JP2020011841A - エレベータの運転制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不要な防犯運転によるエレベータの運転効率低下を招くことなく、カゴ内での犯罪を未然に防止できるエレベータの運転制御方法を提供する。【解決手段】乗場呼びが発生した乗場にいる人物が、第1属性の人物1人のみ、あるいは、第1属性の人物1人と第2属性の人物1人の場合に、防犯運転モードに切り替える。防犯運転モードでは、乗場にカゴが着床した後、乗場の乗降口近傍に設定した乗車エリア内に第1属性の人物1人のみがいることが検知された場合にカゴを戸開し、第1属性の人物がカゴに乗車したことが検知されるとカゴを戸閉し、第1属性の人物が指定した行先階にカゴを直行させる直通運転を行う。行先階で第1属性の人物がカゴから降車したことが検知された場合、または、乗車エリア内に第2属性の人物1名のみがいることが検知された場合に、防犯運転モードから通常運転モードに復帰させる。【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、エレベータの運転制御方法に関する。
エレベータのカゴ内は密室状態となるため、例えば女性や子供などが1人でエレベータを利用する際に、悪意を持ってカゴに相乗りした不審者による犯罪の被害に遭う懸念がある。従来、こうした犯罪を防止する目的で、防犯運転を行うエレベータが提案されている。例えば、カゴに乗車した利用者が指定した行先階まで直通運転を行うことにより、途中階で他の人物がカゴに相乗りする機会を抑制し、カゴ内での犯罪を未然に防止することができる。
しかし、このような防犯運転はエレベータの運転効率を低下させるため、防犯運転の必要性を的確に判断し、防犯運転の必要性が高い場合にのみ防犯運転を行って、不要な防犯運転によるエレベータの運転効率低下を招くことなく、カゴ内での犯罪を未然に防止できるようにすることが望まれる。
特開平5−782号公報 特開2017−124919号公報
本発明が解決しようとする課題は、不要な防犯運転によるエレベータの運転効率低下を招くことなく、カゴ内での犯罪を未然に防止できるエレベータの運転制御方法を提供することである。
実施形態のエレベータの運転制御方法は、乗場呼びが発生した乗場にいる人物の属性および人数を識別し、前記乗場にいる人物が、第1属性の人物1人のみ、あるいは、前記第1属性の人物1人と第2属性の人物1人の場合に、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替える。前記防犯運転モードでは、前記乗場にカゴが着床した後、前記乗場の乗降口近傍に設定した乗車エリア内に前記第1属性の人物のみがいることが検知された場合にカゴを戸開し、前記第1属性の人物がカゴに乗車したことが検知されるとカゴを戸閉し、前記第1属性の人物が指定した行先階にカゴを直行させる直通運転を行う。前記行先階で前記第1属性の人物がカゴから降車したことが検知された場合、または、前記乗車エリア内に前記第2属性の人物のみがいることが検知された場合に、エレベータの運転モードを前記防犯運転モードから前記通常運転モードに復帰させる。
図1は、エレベータの運転制御システムの構成例を示すブロック図である。 図2は、エレベータの乗場の様子を示す平面図である。 図3は、エレベータの運転制御方法の処理手順の一例を説明するフローチャートである。 図4は、エレベータの乗場の様子を示す平面図である。 図5は、エレベータの運転制御システムの構成例を示すブロック図である。 図6は、エレベータの運転制御システムの構成例を示すブロック図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るエレベータの運転制御方法の具体的な実施形態について詳細に説明する。
本発明が適用されるエレベータは、運転モードとして通常運転モードと防犯運転モードとを有し、これらの運転モードの切り替えが可能なエレベータである。通常運転モードは、登録された乗場呼びやカゴ呼びにカゴを応答させる一般的な運転モードである。一方、防犯運転モードは、カゴ内が密室状態となることを利用した犯罪を防止するための運転モードであり、主に、不審者がカゴに相乗りする機会を抑制することで、例えば女性や子供などの犯罪被害に遭いやすい利用者が1人でエレベータを利用する場合であっても、この利用者を安全に行先階に搬送する運転モードである。
防犯運転モードは、エレベータの運転効率よりも利用者の安全な搬送を優先する。このため、不要な防犯運転モードへの切り替えは、エレベータの運転効率の低下を招く。本実施形態では、乗場呼びが発生した乗場にいる人物の属性および人数を識別することで防犯運転モードでの運転(防犯運転)の必要性を的確に判断し、防犯運転の必要性が高いと判断される場合にのみエレベータの運転モードを通常モードから防犯運転モードに切り替えて、防犯運転を行う。これにより、不要な防犯運転によるエレベータの運転効率低下を招くことなく、カゴ内での犯罪を未然に防止することが可能となる。
図1は、本実施形態に係るエレベータの運転制御方法を実現する運転制御システム1の構成例を示すブロック図であり、図2は、エレベータの乗場20の様子を示す平面図である。エレベータの運転制御システム1は、例えば図1に示すように、エレベータの全体動作を制御するエレベータ制御装置10に対し、カゴ呼び装置2、乗降検知装置3、乗場呼び装置4、映像解析装置5および音声案内装置6が接続され、映像解析装置5に乗場カメラ7が接続された構成である。
カゴ呼び装置2は、エレベータのカゴ30(図2参照)内に設置され、カゴ30に乗車した利用者によるカゴ呼び(行先階の指定)の操作を受け付ける。カゴ呼び装置2が受け付けたカゴ呼び操作に応じたカゴ呼び信号は、エレベータ制御装置10に送られる。エレベータ制御装置10は、このカゴ呼び信号に応じてカゴ呼び(行先階)の登録を行う。
乗降検知装置3は、カゴ30への利用者の乗車やカゴ30からの利用者の降車を検知する。乗降検知装置3は、利用者の乗車や降車を検知できる構成であればよく、任意の検知方法を採用できる。例えば、カゴ30内にカゴ内カメラが設置されている場合は、このカゴ内カメラで撮影した映像を解析することで、利用者の乗車や降車を検知してもよい。また、乗場20の乗降口21(図2参照)に光電センサが設置されている場合は、この光電センサにより乗降口21を通過する利用者を検知することで、利用者の乗車や降車を検知してもよい。また、カゴ30に荷重センサが設けられている場合は、この荷重センサにより検知されるカゴ30の荷重変化から、利用者の乗車や降車を検知してもよい。なお、乗場カメラ7の画角が十分に広角であれば、この乗場カメラ7で撮影した映像を解析することで、利用者の乗車や降車を検知することも可能である。乗降検知装置3が検知した乗車や降車の情報は、エレベータ制御装置10に送られる。
乗場呼び装置4は、図2に示すように乗場20に設置され、乗場20の利用者による乗場呼びの操作を受け付ける。乗場呼び装置4が受け付けた乗場呼び操作に応じた乗場呼び信号は、エレベータ制御装置10に送られる。エレベータ制御装置10は、この乗場呼び信号に応じて乗場呼びの登録を行う。
乗場カメラ7は、図2に示すように乗場20に設置され、乗場20の映像を撮影する。乗場カメラ7により撮影された乗場の映像は、映像解析装置5に送られる。
映像解析装置5は、乗場呼びが発生した乗場20の乗場カメラ7から送られる乗場20の映像をリアルタイムで解析して、その乗場20にいる人物の属性および人数を識別する。ここで人物の属性とは、例えば性別や年齢(年代)などである。映像から人物の属性を識別する方法は、例えば特開2005−165447号公報に開示される方法など、公知の方法を利用できるため、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施形態では、犯罪被害に遭いやすい傾向にある人物の属性を「第1属性」と呼び、警戒すべき人物の属性を「第2属性」と呼ぶ。第1属性の人物は、例えば女性や子供であり、第2属性の人物は、例えば成人男性である。なお、人物の属性として、性別や年齢(年代)のほかに、例えば人物の服装や身長などの他の属性を加えてもよい。この場合、例えば、サングラスやマスクを着用している人物、フードを頭から被っている人物、身長が基準値を超える人物などを第2属性の人物として識別してもよい。
また、映像解析装置5は、乗場カメラ7から送られる乗場20の映像をリアルタイムで解析することで、乗場呼びが発生した乗場20における人物の位置を検知する。本実施形態では、図2に示すように、乗場20の乗降口21の近傍に乗車エリアA1が設定される。この乗車エリアA1は、利用者がすぐにカゴ30に乗車できる範囲、例えば乗降口21の中央から半径2m程度の半円の領域に設定される。映像解析装置5は、例えば、上述の第1属性の人物あるいは第2属性の人物がこの乗車エリアA1内にいるかどうかを検知する。映像解析装置5が識別した人物の属性および人数の情報や、映像解析装置5が検知した人物の位置の情報は、エレベータ制御装置10に随時送られる。
音声案内装置6は、図2に示すように乗場20に設置され、エレベータの運転モードが通常運転モードから防犯運転モードに切り替わったときに、各種のアナウンスを音声出力する。音声案内装置6によるアナウンスの具体例は後述する。
なお、図1においては、乗場呼び装置4、乗場カメラ7および音声案内装置6を1つずつ図示しているが、これらは建物の各階の乗場20ごとに設けられる。映像解析装置5は、各階の乗場20ごとに設けてもよいし、各階の乗場カメラ7が接続される1つの映像解析装置5であってもよい。また、乗場カメラ7と音声案内装置6は、例えばエレベータが設置された建物のエントランス階の乗場20など、利用者が多い乗場20のみに設けるようにしてもよい。
エレベータ制御装置10は、本実施形態に関わる機能的な構成要素として、図1に示すように、エレベータの運転モードの切り替えを行う運転モード切り替え部11と、乗場呼びやカゴ呼びに対するカゴ30の応答を制御する呼び応答制御部12と、カゴ30の戸開や戸閉を制御する戸開閉制御部13とを備える。運転モード切り替え部11によってエレベータの運転モードが通常運転モードから防犯運転モードに切り替えられると、呼び応答制御部12および戸開閉制御部13は、通常運転モードの場合とは異なる制御を行う。なお、これら運転モード切り替え部11、呼び応答制御部12および戸開閉制御部13は、例えば、CPUなどの汎用プロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現される。
運転モード切り替え部11は、映像解析装置5から送られる情報に基づいて、乗場呼びが発生した乗場20にいる人物が、第1属性の人物(例えば女性や子供)1人のみ、あるいは、第1属性の人物1人と第2属性の人物(例えば成人男性)1人であると判断される場合に、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替える。本実施形態では、このように乗場呼びが発生した乗場20にいる人物の属性および人数の識別結果に応じて、防犯運転が必要と判断される状況下でのみ防犯運転を行う。
エレベータの運転モードが通常運転モードから防犯運転モードに切り替えられると、まず、乗場呼びが発生した乗場20に設置された音声案内装置6が、防犯運転を行う旨のアナウンスを音声出力する。このアナウンスは、防犯運転の実行時にはカゴ30への相乗りができないこと、第1属性の人物に対しては上述の乗車エリアA1(例えば乗降口21の中央から半径2m程度の半円の領域)内に入ること、第2属性の人物に対しては乗車エリアA1の外に出ること、第1属性の人物のみの乗車が検知されると直通運転を行うことなどを報知する音声メッセージを含む。例えば「防犯運転を行います。相乗りはできません。女性の方(お子さん)は出入口から2m以内、男性の方は2m以上離れた位置に立ってください。女性の方が乗車したことが確認できたら直通運転を行います。」といったアナウンスが音声出力される。
その後、呼び応答制御部12の制御によりカゴ30が乗場呼びに応答して乗場20に着床すると、戸開閉制御部13がカゴ30の戸開を制御する。具体的には、戸開閉制御部13は、映像解析装置5から送られる情報に基づいて、乗車エリアA1内に第1属性の人物のみがいることが検知されると、カゴ30を戸開する。なお、上述の防犯運転を行う旨のアナウンスが終了する前にカゴ30が乗場20に着床した場合は、戸開閉制御部13は、そのアナウンスが終了するまではカゴ30の戸閉状態を維持する。
また、戸開閉制御部13は、カゴ30が乗場20に着床した後、乗車エリアA1内に第1属性の人物と第2属性の人物とがいる場合は、カゴ30の戸閉状態を維持する。この場合、音声案内装置6が、第2属性の人物に対して乗車エリアA1の外に出ることを促すアナウンスを再度音声出力することが望ましい。
また、戸開閉制御部13は、カゴ30が乗場20に着床した後、乗車エリアA1内に第1属性の人物も第2属性の人物もいない場合は、カゴ30の戸閉状態を維持する。この場合、音声案内装置6が、第1属性の人物に対して乗車エリアA1内に入ることを促すアナウンスを再度音声出力することが望ましい。
なお、カゴ30が乗場20に着床した後、乗車エリアA1内に第2属性の人物のみがいることが検知された場合は、運転モード切り替え部11が、エレベータの運転モードを防犯運転モードから通常運転モードに復帰させる。第2属性の人物が先にカゴ30に乗車する状況は、防犯運転を行う必要性が低いためである。この場合、音声案内装置6は、防犯運転を中止して通常運転を行う旨のアナウンスを音声出力することが望ましい。
防犯運転モードでカゴ30を戸開した後、戸開閉制御部13は、乗降検知装置3により第1属性の人物の乗車が検知されると、カゴ30を戸閉する。すなわち、通常運転モードでは戸開時間が一定時間に達した場合、あるいは、カゴ30内で戸閉ボタンが操作された場合にカゴ30を戸閉するが、防犯運転モードでは、第1属性の人物の乗車が検知されると直ぐにカゴ30を戸閉する。このとき、カゴ30の戸閉速度を通常運転時よりも速くしてもよい。このような戸閉制御を高速戸閉と呼ぶ。
その後、カゴ30に乗車した第1属性の人物によるカゴ呼び装置2の操作に応じてカゴ呼びが登録されると、呼び応答制御部12の制御により、カゴ呼びで指定された行先階までの直通運転が行われる。直通運転とは、行先階に移動する間に通過する途中階で乗場呼びが登録されても、その乗場呼びに応答せずに、行先階までカゴ30を直行させる運転方法である。この際、各階の乗場20に設置された表示器に行先階を表示させないようにすることで、第1属性の人物の行先を秘匿することが望ましい。
直通運転により行先階に移動したカゴ30が行先階の乗場20に着床すると、戸開閉制御部13がカゴ30を戸開する。そして、乗降検知装置3により第1属性の人物の降車が検知されると、運転モード切り替え部11が、エレベータの運転モードを防犯運転モードから通常運転モードに復帰させる。
以下、本実施形態に係るエレベータの運転制御方法の処理手順の一例について、図3のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは第1属性の人物を女性、第2属性の人物を成人男性として説明する。
エレベータが設置された建物のある階の乗場20で乗場呼び装置4が操作され、乗場呼びが登録されると(ステップS101)、その乗場20に設置された乗場カメラ7で撮影した映像を映像解析装置5で解析することにより、乗場20にいる人物の属性および人数が識別される(ステップS102)。そして、乗場20にいる人物が、女性1人のみ、または、女性1人と成人男性1人かどうかが判定される(ステップS103)。
ここで、乗場20にいる人物が、女性1人のみでも、女性1人と成人男性1人でもない場合は(ステップS103:No)、運転モードの切り替えは行われず、通常運転が継続されるため処理を終了する。一方、乗場20にいる人物が、女性1人のみ、または、女性1人と成人男性1人と判定した場合(ステップS103:Yes)、運転モード切り替え部11により、エレベータの運転モードが通常運転モードから防犯運転モードへと切り替えられる(ステップS104)。そして、音声案内装置6により、上述したような防犯運転を行う旨のアナウンスが音声出力される(ステップS105)。
その後、乗場呼びに応答したカゴ30が乗場20に着床すると、女性のみが乗車エリアA1内にいる状況であるか否かが判定される(ステップS106)。ここで、乗車エリアA1内に女性のみがいる状況でなければ(ステップS106:No)、続いて、成人男性のみが乗車エリアA1内にいる状況であるか否かが判定される(ステップS107)。そして、女性と成人男性がともに乗車エリアA1内にいる、あるいは、女性と成人男性がとも乗車エリアA1内にいない状況であれば(ステップS107:No)、ステップS105に戻って、音声案内装置6により成人男性に対して乗車エリアA1の外に出ることを促すアナウンス、あるいは、女性に対して乗車エリアA1内に入ることを促すアナウンスが音声出力され、以降の処理が繰り返される。また、成人男性のみが乗車エリアA1内にいる状況であれば(ステップS107:Yes)、ステップS113に処理を移行して、運転モード切り替え部11により、エレベータの運転モードが防犯運転モードから通常運転モードに復帰される。
一方、女性のみが乗車エリアA1内にいる状況であれば(ステップS106:Yes)、戸開閉制御部13によりカゴ30の戸開が行われる(ステップS108)。そして、乗車エリアA1内の女性がカゴ30に乗車したことが乗降検知装置3によって検知されると(ステップS109:Yes)、戸開閉制御部13によりカゴ30の高速戸閉が行われる(ステップS110)。そして、カゴ30に乗車した女性のカゴ呼びによって行先階が指定されると、呼び応答制御部12の制御によって、その行先階への直通運転が行われる(ステップS111)。
その後、直通運転によってカゴ30が行先階の乗場20に着床すると、戸開閉制御部13によりカゴ30の戸開が行われる。そして、カゴ30内の女性がカゴ30から降車したことが乗降検知装置3によって検知されると(ステップS112:Yes)、運転モード切り替え部11により、エレベータの運転モードが防犯運転モードから通常運転モードに復帰される(ステップS113)。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態に係るエレベータの運転制御方法は、乗場呼びが発生した乗場20にいる人物の属性および人数を識別し、乗場20にいる人物が第1属性の人物(例えば女性や子供)1人のみ、あるいは、第1属性の人物1人と第2属性の人物(例えば成人男性)1人の場合に、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替える。そして、その乗場20にカゴ30が着床した後、乗場20の近傍に設定した乗車エリアA1内に第1属性の人物のみがいることが検知されると、カゴ30を戸開し、第1属性の人物の乗車が検知されると、カゴ30を高速戸閉して、第1属性の人物が指定した行先階にカゴ30を直行させる直通運転を行う。そして、カゴ30が行先階に到着し、第1属性の人物の降車が検知されると、エレベータの運転モードを防犯運転モードから通常運転モードに復帰させる。また、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替えて、乗場呼びが発生した乗場20にカゴ30が着床した後、乗場20の近傍に設定した乗車エリアA1内に第2属性の人物のみがいることが検知された場合は、防犯運転を中止して、エレベータの運転モードを防犯運転モードから通常運転モードに復帰させる。このように、本実施形態に係るエレベータの運転制御方法は、乗場20にいる人物の属性や人数に応じて、防犯運転の必要性が高いと判断される場合にのみエレベータの運転モードを通常モードから防犯運転モードに切り替えて防犯運転を行うようにしているので、不要な防犯運転によるエレベータの運転効率低下を招くことなく、カゴ内での犯罪を未然に防止することができる。
また、本実施形態に係るエレベータの運転制御方法によれば、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替えた場合に、乗車エリアA1内にいる人物が第1属性の人物のみとなるように誘導するアナウンスを音声出力するようにしているので、乗車エリアA1内に第1属性の人物のみがいる状況になることを促して、適切に防犯運転を行うことができる。
<第1変形例>
上述の実施形態では、エレベータの運転モードが通常運転モードから防犯運転モードに切り替えられた場合、乗場呼びが発生した乗場20にカゴ30が着床した後、乗車エリアA1内に第1属性の人物(例えば女性や子供)のみがいることが検知されるとカゴ30を戸開し、第1属性の人物の乗車が検知されるとカゴ30を高速戸閉するようにしている。しかし、乗車エリアA1内にいる第1属性の人物と乗車エリアA1外にいる第2属性の人物(例えば成人男性)との距離が近い場合、第1属性の人物がカゴ30に乗車して高速戸閉しても、第2属性の人物が急いで乗降口21に向かえば、カゴ30に相乗りされてしまう懸念がある。そこで、乗車エリアA1内に第1属性の人物のみがいることが検知された場合であっても、乗車エリアA1の外側に設定した監視エリアA2内に第2属性の人物がいることが検知された場合には、カゴ30の戸閉を維持するようにしてもよい。
本変形例では、図4に示すように、乗場20の乗降口21から見て乗車エリアA1よりも外側となる所定範囲の領域を、監視エリアA2に設定する。例えば、乗車エリアA1を乗降口21の中央から半径1m程度の半円の領域とした場合、監視エリアA2は、例えば、乗車エリアA1の外側2m程度までの領域に設定される。
本変形例の戸開閉制御部13は、エレベータの運転モードが通常運転モードから防犯運転モードに切り替えられた場合、乗場呼びが発生した乗場20にカゴ30が着床した後、映像解析装置5から送られる情報に基づいて、乗車エリアA1内に第1属性の人物のみがいるか否かを判定し、乗車エリアA1内に第1属性の人物のみがいる場合は、さらに、監視エリアA2内に第2属性の人物がいるか否かを判定する。そして、乗車エリアA1内に第1属性の人物のみがいることが検知され、かつ、監視エリアA2内に第2属性の人物がいないことが検知された場合に、カゴ30を戸開し、それ以外の場合はカゴ30の戸閉を維持する。
以上のように、本変形例では、乗車エリアA1内に第1属性の人物のみがいることが検知された場合であっても、乗車エリアA1の外側に設定した監視エリアA2内に第2属性の人物がいることが検知された場合には、カゴ30の戸閉を維持することで、第2属性の人物による相乗りをさらに有効に抑制し、安全性を向上させることができる。
<第2変形例>
エレベータが設置された建物のエントランス階の乗場20では、建物に入場する人物によるエレベータの利用を考慮する必要がある。すなわち、上述の実施形態で説明した方法によって防犯運転を行う際に、カゴ30に相乗りしても問題ない人物が建物に入場した場合は、通常運転に復帰して、建物に入場した人物が直ぐにエレベータを利用できるようにすることが望まれる。そこで、乗場呼びが発生した乗場20が建物のエントランス階の乗場20であり、エレベータの運転モードが通常運転モードから防犯運転モードに切り替えられた場合に、建物に入場する人物の属性および人数をさらに識別し、第1属性の人物1人、あるいは、複数の人物が建物に入場したことが検知された場合、乗車エリアA1内の第1属性の人物がカゴに乗車する前であれば、エレベータの運転モードを防犯運転モードから通常運転モードに復帰させるようにしてもよい。
図5は、本変形例を実現するエレベータの運転制御システムの構成例を示すブロック図である。図1に示した上述の運転制御システムとの違いは、映像解析装置5に対して、乗場カメラ7だけでなく、建物のエントランスに設置されたエントランス監視カメラ8が接続されている点である。
エントランス監視カメラ8は、建物のエントランスの映像を撮影して映像解析装置5に送る。映像解析装置5は、乗場カメラ7で撮影された乗場20の映像に加えて、エントランス監視カメラ8で撮影されたエントランスの映像をリアルタイムで解析し、建物に入場する人物の属性および人数を識別する。
本変形例の運転モード切り替え部11は、エントランス階の乗場20で乗場呼びが発生し、その乗場20にいる人物が、第1属性の人物(例えば女性や子供)1人のみ、あるいは、第1属性の人物1人と第2属性の人物(例えば成人男性)1人である場合、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替える。その後、上述の実施形態で説明した方法によって防犯運転が行われるが、第1属性の人物(1人)または複数の人物が建物に入場したことが検知された場合は、乗車エリアA1内の第1属性の人物がカゴに乗車する前であれば、運転モード切り替え部11がエレベータの運転モードを防犯運転モードから通常運転モードに復帰させて、建物に入場した人物がカゴ30に乗車できるようにする。この場合、音声案内装置6は、防犯運転を中止して通常運転を行う旨のアナウンスを音声出力することが望ましい。なお、建物に入場した人物が第2属性の人物1人であった場合は、防犯運転が継続される。
以上のように、本変形例では、エントランス階の乗場20で乗場呼びが発生し、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替えた場合に、建物に入場する人物の属性および人数をさらに識別し、建物に入場する人物の相乗りを許容しても保安上の問題が生じないと想定される場合に限り通常運転に復帰することで、防犯運転を行うことによる運転効率の低下をさらに抑制することができる。なお、建物に入場した人物が第2属性の人物1人である場合は防犯運転が維持されるため、安全性は低下しない。
<第3変形例>
エレベータが設置された建物に入場する人物がカゴ30に相乗りしても問題ない人物か否かを判断する方法は、建物に入場する人物の属性や人数で判断する上述の方法に限らない。例えば、建物がマンションなどの集合住宅であり、エントランスの入場制限にオートロックシステムが導入されている場合、このオートロックシステムの解錠情報(オートロックがキー操作により解除されたか遠隔操作により解除されたかを示す情報)を用いて、建物に入場する人物がカゴ30に相乗りしても問題ない人物か否かを判断することもできる。すなわち、オートロックがキー操作により解除された場合は、建物に入場する人物はその建物の住人であり、カゴ30に相乗りしても問題ないと判断できる。一方、オートロックが遠隔操作(居室内のインターフォンに設けられたボタンの操作)により解除された場合は、建物に入場する人物は外部の人間であり、カゴ30への相乗りを避けるべきと判断できる。
そこで、本変形例では、乗場呼びが発生した乗場20が建物のエントランス階の乗場20であり、エレベータの運転モードが通常運転モードから防犯運転モードに切り替えられた場合に、オートロックシステムの解錠情報を取得する。そして、その解錠情報が、エントランスのオートロックがキー操作により解除されたことを示すものである場合、乗車エリアA1内の第1属性の人物がカゴに乗車する前であれば、エレベータの運転モードを防犯運転モードから通常運転モードに復帰させる。
図6は、本変形例を実現するエレベータの運転制御システムの構成例を示すブロック図である。図1に示した上述の運転制御システムとの違いは、エレベータ制御装置10に対してオートロックシステム9が接続されている点である。オートロックシステム9は、建物の住人によるキー操作、あるいは、建物の居室内のインターフォンに設けられたボタンの操作に応じて、エントランスのオートロックを解除する。本変形例のエレベータ制御装置10は、エントランスのオートロックがキー操作により解除されたか遠隔操作により解除されたかを示す解錠情報を、このオートロックシステム9から取得することができる。
本変形例の運転モード切り替え部11は、エントランス階の乗場20で乗場呼びが発生し、その乗場20にいる人物が、第1属性の人物(例えば女性や子供)1人のみ、あるいは、第1属性の人物1人と第2属性の人物(例えば成人男性)1人である場合、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替える。その後、上述の実施形態で説明した方法によって防犯運転が行われるが、キー操作によりエントランスのオートロックを解除した住人が建物に入場した場合は、乗車エリアA1内の第1属性の人物がカゴに乗車する前であれば、運転モード切り替え部11がエレベータの運転モードを防犯運転モードから通常運転モードに復帰させて、建物に入場した住人がカゴ30に乗車できるようにする。この場合、音声案内装置6は、防犯運転を中止して通常運転を行う旨のアナウンスを音声出力することが望ましい。なお、遠隔操作によりエントランスのオートロックが解除された場合は、防犯運転が継続される。
以上のように、本変形例では、エントランス階の乗場20で乗場呼びが発生し、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替えた場合に、オートロックシステム9の解錠情報を取得し、キー操作によりエントランスのオートロックを解除した住人が建物に入場した場合に限り通常運転に復帰することで、防犯運転を行うことによる運転効率の低下をさらに抑制することができる。なお、遠隔操作によりエントランスのオートロックが解除され、外部の人間が建物に入場した場合は防犯運転が維持されるため、安全性は低下しない。
以上述べた実施形態やその変形例によれば、不要な防犯運転によるエレベータの運転効率低下を招くことなく、カゴ内での犯罪を未然に防止することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 運転制御システム、2 カゴ呼び装置、3 乗降検知装置、4 乗場呼び装置、5 映像解析装置、6 音声案内装置、7 乗場カメラ、8 エントランス監視カメラ、9 オートロックシステム、10 エレベータ制御装置、11 運転モード切り替え部、12 呼び応答制御部、13 戸開閉制御部、20 乗場、21 乗降口 30 カゴ、A1 乗車エリア、A2 監視エリア。
実施形態のエレベータの運転制御方法は、乗場呼びが発生した乗場にいる人物の属性および人数を識別し、前記乗場にいる人物が、第1属性の人物1人のみ、あるいは、前記第1属性の人物1人と第2属性の人物1人の場合に、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替える。前記防犯運転モードでは、前記乗場にカゴが着床した後、前記乗場の乗降口近傍に設定した乗車エリア内に前記第1属性の人物のみがいることが検知された場合にカゴを戸開し、前記第1属性の人物がカゴに乗車したことが検知されるとカゴを戸閉し、前記第1属性の人物が指定した行先階にカゴを直行させる直通運転を行う。前記行先階で前記第1属性の人物がカゴから降車したことが検知された場合、または、前記乗車エリア内に前記第2属性の人物のみがいることが検知された場合に、エレベータの運転モードを前記防犯運転モードから前記通常運転モードに復帰させる。前記乗場にカゴが着床した後、前記乗車エリア内に前記第1属性の人物のみがいることが検知された場合であっても、前記乗場の乗降口から見て前記乗車エリアの外側に設定した監視エリア内に前記第2属性の人物がいる場合は、カゴの戸閉を維持する。

Claims (5)

  1. 乗場呼びが発生した乗場にいる人物の属性および人数を識別し、
    前記乗場にいる人物が、第1属性の人物1人のみ、あるいは、前記第1属性の人物1人と第2属性の人物1人の場合に、エレベータの運転モードを通常運転モードから防犯運転モードに切り替え、
    前記防犯運転モードでは、
    前記乗場にカゴが着床した後、前記乗場の乗降口近傍に設定した乗車エリア内に前記第1属性の人物のみがいることが検知された場合にカゴを戸開し、
    前記第1属性の人物がカゴに乗車したことが検知されるとカゴを戸閉し、
    前記第1属性の人物が指定した行先階にカゴを直行させる直通運転を行い、
    前記行先階で前記第1属性の人物がカゴから降車したことが検知された場合、または、前記乗車エリア内に前記第2属性の人物のみがいることが検知された場合に、エレベータの運転モードを前記防犯運転モードから前記通常運転モードに復帰させることを特徴とするエレベータの運転制御方法。
  2. エレベータの運転モードを前記通常運転モードから前記防犯運転モードに切り替えた場合に、前記乗車エリア内にいる人物が前記第1属性の人物のみとなるように誘導するアナウンスを音声出力することを特徴とする請求項1に記載のエレベータの運転制御方法。
  3. 前記乗場にカゴが着床した後、前記乗車エリア内に前記第1属性の人物のみがいることが検知された場合であっても、前記乗場の乗降口から見て前記乗車エリアの外側に設定した監視エリア内に前記第2属性の人物がいる場合は、カゴの戸閉を維持することを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータの運転制御方法。
  4. 前記乗場が建物のエントランス階の乗場であり、エレベータの運転モードが前記通常運転モードから前記防犯運転モードに切り替えられた場合に、前記建物に入場する人物の属性および人数をさらに識別し、
    前記第1属性の人物1人、あるいは、複数の人物が前記建物に入場したことが検知された場合、前記乗車エリア内の前記第1属性の人物がカゴに乗車する前であれば、エレベータの運転モードを前記防犯運転モードから前記通常運転モードに復帰させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベータの運転制御方法。
  5. 前記乗場が建物のエントランス階の乗場であり、エレベータの運転モードが前記通常運転モードから前記防犯運転モードに切り替えられた場合に、前記建物のエントランスのオートロックがキー操作により解除されたか遠隔操作により解除されたかを示す解錠情報を取得し、
    前記解錠情報がキー操作によるオートロックの解除を示すものである場合、前記乗車エリア内の前記第1属性の人物がカゴに乗車する前であれば、エレベータの運転モードを前記防犯運転モードから前記通常運転モードに復帰させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベータの運転制御方法。
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