JP2020015259A - Frp前駆体の製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの性能を生かして、FRPは幅広い分野で使用されている。例えば、FRPは、造型性及び高い強度を有することから、住宅機器、船舶、車両、航空機等の構造材として使用されている。また、絶縁性を生かして、電気装置、プリント配線板等の電子部品分野でも使用されている。
そのため、プリント配線板用のFRPの多くが、ハンドレイアップ(Hand Lay-up;HLU)法で製造されている。ハンドレイアップ法は、塗工機を用いて、骨材に樹脂ワニスを塗布し、乾燥させて溶剤除去及び熱硬化を行う製造方法である(特許文献1参照)。ハンドレイアップ法は、予め、骨材に熱硬化性樹脂を塗布しておくと、作業性が向上し、また、周辺の環境にかかる負荷を低減させることができる。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[7]に関する。
前記骨材を振動させる工程と、
常圧下において、前記フィルムの熱硬化性樹脂を、振動する骨材の表面に溶融した状態で圧接させてFRP前駆体を得るフィルム圧接工程と、を含む、FRP前駆体の製造方法。
[2]前記振動する骨材が、振動発生装置によって振動する骨材である、上記[1]に記載のFRP前駆体の製造方法。
[3]振動発生装置が超音波振動発生装置である、上記[1]又は[2]に記載のFRP前駆体の製造方法。
[4]前記フィルムの熱硬化性樹脂は、フィルム加熱加圧装置に接するフィルム加熱開始位置から溶融が始まる、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[5]前記フィルム加熱開始位置が、フィルム加熱加圧ロールの中心からフィルム加圧位置に至る直線に対して30度以上振動発生装置側に開いた直線が接するフィルム加熱加圧ロール表面である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[6]前記フィルム圧接工程を、前記熱硬化性樹脂のフィルムの最低溶融粘度温度のマイナス40℃からプラス20℃の範囲で行う、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のFRP前駆体の製造方法に用いられるFRP前駆体の製造装置であって、
前記骨材を振動する手段と、
常圧下において、前記フィルムの熱硬化性樹脂を、振動する骨材の表面に溶融した状態で圧接させてFRP前駆体を得るフィルム圧接手段と、を含む、FRP前駆体の製造装置。
FRP前駆体の製造装置1は、常圧下におかれる。本発明に係るFRP前駆体の製造方法は、FRP前駆体の製造装置1で行うことができる。
フリーロール6とフリーロール7を備えることにより、振動発生装置20によって骨材40へ与えられる振動がフリーロール6とフリーロール7とによって骨材送出装置2の方へ伝わることを抑制し易い。また、フリーロール6とフリーロール7を備えることにより、振動発生装置20によって骨材40へ与えられた振動が減衰するのを抑制する効果もあり、溶融した熱硬化性樹脂54’の骨材40の空隙への充填性を良好なものにし易い傾向にある。
振動発生装置20によって骨材40へ付与される振動は、例えば超音波振動発生装置を使用する場合、好ましくは25〜45kHz、より好ましくは34〜38kHzである。45kHz以下とすることによって、FRP前駆体の端部から熱硬化性樹脂が染み出し易くなることを抑制し、その結果、厚みのばらつきが大きくなるのを避けられる傾向にあり、25kHz以上とすることによって、骨材の空隙への熱硬化性樹脂の充填性を良好なものとし易い傾向にある。
一方の樹脂フィルム送出装置3は、送り出された骨材40の表面40a側に位置し、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50をロールの下側から一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出す装置である。
同様に、他方の樹脂フィルム送出装置3は、送り出された骨材40の裏面40b側に位置し、保護フィルム52が、送り出された骨材40側になるように、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50をロールの上側から他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて送り出す装置である。
一方の保護フィルム剥がし機構4は、一方の樹脂フィルム送出装置3から送り出され、一方の保護フィルム剥がし機構4に向けて進む保護フィルム付き樹脂フィルム50を、回転する転向ロールの表面で受け、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50のうち一方の樹脂フィルム54をフィルム加熱加圧装置8に向けて進ませると共に、一方の保護フィルム52を一方の保護フィルム巻取装置5に向けて進ませることにより、一方の保護フィルム付き樹脂フィルム50から一方の保護フィルム52を剥がす機構である。これにより、一方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが露出する。
同様に他方の保護フィルム剥がし機構4は、他方の樹脂フィルム送出装置3から送り出され、他方の保護フィルム剥がし機構4に向けて進む他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50を、回転する転向ロールの表面で受け、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50のうち他方の樹脂フィルム54をフィルム加熱加圧装置8に向けて進ませると共に、他方の保護フィルム52を他方の保護フィルム巻取装置5に向けて進ませることにより、他方の保護フィルム付き樹脂フィルム50から他方の保護フィルム52を剥がす機構である。これにより、他方の樹脂フィルム54の骨材側フィルム表面54aが露出する。
フィルム加熱加圧装置8は、入り込んだ骨材40に樹脂フィルム54及び54を回転する一対の加熱加圧ロールで圧接させてシート状のFRP前駆体60を形成する(フィルム圧接工程)と共に、FRP前駆体60をシート加圧冷却装置9に向けて送り出す。具体的には、骨材送出装置2から送り出された骨材40の表面40a及び裏面40bに、それぞれ、一対の保護フィルム剥がし機構4及び4から送り出された樹脂フィルム54及び54が積層するように、骨材送出装置2から送り出された骨材40と、一対の保護フィルム剥がし機構4、4からそれぞれ送り出された樹脂フィルム54及び54とが、一対のフィルム加熱加圧装置8のフィルム加熱開始位置8a及び8a(図2参照)で加熱加圧ロールに接した状態で一対の加熱圧縮ロールの間に入り込む。
なお、樹脂フィルム54及び54は、一対のフィルム加熱加圧装置8のフィルム加熱開始位置8a及び8aにて加熱加圧ロールに接するため、ここで、樹脂フィルム54及び54の熱硬化性樹脂54’及び54’が加熱加圧装置8の熱によって溶融する。それにより、樹脂フィルム54が、一対の加熱加圧ロールの間に入り込んで骨材40と接した際に、前記熱硬化性樹脂54’は溶融しているため、骨材40の振動によって熱硬化性樹脂54’は流動し、骨材の表面40a側から速やかに毛細管現象により骨材40に含浸される。また、他方の樹脂フィルム54が、一対の加熱圧縮ロールの間に入り込んで骨材40と接した際に、前記熱硬化性樹脂54’は溶融しているため、骨材40の振動によって熱硬化性樹脂54’は流動し、骨材の裏面40b側から速やかに毛細管現象により骨材40に含浸され、FRP前駆体60が形成される。フィルム加熱加圧装置8から送り出されたFRP前駆体60は高温状態である。
FRP前駆体巻取装置10は、シート加圧冷却装置9から送り出されたシート状のFRP前駆体60を巻き取るロールと、ロールを回転させる駆動機構(図示せず)とを有する。
先ず、骨材送出装置2からシート状の骨材40を、フィルム加熱加圧装置8に向けて送り出す。このとき、骨材40の表面40a及び裏面40bは露出している。
次に、フリーロール7とフィルム加熱加圧装置8の間の位置で骨材40の表面40a又は裏面40bのいずれか一方から振動発生装置20で骨材40を振動させる(振動伝達工程)。
剥がされた一対の保護フィルム52及び52は、それぞれ、一対の保護フィルム巻取装置5及び5で巻き取られる。
なお、前記フィルム加熱開始位置8aは、図2中の加熱加圧装置8のフィルム加圧位置8bから加熱加圧ロールの中心8cまでの直腺に対して、加熱加圧ロールの中心から好ましくは角度aだけ振動発生装置20が設置される側に開いた位置である。該角度aは、好ましくは25度以上、より好ましくは28度以上、さらに好ましくは30度以上であり、一方、通常、45度以下となる。
よって、従来の製造方法(骨材40に振動を加えない方法)よりも充填性の向上が得られると共に、フィルム加熱加圧装置8の加熱圧縮ロールからの過剰な加熱による骨材40への充填に関与しない部分の樹脂粘度の低下を抑え、骨材40の空隙への樹脂充填性と端部からの樹脂染み出し防止を両立させ、FRP前駆体60の生産性を良くすることができる。
なお、従来の製造方法では、骨材40へ樹脂フィルム54を安定して接触させる観点から、骨材40及び樹脂フィルム54はなるべく振動させないことが一般常識であった。しかし、本発明では、骨材40へあえて振動を与えた状態にて骨材40と樹脂フィルム54とを接触させたところ、骨材40への熱硬化性樹脂の充填率が予想以上に高まり、かつ、FRP前駆体における厚みのばらつきも小さくなる傾向にあり、FRP前駆体の端部から熱硬化性樹脂が染み出すおそれも小さくなる傾向となることが分かった。
シート加圧冷却装置9から送り出されたFRP前駆体60を、FRP前駆体巻取装置10により、巻き取る。
難燃性が必要とされる場合は、ハロゲン化エポキシ樹脂を配合してもよい。また、ハロゲン化エポキシ樹脂を添加せずに難燃性を満足させるためにテトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、酸化アンチモン、テトラフェニルフォスフィン、有機リン化合物、酸化亜鉛等の、一般に難燃剤又は難燃助剤と称される化合物を添加してもよい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、アミン化合物、酸無水物、3フッ化ホウ素モノエチルアミン、イソシアネート、ジシアンジアミド、ユリア樹脂等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂、ハイオルソ型ノボラックフェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール変性フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂などが挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、一部修飾されたアミノトリアジンノボラック樹脂が好ましい。
アミン化合物としては、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族アミン;メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミンなどが挙げられる。
酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂硬化剤の配合量は、特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂のエポキシ当量1に対して、硬化剤の反応基当量比が0.3〜1.5当量となる量が好ましい。エポキシ樹脂硬化剤の配合量が前記範囲内であると、硬化度の制御が容易であり、生産性が良好になる。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。イミダゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−エチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾリン等が挙げられる。イミダゾール化合物は、イミダゾールの2級アミノ基をアクリロニトリル、イソシアネート、メラミン、アクリレート等でマスク化して潜在性を持たしたイミダゾール化合物であってもよい。
また、光分解によりラジカル、アニオン又はカチオンを生成し硬化開始する光開始剤を使用してもよい。
硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
充填材としては、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、ジルコニア、ムライト、マグネシア等の酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸化物;窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素等の窒化系セラミックス;タルク、モンモリロナイト、サポナイト等の天然鉱物;金属粒子、カーボン粒子などが挙げられる。
充填材の配合量は添加目的により大きく異なるが、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分体積中、0.1〜65体積%が好ましい。0.1体積%以上であると、着色及び不透化目的で添加する場合に十分効果を発揮する。また、65体積%以下であると、粘度の増加を抑制し、作業性及び接着性を悪化させることなく増量することができる。
ここで、本明細書における不揮発分とは、水分、後述する有機溶剤等の揮発する物質以外の組成物中の成分のことをいう。該不揮発分は、25℃付近の室温で液状、水飴状及びワックス状のものも含み、必ずしも固体である必要性はない。
可とう性材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、アクリル樹脂、アクリルニトリルゴム、ポリビニルアルコール;前記ポリマーのエポキシ又はカルボキシ基等による変性物;エポキシ樹脂を予め反応させ大分子化したフェノキシ樹脂;などが挙げられる。可とう性材料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可とう性材料の配合量は、特に制限されるものではないが、熱硬化樹脂組成物の不揮発分に対して、3〜200質量部が好ましい。3質量部以上であると、可とう性を十分に付与することができ、200質量部以下であると、硬化物の弾性率を良好に保つことができる。ただし、弾性率の低下が目的の仕様に影響を与えない場合は、前記範囲に限らず、目的に応じて適宜上限値を決定すればよい。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また特性上問題がなければ、上記材料を粉末状にして混合する粉体混合を行ってもよく、鹸濁化等により水溶液化してもよい。また、熱硬化性樹脂の硬化が著しく進行しない温度かつ熱硬化性樹脂が液状化する温度下において直接撹拌し混合することによって、不揮発分の均一化を図ってもよい。
カップリング剤の添加量は、熱硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.01〜5質量部が好ましい。0.01質量部以上であると、骨材の表面及び充填材の表面を十分に被覆することができ、5質量部以下であると、余剰のカップリング剤の発生を抑制できる。
キャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレン、ポリビニルフルオレート、ポリイミド等の有機フィルム;銅、アルミニウム、これら金属の合金のフィルム;これらの有機フィルム又は金属フィルムの表面に離型剤で離型処理を行ったフィルムなどが挙げられる。
また、熱硬化性樹脂組成物を塗布した後、半硬化させた面に、キャリアフィルムを積層し、熱硬化性樹脂組成物を挟んで巻き取ると作業性がよい。
また熱硬化性樹脂のフィルムを複数枚使用する場合、熱硬化性樹脂のフィルムの熱硬化度、配合組成等が異なるものを組み合わせて使用してもよい。
骨材に熱硬化性樹脂のフィルムをラミネートしたFRP前駆体を得る際、これを任意のサイズに切断し所定の物と接着、熱硬化を行ってもよい。また、ロールツーロール(Roll-to-Roll)で使用してもよい。
(実施例1)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(N−660;DIC株式会社製)100質量部、クレゾールノボラック樹脂(KA−1165;DIC株式会社製)60質量部に、シクロヘキサン15質量部及びメチルエチルケトン130質量部を加え、良く撹拌して溶解した。そこに、充填材として水酸化アルミニウム(CL−303;住友化学株式会社製)180質量部、カップリング剤(A−187;モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ社製)1質量部、及び硬化促進剤としてイソシアネートマスクイミダゾール(G8009L;第一工業製薬株式会社製)2.5質量部を加え、撹拌して溶解及び分散を行い、不揮発分70質量%の樹脂ワニスAを得た。
作製した樹脂フィルムAの最低溶融粘度温度を、レオメータ(AR−200ex;ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製、φ20mm冶具)を用いて昇温速度3℃/分の条件で測定したところ、128℃であった。
2枚の樹脂フィルムAを、図2が示す角度aが30度のフィルム加熱開始位置8aで加熱圧縮ロールに接触させて熱硬化性樹脂組成物を溶融させた。熱硬化性樹脂組成物が溶融した樹脂フィルムA2枚を用いて、振動しているガラス織布に両面から(つまり1枚は表面からで、別の1枚は裏面から)当て、そのまま1対の加熱加圧ロールで挟み込むことにより、骨材に熱硬化性樹脂組成物を加圧含浸させたシートを得た。その後、得られたシートを冷却ロールで冷却し、巻取りを行い、FRP前駆体Aを作製した。
なお、前記加熱加圧ロールの条件は、ロール温度100℃、線圧0.2MPa、速度2.0m/分とした。
得られたFRP前駆体Aを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1における樹脂フィルムAの作製において、前記樹脂ワニスAを、乾燥後の厚みが50μmになるように塗布したこと以外は同様に操作を行って、樹脂フィルムBを作製した。実施例1と同様の条件で測定した樹脂フィルムBの最低溶融粘度温度は122℃であった。
そして実施例1において、樹脂フィルムAの代わりに樹脂フィルムBを用いたこと以外は実施例1と同様にして操作を行い、FRP前駆体Bを作製した。
得られたFRP前駆体Bを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1における樹脂フィルムAの作製において、前記樹脂ワニスAを、乾燥後の厚みが80μmになるように塗布したこと以外は同様に操作を行って、樹脂フィルムCを作製した。実施例1と同様の条件で測定した樹脂フィルムCの最低溶融粘度温度は117℃であった。
そして実施例1において、樹脂フィルムAの代わりに樹脂フィルムBを用い、かつ、骨材をガラス織布(坪量209g/m2、IPC#7628、基材幅530mm:日東紡績株式会社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして操作を行い、FRP前駆体Cを作製した。
得られたFRP前駆体Cを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1における樹脂フィルムAの作製において、前記樹脂ワニスAを、乾燥後の厚みが40μmになるように塗布したこと以外は同様に操作を行って、樹脂フィルムDを作製した。実施例1と同様の条件で測定した樹脂フィルムDの最低溶融粘度温度は108℃であった。
次に、実施例1において、(i)角度aを35度に変更し、(ii)骨材をアラミドペーパ(ノーメックス411、厚み0.18mm、坪量175g/m2、デュポン帝人アドバンスドペーパー株式会社製)に変更し、(iii)超音波振動を38kHzに変更し、さらに(iv)加熱加圧ロールの条件をロール温度80℃、線圧0.2MPa、速度2.0m/分に変更したこと以外は同様に操作を行うことによって、FRP前駆体Dを作製した。
得られたFRP前駆体Dを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、骨材の振動を行わなかったこと以外は同様にして操作を行い、FRP前駆体Eを作製した。
得られたFRP前駆体Eを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして樹脂ワニスAを作製し、該樹脂ワニスAを塗工機によってガラス織布(坪量48g/m2、IPC#1080、基材幅530mm:日東紡績株式会社製)に塗布した後、乾燥させて、溶剤除去及び熱硬化させ、FRP前駆体Fを作製した。塗布量の調整はスクイズロール法で行い、ガラス織布へ付着させる樹脂量は、実施例2相当量を目標とした。なお、塗布の際、ガラス織布は振動させなかった。
得られたFRP前駆体Fを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3において、骨材の振動は行わなかったこと、及び加熱加圧ロールの条件をロール温度150℃、線圧0.3MPa、速度1.2m/分に変更したこと以外は同様に操作を行い、FRP前駆体Gを作製した。
得られたFRP前駆体Gを用いて、後述の方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
(1)厚みのばらつき
各例で作製したFRP前駆体の幅方向の中心から50mm単位で幅方向に計11点、該11点を各々起点として長さ方向に50mm単位で10点(すなわち、11点×10点=110点)の厚みを、アップライトゲージを用いて0.001mm単位で測定し、その最大値と最小値との間の差を求め、厚みのばらつきの指標とした。前記差が小さいほど、厚みのばらつきが小さくて好ましく、±5.0μm以下が目標値である。
各例で作製したFRP前駆体を用いて、骨材の端部からの樹脂染み出し量を、IPC−TM−650 No.2.3.17.1の試験方法により測定した。骨材の端部からの樹脂の染み出し量が少ないほど好ましく、2.0mm以下が目標値である。
各例で作製したFRP前駆体を液体窒素で冷却後、切断し、室温(25℃)に戻した後、光学顕微鏡により破断面を観察し、下記基準に従って評価した。
A:未充填部分の存在が確認されなかった。
C:未充填部分の存在が確認された。
2 骨材送出装置
3 樹脂フィルム送出装置
4 保護フィルム剥がし機構
5 保護フィルム巻取装置
6 フリーロール
7 フリーロール
8 フィルム加熱加圧装置(フィルム圧接手段)
8a フィルム加熱開始位置
8b フィルム加圧位置
8c 加熱加圧ロールの中心
9 シート加圧冷却装置
10 FRP前駆体巻取装置
20 振動発生装置(骨材振動手段)
40 骨材
40a 骨材の表面(骨材の一方の表面、骨材両表面の一方)
40b 骨材の表面(骨材の一方の表面、骨材両表面の一方)
50 保護フィルム付き樹脂フィルム
52 保護フィルム
54 樹脂フィルム(フィルム)
54a 骨材側フィルム表面
54’ 熱硬化性樹脂
60 FRP前駆体
Claims (7)
- シート状の骨材の一方の表面、又は両方の表面に熱硬化性樹脂のフィルムを溶融貼付してFRP前駆体を製造するFRP前駆体の製造方法であって、
前記骨材を振動させる工程と、
常圧下において、前記フィルムの熱硬化性樹脂を、振動する骨材の表面に溶融した状態で圧接させてFRP前駆体を得るフィルム圧接工程と、を含む、FRP前駆体の製造方法。 - 前記振動する骨材が、振動発生装置によって振動する骨材である、請求項1に記載のFRP前駆体の製造方法。
- 振動発生装置が超音波振動発生装置である、請求項1又は2に記載のFRP前駆体の製造方法。
- 前記フィルムの熱硬化性樹脂は、フィルム加熱加圧装置に接するフィルム加熱開始位置から溶融が始まる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
- 前記フィルム加熱開始位置が、フィルム加熱加圧ロールの中心からフィルム加圧位置に至る直線に対して30度以上振動発生装置側に開いた直線が接するフィルム加熱加圧ロール表面である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
- 前記フィルム圧接工程を、前記熱硬化性樹脂のフィルムの最低溶融粘度温度のマイナス40℃からプラス20℃の範囲で行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のFRP前駆体の製造方法に用いられるFRP前駆体の製造装置であって、
前記骨材を振動する手段と、
常圧下において、前記フィルムの熱硬化性樹脂を、振動する骨材の表面に溶融した状態で圧接させてFRP前駆体を得るフィルム圧接手段と、を含む、FRP前駆体の製造装置。
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