JP2020007261A - 女性用のテストステロン分泌を増進させるテストステロン分泌増進用組成物、芳香治療用組成物、芳香治療用入浴剤、芳香治療用食品、及び、芳香治療用具 - Google Patents

女性用のテストステロン分泌を増進させるテストステロン分泌増進用組成物、芳香治療用組成物、芳香治療用入浴剤、芳香治療用食品、及び、芳香治療用具 Download PDF

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Abstract

【課題】月経前緊張症、マタニティーブルー、産後うつ病、更年期障害を改善するテストステロン分泌増進用組成物を提供する。【解決手段】合成又は天然物から単離、精製された、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの有効成分から選択される有効成分として含有する女性のテストステロン分泌を増進させることを特徴するテストステロン分泌増進用組成物、芳香治療用組成物、芳香治療用入浴剤、芳香治療用食品、芳香治療具。【選択図】図1

Description

本発明は、芳香として鼻から或いは食品添加物として口腔から嗅覚神経を介して脳に伝達されるように投与することを特徴とし、テストステロンの変化に伴う不快症状の軽減・改善するテストステロン分泌を増進させる芳香治療用組成物、テストステロン分泌を増進させる芳香治療用食品、芳香治療用入浴剤、及び芳香治療用具に関する。更に詳しくは、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの香りを鼻から或いは口腔から嗅ぐことによって、自らのテストステロン分泌を増加させることにより、女性の更年期、月経前、産後の症状を改善すること、また、病的状態を伴わない健康な状態でもよりテストステロン効果(脂肪体重の減少、ポジティブな感情の変増加、認知機能(記憶力、集中力)の向上、恋愛・仕事等に対する意欲向上等)をもたらすことに関する。
従来の非特許文献1(The Role of Androgens and Estrogens on Healthy Aging and Longevity、Astrid M. Horstman, E. L Dillon, RJ Urban, and M Sheffield-Moore。J Gerontol aA Biol Sci Med Sci. 2012;67:1140?1152)には、男性ホルモンであるアンドロジェンは、女性でも分泌されており、その量は男性の1/20〜25である。アンドロジェンはエストロジェンの前駆物質であり、卵胞の成熟過程に重要な役割を果たしていること、及び、テストステロン(代表的アンドロジェン)は炎症性サイトカインであるTNF(tumor necrosis factor)、interleukin(IL)-6, IL-1βの低下、抗炎症サイトカインIL-10の増加をもたらすことが開示されている。
また、非特許文献2には、健常若年女性の社会的活動におけるテストステロンの効果を調べた研究が相次いで行われており(C Eisenegger, J Haushofer, E Fehr, The role of testosterone in social interaction, Trends in Cognitive Sciences, June 2011, Vol. 15, 263-271)、テストステロンは、好奇心、競争、モチベーション、恋愛行動、経済的行動、不安・恐怖等に対しポジティブな効果をもたらすことが報告されている。
テストステロンの分泌レベルは生涯を通じて変化する。思春期に上昇し始め、20代にピークを迎える。40代から減少を始め、閉経前に30代の50%となり、閉経後には15%となる。女性では、テストステロンの分泌低下により、除脂肪体重、運動機能、骨密度、炎症、性機能、社会活動、認知機能(集中力、記憶力)、感情・情動(抑うつ気分、不安、焦燥感、疲労感等)に問題をもたらすことが知られている。
女性の更年期の心身の不調(更年期障害)は、エストロジェン補充療法だけでは全ての症状が改善せず、テストステロン補充によって初めて改善する症状があることが知られている。かくて、更年期にテストステロン補充療法が行われている。テストステロン補充療法を行うと、脂肪の減少、筋肉・筋力の増加、骨密度の増加が起こる。感情・情動(抑うつ気分、不安、焦燥感、疲労感等)、性機能(欲求、関心、感受性、頻度、満足等)、社会活動、認知機能(集中力、記憶力)の改善が見られる。また、脂質代謝異常の改善、血管拡張や拡張期血圧の減少も起こる。
一方、テストステロン分泌量は、月経周期によって変動する。その変動パターンは、エストロジェンとは異なり、月経開始日から排卵日にかけて上昇し、排卵日から月経開始日にかけて徐々に減少する(エストロジェンのように、排卵直後に一旦減少し、その後、急激な増加後に急激に減少するという、二峰性のピークを示さない)。かくて、非特許文献3(Sari M, van Anders KL, Goldey SN, Bell. Measurement of Testosterone in Human Sexuality Research: Methodological Considerations. Arch Sex Behav (2014) 43:231?250)には、月経前も更年期と同様な‘テストステロンの分泌低下に伴う症状’がみられると考えられる(月経前症候群の一部の症状)。また、若年女性の最もテストステロンが低値を示すのが出産後なので、産後うつ病の発症にも関与しているかもしれない。
テストステロン低下に基づく心身の不調は、テストステロン補充療法による治療が直接的であるが、副作用の存在が問題である(体液貯留、乳がんリスクの増大、多毛、ニキビ、肝機能障害等)。かくて、テストステロンを外的に投与することなく、自らのテストステロン分泌が活性化される方法が望ましい。
以上のことから、女性特有の精神・身体的症状が出現する時期はエストロジェン分泌が減少するとともにテストステロンも減少するという特徴を持つ時期である。この時期は、黄体後期(月経中も含む)、出産後、更年期に出現することがわかる。ところで、エストロジェン分泌を制御する組成物として、非特許文献1には、エストロジェン(女性ホルモンの1群)の主成分である17β-エストラジオールの分泌促進剤として、香科組成物のアンプレット・シード油やアンブレットリドを用いることが開示している 。
また、非特許文献2には、女性ホルモン不足による症状を治療するものとして菌生冬虫夏草の抽出物を用いることが開示している。
また、特許文献1は、本発明者らによるものであるが、β-カリオフィレンの芳香成分の女性に対する更年期障害等を含む影響が開示されている。
特許文献2も、本発明者らによるものであるが、女性特有の不定愁訴を緩和するために1,8-シネオールやドデセニルアセテートの芳香成分によるエストロジェン分泌の増進が開示されている。
一方、非特許文献4(SR.Davis & J Tran. Testosterone influences libido and well being in wome, TRENDS in Endocrinology & Metabolism Vol.12 33-35 2001)に開示されているのように、テストステロン補充療法は欧米では経皮的投与で多く行われているが、日本では行われていない。また、女性のテストステロン分泌を増加させて、女性の不定愁訴を改善するという特許文献は見当たらない。
最近、ホルモンアンバランスによる不調に対する代替医療として、精油(多数雑多な芳香組成物を含む)を用いたアロマテラピーによる健康法が広まりつつあるが、効用は経験に基づくものであり基礎医学研究による裏付けがほとんどない。また、精油は多数雑多な芳香組成物を含み、産地、気候によって芳香組成物の含量が異なっていることが知られているため、客観的根拠を元に、症状緩和をもたらす精油を選定し難い。
また、アロマテラピーにおける精油の効果も、鼻や口腔からの嗅覚神経ルートに限らず、経口(消化管から吸収)、経静脈、経皮的ルートや入浴での香も含むとされ、複合的である。本発明においては、芳香組成物は、芳香として鼻から或いは食品添加物として口腔から嗅覚神経を介して脳に伝達されるように投与し、その脳内嗅覚情報は大脳新皮質を介さず、直接、ホルモン分泌中枢である視床下部に入力することを考えると、芳香物質は経口、経静脈、経皮的ルートを介さない新しい中枢神経系薬物として発展しうる可能性がある。
なお、本発明者らは、特許文献1で若年女性のテストステロンの分泌増進組成物として、ドデセリニアアセテートが有効であること、特許文献2で、β−カリオフィレンがプロジェステロンの分泌増進組成物として有効であることを開示している。
特許第5923469号公報 特許第5116942号公報
The Role of Androgens and Estrogens on Healthy Aging and Longevity、Astrid M. Horstman, E. L Dillon, RJ Urban, and M Sheffield-Moore。J Gerontol aA Biol Sci Med Sci. 2012;67:1140−1152 C Eisenegger, J Haushofer, E Fehr, The role of testosterone in social interaction, Trends in Cognitive Sciences, June 2011, Vol. 15, 263-271 . Sari M, van Anders KL, Goldey SN, Bell. Measurement of Testosterone in Human Sexuality Research: Methodological Considerations. Arch Sex Behav (2014) 43:231−250. SR.Davis & J Tran. Testosterone influences libido and well being in wome, TRENDS in Endocrinology & Metabolism Vol.12 33-35 2001.
本発明は、女性のテストステロンの減少する更年期、月経前、産後の時期のテストステロンの分泌低下により、除脂肪体重、運動機能、骨密度、炎症、性機能、社会活動、認知機能(集中力、記憶力)、感情・情動(抑うつ気分、不安、焦燥感、疲労感等)に問題を改善するテストステロン分泌増進用組成物、芳香治療用組成物、芳香治療用入浴剤、芳香治療用食品、及び芳香治療用具を提供することを目的とする。
また、女性のテストステロンの減少していない若年期においても、テストステロンによって、好奇心・モチベーションを持ち、競争・恋愛行動・経済的行動においてポジティブな行動をとり、不安・恐怖等に臆すことのないようにする(テストステロン効果)芳香組成物、芳香治療用入浴剤、芳香治療用食品、及び芳香治療用具を提供することを目的とする。
特に、本発明においては、芳香物質は、芳香として鼻から或いは食品添加物として口腔から嗅覚神経を介して脳に伝達されるように投与し、その脳内嗅覚情報は大脳新皮質を介さず、直接、ホルモン分泌中枢である視床下部に入力することを考えると、芳香物質は経口、経静脈、経皮的ルートを介さない新しい中枢神経系薬物として発展しうる可能性があり、匂いによってテストステロンの変化に伴う不快症状の改善用芳香組成物、芳香治療用組成物、芳香治療用入浴剤、芳香治療用食品、及び芳香治療用具を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、テストステロン(Testosterone)の減少による病状を改善するために合成又は天然物から単離、精製されたベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを有効成分として、これらの匂いが、テストステロン分泌低下時期である更年期において、テストロン分泌増加をもたらすことを見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成されたものである。その結果、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレートはPOMS情動検査によって疲労感の改善効果、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレートはANT課題において集中力の増加が示された。
即ち、本発明は以下の(A)〜(G)を提供するものである。
(A) 合成又は天然物から単離、精製された、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの有効成分から選択される有効成分として含有するテストステロンの変化に伴う不快病状を改善するテストステロン分泌増進用組成物。また、不快症状を示していなくても、よりテストステロン効果(脂肪体重の減少、ポジティブな感情の増加、認知機能の向上、恋愛・仕事等の意欲向上等)をもたらすテストステロン分泌増進用組成物。
(B)前記テストステロンの変化に伴う不快症状が、月経前緊張症、マタニティーブルー、又は更年期障害によるものであることを特徴とするテストステロン分泌増進用組成物。
(C)前記テストステロンの変化が、テストステロンの低下である改善用組成物。
(D)前記ベンジルアセテートは40〜50重量%、好ましくは45重量%、リナリルアセテートは25〜35重量%、好ましくは30重量%、3-メチルペンチルアンゲレート0.30〜0.45重量%、好ましくは0.39重量%、Cis-ジャスモンは75〜85重量%、好ましくは80重量%、であるテストステロン分泌増進用組成物。
(E) 前記ベンジルアセテートは45重量%、リナリルアセテートは30重量%、β-カリオフィレンは3重量%、3-メチルペンチルアンゲレート0.39重量%、Cis-ジャスモンは80重量%であるテストステロン分泌増進用組成物。
(F)合成又は天然物から単離、精製された、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの有効成分から選択される有効成分として含有するテストステロンの変化に伴う不快病状の改善するテストステロン芳香治療用組成物。
(G)合成又は天然物から単離、精製された、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの有効成分から選択される有効成分として含有し、浴槽のお湯に溶かす芳香治療用入浴剤。
(H)合成又は天然物から単離、精製された、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの有効成分から選択される有効成分として含有し、そのまま、或いは食品に添加する芳香治療用食品。(I)合成又は天然物から単離、精製された、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの有効成分から選択される有効成分として含有する溶媒(プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、アルコール、水、各種オイル)の入ったガラス瓶に送り、そこから出てきた空気を鼻から吸うようにしテストステロンの変化に伴う不快病状の改善をする芳香治療用具。
本発明の合成又は天然物から単離、精製された、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの有効成分から選択される有効成分として含有するテストステロン分泌増進用組成物組成物は、テストステロンの変化に伴う不快症状を改善できるので、女性のテストステロンの減少する更年期、月経前、産後の時期のテストステロンの分泌低下によりもたらされる、除脂肪体重の増加、運動機能の低下、骨密度の低下、炎症、性機能の低下、社会活動の低下、認知機能(集中力、記憶力)の低下、ネガティブな感情・情動(抑うつ気分、不安、焦燥感等)の増加などの問題に対する改善薬として有用である。
また、本発明の合成又は天然物から単離、精製された、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの有効成分から選択される有効成分として含有するテストステロン分泌増進用組成物、芳香治療用組成物、芳香治療用具、芳香治療用入浴剤、芳香治療用食品は、嗅覚神経を介する方法によって投与できるので、短時間で効果を発揮させることができ、また、血液を介さないので消化管、肝臓や腎臓に副作用を及ぼさないという利点もある。
40歳〜59歳の更年期女性(n=4)で45%のベンジルアセテート(Sigma Aldrich Co)を含有した溶液(溶媒はプロピレングリコールPG)を嗅がせる前と後のテストステロン(Testosterone)量と、コントロールとしてPG溶液を嗅がせる前と後のテストステロン量を示した実施例のグラフの図。 40歳〜59歳の更年期女性(n=16)での30%のリナリルアセテート(Sigma Aldrich Co)の含有した溶液(溶媒はDPG)を嗅がせる前と後のテストステロン量と、コントロールとしてDPG溶液を嗅がせる前と後のテストステロン量を示した実施例のグラフの図。 40歳〜59歳の更年期女性(n=10)での0.39%の3-メチルペンチルアンゲレート(Sigma Aldrich Co)を嗅がせる前と後のテストステロン量と、コントロールとしてDPG溶液を嗅がせる前と後のテストステロン量を示した実施例のグラフの図。 40歳〜59歳の更年期女性(n=15)での80%のCis-ジャスモン(Sigma Aldrich Co)を嗅がせる前と後のテストステロン量と、コントロールとしてDPG溶液を嗅がせる前と後のテストステロン量を示した実施例のグラフの図。 実施例の30%のリナリルアセテート(Sigma Aldrich Co)を溶媒に溶かした溶液と溶媒だけとを嗅がせてANT(attention network task)テストによる集中力を検証した実験結果のグラフの図、 実施例の0.39%の3-メチルペンチルアンゲレート(Sigma Aldrich Co)を溶媒に溶かした溶液と溶媒だけとを嗅がせてANT(attention network task)テストによる集中力を検証した実験結果のグラフの図である。 45%のベンジルアセテート(Sigma Aldrich Co)の投与によって感情の増減を被験者4人を対象にPOMS(Profile of Mood States)テストで検証した実験結果のグラフの図、 30%のリナリルアセテート(Sigma Aldrich Co)の投与によって感情の増減を被験者16人を対象にPOMS(Profile of Mood States)テストで検証した実験結果のグラフの図、 0.39%の3-メチルペンチルアンゲレート(Sigma Aldrich Co)の投与によって感情の増減を被験者10人を対象にPOMS(Profile of Mood States)テストで検証した実験結果のグラフの図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明の実施例は、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを用い、この香りが、テストステロン分泌の減少をきたしている女性(本実施例では、更年期)に対してテストステロン(Testosterone)の分泌を増進する作用を見出した。さらに、テストステロン分泌増進に伴い集中力の増加、疲労感の減少をもたらすという本発明は、以上の知見に基づき完成されたものである。
そして、発明者らは、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの匂いは、テストステロン分泌の減少をきたしている女性(本実施例では、更年期)に対しテストステロン分泌を増進する作用があることを見出したが、以下のような新規な用途に利用できることに想到した。
(1)ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンは、女性にみられるテストステロン分泌の低下が原因の心身の不調(特に、更年期女性で、テストステロン分泌の低下が原因の心身の不調)の改善に効果があると推定できる。また、テストステロン分泌の低下が原因の心身の不調は更年期の女性のみならず、出産後の女性、黄体後期の女性にもみられると考えられるが、このような女性の心身の不調に対してもベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンは有効であると推定できる。また、健常な女性においては、上述の「テストステロン効果」があると推定できる。
(2)植物の精油(エッセンシャルオイル)を用いて症状の改善や健康維持を図る療法を一般にアロマテラピー(芳香治療、芳香療法)というが、この植物精油(多くの芳香物質の混合物)の代わりに、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモン(それぞれ、精油に含まれる単一芳香物質)を用いて、病気の治療や健康維持を図ることも可能である。従って、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンは、「テストステロン分泌増進の芳香による症状の改善組成物」としても利用できると考えられる。
(3)上記(2)と同様に、器具や道具のような形態でも、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンによる症状の改善や健康維持は可能である。従って、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンは、「芳香による症状の改善用具」としても利用できると考えられる。具体的には実施例に記載されているように、例えば、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを含む溶媒(プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、アルコール、水、各種オイル)の入ったガラス瓶に送り、そこから出てきた空気を被験者の鼻から10〜20cm離したロートやディフューザーから放出させる芳香治療用具であっても良い。
(4)芳香治療用食品。
ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを含有するにテストステロン分泌増進用組成物を、そのまま、或いは食品に添加し芳香治療用食品として、口腔から嗅覚神経を介して脳に伝達されるように投与することも可能である。
以下、上記の各用途について説明する。
(5)テストステロン分泌増進用組成物(以下、「本発明の増進用組成物」という場合がある)。
本発明のテストステロン分泌増進用組成物は、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを有効成分として含有するものである。
使用するベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンは、天然物(例えば、クチナシ、ジャスミン、ベルガモット、カモミール)、などから抽出されたものでもよく、人工的に合成されたものであってもよい。また、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンは、試薬・香料として既に市販されているのでそれを用いてもよい。
本発明のテストステロン分泌増進用組成物は、その使用態様に応じて様々な組成で調製されるが、通常は、後述するテストステロン分泌増進用組成物と同様の組成で調製される。
(6)テストステロン分泌芳香用具。
本発明のテストステロン分泌芳香用具は、合成されたベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモン又は天然物から単離、精製されたベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを含有する部分を持つものである。
使用するベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンは、芳香組成物と同様に、合成された又は天然物から単離、精製されたものを用いる。また、飲食物を口に入れる前、又は咀嚼中、嚥下後も通常その食品・飲料の匂いを嗅いでいる。
従って、食品或いは飲料という形態でもベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンはその効果を発揮でき、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンは女性特有の心身の症状の改善用飲食物としても利用できる。
飲食物の種類は限定されず、フレーバーティー、フレーバーコーヒー、フレーバービール、飴、ガム、ブレスケア、調味料、食品添加物などを例示できる。例えば、本発明の食品は、通常の食品の製造工程に、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを添加する工程を追加することにより製造され、食品中のベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの含有量は、食品の種類により異なるが、最大効果は、45%(ベンジルアセテート)、30%(リナリルアセテート)、0.39%(3-メチルペンチルアンゲレート)、80%(Cis-ジャスモン)でもたらされる。
芳香用具は、芳香に使用される器具、道具等であればどのようなものでもよく、生理用品、おむつ、紙類、繊維製品(下着、ストキング等)、貼布薬、石鹸・洗剤、ろうそく、枕、布団などを例示することがきる。 本発明の芳香用具は、植物の精油の代わりにベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを用いること以外は、一般の芳香用具と同様に製造することができる。
(7)テストステロン分泌増進用組成物の使用方法。
本発明のテストステロン分泌増進用組成物の使用方法は、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを、テストステロン低下を示す者に投与することを特徴とするものである。
ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの投与方法は特に限定されず、通常の医薬等と同様に経口的、経静脈的、経皮的に投与してもよいが、好ましくは、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンによる刺激が嗅覚神経を介して脳に伝達されるような手段で投与する。このような投与手段の一例としては、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを含む空気を、テストステロン分泌の低下を示す者に嗅がせる手段を例示することができる。
このときの空気中のベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの量は厳密には計測できないが 、芳香を発散する溶液の使用するベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの含有量は、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールを溶媒に用いた場合には、45%(ベンジルアセテート)、30%(リナリルアセテート)、0.39%(3-メチルペンチルアンゲレート)、80%(Cis-ジャスモン)の濃度が好ましい。使用対象としては健常女性が、症状治癒改善目的だけでなく、上記方法で「テストステロン効果」を得るために用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
月経が不規則な40歳〜59歳の非喫煙更年期女性を対象に、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを嗅いだ場合に生じるテストステロンの変化を調べた。
1.実験方法
1−1.説明会
被験者には、事前に実験内容を説明して承諾を得てから、実験当日は匂いが強い食べ物や刺激物(ニンニク・タマネギ・香辛料・香草など)を朝から食べないようにし、実験開始30分前からは何も食べないようにしてもらうようにした。
1−2.実験当日
更年期被験者(月経が不規則な40歳〜59歳の女性)を対象に、月経開始後5−10日(卵胞期)に実験を行った。各々のグループの被験者に、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを含む溶媒(ジプロピレングリコール)又は溶媒のみを嗅がせ、実験開始前と実験開始20分後に唾液採取を行い、分泌されるアンドロジェンの内、最も作用が強いテストステロン(T)を酵素免疫測定法により測定した。
実験は、空気を2 L/minの風量で本実施例のベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを含む溶媒(プロピレングリコール或いはジプロピレングリコール)の入ったガラス瓶に送り、そこから出てきた空気を被験者の鼻から10cm離したロートから放出させることにより行い、これを20分間続けた。実験中は、被験者には椅子に座ってリラックスした状態で普段と変わらない呼吸をしてもらい、実験開始前と実験開始20分後に唾液採取を行った。このとき、何らかの異常を認めた場合、その場で実験を中止し適切な処置を行うこととした。
[実施例1]
40歳〜59歳の更年期女性(n=4)で45%のベンジルアセテート(Benzylacetate)(Sigma Aldrich Co)を含有した溶液(溶媒はプロピレングリコール(PG))を嗅がせる前と後のテストステロン量と、コントロール(比較例1)としてPG溶液を嗅がせる前(Pre)と後(Post)のテストステロン量を示した実施例1のグラフの図1である。
テストステロン濃度の日内変動の影響を防ぐために、実験は10:00−18:00に行っているので、統計解析は香り曝露の前後でt検定を行った。香りを嗅がなくとも実験プロトコールに参加するだけで、テストステロン濃度が変化する可能性を否定するために溶媒を嗅いだ前後でテストステロン濃度を測定した。
図1に示すように、コントロールのプロピレングリコール(PG)では、匂い曝露前後のテストステロン濃度の差は見られなかったが(対応のあるt検定、P=0.715)、45%ベンジルアセテートは嗅いだ前に比べ、嗅いだ後はテストステロン濃度が有意に増加している(p=0.043)。
前記のテストステロン(pg/mL)の量は酵素免疫測定法に用いた。ここで酵素免疫測定法に用ものは、SALIMETRICS社製の唾液中成分の定量キット(測定キット)で、型番が1-2402 Testosterone, EIA Kit, Salivaryで、測定手法は、(A)「未知の濃度のテストステロンを含む唾液検体」を、それに結合する抗体(96穴プレートというプラスティックプレートの穴にコーティングされている)と反応させ、その際、(B)「酵素を予め結合させた既知濃度のテストステロン」も同時に反応させ、(A)と(B)で競合反応((A)と(B)で抗体を取り合う)をさせた。
一定時間の反応後、プレート状の抗体に結合しているもの以外の溶液を捨て、酵素反応(発色する)を誘発する基質を添加する。こうすることで、発色は(B)の結合量を反映した色合いになる。この色合いは、吸光光度計による測定から定量化し、(A)が少なければ、(B)の方が抗体を多く取るので、発色の強さは強くなり、一方、(B)が多ければ、相対的に(B)が抗体を取る量が減り、発色の強さは弱くなる。こうした原理を利用して、別途、「既知の濃度のテストステロン(標準検体)」を複数濃度測定し、検量線を算出しておくことで、発色の色合いから(A)「未知の濃度のテストステロンを含む唾液検体」の濃度を算出した。
前記酵素免疫測定法で使用した酵素である「西洋ワサビペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)」は、以下のような物性を有する。
ペルオキシダーゼ(Hydrogen peroxidase,Horseradish peroxidase,HRP)
反応 色原性基質+H22 ⇔ 酸化型色素+2H2
起源 西洋わさび(Horseradish)
分子量, 40,000,至適pH:pH6.5
基質特異性 色原性基質(水素供与体)については特異性はない。
[実施例2]
30%リナリルアセテート(Linalyl Aceate)をジプロピレングリコールで溶かしたものと、コントロールとしてジプロピレングリコール(DPG)(比較例2)だけのものとを比較実験を行った。
被験者は月経が不規則な40歳〜59歳の非喫煙更年期女性(n=16)を対象とし、比較例2と実施例2として実験を行った。
テストステロン濃度の日内変動の影響を防ぐために、実験は10:00−18:00に行っているので、統計解析は香り曝露の前後でt検定を行った。香りを嗅がなくとも実験プロトコールに参加するだけで、テストステロン濃度が変化する可能性を否定するために溶媒を嗅いだ前後でテストステロン濃度を測定してる。
図2に示すように、コントロールのジプロピレングリコール(DPG)では、匂い曝露前後のテストステロン濃度の差は見られなかったが(対応のあるt検定、P=0.151)、リナロールは嗅いだ前に比べ、嗅いだ後はテストステロン濃度が有意に増加している(p=0.035)。
[実施例3]
40歳〜59歳の更年期女性(n=10)での0.39%3-メチルペンチルアンゲレート(3-Methy pentyl angelate)をジプロピレングリコールで溶かしたものと、コントロールとしてジプロピレングリコール(DPG)(比較例3)だけのものとを比較実験を行った。
被験者は月経が不規則な40歳〜59歳の非喫煙更年期女性を対象とし、比較例3と実施例3として実験を行った。
テストステロン濃度の日内変動の影響を防ぐために、実験は10:00−18:00に行っているので、統計解析は香り曝露の前後でt検定を行った。香りを嗅がなくとも実験プロトコールに参加するだけで、テストステロン濃度が変化する可能性を否定するために溶媒を嗅いだ前後でテストステロン濃度を測定してる。
図3に示すように、コントロールのジプロピレングリコール(DPG)では、匂い曝露前後のテストステロン濃度の差は見られなかったが(対応のあるt検定、P=0.432)、3-メチルペンチルアンゲレートは嗅いだ前に比べ、嗅いだ後はエストロジェン濃度が増加する傾向があった(p=0.023)。
[実施例4]
80%Cis-ジャスモンをジプロピレングリコールで溶かしたものと、コントロールとしてプロピレングリコール(PG)(比較例4)だけのものとを比較実験を行った。
被験者は月経が不規則な40歳〜59歳の非喫煙更年期女性(n=15)を対象とし、比較例4と実施例4として実験を行った。
テストステロン濃度の日内変動の影響を防ぐために、実験は10:00−18:00に行っているので、統計解析は香り曝露の前後でt検定を行った。香りを嗅がなくとも実験プロトコールに参加するだけで、テストステロン濃度が変化する可能性を否定するために溶媒を嗅いだ前後でテストステロン濃度を測定している。
図4に示すように、コントロールのプロピレングリコール(PG)では、匂い曝露前後のテストステロン濃度の差は見られなかったが(対応のあるt検定、P=0.34)、Cis-ジャスモンは嗅いだ前に比べ、嗅いだ後はテストステロン濃度が有意に増加している(p=0.014)。
上述した各実施例のベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを有効成分として含有する組成物は、男性ホルモンの1種であるテストステロンの分泌の増進が認められ、テストステロン分泌変化を伴う女性に対して有効であることが判る。
ところで、男性ホルモンの中の一つであるテストステロンは、男性に限らず、女性にも分泌されており、その分泌の増加は、主に恋愛意欲・性欲増進効果、他者との駆け引き能力向上効果、闘争心増進効果、野心的な行動をもたらすことが報告されており、ここでこれらの効果を説明する。
前記の性欲増進効果について、女性のテストステロンは恋愛意欲・性欲を高めることが報告されている。女性にテストステロンやその受容体に対する薬剤を投与すると、恋愛意欲・性欲が増加する。また、女性は魅力的な男性を見続けることでテストステロン分泌が増加する。
前記の他者との駆け引き能力向上効果について、女性のテストステロンは他者との駆け引き能力を高めることが報告されている。女性にテストステロンを投与すると、公正な(フェアな)交渉行動(駆け引き)、金銭駆引課題時の報酬系活動(腹側線条体活動)、最後通牒ゲーム(誰かに分け与えられた「報酬」をどのように分配するかというゲーム)におけるリスク行動が増加する。また、アイオワギャンブリング課題(前頭前野機能を評価)におけるリスクを伴う行動が増える。
前記の闘争心増進効果について、テストステロンは闘争心を高めることが報告されている。テストステロンを投与すると、脅威を示す表情(不快、恐れ、怒り)に対して脅威を感じにくくなる。また、テストステロンはストレス耐性にも関連していることが示されている。また、こうしたこと故、テストステロン分泌が高い者の方が、競技者では個人競技の成績が良いこと、社会において敗北しても後に再挑戦しがちであること、よりリスクをとることが報告されている。
次に、上述したようなリナリルアセテート(Linalyl Aceate)、3-メチルペンチルアンゲレート(3-Methy pentyl angelate)曝露による被験者の「集中力」について検証した。
この「集中力」の検証には、PC操作による認知課題であるANT(attention network task)テストを用いて、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレートを嗅いでいる時の集中力をコントロール(DPG或いはPG)の場合と比較を行った。
前述のANTは、ヒトの注意機能(実行機能、覚醒機能、注意定位機能)を、短時間で効率よく評価するために開発された検証手段である。ANTは、実験トライアルが開始されると、背景の中央に中心点が1000ms表示される。次に、“*”が手がかり刺激として表示される。手がかり刺激が呈示された500ms後に、5つの矢印の画像が注視点の上方もしくは下方に呈示される。被験者の課題は、5つの矢印のうち、中央の矢印の向きをテンキーのボタンでできるだけ素早く(RT:リアクションタイム)かつ正確に回答することである。
なお、中央の矢印をターゲット刺激、それ以外の4つの矢印をディストラクター刺激と呼ぶ。実験では、合計4条件の手がかり刺激条件が呈示される。まず、No Cue条件では、手がかり刺激は表示されない。次に、Central Cue条件では、注視点の位置すなわち画面中央に手がかり刺激が呈示される。Congruent Cue条件では、ターゲット刺激が呈示される位置に手がかり刺激が呈示される。すなわち、矢印が注視点の上方に呈示される場合は、手がかり刺激も注視点上方に呈示される。最後に、Incongruent Cue条件では、画面中央を横切る水平線に対して、ターゲット刺激とは対称な位置に手がかり刺激が呈示される。すなわち、ターゲット刺激が注視点の上方に呈示される場合、注視点を挟んでターゲット刺激とは逆の位置に手がかり刺激が呈示される。
[実施例5]
前記の実験によって、15人の被験者を対象に、持続的注意能力(Alerting Score)を調べ、その結果を図5に示して説明する。
[持続的注意能力(Alerting Score)]
No Cue条件のRTとCentral Cue条件のRTの差分を算出した。これは、持続的注意能力の指標と考えられ、持続的注意能力が高いほど、Alerting Scoreが大きくなるものと考えられる。
図5はANT(attention network task)テストによる集中力を検証した実験結果のグラフのグラフであるが、本実施例のリナリルアセテートを嗅いだ時(黒)で、コントロール(DPG)(白)に比べ、持続的注意能力(Alerting Score)が有意に高まった(P=0.025)。
[実施例6]
実施例5と同様の実験は、10人の被験者を対象に、持続的注意能力(Alerting Score)を調べ、その結果を図6に示して説明する。
[持続的注意能力(Alerting Score)]
No Cue条件のRTとCentral Cue条件のRTの差分を算出し、持続的注意能力が高いほど、Alerting Scoreが大きくなるものと考えられ、図6はANT(attention network task)テストによる集中力を検証した実験結果のグラフであるが、本実施例の3-メチルペンチルアンゲレートを嗅いだ時(黒)に、コントロール(PG)(白)に比べ、持続的注意能力(Alerting Score)が有意に高まった(P=0.020)。
次に、上述したようなベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート曝露について、被験者4〜16人を対象にPOMSテストにより検証した。POMSとは「活気」「不安」「抑うつ」「怒り」「疲労感」「混乱」等の尺度から気分や感情の状態を質問項目に答える検査である。
これらの実験結果が、図7、図8、図9の有意の差が出た「疲労感」のグラフである。
[実施例7]40歳〜59歳の更年期女性(n=4)で45%のベンジルアセテート(Benzylacetate)(Sigma Aldrich Co)を含有した溶液(溶媒はプロピレングリコールPG)を嗅がせる前(Pre:白)と後(Post:黒)と、コントロールとしてDPG溶液を嗅がせる前と後のPOMSテストにより検証したのが実施例7のグラフの図7であり、図7に示すように、実施例7のベンジルアセテート(P=0.057)で、女性に対して「疲労感」の制御に使用できる。
[実施例8]40歳〜59歳の更年期女性(n=16)で30%のリナリルアセテート(Linalyl Aceate)(Sigma Aldrich Co)を含有した溶液(溶媒はジプロピレングリコールDPG)を嗅がせる前(Pre:白)と後(Post:黒)と、コントロールとしてDPG溶液を嗅がせる前と後のPOMSテストにより検証したのが実施例8のグラフの図8であり、図8に示すように、実施例8のリナリルアセテート(P=0.011)で、女性に対して「疲労感」の制御に使用できる。
[実施例9]40歳〜59歳の更年期女性(n=10)で0.39%の3-メチルペンチルアンゲレート(3-Methy pentyl angelate)(Sigma Aldrich Co)の投与によって感情の増減を被験者10人を対象にPOMS(Profile of Mood States)テストで検証した実験結果のグラフの図9である。
図9に示すように、3-メチルペンチルアンゲレート(3-Methy pentyl angelate)(Sigma Aldrich Co)の投与する前(Pre:白)と、投与した後(Post:黒)は、実施例9の0.39%の3-メチルペンチルアンゲレート(3-Methy pentyl angelate)(P=0.041)で、女性に対して「疲労感」の制御に使用できる。
以上説明したように、本発明の実施例によれば、合成されたベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモン又は天然物から単離、精製されたベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンを有効成分として含有するテストステロン分泌増進用組成物、テストステロン分泌芳香組成物、及び、テストステロン芳香用具を使用することにより、テストステロン分泌を増進することができる。この為、月経前緊張症、マタニティーブルー、産後うつ病、更年期障害といったテストステロン分泌低下が生じる、女性特有の不定愁訴(病気を含む)を緩和する効果、テストステロン分泌増進によるテストステロン効果を期待できる。
また、副次的効果として、女性に対して男性ホルモンであるテストステロン分泌が増進されることにより、集中力、陰性感情、疲労感の症状が改善でき、それによって(あるいはそれと同時に)、女性の不定愁訴(病気を含む)症状の改善、テストステロン効果が期待できる。
また、本発明の組成物は、嗅覚神経を介する方法によって投与できるので、短時間で効果を発揮させることができ、また、血液を介さないので肝臓や腎臓に副作用を及ぼさないという利点もある。

Claims (6)

  1. 合成又は天然物から単離、精製された、ベンジルアセテート、リナリルアセテート、3-メチルペンチルアンゲレート、Cis-ジャスモンの有効成分から選択される有効成分として含有する女性のテストステロン分泌を増進させることを特徴するテストステロン分泌増進用組成物。
  2. 前記テストステロンの分泌の増進が、女性の月経前緊張症、マタニティーブルー、又は更年期障害による不快症状を改善することを特徴とする請求項1記載のテストステロン分泌増進用組成物。
  3. 前記テストステロン分泌増進用組成物の投与手段が、芳香として鼻から或いは食品添加物として口腔から嗅覚神経を介して脳に伝達されるように投与することを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香治療用組成物。
  4. 前記テストステロン分泌増進用組成物の投与手段が、芳香として鼻から嗅覚神経を介して脳に伝達されるように投与することを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香治療用入浴剤。
  5. 前記テストステロン分泌増進用組成物の投与手段が、芳香として食品添加物として口腔から嗅覚神経を介して脳に伝達されるように投与することを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香治療用食品。
  6. 前記テストステロン分泌増進用組成物の投与手段が、芳香として鼻から嗅覚神経を介して脳に伝達されるように投与することを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香治療用具。
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