JP2020005551A - 減塩カレーソース - Google Patents

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【課題】本発明は、減塩であってもコクがあり、かつ塩味と甘味のバランスも良いカレーソースを提供することを目的としている。【解決手段】本発明は、具材を含まない状態で、食塩相当量が、1.1g/100g未満であり、かつ果糖、ブドウ糖、及びショ糖の総量が、4.0g/100g未満である減塩カレーソースに関しており、デキストリン、食物繊維、低粘性澱粉、及び低粘性加工澱粉からなる群から選択される1種以上の多糖類を含むことを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、減塩カレーソースに関しており、特に減塩であってもコクがあり、かつ塩味と甘味のバランスも良い減塩カレーソースに関する。
健康志向の高まりを受けて、生活習慣病の一因となり得る食塩の摂取量を減らすことが望まれているが、食塩含有量の低い減塩食品では、食品本来の風味が損なわれがちである。満足のいく美味しさを有する減塩食品はあまり知られていないが、特許文献1には、ジメチルプロピルピラジンを添加することにより減塩食品の呈味を増強することが記載されている。
また、特許文献2には、デキストリンを含むレトルトカレーが記載されているが、この文献には、減塩食品については記載されていない。実際に、特許文献2の実施例に記載のレトルトカレーに配合されている食塩及び調味料の量から推測される全体の食塩相当量は、およそ1.5g/100g程度又はそれ以上になると考えられ、これは減塩でない通常のカレーソースの食塩相当量レベルである。
特開2017−121236号公報 特開2012−217341号公報
従来のカレーソース中の食塩の量を単純に減らして減塩カレーソースを作製すると、甘みが強調されてカレーソースが甘ったるくなってしまう。食塩だけでなく砂糖の量も減らすと、今度は全体の味が薄くなり、カレーソースが水っぽくなってしまう。そこで、本発明は、減塩であってもコクがあり、かつ塩味と甘味のバランスも良いカレーソースを提供することを目的としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、食塩相当量及び糖類の総量が少ない減塩カレーソースであっても、デキストリン、食物繊維、低粘性澱粉、及び低粘性加工澱粉からなる群から選択される1種以上の多糖類を配合することで、当該減塩カレーソースのコクを増強し、かつ塩味と甘味のバランスも向上することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示す減塩カレーソース及び減塩カレーソースのコクを高める方法を提供するものである。
〔1〕具材を含まない状態で、食塩相当量が、1.1g/100g未満であり、かつ果糖、ブドウ糖、及びショ糖の総量が、4.0g/100g未満である減塩カレーソースであって、
デキストリン、食物繊維、低粘性澱粉、及び低粘性加工澱粉からなる群から選択される1種以上の多糖類を含むことを特徴とする、減塩カレーソース。
〔2〕前記多糖類を、具材を含まない状態の前記減塩カレーソースに対して0.13質量%以上含む、前記〔1〕に記載の減塩カレーソース。
〔3〕前記多糖類が、デキストリンである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の減塩カレーソース。
〔4〕前記デキストリンのデキストロース当量値(DE値)が、5以上25未満である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の減塩カレーソース。
〔5〕具材を含まない状態で、食塩相当量が、1.1g/100g未満であり、かつ果糖、ブドウ糖、及びショ糖の総量が、4.0g/100g未満である減塩カレーソースのコクを高める方法であって、
デキストリン、食物繊維、低粘性澱粉、及び低粘性加工澱粉からなる群から選択される1種以上の多糖類を添加する工程を含むことを特徴とする、方法。
本発明に従えば、デキストリン、食物繊維、低粘性澱粉、及び低粘性加工澱粉からなる群から選択される1種以上の多糖類を配合することにより、減塩カレーソースのコクを増強し、かつ塩味と甘味のバランスも向上することができる。したがって、減塩であってもコクがあり、かつ塩味と甘味のバランスも良いカレーソースを提供することが可能となる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、食塩相当量及び糖類(果糖、ブドウ糖、及びショ糖)の総量が少ない減塩カレーソースに関するものである。本明細書に記載の「減塩カレーソース」とは、通常のカレーソースと比較して食塩相当量が低減されているカレーソースのことをいう。本発明の減塩カレーソースでは、食塩相当量が、具材を含まない状態の前記減塩カレーソースに対して約1.1g/100g未満であり、ある場合には約1.0g/100g以下であり、またある場合には約0.3〜約0.8g/100gであってもよい。本明細書に記載の「食塩相当量」とは、食品100gあたりに含まれているナトリウム量から計算される食塩の量のことをいい、誘導結合プラズマ発光分析法又は原子吸光光度法などで定量した食品中のナトリウム含量に基づき、次の計算式:
食塩相当量(g/100g)=食品中のナトリウム含量(mg/100g)×2.54/1000
によって計算される。例えば、食品100g中のナトリウム量が100mgであれば、食塩相当量は0.254g/100g(=100×2.54÷1000)と計算される。
本発明の減塩カレーソースにおいては、糖類(果糖、ブドウ糖、及びショ糖)の総量が、具材を含まない状態の前記減塩カレーソースに対して約4.0g/100g未満であり、ある場合には約1.0〜約3.5g/100gであってもよい。前記減塩カレーソース中の食塩の量に合わせて前記糖類の総量を調節することで、前記減塩カレーソースの塩味と甘味とのバランスを調整することができる。カレーソース中の各糖類の量は、高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)によって測定することができる。
本発明の減塩カレーソースは、デキストリン、食物繊維、低粘性澱粉、及び低粘性加工澱粉からなる群から選択される1種以上の多糖類を含む。特定の理論に拘束されるものではないが、これらの多糖類は低粘性であるので、前記減塩カレーソース中の可溶性固形分を増加させてコクを高めつつも、当該ソースの粘度上昇を最小限に抑えることができ、それによって、当該ソースの塩味や香りの感じやすさを維持し、味にメリハリをつけ、かつ良好な口当たりを保つことができると考えられる。前記減塩カレーソースにおける前記多糖類の配合量は、特に限定されないが、例えば、具材を含まない状態の前記減塩カレーソースに対して約0.13質量%以上であってもよく、好ましくは約0.6質量%以上であり、より好ましくは約1.8〜17質量%である。このような範囲で前記多糖類が含まれていると、前記減塩カレーソースのコクをより強く感じることができる。
本明細書に記載の「デキストリン」とは、澱粉の加水分解で得られる低分子量の炭水化物のことをいう。前記デキストリンとしては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができる。前記デキストリンの原料である澱粉の由来は特に限定されず、例えば、タピオカ由来、馬鈴薯由来、トウモロコシ由来、小麦由来、米由来、甘藷由来、又は豆由来などであってもよい。また、前記デキストリンのデキストロース当量値(DE値)も、特に限定されず、例えば、約5以上約25未満であってもよく、好ましくは約8以上約22以下である。なお、本明細書に記載の「デキストロース当量値」とは、デキストロース(ブドウ糖)の還元力を100とした場合のデキストリンの還元力の相対的な指標であり、0に近いほど澱粉に近い特性を有し、100に近いほど澱粉の加水分解が進んでブドウ糖に近い特性を有する。
本明細書に記載の「食物繊維」とは、ヒトの消化酵素によって消化されない、食品原料として用いられ得る難消化性成分のことをいう。前記食物繊維としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができる。前記食物繊維は、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、ペクチン、及びβグルカンなどの水溶性食物繊維、又は、セルロース及びキトサンなどの不溶性食物繊維であってもよい。特に、前記水溶性食物繊維を前記減塩カレーソースに配合すると、当該ソースの口当たりがより滑らかなものとなる。
本明細書に記載の「低粘性澱粉」及び「低粘性加工澱粉」とは、それぞれ、水に分散し膨潤させても粘性を生じにくい澱粉又は加工澱粉のことをいう。例えば、前記低粘性澱粉又は前記低粘性加工澱粉を3質量%含む懸濁液は、95℃で1分間加熱後、60℃で回転式粘度計により測定された場合に、58mPa・s未満、好ましくは約30mPa・s以下、さらに好ましくは約10mPa・s以下の粘度を示し得る。前記低粘性澱粉又は前記低粘性加工澱粉としては、当技術分野で通常使用されるものを特に制限されることなく採用することができる。前記低粘性澱粉は、例えば、湿熱処理澱粉又は漂白澱粉などであってもよく、前記低粘性加工澱粉は、例えば、酸化澱粉などであってもよい。前記低粘性澱粉又は前記低粘性加工澱粉の原料である澱粉の由来は特に限定されず、例えば、タピオカ由来、馬鈴薯由来、トウモロコシ由来、小麦由来、米由来、甘藷由来、又は豆由来などであってもよい。
本発明の減塩カレーソースの製造方法は、特に制限されず、当技術分野で使用される任意の方法を採用することができる。また、本発明の減塩カレーソースは、本発明の目的を損なわない限り、当技術分野で通常使用される任意の食品原料又は任意の添加剤をさらに含んでもいいし、減塩食品の呈味を改善するのに有効な他の添加剤をさらに含んでもよい。
また別の態様では、本発明は、食塩相当量及び糖類(果糖、ブドウ糖、及びショ糖)の総量が少ない減塩カレーソースのコクを高める方法にも関しており、デキストリン、食物繊維、低粘性澱粉、及び低粘性加工澱粉からなる群から選択される1種以上の多糖類を添加する工程を含む。前記減塩カレーソースの食塩相当量は、具材を含まない状態で1.1g/100g未満である。前記減塩カレーソース中の、果糖、ブドウ糖、及びショ糖の総量は、4.0g/100g未満である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜7及び比較例1〜4〕
後掲の表1に記載の原料を使用して、常法によりカレーソースを作製した。すなわち、油脂及び小麦粉を加熱撹拌して小麦粉ルウを作製し、この小麦粉ルウに各種調味原料及び水、そして場合によってはデキストリン、酸化澱粉、水溶性食物繊維(難消化性デキストリン)、又はキサンタンガムを添加して加熱撹拌し、炊き上げソースを作製した。レトルトパウチに前記炊き上げソースと馬鈴薯、人参、及び牛肉を充填密閉し、120℃で25分間加圧加熱殺菌し、カレーソースを作製した。作製したカレーソース中の各原料の比率は、表1に示すとおりである。
Figure 2020005551
〔試験例〕
1.官能試験
実施例1〜7及び比較例1〜4のカレーソースを6名のパネルが喫食し、塩味、塩味と甘味のバランス、並びに味の厚み(コク)を以下の基準で評価した。結果を後掲の表2に示す。
[塩味]
◎:強く感じる(減塩されていない比較例1のカレーソース)
〇:やや強く感じる
△:やや弱く感じる
×:弱く感じる(食塩を減らしただけの比較例2のカレーソース)
[塩味と甘味のバランス]
◎:良い(減塩されていない比較例1のカレーソース)
〇:やや良い
△:やや悪い
×:悪い(食塩を減らしただけの比較例2のカレーソース)
[味の厚み(コク)]
◎:強く感じる(減塩されていない比較例1のカレーソース)
〇:やや強く感じる
△:やや弱く感じる
×:弱く感じる(食塩及び砂糖を減らした比較例3のカレーソース)
2.成分分析
上記カレーソースをザルで濾して馬鈴薯、人参、及び牛肉を取り除き、この具なしカレーソースの食塩相当量を誘導結合プラズマ発光分析法によって測定した。また、当該具なしカレーソース中の果糖、ブドウ糖、及びショ糖の量を、高速液体クロマトグラフ法によって測定した。結果を表2に示す。
Figure 2020005551
減塩でないカレーソース(比較例1)中の食塩の量を単純に減らすと、塩味を感じず、甘みが強調されてカレーソースが甘ったるくなってしまった(比較例2)。また、食塩だけでなく砂糖の量も減らすと、相対的に塩味を感じられるようにはなったものの、全体の味が薄くなり、カレーソースが水っぽくなってしまった(比較例3)。これに対して、食塩及び砂糖の量を減らしつつ、デキストリン、食物繊維、又は酸化澱粉を配合すると、減塩されているにもかかわらず塩味を感じることができ、その塩味と甘味のバランスや味の厚み(コク)も、減塩でないカレーソースと同じくらい優れていた(実施例1〜7)。
以上より、デキストリン、食物繊維、低粘性澱粉、及び低粘性加工澱粉からなる群から選択される1種以上の多糖類を減塩カレーソースに配合することによって、当該減塩カレーソースのコクを増強し、かつ塩味と甘味のバランスも向上できることがわかった。したがって、減塩であってもコクがあり、かつ塩味と甘味のバランスも良いカレーソースを提供することが可能となる。

Claims (5)

  1. 具材を含まない状態で、食塩相当量が、1.1g/100g未満であり、かつ果糖、ブドウ糖、及びショ糖の総量が、4.0g/100g未満である減塩カレーソースであって、
    デキストリン、食物繊維、低粘性澱粉、及び低粘性加工澱粉からなる群から選択される1種以上の多糖類を含むことを特徴とする、減塩カレーソース。
  2. 前記多糖類を、具材を含まない状態の前記減塩カレーソースに対して0.13質量%以上含む、請求項1に記載の減塩カレーソース。
  3. 前記多糖類が、デキストリンである、請求項1又は2に記載の減塩カレーソース。
  4. 前記デキストリンのデキストロース当量値(DE値)が、5以上25未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の減塩カレーソース。
  5. 具材を含まない状態で、食塩相当量が、1.1g/100g未満であり、かつ果糖、ブドウ糖、及びショ糖の総量が、4.0g/100g未満である減塩カレーソースのコクを高める方法であって、
    デキストリン、食物繊維、低粘性澱粉、及び低粘性加工澱粉からなる群から選択される1種以上の多糖類を添加する工程を含むことを特徴とする、方法。
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