JP2020019308A - 車体のフレーム構造 - Google Patents

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辰宗 森
Tatsunori Mori
辰宗 森
伊知郎 山極
Ichiro Yamagiwa
伊知郎 山極
真史 入江
Masashi Irie
真史 入江
関口 修
Osamu Sekiguchi
修 関口
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Abstract

【課題】壊れ方を好適に制御可能な車体のフレーム構造を提供する。【解決手段】任意の箇所に複数の孔が密に形成された多孔部が設けられ、衝突時に損壊するフロントサイドメンバ1を備える、車体のフレーム構造。【選択図】図1

Description

本発明は、車体のフレーム構造に関する。
車体のフレーム構造の一例が、特許文献1に開示されている。具体的には、特許文献1では、衝突エネルギーの吸収量を少なくすることなくフロントサイドメンバの前部の板厚を薄くし、フロントサイドメンバを軽量化する構造が開示されている。
特開平10−244955号公報
しかし、フロントサイドメンバの板厚の部分的な変更は複雑な加工を要し、加工コストが増加する。また、フロントサイドメンバの壊れ方を好適に制御する構造については詳細な言及もない。従って、特許文献1の構造には、これらの観点から改善の余地がある。
本発明は、壊れ方を好適に制御可能な車体のフレーム構造を提供することを課題とする。
本発明は、任意の箇所に複数の孔が密に形成された多孔部が設けられ、衝突時に損壊するフレーム部材を備える車体のフレーム構造を提供する。
この構成によれば、フレーム部材の多孔部を設けた部位の強度が低下するため、フレームの壊れやすい部分および方向を規定でき、即ち壊れ方を好適に制御できる。壊れ方を制御するために板厚の変更または溶接等によるビードの形成も考えられるが、これらよりも多孔部の形成は簡易である。また、多孔部は、これらと比べて、形成する位置および幅などの調整が容易であり、必要な強度等に応じて好適に壊れ方を制御できる。さらに、多孔部を設けることで軽量化を図ることもできる。また、多孔部を形成することによって、フレーム部材に吸音性能を付与することもできる。当該吸音性能は、エンジン騒音またはタイヤ接地騒音等の様々な騒音を低減することに有効であり得る。吸音周波数は、多孔部の孔の形状、大きさ、および配置密度等を調整することによって適宜設定できる。
前記フレーム部材は、車体前部に配置された車体前後方向に延びる部材であり、前記多孔部は、前記フレーム部材のうち車体前方側半分内に設けられていてもよい。
この構成によれば、車の前方衝突の際にフレーム部材が車体前方側から壊れるようにすることができる。フレーム部材は衝突時に損壊するものであるが、好ましくは車体前後方向に圧壊されることで衝撃エネルギーを吸収するものである。仮に、フレーム部材が車体後方側から壊れると、フレーム部材が圧壊せずに折れるおそれがあり、エネルギー吸収効率が悪化するおそれがある。従って、上記構成によって、車体前方側の強度を後方側の強度よりも低下させ、フレーム部材が折れずに圧壊するようにし、エネルギー吸収効率の悪化を防止する。
前記多孔部は、前記フレーム部材のうち車体の前方から後方へ向かって開口率が小さくなっていてもよい。
この構成によれば、開口率の調整によってフレーム部材のうち車体の前方から後方へ順に強度が高くなるため、フレーム部材を車体の前方から後方へ順に圧壊させることができる。従って、高い衝撃エネルギー吸収性を発揮できる。
車体の前方から後方への前記開口率の減少は、車体の前方から後方へ向かって前記多孔部の孔の配置密度が小さくなることによって達成されていてもよい。
この構成によれば、多孔部の孔の配置密度の調整によって開口率の減少を容易に達成できる。
車体の前方から後方への前記開口率の減少は、車体の前方から後方へ向かって前記多孔部の孔の大きさが小さくなることによって達成されていてもよい。
この構成によれば、多孔部の孔の大きさの調整によって開口率の減少を容易に達成できる。
前記フレーム部材は、フロントサイドメンバまたはフロントクラッシュボックスであってもよい。
この構成によれば、前述の壊れ方の制御および吸音を有効に活用できる。フロントサイドメンバまたはフロントクラッシュボックスは、車の前方衝突の際に高いエネルギー吸収が求められる部材である。従って、これらの部材の壊れ方を多孔部によって好適に制御することによって、高い衝撃エネルギー吸収効率を発揮し得る。また、これらの部材は、騒音を発生させるエンジンやタイヤ付近に配置され得る部材でもあり、これらの部材で騒音を吸音できることは有効である。
前記フレーム部材は、車体後部に配置された車体前後方向に延びる部材であり、
前記多孔部は、前記フレーム部材のうち車体後方側半分内に設けられていてもよい。
この構成によれば、車の後方衝突の際にフレーム部材が車体後方側から壊れるようにすることができる。フレーム部材は衝突時に損壊するものであるが、好ましくは車体前後方向に圧壊されることで衝撃エネルギーを吸収するものである。仮に、フレーム部材が車体前方側から壊れると、フレーム部材が圧壊せずに折れるおそれがあり、エネルギー吸収効率が悪化するおそれがある。従って、上記構成によって、車体後方側の強度を前方側の強度よりも低下させ、フレーム部材が折れずに圧壊するようにし、エネルギー吸収効率の悪化を防止する。
前記多孔部は、前記フレーム部材のうち車体の後方から前方へ向かって開口率が小さくなっていてもよい。
この構成によれば、開口率の調整によってフレーム部材のうち車体の後方から前方へ順に強度が高くなるため、フレーム部材を車体の後方から前方へ順に圧壊させることができる。従って、高い衝撃エネルギー吸収性を発揮できる。
車体の前方から後方への前記開口率の減少は、車体の後方から前方へ向かって前記多孔部の孔の配置密度が小さくなることによって達成されていてもよい。
この構成によれば、多孔部の孔の配置密度の調整によって開口率の減少を容易に達成できる。
車体の前方から後方への前記開口率の減少は、車体の後方から前方へ向かって前記多孔部の孔の大きさが小さくなることによって達成されていてもよい。
この構成によれば、多孔部の孔の大きさの調整によって開口率の減少を容易に達成できる。
前記フレーム部材は、リアサイドメンバまたはリアクラッシュボックスであってもよい。
この構成によれば、前述の壊れ方の制御および吸音を有効に活用できる。リアサイドメンバまたはリアクラッシュボックスは、車の後方衝突の際に高いエネルギー吸収が求められる部材である。従って、これらの部材の壊れ方を多孔部によって好適に制御することによって、高い衝撃エネルギー吸収効率を発揮し得る。また、これらの部材は、騒音を発生させるエンジンやタイヤ付近に配置され得る部材でもあり、これらの部材で騒音を吸音できることは有効である。
前記車体のフレーム構造は、前記多孔部の孔を閉じるように貼り付けられた防水フィルムをさらに備えてもよい。
この構成によれば、防水フィルムによって多孔部の孔内への浸水を防止できる。フレーム部材には、浸水が防止されるべき種類のものがあり、当該部材に対して本構成は有効である。
本発明によれば、多孔部を設けることによって壊れ方を好適に制御可能な車体のフレーム構造を提供できる。
本発明の一実施形態に係る車体前部のフレーム構造の斜視図。 図1の一部の模式的な平面図。 模式的なフロントサイドメンバの断面図。 模式的なフロントサイドメンバの側面図。 模式的なフロントサイドメンバの側面図。 第1変形例のフロントサイドメンバの側面図。 第1変形例のフロントサイドメンバの側面図。 第2変形例のフロントサイドメンバの側面図。 第3変形例のフロントサイドメンバの側面図。 第4変形例のフロントサイドメンバの側面図。 第5変形例のフロントサイドメンバの側面図。 車体後部のフレーム構造の平面図。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、一実施形態に係る車体前部のフレーム構造を示している。本実施形態では、当該フレーム構造のうち、本実施形態に特有の構成を有するフロントサイドメンバ(フレーム部材)1について詳細に説明する。
フロントサイドメンバ1は、車体の前後方向に延び、車体前部のフロントバンパービーム2と、車体中央の本体部3とを接続する部材である。フロントサイドメンバ1は、前方衝突時に損壊するフレーム部材であり、高いエネルギー吸収効率が求められる部材である。
図2は、フロントサイドメンバ1を含む模式的な平面図を示している。図3Aは、図2のIIIA-IIIA線に沿った模式的な断面図を示している。図3Bは、図2のフロントサイドメンバ1のIIIB方向からの矢視図を示している。図3Cは、図2のフロントサイドメンバ1のIIIC方向からの矢視図を示している。本実施形態では、フロントサイドメンバ1は、相対的に薄い平坦なベースプレート4に、相対的に厚いハット形のハットプレート5が接合されてなる。ベースプレート4は車体の外側に配置され、ハットプレート5は車体の内側に配置される。
本実施形態では、ハットプレート5の頂面5aの全体に複数の孔6aが密に形成された多孔部6が設けられている(図3C参照)。例えば、多孔部6の孔6aは、等間隔で配置された複数の円形の貫通孔である。孔6aの大きさ(孔径)は例えば0.1〜1mm程度であり、頂面5aに対する多孔部6の開口率は例えば2〜3%程度である。ただし、図示および例示した数値の孔6aの形状、配置、および大きさ等は特に限定されるものではない。
本実施形態によれば、多孔部6が設けられた頂面5aは、他の面に比べて強度が低下するため、壊れ易くなる。これにより、ハットプレート5とベースプレート4との板厚差に伴う強度差を低減し、前方衝突の際にフロントサイドメンバ1を圧壊させ易くすることができる。代替的には、設計に応じて車体の内側方向へ向かってフロントサイドメンバ1が壊れやすくしてもよい。いずれにせよ、多孔部6によってフロントサイドメンバ1の壊れ方を好適に制御できる。特に、多孔部6は、形成する位置および幅などの調整が容易であり、必要な強度等に応じて好適に壊れ方を制御できる。さらに、多孔部6を設けることで軽量化を図ることもできる。また、多孔部6によって、フロントサイドメンバ1の近傍に配置されるエンジン(図示せず)の騒音およびタイヤ接地騒音等を吸音できる。吸音周波数は、孔6aの形状、大きさ、および配置密度等を調整することによって適宜設定でき、例えば上記にて例示した大きさの孔径では5kHz程度までの騒音を吸音できる。
(第1変形例)
壊れ方は、多孔部6の設け方によって様々に調整できる。例えば、図4Aを参照して、ベースプレート4には、車体前後方向における中央部4aに多孔部6を設けてもよい。換言すれば、車体前後方向における両端部4bに孔が形成されていない非多孔部7を設けてもよい。
また、図4Bを参照して、ハットプレート5には、車体前後方向における両端部5bに多孔部6を設けてもよい。換言すれば、車体前後方向における中央部5cに孔が形成されていない非多孔部7を設けてもよい。
本変形例によれば、多方向に壊れ方を制御できる。具体的には、ベースプレート4は中央部4aにおいて強度が低下し、ハットプレート5は両端部5bにおいて強度が低下するため、フロントサイドメンバ1の中央部4aにおいて車体外側に向かって壊れ、両端部5bにおいて車体内側に壊れるようにし、フロントサイドメンバ1を圧壊させ易くすることができる。
(第2変形例)
図5を参照して、多孔部6は、フロントサイドメンバ1のうち車体前方側半分内に設けられてもよい。換言すれば、車体前後方向における少なくとも車体後方側半分には孔が形成されていない非多孔部7を設けてもよい。このように多孔部6を設けることで、フロントサイドメンバ1のうち車体前方側半分が後方側半分よりも壊れ易くなる。
本変形例によれば、車の前方衝突の際にフロントサイドメンバ1が車体前方側から壊れるようにすることができる。フロントサイドメンバ1は衝突時に損壊するものであるが、好ましくは車体前後方向に圧壊されることで衝撃エネルギーを吸収するものである。仮に、フロントサイドメンバ1が車体後方側から壊れると、フロントサイドメンバ1が圧壊せずに折れるおそれがあり、エネルギー吸収効率が悪化するおそれがある。従って、本変形例の構成によって、フロントサイドメンバ1の車体前方側の強度を後方側の強度よりも低下させ、フロントサイドメンバ1が折れずに圧壊するようにし、エネルギー吸収効率の悪化を防止できる。
(第3変形例)
図6を参照して、多孔部6は、フロントサイドメンバ1のうち車体前方から後方へ向かって開口率が小さくされていてもよい。本変形例では、各孔6aの径は同じであり、孔6aの数が車体前方から後方へ向かって徐々に少なくなっている。
この構成によれば、開口率の調整によってフロントサイドメンバ1のうち車体の前方から後方へ順に強度が高くなるため、フロントサイドメンバ1を車体の前方から後方へ順に圧壊させることができる。従って、高い衝撃エネルギー吸収性を発揮できる。
(第4変形例)
図7を参照して、多孔部6は、フロントサイドメンバ1のうち車体前方から後方へ向かって開口率が小さくされていてもよい。本変形例では、孔6aは頂面5a全体に均等に配置されているが、孔6aの大きさが車体前方から後方へ向かって徐々に小さくされている。
本変形例の作用効果は、第3変形例と実質的に同じである。
(第5変形例)
図8を参照して、多孔部6には防水フィルム6bを貼り付けてもよい。防水フィルム6bは、汎用のものを使用できる。好ましくは、吸音性を考慮し、通音性の高いフィルムを使用する。
本変形例によれば、防水フィルム6bによって孔6a内への浸水を防止できる。フロントサイドメンバ1には、浸水が防止されるべき種類のものがあり、当該部材に対して本構成は有効である。
以上より、本発明の具体的な実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、個々の変形例の内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。
本実施形態では、フロントサイドメンバ1について多孔部6を設ける構成について説明したが、多孔部6を設ける対象はフロントサイドメンバ1以外にフロントクラッシュボックス8(図1,2参照)であってもよい。また、図9に示すように、多孔部6を設ける対象は、車体前部に限定されず、車体後部において本体部3とリアバンパービーム11とをリアサイドメンバ9またはリアクラッシュボックス10であってもよい。特に、リアサイドメンバ9またはリアクラッシュボックス10に多孔部6を設ける場合、後方衝突を考慮し、フロントサイドメンバ1またはフロントクラッシュボックス8に多孔部6を設ける場合(図3A〜図7参照)と前後関係が逆になることが好ましい。このとき、前後関係が逆になること以外は、作用効果は実質的に同じとなる。
1 フロントサイドメンバ(フレーム部材)
2 フロントバンパービーム
3 本体部
4 ベースプレート
4a 中央部
5 ハットプレート
5a 頂面
5b 両端部
5c 中央部
6 多孔部
6a 孔
7 非多孔部
6b 防水フィルム
8 フロントクラッシュボックス
9 リアサイドメンバ
10 リアクラッシュボックス
11 リアバンパービーム

Claims (12)

  1. 任意の箇所に複数の孔が密に形成された多孔部が設けられ、衝突時に損壊するフレーム部材を備える、車体のフレーム構造。
  2. 前記フレーム部材は、車体前部に配置された車体前後方向に延びる部材であり、
    前記多孔部は、前記フレーム部材のうち車体前方側半分内に設けられている、請求項1に記載の車体のフレーム構造。
  3. 前記多孔部は、前記フレーム部材のうち車体の前方から後方へ向かって開口率が小さくなっている、請求項2に記載の車体のフレーム構造。
  4. 車体の前方から後方への前記開口率の減少は、車体の前方から後方へ向かって前記多孔部の孔の配置密度が小さくなることによって達成されている、請求項3に記載の車体のフレーム構造。
  5. 車体の前方から後方への前記開口率の減少は、車体の前方から後方へ向かって前記多孔部の孔の大きさが小さくなることによって達成されている、請求項3に記載の車体のフレーム構造。
  6. 前記フレーム部材は、フロントサイドメンバまたはフロントクラッシュボックスである、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の車体のフレーム構造。
  7. 前記フレーム部材は、車体後部に配置された車体前後方向に延びる部材であり、
    前記多孔部は、前記フレーム部材のうち車体後方側半分内に設けられている、請求項1に記載の車体のフレーム構造。
  8. 前記多孔部は、前記フレーム部材のうち車体の後方から前方へ向かって開口率が小さくなっている、請求項7に記載の車体のフレーム構造。
  9. 車体の前方から後方への前記開口率の減少は、車体の後方から前方へ向かって前記多孔部の孔の配置密度が小さくなることによって達成されている、請求項8に記載の車体のフレーム構造。
  10. 車体の前方から後方への前記開口率の減少は、車体の後方から前方へ向かって前記多孔部の孔の多きさが小さくなることによって達成されている、請求項8に記載の車体のフレーム構造。
  11. 前記フレーム部材は、リアサイドメンバまたはリアクラッシュボックスである、請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の車体のフレーム構造。
  12. 前記多孔部の孔を閉じるように貼り付けられた防水フィルムをさらに備える、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のフレーム構造。
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