JP2004129063A - 超音波デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】安価に作製可能で、耐湿性に優れ安定して動作可能な超音波デバイスを提供すること。
【解決手段】超音波送受信器1は、金属製で有底筒状構成のケース本体10に、圧電素子20を内蔵している。圧電素子は、ケース本体底部内面に固着されている。ケース本体の開口端には、その開口端を閉塞する金属製のベース30が設けられており、第一端子23は、絶縁材としてのガラス材33を介してベースに固着されている。また、ベースには、第二端子25が接続されている。この他、ケース本体の底部13の圧電素子が設けられた内面とは反対側の外面には、音響整合材40が固着されている。音響整合材40は、気泡が分散配置された内層と、その内層を気密に包囲する疎水性で薄膜状の外層と、からなるカーボン製の単一部材で構成されている。この音響整合材40は、外層を介してエポキシ樹脂製の接着剤によりケース本体に接着されている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音響整合材及び圧電素子を備え、圧電素子を用いて超音波を送信及び/又は受信する超音波デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、超音波デバイスとしては、超音波送信器や超音波受信器などが知られている。また、超音波デバイスを備える機器としては、超音波流量計、超音波距離計、超音波プローブ、魚群探知器、など様々なものが知られている。
【0003】
一般的に、超音波デバイスには、音響インピーダンスの差異をなくして超音波の反射を低減するための音響整合材が用いられている。物体の音響インピーダンスは、密度×音速で求めることができるが、空気中の音響インピーダンス及び、超音波を送受信するための圧電素子の音響インピーダンスは互いに大きく異なる。このため、超音波の伝搬経路に音響整合材を配置して、超音波の反射率を低減するのである。
【0004】
音響整合材の音響インピーダンスの理想値は、空気中の音響インピーダンスZa及び圧電素子の音響インピーダンスZbの相乗平均(Za×Zb)1/2に一致することが知られている。従来から、この理想値に音響整合材の音響インピーダンスを近づけるために、音響整合材内部には、気泡を形成している。気泡を形成すると、音響整合材内の密度が低下して、音響整合材の音響インピーダンスが理想値に近づくのである。
【0005】
しかしながら、従来の音響整合材では、内部に連通する気泡が表面に存在する結果、水分が音響整合材の内部に浸入しやすいといった問題があった。音響整合材内部に水分が浸入すると、その水分が音響整合材内部における超音波の伝搬に影響を及ぼすため、そのような音響整合材を用いた超音波デバイスでは、超音波デバイスの特性が水分の浸入と共に変化し、超音波の送受信動作を安定して行うことができなくなってしまうのである。
【0006】
結果、超音波により種々物理量を計測する計測器においては、正確な計測結果が得られなくなってしまう問題があった。また、従来の音響整合材では、表面に気泡が形成されているため、超音波デバイスのケース表面に音響整合材を接着剤にて接着すると、その接着剤が気泡内部に浸入して、充分な接着強度が得られないといった問題があった。
【0007】
その他、接着剤が気泡内部に浸入することで、音響整合材の接着面の状態に個体毎のばらつきが生じてしまい、超音波デバイスの特性を揃えて、製品を大量生産することが難しかった。
一方、このような問題への対応策として、下記特許文献1に記載の超音波デバイスでは、空隙(気泡)を有する薄膜構造体を積層して得られる音響整合材の気体と接する面に、空隙のない薄膜構造体を設けて、音響整合材内部に水が浸入しないようにしている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−135895号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の超音波デバイスでは、空隙を有する薄膜構造体を積層した後、空隙のない薄膜構造体を表面に設けるようにして音響整合材を作製するため、その作製にかなりの工程数を必要とし、コストがかかるといった問題があった。
【0010】
また、積層して音響整合材を作製するため、作製可能な音響整合材の形状が限定されていた。例えば、超音波送受信器としてよく用いられる有底円筒形状に、音響整合材を作製するのは、特許文献1に記載の技術では難しかった。その他、側面には、空隙のない薄膜構造体が設けられていないため、側面から水分が浸透して、音響整合材の特性が変化する場合があった。
【0011】
一方、ガラスバルーン入りエポキシ樹脂を用いて音響整合材を形成する場合、音響整合材表面に気泡が存在することは通常ない。しかしながら、このような音響整合材では、音響整合材を構成するエポキシ樹脂に吸湿性があることから、高湿度で超音波デバイスを使用した場合に、音響整合材の特性が変化してしまうことがあった。また、エポキシ樹脂のガラス転移点は60度付近であることから、上記ガラスバルーン入りエポキシ樹脂を用いた音響整合材を備える超音波デバイスでは、使用最高温度がガラス転移点である60度程度までに制限されていた。
【0012】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、安価に作製可能で、安定して動作可能な超音波デバイスを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、超音波の送信及び受信の少なくとも一方を行うための超音波デバイスであって、ケース本体と、気泡が分散配置された第一層とその第一層を気密に包囲する疎水性の第二層とからなる単一部材で構成され、第二層を介してケース本体の外面に固着された音響整合材と、音響整合材とは反対側のケース本体内面に配置された圧電素子と、圧電素子と電気的に接続された一対の端子と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項1に記載の超音波デバイスによれば、音響整合材における疎水性の第二層が、第一層を気密に包囲しているので、第一層には、第二層表面に付着した水分が浸透しない。この結果、本発明の超音波デバイスによれば、第一層が水分を吸収することにより第一層に重量変化などが起こり、それが原因で第一層における超音波の伝搬特性が変化して、超音波デバイスの共振周波数などにずれが生じ、超音波デバイスが安定して動作しなくなるのを防止することができる。
【0015】
結果、例えば、本発明の超音波デバイスを計測器等に用いる場合には、超音波デバイスから正確な出力信号を得ることができ、超音波を用いて高精度に物理量を計測することができる。
また、本発明の超音波デバイスでは、音響整合材として単一部材からなるものを用いているので、従来のように薄膜構造体を積層して音響整合材を作製する必要がなく、超音波デバイスを作製する際の工程数を少なくすることができる。さらに、本発明の音響整合材は、主材料と、主材料を内包する補助材料と、を混合した後、その混合物をプレス成形や押出し成形などにより成形し、焼結時に補助材料を蒸発させることにより作製することが可能なため切削加工が不要である。したがって、低コストに超音波デバイスを作製することが可能である。
【0016】
このように、主材料及び気泡を形成するための補助材料の混合物の焼成によって、気泡が分散配置された第一層と、第一層を気密に包囲する疎水性の第二層と、を形成してなる単一部材で構成された音響整合材を、ケース本体の外面に固着すれば、耐湿性に優れた超音波デバイスを安価に作製することができて、超音波デバイスを安定して動作させることが可能である。尚、水分の吸収による音響整合材の特性変化を更に抑制するためには、第二層の厚みを、音響整合材を伝搬する超音波の波長よりも充分小さくすると良い。
【0017】
次に、請求項2に記載の超音波デバイスは、請求項1に記載の超音波デバイスにおいて、音響整合材における第二層に、気泡が独立気泡として分散配置されていることを特徴とする。気泡が独立気泡として(即ち、隣り合う気泡が連通していない状態で)分散配置されるようにして第二層を形成すれば、音響整合材表面の第二層において外部に開口された気泡を通じ、第一層に水分が浸透することがなく、第一層を気密に保つことができる。
【0018】
したがって、請求項2に記載の発明によれば、音響整合材の第一層に水分が吸収されて、音響整合材の特性が変化してしまうのを防止することができ、耐湿性に優れ安定した動作が可能な超音波デバイスを提供することが可能である。
請求項3に記載の超音波デバイスは、超音波の送信及び受信の少なくとも一方を行うための超音波デバイスであって、ケース本体と、気泡が分散配置された第一層とその第一層を気密に包囲する第二層とからなる単一部材で構成され、第二層を介してケース本体の外面に固着された音響整合材と、音響整合材とは反対側のケース本体内面に配置された圧電素子と、圧電素子と電気的に接続された一対の端子と、を備え、音響整合材における第二層が、無気泡層であることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の超音波デバイスによれば、第二層が無気泡層であることから、第一層を気密に包囲することができる。また、第二層に気泡を形成すると、音響整合材を第二層を介してケース本体に接着する際、接着剤が第二層表面に開口した気泡に浸入したりする可能性があるが、本発明によれば、第二層が無気泡層であるので、気泡に接着剤が浸入することがない。したがって、請求項3に記載の超音波デバイスによれば、接着剤を第二層表面にムラ無く均一に塗布することができ、音響整合材をケース本体にしっかり接着することができる。
【0020】
したがって、請求項3に記載の超音波デバイスによれば、音響整合材とケース本体外面との間の接着強度を高めることができ、接着不良による超音波デバイスの性能劣化を抑えることができる。この結果、本発明によれば、長期にわたり安定動作可能な超音波デバイスを提供することができる。その他、本発明によれば、ケース本体と音響整合材との接着が、個体毎にばらつくのを抑制することができ、製品を大量生産する場合に、製品の品質を一定に保つことができる。
【0021】
また、請求項3に記載の超音波デバイスによれば、音響整合材として単一部材からなるものを用いているので、従来のように薄膜構造体を積層して音響整合材を作製する必要がなく、超音波デバイスを作製する際の工程数を少なくすることができる。
【0022】
さらに、請求項3記載の音響整合材は、主材料と、主材料を内包する補助材料と、を混合した後、その混合物をプレス成形や押出し成形などにより成形し、焼結時に補助材料を蒸発させることにより作製することが可能なため切削加工が不要である。
【0023】
また、このように、主材料及び気泡を形成するための補助材料の混合物の焼成によって、気泡が分散配置された第一層と、第一層を気密に包囲する第二層としての無気泡層と、を形成してなる単一部材で構成された音響整合材を、ケース本体の外面に固着すれば、安定動作可能な超音波デバイスを安価に作製することができる。また、音響整合材における第一層と第二層とを同一材料で生成することができるので、音響整合材にかかる材料費等を抑えることができる。
【0024】
請求項4に記載の超音波デバイスは、請求項3に記載の超音波デバイスにおいて、音響整合材における第二層が、疎水性の無気泡層であることを特徴とする。請求項4に記載の超音波デバイスによれば、第二層が疎水性を有しているから、第二層表面に付着した水分が、第二層を通じて第一層側に浸透したりすることがなく、第一層が水分を吸収することがない。したがって、請求項4に記載の発明によれば、耐湿性に優れ安定した動作が可能な超音波デバイスを提供することができる。
【0025】
請求項5に記載の超音波デバイスは、音響整合材が、カーボン製であることを特徴とする。請求項5に記載の超音波デバイスでは、疎水性を有するカーボン(炭素)を用いて音響整合材を作製しているため、第二層表面から第一層内に、水が浸透することがない。また、熱膨張率が小さくガラス転移点が高いため、幅広い温度範囲で温度変化による音響整合材の特性変化が少なく、更には、有機材料の音響整合材に比べて、ケース本体と音響整合材との熱膨張率の差が小さいため、音響整合材とケース本体との間に位置する接着層に及ぶ温度変化に伴う発生応力が小さく、接着層の劣化を防止することができる。
【0026】
さらにカーボンは、無機物質のなかでも化学反応を起こし難い安定した物質であるため耐ガス性、耐候性に優れている。したがって、請求項5に記載の発明によれば、耐湿性に優れると共に、幅広い温度範囲で温度依存性が少なく、耐ガス性・耐候性に優れ、長期的に安定した動作が可能な超音波デバイスを提供することが可能である。
【0027】
尚、請求項1〜請求項5に記載の発明は、超音波デバイスとしての超音波送信器、又は超音波受信器、又はその両機能を備える超音波送受信器に適用することが可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例について、図面とともに説明する。尚、図1は、本発明が適用された超音波を送受信するための超音波デバイスとしての超音波送受信器1の構成を概略的に表す上面図(同図(a))、側面図(同図(b))、底面図(同図(c))である。また、図2は、超音波送受信器1のA−A断面図である。
【0029】
本実施例の超音波送受信器1は、金属製のケース本体10に、圧電素子20を内蔵している。ケース本体10は、有底筒状構成にされており、円筒状の筒部11と、その筒部11の一方の開口端を閉塞する底部13と、底部13が形成された側とは反対側の筒部11の開口端に形成された筒部11の径方向に延びる鍔部15と、からなっている。
【0030】
圧電素子20は、圧電効果及び電歪効果を示す周知の圧電性セラミックスで円盤状に構成され、その一平坦面が、ケース本体10の底部13内面に固着されている。また、圧電素子20には電極が両面に形成されており、一方の電極はケース本体10に接続され、他方の電極はより線21を介して第一端子23に電気的に接続されている。
【0031】
ケース本体10には、鍔部15側の開口端に、そのケース本体10の開口端を閉塞する金属製の板状部材であるベース30が設けられており、第一端子23は、そのベース30に設けられた孔部に挿通され、絶縁材としてのガラス材33を介してベース30に電気的に絶縁された状態で固着されている。また、ベース30には、第二端子25が固着されている。
【0032】
その他、ケース本体10の底部13に対向するベース30の内面には、ケース本体10に包囲されるベース30内面を被覆する絶縁ラベル35が設けられている。また、ケース本体10の外面には、樹脂製カバー37が、ケース本体10の筒部11側面を被覆するようにして、そのケース本体10側面に巻回されている。また、ケース本体底部13の圧電素子20が設けられた内面とは反対側の外面には、音響整合材40が固着されている。
【0033】
音響整合材40は、図3(a)に示すように、気泡41が分散配置された内層43と、その内層43を気密に包囲する疎水性で薄膜状の外層45と、からなる板状の単一部材で構成されている。この音響整合材40は、疎水性を有するカーボンにて構成されており、音響整合材40の厚みは、送受信する超音波の波長に応じて設定されている。尚、図3(a)は、音響整合材40の断面構成を概略的に表す概略断面図である。
【0034】
具体的に音響整合材40の外層45は、気泡41を有する内層43とは異なり、気泡41が存在しない無気泡層となっている。また、この外層45の厚みは、超音波送受信器1で送受信する超音波の波長より十分短い寸法にされている。また、外層45は、気泡41を有する内層43を完全に周囲から包囲し被覆している。結果、音響整合材40の表面には、気泡41による窪部がない状態にされ、音響整合材40の表面全体は、滑らかな平坦状にされている。
【0035】
本実施例では、このように外層45を内層43と同じ疎水性を有するカーボンで構成し、更に、外層45を無気泡層にすることで、気泡41などを通じて水分が外部から内層43に浸入しないようにしている。尚、図3(a)では、音響整合材40の断面構成を理解しやすいように、内層43内の構成を簡素に表現したが、実際の音響整合材40の内層43では、気泡41の大きさにばらつきが生じたり、気泡41が隣り合う気泡と連通する場合がある。図3(b)は、そのような状態の音響整合材40の構成を表した断面図である。本実施例の音響整合材40では、外層45が内層43を完全に被覆しているので、連通した気泡を通じて内層43に水分が吸収されないのである。
【0036】
また、この音響整合材40の一面は、エポキシ樹脂製の接着剤47により底部13外面に接着されており、これにより音響整合材40は、外層45を介してケース本体10に固着されている。ただし、音響整合材40とケース本体10との固着については、接着剤47による接着に限らず、例えば、音響整合材40の一面にニッケルめっきを施した後、その音響整合材40をケース本体10に、はんだ等で接合する方法もある。
【0037】
ところで、上記構成の音響整合材40は、具体的に次のように作製することができる。まず、主材料であるペースト状のフラン樹脂剤(例えば、日立化成製の商品名:VF−302)に、気泡41を形成するための補助材料として、粉末状のポリスチレン樹脂剤(例えば、積水化学製の商品名:SBX−8)を混ぜ合わせ、混合物を生成する。この混合時において、補助材料は、主材料を吸収して、内部に少量の主材料を内包する状態にされる。
【0038】
次に、その混合物を仮成形した後、仮成形した混合物を高温焼成して、主材料を焼結させる。この際、補助材料は、沸点が低いので、主材料が結合する前に蒸気化する。結果、内部には、微小な気泡41が形成される。また、補助材料が蒸気化する際に、補助材料内部に吸収されていた主材料が、表面に外層45としてのカーボン膜を形成する。このような工程により、表面には外層45として気泡のない無気泡層が形成され、本実施例の音響整合材40は完成する。
【0039】
この他、別の方法として、音響整合材40は、次のように作製することが可能である。まず、上記方法と同様に、主材料及び補助材料の混合物を生成する。次に、混合物を圧縮成形する。この圧縮成形の際には、加圧により、主材料が表面に押し出されて、表面に主材料のみの層が形成される。その後、加熱により、主材料を焼結させると共に補助材料を蒸発させる。このような工程により、表面には外層45として上記方法より厚い無気泡層が形成され、音響整合材40は完成する。
【0040】
以上、本実施例の超音波送受信器1について説明したが、上記構成の超音波送受信器1では、端子23,25から駆動電力を入力すると、圧電素子20が振動して、超音波が発生し、音響整合材40を介して外部に超音波が送信される。また、上記構成の超音波送受信器1では、外部から音響整合材40を介して超音波がケース本体10内に伝達されてくると、圧電素子20が振動し、圧電効果による電気信号が端子23,25より出力される。
【0041】
本実施例の超音波送受信器1では、音響整合材40として単一部材からなるものを用いているので、従来のように薄膜構造体を積層して音響整合材を作製する必要がなく、また成形後焼成することにより作製可能であり切削加工が必要ないため、製品を製造する際の工程数を少なくすることができる。したがって、本実施例によれば、低コストに超音波送受信器1を作製することができる。
【0042】
また、本実施例の超音波送受信器1では、表面に気泡41が存在せず表面が平坦である音響整合材40を用いているので、そのケース本体10表面と音響整合材40とをムラ無く均一に接着することができ、音響整合材40をケース本体10にしっかりと固定することができる。つまり、音響整合材40とケース本体10との間の接着強度を高めることができる。
【0043】
また、音響整合材40の表面が平坦でケース本体10の表面と音響整合材40とを均一にしっかりと接着できる結果、接着面における超音波の伝搬ロスが小さく、出力信号において圧電素子20の共振点付近で高いQ値が得られ、高い感度で超音波を受信することができる。
【0044】
尚、図4(a)は、本実施例の超音波送受信器1に関して、超音波の受信周波数と、端子23,25から得られる出力信号のインピーダンスとの関係を表したグラフである。また、図4(b)では、音響整合材40とケース本体10との間の接着面に無気泡層を有しない従来の超音波送受信器における超音波の受信周波数とインピーダンスの関係を比較例として示す。
【0045】
図4に示すように比較例(同図(b))では圧電素子の共振点(本実施例では、230kHz)付近においてもインピーダンスの高いピークが見られず、圧電素子20の振動が適切に音響整合材40に伝達されていないことが理解できる。一方、本実施例の超音波送受信器1では、圧電素子20の共振点(本実施例では、230kHz)付近において、インピーダンスの高いピークが見られる。これは、圧電素子20の振動が音響整合材40に良好に伝達されてることを意味し、本実施例の超音波送受信器1では、音響整合材40を均一にしっかりとケース本体10に接着できる結果、音響整合材40を介して超音波を高感度で送受信できるといえる。
【0046】
また、本実施例の超音波送受信器1は、温度依存性が低く、周囲の温度変化に対しても安定して動作する。ここで、本実施例の音響整合材40を用いた超音波送受信器1の温度依存性に関する各種実験結果を表1及び図5,6を用いて説明することにする。
【0047】
【表1】
Figure 2004129063
【0048】
図5に示すグラフは、マイナス−35°Cにおける超音波送受信器1の共振周波数を基準とした時の各温度(−35°C,−5°C,25°C,55°C,85°C)における超音波送受信器1の共振周波数の変化量を表すものである。図5では、ガラスバルーン入りエポキシ樹脂を音響整合材として用いた従来の超音波送受信器を比較例として挙げる。尚、ここでいう超音波送受信器の共振周波数とは、超音波送受信器1のインピーダンスがピーク(極大)値を示す周波数(本実施例では、230kHz近傍でインピーダンスがピーク値を示すように設定してある。)のことである。
【0049】
また、表1の左欄には、図5に示した実験結果における−35°Cでの共振周波数f1と85°Cでの共振周波数f2とを用いて式1にしたがって算出した周波数変化率Fを示す。
F=(f2−f1)/△T/f1 …式1
ここで△Tは、温度差であり、本実施例では、△T=120°Cである。
【0050】
比較例の超音波送受信器では、1°C当たりの周波数変化率が−5.14×10−4であるのに対して、本実施例の超音波送受信器1では、1°C当たりの周波数変化率が−1.43×10−4となった。このことからも理解できるように、本実施例の超音波送受信器1は、比較例の超音波送受信器と比較して、共振周波数の温度依存性が低く、温度変化に対して安定して動作する。
【0051】
尚、このように温度依存性が低いのは、音響整合材40の主成分をカーボンとしていることにある。カーボンは、無機物質のなかでも熱膨張率が低いため温度変化によって音響整合材40の変形が少ない。このため、音響整合材40内部においては、光路長の変化や音速の変化などが少なく、結果として超音波送受信器1における共振周波数の温度依存性が小さくなるのである。これは、インピーダンスの温度依存性に関しても、同様のことがいえる。
【0052】
図6に示すグラフは、マイナス−35°Cにおける超音波送受信器1のインピーダンスを基準とした時の各温度(−35°C,−5°C,25°C,55°C,85°C)におけるインピーダンス変化量を表すものである。尚、図6では、図5と同様に、ガラスバルーン入りエポキシ樹脂を音響整合材40として用いた従来の超音波送受信器を比較例として挙げる。また、表1の右欄には、図6に示したインピーダンスに関する実験結果を用いて算出した1°C当たりのインピーダンス変化率を示す。
【0053】
比較例の超音波送受信器では、1°C当たりのインピーダンス変化率が3.84×10−3であるのに対して、本実施例の超音波送受信器1では、6.74×10−4と小さい。このことからも理解できるように、本実施例の超音波送受信器1は、比較例の超音波送受信器と比較して、インピーダンスに関する温度依存性が低く、温度変化に対して安定して動作する。
【0054】
この他、本実施例の超音波送受信器1によれば、水分の浸透・吸湿のない音響整合材40を用いているので、水分の吸収と共に音響整合材40の特性が変化するのを抑制することができる。したがって、本発明によれば、高湿度下でも高精度に安定して動作可能な超音波送受信器1を提供することができる。
【0055】
尚、表2は高湿度下における超音波送受信器1の性能実験の結果を示すものである。表2においては、実験前における超音波送受信器1の共振周波数及びインピーダンスを基準として、本実施例の超音波送受信器1を温度60°C、相対湿度90%RHの雰囲気下で200時間放置した後の共振周波数変化量(kHz)、及びインピーダンス変化量(dB)を示す。また、表2においては、ケース本体との接触面及びその対面には、外層としてのカーボン膜が形成されているが側面にはカーボン膜が形成されていない音響整合材を用いた超音波送受信器を、上記条件下で放置した際の実験結果を、比較例として示す。
【0056】
【表2】
Figure 2004129063
【0057】
表2からも理解できるように、比較例の超音波送受信器では、水分の吸湿によって音響整合材の特性が大きく変化するため、超音波送受信器の共振周波数が実験前後で3.75kHz変化し、インピーダンスが6.09dB変化する結果となった。一方、本実施例の超音波送受信器1では、共振周波数が実験前後で0.25kHzほどしか変化せず、また、インピーダンスは実験前後で0.75dBほどしか変化しなかった。この実験結果からも理解できるように、本実施例の超音波送受信機1は、高湿度下においても音響整合材40の特性がほとんど変化しないと言える。
【0058】
以上、本実施例の超音波送受信器1とその実験結果について説明したが、本実施例の音響整合材40における内層43は、本発明の音響整合材における第一層に相当し、本実施例の音響整合材における外層45は、本発明の音響整合材における第二層に相当する。また、本実施例において圧電素子20に電気的に接続された第一端子23、第二端子25は、本発明における超音波デバイスが備える一対の端子に相当する。
【0059】
尚、本発明の超音波デバイスは、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、外層45を無気泡層としたが、外層45を無気泡層としなくとも、外層45の気泡を低密度化して、周囲の気泡が互いに連通しないように、気泡を独立気泡として分散配置することで、本発明の効果を相応に得ることができる。外層45において、気泡を独立気泡として分散配置するには、外層45の気泡を低密度化すればいいので、上述した音響整合材40と同様の方法で、主材料を内包する補助材料の粒径や焼成温度カーブ等の各種パラメータを変更すれば、外層45に気泡を独立気泡として分散配置することが可能である。
【0060】
図7は、外層55が独立気泡の音響整合材50の構成を表す説明図である。気泡が独立して分散配置された外層55を有する音響整合材50によれば、外層55表面に位置する気泡が外部に開口された状態にあっても、内層53の気泡51と連通していないので、内部に水分が浸透して内層53における特性が変化するのを防止することができ、結果として、耐水・耐湿性のある安定した超音波送受信器1を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の超音波送受信器1の概略構成を表す説明図である。
【図2】本実施例の超音波送受信器1の断面構成を表す概略断面図である。
【図3】音響整合材40の断面構成を表す概略断面図である。
【図4】超音波の受信周波数と、超音波送受信器1のインピーダンスとの関係を表したグラフである。
【図5】超音波送受信器1における共振周波数の温度依存性を表すグラフである。
【図6】超音波送受信器1におけるインピーダンスの温度依存性を表すグラフである。
【図7】音響整合材50の断面構成を表す概略断面図である。
【符号の説明】
1…超音波送受信器、10…ケース本体、11…筒部、13…底部、15…鍔部、20…圧電素子、21…より線、23,25…端子、30…ベース、33…ガラス材、35…絶縁ラベル、37…樹脂製カバー、40,50…音響整合材、41,51…気泡、43,53…内層、45,55…外層、47…接着剤

Claims (5)

  1. 超音波の送信及び受信の少なくとも一方を行うための超音波デバイスであって、
    ケース本体と、
    気泡が分散配置された第一層と、該第一層を気密に包囲する疎水性の第二層と、からなる単一部材で構成され、該第二層を介して前記ケース本体の外面に固着された音響整合材と、
    該音響整合材とは反対側の前記ケース本体内面に配置された圧電素子と、
    該圧電素子と電気的に接続された一対の端子と、
    を備えることを特徴とする超音波デバイス。
  2. 前記音響整合材における前記第二層には、気泡が独立気泡として分散配置されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波デバイス。
  3. 超音波の送信及び受信の少なくとも一方を行うための超音波デバイスであって、
    ケース本体と、
    気泡が分散配置された第一層と、該第一層を気密に包囲する第二層と、からなる単一部材で構成され、該第二層を介して前記ケース本体の外面に固着された音響整合材と、
    該音響整合材とは反対側の前記ケース本体内面に配置された圧電素子と、
    該圧電素子と電気的に接続された一対の端子と、
    を備え、
    前記音響整合材における第二層は、無気泡層であることを特徴とする超音波デバイス。
  4. 前記音響整合材における前記第二層は、疎水性の無気泡層であることを特徴とする請求項3に記載の超音波デバイス。
  5. 前記音響整合材は、カーボン製であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の超音波デバイス。
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