JP2020017831A - 超音波センサー - Google Patents

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賢輝 信長
Kenki Nobunaga
賢輝 信長
知樹 桝田
Tomoki Masuda
知樹 桝田
昌道 橋田
Masamichi Hashida
昌道 橋田
永原 英知
Hidetomo Nagahara
英知 永原
祐大 石崎
Yudai ISHIZAKI
祐大 石崎
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Abstract

【課題】優れた特性と耐久性を有する超音波センサーを得ること。【解決手段】天板5cを有する筐体5と、天板5cの内側5aに接合された圧電素子2と、天板5cの他方の面に接着された第1音響整合層3と、第1音響整合層3を天板5cに接着する接着剤13と、からなり、第1音響整合層3は、密度が相対的に異なる低密度部分11と高密度部分10から構成され、低密度部分11には空隙12を有する表層部3aを含んでおり、接着剤13が空隙12の開口部12aを通じて空隙12内に充填されることで、平均密度の適正化とアンカー効果による強力な接着により、高い特性と耐久性を両立する超音波センサーを得ることが出来る。【選択図】図1

Description

本発明は、主に超音波の送受信を行う超音波センサーに関するものである。
一般に、異なる物質間の音響インピーダンス(それぞれの物質の密度と音速の積)の違いが小さければ、超音波はこれらの物質の界面を透過して伝達し、音響インピーダンスの違いが大きければ、これらの界面で反射する。従って、音響インピーダンスの違いが小さくなるに従い、エネルギー伝達効率は高くなる。
しかし、圧電素子はセラミックス(密度と音速が高い)により構成されるのが一般的であり、超音波を伝達させようとする対象である空気等の気体の密度と音速は、セラミックスのそれらより大幅に小さい。従って、圧電素子から空気へのエネルギー伝達効率は非常に低くなる。この問題を解決するため、圧電素子と気体の間に、圧電素子より音響インピーダンスが小さく、空気より音響インピーダンスが大きい音響整合層を介在させ、エネルギー伝達効率を高める対策が行われてきた。
音響インピーダンスの観点からは、圧電素子から音響整合層を経て気体へ超音波が伝達するために最も効率が高くなる場合は、
Z2^2=Z1×Z3・・・(1)
を満たす場合である。
ここで、Z1:圧電素子の音響インピーダンス、Z2:音響整合層の音響インピーダンス、Z3:気体の音響インピーダンスである。
更に、圧電素子で発生した超音波を高効率で気体に伝播させるためには、音響整合層を伝播する超音波のエネルギー損失を低く抑えることが必要となる。音響整合層を伝播する超音波のエネルギー損失の大きな要素は、音響整合層を変形させることにより熱として散逸してしまうことである。従って、音響整合層として用いる物質は変形し難い(弾性率が大きい)ことが条件となる。しかし、式(1)から判るように、音響整合層の音響インピーダンスZ2は、気体の音響インピーダンスZ3に近づけるため、固体の音響インピーダンスより大幅に小さくする必要がある。音響インピーダンスが小さい物質は、音速が遅く、密度が小さい物質ということになり、一般に変形しやすい物質である場合が多い。このような理由により、音響整合層として必要な特性をいずれも満たす物質は少ない。
これは、固体からなる圧電素子と気体の音響インピーダンスは5桁程度異なることなることから、式(1)を満たすためには、音響整合層の音響インピーダンスは圧電素子の音響インピーダンスの3桁程度小さくする必要があるためである。
そこで、音響整合層を二層用いることで、高効率で超音波を伝達させる事が試みられてきた。気体に接し、超音波を放出する音響整合層を第1音響整合層、圧電素子と接する音響整合層を第2音響整合層と定義すると、圧電素子から音響整合層を経て気体へ超音波が伝達するために最も効率が高くなる場合は式(1)より、
Z2^2=Z1×Z3
Z3^2=Z2×Z4
を満たす場合である。
ここで、Z1:圧電素子の音響インピーダンス、Z2:第1音響整合層の音響インピー
ダンス、Z3:第2音響整合層の音響インピーダンス、Z4:気体の音響インピーダンスである。
気体に超音波を伝達させる第2音響整合層は低音響インピーダンスと高伝達効率実現ために、非常に軽量で硬質な素材が望ましく、比較的高弾性な発泡樹脂が使用されてきた。
特開2018−61209号公報
特許文献1の施策は、超音波センサーの特性向上のために、第1音響整合層として樹脂材料、第2音響整合層として発泡樹脂材料を用いている。この時、第1音響整合層と超音波センサーの筐体間の膨張率の差が非常に大きいことから、低温、または高温環境において接着界面に剥離が生じ、センサー特性の低下が引き起こされる課題がある。対策として、第2音響整合層に中空フィラーを充填させることで表面に中空フィラー由来の孔構造を構築し、接着剤が孔に充填されるとき、アンカー効果により接着強度が向上することが挙げられる。その結果、接着界面の剥離を抑制し、超音波センサーの特性変化を抑制することができるが、中空フィラーを充填させたことで音響整合層の密度が小さくなり、超音波センサーの初期特性が低下してしまうという課題を有している。
本発明の目的は、第1音響整合層が最適な密度と、強固な接着性を有することで、高い初期特性と耐久性を両立する超音波センサーを提供することである。
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波センサーは、少なくとも、圧電素子と、前記圧電素子に接着された第1音響整合層と、前記圧電素子と前記第1音響整合層を接着する接着剤と、からなり、前記第1音響整合層は、相対的に密度が異なる低密度部分と高密度部分から構成され、前記低密度部分には空隙を有する表層部を含むことを特徴とするものであり、音響整合層の密度最適化により超音波センサーの特性向上、アンカー効果による強固な接着により、部材の膨張率の差に起因する超音波センサー特性の低下を抑制することが出来る。
第1音響整合層が、高密度部分と低密度部分を有することで第1音響整合層全体の密度を最適化でき、また、第2音響整合層を更に積層する場合、第2音響整合層とのインピーダンス整合と内部損低減が図れる。また、強固な接着性を有する表面構造を備えることで、高い初期特性と膨張率の差による特性の低下を抑制する超音波センサーを提供することができる。
実施の形態1における超音波センサーの模式図 (a)実施の形態1における第1音響整合層の模式図、(b)(a)のA部の拡大図 (a)〜(d)実施の形態1における第1音響整合層の他の構成を示す図 実施の形態1における超音波センサーの各実施例と比較例の特性の一覧を示す図
本発明の超音波センサーの概要は以下の通りである。
第1の発明は、少なくとも、圧電素子と、前記圧電素子に接着された第1音響整合層と、前記圧電素子と前記第1音響整合層を接着する接着剤と、からなり、前記第1音響整合層は、相対的に密度が異なる低密度部分と高密度部分から構成され、前記低密度部分には空隙を有する表層部を含むことを特徴とする超音波センサーであり、内部の密度の均一性や傾斜を考慮する必要は無く、全体の平均密度がセンサーの性能に起因する。
第2の発明は、少なくとも、平板部を有する金属製部材と、前記平板部の一方の面に接合された圧電素子と、前記平板部の他方の面に接着された第1音響整合層と、前記第1音響整合層を前記平板部に接着する接着剤と、からなり、前記第1音響整合層は、密度が相対的に異なる低密度部分と高密度部分から構成され、前記低密度部分には空隙を有する表層部を含むことを特徴とする超音波センサーである。
第3の発明は、特に第1または2の発明において、前記第1音響整合層に積層される第2音響整合層を有し、前記第1音響整合層の平均密度が0.8g/cm以上、1.5g/cm以下であることを特徴とするもので、この密度範囲をとることで、圧電素子から第2音響整合層へ超音波を高効率で伝達させることができるため、超音波センサーの特性が向上する。
第4の発明は、特に第1〜3のいずれか1つの発明において、前記空隙の直径は10μm以上、100μm以下であり、前記空隙は少なくとも一部分が開口部の直径よりも大きいことを特徴とするもので、強固な接合により、熱衝撃試験や過酷な環境で使用してもセンサーの特性低下を抑制することが出来る。
第5の発明は、特に第1〜4のいずれか1つの発明において、前記低密度部分の少なくとも一部が、ガラスまたはセラミックス、樹脂からなる中空球体が充填された材料からなることを特徴とするもので、中空球体は、非常に低密度であること、研磨や切削などで表面に現れた際に、空隙となることで、接着時にアンカー効果が簡単に得られるといった特徴を有する。
第6の発明は、特に第1〜5のいずれか1つの発明において、前記高密度部分の少なくとも一部が、ガラスまたはセラミックス、樹脂である前記第1音響整合層を有したものである。
以下、図面を参照しながら、本発明の超音波センサーの実施形態を詳細に説明する。なお、本発明の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本開示の超音波センサーの一例を示す断面図である。超音波センサー1は、第1音響整合層3と第2音響整合層4と圧電素子2を備える。圧電素子2は、圧電セラミックスによって構成され、厚さ方向に分極されている。圧電素子2は、有底筒状の金属製の筐体5(金属製部材)の天板(平板部)5cの内側5aに接合されており、開放端5bが端子板8で封止されている。
圧電素子2の両面に構成された電極の内、一方の電極はリード線9により引き出され端子6aに接続さており、他方の電極は筐体5、端子板8を介して、端子板8に接続された端子6bと導通している。なお、端子6aは絶縁材7により端子板8とは絶縁されている。第1音響整合層3は、筐体5の天板の外面に接着剤13で接合されており、第2音響整合層4は第1音響整合層3と接着されている。
第2音響整合層4は、流体に超音波を送波、または流体を伝搬してきた超音波を受波するためのもので、駆動交流電圧により励振される圧電素子2の機械的振動が外部の媒体に対して超音波として効率よく出ていき、到達した超音波が効率よく電圧に変換される役目を有する。
本発明における第2音響整合層4に適した材料としては、気体と圧電素子の音響インピーダンス整合を考慮すると、クローズドポア構造の発泡樹脂で形成されており、複数の孔部とその隣接する壁部を備えた構成を持つ硬質樹脂発泡体が挙げられる。硬質樹脂発泡体の例として、硬質アクリル発泡体、硬質塩ビ発泡体、硬質ポリプロピレン発泡体、硬質ポリメタクリルイミド発泡体、硬質ウレタン発泡体が挙げられる。硬質アクリル発泡体の例として積水化成品工業株式会社のフォーマック、硬質塩ビ発泡体の例としてJFC株式会社のナビセル、硬質ポリプロピレン発泡体の例として積水化学株式会社のゼットロン、硬質ポリメタクリルイミド発泡体の例としてダイセル・エボニック株式会社のロハセルなどが販売されている。
また、図2(a)は本開示の実施の形態1における第1音響整合層の模式図であり、図2(b)は、図2(a)のA部の拡大図である。第1音響整合層3は、第2音響整合層4との音響インピーダンス整合と内部損失の低減を考慮すると、密度が0.8g/cm以上、1.5g/cm以下であること、さらに、膨張率の差による接合界面の剥離を原因とするセンサーの特性低下を抑制するために、強固な接着性が得られる表面構造を有するものでなければならない。
これらの要件を満たす為に、本実施の形態の第1音響整合層3は、密度が相対的に異なる低密度部分11と高密度部分10で構成すると共に、高密度部分10を中央部分に配置して、平均密度が所定の密度を得るように低密度部分11と高密度部分10を配置したもので、低密度部分11と高密度部分10の割合を調整することで音響整合層の平均密度の最適化が図れる。また、低密度部分11の一部として表層部3aに微細な開口部12aを有する空隙12を設けることで、第1音響整合層3と筐体5を接着する接着剤13がこの空隙12に充填されることでアンカー効果が得られ、より強固な接着性が得られる。
具体的には、第1音響整合層3の低密度部分11の材料として、中空フィラー14を充填させた材料が挙げられる。中空フィラー14により、材料の密度を低減させて低密度部分を構成することが出来るほか、切削・研磨により表面に中空フィラー14由来の孔構造により、表層部3aに開口部12aを有する空隙12を形成でき、第1音響整合層3と筐体5を接着する接着剤13がこの開口部12aを通じて空隙12に充填されるのでアンカー効果による強固な接合が得られる。
中空フィラー14として、ガラスやセラミックス、樹脂からなる中空フィラーが挙げられる。この時、中空フィラー14の内径dは10〜100μmの範囲とすることで強力なアンカー効果が得られる。空隙の内径が小さくなりすぎると、空隙12内に充填される接着剤13の量が低下し、十分なアンカー効果を発揮することが出来なくなる。また、空隙12の内径が大きくなりすぎると、空隙12と空隙12の間隔が広くなることで表面に樹脂由来の平滑な部分11aの面積が増加し、接着性の低下が生じる。よって、空隙12の内径dは50μm、隣接する空隙12の間隔xは300μm以下であることが望ましい。
更に、第1音響整合層3は、切断・研磨で所定の厚みに調整することで、中空フィラー14が切断・研磨されることで、表面には空隙12の内径dよりも小さな直径wを有する開口部12aが表面に開口することになり、この開口部12aから接着剤13が空隙12内に充填されることで、強力なアンカー効果を得ることができる。
また、中空フィラー14を充填させる材料として、硬質アクリル樹脂、硬質ウレタン樹脂、PEEK樹脂、PPS樹脂、POM樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂やセラミックス、金属が挙げられる。
また、第1音響整合層3の高密度部分10の材料として、ガラス、セラミックス、樹脂などの材料が挙げられる。特に、ガラスクロスは樹脂材料に含浸させることで材料強度を向上させることができ、多くの樹脂と組み合わせて使用されている。
第1音響整合層3は、低密度部分11と高密度部分10をプレス成型などの一体成型で作製された材料が望ましいが、センサー組立時に低密度部分11と高密度部分10を積層、あるいは混合させることで作製することも可能である。この時、全体の厚みは、超音波の波長をλとするとき、λ/4とすることで、単一の整合層としてみなすことができる。
即ち、第1音響整合層3の構成は、図2(a)に記載したように中央部分に高密度部分10を配置する構成の他に、図3(a)〜(d)に示すように、低密度部分11と高密度部分10を配置する構成としてもよい。すなわち、縦方向に部分的に高密度部分10を配置する構成(図3(a))、縦方向に縦断するように高密度部分10を配置する構成(図3(b))、高密度部分10を分散させる構成(図3(c))、高密度部分10を複数積層する構成(図3(d))としてもよい。
なお、本実施の形態では、筐体5を用いる構成で説明したが、筐体を用いず、第1音響整合層3を直接圧電素子2に接着する構成としてもよい。
本実施の形態の超音波センサーは、例えば以下の手順により、製造できる。まず、筐体5、圧電素子2、第1音響整合層3、および第2音響整合層4を用意する。第1音響整合層3及び第2音響整合層4は、予め、所望の厚さを有するように加工されている。筐体5おける天板の内面に導電性の接着剤などで圧電素子2を張り付ける。また、天板の外面に第1音響整合層3を接着剤13で張り付け、さらに第1音響整合層上に第2音響整合層4を張り付ける。その後、端子板8で筐体5の開口部を封止し、圧電素子2と端子6a,6b等との接続を行う。最後に、筐体5と端子6aの隙間を、接着剤などを用いて絶縁材7で閉じることによって、超音波センサー1が完成する。
なお、本実施の形態では第1音響整合層と第2音響整合層の2層の音響整合層としているが、第1音響整合層のみの場合、あるいは、更に、第3、第4の音響整合層を積層して構成する場合にも適用できる。
(実施例)
以下、実施形態の超音波センサーを作製し、特性を調べた結果を説明する。
1.試料の作製
(実施例1)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、低密度部分11にガラスを原料とする中空フィラーを充填さ
せたエポキシ樹脂、高密度部分10にガラスクロスを用いた積層材料である中空フィラー入りエポキシ樹脂/ガラスクロス積層体を使用した。この材料の密度は0.8g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。なお、表面には中空フィラーを充填させた樹脂層が露出しており、中空フィラー由来の直径50μmの孔構造を有する空隙12が形成されている。
(実施例2)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、低密度部分11にガラスを原料とする中空フィラーを充填させたエポキシ樹脂、高密度部分10にガラスクロスを用いた積層材料である中空フィラー入りエポキシ樹脂/ガラスクロス積層体を使用した。この材料の密度は1.0g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。なお、表面には中空フィラーを充填させた樹脂層が露出しており、中空フィラー由来の直径50μmの孔構造を有する空隙12が形成されている。
(実施例3)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、低密度部分11にガラスを原料とする中空フィラーを充填させたエポキシ樹脂、高密度部分10にガラスクロスを用いた積層材料である中空フィラー入りエポキシ樹脂/ガラスクロス積層体を使用した。この材料の密度は1.5g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。なお、表面には中空フィラーを充填させた樹脂層が露出しており、中空フィラー由来の直径50μmの孔構造を有する空隙12が形成されている。
(実施例4)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、低密度部分11にガラスを原料とする中空フィラーを充填させたエポキシ樹脂、高密度部分10にガラスクロスを用いた積層材料である中空フィラー入りエポキシ樹脂/ガラスクロス積層体を使用した。この材料の密度は1.0g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。なお、表面には中空フィラーを充填させた樹脂層が露出しており、中空フィラー由来の直径30μmの孔構造を有する空隙12が形成されている。
(実施例5)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、低密度部分11にガラスを原料とする中空フィラーを充填させたエポキシ樹脂、高密度部分10にガラスクロスを用いた積層材料である中空フィラー入りエポキシ樹脂/ガラスクロス積層体を使用した。この材料の密度は1.0g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。なお、表面には中空フィラーを充填させた樹脂層が露出しており、中空フィラー由来の直径100μmの孔構造を有する空隙12が形成されている。
(比較例1)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、低密度部分11にガラスを原料とする中空フィラーを充填させたエポキシ樹脂、高密度部分10にガラスクロスを用いた積層材料である中空フィラー入りエポキシ樹脂/ガラスクロス積層体を使用した。この材料の密度は1.0g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。なお、表面には中空フィラーを充填させた樹脂層が露出しており、中空フィラー由来の直径5μmの孔構造を有する空隙12が形成されている。
(比較例2)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、低密度部分11にガラスを原料とする中空フィラーを充填させたエポキシ樹脂、高密度部分10にガラスクロスを用いた積層材料である中空フィラー入りエポキシ樹脂/ガラスクロス積層体を使用した。この材料の密度は1.0g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。なお、表面には中空フィラーを充填させた樹脂層が露出しており、中空フィラー由来の直径300μmの孔構造を有する空隙12が形成されている。
(比較例3)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5と
して厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、ガラスを原料とする中空フィラーを充填させたエポキシ樹脂であるガラスバルーン充填エポキシ樹脂を使用した。この材料の密度は0.5g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。なお、表面には中空フィラー由来の直径50μmの孔構造を有する空隙12が形成されている。
(比較例4)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、低密度部分11にエポキシ樹脂、高密度部分10にガラスクロスを用いた積層材料であるガラスエポキシ樹脂を使用した。この材料の密度は1.7g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。なお、表面はガラスクロス部分と樹脂部分が露出している。
(比較例5)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、エポキシ樹脂を使用した。この材料の密度は1.0g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。
(比較例6)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10mm、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、PBTを使用した。この材料の密度は1.3g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。
(比較例7)
実施の形態1において、下記の通り超音波センサーの作製を行った。圧電素子2として、厚さ3.8mm、直径10mmの円板状のチタン酸ジルコン酸鉛を用いた。接着剤13として、常温で液状であり、加熱により固化するエポキシ系の接着剤を用いた。筐体5として厚さ0.2mmのSUS304からなるものを用いた。第2音響整合層4としてポリメタクリルイミド発泡樹脂を用いた。密度は0.07g/cmであり、寸法は直径10m
m、厚み0.75mmの円板状に加工したものを使用している。
第1音響整合層3として、低密度部分11にPBT、高密度部分10にガラスクロスを用いた積層材料であるPBT/ガラスクロス積層体を使用した。この材料の密度は1.5g/cmであり、厚さ1.0mm、直径10mmの円板状に加工し用いた。なお、表面はガラスクロス部分と樹脂部分が露出している。
2.特性の評価
作製した超音波センサーの初期特性を測定した。測定方法は、作製した一対の超音波センサーを対向させ、一方を送信器とし、他方を受信器として、超音波の送受信を行った。また、接合の信頼性を確認する方法として−40℃環境に30分、80℃環境に30分を1サイクルとする熱衝撃試験を200サイクル実施し、試験実施後一日経過させたセンサーの特性を、初期特性と比較してその変化率を確認した。図4に示す表にこれらの結果をまとめて示す。
また、初期特性については、比較例4以下の試料は「×」、比較例4を超える試料は「〇」、比較例4の2倍以上となる試料は「◎」として記載する。信頼性については、熱衝撃試験後の特性変化が±30%を超える試料を「×」、±30%から5%の試料を「△」、±5%以下の試料を「〇」として記載する。
3.結果の考察
センサーの初期特性は、第1音響整合層の密度が0.8g/cmから1.5g/cmの範囲の試料は、高い特性を示すことが分かった。これは、圧電素子、および第2音響整合層のインピーダンス整合と第1音響整合層内の超音波の伝達効率の観点から、硬質かつインピーダンス整合が取れている範囲であるためと考えられる。特に、第1音響整合層の密度が1.0g/cmの場合、高い特性を示している。
また、第1音響整合層が高密度部分と低密度部分を有し、平均密度を最適化した構成と、密度が均一である構成とではセンサー特性の違いは見られなかった。この結果より、第1音響整合層内に密度分布に関わらず、平均密度の最適化により、センサー特性が向上することが分かる。
センサーの熱衝撃試験前後の特性変化は、第1音響整合層の表面に直径30μmから100μmの孔を有する試料は、熱衝撃試験後もセンサー特性の変化が見られないのに対し、表面に孔が無い試料はいずれもセンサー特性が低下することが分かった。これは、微細な孔に接着剤が入り込むことで、アンカー効果により筐体と第1音響整合層感の接着が強固となるため、熱膨張率の差による界面剥離が抑制されるからである。
しかし、孔の直径が小さすぎる、あるいは大きすぎるとセンサー特性の低下を抑制する効果が十分に得られない。これは、孔の直径が小さくなりすぎると、孔内に充填される接着剤量が低下し、十分なアンカー効果を発揮することが出来なくなり、孔の直径が大きくなりすぎると、直径の増加に伴い孔の間隔が大きくなることで、表面に樹脂由来の平滑な部分の面積が増加し、剥離が生じるためと考えられる。
以上のように、本発明にかかる超音波センサーは、種々の流体の測定用流量計に好適に用いられる。特に、高温、もしくは低温といった使用環境で優れた耐久性を要する用途に好適に用いられる。
1 超音波センサー
2 圧電素子
3 第1音響整合層
4 第2音響整合層
5 筐体(金属製部材)
5c 天板(平板部)
10 高密度部分
11 低密度部分
12 空隙
13 接着剤

Claims (6)

  1. 少なくとも、圧電素子と、前記圧電素子に接着された第1音響整合層と、前記圧電素子と前記第1音響整合層を接着する接着剤と、からなり、
    前記第1音響整合層は、相対的に密度が異なる低密度部分と高密度部分から構成され、前記低密度部分には空隙を有する表層部を含むことを特徴とする超音波センサー。
  2. 少なくとも、平板部を有する金属製部材と、前記平板部の一方の面に接合された圧電素子と、前記平板部の他方の面に接着された第1音響整合層と、前記第1音響整合層を前記平板部に接着する接着剤と、からなり、
    前記第1音響整合層は、密度が相対的に異なる低密度部分と高密度部分から構成され、前記低密度部分には空隙を有する表層部を含むことを特徴とする超音波センサー。
  3. 前記第1音響整合層に積層される第2音響整合層を有し、
    前記第1音響整合層の平均密度が0.8g/cm以上、1.5g/cm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波センサー。
  4. 前記空隙の直径は10μm以上、100μm以下であり、前記空隙は少なくとも一部分が開口部の直径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波センサー。
  5. 前記低密度部分の少なくとも一部が、ガラスまたはセラミックス、樹脂からなる中空球体が充填された材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波センサー。
  6. 前記高密度部分の少なくとも一部が、ガラスまたはセラミックス、樹脂である前記第1音響整合層を有した請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波センサー。
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