JP2020007415A - 潜熱蓄熱材組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】無機塩水和物系の潜熱蓄熱材に添加剤を加えて、この潜熱蓄熱材の過冷却現象を抑制するにあたり、潜熱蓄熱材の凝固開始温度と、元々の潜熱蓄熱材単体の融解温度との差を、より小さく抑えた潜熱蓄熱材組成物を提供する。【解決手段】潜熱蓄熱材組成物1は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材10に、該潜熱蓄熱材10の物性を調整する添加剤15を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材10は、酢酸塩水和物であること、添加剤15は、融液状態にある潜熱蓄熱材10に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として配合されたカチオン界面活性剤であること、を特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、この潜熱蓄熱材の過冷却現象を抑える添加剤を配合した潜熱蓄熱材組成物に関する。
潜熱蓄熱材(PCM:Phase Change Material)は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱または放熱を行う物性を有しており、本来廃棄される排熱を蓄熱し、蓄えた熱を必要に応じて取り出すことで、エネルギが無駄なく有効に活用できる。代表的な潜熱蓄熱材として、酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)は、広く知られており、無機塩水和物系の潜熱蓄熱材の中でも、体積あたりの潜熱の蓄熱量が高い蓄熱材である。
他方、潜熱蓄熱材には、融液状態から凝固点以下に冷却しても結晶化しない過冷却現象が生じてしまうことがあり、特に酢酸ナトリウム三水和物では、このような過冷却現象が顕著に生じ易いことも良く知られている。過冷却現象が発現すると、一度融解した潜熱蓄熱材は、融液状態のまま凝固せず、潜熱が放熱できなくなり、潜熱蓄熱材に蓄えた潜熱の時間差利用が不可能になってしまう。このような過冷却現象を防ぐため、一般的には、特許文献1,2に例示されているように、過冷却防止剤が、潜熱蓄熱材と共に配合される。過冷却防止剤は、融液状態にある潜熱蓄熱材の結晶化の誘起を促す添加剤である。
特許文献1は、主成分とする酢酸ナトリウム三水和物(融点58℃)に、無水りん酸1水素2ナトリウム等のナトリウム塩と無水酢酸との混合物からなる核生成材を、過冷却防止剤として加えた蓄熱材である。特許文献1では、核生成材により、酢酸ナトリウム三水和物に対し、過冷却を抑えて結晶化の誘起を促す温度(凝固点)は、概ね46〜50℃前後に調整されている。
特公昭61−42957号公報
潜熱蓄熱材では、液相と固相との相変化が本来、融点で行われれば、液相から固相への相変化時に放熱する潜熱の熱量は、固相から液相への相変化時に吸熱する潜熱の熱量と、理論上、同じであるため、放熱時には、吸熱により蓄えた熱量分の潜熱が放たれる。しかしながら、特許文献1のように、潜熱蓄熱材に過冷却防止剤を加えた潜熱蓄熱材組成物では、潜熱蓄熱材の凝固点が、潜熱蓄熱材単体の融点を大きく下回ることがある。潜熱蓄熱材の凝固温度が、元々の融解温度から大幅に乖離していると、液相からの凝固に伴い、本来放熱させる潜熱の総熱量のうち、その一部の熱が、凝固した潜熱蓄熱材の昇温に使用される。潜熱蓄熱材は、放たれた潜熱の一部により、過冷却解除温度から融解温度付近になるまで昇温する。
そのため、蓄えていた潜熱の一部が蓄熱材自体の昇温に用いられてしまう分、過冷却解除後に放熱される潜熱のうち、利用可能な熱量は、実質的に減少してしまい、潜熱蓄熱材による蓄熱・放熱性能を十分に活かすことができなくなる問題があった。特許文献1では、核生成材により調整された酢酸ナトリウム三水和物(潜熱蓄熱材)の凝固点は、概ね46〜50℃前後と、潜熱蓄熱材単体の融点58℃に対し、10℃以上も乖離しており、放たれる潜熱の中で、潜熱蓄熱材の温度上昇に要する熱量の割合が大きく、特許文献1は、酢酸ナトリウム三水和物の優れた蓄熱・放熱性能を、十分に活かした蓄熱材になっていない。特に無機塩水和物系の潜熱蓄熱材の場合、潜熱蓄熱材単体の融点温度との温度差を10℃以内に収めた凝固温度にすることは、特許文献1のように、これまで困難とされてきており、このような温度差を10℃以内に収まる過冷却解除技術の開発が、長年必要とされてきた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、無機塩水和物系の潜熱蓄熱材に添加剤を加えて、この潜熱蓄熱材の過冷却現象を抑制するにあたり、潜熱蓄熱材の凝固開始温度と、元々の潜熱蓄熱材単体の融解温度との差を、より小さく抑えた潜熱蓄熱材組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、以下の構成を有する。
(1)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、前記潜熱蓄熱材は、酢酸塩水和物であること、前記添加剤は、融液状態にある前記潜熱蓄熱材に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として配合されたカチオン界面活性剤であること、を特徴とする。
なお、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物の「酢酸塩水和物」には、酢酸塩の酢酸イオンと、イオン結晶をなし得るカチオンとして、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン等のカチオンが挙げられ、このようなカチオンと酢酸イオンとのイオン結晶をなす酢酸塩の水和物が該当する。
(2)(1)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記添加剤は、前記カチオン界面活性剤のうち、第四級アンモニウム塩型に分類された第四級アンモニウム塩の界面活性剤であること、を特徴とする。
なお、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物のカチオン界面活性剤のうちの「第四級アンモニウム塩型」とは、分子式NR (R;炭化水素基、またはヘテロ炭化水素基)で示される多原子イオンで、正電荷を有したカチオンと、例えば、塩素イオン、臭素イオンなどのアニオンとによって塩をなす化合物のほか、多原子イオンとして、複素環式芳香族化合物に属するアミンの一種で、ベンゼンに含まれる6組のC‐H構造のうち、その1組が窒素原子に置換したピリジン環において、このピリジン環を構成する窒素原子に、水素原子、炭化水素基、またはヘテロ炭化水素基が結合することにより、ピリジン環上に、正電荷を生じたカチオンと、例えば、塩素イオン、臭素イオンなどのアニオンとよって塩をなす化合物を対象としている。
(3)(2)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記添加剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C2554ClN)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C1534ClN)、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物(C2546ClN・xHO)、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(C1330BrN)、または1‐ドデシルピリジニウムクロリド(C1730ClN)の少なくともいずれかであること、を特徴とする。
(4)(3)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記添加剤の主成分が、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C2554ClN)であること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載する潜熱蓄熱材組成物において、前記酢酸塩水和物は、酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)、または酢酸リチウム二水和物(CHCOOLi・2HO)であること、を特徴とする。
上記構成を有する本発明の潜熱蓄熱材組成物の作用・効果について説明する。
(1)相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材は、酢酸塩水和物であること、添加剤は、融液状態にある潜熱蓄熱材に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として配合されたカチオン界面活性剤であること、を特徴とする。この特徴により、カチオン界面活性剤は、結晶化に必要な潜熱蓄熱材の核生成に積極的に寄与するため、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物の潜熱蓄熱材では、添加剤により調整された凝固開始温度は、潜熱蓄熱材単体の融解温度に対し、例えば、これまで困難とされてきた10℃以内等の温度差に収まることができ、従来の過冷却防止剤を使用する場合に比べ、より小さく抑えることが可能になる。
従って、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物によれば、無機塩水和物系の潜熱蓄熱材に添加剤を加えて、この潜熱蓄熱材の過冷却現象を抑制するにあたり、潜熱蓄熱材の凝固開始温度と、元々の潜熱蓄熱材単体の融解温度との差を、より小さく抑えることができる、という優れた効果を奏する。
なお、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物の「カチオン界面活性剤」として、主に第四級アンモニウム塩型やアルキルアミン塩型に分類される界面活性剤であることが好ましい。
(2)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、添加剤は、カチオン界面活性剤のうち、第四級アンモニウム塩型に分類された第四級アンモニウム塩の界面活性剤であること、を特徴とする。この特徴により、凝固開始温度と融解温度との乖離に伴って、蓄えていた潜熱の一部が、凝固した潜熱蓄熱材の昇温に用いられても、凝固開始温度と融解温度との温度差が、従来の蓄熱材に比べ、より小さく抑えられている。そのため、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物では、凝固するときに、利用可能な潜熱の減少が抑制できている。
(3)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、添加剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C2554ClN)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C1534ClN)、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物(C2546ClN・xHO)、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(C1330BrN)、または1‐ドデシルピリジニウムクロリド(C1730ClN)の少なくともいずれかであること、を特徴とする。この特徴により、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物において、潜熱の蓄熱と、蓄えた潜熱の放熱との一連のプロセスが、繰り返し複数サイクルにわたって行われても、凝固開始温度と融解温度は、サイクル毎にほとんど変動しない。そのため、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、充填された蓄熱材充填容器の内外で、液相と固相との相変化に伴って、熱を蓄えるときや、蓄えた熱を必要に応じて取り出すときに、安定した状態で使用することができる。
(4)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、添加剤の主成分が、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C2554ClN)であること、を特徴とする。この特徴により、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物全体に占める添加剤の配合割合を、例えば、僅か10wt%程度で、融解温度と凝固温度との温度差を、一例である約8℃に収めることができる。そのため、蓄熱性能を有していないベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドの配合による起因に基づき、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物全体の蓄熱量の低下を抑制することができる。
(5)に記載する潜熱蓄熱材組成物において、酢酸塩水和物は、酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)、または酢酸リチウム二水和物(CHCOOLi・2HO)であること、を特徴とする。この特徴により、酢酸ナトリウム三水和物と酢酸リチウム二水和物では何れも、潜熱蓄熱材単体の融点が、50℃前半から後半にかけての温度であるため、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物は、例えば、食品の保温用途のほか、医療用物品の保温用途、ハイブリッドカーやエンジン付きの自動車、気動車等の車両向けの搭載機器で要する保温用途等、このような温度帯域で、相変化に伴う潜熱の出入りを必要とした用途向けに幅広く使用することができる。
実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物の構成成分を模式的に示す図である。 実施形態の実施例1に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを、繰り返し複数サイクル行った検証実験1の全サイクル分の結果を示すグラフであり、酢酸ナトリウム三水和物(潜熱蓄熱材)と、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドを主成分としたカチオン界面活性剤(添加剤)を、9対1の割合で配合した場合の実験結果を示すグラフである。 図2に示すグラフから抽出した最初の1サイクル分(図2中、A部)を示すグラフである。 実施形態の実施例2に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを行った検証実験2で、1サイクル分の結果を示すグラフであり、酢酸ナトリウム三水和物(潜熱蓄熱材)とドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(添加剤)を、7対3の割合で配合した場合の実験結果を示すグラフである。 実施形態の実施例3に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを行った検証実験3で、1サイクル分の結果を示すグラフであり、酢酸ナトリウム三水和物(潜熱蓄熱材)とベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物(添加剤)を、7対3の割合で配合した場合の実験結果を示すグラフである。 実施例1〜4に係る潜熱蓄熱材組成物における融解温度Te、凝固温度Tr、及び双方の温度差ΔTについて、DSCによる測定結果をまとめて掲載した表である。
(実施形態)
以下、本発明に係る潜熱蓄熱材組成物について、実施形態(実施例1〜5)を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物は、熱供給源から提供された熱を潜熱蓄熱材に一時的に蓄えた後、熱需要先で、潜熱蓄熱材に蓄えた潜熱の熱エネルギを、その時間差をもって活用する目的で用いられる。潜熱蓄熱材組成物は、蓄熱材充填容器(図示省略)に漏れのない態様で、液密かつ気密に充填され、潜熱蓄熱材組成物を充填した蓄熱材充填容器は、熱エネルギの活用を図る所定の収容手段の空間内に収容される。潜熱蓄熱材組成物は、充填された蓄熱材充填容器の内外で、液相と固相との相変化に伴った潜熱の出入りを利用して、蓄えた熱を必要に応じて取り出すことができ、蓄熱とその放熱のサイクルを複数回繰り返して使用される。
はじめに、潜熱蓄熱材組成物1の構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物の構成成分を模式的に示す図である。潜熱蓄熱材組成物1は、図1に示すように、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材10に、この潜熱蓄熱材10の物性を調整する添加剤15を配合してなる。潜熱蓄熱材10は、酢酸塩水和物であり、添加剤15は、融液状態にある潜熱蓄熱材10に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として配合されたカチオン界面活性剤である。
潜熱蓄熱材10は、本実施形態では、酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)である。酢酸ナトリウム三水和物単体は、水和数3、分子量[g/mol]136.08、融点約58℃、蓄熱量約276kJ/kg(400kJ/L)、融点より低い温度では、水に易溶な固体の物性であるが、過冷却現象を著しく生じ易い物性でもある。酢酸ナトリウム三水和物(潜熱蓄熱材10)を主成分とした潜熱蓄熱材組成物1の用途として、潜熱蓄熱材組成物1は、例えば、日常の食生活において、蓄えた潜熱を放熱することにより、配膳するまでの間、給食や料理を保温する場合や、食事するまでの間、弁当や食材を保温する場合等のほか、潜熱蓄熱材10の融点に近い50℃台の温度帯域で、相変化に伴う潜熱の出入りを必要とした用途向けに使用される。
カチオン界面活性剤は、第四級アンモニウム塩型とアルキルアミン塩型に大別されるが、添加剤15は、本実施形態では、第四級アンモニウム塩型に属する界面活性剤である。第四級アンモニウム塩型に属する界面活性剤は、さらに(a)「脂肪族化合物を有する四級アンモニウム塩」群と、(b)「芳香族炭化水素を有する四級アンモニウム塩」群と、(c)「複素芳香族化合物を有する四級アンモニウム塩」群に分類され、添加剤15は、(a)〜(c)のいずれの群にも該当した界面活性剤を主成分とした物質である。その複素芳香族化合物として、本実施形態では、複素環式芳香族化合物に属するアミンの一種で、ベンゼンに含まれる6組のC‐H構造のうち、その1組が窒素原子に置換したピリジン環において、このピリジン環を構成する窒素原子に、水素原子、炭化水素基、またはヘテロ炭化水素基が結合することにより、ピリジン環上に、正電荷を生じたカチオンと、例えば、塩素イオン、臭素イオンなどのアニオンとよって塩をなす化合物が対象である。
具体的には、(a)「脂肪族化合物を有する四級アンモニウム塩」群に該当する塩では、添加剤15は、例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C2554ClN)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C1534ClN)、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(C1330BrN)等の界面活性剤である。また、(b)「芳香族炭化水素を有する四級アンモニウム塩」群に該当する塩では、添加剤15は、例えば、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物(C2546ClN・xHO)等の界面活性剤である。また、(c)「複素芳香族化合物を有する四級アンモニウム塩」群に該当する塩では、添加剤15は、例えば、1‐ドデシルピリジニウムクロリド(C1730ClN)等の界面活性剤である。
(実施例1)
はじめに、実施例1に係る潜熱蓄熱材組成物1A(1)の概要について、説明する。実施例1に係る潜熱蓄熱材組成物1は、潜熱蓄熱材10である酢酸ナトリウム三水和物と、添加剤15として、(a)「脂肪族化合物を有する四級アンモニウム塩」群に属するベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(添加剤15A)とを混合させた潜熱蓄熱材組成物1Aである。実施例1で用いた添加剤15Aは、分子量404.167のベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドを80wt%、エタノールを18wt%、水を2wt%の配合割合で混合されたカチオン界面活性剤(ライオン株式会社製、商品名;アーカード22‐80)である。
次に、潜熱蓄熱材組成物1Aにおいて、潜熱蓄熱材10と添加剤15Aを混ぜ合わせたことにより、融解温度と凝固開始温度との関係を確認する目的で、検証実験1を行った。
<実験方法>
検証実験1では、潜熱蓄熱材組成物1Aから試料約10mgを採取した上で、周知の示差走査熱量測定装置(DSC:Differential scanning calorimetry)により、その試料台に載せた試料約10mgに窒素50ml/min.の雰囲気ガスを晒し、密閉した状態にある条件下で、試料に蓄えた潜熱の熱量と、試料から放熱された潜熱の熱量を測定した。
具体的には、潜熱の蓄熱量の測定にあたり、試料を、20℃から70.5℃になるまで2℃/min.の昇温速度で加熱して、試料を20分間、70.5℃の温度に保持させた。そして、試料の保温開始から20分が経過した後、潜熱の放熱量の測定にあたり、70.5℃に保温されていた試料を、20℃になるまで2℃/min.の降温速度で冷却して、試料を40分間、20℃の温度に保持させた。このような一連のプロセスを1サイクルとして、検証実験1では、一連のプロセスを複数回繰り返し実施。70.5℃になるまで試料を加熱している間に、蓄熱量の測定を行い、20℃になるまで試料を冷却している間に、放熱量の測定を行った。
<実験条件>
・潜熱蓄熱材組成物1A;潜熱蓄熱材10と添加剤15Aとの混合物
・潜熱蓄熱材10;酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)
・添加剤15A;ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C2554ClN)を主成分としたカチオン界面活性剤(商品名;アーカード22‐80)
・潜熱蓄熱材10と添加剤15Aとの配合割合
酢酸ナトリウム三水和物が90wt%、カチオン界面活性剤が10wt%(潜熱蓄熱材10:添加剤15A=9:1)
図2は、実施例1に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを、繰り返し複数サイクル行った検証実験1の全サイクル分の結果を示すグラフであり、酢酸ナトリウム三水和物(潜熱蓄熱材)と、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドを主成分としたカチオン界面活性剤(添加剤)を、9対1の割合で配合した場合の実験結果を示すグラフである。図3は、図2に示すグラフから抽出した最初の1サイクル分(図2中、A部)を示すグラフである。図6は、実施例1〜4に係る潜熱蓄熱材組成物における融解温度Te、凝固温度Tr、及び双方の温度差ΔTについて、DSCによる測定結果をまとめて掲載した表である。
図2及び図3に示すグラフでは、縦軸左側の目盛りが、単位時間に試料で蓄熱または放熱した熱量を示しており、この目盛りの「負」の領域は、試料に吸熱される熱量を示し、「正」の領域は、試料から放熱される熱量を示す。また、グラフでは、試料の融解時と凝固時に、時間経過と共に推移する熱量の線図の中で、熱量の絶対値が一時的に大きくなり、融解時に、最大値(ピークトップ)に達した時刻teに対応する試料の温度Te(「融解温度」と定義)となったとき、最大の蓄熱量を呈する条件となる。同様に、凝固時に、最大値(ピークトップ)に達した時刻trに対応する試料の温度Tr(「凝固温度」と定義)となったとき、最大の放熱量を呈する条件となる。試料における融解潜熱や凝固潜熱は、熱量の線図の中で、蓄熱量のピーク(融解ピーク)の開始時間と終了時間との間で、熱量を積算して得られるピーク面積S(図3等の図中、斜線の部分)の大きさで示されている。また、熱量の単位は〔mW〕で、試料の質量の単位は〔mg〕であるが、単位換算を行った上で、蓄熱量の単位は、〔kJ/kg〕としている。実施例2以降の各グラフについても同様である。
<実験結果>
図3に示すように、最初の1サイクル目の測定結果では、融解ピークの時刻teに対応する温度(融解温度)Teは59.7℃で、蓄熱量Se1は208kJ/kgであり、凝固ピークの時刻trに対応する温度(凝固温度)Trは51.5℃で、放熱量Sr1は183kJ/kgであった。また、図6に示すように、融解温度Teと凝固温度Trとの温度差ΔTは8.2℃であった。実施例1に係る潜熱蓄熱材組成物1Aでは、図2に示すように、2サイクル目以降についても、1サイクル目のグラフと同じような挙動をなす測定結果であった。
(実施例2)
次に、実施例2に係る潜熱蓄熱材組成物1B(1)の概要について、説明する。実施例2に係る潜熱蓄熱材組成物1は、潜熱蓄熱材10である酢酸ナトリウム三水和物と、添加剤15として、(a)「脂肪族化合物を有する四級アンモニウム塩」群に属するドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(添加剤15B)とを混合させた潜熱蓄熱材組成物1Bである。ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドは、分子量263.89、澄明な水溶状の物性である。
次に、潜熱蓄熱材組成物1Bにおいて、潜熱蓄熱材10と添加剤15Bを混ぜ合わせたことにより、融解温度と凝固開始温度との関係を確認する目的で、検証実験2を行った。
<実験方法>
検証実験2では、潜熱蓄熱材組成物1Bから試料約10mgを採取した上で、検証実験1と同様の方法で、示差走査熱量測定装置により、試料に蓄えた潜熱の熱量と、試料から放熱された潜熱の熱量を測定。具体的には、潜熱の蓄熱量の測定にあたり、試料を、30℃から80.5℃になるまで2℃/min.の昇温速度で加熱して、試料を20分間、80.5℃の温度に保持させた。そして、試料の保温開始から20分が経過した後、潜熱の放熱量の測定にあたり、80.5℃に保温されていた試料を、30℃になるまで2℃/min.の降温速度で冷却して、試料を40分間、30℃の温度に保持させた。このような一連のプロセスを1サイクルとして、検証実験2では、一連のプロセスを複数回繰り返し実施。80.5℃になるまで試料を加熱している間に、蓄熱量の測定を行い、30℃になるまで試料を冷却している間に、放熱量の測定を行った。
<実験条件>
・潜熱蓄熱材組成物1B;潜熱蓄熱材10と添加剤15Bとの混合物
・潜熱蓄熱材10;酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)
・添加剤15B;ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C1534ClN)
・潜熱蓄熱材10と添加剤15Bとの配合割合
酢酸ナトリウム三水和物が70wt%、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリドが30wt%(潜熱蓄熱材10:添加剤15B=7:3)
<実験結果>
図4は、実施例2に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを行った検証実験2で、1サイクル分の結果を示すグラフであり、酢酸ナトリウム三水和物(潜熱蓄熱材)とドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(添加剤)を、7対3の割合で配合した場合の実験結果を示すグラフである。図4に示すように、融解ピークの時刻teに対応する温度(融解温度)Teは59.5℃で、蓄熱量Se2は164kJ/kgであり、凝固ピークの時刻trに対応する温度(凝固温度)Trは49.9℃で、放熱量Sr2は147kJ/kgであった。また、図6に示すように、融解温度Teと凝固温度Trとの温度差ΔTは9.6℃であった。また、図示を省略しているが、実施例2に係る潜熱蓄熱材組成物1Bでも、検証実験を行った全サイクルで、図4に示すグラフと同じような挙動をなす測定結果であった。
(実施例3)
次に、実施例3に係る潜熱蓄熱材組成物1C(1)の概要について、説明する。実施例3に係る潜熱蓄熱材組成物1は、潜熱蓄熱材10である酢酸ナトリウム三水和物と、添加剤15として、(b)「芳香族炭化水素を有する四級アンモニウム塩」群に属するベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物(添加剤15C)とを混合させた潜熱蓄熱材組成物1Cである。ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物は、分子量[g/mol](396.10+18x)、融点55〜65℃、融点より低い温度では、水に可溶な固体の物質である。
次に、潜熱蓄熱材組成物1Cにおいて、潜熱蓄熱材10と添加剤15Cを混ぜ合わせたことにより、融解温度と凝固開始温度との関係を確認する目的で、検証実験3を行った。
<実験方法>
検証実験3では、潜熱蓄熱材組成物1Cから試料約10mgを採取した上で、検証実験1,2と同様の方法で、示差走査熱量測定装置により、試料に蓄えた潜熱の熱量と、試料から放熱された潜熱の熱量を測定。具体的には、潜熱の蓄熱量の測定にあたり、試料を、30℃から80.5℃になるまで2℃/min.の昇温速度で加熱して、試料を20分間、80.5℃の温度に保持させた。そして、試料の保温開始から20分が経過した後、潜熱の放熱量の測定にあたり、80.5℃に保温されていた試料を、30℃になるまで2℃/min.の降温速度で冷却して、試料を40分間、30℃の温度に保持させた。このような一連のプロセスを1サイクルとして、検証実験3では、一連のプロセスを複数回繰り返し実施。80.5℃になるまで試料を加熱している間に、蓄熱量の測定を行い、30℃になるまで試料を冷却している間に、放熱量の測定を行った。
<実験条件>
・潜熱蓄熱材組成物1C;潜熱蓄熱材10と添加剤15Cとの混合物
・潜熱蓄熱材10;酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)
・添加剤15C;ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物(C2546ClN・xHO)
・潜熱蓄熱材10と添加剤15Cとの配合割合
酢酸ナトリウム三水和物が70wt%、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物が30wt%(潜熱蓄熱材10:添加剤15C=7:3)
<実験結果>
図5は、実施例3に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを行った検証実験3で、1サイクル分の結果を示すグラフであり、酢酸ナトリウム三水和物(潜熱蓄熱材)とベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物(添加剤)を、7対3の割合で配合した場合の実験結果を示すグラフである。図5に示すように、融解ピークの時刻teに対応する温度(融解温度)Teは59.0℃で、蓄熱量Se3は159kJ/kgであり、凝固ピークの時刻trに対応する温度(凝固温度)Trは50.2℃で、放熱量Sr3は148kJ/kgであった。また、図6に示すように、融解温度Teと凝固温度Trとの温度差ΔTは8.8℃であった。図示を省略しているが、実施例3に係る潜熱蓄熱材組成物1Cでも、検証実験を行った全サイクルで、図5に示すグラフと同じような挙動をなす測定結果であった。
(実施例4)
次に、実施例4に係る潜熱蓄熱材組成物1D(1)の概要について、説明する。実施例4に係る潜熱蓄熱材組成物1は、潜熱蓄熱材10である酢酸ナトリウム三水和物と、添加剤15として、(c)「複素芳香族化合物を有する四級アンモニウム塩」群に属する1‐ドデシルピリジニウムクロリド(添加剤15D)とを混合させた潜熱蓄熱材組成物1Dである。1‐ドデシルピリジニウムクロリドは、分子量283.88、水分を含む物性である。
次に、潜熱蓄熱材組成物1Dにおいて、潜熱蓄熱材10と添加剤15Dを混ぜ合わせたことにより、融解温度と凝固開始温度との関係を確認する目的で、検証実験4を行った。
<実験方法>
検証実験4では、潜熱蓄熱材組成物1Dから試料約10mgを採取した上で、検証実験1〜3と同様の方法で、示差走査熱量測定装置により、試料に蓄えた潜熱の熱量と、試料から放熱された潜熱の熱量を測定。具体的には、潜熱の蓄熱量の測定にあたり、試料を、30℃から80.5℃になるまで2℃/min.の昇温速度で加熱して、試料を20分間、80.5℃の温度に保持させた。そして、試料の保温開始から20分が経過した後、潜熱の放熱量の測定にあたり、80.5℃に保温されていた試料を、30℃になるまで2℃/min.の降温速度で冷却して、試料を40分間、30℃の温度に保持させた。このような一連のプロセスを1サイクルとして、検証実験4では、一連のプロセスを複数回繰り返し実施。80.5℃になるまで試料を加熱している間に、蓄熱量の測定を行い、30℃になるまで試料を冷却している間に、放熱量の測定を行った。
<実験条件>
・潜熱蓄熱材組成物1D;潜熱蓄熱材10と添加剤15Dとの混合物
・潜熱蓄熱材10;酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)
・添加剤15D;1‐ドデシルピリジニウムクロリド(C1730ClN)
・潜熱蓄熱材10と添加剤15Dとの配合割合
酢酸ナトリウム三水和物が70wt%、1‐ドデシルピリジニウムクロリドが30wt%(潜熱蓄熱材10:添加剤15D=7:3)
<実験結果>
実施例4に係る潜熱蓄熱材組成物による蓄熱とその放熱のプロセスを、複数サイクル行った検証実験4のうち、任意に抽出した1サイクル分の結果を示すグラフの図示は省略するが、融解ピークの時刻teに対応する温度(融解温度)Teは59.2℃で、蓄熱量Se4は231kJ/kgであり、凝固ピークの時刻trに対応する温度(凝固温度)Trは50.2℃で、放熱量Sr4は180kJ/kgであった。また、図6に示すように、融解温度Teと凝固温度Trとの温度差ΔTは9.0℃であった。実施例4に係る潜熱蓄熱材組成物1Dでも、検証実験を行った全サイクルで、上述した1サイクル分の結果を示すグラフと同じような挙動をなす測定結果であった。
本出願人は、前述した実施例1〜4に係る潜熱蓄熱材組成物以外にも、潜熱蓄熱材10である酢酸ナトリウム三水和物に、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(添加剤15E)を混合させた実施例5に係る潜熱蓄熱材組成物1E(1)についても、融解温度と凝固開始温度との関係を確認する検証実験5を行った。デシルトリメチルアンモニウムブロミドは、(a)「脂肪族化合物を有する四級アンモニウム塩」群に属する分子量280.29、澄明な水溶状の物性である。検証実験5によると、実施例1〜4に係る潜熱蓄熱材組成物1A〜1Dと同様、潜熱蓄熱材10と添加剤15Eとを混合させた潜熱蓄熱材組成物1Eでも、融解温度Teと凝固温度Trとの温度差ΔTは、10℃以内に収まっていた。
ところで、実施例1〜5に係る潜熱蓄熱材組成物1(1A〜1E)では、その主成分である潜熱蓄熱材10を、酢酸ナトリウム三水和物としたが、本出願人は、酢酸ナトリウム三水和物以外の酢酸塩水和物として、酢酸リチウム二水和物(CHCOOLi・2HO)を潜熱蓄熱材20とする潜熱蓄熱材組成物2の特性についても、複数の実験を通じて確認している。
酢酸リチウム二水和物の物性は、水和数2、分子量[g/mol]102.02、融点53〜56℃、蓄熱量約230kJ/kg(300kJ/L)、融点より低い温度では、水に易溶な固体の物質であり、前述した酢酸ナトリウム三水和物と似た物性を有する。酢酸リチウム二水和物(潜熱蓄熱材20)を主成分とした潜熱蓄熱材組成物2についても、潜熱蓄熱材20と添加剤15(15A〜15E)を混ぜ合わせたことにより、実施例1〜5に係る検証実験のように、融解温度と凝固開始温度との関係を確認する目的で、添加剤15A〜15Eの種類毎に、複数の検証実験を行った。これらの検証実験より、酢酸リチウム二水和物を主成分とし、過冷却防止剤にカチオン界面活性剤を配合した潜熱蓄熱材組成物2でも、実施例1〜5に係る検証実験の結果と同じような傾向が得られ、融解温度Teと凝固温度Trとの温度差ΔTは、10℃以内に収まっていた。
<考察>
潜熱蓄熱材には、パラフィンを代表とする有機化合物系の蓄熱材と、本実施形態のように、酢酸ナトリウム三水和物(潜熱蓄熱材10)や酢酸リチウム二水和物(潜熱蓄熱材20)等による無機塩水和物系の蓄熱材があるが、何れの蓄熱材でも、過冷却現象の発現への防止を必要とする場合がある。この場合において、特に無機塩水和物系の蓄熱材では、特許文献1のように、過冷却防止剤により調整される蓄熱材の凝固温度が、その蓄熱材単体の融解温度と、相対的に10℃以上も低くなってしまっているのが一般的な傾向である。
これに対し、潜熱蓄熱材組成物1(1A〜1E)や潜熱蓄熱材組成物2では何れも、融解温度Teと凝固温度Trとの温度差ΔTが10℃以内に収まっている。このように、温度差ΔTが10℃以内に収まったのは、潜熱蓄熱材組成物1,2に配合した添加剤15にカチオン界面活性剤を用いているためだと考えられ、このカチオン界面活性剤により、酢酸塩とする潜熱蓄熱材10において、結晶化の誘起を促す核生成が、添加剤15によって活発的に生じ得ているためと推察される。但し、添加剤15がカチオン界面活性剤であることによって、温度差ΔTが10℃以内に収まるメカニズム等の理由については、現段階で解明できていない。
特に、実施例1では、潜熱蓄熱材組成物1A(1)全体に占める添加剤15Aの配合割合が僅か10wt%で、融解温度Teと凝固温度Trとの温度差ΔTを約8℃に収めることができている。添加剤15Aは、主成分のベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドを80wt%、エタノールを18wt%、水2wt%を混合したカチオン界面活性剤であるが、酢酸ナトリウム三水和物(潜熱蓄熱材10)の過冷却現象を防ぐ作用に、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドが寄与しているだけで、エタノールと水は、全く寄与しない。このことから、カチオン界面活性剤の中でも、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドを主成分とする添加剤15Aは、潜熱蓄熱材10の過冷却現象を防ぐ有効な過冷却防止剤となり得る。
しかも、潜熱蓄熱材組成物1A全体に対し、添加剤15Aの占める配合割合が相対的に多くなり過ぎると、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド自体は、蓄熱性能を有していないため、潜熱蓄熱材組成物1Aの蓄熱量が低下してしまう。他方、潜熱蓄熱材組成物1Aの主成分である酢酸ナトリウム三水和物は本来、蓄熱量276kJ/kg(400kJ/L)程度と、無機塩水和物系の潜熱蓄熱材の中でも、高い蓄熱量の潜熱を蓄えることができる。そのため、添加剤15Aの配合割合が10wt%程度であれば、潜熱蓄熱材組成物1Aは、このような酢酸ナトリウム三水和物単体の蓄熱量からの低下を抑えた蓄熱量にすることができる。
ところで、本出願人は、酢酸塩の潜熱蓄熱材10に対する過冷却防止剤として、カチオン界面活性剤以外に、アニオン界面活性剤の添加剤と、ノニオン界面活性剤の添加剤を用いて、潜熱蓄熱材組成物における融解温度と凝固開始温度の関係について、種々の実験を通じて確認を行った。しかしながら、添加剤が、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の場合には、潜熱蓄熱材組成物では、融解温度と凝固温度との温度差ΔTが、カチオン界面活性剤のように、10℃以内に収まらなかった。従って、添加剤が、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤である場合には、このような添加剤は、酢酸塩の潜熱蓄熱材10に対し、融解温度と凝固温度との温度差ΔTを10℃以内とする過冷却防止剤として作用しないことも分かり、カチオン界面活性剤による添加剤15だけに、過冷却防止の効果を奏する有意性があることも判った。
次に、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1,2の作用・効果について説明する。本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1,2は、相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材10,20に、該潜熱蓄熱材10,20の物性を調整する添加剤15を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材10,20は、酢酸ナトリウム三水和物であること、添加剤15は、融液状態にある潜熱蓄熱材10,20に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として配合されたカチオン界面活性剤であること、を特徴とする。この特徴により、カチオン界面活性剤は、結晶化に必要な潜熱蓄熱材10,20の核生成に積極的に寄与するため、潜熱蓄熱材組成物1,2の潜熱蓄熱材10,20では、添加剤15により調整された凝固温度Trは、潜熱蓄熱材10,20単体の融解温度Teに対し、これまで困難とされてきた温度差ΔT=10℃以内に収まることができている。すなわち、従来、特許文献1のように、過冷却防止剤により調整される蓄熱材の凝固開始温度は、その蓄熱材単体の融解温度と、相対的に10℃以上も乖離していたが、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1,2は、添加剤15の使用により、凝固温度Trと融解温度Teとの温度差ΔTを10℃以内とし、従来の過冷却防止剤を使用する場合に比べ、小さく抑えられている。
従って、本実施形態に係る潜熱蓄熱材組成物1,2によれば、無機塩水和物系の潜熱蓄熱材10,20に添加剤15を加えて、この潜熱蓄熱材10,20の過冷却現象を抑制するにあたり、潜熱蓄熱材10,20の凝固開始温度と、元々の潜熱蓄熱材10,20単体の融解温度との差を、より小さく抑えた潜熱蓄熱材組成物1,2を提供することができる、という優れた効果を奏する。
ところで、パラフィンを代表とする有機化合物系の潜熱蓄熱材は、過冷却防止剤により調整される潜熱蓄熱材の凝固開始温度について、その潜熱蓄熱材単体の融解温度との温度差を、相対的に10℃近傍まで近づけることも可能になると考えられる。しかしながら、潜熱蓄熱材がパラフィン系の場合、潜熱蓄熱材の蓄熱量は物質毎に異なるため、一概に比較はできないが、比重は概ね0.9、体積当たりの蓄熱量は、概ね220〜240kJ/kg(約175〜185kJ/L)であり、酢酸ナトリウム三水和物(比重1.46)の蓄熱量276kJ/kg(400kJ/L)と比べても低い。しかも、パラフィンは可燃性で、安全対策を必要とする場合もあり、使い勝手は良くない。
ところが、元々、過冷却現象を顕著に生じ易い物性の酢酸ナトリウム三水和物でも、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1,2は、添加剤15の使用により、凝固温度Trと融解温度Teとの温度差ΔTを10℃以内とし、従来の過冷却防止剤を使用する場合に比べ、小さく抑えられている。そのため、これまでパラフィン系の潜熱蓄熱材を、主として使用してきた産業分野において、パラフィン系の潜熱蓄熱材に代えて、蓄熱密度がより高い潜熱蓄熱材組成物1,2を使用することができる。
現在、血液や細胞をはじめとする生体物や、医薬品等の医療用物品は、主にパラフィン系の潜熱蓄熱材により、20℃前後〜40℃前後の温度帯域で、概ね一定温度に保温した状態で輸送されている。このように、概ね一定温度で保温する必要がある用途では、融解温度と凝固開始温度とが、10℃を遥かに超える温度差で大きく乖離していると、温度を一定に維持して保温することが困難になってしまい、潜熱蓄熱材の機能が果たせなくなってしまう。例えば、細胞などを、人の体温に相当する37℃に保温して輸送する場合、融点60℃、凝固点37℃の潜熱蓄熱材が用いられると、保温容器自体が37℃を下回ってから、潜熱蓄熱材の凝固が開始され、この潜熱蓄熱材から潜熱が放たれる。このとき、放たれる潜熱の総熱量のうち、その一部の熱が、凝固した潜熱蓄熱材の昇温に使用され、潜熱蓄熱材は、その融点60℃近傍になるまで昇温してしまう。その結果、保温対象である細胞が死滅してしまう虞がある。
他方、融点37℃、凝固点20℃の潜熱蓄熱材を用いようとすると、保温容器内の温度が20℃まで下がらないと、潜熱蓄熱材は放熱を開始しないため、融点と凝固点との温度差が20℃近くもあると、このような潜熱蓄熱材は、医療用物品を、一定温度で保温するのに不向きである。
従って、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1,2は、融解温度と凝固開始温度との温度差ΔTを10℃以内に収まることができているため、これまでパラフィン系の潜熱蓄熱材で保温を行ってきた用途分野にも、このような医療用物品を保温する目的で使用することができるようになる。
また、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1,2では、添加剤15は、カチオン界面活性剤のうち、第四級アンモニウム塩型に分類された第四級アンモニウム塩の界面活性剤であること、を特徴とする。この特徴により、凝固温度Trと融解温度Teとの乖離に伴って、蓄えていた潜熱の一部が、凝固した潜熱蓄熱材の昇温に用いられても、凝固温度Trと融解温度Teとの温度差ΔTが、10℃以内と、従来の蓄熱材に比べ、より小さく抑えられている。そのため、潜熱蓄熱材組成物1,2では、凝固するときに、利用可能な潜熱の減少が抑制できている。
また、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1,2では、添加剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C2554ClN)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C1534ClN)、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物(C2546ClN・xHO)、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(C1330BrN)、または1‐ドデシルピリジニウムクロリド(C1730ClN)の少なくともいずれかであること、を特徴とする。この特徴により、潜熱蓄熱材組成物1,2において、潜熱の蓄熱と、蓄えた潜熱の放熱との一連のプロセスが、複数サイクルにわたって繰り返し行われても、凝固温度Trと融解温度Teは、サイクル毎にほとんど変動しない。そのため、潜熱蓄熱材組成物1,2は、充填された蓄熱材充填容器の内外で、液相と固相との相変化に伴って、熱を蓄えるときや、蓄えた熱を必要に応じて取り出すときに、安定した状態で使用することができる。
また、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1,2では、添加剤15A(15)の主成分が、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C2554ClN)であること、を特徴とするので、潜熱蓄熱材組成物1A(1)全体に占める添加剤15Aの配合割合を僅か10wt%でも、融解温度Teと凝固温度Trとの温度差ΔTを約8℃に収めることができている。そのため、蓄熱性能を有していないベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドの配合による起因に基づき、潜熱蓄熱材組成物1A全体の蓄熱量が低下してしまうのを抑制することができている。
また、本実施形態の潜熱蓄熱材組成物1,2では、酢酸塩水和物は、酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)、または酢酸リチウム二水和物(CHCOOLi・2HO)であること、を特徴とする。この特徴により、酢酸ナトリウム三水和物と酢酸リチウム二水和物では何れも、潜熱蓄熱材10,20単体の融点が、50℃前半から後半にかけての温度であるため、潜熱蓄熱材組成物1,2は、例えば、前述した食品の保温用途のほか、医療用物品の保温用途、ハイブリッドカーやエンジン付きの自動車、気動車等の車両向けの搭載機器で要する保温用途等、このような温度帯域で、相変化に伴う潜熱の出入りを必要とした用途向けに、幅広く使用することができる。
以上において、本発明を実施形態の実施例1〜5に即して説明したが、本発明は上記実施形態の実施例1〜5に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、実施形態では、潜熱蓄熱材10を、酢酸塩水和物の一種である酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)と酢酸リチウム二水和物(CHCOOLi・2HO)としたが、潜熱蓄熱材は、実施形態に限定されるものではなく、酢酸塩水和物であれば、種々変更可能である。また、本発明の潜熱蓄熱材組成物の主成分である酢酸塩水和物は、少なくとも1種であれば良く、本発明の潜熱蓄熱材組成物の使用上、支障が生じなければ、本発明の潜熱蓄熱材組成物は、互いに異なる酢酸塩水和物同士を配合したものでも良い。
(2)また、実施形態では、潜熱蓄熱材10と、カチオン界面活性剤である添加剤15とを配合した潜熱蓄熱材組成物1を挙げた。しかしながら、本発明の潜熱蓄熱材組成物は、潜熱蓄熱材とカチオン界面活性剤である添加剤とを含有した上で、これらの構成成分以外に、例えば、潜熱蓄熱材の融解温度を低下させる過冷却防止剤、当該潜熱蓄熱材組成物の構成成分同士の分離を抑制する増粘剤、当該潜熱蓄熱材組成物に着色する着色剤等、カチオン界面活性剤とは別の添加剤を、適宜配合したものであっても良い。
(3)また、実施形態において、実施例1では、潜熱蓄熱材10と添加剤15Aとの配合割合を1:9とした潜熱蓄熱材組成物1Aを、実施例2では、潜熱蓄熱材10と添加剤15Bとの配合割合を7:3とした潜熱蓄熱材組成物1Bを、実施例3では、潜熱蓄熱材10と添加剤15Cとの配合割合を7:3とした潜熱蓄熱材組成物1Cを、実施例4では、潜熱蓄熱材10と添加剤15Dとの配合割合を7:3とした潜熱蓄熱材組成物1Dを、それぞれ例示して挙げた。
しかしながら、潜熱蓄熱材組成物において、潜熱蓄熱材と添加剤との配合割合は、実施形態に限定されるものではなく、潜熱蓄熱材組成物の使用上、支障が生じなければ、潜熱蓄熱材組成物に対する添加剤の配合比率は、適宜変更可能である。
1,1A,1B,1C,1D,1E 潜熱蓄熱材組成物
2 潜熱蓄熱材組成物
10 潜熱蓄熱材
20 潜熱蓄熱材
15,15A,15B,15C,15D,15E 添加剤

Claims (5)

  1. 相変化に伴う潜熱の出入りを利用して、蓄熱またはその放熱を行う潜熱蓄熱材に、該潜熱蓄熱材の物性を調整する添加剤を配合してなる潜熱蓄熱材組成物において、
    前記潜熱蓄熱材は、酢酸塩水和物であること、
    前記添加剤は、融液状態にある前記潜熱蓄熱材に対し、結晶化の誘起を促す過冷却防止剤として配合されたカチオン界面活性剤であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  2. 請求項1に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記添加剤は、前記カチオン界面活性剤のうち、第四級アンモニウム塩型に分類された第四級アンモニウム塩の界面活性剤であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  3. 請求項2に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記添加剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C2554ClN)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C1534ClN)、ベンジルセチルジメチルアンモニウムクロリド水和物(C2546ClN・xHO)、デシルトリメチルアンモニウムブロミド(C1330BrN)、または1‐ドデシルピリジニウムクロリド(C1730ClN)の少なくともいずれかであること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  4. 請求項3に記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記添加剤の主成分が、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C2554ClN)であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載する潜熱蓄熱材組成物において、
    前記酢酸塩水和物は、酢酸ナトリウム三水和物(CHCOONa・3HO)、または酢酸リチウム二水和物(CHCOOLi・2HO)であること、
    を特徴とする潜熱蓄熱材組成物。
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