JP5923469B2 - エストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物、及びその芳香用組成物、並びにその芳香用具。 - Google Patents
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Description
ところで、エストロジェン分泌を制御する組成物として、特許文献1には、エストロジェン(女性ホルモンの1群)の主成分である17β-エストラジオールの分泌促進剤として、香科組成物のアンプレット・シード油やアンブレットリドを用いることが開示されている。また、特許文献2には、女性ホルモン不足症を改善するものとして菌生冬虫夏草の抽出物を用いることが開示している。また、特許文献3は、本発明者らによるものであるが、β−カリオフィレンの芳香成分の女性に対する影響が開示されている。
更に、非特許文献1〜3には、匂いの呈示は、視床下部が制御する黄体形成ホルモン(LH)の分泌頻度を変えることを示し、従来のアロマテラピー等が経口、経静脈、経皮的ルートを介する複合的な作用であることに対し、嗅覚神経を介する作用のみによって、視床下部機能を変える可能性を示した。一般的に、エストロジェンの分泌は、LHの分泌を受けて生じ、LHの分泌は視床下部の活動を受けて生じる為、視床下部の活動亢進をもたらす作用が、エストロジェン分泌亢進をもたらすものと考えられる。いずれも、ドデセニルアセテート(Z-7-dodecen-1-yl-acetate)と女性ホルモンであるエストロジェン分泌やテストステロンの分泌については言及されていない。
・コラーゲンの生成促進(美肌効果、ハリ・つやの衰え予防)
・カルシウムの骨への吸収促進(骨粗鬆症のリスク低減)
・毛髪の新生促進(増毛促進)
・基礎代謝亢進(リンゴ型肥満の予防)
・認知機能亢進(認知症リスク低減)
・血管拡張促進(動脈硬化のリスク低減)
・免疫機能亢進(膠原病、リューマチ等自己免疫疾患リスク低減)
・乳腺の発達促進(乳房の弾力やハリの維持による美容効果)
・善玉コレステロール(HDL)増加(動脈硬化のリスク低減)
請求項2の発明は、請求項1又は2に記載のエストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物において、前記合成されたドデセニルアセテート又は天然物から単離、精製されたドデセニルアセテートは、Z−7−ドデセニル(dodecen-1-yl)-アセテート(acetate)又はE−7−ドデセニル(dodecen-1-yl)-アセテート(acetate)などの類似異性体を含むものであることを特徴する。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のエストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物において、前記組成物の投与手段が嗅覚神経を介して脳に伝達されるように投与することを特徴とする。
請求項4の発明は、合成されたドデセニルアセテート又は天然物から単離、精製されたドデセニルアセテートを有効成分として含有することを特徴するエストロジェン及びテストステロン分泌芳香用組成物である。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかのエストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物を含有するエストロジェン及びテストステロン分泌増進用芳香用具である。
また、同時にテストステロン分泌を増加する効果、更に、副次的効果として、集中力、陽性/陰性感情、気分の症状を改善でき、それによって、女性の不定愁訴症状の改善、アンチエージングをもたらす効果が期待できる。
また、本発明の組成物は、嗅覚神経を介する方法によって投与できるので、短時間で効果を発揮させることができ、また、血液を介さないので肝臓や腎臓に副作用を及ぼさないという利点もある。
なお、ドデセニルアセテートは、上述したように、Z-7-dodecen-1-yl-acetateを用いたが、Z-7-dodecenyl-1-acetateの類似物質で、E−7−ドデセニル(dodecen-1-yl)-アセテート(acetate)などの類似異性体でも同様の効果が期待でき、このようなZではなくE(トランス異性体)のなども蛾のフェロモンであると報告がある。
(1)ドデセニルアセテートは、女性にみられるエストロジェン分泌の低下が原因の不快症状(特に、黄体後期の女性にみられるエストロジェン分泌の低下が原因の不快症状)、及び出産後の女性の不快症状に効果があると推定できる。また、エストロジェン分泌の低下が原因の不快症状は黄体後期の女性のみならず、出産後の女性、更年期の女性にもみられるが、このような女性の不快症状に対してもドデセニルアセテートは有効であると推定できる。また、上述のアンチエージング効果があると推定できる。
(2)植物の精油(エッセンシャルオイル)を用いて病気の治療や健康維持を図る療法を一般にアロマテラピー(芳香治療、芳香療法)というが、この植物の精油(混合物)の代わりに、ドデセニルアセテートを用いて、病気の治療を図ることも可能である。
従って、ドデセニルアセテートは、「エストロジェン及びテストステロン分泌増進の芳香による症状の改善組成物」としても利用できると考えられる。
(3)上記(2)と同様に、器具や道具のような形態でも、ドデセニルアセテートによる症状の改善や健康維持は可能である。従って、ドデセニルアセテートは、「芳香による症状の改善用具」としても利用できると考えられる。
(4)エストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物
本発明のエストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物は、ドデセニルアセテートを有効成分として含有するものである。
使用するドデセニルアセテートは、天然物などから抽出されたものでもよく、人工的に合成されたものであってもよい。また、ドデセニルアセテートは、試薬として販売されているので、それを用いてもよい。
本発明の増進用組成物は、その使用態様に応じて様々な組成で調製されるが、通常は、後述する芳香組成物と同様の組成で調製される。
本発明のエストロジェン分泌芳香用具は、合成されたドデセニルアセテート又は天然物から単離、精製されたドデセニルアセテートを含有する部分を持つものである。
使用するドデセニルアセテートは、芳香組成物と同様に、合成された又は天然物から単離、精製されたものを用いる。
芳香用具は、芳香に使用される器具、道具等であればどのようなものでもよく、生理用品、紙類、繊維製品(下着、ストキング等)、貼布薬、石鹸、ろうそく、枕、布団、布団、などを例示することができる。
本発明の芳香用具は、植物の精油の代わりにドデセニルアセテートを用いること以外は、一般の芳香用具と同様に製造することができる。
本発明のエストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物の使用方法は、ドデセニルアセテートを、エストロジェン及びテストステロンの低下を示す者に投与することを特徴とするものである。
ドデセニルアセテートの投与方法は特に限定されず、通常の医薬等と同様に経口的、経静脈的、経皮的に投与してもよいが、好ましくは、ドデセニルアセテートによる刺激が嗅覚神経を介して脳に伝達されるような手段で投与する。このような投与手段の一例としては、ドデセニルアセテートを含む空気を、エストロジェン及びテストステロン分泌の低下を示す者に嗅がせる手段を例示することができる。このときの空気中のドデセニルアセテートの量は特に限定されないが、このときの空気中のドデセニルアセテートの量は厳密には計測できないが、芳香を発散する溶液の使用するドデセニルアセテートの含有量は、例えば、プロピレングリコールを溶媒に用いた場合には、0.03〜0.75%が良く、0.15%前後程度が好ましい。
〔実施例1〕
正常月経周期(26日〜34日)を回帰する精神的・身体的に健常な20代の非喫煙女性を対象として、ドデセニルアセテートを嗅いだ場合に生じるホルモン変化を調べた。
1-1.説明会
被験者には、事前に実験内容を説明して承諾を得てから、実験当日は匂いが強い食べ物や刺激物(ニンニク・タマネギ・香辛料・香草など)を朝から食べないようにし、実験開始30分前からは何も食べないようにしてもらうようにした。また、基礎体温を記載してもらい、排卵検査薬を用いて、排卵日(LHサージ)を確定してもらった。
被験者を月経周期により、卵胞期(Follicular Phase)(月経開始後5-10日)、黄体後期(Late Luteal Phase)(LHサージ後9-12日)の2グループに分けた。各々のグループの被験者に、0.15%のドデセニルアセテートを含む溶媒(プロピレングリコール)又は溶媒のみを嗅がせ、実験開始前と実験開始20分後に唾液採取を行い、エストロジェンの内、最も作用が強い17βエストラジオール(E2)、アンドロジェンの内、最も作用が強いテストステロン(T)を酵素免疫測定法により測定した。
一定時間の反応後、プレート状の抗体に結合しているもの以外の溶液を捨て、酵素反応(発色する)を誘発する基質を添加する。こうすることで、発色は(B)の結合量を反映した色合いになる。この色合いは、吸光光度計による測定から定量化し、(A)が少なければ、(B)の方が抗体を多く取るので、発色の強さは強くなり、一方、(B)が多ければ、相対的に(B)が抗体を取る量が減り、発色の強さは弱くなる。こうした原理を利用して、別途、「既知の濃度の17βエストラジオール(標準検体)あるいはテストステロン(標準検体)」を複数濃度測定し、検量線を算出しておくことで、発色の色合いから(A)「未知の濃度の17βエストラジオールあるいはテストステロンを含む唾液検体」の濃度を算出した。
ペルオキシダーゼ(Hydrogen peroxidase,Horseradish peroxidase,HRP)
反応 色原性基質+H2O2 ⇔酸化型色素+2H2O
起源 西洋わさび(Horseradish)
分子量, 40,000,至適pH:pH6.5
基質特異性 色原性基質(水素供与体)については特異性はない.
過酸化物としてはH2O2, CH3OOH, C2H5OOHのみ
阻害剤と活性化剤 阻害剤:CN−,S−−,F−,N3−(抗凝固剤として用いられるフッ素イオン、保存料として用いられるNaN3を含有)
安定性 乾燥,冷蔵状態で数年間,水溶液で冷蔵1年間
[実施例1]
実施例1:ドデセニルアセテートの0.15%をジプロピレングリコールで溶かしたものと、比較例1:コントロールとしてプロピレングリコール(PG)だけのものとを比較実験を行った。
被験者は卵胞期5人、黄体後期5人で、被験者は全体で10人を対象とした比較例1と実施例1として実験を行った。
実施例1と比較例1との実験前と実験後の比較結果は、実施例1での17βエストラジオール(E2)は2.9pg/mlから3.8pg/mlに濃度が有意に増加した(対応のあるt検定、P<0.0001)のに対して、比較例1は3.4pg/mlから3.35pg/mlで濃度(E2)に違いはなかった。
これを変化量に換算すると、変化量(PG vsZ-7-dodecen-1-yl-acetate: ドデセニルアセテート(Z-7-dodecen-1-yl-acetate)は、プロピレングリコール(PG)に比べ、E2濃度が有意に増加した(対応のあるt検定、P<0.005)。
実施例1と比較例との実験前と実験後の比較結果は、実施例1での17βエストラジオール(E2)は3.2pg/mlから3.8pg/mlに濃度が有意に増加し(対応のあるt検定、P<0.05)、比較例1は3.5pg/mlから3.4pg/mlで濃度に違いはなかった。
これを変化量に換算すると、変化量(PG vs Z-7-dodecen-1-yl-acetate): ドデセニルアセテート(Z-7-dodecen-1-yl-acetate)は、プロピレングリコール(PG)に比べ、濃度が有意に増加した(対応のあるt検定、P<0.05)。
実施例1と比較例との実験前と実験後の比較結果であるが、実施例1での17βエストラジオール(E2)は2.75pg/mlから3.9pg/mlと濃度が有意に増加した(対応のあるt検定、P<0.05)が、比較例1は3.4pg/mlから3.4pg/mlで濃度に違いはなかった。
これを変化量に換算すると、変化量(PG vs Z-7-dodecen-1-yl-acetate: ドデセニルアセテート(Z-7-dodecen-1-yl-acetate)はプロピレングリコール(PG)に比べて濃度が有意に増加した(対応のあるt検定、P<0.05)。
これらの変化量の結果を、図1に示して説明すると、卵胞期(n=5)と黄体後期(n=5)でのドデセニルアセテート(Z-7-dodecen-1-yl-acetate)変化量−プロピレングリコール(PG)変化量を比較すると、黄体後期と卵胞期とは濃度が有意に増加した(対応のないt検定、P<0.05)ことが判る。
また、図1に示す実験結果から、ドデセニルアセテート(Z-7-dodecen-1-yl-acetate)の匂いによる投与によって、女性ホルモンの特に17βエストラジオールの分泌が増進することが明確に判り、女性に対して常時有効であることが判る。
そのため、上述したように、溶媒のプロピレングリコール(PG)に、実施例1と同じ0.15%のドデセニルアセテートを溶かしたものと、それより少ない0.030%を溶かしたもの、それより多い、0.75%を溶かしたものを、新たに3人ずつの黄体後期の被験者を対象に実験を行った。
その変化量の結果を図2に示して説明すると、17βエストラジオールの増加は、ドデセニルアセテート(Z-7-dodecen-1-yl-acetate)が0.15%の溶液の割合が有意に増加したことが判り、0.03%〜0.75%の溶液でエストロジェン分泌増進効果が認められ、0.15%前後の溶液が好ましいことが判る。
ところで、男性ホルモンの中の一つであるテストステロンは、男性に限らず、女性にも分泌されており、その分泌の増加は、主に性欲増進効果、他者との駆け引き能力向上効果、闘争心増進効果をもたらすことが報告されており、ここでこれらの効果を説明する。
前記の性欲増進効果について、女性のテストステロンは性欲を高めることが報告されている。女性にテストステロンやその受容体に対する薬剤を投与すると、性欲が増加する。また、女性は魅力的な男性を見続けることでテストステロン分泌が増加する。
前記の他者との駆け引き能力向上効果について、女性のテストステロンは他者との駆け引き能力を高めることが報告されている。女性にテストステロンを投与すると、公正な(フェアな)交渉行動(駆け引き)、金銭駆引課題時の報酬系活動(腹側線条体活動)、最後通牒ゲーム(誰かに分け与えられた「報酬」をどのように分配するかというゲーム)におけるリスク行動が増加する。また、アイオワギャンブリング課題(前頭前野機能を評価)におけるリスクを伴う行動が増える。
前記の闘争心増進効果について、テストステロンは闘争心を高めることが報告されている。テストステロンを投与すると、脅威を示す表情(不快、恐れ、怒り)に対する認知能力が低下する。また、こうしたこと故、テストステロン分泌が高い者の方が、競技者では個人競技の成績が良いこと、空間認知能力が高いこと、敗北後でも再挑戦しがちであること、攻撃性が高いことが報告されている。また、テストステロンはストレス耐性にも関連していることが示されている。
前記の実施例1と比較例1との実験前と実験後の比較結果であるが、実施例1での分泌されるテストステロンは15pg/mlから16pg/mlで濃度が増加し、比較例1は20pg/mlから19pg/mlで濃度が低下した。これらの変化量(嗅いだ後―嗅ぐ前)について比較(PG vs ドデセニルアセテート(Z-7-dodecen-1-yl-acetate))すると、コントロールのプロピレングリコール(PG)に比べ、17βエストラジオールの濃度(E2)が増加した(対応のあるt検定、P<0.06)。
実施例1と比較例1との実験前と実験後の比較結果であるが、実施例1での分泌されるテストステロンは14pg/mlから16pg/mlで濃度が増加し(対応のあるt検定、P<0.05)、比較例1は18pg/mlから16pg/mlで濃度が低下した。これらの変化量(嗅いだ後―嗅ぐ前)について比較(PG vs ドデセニルアセテート(Z-7-dodecen-1-yl-acetate))すると、コントロールのプロピレングリコール(PG)に比べ、17βエストラジオールの濃度(E2)が有意に増加した(対応のあるt検定、P<0.05)。
実施例1と比較例との実験前と実験後の比較結果であるが、 実施例1での分泌されるテストステロンは15pg/mlから16pg/mlで濃度が増加し、比較例1は21pg/mlから21pg/mlと濃度に違いはなかった。これらの変化量(嗅いだ後―嗅ぐ前)について比較(PG vs ドデセニルアセテート(Z-7-dodecen-1-yl-acetate))すると、コントロールのプロピレングリコール(PG)に比べ、17βエストラジオールの濃度(E2)が増加した。
これらの変化量の結果を図3に示して説明すると、卵胞期(n=5)と黄体後期(n=5)でのドデセニルアセテート変化量−プロピレングリコール(PG)変化量を比較すると、男性ホルモンであるテストステロンについては、女性に対して常時有効である(分泌を増加する)ことが判るが、黄体後期に比べ、卵胞期に顕著であった(対応のないt検定、P<0.05)ことが判る。
この「集中力」の検証には、PC操作による認知課題であるANT(attention network task)テストを用いて、ドデセニルアセテートを嗅いだ前後の集中力の変化をPG(コントロール)の場合と比較を行った。
前述のANTは、ヒトの注意機能(実行機能、覚醒機能、注意定位機能)を、短時間で効率よく評価するために開発された検証手段である。ANTは、実験トライアルが開始されると、背景の中央に中心点が1000ms表示される。次に、“*”が手がかり刺激として表示される。手がかり刺激が呈示された500ms後に、5つの矢印の画像が注視点の上方もしくは下方に呈示される。被験者の課題は、5つの矢印のうち、中央の矢印の向きをテンキーのボタンでできるだけ素早く(RT:リアクションタイム)かつ正確に回答することである。
なお、中央の矢印をターゲット刺激、それ以外の4つの矢印をディストラクター刺激と呼ぶ。実験では、合計4条件の手がかり刺激条件が呈示される。まず、No Cue条件では、手がかり刺激は表示されない。次に、Central Cue条件では、注視点の位置すなわち画面中央に手がかり刺激が呈示される。Congruent Cue条件では、ターゲット刺激が呈示される位置に手がかり刺激が呈示される。すなわち、矢印が注視点の上方に呈示される場合は、手がかり刺激も注視点上方に呈示される。最後に、Incongruent Cue条件では、画面中央を横切る水平線に対して、ターゲット刺激とは対称な位置に手がかり刺激が呈示される。すなわち、ターゲット刺激が注視点の上方に呈示される場合、注視点を挟んでターゲット刺激とは逆の位置に手がかり刺激が呈示される。
[覚醒レベル制御能力(Alerting Score)]
Central Cue条件のRT(リアクションタイム)−No Cue条件のRT(リアクションタイム)を調べた。これは、手がかり刺激呈示に反応した覚醒度を上昇させる覚醒度上昇能力の指標と考えられ、この値が小さいほど覚醒度上昇能力が高いものと考えられる。覚醒度上昇能力の高い被験者では、No Cue条件よりもCentral Cue条件における反応時間が速くなるので、Alerting Scoreは負の値を取ることになるが、図10の覚醒レベル制御能力(Alerting Score)の棒グラフである。
[選択的注意能力(Conflicting Score)]
Incongruent Flanker条件のRT−Congruent Flanker条件のRTを調べた。これは、選択的注意能力の指標と考えられ、選択的注意能力が高いほど、Conflicting Scoreは小さくなるものと考えられる。
[注意解放能力(Disengagement Score)]
Incongruent Cue条件のRT−Central Cue条件のRTを調べた。これは、注意解放に要する時間の指標と考えられ、注意解放効率が高いほど値が小さくなるものと考えられる。
[注意定位能力(Orienting Score)]
Central Cue条件のRT−Congruent Cue条件のRTを調べた。これは手がかり刺激の位置からターゲット刺激の位置に注意の焦点を移動させる注意定位効率の指標と考えられ、注意定位効率が高いほど、Orienting Score値は大きくなるものと考えられる。
また、[選択的注意能力]は、ドデセニルアセテート(odecenyl acetate)を嗅いだ前後で、コントロール(PG)に比べ、選択的注意能力(Conflicting Score)が減少した為、選択的注意能力が有意に高まった(P<0.01)。
さらに、[注意解放能力]は、ドデセニルアセテート(Dodecenyl acetate)を嗅いだ前後で、コントロール(PG)に比べ、注意解放能力(Disengagement Score)が減少した為、注意解放能力が有意に高まった(P<0.05)。
また、[注意定位能力]は、ドデセニルアセテート(odecenyl acetate)を嗅いだ前後で、コントロール(PG)に比べ、注意定位能力(Orienting Score)が増加した為、注意定位能力が高まった(P<0.06)。
これらの実験結果が図5のグラフであるが、本発明の実施例のドデセニルアセテート(Dodecenyl acetate)を嗅いだ前後で、コントロール(PG)に比べ、「ネガティブ感情」が低下する傾向が見られた。
これらの実験結果が、図6の有意の差が出た「不安」と「混乱」のグラフであるが、ドデセニルアセテートを嗅いだ前後で、本発明のドデセニルアセテートの実施例はコントロール(PG)に比べ、「不安」が減少する傾向が見られた(P<0.09)。
これらの各テストの結果から判るように、本実施例のドデセニルアセテートを含んだ組成物は、女性に対して種々の感情の制御に使用できる可能性がある。
なお、ドデセニルアセテートは、上述したように、本発明の実施例ではZ-7-dodecen-1-yl-acetateを用いたが、E−7−ドデセニル(dodecen-1-yl)-アセテート(acetate)等の類似物質も、ZではなくE(トランス異性体)のドデセニルアセテートなども蛾のフェロモンであると報告があり、同様の効果が期待できる。
また、本発明の組成物は、嗅覚神経を介する方法によって投与できるので、短時間で効果を発揮させることができ、また、血液を介さないので肝臓や腎臓に副作用を及ぼさないという利点もある。
Claims (5)
- 合成されたドデセニルアセテート又は天然物から単離、精製されたドデセニルアセテートを有効成分として含有することを特徴するエストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物。
- 前記合成されたドデセニルアセテート又は天然物から単離、精製されたドデセニルアセテートは、Z−7−ドデセニル−1−セテート又はE−7−ドデセニル−1−セテートであることを特徴する請求項1に記載のエストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物。
- 前記組成物の投与手段が、嗅覚神経を介して脳に伝達されるように投与することを特徴とする請求項1又は2に記載のエストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物。
- 合成されたドデセニルアセテート又は天然物から単離、精製されたドデセニルアセテートを有効成分として含有することを特徴するエストロジェン及びテストステロン分泌芳香用組成物。
- 請求項1〜4のいずれかのエストロジェン及びテストステロン分泌増進用組成物を含有するエストロジェン及びテストステロン分泌増進用芳香用具。
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