JP2020019248A - インクジェット印刷用紙 - Google Patents

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真一 桐田
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Abstract

【課題】インクジェット印刷時の画質に優れ、インクの裏抜けやにじみが生じ難く、書籍用紙として使用することが可能なインクジェット印刷用紙を提供する。【解決手段】紙基材と、当該紙基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有するインクジェット印刷用紙であって、前記紙基材の全パルプに占める機械パルプの割合が40質量%以上であり、前記紙基材は、内添填料としてマイカを全パルプに対して5〜20質量%含有し、前記インク受容層は、カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂とカチオン性樹脂とを含有することを特徴とするインクジェット印刷用紙である。【選択図】なし

Description

本発明は、書籍用として使用することが可能なインクジェット印刷用紙に関するものである。
近年、出版業界においては、印刷物のビジュアル化、カラー化の傾向が強い。そのため、印刷方式としては従来からのオフセット印刷に加えて、デジタル情報を紙に直接印刷でき、また、可変情報の印刷も容易なインクジェット印刷が今後伸びていくものと予想されている。この傾向は、コミック誌、少年少女雑誌等の出版物にも波及している。そして、ページ数の割りには厚みがある雑誌、本が好まれることから、用紙としては、坪量あたりの厚みが大きく、ページめくり時に破れにくく、嵩高で腰の強い性質を特徴とする嵩高中質紙が要求されている。
嵩高で腰の強い性質を有する嵩高中質紙を得るための方法の1つとして、機械パルプを含有した紙を用いる方法がある。機械パルプを含有した印刷用紙については、種々の発明が開示されている。例えば、特許文献1には、木材パルプ成分のうち機械パルプ成分を10〜40重量%含有し、かつ紙匹表面に0.5〜3g/mの範囲において無機顔料を含む塗工物質が塗布された情報記録用紙が開示されている。また、特許文献2には、全パルプ成分中の65〜95重量%が機械パルプであり、かつ機械パルプ成分中の20〜80重量%が松材系のサーモメカニカルパルプから構成される紙支持体上に、クリヤーサイズ塗料が両面で0.5〜1.5g/m塗布されており、緊度が0.40〜0.50g/cmである嵩高なオフセット印刷用中質紙が開示されている。
特開平10−305655号公報 特開平5−98593号公報
しかし、特許文献1に記載の情報記録用紙は、機械的強度の面で十分な性能を有するものではなかった。また、特許文献2に記載のオフセット印刷用中質紙は、インクジェット記録用紙としては、にじみが生じ易い傾向があり、インクの裏抜け防止性においてもさらに改良の余地を有するものであった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、インクジェット印刷時の画質に優れ、インクの裏抜けやにじみが生じ難く、書籍用紙として使用することが可能なインクジェット印刷用紙を提供することである。
本発明者らは、紙基材に機械パルプを所定量含有させることにより、書籍用紙として使用することが可能な、嵩高で高い引張強度を有した印刷用紙とした。また、紙基材の表面に所定の成分を含有するインク受容層を設けることにより、インクジェット印刷適性を向上させた。さらに、本発明者らは、内添填料を検討したところ、マイカを添加することにより、紙基材の平面性を高め、インクの裏抜けを防止することができることを見出した。本発明は、このような知見を基に到達することができたものである。すなわち、本発明は以下のような構成を有している。
(1)本発明のインクジェット印刷用紙は、紙基材と、当該紙基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有するインクジェット印刷用紙であって、前記紙基材の全パルプに占める機械パルプの割合が40質量%以上であり、前記紙基材は、内添填料としてマイカを全パルプに対して5〜20質量%含有し、前記インク受容層は、カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂とカチオン性樹脂とを含有することを特徴としている。
(2)前記紙基材は、内添填料として炭酸カルシウムを全パルプに対して10〜30質量%含有することが好ましい。
(3)前記カチオン性樹脂がポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂であることが好ましい。
(4)前記インクジェット印刷用紙は、書籍用として使用することができる。
本発明のインクジェット印刷用紙は、インクジェット印刷時の画質に優れ、インクの裏抜けやにじみが生じ難く、書籍用紙として使用することが可能である。
本発明の実施形態について説明する。但し、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態のインクジェット印刷用紙は、紙基材と、当該紙基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有している。以下、本実施形態のインクジェット印刷用紙を構成する材料について説明する。
[紙基材]
紙基材は、パルプを主成分としている。ここで、「パルプを主成分とする」とは、紙基材を構成する材料として、パルプを40質量%以上含有することを意味している。紙基材を構成するパルプとしては、パルプであれば特に限定されず、通常製紙用として使用されるパルプが使用できる。
パルプは、製造方法によって大きく、化学パルプと機械パルプに分けられる。機械パルプとは、物理的な力で木材を破砕する方法で製造されたパルプである。機械パルプの繊維は、化学パルプの繊維と比べて、繊維が太く長く剛直である。機械パルプには、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の種類がある。
一方、化学パルプとは、化学的な反応で木材を分解し、リグニンやヘミセルロースを除去する方法で製造されたパルプである。化学パルプには、クラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ、亜硫酸パルプ等の種類がある。さらに、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹サルファイドパルプ(LBSP)、針葉樹サルファイドパルプ(NBSP)等の種類に分けることができる。
パルプにはさらに、脱墨古紙パルプ(DIP)等がある。古紙パルプの繊維は、化学パルプの繊維よりもさらに短くて細い。また、木材を原料としないパルプとしては、例えば、楮、三椏、麻、ケナフ等を原料とする非木材繊維パルプが挙げられる。
本実施形態においては、紙基材の全パルプのうち、機械パルプが40質量%以上を占めている。紙基材の全パルプのうち機械パルプが40質量%以上を占めることによって、紙基材を嵩高にし、機械的強度を向上させることができる。紙基材の全パルプに占める機械パルプの割合は、40〜90質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましい。
インクジェット印刷用紙では、文字を読む際の目の疲れを低減させるため、白色度を低下させ、クリーム色等に着色させることが好ましい。機械パルプは、もともと着色しているものが多いため、機械パルプを含有させることにより、インクジェット印刷用紙を着色させることができる。
(内添填料)
紙基材には内添填料として、マイカが添加される。マイカは、雲母とも呼ばれるケイ酸塩鉱物である。天然に産出するものと、人工的に合成された合成マイカ(合成雲母)とがある。マイカは、扁平な形状の無機フィラーであり、紙基材に内添填料として添加されることにより、インクの裏抜けや裏透きの防止に有効である。また、紙基材のパルプにマイカを添加した後、湿潤状態でプレスすることにより、マイカを平行に配列させることができるため、紙基材の平面性を向上させ、インクの裏抜けや裏透きの防止にさらに有効である。
マイカは扁平な形状をしており、紙基材中に含有させると積層するため、インクを滴下したときに、インクの溶剤が拡散し難い傾向を示す。しかし、マイカを含有する紙基材が機械パルプを含有していると、紙基材内の繊維間に隙間が生じ易くなり、インクジェット印刷のインクの溶剤が紙基材内を拡散し易くなる。その結果、インクの乾燥スピードが向上し、インクの溶剤量が増大する多色印刷の際には、特に有効となる。
マイカは、紙基材の全パルプに対して、5〜20質量%含有させる。マイカの含有量は、10〜20質量%が好ましい。
紙基材には内添填料として、マイカに加えて、炭酸カルシウムを添加することが好ましい。炭酸カルシウムは、インクジェット印刷用インクの溶剤の吸収材として働き、インクジェット印刷用紙のインクの吸収性を向上させるのに有効である。さらに炭酸カルシウムは、インクの裏抜け防止にも有効である。炭酸カルシウムは、紙基材の全パルプに対して、10〜30質量%含有させることが好ましく、15〜25質量%含有させることがより好ましい。また、マイカと炭酸カルシウムの比率は、質量比で、1:3〜1:1とすることが好ましい。
紙基材にはさらに、発明の効果を阻害しない範囲で、マイカ、炭酸カルシウム以外の他の内添填料を添加してもよい。他の内添填料としては、例えば、シリカ、タルク、二酸化チタン、カオリン、亜硫酸カルシウム、石膏、珪藻土、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等が挙げられる。
内添填料は、合計の含有量として、紙基材の全パルプに対して10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
紙基材は、サイズ剤を含有することが好ましい。サイズ剤を紙基材に含有させることにより、インクジェット印刷用インクの裏抜けを抑制することができる。サイズ剤としては特に限定されないが、インクの吸収性を高めることが可能な中性サイズ剤が好ましい。サイズ剤としては、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等のサイズ剤が挙げられる。これらの中では、中性サイズ剤である、アルケニル無水コハク酸系およびアルキルケテンダイマー系から選択される少なくとも一種であることが好ましく、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤がより好ましい。サイズ剤の含有量は、紙基材に対して0.01〜0.20質量%が好ましく、0.05〜0.10質量%より好ましい。
紙基材にはさらに、必要に応じて、他の添加剤を含有させてもよい。他の添加剤としては、硫酸アルミニウム、カチオン化澱粉、カチオン性高分子電解質等に代表される定着剤、ポリアクリルアミド系ポリマー、澱粉等に代表される紙力増強剤、メラミン樹脂、尿素樹脂等の湿潤紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤等を挙げることができる。
紙基材の坪量は、特に限定されないが、40〜65g/mであることが好ましく、50〜60g/mがより好ましい。紙基材の坪量を上記範囲内とすることにより、インクジェット印刷用紙として必要な強度を保持させることができる。
[インク受容層]
インク受容層は、インクジェット印刷時にインクを受容する層である。インク受容層は、カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂とカチオン性樹脂とを含有している。
(バインダー)
カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂は、紙基材上に塗膜を形成するためのバインダーとして用いられる。また、カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂は、カチオン性であるため、インクジェット印刷のアニオン性のインクと相互作用して、インクを定着させることができる。また、カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂は、パルプとカチオン性樹脂とをつなぐ機能も有している。
紙基材上に塗膜を形成するバインダーとして、カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂以外にも、他の種類のバインダーを適宜添加してもよい。他の種類のバインダーとしては、例えば、澱粉、澱粉誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルギン酸、グアーガム、キサンタンガム、プルラン、カゼイン等が挙げられる。
バインダーの含有量は、インク受容層に対して20〜50質量%(固形分)であることが好ましく、30〜50質量%(固形分)であることがより好ましく、35〜45質量%であることがさらに好ましい。バインダーの含有量を上記範囲内とすることにより、表面強度の低下を抑制でき、印刷部のこすれ汚れの発生を防ぐことができる。
(カチオン性樹脂)
インク受容層は、カチオン性樹脂を含有している。インクジェット印刷用インクは通常アニオン性である。そのため、インク受容層にカチオン性樹脂を含有させることによって、インクジェット印刷用紙に対するインクジェット印刷用インクの定着性を高め、画像を鮮明なものとすることができる。また、インクがパルプ繊維に沿って走るフェザリングを抑制することができる。
カチオン性樹脂としては、例えば、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂、アルキルアミン−エピハロヒドリン共重合物、アクリル共重合体、ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類、ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性樹脂、ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物に代表されるポリアミン系カチオン性樹脂、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、アリルアミン塩の重合物、ビニルベンジルトリアリルアンモニウム塩の単独重合体又は共重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合物、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物等が挙げられる。これらの中では、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂が好ましい。ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂は、ポリアミドポリアミンをエピハロヒドリンによって変性した樹脂である。ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂の中でもポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂が好ましい。インク受容層には、複数種のカチオン性樹脂を混合して用いてもよい。
カチオン性樹脂の含有量は、インク受容層に対して40〜80質量%(固形分)が好ましく、50〜70質量%がより好ましく、55〜65質量%がさらに好ましい。カチオン性樹脂の含有量が80質量%を超えると、インクジェット印刷時の画像は良好であるが、ぬめりが生じて、手触り感が低下する。また、経時的に白色度が低下する。一方、カチオン性樹脂の含有量が40質量%未満であると、インクジェット印刷用インクの定着性が低下し、インクの裏抜けが生じるおそれがある。
ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂を使用するとき、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂の重量平均分子量は、5000〜15000が好ましい。ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂の重量平均分子量を上記範囲内とすることによって、インクジェット印刷時の画像を鮮明なものとすることができる。ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂の市販品としては、例えば、星光PMC社製のDK6802(重量平均分子量1000)、DK6810(重量平均分子量2000)、DK6857(重量平均分子量10000)、DK6854(重量平均分子量20000)などがある。
ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂を使用するとき、カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂とポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂との比率は、質量比で、30:70〜50:50とすることが好ましい。カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂とポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂との比率が前記範囲内にあるとき、にじみ防止性、細線再現性、裏抜け防止性等の性能を高めることができる。
(サイズ剤)
インク受容層には、サイズ剤を含有させてもよい。インク受容層にサイズ剤を含有させると、紙の表面に疎水性を付与することができ、細かい字の画像をよりシャープなものとすることができる。
サイズ剤は、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等があり、特に限定されないが、カチオン系サイズ剤が好ましい。カチオン系サイズ剤であれば、アニオン性のインクジェット印刷用インクと結合して、インクの定着性を高め、インクのにじみを防止し、画像をより鮮明なものとすることができる。また、カチオン系サイズ剤は、カチオン性のポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂との相溶性に優れている。カチオン系サイズ剤としては、スチレン−アクリル系共重合体エマルジョン型サイズ剤、カチオン化アルキルケテンダイマー系サイズ剤等がある。これらの中では、スチレン−アクリル系共重合体エマルジョン型サイズ剤が好ましい。サイズ剤の含有量は、インク受容層に対して0.01〜0.20質量%であることが好ましく、0.05〜0.15質量%であることがより好ましい。
インク受容層には、必要に応じて、公知の助剤を配合してもよい。助剤としては、例えば、界面活性剤、pH調節剤、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、滑剤、防腐剤及び香料等を挙げることができる。
インク受容層の厚さは、5〜40μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。インク受容層の厚さを上記範囲内とすることにより、インクの定着性を高め、画像を鮮明なものとし、インクの裏抜けを防止することができる。
インク受容層は、透明であって、発色性を高めるために、顔料を含有させないことが好ましい。すなわち、インク受容層には、顔料を1質量%以下とすることが好ましい。また、インク受容層には、蛍光増白剤を含有させないことが好ましい。インク受容層に蛍光増白剤が含有されていると、目に疲れを感じさせたり、経時的に蛍光増白剤が劣化して、インク受容層の色相が黄ばんだり、白色度が低下したりする。具体的には、蛍光増白剤の含有量を100ppm以下とすることが好ましい。
インク受容層は、目に疲れを感じさせないために、光沢を有していないことが好ましい。具体的には、光沢度は10%以下であることが好ましい。光沢度は、JIS P 8142に準拠して測定することができる。
[インクジェット印刷用紙]
インクジェット印刷用紙の坪量は、40〜60g/mであることが好ましく、50〜60g/mであることがより好ましい。坪量は小さい方が書籍の軽量化を図ることが可能となり、好ましい。
インクジェット印刷用紙は嵩高であることが好ましい。具体的には、インクジェット印刷用紙の密度は、0.4〜0.65g/cmであることが好ましく、0.5〜0.6g/cmであることがより好ましい。また、インクジェット印刷用紙は、厚さが大きいことが好ましく、具体的には、インクジェット印刷用紙の厚さは、80〜125μmであることが好ましく、90〜110μmであることがより好ましい。
インクジェット印刷用紙の灰分は、18〜40質量%であることが好ましく、25〜39質量%であることがより好ましい。紙基材中の内添填料を比較的多量に添加しているため、灰分は比較的大きな数値となる。インクジェット印刷用紙の灰分は、JIS 8251:2003に準拠して測定される。
[インクジェット印刷用紙の製造方法]
(紙基材の製造方法)
紙基材は、常法により各種抄紙機により抄紙され、湿紙を形成した後、乾燥させることにより得ることができる。その後、表面サイズプレス処理マシンカレンダー等による平滑化処理等、常法による処理工程を経て製造される。
抄紙機としては、例えば、エアクッションヘッドボックスあるいはハイドロリックヘッドボックスを有する長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、オントップ型ツインワイヤー抄紙機、ヤンキー抄紙機等を挙げることができる。
(インク受容層用塗工液の調製)
インク受容層用塗工液は、前記のバインダーおよびカチオン性樹脂に、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤等の各種助剤を適宜添加して調製される。塗工液の溶剤としては、通常、水が使用される。
(インク受容層の形成方法)
インク受容層は、例えば、紙基材の片面にインク受容層用塗工液を塗工した後、塗工液を乾燥させることによって、形成することができる。乾燥後の塗工量(固形分質量)は、好ましくは0.1〜6.0g/m程度であり、より好ましくは0.2〜1.2g/m程度である。
インク受容層用塗工液の塗工方法としては、一般に公知の塗工装置を用いることができる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、スロットダイコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、ブラシコーター、スライドビードコーター、ツーロールあるいはロッドメタリング方式のサイズプレスコーター、ポンドサイズプレスコーター、ビルロッドメタリングサイズプレスコーター、ショートドウェルコーター、ゲートロールコーター、キャレンダーによるニップコーター等が挙げられる。これらの中でも、生産効率を高めるために、ゲートロールコーター、バーコーター、ブレードコーターを用いることが好ましい。
インク受容層の形成方法としては、紙の抄造と塗工液の塗工を一体で行うオンマシン塗工が生産効率の点で好ましい。さらに、ゲートロールコーターによるオンマシン塗工がより好ましい態様である。
また、インク受容層形成後、必要に応じて平滑化処理を行うことができる。平滑化処理は通常のスーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー等の平滑化処理装置を用いて、オンマシン又はオフマシンで行われる。
本実施形態のインクジェット印刷用紙は、インクジェット印刷時の画質に優れ、インクの裏抜け、裏透け、にじみが生じにくい。また、本実施形態のインクジェット印刷用紙は、引張強度に優れ、嵩高で腰が強い。このような理由から、本実施形態のインクジェット印刷用紙は、書籍用紙としての適性を有している。
本実施形態を下記の実施例と比較例によって、さらに具体的に説明する。尚、以下の記載において、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
実施例および比較例で用いた原材料は以下のとおりである。
(1)パルプ
機械パルプ:王子ホールディングス社製、サーモメカニカルパルプ、カナダ標準パルプ濾水度:100ml
化学パルプ:広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、カナダ標準パルプ濾水度:550ml
古紙パルプ:脱墨古紙パルプ(DIP)、カナダ標準パルプ濾水度:550ml
(2)内添填料
マイカ:トピー工業社製、品番PDM、粒径40μm
炭酸カルシウム:奥多摩工業社製、品番タマパールTP−121、粒径2.0μm
二酸化チタン:堺化学工業社製、品番A−110、粒径0.15μm
(3)内添サイズ剤
ASA:荒川化学工業社製、アルケニル無水コハク酸、サイズパインSA−864
AKD:星光PMC社製、アルキルケテンダイマー
(4)バインダー
カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂:電気化学工業社製、デンカポバール(登録商標)PC5500
酸化澱粉:王子コーンスターチ社製、エースA
無変性ポリビニルアルコール樹脂:クラレ社製、PVA105
(5)カチオン性樹脂
ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂:星光PMC社製、DK6857(重量平均分子量10000)
ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂ではないカチオン性樹脂:センカ社製、CP91、DADMAC
(6)表面サイズ剤
スチレン−アクリル系共重合体エマルジョン型表面サイズ剤:星光PMC社製、SE2220
[実施例1]
(紙基材の作成)
パルプとして機械パルプ100%からなるパルプスラリーに、固形分でパルプ100部に対して内添填料を30部添加した。内添填料は、マイカを10部、炭酸カルシウムを20部含有する。その後、固形分でパルプ100部に対して内添サイズ剤としてASAを0.03部添加し、紙料を調製した。得られた紙料を長網抄紙機で抄紙して、紙基材を得た。
(塗工液の調製)
固形分でバインダーとしてカチオン変性ポリビニルアルコール樹脂を40部、表面サイズ剤を1部、カチオン性樹脂としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を59部使用し、水を加えて、塗工液を調製した。
(インクジェット印刷用紙の作製)
前記紙基材の片方の表面上に、塗布量として乾燥時の固形分質量が0.9g/mとなるように前記塗工液を塗工装置としてゲートロールコーターを用いてオンマシン塗工し、乾燥して、インクジェット印刷用紙1を得た。
[実施例2〜14、比較例1〜8]
表1および表2に従って、原材料の種類と量、並びに塗布量を変更した以外は実施例1と同様にして、紙基材を作成し、塗工液を調製し、インクジェット印刷用紙を作製した。実施例および比較例で得られた各インクジェット印刷用紙に対して、下記の性能評価を実施した。
<性能評価>
(引張強度)
引張強度は、JIS P8113:2006に準拠して、縦方向および横方向の引張強度の平均値を測定した。縦方向および横方向の引張強度の平均値が2.5kN/m以上のものが、実用上問題がないと判定した。
(にじみ防止性)
インクジェット印刷用紙の片面に、インクジェット印刷機(キヤノンプロダクションプリンティングシステム株式会社製ColorStream 3900)を用いて、GS1−128コードのバーコードを印刷した。
次いで、バーコードを印刷したインクジェット印刷用紙に対し、バーコード検証機(RJS社製Inspector D4000)を用いて、バーコードリーダーを10回走査させた。その際のバーコードを読み取れた回数を測定し、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
5:バーコードリーダーの10回の走査の内、10回読み取れる。
4:バーコードリーダーの10回の走査の内、9回読み取れる。
3:バーコードリーダーの10回の走査の内、6回以上9回未満読み取れる。
2:バーコードリーダーの10回の走査の内、読み取れる回数が5回未満である、又は、読み取り回数が0回であってもバーコードに対して複数のレーザ走査線を通過させると読み取れる。
1:バーコードを読み取ることができない。
なお、評価の数値が大きい程、インクジェット印刷による印刷画質に優れ、インクジェット印刷適性に優れることを意味する。評価が3以上であれば、実用上問題がない。
(細線再現性)
インクジェット印刷用紙の片面に、インクジェット印刷機(キヤノンプロダクションプリンティングシステム株式会社製ColorStream 3900)を用いて、ゴシック体の6ポイントの文字を印刷した。印刷した文字は、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「10」とした。印刷した文字を目視観察し、細線の再現性を下記基準で評価した。
〔評価基準〕
5:数字の細線部分ににじみ又はつぶれが全くなく、数字の判別に影響がない。
4:数字の細線部分ににじみ又はつぶれが僅かにあるが、数字の判別に影響がない。
3:数字の細線部分ににじみ又はつぶれがあるが、全ての数字が判別できる。
2:数字の細線部分ににじみ又はつぶれがあり、「4」、「6」、「8」、「9」、「0」等の一部の数字が判別できない。
1:数字の細線部分ににじみ又はつぶれがあり、全ての数字が判別できない。
なお、評価の数値が大きい程、インクジェット印刷による印刷画質に優れ、インクジェット印刷適性に優れることを意味する。評価が3以上であれば、実用上問題がない。
(裏抜け防止性)
インクジェット印刷用紙に対して、エプソン製、インクジェットプリンターS740を用いて、日本規格協会発行の「カラーディジタル標準画像データ/S7」を印刷した。その後、インクジェット印刷を行った部位の用紙の裏面に1〜10までのゴシック体の8ポイントの数字をインクジェット印刷し、裏抜け防止性の程度について目視判定を行った。
〔評価基準〕
5:裏抜けが全くなく、数字の判別に影響がない。
4:裏抜けが微かにあるが、数字の判別に影響がない。
3:裏抜けがあるが、全ての数字が判別できる。
2:裏抜けがあり、4、6、8、9、10等の一部の数字が判別できない。
1:裏抜けがあり、全ての数字が判別できない。
評価が3以上のものが、実用上問題がないと判定した。
(インク乾燥性)
インクジェット印刷用紙の片面に、インクジェット印刷機(キヤノンプロダクションプリンティングシステム株式会社製ColorStream 3900)を用いて、ゴシック体の8ポイントの文字を印刷した。印刷した文字は、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「10」とした。
そして、インクジェット印刷した用紙表面におけるインクの転写汚れを目視観察し、以下の基準で評価した。インクの転写汚れは、未乾燥のインクが印刷機のローラ等に付着し、その付着したインクが用紙に転写して生じる汚れである。この転写汚れは、用紙のインク乾燥性が低い程、発生しやすい。
〔評価基準〕
5:転写汚れが全くなく、数字の判別に影響がない。
4:転写汚れが僅かにあるが、数字の判別に影響がない。
3:転写汚れがあるが、全ての数字が判別できる。
2:転写汚れがあり、「4」、「6」、「8」、「9」、「0」等の一部の数字が判別できない。
1:転写汚れがあり、全ての数字が判別できない。
なお、評価が3以上であれば、印刷の乾燥性が高く、実用上問題がない。
(耐擦過性)
インクジェット印刷用紙に対して、エプソン製、インクジェットプリンターS740を用いて、日本規格協会発行の「カラーディジタル標準画像データ/S7」を印刷した。その後、インクジェット印刷部をウェスで10回擦り、印刷部のコスレ汚れの程度について目視判定を行った。
〔評価基準〕
5:コスレ汚れが全くなく、数字の判別に影響がない。
4:コスレ汚れが微かにあるが、数字の判別に影響がない。
3:コスレ汚れがあるが、全ての数字が判別できる。
2:コスレ汚れがあり、4、6、8、9、10等の一部の数字が判別できない。
1:コスレ汚れがあり、全ての数字が判別できない。
評価が3以上のものが、実用上問題がないと判定した。
(印刷均一性)
インクジェット印刷用紙の片面に、インクジェット印刷機(キヤノンプロダクションプリンティングシステム株式会社製ColorStream 3900)を用いて、日本規格協会発行の「カラーディジタル標準画像データ/N3」を印刷した。
そして、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各々のベタ印刷部、すなわち隙間なく印刷された部分の印刷ムラを目視観察し、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
5:印刷ムラが全くなく、画像に影響がない。
4:印刷ムラが僅かにあるが、画像に影響がない。
3:印刷ムラがあるが、画像は損なわれていない。
2:印刷ムラがあり、画像が損なわれている。
1:著しい印刷ムラがある。
なお、評価の数値が大きい程、印刷均一性に優れ、評価が3以上であれば、実用上問題がない。
評価結果を表1、表2に示した。
Figure 2020019248
Figure 2020019248
表1から分かるように、実施例1〜14のインクジェット印刷用紙は、インクジェット印刷用紙に求められるインクジェット印刷適性の全評価項目をバランスよく満たしていた。
一方、表2から分かるように、比較例1〜8のインクジェット印刷用紙は、インクジェット印刷用紙に求められるインクジェット印刷適性の評価項目のいずれかの性能において劣るものであった。

Claims (4)

  1. 紙基材と、当該紙基材の少なくとも一方の面にインク受容層を有するインクジェット印刷用紙であって、
    前記紙基材の全パルプに占める機械パルプの割合が40質量%以上であり、
    前記紙基材は、内添填料としてマイカを全パルプに対して5〜20質量%含有し、
    前記インク受容層は、カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂とカチオン性樹脂とを含有することを特徴とするインクジェット印刷用紙。
  2. 前記紙基材は、内添填料として炭酸カルシウムを全パルプに対して10〜30質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット印刷用紙。
  3. 前記カチオン性樹脂がポリアミドポリアミンエピハロヒドリン樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット印刷用紙。
  4. 書籍用である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷用紙。
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