JP2020012124A - 電解用電極およびそれを備えた電気機器 - Google Patents

電解用電極およびそれを備えた電気機器 Download PDF

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Tsutomu Furuta
勤 古田
藤井 優子
Yuko Fujii
優子 藤井
茂 笹部
Shigeru Sasabe
笹部  茂
妃代江 郡司
Kiyoe Gunji
妃代江 郡司
福田 祐
Yu Fukuda
祐 福田
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Abstract

【課題】オゾンの生成性能に優れ、耐久性を向上させた電解用電極を提供すること。【解決手段】電極基体12と、電極基体12の表面に形成され、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種からなる貴金属層13と、貴金属層13の表面に形成され、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と誘電体粒子を含有したガラス層16とから構成されている電解用電極11であり、ガラス層16が水と貴金属層13の接触する面積を小さく酸素生成の電圧を高くし、オゾンを生成させる。また、ガラス層16を主成分が二酸化珪素のガラス組成物14と誘電体粒子15で構成することにより、ガラス層16の剥離を防止し、耐久性を向上させる。【選択図】図1

Description

本発明は、水を電気分解し、活性物質を生成する電解用電極に関するものである。
従来、この種の電解用電極は、導電性基体の表面に貴金属、貴金属を含む合金、貴金属酸化物のいずれかを含む中間層を形成し、この中間層の表面に、酸化触媒作用を有する誘電体を含む層状の表面層を形成するとともに、表面層には、表面層を貫通し中間層に到達する孔を形成している(例えば、特許文献1参照)。
図4は、特許文献1に記載された従来の電解用電極の厚さ方向の概略断面拡大図を示すものである。図4に示すように、電解用電極1を構成する導電性基体2の一方の表面に、貴金属、貴金属を含む合金、もしくは貴金属酸化物からなる中間層3が形成され、中間層3の表面には、タンタル、アルミニウム、チタン、タングステン、ニオブなどのアルコキシド化合物と溶剤の混合物を熱分解して得られる酸化物からなる誘電体材料の表面層4が形成されている。
表面層4は、誘電体材料が中間層3の表面に塗布、常温乾燥、220℃乾燥、600〜700℃の高温焼成の工程を十数回繰り返して行なわれ、層状の構造となるように形成される。これにより、表面層4の厚さ方向には、多数のクラックが発生し、このクラックを起点として、表面層4を貫通して中間層3まで到達する孔5が形成される。
電解用電極1をアノード電極とし、対極としてカソード電極を用いて水を電気分解すると、電解用電極1の側では、水が孔5を通って中間層3に到達し、孔5と連接する中間層3の表面部分の僅かな面積上で電極反応が起こり、孔5と連接する中間層3の部分の貴金属の電流密度が上昇し、さらには表面層4の孔5周囲の誘電体材料の触媒作用により酸素が酸化されオゾンが生成される。
特開2006−97122号公報
しかしながら、前記従来の構成では、表面層4を形成するために十数回の塗布、乾燥、焼成を繰り返しており、このような多層構造になると、表面層4の膜厚が不均一となる、また、発生したクラックの分岐と結合が複雑な構造となるので、クラックを起点とする孔5の安定した形成が困難となり、オゾンの生成が安定しないという課題を有していた。
また、表面層4の誘電体は、金属アルコキシドを原料とした熱分解によって生成する粒子のみで構成されるが、600〜700℃の焼成では、誘電体の粒子同士の結合や誘電体の粒子と中間層3の結合が半焼結状態であるので、中間層3と表面層4、表面層4自体の密着性が弱く、電極反応によって発生する酸素やオゾン等のガスの圧力によって表面層4の剥離が起き易くなり、耐久性が劣るという課題を有していた。
電解用電極1をアノード電極、対極をカソード電極として水を電気分解すると、カソード電極の電極表面は、水に含まれるカルシウムイオンなどの金属イオンが還元され、スケール成分として付着する。スケール成分を除去するため、アノード電極とカソード電極を
反転し、スケールを除去するという操作(転極)が行われる。その際には、電解用電極1がカソード電極となるため、電極表面はpHの高い強塩基性環境となり、誘電体の成分によっては容易に溶解して電解用電極として機能しなくなるという課題を有していた。
また、表面層4の形成に十数回の塗布、乾燥、焼成を繰り返すという煩雑な製造工程となり、電解用電極1の生産性が悪いという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、安定したオゾンの生成性能や耐久性を向上させるとともに、生産性に優れた電解用電極を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の電解用電極は、電極基体の表面に貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種からなる貴金属層と、貴金属層の表面に主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と誘電体粒子とからなるガラス層(以下、説明する必要がない場合は単にガラス層と記す)を順次形成したものである。
これによって、本願発明の電解用電極をアノード電極とし、対極のカソード電極との間に電圧または電流を印加すると、アノード電極である電解用電極は、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と誘電体粒子とからなるガラス層が水と貴金属層との接触を制限するので、電解用電極はガラス層のない構成の電極よりも水の電気分解による酸素生成の電圧が高くなる。
酸素生成の電圧がある電圧以上になると、酸素の生成と同時に酸素ラジカル等の活性種が生成され、この活性種と酸素が反応してオゾンが生成される。したがって、オゾンが生成可能な電圧以上となるようにガラス層の水の通過量を制御し、オゾン生成量に応じた電圧または電流で水を電気分解することにより、任意の濃度のオゾン水を製造することができる。
ガラス層を主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と誘電体粒子とで形成することにより、ガラス組成物が貴金属層との高い接着性を実現することができるので、電極反応によって発生するガスによるガラス層の破壊や剥離が防止される。
ガラス層は、耐酸性、耐塩基性に優れている主成分が二酸化珪素であるガラス組成物を用いているので、電解用電極をアノード電極、あるいは転極操作によってカソード電極として使用してもガラス層成分の溶出が抑制され、オゾンの生成量が安定している。
ガラス層は、ガラスペーストのスクリーン印刷法など厚膜形製法で形成される。このため、多くとも数回の塗布、焼成の繰り返しだけで所定のガラス層を簡単に形成することができる。
本発明によれば、安定したオゾンの生成や耐久性を向上させるとともに、生産性に優れた電解用電極を提供することができる。
本発明の実施の形態1における電解用電極の厚さ方向の概略断面拡大図 同電解用電極を用いた電解装置の概略図 本発明の実施の形態2における電解用電極の厚さ方向の概略断面拡大図 従来の電解用電極の厚さ方向の概略断面拡大図
第1の発明は、電極基体と、前記電極基体の表面に形成され、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種からなる貴金属層と、前記貴金属層の表面に形成され、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と誘電体粒子とからなるガラス層とから構成される電解電極である。
これにより、第1の発明の電解用電極をアノード電極とし、カソード電極との間に電圧または電流を印加すると、アノード電極はガラス層が水と貴金属層との接触を制限し、水と貴金属層の接触面積が小さくなるので、電流密度が高くなり、アノード電極はガラス層のない構成よりも水の電気分解による酸素生成の電圧が高くなる。
酸素生成の電圧がある電圧以上になると、酸素の生成と同時に酸素ラジカル等の活性種が生成され、この活性種と酸素が反応してオゾンが生成する。したがって、オゾンが生成可能な電圧以上となるように、貴金属層への水の浸透を制限するガラス層を形成し、オゾン生成量に応じた電力で電気分解することにより、任意の濃度のオゾン水を製造することができる。
また、ガラス層に含まれるガラス組成物は、貴金属層との接着性を向上させることができる。したがって、電気分解によって発生する酸素などのガスによるガラス層の破壊やガラス層の剥離が防止されるため、水と貴金属層との接触面積を一定に保つことができ、長期にわたり初期のオゾン生成性能を発揮させることができる。
ガラス層は、耐酸性、耐塩基性に優れているので、電解用電極をアノード電極、あるいは転極操作によってカソード電極として使用しても、ガラス層成分の溶出が抑制されるため、溶解によるガラス層の薄肉化が防止され、オゾンの生成量が安定して得られるとともに、耐久性を向上させることができる。
また、ガラス層は、ガラスペーストのスクリーン印刷法など簡単な工法で形成することができる。したがって、多くとも数回の塗布、焼成の繰り返しで所定のガラス層を形成することができるので、製造工程の簡素化、工数削減による低コスト化が可能となり、生産性に優れた電解用電極を提供することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と誘電体粒子とからなるガラス層に、貴金属層と連通する流通路を有する構成とする。
これにより、電気分解される水が貴金属層に到達しやすくなり、水と貴金属層との接触面積を大きくすることができるので、オゾンが生成する電圧領域が狭くなる欠点があるものの、貴金属層での電極反応による電流密度が小さくなり、電解用電極としての耐久性をさらに向上させることができる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、流通路を主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と誘電体粒子によって形成している。
これにより、電気分解される水は、主としてガラス層を構成する主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と誘電体粒子の界面の隙間や、誘電体粒子の隙間で形成される流通路を通って流通し、貴金属層に接触する。流通路の大きさ、数(量)は、ガラス層の膜厚、ガラス層に含まれる誘電体粒子の粒径、誘電体粒子の含有量によって変化させることがきるので、電解用電極の設計の自由度を大きくすることができ、実用性の高い電解用電極を提供することができる。
第4の発明は、特に、第1の発明において、貴金属層を主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種で形成している。
これにより、電解される水がガラス層を浸透し、貴金属層表面で電気分解されても、貴金属層がガラス層と同じガラス組成物を用いて形成されているので、ガラス層と貴金属層の接着性をさらに高めることができる。電極基体との接着性も高くでき、ガラス層および貴金属層の破壊や剥離が防止され、高い耐久性を実現することができる。
第5の発明は、特に、第1の発明または第4の主成分が二酸化珪素であるガラス組成物の二酸化珪素の含有量を60〜90重量%としたものである。
これにより、強酸性、強塩基性が優れているとともに、強固な密着性を有するガラス層を金属からなる電極基体に形成することができるので、実用性の高い電解用電極を提供することができる。
第6の発明は、特に、第1の発明または第4の発明または第5の発明の主成分が二酸化珪素であるガラス組成物に、アルカリ金属、アルカリ土類金属を含まない組成としたものである。
これにより、水に浸漬された状態で放置されても水に溶解し易いアルカリ金属、アルカリ土類金属の溶出が原因で起こるガラス層または貴金属層の多孔質化を防止することができ、長期にわたり初期のオゾン生成性能を維持することができる。
第7の発明は、特に、第1の発明または第4の発明の貴金属層を構成する貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物が、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウムの少なくとも1種からなるものである。
これにより、水の電気分解性能を高くすることができるので、オゾンの生成量を多くすることができるとともに、化学的に安定した材料であるので、耐久性を向上させることができる。
第8の発明は、特に、第1から第7の発明のいずれかの発明の電解用電極を備えた電気機器である。
これにより、耐久性に優れ、安定したオゾンを生成することのできる電解用電極を有する電解装置を備えた電気機器を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電解用電極の厚さ方向の概略断面拡大図である。
図1において、電解用電極11は、電極基体12と、電極基体12の一方の表面に形成される貴金属層13と、貴金属層13の表面に形成されるガラス層16とから構成される。
電極基体12は、例えば、チタン、ニオブ、タンタル、ステンレスなどの金属が適用可
能であるが、耐食性、機械的強度、加工性、コストなどの点から、実用的にはチタンが適している。
貴金属層13は、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種が用いられる。貴金属層13として白金を用いた場合の製法としては、出発原料として塩化白金酸をチタン基板の表面に塗布し、乾燥、焼成の熱分解処理によって白金粒子の層を形成する焼成法、白金をチタン基板に電気めっきにより白金粒子の層を形成する電気めっき法などがあるが、特に限定されるものではなく、市販されている電極材料を採用してもよい。
ガラス層16は、ガラス組成物14の出発原料である、主成分が二酸化珪素のガラスフリット、樹脂、溶剤に、誘電体粒子15が混合されたガラスペーストを貴金属層13に塗布し、焼成することによって形成される。ガラス層16には、焼成した際に、ガラス組成物14と誘電体粒子15の界面の隙間や、誘電体粒子15の隙間を通って水が流通する流通路17が形成される。
ガラス層16を形成する方法としては、スプレー塗装、刷毛やヘラ塗り、ロールコーター、スピンコーター、スクリーン印刷が挙げられ、限定されるものではない。
図2は、本実施の形態の電解用電極11を用いた一例を示す流通式の電解装置の概略図である。図2において、電解装置18は、水の流入口19と電解された水の流出口20が設けられた筐体21と、筐体21の内部に取り付けられたアノード電極としての電解用電極11と、カソード電極である対極22と、電解用電極11及び対極22に通電するための直流電源23とを備えている。
本実施の形態の電解用電極11は、貴金属層13とガラス層16を形成した面が対極22と対向するように配置され、水が電解用電極11と対極22の間を流れるように流路を設けて構成している。
次に、図2に示す電解装置18の動作とオゾン発生について説明する。
電解装置18の一端に設けられた流入口19に水を所定の流量で供給する。水は、電解用電極11と対極22と接触しながら両極の間で形成された流路を流れ、流出口20から排出される。電解装置18内の電解用電極11と対極22が水で満たされると、電解用電極11をアノード極、対極22をカソード極として直流電源23から電圧、もしくは電流が印加され、水を電気分解する。
通常、水の電気分解では、アノード極の電解用電極11で酸素が発生し、カソード極の対極22では水素が発生する。
本実施の形態のガラス層16は、導電性がないので、直流電源23からの電圧、もしくは電流が印加されても、ガラス層16の表面では、水の電気分解反応が起こらない。しかしながら、ガラス層16には、流通路17が形成されている。水は、流通路17を通り、電極基体12の表面に形成される導電性の貴金属層13に到達する。そして、到達した水は、貴金属層13の表面で電気分解される。
貴金属層13に到達した水が貴金属層13と接触する面積は、貴金属層13の面積に比べ極めて小さく、水と貴金属層13が接触する部分に電流が集中(電流密度が高い)する。その結果、電解用電極11に印加される電圧が高くなり、酸素発生の電圧が高くなる(過電圧が高くなる)。この酸素生成の電圧がある電圧以上になると、酸素の生成と同時に
酸素ラジカル等の活性種が生成され、この活性種と酸素が反応してオゾンが生成される。
したがって、オゾンが生成される電圧以上で酸素生成の電極反応が起こるように、ガラス層16に形成する流通路17の大きさと数(量)を制御することによって、所定の濃度のオゾン水を得ることができる。
本実施の形態のガラス層16は、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物14と誘電体粒子15から構成されている。ガラス層16は、ガラス組成物14に誘電体粒子15が分散した状態にあるが、ガラス組成物14と誘電体粒子15は完全に密着した状態になく、微小な隙間が生じている。また、誘電体粒子15同士の接触部も点接触であり、誘電体粒子15の周りは微小な隙間がある。
本実施の形態のガラス層16に形成された流通路17は、ガラス組成物14と誘電体粒子15の隙間および誘電体粒子15間の隙間を利用して形成されるものである。水と貴金属層13が接触する面積は、流通路17の大きさ、数(量)によって変化し、流通路17の大きさ、数(量)は、ガラス層16の膜厚、ガラス層16に含まれる誘電体粒子15の大きさと含有量によって変化する。
すなわち、ガラス層16の膜厚を薄くし、誘電体粒子15の粒径を大きくし、誘電体粒子15の含有量を多くすると、流通路17を流通する水と貴金属層13が接触する面積が大きくなり、酸素発生の電圧が相対的に低くなる。一方、ガラス層16の膜厚を厚くし、誘電体粒子15の粒径を小さくし、誘電体粒子15の含有量を少なくすると、流通路17を流通する水と貴金属層13が接触する面積が小さくなり、酸素発生の電圧が相対的に高くなる。
したがって、ガラス層16の膜厚、誘電体粒子15の粒径、含有量を制御することで、オゾンの生成量を制御することができる。このため、電極の設計の自由度が大きくなり、実用性の高い電解用電極11を提供することができる。
また、本実施の形態の誘電体粒子15を含むガラス層16は、誘電体粒子を含まないガラス層よりも、水と貴金属層13が接触する面積が大きくなる。このため、酸素発生の電圧が低くなり、オゾン生成量は少なくなる。したがって、両者のオゾン生成量を同等にするためには、ガラス層16の膜厚を、誘電体粒子を含まないガラス層よりも厚くする必要がある。
ガラス層16の膜厚を厚くすることにより、単位膜厚の変化に対し、酸素発生の電圧の変化を小さくすることができる。このおため、膜厚の変動によるオゾン生成量の変動を小さくすることができる。その結果、所定のオゾン生成量を得やすい電解用電極11を提供することができる。また、ガラス層16の形成に用いられるガラスペーストの塗布条件の管理幅を広くすることができるので、品質の安定した電解用電極11の生産を容易にできる。
なお、本実施の形態のガラス層16は、オゾン生成がガラス層16の膜厚、ガラス層16に含有する誘電体粒子15の粒径、含有量によって変化する。このため、膜厚、粒径、含有量の範囲は、所定のオゾン生成量が得られように適宜選択されるものであり、限定されるものではない。
また、本実施の形態のガラス層16は、貴金属層13との接着性に優れ、かつガラス成分が貴金属層13の孔を介して電極基体12とも接着させることができる。このため、水の電気分解によって発生する酸素などのガスの圧力によるガラス層16の破壊や剥離を防
止することができる。また、ガラス層16と貴金属層13の界面や貴金属層13と電極基体12の界面の水の浸食による層間剥離を防止することができる。その結果、水と貴金属層13が接触する面積を安定して維持することができるので、電解用電極11は長期にわたり初期のオゾン生成性能を実現することができる。
電解用電極11は、目的とするオゾンを生成させるために、アノード電極として用いられる。アノード電極側では、酸素発生の電極反応が起こるため、電解用電極11を構成するガラス層16、貴金属層13はpHの低い強酸性環境に曝される。
一方、カソード電極の電極表面は、水に含まれるカルシウムイオンなどの金属イオンが還元され、スケール成分として付着する。そのため、アノード電極とカソード電極を反転し、スケールを除去するという操作(転極)が行われるが、電解用電極11がカソード電極となるため、電極表面は、pHの高い強塩基性環境となる。
しかしながら、本実施の形態の電解用電極11は、ガラス層16に主成分が二酸化珪素であるガラス組成物を用いており、二酸化珪素のガラス組成物が耐酸性、耐塩基性に優れている。これにより、強酸性、強塩基性の環境下でもガラス層16の成分の溶出が抑制され、ガラス層16の剥離や溶解を防止することができ、長期にわたり安定したオゾン生成性能を維持することができる。
耐酸性と耐塩基性が両立するガラス層16中の二酸化珪素の含有量は、60重量%以下になると、他のガラス成分の溶出が多くなり、ガラス層の溶解が起こる。一方、90重量%以上では、ガラス層の溶出が防止されるが、二酸化珪素の含有量が多くなると、焼成温度が高くなり、電極基体12に激しい酸化や変形が発生する。このため、ガラス層16の二酸化珪素の含有量は、60〜90重量%が適している。
また、本実施の形態のガラス層16に含まれる誘電体粒子15の材料は、耐酸性、耐塩基性環境下の水質に暴露されても溶解量が少ないチタン、ニオブ、シリコン、アルミニウムの酸化物、窒化物が好適である。
本実施の形態のガラス層16は、アルカリ金属、およびアルカリ土類金属の化合物を含まない組成のガラスとすることが好ましい。アルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物を含有したガラス層は、長期間水中で浸漬されると、アルカリ金属、アルカリ土類金属が徐々に溶出し、多孔質化する。ガラス層が多孔質化すると、水が接触する貴金属層13の面積が増加し、酸素生成の電圧が低下し、オゾン生成性能が低下する。
本実施の形態のガラス層16は、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物14と誘電体粒子15とからなる。ガラス層16は、アルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物を含んでいないので、ガラス成分の溶出が抑制され、電解用電極11を長期間作動させてもガラス層16の多孔質化を抑制することが可能となり、長期にわたり初期のオゾン生成性能を維持することができる。
本実施の形態の貴金属層13は、水を電解分解させるための電極反応を高める材料が好ましい。電極反応を活性化させる材料は、貴金属を含む材料が挙げられるが、中でも、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウムの貴金属、これら貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物がよい。
これにより、水の電気分解性能を高くすることができるので、オゾンの生成量を多くすることができる。また、化学的に安定した材料であるので、優れた耐久性を実現することができる。
本実施の形態のガラス層16は、従来の電解用電極のように、十数回以上の塗り重ねを必要とせず、多くとも数回の塗布、焼成の繰り返しで所定の膜厚を得ることができる。これにより、製造工程の簡素化、製造工数の削減による低コスト化が可能となり、生産性に優れた電解用電極11を提供することができる。
また、本実施の形態では、電極基体12として金属材料を挙げているが、セラミックなどの誘電体の基板でもよい。セラミック基板を電極基体12として用いる場合は、電源に電気的に接続される電解用電極の端子部を貴金属層13と同じように導電性の被膜を設けることで電解用電極11を実現することができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態おける電解用電極の厚さ方向の概略断面拡大図である。実施の形態1と異なる点は、貴金属層の構成材料にある。なお、図3において、実施の形態1と同じ構成材料には、同じ符号を付して説明を省略している。
電解用電極11は、電極基体12と、電極基体12の一方の表面に形成される貴金属層25と、貴金属層25の表面に形成されるガラス層16とから構成される。
電極基体12、およびガラス層16は、実施の形態1と同様の材料を用いることができる。
本実施の形態の貴金属層25は、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物26に、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種の貴金属粒子27を分散させた状態で構成している。
具体的には、貴金属層25は、貴金属粒子27と、主成分が二酸化珪素のガラス組成物の出発原料である、主成分が二酸化珪素のガラスフリットと樹脂と溶剤を混合した導電性ペーストを作製し、これを電極基体12に塗布し、焼成することにより形成している。
このように作製した電解用電極24は、貴金属層25には、ガラス層16と同じ組成のガラス組成物を用いているので、ガラス層16と貴金属層25の接着性をさらに向上させることができ、電極反応によって水が電気分解されたときに発生するガスによるガラス層16の破壊や剥離が防止される。
また、本実施の形態の貴金属層25は、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物を含んでいるので、電極基体12との接着性を第1の実施の形態よりも、さらに向上させることができる。ガラス層16と貴金属層25の界面だけでなく、貴金属層25と電極基体12の界面おける水の浸食による層間剥離を防止することができる。その結果、水と貴金属層25が接触する面積を安定して維持することができるので、電解用電極24は、長期にわたり初期のオゾン生成性能を実現することができる。
次に、第1の実施の形態、第2の実施の形態における電解用電極11、24の効果を確認するため、図2で示した電解装置18を用い、耐久性を評価した。
電解用電極の有効電極面積を9cm2、電流密度を20mA/cm2、通水する水の流量を90ml/分とし、電解用電極11、24をアノード電極として30分、カソード電極として30分(転極)の運転動作の繰り返し試験を実施した。対極となる電極は、市販の白金電極を用いている。
比較として、実施の形態1のガラス層16として、ビスマス系ガラスを用いたもの、従来例の誘電体層を用いたものについても同様な試験を実施した。
表1にその結果を示す。
Figure 2020012124
第1の実施の形態、第2の実施の形態による電解用電極は、従来例の電解用電極よりも高いオゾン生成性能を示し、本実施の形態の効果が確認された。
また、第1の実施の形態のガラス層16を、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物に替えて、ビスマス系ガラス組成物を用いた電解用電極は、貴金属層、ガラス層がともに溶解、剥離し、オゾンの生成能力はなくなっていた。
以上のように、本発明の電解用電極は、耐久性に優れていることが実証された。
第1の実施の形態、第2の実施の形態におけるガラス層16は、酸素生成の電圧を高くすることにより、オゾンが生成される。オゾンが生成される酸素生成の電圧を明確にするため、電解質として0.1Mol濃度の硫酸ナトリウム、参照電極としてAg/AgCl電極、対極として白金、作用極として本実施の形態の電解用電極11、24を用い、ポテンショスタット測定器によって電流−電圧特性を評価した。
その結果、電解用電極11、24の電圧は、1.6〜3V(参照電極の電位に対して)の範囲がオゾン生成に好適であることがわかった。1.6V未満では、オゾンの生成量が少なく、3Vより高いと、オゾンの生成によって流れる電流が大きくなり、貴金属層25に含まれる貴金属が溶出して耐久性が低下する。
なお、本実施の形態のガラス層16では、従来例のように貴金属層13、25に到達するクラックは発生しておらず、従来技術のようにクラックを水の流通路とするものではない。
また、ガラス層16に用いられるガラス組成物は、酸素を酸化し、オゾンを生成させる触媒効果もないと判断する。
以上のように、第1の実施の形態、第2の実施の形態における電解用電極は、ガラス層によってオゾンが生成される電圧を制御できるので、任意の濃度のオゾン水を製造することができる。また、ガラス層と貴金属層の接着性が高く、ガラス層の剥離が防止されるため、耐久性に優れ、長期にわたり安定したオゾン濃度の水を得ることができる。
また、ガラス層は簡単な工程で容易に形成できるので、生産性に優れている。
さらに、第1の実施の形態、第2の実施の形態における電解用電極を有する電解装置を備えた電気機器を提供することで、この電解用電極を有する電解装置が生成するオゾンにより、水や食品の除菌、臭気成分の分解による室内の脱臭、風呂水の浄化、浴槽の汚染防止などが実現できる。
以上のように、本発明にかかる電解用電極は、安定したオゾンの生成や耐久性を向上させるとともに、生産性に優れているので、オゾンによる水や食品の除菌、臭気成分の分解による室内の脱臭、風呂水の浄化、浴槽の汚染防止などの機能を有する電解装置を備えた電気機器に適用できる。
11、24 電解用電極
12 電極基体
13、25 貴金属層
14、26 ガラス組成物
15 誘電体粒子
16 ガラス層
17 流通路
25 貴金属層
27 貴金属粒子

Claims (8)

  1. 電極基体と、
    前記電極基体の表面に形成され、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種からなる貴金属層と、
    前記貴金属層の表面に形成され、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と、誘電体粒子からなるガラス層と、
    から構成される電解用電極。
  2. 前記ガラス層は、前記貴金属層に連通する流通路を有する請求項1に記載の電解用電極。
  3. 前記流通路は、前記主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と前記誘電体粒子によって形成される請求項2に記載の電解用電極。
  4. 中間層は、主成分が二酸化珪素であるガラス組成物と、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種からなる請求項1に記載の電解用電極。
  5. 前記主成分が二酸化珪素であるガラス組成物は、二酸化珪素の含有量が60〜90重量%である請求項1または4のいずれか1項に記載の電解用電極。
  6. 前記主成分が二酸化珪素であるガラス組成物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含まない組成である請求項1または請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の電解用電極。
  7. 前記中間層の貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物は、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウムの少なくとも1種を含む請求項1または請求項4のいずれか1項に記載の電解用電極。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解用電極を備えた電気機器。
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