JP2020015083A - 薄スラブ連続鋳造の流動制御装置及び薄スラブの連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
(1)ファンネル部を有し、厚みが150mm以下の薄スラブを連続鋳造するための鋳型と、鋳型内の溶鋼に旋回流を形成する電磁攪拌装置と、電磁攪拌装置より下方に配置して鋳型内に直流磁場を印加するための直流磁場発生装置を備え、
前記直流磁場発生装置と前記電磁撹拌装置は前記鋳型に搭載されず、鋳造中も固定置きであることを特徴とする薄スラブ連続鋳造の鋳型内流動制御装置。
(2)上記(1)に記載の鋳型内流動制御装置を用いる連続鋳造方法であって、
前記電磁攪拌装置は、形成する旋回流の向きを一方方向とその逆方向に切り替えるように電流の方向を切り替えることができ、一方方向と逆方向の電流の駆動時間tonが5秒以下となる振動攪拌を形成することを特徴とする薄スラブの連続鋳造方法。
(3)前記電磁撹拌装置を用いて、前記振動攪拌を行うに際し、凝固シェル前面の流速の絶対値が0.3m/s内で周期的に変化する振動撹拌を付与することを特徴とする上記(2)に記載の薄スラブの連続鋳造方法。
(4)振動攪拌での停止時間toffが下記(1)式を満足することを特徴とする上記(2)または(3)に記載の薄スラブの連続鋳造方法。
0.01秒≦toff≦0.5秒 (1)
DCu≦√(2/σCuωμ) (3)−a
√(1/2σωμ)≦T (3)−b
そこで、上記(3)−a式、(3)−b式を満たすように、鋳型内の電磁攪拌条件を設定することとした。鋳型銅板材質はES40A、鋳型銅板厚みDCuは25mmとし、電磁攪拌装置に通電する交流磁場の周波数fを12Hzとした条件で通電し、鋳造した。溶鋼の電気伝導度σ=6.5×105S/m、銅板電気伝導度σCu=1.9×107S/m、真空の透磁率μ=4π×10-7N/A2である。
各撹拌条件において、停止時間toffを0.1秒で固定し、駆動時間tonを0.5秒ごとに増やして鋳造を行った。凝固シェル前面流速については、鋳造した鋳片の幅中央部の凝固組織を調査し鋳片表面から内部に向けて成長しているデンドライトの傾き角、すなわち、長辺表面の垂線に対する角度を測定するとともに、その傾き方向について調査した。デンドライトの傾き角と傾き方向から、非特許文献2に基づき、当該部位における溶鋼の流速と流れ方向の評価を行い、凝固シェル前面流速とした。図5は、横軸をton+toffとし、縦軸を上記評価した凝固シェル前面流速として、鋳型内溶鋼の攪拌流速の評価を行った結果を示したものである。
図6は振動撹拌の条件(凝固シェル前面流速)と鋳片品質との関係を示したもので、(A)は縦軸が割れ指数、(B)は縦軸が介在物個数指数、いずれも横軸は図5の縦軸に示した凝固シェル前面流速である。なお、振動攪拌条件は上記図5の場合と同じであり、横軸を凝固シェル前面流速とし、各指数との関係をプロットした。
さらに、撹拌1の条件において、駆動時間tonを2秒で固定し、停止時間toffについて0.1秒から1秒まで変化させた試験での割れ指数と介在物個数指数の結果を図7に示す。各試験条件での鋳片のオシレーションマークの形状についても観察した。
加えて、toff時間との関係については、図7(B)に示すように、toffが短いほど介在物個数指数が少なく、toffが0.5秒以下であることが好ましい。toffは短いほど好ましいことは明らかであるが、撹拌方向を切り替えるにあたり、通電を一旦停止する時間が必要となる。電磁撹拌装置において使用される周波数は一般的に商用周波数以下であることから、toffを0.01秒以上とした。
表面割れについては、鋳造後の鋳片表面を観察し、割れ個数×割れ長さの総和を求め、鋳片表面の単位面積あたりの個数密度を求めた。次いで、電磁攪拌装置の電磁力を印加しない条件(電磁力off、比較例)での割れの個数密度で規格化し、「割れ指数(−)」とした。
鋳片表層下の介在物については、鋳片表面から2mmまでを対象に、0.5mmごと段削りを行い、1200幅×400mm長さの範囲に観察される目視介在物個数を求め、2mmまでの値の総和をとるとともに鋳片表面の単位面積当たりの個数密度を求めた。次いで、電磁力を印加しない条件(電磁力off、比較例)での介在物の個数密度で規格化し、「介在物個数指数(−)」とした。鋳片のデンドライトの傾き角と傾き方向から、非特許文献2に基づき、当該部位における溶鋼の流速と流れ方向の評価を行った。結果を表1に示す。
本発明ベースは、攪拌条件を「連続」とし、電磁力をかけ続け、攪拌流を一方向に形成した条件である。本発明ベースでは、比較例よりも割れ指数、介在物個数指数ともに低減した。しかしながら、割れがあることは防止することはできなかった。次に振動撹拌の条件について、詳細に調査した。
本発明1、2は撹拌2の条件において、toff時間を0.1秒とし、ton時間を振った条件であるが、ともに割れに関しては本発明ベースよりも良好な結果が得られたが、本発明1では介在物個数指数が若干高くなった。凝固シェル前面の攪拌流速がやや遅いことが影響したと考えられる。特に本発明2の条件においては、割れがみられず、介在物個数指数が最も少ない結果をえることができた。
本発明3、本発明4は撹拌1の条件でtoff時間を0.1秒とし、ton時間を振って調査した結果である。ともに割れに関しては本発明ベースよりも良好な結果が得られ、介在物個数指数に関しては本発明ベースと同等の結果であった。
本発明5は撹拌1の条件でtoff時間を0.5秒とし、ton時間を1.9秒とし調査した結果である。割れに関して本発明ベースよりも良好な結果が得られた。また、本発明4と比較するとton時間はほぼ同じでtoff時間のみ異なるが、両者はほぼ同じ結果がえられ、この範囲のtoff時間の影響は小さいことがあわせて確認することができた。本発明2〜5は、凝固シェル前面の攪拌流速が0.14〜0.17m/秒で、本発明において好ましい流速である0.10〜0.25m/秒の範囲にあるため、割れ指数も介在物個数指数も特に良好な結果が得られた。
本発明6は撹拌3の条件でtoff時間を0.1秒とし、ton時間を2.3秒とし調査した結果である。割れに関しては本発明ベースよりも良好な結果が得られたが、凝固シェル前面流速が0.1m/秒未満とやや遅いため、介在物個数指数は若干劣る結果となった。
本発明7,8は撹拌1の条件でton時間を2秒とし、toff時間を振って調査した結果である。ともに、割れに関しては本発明ベースよりも良好な結果が得られたが、本発明2〜5と比較すると割れ指数、介在物個数指数ともに劣る結果となった。
以上のべたように、鋳片周方向にわたって一様に振動撹拌流を付与することができ、表面品位が良好な鋳片の製造が可能となった。
2 浸漬ノズル
3 電磁攪拌装置
4 電磁ブレーキ
5 鋳造空間
6 ファンネル部
7 旋回流
Claims (4)
- ファンネル部を有し、厚みが150mm以下の薄スラブを連続鋳造するための鋳型と、鋳型内の溶鋼に旋回流を形成する電磁攪拌装置と、電磁攪拌装置より下方に配置して鋳型内に直流磁場を印加するための直流磁場発生装置を備え、
前記直流磁場発生装置と前記電磁撹拌装置は前記鋳型に搭載されず、鋳造中も固定置きであることを特徴とする薄スラブ連続鋳造の鋳型内流動制御装置。 - 請求項1に記載の鋳型内流動制御装置を用いる連続鋳造方法であって、
前記電磁攪拌装置は、形成する旋回流の向きを一方方向とその逆方向に切り替えるように電流の方向を切り替えることができ、一方方向と逆方向の電流の駆動時間tonが5秒以下となる振動攪拌を形成することを特徴とする薄スラブの連続鋳造方法。 - 前記電磁撹拌装置を用いて、前記振動攪拌を行うに際し、凝固シェル前面の流速の絶対値が0.3m/s内で周期的に変化する振動撹拌を付与することを特徴とする請求項2に記載の薄スラブの連続鋳造方法。
- 前記電磁撹拌装置を用いて、前記振動攪拌を行うに際し、振動攪拌の停止時間toffが下記(1)式を満足することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の薄スラブの連続鋳造方法。
0.01秒≦toff≦0.5秒 (1)
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