JP2020005591A - 魚介類加工品の製造方法及び魚介類の処理方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、それら輸入される魚介類の中には、風味の面で課題のあるものもあり、さらなる品位の向上が求められている。
(1)魚介類加工品の製造方法であって、
カルシウム含有組成物が分散した分散液に魚介類を浸漬する浸漬工程と、
前記浸漬後の魚介類を洗浄する洗浄工程を有する、
魚介類加工品の製造方法、
(2)前記分散液中に分散したカルシウム含有組成物の割合が3%以上50%以下である、(1)に記載の魚介類加工品の製造方法、
(3)前記分散液に魚介類を浸漬する時間が20分以上である、(1)又は(2)に記載の魚介類加工品の製造方法、
(4)前記カルシウム含有組成物に含まれるカルシウム含量が20%以上である、(1)乃至(3)のいずれかに記載の魚介類加工品の製造方法、
(5)前記カルシウム含有組成物が卵殻粉末又は貝殻粉末である、(1)乃至(4)のいずれかに記載の魚介類加工品の製造方法、
(6)前記魚類が淡水魚である、(1)乃至(5)のいずれかに記載の魚介類加工品の製造方法、
(7)魚介類の処理方法であって、
カルシウム含有組成物が分散した分散液に魚介類を浸漬する浸漬工程と、
前記浸漬後の魚介類を洗浄する洗浄工程を有する、
魚介類の処理方法、
である。
本発明の魚介類は、加熱処理をしていない生の状態のものであり、後述の浸漬工程を行う前のものであればいずれのものでもよい。魚介類の種類としては、一般的な魚介類と称されるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、サバ、サケ、ニシン、サンマ、アジ、マグロ、タラ、ウナギ、車エビ、バナメイエビ、ホタテガイ、カキ等が挙げられる。特に、風味に課題の多い淡水魚がよく、中でもバサが好ましい。
また、魚介類の形状としては、例えば、ラウンド、セミドレス、ドレス、パンドレス、フィレー、切り身、落とし身、むき身等が挙げられる。特に、本発明の効果が現れ易いことから、本発明は、皮付きの魚介類のフィレー、切り身及びむき身に好適である。
本発明の魚介類加工品は、前記魚介類に対し、少なくとも後述の浸漬工程及び洗浄工程を行ったものを指す。また、浸漬工程及び洗浄工程以外にも一般的な加工処理を適宜行うこともでき、例えば、加熱処理、冷凍処理、裁断処理、調味処理等が挙げられる。
本発明のカルシウム含有組成物は、カルシウムを主成分とする粉末状の物質であれば特に限定しないが、後述の分散液を調製しやすいことから、水への溶解性の低いものであるとよく、例えば炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム等のカルシウム製剤や、それらを主成分とする卵殻、貝殻、鉱物等を粉砕して粉末状にした物等が挙げられる。中でも魚介類の風味を向上させやすく、分散液の取扱いが容易であることから、卵殻又は貝殻の粉末がよく、特に卵殻粉末がよく、未焼成卵殻粉末がよりよい。
前記カルシウム含有組成物の大きさは特に限定しないが、分散液中で分散しやすく本発明の効果を奏しやすいことから、平均粒子径が100μm以下であるとよく、30μm以下であるとよりよい。下限値は特に限定しないが、通常1μm以上とすることができる。
なお、平均粒子径の値は、島津製作所製、レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2000Aを用いて測定したメディアン径である。
カルシウム含有組成物が魚介類の風味を向上させる理由は明らかでないが、魚介類に含まれる良好な風味を阻害する成分を、カルシウム含有組成物が吸着することや、魚介類に含まれる成分とカルシウム含有組成物との反応により生成した成分が風味の向上に影響していること等が考えられる。
本発明における分散液は、液体中に前記カルシウム含有組成物を添加したものであり、カルシウム含有組成物の全部又は一部が液体に溶解せずに存在しているものである。前記分散液に用いる液体としては、清水、出汁、醤油、酒等が挙げられるが、魚介類本来の風味を損なわない点で、清水が好ましい。
また、前記分散液には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を配合することができる。このような成分としては、食塩、砂糖、アミノ酸等が挙げられる。
なお、前記カルシウム含有組成物の含有量は、分散液中に溶解せずに存在するカルシウム含有組成物の含有量を指し、液体中に浮遊しているものに限らず、沈殿しているものも含む。
本発明は、前記分散液に魚介類を浸漬する浸漬工程を有する。浸漬の方法は、特に制限はなく、一般的な浸漬処理で採用されている方法により行うことができる。このような方法としては、例えば、魚介類が配置されたバットに前記分散液を流し入れ浸す方法や、袋に分散液と魚介類を入れ、密封し、静置する方法等が挙げられる。
また、魚介類に対する分散液の割合は、魚介類が分散液の液面で隠れる程度で良いが、本発明の効果をより奏しやすいことから、魚介類1部に対して分散液2部以上であるとよく、さらに3部以上であるとよい。上限値は特に限定していないが、経済性の観点から、50部以下であるとよく、さらに30部以下であるとよりよい。
本発明は、前記分散液から魚介類を取り出し、魚介類に付着した分散液を除去する洗浄工程を有する。洗浄する方法は、特に制限はなく、分散液を流し捨て、水で洗い流す等の一般的な方法により行うことができる。
清水485gに炭酸カルシウムを主成分とする未焼成の卵殻粉末(平均粒子径8μm、カルシウム38%)15gを添加し、分散液500g(卵殻粉末の含有量3%)を調製した。ついでバサの皮付きの切り身125gを、前記分散液を入れた袋に投入し、浸漬した後、袋を密封し60分間静置した。静置後、袋からバサを取り出し、バサに付着した分散液を清水で洗い流して、実施例1の魚介類加工品を調製した。魚介類1部に対する分散液の割合は4部であった。
分散液に含まれる卵殻粉末の割合を5%になるように添加量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例2の魚介類加工品を調製した。
分散液に含まれる卵殻粉末の割合を10%になるように添加量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例3の魚介類加工品を調製した。
分散液に含まれる卵殻粉末の割合を20%になるように添加量を変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例4の魚介類加工品を調製した。
清水に卵殻粉末を添加しない以外は実施例1と同様の方法で、比較例1の魚介類加工品を調製した。
分散液への浸漬時間を20分に変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例5の魚介類加工品を調製した。
分散液への浸漬時間を120分に変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例6の魚介類加工品を調製した。
分散液に含まれるカルシウム含有組成物の割合及び浸漬時間が魚介類の風味に与える影響を検討するため、実施例1〜6、比較例1の方法で処理した魚介類加工品を耐熱性の袋に入れて真空包装した後、沸騰したお湯で15分ボイルした。得られたボイル後の魚介類加工品を試食し、下記基準で評価した。
○:比較例1よりも魚介の風味に優れている。
△:比較例1よりも魚介の風味にやや優れている。
×:比較例1と同等の風味である。
卵殻粉末を炭酸カルシウムを主成分とする未焼成のホタテ貝殻粉末(カルシウム38%)に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で、実施例7の魚介類加工を調製した
卵殻粉末を炭酸カルシウム製剤(カルシウム40%)に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で、実施例8の魚介類加工品を調製した。
卵殻粉末を二酸化ケイ素を主成分とする珪藻土に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で、比較例2の魚介類加工品を調製した。
カルシウム含有組成物の種類が魚介類の風味に与える影響を検討するため、実施例7及び8、比較例2で調製した魚介類加工品を試験例1と同じ方法でボイルし評価した。
バサと分散液の割合をバサ1部に対して分散液2部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例9の魚介類加工品を調製した。
バサと分散液の割合をバサ1部に対して分散液10部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例10の魚介類加工品を調製した。
卵殻粉末を水酸化カルシウムを主成分とする焼成ホタテ貝殻粉末(カルシウム55%)に置き換えた以外は実施例1と同様の方法で、実施例11の魚介類加工品を調製した。
バサをタラに変更した以外は実施例1と同様の方法で、実施例12の魚介類加工品を調製した。
Claims (7)
- 魚介類加工品の製造方法であって、
カルシウム含有組成物が分散した分散液に魚介類を浸漬する浸漬工程と、
前記浸漬後の魚介類を洗浄する洗浄工程を有する、
魚介類加工品の製造方法。 - 前記分散液中に分散したカルシウム含有組成物の割合が3%以上50%以下である、
請求項1に記載の魚介類加工品の製造方法。 - 前記分散液に魚介類を浸漬する時間が20分以上である、
請求項1又は2に記載の魚介類加工品の製造方法。 - 前記カルシウム含有組成物に含まれるカルシウム含量が20%以上である、
請求項1乃至3のいずれかに記載の魚介類加工品の製造方法。 - 前記カルシウム含有組成物が卵殻粉末又は貝殻粉末である、
請求項1乃至4のいずれかに記載の魚介類加工品の製造方法。 - 前記魚介類が淡水魚である、
請求項1乃至5のいずれかに記載の魚介類加工品の製造方法。 - 魚介類の処理方法であって、
カルシウム含有組成物が分散した分散液に魚介類を浸漬する浸漬工程と、
前記浸漬後の魚介類を洗浄する洗浄工程を有する、
魚介類の処理方法。
Priority Applications (1)
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JP2018130935A JP2020005591A (ja) | 2018-07-10 | 2018-07-10 | 魚介類加工品の製造方法及び魚介類の処理方法 |
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JP2018130935A JP2020005591A (ja) | 2018-07-10 | 2018-07-10 | 魚介類加工品の製造方法及び魚介類の処理方法 |
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003301144A (ja) * | 2002-04-10 | 2003-10-21 | Keiji Yoshimura | 水生動物由来の無臭化コラーゲン・ゼラチン等を得る原料皮の製造法 |
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2018
- 2018-07-10 JP JP2018130935A patent/JP2020005591A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
"海からの贈り物 | 沖縄サンゴの恵みを形にする | マリーンバイオ株式会社", WAYBACK MACHINE ARCHIVE, JPN6022007089, 6 October 2017 (2017-10-06), ISSN: 0004710313 * |
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