以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(実施の形態1)
<システムの概要>
まず、本開示のドアホンシステムの概要について、図1を用いて説明する。図1に示すように、ドアホンシステム1は、ロビーステーション100と、室内モニタ200と、分配装置300と、から構成される。ロビーステーション100は、集合住宅の来訪者が訪問先の居住者を呼び出すために使用される装置であり、例えば、集合住宅の建物の1階の共用玄関(ロビー)に設置される。室内モニタ200は、来訪者からの呼び出しを受けて居住者が応答するための装置であり、各部屋(あるいは各住戸)に設置される。分配装置300は、ロビーステーション100と室内モニタ200との間を中継する装置であり、例えば、建物の各階に設置される。
ロビーステーション100は、2線ケーブルを介して1つの分配装置300−1と接続される。
分配装置300は、2線ケーブルを介して、デイジーチェーン型配線で互いに接続される。具体的には、分配装置300−1は、前段のロビーステーション100と後段の分配装置300−2と接続される。他の分配装置300−i(iは2以上の整数)は、前段の分配装置300−i−1と後段の分配装置300−i+1に接続される。また、各分配装置300は、複数の室内モニタ200のそれぞれと、2線ケーブルを介して、スター型配線で接続される。
ロビーステーション100は、通信相手の室内モニタ200に映像信号および音声信号を送信する。各室内モニタ200は、ロビーステーション100に音声信号を送信する。また、各室内モニタ200は、ロビーステーション100のカメラを制御する。分配装置300は、ロビーステーション100と室内モニタ200との間で送受される信号を中継する。
なお、以下の説明において、ロビーステーション100から室内モニタ200への方向を「下り方向」といい、下り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「下りパケット」、「下り信号」という。また、室内モニタ200からロビーステーション100への方向を「上り方向」といい、上り方向に送信されるパケット、信号をそれぞれ「上りパケット」、「上り信号」という。
<フレームフォーマット、タイムスロットフォーマット>
次に、本実施の形態に係るフレームフォーマット、タイムスロットフォーマットについて図2を用いて説明する。図2に示すように、各フレームは、12000bitの領域を有し、10ms周期、2.4Mbpsのビットレートであり、「SL0」から「SL11」までの12個のタイムスロットに分割される。したがって、各タイムスロットは、2000bit=250byteの領域を有し、0.833μsec周期、2.4Mbpsのビットレートになる。
「SL1」から「SL8」は、ロビーステーション100からの映像データ送信用に割り当てられたタイムスロットである。なお、「SL9」から「SL11」は、リザーブのスロットであり、音声データ用あるいはコマンド用のタイムスロットとして使用しても良い。
ロビーステーション100と室内モニタ200との間で同期を取って、データ送信する必要がある場合、「SL0」を制御スロット(ビーコン)として使用しても良い。
各タイムスロットは、53byteのガードスペース、6byteのプリアンブルフィールド(Preamble)、1byteのシンクフィールド(Sync)、8byteの制御データフィールド、MAX180byteの可変長のユーザデータフィールド、2byteのチェックサムフィールドに分けられている。
ガードスペースは、タイムスロット間に設けられた、各タイムスロット受信時の初期リセット等のコマンド実行のための期間である。プリアンブルフィールドには、所定のユニークパターンを有するプリアンブルデータが書き込まれる。
シンクフィールドには、所定のシンクパターンが書き込まれる。シンクパターンとは、シンクフィールドに配置された既知のデータ列であって、受信データ受信時の同期を確立するために用いられ、受信データが正確なタイミングで受信されたことを確認するために用いられるデータパターンである。
制御データフィールドには、ユーザデータフィールド内のユーザデータのデータ長を示す制御データが書き込まれる。制御データフィールドの残りは、将来のためのリザーブスペースである。ユーザデータフィールドには、ユーザデータが書き込まれる。チェックサムフィールドには、誤り検出符号の一種であるチェックサムが書き込まれる。以下の説明において、制御データ、ユーザデータおよびチェックサムを、単に「データ部」という場合もある。なお、上記データ部の構成は、一例であり、信号処理の都合により、その構成が異なる場合もある。
このように、複数のタイムスロットで構成される通信フレームを使用して、ロビーステーション100から、分配装置300を経由して室内モニタ200へ「下り方向」にデータを送信する場合、映像データ、音声データおよびコマンドデータを各スロットに割り当て、時分割多重することができる。なお、この場合、映像データのみ、映像データと音声データ、さらには、映像データと音声データとコマンドデータを送信することもできる。
複数のタイムスロットで構成される通信フレームを使用して「下り方向」に、データを送信する場合、そのデータ量等、システムの要求に応じて、映像データ用として少なくとも1つのタイムスロット割り当てれば良い。また、映像データと音声データを送信する場合も同様に、映像データ用として少なくとも1つのタイムスロットを割り当て、音声データ用として少なくとも1つのタイムスロットを割り当てれば良い。
<ロビーステーションの構成>
次に、ロビーステーション100の構成について、図3を用いて説明する。なお、図3では、ロビーステーション100が、分配装置300−1との接続用の端子T131を有する。
図3に示すように、ロビーステーション100は、主に、キー入力部101と、スピーカ102と、マイク103と、カメラモジュール104と、制御部105と、デジタル変調部106と、コマンド変復調部107と、アナログ音声処理部108と、記憶部109と、を具備する。制御部105は、内部に、水晶発振部142を有する。デジタル変調部106は、内部に、2値レベル変換部151および2値V−F変換部152を有する。また、ロビーステーション100は、デジタル変調信号通過フィルタF101、コマンド信号通過フィルタF102および音声信号通過フィルタF103を有する。
キー入力部101は、図4に示すように、各室内モニタ200に割り付けられたキー番号を含む各種ボタンを有し、ボタン操作に応じたキー番号を示す信号および呼出指示信号を制御部105に出力する。なお、キー番号は、図4に示したような物理的なキーに1対1に対応する番号に限らず、例えば部屋番号のような複数のキーの組合せに対応する番号であってもよい。
スピーカ102は、アナログ音声処理部108から出力されたアナログ音声信号を、音声に変換して出力する。マイク103は、周囲の音声を集音してアナログ音声信号に変換し、アナログ音声処理部108に出力する。
カメラモジュール104は、デジタルカメラを含み、被写体を撮影してデジタル映像データを生成し、H.264等の動画圧縮規格に従って映像データに対して順次圧縮処理を行う。圧縮されたデジタル映像データは、制御部105に出力される。
制御部105は、各種のコマンドデータを生成する。例えば、制御部105は、キー入力部101からキー番号を示す信号および呼出指示信号を入力した場合、送信元ID(ロビーステーション100の識別子)および送信先ID(通信相手の室内モニタ200の識別子)を含む呼出のコマンドデータを生成する。そして、制御部105は、コマンドデータをコマンド変復調部107に出力する。また、制御部105は、コマンド変復調部107から入力したコマンドデータの内容に基づいて、ロビーステーション100の各部の制御を行う。例えば、制御部105は、映像関連のコマンドデータを入力した場合、カメラモジュール104における撮像範囲や逆光補正等を制御する。
また、制御部105は、カメラモジュール104から出力されたデジタル映像データを適宜分割して所定のタイムスロット(「SL1」から「SL8」)のユーザデータフィールドに書き込む。また、制御部105は、各タイムスロットのユーザデータフィールドに書き込まれたユーザデータのデータ長を各タイムスロットの制御データフィールドに書き込む。さらに、制御部105は、各タイムスロットに、プリアンブルデータ、シンクパターンを書き込む。これらの処理により、制御部105は、下りパケット(送信データ)を生成する。制御部105は、下りパケットのデジタルデータ列をデジタル変調部106に出力する。
デジタル変調部106は、制御部105から出力された下りパケットのデジタルデータ列に対してデジタル変調を行う。デジタル変調は、搬送波(キャリア)を不連続に変調する変調方式である。代表的なデジタル変調方式として、FSK変調(Frequency Shift Keying)、ASK変調(Amplitude Shift Keying)、PSK変調(Phase Shift Keying)等がある。本実施の形態では、FSK変調を用いる場合について説明する。
デジタル変調部106の2値レベル変換部151は、デジタルデータ列のH(High)レベルを第1電圧値に変換し、L(Low)レベルを第2電圧値に変換する。
デジタル変調部106の2値V−F変換部152は、第1電圧値および第2電圧値のそれぞれに対応したキャリア周波数の搬送波を出力する。これにより、Hレベルを第1キャリア周波数(例えば、13MHz)とし、Lレベルを第2キャリア周波数(例えば、9MHz)としたFSK変調波形が生成される。FSK変調された搬送波(以下、「デジタル変調信号」ともいう)は、デジタル変調信号通過フィルタF101を通過した後、分配装置300を経由して室内モニタ200に送信される。
コマンド変復調部107は、制御部105から出力されたコマンドデータをASK変調し、コマンド信号を得る。コマンド信号は、コマンド信号通過フィルタF102を通過した後、分配装置300に送信される。また、コマンド変復調部107は、分配装置300から送信され、コマンド信号通過フィルタF102を通過したコマンド信号をASK復調し、コマンドデータを制御部105に出力する。
アナログ音声処理部108は、マイク103から出力されたアナログ音声信号に対して増幅等のアナログ音声処理を行う。アナログ音声信号は、音声信号通過フィルタF103を通過した後、分配装置300を経由して室内モニタ200に送信される。また、アナログ音声処理部108は、室内モニタ200から送信され、分配装置300を経由し、音声信号通過フィルタF103を通過したアナログ音声信号に対して増幅等の処理を行い、スピーカ102に出力する。
記憶部109は、各種プログラムを実行する際のワークエリアとして制御部105に利用される。また、記憶部109は、制御部105が実行する各種アプリケーションプログラムや、各種ソフトウェアを予め記憶している。なお、記憶部109は、保持したい各種設定やデータ等のメモリ用としても使用される。
なお、ロビーステーション100では、ACアダプタにて、商用の交流電源が直流電源に変換され、各部に供給される。ACアダプタは外付けであるが、ロビーステーション100は電源を内蔵していても良い。また、ロビーステーション100は、簡単な表示部を有していても良い。
デジタル変調信号通過フィルタF101は、デジタル変調信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、8.5MHzから14MHzまで)を通過帯域とするフィルタである。
コマンド信号通過フィルタF102は、コマンド信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、300kHz±30kHz)を通過帯域とするフィルタである。
音声信号通過フィルタF103は、音声信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、270Hzから3.3kHzまで)を通過帯域とするフィルタである。
<室内モニタの構成>
次に、室内モニタ200の構成について、図5を用いて説明する。なお、室内モニタ200は、分配装置300との接続用の端子T231を有する。
図5に示すように、室内モニタ200は、主に、デジタル復調部201と、受信データ処理部202と、制御部203と、キー入力部204と、映像データ処理部205と、ディスプレイ部206と、コマンド変復調部207と、アナログ音声処理部208と、スピーカ209と、マイク210と、DC給電部211と、着信検知部212と、記憶部213と、を具備する。デジタル復調部201は、内部に、2値F−V変換部251および2値レベル変換部252を有する。制御部203は、内部に、水晶発振周波数制御部241、水晶発振部242を有する。また、室内モニタ200は、デジタル変調信号通過フィルタF201、デジタル変調信号遮断フィルタF202、コマンド信号通過フィルタF203、コマンド信号遮断フィルタF204、音声信号通過フィルタF205、音声信号遮断フィルタF206およびDCコマンド通過フィルタ207を有する。
デジタル復調部201は、ロビーステーション100から送信され、分配装置300を経由し、デジタル変調信号通過フィルタF201を通過した搬送波(デジタル変調信号)をデジタル復調(FSK復調)し、下りパケットのデジタルデータ列を得る。デジタル復調部201は、受信データ処理部202にデジタルデータ列を出力する。
デジタル復調部201の2値F−V変換部251は、第1キャリア周波数の搬送波を第1電圧値に変換し、第2キャリア周波数の搬送波を第2電圧値に変換する。
デジタル復調部201の2値レベル変換部252は、第1電圧値をHレベルに変換し、第2電圧値をLレベルに変換し、下りパケットのデジタルデータ列を得る。
受信データ処理部202は、デジタル復調部201から出力されたデジタルデータ列に対して、制御部203の入力形式に対応したデジタル信号処理を行い、制御部203に出力する。
制御部203は、受信データ処理部202から入力した下りパケットに含まれるプリアンブルデータおよびシンクパターンを用いてロビーステーション100との同期(受信データの各ビットの先頭のタイミング)を検出する。また、制御部203は、下り通信フレーム内の映像データ用の各タイムスロットに分解されて書き込まれた映像データの抽出と再組み立てを行い、再生成した映像データを映像データ処理部205へ出力する。映像データ処理部205は、ディスプレイ部206の画面にLCD表示するための画像処理を行い、ディスプレイ部206に出力する。
また、制御部203は、各種のコマンドデータを生成する。例えば、制御部203は、着信検知部212から着信検知信号を入力した場合、応答のコマンドデータを生成する。そして、制御部203は、コマンドデータをコマンド変復調部207に出力する。また、制御部203は、コマンド変復調部207から入力したコマンドデータの内容に基づいて、室内モニタ200の各部の制御を行う。
また、制御部203は、キー入力部204からユーザのモニタ要求を入力した場合、DC給電部211に給電を行う。また、制御部203は、着信検知部212から着信検知信号を入力した場合、ユーザに着信があったことを知らせるための処理(ランプ点灯、チャイム音鳴動等)を行う。
制御部203の水晶発振周波数制御部241は、水晶発振部242の発振周波数を制御する。制御部203の水晶発振部242は、水晶発振子を有し、水晶発振周波数制御部241の制御に基づき、発振周波数を微調整する。水晶発振周波数制御部241および水晶発振部242の構成の詳細については後述する。
キー入力部204は、各種ボタンを有し、ボタン操作に基づくユーザ指示を制御部203に出力する。なお、キー入力部204は、タッチパネルでも良い。
映像データ処理部205は、制御部203から出力された映像データに対してディスプレイ部206の画面にLCD表示するための画像処理を行い、画像処理後の映像データをディスプレイ部206に出力する。ディスプレイ部206は、映像データ処理部205から出力された映像データを画面に表示する。
コマンド変復調部207は、分配装置300から送信され、デジタル変調信号遮断フィルタF202およびコマンド信号通過フィルタF203を通過したコマンド信号をASK復調し、コマンドデータを制御部203に出力する。また、コマンド変復調部207は、制御部203から出力されたコマンドデータをASK変調し、コマンド信号を得る。コマンド信号は、コマンド信号通過フィルタF203およびデジタル変調信号遮断フィルタF202を通過した後、分配装置300に送信される。
アナログ音声処理部208は、ロビーステーション100から送信され、分配装置300を経由し、デジタル変調信号遮断フィルタF202、コマンド信号遮断フィルタF204および音声信号通過フィルタF205を通過したアナログ音声信号に対して、増幅等のアナログ音声処理を行い、スピーカ209に出力する。また、アナログ音声処理部208は、マイク210から出力されたアナログ音声信号に対して、増幅等のアナログ音声処理を行う。アナログ音声信号は、音声信号通過フィルタF205、コマンド信号遮断フィルタF204およびデジタル変調信号遮断フィルタF202を通過し、分配装置300を経由してロビーステーション100に送信される。
スピーカ209は、アナログ音声処理部208から出力されたアナログ音声信号を、音声に変換して出力する。マイク210は、周囲の音声を集音してアナログ音声信号に変換し、アナログ音声処理部208に出力する。
DC給電部211は、制御部203からモニタ要求を受けた場合、DC給電を開始することで、分配装置300にモニタ要求(DCコマンド)を送信する。DCコマンドは、DCコマンド通過フィルタF207、音声信号遮断フィルタF206、コマンド信号遮断フィルタF204およびデジタル変調信号遮断フィルタF202を通過した後、分配装置300に送信される。
着信検知部212は、ロビーステーション100からの呼出により分配装置300で発呼処理され、デジタル変調信号遮断フィルタF202、コマンド信号遮断フィルタF204、音声信号遮断フィルタF206およびDCコマンド通過フィルタF207を通過した着信を検知する。そして、着信検知部212は、着信を検知したことを示す着信検知信号を制御部203に出力する。
記憶部213は、各種プログラムを実行する際のワークエリアとして制御部203に利用される。また、記憶部213は、制御部203が実行する各種アプリケーションプログラムや、各種ソフトウェアを予め記憶している。なお、保持したい各種設定やデータ等のメモリ用としても使用される。
なお、室内モニタ200では、ACアダプタにて、商用の交流電源が直流電源に変換され、各部に供給される。ACアダプタは外付けであるが、室内モニタ200は電源を内蔵していても良い。
デジタル変調信号通過フィルタF201は、デジタル変調信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、8.5MHzから14MHzまで)を通過帯域とするフィルタである。
デジタル変調信号遮断フィルタF202は、デジタル変調信号の周波数帯域(例えば、8.5MHzから14MHzまで)を遮断し、デジタル変調信号の通信に用いられる周波数帯域より低い帯域と高い帯域(例えば、8.5MHz以下および14MHz以上)を通過帯域とするフィルタである。
コマンド信号通過フィルタF203は、コマンド信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、300kHz±30kHz)を通過帯域とするフィルタである。
コマンド信号遮断フィルタF204は、コマンド信号の周波数帯域(例えば、300kHz±30kHz)を遮断し、コマンド信号の通信に用いられる周波数帯域より低い帯域と高い帯域(例えば、270kHz以下および330kHz以上)を通過帯域とするフィルタである。
音声信号通過フィルタF205は、音声信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、270Hzから3.3kHzまで)を通過帯域とするフィルタである。
音声信号遮断フィルタF206は、音声信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、270Hzから3.3kHzまで)を遮断し、音声信号の通信に用いられる周波数帯域より低い帯域と高い帯域(例えば、270Hz以下および3.3kHz以上)を通過帯域とするフィルタである。
DCコマンド通過フィルタF207は、DCコマンドの通信に用いられる周波数帯域(例えば、0Hzから30Hzまで)を通過帯域とするフィルタである。
<分配装置の構成>
次に、分配装置300の構成について、図6を用いて説明する。なお、図6では、分配装置300が、室内モニタ200との接続用の4つの端子T321、T322、T323、T324を有し、最大4台の室内モニタ200と同時に接続でき、その中の1台と通信を行う場合を示す。また、分配装置300は、ロビーステーション100あるいは前段の分配装置300との接続用の端子T331、および、後段の分配装置300との接続用の端子T332を有する。
また、以下において、分配装置300と、ロビーステーション100あるいは前段/後段の分配装置300との間で通信されるコマンド信号(コマンドデータ)を、コマンド信号A(コマンドデータA)という。また、分配装置300と室内モニタ200との間で通信されるコマンド信号(コマンドデータ)を、コマンド信号B(コマンドデータBという。
図6に示すように、分配装置300は、デジタル変調信号補正部301と、コマンド変復調部302、303と、制御部304と、モニタ要求検知部305と、記憶部306と、発呼用信号生成部307と、第1リレー309と、第2リレー310と、第3リレー311と、DIP(Dual In-line Package)スイッチ312と、を具備する。なお、第3リレー311およびDIPスイッチ312は、接続する室内モニタ200の数(図6では「4」)だけ具備される。また、分配装置300は、デジタル変調信号通過フィルタF301、コマンド信号通過フィルタF302、F303および音声信号通過フィルタF304を有する。
デジタル変調信号補正部301は、ロビーステーション100から送信され、第1リレー309およびデジタル変調信号通過フィルタF301を通過したデジタル変調信号の搬送波が2線ケーブル内で減衰している場合に、該搬送波を増幅する。デジタル変調信号は、第3リレー311を経由して室内モニタ200に送信される。
コマンド変復調部302は、ロビーステーション100あるいは前段/後段の分配装置300から入力し、コマンド信号通過フィルタF302を通過したコマンド信号AをASK復調し、コマンドデータAを制御部304に出力する。また、コマンド変復調部302は、制御部304から出力されたコマンドデータAをASK変調し、コマンド信号Aを得る。コマンド信号Aは、コマンド信号通過フィルタF302を通過した後、ロビーステーション100あるいは前段/後段の分配装置300に送信される。
コマンド変復調部303は、室内モニタ200から入力し、コマンド信号通過フィルタF303を通過したコマンド信号BをASK復調し、コマンドデータBを制御部304に出力する。また、コマンド変復調部303は、制御部304から出力されたコマンドデータBをASK変調し、コマンド信号Bを得る。コマンド信号Bは、コマンド信号通過フィルタF303を通過した後、室内モニタ200に送信される。
制御部304は、各種のコマンドデータを生成する。例えば、制御部304は、モニタ要求検知部305からモニタ検知信号を入力した場合、接続要求のコマンドデータAを生成する。そして、制御部304は、ロビーステーション100向けのコマンドデータAをコマンド変復調部302に出力し、室内モニタ200向けのコマンドデータBをコマンド変復調部303に出力する。また、制御部304は、コマンド変復調部302から入力したコマンドデータAの内容、および、コマンド変復調部303から入力したコマンドデータBの内容に基づいて、分配装置300の各部の制御を行う。
また、制御部304は、呼出のコマンドデータに含まれるキー番号と記憶部306に記憶されたキー番号との比較結果に基づいて、第1リレー309、第2リレー310、第3リレー311を制御する。また、制御部304は、モニタ要求検知部305からモニタ検知信号を入力した場合、第1リレー309、第2リレー310、第3リレー311を制御する。なお、制御部304のリレー制御の詳細については後述する。
また、制御部304は、発呼のタイミングで、発呼指示信号を発呼用信号生成部307に出力する。
モニタ要求検知部305は、室内モニタ200からのモニタ要求(DCコマンド)を検知する。そして、モニタ要求検知部305は、モニタ要求を検知したことを示すモニタ検知信号、および、モニタ要求した室内モニタ200を特定する信号を制御部304に出力する。
記憶部306は、各種プログラムを実行する際のワークエリアとして制御部304に利用される。また、記憶部306は、制御部304が実行する各種アプリケーションプログラムや、各種ソフトウェアを予め記憶している。特に、記憶部306は、各室内モニタ200に割り付けられたロビーステーション100のキー番号と室内モニタ接続端子の端子番号とを対応付けて記憶する。
発呼用信号生成部307は、発呼指示信号を入力すると、スイッチを接続してDC電圧を2線間ショート(例えば0V)することにより、接続された室内モニタ200に対して発呼信号(DCトリガ)を送信する。
第1リレー309、第2リレー310および第3リレー311は、いずれも、制御部304の制御により、接続/切断を切り替える。なお、待機状態では、第1リレー309、第2リレー310および第3リレー311のいずれも切断されている(図6参照)。
各DIPスイッチ312は、連結する第3リレー311の接続先の室内モニタ200に対応したロビーステーション100のキー番号に対応して設定される。
なお、分配装置300では、音声信号が、第2リレー310、音声信号通過フィルタF304および第3リレー311を経由して室内モニタ200に送信される。また、分配装置300では、ACアダプタにて、商用の交流電源が直流電源に変換され、各部に供給される。なお、ACアダプタは外付けであるが、分配装置300は電源を内蔵していても良い。また、各分配装置300では、前段の分配装置300から直流電源を供給しても良い。
デジタル変調信号通過フィルタF301は、デジタル変調信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、8.5MHzから14MHzまで)を通過帯域とするフィルタである。
コマンド信号通過フィルタF302、F303は、コマンド信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、300kHz±30kHz)を通過帯域とするフィルタである。
音声信号通過フィルタF304は、音声信号の通信に用いられる周波数帯域(例えば、270Hzから3.3kHzまで)を通過帯域とするフィルタである。
<分配装置のリレー制御>
次に、分配装置300の制御部304によるリレー制御の詳細について、図10を用いて説明する。なお、待機状態では、第1リレー309、第2リレー310および第3リレー311は、切断されている。
制御部304は、ロビーステーション100あるいは前段の分配装置300から呼出のコマンドデータAを入力した場合(ST501:YES)、記憶部306に記憶されている室内モニタ200のキー番号のいずれかと一致するか否かを判定する(ST502)。
キー番号が一致しない場合(ST502:NO)、制御部304は、通信相手の室内モニタ200が他の分配装置300を経由して接続されていると判定し、第1リレー309、第2リレー310および第3リレー311を制御せず、待機状態を維持する。
一方、キー番号が一致した場合(ST502:YES)、制御部304は、通信相手の室内モニタ200が自機に接続されていると判定し、第1リレー309を接続し(ST504)、第2リレー310を接続し(ST505)、一致したキー番号に対応する端子に第3リレー311を接続させる(ST506)。これにより、分配装置300を経由して、通信相手の室内モニタ200とロビーステーション100との通信路を開くことができる。
また、制御部304は、モニタ要求検知部305からモニタ検知信号を入力した場合(ST501:NO、ST503:YES)、第1リレー309を接続し(ST504)、第2リレー310を接続し(ST505)、モニタ要求を検知した配線の端子に第3リレー311を接続させる(ST506)。これにより、分配装置300を経由して、通信相手の室内モニタ200とロビーステーション100との通信路を開くことができる。
なお、着信信号およびモニタ要求信号のいずれも入力していない場合(ST501:NO、ST503:NO)、制御部304は、第1リレー309、第2リレー310および第3リレー311を制御せず、待機状態を維持する。
<水晶発振周波数の要件>
次に、本実施の形態の水晶発振周波数の要件について、図7を用いて説明する。
送信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成したクロックでサンプリングして生成されたデータのタイムスロットを、受信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成したクロックでサンプリングした場合、本実施の形態のシステムはタイムスロット内のシンクパターンの第1ビットで再同期するシステムであるため、同タイムスロット内のシンクパターンの第1ビットから1528 ビット(= (1 + 8 + 180 + 2) x 8)後の最終ビットのデータにおいて、送信側のクロックに対する受信側のクロックのずれが最大となる。なお、本システムでは、次のタイムスロットにおいて、シンクパターンの第1ビットで再同期する。
ここで、システム要件として、上記タイムスロットの1528ビットのデータをサンプリングした場合のクロックのずれの許容範囲が、例えば、1ビットデータ長の1/5(前後1/10)まで、すなわち±65ppm(= 1/1528 x 1/5 x 1/2)以内とする。送信側のクロックを規準にした場合、受信側のクロックのずれが、常に±65ppm以内になるように受信側の水晶発振周波数が調整されていれば、受信側の機器は受信データを復号処理できる。
そこで、本実施の形態では、図7に示すように、規定のデータ数(例えば100フレーム分のデータ数)で、送信側データ時間601と受信側の計測時間602との時間差603を検出し、その時間差に応じて、受信側の水晶発振周波数を調整する。送信側データ時間601とは、送信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成された通信用クロックでサンプリングした送信データの規定のデータ数が占める時間(第1時間)である。受信側の計測時間602とは、受信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成された通信クロックでカウントした規定のデータ数に相当する時間(第2時間)である。
ここでは、基準時間となる送信側データをロビーステーション100のデータ列とし、比較時間となる受信側データを室内モニタ200で生成したデータ列とする。
なお、1つのタイムスロットあるいは1つのフレーム(12個のタイムスロット)にて、送信側データ時間と受信側の計測時間との時間差を検出しようとすると、差分の累積が小さく、時間差が短いため、高速のクロックが必要となってしまう。
また、本実施の形態では、調整幅の最小レンジを、例えばMAX±5ppm等、システム要件に応じて予め決定しておく。調整幅の最小レンジにより、時間差を検出するための計測用クロックの周波数が決まる。
<水晶発振周波数制御部の内部構成>
次に、室内モニタ200の水晶発振周波数制御部241の内部構成の詳細について、図8を用いて説明する。図8に示すように、水晶発振周波数制御部241は、計測用クロック生成部281、送信側データ時間計測部282、受信側内部時間計測部283、受信側時間差計算部284および調整値設定部285を有する。
計測用クロック生成部281は、水晶発振部242の水晶発振周波数を基準に、調整幅の最小レンジに基づく周波数(例えば、48MHz)の計測用クロックを生成し、受信側内部時間計測部283および送信側データ時間計測部282に計測用クロックを継続的に出力する。ここで、計測用クロックおよび通信用クロックの周波数は、何れも、受信側の機器の水晶発振周波数を基準に生成された既知の値であり、計測用クロックの周波数は通信用クロックの周波数と等しくても良い。
送信側データ時間計測部282は、受信信号の規定のデータ数が占める時間(受信データのカウント開始ポイントからカウント終了ポイントまでの時間)(以下、「基準時間」という)を計測する。この基準時間は、送信側の機器であるロビーステーション100の内部の発振周波数に基づいて生成された通信用クロックでサンプリングした送信データの規定のデータ数が占める時間(図7の601)に相当する。
受信側内部時間計測部283は、通信用クロックでカウントした規定のデータ数に相当する時間を計測用クロックのカウント数に換算し、計測用クロック生成部281から出力された計測用クロックを、カウント開始ポイントから、規定のデータ数に相当する数だけカウントし、計測用クロックのカウント開始から終了までの時間(図7の602)(以下、「比較時間」という)を計測する。なお、送信側データ時間計測部282および受信側内部時間計測部283におけるカウント開始ポイントに特に限定は無い。
受信側時間差計算部284は、送信側データ時間計測部282で計測された基準時間と受信側内部時間計測部283で計測された比較時間との差(図7の603)を計算する。
調整値設定部285は、基準時間と比較時間とのずれを減らすために、受信側時間差計算部284で計算された時間差に対応する設定値を水晶発振部242のレジスタ299(図9参照)に設定し、水晶発振部242の発振周波数を調整する。なお、受信側時間差計測部284で計算された時間差が所定の閾値以下になった場合には、調整値設定部285は、発振周波数の調整を停止しても良い。また、閾値にはヒステリシスを持たせても良い。
調整値設定部285は、室内モニタ200毎に、前回呼出時に調整された前記水晶発振部242の発振周波数に対応する設定値を記憶部213に記憶させる。調整値設定部285は、次回呼出時に、記憶部213に記憶された該設定値を呼出し、新しい初期設定値としてレジスタ299に設定する。
なお、ロビーステーション100の水晶発振周波数と室内モニタ200の水晶発振周波数は、工場出荷時にセンター値に調整されているものとする。
なお、本実施の形態では、ロビーステーション100、室内モニタ200における上記の水晶発振周波数の調整動作を、通常動作時の受信データ処理と並行して、バックグランドで実施することができる。これにより、調整用の時間を設定する必要がなく、通常の受信動作で受信データのビットエラーが発生しない初期調整のばらつき範囲内であれば、高精度なデジタル通信を行うことができる。
<水晶発振部の内部構成>
次に、室内モニタ200の水晶発振部242の内部構成の詳細について、図9を用いて説明する。図9に示すように、水晶発振部242は、水晶発振子290(振動周波数X1)、インバータ291、帰還抵抗292(抵抗値Rf)、ダンピング抵抗293(抵抗値Rd)、バッファ294、入力容量295(容量値C2)、出力容量296(容量値C3)からなる一般的なCMOSインバータ水晶発振回路に、入力容量297(容量値C1)、出力容量298(容量値C4)、レジスタ299を追加した構成を採る。
入力容量297の容量値C1および出力容量298の容量値C4は、予め、レジスタ299の初期値に対応する規定値になるように設定される。
水晶発振周波数制御部241(調整値設定部285)によってレジスタ299に新たな値が設定されると、この値に応じて、入力容量297の容量値C1あるいは出力容量298の容量値C4が調整される。これにより、水晶発振部242の発振周波数は、送信側の室内モニタ200の水晶発振周波数に合うように微調整される。
なお、ここでは、室内モニタ200の水晶発振部242の内部構成について説明したが、ロビーステーション100の水晶発振部142の内部構成も同様である。ロビーステーション100の水晶発振部142の周波数調整は、工場出荷時にレジスタ設定によりセンター値に調整される時に使用される。
<待機状態から通信状態までのシーケンス>
次に、本実施の形態に係る待機状態から通信状態までのシーケンスについて図11、図12を用いて説明する。
図11は、ロビーステーション100による起動の場合のシーケンスを示す。各機器間でデータが送受されない待機状態において(S701)、ロビーステーション100の呼出ボタンを押し下げる操作が行われた場合(S702)、ロビーステーション100は、呼出のコマンドデータAを分配装置300に送信する(S703)。
分配装置300は、呼出のコマンドデータAが、記憶部306に記憶されている室内モニタ200のキー番号のいずれかと一致する場合には、第1リレー309および第2リレー310を接続し、一致したキー番号に対応する端子に第3リレー311を接続させる(S704)。これにより、分配装置300を経由して、通信相手の室内モニタ200とロビーステーション100との通信路を開くことができる。なお、ロビーステーション100と室内モニタ200との間の通信路が確保された後、室内モニタ200の水晶発振部242の水晶発振周波数の微調整が行われる。
そして、分配装置300は、接続された室内モニタ200に対して発呼信号(DCトリガ)を送信する(S705)。
室内モニタ200は、分配装置300から転送された発呼信号を捕捉し(S706)、分配装置300に応答のコマンドデータBを送信する(S707)。
分配装置300は、室内モニタ200から応答のコマンドデータBを受信すると、ロビーステーション100に応答のコマンドデータAを送信する(S708)。
ロビーステーション100が、応答のコマンドデータAを受信することにより、ロビーステーション100、分配装置300および室内モニタ200は、通信状態となる(S709)。
以降、ロビーステーション100が、分配装置300を経由して室内モニタ200に、映像データおよび音声データを送信し(S710)、室内モニタ200が分配装置300を経由してロビーステーション100に音声データを送信する(S711)。
図12は、室内モニタ200による起動の場合のシーケンスを示す。各機器間でデータが送受されない待機状態において(S801)、室内モニタ200のキー入力部204でモニタ要求の操作が行われた場合(S802)、室内モニタ200は、分配装置300にモニタ要求(DCコマンド)を送信する(S803)。
分配装置300は、モニタ要求を受信した場合、第1リレー309および第2リレー310を接続し、一致したキー番号に対応する端子に第3リレー311を接続させる(S804)。これにより、分配装置300を経由して、通信相手の室内モニタ200とロビーステーション100との通信路を開くことができる。なお、ロビーステーション100と室内モニタ200との間の通信路が確保された後、ロビーステーション100の水晶発振部142の水晶発振周波数の微調整が行われる。
そして、分配装置300は、ロビーステーション100に接続要求のコマンドデータAを送信する(S805)。
ロビーステーション100は、分配装置300から受信した接続要求のコマンドデータAを捕捉し(S806)、分配装置300に接続応答のコマンドデータAを送信する(S807)。
分配装置300は、ロビーステーション100から接続応答のコマンドデータAを受信すると、室内モニタ200に接続応答のコマンドデータBを送信する(S808)。
室内モニタ200が、接続応答のコマンドデータBを受信することにより、ロビーステーション100、分配装置300および室内モニタ200は、通信状態となり(S809)、ロビーステーション100からの音声データおよび映像データのモニタリングが可能になる(S810)。
<各信号の周波数帯域>
次に、ドアホンシステム1で送受信される各信号の周波数帯域について、従来のアナログ方式のものと対比して説明する。
アナログ方式のドアホンシステムでは、図13Aに示すように、上りと下りのDCコマンド、上りと下りのアナログ音声信号、上りと下りのASKコマンド、および、下りのアナログ映像信号が、それぞれ、異なる周波数帯域で送受信される。
図13Aの例では、DCコマンドは0Hz(直流成分)が使用され、アナログ音声信号は300Hzから3kHz程度までの周波数帯域において送受信され、ASKコマンドは、例えば300kHの周波数で送受信され、アナログ映像信号は8.5MHzから14MHz程度までの周波数帯域において送受信される。このように、DCコマンド、アナログ音声信号、ASKコマンドおよびアナログ映像信号は、互いに異なる周波数帯域で送信される(周波数分割多重される)。
一方、本実施の形態に係るドアホンシステム1は、図13Bに示すように、上りと下りのDCコマンド、上りと下りのアナログ音声信号、上りと下りのASKコマンド、および、下りのデジタル映像データをデジタル変調した搬送波(デジタル変調信号)が、それぞれ、異なる周波数帯域で送受信される。
図13Bの例では、DCコマンドは0Hz(直流成分)が使用され、アナログ音声信号は300Hzから3kHzまでの周波数帯域、ASKコマンドは300kHzの周波数帯域が使用され、搬送波(デジタル変調信号)は、ここでの例としての従来のアナログ映像信号帯域内にある9MHzと13MHzの周波数が使用される。なお、図13Bの各周波数帯域の数値はあくまでも一例であり、本実施の形態はこの数値に限定されるものではない。本実施の形態に係るドアホンシステム1の搬送波(デジタル変調信号)は、切り替えられる従来のアナログ方式のドアホンシステムのアナログ映像信号帯域内の周波数を使用するのであれば良い。
図13Aと図13Bとの対比から明らかなように、本実施の形態に係るドアホンシステム1におけるDCコマンド、アナログ音声信号およびASKコマンドの周波数(帯域)が、アナログ方式のドアホンシステムのものと同一である。また、本実施の形態に係るドアホンシステム1における搬送波(デジタル変調信号)の2値の周波数が、アナログ映像信号の送受信に使用される周波数帯域の範囲内である。
したがって、本実施の形態のドアホンシステムにおいて、フィルタによって通過させる/遮断する周波数帯域が、従来のアナログ方式のドアホンシステムのものと共通にすることができる。このため、アナログ方式からデジタル方式(本実施の形態)への切り替えの際に、アナログ方式のドアホンシステムの各装置(ロビーステーション、室内モニタ)で使用されていたフィルタをそのまま使用することができる。また、アナログ方式のドアホンシステムの2線ケーブルおよび分配装置をそのまま使用できる。
<効果>
以上のように、本実施の形態では、デジタル映像データに対して圧縮処理を行い、圧縮されたデジタル映像データに対してデジタル変調を行う。これにより、搬送波(デジタル変調信号)の2値の周波数をアナログ映像信号の送受信に使用される周波数帯域の範囲内にすれば、アナログ方式からデジタル方式への切り替えの際に、アナログ方式のドアホンシステムの各装置(ロビーステーション、室内モニタ)で使用されていたフィルタをそのまま使用することができる。また、アナログ方式のドアホンシステムの2線ケーブルおよび分配装置をそのまま使用できる。このように、本実施の形態によれば、アナログ方式からデジタル方式への切り替えの際に、新たな装置を追加することなく、既存の設備の多くをそのまま使用できる。特に、2線ケーブルおよび分配装置をそのまま使用できることにより、壁内の配線作業をやり直す必要がなくなり、切り替え工事が非常に簡単になり、労力およびコストの大幅に低減することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2においては、実施の形態1で説明したロビーステーション100および室内モニタ200に対して変更になる部分があるため、以下、ロビーステーション100Aおよび室内モニタ200Aとする。なお、本実施の形態のシステム構成は、実施の形態1で説明した図1と同一であるので説明を省略する。また、本実施の形態の分配装置300の構成は、実施の形態1で説明した図6と同一であるので説明を省略する。
<ロビーステーションの構成>
次に、本実施の形態のロビーステーション100Aの構成について、図14のブロック図を用いて説明する。なお、図14に示すロビーステーション100Aにおいて、図3に示したロビーステーション100と共通する構成部分には、図3と同一符号を付し、説明を省略する。ロビーステーション100Aは、ロビーステーション100と比較して、音声データ処理部121が追加され、制御部105およびアナログ音声処理部108の機能が変更される。
音声データ処理部121は、マイク103から出力されたアナログ音声信号に対してA/D(Analog/Digital)変換を行い、デジタル音声データを生成する。G.726等の音声コーディックでエンコードしても良い。デジタル音声データは、制御部105に出力される。
制御部105は、音声データ処理部121から出力されたデジタル音声データを所定のタイムスロット(例えば「SL9」)のユーザデータフィールドに書き込む。なお、その他の制御部105の機能は、実施の形態1で説明したもの共通する。
アナログ音声処理部108は、上りのアナログ音声信号を受信し、増幅等のアナログ音声処理したアナログ音声信号をスピーカ102に出力する。
<室内モニタの構成>
次に、本実施の形態の室内モニタ200Aの構成について、図15のブロック図を用いて説明する。なお、図15に示す室内モニタ200Aにおいて、図5に示した室内モニタ200と共通する構成部分には、図5と同一符号を付し、説明を省略する。室内モニタ200Aは、室内モニタ200と比較して、音声データ処理部221が追加され、制御部203およびアナログ音声処理部208の機能が変更される。
制御部203は、下り通信フレームにおける音声データ用のタイムスロットの音声データを抽出、再組み立てして、再生成した音声データを音声データ処理部221に出力する。なお、その他の制御部203の機能は、実施の形態1で説明したもの共通する。
音声データ処理部221は、制御部203から出力されたデジタル音声データに対してD/A(Digital/Analog)変換を行い、アナログ音声信号を生成する。G.726等の音声コーディックでエンコードされた音声データの場合、音声データ処理部221は、デコード処理された音声データに対してD/A変換を行い、アナログ音声信号を生成する。アナログ音声信号は、スピーカ209に出力される。
アナログ音声処理部208は、マイクで拾ったアナログ音声を増幅等のアナログ音声処理を実施し、2線ケーブルを介して、分配装置300を経由し、ロビーステーション100Aに送信する。
<効果>
以上のように、本実施の形態では、デジタル映像データに対して圧縮処理を行い、圧縮されたデジタル映像データおよびデジタル音声データに対してデジタル変調を行う。これにより、映像および音声の搬送波信号の2値の周波数をアナログ映像信号の送受信に使用される周波数帯域の範囲内にすれば、アナログ方式からデジタル方式への切り替えの際に、アナログ方式のドアホンシステムの各装置(ロビーステーション、室内モニタ)で使用されていたフィルタをそのまま使用することができる。また、アナログ方式のドアホンシステムの分配装置をそのまま使用できる。このように、本実施の形態によれば、アナログ方式からデジタル方式への切り替えの際に、新たな装置を追加することなく、既存の設備の多くをそのまま使用できる。また、本実施の形態によれば、ロビーステーション100Aからの映像データに加えて音声データもデジタル化できるため、エラーフリーの状態では、高品質な映像だけでなく、高品質な音声でも、来訪者を確認することができる。さらに、本実施の形態によれば、映像と音声の相対的な遅延の調整を簡単にできるため、室内モニタ200A側で映像と音声が大きくずれることを防止できる。
なお、本開示は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
例えば、本開示では、分配装置300の数、および、各分配装置300に接続する室内モニタ200の数に、特に限定は無い。
また、上記の説明では、デジタル変調方式として、FSK変調を用いる場合について説明したが、本開示はこれに限られず、ASK変調、PSK変調等、他のデジタル変調を用いても良い。ASK変調を用いる場合、例えば、第1キャリア周波数を13MHzとし、第2キャリア周波数を変調しないようにし、第1キャリア周波数を、アナログ映像信号の送受信に使用される周波数帯域の範囲内にする。また、PSK変調を用いる場合、例えば、一つのキャリア周波数を使用し、デジタルデータ列のHレベルとLレベルとで互いに異なる位相となるように該キャリア搬送波を変調し、該キャリア周波数を、アナログ映像信号の送受信に使用される周波数帯域の範囲内にする。