JP2020006290A - 気流分級装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉体の分級精度及び分級効率を高める。【解決手段】気流分級装置は、粉体を遠心力で分散させる円筒状の分散室と、分散室の下方に設けられて分散室から流入した粉体を遠心力で分級する円筒状の分級室と、分散室と分級室とを仕切ると共に分散室と分級室とを連通させる環状間隙を外周側に形成する円錐体と、分散室の内周面に接続された供給口を有し、粉体を気流と共に分散室の周方向に沿って分散室へ供給する供給部と、分散室の上方に連通されて分散室から排気する排気部と、分散室の内周面の全周にわたって設けられ、供給部から流入した粉体及び気流を、分散室の周方向に沿って案内する気流制御部材と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、気流分級装置に関する。
粉体を気流と共に旋回させることで粉体を微粉と粗粉とに遠心分離する気流分級装置が知られている。この種の気流分級装置には、粉体を遠心力で分散させる円筒状の分散室と、分散室から流入した粉体を遠心力で分級する円筒状の分級室と、を備えており、分級室が、分散室の下方に配置されているものがある。分散室は、分散室内の気流を排気する排気部と連通されており、分散室内が減圧下にある。このため、粉体を含む固気混合流は、減圧下の分散室へ供給されたときに自由膨張し、流速が減速することにより、分散室内で粒子の凝集または偏析が生じる傾向がある。凝集または偏析が生じた状態で固気混合流が分級室へ流入することで、粉体の分級精度の低下を招く。
特に、比重が軽く、かつ微細な粉体を精密に分級するためには、粉体の粒子の凝集や偏析を抑えると共に、粒子に十分な遠心力を与えることが望ましい。この対策として、気流分級装置へ供給する気流を増やして固気混合流の粉塵濃度を下げると共に、気流の速度を高めて遠心力を大きくする技術が知られている。
関連技術の気流分級装置としては、分散室内で粉体の凝集が生じる不都合や、分級室内で旋回する気流の速度が遅い問題の対策として、分級室内へ粉体を気流と共に供給し、分級室内へ二次気流を送るように構成されたものがある。この気流分級装置では、粉体を気流と共に供給する供給部が分級室に設けられており、分級室内に接続された供給口近傍に粉体誘導板が設けられている。粉体誘導板により、供給部から流入する粉体が、供給口の直下に配置された、粗粉用の排出口へ直接落ちることが抑えられる。
実開昭62−187685号公報
粉体を精密に分級するために、気流分級装置へ供給する気流の速度を高めた場合、分散室内で生じる自由膨張が大きくなり、分散室内へ供給された粉体が、乱流に乗って、分散室の上部に接続された排気部から吸い出されてしまう現象が起きる。すなわち、分散室へ供給された粉体は、分級室で分級される前に、分散室から排気部を通って排出されてしまう、いわゆるショートパスによって損失が生じる。特に、比重が軽く、かつ微細な粒度分布を有する粉体では、ショートパスが顕著に起こり、その一方で、気流の乱流域を利用して粒径が異なる個々の粒子に速度差を生じさせることで一次粒子に分散させている。このため、このような粉体では、分散室内の過剰な乱流域において、ショートパスが顕著になる問題がある。
また、固気混合流の粉塵濃度を、精密な分級に適正な粉塵濃度まで下げるために、分散室の内径よりも分級室の内径を大きくし、分級室へ二次気流を供給することによって、分級室内で気流が旋回する距離を分散室内よりも長くする技術がある。しかし、この技術では、分散室内の気流の流量の数倍以上の流量の気流を分級室へ供給することになり、分散室と分級室とが、環状間隙を介して連通されているので、分散室の静圧と分級室の静圧とに差が生じる。そのため、分散室内の気流は、分級室へ向かって垂直に強く作用する。したがって、分散室内に供給された固気混合流は、分散室内に流入すると同時に自由膨張し、気流の速度が減衰し、分散室内で十分に旋回せずに、ほぼ垂直に降下するように分級室へ流入してしまう。このように、分散室内で粉体が適正に分散されずに、偏析が生じた固気混合流が、分級室へ流入する問題がある。
また、固気混合流の粉塵濃度が高い状態で分級室へ流入した場合には、2つの問題がある。1つめの問題として、分級室に流入した固気混合流に含まれる粒子群が、個々の粒子にほぐれることなく、凝集体を形成したままで、粗粉を排出するための排出口から排出されてしまう、いわゆるキャリーアウトが起きる。2つめの問題として、固気混合流が分散室から分級室へ流入するとき、環状間隙を通過する際に、いわゆるコアンダ効果によって流れが、分散室と分級室とを仕切る円錐体である分散盤の下面に沿って曲げられることで、微粉を排出するための排出口から排出されてしまう、いわゆるドローインが起きる。このようにキャリーアウト及びドローインが起きることにより、粉体の分級精度の低下を招いている。
なお、上述の特許文献1では、供給口近傍に配置されている粉体誘導板によって、分級室へ流入した粉体が、分級室の排出口から直接排出されることが抑えられるものの、分級室へ流入する固気混合流を制御したり、粉体の凝集や偏析を抑えたりするものではない。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、粉体の分級精度及び分級効率を高めることができる気流分級装置を提供することを目的とする。
本願の開示する気流分級装置の一態様は、粉体を遠心力で分散させる円筒状の分散室と、前記分散室の下方に設けられて前記分散室から流入した粉体を遠心力で分級する円筒状の分級室と、前記分散室と前記分級室とを仕切ると共に前記分散室と前記分級室とを連通させる環状間隙を外周側に形成する円錐体と、前記分散室の内周面に接続された供給口を有し、粉体を気流と共に前記分散室の周方向に沿って前記分散室へ供給する供給部と、前記分散室の上方に連通されて前記分散室から排気する排気部と、前記分散室の内周面の全周にわたって設けられ、前記供給部から流入した粉体及び気流を、前記分散室の周方向に沿って案内する気流制御部材と、を備える。
本願の開示する気流分級装置の一態様によれば、粉体の分級精度及び分級効率を高めることができる。
図1は、実施例1の気流分級装置を示す斜視図である。 図2は、実施例1の気流分級装置を示す縦断面図である。 図3は、実施例1の気流分級装置の分散室の内部を示す斜視図である。 図4は、実施例1の気流分級装置の気流制御板を示す平面図である。 図5は、実施例1の気流分級装置の気流制御板の形状を説明するための平面図である。 図6は、参考例において、分散室内で生じる気流を可視化して説明するためのモデル図である。 図7は、参考例において、分散室内へ供給された粉体の挙動を示す可視化モデル図である。 図8は、実施例1において、分散室内へ供給された粉体の挙動を示す可視化モデル図である。 図9は、実施例2の気流分級装置の気流制御板を示す斜視図である。
以下に、本願の開示する気流分級装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する気流分級装置が限定されるものではない。
本実施例の気流分級装置は、例えば、金属、食品、弱熱性物質、繊維質物質、合成樹脂、一般有機物質、一般無機物質等の粉体原料を高速で旋回させることで、粉体を微粉と粗粉とに遠心分離するために用いられる。本実施例の気流分級装置は、特に、粉体の嵩比重が2以下、かつ粒子径が十数ミクロン以下の粒子が大半を占める粉体を分級するために用いられて好適である。実施例の気流分級装置は、例えば、複写機等で用いられる帯電性粉末インク(トナー)の分級に用いられるが、電池材料の製造に適用されてもよい。
(気流分級装置の構造)
図1は、実施例1の気流分級装置を示す斜視図である。図2は、実施例1の気流分級装置を示す縦断面図である。
図1及び図2に示すように、実施例1の気流分級装置1は、粉体を遠心力で分散させる円筒状の分散室6と、分散室6の下方に設けられて分散室6から流入した粉体を遠心力で分級する円筒状の分級室7と、分散室6と分級室7とを仕切ると共に分散室6と分級室7とを連通させる環状間隙G1を外周側に形成する円錐体としての分散盤8と、分級室7内に設けられた逆漏斗状の分級盤9と、を備える。分散室6と分級室7は、円筒部材5の内部に一体的に構成されている。
図3は、実施例1の気流分級装置1の分散室6の内部を示す斜視図である。図3に示すように、分散室6は、粉体を気流と共に分散室6の周方向に沿って分散室6へ供給する供給部11と、分散室6から排気する排気部12と、供給部11から流入した粉体及び気流(固気混合流)を、分散室6の周方向に沿って案内する気流制御部材としての気流制御板13と、を有する。
供給部11は、分散室6の内周面に接続された供給口11aを有しており、供給口11aが分散室6の外周部に設けられた供給管11bに連通されている。供給部11は、供給管11bの一端から供給口11aまで水平方向に沿って延びる底面11cを有する。供給口11aは、後述する気流導入部材15の案内羽根15aの間に配置されており、分散室6の内周面に沿って円弧状に湾曲されて形成されている。
排気部12は、分散室6から上方へ延ばされて排気管12aを有しており、排気管12aの中心軸が、円筒状の分散室6の中心軸と一致して配置されている。排気管12aの下端には、分散室6に連通された排気口12bが形成されており、排気口12bが、供給部11の底面11c及び気流制御板13よりも下方に位置している。また、排気管12aは、送風機等の図示しない負圧発生部に接続されており、後述する第1の排出部16によって生じる負圧と協働して、供給部11から分散室6内に粉体を吸引させる負圧を発生する。
図1及び図3に示すように、気流制御板13は、分散室6の内周面の全周にわたって設けられている。気流制御板13の構成の詳細については後述する。
図2に示すように、分散盤8は、上円錐面8aと下円錐面8bを有しており、下円錐面8bの中心に、下方へ突出する中央円錐面8cが形成されている。分散盤8は、複数の支持ステー14を介して、分散室6の内周面に固定されている。分散盤8の上円錐面8a及び中央円錐面8cの各頂点、下円錐面8bの中心は、分散室6の中心軸上及び分級室7の中心軸上に位置している。
また、図2及び図3に示すように、分散室6の上部の外周側には、分散室6内へ、二次気流である旋回流を導入する環状の気流導入部材15が設けられている。気流導入部材15の内周面は、分散室6の内周面と一致するように配置されている。気流導入部材15は、図3に示すように、環状に配列された複数の案内羽根15aと、複数の案内羽根15aを回動可能に支持する環状の底板15bと、を有する。気流導入部材15は、各案内羽根15aの間から、分散室6における旋回方向へ気流を送ることで、分散室6内へ旋回流を導入する。複数の案内羽根15aは、分散室6の周方向に沿って配列されており、各案内羽根15aの間に所定の間隙をあけた状態で固定されている。
気流導入部材15は、図示しないノズルから供給された気流を、各案内羽根15aの間を通して分散室6内へ送る。気流導入部材15の周方向の一部には、供給部11の供給口11aが、案内羽根15aの間に形成されている。また、気流導入部材15の底板15bの内周縁は、分散室6の内周面と一致するように配置されている。図3に示すように、底板15bの上面は、供給口11aの底面11cを構成しており、底板15bの下面に気流制御板13が重ねて設けられている。
図2に示すように、分級室7の内径は、分散室6の内径よりも大きく形成されている。分級室7は、分散盤8の下円錐面8bを外周側へ延ばした円錐面上に位置する上面7aを有しており、上面7aが、下円錐面8bと同じ傾斜角で傾斜して形成されている。分級室7は、分級室7内で分級された微粉と粗粉のうち、微粉を排出するための第1の排出部16と、粗粉を排出するための第2の排出部17と、を有する。
第1の排出部16は、分級盤9の中央に形成された円形状の第1の排出口16aと、第1の排出口16aから、分級室7の外部へ引き出された排出管16bと、を有する。第2の排出部17は、分級室7の内周面と分級盤9の外周側との間に形成された環状の第2の排出口17aと、第2の排出口17aに連通して分級室7の下部に形成された漏斗状の排出管17bと、を有する。また、第1の排出部16の排出管16bは、送風機等の図示しない負圧発生部に接続されており、第2の排出部17の排出管17bをバルブ等で閉じることで、上述の排気部12によって生じる負圧と協働して、供給部11から分散室6内に粉体を吸引させる負圧を発生する。
図2に示すように、分級盤9は、分散盤8の下円錐面8bに対向する円錐面9aを有する。分級盤9の円錐面9aの中央には、分散盤8の中央円錐面8cに対向する位置に、第1の排出口16aが形成されている。分級盤9の外周側には、分級室7の内周面に沿って環状間隙G2が形成されており、環状間隙G2によって、分級室7から粗粉が排出される第2の排出口17bが構成されている。分散室6から分級室7に流入した粉体は、分級室7内で固気混合流が旋回することで、分級盤9の円錐面9a、分散盤8の下円錐面8b及び中央円錐面8cによって、微粉と粗粉とに分級される。
また、分級室7の外周側には、分散室6に設けられた気流導入部材15(上部ルーバ―)と同様に、分級室7内へ、二次気流である旋回流を導入するための気流導入部材19(下部ルーバ―)が設けられている。気流導入部材19は、第2の排出口17bの近傍に配置されている。気流導入部材19は、上述の気流導入部材15と異なる大きさに形成されているが、気流導入部材15と同様に構成されているので説明を省略する。
(気流制御板の構成)
図4は、実施例1の気流分級装置1の気流制御板13を示す平面図である。図3及び図4に示すように、気流制御板13は、円環状の金属板として形成されており、分散室6の上部に、水平方向に沿って配置されている。気流制御板13は、気流導入部材15の底板15bの下面に重ねて設けられており、排気部12の排気口12bよりも、分散室6内の上方に配置されている。
気流制御板13は、図1、図3及び図4に示すように、供給部11の供給口11aから、分散室6の内周面の全周にわたって延ばされている。また、気流制御板13は、分散室6の内周面の全周にわたって形成された開口13aを有する。図4に示すように、開口13aの内周縁は、分散室6の内周面及び気流導入部材15の内周面から、分散室6の径方向の中心O1側へ突出されて設けられている。このため、気流制御板13は、分散盤8の外周側の環状間隙G1に対向して配置されている(図2参照)。
なお、気流制御板13は、供給口11aから、分散室6の内周面の全周にわたって形成されることが望ましいが、分散室6の周方向に対する長さを限定するものではない。気流制御板13は、始端が供給口11a側から延ばされ、終端が分散室6の内周面の円周の3/4以上まで延ばされていればよい。
そして、気流制御板13は、分散室6と分級室7を投影した同一の水平面上において、気流制御板13の内周部が、供給口11aから、分散室6の内周面の円周の少なくとも1/4以上にわたって分散盤8の環状間隙G1を覆うように形成されている(図4及び図5参照)。言い換えると、気流制御板13の内周部は、分散室6の上方から見たときに、分散室6の周方向における少なくとも供給口11a側の部分が環状間隙G1に重なるように、分散室6の中心O1側へ延ばされている。
なお、本実施例1では、気流制御板13の内周部が環状間隙G1を覆う範囲が、供給口11aから、分散室6の内周面の円周の1/2程度まで延びる範囲に設定されている。気流制御板13の内周部が環状間隙G1を覆う範囲は、供給口11aから供給する粉体に応じて、分散室6の内周面の全周を覆うように形成されてもよい。気流制御板13の内周部が環状間隙G1を覆う範囲が1/4未満の場合には、供給口11aから環状間隙G1へ向かって流れる気流を十分に抑えられないので好ましくない。
図5は、実施例1の気流分級装置1の気流制御板13の形状を説明するための平面図である。図5において、気流制御板13の全体に斜線を付けて示す。また、図5において、気流導入部材15の底板15bの内周面と一致する分散室6の内周面の位置を破線S1で示し、分散盤8の最外周面となる環状間隙G1の内周縁の位置を破線S2で示す。
図5に示すように、気流制御板13の開口13aは、分散室6の径方向において、分散室6の中心O1と分散室6の内周面との間の最大半径をR1、分散室6の中心O1と開口13aの内周縁との間の最小半径をR0、最小半径R0に沿う方向における供給部11の供給口11aの幅をBとしたとき、
R0=R1−(A×B) ・・・(式1)
0.5≦A≦1.5 ・・・(式2)
を満たす。
ここで、供給口11aの幅Bは、図5に示すように、分散室6の径方向の中心O1から延びる最小半径R0に平行な幅を指している。式1、2は、気流制御板13の内周縁に形成される開口の大きさを規定するものであり、言い換えると、分散室6の径方向において分散室6の内周面から突出する、気流制御板13の内周部の幅Cを規定するものである。
変数Aが0.5未満の場合には、気流制御板13の内周部の幅Cが不足することで、供給口11aから分散室6内へ流入した粉体が、供給口11aから環状間隙G1へ向かって下方へ流れる気流によって分級室7へ流入することを十分に抑えられないので好ましくない。一方、変数Aが1.5を超える場合には、気流制御板13の内周部の幅Cが大きくなり過ぎることで、分散室6内で旋回する気流を妨げると共に、供給口11aから気流制御板13上に沿って流れる粉体が旋回流にスムーズに乗ることを妨げるおそれがあるので好ましくない。
また、分散室6の径方向における気流制御板13の内周部の幅Cは、供給口11a側から分散室6の周方向に沿って、連続的に小さくなるように形成されている。気流制御板13は、供給部11の底面11cと連続するように、供給口11a近傍から、分散室6の周方向に延ばされている。気流制御板13は、供給口11a近傍の始端から、分散室6の内周面に沿って1周した供給口11a近傍の位置で、終端が分散室6の内周面につながるように形成されている。言い換えれば、気流制御板13の内周部に形成された開口13aの中心は、分散室6の中心O1に対して偏心して配置されており、気流制御板13の開口13aが、気流制御板13の始端から終端側へ向かって、分散室6の内周面に近づくように形成されている。
このように、気流制御板13上に沿って案内される粉体の量の変化(減少)に応じて、気流制御板13の内周部の幅Cが徐々に小さくなるので、気流制御板13の終端においても粉体を旋回流へスムーズに乗せると共に、分散室6内の旋回流を妨げることが抑えられる。また、気流制御板13の内周部の幅Cは、供給口11a側から分散室6の周方向に沿って、段階的に小さくなるように形成されてもよい。この場合、例えば、分散室6の周方向において所定の間隔毎に段差部が形成される。
また、気流制御板13の内周縁は、図5に示すように、例えば、中心が異なる2つの円弧をつなげて形成されている。一例として、気流制御板13の開口13aの内周縁は、第1の半径R2の円弧と、第2の半径R3の円弧とから形成されている。第1の半径R2は、分散室6の中心O1から、上述の最小半径R0の方向に沿って供給口11aと反対側へ、供給口11aの幅Bの1/4程度ずらした中心O2まわりの半径である。第2の半径R3は、最小半径R0の方向に沿って供給口11a側へ、供給口11aの幅Bの1/4程度ずらした中心O3まわりの半径である。このように複数の円弧をつなげることにより、気流制御板13の内周部の幅Cが、供給口11a側から、分散室6の周方向に沿って徐々に小さくされている。
また、気流制御板13は、分散室6の上部から気流導入部材15を取り外すことで、気流導入部材15と共に取り外しが可能とされており、メンテナンス作業を行うことができる。また、気流制御板13は、気流導入部材15と係合される係合部(図示せず)を有しており、気流導入部材15を介して、分散室6に対して所定の位置に容易に位置決めされる。図示しないが、気流制御板13の係合部としては、例えば、気流導入部材15の各案内羽根15aの回動軸が係合される係合孔を有している。
(遮蔽板の構成)
図3、図4及び図5に示すように、分散室6には、供給口11a側から排気部12の排気口12bへ向かう粉体の流れを遮る遮蔽部材としての遮蔽板21が設けられている。遮蔽板21は、分散室6の周方向に連続する供給口11aの円弧Qの両端と分散室6の径方向の中心O1とを2つの直線L1、L2で結んだとき、これら2つの直線L1、L2と、供給口11aの円弧Qとで囲まれた扇形の範囲に配置されている。
例えば、遮蔽板21は、矩形状に形成されており、鉛直方向に沿う姿勢で配置されている。遮蔽板21は、供給口11aの一側近傍に位置する始端から、気流制御板13の開口13aの内周縁に沿って延ばされて設けられている。気流制御板13の開口13aの内周縁に沿って延びる遮蔽板21の長さ、遮蔽板21が延びる向き、鉛直方向に対する遮蔽板21の姿勢を限定するものではない。
遮蔽板21が上述の扇形の範囲に配置されることにより、供給口11aから分散室6へ固気混合流が流入した直後に供給口11a近傍で生じる自由膨張を効果的に抑えると共に、供給口11aから環状間隙G1へ直接流れる気流を効果的に抑えることができる。
なお、遮蔽板21は、必要に応じて、鉛直方向に対して傾斜されて配置されてもよい。また、遮蔽板21は、気流制御板13の内周縁に沿って、分散室6の内周面の全周にわたって設けられてもよい。図示しないが、この場合、遮蔽板21の下端と、気流制御板13の内周縁との間には、粉体を旋回流に乗せるための開口が形成される。このような遮蔽板21の開口は、供給口11aに当接する始端から、分散室6の周方向に沿って延ばされた終端に向かって、徐々に大きくなるように、遮蔽板21の上下方向の高さが徐々に小さくなるように形成されてもよい。
(気流制御板の作用)
気流分級装置1は、供給部11から分散室6内へ固気混合流が供給されたとき、供給口11aから分散室6内へ流入した粉体が、気流制御板13上に沿って流れて案内される。気流制御板13によって案内される粉体は、分散室6の周方向に沿って気流制御板13上を流れながら、分散室6内の旋回流に徐々に乗せられて分散される。
気流制御板13は、下方に配置された分散盤8の環状間隙G1に対向して配置されているので、供給口11aから環状間隙G1へ向かう気流22を抑える。これにより、気流制御板13は、供給口11aから流入した固気混合流が、分級室7からの吸引力による影響を受けることを抑制し、固気混合流の流速の低下を抑える。気流分級装置1は、分級室7からの吸引力による影響を抑制しながら、気流制御板13上に沿って流れる固気混合流に旋回力をスムーズに与えることで、適正な旋回流を生じさせ、分散室6の内周面の全周にわたって、気流制御板13上を流れる粉体を旋回流に適正に乗せる。これにより、供給口11aから分散室6内へ粉体が流入したときに、分散室6内での自由膨張による拡散によって、粉体が分散室6内の気流に一括して過剰に乗せられることが避けられるので、粉体の分散性が高められる。
したがって、気流分級装置1は、粉体が均等に分散された固気混合流を、分級室7の内周面の全周にわたって均等に送ることが可能になる。そのため、気流分級装置1は、固気混合流の粉塵濃度が高いことに伴う、粉塵濃度が高い固気混合流が微粉用の第1の排出口16aから排出されるドローイン、及び、粉体の凝集体が粗粉用の第2の排出口17aから排出されるキャリーアウトが抑えられる。
加えて、気流制御板13上に沿って流れる粉体は、気流導入部材15の各案内羽根15a間から流入する気流によっても、旋回流にスムーズに乗せられる。気流制御板13は、気流導入部材15の内周側の全周にわたって延ばされているので、気流制御板13の内周縁に沿って流れる粉体が、気流導入部材15から流入する気流によってスムーズに分散される。
(遮蔽板の作用)
遮蔽板21は、供給口11aから、分散室6の径方向の中央側へ向かう流れを遮断する。これにより、遮蔽板21は、気流制御板13と同様に、供給口11aから分散室6内へ流入した固気混合流が、自由膨張によって流速が低下することを抑える。加えて、遮蔽板21は、供給口11aから分散室6内へ固気混合流が流入したときに、自由膨張によって拡散した粉体が、分散室6の径方向の中央に配置された排気口12bへ過剰に吸い込まれることを抑える。したがって、遮蔽板21によれば、分散室6内へ供給された粉体が、供給口11aから排気部12の排気口12bへ直接流れることが妨げられるので、粉体が供給口11aから排気口12bへ直接排出されるショートパスが抑えられ、粉体の損失を抑えることができる。
図6は、参考例において、分散室6内で生じる気流を可視化して説明するためのモデル図である。図7は、参考例において分散室6内へ供給された粉体の挙動を可視化して示すモデル図である。図8は、実施例1において分散室6内へ供給された粉体の挙動を可視化して示すモデル図である。図6、図7及び図8において、水平方向をX軸、Z軸で示し、鉛直方向をY軸で示す。参考例及び実施例1は、粉体として粒径が5[μm]のポリエステルの粉末を用いて、流体解析により、粒子の流れの軌跡を可視化したものである。
参考例において、実施例1と同一の構成部材については、説明の便宜上、実施例1と同一の符号を付けて説明する。実施例1は、上述した式1、2を満たす気流制御板13と、遮蔽板21を備える気流分級装置1である。参考例は、気流制御板13及び遮蔽板21を備えていない気流分級装置である。
まず、供給部11から分散室6内へ粉体と共に気流が供給されたとき、図6に示すように、分散室6内には、主に3つの気流が生じる。3つの気流としては、分散室6内を旋回する気流F1と、供給口11a近傍から分散盤8の環状間隙G1に向かって降下する気流F2と、排気部12の排気口12bへ吸引される気流F3と、がある。
図7に示すように、参考例では、気流制御板13を備えていないので、供給口11aから流入した粉体が、供給口11aから環状間隙G1を通って分級室7へ向かう気流F2によって影響を大きく受ける。このため、参考例では、固気混合流が供給部11から分散室6内へ供給された直後に、供給口11aから流入した粉体が、自由膨張によって拡散され、分級室7へ向かって降下してしまう。このように参考例では、粉体の分散性が乏しく、固気混合流の凝集や偏析が十分に抑制されない。
一方、実施例1は、気流制御板13を備えることにより、供給口11aから環状間隙G1を通って分級室7へ向かう気流F2が、気流制御板13によって適正に抑制される。このため、図8に示すように、固気混合流が供給部11から分散室6内へ供給されたとき、供給口11aから流入した粉体が、自由膨張によって拡散することが抑えられ、分級室7へ向かって降下することが抑えられる。そして、実施例1では、供給口11aから流入した粉体が、気流制御板13上を分散室6の内周面の全周に沿って流れて、粉体が旋回流へ分散されて乗るので、粉体の分散性が高められる。
(実施例と参考例の分級試験の比較)
実施例1の気流分級装置を用いて粉体の分級試験を行った結果について説明する。例えば、トナー等の粉体の製造では、中心粒径(メジアン径)が6[μm]〜8[μm]程度、3[μm]以下の粒子が5[個数%]以下とされ、中心粒径が小さく、かつ、粒度分布の範囲が非常に小さい製造条件が要求されるものがある。このような粉体の製造する場合について、本実施例1の気流分級装置1を用いて分級試験を行った実施例A、B、Cと、参考例の気流分級装置を用いて分級試験を行った参考例A、Bを比較する。表1は、実施例A、B、Cと参考例A、Bの分級試験の結果を示す表である。なお、以下の実施例A、B、Cでは、気流制御板13及び遮蔽板21が取り付けられた気流分級装置1を用いた。
<実施例A>
実施例Aとして、実施例1の気流分級装置1を用いて粉体の分級試験を行った。原料としては、ポリエステル樹脂を92[重量%]とカーボンブラックを4[重量%]との混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製)を用いて溶融混練し、冷却固化した後、孔径が3[mm]のスクリーンを有るロートプレックス粉砕機(株式会社東亜機械製作所製)を用いて粗粉砕した粉体Aを使用した。
第1粉砕機としてIDS−5型ジェットミル(日本ニューマチック工業製)を用いて粉砕圧を0.23[MPa]で粉砕し、第2粉砕機としてIDS−10型ジェットミル(日本ニューマチック工業製)を用いて粉砕圧を0.41[MPa]で粉砕した。そして、気流分級装置1として、気流制御板13を取り付けたDSX−5型分級機を用いて分級処理を行った。
粉体Aを35[kg/hr]で気流分級機に供給した場合、D50(メジアン径)での体積粒子径が7.3[μm]であり、3[μm]以下の微粒子含有率が1.8[個数%]、10[μm]以上の微粒子含有率が6.2[体積%]である粉体粒子を、分級収率で75[%]得ることができた。粉体粒子の粒径は、粒子計数分析装置(シスメックス株式会社製:CDA−1000)を用いて測定した。さらに、粉体粒子の超微粉の含有量については、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製:FPIA−3000)を用いて追加測定したところ、3[μm]の微粉の含有率が2.4[個数%]であった。
<参考例A>
参考例Aでは、気流分級装置1として、気流制御板13を取り付けていないDSX−5型分級機を用いて分級処理を行った。参考例Aは、気流制御板13を利用しない点以外、上述の実施例Aと同一条件で粉体Aの分級試験を行った。
粉体Aを35[kg/hr]で気流分級機に供給した場合、D50での体積粒子径が7.2[μm]であり、3[μm]以下の微粒子含有率が2.9[個数%]、10[μm]以上の微粒子含有率が5.4[体積%]である粉体粒子を、分級収率で65[%]得ることができた。実施例Aと同様に、粉体粒子の粒径は、粒子計数分析装置(シスメックス株式会社製:CDA−1000)を用いて測定した。粉体粒子の超微粉の含有量について、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製:FPIA−3000)を用いて追加測定したところ、3[μm]の微粉の含有率が8.1[個数%]であった。したがって、参考例Aは、実施例Aと比べて、3[μm]以下の微粒子含有率が高く、分級収率が低かった。
<実施例B>
実施例Bにおいても、実施例Aと同様に、原料としては、ポリエステル樹脂を92[重量%]とカーボンブラックを4[重量%]との混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製)を用いて溶融混練し、冷却固化した後、孔径が3[mm]のスクリーンを有るロートプレックス粉砕機(株式会社東亜機械製作所製)を用いて粗粉砕した粉体Aを使用した。
第1粉砕機としてIDS−5型ジェットミル(日本ニューマチック工業製)を用いて粉砕圧を0.25[MPa]で粉砕し、第2粉砕機としてIDS−10型ジェットミル(日本ニューマチック工業製)を用いて粉砕圧を0.45[MPa]で粉砕した。そして、気流分級装置1として、気流制御板13を取り付けたDSX−5型分級機を用いて分級処理を行った。
粉体Aを40[kg/hr]で気流分級機に供給した場合、D50での体積粒子径が7.1[μm]であり、3[μm]以下の微粒子含有率が1.8[個数%]、10[μm]以上の微粒子含有率が5.5[体積%]である粉体粒子を、分級収率で75[%]得ることができた。粉体粒子の粒径は、粒子計数分析装置(シスメックス株式会社製:CDA−1000)を用いて測定した。さらに、粉体粒子の超微粉の含有量について、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製:FPIA−3000)を用いて追加測定したところ、3[μm]の微粉の含有率が3.6[個数%]であった。したがって、実施例Bは、実施例Aと同様に参考例Aと比べて、3[μm]以下の微粒子含有率が低く、分級収率が高かった。
<実施例C>
実施例Cでは、原料としては、ポリエステル樹脂を80[重量%]とカーボンブラックを5[重量%]との混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製)を用いて溶融混練し、冷却固化した後、孔径が3[mm]のスクリーンを有るロートプレックス粉砕機(株式会社東亜機械製作所製)を用いて粗粉砕した粉体Bを使用した。
第1粉砕機としてIDS−5型ジェットミル(日本ニューマチック工業製)を用いて粉砕圧を0.42[MPa]で粉砕し、第2粉砕機としてIDS−10型ジェットミル(日本ニューマチック工業製)を用いて粉砕圧を0.38[MPa]で粉砕した。そして、気流分級装置1として、気流制御板13を取り付けたDSX−5型分級機を用いて分級処理を行った。
粉体Bを40[kg/hr]で気流分級機に供給した場合、D50での体積粒子径が7.7[μm]であり、3[μm]以下の微粒子含有率が2.0[個数%]、10[μm]以上の微粒子含有率が10.0[体積%]である粉体粒子を、分級収率で75[%]得ることができた。粉体粒子の粒径は、粒子計数分析装置(シスメックス株式会社製:CDA−1000)を用いて測定した。さらに、粉体粒子の超微粉の含有量について、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製:FPIA−3000)を用いて追加測定したところ、3[μm]の微粉の含有率が4.0[個数%]であった。
<参考例B>
参考例Bでは、気流分級装置1として、気流制御板13を取り付けていないDSX−5型分級機を用いて分級処理を行った。参考例Bは、気流制御板13を利用しない点以外、上述の実施例Cと同一条件で粉体Bの分級試験を行った。
粉体Bを40[kg/hr]で気流分級機に供給した場合、D50での体積粒子径が7.7[μm]であり、3[μm]以下の微粒子含有率が5.4[個数%]、10[μm]以上の微粒子含有率が11.0[体積%]である粉体粒子を、分級収率で70[%]得ることができた。実施例Cと同様に、粉体粒子の粒径は、粒子計数分析装置(シスメックス株式会社製:CDA−1000)を用いて測定した。粉体粒子の超微粉の含有量について、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製:FPIA−3000)を用いて追加測定したところ、3[μm]の微粉の含有率が11.0[個数%]であった。したがって、参考例Bは、実施例Bと比べて、3[μm]以下の微粒子含有率が高く、分級収率が低かった。
表1に示すように、実施例A、B、Cは、気流制御板13を備えることにより、参考例A、Bと比較して、特に3[μm]以下の微粒子含有率が低下し、分級収率が高められており、粉体の分級精度及び分級効率が向上した。
上述のように実施例1の気流分級装置1は、分散室6の内周面の全周にわたって設けられた気流制御板13を備えており、気流制御板13が、供給部11から流入した粉体及び気流を、分散室6の周方向に沿って案内する。気流制御板13により、供給口11aから流入する固気混合流の流速の低下、自由膨張による粉体の拡散が抑えられるので、気流制御板13上に沿って流れる固気混合流に旋回力をスムーズに与えることが可能になる。これにより、供給口11aから気流制御板13上に沿って案内された粉体が旋回流にスムーズに乗せられるので、分散室6内での粉体の分散性が高められる。このため、分散室6内で粉体の凝集や偏析が生じることが抑えられるので、気流分級装置1に供給された粉体の損失を抑えると共に、分級室7で分級される微粉の回収量(回収率)を高めることができる。したがって、気流分級装置1によれば、粉体の分級精度及び分級効率を高めることができる。その結果、分散室6内に気流制御板13を設ける簡素な構造により、安定した粒度分布が得られる分級条件を長期間にわたって保つことが可能になる。
また、実施例1の気流分級装置1を用いることで、粉体の分級精度を高めるために分級処理を繰り返して行ったり、気流分級装置の代わりに、例えば、ロータ型分級装置やエルボージェット型分級装置等を用いたりすることなく、粉体の精密な分級処理が行うことができる。
また、実施例1の気流分級装置1は、環状に配列された各案内羽根15aの間から分散室6内へ旋回流を導入する気流導入部材15を備える。これにより、気流制御板13上に沿って案内される粉体が、気流導入部材15から流入する旋回流によって、分散室6の内周面の全周にわたって分散室6内の旋回流に更にスムーズに乗せることができる。このため、分散室6内での粉体の分散性を更に高めることが可能になり、粉体の分級精度及び分級効率を更に高めることができる。
また、実施例1の気流分級装置1における気流制御板13は、供給口11aから分散室6の内周面の全周にわたって延ばされており、分散室6と分級室7を投影した水平面上において、供給口11aから、分散室6の内周面の円周の少なくとも1/4以上にわたって環状間隙G1を覆うように形成されている。これにより、供給口11aから分級室7へ向かう気流の流れが抑えられるので、供給口11aから分級室7へ直接流入する粉体を抑えることができる。このため、分散室6内での粉体の分散性を更に高めることが可能になり、粉体の分級精度及び分級効率を更に高めることができる。
また、実施例1の気流分級装置1における気流制御板13の開口13aは、分散室6の径方向において、分散室6の中心O1と分散室6の内周面との間の最大半径をR1、分散室6の中心O1と開口13aの内周縁との間の最小半径をR0、最小半径R0に沿う方向における供給口11aの幅をBとしたとき、R0=R1−(A×B)・・・(式1)、0.5≦A≦1.5・・・(式2)を満たす。これにより、気流制御板13の内周部の幅Cが適正に形成されるので、供給口11aから環状間隙G1へ向かって下方へ流れる気流を抑えると共に、分散室6内で旋回する気流を妨げることが抑えられる。このため、気流制御板13上に沿って案内される粉体が、分散室6の内周面の全周にわたって分散室6内の旋回流に更にスムーズに乗せることができる。その結果、粉体の分級精度及び分級効率を高めることができる。
また、実施例1の気流分級装置1において、分散室6の径方向において分散室6の内周面から突出する気流制御板13の内周部の幅Cは、供給口11a側から分散室6の周方向に沿って、連続的又は段階的に小さくなるように形成されている。これにより、気流制御板13上に沿って流れる粉体を、気流制御板13の始端から終端にわたって旋回流に更にスムーズに乗せることが可能になり、粉体の分級精度及び分級効率を更に高めることができる。
また、実施例1の気流分級装置1における分散室6には、供給口11a側から排気部12へ向かう粉体の流れを遮る遮蔽板21が設けられている。遮蔽板21により、供給口11aから分散室6内へ流入した固気混合流が、自由膨張によって流速が低下することを抑えることができる。加えて、遮蔽板21により、固気混合流の自由膨張によって拡散した粉体が、排気口12bに吸い込まれることを抑えることができる。したがって、粉体が分散室6から排気部12を通って排出されるショートパスを抑え、粉体の損失を抑えることができる。
また、実施例1の気流分級装置1における遮蔽板21は、分散室6の周方向に連続する供給口11aの円弧の両端と分散室6の径方向の中心O1とを2つの直線L1、L2で結んだときに、2つの直線L1、L2と円弧とで囲まれた扇形の範囲に配置されている。これにより、供給口11aから分散室6へ固気混合流が流入した直後に供給口11a近傍で生じる自由膨張を効果的に抑えると共に、供給口11aから環状間隙G1へ直接流れる気流を効果的に抑えるように遮蔽板21を配置することができる。
なお、図示しないが、実施例1では、気流制御板13と遮蔽板21とが独立して設けられたが、気流制御板13の内周縁に沿って遮蔽板21が上方へ延ばされ、遮蔽板21が分散室6の天面に接続されることにより、環状をなす角筒状の気流制御部材として形成されてもよい。この場合、例えば、供給口11aから連続する角筒状の気流制御部材が、分散室6の周方向に沿って環状に延ばされて、気流制御部材の内周壁に、供給口11aから遠ざかるにつれて広がる開口が形成されてもよい。
以下、実施例2について図面を参照して説明する。実施例2において、実施例1と同一の構成部材には、実施例1と同一の符号を付して説明を省略する。実施例2の気流分級装置は、気流制御板が螺旋状に形成された点が、実施例1の気流分級装置1と異なる。
図9は、実施例2の気流分級装置が備える気流制御板を示す斜視図である。図9に示すように、実施例2の気流分級装置2が備える気流制御板23は、供給口11aから分級室7側へ向かって螺旋状に延びており、分散室6の内周面に沿って固定されている。分散室6の径方向において分散室6の内周面から突出する気流制御板23の内周部の幅Cは、実施例1における気流制御板13と同様に、供給口11aに接続された始端から、分級室7側へ向かって延びる終端まで、幅Cが徐々に小さくなるように形成されている。
また、気流制御板23の内周部は、供給口11aに当接された始端から、分散室6の周方向に1周する間で、分散室6と分級室7を投影した水平面上で分散盤8の環状間隙G1を覆うように形成されている。なお、図9には、分散室6の外周側に設けられた気流導入部材15を図示しないが、実施例1と同様に気流導入部材15が設けられており(図2参照)、気流導入部材15の下面に気流制御板23が固定されている。
気流制御板23が、分散室6の周方向に沿って螺旋状に周回する回数、すなわち分散室6の周方向に沿って延びる全長は、分散室6へ流入させる粉体の供給条件等に応じて適宜設定される。気流制御板23は、分散室6の周方向に沿って螺旋状に延びる長さが限定されるものではなく、例えば、分散室6の内周面の1周分の長さに形成されてもよい。また、螺旋状に延びる気流制御板23が水平方向に対してなす傾斜角も、分散室6へ流入させる粉体の供給条件等に応じて適宜設定される。
上述のように実施例2の気流分級装置2は、供給口11aから分級室7側へ向かって螺旋状に延びる気流制御板23を備えることにより、気流制御板23によって粉体を気流の旋回方向に沿って案内する距離を長く確保することが可能になり、粉体の比重、粒径等に応じて適正に分散することができる。実施例2においても、実施例1と同様に、気流制御板23によって、分散室6内で粉体の凝集や偏析が生じることが抑えられ、粉体の分級精度及び分級効率を高めることができる。
1 気流分級装置
6 分散室
7 分級室
8 分散盤(円錐体)
9 分級盤
11 供給部
11a 供給口
12 排気部
13 気流制御板(気流制御部材)
13a 開口
15 気流導入部材
15a 案内羽根(羽根)
21 遮蔽板(遮蔽部材)
G1 環状間隙
O1 中心
L1、L2 直線

Claims (8)

  1. 粉体を遠心力で分散させる円筒状の分散室と、
    前記分散室の下方に設けられて前記分散室から流入した粉体を遠心力で分級する円筒状の分級室と、
    前記分散室と前記分級室とを仕切ると共に前記分散室と前記分級室とを連通させる環状間隙を外周側に形成する円錐体と、
    前記分散室の内周面に接続された供給口を有し、粉体を気流と共に前記分散室の周方向に沿って前記分散室へ供給する供給部と、
    前記分散室の上方に連通されて前記分散室から排気する排気部と、
    前記分散室の内周面の全周にわたって設けられ、前記供給部から流入した粉体及び気流を、前記分散室の周方向に沿って案内する気流制御部材と、
    を備える気流分級装置。
  2. 前記分散室の外周側には、環状に配列された複数の羽根を有し、各羽根の間から前記分散室内へ旋回流を導入する気流導入部材が設けられている、
    請求項1に記載の気流分級装置。
  3. 前記気流制御部材は、前記供給口から前記分散室の内周面の全周にわたって延ばされ、前記分散室と前記分級室を投影した水平面上において、前記供給口から、前記分散室の内周面の円周の少なくとも1/4以上にわたって前記環状間隙を覆うように形成されている、
    請求項1または2に記載の気流分級装置。
  4. 前記気流制御部材は、前記供給口から前記分級室側へ向かって螺旋状に延びている、
    請求項3に記載の気流分級装置。
  5. 前記気流制御部材は、前記分散室の内周面の全周にわたって形成された開口を有し、
    前記開口は、前記分散室の径方向において、前記分散室の中心と前記分散室の内周面との間の最大半径をR1、前記分散室の中心と前記開口の内周縁との間の最小半径をR0、前記最小半径R0に沿う方向における前記供給口の幅をBとしたとき、
    R0=R1−(A×B)、0.5≦A≦1.5を満たす、
    請求項1ないし4のいずれか1項に記載の気流分級装置。
  6. 前記分散室の径方向において前記分散室の内周面から突出する前記気流制御部材の内周部の幅は、前記供給口側から前記分散室の周方向に沿って連続的又は段階的に小さくなるように形成されている、
    請求項1ないし5のいずれか1項に記載の気流分級装置。
  7. 前記分散室には、前記供給口側から前記排気部へ向かう粉体の流れを遮る遮蔽部材が設けられている、
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の気流分級装置。
  8. 前記供給口は、前記分散室の周方向に沿って形成され、
    前記遮蔽部材は、前記分散室の周方向に沿って連続する前記供給口の円弧の両端と前記分散室の径方向の中心とを2つの直線で結んだとき、当該2つの直線と前記円弧とで囲まれた扇形の範囲に配置されている、
    請求項7に記載の気流分級装置。
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