JP2020012121A - 電解用電極およびそれを備えた電気機器 - Google Patents

電解用電極およびそれを備えた電気機器 Download PDF

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Kiyoe Gunji
妃代江 郡司
藤井 優子
Yuko Fujii
優子 藤井
茂 笹部
Shigeru Sasabe
笹部  茂
勤 古田
Tsutomu Furuta
勤 古田
福田 祐
Yu Fukuda
祐 福田
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Abstract

【課題】オゾンの生成性能に優れ、耐久性を向上させた電解用電極を提供すること。【解決手段】電気絶縁性を有する電極基体12と、電極基体12の表面に形成された導電性を有する電極反応層13と、電極反応層13の表面に形成されたバインダーを主成分とし、水と電極反応層13の表面との接触面積を制限する流体制限層14とから構成されている電解用電極11である。電極基体の腐食を抑制するとともに電極反応層との密着性を向上させ、剥離を防止し、耐久性の向上を図る。また流体制限層が水の電極反応層との接触を制限して、オゾン生成の向上を図る。【選択図】図1

Description

本発明は、水を電気分解し、活性物質を生成する電解用電極に関する。
従来、この種の電解用電極は、導電性基体の表面に、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属酸化物のいずれかを含む中間層を形成し、さらに中間層の表面に、酸化触媒作用を有する誘電体を含む層状の表面層を形成している。表面層には、表面層を貫通し、中間層に到達する孔を形成している(例えば、特許文献1参照)。
図6は、特許文献1に記載された従来の電解用電極の厚さ方向の概略断面拡大図を示すものである。
図6に示すように、電解電極1は、導電性基体2の一方の表面に中間層3が形成され、中間層3の表面に表面層4が形成されている。電解用電極1は、導電性基体2と、中間層3と、表面層4とから構成される。中間層3は、貴金属、貴金属を含む合金、もしくは貴金属酸化物からなる形成される。表面層4は、タンタル、アルミニウム、チタン、タングステン、ニオブなどのアルコキシド化合物と溶剤の混合物を熱分解して得られる酸化物からなる誘電体材料により形成されている。
表面層4は、誘電体材料が中間層3の表面に塗布、常温乾燥、220℃乾燥、600〜700℃の高温焼成の工程を十数回繰り返して行なわれ、層状の構造となるように形成される。これにより、表面層4の厚さ方向には多数のクラックが発生し、このクラックを起点とし、表面層4を貫通して中間層3まで到達することにより孔5が形成される。
電解用電極1をアノードとし、カソード電極を用いて、水を電気分解すると、電解用電極1の側では、水が孔5を通って中間層3に到達する。これにより、孔5と連接する中間層3の表面部分の僅かな面積上で電極反応が起こり、孔5と連接する中間層3の部分の貴金属の電流密度が上昇し、さらには表面層4の孔5周囲の誘電体材料の触媒作用により酸素が酸化されオゾンが生成される。
特開2006−97122号公報
しかしながら、前記従来の構成では、表面層4を形成するために、中間層3の表面に十数回の塗布、乾燥、焼成を繰り返している。このような多層構造になると、表面層4の膜厚が不均一となることや、発生したクラックの分岐と結合が複雑な構造となるので、クラックを起点とする孔5の安定した形成が困難となり、オゾンの生成が安定しないという課題を有していた。
また、表面層4の形成のために十数回の塗布、乾燥、焼成を繰り返すという煩雑な製造工程となり、電解用電極1の生産性が悪いという課題を有していた。
また、表面層4の誘電体は、金属アルコキシドを原料とした熱分解によって生成する粒子のみで構成される。
しかしながら、600〜700℃の焼成では、誘電体の粒子同士の結合や誘電体の粒子と中間層3の結合が半焼結状態である。従って、中間層3と表面層4、表面層4自体の密着性が弱く、電極反応によって発生する酸素やオゾン等のガスの圧力によって表面層4の剥離が起き易くなり、耐久性が劣るという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、安定したオゾンの生成や耐久性を向上させるとともに、生産性に優れた電解用電極を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の電解用電極は、電気絶縁性を有する電極基体と、前記電極基体の表面に形成され、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種からなる電極反応層と、前記電極反応層の表面に形成され、バインダーを主成分とし、水と前記電極反応層の表面との接触面積を制限する流体制限層と、から構成されているものである。
これによって、安定したオゾンの生成や耐久性を向上させるとともに、生産性に優れた電解用電極を提供できる。
本発明によれば、安定したオゾンの生成や耐久性を向上させるとともに、生産性に優れた電解用電極を提供できる。
本発明の実施の形態1における電解用電極の厚さ方向の概略断面図 同電解用電極を用いた電解装置の概略図 本発明の実施の形態2における電解用電極の厚さ方向の概略断面図 本発明の実施の形態3における電解用電極の概略断面図 本発明の実施の形態4における電解用電極の概略断面図 従来の電解用電極の厚さ方向の概略断面図
第1の発明は、電気絶縁性を有する電極基体と、前記電極基体の表面に形成され、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種からなる電極反応層と、前記電極反応層の表面に形成され、バインダーを主成分とし、水と前記電極反応層の表面との接触面積を制限する流体制限層と、から構成されているものである。
これによって、本発明の電解用電極をアノード電極とし、カソード電極との間に電圧または電流を印加した場合、アノード電極は、流体制限層が水と電極反応層との接触を制限し、水と電極反応層の接触面積を小さくするので、アノード電極は、流体制限層のない構成の電極よりも、水の電気分解による酸素生成の電圧が高くなる。この酸素生成の電圧がある電圧以上になると、酸素の生成と同時に酸素ラジカル等の活性種が生成され、この活性種と酸素が反応してオゾンが生成される。したがって、オゾンが生成可能な電圧以上となるように、流体制限層が電極反応層への水の浸透を抑制し、オゾン生成量に応じた電圧あるいは電流で電気分解することによって、任意の濃度のオゾン水を製造することができる。
流体制限層をバインダー材料で形成することによって、流体制限層と電極反応層との密着性を向上させることができる。したがって、電気分解によって発生する酸素などのガスによる流体制限層の破壊や、流体制限層と電極反応層の界面部の水の浸食による流体制限
層の剥離を防止することができる。そのため、水と電極反応層との接触面積が一定に保たれ、長期にわたり初期のオゾン生成性能を発揮させることができる。
流体制限層に用いられるバインダーは、専用溶媒を用いることで簡単に濃度調製ができるため、多くとも数回の塗布、焼成の繰り返しで所定の膜厚の流体制限層が得られる。そのため、製造工程の簡素化、工数の削減による低コスト化が可能となり、生産性に優れた電解用電極を提供することができる。
電極基体は、電気絶縁性を有する材料、または、金属の表面に電気絶縁性を有する被膜を形成する材料で形成することで、電極基体の酸化により腐食を防ぐことができ、電極基体の酸化腐食による孔食や亀裂を抑制し、電極基体の剥離やクラックが抑制されるとともに、電極反応層の剥離を防止することができ、耐久性を向上できる。さらに、電極反応層と流体制限層を高温で焼成することが可能となり、電極反応層との密着性を向上させることができる。
電極基体を電気絶縁性で形成することにより、電極基体の酸化腐食による孔食や亀裂を抑制し、耐久性を向上できる。さらに、電極反応層と流体制限層を高温で焼成することが可能となり、電極反応層との密着性を向上させることができる。
電極反応層は、導電性を有する材料を塗布することで、電気を供給することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、電極基体は、主成分をセラミックから形成されていることを特徴とするものである。
これにより、電極基体の酸化腐食を防止することができるため、耐久性を向上できる。また、温度耐久性が可能となるため、電極反応層や流体制限層の焼成温度の高温が可能となり、生産性に優れた電解用電極を提供することができる。
第3の発明は、特に、第1の発明において、電極基体は、金属の表面に電気絶縁性を有する被膜を形成することを特徴とするものである。
これにより、金属表面の酸化腐食を防止することができるため、耐久性を向上できる。
第4の発明は、特に、第1から第3のいずれかの発明において、電極反応層は電極に電気と接続する電気接合層を備えることを特徴とするものである。
これにより、電極基体を連通することなく電解反応層に電気を簡単に接続することができる。
第5の発明は、特に、第1の発明において、流体制限層は、主成分が誘電体材料の粒子とバインダーとから形成されているとともに、流体制限層に電極反応層と連通する流通路を設けたことを特徴とするものである。
これにより、電気分解される水が電極反応層に到達しやすくなり、水と電極反応層との接触面積を大きくすることができるので、オゾンとが生成する電圧の幅が狭くなる欠点があるものの、電極反応層での電極反応による電流密度を小さくすることができ、電極としての耐久性をさらに向上させることができる。
第6の発明は、特に、第5の発明において、流通路は、誘電体材料の粒子によって形成されていることを特徴とするものである。
これにより、電気分解される水は、主として流体制限層を構成する誘電体材料の粒子間およびこの粒子とバインダーとの界面の隙間を通って侵入するので、水と電極反応層の表面と接触する面積は、流体制限層に含まれる粒子の大きさ、含有量によって変化する。
したがって、流体制限層に含まれる粒子の大きさ、含有量が酸素生成の電圧を変化させることになるので、流体制限層が同じ膜厚でも誘電体材料の粒子の大きさ、含有量によってオゾンの生成量を制御することができ、電解用電極の設計の自由度が大きくなり、実用性の高い電解用電極を提供することができる。
第7の発明は、特に、第5または第6の発明において、誘電体材料の粒子は、略球形であることを特徴とするものである。
これにより、誘電体材料の粒子同士の隙間、誘電体材料の粒子とバインダーの界面の隙間を一様な形状、大きさとすることができるので、流路抵抗が安定した流通路を形成することができ、安定したオゾン生成性能を得ることができる。
第8の発明は、特に、第1から第7のいずれかの発明において、バインダーは、無機系バインダーであることを特徴とするものである。
これにより、水との馴染みを良くすることができるので、長時間使用されても安定した流体制限層への水の浸透が得られ、電解用電極のオゾン生成性能が安定させることができる。
第9の発明は、特に、第8の発明において、バインダーは、主成分がガラスであることを特徴とするものである。
これにより、流体制限層の硬度、強度を高くすることができるので、機械的な破損を防止することができ、耐久性を向上させることができる。
第10の発明は、特に、第9の発明において、バインダーは、主成分が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の化合物を含まない組成のガラスであることを特徴とするものである。
これにより、水に浸漬された状態で放置されても水に溶解し易いアルカリ金属やアルカリ土類金属の溶出による流体制限層の多孔質化を防止することができるので、長期にわたり初期のオゾン生成性能を維持することができる。
第11の発明は、特に、第1から第10のいずれかの発明の電解用電極を備えた電気機器である。
これにより、安定してオゾンを生成できる電解用電極を有する電解装置を備えた電気機器を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電解用電極の厚さ方向の概略断面拡大図を示すものである。
図1において、電解用電極11は、電気絶縁性を有する電極基体12の一方の表面に、電極反応層13が形成され、電極反応層13の表面には、流体制限層14が、順次形成され、電解用電極11が構成される。電極反応層13は、貴金属、貴金属を含む合金、貴金を含む属酸化物のうち、少なくとも1種から形成される。流体制限層14は、バインダーを主成分とし、水と電極反応層13の表面との接触面積を制限する。
電極基体12は、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニアなど、酸化物、炭化物が適用可能であるが、耐食性、機械的強度、加工性、コストなどの点から実用的には、アルミナが適している。
電極反応層13は、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種が用いられるが、水の電気分解には、性能、耐久性の点で白金、白金を含む合金が適している。電極反応層13の製法としては、出発原料として塩化白金酸をチタン基板の表面に塗布し、乾燥、焼成による熱分解して白金粒子の層を形成する焼成法、白金をチタン基板に電気めっきして、白金粒子の層を形成する電気めっき法などがあるが、特に限定されるものではなく、市販されている電極材料を採用してもよい。
流体制限層14は、バインダーを主成分とするコーティング剤を塗布し、加熱硬化させることによって形成される。コーティング剤としては、ガラスペースト、金属アルコキシド、アルミナゾル、コロイダルシリカなどの無機系バインダーや、ナイロン樹脂ワニス、アクリル樹脂ワニス、シリコーン樹脂ワニスなど塗料として用いられている有機系バインダーが適用される。中でも、水と電極反応層13の表面の接触面積を制限する機能と耐久性の点からガラスペーストが好適である。
また、流体制限層14を形成する方法としては、スプレー塗装、刷毛やヘラ塗り、ロールコーター、スピンコーター、スクリーン印刷が挙げられ、限定されるものではない。流体制限層14として無機系材料を用いる場合は、スパッタリング、CVDによる製法も採用することができる。
図2は、本発明の第1の実施の形態の電解用電極11を用いた一例を示す流通式の電解装置の概略図である。図2において、電解装置15は、水の流入口16と電解された水の流出口17が設けられた筐体18と、筐体18の内部に取り付けられたアノードとしての電解用電極11と、対極19と、電解用電極11及び電極19に通電するための直流電源20とを備えている。
本実施の形態の電解用電極11は、電極反応層13と流体制限層14を形成した面が対極19と対向するように配置され、水が電解用電極11と対極19の間を流れるように流路を構成している。
次に、図2に示す電解装置15の動作とオゾン発生について説明する。水が電解装置15の一端に設けられた流入口16から所定の流量で供給される。水は、電解用電極11と対極19に接触しながら、両電極の間に形成される流路を流れ、流出口17から排出される。電解装置15内の電解用電極11と対極19間が水で満たされると、直流電源20から電解用電極11をアノード極、対極19をカソード極として電圧、もしくは電流が印加され、水を電気分解する。
アノード極である電解用電極11では、水の電気分解処理で酸素が発生し、カソード極である対極19では、水素が発生する。
本実施の形態では、電解用電極11の水と接触する最表層には、流体制限層14を形成
している。
流体制限層14は、誘電体材料を用いている。このため、直流電源20からの電圧、もしくは電流が印加されても電極としての導電性が得られず、流体制限層14では、水の電気分解反応が生じない。水は、流体制限層14中を浸透し、水が電解用電極11の電極基体12の表面に形成されている導電性の電極反応層13に到達すると、電極反応層13の表面で電気分解される。
流体制限層14は、バインダーを主成分とするコーティング剤を塗布し、加熱硬化させて形成されたコーティング膜で構成される。このバインダーを主成分とするコーティング膜は、緻密な膜構造であるが、一様の密度ではない。このため、水は、相対的に膜の密度が小さい部分を介して流体制限層14中を浸透し、電極反応層13に到達する。
電極反応層13に到達した水と電極反応層13の接触面積は、電極反応層13全体の面積に比べ極めて小さく、流体制限層14のない電極構成よりも接触する電極反応層13の部分の電流密度が増加し、酸素発生の電圧が高くなる(過電圧が高くなる)。この酸素生成の電圧が、ある電圧以上になると、酸素の生成と同時に酸素ラジカル等の活性種が生成され、この活性種と酸素が反応してオゾンが生成される。
従って、オゾンが生成される電圧以上で酸素生成の電極反応が発生するように流体制限層14の多孔性を制御し、オゾン生成量に応じた電圧、あるいは電流で電気分解することによって所定の濃度のオゾン水を製造することができる。
流体制限層14は、バインダー材料で形成される。バインダーは、本来、接着剤としての機能を有する。バインダー材料を流体制限層14の形成に用いることにより、流体制限層14と電極反応層13との密着性を向上させることができる。これにより、電解によって発生する酸素などのガスの圧力による流体制限層14の破壊や、流体制限層14と電極反応層13の界面部の水の浸食による流体制限層14の剥離を防止することができる。
その結果、常に一定の水と電極反応層13との接触面積を維持することができるので、本実施の形態の電解用電極11は、長期にわたり初期のオゾン生成性能を維持することができる。
また、流体制限層14に用いられるバインダーは、専用溶媒で濃度調製が簡単にできるため、従来の電解用電極のように、十数回以上の塗り重ねを必要とせず、多くとも数回の塗布、焼成の繰り返しによって所定の膜厚を得ることができる。これにより、製造工程の簡素化、製造工数の削減による低コスト化が可能となり、生産性に優れた電解用電極11を提供することができる。
本実施の形態の流体制限層14に用いられるバインダーは、前述の通り、ガラスペースト、金属アルコキシド、アルミナゾル、コロイダルシリカなどの無機系バインダーや、ナイロン樹脂ワニス、アクリル樹脂ワニス、シリコーン樹脂ワニスなど塗料として用いられている有機系バインダーが適用されるが、特に、無機系バインダーが好適である。無機系バインダーは、親水性が高く、水との馴染みが良好であるため、流体制限層14の表面での水の弾きが抑制され、水が常に安定して流体制限層14内部へ浸透する。したがって、オゾン生成性能が安定化し、品質の高い電解用電極11を実現することができる。
無機系バインダーとしては、特に、主成分がガラスであることが好適である。ガラス材料は、電極反応層13との優れた密着性を実現することができる。また、流体制限層14自体の硬度、強度が高いので、機械的な破損を防止することができ、優れた耐久性を実現
することができる。
また、無機系バインダーとしては、ガラスの中でも主成分がアルカリ金属、およびアルカリ土類金属の化合物を含まない組成のガラスとすることが好ましい。アルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物を含有したガラスからなる流体制限層14は、長期間水中で浸漬されると、アルカリ金属、アルカリ土類金属が徐々に溶出し、多孔質化する。多孔質化した流体制限層14は、水が電極反応層13へ浸透する箇所が多くなるため、水と電極反応層13と接触面積が増加し、酸素生成の電圧が低下し、オゾン生成性能が低下する。
本実施の形態の流体制限層14は、アルカリ金属、アルカリ土類金属の化合物を含まないガラスからなり、ガラス成分の溶出を抑制することができる。このため、電解用電極11が水に浸漬された状態で長期間放置されても、流体制限層14の多孔質化を防止することができ、長期にわたり初期のオゾン生成性能を維持することができる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属を含有しないガラスは、一般的には、塗布後の焼成温度が900℃以上の高温となる。このガラスは、電極基体12が金属材料である場合は、高温で焼成すると酸化が進行し、酸化層の剥離、電極の変形などが発生し、電解用電極11としての機能が発揮できなくなる可能性がある。
この課題を解決するためには、流体制限層14を700℃以下の比較的低い焼成温度で焼成する必要がある。この低い焼成温度と、アルカリ金属、アルカリ土類金属を含有しないガラス成分を両立するものとして、Si、Al、B、Biの酸化物を主成分とする組成のガラスが挙げられる。この組成のガラスで流体制限層14を形成することにより、オゾン生成性能と耐久性に優れた電解用電極11を実現することができる。
なお、本実施の形態の流体制限層14は、緻密な構造であり、水の浸透が数十ナノからサブミクロンの微粒子間、あるいはガラスの分子構造の隙間を介して起こる。膜厚が厚いと、バリア性が高くなり、水の浸透性が損なわれるため、10μm以下の薄膜で形成する方がよい。
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態おける電解用電極の厚さ方向の概略拡大断面図である。実施の形態1と異なる点は、電極基体の構成材料にある。なお、実施の形態1と同じ構成材料には、同一符号を付けて説明を省略する。
電解用電極21は、電極基体12の一方の表面に貴金属、貴金属を含む合金、もしくは貴金属酸化物からなる電極反応層13が形成され、さらに電極反応層13の表面には、流体制限層22が形成され、電解用電極21が構成される。流体制限層22は、主成分が誘電体材料の粒子23とバインダー24とからなり、粒子23とバインダー24との間に電極反応層13と連通する流通路25が形成されている。
なお、電極基体12、電極反応層13は、実施の形態1と同様の材料を用いることができる。
本実施の形態の流体制限層22を構成する誘電体材料の粒子23は、導電性を有せず、水環境に曝されても粒子成分が溶出しない化合物であれば適用することができる。化合物としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカなどの金属酸化物、窒化物、炭化物が挙げられる。
また、この化合物は、単独、混合物、複合化物のいずれも用いることができ、半導体の
ような電気抵抗が高い材料の粒子も適用可能である。
流体制限層22に用いられるバインダー24は、実施の形態1と同様な材料および製法が適用される。
流体制限層22に形成される流通路25は、含有する誘電体材料の粒子23によって形成されるものである。すなわち、誘電体材料の粒子23同士の微小な隙間、および、誘電体材料の粒子23とバインダー24の界面の隙間が連なることによって、電極反応層13に連通した流通路25が形成される。水は、流通路25を通り、電極反応層13と接触する。
この構成によると、流通路25を設けることにより、電気分解される水が電極反応層13に到達しやすくなるので、水と電極反応層との接触面積を大きくすることができる。オゾンが生成される電圧の幅が狭くなる欠点があるが、電極反応層13での電流密度を小さくすることができる。これにより、電極反応層13として用いられる貴金属の溶出量が少なくなり、電解用電極21の耐久性を向上させることができる。
流体制限層22の流通路25は、誘電体材料の粒子23同士の隙間および誘電体材料の粒子23とバインダー24の界面の隙間が連なって形成される。従って、電気分解される水と接触する電極反応層13の表面の接触面積は、流体制限層22に含まれる誘電体材料の粒子23の大きさ、含有量によって変化する。
すなわち、流体制限層22に含まれる誘電体材料の粒子23の粒径が小さい場合は、接触する粒子同士の隙間、流体制限層22の流通路25が小さくなり、電極反応層13と接触する水との接触面積が小さくなる。その結果、酸素発生の電圧が高くなり、オゾンの生成量が多くなる。
一方、流体制限層22に含まれる誘電体材料の粒子23の含有量が少なくなると、形成される流通路25の数も少なくなり、電極反応層13と接触する水との接触面積が小さくなる。その結果、酸素発生の電圧が高くなり、オゾンの生成量が多くなる。
このことから、流体制限層22に含まれる誘電体材料の粒子23の大きさ、含有量により、酸素生成の電圧を制御することが可能である。したがって、流体制限層22が同じ膜厚であっても、誘電体材料の粒子23の大きさ、含有量によって、オゾンの生成量を制御できるので、電解用電極21の設計の自由度が大きく、実用性の高い電解用電極21を提供することができる。
また、本実施の形態に用いられる誘電体材料の粒子23は、形状が球形であることが好ましい。誘電体材料の粒子23の形状を球形とすることにより、誘電体材料の粒子23同士の隙間、誘電体材料の粒子23とバインダー24の界面の隙間を比較的一様な形状、大きさにすることができる。これにより、流路抵抗が安定した流通路25を形成することができ、安定したオゾン生成性能を得ることができる。
誘電体材料の粒子23として、一様に球形のアルミナビーズと、多角形で粒子の形状が異なるアルミナの粉砕粒子の両者について、バインダー24としてガラスペーストを用いて各々の流体制限層22を形成した電解用電極21を各10枚作製した。
これらの電解用電極21ついて、図2に示した電解装置15を用い、電解用電極21をアノード、市販の白金電極をカソードとして、水道水を流しながら一定電圧を印加し、生成するオゾン濃度を測定した。その結果、球状のアルミナ粒子を用いて形成した流体制限
層22を有する電解用電極21は、ほぼ同様なオゾン濃度が得られたのに対し、形状の異なるアルミナ粒子を用いて形成した流体制限層22を有する電解用電極21は、オゾン濃度のばらつきが大きい結果を得た。
これは、流体制限層22を誘電体材料の粒子23として球形形状を用いて形成することにより、流体制限層22に一様な流通路25が形成され、電極反応層13に到達する水と電極反応層13との接触面積がほぼ同等となっていると推定される。その結果、安定したオゾン生成性能を実現できると考えられる。
本発明の第1の実施の形態、第2の実施の形態における流体制限層14、22は、酸素生成の電圧を高くすることにより、オゾンが生成する。オゾンが生成する酸素生成の電圧を明確にするため、電解質として0.1M濃度の硫酸ナトリウム、参照電極としてAg/AgCl電極、対極として白金、作用極として本実施の形態の電解用電極11、21を用いて、ポテンショスタット測定器によって電流−電圧特性を評価した。
その結果、電解用電極11、21の電圧は、1.6〜3V(参照電極の電位に対して)の範囲がオゾン生成に好適であることがわかった。1.6V未満では、オゾンの生成量が少ない。3Vより高いと、電流が大きく、電極反応層13に含まれる貴金属の溶出が大きくなり、耐久性が低下する。
なお、本実施の形態の流体制限層14と22は、従来例のように電極反応層13に到達するクラックは発生しておらず、従来技術のようにクラックを水の流通路とするものではない。
また、流体制限層14、22に用いられる材料は、酸素を酸化し、オゾンを生成させる触媒効果もないと判断する。
(実施の形態3および4)
図4は、本発明の実施の形態3における電解用電極の概略断面図である。
本実施の形態3の電解用電極11は、電極基体12の表面に電極反応層13を形成し、電極反応層13の表面に流体制限層14を形成している。本実施の形態3では、電極反応層13の表面に、電源に電気的に接続するための端子部26として導電性の被膜を施している。
図5は、本発明の実施の形態4における電解用電極の概略断面図である。
本実施の形態4の電解用電極11は、電極基体12として、金属基体12aの表面に絶縁性被覆12bを施したものを用い、電極基体12の表面に電極反応層13を形成し、電極反応層13の表面に流体制限層14を形成している。さらに、本実施の形態3と同様に電極反応層13の表面に、電源に電気的に接続するための端子部26として導電性の被膜を施している。
図4および図5において、電極基体12は、セラミック基板、あるいは絶縁被膜基板を用いる場合は、電極反応層13と同じように、電源に電気的に接続される端子部として導電性の被膜を設ける構成とする必要がある。
以上のように、本発明の実施の形態における電解用電極は、流体制限層によってオゾンを生成する電圧を制御することができるので、任意の濃度のオゾン水を製造することができる。また、流体制限層と電極反応層の密着性が高く、流体制限層の剥離が抑制されるた
め、耐久性に優れ、長期にわたり安定したオゾン濃度の水を得ることができる。また、流体制限層は、簡単な工程で容易に形成できるので、生産性に優れている。
さらに、本発明の実施の形態における電解用電極を有する電解装置を備えた電気機器を提供することで、この電気機器が生成するオゾンにより、水や食品の除菌、臭気成分の分解による室内の脱臭、風呂水の浄化、浴槽の汚染防止などが実現できる。
以上のように、本発明にかかる電解用電極は、安定したオゾンの生成や耐久性を向上させるとともに、生産性に優れているので、オゾンによる水や食品の除菌、臭気成分の分解による室内の脱臭、風呂水の浄化、浴槽の汚染防止などの機能を有する電解装置を備えた電気機器に適用できる。
11 電解用電極
12 電極基体
13 電極反応層
14 流体制限層
21 電解用電極
22 流体制限層
23 粒子
24 バインダー
25 流通路

Claims (11)

  1. 電気絶縁性を有する電極基体と、
    前記電極基体の表面に形成され、貴金属、貴金属を含む合金、貴金属を含む酸化物のうち、少なくとも1種からなる電極反応層と、
    前記電極反応層の表面に形成され、バインダーを主成分とし、水と前記電極反応層の表面との接触面積を制限する流体制限層と、
    から構成されている電解用電極。
  2. 前記電極基体は、電気絶縁性を有する主成分がセラミックから形成する請求項1に記載の電解用電極。
  3. 前記電極基体は、金属の表面に電気絶縁性を有する被膜を形成する請求項1に記載の電解用電極。
  4. 前記電極反応層は、電極に電気と接続する電気接合層を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解用電極。
  5. 前記流体制限層は、主成分が誘電体材料の粒子と前記バインダーとから形成されているとともに、前記電極反応層と連通する流通路を有する請求項1に記載の電解用電極。
  6. 前記流通路は、前記誘電体材料の粒子によって形成されている請求項5に記載の電解用電極。
  7. 前記誘電体材料の粒子は、略球形である請求項5または6に記載の電解用電極。
  8. 前記バインダーは、無機系バインダーである請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解用電極。
  9. 前記バインダーは、主成分がガラスである請求項8に記載の電解用電極。
  10. 前記バインダーは、主成分が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の化合物を含まない組成のガラスである請求項9に記載の電解用電極。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の電解用電極を備えた電気機器。
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