JP2020019843A - インク、インク収容容器、およびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
<1>色材、高分子化合物、下記一般式(1)で表される化合物、SP値が9.0以上、11.0以下の溶剤Sを含み、
前記高分子化合物は、芳香族基を有するビニルモノマー(A)に由来する構造単位と、(メタ)アクリル酸またはそのエステルであるモノマー(B)に由来する構造単位とを有する高分子化合物であって、前記芳香族基を有するビニルモノマー(A)に由来する構造単位に対する前記(メタ)アクリル酸またはそのエステルであるモノマー(B)に由来する構造単位の比B/A(質量比)が0.20〜0.60であり、
前記溶剤Sのインク中における含有量が10質量%以下であるインク。
ただし、一般式(1)中、Rは炭素数8〜13のアルキル基を示し、R1は水素原子又はメチル基を示し、nは2〜12の整数を示す。
<2>前記溶剤Sが、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、イソプロピリデングリセロール及びN,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミドから選択される少なくとも1種を含む<1>に記載のインク。
<3>前記溶剤Sのインク中における含有量が3質量%以上7質量%以下である<1>または<2>に記載のインク。
<4>前記高分子化合物の芳香族基を有するビニルモノマー(A)に由来する構造単位が、下記一般式(2)で表される構造単位である<1>から<3>のいずれかに記載のインク。
ただし、式中R2は水素原子かメチル基、Lは炭素数が2〜18のアルキレン基である。
ただし、一般式(3)中、m=0〜7、k=2〜15である。
<7><1>から<6>のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなるインク収容容器。
<8><7>に記載のインク収容容器と、前記インク収容容器から供給されるインクを吐出する吐出手段とを有するインクジェット記録装置。
コート紙における浸透は、コート層にある通気孔(数nm)を通して行われているが、インク中の表面に高分子化合物が吸着している顔料粒子や高分子化合物の集合体である樹脂エマルションは通気口のサイズに較べて大きく(数10nm〜200nm)、通気口を塞ぐことはないと考えられる。一方で、表面に高分子化合物が吸着している顔料粒子や、樹脂エマルジョンから分子単位で高分子化合物が分離した状態を「遊離した高分子化合物」と呼び、通気口の開口径と同程度の大きさであるため、開口部を塞ぎ、コート層下部のセルロース繊維からなる支持層にビヒクル成分(色材、樹脂を除く成分)が浸透することを妨げることで画像の乾きが悪くなり、ビーディングが発生すると考えられる。
上記一般式(1)で表される化合物は、界面活性剤であり、遊離した高分子化合物が通気孔を塞ぐのを妨げる働きがあり、ビーディング抑制が可能である。しかし、特にSP値が9.0〜11.0の溶剤Sに溶解しやすいため、コート紙にビーディングのない良好な画像を得るためには、溶剤Sと一般式(1)の両者を共用する必要がある。
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、混晶(ピグメントレッド122/ピグメントバイオレット19)、混晶(ピグメントレッド202/ピグメントバイオレット19)、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
分散剤として、竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
顔料分散体に対し、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
本発明のインクは、SP値が9.0以上11.0以下の溶剤Sを少なくとも1種含有する。これにより、記録媒体への濡れ性が向上し、塗工層を持つ吸インク性の悪いコート紙などの商業印刷用紙にもインク成分が浸透し、ビーディングを抑制することが可能となる。
SP値=(14150/139.8)1/2=10.1 (cal/cm3)1/2
となる。
上記SP値はヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論により定義された値であり、二成分系溶液の溶解度の目安となる。また、本発明におけるSP値は、Fedors法で算出した値である。正則溶液理論における凝集エネルギー密度の平方根で示され、単位は(cal/cm3)1/2である。一般に普及している簡易ソフトで算出できる。
本発明に用いることができる高分子化合物は、芳香族基を有するビニルモノマー(A)に由来する構造単位と、(メタ)アクリル酸またはそのエステルであるモノマー(B)に由来する構造単位とを有する高分子化合物である。ビニルモノマー(A)に由来する構造単位は疎水性を示し、(メタ)アクリル酸またはそのエステルであるモノマー(B)に由来する構造単位は親水性を示すため、構造単位の比B/A(質量比)が0.20よりも小さいと、疎水性が強く、水性のインクビヒクルへの分散性が悪くなることで保存安定性や吐出安定性が悪くなる。一方、B/Aが0.60よりも大きいと親水性が強く、水性のインクビヒクルに溶解してしまうため、遊離した高分子がコート層にある通気孔(数nm)を塞ぐことによりビーディングが悪くなる。本発明においては、B/Aを0.20〜0.60とすることで、インクの保存安定性、吐出安定性が良好となり、ビーディングの発生が少ない良好な画像をえることができる。
ただし、式中R2は水素原子かメチル基、Lは炭素数が2〜18のアルキレン基である。
これらの高分子化合物は顔料分散剤として、定着用樹脂として、あるいは顔料分散剤と定着用樹脂の機能を併せ持った形でインクに添加される。定着用樹脂としてインクに添加する場合には、樹脂粒子を水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態でインクに添加しても良い。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
インクに含まれる高分子化合物の構造は、例えば、GC−MASSによりモノマーの構成物を特定した上で、NMRにより各モノマー由来のピークを分離することにより組成と比率を知ることができる。
体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂エマルションとしては、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えたものが、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用であり、例えば、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。また、樹脂エマルションとしては、樹脂自身が親水基を持ち自己分散性を持つもの、樹脂自身は分散性を持たず界面活性剤や親水基を持つ樹脂により分散性を付与したものが使用できる。これらの中でも、特にアクリル樹脂またはウレタン樹脂が好ましく、前記樹脂エマルションを2種類以上併用してもよい。
不飽和単量体の乳化重合の場合には、不飽和単量体、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤、及びpH調整剤などを添加した水中で反応させて樹脂エマルションを得るため、容易に水分散性樹脂を得ることができ、樹脂構成を替えやすく、目的の性質を作りやすい。
樹脂エマルションの平均粒径(D50)は、分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インク化した時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は50nm以上が好ましい。また、粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくても粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出性を悪化させる。そこで、インク吐出性を阻害させないため平均粒子径(D50)は200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましい。
樹脂エマルションのインク中の含有量は、固形分で0.5〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。
本発明のインクは、界面活性剤である上記一般式(1)で表される化合物を含む。
界面活性剤としては、その他、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも併用可能である。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシプロピレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
本発明のインクには、一般式(1)のポリオキシエチレンアルキルエステルを含有し、他の界面活性剤に較べて表面張力が高く、泡立ちが少ないという特徴があり、ビーディングの発生を抑える効果が得られる。表2に示した構造式(1)−1から構造式(1)−4の界面活性剤は特に有用に用いることができる。
一般式(1)で表される化合物は界面活性剤であり、インクの表面張力を下げる浸透剤としての機能を有する。一般式(1)のR部分が疎水基、nのカッコ内部分が親水基として働き、親水部分がn=12よりも多い場合、あるいは逆に疏水部分Rの炭素数が8よりも小さい場合には、一般式(1)の親水性が強くなることでインクの表面張力が高くなり、吐出に悪影響を与えることがある。
一般式(1)で表される化合物は、インク中0.001質量%以上5質量%以下含有されることが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下含有されることがより好ましい。
界面活性剤として、ポリエーテル変性シロキサン化合物を用いることもできる。これにより、ヘッドノズルプレート撥インク層に濡れ難いインクとなり、インクのノズル付着による吐出不良を防ぎ、吐出安定性が向上する。また、特に問題になりやすいノズル撥インク層面にインクが付着し難く、吐出不良が生じ難いインクとなる。中でも、下記一般式(3)で示されるものが好ましく、特に、水分散性の色材の種類や有機溶剤の組合せによって分散安定性を損なわず、動的表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましい。これらのポリエーテル変性シロキサン化合物は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
また、必要に応じて、上記ポリエーテル変性シロキサン化合物界面活性剤と、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール又はアセチレンアルコール系界面活性剤を併用しても良い。
界面活性剤のインク中の含有量は、0.001〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。0.001質量%以上であれば、界面活性剤の添加効果が得られる。しかし、5質量%を超えると添加効果が飽和するため増量しても意味がない。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
本発明によるインク組成物はワックスを含むことが好ましく、ワックスは水溶性、水分散性のいずれであってもよい。水溶性ワックスとしては、水酸基、カルボキシル基、エチレンオキサイド基、アミン基等の親水基を有すワックス、水分散性ワックスとしては、主として、ワックスエマルションとして使用することができる。
本発明のインクには、前記成分の他に、必要に応じて、公知の種々の添加剤を加えても良い。その例としては、SP値が11.0を超える有機溶剤、抑泡剤(消泡剤)、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などが挙げられる。
本発明のインクは、有機溶剤として、溶剤Sの他に、SP値が11.0を超える有機溶剤を含有してもよい。
SP値が11.0を超える有機溶剤としては、インクに用いられる一般的な有機溶剤を用いることができ、3−メチル−1,3−ブタンジオール(SP値:12.1)、1,2−プロパンジオール(SP値:13.5)等を好ましく用いることができる。
また、SP値が11.0を超える有機溶剤として、浸透剤を用いることができる。
浸透剤は、分子中に親水部と疏水部が大きく分かれている構造を有していて、界面活性剤のように表面張力を下げ、毛細管などの細部に浸透していく機能を有する物質である。
浸透剤としては、炭素数8〜11の非湿潤剤性ポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物を少なくとも1種が好ましい。ここで、非湿潤剤性とは、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の間の溶解度を有することを意味する。これらの浸透剤の中でも、下記一般式(7)で表される1,3−ジオール化合物が好ましく、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]が特に好ましい。
浸透剤のインク中の含有量は、0.5〜4質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。0.5質量%以上であれば、インクの浸透性効果が得られ、画像品質が向上する。また、4質量%以下であれば、インクに十分に溶解するので、分離したりインク初期粘度が高くなる等の不具合は生じない。
抑泡剤は、インクに微量添加することによって、その発泡を抑えるために用いられる。ここで、発泡とは液体が薄い膜になって空気を包むことである。この泡の生成にはインクの表面張力や粘度等の特性が関与する。即ち、水のように表面張力が高い液体は、液体の表面積をできるだけ小さくしようとする力が働くため発泡し難い。これに対し、高粘度で高浸透性のインクは、表面張力が低いために発泡し易く、溶液の粘性により生成した泡が維持されやすく消泡し難い。
通常、抑泡剤は、泡膜の表面張力を局部的に低下させて泡を破壊するか、発泡液に不溶な抑泡剤を発泡液表面に点在させることにより泡を破壊する。インクに界面活性剤として表面張力を低下させる働きの極めて強いポリエーテル変性シロキサン化合物界面活性剤を用いた場合には、前者の機構による抑泡剤を用いても泡膜の表面張力を局部的に低下させることができない。そこで、後者の発泡液に不溶な抑泡剤を用いるが、この場合、溶液に不溶な抑泡剤によりインクの安定性が低下する。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
その例としては、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
pHが7〜11の範囲を外れると、インクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。
前記ホスホニウム水酸化物としては、例えば、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
本発明のインクは、色材、高分子化合物、上記一般式(1)で表される化合物、有機溶剤、水、及び必要に応じて添加するその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。この攪拌混合は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
本発明のインクの物性には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
しかし、インクの静的表面張力が20mN/m以上であり、且つ、最大泡圧法によるバブルライフタイム15msec時の動的表面張力が34mN/m以下にすると、記録媒体に対し十分な濡れ性を確保することができるにも関わらず、インクジェットヘッドのノズルプレートオプツール撥水膜に濡れ難くなり、吐出安定性も確保でき、極めて安定なインクとなるので好ましい。
また、インクの25℃での粘度は5〜25mPa・sが好ましく、6〜20mPa・sがより好ましい。5mPa・s以上であれば印字濃度や文字品位の向上効果が得られる。また25mPa・s以下であれば、インク吐出性を確保することができる。
上記粘度は、例えば粘度計(RE−550L、東機産業社製)を用いて、25℃で測定することができる。
また、本発明のインクは、インクカートリッジ等のインク収容容器中に収容して使用しても良い。
本発明のインク収容容器は、インクを収容するインク収容部を備えたインク収容容器であって、前記インク収容部に収容されたインクが、本発明のインクである。前記インクを容器中に収容し、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有する。
前記容器には特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例として、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク収容部などを少なくとも有するもの、例えば、インク収容部を有するメインタンク、インクカートリッジなどが好適である。
本発明のインクを用いて記録を行うことが可能な記録媒体には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷用紙などが挙げられる。しかし、本発明のインクは、商業印刷用紙に対しても他の用紙と同様に良好な記録が可能である点で、非常に優れたものである。
ここでいう商業印刷用紙とは、支持体の少なくとも一方の面上に塗工層を有する印刷用紙のことであり、例えば、塗工層材料として炭酸カルシウムやカオリン等のフィラーを用いた印刷用紙が挙げられる。また、商業印刷用紙の一例である印刷コート紙は、塗工層がクレー(カオリン)や炭酸カルシウムなどの白色顔料と、デンプンなどの接着剤(バインダー)で作られている。
記録媒体の中でも、画像品質(画像濃度、彩度、ビーディング、カラーブリード)に優れ、かつ光沢性が高く、更にスミア定着性にも優れた画像が記録できる点から、吸液特性が一定範囲内の記録媒体が好適である。具体的には、支持体の少なくとも一方の面上に塗工層を有する商業印刷用紙が挙げられ、前記塗工層を有する面の、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記印刷用紙への転移量が2〜35mL/m2であり、かつ接触時間400msにおける純水の前記印刷用紙への転移量が3〜40mL/m2である印刷用紙が好ましい。これよりも純水の転移量が少なすぎると、ビーディング(隣り合ったドットが引き付けあったりして画像にブツブツ感が出るような現象)及びカラーブリード(色間の滲み)が発生し易くなることがあり、純水の転移量が多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりベタ画像が埋まらないことがある。
吸液特性が前記一定範囲内にある印刷用紙の市販品としては、例えば、PODグロスコート、OKトップコート+、OK金藤+、SA金藤+(王子製紙社製)、スーパーMIダル、オーロラコート、スペースDX(日本製紙社製)、αマット、ミューコート(北越製紙社製)、雷鳥アート、雷鳥スーパーアート(中越パルプ工業社製)、パールコートN(三菱製紙社製)などが挙げられる。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、インク像が形成された領域のみに塗布しても良い。
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
10.83g(104mmol)のスチレンを4.33g(60mmol)のアクリル酸に溶解し、130gのイオン交換水、4.00gのアクアロンKH−10(第一工業製薬社製のアニオン性ラジカル反応性界面活性剤)、及び1.30gの過硫酸アンモニウムを加え、ホモミキサーでプレエマルションを形成した。次いで、100gのイオン交換水に2.00gのアクアロンKH−10を加え、アルゴン気流下で80℃まで加熱した後、プレエマルションのうち10%を加え、30分間初期重合させた。次いで、残りのプレエマルションを2時間かけて滴下しながら重合させた後、更に80℃で2時間重合させた。冷却後、ろ過し、アンモニア水で中和して、B/A=0.40、固形分濃度40%の高分子化合物P−1の樹脂エマルションを得た。
高分子化合物P−1のスチレンをベンジルアクリレートに変えた以外は高分子化合物P−1と同様の材料、方法を用いてB/A=0.40、固形分濃度40%の高分子化合物P−2の樹脂エマルションを得た。
高分子化合物P−1のスチレンをベンジルメタクリレートに変えた以外は高分子化合物P−1と同様の材料、方法を用いてB/A=0.40、固形分濃度40%の高分子化合物P−3の樹脂エマルションを得た。
高分子化合物P−1のアクリル酸をメタクリル酸に変えた以外は高分子化合物P−1と同様の材料、方法を用いてB/A=0.40、固形分濃度40%の高分子化合物P−4の樹脂エマルションを得た。
高分子化合物P−1のB/A=0.40をB/A=0.60に変えた以外は高分子化合物P−1と同様の材料、方法を用いて固形分濃度40%の高分子化合物P−5の樹脂エマルションを得た。
1,6−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製)62.0質量部(525mmol)を塩化メチレン700mLに溶解し、ピリジン20.7質量部(262mmol)を加えた。この溶液に、2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成工業株式会社製)50.0質量部(262mmol)を塩化メチレン100mLに溶解した溶液を、2時間かけて撹拌しながら滴下した後、室温で6時間撹拌した。得られた反応溶液を水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比:98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステル52.5質量部を得た。
次に、2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステル42.1質量部(155mmol)を乾燥メチルエチルケトン80mLに溶解し、60℃まで加熱した。この溶液に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI、昭和電工株式会社製)24.0質量部(155mmol)を乾燥メチルエチルケトン20mLに溶解した溶液を、1時間かけて撹拌しながら滴下した後、70℃で12時間撹拌した。室温まで冷却した後、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比:99/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、下記[構造式(2)−1]で表される構造を有するモノマー57.0質量部を得た。
高分子化合物P−6におけるアクリル酸1.92質量部を1.44質量部に変更した以外は高分子化合物P−6と同様の材料、方法を用いてB/A=0.20の高分子化合物P−7を得た。
高分子化合物P−1のB/A=0.40をB/A=0.15に変えた以外は高分子化合物P−1と同様の材料、方法を用いて高分子化合物P−8を得た。
高分子化合物P−1のB/A=0.40をB/A=0.65に変えた以外は高分子化合物P−1と同様の材料、方法を用いて高分子化合物P−9を得た。
表面処理(自己分散)顔料分散体IJX-2450C(Pigment Blue15:3、Cabot社製)にイオン交換水を加え、顔料濃度15%に調整した。
<分散体2>
表面処理(自己分散)顔料分散体IJX-2470Y(Pigment Yellow155、Cabot社製)にイオン交換水を加え、顔料濃度15%に調整した。
<分散体3>
表面処理(自己分散)顔料分散体Cab-O-Jet 406K(カーボンブラック、Cabot社製)にイオン交換水を加え、顔料濃度15%に調整した。
・CINQUASIA MAGENTA D4500J ・・・15.0質量部
(Pigment Violet 19/Pigment Red 202混晶、BASF社製)
・高分子化合物P−6(10%水溶液) ・・・40.0質量部
・イオン交換水 ・・・45.0質量部
高分子化合物P−6をイオン交換水に加え、顔料CINQUASIA MAGENTA D4500Jを混合・攪拌し充分に湿潤したところで、混練装置としてダイノーミル KDL A型(WAB製)にφ0.5mmジルコニアビーズを充填して、2000rpmで60分間混練を行なった。ミルベースを取り出して1μmのフィルターでろ過することで、顔料分散体4を得た。
分散体4に用いた高分子化合物P−6の40.0質量部を、高分子化合物P−7の80.0質量部に変え、イオン交換水45.0質量部を5.0質量部に変えた以外は分散体4と同様の材料、方法を用いて分散体5を得た。
<分散体6>
分散体5に用いた顔料CINQUASIA MAGENTA D4500JをシアニンブルーA−220(PB15:3、大日精化社製)に変えた以外は、分散体5と同様の材料、方法を用いて分散体6を得た。
<インク1>
・分散体1 ・・・36.0質量部
・3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン ・・・ 5.0質量部
・3−メチル−1,3−ブタンジオール ・・・15.0質量部
・1,2−プロパンジオール ・・・10.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール ・・・ 2.0質量部
・構造式(1)−1(R:C9アルキル、R1:メチル、n=3)で表される化合物
・・・ 0.2質量部
・構造式(3)−1(m=3、k=12)で表される化合物 ・・・ 0.3質量部
・高分子化合物P−1(固形分濃度40%) ・・・12.5質量部
・pH調整剤(2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール)
・・・ 0.5質量部
・防腐防黴剤(プロキセルLV、ロンザジャパン社製) ・・・ 0.1質量部
・イオン交換水 ・・・18.4質量部
分散体1以外の前記成分をイオン交換水に溶解してビヒクルを作製した後、分散体1と混合し、平均孔径が1μmのフィルターでろ過してインク1を得た。
実施例1のインク1における分散体1を、分散体2に変更し、構造式(1)−1の0.2質量部を0.5質量部に、構造式(3)−1の0.3質量部を0.0質量部に変更した以外は実施例1と同様の処方、方法を用いてインク2を得た。
(実施例3)
実施例1のインク1における分散体1を、分散体3に変更し、構造式(1)−1の0.2質量部を0.1質量部に、構造式(3)−1の0.3質量部を0.4質量部に変更した以外は実施例1と同様の処方、方法を用いてインク3を得た。
(実施例4)
実施例1のインク1における分散体1を、分散体4に変更した以外は実施例1と同様の処方、方法を用いてインク4を得た。
実施例4のインク4において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン5.0質量部を、0.5質量部に、1,2−プロパンジオール10.0質量部を14.5質量部に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク5を得た。
(実施例6)
実施例4のインク4において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン5.0質量部を、3.0質量部に、1,2−プロパンジオール10.0質量部を12.0質量部に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク6を得た。
実施例4のインク4において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン5.0質量部を、7.0質量部に、1,2−プロパンジオール10.0質量部を8.0質量部に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク7を得た。
(実施例8)
実施例4のインク4において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン5.0質量部を、10.0質量部に、1,2−プロパンジオール10.0質量部を5.0質量部に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク8を得た。
実施例4のインク4において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンをイソプロピリデングリセロールに変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク9を得た。
(実施例10)
実施例4のインク4において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンをN,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミドに変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク10を得た。
実施例4のインク4において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンをトリプロピレングリコールモノメチルエーテルに変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク11を得た。
(実施例12)
実施例4のインク4において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンをメチルトリグリコールに変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク12を得た。
実施例4のインク4において、高分子化合物P−1を高分子化合物P−2に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク13を得た。
(実施例14)
実施例4のインク4において、高分子化合物P−1を高分子化合物P−3に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク14を得た。
実施例4のインク4において、高分子化合物P−1を高分子化合物P−4に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク15を得た。
(実施例16)
実施例4のインク4において、高分子化合物P−1を高分子化合物P−5に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク16を得た。
実施例4のインク4において、構造式(1)−1で表される化合物を前記構造式(1)−2(R:C13アルキル、R1:メチル、n=3)で表される化合物に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク17を得た。
(実施例18)
実施例4のインク4において、構造式(1)−1で表される化合物を前記構造式(1)−3(R:C9アルキル、R1:水素、n=3)で表される化合物に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク18を得た。
(実施例19)
実施例4のインク4において、構造式(1)−1で表される化合物を前記構造式(1)−4(R:C9アルキル、R1:メチル、n=12)で表される化合物に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク19を得た。
実施例4のインク4において、分散体1を分散体5に変更し、高分子化合物P−1の12.5質量部を0.0質量部に、イオン交換水18.4質量部を30.9質量部に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク20を得た。
実施例20のインク20において、分散体5を分散体6に変更した以外は実施例20と同様の処方、方法を用いてインク21を得た。
実施例21のインク21において、構造式(3)−1で表される化合物を前記構造式(3)−2(m=0、k=5)で表される化合物に変更した以外は実施例21と同様の処方、方法を用いてインク22を得た。
実施例21のインク21において、構造式(3)−1で表される化合物をエマルゲンLS−106(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、花王社製)に変更した以外は実施例21と同様の処方、方法を用いてインク23を得た。
実施例21のインク21において、ポリエチレンワックスHYTEC E−6500(固形分35%、東邦化学工業社製)1.4質量部を加え、イオン交換水30.9質量部を29.5質量部に変更した以外は実施例21と同様の処方、方法を用いてインク24を得た。
実施例21のインク21において、ポリエチレンワックスAQUACER531(固形分45% 、BYK社製)1.1質量部を加え、イオン交換水30.9質量部を29.8質量部に変更した以外は実施例21と同様の処方、方法を用いてインク25を得た。
実施例4のインク4において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン5.0質量部をN−メチル−2−ピロリドン(SP値11.2)5.0質量部に変更した以外は実施例4と同様の処方と方法を用いてインク26を得た。
実施例11のインク11において、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル5.0質量部を0.0質量部に、1,2−プロパンジオール10.0質量部を15.0質量部に変更した以外は実施例11と同様の処方、方法を用いてインク27を得た。
実施例3のインク3において、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン5.0質量部を11.0質量部に、1,2−プロパンジオール10.0質量部を4.0質量部に変更した以外は実施例3と同様の処方、方法を用いてインク28を得た。
実施例1のインク1において、高分子化合物P−1を高分子化合物P−8(B/A=0.15)に変更した以外は実施例1と同様の処方、方法を用いてインク29を得た。
(比較例5)
実施例1のインク1において、高分子化合物P−1を高分子化合物P−9(B/A=0.65)に変更した以外は実施例1と同様の処方、方法を用いてインク30を得た。
実施例20のインク20において、構造式(1)−1で表される化合物を、前記一般式(1)においてR:C9アルキル、R1:メチル、n=15である化合物(一般式(1)の化合物に属しない)に変更した以外は実施例20と同様の処方、方法を用いてインク31を得た。
実施例4のインク4において、構造式(1)−1で表される化合物を添加せず、イオン交換水を18.4質量部から18.6質量部に変更した以外は実施例4と同様の処方、方法を用いてインク32を得た。
各インクをインクカートリッジに充填して70℃で14日間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記の基準により評価した。
[評価基準]
A:粘度の変化率が±5%以内
B:粘度の変化率が±5%を超え、±10%以内
C:粘度の変化率が±10%を超え、±30%以内
D:粘度の変化率が±30%を超える
市販のインクジェットプリンタ(リコー製、IPSiO GX−e5500)に実施例、比較例で作製したインクをセットし、印字面積が5%の印刷チャートを1000枚印刷する動作を行った。印刷終了から24時間休止した後に、以下の<吐出安定性>、<ビーディング>、<乾燥性>、<耐擦過性>について評価を行った。評価基準は以下に示す。
前記インク吐出装置を用いて、全てのノズルから液滴の捨て打ちを1時間行った。
1時間後に、インクジェット用光沢紙(画彩写真仕上げValue、富士フイルム株式会社製)上にノズルチェックパターンを印刷して、全ノズル数384に対してインクが吐出された吐出ノズル数を確認し、以下の基準で評価した。評価結果を表7に示すが、判定Aまたは判定Bが許容範囲である。
[評価基準]
A:吐出ノズル数が384(全ノズル吐出)
B:吐出ノズル数が368以上(実使用上問題のないレベル)
C:吐出ノズル数が192以上368未満
D:吐出ノズル数が192未満
画素密度1200dpi×1200dpi、記録媒体(OKトップコート+ 米坪量104.7g/m2(王子製紙社製))に5cm×5cmのベタ画像を形成し、内部の温度が100℃となるように設定した恒温槽で、印字部を30秒間乾燥した。このベタ画像のビーディングを目視により確認し、以下の基準で評価した。評価結果を表7に示すが、判定Aまたは判定Bが許容範囲である。
〔評価基準〕
A:全くなし(15cmの距離からは視認できない)
B:ごく僅かにあり
(15cmの距離からは視認できるが、50cmの距離からは視認できない)
C:僅かにあり
(50cmの距離からは視認できるが、1mの距離からは視認できない)
D:激しくあり(1mの距離から視認できる)
前記<ビーディング>評価と同様の方法を用いて形成した5cm×5cmのベタ画像の上に未印字の紙(4cm×4cm)を重ね、その上に縦2cm×横2cm×厚み0.2cmのゴムシートを紙の中央に配置して、ゴムシートから紙に掛かる圧力が、0.5kgf/cm2となるようにゴムシートの上に重りを載せ、23℃、50%RHの環境下で12時間放置した。放置後に、重ねた紙を剥がし、未印字の紙への顔料の転写具合を目視観察し、転写性を下記評価基準により評価した。評価結果を表7に示すが、判定Aまたは判定Bが許容範囲である。
〔評価基準〕
A:紙への顔料の転写はほとんどみられず、紙同士の貼りつきもない
B:紙への顔料の転写はほとんどみられないが、紙同士の貼りつきがある
C:わずかに紙への顔料の転写が見られる(紙全体の10%未満の面積の転写)
D:明確な紙への顔料の転写が見られる(紙全体の10%以上の面積の転写)
前記<ビーディング>評価と同様の方法を用いて形成した5cm×5cmのベタ画像サンプルの印字部分を、クロックメーターCM−1(東洋精機製)を用い、白綿布を荷重900gで5往復摩擦した。下の評価基準にしたがって評価した結果を表7に示すが、判定Aまたは判定Bが許容範囲である。
〔評価基準〕
A:目視で画像脱落、および画像周囲の汚れがほとんどない
B:目視で画像脱落がほとんどなく、画像周囲の汚れが少ない
C:目視で画像脱落は少ないが、画像周囲に汚れがある
D:目視で画像脱落、および画像周囲の汚れが著しい
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
Claims (8)
- 色材、高分子化合物、下記一般式(1)で表される化合物、SP値が9.0以上、11.0以下の溶剤Sを含み、
前記高分子化合物は、芳香族基を有するビニルモノマー(A)に由来する構造単位と、(メタ)アクリル酸またはそのエステルであるモノマー(B)に由来する構造単位とを有する高分子化合物であって、前記芳香族基を有するビニルモノマー(A)に由来する構造単位に対する前記(メタ)アクリル酸またはそのエステルであるモノマー(B)に由来する構造単位の比B/A(質量比)が0.20〜0.60であり、
前記溶剤Sのインク中における含有量が10質量%以下であるインク。
ただし、一般式(1)中、Rは炭素数8〜13のアルキル基を示し、R1は水素原子又はメチル基を示し、nは2〜12の整数を示す。
- 前記溶剤Sが、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、イソプロピリデングリセロール及びN,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミドから選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載のインク。
- 前記溶剤Sのインク中における含有量が3質量%以上7質量%以下である請求項1または2に記載のインク。
- 前記インクが更にポリエチレンワックスを含有する請求項1から5のいずれかに記載のインク。
- 請求項1から6のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなるインク収容容器。
- 請求項7に記載のインク収容容器と、前記インク収容容器から供給されるインクを吐出する吐出手段とを有するインクジェット記録装置。
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