JP2020018222A - 含水チョコレート - Google Patents
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Abstract
Description
従来技術としては、カカオマスやココアパウダーなどのカカオ由来の無脂固形分を含む含水チョコレートでは、光沢及び保形性の両効果を有することが特許文献の存在から知られていた。しかしながら、カカオ由来の無脂固形分を含まない、ホワイトタイプの含水チョコレートでは、光沢や保形性の両効果を有することは、従来から困難であると考えられていた。
(1)増粘安定剤0.01〜0.7質量%、無脂乳固形分1〜20質量%及び水分10〜35質量%を含有する含水チョコレート、但し、該含水チョコレートはカカオ由来の無脂固形分を含まない、
(2)該増粘安定剤が、ゼラチン、寒天、キサンタンガム及びジェランガムからなる群より選ばれる1以上である、(1)記載の含水チョコレート、
(3)融点15℃以下の植物油脂10〜40質量%を含有する、(1)又は(2)記載の含水チョコレート、
(4)HLB12〜18の乳化剤0.1〜3.0質量%を含有する、(1)〜(3)何れか1項記載の含水チョコレート、
(5) 凍結解凍用である、(1)〜(4)何れか1項記載の含水チョコレート、
(6)増粘安定剤及び乳化剤を水中油型乳化油脂組成物に添加し、チョコレート類と混合する、含水チョコレートの製造方法、但し、該増粘安定剤が、ゼラチン、寒天、キサンタンガム及びジェランガムからなる群より選ばれる1以上であり、かつ、該含水チョコレートはカカオ由来の無脂固形分を含まない、
(7) HLB12〜18の乳化剤を、含水チョコレート中に0.1〜3.0質量%となるように、水中油型乳化油脂組成物に添加する、(6)記載の含水チョコレートの製造方法、
(8) 該含水チョコレートを菓子類に塗布及び/又はトッピングし、−55℃〜−15℃で凍結する、(6)又は(7)記載の含水チョコレートの製造方法、
に関するものである。
また、好ましい態様として、凍結解凍後であっても、良好な光沢を有し、かつ良好な保形性を有する、ホワイトタイプの含水チョコレートを提供することができる。
なお、「カカオ由来の無脂固形分を含まない」とは、カカオに含まれるココアパウダーやカカオマス由来の繊維分を、チョコレート類など、本発明で使用する原料中に含まないことを意味する。ただし、カカオ脂は、カカオ由来の無脂固形分に該当せず、本発明の含水チョコレートの原料に使用することができる。
無脂乳固形分の含量は、含水チョコレート全量中、1〜20質量%含有する必要があり、より好ましくは3〜15質量%含有することが好ましく、更に好ましくは5〜10質量%含有することが好ましい。
含水チョコレートに所定量の無脂乳固形分を含有することで、従来困難であった、カカオ由来の無脂固形分を含まないにもかかわらず、良好な光沢を有し、かつ良好な保形性を有する、ホワイトタイプの含水チョコレートを提供することができる。
本発明の含水チョコレート中の水分含量は、上記水以外の原料中に含まれる水分も含めた水分含量として、含水チョコレート全量中、10〜35質量%含有する必要があり、15〜30質量%がより好ましく、18〜26質量%がさらに好ましく、20〜25質量%が最も好ましい。
含水チョコレートに所定量の水分を含有することで、従来困難であった、カカオ由来の無脂固形分を含まないにもかかわらず、良好な光沢を有し、かつ良好な保形性を有する、ホワイトタイプの含水チョコレートを提供することができる。
上記低融点の植物油脂の含有量は、上記含水チョコレート全量中、10〜40質量%であることが好ましく、15〜38質量%であることがより好ましく、21〜35質量%であることが更に好ましく、25〜30質量%であることが最も好ましい。
増粘安定剤の量は、含水チョコレート中0.01〜0.7質量%含有し、より好ましくは0.05〜0.5質量%であり、更に好ましくは0.08〜0.4質量%であり、最も好ましくは0.1〜0.35質量%である。適当な量を含有することで、良好な光沢及び保形性を有する、カカオ由来の無脂固形分を含まないホワイトタイプの含水チョコレートを提供することができる。
なお、本発明で使用する乳化剤は、市販品を使用することができるが、より具体的には、ショ糖脂肪酸エステルであれば、エステル組成が、モノエステルを70%、ジエステル以上のエステルを30%含有するものを使用することがより好ましい。
更に、本発明に係る含水チョコレートは、洋菓子への塗布、トッピング及びサンドしやすい、すなわち、作業性が良い含水チョコレートでもある。
以下に、本発明に係る含水チョコレートの製造法を、例に基づいて記載する。
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、例えば全原料を混合、乳化して原料液を得るが、必要により加熱殺菌を行うことができる。また乳化はホモゲナイザー等により行うことができ、必要により乳化の前に予め撹拌機等により水相と油相を予備乳化させておいてもよい。
所定の乳化剤、増粘安定剤及び水中油型乳化油脂組成物を鍋に入れ、ゴムベラで攪拌しながら、40〜60℃の温度帯になるよう該鍋を火にかけて加熱する。このとき、寒天やジェランガムなどの溶解温度が高温の増粘安定剤に関しては、例えば、使用する水中油型乳化油脂組成物の一部に増粘安定剤及び乳化剤を添加し、90℃以上で加熱して溶解後、よく攪拌した後に、残りの水中油型乳化油脂組成物と混合して40〜60℃の温度帯に温調することができる。
その後、40〜60℃の該鍋の中の混合物を、溶解したチョコレートへ添加し、ゴムベラで攪拌して乳化させる。なお、混合・攪拌は、手作業で行うこともできるが、より簡便に行うために、ミキサーのような装置を使用することができる。
なお、凍結温度は、冷凍食品が一般的に保存される温度であればよい。好ましくは−55℃〜−15℃で凍結することが好ましく、−50℃〜−18℃で凍結することが好ましく、−45℃〜−20℃で凍結することが更に好ましい。
凍結方法は、急速凍結又は緩慢凍結のいずれであってもよい。なお、具体的な方法としては、急速凍結はショックフリーザーなどを使用して−45℃で30分以上の凍結方法を例示できる。緩慢凍結は、最大氷結晶生成温度帯(通常、−5〜−1℃の間)を、たとえば30分〜6時間かけて通過させて凍結することが好ましく、業務用冷凍庫などを使用して概ね−30℃〜−20℃で15時間〜20時間冷凍保存する凍結方法を例示できる。
下記に示す方法に従い、含水チョコレートに含有する水中油型乳化油脂組成物を調製した。
1.表1の配合に従い、油脂類に乳化剤を溶解し油相とした。このとき、使用した菜種油は、融点が15℃以下である低融点の植物油脂であった。
2.表1の配合に従い、油相で使用した以外の原材料を水に溶解し、60〜70℃に加温した。
3.ホモミキサーで水相を攪拌しているところへ油相を徐々に添加し、水中油型に乳化した。
4.高圧ホモゲナイザーを使用し、5000kPaにて処理した。
5.5℃24時間放置し、水中油型乳化油脂組成物とした。また、配合に用いた詳細な原料は以下の通りであった。
菜種油:不二製油株式会社製、商品名「製菓用サラダ油」(上昇融点:5℃以下)
パーム分別油:不二製油株式会社製、商品名「ユニレート P−110N」(上昇融点:30℃)
乳化剤:ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル(HLB13〜16)
なお、ショ糖脂肪酸エステルには、エステル組成が、モノエステルを70%、ジエステル以上のエステルを30%含有するもの(HLB15、粉末状)を使用した。
表2〜表4に記載の配合の原料を使用して、「○含水チョコレートの調製法」に従い、含水チョコレートを調製した。配合において、チョコレートA,Bはそれぞれ、チョコレート類として使用した。また、水中油型乳化油脂組成物には、前記した「○水中油型乳化油脂組成物の調製」で製造したものを使用した。調製した含水チョコレートを、「○評価法」に従い評価し、結果を表5〜表7に示した。
・チョコレートAには、不二製油株式会社製「エリシュブラン」を使用した。本製品は、カカオ由来の無脂固形分を含まない、植物油脂を使用したホワイトタイプのチョコレート類であった。
・チョコレートBには、不二製油株式会社製「クーベルチュールホワイト」を使用した。本製品は、カカオ由来の無脂固形分を含まない、カカオ脂を使用したホワイトタイプのチョコレート類であった。
・ゼラチンには、新田ゼラチン株式会社製「ニューシルバー顆粒」(粉末状)を使用した。
・チョコレートAには、不二製油株式会社製「エリシュブラン」を使用した。本製品は、カカオ由来の無脂固形分を含まない、植物油脂を使用したホワイトタイプのチョコレート類であった。
・ゼラチンには、新田ゼラチン株式会社製「ニューシルバー顆粒」(粉末状)を使用した。
・寒天には、伊那食品工業株式会社製「伊那寒天ZH」を使用した。
・チョコレートAには、不二製油株式会社製「エリシュブラン」を使用した。本製品は、カカオ由来の無脂固形分を含まない、植物油脂を使用したホワイトタイプのチョコレート類であった。
・キサンタンガムには、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製「サンエース」を使用した。
・ジェランガムには、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製「ケルコゲル」を使用した。
(実施例1〜14、比較例2〜4)
1.表2〜4の配合に従い、水中油型乳化油脂組成物、増粘安定剤、水を鍋に入れ、各増粘安定剤が溶解する温度帯で加温し、混合物を調製した。このとき、粉末状のゼラチンを使用する場合は、予め水で膨潤させてから水中油型乳化油脂組成物と混合し、鍋で50℃まで加温した。また、寒天及びジェランガムは、使用する水中油型乳化油脂組成物の4分の1量と混合し、鍋で90℃で加熱して溶解後、ブレンダーを用いてよく攪拌した後に、残りの水中油型乳化油脂組成物を更に添加して50℃に温調した。キサンタンガムは、水中油型乳化油脂組成物、水と混合し、鍋で50℃まで加温した。
2.表2〜4の配合に従って、40℃で溶解した各チョコレート類に、1の混合物を加え、ゴムベラで攪拌して乳化させ、含水チョコレートを調製した。
3.2で調製した各含水チョコレートを、温かい状態のまま絞り袋で絞ってクリーンカップに充填し、該クリーンカップを冷蔵庫で7日間保管したものを評価に供した。
1.表2の配合に従い、水中油型乳化油脂組成物を鍋に入れ、該鍋を火にかけて、ゴムベラで混ぜながら50℃まで加温した。
2.表2の配合に従って、40℃で溶解した各チョコレート類に、1の混合物を加え、ゴムベラで攪拌して乳化させ、含水チョコレートを調製し、比較例1とした。
3.2で調製した比較例1を、温かい状態のまま絞り袋で絞ってクリーンカップに充填し、該クリーンカップを冷蔵庫で7日間保管したものを評価に供した。
「○含水チョコレートの調製法」にて調製し、絞り袋で絞った含水チョコレートを、冷蔵庫(5℃)で7日間保管したサンプルについて評価した。実施例1〜14及び比較例1〜4の光沢及び保形性について、パネラー5名にて評価を行い、合議にて以下の基準で点数づけを行った。なお、本評価におけるパネラーは、従前から洋菓子の研究に従事し、熟練したパネラー5名であった。また、各サンプルの作業性についても評価した。
光沢:絞り袋で絞り、冷蔵庫で7日間保管した含水チョコレート表面の光沢の状態を評価した。
保形性:絞り袋で絞り、冷蔵庫で7日間保管した含水チョコレートの形状の状態を評価した。
作業性:含水チョコレートを絞るときの、絞り出しやすさを評価した。
3点 明らかに光沢がある外観であった。
2点 光沢がある外観であった。
1点 光沢が見られず、表面がくすんでいた。
2点以上を合格とした。
<保形性>
3点 絞ったままの形状を維持していた。
2点 ほぼ絞ったままの形状を維持していた。
1点 絞ったままの形状を維持できず、原形を留めていなかった。
2点以上を合格とした。
<作業性>
○:絞り袋から容易に絞り出せた。
×:絞り袋から絞りだすとき、含水チョコレートがやわらかすぎる又は含水チョコレートが硬すぎることで、作業性が悪かった。
なお、光沢及び保形性の両評価で合格基準を満たし、作業性が「○」であったものを、最終的な合格とした。
「○含水チョコレートの調製法」にて調製した実施例1〜14について、−45℃で24時間凍結し、解凍したときの含水チョコレートの光沢及び保形性を評価した。なお、実施例1〜14の含水チョコレートは、絞り袋で絞ってクリーンカップに充填した状態で、ショックフリーザーを使用して−45℃で急速凍結し、24時間凍結後、冷蔵庫(5℃)で保管して24時間後に評価した。
凍結解凍後の実施例1〜14について、凍結していない実施例1〜14の光沢及び保形性の状態と比較し、パネラー5名で評価した。光沢及び保形性の評価は、合議にて以下の基準で点数づけを行い、結果を表8〜表10に示した。なお、本評価におけるパネラーは、従前から洋菓子の研究に従事し、熟練したパネラー5名であった。
光沢:凍結前と比較し、含水チョコレート表面の光沢の状態を評価した。
保形性:凍結前と比較し、含水チョコレートの形状の状態を評価した。
3点 凍結前の光沢の状態を維持しており、明らかに光沢がある外観であった。
2点 凍結前と比較すると光沢の状態に若干変化があるが、光沢がある外観であった。
1点 凍結前と比較すると光沢が見られず、表面がくすんでいた。
2点以上を合格とした。
<保形性>
3点 凍結前の形状を維持しており、絞ったままの形状を維持していた。
2点 凍結前と比較すると形状の状態に若干変化があるが、ほぼ絞ったままの形状であった。
1点 凍結前と比較すると、絞ったままの形状を維持できず、原形を留めていなかった。
2点以上を合格とした。
なお、光沢及び保形性の両評価で合格基準を満たしたものを、最終的な合格とした。
「○含水チョコレートの調製法」にて調製した実施例1〜14について、−20℃で24時間凍結し、解凍したときの含水チョコレートの光沢及び保形性を評価した。なお、実施例1〜14の含水チョコレートは、絞り袋で絞ってクリーンカップに充填した状態で、冷凍庫を使用して−20℃で緩慢凍結し、24時間凍結後、冷蔵庫(5℃)で保管して24時間後に評価した。
凍結解凍後の実施例1〜14について、凍結していない実施例1〜14の光沢及び保形性の状態と比較し評価した。光沢及び保形性の評価は、合議にて点数づけを行い、パネラー5名で評価した。光沢及び保形性の評価基準は、検討2の「○凍結解凍後の評価法」と同様に行い、結果を表11〜表13に示した。なお、本評価におけるパネラーは、従前から洋菓子の研究に従事し、熟練したパネラー5名であった。
表5〜表7の結果から、実施例1〜14のカカオ由来の無脂固形分を含まないホワイトタイプの含水チョコレートにおいて、所定量の増粘安定剤、無脂乳固形分及び水分を含有することで、明らかに良好な光沢及び保形性を有していた。
また、表8〜表13の結果より、急速凍結及び緩慢凍結の凍結解凍後においても、所定量の増粘安定剤、無脂乳固形分及び水分を含有することで、実施例1〜14のカカオ由来の無脂固形分を含まないホワイトタイプの含水チョコレートにおいて、良好な光沢及び保形性を有していた。なお、従来のカカオ由来の無脂固形分を含まない含水チョコレートでは、凍結後解凍すると、光沢が失われたり、保形性を有することが困難であったが、本発明に係るホワイトタイプの含水チョコレートでは、凍結後解凍しても光沢が失われず、良好な光沢及び保形性を有することがわかった。
よって、所定量の増粘安定剤、無脂乳固形分及び水分を含有することで、従来にないような、良好な光沢及び保形性の2つの効果を両立するホワイトタイプの含水チョコレートを得ることができることを見出した。更に、本発明に係る含水チョコレートは、急速凍結及び緩慢凍結の凍結解凍後においても、良好な光沢及び保形性を有していた。
Claims (8)
- 増粘安定剤0.01〜0.7質量%、無脂乳固形分1〜20質量%及び水分10〜35質量%を含有する含水チョコレート。但し、該含水チョコレートはカカオ由来の無脂固形分を含まない。
- 該増粘安定剤が、ゼラチン、寒天、キサンタンガム及びジェランガムからなる群より選ばれる1以上である、請求項1記載の含水チョコレート。
- 融点15℃以下の植物油脂10〜40質量%を含有する、請求項1又は2記載の含水チョコレート。
- HLB12〜18の乳化剤0.1〜3.0質量%を含有する、請求項1〜3何れか1項記載の含水チョコレート。
- 凍結解凍用である、請求項1〜4何れか1項記載の含水チョコレート。
- 増粘安定剤及び乳化剤を水中油型乳化油脂組成物に添加し、チョコレート類と混合する、含水チョコレートの製造方法。但し、該増粘安定剤が、ゼラチン、寒天、キサンタンガム及びジェランガムからなる群より選ばれる1以上であり、かつ、該含水チョコレートはカカオ由来の無脂固形分を含まない。
- HLB12〜18の乳化剤を、含水チョコレート中に0.1〜3.0質量%となるように、水中油型乳化油脂組成物に添加する、請求項6記載の含水チョコレートの製造方法。
- 該含水チョコレートを菓子類に塗布及び/又はトッピングし、−55℃〜−15℃で凍結する、請求項6又は7記載の含水チョコレートの製造方法。
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