JP2020015958A - マグネトロンスパッタ装置 - Google Patents

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周司 小平
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Abstract

【課題】ターゲットの被スパッタ面に沿う漏洩磁場の強度における自由度を高めることを可能としたマグネトロンスパッタ装置を提供する。【解決手段】成膜空間11Aに露出する被スパッタ面12Sを含むターゲット12と、ターゲット12に対して成膜空間11Aとは反対側に位置し、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、ターゲット12の一部を覆う大きさを有し、第1磁石部13A1と第2磁石部13A2とを含む磁石13Aを含む磁気回路13と、ターゲット12と磁気回路13とが対向する対向方向に沿う回転軸Aを中心に磁気回路13を回転させる回転部14と、第1磁石部13A1と被スパッタ面12Sとの間の距離である第1距離と、第2磁石部13A2と被スパッタ面12Sとの間の距離である第2距離とを互いに独立に変え、かつ、ターゲット12がスパッタされている間に第1距離と第2距離とを変えることが可能な変更部15とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、マグネトロンスパッタ装置に関する。
マグネトロンスパッタ装置は、ターゲットと磁気回路とを備えている。ターゲットは、真空槽に露出する被スパッタ面を含んでいる。磁気回路は、ターゲットに対して真空槽とは反対側に位置し、ターゲットの被スパッタ面に沿う漏洩磁場を形成する。磁気回路が備える磁石は、ターゲットと磁気回路とが対向する対向方向から見て、ターゲットの一部と重なる形状を有する。マグネトロンスパッタ装置は、対向方向に沿う回転軸を中心に磁気回路を回転させる回転部をさらに備えている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2013−082961号公報
ところで、マグネトロンスパッタ装置では、成膜対象の各部位に対して到達するスパッタ粒子の量を調整する上で、被スパッタ面に沿う漏洩磁場の強度における自由度を高めることが求められている。
本発明は、ターゲットの被スパッタ面に沿う漏洩磁場の強度における自由度を高めることを可能としたマグネトロンスパッタ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのマグネトロンスパッタ装置は、成膜空間を区画する真空槽と、前記成膜空間に露出する被スパッタ面を含むターゲットと、前記ターゲットに対して前記成膜空間とは反対側に位置し、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記ターゲットの一部を覆う大きさを有し、第1磁石部と第2磁石部とを含む磁石を含む磁気回路と、前記ターゲットと前記磁気回路とが対向する対向方向に沿う回転軸を中心に前記磁気回路を回転させる回転部と、前記第1磁石部と前記被スパッタ面との間の距離である第1距離と、前記第2磁石部と前記被スパッタ面との間の距離である第2距離とを互いに独立に変え、かつ、前記ターゲットがスパッタされている間に前記第1距離と前記第2距離とを変えることが可能な変更部と、を備える。
磁気回路が備える磁石と、ターゲットの被スパッタ面との間の距離が小さいほど、被スパッタ面上に形成される漏洩磁場の強度が高くなる。上記構成によれば、第1距離と第2距離とを互いに独立に変えることができるため、被スパッタ面と対向する平面視において、被スパッタ面のなかで第1磁石部と重なる部分における漏洩磁場の強度と、第2磁石部を重なる部分における漏洩磁場の強度とを互いに独立に変えることができる。すなわち、被スパッタ面と磁石との間の距離が固定された場合と比べて、被スパッタ面に沿う漏洩磁場の強度における自由度を高めることができる。
上記マグネトロンスパッタ装置では、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記磁石が配置される領域が配置領域であり、前記配置領域は、前記対向方向に沿って延びる中心軸を中心とする円状を有し、かつ、第1区画と第2区画とを含み、前記第1区画と前記第2区画とは、前記中心軸を中心とする同心状であり、前記配置領域の径方向において、前記第2区画は前記第1区画よりも外側に位置し、前記第1磁石部は、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記第1区画に位置し、前記第2磁石部は、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記第2区画に位置してもよい。
上記構成によれば、第1距離および第2距離の各々を変えることによって、中心軸の径方向における所定の位置について、中心軸の周方向における漏洩磁場の強度を変えることができる。
上記マグネトロンスパッタ装置では、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記磁石が配置される領域が配置領域であり、前記配置領域は、前記回転軸を中心とする円状を有し、かつ、第1区画と第2区画とを含み、前記第1区画と前記第2区画とは、前記回転軸を中心とする同心状であり、前記配置領域の径方向において、前記第2区画は前記第1区画よりも外側に位置し、前記第1磁石部は、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記第1区画に位置し、前記第2磁石部は、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記第2区画に位置してもよい。
上記マグネトロンスパッタ装置において、前記磁気回路は、前記磁石が固定されるヨークを含み、前記ヨークは、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記回転軸を中心とする円板状を有し、前記第1磁石部が固定される第1ヨーク部と、前記第2磁石部が固定される第2ヨーク部とを含み、前記第1ヨーク部と前記第2ヨーク部とは、前記回転軸を中心とする同心状であり、前記ヨークの径方向において、前記第2ヨーク部は、前記第1ヨーク部よりも外側に位置し、前記変更部は、前記対向方向における前記第1ヨーク部の位置と前記第2ヨーク部の位置とを互いに独立に変えることによって、前記第1距離と前記第2距離とを互いに独立に変えてもよい。
磁気回路は、回転軸を中心に回転するため、被スパッタ面における漏洩磁場の強度における積算値は、中心からの距離に応じて変わる。言い換えれば、被スパッタ面における各部位において、中心からの距離が互いに等しい部位における積算値は、一周期を単位として周方向において一定である。上記各構成によれば、第1磁石部および第2磁石部は、被スパッタ面の径方向において、中心からの距離が互いに異なる部分として設定される。そのため、被スパッタ面内において、漏洩磁場の強度における積算値が等しい部分の全体において、1つの磁石部の位置を変えることによって、漏洩磁場の強度を同じ度合いだけ変化させることが可能である。
上記マグネトロンスパッタ装置では、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記被スパッタ面における前記第1磁石部の位置が第1位置であり、前記被スパッタ面における前記第2磁石部の位置が第2位置であり、前記変更部は、前記第1位置と前記第2位置とを互いに独立に変えてもよい。
上記構成によれば、第1距離および第2距離に加えて、第1位置および第2位置を変えることが可能であるため、第1距離および第2距離のみを変えることが可能である場合と比べて、被スパッタ面内において漏洩磁場の強度を変更する自由度をより高めることができる。
上記マグネトロンスパッタ装置において、前記磁気回路が前記回転軸を中心に1回転するときの前記被スパッタ面の径方向での各位置における漏洩磁場の強度を積算した値が積算値であり、前記被スパッタ面の径方向のなかで、前記積算値が最大である位置が最大位置であり、前記第1磁石部および前記第2磁石部のいずれか一方が、前記被スパッタ面と対向する平面視において前記最大位置と重なってもよい。
被スパッタ面のなかで、漏洩磁場の強度における積算値が最大である最大位置において、ターゲットの浸食量が最も大きくなる。そのため、被スパッタ面の最大位置では、他の部分に比べて、磁石と被スパッタ面との間の距離の変化量が最も大きくなる。結果として、最大位置から放出されるスパッタ粒子の量の変化量も最も大きくなる。上記構成によれば、被スパッタ面と対向する平面視において最大位置と重なる磁石において、磁石と被スパッタ面との間の距離を変えることが可能である。そのため、磁石と被スパッタ面との間の距離が変わることによって、スパッタ粒子の放出量が変わることを抑える効果を顕著に得ることができる。
一実施形態におけるマグネトロンスパッタ装置の構成を模式的に示すブロック図。 被スパッタ面と対向する平面視における磁石とヨークとの構造を示す平面図。 ターゲットの径方向におけるターゲットの中心からの距離と径方向の各位置におけるターゲットの侵食量との関係を示すグラフ。 変更部における第1の形態の構成を模式的に示すブロック図。 変更部における第2の形態の構成を模式的に示すブロック図。 変更部における第3の形態の構成を模式的に示すブロック図。 変更部における第4の形態の構成を模式的に示すブロック図。 変更部における第5の形態が有する第1の状態を示すブロック図。 変更部における第5の形態が有する第2の状態を示すブロック図。 マグネトロンスパッタ装置の作用を説明するための作用図。 変形例における被スパッタ面と対向する平面視における磁石とヨークとの構造を示す平面図。
図1から図10を参照して、マグネトロンスパッタ装置の一実施形態を説明する。以下では、マグネトロンスパッタ装置の構成、磁気回路の構成、変更部の構成、および、マグネトロンスパッタ装置の作用を順に説明する。
[マグネトロンスパッタ装置の構成]
図1を参照してマグネトロンスパッタ装置の構成を説明する。
図1が示すように、マグネトロンスパッタ装置10は、真空槽11、ターゲット12、磁気回路13、回転部14、および、変更部15を備えている。真空槽11は、成膜空間11Aを区画している。ターゲット12は、成膜空間11Aに露出する被スパッタ面12Sを含んでいる。磁気回路13は、ターゲット12に対して成膜空間11Aとは反対側に位置している。磁気回路13は、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、ターゲット12の一部を覆う大きさを有する磁石13Aを含んでいる。磁石13Aは、第1磁石部13A1、第2磁石部13A2、および、第3磁石部13A3を含んでいる。
回転部14は、ターゲット12と磁気回路13とが対向する対向方向に沿う回転軸Aを中心に磁気回路13を回転させる。第1磁石部13A1と被スパッタ面12Sとの間の距離が第1距離であり、第2磁石部13A2と被スパッタ面12Sとの間の距離が第2距離であり、第3磁石部13A3と被スパッタ面12Sとの間の距離が第3距離である。変更部15は、第1距離、第2距離、および、第3距離を互いに独立に変える。変更部15は、ターゲット12がスパッタされている間に第1距離、第2距離、および、第3距離を変えることが可能である。
真空槽11は、成膜空間11Aを排気する排気部に接続されている。成膜空間11Aの圧力は、排気部によって減圧される。真空槽11内であって、かつ、ターゲット12と対向する位置には、成膜対象Sを支持する支持部16が位置している。支持部16は、例えば成膜対象Sを支持するステージである。
本実施形態において、ターゲット12は円板状を有する。磁気回路13の回転軸Aは、ターゲット12の中心を通る。ターゲット12の形成材料は、金属であってもよいし、金属化合物であってもよい。金属化合物は、例えば、金属酸化物であってもよいし、金属窒化物であってもよい。ターゲット12の形成材料は、非金属であってもよい。非金属は、例えばケイ素であってよい。
回転部14は、例えばモーターと軸部材とを含んでいる。回転部14は、モーターの回転によって回転軸Aを中心として軸部材を回転させることによって、磁気回路13を所定の速度で回転させる。
ターゲット12は、バッキングプレート17に固定されている。バッキングプレート17は、金属製の板部材である。バッキングプレート17には、ターゲット電源18が接続されている。ターゲット電源18は、バッキングプレート17を通じてターゲット12に電力を供給する。ターゲット電源18は、ターゲット12の主成分に応じて、直流電源でもよいし、交流電源でもよい。
真空槽11には、ガス供給部19が接続されている。ガス供給部19は、成膜空間11A内にプラズマを生成するためのガスを供給する。ガス供給部19は、ターゲット12をスパッタするためのイオンを含んだプラズマを生成するためのスパッタガスのみを供給してもよいし、スパッタガスに加えて、ターゲット12から放出されたスパッタ粒子と反応させるための反応ガスを供給してもよい。
マグネトロンスパッタ装置10は、制御部10Cをさらに備えている。制御部10Cは、回転部14、ターゲット電源18、および、ガス供給部19に電気的に接続されている。制御部10Cは、回転部14、ターゲット電源18、および、ガス供給部19の駆動を制御する。なお、後述する変更部15における複数の形態なかで、制御部10Cは一部の変更部15に電気的に接続される一方で、制御部10Cは他の一部の変更部15には電気的に接続されていない。
マグネトロンスパッタ装置10において成膜処理が行われるときには、支持部16に成膜対象Sが配置された後、成膜空間11Aが排気される。次いで、制御部10Cは、ガス供給部19にガスの供給を開始させる。そして、制御部10Cがターゲット電源18に電力の供給を開始させることによって、被スパッタ面12Sの近傍にプラズマが生成される。これにより、被スパッタ面12Sがスパッタされることによって、スパッタ粒子がターゲット12から放出される。スパッタ粒子が成膜対象Sに到達することによって、成膜対象Sに薄膜が形成される。なお、制御部10Cは、ターゲット電源18が電力の供給を開始する前に、回転部14に磁気回路13の回転を開始させる。
[磁気回路の構成]
図2および図3を参照して磁気回路の構成をより詳しく説明する。以下では、磁気回路13における構成の一例として、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、ターゲット12が円板状である場合における磁気回路13の構成を説明する。
図2が示すように、磁気回路13は、磁石13Aが固定されるヨーク13Bを含んでいる。ヨーク13Bは、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、回転軸Aを中心とする円板状を有している。ヨーク13Bは、第1ヨーク部13B1および第2ヨーク部13B2を備えている。第1ヨーク部13B1には、第1磁石部13A1が固定されている。第2ヨーク部13B2には、第2磁石部13A2が固定されている。
第1ヨーク部13B1と第2ヨーク部13B2とは、回転軸Aを中心とする同心状であり、ヨーク13Bの径方向DRにおいて、第2ヨーク部13B2は、第1ヨーク部13B1よりも外側に位置している。変更部15は、対向方向における第1ヨーク部13B1の位置と第2ヨーク部13B2の位置とを互いに独立に変えることによって、第1距離と第2距離とを互いに独立に変える。
本実施形態において、ヨーク13Bは、第1ヨーク部13B1、第2ヨーク部13B2、および、第3ヨーク部13B3から構成されている。第1ヨーク部13B1はヨーク13Bの中心を含んでいる。ヨーク13Bの径方向DRにおいて、第2ヨーク部13B2は、第1ヨーク部13B1よりも外側に位置し、かつ、第3ヨーク部13B3よりも内側に位置している。第1ヨーク部13B1は、円板状を有している。第2ヨーク部13B2および第3ヨーク部13B3は、それぞれ第1ヨーク部13B1と同心の円環状を有している。
本実施形態において、磁石13Aは、複数の磁石要素13AEから構成されている。磁石13Aの外形は、ターゲット12とヨーク13Bとが対向する方向から見て、無端の環状を有している。複数の磁石要素13AEが形成する磁石13Aの外形は、対向方向において、ターゲット12の被スパッタ面12Sの一部に重なる形状である。すなわち、磁石13Aは、対向方向において、被スパッタ面12Sの一部に重なる大きさである。磁石13Aにおいて、磁石13Aの外形における中心がターゲット12の中心に対して偏心している。なお、磁石13Aにおいて、磁石13Aの外形における中心が、ターゲット12の中心に一致してもよい。
磁石13Aは、第1磁石部13A1、第2磁石部13A2、および、第3磁石部13A3から構成されている。各磁石部13A1,13A2,13A3は、複数の磁石要素13AEから構成されている。ヨーク13Bの径方向DRにおいて、第2磁石部13A2が、第1磁石部13A1よりも外側に位置し、かつ、第3磁石部13A3よりも内側に位置している。
第1磁石部13A1を構成する各磁石要素13AEは、第1ヨーク部13B1に固定されている。第2磁石部13A2を構成する各磁石要素13AEは、第2ヨーク部13B2に固定されている。第3磁石部13A3を構成する各磁石要素13AEは、第3ヨーク部13B3に固定されている。
磁気回路13は、回転軸Aを中心に回転するため、被スパッタ面12Sにおいて、漏洩磁場の強度における積算値は、中心からの距離に応じて変わる。言い換えれば、被スパッタ面12Sにおける各部位において、中心からの距離が互いに等しい部位における積算値は、周方向において一定である。ここで、各磁石部13A1,13A2,13A3は、被スパッタ面12Sの径方向において、中心からの距離が互いに異なる部分として設定される。そのため、被スパッタ面12S内において、漏洩磁場の強度における積算値が等しい部分の全体において、1つの磁石部13A1,13A2,13A3の位置を変えることによって、漏洩磁場の強度を同じ度合いだけ変化させることが可能である。
言い換えれば、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、磁石13Aが配置される領域が配置領域である。配置領域は、回転軸Aを中心とする円状を有し、かつ、第1区画S1と第2区画S2とを含んでいる。第1区画S1と第2区画S2とは、回転軸Aを中心とする同心状であり、配置領域の径方向において、第2区画S2は第1区画S1よりも外側に位置している。第1磁石部13A1は、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、第1区画S1に位置している。第2磁石部13A2は、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、第2区画S2に位置している。
本実施形態では、配置領域は、第1区画S1、第2区画S2、および、第3区画S3から構成されている。配置領域の径方向において、第2区画S2が、第1区画S1よりも外側に位置し、かつ、第3区画S3よりも内側に位置している。第1区画S1は、円状を有している。第2区画S2および第3区画S3は、第1区画S1と同心の円環状を有している。
すなわち、本実施形態では、第1区画S1に、ヨーク13Bの第1ヨーク部13B1が位置している。第2区画S2に、ヨーク13Bの第2ヨーク部13B2が位置している。第3区画S3に、ヨーク13Bの第3ヨーク部13B3が位置している。
図3は、ターゲット12の径方向におけるターゲット12の中心からの距離と、ターゲット12の径方向における各位置でのターゲット12の浸食量との関係を示すグラフである。図3に示す浸食量は、以下の条件でターゲット12をスパッタしたときの浸食量をシミュレーションによって算出した値である。なお、図3では、ターゲット12の一例として、半径が150mmであるターゲット12を用いた場合の浸食量が示されている。
(条件1)ターゲット12をスパッタする前に設定されたターゲット12と磁気回路13との間の距離は、ターゲット12の全体において一定である。
(条件2)ターゲット12がスパッタされる所定の期間にわたって、ターゲット12と磁気回路13との間の距離は、ターゲット12の全体において一定である。
図3が示すように、ターゲット12の浸食量は、3つのピークを有する。ターゲット12の中心側から順に、ターゲット12の浸食量は、第1ピーク、第2ピーク、および、第3ピークを有する。第1ピークは、ターゲット12の中心からの距離が0mmから30mmまでの間に位置している。第2ピークは、ターゲット12の中心からの距離が60mmから90mmまでの間に位置している。第3ピークは、ターゲット12の中心からの距離が120mmに位置している。第2ピークでの浸食量は、第1ピークでの浸食量よりも大きく、かつ、第3ピークでの浸食量よりも小さい。
上述したように、磁気回路13は、ターゲット12の中心を通る回転軸Aを中心に回転するため、ターゲット12の周方向における各位置における浸食量は、ターゲット12の中心からの距離によって決まる。言い換えれば、ターゲット12の周方向における各位置において、ターゲット12の中心からの距離が等しければ、ターゲット12の浸食量も等しい。
磁気回路13が回転軸Aを中心に1回転するときの被スパッタ面12Sの径方向での各位置における漏洩磁場の強度を積算した値が積算値である。ターゲット12の各位置における浸食量は、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、漏洩磁場のなかで各位置と重なる部分の密度に比例する。そのため、ターゲット12の各位置における浸食量は、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、各位置における積算値の大きさに比例する。そのため、磁石13Aの外形が、図2が示す形状、すなわち、被スパッタ面12Sと対向する平面視においていわゆるハート形状の曲線である本実施形態では、ターゲット12の径方向において、積算値は、浸食量と同様、3つのピークを有する。なお、ハート形状は、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、無端の環状であり、かつ、環の一部が環の中心に向けて窪むことによって、2つの鋭角(θa)を有する角部と、2つの鈍角(θb)を有する角部とが、環の周方向において交互に並ぶ形状である。
被スパッタ面12Sの径方向のなかで、積算値が最大である位置が最大位置である。第1磁石部から第3磁石部のいずれか1つが、被スパッタ面12Sと対向する平面視において最大位置と重なることができる。
本実施形態では、被スパッタ面12Sの径方向のなかで、ターゲット12の中心からの距離が120mmである位置が最大位置である。第3磁石部13A3が、被スパッタ面12Sと対応する平面視において最大位置と重なる。
被スパッタ面12Sのなかで、漏洩磁場の強度における積算値が最大である最大位置において、ターゲット12の浸食量が最も大きくなる。そのため、被スパッタ面12Sの最大位置では、他の部分に比べて、磁石13Aと被スパッタ面12Sとの間の距離における変化量が最も大きくなる。結果として、最大位置から放出されるスパッタ粒子の量の変化量も最も大きくなる。本実施形態では、被スパッタ面12Sと対向する平面視において最大位置と重なる磁石13Aにおいて、磁石13Aと被スパッタ面12Sとの間の距離を変えることが可能である。そのため、磁石13Aと被スパッタ面12Sとの間の距離が変わることによって、スパッタ粒子の放出量が変わることを抑える効果を顕著に得ることができる。
本実施形態では、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、被スパッタ面12Sの径方向のなかで、第1ピークの位置に第1磁石部13A1が重なる。被スパッタ面12Sと対向する平面視において、被スパッタ面12Sの径方向のなかで、第2ピークの位置に第2磁石部13A2が重なる。
[変更部の構成]
図4から図9を参照して変更部の構成を説明する。以下では、変更部として採用することが可能な5つの構成を順に説明する。図4から図9の各々では、説明および図示の便宜上、変更部15が含む機構のなかで、第2ヨーク部13B2の位置を変える機構のみが図示されている。実際には、第2ヨーク部13B2は、第1ヨーク部13B1の位置を変える機構、および、第3ヨーク部13B3の位置を変える機構を含んでいる。なお、磁気回路13は、以下に説明する第1の形態から第5の形態のなかで、1つの形態のみを含んでもよいし、2つ以上の形態を含んでもよい。
[第1の形態]
図4が示すように、磁気回路13は、磁石13Aおよびヨーク13Bに加えて、回転軸Aに沿って延びる筒部13Cを備えている。筒部13Cは、ヨーク13Bに対してターゲット12とは反対側に底部を有する有底筒状である。筒部13Cにおいて、底部とは反対側の開口は、ヨーク13Bによって塞がれている。変更部15は、ヨーク13Bと筒部13Cとによって形成される空間内に位置している。なお、以下に説明する第2の形態から第5の形態の各々においても、磁気回路13が筒部13Cを備え、かつ、変更部15の少なくとも一部が、筒部13Cとヨーク13Bとによって区画される空間内に位置している。
変更部15は、空圧式アクチュエーター21と、プレート22とを備えている。空圧式アクチュエーター21は、回転軸Aが延びる方向に沿って伸縮するシリンダを備えている。シリンダは、シリンダに供給される圧縮空気の圧力に応じて、回転軸Aに沿った長さが変わる。プレート22は、空圧式アクチュエーター21のシリンダと、第2ヨーク部13B2とに接続されている。
磁気回路13は、ロータリージョイント23をさらに備えている。ロータリージョイント23は、回転部14と同軸上において筒部13Cの底部に固定されている。ロータリ−ジョイント23は、空圧式アクチュエーター21に圧縮空気を供給するための流路を有している。ロータリージョイント23は、回転体である空圧式アクチュエーター21に圧縮空気を供給する。
[第2の形態]
図5が示すように、変更部15は、電磁式アクチュエーター31を備えている。電磁式アクチュエーター31は、回転軸Aに沿って延び、かつ、第2ヨーク部13B2に接続されたシャフトを含んでいる。シャフトは、電磁式アクチュエーター31に供給される電力の積算値に応じて、回転軸Aに沿った長さが変わる。
磁気回路13は、スリップリング32をさらに備えている。スリップリング32は、磁気回路13の外部から、回転体である電磁式アクチュエーター31への電力の供給を可能にするためのコネクタである。
なお、マグネトロンスパッタ装置10は、電磁式アクチュエーター31に電力を供給するための蓄電池を備えてもよい。蓄電池は、変更部15と同様、筒部13Cとヨーク13Bとによって区画される空間内に位置する。マグネトロンスパッタ装置10が蓄電池を備える場合には、磁気回路13の外部から電磁式アクチュエーター31に電力を供給することが不要である。そのため、スリップリング32を省略することができる。この場合には、無線通信などを用いて、電磁式アクチュエーター31の駆動を制御することが可能である。
[第3の形態]
図6が示すように、変更部15は、シャフト41、ベアリング42、レール43、アクチュエーター44、および、リニアガイド45を備えている。シャフト41は、回転軸Aに沿って延びている。シャフト41において、第1端部は、第2ヨーク部13B2に接続され、かつ、第2端部は、ヨーク13Bの径方向における外側に向けて屈曲している。ベアリング42は、第2端部に接続されている。レール43は、磁気回路13と同心の円環状を有している。シャフト41の第2端部は、ベアリング42を介してレール43に支持されている。これにより、磁気回路13の回転に伴って、シャフト41がレール43に沿って回転する。
アクチュエーター44は、回転軸Aが延びる方向に沿って、レール43の位置を変える。回転軸Aが延びる方向において、レール43の位置が変わることにより、シャフト41が、回転軸Aが延びる方向においてリニアガイド45に沿って移動する。これにより、回転軸Aが延びる方向において、第2ヨーク部13B2の位置が変わる。
[第4の形態]
図7が示すように、変更部15は、ギヤボックス51、入力部52、出力部53、および、シャフト54を備えている。ギヤボックス51は、所定の減速比を有する。ギヤボックス51は、例えば、ウォームギヤと歯車との組み合わせによる高い減速比を有する。入力部52は、回転部14の回転をギヤボックス51に入力するための機構である。出力部53は、ギヤボックス51における回転運動を出力部53に接続されたシャフト54の直動運動に変換するための機構である。
これにより、第4の形態では、回転部14の回転に応じて、シャフト54が、回転軸Aに沿って移動する。シャフト54は、ヨーク13Bから筒部13Cの底部に向かう方向に移動する。言い換えれば、シャフト54は、磁石13Aとターゲット12の被スパッタ面12Sとの間の距離が大きくなる方向に移動する。第4の形態では、例えば、回転部14が1回転するごとにシャフト54が0.01mm程度移動する。
第4の形態では、回転部14の回転に応じて変更部15が磁石13Aと被スパッタ面12Sとの間の距離を変える。そのため、第4の形態では、変更部15を制御部10Cに電気的に接続するための構成を省略することができる。
[第5の形態]
被スパッタ面12Sと対向する平面視において、被スパッタ面12Sにおける第1磁石部13A1の位置が第1位置であり、被スパッタ面12Sにおける第2磁石部13A2の位置が第2位置である。第5の形態が備える変更部15は、上述した第1位置と第2位置とを互いに独立に変えることが可能である。図8および図9を参照して、第5の形態をより詳しく説明する。
図8が示すように、第1ヨーク部13B1、第2ヨーク部13B2、および、第3ヨーク部13B3は、ヨーク13Bの径方向において、等間隔で並んでいる。径方向において互いに隣り合うヨーク部13B1,13B2,13B3間の距離は、ヨーク13Bの周方向において一定である。第3ヨーク部13B3は、ヨーク13Bの径方向において、筒部13Cから所定の距離だけ離れている。径方向における第3ヨーク部13B3と筒部13Cとの間の距離は、ヨーク13Bの周方向において一定である。
第1ヨーク部13B1は、2以上の要素から構成されていてもよい。第1ヨーク部13B1は、周方向において分割されている。第2ヨーク部13B2は、2以上の要素から構成されていてもよい。第2ヨーク部13B2は、周方向において分割されている。第2ヨーク部13B2を構成する各要素は、円弧状を有している。第2ヨーク部13B2は、2以上の要素から構成されている。第3ヨーク部13B3は、周方向に沿って分割されていてもよい。第3ヨーク部13B3を構成する各要素は、円弧状を有している。第3ヨーク部13B3は、2以上の要素から構成されている。
第5の形態において、変更部15は、各ヨーク部13B1,13B2,13B3を構成する要素ごとに、回転軸Aが延びる方向に沿う位置と、ヨーク13Bの径方向に沿う位置とを変えることが可能な機構を含む。
変更部15は、アクチュエーター61と変更部材62とを備えている。アクチュエーター61は、空圧式アクチュエーターでもよいし、電磁式アクチュエーターでもよいし、油圧式アクチュエーターでもよい。アクチュエーター61は、シャフトを備えている。アクチュエーター61のシャフトは、ヨーク13Bの径方向に沿って伸縮する。変更部材62は、回転軸Aに沿って延びる形状を有している。変更部材62における第1端部は、第2ヨーク部13B2に接続され、変更部材62における第2端部は、筒部13Cの底部に接続されている。変更部材62は、第2端部を支点として、ヨーク13Bの径方向に沿う第1端部の位置における変更が可能であるように、第2ヨーク部13B2と筒部13Cの底部とに固定されている。変更部材62は、典型的には、平行リンクあるいはスライダと、クランク機構あるいは直線導入機構とによって構成される。
図8は、例えば変更部15が第1の状態であるときの磁気回路13の状態を示している。変更部15が第1の状態であるとき、変更部材62は、回転軸Aに沿って延びている。そのため、第2ヨーク部13B2と筒部13Cの底部との間の距離が、最も大きい。
これに対して、図9は、変更部15が駆動された状態である第2の状態であるときの磁気回路13の状態を示している。第2の状態において、アクチュエーター61にアクチュエーター61を駆動するためのエネルギーが供給されている。
図9が示すように、アクチュエーター61が駆動されることによって、ヨーク13Bの径方向におけるシャフトの長さが第1の状態よりも長くなる。これにより、変更部材62が、回転軸Aに対して傾く。より詳しくは、変更部材62の第1端部が径方向の外側に向けて移動するように、変更部材62が傾く。結果として、変更部材62の第1端部の位置が、回転軸Aの延びる方向と、ヨーク13Bの径方向との両方において変わる。すなわち、第2の状態において、第2ヨーク部13B2と、筒部13Cの底部との間の距離が、第1の状態よりも短くなる。これに伴い、第2ヨーク部13B2とターゲット12の被スパッタ面12Sとの間の距離と、被スパッタ面12Sにおける第2ヨーク部13B2の位置との両方が同時に変わる。
第5の形態では、第1距離および第2距離に加えて、第1位置および第2位置を変えることが可能であることによって、第1距離および第2距離のみを変えることが可能である場合と比べて、被スパッタ面12S内において漏洩磁場の強度を変更する自由度をより高めることができる。
[マグネトロンスパッタ装置の作用]
図10を参照して、マグネトロンスパッタ装置10の作用を説明する。以下では、マグネトロンスパッタ装置10の作用のなかで、上述した磁気回路13によって得られる作用を説明する。
上述したように、マグネトロンスパッタ装置10では、第1距離、第2距離、および、第3距離を互いに独立に変えることができる。そのため、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、被スパッタ面12Sのなかで各磁石部13A1,13A2,13A3と重なる部分における漏洩磁場の強度を互いに独立に変えることができる。すなわち、被スパッタ面12Sと磁石との間の距離が固定された場合と比べて、被スパッタ面12Sに沿う漏洩磁場の強度における自由度を高めることができる。
なお、変更部15が第1距離、第2距離、および、第3距離の各々を変えるタイミングは、ターゲット12がスパッタされている間でもよいし、ターゲット12がスパッタされていない間、かつ、真空槽11内が真空に保たれている間でもよい。いずれの場合であっても、本実施形態のマグネトロンスパッタ装置10によれば、真空槽11を大気に開放することなく、第1距離、第2距離、および、第3距離の各々を変えることができる。
図10は、ターゲット12の使用を開始してから所定の期間が経過した後のターゲットと、磁気回路13とを示している。
図10が示すように、ターゲット12の使用を開始してから所定の期間が経過した後では、被スパッタ面12Sは、凹凸面である。なお、ターゲット12の使用が開始された時点において、被スパッタ面12Sはほぼ平坦な面である。図3を参照して先に説明したように、ターゲット12の浸食量は、中心からの距離に応じた3つのピークを有し、かつ、中心からの距離が大きいピークほど浸食量が大きい。そのため、被スパッタ面12Sは、ターゲット12の中心から縁までの間に、3つの凹部を有する。3つの凹部は、ターゲット12の中心から順に第1凹部、第2凹部、および、第3凹部である。第2凹部の深さは、第1凹部の深さよりも深く、かつ、第3凹部の深さよりも浅い。
そのため、回転軸Aが延びる方向において、各ヨーク部13B1,13B2,13B3の位置が等しい場合には、第3距離が最も短くなり、かつ、第1距離が最も長くなる。それゆえに、回転軸Aが延びる方向において、第3ヨーク部13B3の移動量を最も大きくし、かつ、第1ヨーク部13B1の移動量を最も小さくすることによって、磁石13Aにおいて、各磁石部13A1,13A2,13A3と被スパッタ面12Sとの間の距離におけるばらつきを抑えることができる。これにより、被スパッタ面12S内において、磁石13Aと被スパッタ面12Sとの間の距離におけるばらつきを抑えることが可能である。結果として、被スパッタ面12Sに沿う漏洩磁場の強度におけるばらつきを抑えることが可能である。
以上説明したように、マグネトロンスパッタ装置の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)第1距離、第2距離、および、第3距離を互いに独立に変えることができる。そのため、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、被スパッタ面12Sのなかで各磁石部13A1,13A2,13A3と重なる部分における漏洩磁場の強度を互いに独立に変えることができる。すなわち、被スパッタ面12Sと磁石との間の距離が固定された場合と比べて、被スパッタ面12Sに沿う漏洩磁場の強度における自由度を高めることができる。
(2)各磁石部13A1,13A2,13A3は、被スパッタ面12Sの径方向において、中心からの距離が互いに異なる部分として設定される。そのため、被スパッタ面12S内において、漏洩磁場の強度における積算値が等しい部分の全体において、1つの磁石部13A1,13A2,13A3の位置を変えることによって、漏洩磁場の強度を同じ度合いだけ変化させることが可能である。
(3)第1距離および第2距離に加えて、第1位置および第2位置を変えることが可能であれば、第1距離および第2距離のみを変えることが可能である場合と比べて、被スパッタ面12S内において漏洩磁場の強度を変更する自由度をより高めることができる。
(4)被スパッタ面12Sと対向する平面視において最大位置と重なる磁石13Aにおいて、磁石13Aと被スパッタ面12Sとの間の距離を変えることが可能である。そのため、磁石13Aと被スパッタ面12Sとの間の距離が変わることによって、スパッタ粒子の放出量が変わることを抑える効果を顕著に得ることができる。
なお、上述した実施形態は以下のように変更して実施することができる。
[磁気回路]
・磁石部の数、すなわちヨーク部の数は、2以上であれば3以外でもよい。
・磁石13Aが配置される配置領域は、対向方向に沿って延びる中心軸を中心とする円状を有してよい。中心軸は、上述した回転軸Aでもよいし、回転軸A以外の軸であって、回転軸Aに対して偏心した中心軸でもよい。これにより、以下の効果を得ることができる。
(5)第1距離および第2距離の各々を変えることによって、中心軸の径方向における所定の位置について、中心軸の周方向における漏洩磁場の強度を変えることができる。
・図11が示すように、ヨーク71は、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、ヨーク71の径方向に沿って延びる直線によって分割されてもよい。ヨーク71は、第1ヨーク部71A、第2ヨーク部71B、および、第3ヨーク部71Cから構成されている。各ヨーク部71A,71B,71Cは、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、扇形を有している。ヨーク71は、被スパッタ面12Sと対向する平面視において、ほぼ3等分されている。
こうした構成であっても、第1距離、第2距離、および、第3距離を互いに独立に変更することが可能であるため、被スパッタ面12Sにおける漏洩磁場の強度における自由度を高めることができる。なお、ヨークが扇形を有する複数のヨーク部から構成される場合には、複数のヨーク部には、互いに異なる大きさを有したヨーク部が含まれてよい。
・各ヨーク部の形状、言い換えれば、各磁石部が配置される区画の形状は、扇形以外の形状であってもよい。例えば、各ヨーク部および区画は、径方向DRに対して交差する直線によって分割された形状を有してもよい。また例えば、ヨークおよび配置領域が2つに分割される場合には、各ヨーク部および各区画は、半円状を有してもよい。要は、ヨークおよび配置領域が2つ以上に分割され、かつ、各ヨーク部および各区画において、磁石部と被スパッタ面12Sとの間の距離を互いに独立に変更することが可能であれば、各ヨーク部および各区画の形状に関わらず、被スパッタ面12Sにおける漏洩磁場の強度における自由度を高めることは可能である。
[変更部]
・変更部15が被スパッタ面12Sにおける各磁石部の位置を変えることが可能である場合には、変更部15は、対向方向における磁石部の位置と、被スパッタ面12Sにおける磁石部の位置とを互いに独立に変えることが可能でもよい。これにより、対向方向における各磁石部の位置の変更に伴って、被スパッタ面12Sにおける各磁石部の位置が変わる場合と比べて、被スパッタ面12Sにおける漏洩磁場の強度における自由度がより高まる。
[位置検出装置]
・マグネトロンスパッタ装置10は、ヨーク13B,71のZ位置を検出する検出装置を備えてもよい。なお、Z位置とは、ヨーク13B,71とターゲット12とが対向する方向における位置である。検出装置は、筒部13Cにおける円筒面よりも外側から、ヨーク13B,71に対して非接触でヨーク13B,71の位置を検出することが可能であることが好ましい。この場合には、回転体である磁気回路13よりも外側に検出装置が位置するため、ロータリージョイント23やスリップリング32を介して、制御部10Cと検出装置とが信号の送受信を行う必要がない。なお、検出装置には、例えば、渦電流式の位置検出装置、または、光学式の位置検出装置を用いることができる。
図5を用いて先に説明した第2の形態では、電磁式アクチュエーター31としてステッピングモーターを用いることによって、検出装置を割愛することが可能である。この点において、第2の形態は好ましい。
また、図6を用いて先に説明した第3の形態では、ヨーク13Bを駆動するための機構が磁気回路13の外部に位置するため、他の形態と比べて、ロータリージョイント23、スリップリング32、および、アクチュエーター61が不要である。第3の形態では、ヨーク13BのZ位置をレール43の位置を測定することで把握することが可能である。レール43は回転しないため、第3の形態では、上述した非接触式の位置検出装置に限らず、接触式の位置検出装置を用いることも可能である。このように、第3の形態は、位置検出装置の方式における自由度が高い点で好ましい形態である。
10…マグネトロンスパッタ装置、10C…制御部、11…真空槽、11A…成膜空間、12…ターゲット、12S…被スパッタ面、13…磁気回路、13A…磁石、13A1…第1磁石部、13A2…第2磁石部、13A3…第3磁石部、13AE…磁石要素、13B,71…ヨーク、13B1,71A…第1ヨーク部、13B2,71B…第2ヨーク部、13B3,71C…第3ヨーク部、13C…筒部、14…回転部、15…変更部、16…支持部、17…バッキングプレート、18…ターゲット電源、19…ガス供給部、21…空圧式アクチュエーター、22…プレート、23…ロータリージョイント、31…電磁式アクチュエーター、32…スリップリング、41,54…シャフト、42…ベアリング、43…レール、44,61…アクチュエーター、45…リニアガイド、51…ギヤボックス、52…入力部、53…出力部、62…変更部材、A…回転軸、S…成膜対象、S1…第1区画、S2…第2区画、S3…第3区画。

Claims (6)

  1. 成膜空間を区画する真空槽と、
    前記成膜空間に露出する被スパッタ面を含むターゲットと、
    前記ターゲットに対して前記成膜空間とは反対側に位置し、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記ターゲットの一部を覆う大きさを有し、第1磁石部と第2磁石部とを含む磁石を含む磁気回路と、
    前記ターゲットと前記磁気回路とが対向する対向方向に沿う回転軸を中心に前記磁気回路を回転させる回転部と、
    前記第1磁石部と前記被スパッタ面との間の距離である第1距離と、前記第2磁石部と前記被スパッタ面との間の距離である第2距離とを互いに独立に変え、かつ、前記ターゲットがスパッタされている間に前記第1距離と前記第2距離とを変えることが可能な変更部と、を備える
    マグネトロンスパッタ装置。
  2. 前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記磁石が配置される領域が配置領域であり、
    前記配置領域は、前記対向方向に沿って延びる中心軸を中心とする円状を有し、かつ、第1区画と第2区画とを含み、
    前記第1区画と前記第2区画とは、前記中心軸を中心とする同心状であり、前記配置領域の径方向において、前記第2区画は前記第1区画よりも外側に位置し、
    前記第1磁石部は、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記第1区画に位置し、
    前記第2磁石部は、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記第2区画に位置する
    請求項1に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  3. 前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記磁石が配置される領域が配置領域であり、
    前記配置領域は、前記回転軸を中心とする円状を有し、かつ、第1区画と第2区画とを含み、
    前記第1区画と前記第2区画とは、前記回転軸を中心とする同心状であり、前記配置領域の径方向において、前記第2区画は前記第1区画よりも外側に位置し、
    前記第1磁石部は、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記第1区画に位置し、
    前記第2磁石部は、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記第2区画に位置する
    請求項1に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  4. 前記磁気回路は、前記磁石が固定されるヨークを含み、
    前記ヨークは、前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記回転軸を中心とする円板状を有し、前記第1磁石部が固定される第1ヨーク部と、前記第2磁石部が固定される第2ヨーク部とを含み、
    前記第1ヨーク部と前記第2ヨーク部とは、前記回転軸を中心とする同心状であり、前記ヨークの径方向において、前記第2ヨーク部は、前記第1ヨーク部よりも外側に位置し、
    前記変更部は、前記対向方向における前記第1ヨーク部の位置と前記第2ヨーク部の位置とを互いに独立に変えることによって、前記第1距離と前記第2距離とを互いに独立に変える
    請求項1に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  5. 前記被スパッタ面と対向する平面視において、前記被スパッタ面における前記第1磁石部の位置が第1位置であり、前記被スパッタ面における前記第2磁石部の位置が第2位置であり、
    前記変更部は、前記第1位置と前記第2位置とを互いに独立に変える
    請求項1から4のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
  6. 前記磁気回路が前記回転軸を中心に1回転するときの前記被スパッタ面の径方向での各位置における漏洩磁場の強度を積算した値が積算値であり、
    前記被スパッタ面の径方向のなかで、前記積算値が最大である位置が最大位置であり、
    前記第1磁石部および前記第2磁石部のいずれか一方が、前記被スパッタ面と対向する平面視において前記最大位置と重なる
    請求項3または4に記載のマグネトロンスパッタ装置。
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