JP5966188B2 - バンパーリインフォースメント - Google Patents

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Description

本発明は、バンパーリインフォースメントに関する。
特許文献1,2には、中空のバンパーリインフォースメントと、これを支持する左右一対のバンパーステイとを備える自動車用のバンパー構造が開示されている。このバンパー構造は、バンパーリインフォースメントに曲げ変形が生じる過程(以下、「ビーム曲げ過程」という。)で衝突エネルギーを吸収するとともに、バンパーステイをバンパーリインフォースメントに減り込ませる過程(以下、「ビーム圧潰過程」という。)で衝突エネルギーを吸収し、さらには、バンパーステイに圧潰が生じる過程(以下、「ステイ圧潰過程」という。)で衝突エネルギーを吸収する。このようなバンパー構造によれば、衝突反力のピークを低く抑えつつ衝突エネルギーの吸収量を大きくすることができるので、軽衝突時における安全装置(例えば、エアーバックなど)の誤作動を防ぎつつ車体に与えるダメージを緩和することができる。なお、屈曲部分または湾曲部分を有するバンパーリインフォースメントにおけるビーム曲げ過程では、屈曲部分または湾曲部分が直線状に伸ばされる過程でも衝突エネルギーが吸収される。
特許文献1,2のバンパーリインフォースメントは、角筒状の外殻と、外殻の内部空間を上下に仕切る仕切部とを備えている。仕切部は、外殻の上壁および下壁と平行に設けられていて、外殻の後壁および前壁を繋いでいる。仕切部を設けると、バンパーリインフォースメントの断面剛性が向上するため、衝突エネルギーの吸収量を低下させずに薄肉化・軽量化を図ることが可能となる。
国際公開第2007/110938号パンフレット 国際公開第2009/110461号パンフレット
バンパーリインフォースメントの断面形状を特許文献1,2のような形状にすると、上記のようなメリットを享受できるものの、断面剛性が高まる関係で、衝突反力が衝突の初期段階において急激に高まる傾向にあり、設計上要求される仕様に適合しない場合がある。
このような観点から、本発明は、衝突の初期段階における衝突反力の増加度合いを緩やかにすることが可能なバンパーリインフォースメントを提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明は、中空形材からなるバンパーリインフォースメントであって、車体に面する後壁と、前記後壁の上部から前方に向かって延出する上壁と、前記後壁の下部から前方に向かって延出する下壁と、前記上壁および前記下壁のみに支持された前壁と、前記後壁の高さ方向の中間部から前方に向かって延出する中間補強壁と、前記中間補強壁の前縁から前記上壁の前後方向の中間部に至る上補強壁と、前記中間補強壁の前縁から前記下壁の前後方向の中間部に至る下補強壁とを備えており、前記中空形材の中心軸を法線とする仮想の平面で切断したときに、前記上補強壁の最前部と前記下補強壁の最前部とを通る仮想線の前方に前記前壁が位置している、ことを特徴とする。
本発明においては、車体から離れる方向を「前」とする。したがって、本発明に係るバンパーリインフォースメントをフロントバンパーに適用する場合には、車両の前進方向が「前」となり、リアバンパーに適用する場合には、車両の後進方向が「前」となる。
本発明によれば、前壁と仮想線(上補強壁の最前部と下補強壁の最前部とを通る仮想の直線)との間に仕切の無い単一の空間(以下「一次圧潰空間」という。)が形成されるようになるので、前壁の高さ方向の中間部を仕切壁で支持する場合に比べて、バンパーリインフォースメントの前半部分の剛性を低下させることができる。すなわち、本発明によれば、衝突の初期段階において一次圧潰空間(前壁と仮想線との間の空間)が速やか且つ優先的に潰れるようになるので、衝突反力のピークを抑えることが可能となり、さらには、衝突反力の増加度合い(衝突反力−変位曲線における傾き)を緩やかにすることが可能となる。
また、衝突荷重の作用位置が上下にオフセットした場合(以下「上下オフセット衝突」という。」においては、衝突の初期段階において一次圧潰空間の上部または下部が潰れることで衝突エネルギーが吸収される。また、後壁と上壁と上補強壁と中間補強壁とで囲まれた空間(以下「上側二次圧潰空間」という。)または後壁と下壁と下補強壁と中間補強壁とで囲まれた空間(以下「下側二次圧潰空間」という。)の存在により、バンパーリインフォースメントのねじれ剛性が高くなっているので、一次圧潰空間が潰れた後においても衝突荷重を受け止めることができ、ひいては、バンパーリインフォースメントが衝突相手の下に潜り込む現象や衝突相手に乗り上がる現象の発生を緩和することが可能になり、ビーム曲げ過程におけるエネルギー吸収を期待できるようになる。
前記上壁と前記上補強壁との交点および前記下壁と前記下補強壁との交点を、前記仮想線よりも後方に位置させるとよい。このようにすると、上壁および下壁の前半部分の座屈長が大きくなり、上壁および下壁の前半部分が座屈し易くなるので、衝突の初期段階において衝突反力のピークを効果的に抑えることが可能となり、さらには、衝突反力の増加度合いを緩やかにすることが可能となる。
上補強壁および下補強壁は、折れ曲がりの無い断面形状(断面視直線状)としてもよいが、湾曲または屈折した断面形状とした方が、衝突反力の増加度合いが緩やかになる。
なお、前記上補強壁および前記下補強壁の断面形状は、前記前壁側に凸となる円弧状であることが好ましい。このようにすると、上補強壁および下補強壁の断面二次モーメントが高まるので、バンパーリインフォースメントの後半部分が潰れ難くなり、ひいては、「ビーム曲げ過程」における衝突エネルギーの吸収が確実なものとなる。
前記前壁の高さ寸法は、前記上壁と前記上補強壁との交点(以下「上交点」という。)から前記下壁と前記下補強壁との交点(以下「下交点」という。)までの距離よりも小さくするとよい。すなわち、上壁前部(上交点から前壁に至る部分)の少なくとも一部を下向きに傾斜させるとともに、下壁前部(下交点から前壁に至る部分)の少なくとも一部を上向きに傾斜させてもよい。このようにすると、上下オフセット衝突時においても、初期圧潰空間を意図したモードで潰すことが可能になるとともに、十分なラップ量(衝突相手と接触する面積)を確保することが可能となる。
すなわち、上下オフセット衝突によりバンパーリインフォースメントの上部に衝突荷重が作用した際には、上壁前部が上補強壁に重なるように変形し、これに伴い、上壁後部(後壁から上交点に至る部分)が上方に孕み出すように変形するようになるので、十分なラップ量を確保することが可能となる。
また、上下オフセット衝突によりバンパーリインフォースメントの下部に衝突荷重が作用した際には、下壁前部が下補強壁に重なるように変形し、これに伴い、下壁後部(後壁から下交点に至る部分)が下方に孕み出すように変形するようになるので、十分なラップ量を確保することが可能となる。
前記前壁の高さ寸法は、上交点から下交点までの距離より大きくしてもよい。すなわち、上壁前部の少なくとも一部を上向きに傾斜させるとともに、下壁前部の少なくとも一部を下向きに傾斜させてもよい。このようにすると、上下オフセット衝突時においても、一次圧潰空間を意図したモードで潰すことが可能になるとともに、十分なラップ量を確保することが可能となる。
すなわち、上下オフセット衝突によりバンパーリインフォースメントの上部に衝突荷重が作用した際には、上壁前部が上方に孕み出すように変形するので、上下オフセット衝突の初期段階から十分なラップ量(衝突相手と接触する面積)を確保することが可能となる。
また、上下オフセット衝突によりバンパーリインフォースメントの下部に衝突荷重が作用した際には、下壁前部が下方に孕み出すように変形するので、上下オフセット衝突の初期段階から十分なラップ量を確保することが可能となる。
前記前壁は、折れ曲がりの無い断面形状(断面視直線状)としてもよいが、湾曲または屈折した断面形状としてもよい。このようにすると、衝突相手との接触面積が徐々に増えるようになるので、衝突の初期段階において衝突反力が急激に増加することを抑制することが可能となる。
本発明によれば、衝突の初期段階における衝突反力のピークを抑えることが可能となり、さらには、衝突反力の増加度合いを緩やかにすることが可能となる。
第一参考実施形態に係るバンパーリインフォースメントを備えたバンパー構造の斜視図である。 図1に示すバンパー構造の平面図である。 図2のA−A線端面図である。 フラットバリアに衝突した際の変形モードを示す模式図であって、(a)〜(d)は第一参考実施形態に係るバンパーリインフォースメントの車幅方向中央における端面図、(e)〜(h)は比較例に係るバンパーリインフォースメントの車幅方向中央における端面図である。 フラットバリアに衝突した際の衝突反力−変位曲線である。 上下オフセット衝突をした際の変形モードを示す模式図であって、(a)および(b)は第一参考実施形態に係るバンパーリインフォースメントの車幅方向中央における端面図、(c)および(d)は比較例に係るバンパーリインフォースメントの車幅方向中央における端面図である。 上下オフセット衝突をした際の衝突反力−変位曲線である。 第一参考実施形態に係るバンパーリインフォースメントの変形例を示す図であって、(a)は端面図、(b)は上下オフセット衝突をした際の変形モードを示す模式的な端面図である。 (a)および(b)は第一参考実施形態に係るバンパーリインフォースメントの変形例を示す端面図である。 (a)および(b)は、第一参考実施形態に係るバンパーリインフォースメントの変形例を示す端面図である。 (a)および(b)は、第一参考実施形態に係るバンパーリインフォースメントの変形例を示す端面図である。 (a)は本発明の実施形態に係るバンパーリインフォースメントを示す端面図、(b)は本発明の実施形態に係るバンパーリインフォースメントの変形例を示す端面図である。 本発明の実施形態に係るバンパーリインフォースメントの変形例を示す端面図である。 本発明の第二参考実施形態に係るバンパーリインフォースメントを示す端面図である。
(第一参考実施形態)
本発明の第一参考実施形態に係るバンパーリインフォースメントR1は、自動車用のフロントバンパーを構成するための横架材であり、図1に示すように、左右一対のバンパーステイS,Sに支持されている。バンパーステイS,Sは、サイドメンバ(車体)M,Mの前端部に固定されている。
本実施形態において、「左右」、「前後」、「上下」は、バンパーリインフォースメントR1をバンパーステイS,Sに取り付けた状態を基準にする。つまり、「左右方向」は、「車両幅方向」と同義であり、サイドメンバM,Mの前端同士を結ぶ仮想の横軸Xに沿う方向と一致する。また、「前後方向」は、「車両直進方向」と同義であり、横軸Xに直交する仮想の縦軸Yに沿う方向と一致する。
バンパーリインフォースメントR1は、図2にも示すように、前側に凸となるように湾曲しており、バンパーリインフォースメントR1の中心軸線は、車両幅方向の中央部以外においては、横軸Xに対して傾斜している。なお、本実施形態では、バンパーリインフォースメントR1の平面形状(線形)が弧状である場合を例示するが、直線状としてもよい。
バンパーリインフォースメントR1は、アルミニウム合金製の中空押出形材からなる。バンパーリインフォースメントR1の湾曲部分は、例えば、バンパーリインフォースメントR1の素となる直線状の中空押出形材の両端部を把持した状態で、当該中空押出形材の後面に曲げ型を押圧することで形成する。
図3は、図2のA−A線端面図(中空押出形材の中心軸を法線とする仮想の平面で切断したときに現れる図)である。
この図に示すように、バンパーリインフォースメントR1は、車体に面する後壁1と、後壁1の上部から前方に向かって延出する上壁2と、後壁1の下部から前方に向かって延出する下壁3と、上壁2および下壁3のみに支持された前壁4と、後壁1の高さ方向の中間部から上壁2の前後方向の中間部に至る上補強壁5と、後壁1の高さ方向の中間部から下壁3の前後方向の中間部に至る下補強壁6とを備えている。すなわち、バンパーリインフォースメントR1は、閉断面形状の外殻(後壁1、上壁2、下壁3および前壁4)と、この外殻の内部空間に配置された上下二つの仕切壁(上補強壁5および下補強壁6)とを備えている。後壁1、上壁2、下壁3、前壁4、上補強壁5および下補強壁6の肉厚は、同一である。
なお、図3中の一点鎖線Lは、上補強壁5の最前部と下補強壁の最前部6とを通る直線(以下「仮想線L」という。)である。また、点P1は、上壁2と上補強壁5との交差部(以下「上交点P1」という。)であり、点P2は、下壁3と下補強壁6との交差部(以下「下交点P2」という。)である。
後壁1は、折れ曲がりの無い断面形状(鉛直線に平行な直線状)を呈している。後壁1の後面には、図1に示すように、バンパーステイSの前端が固定される。なお、図示は省略するが、後壁1の上端部を上壁2との交点よりも上方に延出させるとともに、後壁1の下端部を下壁3との交点よりも下方に延出させてもよい。すなわち、後壁1の上端部を上壁2から上方へ張り出すフランジとして活用し、後壁1の下端部を下壁3から下方へ張り出すフランジとして活用してもよい。
上壁2は、後壁1の上縁から上交点P1に至る上壁後部2aと、上交点P1から下斜め前方に向かって延出する上壁前部2bとを備えている。なお、本実施形態では、後壁1の上部から前壁4の上部に至る部分のうち、水平面に対する傾斜角度が45度以下となる部位を上壁2とする。
上壁後部2aは、後壁1の上縁から上斜め前方に向かって延出する断面円弧状の繋ぎ部と、当該繋ぎ部の前縁から水平面に沿って延出する平板状の平坦部と、当該平坦部の前縁から上交点P1に至る傾斜部とを備えている。水平面に対する繋ぎ部の傾斜角度θ1は、45度以下であり、水平面に対する平坦部の傾斜角度は0度である。また、水平面に対する傾斜部の傾斜角度θ2は、45度以下(本実施形態では10度)である。
上壁前部2bは、上壁後部2aの傾斜部の延長上に位置しており、平板状を呈している。水平面に対する上壁前部2bの傾斜角度θ2は、45度以下(本実施形態では10度)である。
下壁3は、後壁1の下縁から下交点P2に至る下壁後部3aと、下交点P2から上斜め前方に向かって延出する下壁前部3bとを備えている。なお、本実施形態では、後壁1の下部から前壁4の下部に至る部分のうち、水平面に対する傾斜角度が45度以下となる部位を下壁3とする。
下壁3の断面形状は、上壁2の上下を反転させた形状と同一である。すなわち、下壁後部3aは、後壁1の下縁から下斜め前方に向かって延出する断面円弧状の繋ぎ部と、当該繋ぎ部の前縁から水平面に沿って延出する平板状の平坦部と、当該平坦部の前縁から下交点P2に至る傾斜部とを備えている。また、下壁前部3bは、下壁後部3aの傾斜部の延長上に位置しており、平板状を呈している。
前壁4は、仮想線Lの前方に位置していて、上壁2と下壁3とを繋いでいる。前壁4と仮想線Lとの間には、仕切の無い単一の空間(一次圧潰空間)V1が形成されている。前壁4の高さ寸法Hは、上側の上交点P1から下側の下交点P2までの距離よりも小さい。
前壁4は、上壁2の前縁から前斜め下方に向かって延出する前壁上部4aと、前壁上部4aの下縁から下方に向かって延出する前壁中央部4bと、前壁中央部4bの下縁から後斜め下方に向かって延出する前壁下部4cとを備えている。すなわち、前壁4は、その高さ方向の二箇所で屈折している。
前壁上部4aは、上補強壁5に対向している。前壁上部4aの断面形状は、折れ曲がりの無い直線状を呈している。鉛直線に対する前壁上部4aの傾斜角度θ3は、45度以下(本実施形態では13度)である。
前壁中央部4bは、後壁1の高さ方向の中央部に対向している。前壁中央部4bの断面形状は、折れ曲がりの無い直線状を呈している。前壁中央部4bは、後壁1に平行である。
前壁下部4cは、下補強壁6に対向している。前壁下部4cの断面形状は、折れ曲がりの無い直線状を呈している。鉛直線に対する前壁下部4cの傾斜角度は、45度以下(本実施形態では13度)である。なお、前壁下部4cの断面形状は、前壁上部4aの上下を反転させた形状と同一である。
図示は省略するが、前壁4の上端部を上壁2との交点よりも上方に延出させるとともに、前壁4の下端部を下壁3との交点よりも下方に延出させてもよい。すなわち、前壁4の上端部を上壁2の上方に張り出すフランジとし、前壁4の下端部を下壁3の下方に張り出すフランジとしてもよい。
上補強壁5は、後壁1から前方に向かって延出する上平面部5aと、上平面部5aの前縁から上壁2に至る上湾曲部5bとを備えている。
上平面部5aは、折れ曲がりの無い断面形状を有し、後壁1の高さ方向の中央部から上斜め前方に向かって延出している。後壁1と上平面部5aのなす角度(内角)θ4は、90度以下(本実施形態では74度)である。上平面部5aは、上湾曲部5bに滑らかに繋がっている。
上湾曲部5bは、湾曲した断面形状を有し、仮想線Lの後方において上壁2に交差している。すなわち、上交点P1は、仮想線Lの後方に位置している。上壁前部2bと上湾曲部5bのなす角度(内角)θ5は、90度未満である。上湾曲部5bの断面形状は、前壁4側に凸となる円弧である。上湾曲部5bの円弧を規定する円の中心Q1は、後壁1と上壁後部2aと上補強壁5とで囲まれた空間V2(以下「上側二次圧潰空間V2」という。)内に位置している。なお、上側二次圧潰空間V2は、仕切の無い単一の空間である。
下補強壁6は、上平面部5aの下方において後壁1から前方に向かって延出する下平面部6aと、下平面部6aの前縁から下壁3に至る下湾曲部6bとを備えている。下補強壁6の断面形状は、上補強壁5の上下を反転させた形状と同一である。
下平面部6aは、折れ曲がりの無い断面形状を有し、後壁1の高さ方向の中央部から下斜め前方に向かって延出している。下平面部6aは、上平面部5aと上下方向に間隔をあけて対向している。後壁1と下平面部6aのなす角度(内角)は、90度以下(本実施形態では74度)である。下平面部6aは、下湾曲部6bに滑らかに繋がっている。
下湾曲部6bは、湾曲した断面形状を有し、仮想線Lの後方において下壁3に交差している。すなわち、下交点P2は、仮想線Lの後方に位置している。下壁前部3bと下湾曲部6bのなす角度(内角)は、90度未満である。下湾曲部6bの断面形状は、前壁4側に凸となる円弧である。下湾曲部6bの円弧を規定する円の中心Q2は、後壁1と下壁後部3aと下補強壁6とで囲まれた空間V3(以下「下側二次圧潰空間V3」という。)内に位置している。なお、下側二次圧潰空間V3は、仕切の無い単一の空間である。
次に、図4,5を参照して、正面衝突時における衝突エネルギーの吸収過程を説明する。なお、図4の(e)〜(h)は、比較例に係るバンパーリインフォースメントR’の変形状態を示す図である。また、図5は、フラットバリアに接触した時点からの車体の前進量を横軸とし、衝突反力を縦軸としたグラフであり、横軸に付した(a)〜(h)の記号は、図4の(a)〜(h)に示す変形状態に対応している。
図4の(a)に示すように、バンパー構造がフラットバリアに衝突し、正面側(車体前方)から車体前後方向の衝突荷重が作用すると、まず、前壁4に形成された上下二箇所の屈折部(図3に示す前壁上部4aと前壁中央部4bとの境界部および前壁下部4cと前壁中央部4bとの境界部)が直線状に伸ばされるような変形が生じることで(図4の(b)参照)、衝突エネルギーが吸収される。すなわち、バンパーリインフォースメントR1の車両幅方向の中央部において一次圧潰空間V1が僅かに潰れることで、衝突初期の衝突エネルギーが吸収される。なお、図4の(b)の変形状態に至るまでに吸収される衝突エネルギーの吸収量は、衝突反力−変位曲線の積分値(すなわち、図5中の面積α)である。
衝突が進行すると、図4の(c)および(d)に示すように、上壁前部2bや下壁前部3bに塑性曲げ変形や座屈が生じることで、衝突エネルギーが吸収される。すなわち、一次圧潰空間V1がさらに潰れることで、衝突エネルギーが吸収される。図4の(b)の変形状態から(c)の変形状態に至るまでに吸収される衝突エネルギーの吸収量は、図5中の面積βであり、図4の(c)の変形状態から(d)の変形状態に至るまでに吸収される衝突エネルギーの吸収量は、図5中の面積γである。
なお、本実施形態では、バンパーリインフォースメントR1が前側に凸となるように湾曲しているので(図2参照)、一次圧潰空間V1の圧潰と共に、湾曲部分が直線状に曲げ伸ばされる変形(ビーム曲げ過程)が進行することで、衝突エネルギーが吸収される。
また、図4の(d)の状態まで衝突が進行すると、バンパーリインフォースメントR1の前半部(一次圧潰空間V1)の大半が潰れてしまうが、二次圧潰空間V2,V3は、大きく潰れることなく元の形状を維持するので、一次圧潰空間V1の圧潰後にバンパーリインフォースメントR1の断面剛性が急激に低下することはない。なお、バンパーリインフォースメントの断面剛性が大きく低下すると、バンパーリインフォースメントが平面視V字状に折れ曲がり、衝突反力が急激に低下する虞があるが、本実施形態のバンパーリインフォースメントR1によれば、一次圧潰空間V1の圧潰後においても、二次圧潰空間V2の外殻(後壁1、上壁後部2aおよび上補強壁5)および二次圧潰空間V3の外殻(後壁1、下壁後部3aおよび下補強壁6)によって断面剛性が確保されるので、平面視V字状に折れ曲がる可能性が小さくなる。
一方、図4の(e)〜(h)に示す比較例に係るバンパーリインフォースメントR’は、断面日字状を呈するものであり、前壁の高さ方向の中央部が仕切壁によって支持されているので、衝突反力が初期段階において急激に増加し、上壁、下壁および仕切壁に座屈が生じた後においては、衝突反力が続落するようになる(図5参照)。
次に、図6,7を参照して、上下オフセット衝突時における衝突エネルギーの吸収過程を説明する。なお、図6の(c),(d)は、比較例に係るバンパーリインフォースメントR’の変形状態を示す図である。また、図7は、衝突相手に接触した時点からの車体の前進量を横軸とし、衝突反力を縦軸としたグラフであり、横軸に付した(a)〜(d)の記号は、図6の(a)〜(d)に示す変形状態に対応している。
上下オフセット衝突によりバンパーリインフォースメントR1の上部に衝突荷重が作用すると、図6の(a)に示すように、上壁前部2bが上補強壁5に重なるように変形し、これに伴い、上壁後部2aが上方に孕み出すように変形する。衝突初期においては、一次圧潰空間V1の上部が潰れることで、衝突エネルギーが吸収される。二次圧潰空間V2,V3は、大きく潰れることなく元の形状を維持する。なお、上壁後部2aが上方に孕み出すように変形するので、衝突初期以降も十分なラップ量(衝突相手と接触する面積)を確保することが可能となる。
一次圧潰空間V1の上部が潰れた後は、図6の(b)に示すように、上側二次圧潰空間V2の外殻(後壁1、上壁後部2aおよび上補強壁5)に衝突荷重が作用するようになり、上側二次圧潰空間V2が潰れることで衝突エネルギーが吸収される。なお、上側二次圧潰空間V2および下側二次圧潰空間V3の存在により、バンパーリインフォースメントR1のねじれ剛性が高くなっているので、一次圧潰空間V1が潰れた後においても衝突荷重を受け止めることができる。すなわち、上側二次圧潰空間V2の外殻および下側圧潰空間V3の外殻の形状が維持されている間は、バンパーリインフォースメントR1が衝突相手の下に潜り込む現象や衝突相手に乗り上がる現象の発生を緩和することが可能になるとともに、バンパーリインフォースメントR1の湾曲部分が直線状に曲げ伸ばされる変形(ビーム曲げ過程)が進行し、ビーム曲げ過程においても衝突エネルギーが吸収される。
一方、比較例に係るバンパーリインフォースメントR’の上部に衝突荷重が作用した場合には、その上部空間が潰れることで衝突エネルギーが吸収されるが(図6の(c)、図7参照)、上部空間が潰れた後は、バンパーリインフォースメントR’のねじれ剛性が不足するため、バンパーリインフォースメントR1の場合と比べて、衝突反力が大きくならず、したがって、衝突エネルギーの吸収量が小さくなる。
以上のとおり、本実施形態に係るバンパーリインフォースメントR1によれば、前壁4と仮想線Lとの間に仕切の無い一次圧潰空間V1が形成されているので、前壁4の高さ方向の中間部を仕切壁で支持する場合に比べて、バンパーリインフォースメントR1の前半部分の剛性を低下させることができる。すなわち、バンパーリインフォースメントR1によれば、衝突の初期段階において一次圧潰空間V1が速やか且つ優先的に潰れるようになるので、衝突反力のピークを抑えることが可能となり、さらには、衝突反力の増加度合い(衝突反力−変位曲線における傾き)を緩やかにすることが可能となる。
また、上下オフセット衝突の場合においては、衝突の初期段階において一次圧潰空間V1の上部または下部が潰れることで衝突エネルギーを吸収し、その後は、上側二次圧潰空間V2または下側二次圧潰空間V3の外殻によって衝突荷重を受け止めるようになるので、バンパーリインフォースメントR1が衝突相手の下に潜り込む現象や衝突相手に乗り上がる現象の発生を緩和することが可能になり、ひいては、ビーム曲げ過程におけるエネルギー吸収を期待できるようになる。
本実施形態では、前壁4に上下二箇所の屈折部を形成しているので、衝突の初期段階においては衝突相手との接触面積が徐々に増えるようになり、ひいては、衝突の初期段階における衝突反力の急増を避けることができる。
また、上補強壁5の一部を折れ曲がり無い断面形状にするとともに残部を湾曲した断面形状とし、下補強壁6の一部を折れ曲がりの無い断面形状にするとともに残部を湾曲した断面形状としたので、適度な断面剛性を得ることができる。
また、上湾曲部5bおよび下湾曲部6bの断面形状を、前壁4側に凸となる円弧状としたので、上補強壁5および下補強壁6の断面二次モーメントが高まる。つまり、バンパーリインフォースメントR1の後半部分が潰れ難くなるので、「ビーム曲げ過程」における衝突エネルギーの吸収が確実なものとなる。
また、上交点P1および下交点P2を仮想線Lよりも後方に位置させているので、上壁前部2bおよび下壁前部3bの座屈長が大きくなり、ひいては、上壁前部2bおよび下壁前部3bに座屈が発生し易くなる。つまり、衝突の初期段階において衝突反力のピークを効果的に抑えることが可能となり、さらには、衝突反力の増加度合いを緩やかにすることが可能となる。
また、上壁前部2bを下向きに傾斜させるとともに、下壁前部3bを上向きに傾斜させることで、前壁4の高さ寸法Hを上交点P1から下交点P2までの距離よりも小さくしたので、上下オフセット衝突時においても、初期圧潰空間V1を意図したモードで潰すことが可能になるとともに、十分なラップ量(衝突相手と接触する面積)を確保することが可能となる。
バンパーリインフォースメントR1の断面形状は、変更してもよい。
例えば、図8の(a)に示すように、前壁4の高さ寸法を、上交点P1から下交点P2までの距離よりも大きくしてもよい。すなわち、上壁前部2bを上向きに傾斜させるとともに、下壁前部3bを下向きに傾斜させてもよい。上下オフセット衝突によって、例えばバンパーリインフォースメントR1の上部に衝突荷重が作用した際には、図8の(b)に示すように、上壁前部2bが上方に孕み出すように変形するので、上下オフセット衝突の初期段階から十分なラップ量を確保することが可能となる。このように、図8の(a)のバンパーリインフォースメントR1においても、上下オフセット衝突時に一次圧潰空間V1を意図したモードで潰すことが可能になるとともに、十分なラップ量を確保することが可能となる。なお、一次圧潰空間V1の上部が潰れた後は、上側二次圧潰空間の外殻で衝突荷重が受け止められ、上側二次圧潰空間V2の外殻および下側圧潰空間V3の外殻の形状が維持されている間は、ビーム曲げ過程が進行する。
なお、図示は省略するが、バンパーリインフォースメントR1の下部に衝突荷重が作用した際には、下壁前部3bが下方に孕み出すように変形するようになるので、上下オフセット衝突の初期段階から十分なラップ量を確保することが可能となる。
また、前記した実施形態では、前壁4に上下二箇所の屈折部を形成した場合を例示したが、図9の(a)に示すように、屈折部を無くし、折れ曲がりのない断面形状(断面視直線状)としてもよい。
なお、図9の(a)の上補強壁5の上部は、湾曲した断面形状を有しているものの、仮想線Lと同等の位置において上壁2に交差している。上壁前部2bと上補強壁5のなす角度(内角)θ5は、90度以上である。下補強壁6についても同様である。θ5を90度未満にして上交点P1および下交点P2を仮想線Lの後方に位置させると、上壁前部2bおよび下壁前部2bが座屈し易くなる結果、バンパーリインフォースメントR1の断面剛性が必要以上に小さくなる場合があるが、θ5を90度以上に設定して上交点P1および下交点P2を仮想線Lと同等の位置に設ければ、上壁前部2bおよび下壁前部3bの座屈長が短くなる(座屈し難くなる)ので、バンパーリインフォースメントR1の断面剛性が小さくなり過ぎるのを防ぐことができる。
前記した実施形態では、上補強壁5と下補強壁6とを連結しない場合を例示したが、図9の(b)に示すように、上補強壁5と下補強壁6とを繋ぐ連結壁8を設けてもよい。
なお、図9の(b)の上補強壁5は、後壁1から前方に向かって延出する上平面部5aと、上平面部5aの前縁から上壁2に至る上屈折部5cとを備えている。上平面部5aは、折れ曲がりの無い断面形状を有し、後壁1の高さ方向の中央部から前方に向かって延出している。後壁1と上平面部5aのなす角度(内角)θ4は、90度である。上屈折部5cは、断面く字状を呈していて、仮想線Lと同等の位置において上壁2に交差している。上壁前部2aと上屈折部5cのなす角度(内角)θ5は、90度以上である。
下補強壁6の断面形状は、上補強壁5の上下を反転させた形状と同一であり、下平面部6aと、下屈折部6cとを備えている。
図10の(a)および(b)に示すように、前壁4の全体を湾曲した断面形状にしてもよい。図10の(a)および(b)では、前壁4を断面円弧状とし、さらには、上壁前部2bおよび下壁前部3bのうち、前壁4に繋がる部分も断面円弧状としている。
なお、図10の(a)の上補強壁5および下補強壁6は、それぞれ一つの屈折部を有し、断面L字状を呈している。上側二次圧潰空間V2および下側圧潰空間V3の断面形状は、矩形状を呈している。また、図10の(b)の上補強壁5および下補強壁6は、折れ曲がりの無い断面形状(直線状)を呈しており、上側二次圧潰空間V2および下側圧潰空間V3の断面形状は、三角形を呈している。
図11の(a)に示すように、前壁4を断面波形に形成してもよい。このようにすると、衝突初期においては、衝突相手との接触面積が小さくなり、衝突が進行するに連れて接触面積が増大するようになるので、衝突反力の急激な増加を避けつつも衝突エネルギーの吸収量を高めることができる。
前記した実施形態では、バンパーリインフォースメントR1の断面形状を上下対称とした場合を例示したが、図11の(b)に示すように、上下非対称としてもよい。図11の(b)の前壁4は、上壁2の前縁から前斜め下方に向かって延出する断面視直線状の前壁上部4aと、前壁上部4aの下縁から下壁3の前縁に至る断面視円弧状の前壁下部4bとを備えている。なお、図11の(b)のバンパーリインフォースメントR1では、衝突初期においては前壁下部4bが衝突相手と接触し、衝突が進行するに連れて接触面積が増大するようになるので、衝突反力の急激な増加を避けつつも衝突エネルギーの吸収量を高めることができる。
(本発明の実施形態)
本発明の実施形態に係るバンパーリインフォースメントR2は、アルミニウム合金製の中空押出形材からなるものであり、図12の(a)に示すように、車体に面する後壁11と、後壁11の上部から前方に向かって延出する上壁12と、後壁11の下部から前方に向かって延出する下壁13と、上壁12および下壁13のみに支持された前壁14と、上壁12の前後方向の中間部を支持する上補強壁15と、下壁13の前後方向の中間部を支持する下補強壁16と、後壁11の高さ方向の中間部から前方に向かって延出する中間補強壁17とを備えている。すなわち、バンパーリインフォースメントR2は、閉断面形状の外殻(後壁11、上壁12、下壁13および前壁14)と、この外殻の内部空間に配置された三つの仕切壁(上補強壁15、下補強壁16および中間補強壁17)とを備えている。
なお、図12の(a)中の一点鎖線Lは、上補強壁15の最前部と下補強壁の最前部16とを通る仮想線Lである。また、点P1は、上壁12と上補強壁15との交差部(上交点P1)であり、点P2は、下壁13と下補強壁16との交差部(下交点P2)である。
後壁11は、折れ曲がりの無い断面形状(鉛直線に平行な直線状)を呈している。後壁11の後面には、バンパーステイの前端が固定される。
上壁12は、後壁11の上縁から上交点P1に至る上壁後部12aと、上交点P1から前方に向かって延出する上壁前部12bとを備えている。上壁後部12aおよび上壁前部12bは、いずれも折れ曲がりの無い断面形状を有し、水平面と平行である。
下壁13は、後壁11の下縁から下交点P2に至る下壁後部13aと、下交点P2から前方に向かって延出する下壁前部13bとを備えている。下壁後部13aおよび下壁前部13bは、いずれも折れ曲がりの無い断面形状を有し、水平面と平行である。
前壁14は、仮想線Lの前方に位置していて、上壁12と下壁13とを繋いでいる。前壁14は、その高さ方向の二箇所で屈折している。前壁14と仮想線Lとの間には、仕切の無い単一の空間(一次圧潰空間)V1が形成されている。前壁14の高さ寸法は、上側の上交点P1から下側の下交点P2までの距離と等しい。
上補強壁15は、中間補強壁17の前縁から上壁12の前後方向の中間部に至る部位であり、仮想線Lの後方において上壁12に交差している。すなわち、上交点P1は、仮想線Lの後方に位置している。上壁前部12bと上補強壁15のなす角度(内角)は、90度未満である。上補強壁15の断面形状は、前壁14側に凸となる円弧である。上補強壁15の円弧を規定する円の中心は、後壁11と上壁12と上補強壁15とで囲まれた空間V2(上側二次圧潰空間V2)内に位置している。なお、上側二次圧潰空間V2は、仕切の無い単一の空間である。
下補強壁16は、中間補強壁17の前縁から下壁13の前後方向の中間部に至る部位であり、仮想線Lの後方において下壁13に交差している。すなわち、下交点P2は、仮想線Lの後方に位置している。下壁前部13bと下補強壁16のなす角度(内角)は、90度未満である。下補強壁16の断面形状は、前壁14側に凸となる円弧である。下補強壁16の円弧を規定する円の中心は、後壁11と下壁13と下補強壁16とで囲まれた空間V3(下側二次圧潰空間V3)内に位置している。なお、下側二次圧潰空間V3は、仕切の無い単一の空間である。
中間補強壁17は、折れ曲がりの無い平板状を呈しており、後壁11の高さ方向の中央部から前方に向かって延出している。後壁11と中間補強壁17のなす角度(内角)は、90度である。
而して、バンパーリインフォースメントR2においても、前壁14と仮想線Lとの間に仕切の無い一次圧潰空間V1が形成されているので、前壁14の高さ方向の中間部を仕切壁で支持する場合に比べて、バンパーリインフォースメントR2の前半部分の剛性を低下させることができる。すなわち、バンパーリインフォースメントR2によれば、衝突の初期段階において一次圧潰空間V1が速やか且つ優先的に潰れるようになるので、衝突反力のピークを抑えることが可能となり、さらには、衝突反力の増加度合い(衝突反力−変位曲線における傾き)を緩やかにすることが可能となる。
また、上下オフセット衝突の場合においては、衝突の初期段階において一次圧潰空間V1の上部または下部が潰れることで衝突エネルギーを吸収し、その後は、上側二次圧潰空間V2または下側二次圧潰空間V3の外殻によって衝突荷重を受け止めるようになるので、バンパーリインフォースメントが衝突相手の下に潜り込む現象や衝突相手に乗り上がる現象の発生を緩和することが可能になり、ひいては、ビーム曲げ過程におけるエネルギー吸収を期待できるようになる。
バンパーリインフォースメントR2の断面形状は、変更してもよい。
例えば、図12の(b)に示すように、前壁14の上端部を上壁12との交点よりも上方に延出させるとともに、前壁14の下端部を下壁13との交点よりも下方に延出させてもよい。すなわち、前壁14の上端部14aを上壁12の上方に張り出すフランジとして活用し、前壁14の下端部14bを下壁13の下方に張り出すフランジとして活用してもよい。このようにすると、上下オフセット衝突時においても、十分なラップ量(衝突相手と接触する面積)を確保することが可能となる。
なお、図示は省略するが、後壁11の上端部を上壁12との交点よりも上方に延出させるとともに、後壁11の下端部を下壁13との交点よりも下方に延出させてもよい。
図12に示したバンパーリインフォースメントR2では、上補強壁15および下補強壁16の断面形状を前壁14側に凸となる円弧とした場合を例示したが、図13に示すように、屈折部を有する形状としてもよい。
図13の上補強壁15は、後壁11に平行な上対向部15aと、上対向部15aの上縁から上斜め前方に向かって延出する上傾斜部15bとを備えている。上壁前部12bと上傾斜部15bとのなす角度(内角)θ5は、90度以上である。また、下補強壁16は、後壁11に平行な下対向部16aと、下対向部16aの下縁から下斜め前方に向かって延出する下傾斜部16bとを備えている。下壁前部13bと下傾斜部16bとのなす角度(内角)は、90度以上である。
(第二参考実施形態)
第二参考実施形態に係るバンパーリインフォースメントR3は、アルミニウム合金製の中空押出形材からなるものであり、図14に示すように、車体に面する後壁21と、後壁21の上部から前方に向かって延出する上壁22と、後壁11の下部から前方に向かって延出する下壁23と、上壁22および下壁23のみに支持された前壁24と、後壁21から上壁22の前後方向の中間部に至る上補強壁25と、後壁21から下壁23の前後方向の中間部に至る下補強壁26とを備えている。すなわち、バンパーリインフォースメントR2は、閉断面形状の外殻(後壁21、上壁22、下壁23および前壁24)と、この外殻の外部に配置された上補強壁25および下補強壁26とを備えている。
なお、図14中の一点鎖線Lは、上補強壁25の最前部と下補強壁の最前部26とを通る仮想線Lである。また、点P1は、上壁22と上補強壁25との交差部(上交点P1)であり、点P2は、下壁23と下補強壁26との交差部(下交点P2)である。
後壁21は、折れ曲がりの無い断面形状(鉛直線に平行な直線状)を呈している。後壁21の上端部は、上壁22との交点よりも上方に延出しており、後壁21の下端部は、下壁23との交点よりも下方に延出している。
上壁22は、後壁21の上部から上交点P1に至る上壁後部22aと、上交点P1から前方に向かって延出する上壁前部22bとを備えている。
上壁後部22aは、後壁21の上部から下斜め前方に向かって延出している。上壁後部22aの断面形状は、円弧である。
上壁前部22bは、上壁後部22aの前縁から水平面に沿って延出する平板状の平坦部と、当該平坦部の前縁から下斜め前方に向かって延出する傾斜部とを備えている。水平面に対する傾斜部の傾斜角度は、45度以下である。
下壁23は、後壁21の下部から下交点P2に至る下壁後部23aと、下交点P2から前方に向かって延出する下壁前部23bとを備えている。
下壁後部23aは、後壁21の下部から上斜め前方に向かって延出している。下壁後部23aの断面形状は、円弧である。
下壁前部23bは、下壁後部23aの前縁から水平面に沿って延出する平板状の平坦部と、当該平坦部の前縁から上斜め前方に向かって延出する傾斜部とを備えている。水平面に対する傾斜部の傾斜角度は、45度以下である。
前壁24は、仮想線Lの前方に位置していて、上壁22と下壁23とを繋いでいる。前壁24と仮想線Lとの間には、仕切の無い単一の空間(一次圧潰空間V1)が形成されている。前壁24の高さ寸法は、上側の上交点P1から下側の下交点P2までの距離よりも小さくなっている。
上補強壁25は、後壁21の上縁から上壁22の前後方向の中間部に至る部位であり、上壁22の上側に配置されている。すなわち、後壁21と上壁22と上補強壁25とで囲まれた空間(上側二次圧潰空間V2)は、上壁22の上側に形成されている。なお、上補強壁25は、一つの屈折部を有し、断面L字状を呈しているが、他の断面形状(例えば、断面円弧状、断面直線状など)に変更してもよい。
下補強壁26は、後壁21の下縁から下壁23の前後方向の中間部に至る部位であり、下壁23の下側に配置されている。すなわち、後壁21と下壁23と下補強壁26とで囲まれた空間(下側二次圧潰空間V3)は、下壁23の下側に形成されている。なお、下補強壁26は、一つの屈折部を有し、断面L字状を呈しているが、他の断面形状(例えば、断面円弧状、断面直線状など)に変更してもよい。
而して、バンパーリインフォースメントR3においても、前壁24と仮想線Lとの間に仕切の無い一次圧潰空間V1が形成されているので、前壁24の高さ方向の中間部を仕切壁で支持する場合に比べて、バンパーリインフォースメントR3の前半部分の剛性を低下させることができる。すなわち、バンパーリインフォースメントR3によれば、衝突の初期段階において一次圧潰空間V1が速やか且つ優先的に潰れるようになるので、衝突反力のピークを抑えることが可能となり、さらには、衝突反力の増加度合い(衝突反力−変位曲線における傾き)を緩やかにすることが可能となる。
また、上下オフセット衝突の場合においては、衝突の初期段階において一次圧潰空間V1の上部または下部が潰れることで衝突エネルギーを吸収し、その後は、上側二次圧潰空間V2または下側二次圧潰空間V3の外殻によって衝突荷重を受け止めるようになるので、バンパーリインフォースメントが衝突相手の下に潜り込む現象や衝突相手に乗り上がる現象の発生を緩和することが可能になり、ひいては、ビーム曲げ過程におけるエネルギー吸収を期待できるようになる。
R2 バンパーリインフォースメント
11 後壁
12 上壁
13 下壁
14 前壁
15 上補強壁
16 下補強壁
17 中間補強壁

Claims (7)

  1. 中空形材からなるバンパーリインフォースメントであって、
    車体に面する後壁と、
    前記後壁の上部から前方に向かって延出する上壁と、
    前記後壁の下部から前方に向かって延出する下壁と、
    前記上壁および前記下壁のみに支持された前壁と、
    前記後壁の高さ方向の中間部から前方に向かって延出する中間補強壁と、
    前記中間補強壁の前縁から前記上壁の前後方向の中間部に至る上補強壁と、
    前記中間補強壁の前縁から前記下壁の前後方向の中間部に至る下補強壁とを備えており、
    前記中空形材の中心軸を法線とする仮想の平面で切断したときに、前記上補強壁の最前部と前記下補強壁の最前部とを通る仮想線の前方に前記前壁が位置している、ことを特徴とするバンパーリインフォースメント。
  2. 前記上壁と前記上補強壁との交点および前記下壁と前記下補強壁との交点が、前記仮想線よりも後方に位置している、ことを特徴とする請求項1に記載のバンパーリインフォースメント。
  3. 前記上補強壁および前記下補強壁の断面形状は、前記前壁側に凸となる円弧状であることを特徴とする請求項1に記載のバンパーリインフォースメント。
  4. 前記上補強壁および前記下補強壁は、湾曲または屈折した断面形状を有することを特徴とする請求項1に記載のバンパーリインフォースメント。
  5. 前記前壁の高さ寸法が、前記上壁と前記上補強壁との交点から前記下壁と前記下補強壁との交点までの距離よりも小さい、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のバンパーリインフォースメント。
  6. 前記前壁の高さ寸法が、前記上壁と前記上補強壁との交点から前記下壁と前記下補強壁との交点までの距離よりも大きい、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のバンパーリインフォースメント。
  7. 前記前壁は、湾曲または屈折した断面形状を有する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のバンパーリインフォースメント。
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