本発明の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、および右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側(正面側)、後側(背面側)、上側、下側、左側、および右側とする。
図1および図2を参照し、パチンコ機1の概略構成を説明する。パチンコ機1には、遊技盤2が設けられている。遊技盤2は、正面視で略正方形の板状であり、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、発射機(図示外)に遊技球(図示外)を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。発射機によって発射された遊技球は、遊技領域4内を流下する。遊技領域4の略中央に、枠状の装飾枠14が配設されている。装飾枠14の中央下側に、第一始動口15が設けられている。第一始動口15の直下に、開閉部材を備えた第二始動口16が設けられている。第二始動口16は、開閉部材が開放された場合にのみ遊技球が入賞可能である。第二始動口16の下側に、遊技領域4の中央下端部まで流下した遊技球を回収するアウト口17が設けられる。
遊技盤2の後面側には、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成される表示面27を有する画像表示装置28が設けられている。表示面27は、正面視で装飾枠14の内側に設けられ、前方に向けて画像を表示可能である。表示面27には、特別図柄に基づく当たり判定(大当たり判定)の結果を遊技者に報知するための複数のデモ図柄が表示される。複数のデモ図柄は、遊技球が第一始動口15および第二始動口16のいずれかに入賞すると変動を開始し、その変動後に大当たり判定の結果に応じた組み合わせで確定表示される。
装飾枠14の後方には、可動装飾体55が設けられている。可動装飾体55は、遊技盤2の後側に取り付けられる演出装置30(図3参照)によって、上下動可能に支持される。演出装置30は、画像表示装置28およびスピーカ48等と連動して、可動装飾体55を上下動させる。これにより、演出装置30は、報知演出等の様々な演出を実行する。尚、図2では、可動範囲の下端位置にある可動装飾体55を実線によって図示し、可動範囲の上端位置にある可動装飾体55を仮想線によって図示する。
遊技盤2の後面側には、主基板(図示外)、サブ基板(図示外)等が設けられている。主基板はパチンコ機1の主制御を司る。主基板には、各種の演算処理を実行するCPU、データを一時的に記憶するRAM、および制御プログラム等を記憶したROMが設けられている。サブ基板は、主基板と電気的に接続されている。サブ基板は、主基板と同様に、CPU、RAM、およびROMが設けられている。サブ基板は、主基板から送信されるコマンドに従って、演出装置30等を動作させ、演出に関する総合的な制御を実行する。
図3〜図6を参照し、演出装置30の構成を説明する。尚、図4及び図5では可動装飾体55の図示を省略している。図3および図4に示すように、演出装置30は支持部材60を備える。支持部材60は、正面視で左右方向に長い略矩形状の板状部材であり、装飾枠14(図2参照)の下部の後側で固定されている。
支持部材60の左下部には、モータ62が設けられている。モータ62の出力軸(図示外)には、駆動ギヤ64(図5参照)が固定されている。モータ62の右上側には、正面視で円形状の動作部材66が設けられている。動作部材66は、前後方向に延びる軸線Aを中心に回転可能である。動作部材66の周端部の一部には、軸線Aを中心とした回転方向に延びるギヤ歯66Aが形成されている。ギヤ歯66Aは、駆動ギヤ64と噛み合っている。従って、モータ62の回転駆動に伴い、動作部材66は軸線Aを中心に回転する。
動作部材66は、検知部69(図5参照)とピン68が設けられている。検知部69は、動作部材66の周端部のうちギヤ歯66Aと異なる部位から、軸線Aとは反対側へ突出する略矩形状の板状体である。本例の検知部69は、動作部材66と一体的に形成されている。ピン68は、軸線Aと検知部69の間で、動作部材66から前方へ突出する円柱体である。動作部材66は、ピン68が軸線Aの略真下となる回転位置である第一回転位置(図3〜図5参照)にある場合、検知部69はセンサ67によって検知される。本例のセンサ67は、モータ62の右方で支持部材60に取り付けられた透過型のセンサである。
センサ67の上方且つ動作部材66の前方には、アーム部材70が設けられている。アーム部材70は略左右方向に延びる正面視で略矩形状の部材である。アーム部材70は筒状部71を備える。筒状部71は、前後方向に延びる円筒体であり、アーム部材70の左端部を形成する。筒状部71の内側には、支持部材60から前方に突出する支軸72が挿入されている。支軸72は、筒状部71を回転可能に支持している。従って、アーム部材70は、支軸72の軸線である軸線Bを中心として回転可能である。以下、アーム部材70の長手方向を、アーム延設方向という。アーム延設方向は、軸線Bと直交する。尚、軸線Bは軸線Aと略同じ高さにある。
アーム部材70のアーム延設方向の略中央部には、穴部73が形成されている。穴部73は、アーム延設方向に長い長穴であり、アーム部材70を前後方向に貫通している。穴部73には、ピン68が挿入されている。穴部73の短径は、ピン68の外径よりも僅かに大きい。従って、動作部材66が回転する場合、ピン68は、穴部73の内側に形成された壁面に対して摺動し且つ付勢する。これにより、ピン68は、アーム部材70を、支軸72(つまり軸線B)を中心に回転させることができる。動作部材66が第一回転位置にある場合、アーム部材70は第一位置に位置する。アーム部材70は、第一位置にある場合、軸線Bから右斜め下方に延びる(図7参照)。
アーム部材70の右端部75には、開口部76が形成されている。開口部76は、アーム延設方向に長い長穴であり、アーム部材70を前後方向に貫通する。開口部76には、回転部80が取り付けられている。アーム部材70が回転する場合、回転部80は、上下方向に直線移動すると共に、軸線Cを中心に回転可能である。軸線Cは、前後方向に延びる軸線であり、回転部80と共に上下方向に変位する。
図5および図6に示すように、回転部80は、回転部材81、支持部材82、軸受部材84、および締結部材85を備える。回転部材81は、右端部75の後方に設けられる。回転部材81は、正面視で軸線Cを中心とする略円形状である。回転部材81の外周面には、周方向に亘って延びる歯部である噛合部81Aが形成されている。噛合部81Aは、後述の歯部92,112と噛み合う(図7参照)。回転部材81の中心部には孔部81Bが形成されている。孔部81Bは、正面視で軸線Cを中心とする略円形状である。孔部81Bは前後方向を向く。
軸受部材84は、軸線Cに沿って延びる筒状部84Aを備える。筒状部84Aは、開口部76に嵌め込まれている。筒状部84Aの外径は、開口部76の短径よりも僅かに小さい。筒状部84Aは、開口部76に対してアーム延設方向に相対移動可能であり、且つ、開口部76に嵌った状態で軸線Cを中心に回転可能である。筒状部84Aの後端は、右端部75の後面よりも後方にあり、回転部材81の前面と接触する(図6参照)。即ち、回転部材81と右端部75は、僅かな間隔を空けて互いに対向する。
筒状部84Aの内側には、筒孔84Bが形成されている。筒孔84Bの前端は前方を向く。筒状部84Aの外周面の前端部には、鍔部84Cが設けられている。言い換えると、鍔部84Cは、筒状部84Aのうち回転部材81とは反対側の端部に設けられている。鍔部84Cは、アーム部材70の右端部75と僅かな間隔を空けて前方から対向する(図6参照)。
支持部材82は、回転部材81を支持する部材であり、且つ、軸受部材84によって支持される部材である。支持部材82は、軸線Cに沿って延びる円柱状の延設部82Aを備える。延設部82Aは、回転部材81の孔部81Bに差し込まれている。従って、延設部82Aは、回転部材81と一体的に回転可能である。延設部82Aは、筒状部84Aの筒孔84Bに挿入されている。延設部82Aの前端は、前後方向において、軸受部材84の前端(つまり鍔部84Cの前端)と略同じ位置にある(図6参照)。延設部82Aの前端面には、締結穴82Bが形成されている。延設部82Aの外周面の後端部には、鍔部である対向部82Cが設けられる。対向部82Cは、回転部材81の後端面と対向して接触する。
締結部材85は、支持部材82を軸受部材84に締結する。本例の締結部材85は、ネジである。締結部材85は、軸部85Aと、軸部85Aの後端部に設けられた頭部85Bを備える。軸部85Aは軸線Cに沿って延びる。軸部85Aが延設部82Aの締結穴82Bに締め付けられ、且つ頭部85Bが軸受部材84の鍔部84Cを前方から押圧することによって、支持部材82の対向部82Cは、回転部材81を後方から押圧する。これにより、締結部材85は支持部材82を軸受部材84に締結する。軸受部材84の筒状部84Aは開口部76に対して相対移動可能且つ回転可能に嵌る。よって、回転部80は、開口部76に対してアーム延設方向に相対移動可能であり、且つ、軸線Cを中心に回転可能である。
図5および図7に示すように、固定部材90は、動作部材66の右側で支持部材60に固定されている。本例の固定部材90は、図示外のネジによって固定されている。この他に例えば、固定部材90に設けられた係合爪を、支持部材60に設けられた係合穴部に係合させることによって、固定部材90は支持部材60に固定されてもよい。固定部材90は歯部92を備える。歯部92は、上下方向に直線状に延び、左側から回転部材81の噛合部81Aと噛み合う。従って、アーム部材70の回転力が、回転部80の軸線Cを中心とした回転力と回転部80の上下方向の移動力とに変換可能となる。尚、アーム部材70が第一位置(図7参照)にある場合、回転部80は可動範囲の下端位置にある。
回転部材81の右側には、正面視で略矩形状の移動部材110が設けられている。移動部材110は、スライドレール105(図5参照)を介して、支持部材60の右部に取り付けられている。より詳細には、スライドレール105の固定レールが支持部材60の前面に固定されており、スライドレール105の可動レールが移動部材110の後面に固定されている。可動レールは、上下方向に沿って複数並ぶ転動部材(本例では球状部材)を介して、固定レールに取り付けられている。従って、移動部材110は、支持部材60の前方で、上下方向に直線移動可能である。移動部材110の上端部には、可動装飾体55が設けられている。従って、可動装飾体55は、移動部材110と共に上下動可能である。
移動部材110の左端部には、歯部112が形成されている。歯部112は、上下方向に直線状に延び、右側から噛合部81Aと噛み合う。つまり、歯部112は、回転部材81が配置される空間を挟んで歯部92と対向する。歯部92,112が互いに対向する方向は、左右方向である。歯部112が噛合部81Aと噛み合うので、回転部材81の回転及び上下動に伴って、移動部材110は上下動可能である。回転部80が可動範囲の下端位置にある場合、移動部材110および可動装飾体55は、可動範囲の下端位置にある。この場合、可動装飾体55のうち上端部が、表示面27の下端部と正面視で重なる(図2参照)。
移動部材110の下端部の右部には、爪部113が設けられている。爪部113は、移動部材110から後方に突出し更に下方に折れ曲がる。爪部113は支持部材60の前方にある。支持部材60の上端部のうち、爪部113の上方となる部位には、爪部63(図5参照)が設けられている。爪部63は、支持部材60から前方に突出しさらに上方に折れ曲がる。爪部63は、移動部材110の後方にある。爪部63,113には、付勢部材101(図4参照)が取り付けられている。本例の付勢部材101は、上下方向に沿って弾性変形可能な引張バネである。付勢部材101の上端部は爪部63に取り付けられ、下端部は爪部113に取り付けられる。付勢部材101は、移動部材110を上方に付勢する。尚、図5では、付勢部材101の図示は省略されている。
図7および図8を参照し、可動装飾体55を可動範囲の下端位置か上端位置まで移動させる演出装置30の動作を説明する。モータ62は、回転駆動することによって、駆動ギヤ64(図5参照)を正面視で時計回りに回転させる。第一回転位置にあった動作部材66は、軸線Aを中心に正面視で反時計回り(図7の矢印X方向)に回転する。動作部材66の回転に伴い、ピン68は穴部73の長手方向に沿って右側へ移動する。ピン68が穴部73に沿って移動することで、第一位置にあったアーム部材70は、軸線Bを中心に正面視で反時計回り(図7の矢印Y方向)に回転する。
アーム部材70の回転に伴って、開口部76の内壁面は、回転部80の筒状部84A(図5参照)を上方に付勢すると共に、回転部80に対して右側に相対移動する。これにより、回転部80は、軸線Cを中心に正面視で反時計回り(図7の矢印Z方向)に回転しながら、上方に直線移動する。回転部80は、開口部76に対して、開口部76の長手方向に沿って左側へ相対移動する。
尚、回転部材81の噛合部81Aが、歯部92,112と噛み合うので、アーム部材70が回転しても、回転部80の左右方向の位置は変わらない。また、軸受部材84の鍔部84Cは、アーム部材70の右端部75と間隔を空けて対向する。同様に、回転部材81は右端部75と間隔を空けて対向する。従って、回転部80が軸線Cを中心に回転する場合に、鍔部84Cと回転部材81は、いずれも右端部75と摺動しにくい。よって、回転部80の回転に伴い、回転部80と右端部75との間で生じる摩擦力は、低減する。
回転部材81が直線移動しながら回転移動することによって、移動部材110および可動装飾体55は、可動範囲の下端位置から上方に直線移動する。付勢部材101が移動部材110を上方に付勢しているので、移動部材110および可動装飾体55は上方に移動し易い。
アーム部材70が、アーム延設方向が左右方向と略平行となる回転位置(図示外)を通過すると、ピン68が穴部73に対して相対移動する方向と、回転部80が開口部76に対して相対移動する方向は、いずれも切り替わる。つまり、ピン68は、穴部73に対して、穴部73の長手方向に沿って左側へ相対移動し、回転部80は、開口部76に対して、開口部76の長手方向に沿って右側へ相対移動する。
動作部材66が、ピン68が軸線Aの略真上にある回転位置である第二回転位置(図8参照)まで回転すると、モータ62は回転駆動を停止する。アーム部材70は、正面視で軸線Bから右上方に延びる回転位置である第二位置(図8参照)にて停止し、回転部80、移動部材110および可動装飾体55は、いずれも可動範囲の上端位置まで移動する。
図2に示すように、可動装飾体55が可動範囲の上端位置にある場合、可動装飾体55は、表示面27の下半分と正面視で重なる。可動装飾体55は、可動範囲の下端位置から上端位置まで直線移動することによって、表示面27の中心部に接近する。
移動部材110の直線移動量について説明する。例えば、本実施形態とは異なり、固定部材90が設けられず、且つ回転部材81が回転不能に右端部75固定された場合であっても、アーム部材70が回転すると、回転部材81は回転することなく上方に直線移動し、移動部材110は上方に直線移動する。しかしながら、本例では、アーム部材70の回転に伴って、回転部材81は上方に直線移動しながら更に回転する。よって、移動部材110の直線移動量は、回転部材81の回転移動量と、回転部材81の上方への直線移動量とを合計した移動量となる。回転部材81の回転移動量と、回転部材81の上方への直線移動量は同じである。故に、移動部材110の直線移動量は、回転部材81の上方への直線移動量の2倍となる。
演出装置30が可動装飾体55を可動範囲の上端位置から下端位置まで直線移動させる動作は、可動装飾体55を下端位置から上端位置まで直線移動させる動作と同様である。つまり、モータ62が回転駆動することによって、第二回転位置にあった動作部材66は、軸線Aを中心として正面視で時計回りに回転し、第二位置にあったアーム部材70は軸線Bを中心に正面視で時計回りに回転する。回転部80は可動範囲の上端位置から下方に変位し、移動部材110と可動装飾体55は、可動範囲の上端位置から下方に直線移動する。移動部材110は、付勢部材101の付勢力に抗って下方に直線移動する。この場合、移動部材110と可動装飾体55の自重が、移動部材110の下方への直線移動を補助する。
センサ67が検知部69を検知したとき、モータ62は回転駆動を停止する。これにより、動作部材66は第一回転位置にて停止し、アーム部材70は第一位置にて停止し、回転部80、移動部材110、および可動装飾体55はいずれも可動範囲の下端位置にて停止する。
以上説明したように、動作部材66の軸線Aを中心とした回転に伴い、回転部80の回転部材81は軸線Cを中心に回転しながら上方に直線移動する。移動部材110の直線移動量は、回転部材81の回転移動量に、回転部材81の直線移動量を加えた移動量になる。これにより、可動装飾体55が取り付けられた移動部材110の直線移動量は大きくなる。よって、演出装置30は、可動装飾体55の変位量を大きくできる。
本例では、可動装飾体55が可動範囲の下端位置にある場合、可動装飾体55のうち上端部が表示面27の下端部と正面視で重なる。一方、可動装飾体55が可動範囲の上端位置にある場合、可動装飾体55の略全体が表示面27の下半分と正面視で重なる。つまり、可動装飾体55が可動範囲の下端位置と上端位置との間を直線移動することで、表示面27の外観は大きく変化する。従って、演出装置30は、可動装飾体55を移動させる演出を実行することによって、遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。
アーム部材70が回転すると、軸受部材84は、開口部76に対して、開口部76の長手方向に相対移動する。これにより、回転部材81は回転しながら上下方向に直線移動し、可動装飾体55は上下動する。例えば、演出装置30は、動作部材66、アーム部材70、および回転部80に代えて、回転部材81を回転可能に支持する支持部材(図示外)を上下方向に直線移動させる機構(以下、第一機構という)を備えても、回転部材81を回転させながら上下方向に直線移動させることができる。しかしながら、第一機構は、支持部材に対して下側から当接するカム部材を回転させて支持部材を上下動させる機構、又は、支持部材と連結するクランク機構を駆動して支持部材を上下動させる機構等を備える必要がある。それ故、第一機構の構成は複雑化する。本例では、アーム部材70の回転に連動して、アーム部材70に取り付けられた回転部材81が回転しながら上下動する構成となっているので、機構の簡易化が実現できる。よって、演出装置30は、可動装飾体55を変位させる機構を簡易化できる。
支持部材82は軸受部材84によって支持される。軸受部材84は開口部76に対して、開口部76の長手方向に相対移動可能に嵌る。これにより、アーム部材70の回転に伴い、回転部80は開口部76に沿ってスムーズに変位できる。故に、演出装置30は可動装飾体55の変位をスムーズにできる。
アーム部材70の右端部75は、前方から回転部材81と対向する。これにより、回転部80の前方への変位が規制される。従って、アーム部材70が回転する場合において、回転部80がアーム部材70から脱落することはない。つまり、回転部材81が歯部92,112と噛み合わなくなることはない。よって、演出装置30は、回転部材81の上下方向の直線移動を安定化できる。故に、演出装置30は、可動装飾体55を安定した状態で上下動できる。
開口部76は、アーム部材70の右端部75を前後方向に貫通する。これにより、軸受部材84の筒状部84Aは、開口部76に、前方および後方のいずれの方向からでも挿入できる。よって、軸受部材84のアーム部材70に対する組付性を向上できる。本例では、アーム部材70が動作部材66の前方に設けられるので、筒状部84Aは、開口部76に前方から挿入された方が組み付け易い。筒状部84Aが開口部76に前方から挿入されて、さらに回転部材81の前面と当接する位置にて、軸受部材84はアーム部材70に組み付けられる。
アーム部材70の回転に伴い、回転部80は軸線Cを中心に回転する。鍔部84Cと右端部75とは、間隔を空けて対向するので互いに接触しにくい。従って、回転部80が回転する場合の、軸受部材84と開口部76の間で生じる摩擦力は、低減する。よって、回転部80は回転し易い。また、鍔部84Cが右端部75と対向することによって、回転部80は後方への変位が規制される。これにより、アーム部材70が回転する場合において、回転部80がアーム部材70から脱落することはない。つまり、回転部材81が歯部92,112と噛み合わなくなることはない。よって、演出装置30は、回転部材81の変位を安定化できる。故に、演出装置30は、可動装飾体55を安定した状態で上下動できる。
付勢部材101は、移動部材110を上方に付勢することで、移動部材110の上方への移動を補助する。これにより、演出装置30は可動装飾体55を上方に移動させ易い。従って、回転駆動するモータ62に加わる負荷は、低減する。また、可動装飾体55が下方に移動する場合、移動部材110は付勢部材101の付勢力に抗って下方に移動する必要がある。しかしながら、移動部材110および可動装飾体55の自重が、移動部材110の下方への移動を補助するので、回転駆動するモータ62に加わる負荷は、低減する。つまり、可動装飾体55が上方および下方のいずれの方向に移動する場合であっても、演出装置30は、モータ62に加わる負荷を低減できる。よって、演出装置30は、可動装飾体55を上方および下方のいずれの方向に移動させる場合であっても、モータ62に加わる負荷を低減できる。
モータ62の回転駆動に伴って動作部材66が回転すると、ピン68が穴部73に沿って移動し、アーム部材70は回転する。従って、演出装置30は、モータ62の回転駆動に伴って動作部材66を回転させる機構を簡易化できる。
穴部73は、アーム部材70のアーム延設方向の略中央部に設けられる。つまり、穴部73は、アーム延設方向において、軸線B,Cの略中間位置に設けられる。穴部73が、アーム部材70の回転中心となる軸線Bに近接する場合と比べて、ピン68はアーム部材70を回転させ易い。従って、回転駆動するモータ62に加わる負荷は低減する。よって、移動部材110の上下動は安定化する。
アーム部材70は、正面視で、軸線B,Cの間を直線状に延びる略矩形状である。アーム部材70が軸線B,Cの間で前後方向に折れ曲がる形状である場合に比べ、演出装置30の前後方向の長さは短くなる。よって、演出装置30は小型化できる。また、アーム部材70が軸線B,Cの間で前後方向に折れ曲がる形状である場合に比べ、回転するアーム部材70が受ける負荷は低減する。さらに、開口部76が、アーム部材70のうち軸線Bから離間する方向の端部である右端部75に設けられるので、回転部材81の直線移動量と回転移動量は、いずれも大きくなる。よって、演出装置30は、可動装飾体55の変位量を大きくできる。
歯部92,112、回転部材81、および動作部材66は、いずれも、右端部75に対して後側に設けられる。これにより、演出装置30の前後方向の長さが短くなる。よって、演出装置30を小型化できる。
上記実施形態において、パチンコ機1は本発明の「遊技機」の一例である。可動装飾体55は本発明の「装飾体」の一例である。歯部92は本発明の「第一歯部」の一例である。歯部112は本発明の「第二歯部」の一例である。右端部75は本発明の「連結部位」の一例である。アーム部材70は本発明の「作動部材」の一例である。筒孔84Bは本発明の「挿入穴」の一例である。軸線Cは本発明の「第一軸線」の一例である。軸線Bは本発明の「第二軸線」の一例である。前側は本発明の「一方側」の一例である。上下方向は本発明の「第一所定方向」の一例である。前後方向は本発明の「第二所定方向」の一例である。左右方向は本発明の「対向する方向」の一例である。アーム延設方向は本発明の「第三所定方向」の一例である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。演出装置30は、可動装飾体55を、上下方向に代えて左右方向又は前後方向に直線移動させる構成であってもよいし、例えば、正面視で上下方向および左右方向に対して傾斜する方向に、可動装飾体55を直線移動させる構成であってもよい。
可動装飾体55は直線移動することに限定されない。可動装飾体55は、例えば、支持部材60の右上方に、設けられた腕部材(図示外)に設けられてもよい。例えば、腕部材は、前後方向に延びる軸線(図示外)を中心に回転可能であり、移動部材110の上端部と連結する。この場合、モータ62の回転駆動に伴い、可動装飾体55は腕部材と共に回転移動する。
アーム部材70は、正面視で軸線B,Cの間で直線状に延びる矩形状であることに限定されない。例えば、アーム部材70は、正面視で、軸線Bから右方に延び、さらに後方に折れ曲がる形状であってもよい。この場合、歯部92,112は、左右方向に代えて前後方向に間隔を空けて対向し、回転部80の軸線Cは、前後方向に代えて左右方向に延びる。
アーム部材70は、開口部76を備えなくてもよい。例えば、右端部75と回転部80は、スライドレール(図示外)を介して、互いに連結してもよい。この場合、例えば、スライドレールの固定レール(図示外)が右端部75に固定され、スライドレールの可動レールが回転部80に固定される。回転部80の可動レールが、右端部75の固定レールに対して、アーム延設方向に移動可能に連結する。これにより、アーム部材70の回転に伴って、回転部80は、右端部75に対して相対移動する。
動作部材66は、モータ62の回転駆動に伴って、軸線Aを中心に回転する代わりに、例えば上下動してもよい。この場合であっても、動作部材66の上下動に伴って、動作部材66に網けられたピン68が、穴部73の長手方向に沿って移動することで、アーム部材70は回転する。また、穴部73が動作部材66に設けられ、ピン68がアーム部材70に設けられてもよい。
穴部73は、アーム部材70のアーム延設方向の中央部に代えて、筒状部71に近接する位置、又は、右端部75に近接する位置に設けられてもよい。例えば穴部73が右端部75に近接する位置に設けられる場合、ピン68がアーム部材70を回転させるためにモータ62が要する駆動力は、更に低減する。
回転部80は、締結部材85を備えることに限定されない。例えば、軸受部材84の前方で、支持部材82の延設部82Aに止め輪を取り付ければ、締結部材85は不要となる。この場合、アーム部材70が回転する場合に、支持部材82及び回転部材81が一体的に、軸受部材84とは独立して回転してもよい。
開口部76の長手方向は、アーム部材70のアーム延設方向と平行ではなく、アーム延設方向と交差してもよい。この場合、回転部80が右端部75に対して相対移動する方向は、アーム延設方向とは異なる方向となる。
また、請求項、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、図柄表示装置、大入賞装置、始動入賞口等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。 従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「演出装置」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。
更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
<備考>
以下、本開示の作用効果を例示する。下記の構成に注記したカッコ書きは、対応する本開示の構成を例示する。
装飾体(可動装飾体55)を変位させる演出装置(演出装置30)であって、第一所定方向(上下方向)に直線状に延びる第一歯部(歯部92)を有し、所定の位置で固定される固定部材(固定部材90)と、前記第一歯部と間隔を空けて対向する位置で前記第一所定方向に直線状に延びる第二歯部(歯部112)を有し、前記第一所定方向の直線移動に伴い前記装飾体を変位させる移動部材(移動部材110)と、前記第一歯部と前記第二歯部が対向する方向(左右方向)と、前記第一所定方向との夫々と直交する第二所定方向(前後方向)に延びる第一軸線(軸線C)を中心に回転する部材であって、回転方向に延び、且つ前記第一歯部と前記第二歯部に噛み合う噛合部(81A)を有する回転部材(回転部材81)と、前記回転部材を支持する支持部材(支持部材82)と、前記支持部材に対して、前記第一所定方向と前記第二所定方向の夫々と交差する第三所定方向(アーム延設方向)に相対移動可能に連結する部位である連結部位(右端部75)を有し、前記第一軸線とは異なる第二軸線(軸線B)を中心に回転する作動部材(アーム部材70)とを備えた演出装置。
上記構成によれば、作動部材が第二軸線を中心に回転すると、回転部材は、第一軸線を中心に回転しながら、第一所定方向に直線移動する。移動部材の直線移動量は、回転部材の直線移動量と回転部材の回転移動量とを合計した移動量になる。よって、装飾体の変位量が大きくできる演出装置が実現される。尚、本発明の「作動部材」は「第一作動部材」に置換可能である。
前記作動部材は、前記連結部位に設けられ、前記第三所定方向に長い開口部(開口部76)を備え、前記支持部材は、前記開口部に対して、前記第三所定方向に相対移動可能に挿入されてもよい。この場合、作動部材が回転すると、支持部材が開口部に対して相対移動し、回転部材は回転しながら直線移動する。作動部材の回転に伴って回転部材が回転しながら直線移動する構造は、開口部に支持部材が相対移動可能に挿入される構造によって実現される。よって、演出装置は、装飾体を変位させる機構を簡易化できる。
前記第二所定方向に延びる筒状部(筒状部84A)を有する軸受部材(軸受部材84)を備え、前記筒状部は、前記支持部材が挿入される挿入穴(筒孔84B)が内側に形成され、前記開口部に対して前記第三所定方向に相対移動可能に嵌ってもよい。この場合、開口部に軸受部材が嵌ることによって、支持部材が開口部に対して相対移動する動きが滑らかになる。よって、演出装置は、回転部材の変位をスムーズにできる。
前記連結部位は、前記回転部材に対して、前記第二所定方向の一方側(前側)から対向してもよい。この場合、連結部位によって、回転部材は、一方側への変位が規制される。よって、演出装置は、回転部材の第一所定方向の直線移動を安定化できる。
前記開口部は、前記連結部位を前記第二所定方向に貫通してもよい。この場合、軸受部材は開口部に挿入し易くなる。よって、軸受部材の作動部材に対する組付性を向上できる。
前記支持部材を前記軸受部材に締結させる締結部材(締結部材85)を備え、前記筒状部は、前記開口部に対して回転可能に嵌り、前記軸受部材は、前記筒状部の前記回転部材とは反対側の端部に設けられると共に、前記反対側から前記連結部位と間隔を空けて対向する鍔部(鍔部84C)を備え、前記回転部材は、前記第二所定方向を向く孔部(孔部81B)を備え、前記支持部材は、前記第二所定方向に延び、前記孔部に差し込まれ且つ前記挿入穴に挿入され、一端部が前記第二所定方向において前記鍔部と略同じ位置にある延設部(延設部82A)と、前記延設部の前記一端部に設けられ、前記反対側を向く締結穴(締結穴82B)とを備え、前記締結部材は、前記締結穴に締結される軸部(軸部85A)と、前記軸部に設けられ、前記反対側から前記鍔部を押圧する頭部(頭部85B)とを備えてもよい。この場合、作動部材の回転に伴い、回転部材、支持部材、軸受部材、及び締結部材は、一体的に回転する。鍔部が連結部と間隔を空けて対向するので、回転部材は回転し易い。また、回転部材は、鍔部から連結部位に向かう方向への移動が規制される。よって、演出装置は、回転部材の変位を安定化できる。
前記移動部材を前記第一所定方向のうち第一方向に付勢する付勢手段(付勢部材101)を備え、前記第一所定方向は上下方向であり、前記第一方向は上方向であってもよい。この場合、付勢手段は、移動部材の上方向への移動を補助するので、演出装置は装飾体を変位させ易い。
駆動する駆動手段(モータ62)と、前記駆動手段の駆動に伴って、前記第一軸線及び前記第二軸線とは異なる第三軸線(軸線A)を中心に回転する第二作動部材(動作部材66)と、前記作動部材と前記第二作動部材のいずれか一方に設けられ、前記第三軸線と交差する方向(アーム延設方向)に長い穴部(穴部73)と、前記作動部材と前記第二作動部材のいずれか他方に設けられ、前記穴部に対して、前記穴部の長手方向に相対移動可能に挿入される挿通部(ピン68)とを備えてもよい。この場合、駆動手段の駆動に伴って第二作動部材が回転する。これにより、作動部材は回転する。演出装置は、駆動手段の駆動に伴って作動部材を回転させる機構を簡易化できる。
前記穴部は、前記第三所定方向において、前記第一軸線と、前記第二軸線との略中間位置に配置されてもよい。この場合、穴部が、第二軸線に近接する場合と比べ、作動部材は第二作動部材を回転させ易い。
前記作動部材は、前記第二軸線と前記第一軸線の間を直線状に延び、前記連結部位は、前記第二軸線から離間する方向の端部であってもよい。この場合、作動部材が直線状に延びることによって、演出装置は装飾体を変位させる機構を小型化できる。また、作動部材が直線状であることで、回転する作動部材に加わる負荷は低減する。また、連結部位が第二軸線から離間する方向の端部であることで、回転部材の直線移動量と回転移動量は、いずれも増加する。よって、演出装置は、装飾体の変位量を増加させることができる。
前記第一歯部、前記第二歯部、前記回転部材、及び前記第二作動部材は、いずれも、前記連結部位に対して、前記第二所定方向のうち特定方向(後方向)の側に設けられてもよい。この場合、演出装置の第二所定方向の長さが短くなるので、演出装置を小型化できる。
上記演出装置を備えた遊技機(パチンコ機1)。この場合、遊技機は上記演出装置と同様の効果を奏する。