JP2020013298A - 分散設備保守管理装置、分散設備保守管理方法及びプログラム - Google Patents

分散設備保守管理装置、分散設備保守管理方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】保守者が分散配置された複数ビル内の通信設備の保守を同時期に複数ビルで行う際に、保守拠点から各ビルまでの移動時間を短縮して保守効率を向上させる。【解決手段】分散設備保守管理装置20は、通信設備が稼働してから故障する迄の保守猶予時間に対して、現用設備の故障数が予備設備の数である予備数を上回る際のビル内全通信設備の不稼働率を求め、不稼働率をパラメータとする保守猶予時間と予備数との関係から、保守猶予時間の要求値に対応する予備数を決定する予備猶予決定部21と、保守エリア内において故障が発生した複数のビルを、当該複数のビルを巡回する距離又は巡回する時間が短くなるように保守巡回する保守巡回順序を決定する保守順序決定部24とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、広範囲に分散配置された複数のビル(建物)内の通信設備が複数ビルで故障した際に、保守者が保守拠点から出向いて故障を修理する保守を効率的に行えるように指示する分散設備保守管理装置、分散設備保守管理方法及びプログラムに関する。
広域の地理的に分散配置された複数のビル(建物)内の通信設備(又は通信装置)は、継続して稼働できる高い可用性が求められている。この可用性を確保するため、稼働中の通信設備(現用設備)と共用可能な予備の通信設備(予備設備)を同じビル内に備えている。
しかし、現用設備に対して予備設備が二重化されている状態で、現用設備が故障した際に予備設備で稼働を行った場合、予備設備が無くなるので次の故障が代替え補償できない。このため、現用設備が故障する都度、保守者が保守拠点から出向いて修理を行っている。また、前記の1+1冗長ではなく、n+m冗長とする方法もあるが、この方法でも残りの予備設備でいつまで稼働が保証されるかは明確ではない。このため、同様に、故障する都度、保守者が出向いて修理を行う必要がある。この種の通信設備のプロテクションや保守に係る技術として非特許文献1〜4の技術がある。
ITU-T G.873.1 "Optical transport network: Linear protection.",[online],2017,[平成30年5月23日検索],インターネット〈URL: https://www.itu.int/rec/T-REC-G.873.1-201710-I/en〉 Y. Uematsu,et.al.,"Future nationwide optical network architecture for higher availability and operability using transport SDN technologies," IEICE Transactions on Communications, vol. E101-B, no. 2, 2018. T. Nishitani,et.al., "Protection systems for optical access networks," IEEE/OSA Journal of Lightwave Technologies, vol. 35, no. 6, pp. 1197-1203, 2017. B. Cully,et.al., "Remus: high availability via asynchronous virtual machine replication," in Proc. the 5th USENIX Symposium on Networked Systems Design and Implementation, San Francisco, CA, Apr. 2008, pp. 161-174.
従来の保守方法では、異なる複数ビル(例えば3つのビル)の現用設備が同時期に故障した場合、保守者は保守拠点から修理に必要な設備又は部品や工具を持って1つ目のビルに出向き、故障を修理後に一旦保守拠点に戻る。次に、保守者は、同様に2つ目のビルに出向き修理後に保守拠点に戻り、次に、3つ目のビルに出向き修理後に保守拠点に戻るといった作業を繰り返していた。なお、本発明では修理を含んで保守を行うと表現する。
このように保守を行うためには、修理時間に加え、保守拠点からビルまでの往復時間が保守時間として掛かってしまう。このため、上記のように複数ビルを個別に往復する場合、より多くの移動時間が掛かり保守効率が低下するという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、保守者が分散配置された複数ビル内の通信設備の保守を同時期に複数ビルで行う際に、保守拠点から各ビルまでの移動時間を短縮して保守効率を向上させることができる分散設備保守管理装置、分散設備保守管理方法及びプログラムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、分散配置された複数のビル内に稼働中の通信設備である現用設備と、当該現用設備と共用可能な予備の通信設備である予備設備とを備え、前記現用設備が複数ビルで故障した際に、複数ビルへの移動を行って故障を修理する保守作業の手順を指示する分散設備保守管理装置であって、
前記通信設備が稼働してから故障する迄の保守猶予時間に対して、前記現用設備の故障数が前記予備設備の数である予備数を上回る際のビル内全通信設備の不稼働率を求め、当該不稼働率をパラメータとする保守猶予時間と当該予備数との関係から、当該保守猶予時間の要求値に当該不稼働率をパラメータとして対応する予備数を決定する予備猶予決定部と、故障が発生した複数のビルを、当該複数のビルを巡回する距離又は巡回する時間が短くなるように保守巡回する保守巡回順序を決定する保守順序決定部とを備えることを特徴とする分散設備保守管理装置である。
請求項5に係る発明は、分散配置された複数のビル内に稼働中の通信設備である現用設備と、当該現用設備と共用可能な予備の通信設備である予備設備とを備え、前記現用設備が複数ビルで故障した際に、複数ビルへの移動を行って故障を修理する保守作業の手順を指示する分散設備保守管理装置による分散設備保守管理方法であって、前記分散設備保守管理装置は、前記通信設備が稼働してから故障する迄の保守猶予時間に対して、前記現用設備の故障数が前記予備設備の数である予備数を上回る際のビル内全通信設備の不稼働率を求め、当該不稼働率をパラメータとする保守猶予時間と当該予備数との関係から、当該保守猶予時間の要求値に当該不稼働率をパラメータとして対応する予備数を決定するステップと、故障が発生した複数のビルを、当該複数のビルを巡回する距離又は巡回する時間が短くなるように保守巡回する保守巡回順序を決定するステップとを実行することを特徴とする分散設備保守管理方法である。
請求項6に係る発明は、分散配置された複数のビル内に稼働中の通信設備である現用設備と、当該現用設備と共用可能な予備の通信設備である予備設備とを備え、前記現用設備が複数ビルで故障した際に、複数ビルへの移動を行って故障を修理する保守作業の手順を指示する分散設備保守管理装置としてのコンピュータを、前記通信設備が稼働してから故障する迄の保守猶予時間に対して、前記現用設備の故障数が前記予備設備の数である予備数を上回る際のビル内全通信設備の不稼働率を求め、当該不稼働率をパラメータとする保守猶予時間と当該予備数との関係から、当該保守猶予時間の要求値に当該不稼働率をパラメータとして対応する予備数を決定する手段、故障が発生した複数のビルを、当該複数のビルを巡回する距離又は巡回する時間が短くなるように保守巡回する保守巡回順序を決定する手段として機能させるためのプログラムである。
請求項1の構成、請求項5の方法、請求項6のプログラムによれば、分散配置された複数のビルを、何れか1つのエリアに属するように複数の保守エリアに割り当て、この割り当て後の保守エリア11a〜11c内において故障が発生した複数のビルを、当該複数のビルを巡回する距離又は巡回する時間が短くなるように保守巡回する保守巡回順序を決定する。このため、故障した複数のビルを巡回する保守巡回順序を短くできる。従って、保守者が分散配置された複数ビル内の通信設備の保守を同時期に複数ビルで行う際に、各ビルの移動時間を短縮して保守効率を向上させることができる。
請求項2に係る発明は、前記分散配置された複数のビルを、何れか1つのエリアに属するように複数の保守エリアに割り当て、この割り当て後の保守エリア毎において、ビル毎に他ビルからの距離及び移動時間の何れか一方の合計、又は双方の合計が短くなるビルを保守拠点とする保守エリア拠点決定部を更に備え、前記保守順序決定部は、前記保守エリア内において前記保守拠点から故障が発生した複数のビルを巡回して当該保守拠点に戻る保守巡回順序を決定することを特徴とする請求項1に記載の分散設備保守管理装置である。
この構成によれば、複数の保守エリアにおいて、ビル毎に他ビルからの距離及び移動時間の何れか一方の合計、又は双方の合計が短くなるビルを保守拠点とする。このため、保守拠点から各ビルまでの移動時間が平均化されるので、複数のビルを巡回する保守巡回順序を短くできる。従って、保守者が分散配置された複数ビル内の通信設備の保守を同時期に複数ビルで行う際に、保守拠点から各ビルまでの移動時間を短縮して保守効率を向上させることができる。
請求項3に係る発明は、前記保守猶予時間から前記保守作業に掛かる時間を引いた時間で、且つ当該保守猶予時間よりも短い時間である待機時間を決定する待機時間決定部を更に備え、前記保守順序決定部は、前記待機時間が経過した際に前記保守巡回順序での保守作業を指示することを特徴とする請求項1又は2に記載の分散設備保守管理装置である。
この構成によれば、保守者が待機時間を経過した時点で保守巡回順序に従った保守作業を行うことができるので、無駄に保守に出向くことなく、効率良く保守作業を行うことができる。
請求項4に係る発明は、前記保守順序決定部は、保守エリア内において保守拠点から故障が発生した複数のビルを巡回して保守拠点に戻る際の距離及び移動時間の何れか一方、又は双方の合計が短くなるように前記保守巡回順序を求めることを特徴とする請求項2又は3に記載の分散設備保守管理装置である。
この構成によれば、保守者が複数のビルへの巡回保守を行う際に、保守巡回順序に従えば短時間で移動できる。
本発明によれば、保守者が分散配置された複数ビル内の通信設備の保守を同時期に複数ビルで行う際に、保守拠点から各ビルまでの移動時間を短縮して保守効率を向上させることができる分散設備保守管理装置、分散設備保守管理方法及びプログラムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る分散設備保守管理装置を用いた通信設備分散配置システムの構成を示すブロック図である。 本実施形態の分散設備保守管理装置の構成を示すブロック図である。 横軸の保守猶予時間と縦軸の予備数との関係を、不稼働率をパラメータとして表わしたグラフである。 線L0〜L5で示す0個から5個までの予備数をパラメータとする横軸の保守猶予時間と縦軸の不稼働率との関係を表わすと共に、10−6の不稼働率を横破線Kで表わしたグラフである。 本実施形態の分散設備保守管理装置により通信設備分散配置システムの分散設備保守管理を行うための初期設定の動作を説明するフローチャートである。 本実施形態の通信設備分散配置システムの複数のビルにおいて故障が発生した際の、分散設備保守管理装置による分散設備保守管理の動作を説明するフローチャートである。 待機時間経過後に保守作業を行う際の分散設備保守管理の動作を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る分散設備保守管理装置を用いた通信設備分散配置システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す通信設備分散配置システム(システムともいう)10は、3つ(複数)の独立した保守エリア11a,11b,11cと、保守エリア11aの中に位置する保守拠点としてのビルj1と、複数のビルi1,i2,i3,i4,i5とを備え、保守エリア11bの中に位置する保守拠点としてのビルj2と、複数のビルi6,i7,i8,i9とを備える。更に、システム10は、保守エリア11cの中に位置する保守拠点としてのビルj3と、複数のビルi10,i11,i12,i13,i14とを備える。なお、保守拠点としてのビルj1,j2,j3を、保守拠点j1,j2,j3ともいう。
各ビルi1〜i14は、別の丸枠i内に示すように、稼働中の通信設備(又は通信装置)である複数の現用設備12a,12b,…,12nと、現用設備12a〜12nと共用可能な予備の通信設備である予備設備13とを備えて構成されている。なお、保守エリア数、ビル数は一例である。
保守拠点j1〜j3は、通信設備の修理や点検等の保守を行う保守者が駐在する場所であり、別の丸枠j内に示すように、現用設備12a〜12nと、予備設備13と、交換用設備14a〜14nと、分散設備保守管理装置(管理装置ともいう)20とを備えて構成されている。
管理装置20は、各保守エリア11a〜11cにおいて、保守者が複数ビル内の通信設備の保守を同時期に複数ビルで行う際に、保守拠点から各ビルまでの移動時間を短縮して保守効率が向上するように保守者に指示を行うものである。この管理装置20は、コンピュータを用いて実現され、図2に示すように、予備数猶予時間決定部(予備猶予決定部ともいう)21と、待機時間決定部22と、保守エリア拠点決定部23と、保守順序決定部24とを備えて構成されている。
予備猶予決定部21は、ビル毎に配備する予備設備13の数(予備数)と保守猶予時間とを、後述のように決定する。但し、保守猶予時間は、ある不稼働率の時の、現用設備12a〜12nの故障数が予備数を上回るまでの時間である。また、予備設備13は、後述のように、保守猶予時間と関連して1個からn個の個数が配備される。
予備数と保守猶予時間とは、図3に示すように、線K1で示す不稼働率(後述)をパラメータとした相関関係を有する。不稼働率とは、現用設備12a〜12nの故障数(例えば3個)が予備数(例えば2個)を上回る確率、言い換えれば、予備数が枯渇する確率である。
予備猶予決定部21は、現用設備の数(現用数n)と予備数Δn、並びに通信設備のMTBF(故障間隔)を入力として、保守猶予時間に対して、故障数が予備数Δnを上回る確率Pを、下式(1)から求める。確率Pは、言い換えれば、1つのビル内の通信設備全体(ビル内全通信設備)の不稼働率Pである。
つまり、1ビル内の不稼働率Pは、1ビル内に現用設備が3個、予備設備が1個ある場合に、現用設備が1個故障すれば予備設備で代替え補償できるが、現用設備が2個以上故障した場合に予備設備で補償できなくなることを表わす。
Figure 2020013298
但し、αは1つの通信設備の不稼働率である。不稼働率α=保守猶予時間/(MTBF+保守猶予時間)となる。
αと(1−α)n+Δn−iを掛けたものは、n+Δn台数中、i台が故障している確率を示す。n+Δn台数中、i台が故障している組み合わせの数のn+Δnを掛け、更に、故障台数が0台からΔn台となる和をとり、1から減算することで、故障数が予備数を上回る不稼働率Pが求められる。
次に、予備猶予決定部21は、図4に示す保守猶予時間と不稼働率との関係から予備数と保守猶予時間を求める。
図4は、線L0〜L5で示す0個から5個までの予備数をパラメータとする横軸の保守猶予時間[h:時間]と縦軸の不稼働率P(確率P)との関係を表わすと共に、10−6の不稼働率を横破線Kで表わしたグラフである。但し、現用数=40個、MTBF=100,000(10万)[h]を前提条件とする。この現用数、予備数、MTBF、不稼働率、保守猶予時間は一例であり、これに限らない。
線L0は予備数=0を表わし、線L1は予備数=1、線L2は予備数=2、線L3は予備数=3、線L4は予備数=4、線L5は予備数=5を表わす。これら線L0〜L5において、不稼働率Pを横破線K以下とするためには、保守猶予時間をL0〜L5とKの交点以下とする必要がある。
上述した前提条件のように、通信設備の故障間隔(MTBF)を10万時間とすると、通信設備は平均10万時間で故障する。図4によれば、この際に予備数を線L2の2個とすると、信頼性の観点から横破線Kの10−6の不稼働率Pをキープしたい場合は、保守猶予時間は72時間位となる。予備数を線L4の4個とすると、保守猶予時間は400時間位となる。なお、図3は図4を基に作成したものである。
更に説明する。横破線Kで示す不稼働率Pと、線L0〜L5で示す予備数との交点を抽出し、図3の横軸の保守猶予時間と縦軸の予備数との関係の領域にプロットした。このプロットされた各交点を接続した線K1が、10−6の不稼働率Pを示す。この10−6の不稼働率Pを確保する際に、例えば保守猶予時間を400hとする要求の「要求値」がある場合、矢印Y6で示すように、約4.2個の予備数が必要となる。この場合、4.2を切り上げると5となる。後述の実施形態では、1個目の故障が発生したときに保守待機タイマをスタートするため、1個故障が発生し、予備設備に切り替わった後でも保守猶予時間を確保するためには、既に個1故障しているために、予備数は5+1=6個が必要となる。
このように、予備猶予決定部21は、予備数と保守猶予時間、並びに不稼働率の関係において、保守猶予時間が上記要求値として決定されると、不稼働率K1を介して予備数が決定できる。その要求値は、必要な通信サービスの条件を基に、効率の良い保守を目的として決定される。例えば、サービス契約条件が、不稼働率P=10−6であるため、1年間に数十秒しか停止しないとした場合、この内容を基に保守猶予時間の要求値が決定される。
次に、図2に示す待機時間決定部22は、現用設備12a〜12nの故障後に、修理を行うまでに待機可能な待機時間を決定する。待機時間は、保守猶予時間よりも短い時間であり、保守猶予時間から、移動時間及び保守作業時間を引いた時間である。
次に、保守エリア拠点決定部23は、図1に示す複数の保守エリア11a〜11cへのビルi1〜i14,j1〜j3の割り当てと、保守エリア11a〜11c毎の保守拠点j1〜j3の配置の決定との双方を、公知の最適化手法を用いることにより次のように行う。
保守エリア11a〜11cの数(保守エリア数;例えば3つ)を入力して定め、この定められた3つの保守エリア11a〜11cに各ビルi1〜i14,j1〜j3を割り当てる。
その保守エリア11a〜11c毎に、保守拠点j1〜j3となる配置を決定する。つまり、保守拠点j1〜j3となる位置のビルを決定する。この決定処理について説明する。例えば保守エリア11a内の全てのビルi1〜i5,j1において、ビルi1〜i5,j1毎に他のビルからの距離及び移動時間の何れか一方の合計、又は双方の合計が最短となるビルj1を保守拠点とする。
上記の保守エリア数を入力として各保守エリア11a〜11cへのビル割り当てを行う処理と、保守拠点の配置を行う処理とは連携して行われる。
保守エリアに問わず全対象のビルにおいて、ビル毎に他のビルからの距離及び移動時間の何れか一方の合計、又は双方の合計が最短となるビルを保守拠点とする処理計算を式で表わすと、次式(2)となる。
Figure 2020013298
上式(2)において、di,jは、ビルiからビルjまでの距離であり、計算の結果、iとjの何れかを保守拠点とすることを示す。例えばjを保守拠点とする。
式(2)のyi,jは、保守拠点jと別のビルiとの距離であり、保守拠点jとビルiが、同一保守エリアに属していればy=1、異なる保守エリアに属していればy=0となる。例えば、保守エリア11aのビルi3は保守エリア11aの保守拠点j1と同一保守エリア11aに属しているのでy=1となる。一方、ビルi3は保守エリア11bの保守拠点j2と異なる保守エリア11a,11bに属しているのでy=0となる。同様に、ビルi3は保守エリア11cの保守拠点j3と異なる保守エリア11aと11cに属しているのでy=0となる。この場合、y=0なので距離は加算されない。
このように、yは0又は1のみの変数である。yが1となる条件は、相手ビルが自ビルの属する保守エリアの保守拠点の場合のみであり、これ以外は0となる。従って、結果として、式(2)の2つのΣΣの内、右側のΣは、保守エリア内の全ビル間の距離の和を計算することになる。この和が最短となるようにする。また、結果として、この計算される全ての保守エリアの和が左側のΣで計算される。なお、i∈νは、ビルiが保守エリアに関わらず対象とする全ビルνの要素の1つであることを表し、j∈νは、同様に、ビルjが全ビルνの要素の1つであることを表わす。iもjも1〜17まで積算する。
次に、上式(2)において、全ビル間の距離の和を最短とするために満たす必要がある条件式は、次式(3)、(4)、(5)を全て満たす必要がある。
Figure 2020013298
Figure 2020013298
Figure 2020013298
式(3)におけるイコールの左辺のyi,jは、保守拠点jと別のビルiとの距離を表わし、保守拠点jとビルiが、同一保守エリアに属していればy=1、異なる保守エリアに属していればy=0となる変数である。
式(4)において、右辺のPは、保守拠点jの数(例えば3)を表す。左辺のxは保守拠点であるか否かを示す変数であり、xが保守拠点であれば1、保守拠点でなければ0となる。x=1が3つあれば、P=3となる。
Figure 2020013298
次に、保守順序決定部24は、待機時間内に故障が生した複数のビルを巡回(例えば図1に矢印Y1で示すように巡回)して保守を実施する保守巡回順序を最適化を行って決定する。この保守巡回順序は、同一保守エリアにおいて、保守拠点から複数のビルを巡回して保守拠点に戻る際の距離及び移動時間の何れか一方、又は双方の合計が最小となるように最適化を行った順序である。なお、保守拠点から各ビルへの距離、移動時間、及び保守を行う際の、保守拠点から故障ビルを巡回する移動距離、移動時間の最適化は、必ずしも最適解ではなくとも、保守を行う実用上問題とならない範囲で最適化されていれば良い。例えば、移動時間の合計の最適解が10時間の場合、11時間としても実運用上問題なければ最適解でなくとも良い。
<実施形態の動作>
次に、本実施形態に係る分散設備保守管理装置20による分散設備保守管理の動作を、図5、図6及び図7のフローチャートを参照して説明する。但し、分散設備保守管理装置20は、保守拠点j1に配置される。また、管理装置20は保守拠点j1の配置に限らず、他の保守エリア内、或いは、保守エリア外に配置されていても良い。
図5は管理装置20により通信設備分散配置システム10の分散設備保守管理を行うための初期設定の動作を説明するフローチャートである。
図5に示すステップS1において、管理装置20に図1に示す各ビルi1〜i14,j1〜j3と保守拠点数とが入力される。この入力情報は管理装置20の図示せぬ記憶部に記憶され、この記憶情報を用いて各決定部21〜24が後述の処理を行う。
次に、ステップS2において、管理装置20の予備猶予決定部21は、ビルi1〜i14,j1〜j3毎に配備する予備数と保守猶予時間とを次のように決定する。予備猶予決定部21は、現用数nと予備数Δn、並びに通信設備のMTBF(故障間隔)を入力として、保守猶予時間に対して、1ビル内の通信設備全体の不稼働率P{式(1)参照}を求める。
更に、予備猶予決定部21は、図4に示す保守猶予時間[h]と不稼働率Pとの関係から、図3に示す保守猶予時間と予備数との関係を求める。ここで、例えば保守猶予時間を400hとする要求値がある場合、矢印Y6で示す約4.2個の予備数が必要となるので、この4.2を切り上げて予備数を5+1=6個と求める。
次に、図5のステップS3において、保守エリア拠点決定部23は、図1に示すように、広範囲に存在する複数のビルi1〜i14,j1〜j3を、何れか1つの保守エリアに属するように、3つの(m個の)保守エリア11a〜11cに割り当てる。
次に、ステップS4において、保守エリア拠点決定部23は、3つの保守エリア11a〜11c毎に、1つの保守拠点を決定する。つまり、各保守拠点j1〜j3となる位置のビルを決定する。
つまり、保守エリア拠点決定部23は、保守エリア11a内の全てのビルi1〜i5,j1において、1つのビルに対してこのビルを除く他のビルからの距離及び移動時間の何れか一方の合計、又は双方の合計が最短となるビルj1を求めて保守拠点とする。また、保守エリア拠点決定部23は、保守エリア11b内の全てのビルi6〜i9,j2において、同様にビルj2を求めて保守拠点とし、保守エリア11c内の全てのビルi10〜i14,j3において、同様にビルj3を求めて保守拠点とする。
この後、ステップS5において、全ビルi1〜i14,j1〜j3に現用設備12a〜12n及び予備設備13(図1)が設置される。
次に、ステップS6において、保守拠点j1〜j3に交換用設備14a〜14n(図1)が配置される。
最後に、ステップS7において、保守拠点j1〜j3に保守者が駐在することにより、分散設備保守管理を行うための初期設定が完了する。
図6は通信設備分散配置システム10のあるエリア内(例えば保守エリア11a内)の複数のビルにおいて故障が発生した際の、管理装置20による分散設備保守管理の動作を説明するためのフローチャートである。
図6に示すステップS11において、ビル(例えばビルi3)で現用設備12aの故障(ビルが故障ともいう)が発生したとする。
この場合、ステップS12において、管理装置20の待機時間決定部22は、その故障後に修理を行うまでに待機可能な待機時間を決定する。なお、待機時間は、上述したように保守猶予時間よりも短く、保守猶予時間から、移動時間及び保守作業時間を引いた時間である。更に、待機時間決定部22は、保守待機リスト(図示せず)にビル名等の故障情報を格納する。
ステップS13において、待機時間決定部22は、保守待機リストが空か否かを判定する。この結果が空の場合(Yes)は初期故障、空でない場合(No)はビル2つ目以降の故障と判定される。
初期故障の場合、ステップS14において、待機時間決定部22は図示せぬ保守待機タイマを、上記ステップS12で決定した待機時間に設定し、スタートさせる。
次に、ステップS15において、待機時間決定部22は、保守待機リストに、故障通信設備が配備されたビル名(例えばビル名i3)を追加する。この追加は、上記ステップS13において、保守待機リストが空でない(No)場合、即ち2つ目以上のビル故障と判定された場合にも行われる。例えば、保守待機リストに既にビル名i1が格納されていた場合、上記ステップS13においてビル2つ目以降の故障と判定され、ステップS15において、保守待機リストに2つ目の故障ビル名i3が格納される。この格納後は、ステップS11に戻る。
図7は、保守作業を行う際の分散設備保守管理の動作を説明するためのフローチャートである。
但し、前提条件として保守待機リストに故障した3つのビルi1,i2,i3のビル名が格納されているとする。
図7に示すステップS21において、管理装置20の保守順序決定部24は、保守待機タイマがタイムアップ(待機時間が経過)したか否かを判定する。タイムアップしていないと判定(No)された場合、タイムカウント動作を継続する。
タイムアップしたと判定(Yes)された場合、ステップS22において、保守順序決定部24は、保守待機リストに格納された保守エリア11aの3つのビルi1〜i3に対して保守巡回順序を決定する。この保守巡回順序は、保守拠点j1から3つのビルi1〜i3を巡回して保守拠点j1に戻る際の距離及び移動時間の何れか一方、又は双方の合計が最小となるように行われる。例えば、図1に矢印Y1で示すように、保守拠点j1からビルi1、ビルi2、ビルi3の順に移動しながら順次保守を行い、保守拠点j1に戻るといった保守巡回順序が決定されたとする。
上記保守巡回順序を決定後、ステップS23において、保守者が保守巡回順序に従って保守を実施する。即ち、図1に矢印Y1で示すように、保守者が、保守拠点j1からビルi1に移動して故障通信設備の保守を行い、次に、ビルi2に移動して保守を行い、次に、ビルi3に移動して保守を行った後、保守拠点j1に戻るといった保守作業を実施する。
ステップS24において、保守者が保守拠点j1に戻った際に、待機時間決定部22の保守待機リストが空(未故障の状態)にされると共に、保守待機タイマがストップされクリアされる。
<実施形態の効果>
本実施形態に係る分散設備保守管理装置20の効果について説明する。
分散設備保守管理装置20は、分散配置された複数のビルi1〜i14,j1〜j3内に稼働中の通信設備である現用設備12a〜12nと、当該現用設備12a〜12nと共用可能な予備の通信設備である予備設備13とを備え、現用設備12a〜12nが複数ビル(例えばビルi1〜i3)で故障した際に、複数ビルi1〜i3への移動を行って故障を修理する保守作業の手順を指示するものである。この分散設備保守管理装置20を次のような特徴構成とした。
(1)分散設備保守管理装置20を、予備猶予決定部21と、保守順序決定部24とを備える構成とした。
予備猶予決定部21は、通信設備が稼働してから故障する迄の保守猶予時間に対して、現用設備12a〜12nの故障数が予備設備13の数である予備数を上回る際のビル内全通信設備の不稼働率を求め、当該不稼働率をパラメータとする保守猶予時間と当該予備数との関係から、当該保守猶予時間の要求値に当該不稼働率をパラメータとして対応する予備数を決定する。
保守順序決定部24は、故障が発生した複数のビルを、当該複数のビルを巡回する距離又は巡回する時間が短くなるように保守巡回する保守巡回順序を決定する。
この構成によれば、分散配置された複数のビルを、何れか1つのエリアに属するように複数の保守エリア11a〜11cに割り当て、この割り当て後の保守エリア11a〜11c内において故障が発生した複数のビルを、当該複数のビルを巡回する距離又は巡回する時間が短くなるように保守巡回する保守巡回順序を決定する。このため、故障した複数のビルを巡回する保守巡回順序を短くできる。従って、保守者が分散配置された複数ビル内の通信設備の保守を同時期に複数ビルで行う際に、各ビルの移動時間を短縮して保守効率を向上させることができる。
(2)分散配置された複数のビルを、何れか1つのエリアに属するように複数の保守エリア11a〜11cに割り当て、この割り当て後の保守エリア11a〜11c毎において、ビル毎に他ビルからの距離及び移動時間の何れか一方の合計、又は双方の合計が短くなるビルを保守拠点とする保守エリア拠点決定部23を更に備える。この際、保守順序決定部24は、保守エリア11a〜11c内において保守拠点から故障が発生した複数のビルを巡回して当該保守拠点に戻る保守巡回順序を決定する。
この構成によれば、複数の保守エリア11a〜11cにおいて、ビル毎に他ビルからの距離及び移動時間の何れか一方の合計、又は双方の合計が短くなるビルを保守拠点とする。このため、保守拠点から各ビルまでの移動時間が平均化されるので、複数のビルを巡回する保守巡回順序を短くできる。従って、保守者が分散配置された複数ビル内の通信設備の保守を同時期に複数ビルで行う際に、保守拠点から各ビルまでの移動時間を短縮して保守効率を向上させることができる。
(3)保守猶予時間から保守作業に掛かる時間を引いた時間で、且つ当該保守猶予時間よりも短い時間である待機時間を決定する待機時間決定部22を更に備える。保守順序決定部24は、待機時間が経過した際に保守巡回順序での保守作業を指示する。
この構成によれば、保守者が待機時間を経過した時点で保守巡回順序に従った保守作業を行うことができるので、無駄に保守に出向くことなく、効率良く保守作業を行うことができる。
(4)保守順序決定部24は、保守エリア11a〜11c内において保守拠点から故障が発生した複数のビルを巡回して当該保守拠点に戻る際の距離及び移動時間の何れか一方、又は双方の合計が短くとなるように保守巡回順序を求める。
この構成によれば、保守者が複数のビルへの巡回保守を行う際に、保守巡回順序に従えば短時間で移動できる。
また、本実施形態のコンピュータを実行するプログラムについて説明する。コンピュータは、分散配置された複数のビルi1〜i14,j1〜j3内に稼働中の通信設備である現用設備12a〜12nと、当該現用設備12a〜12nと共用可能な予備の通信設備である予備設備13とを備え、現用設備12a〜12nが複数ビル(例えばビルi1〜i3)で故障した際に、複数ビルi1〜i3への移動を行って故障を修理する保守作業の手順を指示する分散設備保守管理装置20であるとする。
このプログラムは、上記コンピュータを、通信設備が稼働してから故障する迄の保守猶予時間に対して、現用設備12a〜12nの故障数が予備設備13の数である予備数を上回る際のビル内全通信設備の不稼働率を求め、当該不稼働率をパラメータとする保守猶予時間と当該予備数との関係から、当該保守猶予時間の要求値に当該不稼働率をパラメータとして対応する予備数を決定する手段、分散配置された複数のビルを、何れか1つのエリアに属するように複数の保守エリア11a〜11cに割り当て、この割り当て後の保守エリア11a〜11c毎において、ビル毎に他ビルからの距離及び移動時間の何れか一方の合計、又は双方の合計が最短となるビルを保守拠点とする手段、保守エリア11a〜11c内において保守拠点から故障が発生した複数のビルを巡回して当該保守拠点に戻る保守巡回順序を決定する手段として機能させる。
このプログラムによれば、上述した分散設備保守管理装置20と同様の効果を得ることができる。
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
10 通信設備分散配置システム
11a〜11c 保守エリア
i1〜i14,j1〜j3 ビル
j1〜j3 保守拠点
12a〜12n 現用設備
13 予備設備
14a〜14n 交換用設備
20 分散設備保守管理装置
21 予備数猶予時間決定部
22 待機時間決定部
23 保守エリア拠点決定部
24 保守順序決定部

Claims (6)

  1. 分散配置された複数のビル内に稼働中の通信設備である現用設備と、当該現用設備と共用可能な予備の通信設備である予備設備とを備え、前記現用設備が複数ビルで故障した際に、複数ビルへの移動を行って故障を修理する保守作業の手順を指示する分散設備保守管理装置であって、
    前記通信設備が稼働してから故障する迄の保守猶予時間に対して、前記現用設備の故障数が前記予備設備の数である予備数を上回る際のビル内全通信設備の不稼働率を求め、当該不稼働率をパラメータとする保守猶予時間と当該予備数との関係から、当該保守猶予時間の要求値に当該不稼働率をパラメータとして対応する予備数を決定する予備猶予決定部と、
    故障が発生した複数のビルを、当該複数のビルを巡回する距離又は巡回する時間が短くなるように保守巡回する保守巡回順序を決定する保守順序決定部と
    を備えることを特徴とする分散設備保守管理装置。
  2. 前記分散配置された複数のビルを、何れか1つのエリアに属するように複数の保守エリアに割り当て、この割り当て後の保守エリア毎において、ビル毎に他ビルからの距離及び移動時間の何れか一方の合計、又は双方の合計が短くなるビルを保守拠点とする保守エリア拠点決定部を更に備え、
    前記保守順序決定部は、前記保守エリア内において前記保守拠点から故障が発生した複数のビルを巡回して当該保守拠点に戻る保守巡回順序を決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の分散設備保守管理装置。
  3. 前記保守猶予時間から前記保守作業に掛かる時間を引いた時間で、且つ当該保守猶予時間よりも短い時間である待機時間を決定する待機時間決定部を更に備え、
    前記保守順序決定部は、前記待機時間が経過した際に前記保守巡回順序での保守作業を指示する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の分散設備保守管理装置。
  4. 前記保守順序決定部は、保守エリア内において保守拠点から故障が発生した複数のビルを巡回して保守拠点に戻る際の距離及び移動時間の何れか一方、又は双方の合計が短くなるように前記保守巡回順序を求める
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載の分散設備保守管理装置。
  5. 分散配置された複数のビル内に稼働中の通信設備である現用設備と、当該現用設備と共用可能な予備の通信設備である予備設備とを備え、前記現用設備が複数ビルで故障した際に、複数ビルへの移動を行って故障を修理する保守作業の手順を指示する分散設備保守管理装置による分散設備保守管理方法であって、
    前記分散設備保守管理装置は、
    前記通信設備が稼働してから故障する迄の保守猶予時間に対して、前記現用設備の故障数が前記予備設備の数である予備数を上回る際のビル内全通信設備の不稼働率を求め、当該不稼働率をパラメータとする保守猶予時間と当該予備数との関係から、当該保守猶予時間の要求値に当該不稼働率をパラメータとして対応する予備数を決定するステップと、
    故障が発生した複数のビルを、当該複数のビルを巡回する距離又は巡回する時間が短くなるように保守巡回する保守巡回順序を決定するステップと
    を実行することを特徴とする分散設備保守管理方法。
  6. 分散配置された複数のビル内に稼働中の通信設備である現用設備と、当該現用設備と共用可能な予備の通信設備である予備設備とを備え、前記現用設備が複数ビルで故障した際に、複数ビルへの移動を行って故障を修理する保守作業の手順を指示する分散設備保守管理装置としてのコンピュータを、
    前記通信設備が稼働してから故障する迄の保守猶予時間に対して、前記現用設備の故障数が前記予備設備の数である予備数を上回る際のビル内全通信設備の不稼働率を求め、当該不稼働率をパラメータとする保守猶予時間と当該予備数との関係から、当該保守猶予時間の要求値に当該不稼働率をパラメータとして対応する予備数を決定する手段、
    故障が発生した複数のビルを、当該複数のビルを巡回する距離又は巡回する時間が短くなるように保守巡回する保守巡回順序を決定する手段
    として機能させるためのプログラム。
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