JP2020016305A - 真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 - Google Patents

真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品 Download PDF

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将博 今井
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Abstract

【課題】真空断熱材用外包材を提供する。【解決手段】ガスバリア層2と、前記ガスバリア層2の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルム1と、前記ガスバリア層2の他方の主面側に配置された保護フィルム3と、を有し、前記保護フィルム3は、ポリプロピレンを含有し、かつ、前記保護フィルム3の主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定により回転測定した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、真空断熱材の形成に用いる真空断熱材用外包材に関する。
近年、物品の省エネルギー化を目的として、真空断熱材が用いられている。真空断熱材は、外包材の周縁が接合されてなる袋体の密閉空間内に芯材が配置され、上記密閉空間内が大気圧よりも圧力が低い真空状態に保持されている部材であり、内部の熱対流が抑制されるため、良好な断熱性能を発揮することができる。なお、真空断熱材に用いられる外包材のことを、真空断熱材用外包材、または単に外包材と称して説明する。
真空断熱材用外包材は、真空断熱材内部の真空状態を長期間保持するために、酸素や水蒸気等のガスの透過を抑制するためのガスバリア性能、対向する一対の外包材の周縁を熱溶着により接合してシール端部を有する袋体を形成し、芯材を封入密閉するための熱溶着性等の物性が要求される。これらの物性を満たすため、真空断熱材用外包材は、一般に、ガスバリア層および熱溶着可能なフィルムを構成部材として含む積層体が採用され、その最外層には、外部からの衝撃による傷等を防止するための保護フィルムが配置されている(特許文献1〜4)。
特開2003−262296号公報 特開2013−103343号公報 特開2006−70923号公報 特開2004−36749号公報
特許文献1〜4に開示されるように、上記保護フィルムには、耐突刺し性等を考慮して、ナイロンフィルムが好適に用いられる。しかし、ナイロンフィルムは、ガスバリア性、特に水蒸気バリア性が低く、保護フィルムとしてナイロンフィルムを用いた場合、ガスバリアフィルムが何等かの要因で水蒸気ガスバリア性能が低下してしまうと、外包材としての水蒸気ガスバリア性が一気に低下してしまうといった問題があった。
このため、発明者等は、水蒸気バリア性の比較的高いポリプロピレンを用いた保護フィルムの利用を検討している。このような、ポリプロピレンを用いた保護フィルム自体は、初期の水蒸気ガスバリア性としては所定の性能を発揮するものである。しかしながら、このような保護フィルムを用いて形成された真空断熱材を、長期間、高湿度下で用いた場合、断熱効果が低下してしまうといった問題があった。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、真空断熱材を高湿度環境下で長時間用いた場合でも、真空断熱材の断熱効果の低下を抑制することが可能な真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品を提供することを主目的とする。
本開示は、ガスバリア層と、上記ガスバリア層の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルムと、上記ガスバリア層の他方の主面側に配置された保護フィルムと、を有し、上記保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、上記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定によりφ連続スキャン(φ=0〜360°)した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下である、真空断熱材用外包材を提供する。
また、本開示は、芯材および上記芯材を封入する外包材を有する真空断熱材であって、上記外包材は、ガスバリア層と、上記ガスバリア層の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルムと、上記ガスバリア層の他方の主面側に配置された保護フィルムと、を有し、上記保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、上記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定によりφ連続スキャン(φ=0〜360°)した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下である、真空断熱材を提供する。
また、本開示は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、上記真空断熱材は、芯材および上記芯材を封入する外包材を有し、上記外包材は、ガスバリア層と、上記ガスバリア層の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルムと、上記ガスバリア層の他方の主面側に配置された保護フィルムと、を有し、上記保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、上記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定によりφ連続スキャン(φ=0〜360°)した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下である、真空断熱材付き物品を提供する。
本開示の真空断熱材用外包材によれば、保護フィルムが、ポリプロピレンを含有し、所定の結晶化度を有するものであることから、このような保護フィルムが配置された真空断熱材用外包材により形成された真空断熱材を、長期間、高湿度環境下で用いた場合であっても、上記真空断熱材の断熱効果の低下を抑制することができるという効果を奏する。
本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。 真空断熱材のシール端部を説明する概略断面図である。 保護フィルムの(110)面でのピークの半値幅の測定方法を説明するための説明図である。
以下、本開示の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚み、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
また、本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
以下、本開示の真空断熱材用外包材、真空断熱材、および真空断熱材付き物品について、詳細に説明する。なお、本開示においては、「シート」および「フィルム」を同義として用いる場合がある。
A.真空断熱材用外包材
本開示の真空断熱材用外包材は、ガスバリア層と、上記ガスバリア層の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルムと、上記ガスバリア層の他方の主面側に配置された保護フィルムと、を有し、上記保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、上記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定により回転測定した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下であるものである。
図1は、本開示の真空断熱材用外包材の一例を示す概略断面図である。この例の真空断熱材用外包材10は、熱溶着可能なフィルム1、上記熱溶着可能なフィルム1の一方の面に配置されたガスバリア層2、および上記ガスバリア層2の上記熱溶着可能なフィルム1が形成されていない側の面に配置された保護フィルム3と、を有するものであり、この例におけるガスバリア層2は、樹脂基材11の主面に形成されたガスバリア膜12を有するものである。
上記保護フィルム3は、ポリプロピレンを含有し、かつ、上記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定により回転測定した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下であるものである。
本開示の真空断熱材用外包材によれば、上記保護フィルムが、上述した試験法により決定される所定の結晶化度を有するものであるので、このような保護フィルムが配置された真空断熱材用外包材により形成された真空断熱材を、長期間、高湿度環境下で用いた場合であっても、上記真空断熱材の断熱効果の低下を抑制することができるという効果を奏する。
以下、この点について、説明する。
図2は、本開示の真空断熱材用外包材を用いた真空断熱材の一例を示す断面図ある。なお、ここでは、外包材の各構成部材については図示を省略する。図2に例示する真空断熱材20は、芯材21と、芯材21を封入する外包材10と、を有し、芯材21を介して対向する一対の外包材10の周縁が接合されてなるシール端部22を有する。シール部22は、通常真空断熱材20を緻密に配置するため、図2に示すように折り曲げられて使用される。このような折り曲げられたシール部22において、その外周側に位置する外包材の最外層に位置することとなる保護フィルム3は、折り曲げ部の頂部4を中心として、両側方向に引張応力を受ける。
保護フィルム3に用いられるポリプロピレンは、高分子鎖の熱運動により生じる隙間を有し、水蒸気ガスがこの隙間を透過することが知られている非晶領域と、緻密な内部構造を有し、水蒸気ガスを透過し難い結晶領域とを有するものである。そして、ポリプロピレンの水蒸気バリア性は、非晶領域中に結晶領域が散在することによる迷路効果により得られるものであると考えられている。このようなポリプロピレンを有する保護フィルム3は、上記折り曲げ部の頂部4においては、最外層に位置することになり、上記引張応力も最大となる。このような引張応力のかかる位置における保護フィルム3内部では、形状の変化が可能な非晶領域は、伸長することにより頂部4に存在することになるが、形状変化し難い結晶領域は、非晶領域の移動に応じて頂部4からいずれか側に移動することになると考えられる。これにより、頂部4における保護フィルム3においては、局所的に結晶領域の割合が極めて小さな領域が生じる可能性があり、迷路効果による水蒸気バリア性が得られない場所が局所的に存在すると考えられる。
したがって、頂部4における保護フィルム3においては、局所的に結晶領域の割合が極めて小さな領域が生じる可能性があり、このような領域では、水蒸気バリア性が低下し、高湿度条件下では水蒸気が保護フィルム3を透過してガスバリア層2に到達することが考えらえる。そして、長期間水蒸気による劣化を受けることにより、ガスバリア層2のガスバリア性が低下し、ガスバリア層2を透過した水蒸気等のガスが、熱溶着可能なフィルム1に到達し、上記熱溶着可能なフィルム1内を通過して、芯材21に到達することにより、断熱効果の低下が生じるものと考えられる。
本開示においては、ポリプロピレンの結晶化度を所定の値以上とすることにより、上述した頂部4における局所的に結晶領域の割合が極めて小さな領域が生じる可能性を低下させることにより、本開示の真空断熱材を、長期間、高湿度環境下で用いた場合であっても、上記真空断熱材の断熱効果の低下を抑制することができるようにしたものである。
なお、上述した迷路効果による水蒸気バリア性は、通常の延伸ポリプロピレンが有する程度の結晶化度の範囲であれば、迷路効果に大きな差が生じないことから、通常の条件下では、所定の範囲内における結晶化度の大小による水蒸気バリア性の変化には相関性を有するものではないと考えられる。この点は、後述する実施例においても確認されている。
以下、本開示の真空断熱材用外包材の各構成について詳細に説明する。
1.保護フィルム
本開示における保護フィルムは、本開示の外包材におけるガスバリア層の熱溶着可能なフィルムが形成された主面とは反対側の主面に配置されるものであり、通常は、本開示の外包材の熱溶着可能なフィルム側とは反対側の最外層に配置されるものである。
本開示における保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、上記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定により回転測定した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下である。
本開示においては、中でも上記半値幅の平均値が32°以下、特に、30°以下であることが好ましい。
なお、半値幅の下限は特には限定されるものではないが、柔軟性等の観点から25°以上であることが好ましい。
上記半値幅の測定方法としては、以下の方法を用いることができる。
上記保護フィルムの(110)面の板面面内方向の配向度を調べるため、広角X線回折法(In−Plane法)を用いる。この測定は、全自動水平型多目的X線回折装置(リガク社製、SmartLab(回転対陰極型))を用い、出力:45kV、200mA、スキャン方式:φ連続スキャン(φ=0〜360°)、入射角:2.0°、回折角:2θχ=14.05°、測定ステップ:1°、スキャン速度:100°/分の条件にて測定を行う。得られた広角X線回折法測定のプロファイルに示されるピークの半値幅を測定し、これをピークの半値幅とする。測定は3回行い、その平均値を用いることとする。2θχの値は、広角X線回折法の2θ/θ測定時に検出されるポリプロピレンの結晶の(110)面の回折ピーク位置の値を採用している。
なお、この測定に用いたスリット系は、上流側(X線入射側)から下流側(検出器側)に向けて、1)0.5°入射縦発散防止ソーラースリット、2)0.1mm高さ×5mm幅スリット、3)試料、4)20mm幅スリット、5)0.5°受光縦発散防止ソーラースリット、及び6)20mm幅スリットをこの順に配置して構成する。
このようにして測定されたピークの半値幅は、ポリプロピレンの結晶化度を示すものであり、値がより小さい場合は、結晶化度がより大きいことを示すものである。
本開示における保護フィルムは、例えばポリプロピレンの延伸度合を変更すること、添加剤や異種ポリマーをブレンドすること、アニール等熱履歴を加えること等により上述したピークの半値幅の範囲内の保護フィルムを得ることが可能となる。
本開示における保護フィルムは、ポリプロピレンを含有するものであり、上述したピークの半値幅を有するものであれば特に限定されるものではないが、ポリプロピレン樹脂を主成分とすることが好ましい。なお、「主成分」とは、保護フィルムの全質量に占めるポリプロピレン樹脂の割合が90質量%以上であることを意味し、好ましくは95質量%以上である。
上記保護フィルム用いられるポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体であるホモポリプロピレン樹脂(ホモPP)であってもよく、プロピレンとα‐オレフィンとのランダム共重合体であるランダムポリプロピレン樹脂(ランダムPP)であってもよく、ブロック共重合体であるブロックポリプロピレン樹脂(ブロックPP)であってもよい。上記ポリプロピレンは、上述した各種ポリプロピレン樹脂の1種単独または2種以上含んでいてもよい。
上記保護フィルムは、ポリプロピレン樹脂の他に、滑剤、難燃化剤、有機充填剤等の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤の含有量は例えば保護フィルムの全質量100質量%に対して3質量%以下とすることができる。
保護フィルムの厚みは、上述したような作用機能を有する、すなわち折り曲げ部において、結晶領域がある程度存在できる厚みであれば特に限定されないが、30μm以上であることが好ましい。薄すぎると、折り曲げ部の頂部における結晶領域を維持することが難しくなり、長期間、高湿度環境下で用いた場合であっても、上記真空断熱材の断熱効果の低下を抑制することができるという効果を奏することが難しくなるからである。なお、保護フィルムの厚みは、通常100μm以下である。
2.ガスバリア層
本開示におけるガスバリア層は、熱溶着可能なフィルムの一方の面側に配置される。ガスバリア層としては、酸素や水蒸気等のガスに対するガスバリア性能を発揮可能な層であれば特に限定されず、例えば、金属箔、樹脂基材および上記樹脂基材の一方の面上に配置されたガスバリア膜を有するもの等が挙げられる。
上記金属箔としては、例えばアルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等が挙げられる。
上記ガスバリア膜としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、チタン等の金属または合金で形成された金属薄膜;ケイ素(シリカ)、アルミニウム、ステンレス、チタン、ニッケル、鉄、銅、マグネシウム、カルシウム、カリウム、錫、ナトリウム、ホウ素、鉛、亜鉛、ジルコニウム、イットリウム等の化合物で形成された無機化合物膜等が挙げられる。上記ガスバリア膜は、通常、樹脂基材の少なくとも一方の面と直接接するように形成される。また、上記ガスバリア膜は、コーティング等による塗布膜であっても良く、蒸着膜であってもよい。
上記樹脂基材としては、ガスバリア膜を支持することができれば特に限定されず、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン等の公知の樹脂フィルムが挙げられる。本開示においては、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本開示におけるガスバリア層としては、上記樹脂基材およびガスバリア膜を有するものが好ましく、中でもガスバリア膜が金属であるものが好ましい。この場合、金属としては、アルミニウムを用いたものが特に好ましい。上述した通り、本開示はシール端部の折り曲げ部の頂部における水蒸気の透過による劣化を抑制する点に利点を有するものであり、より効果的に上記利点を発揮することができるからである。
本開示の真空断熱材用外包材は、ガスバリア層を少なくとも1つ有するが、2つ以上有していることが好ましい。また、真空断熱材用外包材が有する複数のガスバリア層は、同じであってもよく、種類や層構成、材質等が異なってもよい。
3.熱融着可能なフィルム
本開示における熱溶着可能なフィルムは、加熱により溶着可能なフィルムである。上記熱溶着可能なフィルムは、本開示の真空断熱材用外包材の厚み方向において一方の最外層となり、一方の最外面を担う部材である。また、上記熱溶着可能なフィルムは、本開示の真空断熱材用外包材を用いて真空断熱材を作製する際に芯材と接し、また、芯材を封止する際に、対向する真空断熱材用外包材同士の端部を接合する部材である。
上記熱溶着可能なフィルムとしては、加熱によって溶融し、融着することが可能な樹脂フィルムを用いることができる。このような樹脂フィルムとしては、例えば、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレンや未延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリ酢酸ビニル系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルム等が挙げられる。
本開示においては、ポリエチレンが好ましく、特に直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)が好ましい。
上記熱溶着可能なフィルムには、アンチブロッキング剤、滑剤、難燃化剤、充填剤等の他の材料が含まれていてもよい。
上記熱溶着可能なフィルムの厚みは、対向する真空断熱材用外包材同士を接合したときに所望の接着力を得ることが出来る厚みであればよく、例えば15μm以上100μm以下の範囲内、好ましくは、25μm以上90μm以下の範囲内、より好ましくは30μm以上80μm以下の範囲内とすることが出来る。
3.任意の構成
本開示の真空断熱材用外包材は、接着剤層を有していてもよい。上記接着剤層は、例えば熱溶着可能なフィルムとガスバリア層との間、2つのガスバリア層の間、ガスバリア層と保護フィルムとの間に、位置することができる。上記接着剤層の材料としては、従来公知の感圧性接着剤、熱可塑性接着剤、硬化性接着剤等を用いることができる。
4.その他
本開示の真空断熱材用外包材は、上述した特性を有する保護フィルム、少なくとも1つのガスバリア層、および熱溶着可能なフィルムがこの順で積層されていればよく、層構成は真空断熱材用外包材のガスバリア性に応じて適宜設計することができる。例えば、真空断熱材用外包材は、熱溶着可能なフィルムと、3つのガスバリア層と、上記保護フィルムとを有していてもよい。
本開示の真空断熱材用外包材は、水蒸気透過度が低いほど好ましく、例えば、0.1g/(m・day)以下であることが好ましく、中でも0.05g/(m・day)以下、
特に0.01g/(m・day)以下であることが好ましい。上記水蒸気透過度の値は、上記真空断熱材用外包材の初期水蒸気透過度とすることができる。
真空断熱材用外包材の水蒸気透過度は、ISO 15106−5:2015(差圧法)に準拠して、水蒸気透過度測定装置を用いて、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定した値とする。測定は、まず、所望のサイズに切り取った真空断熱材用外包材のサンプルを、厚み方向(積層方向)において対向する最外面のうち熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外層が高湿度側(水蒸気供給側)となるようにして、上記装置の上室と下室との間に装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定を行う。水蒸気透過度測定装置は、例えば、英国Technolox社製の「DELTAPERM」を用いることができる。水蒸気透過度の測定は、1つの真空断熱材用外包材につき、少なくとも3つのサンプルに対して行い、それらの測定値の平均をその条件での水蒸気透過度の値とする。
また、本開示の真空断熱材用外包材は、酸素透過度が低いほど好ましく、例えば、0.1cc/(m・day・atm)以下であることが好ましく、中でも0.05cc/(m・day・atm)以下であることがより好ましい。上記酸素透過度の値は、上記真空断熱材用外包材の初期酸素透過度とすることができる。
真空断熱材用外包材の酸素透過度は、JIS K7126−2:2006(プラスチック−フィルム及びシート−ガス透過度試験方法−第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)を参考に、酸素ガス透過度測定装置を用いて、温度23℃、湿度60%RHの条件で測定した値とする。測定は、まず所望のサイズに切り取った真空断熱材用外包材のサンプルを、厚み方向(積層方向)において対向する最外面のうち熱溶着可能なフィルムとは反対側の最外層が酸素ガスに接するように配置し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHの条件に調整して行う。上記測定は、キャリアガスを流量10cc/分で60分以上供給してパージしたのち、試験ガス(少なくとも99.5%の乾燥酸素)を流し、流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後、測定を開始する。酸素ガス透過度測定装置としては、例えば、米国MOCON社製の「OXTRAN」を用いることができる。酸素透過度の測定は、1つの真空断熱材用外包材につき、少なくとも3つのサンプルに対して行い、それらの測定値の平均をその条件での酸素透過度の値とする。
本開示の真空断熱材用外包材の厚みは、特に限定されず、例えば30μm以上、好ましくは50μm以上とすることができ、また、200μm以下、好ましくは150μm以下とすることができる。
5.製造方法
本開示の真空断熱材用外包材の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、保護フィルム、ガスバリア層、および熱溶着可能なフィルムを予め成膜し、接着剤層を介して貼り合せるドライラミネーション法等が挙げられる。
6.用途
本開示の真空断熱材用外包材は、真空断熱材において、芯材を覆う外包材として用いることができる。真空断熱材用外包材は、真空断熱材において、熱溶着可能なフィルムが芯材側となるようにして芯材を介して対向して配置され、周縁が熱溶着により接合されて用いられる。
B.真空断熱材
本開示の真空断熱材は、芯材および上記芯材を封入する外包材を有するものであって、上記外包材が、ガスバリア層と、上記ガスバリア層の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルムと、上記ガスバリア層の他方の主面側に配置された保護フィルムと、を有し、上記保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、上記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定によりφ連続スキャン(φ=0〜360°)した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下である外包材を用いるものである。
図2は、本開示の真空断熱材の一例を示す概略断面図である。なお、図2において、外包材の各構成部材については図示を省略する。図2に例示する真空断熱材20は、芯材21と、芯材21を封入する外包材10と、を有し、芯材21を介して対向する一対の外包材10の周縁が接合されてなるシール端部22を有する。このシール端部22は、折り曲げられている。
上記外包材10は、ガスバリア層と、上記ガスバリア層の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルムと、上記ガスバリア層の他方の主面側に配置された保護フィルムと、を有し、上記保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、上記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定によりφ連続スキャン(φ=0〜360°)した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下である。本開示の真空断熱材20は、外包材10が上述したような保護フィルムを有することで、シール端部22の頂部4からの水蒸気の透過を抑制することができる。
本開示の真空断熱材によれば、芯材を封入する外包材が、上記「A.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材であることから、長期間、高湿度環境下で用いた場合であっても、上記真空断熱材の断熱効果の低下を抑制することができるという効果を奏する。
以下、本開示の真空断熱材の各構成について説明する。
1.外包材
本開示の真空断熱材における外包材は、上記芯材を封入する部材である。本開示の真空断熱材における外包材は、上記「A.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材と同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.芯材
本開示の真空断熱材における芯材は、外包材により封入される部材である。なお、封入される(する)とは、外包材を用いて形成された袋体の内部に密封される(する)ことをいう。
上記芯材の材料は、熱伝導率が低いことが好ましく、無機材料であってもよく、有機材料であってもよく、有機材料と無機材料との混合物であってもよい。上記芯材の材料として具体的には、粉粒体、発泡樹脂、繊維等が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
3.その他
本開示の真空断熱材は、外包材の袋体の中に芯材が封入され、密閉された内部が減圧されて真空状態となっている。本開示の真空断熱材の内部の真空度は、例えば5Pa以下であることが好ましい。内部に残存する空気の対流による熱伝導を低くすることができ、優れた断熱性を発揮することが可能となるからである。
本開示の真空断熱材は、熱伝導率が低い程好ましい。上記熱伝導率は、例えば5mW/(mK)以下であることが好ましい。熱を外部に伝導しにくくなり、高い断熱効果を奏することができるからである。中でも上記熱伝導率は、4mW/(mK)以下であることがより好ましく、3mW/(mK)以下であることがさらに好ましい。熱伝導率は、JIS A1412−2:1999に準拠し、高温側30℃、低温側10℃、平均温度20℃の条件で測定した値とすることができる。
4.その他
本開示の真空断熱材の製造方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、上記「A.真空断熱材用外包材」の項で説明した真空断熱材用外包材を2枚準備し、それぞれの熱溶着可能なフィルム同士を向き合わせて重ね、三辺の外縁を熱溶着により接合(ヒートシール)し、一辺が開口する袋体を得る。この袋体に、開口から芯材を入れた後、上記開口から空気を吸引し、袋体の内部が減圧された状態で開口を熱溶着により接合して封止することで、真空断熱材を得ることができる。
C.真空断熱材付き物品
本開示の真空断熱材付き物品は、熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備えるものであって、上記真空断熱材は、芯材および上記芯材を封入する外包材を有し、上記外包材が、ガスバリア層と、上記ガスバリア層の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルムと、上記ガスバリア層の他方の主面側に配置された保護フィルムと、を有し、上記保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、上記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定によりφ連続スキャン(φ=0〜360°)した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下であるものである。
本開示の真空断熱材付き物品によれば、物品に備わる真空断熱材を構成する外包材が、上記「A.真空断熱材用外包材」の項で説明したものであるため、長期間、高湿度環境下で用いた場合であっても、上記真空断熱材の断熱効果の低下を抑制することができ、その結果、物品や物品が用いられる対象物の省エネルギー化を達成することができる。
以下、本開示の真空断熱材付き物品の各構成について説明する。なお、本開示の真空断熱材付き物品における真空断熱材、および上記真空断熱材に用いられる外包材については、上記「B.真空断熱材」および上記「A.真空断熱材用外包材」の項で詳細に説明したため、ここでの説明は省略する。
本開示の真空断熱材付き物品における物品は、熱絶縁領域を有する。ここで上記熱絶縁領域とは、真空断熱材により熱絶縁された領域であり、例えば、保温や保冷された領域、熱源や冷却源を取り囲んでいる領域、熱源や冷却源から隔離されている領域である。これらの領域は、空間であっても物体であってもよい。上記物品として、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保温器、保冷器等の電気機器、保温容器、保冷容器、輸送容器、コンテナ、貯蔵容器等の容器、車両、航空機、船舶等の乗り物、家屋、倉庫等の建築物、壁材、床材等の建築資材等が挙げられる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[参考実施例1〜5、および参考比較例1〜4]
以下のポリプロピレンフィルムA〜H、およびナイロンフィルムを準備した。
・ポリプロピレンフィルムA:BNT(フタムラ化学株式会社製)
・ポリプロピレンフィルムB:PA30(サン・トックス株式会社製)
・ポリプロピレンフィルムC:P2261(東洋紡株式会社製)
・ポリプロピレンフィルムD:P2271(東洋紡株式会社製)
・ポリプロピレンフィルムE:PA30(サン・トックス株式会社製)
・ポリプロピレンフィルムF:FOR−AQ(フタムラ化学株式会社製)
・ポリプロピレンフィルムG:OPU−1(三井化学東セロ株式会社社製)
・ポリプロピレンフィルムH:FOA−BT(フタムラ化学株式会社製)
・ナイロンフィルム:ONBC(ユニチカ株式会社製)
[評価1]
上記ポリプロピレンフィルムA〜H、およびナイロンフィルムについて、下記方法により、(110)面でのピークの半値幅、および温度40℃、相対湿度差90%RHの条件での水蒸気透過度(以下、単に水蒸気透過度とする。)を測定した。評価1の結果を下記表1に示す。
((110)面でのピークの半値幅)
結晶化度を示す(110)面でのピークの半値幅は、上述した通りの方法により測定した。すなわち、広角X線回折法のインプレーン(In−Plane)測定を行い、得られたプロファイルから検出される2つの(110)面のピーク半値幅を測定し、その平均値をピークの半値幅とした。
具体的には、全自動水平型多目的X線回折装置(リガク社製、SmartLab(回転対陰極型))を用い、出力:45kV、200mA、スキャン方式:φ連続スキャン(φ=0〜360°)、入射角:2.0°、回折角:2θχ=14.05°((110)ピーク)、測定ステップ:1°、スキャン速度:100°/分の条件にて測定を行った。すなわち、図3(a)に示すように、保護フィルム3を矢印のようにφ方向に回転させながら、X線Lを入射させ、所定の角度の反射X線の強度を測定し、これを図3(b)に示すように縦軸を強度、横軸を回転角とした曲線とし、この曲線の2つのピークの半値幅を測定し平均値を得た。本例では、測定を3回行い、それぞれで得られた半値幅の平均値をさらに平均したものを半値幅として用いた。
結果を、表1に示す。
なお、この測定に用いたスリット系は、上流側(X線入射側)から下流側(検出器側)に向けて、1)0.5°入射縦発散防止ソーラースリット、2)0.1mm高さ×5mm幅スリット、3)試料、4)20mm幅スリット、5)0.5°受光縦発散防止ソーラースリット、及び6)20mm幅スリットをこの順に配置して構成した。
(水蒸気透過度)
ポリプロピレンフィルム、およびナイロンフィルムの水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W Model 3/33G)を用いて、JIS K7129−B:2008(プラスチック−フィルム及びシート−水蒸気透過度の求め方(機器測定法)、付属書B:赤外線センサ法)に準拠して、透過面積を約50cmとして、温度40℃、相対湿度差90%RHの条件で測定した。各フィルムにつき、少なくとも3つのサンプルを測定し、それらの測定値の平均をそのフィルムの水蒸気透過度の値とした。
結果を表1に示す。
上記表1中の水蒸気透過度において、ナイロンフィルムがNGとなっているが、これは水蒸気透過度の値が大きすぎるため、測定限界を超えたことを意味するものである。
上記表1では、参考比較例4と他のものとの対比から、ナイロンフィルムが、ポリプロピレンフィルムに対して、大幅に初期の水蒸気透過度が悪い点が確認された。
また、例えば、参考実施例1と参考比較例1との対比等から、XRD in plane 半値幅(2deg)の値、すなわち(110)面でのピークの半値幅の値には、初期の水蒸気透過度との相関がない点が確認された。このことから、半値幅の値が25°〜40°程度の範囲内である結晶化度を有するポリプロピレンフィルムでは、初期の水蒸気透過度との相関がないことが示唆された。
さらに、参考実施例5および参考比較例3と、他のものとの対比から、フィルムの膜厚は、初期の水蒸気透過度に大きな影響を及ぼす点が確認された。
[実施例1]
(真空断熱材用外包材の作製)
ポリプロピレンフィルムAを保護フィルムとして、ポリプロピレンフィルムA、ガスバリアフィルムA、ガスバリアフィルムB、および熱溶着可能なフィルムをこの順に有する真空断熱材用外包材を得た。ガスバリアフィルムAとして、片面に厚み約40nmのアルミニウム膜(Al膜)が蒸着された厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レフィルム加工株式会社製 VM−PET1510)を用い、ガスバリアフィルムBとして、片面に厚み約40nmのアルミニウム膜(Al膜)が蒸着された厚み12μmのエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂基材(株式会社クラレ社製 VMXL)を用いた。また、熱溶着可能なフィルムとして、厚み30μmの直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)(三井化学東セロ株式会社製 TUX(登録商標)HCE)を用いた。
ガスバリア性フィルムAおよびガスバリア性フィルムBは、Al膜が互いに向き合うように配置した。各フィルムは、接着剤層で接合した。接着剤層を形成するための接着剤は、ポリエステルポリオールを主成分とする主剤(ロックペイント社製 製品名:RU−77T)、脂肪族系ポリイソシアネートを含む硬化剤(ロックペイント社製 製品名:H−7)、および酢酸エチルの溶剤が、重量配合比が主剤:硬化剤:溶剤=10:1:14となるように混合された、2液硬化型の接着剤を用いた。上述した接着剤を外側となる側のフィルムの一方の面に塗布量3.5g/mとなるように塗布して接着剤層を形成し、接着剤層が形成された外側となる側のフィルムと内側となる側のフィルムとを接着剤層を間に挟んで加圧した。
(真空断熱材の作製)
実施例1で得られた真空断熱材用外包材(寸法:360mm×450mm)を2枚準備し、熱溶着可能なフィルム同士が向き合う様にして2枚重ねて、四辺形の三辺をヒートシールして一辺のみが開口した袋体を作製した。芯材として290mm×300mm×30mmのグラスウールを用い、乾燥処理を行った後、袋体に、芯材および乾燥剤として5gの酸化カルシウムを収納して、袋体内部を排気した。その後、袋体の開口部分をヒートシールにより密封し、ヒートシール部を図2に示すような折り曲げ加工を行い真空断熱材を得た。到達圧力は0.05Paとした。
[実施例2]
保護フィルムとしてポリプロピレンフィルムBを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材および真空断熱材を得た。
[実施例3]
保護フィルムとしてポリプロピレンフィルムCを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材および真空断熱材を得た。
[実施例4]
保護フィルムとしてポリプロピレンフィルムDを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材および真空断熱材を得た。
[実施例5]
保護フィルムとしてポリプロピレンフィルムEを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材および真空断熱材を得た。
[比較例1]
保護フィルムとしてポリプロピレンフィルムFを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材および真空断熱材を得た。
[比較例2]
保護フィルムとしてポリプロピレンフィルムGを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材および真空断熱材を得た。
[比較例3]
保護フィルムとしてポリプロピレンフィルムHを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材および真空断熱材を得た。
[比較例4]
保護フィルムとしてナイロンフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして真空断熱材用外包材および真空断熱材を得た。
[評価2]
(屈曲処理後(ゲルボ後)の水蒸気透過度)
実施例1〜5および比較例1〜4で得た真空断熱材用外包材から、それぞれ幅210mm×長さ297mm(A4サイズ)の長方形のサンプルを切り出し、幅方向の両端を貼り合わせて円筒状に丸め、筒状にした試験片を作成した。この試験片の両端をゲルボフレックステスター(テスター産業社製、機種名BE1006)の固定ヘッドと駆動ヘッドとで保持し、ASTM F392に準拠して、440度の角度でひねりを加えながら固定ヘッドと駆動ヘッドの間隔を7インチから3.5インチに狭めて、さらにひねりを加えた状態を維持したままヘッドの間隔を1インチまで狭め、その後、ヘッドの間隔を3.5インチまで広げて、さらにひねりを戻しながらヘッドの間隔を7インチまで広げるという往復運動を40回/minの速さで、温度25℃で3回行った。
上記屈曲処理後の水蒸気透過度を上述した方法と同様の方法により測定した。
結果を表2に示す。
(高湿度条件下で長時間保存後の熱伝導率測定)
実施例1〜5および比較例1〜4で得た真空断熱材を、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気で500時間保管した後、熱伝導率測定装置(オートラムダHC−074、英弘精機社製)を用いて、JIS A1412−2:1999(熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法))に準拠して熱伝導率を測定した。測定は、真空断熱材の主面が上下方向を向くように配置して下記の条件で行った。各実施例および比較例につき、少なくとも3つのサンプルを用いて測定し、それらの測定値の平均をその実施例または比較例の真空断熱材の湿熱劣化後の熱伝導率とした。
(熱伝導率の測定条件)
・試験の定常に要する時間:15分以上
・標準板:EPS
・高温面の温度:30℃
・低温面の温度:10℃
・測定試料の平均温度:20℃
上記表2に示されるように、実施例1〜5、および比較例1〜3との対比から、用いられている保護フィルムのXRD in plane 半値幅(2deg)の値が33°を超えたものは、ゲルボ後の水蒸気透過度、および温度40℃、湿度90%の条件下で500時間保管後の熱伝導率測定結果のいずれもが悪い点が確認された。
これは、上記表1で示されたように、保護フィルムの結晶化度が初期の水蒸気透過度との相関がないにも関わらず、シール端部が図2に示すような折り曲げ加工が施された真空断熱材を、高湿度環境下で長期間にわたり保存した場合、所定の結晶化度に満たないポリプロピレンフィルムを保護フィルムとして用いた真空断熱材は水蒸気透過度が低下したことが示唆されるものであり、結晶化度が所定の範囲未満である場合の水蒸気バリア性の低下の推定理論を裏付けるものであると思われる。定歪条件により機械的劣化を行うゲルボ後の水蒸気透過度の結果についても、これを裏付けるものと思われる。
1 … 熱溶着可能なフィルム
2 … ガスバリア層
3 … 保護フィルム
4 … 頂部
11 … 基材
12 … ガスバリア膜
10 … 真空断熱材用外包材
20 … 真空断熱材
21 … 芯材
22 … シール端部

Claims (6)

  1. ガスバリア層と、前記ガスバリア層の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルムと、前記ガスバリア層の他方の主面側に配置された保護フィルムと、を有し、
    前記保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、前記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定によりφ連続スキャン(φ=0〜360°)した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下である、真空断熱材用外包材。
  2. 2つの前記ガスバリア層を有する、請求項1に記載の真空断熱材用外包材。
  3. 芯材および前記芯材を封入する外包材を有する真空断熱材であって、
    前記外包材は、ガスバリア層と、前記ガスバリア層の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルムと、前記ガスバリア層の他方の主面側に配置された保護フィルムと、を有し、
    前記保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、前記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定によりφ連続スキャン(φ=0〜360°)した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下である、真空断熱材。
  4. 前記外包材が、2つの前記ガスバリア層を有する、請求項3に記載の真空断熱材。
  5. 熱絶縁領域を有する物品および真空断熱材を備える真空断熱材付き物品であって、
    前記真空断熱材は、芯材および前記芯材を封入する外包材を有し、
    前記外包材は、ガスバリア層と、前記ガスバリア層の一方の主面側に配置された熱溶着可能なフィルムと、前記ガスバリア層の他方の主面側に配置された保護フィルムと、を有し、
    前記保護フィルムは、ポリプロピレンを含有し、かつ、前記保護フィルムの主面に対して、入射角2.0°、および回折角2θχ=14.05°の条件下で、広角X線回折法のインプレーン測定によりφ連続スキャン(φ=0〜360°)した場合に検出される2つの(110)面のピーク半値幅の平均値が33°以下である、真空断熱材付き物品。
  6. 前記外包材が、2つの前記ガスバリア層を有する、請求項5に記載の真空断熱材付き物品。
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