剤の特異吸着による発色を妨げることなく、標的以外のたんぱく質を十分に覆い、標的以外のたんぱく質に対する染色剤の非特異吸着を防止して発色させない効果を発揮する生化学分析用ブロッキング剤を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、下記〔1〕〜〔6〕に関する。
〔1〕 ベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系スターポリマー(A)を含有する、生化学分析用ブロッキング剤。
〔2〕 前記ビニル系スターポリマー(A)が、下記一般式1〜3で表される少なくともいずれかの繰り返し単位を含む、〔1〕に記載の生化学分析用ブロッキング剤。
一般式1
一般式2
一般式3
(一般式1〜3中、
は水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基、
Xは酸素原子又はNH、
YはCOO又はSO
は水素原子又はメチル基、
は水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
は水素原子又はメチル基、
10〜R14のうちの1つはビニル系スターポリマーの主鎖の*部分と直接結合し、
10〜R14のうち4つはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表す。)
〔3〕 前記一般式1〜3で表される繰り返し単位の合計が、ビニル系スターポリマー(A)の全構成単位中30〜99mol%である、〔2〕に記載の生化学分析用ブロッキング剤。
〔4〕 前記ビニル系スターポリマー(A)が、下記(i)又は(ii)のいずれかである〔1〕〜〔3〕に記載の生化学分析用ブロッキング剤。
(i)少なくともベタイン構造を有する繰り返し単位を形成するビニル系モノマー(a1)を含むビニル系モノマー(a2)と、三官能以上のチオール基含有化合物(x)と、からなる共重合体。
(ii)3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)を含むビニル系モノマー(a4)と、三官能以上のチオール基含有化合物(x)と、からなる共重合体の3級アミノ基に、ベタイン化剤(E)を反応させてなる共重合体。
〔5〕 前記ビニル系モノマー(a2)又は(a4)が、さらに、炭素数1〜18のアルキル基を有するビニル系モノマー(a5)を含む、〔4〕に記載の生化学分析用ブロッキング剤。
〔6〕 下記一般式1〜3で表される少なくともいずれかの繰り返し単位を含む、ビニル系スターポリマー(A)。
一般式1
一般式2
一般式3
(一般式1〜3中、
は水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基、
Xは酸素原子又はNH、
YはCOO又はSO
は水素原子又はメチル基、
は水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
は水素原子又はメチル基、
10〜R14のうちの1つはビニル系スターポリマーの主鎖の*部分と直接結合し、
10〜R14のうち4つはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表す。)
本発明により、標的のたんぱく質に対する染色剤の特異吸着による発色を妨げることなく、標的以外のたんぱく質を十分に覆い、標的以外のたんぱく質に対する染色剤の非特異吸着を防止して発色させない効果を発揮する生化学分析用ブロッキング剤を提供することが出来る。これにより、感度よくウエスタンブロッティングや免疫組織染色などの抗原抗体反応を利用した生化学分析を行うことが可能になる。
以下において、本発明の生化学分析用ブロッキング剤及びビニル系スターポリマーについて詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
<生化学分析用ブロッキング剤>
<ベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系スターポリマー(A)>
本発明の生化学分析用ブロッキング剤は、ベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系スターポリマー(A)を含有する。「ベタイン構造」とは、正電荷と負電荷とを同一分子内の隣り合わない位置に有し、正電荷を有する原子には解離できる水素原子が結合しておらず、分子全体としては無電荷である構造を意味する。分子内のベタイン構造は、たんぱく質への吸着抑制効果を有する。さらにビニル系スターポリマーが有する分岐構造は、牛血清アルブミン等生体由来のたんぱく質の水溶液中での溶解状態に類似しているため、優れたブロッキング性能が得られると推察される。
本発明で用いるベタイン構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式1〜4で表される構造等が挙げられるが、これらに限定されず、2種以上の繰り返し単位を併用してもよい。
一般式1
一般式2
一般式3
(一般式1〜3中、
は水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基、
Xは酸素原子又はNH、
YはCOO又はSO
は水素原子又はメチル基、
は水素原子又はメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
は水素原子又はメチル基、
10〜R14のうちの1つはビニル系スターポリマーの主鎖の*部分と直接結合し、
10〜R14のうち4つはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表す。)
一般式4
(一般式4中、
16は水素原子又はメチル基、
Xは酸素原子又はNH、
17は−(CH−CHR22O)m−(CH−CHR22)−基(ここで、R22は水素原子、メチル基又はエチル基をを表し、mは0〜10の整数を表す。)、
18は−(CH)g−(ここで、gは0〜10の整数を表す。)、
19〜R21はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。)
中でも、ビニル系スターポリマー(A)はポリマーの製造及び精製の観点から、好ましくは一般式1〜3で表される繰り返し単位を含み、より好ましくは、下記(i)又は(ii)のいずれかである。
(i)少なくともベタイン構造を有する繰り返し単位を形成するビニル系モノマー(a1)を含むビニル系モノマー(a2)と、三官能以上のチオール基含有化合物(x)と、からなる共重合体。
(ii)少なくとも3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)を含むビニル系モノマー(a4)と、三官能以上のチオール基含有化合物(x)と、からなる共重合体の3級アミノ基に、ベタイン化剤(E)を反応させてなる共重合体。
ベタイン構造を有する繰り返し単位を形成することができるビニル系モノマー(a1)は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよく、例えば、後述の3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)の3級アミノ基に、後述のベタイン化剤(E)を反応させて製造することができる。
<少なくともベタイン構造を有する繰り返し単位を形成するビニル系モノマー(a1)を含むビニル系モノマー(a2)>
ビニル系モノマー(a2)は、少なくともベタイン構造を有する繰り返し単位を形成するビニル系モノマー(a1)を含むものである。
[ベタイン構造を有する繰り返し単位を形成するビニル系モノマー(a1)]
ビニル系モノマー(a1)は、少なくともベタイン構造を有する繰り返し単位を形成するものであり、好ましくは前記一般式1〜4で表される少なくともいずれかの繰り返し単位を形成するものである。以下に、一般式1〜4の繰り返し単位を形成するモノマーについて説明する。
一般式1の繰り返し単位を形成することができるモノマーとしては、
例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;
N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルコキシ−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインなどのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−スルホベタインなどが挙げられる。本発明において(メタ)アクリルと表記した場合、メタクリルもしくはアクリルであることを示す。
一般式2の繰り返し単位を形成することができるモノマーとしては、
例えば、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−3−(3−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(4−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩などの1−ビニル−2−アルキル−3−(4−スルホアルキル)イミダゾリウム内部塩などが挙げられる。
一般式3の繰り返し単位を形成することができるモノマーとしては、
例えば、2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、2−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの2−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩;
4−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、4−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの4−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩が挙げられる。
一般式4の繰り返し単位を形成することができるモノマーとしては、
例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルエチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェートが挙げられる。
さらに、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4’−(トリブチルルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル3’−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル4’−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル3’−(トリエチルアンモニオ)プロピルエチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル4’−(トリエチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル3’−(トリプロピルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル4’−(トリプロピルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル3’−(トリブチルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル4’−(トリブチルアンモニオ)ブチルホスフェートが挙げられる。
[その他ビニル系モノマー]
ビニル系モノマー(a2)は、少なくともベタイン構造を有する繰り返し単位を形成するビニル系モノマー(a1)以外の、その他ビニル系モノマーを含んでもよい。その他ビニル系モノマーの中でも、水酸基、カルボン酸基、無水カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、1〜3級アミド基、1〜4級アミン基、ポリエーテル鎖を分子構造内に有するものを、極性官能基を有するビニル系モノマーとする。
(極性官能基を有するビニル系モノマー)
極性官能基を有するビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコールなどの水酸基を有する単量体;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、又は、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸などのカルボン酸基、もしくはその無水物を有する単量体;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有する単量体;
(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアッシドホスフェートなどのリン酸基を有する単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどの1〜3級アミド基を有する単量体;
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、及びトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライドなどの1〜4級アミン基を有する単量体;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖を有する単量体が挙げられる。
極性官能基を有するビニル系モノマー以外のその他ビニル系モノマーとしては、
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族エステル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル,リノレン酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチルなどのエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和単量体などの(メタ)アクリレート系単量体;
ラクトン変性(メタ)アクリレートなどのポリエステル鎖を有するエチレン性不飽和化合物などの側鎖に高分子構造を有する(メタ)アクリレート系単量体;
スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、アリルベンゼン、エチニルベンゼン等の芳香族ビニル単量体;
(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有エチレン性不飽和単量体;
酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニル系化合物;ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系エチレン性不飽和単量体;
酢酸アリル、シアン化アリルなどのアリル単量体;
シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトンなどのビニル単量体;
アセチレン、エチニルトルエンなどのエチニル単量体;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレンなどのパーフルオロアルキル、アルキレン類などのパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和化合物等の、(メタ)アクリレートではないエチレン性不飽和結合を有する単量体;
等が挙げられる。
(炭素数1〜18のアルキル基を有するビニル系モノマー(a5))
その他ビニル系モノマーとしては、炭素数1〜18のアルキル基を有するビニル系モノマーを含むことが好ましい。炭素数1〜18のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体を用いることにより、ビニル系スターポリマー(A)の極性や硬さが適切に制御され、優れたブロッキング性能を発揮することができる。
炭素数1〜18のアルキル基を有するビニル系モノマー(a5)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、などのアルキル(メタ)アクリレート;
1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
本発明において、その他ビニル系モノマーの有するビニル基は、重合性の観点から(メタ)アクリレート基もしくは芳香族ビニル基であることが好ましい。
<少なくとも3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)を含むビニル系モノマー(a4)>
ビニル系モノマー(a4)は、少なくとも3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)を含むものである。
[3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)]
3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)は、3級アミノ基にベタイン化剤(E)を反応させることにより、ベタイン構造を有する繰り返し単位を形成するビニル系モノマー(a1)とすることができる。以下に、ベタイン化剤(E)を反応させることで一般式1〜3の繰り返し単位を形成することができる、3級アミノ基を有するビニル系モノマーについて説明する。
ベタイン化剤(E)を反応させることで一般式1の繰り返し単位を形成することができる3級アミノ基を有するビニル系モノマーとしては、例えば、
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアミン、
などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアミン;
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアミン、
などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアミン;
N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアミン、
などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルコキシ−N,N−ジメチルアミンなどが挙げられる。
ベタイン化剤(E)を反応させることで一般式2の繰り返し単位を形成することができる3級アミノ基を有するビニル系モノマーとしては、例えば、1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール、などの1−ビニル−2−アルキル−イミダゾールが挙げられる。
ベタイン化剤(E)を反応させることで一般式3の繰り返し単位を形成することができる3級アミノ基を有するビニル系モノマーとしては、例えば、4−ビニル−ピリジン、2−ビニル−ピリジンなどのビニルピリジンが挙げられる。
[その他ビニル系モノマー]
ビニル系モノマー(a4)は、少なくとも3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)以外の、その他ビニル系モノマーを含んでもよい。その他モノマーとしては、前述のその他ビニル系モノマーと同義である。
本発明のビニル系スターポリマー(A)は、前記一般式1〜4で表される少なくともいずれかの繰り返し単位の合計が、全構成単位中30〜99mol%であることが好ましく、40〜96mol%であることがより好ましい。より好ましくは、本発明のビニル系スターポリマー(A)は、前記一般式1〜3で表される少なくともいずれかの繰り返し単位の合計が、全構成単位中30〜99mol%であることが好ましく、40〜96mol%であることがより好ましい。上記特定範囲内にあることによって、好適な水溶性を発現すると共に、抗原抗体反応は阻害せず、標的以外のたんぱく質に対する染色剤の非特異吸着を抑制できるため好ましい。一般式1〜4で表される少なくともいずれかの繰り返し単位の合計量(mol%)は、全ビニル系モノマーに対する、一般式1〜4で表される繰り返し単位を形成するビニル系モノマーの合計量(mol%)により算出することができる。
また、炭素数1〜18のアルキル基を有するビニル系モノマー(a5)は、全ビニル系モノマーの合計100mol%中、1〜70mol%であることが好ましく、さらに4〜60mol%であることが好ましい。70mol%以下とすることにより、染色の標的であるたんぱく質に対する疎水的な相互作用を抑制でき、効果的に染色阻害を抑制できる点で好ましい。1mol%以上とすることにより、ビニル系スターポリマーの水溶性を適度に抑制し、標的以外のたんぱく質への吸着を向上できる点で好ましい。
<ビニル系スターポリマー(A)の合成>
本発明のビニル系スターポリマーの合成法は、3官能以上のコア部から逐次又は連鎖的に重合し、枝ポリマーを形成する方法であってもよいし、合成した枝ポリマーを少なくとも3官能以上のコア部とカップリングする方法であっても良い。好適に用いられる方法として、連鎖移動剤を用いてラジカル重合を行う方法が挙げられる。連鎖移動剤としては、チオール基含有化合物を挙げることができ、少なくとも3官能以上のチオール基含有化合物存在下、ラジカル重合を行う方法がプロセス上簡便であり好ましい。
[3官能以上のチオール基含有連鎖移動剤(x)]
3官能以上のチオール基含有化合物は、分子内に連鎖移動剤として作用する3官能以上のチオール基(‐SH基)があればよく、そのような化合物として、例えば下記一般式5で表す化合物が挙げられる。
一般式5
(一般式5中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はイソシアヌレート基を表す。nはそれぞれ独立に0〜10の整数を表し、kは0〜3の整数を表し、lは0〜4の整数を表し、mは0〜3の整数を表し、kは0〜3の整数を表し、lは0〜3の整数を表し、mは0〜3の整数を表す。ただし、kとlとmとの総和は4以下であり、kとlとmとの総和は4以下であり、lとlの総和は3以上である。)
が表すアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基を挙げることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
が表すアルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基を挙げることができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。
が表すアリール基としては、炭素数6から30のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
本発明のビニル系スターポリマー(A)の合成に用いる少なくとも3官能以上のチオール基含有化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明で採用することができるチオール含有化合物はこれらの具体例に限定されるものではない。
本発明のビニル系スターポリマー(A)は上記3官能以上のチオール基含有連鎖移動剤(x)を用いて重合することで、スター構造のような分岐構造を持つだけでなく、ポリマー分子内に硫黄原子を組み込むことができる。そのため、牛血清アルブミン等生体由来のたんぱく質の構造や、あるいは水溶液中での溶解状態に近づくことができるため、優れたブロッキング性能が得られると推察される。
本発明で使用する上記3官能以上のチオール基含有連鎖移動剤(x)は、重合反応時の添加量でビニル系スターポリマーの重量平均分子量(Mw)が決まる。そのため3官能以上のチオール基含有連鎖移動剤(x)の添加量は、全ビニル系モノマーに対して、0.1質量%〜15質量%が好ましく、さらに0.1質量%〜10質量%が好ましい。0.1%質量%以上加えることで重合反応時の熱制御や分子量制御がしやすく、15質量%以下にすることで優れたブロッキング性能を有する分子量となる。
また前述のように、合成した枝ポリマーを少なくとも3官能以上のコア部とカップリングしてビニル系スターポリマー(A)を合成することもできる。具体例としては、以下の方法が挙げられる。
(1)少なくともベタイン構造を有する繰り返し単位を形成するビニル系モノマー(a1)を含むビニル系モノマー(a2)と、2−メルカプトエタノール等の官能基含有連鎖移動剤とを用いて、片末端に水酸基を有するビニル系ポリマーを合成する。
(2)得られた片末端に水酸基を有するビニル系ポリマーの末端水酸基に、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートを反応させて、片末端にイソシアネート基を有するビニル系ポリマーを合成する(枝ポリマーに相当)。
(3)得られた片末端にイソシアネート基を有するビニル系ポリマーと、トリス(2-アミノエチル)アミン等の3官能以上の1級アミノ基を持つ化合物(3官能以上のコア部に相当)とを反応させて、ビニル系スターポリマー(A)を得る。
また、ビニル系スターポリマー(A)の合成においては必要に応じて溶媒を使用することができる。使用できる溶媒としては、特に制限はないが、重合反応等の反応に影響を与えない範囲で、かつモノマー及び生成するスターポリマーが溶解する溶媒が好ましい。
<ベタイン化剤(E)>
ベタイン化剤(E)は、好ましくは、環状スルホン酸エステル(E1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)、環状カルボン酸エステル(E3)及びω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)からなる群より選択される。3級アミノ基を有するビニル系モノマー由来の3級アミノ基の窒素の少なくとも一部と反応させて、スルホベタイン化もしくはカルボベタイン化するために用いられる化合物群である。
このような環状スルホン酸エステル(E1)としては、例えば、1,2−エタンスルトン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンが挙げられる。
このようなω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)としては、例えば、2-クロロエタンスルホン酸ナトリウム、2-ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、3-クロロプロパンスルホン酸ナトリウム、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、4-クロロブタンスルホン酸ナトリウム、4-ブロモブタンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
このような環状カルボン酸エステル(E3)としては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンなどが挙げられる。
このようなω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)としては、例えば、2−クロロ酢酸ナトリウム、2−ブロモ酢酸ナトリウム、3−クロロプロピオン酸ナトリウム、3−ブロモプロピオン酸ナトリウム、4−クロロ酪酸ナトリウム、4−ブロモ酪酸ナトリウム、5−クロロペンタン酸ナトリウム、5−ブロモペンタン酸ナトリウムなどが挙げられる。
3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)を重合してなるビニル系スターポリマーとベタイン化剤(E)との反応例を下記スキーム1〜6に示す。
スキーム1
スキーム2
スキーム3
スキーム4
スキーム5
スキーム6
<ビニル系スターポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)>
ビニル系スターポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜5,000,000が好ましく、さらに1,000〜1,000,000が好ましい。重量平均分子量(Mw)1,000以上であることで、標的以外の非特異的吸着を抑制でき、5,000,000以下であることで、水溶性とすることができる。
ビニル系スターポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用する。測定装置及び測定条件としては、下記条件1 によることを基本とし、試料の溶解性等により条件2 とすることを許容する。ただし、重合体種によっては、さらに適宜適切なキャリア( 溶離液) 及びそれに適合したカラムを選定して用いてもよい。その他の事項については、JISK7252−1〜4:2008を参照することとする。なお、難溶の高分子化合物については下記条件の下、溶解可能な濃度で測定することとする。
(条件1)
カラム:TOSOHTSKgelSuperHZM−H、
TOSOHTSKgelSuperHZ4000、
TOSOHTSKgelSuperHZ2000 ををつないだカラムを用いる。
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
(条件2)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAWM−Hを2本つなげる
キャリア:10mMLiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
また、ビニル系スターポリマー(A)の分子量測定が困難な場合は、ベタイン前駆体ポリマーの重量平均分子量をビニル系スターポリマー(A)の重量平均分子量とすることが出来る。ベタイン前駆体ポリマーの重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用し、測定装置及び測定条件としては、下記条件3によることを基本とする。
(条件3)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAW4000、
TOSOHTSKgelSuperAW3000 、
TOSOHTSKgelSuperAW2500
をつないだカラムを用いる
キャリア:N,N−ジメチルホルムアミド(1L)、トリエチルアミン(3.04g)、LiBr(0.87g)の混合液
測定温度:40℃
キャリア流量:0.6ml/min
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を表し、molとは物質量を表し、mol%は全単量体中の物質量の割合を表す。
<各種ベタインモノマーの合成>
ビニル系スターポリマー(A)の合成に用いたN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインは、国際公開第2014/185977号の段落0032を参考に使用した。同様に、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボベタインは特開平11−222470号公報の段落0036を、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩と2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩は特開平08−218065号公報の段落0018を参考に合成した。
<ビニル系スターポリマー(A)の製造>
[製造例1]
ガス導入管、攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、ブタノールを25.8部、ビニル系モノマー(a1)としてN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインを95部(89.3mol%)、炭素数1〜18のアルキル基を有するビニル系モノマー(a5)としてブチルアクリレートを5.0部(10.7mol%)を仕込んだ。さらにここに、チオール含有連鎖移動剤(x)としてトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)を全ビニル系モノマーの合計質量に対して3質量%になるように、3.0部加え、十分に窒素置換したのち、内温を90℃に昇温した。別途ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピネート)を0.1部とブタノール42.9部を混合したものを準備し、これを13分割して添加した。なお、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピネート)のブタノール溶液は、反応容器が90℃で安定化した時点で1回目の添加を行い、以後30分おきに反応容器に添加した。合計反応時間が8時間となったところで固形分測定を行い、転化率が98%超えたことを確認し、冷却して取出した。その後、オーブンでブタノールを完全に揮発させ、ビニル系スターポリマー(A−1)を得た。
得られたビニル系スターポリマー(A−1)を25℃のイオン交換水中99g中に1g入れて撹拌し溶解後、25℃で24時間放置した。その結果これらの樹脂は分離、析出ともに見られず、完全に溶解可能であり、水溶性であることが示された。
[製造例2〜15]
表1に示す配合組成で、製造例1と同様の方法でビニル系スターポリマー(A−2〜A−15)を合成した。表1中の数値は特に断りのない限り、mol%を表す。
表1中の略称を以下に示す。
DMBS:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン(一般式1相当)
DMMC:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボベタイン(一般式1相当)
VSPI:1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩(一般式2相当)
VSPP:2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩(一般式3相当)
MPC:2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(一般式4相当)
MMA:メチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
2EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
AA:アクリル酸
St:スチレン
TMMP:トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
PEMP:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
DPMP:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)
[製造例16]
ガス導入管、攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、ブタノール25.8部、3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)としてメタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを50部(51.7mol%)、炭素数1〜18のアルキル基を有するビニル系モノマー(a5)としてブチルアクリレートを20.0部(10.9mol%)、その他ビニル系モノマーとしてヒドロキシエチルメタクリレート30.0部(37.4mol%)を仕込んだ。さらにここに、チオール基含有連鎖移動剤(x)としてトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)を全ビニル系モノマーの合計重量に対して3質量%になるように、3.0部加え、十分に窒素置換したのち、内温を90℃に昇温した。別途ジメチル2,2'-アゾビス(2−メチルプロピネート)を0.1部とブタノール42.9部を混合したものを準備し、これを13分割して添加した。なお、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピネート)のブタノール溶液は、反応容器が90℃で安定化した時点で1回目の添加を行い、以後30分おきに反応容器に添加した。合計反応時間が8時間となったところで固形分測定を行い、転化率が98%超えたことを確認し、3級アミノ基を有するビニル系スターポリマーを得た。その後、ベタイン化剤(E)として1,4−ブタンスルトンを65.0部(前記3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)由来のアミノ基の1.5倍に当たる量)加え、さらに20時間撹拌を続けた。
次いで、冷却して取り出し、オーブンでブタノールを完全に揮発させ、ビニル系スターポリマー(A−16)を得た。乾燥させた樹脂をメチルエチルケトンでよく洗浄し、副生成物や残存した原料を取り除いた。
得られたビニル系スターポリマー(A−16)を25℃のイオン交換水中99g中に1g入れて撹拌し溶解後、25℃で24時間放置した。その結果これらの樹脂は分離、析出ともに見られず、完全に溶解可能であり、水溶性であることが示された。
[製造例17〜21]
表2に示す組成にて3級アミノ基を有するビニル系スターポリマーを合成した後、ベタイン化剤(E)を反応させ、ベタイン構造を有するビニル系スターポリマー(A−17〜A−21)を得た。表2中の数値は特に断りのない限り、mol%を表す。
表2中の略称を以下に示す。
DM:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン(一般式1相当)
VI:1−ビニルイミダゾール(一般式2相当)
VP:2−ビニルピリジン(一般式3相当)
MMA:メチルメタクリレート
2EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
St:スチレン
TMMPトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
DPMP:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)
[製造例22]
(枝ポリマー+コア部とのカップリングによるスターポリマーの合成)
ガス導入管、攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、酢酸エチル26.8部、ビニル系モノマー(a1)としてN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインを95部(89.3mol%)、炭素数1〜18のアルキル基を有するビニル系モノマー(a5)としてブチルアクリレートを5.0部(10.7mol%)を仕込んだ。さらにここに、メルカプトエタノールを7.0部加え、十分に窒素置換したのち、内温を90℃に昇温した。別途ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピネート)を0.1部と酢酸エチル80.2部を混合したものを準備し、これを13分割して添加した。なお、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピネート)の酢酸エチル溶液は、反応容器が90℃で安定化した時点で1回目の添加を行い、以後30分おきに反応容器に添加した。合計反応時間が8時間となったところで固形分測定を行い、転化率が98%超えたことを確認後冷却して、重量平均分子量5,000の片末端にヒドロキシル基を有したベタイン構造含有のプレポリマー1(固形分50%溶液)を取出した。
次にガス導入管、攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、プレポリマー1の固形分50%溶液を214部、イソホロンジイソシアネート19.9部と、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.3g仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、6時間反応した後、40℃まで冷却して取り出し、片末端イソシアネート基を有したベタイン構造含有のプレポリマー2を得た。
次にガス導入管、攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、酢酸エチル189.2部、トリス(2−アミノエチル)アミン0.03部を仕込み、十分に窒素置換したのち、内温を100℃に昇温した。別途プレポリマー2の固形分54.3%溶液を233.9部を30分かけて滴下し、さらに1時間反応した後、室温まで冷却して反応を終了した。これにより、枝ポリマーとなる片末端イソシアネート基を有したベタイン構造含有のプレポリマー2と、コア部となるトリス(2-アミノエチル)アミンが反応して、枝ポリマーとコア部がウレア結合したビニル系スターポリマーを得た。その後、オーブンで酢酸エチルを完全に揮発させ、重量平均分子量15,000のビニル系スターポリマー(A−22)を得た。
得られたビニル系スターポリマー(A−22)を25℃のイオン交換水中99g中に1g入れて撹拌し溶解後、25℃で24時間放置した。その結果これらの樹脂は分離、析出ともに見られず、完全に溶解可能であり、水溶性であることが示された。
[比較製造例1]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、エタノール60部を仕込み、内温を75℃に昇温し十分に窒素置換した。別途用意しておいた、ジメチル2,2'-アゾビス(2−メチルプロピネート)を0.4部、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを70.0部(47mol%)、ブチルアクリレートを15.0部(23.2mol%)、メチルメタクリレートを15.0部(29.7mol%)、を混合したものを、内温を75℃に保ちながら3時間滴下を続け、さらに2時間撹拌を続けた。固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、冷却して取出した。その後、オーブンでエタノールを完全に揮発させ、比較ビニル系重合体(HA−1)を得た。
なお、25℃のイオン交換水中99g中に、得られた比較ビニル系重合体(HA−1)を1g入れて撹拌し溶解後、25℃で24時間放置した。その結果これらの樹脂は分離、析出ともに見られず、完全に溶解可能であり、水溶性であることが示された。
[比較製造例2]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、ブタノール25.8部、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを50部(41.9mol%)、メチルメタクリレートを25.0部(32.9mol%)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート25.0部(25.3mol%)を仕込んだ。さらにここに、チオール含有連鎖移動剤(x)としてトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)を全ビニル系モノマーの合計重量に対して3%になるように、3.0部加え、十分に窒素置換したのち、内温を90℃に昇温した。別途ジメチル2,2'-アゾビス(2−メチルプロピネート)を0.1部とブタノール42.9部を混合したものを準備し、これを13分割して添加した。なお、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピネート)のブタノール溶液は、反応容器が90℃で安定化した時点で1回目の添加を行い、以後30分おきに反応容器に添加した。合計反応時間が8時間となったところで固形分測定を行い、転化率が98%超えたことを確認後、冷却して取出した。その後、オーブンでブタノールを完全に揮発させ、ベタイン構造を含有しない比較ビニル系スターポリマー(HA−2)を得た。
得られた比較ビニル系スターポリマー(HA−2)を25℃のイオン交換水中99g中に1g入れて撹拌し溶解後、25℃で24時間放置した。その結果これらの樹脂は分離、析出ともに見られず、完全に溶解可能であり、水溶性であることが示された。
<ブロッキング剤の調製>
[実施例1]
(ブロッキング剤1溶液の調整)
得られたビニル系スターポリマー(A−1)を、リン酸緩衝生理食塩水(以下PBS溶液)に溶かし、固形分1質量%のブロッキング剤1の溶液を得た。
[実施例2〜22、比較例1〜2]
(ブロッキング剤2〜24溶液の調整)
ビニル系スターポリマー(A−1)を、ビニル系スターポリマー(A−2〜A−22)及び比較ビニル系重合体(HA−1〜HA−2)に変更した以外は、ブロッキング剤1溶液と同様にして、ブロッキング剤2〜24の溶液を得た。
<ブロッキング剤の評価>
実施例及び比較例で得られたブロッキング剤溶液について、下記のとおり、[抗原抗体反応試験]及び[非特異吸着試験]を実施し、吸光度の差異を基準に評価した。結果を表3に示す。
[抗原抗体反応試験]
(ウェルプレートの固相抗体処理)
固相用CRP抗体ab8279(abcam社製)が25μg/mlの濃度になるようにPBS溶液で調整した。この固相用CRP抗体溶液をPSt製96穴ウェルプレートに50μlずつ添加し、室温2時間静置した後、溶液を吸引し除去した。
(抗原吸着処理)
CRP抗原8C72(Hytest社製)が2μg/mlになるようにPBS溶液で調整した。このCRP抗原溶液を、前述の固相抗体処理した96穴ウェルプレートに50μlずつ添加し、4℃12時間静置した後、溶液を吸引し除去した。
(ブロッキング処理)
得られたブロッキング剤溶液を、前述の抗原処理した96穴ウェルプレートに50μlずつ添加し、室温2時間静置した後、溶液を吸引し除去した。
(標識抗体吸着処理)
HRP標識CRP抗体ab24462(abcam社製)が0.08μg/mlになるようにPBS溶液で調整した。このHRP標識CRP抗体溶液を、前述のブロッキング処理した96穴ウェルプレートに50μlずつ添加し、室温2時間静置した後、溶液を吸引し除去した。その後各ウェルにPBS溶液200μlずつ添加し吸引除去し、これを3回繰り返した。
(発色反応)
住友ベークライト社製ペルオキシダーゼ用発色キットの発色剤10mlと基質液0.1mlを用いて発色溶液を調整した。この発色溶液を前述の標識抗体吸着処理した96穴ウェルプレートに100μlずつ添加し、室温1時間静置した。次に各ウェルに住友ベークライト社製ペルオキシダーゼ用発色キットの停止液100μlを添加した。
(吸光度A測定)
各ウェルの450nmの吸光度Aを測定した。これは、抗原抗体反応(特異吸着)によりウェルに吸着した抗体量を表す吸光度である。
[非特異吸着試験]
(ウェルプレートの固相抗体処理)
固相用CRP抗体ab8279(abcam社製)が25μg/mlの濃度になるようにPBS溶液で調整した。この固相用CRP抗体溶液をPSt製ELISA用96穴ウェルプレートに50μlずつ添加し、室温2時間静置した後、溶液を吸引し除去した。
(ブロッキング処理)
得られたブロッキング剤溶液を、前述の固相抗体処理した96穴ウェルプレートに50μlずつ添加し、室温2時間静置した後、溶液を吸引し除去した。
(標識抗体吸着処理)
HRP標識CRP抗体ab24462(abcam社製)が0.08μg/mlになるようにPBS溶液で調整した。このHRP標識CRP抗体溶液を、前述のブロッキング処理した96穴ウェルプレートに50μlずつ添加し、室温2時間静置した後、溶液を吸引し除去した。その後各ウェルにPBS溶液200μlずつ添加し吸引除去し、これを3回繰り返した。
(発色反応)
住友ベークライト社製ペルオキシダーゼ用発色キットの発色剤10mlと基質液0.1mlを用いて発色溶液を調整した。この発色溶液を前述の標識抗体吸着処理した96穴ウェルプレートに100μlずつ添加し、室温1時間静置した。次に各ウェルに住友ベークライト社製ペルオキシダーゼ用発色キットの停止液100μlを添加した。
(吸光度B測定)
各ウェルの450nmの吸光度Bを測定した。これは、抗原がないため、標識抗体の非特異吸着によるウェルに吸着した抗体量を表す吸光度である。
[評価基準]
◎:1.0≦(吸光度A−吸光度B) :良好
〇:0.8≦(吸光度A−吸光度B)<1.0 :使用可能
△:0.5≦(吸光度A−吸光度B)<0.8 :使用不可
×:(吸光度A−吸光度B)<0.5 :不良
表3に示すように、本発明の生化学分析用ブロッキング剤を用いることで、CRP抗原抗体反応を利用した生化学分析を行うことができた。具体的には、本発明のビニル系スターポリマー(A)を使用した実施例1〜22は、CRP抗原抗体反応と非特異吸着反応の吸光度の差が大きく、CRP抗原抗体反応を高感度に検出できた。すなわち、これは本発明の生化学分析用ブロッキング剤に含まれるビニル系スターポリマー(A)が、ベタイン構造を有し且つ分岐構造をもつスターポリマーであるために、抗体との相互作用が適切に制御され、CRPの抗原抗体反応を阻害せず、CRP抗原抗体反応以外の非特異的な吸着反応を抑えることができたためであると考えられる。
一方、ベタイン構造を有するビニル系スターポリマーを用いていないブロッキング剤を使用した比較例1及び2は、CRP抗原抗体反応と非特異吸着反応の吸光度の差が小さく、分析として十分な感度を得ることができなかった。これは、ベタイン構造とビニル系スターポリマーとを共に満たさない場合は、CRPの抗原抗体反応以外の非特異的な吸着反応を抑えることができない、あるいは、CRPの抗原抗体反応自体を阻害したため、と推察される。

Claims (6)

  1. ベタイン構造を有する繰り返し単位を含むビニル系スターポリマー(A)を含有する、生化学分析用ブロッキング剤。
  2. 前記ビニル系スターポリマー(A)が、下記一般式1〜3で表される少なくともいずれかの繰り返し単位を含む、請求項1に記載の生化学分析用ブロッキング剤。
    一般式1

    一般式2

    一般式3

    (一般式1〜3中、
    は水素原子又はメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は炭素数1〜4のアルキレン基、
    Xは酸素原子又はNH、
    YはCOO又はSO
    は水素原子又はメチル基、
    は水素原子又はメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
    は水素原子又はメチル基、
    10〜R14のうちの1つはビニル系スターポリマーの主鎖の*部分と直接結合し、
    10〜R14のうち4つはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
    15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表す。)
  3. 前記一般式1〜3で表される繰り返し単位の合計が、ビニル系スターポリマー(A)の全構成単位中30〜99mol%である、請求項2に記載の生化学分析用ブロッキング剤。
  4. 前記ビニル系スターポリマー(A)が、下記(i)又は(ii)のいずれかである請求項1〜3に記載の生化学分析用ブロッキング剤。
    (i)少なくともベタイン構造を有する繰り返し単位を形成するビニル系モノマー(a1)を含むビニル系モノマー(a2)と、三官能以上のチオール基含有化合物(x)と、からなる共重合体。
    (ii)3級アミノ基を有するビニル系モノマー(a3)を含むビニル系モノマー(a4)と、三官能以上のチオール基含有化合物(x)と、からなる共重合体の3級アミノ基に、ベタイン化剤(E)を反応させてなる共重合体。
  5. 前記ビニル系モノマー(a2)又は(a4)が、さらに、炭素数1〜18のアルキル基を有するビニル系モノマー(a5)を含む、請求項4に記載の生化学分析用ブロッキング剤。
  6. 下記一般式1〜3で表される少なくともいずれかの繰り返し単位を含む、ビニル系スターポリマー(A)。
    一般式1

    一般式2

    一般式3

    (一般式1〜3中、
    は水素原子又はメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は炭素数1〜4のアルキレン基、
    Xは酸素原子又はNH、
    YはCOO又はSO
    は水素原子又はメチル基、
    は水素原子又はメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
    は水素原子又はメチル基、
    10〜R14のうちの1つはビニル系スターポリマーの主鎖の*部分と直接結合し、
    10〜R14のうち4つはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、
    15は炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表す。)
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