JP2020015259A - Frp前駆体の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

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友和 嶌田
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【課題】作業性が良い大気中(常圧下)でのFRP前駆体の製造において、骨材の空隙への樹脂充填性と骨材の端部からの樹脂染み出し防止とを両立し、かつ厚みのばらつきが抑制され得るFRP前駆体の製造方法及びFRP前駆体の製造装置を提供すること。【解決手段】シート状の骨材の一方の表面、又は両方の表面に熱硬化性樹脂のフィルムを溶融貼付してFRP前駆体を製造するFRP前駆体の製造方法であって、前記骨材を振動させる工程と、常圧下において、前記フィルムの熱硬化性樹脂を、振動する骨材の表面に溶融した状態で圧接させてFRP前駆体を得るフィルム圧接工程と、を含む、FRP前駆体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明はFRP前駆体及びその製造装置に関する。
FRP(Fiber Reinforced Plastics;繊維強化プラスチック)は、ファイバー等の弾性率の高い材料を骨材とし、その骨材を、プラスチックのような母材(マトリックス)の中に入れて強度を向上させた複合材料であり、耐候性、耐熱性、耐薬品性及び軽量性を生かした、安価かつ軽量で耐久性に優れる複合材料である。
これらの性能を生かして、FRPは幅広い分野で使用されている。例えば、FRPは、造型性及び高い強度を有することから、住宅機器、船舶、車両、航空機等の構造材として使用されている。また、絶縁性を生かして、電気装置、プリント配線板等の電子部品分野でも使用されている。
FRPの製造方法としては、骨材を敷き詰めた合わせ型に樹脂を注入するRTM(Resin Transfer Molding、樹脂トランスファー成形)法、骨材を敷き、樹脂を脱泡しながら多重積層するハンドレイアップ法及びスプレーアップ法、予め骨材と樹脂とを混合したシート状のものを金型で圧縮成型するSMC(Sheet Molding Compound)プレス法等が挙げられる。
FRPをプリント配線板に用いる場合、プリント配線板用のFRPの厚みは、他の用途のFRPの厚みと比較して薄くすることが要求される。また、プリント配線板用のFRPには、FRPを成型した後の厚みのばらつきの許容範囲が狭いこと、ボイドが無いことなど、高いスペックが要求される。
そのため、プリント配線板用のFRPの多くが、ハンドレイアップ(Hand Lay-up;HLU)法で製造されている。ハンドレイアップ法は、塗工機を用いて、骨材に樹脂ワニスを塗布し、乾燥させて溶剤除去及び熱硬化を行う製造方法である(特許文献1参照)。ハンドレイアップ法は、予め、骨材に熱硬化性樹脂を塗布しておくと、作業性が向上し、また、周辺の環境にかかる負荷を低減させることができる。
しかし、骨材として、カレンダー処理の無いアラミド不織布、薄いガラスペーパー、薄い織布等を用いる場合、これらは骨材としての強度が低いため、樹脂ワニスを塗布し、溶剤除去、乾燥、熱硬化を行う際に、自重が骨材の耐荷重を上回り、切れてしまったり、塗布する樹脂量を調整するためにコーターのギャップを狭くした際に、千切れてしまったりするなど作業性が悪い。
また、プリント配線板用のFRPでは、積層後の厚みの高精度性と、内層回路パターンへの樹脂の充填性(成型性)とを両立させる必要がある。このため、骨材に付着させた樹脂量が数質量%異なるもの、熱硬化性樹脂の硬化時間を変えたもの、それらを組合せたものなど、1種類の骨材で複数種類のFRP前駆体を製造しなければならず、煩雑である。さらに、各々塗工条件を変えて製造するために、製造に用いる材料のロスも大きい。
そのため、骨材に熱硬化性樹脂を直接塗布するのではなく、予め熱硬化性樹脂をフィルム状にした樹脂フィルムを作製しておき、骨材と樹脂フィルムとを加熱及び加圧して接着し、FRP前駆体にする方法がある(特許文献2参照)。
特開平01−272416号公報 特開2011−132535号公報
特許文献2の方法では、骨材の空隙への樹脂の充填を行うために貼り付けを真空中で行うと、トラブル時の対応性及び作業性等の効率が良くない。他方、貼り付けを大気中(常圧下)で行うと、骨材の空隙への樹脂の充填性が悪く、ボイドが発生する場合がある。また、骨材の空隙への樹脂の充填性を高めるために、ラミネート温度を高くして樹脂の粘度を下げたり、加圧圧力を上げて骨材の空隙への充填性を高めたりすると、端部から樹脂が吹き出てしまったり、面内で樹脂の厚みにばらつきが生じたりしてしまい、良好な製品を得ることが困難である。
そこで本発明の課題は、作業性が良い大気中(常圧下)でのFRP前駆体の製造において、骨材の空隙への樹脂充填性と骨材の端部からの樹脂染み出し防止とを両立し、かつ厚みのばらつきが抑制され得るFRP前駆体の製造方法及びFRP前駆体の製造装置を提供することにある。
本発明者らが鋭意研究した結果、作業性が良い大気中(常圧下)において、熱硬化性樹脂が熱溶融した状態のフィルムを「振動する骨材」へ圧接することで、骨材の空隙への樹脂充填性と骨材の端部からの樹脂染み出し防止とを両立させ、かつ厚みのばらつきが抑制されることが判明した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[7]に関する。
[1]シート状の骨材の一方の表面、又は両方の表面に熱硬化性樹脂のフィルムを溶融貼付してFRP前駆体を製造するFRP前駆体の製造方法であって、
前記骨材を振動させる工程と、
常圧下において、前記フィルムの熱硬化性樹脂を、振動する骨材の表面に溶融した状態で圧接させてFRP前駆体を得るフィルム圧接工程と、を含む、FRP前駆体の製造方法。
[2]前記振動する骨材が、振動発生装置によって振動する骨材である、上記[1]に記載のFRP前駆体の製造方法。
[3]振動発生装置が超音波振動発生装置である、上記[1]又は[2]に記載のFRP前駆体の製造方法。
[4]前記フィルムの熱硬化性樹脂は、フィルム加熱加圧装置に接するフィルム加熱開始位置から溶融が始まる、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[5]前記フィルム加熱開始位置が、フィルム加熱加圧ロールの中心からフィルム加圧位置に至る直線に対して30度以上振動発生装置側に開いた直線が接するフィルム加熱加圧ロール表面である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[6]前記フィルム圧接工程を、前記熱硬化性樹脂のフィルムの最低溶融粘度温度のマイナス40℃からプラス20℃の範囲で行う、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法に用いられるFRP前駆体の製造装置であって、
前記骨材を振動する手段と、
常圧下において、前記フィルムの熱硬化性樹脂を、振動する骨材の表面に溶融した状態で圧接させてFRP前駆体を得るフィルム圧接手段と、を含む、FRP前駆体の製造装置。
本発明によれば、作業性が良い大気中(常圧下)でのFRP前駆体の製造において、骨材の空隙への樹脂充填性と骨材の端部からの樹脂染み出し防止とを両立し、かつ厚みのばらつきが抑制され得るFRP前駆体の製造方法及びFRP前駆体の製造装置を提供することができる。
本発明に係るFRP前駆体の製造方法及びFRP前駆体の製造装置の一態様を示す概念図である。 本発明に係るFRP前駆体の製造方法及びFRP前駆体の製造装置の一態様を示す概念図(一部の拡大図)である。
図1及び図2を参照して、本発明に係るFRP前駆体の製造方法及びFRP前駆体の製造装置1の実施の形態の一態様を説明する。なお、FRP前駆体の製造装置1は、一対の樹脂フィルム(熱硬化性樹脂のフィルム)54を、それぞれ、シート状の骨材40の両面に溶融貼付する装置として説明するが、1つの樹脂フィルム54をシート状の骨材40の一方の表面にのみ溶融貼付する装置としてもよい。この場合、図1において、骨材40より下側(又は上側)にある、一方の樹脂フィルム送出装置3、保護フィルム剥がし機構4、保護フィルム巻取装置5は不要である。
FRP前駆体の製造装置1は、常圧下におかれる。本発明に係るFRP前駆体の製造方法は、FRP前駆体の製造装置1で行うことができる。
FRP前駆体の製造装置1は、骨材送出装置2と、一対の樹脂フィルム送出装置3及び3と、フリーロール6と、フリーロール7と、振動発生装置20と、フィルム加熱加圧装置8と、FRP前駆体巻取装置10と、を備える。FRP前駆体の製造装置1は、さらに、シート加圧冷却装置9と、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4と、一対の保護フィルム巻取装置5及び5と、を備えることが好ましい。
骨材送出装置2は、シート状の骨材40が巻かれたロールを巻き方向とは反対方向に回転させて、ロールに巻かれた骨材40を送り出す装置である。図1において、骨材送出装置2は、骨材40をロールの下側からフリーロール6に向けて送り出している。
フリーロール6は、図1が示すように骨材40をフリーロール6の下部を通過させた場合、フリーロール6よりも高い位置に設置されたフリーロール7の上部を通過するように骨材40を送り出している。一方、骨材40をフリーロール6の上部を通過させた場合、フリーロール6よりも低い位置に設置されたフリーロール7の下部を通過するように骨材40を送り出すこととなる。
フリーロール6とフリーロール7を備えることにより、振動発生装置20によって骨材40へ与えられる振動がフリーロール6とフリーロール7とによって骨材送出装置2の方へ伝わることを抑制し易い。また、フリーロール6とフリーロール7を備えることにより、振動発生装置20によって骨材40へ与えられた振動が減衰するのを抑制する効果もあり、溶融した熱硬化性樹脂54’の骨材40の空隙への充填性を良好なものにし易い傾向にある。
フリーロール7の位置は、フリーロール7を通過する骨材40の高さが、一対のフィルム加熱加圧ロール8及び8の中間の高さと等しくなるように調整される。
振動発生装置20としては、振動を発生し得る装置である限りにおいて特に制限されるものではないが、超音波振動発生装置等を使用することができる。振動発生装置20は、フリーロール7とフィルム加熱加圧装置8とが設置された間の位置に設置されている。図1及び図2では、振動発生装置20は骨材40の表面40a又は裏面40bに接する様に設置されているが、骨材40へ振動を付与させることができる限りにおいて、振動発生装置20に設置の仕方に特に制限はない。骨材40へ効率よく振動を付与する観点からは、フリーロール7から振動発生装置20までの距離及び振動発生装置20からフィルム加熱加圧装置8までの距離が共に短いことが好ましい。こうすることで、骨材40に付与された振動の減衰が抑制される傾向にある。特に制限されるものではないが、フリーロール7から振動発生装置20までの距離は、好ましくは10〜50cm、より好ましくは10〜30cmである。また、特に制限されるものではないが、振動発生装置20からフィルム加熱加圧装置8までの距離は、好ましくは10〜50cm、より好ましくは10〜30cmである。
振動発生装置20によって骨材40へ付与される振動は、例えば超音波振動発生装置を使用する場合、好ましくは25〜45kHz、より好ましくは34〜38kHzである。45kHz以下とすることによって、FRP前駆体の端部から熱硬化性樹脂が染み出し易くなることを抑制し、その結果、厚みのばらつきが大きくなるのを避けられる傾向にあり、25kHz以上とすることによって、骨材の空隙への熱硬化性樹脂の充填性を良好なものとし易い傾向にある。
一対の樹脂フィルム送出装置3及び3は、保護フィルム付き樹脂フィルム50が巻かれたロールを巻き方向とは反対方向に回転させて、ロールに巻かれた保護フィルム付き樹脂フィルム50を送り出す装置である。後述するように、保護フィルム付き樹脂フィルム50は、樹脂フィルム54と、樹脂フィルム54の片方の骨材側フィルム表面(樹脂フィルム54の両表面のうち、骨材40側の表面)に積層された保護フィルム52とを含むシート状のフィルムである。
一対の樹脂フィルム送出装置3及び3は、それぞれ、送り出された骨材40の表面40a側及び裏面40b側に位置する。
一方の樹脂フィルム送出装置3は、送り出された骨材40の表面40a側に位置し、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50をロールの下側から一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出す装置である。
同様に、他方の樹脂フィルム送出装置3は、送り出された骨材40の裏面40b側に位置し、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50をロールの上側から他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出す装置である。
一対の保護フィルム剥がし機構4及び4は、それぞれ、送り出された骨材40の表面40a側及び裏面40b側に位置する転向ロールである。
一方の保護フィルム剥がし機構4は、一方の樹脂フィルム送出装置3から送り出され、一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて進む保護フィルム付き樹脂フィルム50を、回転する転向ロールの表面で受け、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50のうち一方の樹脂フィルム54をフィルム加熱加圧装置8に向けて進ませると共に、一方の保護フィルム52を一方の保護フィルム巻取装置5に向けて進ませることにより、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50から一方の保護フィルム52を剥がす機構である。これにより、一方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが露出する。
同様に他方の保護フィルム剥がし機構4は、他方の樹脂フィルム送出装置3から送り出され、他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて進む他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50を、回転する転向ロールの表面で受け、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50のうち他方の樹脂フィルム54をフィルム加熱加圧装置8に向けて進ませると共に、他方の保護フィルム52を他方の保護フィルム巻取装置5に向けて進ませることにより、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50から他方の保護フィルム52を剥がす機構である。これにより、他方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが露出する。
一対の保護フィルム巻取装置5及び5は、それぞれ、送り出された骨材40の表面40a側及び裏面40b側に位置し、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4で剥がされた、保護フィルム52及び52を巻き取る巻取装置である。
フィルム加熱加圧装置8は、一対の加熱加圧ロールと、一対の加熱加圧ロールに圧縮力を付与する圧縮力付与機構(図示せず)とを有する。一対の加熱加圧ロールは、所定の設定された温度で加熱ができるよう、内部に加熱体を有する。
フィルム加熱加圧装置8は、入り込んだ骨材40に樹脂フィルム54及び54を回転する一対の加熱加圧ロールで圧接させてシート状のFRP前駆体60を形成する(フィルム圧接工程)と共に、FRP前駆体60をシート加圧冷却装置9に向けて送り出す。具体的には、骨材送出装置2から送り出された骨材40の表面40a及び裏面40bに、それぞれ、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4から送り出された樹脂フィルム54及び54が積層するように、骨材送出装置2から送り出された骨材40と、一対の保護フィルム剥がし機構4、4からそれぞれ送り出された樹脂フィルム54及び54とが、一対のフィルム加熱加圧装置8のフィルム加熱開始位置8a及び8a(図2参照)で加熱加圧ロールに接した状態で一対の加熱圧縮ロールの間に入り込む。
なお、樹脂フィルム54及び54は、一対のフィルム加熱加圧装置8のフィルム加熱開始位置8a及び8aにて加熱加圧ロールに接するため、ここで、樹脂フィルム54及び54の熱硬化性樹脂54’及び54’が加熱加圧装置8の熱によって溶融する。それにより、樹脂フィルム54が、一対の加熱加圧ロールの間に入り込んで骨材40と接した際に、前記熱硬化性樹脂54’は溶融しているため、骨材40の振動によって熱硬化性樹脂54’は流動し、骨材の表面40a側から速やかに毛細管現象により骨材40に含浸される。また、他方の樹脂フィルム54が、一対の加熱圧縮ロールの間に入り込んで骨材40と接した際に、前記熱硬化性樹脂54’は溶融しているため、骨材40の振動によって熱硬化性樹脂54’は流動し、骨材の裏面40b側から速やかに毛細管現象により骨材40に含浸され、FRP前駆体60が形成される。フィルム加熱加圧装置8から送り出されたFRP前駆体60は高温状態である。
シート加圧冷却装置9は、一対の冷却加圧ロールと、一対の冷却加圧ロールに圧縮力を付与する圧縮力付与機構(図示せず)とを有することで、FRP前駆体60の不要な熱の除去と製品の平坦化を行う。
FRP前駆体巻取装置10は、シート加圧冷却装置9から送り出されたシート状のFRP前駆体60を巻き取るロールと、ロールを回転させる駆動機構(図示せず)とを有する。
以上のFRP前駆体の製造装置1は、以下のように動作する。
先ず、骨材送出装置2からシート状の骨材40を、フィルム加熱加圧装置8に向けて送り出す。このとき、骨材40の表面40a及び裏面40bは露出している。
次に、フリーロール7とフィルム加熱加圧装置8の間の位置で骨材40の表面40a又は裏面40bのいずれか一方から振動発生装置20で骨材40を振動させる(振動伝達工程)。
他方、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50を一方の樹脂フィルム送出装置3のロールの下側から一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出している。また、保護フィルム52が、送出された骨材40側になるように、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50を他方の樹脂フィルム送出装置3のロールの上側から他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出している。
次に、送り出された一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50は、一方の保護フィルム剥がし機構4である転向ロールに架けられ転向する際に、骨材側フィルム表面54aが露出するように、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50から一方の保護フィルム52を剥がして一方の樹脂フィルム54をフィルム加熱加圧装置8に向けて進ませる。これにより、一方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが露出する。同様に、送り出された他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50は、他方の保護フィルム剥がし機構4である転向ロールに架けられ転向する際に、骨材側フィルム表面54aが露出するように、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50から他方の保護フィルム52を剥がして他方の樹脂フィルム54をフィルム加熱加圧装置8に向けて進ませる。これにより、他方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが露出する。
剥がされた一対の保護フィルム52及び52は、それぞれ、一対の保護フィルム巻取装置5及び5で巻き取られる。
次に、骨材側フィルム表面54aが露出した一方及び他方の樹脂フィルム54及び54が、一対のフィルム加熱加圧装置8及び8にフィルム加熱開始位置8a及び8aで接触する。これにより、樹脂フィルム54及び54の熱硬化性樹脂54’及び54’が加熱加圧ロールの熱で溶融する。
次に、熱硬化性樹脂54’及び54a’が溶融した樹脂フィルム54及び54と、骨材送出装置2から送り出され、振動発生装置20で振動を伝達された骨材40とが、一対の加熱加圧ロールの間に入り込み、フィルム加熱加圧装置8で圧接させてFRP前駆体60を得る(フィルム圧接工程)。このとき、一対の加熱加圧ロールの内部にある加熱体の温度制御をすることにより、一対の加熱加圧ロールを所定の温度に維持し、フィルム圧接工程をする際に加熱しながら加圧をする。
骨材に熱硬化性樹脂のフィルムを加熱加圧接着する際、加熱加圧ロールの温度は使用する熱硬化性樹脂組成物をレオメータで測定した最低溶融粘度温度のマイナス40℃からプラス20℃の範囲が好ましい。圧力は任意の線圧でよいがIPC−TM−650のNo.2.3.17.1の試験方法で加熱加圧をロールラミネートで実施し、1.6mmのパンチ穴の染み出しが50μm以上で6.4mmのパンチ穴の染み出しが1,200μm以下が好ましく、1.6mmのパンチ穴の染み出しが100μm以上で6.4mmのパンチ穴の染み出しが500μm以下がより好ましい。
また、熱硬化性樹脂組成物の最低溶融粘度温度は、FRP前駆体の生産性の観点から、60〜150℃が好ましく、80〜140℃がより好ましく、100〜130℃がさらに好ましい。
フィルム圧接工程では、作業性が良い大気中で骨材40に樹脂フィルム54を接着する。その際、樹脂フィルム54は、先ず、フィルム加熱加圧装置8のフィルム加熱開始位置8a(図2参照)で加熱加圧ロールに接触し、加熱加圧ロールの熱で樹脂フィルム54の熱硬化性樹脂54’及び54a’が溶融する。次に、樹脂フィルム54の熱硬化性樹脂54’及び54a’が、振動している骨材40の表面40a及び裏面40bに接触する。そのため、樹脂フィルム54と骨材40とが接触すると同時に、溶融している熱硬化性樹脂54’及び54’は骨材40の振動で流動し、かつ、骨材40が振動することで骨材を伝った毛細管現象が顕著となるため、速やかにそして十分に骨材40の空隙へ熱硬化性樹脂を充填させることができる。
なお、前記フィルム加熱開始位置8aは、図2中の加熱加圧装置8のフィルム加圧位置8bから加熱加圧ロールの中心8cまでの直腺に対して、加熱加圧ロールの中心から好ましくは角度aだけ振動発生装置20が設置される側に開いた位置である。該角度aは、好ましくは25度以上、より好ましくは28度以上、さらに好ましくは30度以上であり、一方、通常、45度以下となる。
よって、従来の製造方法(骨材40に振動を加えない方法)よりも充填性の向上が得られると共に、フィルム加熱加圧装置8の加熱圧縮ロールからの過剰な加熱による骨材40への充填に関与しない部分の樹脂粘度の低下を抑え、骨材40の空隙への樹脂充填性と端部からの樹脂染み出し防止を両立させ、FRP前駆体60の生産性を良くすることができる。
なお、従来の製造方法では、骨材40へ樹脂フィルム54を安定して接触させる観点から、骨材40及び樹脂フィルム54はなるべく振動させないことが一般常識であった。しかし、本発明では、骨材40へあえて振動を与えた状態にて骨材40と樹脂フィルム54とを接触させたところ、骨材40への熱硬化性樹脂の充填率が予想以上に高まり、かつ、FRP前駆体における厚みのばらつきも小さくなる傾向にあり、FRP前駆体の端部から熱硬化性樹脂が染み出すおそれも小さくなる傾向となることが分かった。
シート加圧冷却装置9により、さらに加圧し、また、冷却する。
シート加圧冷却装置9から送り出されたFRP前駆体60を、FRP前駆体巻取装置10により、巻き取る。
以下、FRP前駆体の製造装置1で製造し得るFRP前駆体の一態様について説明する。
FRP前駆体の骨材としては、例えば、ガラス、カーボン等の無機繊維基材;アラミド、セルロース等の有機繊維基材;鉄、銅、アルミニウム、これら金属の合金等からなる金属繊維基材などを、単体で又は混合して使用した織布、不織布などが挙げられる。
本発明の製造方法に用いる熱硬化性樹脂のフィルムは、熱硬化性樹脂を含むフィルムであり、熱硬化性樹脂を含む組成物(以下、「熱硬化性樹脂組成物」と称することがある)をフィルム状にしたものである。つまり、本明細書において、熱硬化性樹脂という場合、熱硬化性樹脂単独のみならず、熱硬化性樹脂組成物も含まれる。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、フラン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、作業性、取り扱い性、価格の点でエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましい。2官能以上のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;多官能フェノールのジグリシジルエーテル化物;これらの水素添加物などが挙げられる。エポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
難燃性が必要とされる場合は、ハロゲン化エポキシ樹脂を配合してもよい。また、ハロゲン化エポキシ樹脂を添加せずに難燃性を満足させるためにテトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、酸化アンチモン、テトラフェニルフォスフィン、有機リン化合物、酸化亜鉛等の、一般に難燃剤又は難燃助剤と称される化合物を添加してもよい。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合、エポキシ樹脂硬化剤を使用してもよい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、アミン化合物、酸無水物、3フッ化ホウ素モノエチルアミン、イソシアネート、ジシアンジアミド、ユリア樹脂等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂、ハイオルソ型ノボラックフェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール変性フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、一部修飾されたアミノトリアジンノボラック樹脂が好ましい。
アミン化合物としては、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族アミン;メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミンなどが挙げられる。
酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂硬化剤の配合量は、特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂のエポキシ当量1に対して、硬化剤の反応基当量比が0.3〜1.5当量となる量が好ましい。エポキシ樹脂硬化剤の配合量が前記範囲内であると、硬化度の制御が容易であり、生産性が良好になる。
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、硬化促進剤を含有していてもよい。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。イミダゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−エチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等が挙げられる。イミダゾール化合物は、イミダゾールの2級アミノ基をアクリロニトリル、イソシアネート、メラミン、アクリレート等でマスク化して潜在性を持たしたイミダゾール化合物であってもよい。
また、光分解によりラジカル、アニオン又はカチオンを生成し硬化開始する光開始剤を使用してもよい。
硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化促進剤の配合量は、特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。0.01質量部以上であると、十分な硬化促進効果が得られ、20質量部以下であると、熱硬化性樹脂組成物の保存性及び硬化物の物性に優れ、経済性にも優れる。
熱硬化性樹脂組成物は、さらに、不透過性及び耐摩耗性の向上並びに増量のために、充填材を含有していてもよい。
充填材としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、ジルコニア、ムライト、マグネシア等の酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素等の窒化系セラミックス;タルク、モンモリロナイト、サポナイト等の天然鉱物;金属粒子、カーボン粒子などが挙げられる。
充填材は樹脂と比較して比重が小さい物から大きい物まで幅広いため、充填材の添加量は質量部ではなく体積率で考えることが好ましい。
充填材の配合量は添加目的により大きく異なるが、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分体積中、0.1〜65体積%が好ましい。0.1体積%以上であると、着色及び不透化目的で添加する場合に十分効果を発揮する。また、65体積%以下であると、粘度の増加を抑制し、作業性及び接着性を悪化させることなく増量することができる。
ここで、本明細書における不揮発分とは、水分、後述する有機溶剤等の揮発する物質以外の組成物中の成分のことをいう。該不揮発分は、25℃付近の室温で液状、水飴状及びワックス状のものも含み、必ずしも固体である必要性はない。
上記成分以外でも、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲で他の化合物を混合することも可能である。例えば、樹脂硬化物に樹脂のタック性を付与し、接着時の密着性を良くするために、可とう性材料を添加してもよい。
可とう性材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリルニトリルゴム、ポリビニルアルコール;前記ポリマーのエポキシ又はカルボキシ基等による変性物;エポキシ樹脂を予め反応させ大分子化したフェノキシ樹脂;などが挙げられる。可とう性材料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可とう性材料の配合量は、特に制限されるものではないが、熱硬化樹脂組成物の不揮発分に対して、3〜200質量部が好ましい。3質量部以上であると、可とう性を十分に付与することができ、200質量部以下であると、硬化物の弾性率を良好に保つことができる。ただし、弾性率の低下が目的の仕様に影響を与えない場合は、前記範囲に限らず、目的に応じて適宜上限値を決定すればよい。
熱硬化性樹脂組成物は、不揮発分の均一化を図るため、有機溶剤を含有した、いわゆるワニスの形態とすることが好ましい。本明細書では、有機溶剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を樹脂ワニスと称することがある。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また特性上問題がなければ、上記材料を粉末状にして混合する粉体混合を行ってもよく、鹸濁化等により水溶液化してもよい。また、熱硬化性樹脂の硬化が著しく進行しない温度かつ熱硬化性樹脂が液状化する温度下において直接撹拌し混合することによって、不揮発分の均一化を図ってもよい。
充填材の分散性の向上、及び、骨材又は対象物への密着性向上を図るためにカップリング剤を添加してもよい。カップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するシランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;チタネート系カップリング剤などが挙げられる。これらのカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤の添加量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.01〜5質量部が好ましい。0.01質量部以上であると、骨材の表面及び充填材の表面を十分に被覆することができ、5質量部以下であると、余剰のカップリング剤の発生を抑制できる。
次に、上記配合で得られた熱硬化性樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し、不要な有機溶剤を除去し、熱硬化させて、熱硬化性樹脂のフィルムを得ることができる。なお、ここでの熱硬化は、熱硬化性樹脂組成物をいわゆる半硬化(Bステージ化)状態とすることを目的とするものであり、ラミネートの作業性が良い粘度になるように、熱硬化性樹脂組成物を半硬化させることが好ましい。
キャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレン、ポリビニルフルオレート、ポリイミド等の有機フィルム;銅、アルミニウム、これら金属の合金のフィルム;これらの有機フィルム又は金属フィルムの表面に離型剤で離型処理を行ったフィルムなどが挙げられる。
また、熱硬化性樹脂組成物を塗布した後、半硬化させた面に、キャリアフィルムを積層し、熱硬化性樹脂組成物を挟んで巻き取ると作業性がよい。
熱硬化性樹脂のフィルムと骨材をラミネートする際、使用する熱硬化性樹脂のフィルムの厚みは任意であり、骨材の厚みより薄い熱硬化性樹脂のフィルムを用いる場合は、熱硬化性樹脂のフィルムを骨材にラミネートしたものに対して、再度、熱硬化性樹脂のフィルムのラミネートを行ってもよい。
また熱硬化性樹脂のフィルムを複数枚使用する場合、熱硬化性樹脂のフィルムの熱硬化度、配合組成等が異なるものを組み合わせて使用してもよい。
骨材に熱硬化性樹脂のフィルムをラミネートしたFRP前駆体を得る際、これを任意のサイズに切断し所定の物と接着、熱硬化を行ってもよい。また、ロールツーロール(Roll-to-Roll)で使用してもよい。
次に、下記の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
[FRP前駆体の製造]
(実施例1)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(N−660;DIC株式会社製)100質量部、クレゾールノボラック樹脂(KA−1165;DIC株式会社製)60質量部に、シクロヘキサン15質量部及びメチルエチルケトン130質量部を加え、良く撹拌して溶解した。そこに、充填材として水酸化アルミニウム(CL−303;住友化学株式会社製)180質量部、カップリング剤(A−187;モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ社製)1質量部、及び硬化促進剤としてイソシアネートマスクイミダゾール(G8009L;第一工業製薬株式会社製)2.5質量部を加え、撹拌して溶解及び分散を行い、不揮発分70質量%の樹脂ワニスAを得た。
この樹脂ワニスAを、580mm幅のPETフィルム(G−2;帝人デュポンフィルム株式会社製)に、塗布幅525mm、乾燥後の厚みが20μmになるように塗布して樹脂フィルムAを作製した。
作製した樹脂フィルムAの最低溶融粘度温度を、レオメータ(AR−200ex;ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製、φ20mm冶具)を用いて昇温速度3℃/分の条件で測定したところ、128℃であった。
次に、図1に示すFRP前駆体の製造装置1を用い、樹脂フィルムとして上記で作製した樹脂フィルムAを用いて、以下のようにしてFRP前駆体を製造した。なお、骨材40としては、ガラス織布(坪量48g/m、IPC#1080、基材幅530mm:日東紡績株式会社製)を用いた。該ガラス織布には次の方法で振動を付与した。具体的には、超音波発振器(DGS35kHz;ユーシー・ジャパン株式会社製)に接続したコンバーター(C35−SD8;ユーシー・ジャパン株式会社製)をさらにガラス織布に接している金属プレートに接続した超音波振動発生装置を用い、30kHzの超音波振動をガラス織布へ付与した。
2枚の樹脂フィルムAを、図2が示す角度aが30度のフィルム加熱開始位置8aで加熱圧縮ロールに接触させて熱硬化性樹脂組成物を溶融させた。熱硬化性樹脂組成物が溶融した樹脂フィルムA2枚を用いて、振動しているガラス織布に両面から(つまり1枚は表面からで、別の1枚は裏面から)当て、そのまま1対の加熱加圧ロールで挟み込むことにより、骨材に熱硬化性樹脂組成物を加圧含浸させたシートを得た。その後、得られたシートを冷却ロールで冷却し、巻取りを行い、FRP前駆体Aを作製した。
なお、前記加熱加圧ロールの条件は、ロール温度100℃、線圧0.2MPa、速度2.0m/分とした。
得られたFRP前駆体Aを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1における樹脂フィルムAの作製において、前記樹脂ワニスAを、乾燥後の厚みが50μmになるように塗布したこと以外は同様に操作を行って、樹脂フィルムBを作製した。実施例1と同様の条件で測定した樹脂フィルムBの最低溶融粘度温度は122℃であった。
そして実施例1において、樹脂フィルムAの代わりに樹脂フィルムBを用いたこと以外は実施例1と同様にして操作を行い、FRP前駆体Bを作製した。
得られたFRP前駆体Bを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1における樹脂フィルムAの作製において、前記樹脂ワニスAを、乾燥後の厚みが80μmになるように塗布したこと以外は同様に操作を行って、樹脂フィルムCを作製した。実施例1と同様の条件で測定した樹脂フィルムCの最低溶融粘度温度は117℃であった。
そして実施例1において、樹脂フィルムAの代わりに樹脂フィルムBを用い、かつ、骨材をガラス織布(坪量209g/m、IPC#7628、基材幅530mm:日東紡績株式会社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして操作を行い、FRP前駆体Cを作製した。
得られたFRP前駆体Cを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1における樹脂フィルムAの作製において、前記樹脂ワニスAを、乾燥後の厚みが40μmになるように塗布したこと以外は同様に操作を行って、樹脂フィルムDを作製した。実施例1と同様の条件で測定した樹脂フィルムDの最低溶融粘度温度は108℃であった。
次に、実施例1において、(i)角度aを35度に変更し、(ii)骨材をアラミドペーパ(ノーメックス411、厚み0.18mm、坪量175g/m、デュポン帝人アドバンスドペーパー株式会社製)に変更し、(iii)超音波振動を38kHzに変更し、さらに(iv)加熱加圧ロールの条件をロール温度80℃、線圧0.2MPa、速度2.0m/分に変更したこと以外は同様に操作を行うことによって、FRP前駆体Dを作製した。
得られたFRP前駆体Dを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、骨材の振動を行わなかったこと以外は同様にして操作を行い、FRP前駆体Eを作製した。
得られたFRP前駆体Eを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様にして樹脂ワニスAを作製し、該樹脂ワニスAを塗工機によってガラス織布(坪量48g/m、IPC#1080、基材幅530mm:日東紡績株式会社製)に塗布した後、乾燥させて、溶剤除去及び熱硬化させ、FRP前駆体Fを作製した。塗布量の調整はスクイズロール法で行い、ガラス織布へ付着させる樹脂量は、実施例2相当量を目標とした。なお、塗布の際、ガラス織布は振動させなかった。
得られたFRP前駆体Fを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例3において、骨材の振動は行わなかったこと、及び加熱加圧ロールの条件をロール温度150℃、線圧0.3MPa、速度1.2m/分に変更したこと以外は同様に操作を行い、FRP前駆体Gを作製した。
得られたFRP前駆体Gを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
[評価方法]
(1)厚みのばらつき
各例で作製したFRP前駆体の幅方向の中心から50mm単位で幅方向に計11点、該11点を各々起点として長さ方向に50mm単位で10点(すなわち、11点×10点=110点)の厚みを、アップライトゲージを用いて0.001mm単位で測定し、その最大値と最小値との間の差を求め、厚みのばらつきの指標とした。前記差が小さいほど、厚みのばらつきが小さくて好ましく、±5.0μm以下が目標値である。
(2)端部からの樹脂の染み出し
各例で作製したFRP前駆体を用いて、骨材の端部からの樹脂染み出し量を、IPC−TM−650 No.2.3.17.1の試験方法により測定した。骨材の端部からの樹脂の染み出し量が少ないほど好ましく、2.0mm以下が目標値である。
(3)骨材の空隙への充填性
各例で作製したFRP前駆体を液体窒素で冷却後、切断し、室温(25℃)に戻した後、光学顕微鏡により破断面を観察し、下記基準に従って評価した。
A:未充填部分の存在が確認されなかった。
C:未充填部分の存在が確認された。
表1から、本発明の製造方法により得られたFRP前駆体は、骨材の空隙への樹脂充填性に優れ、骨材の端部からの樹脂染み出し防止が達成できており、かつ厚みのばらつきが小さいことがわかる。
1 FRP前駆体の製造装置
2 骨材送出装置
3 樹脂フィルム送出装置
4 保護フィルム剥がし機構
5 保護フィルム巻取装置
6 フリーロール
7 フリーロール
8 フィルム加熱加圧装置(フィルム圧接手段)
8a フィルム加熱開始位置
8b フィルム加圧位置
8c 加熱加圧ロールの中心
9 シート加圧冷却装置
10 FRP前駆体巻取装置
20 振動発生装置(骨材振動手段)
40 骨材
40a 骨材の表面(骨材の一方の表面、骨材両表面の一方)
40b 骨材の表面(骨材の一方の表面、骨材両表面の一方)
50 保護フィルム付き樹脂フィルム
52 保護フィルム
54 樹脂フィルム(フィルム)
54a 骨材側フィルム表面
54’ 熱硬化性樹脂
60 FRP前駆体

Claims (7)

  1. シート状の骨材の一方の表面、又は両方の表面に熱硬化性樹脂のフィルムを溶融貼付してFRP前駆体を製造するFRP前駆体の製造方法であって、
    前記骨材を振動させる工程と、
    常圧下において、前記フィルムの熱硬化性樹脂を、振動する骨材の表面に溶融した状態で圧接させてFRP前駆体を得るフィルム圧接工程と、を含む、FRP前駆体の製造方法。
  2. 前記振動する骨材が、振動発生装置によって振動する骨材である、請求項1に記載のFRP前駆体の製造方法。
  3. 振動発生装置が超音波振動発生装置である、請求項1又は2に記載のFRP前駆体の製造方法。
  4. 前記フィルムの熱硬化性樹脂は、フィルム加熱加圧装置に接するフィルム加熱開始位置から溶融が始まる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  5. 前記フィルム加熱開始位置が、フィルム加熱加圧ロールの中心からフィルム加圧位置に至る直線に対して30度以上振動発生装置側に開いた直線が接するフィルム加熱加圧ロール表面である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  6. 前記フィルム圧接工程を、前記熱硬化性樹脂のフィルムの最低溶融粘度温度のマイナス40℃からプラス20℃の範囲で行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法に用いられるFRP前駆体の製造装置であって、
    前記骨材を振動する手段と、
    常圧下において、前記フィルムの熱硬化性樹脂を、振動する骨材の表面に溶融した状態で圧接させてFRP前駆体を得るフィルム圧接手段と、を含む、FRP前駆体の製造装置。
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