JP2005519096A - 女性の性機能障害の治療薬 - Google Patents

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Abstract

ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でも性的欲求低下障害(HSDD)を改善することのできる少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む女性の性機能障害治療薬と、その薬のデリバリー・システム。

Description

本発明は、女性の性機能障害の治療薬に関するものであり、中でも性的欲求低下障害の治療薬に関するが、それだけに限定されるわけではない。
女性の性機能障害という用語は、女性における性行為プロセスのさまざまな障害を表わすのに使用され、性交に伴う痛みによる分類、または性的応答サイクルを形成するプロセスにおける障害による分類がなされる。性的応答サイクルは、4つの明確な相に分けられる。すなわち、(i)欲求相;(ii)刺激相または興奮相;(iii)オルガスム相またはプラトー相;(iv)消散相である。
(i)欲求相には、性行為を妄想することと、性行為を行ないたいという欲求が含まれる。このような妄想や欲求がなく、性行為に対する受容行動が全体的に欠如していることは、性的欲求低下障害(HSDD)と呼ばれる。この障害は、個人的な悩みや対人関係の困難さによって起こる可能性がある。
(ii)刺激相または興奮相にあることの典型的な証拠は、血流の増大を通じて体液の産生が増大した結果としての膣の潤滑化である。このサイクルにおける機能障害は性的興奮障害と名づけられており、膣の十分な潤滑化がないこと、またはこの相における膨脹応答を実現したり維持したりできないこととなって現われる。この障害は閉経後の女性によく見られ、極端な個人的悩みや対人関係の困難さを引き起こす可能性がある。つまり、すべての女性が一生のある時期にこの障害にかかる可能性がある。
最終相である(iv)消散相は、血流が正常状態に戻り、筋肉の緊張とこわばりが劇的に低下するときである。
性機能障害にはさらに別の形態もある。それは例えば女性のオルガスム障害であり、正常な性的興奮相の後に来るオルガスムが遅れたりなかったりすることが常時またはしばしばある症状である。この障害は、手術やホルモン不足の結果として女性に現われる可能性、および/またはオルガスムに達したことのない女性に現われる可能性がある。
以上に加えて性交痛障害がある。この障害は、一般に2つのカテゴリーのどちらかに入る。第1のカテゴリーは性交疼痛症であり、性交に伴う生殖器の痛みに関するものである。痛みは、最初の挿入時または深部を突いている間に生じる可能性があり、その結果として痛みが強くなって性交を続けることがほとんど不可能になる。性交痛障害の他方のカテゴリーは膣痙であり、これは、何らかの物体を挿入しようとしたとき、膣の外側三分の一を取り囲んでいる会陰の筋肉が継続的に、または繰り返して不随意的に痙攣または収縮することと定義される。
本発明の主題である女性の性機能障害は、性的欲求低下障害(HSDD)である。女性のあらゆる性的問題のうち、性行為に対する興味の欠如が最も一般的であり、女性の30%がそのような状態にある(Laumann E.O.、Paik. A.、Rosen R.C.、「アメリカ合衆国における性機能障害」、JAMA、1999年、第281巻、537〜544ページ)。
HSDDは性的欲求に関するものであり、この欲求は主に2つの形を取る。すなわち“誘惑行動”(性行為を求めること、および/または開始すること)と“受容行動”(性行為を求められたときに受け入れること)である。これらの形態は、食欲に似ている。すなわち、空腹を感じたときに食物を探し、空腹を感じていないときには、おいしくて魅力的に提示されないと食物を求めない。多数の女性にとって、性的欲求が欠如している原因は、一般には、性的行動の受容状態を維持しているのに誘惑行動が欠如していることにあることがわかる。
実際、性的に機能する“食欲”相は、2つの要素にまとめることができる。それは、“性衝動”と“性的欲求”である(Riley A.「性的応答サイクルの問題点」、The Diplomate, The Journal of the Diplomats of the Royal College of Obstetricians ans Gynascologists、1997年、第4巻、270〜275ページ)。この二分法において、“性衝動”という用語は、誘惑行動と受容行動を生じさせる生物学的な衝動を意味する。この衝動はあらゆるところに登場するため、多彩な行動(例えばパートナーとの性行為、自慰、性的妄想)によって満たすことができる。逆に、“性的欲求”という用語は、特定の行動に対する欲求を意味するのに用いられる。実際、“性的欲求”は性的衝動に絞られる。
女性における性衝動の生理学はよくわかっていないことが理解されよう。性衝動は、視床下部の特定の核に生じると考えられている。その場所は、全体として“性衝動中心”と呼ばれることがしばしばある。これらの核は、中枢神経系の他の中心から、神経伝達物質と神経ホルモンを通じてプラス(性的昂進)とマイナス(性的抑制)の影響を受ける。
HSDDの治療には2通りの方法が考えられる。その第1番目でしかも重要なのは、HSDDを正確に診断する必要があるということであろう。医者が、臓器には原因がなく、すべての深刻な医学的疾患(例えば糖尿病や心疾患)が正しく治療されたと判断したのであれば、次はパートナーとの対人関係の困難さについて話し合う必要があろう。HSDDであると診断されたのであれば、この障害は性的療法による治療と相性がよい。されに別の治療法としてはホルモン療法が可能である。
薬を使った女性の性機能障害の治療としては、エストロゲン療法が一般に行なわれている。エストロゲンに基づいた療法は、一般に、粘液の産生を増大させること、血管拡張効果をもたらすこと、膣の全体的な健康を増進することのいずれかを目的として行なわれる(Nadelson他編、『ヒトのセクシュアリティにおける治療的介入』、ニューヨーク、プレナム出版、1983年)。この療法では、エストロゲンを、経口投与する、あるいは注射によって投与する、あるいは局所投与する。経口投与では、肝臓に到達するエストロゲンの濃度は、一般に、末梢血のエストロゲン・レベルの4〜5倍である。望ましくないことだが、この効果により、ある種の凝固因子とレニン基質の産生が肝臓で増大する可能性がある。注射でエストロゲンを投与すると肝臓におけるこの効果が避けられる。しかしエストロゲンをベースとしたあらゆる療法は、治療を受けた人に内膜増殖症、子宮内膜がん、乳がんのリスクを増大させることが知られている。エストロゲン療法を受けると内膜増殖症と子宮内膜がんのリスクが増加するため、エストロゲン/プロゲステロンが組み合わせて用いられている。しかしこの組み合わせには、子宮の出血を誘導したり月経期間を長引かせたりするという一般的な副作用がある。
また、アンドロゲンという総称で知られる男性ホルモン(例えばテストステロン)と、女性の体内におけるこのようなホルモンの不足が、性機能障害のさまざまな形態と結びつけられている。テストステロンは女性の体内で産生されており、産生の最盛期は、一般に女性の出産可能年齢のあたりである。この産生は、さまざまな理由で衰える可能性があるが、この衰退は、場合によってはテストステロン置換療法で食い止めることができる。この食い止め効果が、性衝動を増大させる刺激となる場合がある。
しかしテストステロン置換療法にはエストロゲン置換療法と同様の危険がいくつかあるため、そのままではとうてい満足のゆくものとは言えない。
そこで本発明の全体的な目的は、女性の性機能障害、中でもHSDDの治療薬と、その薬のデリバリー方法を提供することである。この薬により、従来技術に伴う問題点および欠点を解決または改善するとともに、できるならば女性の性機能障害全般のための薬が持つ他の明らかな問題点および欠点が解決される。
本発明の第1の特徴に従うと、少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質の形態になった芳香であって、そのにおい物質が、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することのできる芳香が提供される。
芳香の使用は好ましい。というのも、血液脳関門を通過させずに脳に直接作用を及ぼすことができるからである。これは、一般には摂取または静脈内投与される薬とは極めて対照的である。
本発明のドーパミン類似におい物質(DMO)は、患者の嗅覚系によって感知されて患者の脳の嗅索内にある受容体タンパク質に対する刺激または結合剤として作用し、女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することができるように設計されている。
正確なメカニズムがわかっているとはとうてい言えないが、本発明のDMOは、脳内のコーディネートされた事象の連鎖を始動させ、最終的に患者のドーパミン・レベルを変化させることで必要とされる改善をもたらすと考えられている。しかし本発明のDMOは想定されたのとは非常に異なった作用を及ぼすことができるため、改善は、患者の脳内のドーパミン・レベルの変化以外の手段で実現されると理解すべきである。
この明細書では、ドーパミンという用語に、他の関連した神経伝達物質(例えばエピネフリン、ノルエピネフリンなど)も含まれることに注意されたい。
本発明のDMOは、患者の嗅覚系が感知できる形態で提供される。このDMOには、ステロイドにおい物質;アミンとその関連分子;複素環式芳香族分子(例えばジャスミン油);中心的な神経伝達物質であるドーパミンの芳香性類似分子;カルボン酸(例えばヒトでの分泌が痕跡レベルである可能性のあるもの);アルデヒド(例えばヒトのにおい分泌において痕跡成分を形成するもの)からなる化合物群の中の少なくとも1つが含まれている。
本発明のDMOには、香水のにおいとして認知されている以下のもののうちの少なくとも1つ、すなわちバニラ様におい物質(代表例はバニリン);カーネーション様におい物質(代表例はイソオイゲノール);ムスク様におい物質(代表例は6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン)のうちの少なくとも1つが含まれていることが好ましい。
本発明のDMOは、バニリン;イソオイゲノール;ムスクのカテゴリーに属する化合物(ウッディ・ムスクのカテゴリーであることが好ましい)のうちの少なくとも1つを含んでいることが非常に好ましい。
理想的なのは、本発明のDMOが、エチルバニリン(3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド);イソオイゲノール(2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール);ウッディ・ムスク(6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン)のうちの少なくとも1つを含んでいることである。
上記のカルボン酸は、互いに矛盾しているように見える複数の芳香プロファイルを示すことが望ましい。それらプロファイルが合わさって温かいヒトの肉体のにおいとなるが、この肉体のにおいは明確な果実のにおいに埋め込まれている。この果実のにおいにより、催淫性のある隠されたにおいが意識的に捕捉されることを阻止できる場合がしばしばある。以上に加え、上記アルデヒドは、催淫性を有する花のにおいを発する新しい合成アルデヒドをさらに含んでいてもよい。
本発明の2番目の特徴に従うと、少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質の形態になった化合物群であって、そのにおい物質が、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することのできる化合物群が提供される。
本発明の3番目の特徴に従うと、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することのできる少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む化合物群を含有する薬が提供される。
本発明の4番目の特徴に従うと、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することのできる少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む製剤群が提供される。
本発明の5番目の特徴に従うと、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することのできる少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む標的製剤群を含有する薬が提供される。
本発明の6番目の特徴に従うと、ヒトの血液脳関門を避けて患者に投与する薬であって、そのヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することのできる少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む薬が提供される。
本発明の7番目の特徴に従うと、適切な分子サイズと電荷を持っているためにヒトの脳内で神経受容体と相互作用してアゴニスト効果をもたらし、中枢神経系に対し、女性の性機能障害、中でもHSDDを改善するという生理学的効果を引き起こす神経伝達物質を放出させる少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む化合物が提供される。
本発明の8番目の特徴に従うと、少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む製剤であって、そのにおい物質が神経受容体と相互作用してアゴニスト効果をもたらし、中枢神経系に対し、女性の性機能障害、中でもHSDDを改善するという生理学的効果を引き起こす神経伝達物質を放出させることのできる製剤が提供される。
本発明の9番目の特徴に従うと、少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質の形態になったドーパミン作動性アゴニストであって、そのにおい物質がが、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することのできるドーパミン作動性アゴニストが提供される。
本発明の10番目の特徴に従うと、少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む天然のヒトにおい物質、および/または少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む合成されたヒトにおい物質が提供される。その天然ヒトにおい物質と合成ヒトにおい物質の一方または両方が、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することができる。
本発明の11番目の特徴に従うと、少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む芳香の形態になった薬であって、患者に投与されたときにその少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質がただちに明らかにはならないようマスクまたは偽装されているが、それでもヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することができる薬が提供される。
本発明の12番目の特徴に従うと、少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含んでいて電子的な鼻によって規定された所定の性質を持つ芳香であって、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害、中でもHSDDを改善することができる芳香が提供される。
少なくとも1種類の上記ドーパミン類似におい物質は、濃度が40容積%までの適切な溶液(例えばエタノール溶液)として提供することができる。理想的な濃度は、20容積%までである。少なくとも1種類の上記ドーパミン類似におい物質の濃度は、どのDMOを使用するかと、用いるデリバリー手段によって変えることができる。
本発明の上記の特徴は、本発明のDMOを記述している。これから述べる本発明の特徴は、患者にDMOを投与するための本発明によるデリバリー・システムを記述している。
本発明の13番目の特徴に従うと、少なくとも1種類の上記ドーパミン類似におい物質のうちの任意のものを患者に鼻腔スプレーの形態で投与するためのデリバリー・システムが提供される。鼻腔スプレーは、医療従事者または患者本人が投与することができる。少なくとも1種類の上記ドーパミン類似におい物質は、鼻腔スプレーの形態で患者に投与するのに適した濃度の流体として存在することができる。鼻腔スプレーは、ポンプ作用のあるスプレー・ノズルに通じているリザーバを備えることができる。流体は、患者に投与されるまで鼻腔スプレーのリザーバに収容しておくことができる。鼻腔スプレーを患者の鼻腔近傍に位置させ、少なくとも1種類の上記ドーパミン類似におい物質を容易に投与できるようにすることが好ましい。
本発明の14番目の特徴に従うと、少なくとも1種類の上記ドーパミン類似におい物質がコーティングまたは含浸されていて、患者が身に着けるパッチの形態になったデリバリー・システムが提供される。パッチは、一般に患者の皮膚に付着させ、少なくとも1種類の上記ドーパミン類似におい物質がそのパッチから放出されて鼻腔を通じて患者の体内に入るようにする。このようなパッチは、アロマコロジー・パッチ社から入手できる。
別の方法として、パッチ、すなわちパッチ材料からなるストリップを鞘状保護ケース(例えばプラスチック製のケース)に収容してその鞘状保護ケースを患者の鼻腔に挿入し、患者が鼻腔から息を吸い込むときに本発明の活性成分が鼻腔内に吸引されるようにする。パッチ式デリバリー・システムでは適切な濃度になった少なくとも1種類の上記ドーパミン類似におい物質を用いるべきであること、また、そのドーパミン類似におい物質が患者の一方/両方の鼻腔内に容易に放出されるようにするため、そのドーパミン類似におい物質を他の適切な任意の物質に含有させてもよいことに注意されたい。
本発明の15番目の特徴に従うと、本発明による少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を患者の鼻腔を通じた吸引によって局所的に投与することのできるデリバリー・システムが提供される。このような局所投与は、口紅や香水の形態で、あるいは皮膚に付着させたり鼻腔を通じて患者に吸引させたりという適切な他の任意の手段で行なうこともできよう。
本発明をより理解しやすくするため、以下に実施態様を記載する。
本発明による最も好ましいDMOは、エチルバニリン(3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド);イソオイゲノール(2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール);ウッディ・ムスク(6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン)のうちの少なくとも1つを含んでいる。このDMOが非DMOと比べて効果を持つことを明らかにすることを目的として一連の製剤を調製し、一連の標準化された対照製剤と比較するテストを行なった。
DMO製剤は、以下のものを含んでいた(すべてエタノール溶液で100容積%に対する割合):
1.エチルバニリン(EV)を20%、
2.エチルバニリン(EV)とイソオイゲノール(4:1の比)を20%、
3.エチルバニリン(EV)とイソオイゲノールとウッディ・ムスク(6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン)を20%、
4.ウッディ・ムスク(6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン)を20%。
標準化した対照製剤は、以下のものを含んでいた(すべてエタノール溶液で100容積%に対する割合):
5.天然のアニマル・コロン、
6.カーネーションの香りが強くする天然香水、
7.甘い果実の香りが強くする香水。
製剤を別々のストリップに付着させた後、発生したにおいを5点式のスケール(A〜E)で評価するよう評価者に依頼した。スペクトルの一方の端にあるAは、“非常に好き/刺激的”であり、スペクトルの他方の端にあるEは、“あまり好きでない”である。
実験の前に、標準化した対照製剤が以下のような反応を引き起こすという仮説を立てた。
5.天然のアニマル・コロンは、大きなマイナスの反応(主としてEとDの反応)を引き起こすであろう。
6.カーネーションの香りが強くする天然香水は、おおまかにスペクトルの中間の反応(主としてC反応)を引き起こすであろう。
7.甘い果実の香りが強くする香水は、大きなマイナスの反応(主としてEとDの反応)を引き起こすであろう。
結果
以下に、そのにおいに関して最も多かった評価を示す。
1.過半数がAまたはB
2.過半数がAまたはB
3.過半数がBまたはC
4.過半数がA
5.過半数がC、D、Eのいずれか
6.過半数がB、C、Dのいずれか
7.過半数がE
この種のテストを行なう際には特有の多数の制約(1つの制約は、短時間に多数のにおいをテストせざるをえないときの慣れ)があるため、評価者が標準化された対照製剤(5〜7)を予想通りに評価したことは興味深い。しかしより興味深いのは、本発明の製剤(1〜4)がすべて、過半数の人によって“非常に好き/刺激的”を表わすスペクトルのAと評価されたことである。
もちろん、本発明の製剤、化合物、芳香、薬、ドーパミン・アゴニストに対してさまざまな修正や変更が考えられる。当業者にとって、本発明の範囲を逸脱することなくそのような修正や変更を行なえることは明らかであろう。

Claims (19)

  1. ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害を改善するドーパミン類似におい物質。
  2. バニリン;イソオイゲノール;及びウッディ・ムスクのカテゴリーに属する化合物、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のドーパミン類似におい物質。
  3. 適切な分子サイズと電荷を持っていてヒトの脳内で神経受容体と相互作用する、請求項1または2に記載のドーパミン類似におい物質。
  4. ヒトの脳内にある神経受容体との間でアゴニスト効果を起こして神経伝達物質を放出させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のドーパミン類似におい物質。
  5. ドーパミン作動性アゴニストである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のドーパミン類似におい物質。
  6. エチルバニリン(3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド);イソオイゲノール(2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール);及びウッディ・ムスク(6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のドーパミン類似におい物質。
  7. ・0〜40容積%の3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドと;
    ・0〜40容積%の2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノールと;
    ・0〜40容積%の6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のドーパミン類似におい物質。
  8. ・0〜20容積%の3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドと;
    ・0〜20容積%の2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノールと;
    ・0〜20容積%の6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のドーパミン類似におい物質。
  9. ・1〜19容積%の3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒドと;
    ・0〜5容積%の2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノールと;
    ・1〜19容積%の6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のドーパミン類似におい物質。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む芳香であって、そのにおい物質が、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害を改善する芳香。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む製剤であって、そのにおい物質が、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害を改善する製剤。
  12. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を含む薬であって、そのにおい物質が、ヒトの脳の内部で、あるいはヒトの脳の内部から生理学的効果を起こして女性の性機能障害を改善する薬。
  13. ヒトの血液脳関門を避けて患者に投与するための薬である、請求項12に記載の薬。
  14. 女性の性機能障害を改善する方法であって、ヒトの嗅覚系に対し、請求項1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質を有効な量投与する操作を含む方法。
  15. 上記投与を、ヒトの血液脳関門を避けてヒトの嗅覚系に対して行なう、請求項14に記載の方法。
  16. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質のデリバリー方法であって、鼻腔スプレーによってデリバリーが容易にされ、上記ドーパミン類似におい物質は、上記鼻腔スプレーのリザーバに収容されており、そのリザーバは、上記鼻腔スプレーをスプレーするノズルに通じている方法。
  17. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質のデリバリー方法であって、そのドーパミン類似におい物質がコーティングまたは含浸されたパッチをユーザーの皮膚に付着させることによってデリバリーを容易にする方法。
  18. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の少なくとも1種類のドーパミン類似におい物質のデリバリー方法であって、そのドーパミン類似におい物質がコーティングまたは含浸されたストリップを鞘状保護ケースに収容し、その鞘状保護ケースの少なくとも一部を開放してそのドーパミン類似におい物質が放出されるようにすることでデリバリーを容易にする方法。
  19. 上記鞘状保護ケースに適切な開閉手段を設け、その鞘状保護ケースから放出される上記ドーパミン類似におい物質を制御する、請求項19に記載の方法。
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