JP2020004944A - 磁気熱量効果素子およびその製造方法 - Google Patents

磁気熱量効果素子およびその製造方法 Download PDF

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Kazuya Yamashita
和也 山下
泰徳 新山
Yasunori Niiyama
泰徳 新山
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Abstract

【課題】磁気熱量効果が高い磁気熱量効果素子および製造方法を提供する。【解決手段】磁気熱量効果素子は、樹脂材料12rの中に、磁気熱量効果を発揮する複数の合金粒子を分散的に配置した素子片12を有する。複数の合金粒子は、合金粒子の磁気熱量効果を変化させる少なくともひとつの粒子パラメータが所定値を超える複数の標準粒子43を含む。複数の標準粒子は、素子片の中における所定の傾斜方向に沿って、傾斜方向の一端において多く、傾斜方向の他端において一端よりも少なくなるように配置されている。成形工程は、硬化前の樹脂材料の中において、合金粒子を移動させる移動工程を有する。成形工程は、移動工程の後に、樹脂材料を硬化させる硬化工程を含む。移動工程は、合金粒子の磁気熱量効果を変化させる少なくともひとつの粒子パラメータに応じて複数の合金粒子を移動させる。【選択図】図11

Description

この明細書における開示は、磁気熱量効果素子およびその製造方法に関する。
特許文献1は、磁気熱量効果素子の一例を開示する。さらに、特許文献2および特許文献3は、磁気熱量効果素子およびその製造方法を開示する。従来技術では、磁気熱量効果を示す合金粒子がバインダによって塊状に固着される。従来技術として列挙された先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
特開2017−194206号公報 特表2015−506090号公報 特開2014−95486号公報
従来技術では、複数の合金粒子の中に、形(外形および/または大きさを含む)が異なる粒子が混在する場合がある。さらに、合金粒子の形を揃えようとしても、合金粒子が割れるなど、微小粒子が不可避に生じる場合がある。合金粒子のひとつひとつに着目すると、合金粒子の形が磁気熱量効果の大きさ(磁気熱量的性能)に影響することが見出される。さらに、磁気熱量効果の大きさは、合金粒子に関する多様な粒子パラメータによって変化する。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、磁気熱量効果素子およびその製造方法にはさらなる改良が求められている。
開示されるひとつの目的は、磁気熱量効果が高い磁気熱量効果素子およびその製造方法を提供することである。
開示される他のひとつの目的は、高い熱伝達効果が得られる磁気熱量効果素子およびその製造方法を提供することである。
開示されるさらに他のひとつの目的は、磁気熱量的性能の低下が抑制された磁気熱量効果素子およびその製造方法を提供することである。
開示されるさらに他のひとつの目的は、錆が抑制された磁気熱量効果素子およびその製造方法を提供することである。
ここに開示された磁気熱量効果素子は、樹脂材料(12r)の中に、磁気熱量効果を発揮する複数の合金粒子(12p)を分散的に配置した素子片(12)を有する磁気熱量効果素子(3)において、複数の合金粒子は、合金粒子の磁気熱量効果を変化させる少なくともひとつの粒子パラメータが所定値を超える複数の標準粒子(43)を含み、複数の標準粒子は、素子片の中における所定の傾斜方向に沿って、傾斜方向の一端において多く、傾斜方向の他端において一端よりも少なくなるように配置されている。
開示される磁気熱量効果素子によると、複数の合金粒子が、磁気熱量効果を発揮する。磁気熱量効果素子は、複数の合金粒子と、樹脂材料との混合体である素子片として提供される。磁気熱量効果素子は、合金粒子に関する少なくともひとつの粒子パラメータを有する。粒子パラメータは、合金粒子の磁気熱量効果を変化させる。複数の合金粒子は、粒子パラメータが所定値を超える複数の標準粒子を含む。ここで、粒子パラメータが所定値を超える場合には、所定値を上回る場合と、所定値を下回る場合とが含まれる。複数の標準粒子は、素子片の中における所定の傾斜方向に沿って、傾斜方向の一端において多く、傾斜方向の他端において一端よりも少なくなるように配置されている。このような標準粒子の分布は、傾斜した分布と呼ばれる場合がある。標準粒子が、一端で多く、他端では少なく配置されることにより、素子片の中には、磁気熱量効果の傾斜が生み出される。磁気熱量効果の傾斜は、素子片の表面にあらわれる。この結果、傾斜方向の一端において、高い磁気熱量効果が得られる。
ここに開示された磁気熱量効果素子は、樹脂材料(12r)の中に、磁気熱量効果を発揮する複数の合金粒子(12p)を分散的に配置した素子片(12)を有する磁気熱量効果素子(3)において、合金粒子は、磁気熱量効果が所定値を上回る標準粒子(43)を含み、素子片は、熱を輸送する熱輸送媒体と熱交換する熱交換面(12v、12w)と、複数の標準粒子を含む第1領域(Rg1)と、第1領域より標準粒子が少ないか、標準粒子を含まない第2領域(Rg2)とを有し、第2領域における熱交換面(12w)はゼロであるか、または第2領域における熱交換面(12w)は第1領域における熱交換面(12v)より狭い。
開示される磁気熱量効果素子によると、複数の合金粒子が、磁気熱量効果を発揮する。磁気熱量効果素子は、複数の合金粒子と、樹脂材料との混合体である素子片として提供される。複数の合金粒子は、磁気熱量効果が所定値を上回る標準粒子を含む。素子片は、熱を輸送する熱輸送媒体と熱交換するための熱交換面を有する。素子片は、複数の標準粒子を含む第1領域を有する。さらに、素子片は、第1領域より標準素子が少ないか、標準粒子を含まない第2領域を有する。よって、第1領域で発揮される磁気熱量効果は、第2領域で発揮される磁気熱量効果より大きい。第2領域における熱交換面はゼロであるか、または第2領域における熱交換面は第1領域における熱交換面より狭い。言い換えると、第1領域における熱交換面は、第2領域における熱交換面より広い。この結果、第1領域で発揮される大きい磁気熱量効果を、第1領域において提供される広い熱交換面によって、入出力することができる。
ここに開示された磁気熱量効果素子の製造方法は、磁気熱量効果を発揮する複数の合金粒子(12p)と樹脂材料(12r)とを混合する混合工程(P6)と、混合工程により混合された混合体を素子片(12)の形状に成形する成形工程(P7)とを有し、成形工程は、硬化前の樹脂材料の中において、合金粒子を移動させる移動工程と、その後に、樹脂材料を硬化させる硬化工程とを含み、移動工程は、合金粒子の磁気熱量効果を変化させる少なくともひとつの粒子パラメータに応じて複数の合金粒子を移動させる磁気熱量効果素子の製造方法。
開示される磁気熱量効果素子の製造方法によると、複数の合金粒子と樹脂材料とが混合された後に、素子片として成形される。成形工程は、硬化前の樹脂材料の中において、合金粒子を移動させる移動工程と、その後に、樹脂材料を硬化させる硬化工程とを含む。移動工程において、複数の合金粒子は、硬化前の樹脂材料の中を運動し、素子片の中を移動する。移動は、重力、または磁力によって引き起こされる。硬化後は、複数の合金粒子は、移動不可能である。合金粒子は、合金粒子の磁気熱量効果を変化させる少なくともひとつの粒子パラメータを有している。移動工程は、粒子パラメータに応じた位置へ合金粒子を移動させる。この製造方法によると、粒子パラメータに応じた位置へ複数の合金粒子が配置された素子片が得られる。粒子パラメータは、磁気熱量効果を変化させるから、素子片の中において、磁気熱量効果の差を生成可能な素子片が提供される。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
第1実施形態の熱機器のブロック図である。 MCE素子を含む素子ベッドの断面図である。 MCE素子の一例を示す分解斜視図である。 中間のMCE素子を示す斜視図である。 中間のMCE素子を示す斜視図である。 端部のMCE素子を示す斜視図である。 典型的な合金粒子の一例を示す断面図である。 磁気熱量効果と粒径との関係を示すグラフである。 合金粒子の配置を示す断面図である。 傾斜分布と磁気熱量効果とを示すグラフである。 第1実施形態の製造方法を示す流れ図である。 移動工程の初期を示す断面図である。 移動工程の終期を示す断面図である。 第2実施形態の成形工程を示す断面図である。 製造方法における加工工程を示す断面図である。 第3実施形態の製造方法を示す流れ図である。 MCE素子を示す部分拡大断面図である。 MCE素子を示す斜視図である。 MCE素子を示す斜視図である。 第4実施形態のMCE素子を示す部分拡大断面図である。
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
図1は、この実施形態における熱機器1を模式的に示している。熱機器1は、磁気熱量効果型ヒートポンプ装置2を備える。磁気熱量効果型ヒートポンプ装置2はMHP(Magneto−caloric effect Heat Pump)装置2とも呼ばれる。MHP装置2は、熱磁気サイクル装置を提供する。この明細書においてヒートポンプ装置の語は広義の意味で使用される。すなわち、ヒートポンプ装置の語には、ヒートポンプ装置によって得られる冷熱を利用する装置と、ヒートポンプ装置によって得られる温熱を利用する装置との両方が含まれる。冷熱を利用する装置は、冷凍サイクル装置とも呼ばれることがある。よって、この明細書においてヒートポンプ装置の語は冷凍サイクル装置を包含する概念として使用される。
熱機器1は、MHP装置2の高温側に得られる高温と、MHP装置2の低温側に得られる低温との両方、またはいずれか一方を利用する。熱機器1の一例は、温度調節装置である。温度調節装置は、空調装置、または物品などの温度調節装置として利用される。空調装置の場合、建物の室、または乗り物の室の温度を調整する。熱機器1は、乗り物のための空調装置を提供することがある。乗り物のための空調装置は、乗り物の室の温度を調整する。乗り物の語は、広義に解釈されるべきであり、移動体としての車両、船舶、および飛行機を含む。また、乗り物は、アミューズメント機器、VR機器などの定置物を含む。
空調装置は、冷房装置および/または暖房装置として利用される。MHP装置2は、空調装置における冷熱供給源、または温熱供給源として利用される。MHP装置2は、除湿装置として利用されることもある。熱機器1は、暖房または冷房のための熱交換器を備えることができる。
MHP装置2は、磁気熱量効果素子3を備える。磁気熱量効果素子3は、MCE(Magneto−Caloric Effect)素子3とも呼ばれる。MHP装置2は、MCE素子3の磁気熱量効果を利用する。MHP装置2は、MCE素子3によって低温端と高温端とを生成する。MCE素子3は、低温端と高温端との間に設けられている。図示の例では、図中の左端が低温端3aであり、図中の右端が高温端3bである。
MCE素子3は、作業室を形成するハウジング3c内に、熱輸送媒体4と熱交換するように配置されている。MCE素子3は、ハウジング3cに固定され、保持されている。MCE素子3は、熱輸送媒体4の流れ方向に沿って配置されている。ハウジング3cは、MCE素子3と熱交換する熱輸送媒体4を流すための通路を区画形成する通路部材とも呼ばれる。ハウジング3cは、非磁性、かつ低熱伝導率の樹脂製部材である。MCE素子3とハウジング3cは、後述の素子ベッドを提供する。
MCE素子3は、複数のブロック3dを備えることができる。複数のブロック3dは、MCE素子3が提供する温度勾配に沿って配列されている。複数のブロック3dの直列構造は、カスケード接続と呼ばれている。複数のブロック3dは、磁気熱量効果を高効率で発揮する温度帯が異なる。複数のブロック3dは、低温端3aと高温端3bとの間における温度差を分担するように配置されている。以下の説明において、複数のブロック3dのそれぞれのMCE素子3と呼ばれる場合がある。
MCE素子3は、外部磁場の強弱の変化に応答して発熱と吸熱とを生じる。MCE素子3は、外部磁場の印加により発熱し、外部磁場の除去により吸熱する。MCE素子3は、外部磁場が印加されることによって電子スピンが磁場方向に揃うと、磁気エントロピーが減少し、熱を放出することによって温度が上昇する。また、MCE素子3は、外部磁場が除去されることによって電子スピンが乱雑になると、磁気エントロピーが増加し、熱を吸収することによって温度が低下する。MCE素子3は、常温域において高い磁気熱量効果を発揮する磁性体によって作られている。MCE素子3は、例えば、ランタン−鉄−シリコン化合物(LaFeSi)、またはガドリニウム系材料を用いることができる。また、マンガン、鉄、リンおよびゲルマニウムの混合物を用いることができる。MCE素子3には、外部磁場の印加により吸熱し、外部磁場の除去により発熱する素子を利用してもよい。
磁気熱量効果を測る指標として種々の物理量を用いることができる。磁気熱量効果の大きさは、例えば、磁気エントロピー変化(ΔS(J/kg))として図ることができる。磁気熱量効果の大きさは、例えば、磁場を変化させた際の等温エントロピー変化、または断熱温度変化によって示すことができる。また、素子片における部分的な磁気熱量効果は、素子片の中における合金材料の体積比率から算出、推定することができる。部分的な磁気熱量効果を推定する場合、合金粒子の形、重量、表面積が考慮される。合金粒子の形として、合金粒子の粒径を考慮することが望ましい。さらに、合金粒子の長軸および短軸のサイズ、縦横比が考慮されてもよい。
MHP装置2は、磁場変調装置(MGFM)5と熱輸送装置(THFM)6とを備える。磁場変調装置5と熱輸送装置6とは、MCE素子3をAMR(Active Magnetic Refrigeration)サイクルの素子として機能させる。AMRサイクルは、外部磁場の周期的な変動によりMCE素子3の吸熱と発熱とを繰り返すとともに、熱的な媒体により蓄熱と熱移動とを提供することにより、熱の移動を発生させる。磁場変調装置5と熱輸送装置6とは、磁場の増減と、熱輸送媒体の流れ方向とを同期させながら変化させる。MHP装置2は、動力源7を有する。MHP装置2は、動力源7によって機械的に駆動される。動力源7は、電動機、内燃機関など回転機器によって提供される。動力源7の一例は、車両に搭載された電池によって駆動される電動機である。
磁場変調装置5は、MCE素子3に印加される磁場を周期的に増減させる。磁場変調装置5は、動力源によって駆動される。磁場変調装置5は、MCE素子3に外部磁場を与えるとともに、その外部磁場の強さを増減させる。磁場変調装置5は、MCE素子3を強い磁界内に置く励磁状態と、MCE素子3を弱い磁界内またはゼロ磁界内に置く消磁状態とを周期的に切換える。磁場変調装置5は、MCE素子3が強い外部磁場の中に置かれる励磁期間、およびMCE素子3が励磁期間より弱い外部磁場の中に置かれる消磁期間を周期的に繰り返すように外部磁場を変調する。磁場変調装置5は、後述する熱輸送媒体4の往復的な流れに同期して、MCE素子3への磁場の印加と除去とを繰り返す。磁場変調装置5は、外部磁場を生成するための磁力源、例えば永久磁石、または電磁石を備える。
熱輸送装置6は、MCE素子3が放熱または吸熱する熱を輸送するための熱輸送媒体4と、この熱輸送媒体4を流すための流体機器とを備える。熱輸送装置6は、MCE素子3と熱交換する熱輸送媒体4をMCE素子3に沿って流す装置である。熱輸送装置6は、MCE素子3に沿って熱輸送媒体4の往復流を発生させる。熱輸送装置6は、磁場変調装置5による外部磁場の変化に同期して、熱輸送媒体4の往復的な流れを発生させる。熱輸送装置6は、磁場変調装置5による磁場の増減に同期して熱輸送媒体4の流れ方向を切換える。熱輸送媒体4は、不凍液、水、油などの流体または移動可能な固形の熱媒体によって提供することができる。熱輸送装置6は、動力源によって駆動される。
熱輸送装置6は、少なくともポンプを備える。熱輸送装置6は、熱輸送媒体4の流れ方向の反転を伴う往復形ポンプによって提供することができる。熱輸送装置6は、一方向ポンプと、熱輸送媒体4の流れ方向を切り替える切換弁機構とによって提供されてもよい。
MHP装置2は、低温系統8および高温系統9の少なくともひとつを備える。図示される実施形態において、MHP装置2は、低温系統8および高温系統9との両方を備える。低温系統8または高温系統9は、熱機器1として利用される低温熱源または高温熱源として利用される。低温系統8および高温系統9は、例えば、少なくとも熱交換器を含む場合がある。低温系統8および高温系統9は、熱輸送媒体4の一部を利用するためのポンプを含む場合がある。低温系統8および高温系統9は、熱輸送媒体4と熱交換する二次媒体系統を含む場合がある。
低温系統8は、低温端3aに得られる低温を利用する。低温系統8は、例えば、低温端3aに得られる低温によって、熱交換器において空気を冷却し、冷房を提供する。言い換えると、低温系統8は、低温端3aに得られる低温によって、熱交換器において外部から熱エネルギを吸収する。高温系統9は、高温端3bに得られる高温を利用する。高温系統9は、例えば、高温端3bに得られる高温によって、熱交換器において空気を加熱し、暖房を提供する。言い換えると、高温系統9は、高温端3bに得られる高温によって、熱交換器において外部へ熱エネルギを放出する。MHP装置2は、低温系統8または高温系統9を備えることなく構成することができる。
図2は、MCE素子3を含む素子ベッド11を示す。図中には、複数のブロック3dのうちのひとつのブロック3dにおける断面が図示されている。熱輸送媒体4の流れ方向は、紙面に対して垂直である。MCE素子3は、ハウジング3cと、このハウジング3c内に収容されたブロック3dとを有する。言い換えると、素子ベッド11は、ハウジング3cと、複数のブロック3dとを備える。ハウジング3cは、MCE素子3としての外形を提供するケース11aと、スペーサ11bとを備える。ケース11aおよびスペーサ11bは、非磁性の樹脂製である。ケース11aおよびスペーサ11bの熱伝導率は、熱の移動を阻止するために可能な限り低いことが望ましい。スペーサ11bは、ケース11aとブロック3dとの隙間を抑制するために配置されている。スペーサ11bは、図示されるブロック3dの上だけ、ブロック3dの下だけ、またはブロック3dの上下両方に設けることができる。さらに、スペーサ11bは、ブロック3dの側面に配置されてもよい。
ひとつのブロック3dは、複数の素子片12を有する。複数の素子片12は、素子ベッド11の中に配置されている。複数の素子片12は、積層的に配置されている。複数の素子片12は、熱輸送媒体4と直接的に、または間接的に熱交換する。
図3は、ひとつのブロック3dを示す分解斜視図である。複数の素子片12は、ブロック3dの中の一端および中間に配置される中間素子片12aを有する。複数の素子片12は、複数の中間素子片12aを有する。複数の素子片12は、ブロック3dの中の他端に配置される端素子片12bを有する。複数の素子片12は、ひとつの端素子片12bを有する。中間素子片12aと端素子片12bとは、同じ形状である。中間素子片12aと端素子片12bとは、ブロック3d内における位置、および熱輸送媒体4との接触状態の差によって特徴づけられている。
ひとつの素子片12は、扁平な板状である。ひとつの素子片12の基本形態は、6面体である。よって、ひとつの素子片12には、最も広い主要な2つの面12c、12dを見出すことができる。ひとつの素子片12は、熱輸送媒体4の通過を許容するための通路を有する。通路は、溝12eによって提供されている。溝12eは、素子片12の一端面と他端面とを連通するように延びている。溝12eは、面12cにおいて開放されている。溝12eは、開放溝である。この実施形態では、ひとつの素子片12は、複数の溝12eを有している。ひとつの素子片12は、ひとつの溝12eを有していてもよい。また、ひとつの素子片12は、溝12eを備えることなく、熱輸送媒体4と接していてもよい。熱輸送媒体4の通路は、例えば、複数の素子片12の間にスペーサを配置することによって形成されてもよい。以下、理解を容易にするために、一端の面12cを上面、他端の面12dを下面と呼ぶ。面12c、面12dは、上下、左右、または、前後に配置されてもよく、それらの呼び名によって配置が限定されるものではない。
図4は、素子片12の上面12cを示す斜視図である。中間素子片12aの上面12cと、端素子片12bの上面12cとは、同じである。中間素子片12aおよび端素子片12bは、上面12cに複数の溝12eを有する。この結果、素子片12は、複数の溝12eにおいて熱輸送媒体4と接触する。上面12cのうち、溝12eに面する面によって、熱交換面12vが提供される。言い換えると、熱交換面12vは、素子片12に形成された溝12eによって提供されている。一方、上面12cのうち、溝12eの間に残された面は、スペーサ11bまたは他の素子片と接触することにより、熱輸送媒体4と接触しない。複数の溝12eの間に残された面によって、非熱交換面12sが提供されている。
言い換えると、素子片12は、面12cにストライプ状の熱交換面12vを有する。素子片12は、面12cにストライプ状の非熱交換面12sを有する。上面12cにおいて、熱交換面12vは、非熱交換面12sより広い。
図5は、中間素子片12aの下面12dを示す斜視図である。中間素子片12aの下面12dは、他の素子片12の上面12cと接触している。下面12dのうち、他の素子片12の溝12eに面する面は、熱輸送媒体4と接触する。よって、下面12dのうち、他の素子片12の溝12eに面する面によって、熱交換面12wが提供される。下面12dのうち、他の素子片12と接触する面は、熱輸送媒体4と接触しない。よって、下面12dのうち、他の素子片12と接触する面によって、非熱交換面12tが提供されている。端素子片12bは、溝12eを持たない非熱交換面12tを有する。
言い換えると、素子片12は、面12dにストライプ状の熱交換面12wを有する。素子片12は、面12dにストライプ状の非熱交換面12tを有する。下面12dにおいて、熱交換面12wは、非熱交換面12tより狭い。下面12dにおいて、熱交換面12wは、非熱交換面12tと同じ面積を提供してもよい。下面12dにおいて、熱交換面12wは、非熱交換面12tより広くてもよい。
中間素子片12aは、主要な2つの面12c、12dの両方において熱輸送媒体4と接触する。上面12cにおける熱交換面12vは、下面12dにおける熱交換面12wより広い。よって、上面12cは、素子片12における主要な熱交換面を提供する。下面12dは、素子片12における補助的な熱交換面とも呼ばれる。
図6は、端素子片12bの下面12dを示す斜視図である。端素子片12bの下面12dは、ケース11aの内面と接触している。下面12dの全体は、熱輸送媒体4と接触しない。よって、下面12dの全体によって非熱交換面12uが提供されている。端素子片12bは、下面12dの全体がケース11aまたはスペーサ11bと接触するから、面12cだけにおいて熱輸送媒体4と接触する。
図7は、典型的な合金粒子12pの一例を示す。合金粒子12pは、長軸12fと、短軸12gとを有する。合金粒子12pは、長軸方向に長く、短軸方向に短い形状を有している。合金粒子12pの形状は、直方体、多角形柱、円柱、また楕円球と呼ばれることがある。
破線で示される粒径PSは、合金粒子12pを完全な球体と仮定した場合の直径に相当する。平均粒径は、複数の合金粒子の粒径の平均値を示している。粒径は、多様な手法によって計測することができる。粒径は、例えば、光(レーザ)回折散乱法によって計測される。さらに、粒径は、動的光散乱法、小角X線散乱法、画像解析法、または沈降法と呼ばれる手法によって計測されてもよい。
図8は、磁気熱量効果と粒径との関係を示すグラフである。縦軸は、磁気熱量効果の大きさを磁気エントロピー変化ΔS(J/kg)によって示している。横軸は、合金粒子12pの粒径PS(μm)を示している。合金粒子12pは、合金の組成に基づいて決定される標準値Tgの磁気熱量効果を発揮する。しかし、合金粒子12pの粒径PSが、磁気熱量効果に変化を与えることがある。合金粒子12pの粒径PSが小さくなると、磁気熱量効果が低下することがある。合金粒子12pの粒径PSが所定値PSLを下回ると、磁気熱量効果は下限値ULを下回る。よって、粒径PSが所定値PSLを上回る合金粒子12pを選別して、利用することが考えられる。粒径PSが所定値PSLを上回る範囲において、合金粒子12pが発揮する磁気熱量効果は、ほぼ変動することなく、標準値Tgである。
粒子パラメータのひとつである粒径PSが所定値PSLを超える合金粒子12pは、標準粒子43と呼ばれる。粒径PSが所定値PSLを上回る合金粒子12pは、標準粒子43と呼ばれる。同時に、標準粒子43は、磁気熱量効果が所定値である下限値ULを上回るから、高性能粒子とも呼ばれる。一方、粒径PSが所定値PSLを下回る合金粒子12pは、微小粒子45とも呼ばれる。同時に、微小粒子45は、磁気熱量効果が所定値である下限値ULを下回るから、低性能粒子とも呼ばれる。さらに、素子片12の中に含まれる複数の合金粒子12pには、不可避の微小粒子45が含まれることがある。複数の微小粒子45の粒子パラメータは、所定値を超えない。よって、微小粒子は、不可避粒子とも呼ばれる。
合金粒子12pの粒径は、合金粒子12pの磁気熱量効果を変化させる粒子パラメータのひとつである。粒径は、合金粒子12pの重量、表面積、または容積として把握されてもよい。よって、粒径、重量、表面積、または容積の少なくともひとつを粒子パラメータとして扱うことができる。さらに、素子片12の微小体積に含まれる複数の合金粒子12pの粒子パラメータの平均値を粒子パラメータとして扱ってもよい。例えば、平均粒径は、粒子パラメータとして扱うことができる。
ひとつの例では、合金粒子12pの粒径PSが60(μm)を下回ると、磁気熱量効果が低下する。合金粒子12pの粒径PSが30(μm)を下回ると、磁気熱量効果の低下は、無視できない水準に達する。この場合、所定値は、60(μm)または30(μm)である。この実施形態では、60(μm)が所定値である。
微小粒子45が与える悪影響は、図8からの読み取り、および比例的な配分を仮定して、以下のように試算することができる。試算で使用する複数の合金粒子12pは、中心粒径(D50)=54.18(μm)の粒径分布をもっている。試算で使用する複数の合金粒子12pは、0〜30(μm)の粒径範囲の存在割合が28(%)であり、30〜60(μm)の粒径範囲の存在割合が30(%)であり、60〜120(μm)の粒径範囲の存在割合が42(%)である。
図8から求められる磁気熱量効果ΔSは、0〜30(μm)の粒径範囲が12.2(J/kg)であり、30〜60(μm)の粒径範囲が16.8(J/kg)であり、60〜120(μm)の粒径範囲が17.9(J/kg)である。すべての合金粒子12pを素子片12の中にランダムに配置した場合、(12.2×0.28+16.8×0.3+17.9×0.42)/1=15.97(J/kg)の磁気熱量効果が期待される。一方、0〜30(μm)の粒径範囲を除去した場合、(16.8×0.3+17.9×0.42)/0.72=17.44(J/kg)の磁気熱量効果が期待される。よって、磁気熱量効果の低下をもたらす微小粒子45を減らすことで、素子片12が発揮する磁気熱量効果の向上が期待できる。
図9は、中間素子片12aの中における合金粒子12pの配置を示す。中間素子片12aに関する説明は、端素子片12bにも適用することができる。中間素子片12aを含む素子片12は、樹脂材料12rの中に、磁気熱量効果を発揮する複数の合金粒子12pを分散的に配置した成形体である。合金粒子12pの形状および大きさは、理解を容易にするために、モデル化され、やや誇張されている。素子片12は、一端面12cと他端面12dとの間の厚さ1000(μm)、溝12eの深さ800(μm)、幅50(μm)、溝間の間隔250(μm)である。素子片12は、長辺25(mm)、短辺6(mm)の長方形である。溝12eの幅は、50から100(μm)とすることができる。
第1領域Rg1は、一端面12cに隣接している。第2領域Rg2は、他端面12dに隣接している。第1領域Rg1は、中間素子片12aの厚さの1/2を占める。第2領域Rg2は、中間素子片12aの厚さの1/2を占める。
中間素子片12aは、磁気熱量効果を発揮する材料の多数の粒子が所定形状に成形された成形体である。中間素子片12aは、樹脂材料12rと、複数の合金粒子12pとを含む。複数の合金粒子12pは、複数の標準粒子43と、複数の微小粒子45とを含んでいる。複数の合金粒子12pは、中間素子片12aの中における傾斜方向SDに沿って分散して配置されている。傾斜方向SDは、素子片12の一端面12cと、一端面12cと反対の他端面12dとの間に延びている。傾斜方向SDは、一端面12cから他端面12dに向かう方向である。例えば、一本の傾斜方向SDの線を想定した場合に、当該線上に複数の合金粒子12pが存在する。
複数の合金粒子12pは、中間素子片12aの中における傾斜方向SDに沿って、配置されている。しかも、複数の標準粒子43は、傾斜方向SDの一端において多く、傾斜方向SDの他端において一端よりも少なくなるように配置されている。中間素子片12aは、熱を輸送する熱輸送媒体4と熱交換する熱交換面12vを有している。傾斜方向SDにおける一端が熱交換面12vである。このような標準粒子43の分布は、傾斜した分布と呼ばれる場合がある。複数の標準粒子43は、下面12dに近い領域より、主要な熱交換のための上面12cに近い領域において多く配置されている。複数の標準粒子43は、上面12cに近い領域より、下面12dに近い領域において少なく配置されている。複数の標準粒子43の多い、少ないは、それらの体積割合として把握することができる。複数の標準粒子43の多い、少ないは、それらの重量割合、または数として把握されてもよい。傾斜は、少なくとも2つの数値の差として把握することができる。2つの数値は、傾斜方向SDに離れた2つの点における数値、または傾斜方向SDに離れた2つの領域における平均値により与えることができる。傾斜は、連続的な推移、または段階的な推移として把握されてもよい。粒子パラメータが傾斜することにより、中間素子片12aの中には、磁気熱量効果の傾斜を生み出す。
微小粒子45は、傾斜方向の他端において多く配置されている。微小粒子45は、中間素子片12aの全体にほぼ均一に分散していてもよい。複数の合金粒子12pは、その平均粒径が傾斜方向SDに沿って変化するように、傾斜方向SDにおいて傾斜して分布している。
図10は、傾斜分布と磁気熱量効果とを示すグラフである。縦軸TH(mm)は、素子片12の厚さである。一端面12cから他端面12dにわたる範囲が図示されている。
(A)における横軸は、合金粒子12pが占める体積(Vol)を示す。第1領域Rg1は、複数の標準粒子43を含む。第2領域Rg2は、第1領域Rg1より標準粒子43が少ないか、標準粒子43を含まない。標準粒子43は、第2領域Rg2よりも第1領域Rg1において多い。標準粒子43は、第1領域Rg1よりも第2領域Rg2において少ない。言い換えると、標準粒子43は、素子片12の中に傾斜分布している。第1領域Rg1は、複数の微小粒子45を含む。第2領域Rg2は、第1領域Rg1より微小粒子45が多い。微小粒子45は、第1領域Rg1よりも第2領域Rg2において多い。微小粒子45は、第2領域Rg2よりも第1領域Rg1において少ない。言い換えると、微小粒子45は、素子片12の中に傾斜分布している。微小粒子45の分布の傾斜は、標準粒子43の分布の傾斜と逆である。微小粒子45の分布の傾斜は、標準粒子43の分布の傾斜より小さい。
(B)における横軸は、樹脂材料12rが占める体積(Vol)を示す。樹脂材料12rは、第1領域Rg1よりも第2領域Rg2において多い。樹脂材料12rは、第2領域Rg2よりも第1領域Rg1において少ない。言い換えると、樹脂材料12rは、素子片12の中に傾斜分布している。樹脂材料12rの分布の傾斜は、標準粒子43の分布の傾斜と逆である。
(C)における横軸は、磁気熱量効果を示している。第1領域Rg1における磁気熱量効果は、相対的に多い標準粒子43と、相対的に少ない微小粒子45とによって生み出される。第2領域Rg2における磁気熱量効果は、相対的に少ない標準粒子43と、相対的に多い微小粒子45とによって生み出される。微小粒子45が発生する磁気熱量効果は、標準粒子43が発生する磁気熱量効果より小さい。よって、素子片12は、一端面12cの近傍において、他端面12dの近傍より多くの磁気熱量効果を生み出している。さらに、一端面12cは、主要な熱交換面である。よって、複数の合金粒子12pによって生み出された磁気熱量効果は、一端面12cにおいて効率的に熱伝達される。
図9に戻り、中間素子片12aの第2領域Rg2における熱交換面12wは、第1領域Rg1における熱交換面12vより狭い。言い換えると、第1領域Rg1における熱交換面12vは、第2領域Rg2における熱交換面12wより広い。第1領域Rg1における熱交換面12vは、第1領域Rg1に形成された複数の溝12eによって提供されている。端素子片12bにおいては、第2領域Rg2における熱交換面12wはゼロ(0)であることが理解される。
図11は、磁気熱量効果素子の製造方法を示す。製造方法は、準備工程P1、熱処理工程P2、水素化工程P3、および粉砕工程P4を含む。準備工程P1では、合金粒子12pのための合金が製造される。準備工程P1は、電気炉31により磁気熱量効果を発揮する合金素材41を製造する。合金素材41は、溶融急冷法によって製造される。合金素材41は、例えば、鉄、シリコン、およびランタノイドを含む合金である。熱処理工程P2は、炉32内にアルゴン雰囲気を提供することにより、合金素材41を熱処理する。水素化工程P3は、炉33内に水素雰囲気を提供することにより、合金素材41を水素化する。粉砕工程P4は、水素化されて脆くなった合金素材41を粉砕粒子42に粉砕する。ここでは、乳鉢34による粉砕が例示されている。
製造方法は、分級工程P5を含む。分級工程P5は、粉砕粒子42から利用に適した粒径の標準粒子43を抽出する。分級工程P5は、後続の混合工程P6の前に、複数の合金粒子の粒径に揃える。この工程では、粉砕粒子42は、篩35にかけられる。篩35は、粉砕粒子42から、過小な粒子を除去する。過小な粒子は、発揮する磁気熱量効果が小さい。このため、過小な粒子が素子片12に含まれると、素子片12としての総合的な磁気熱量効果が低下する。この結果、分級工程P5では、所定値を上回る標準粒子43が抽出される。
さらに、篩35は、粉砕粒子42から、過大な粒子を除去することが望ましい。過大な粒子は、後続の混合工程P6および成形工程P7を困難にする場合がある。
製造方法は、混合工程P6を含む。混合工程P6は、撹拌機36によって、標準粒子43と樹脂材料12rとを混合する。樹脂材料12rは、複数の標準粒子43のためのバインダとして利用される。樹脂材料12rは、エポキシ樹脂によって提供される。樹脂材料12rは、例示される実施形態では、低粘度樹脂である。低粘度樹脂は、合金粒子12pと混合された後であって、かつ硬化前の期間において、比較的低い粘度を示す。
樹脂材料12rの硬化前における粘度は、複数の合金粒子12pの移動を許容する粘度である。硬化前期間における粘度は、標準粒子43の移動を許容する粘度である。硬化前期間における粘度は、素子片12の中において、標準粒子43の偏り(分布)を生み出す粘度である。素子片12の中における標準粒子43の偏りは、比較的大きい標準粒子43の集積としてあらわれる。微小粒子45は、素子片12の全体にほぼ均等に分布している。比較的小さい微小粒子45は、集積されてもよい。硬化前期間における粘度は、素子片12の中において、標準粒子43の長軸の配向を生み出す粘度である。
低粘度樹脂は、複液混合型の低粘度エポキシ樹脂によって提供可能である。低粘度エポキシ樹脂として、下記(1)、(2)、および(3)を利用可能である。(1)主剤:N、N、N’、N’−tetraglycidyl−m−xylenexylenediamine(C20H28N2O4)(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学製)+硬化剤:3or4−メチル−1、2、3、6−テトラヒドロ無水フタル酸(C9H10O3)(商品名:HN−2000、日立化成製)。(2)主剤:N、N、N’、N’−tetraglycidyl−m−xylenexylenediamine(C20H28N2O4)(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学製)+硬化剤:3or4−メチル−1、2、3、6−テトラヒドロ無水フタル酸(C9H10O3)(商品名:HN−2200、日立化成製)。(3)主剤:N、N、N’、N’−tetraglycidyl−m−xylenexylenediamine(C20H28N2O4)(商品名:TETRAD−X、三菱ガス化学製)+硬化剤:3or4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸(C9H10O3)(商品名:HN−5500、日立化成製)
製造方法は、成形工程P7を含む。成形工程P7は、混合工程P6により混合された混合体を、熱交換面12vを有する素子片12の形状に成形する。成形工程P7は、硬化前の樹脂材料12rの中において、合金粒子を移動させる移動工程を含む。成形工程P7は、移動工程の後に、樹脂材料12rを硬化させる硬化工程を含む。
移動工程は、合金粒子12pの磁気熱量効果を変化させる少なくともひとつの粒子パラメータに応じて複数の合金粒子12pを移動させる。粒子パラメータは、硬化前の樹脂材料12rの中における合金材料の移動しやすさを表し、かつ、上記のように合金粒子12pの磁気熱量効果を変化させる変数である。粒子パラメータは、例えば、合金粒子の大きさ、合金粒子12pの形、および合金粒子の重さの少なくともひとつを含むことができる。移動工程は、標準粒子43の粒径に応じて複数の標準粒子43を移動させる。ここで、移動工程における複数の合金粒子は、粒径が所定値を上回る標準粒子43と、分級工程P5があっても不可避の微小粒子45とを含む。微小粒子45は、例えば、混合工程P6において生じる。
この製造方法によりMCE素子3が製造される。複数の標準粒子43は、素子片12の中における所定の傾斜方向SDに沿って、傾斜方向SDの一端において多く、傾斜方向SDの他端において一端よりも少なくなるように配置されている。また、別の観点では、第2領域Rg2における熱交換面12wはゼロ(0)であるか、または第2領域Rg2における熱交換面12wは第1領域Rg1における熱交換面12vより狭い。
成形工程P7は、硬化工程の後に、加工工程を含む場合がある。加工工程は、硬化工程により得られた素子片の形状を変化させる。加工工程は、例えば、切削加工などによって、素子片に溝を形成する。
図12は、移動工程の初期を示す。この実施形態では、成形工程P7において成形型48が用いられる。混合体は、硬化前の状態で、成形型48に塗布される。塗布直後において、標準粒子43は、素子片12の断面において均等に分布している。塗布直後において、微小粒子45は、素子片12の断面において均等に分布している。
図13は、移動工程の終期を示す。樹脂材料12rが低粘度である期間において、移動工程が実行されている。移動工程は、重力下において熱交換面12vへ向かう沈降を複数の標準粒子43に許容する。このとき、標準粒子43は、一端面12cに向けて沈降することによって、第1領域Rg1に集積される。同時に、標準粒子43の長軸方向は、磁気熱量効果を発揮させるための磁場の方向に沿うように配向される。すなわち、多くの標準粒子43は、沈降しやすさに起因して、縦方向に配置される。一方で、移動工程は、重力下において標準粒子43よりも自由な移動を複数の微小粒子(不可避粒子)に許容する。微小粒子45は、その形状、および重量に起因して、樹脂材料12rの中を漂う。また、一部の微小粒子は、標準粒子43の沈降によって押し上げられる。この結果、図示されるような標準粒子43の傾斜分布が得られる。このとき、樹脂材料12rが硬化する。
硬化時間は、合金粒子12pと樹脂材料12rとが混合され、かつ、樹脂材料12rが硬化可能となった後であって、樹脂材料12rが硬化して合金粒子12pが固定されるまでの時間である。この硬化時間は、標準粒子43の集積を許容し、かつ、微小粒子45の集積を阻止する時間に設定されている。具体的には、硬化時間は、標準粒子43が沈降によって集積する時間より長く、かつ、微小粒子45が依然として浮遊している時間に設定されている。標準粒子43が第1領域Rg1に集積されることにより、第1領域Rg1において比較的大きい磁気熱量効果が発生する。さらに、第1領域Rg1に主要な熱交換面である上面12cが配置されている。これにより、第1領域Rg1に発生した磁気熱量効果を上面12cで効率的に熱伝達させることができる。第1領域Rg1に発生した磁気熱量効果を上面12cにおいて効率的に入出力することができる。
利用可能な樹脂材料は、ストークスの式に基づいて粒子の挙動を推定することにより選定することができる。特に、液体(樹脂液体)では、液中に混合した粒子は、重力により徐々に加速して沈降する。一方で、沈降に伴う液体の抵抗力が反対方向に働く。このため、重力と抵抗力とが釣り合った時点からは、粒子は液体中を一定速度で沈降するようになる。粒子の沈降速度は、一般にストークスの式(V=(g×d2×(ρs−ρ))/18μ)が成り立つ。ここで、V:粒子の沈降速度、ρs:粒子の比重、ρ:液体の比重、d:粒子の直径、g:重力加速度、およびμ:液体の粘度である。標準粒子43の粒径を60μmとし、微小粒子45の粒径を5μmとする。ストークスの式からエポキシ樹脂中の粒径d=60μmの粒子の沈降速度は23.9μm/sである。エポキシ樹脂中の粒径d=5μmの粒子の沈降速度は0.17μm/sである。樹脂材料(硬化前は液体)の厚さは、1.0mmと仮定する。標準粒子43は、沈降のために、1000μm/23.9μm/s=41.8秒を要する。微小粒子45は、沈降のために、1000/0.17=5882.3秒(約98分)を要する。よって、塗布の後、約1分程度で急速に硬化させることができれば、微小粒子45を浮動させたままで、標準粒子43を沈降させることができる。
以上に述べた実施形態によると、素子片12の中において磁気熱量効果の差を作り出すMCE素子およびその製造方法を提供することができる。磁気熱量効果の差は、磁気熱量効果が高いMCE素子を可能とする。また、熱交換面における磁気熱量効果を高めることにより、高い熱伝達効果が得られるMCE素子およびその製造方法を提供することができる。さらに、微小粒子に起因する磁気熱量的性能の低下が抑制されたMCE素子およびその製造方法を提供することができる。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、成形型48が熱交換面12wを規定する。これに代えて、この実施形態では、標準粒子43が多い第1領域Rg1に熱交換面12wとなるように、素子片12が加工される。ここで、加工は、切除をともなう機械的な加工方法を含む。
図14は、上記移動工程を含む成形工程P7により成形された素子片12を示す。素子片12は、溝12eを備えない。
図15は、硬化工程の後の加工工程を示す。加工工程は、素子片12を切削することにより溝212eを形成する。溝212eは、熱交換面12vを提供する。溝212eは、切削溝である。よって、溝212eの内面には、合金粒子12pの金属切断面および樹脂材料12rの樹脂切断面が露出している。この実施形態によると、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、素子片12を切削することにより溝212eを形成する。これに加えて、この実施形態では、切削によって露出した金属切断面354に金属保護層355が付与される。
図16は、この実施形態における製造方法を示す。製造方法は、準備工程Q1、固定工程Q2、切削工程Q3、形成工程Q4、および分離工程Q5を有する。図16の切削工程Q3は、工程の中間段階を図示している。この製造方法は、先行する実施形態における製造方法の後に実行される。
製造方法を通して、合金粒子12pの磁気熱量的な性能を劣化させないように素子片12の温度は上限温度以下に維持管理されている。上限温度は、合金粒子12pに依存する。上限温度は、合金粒子12pの酸化を抑制できるように設定することができる。例えば、LaFeSi系の材料が用いられる場合、素子片12の温度は、約130℃以下に維持される。切削工程Q3における摩擦熱、形成工程Q4における樹脂硬化熱、または反応熱によって、素子片12の温度が上限温度に到達しないように各工程が実行される。
準備工程Q1では、素子片12が準備される。素子片12は、上述の実施形態によって製造された素子片12である。すなわち、素子片12は、成形工程P7により成形された成形体として準備される。素子片12は、一端面12cと、他端面12dとを有する。一端面12cは、第1領域Rg1の表面である。他端面12dは、第2領域Rg2の表面である。第1領域Rg1における標準粒子43は、第2領域Rg2における標準粒子43より多い。第1領域Rg1における微小粒子45は、第2領域Rg2における微小粒子45より少ない。
固定工程Q2では、準備工程Q1において準備された素子片12が固定台351に固定される。固定台351の表面には粘着層が形成されており、素子片12は、固定台351の表面に接着される。さらに、固定工程Q2では、素子片12の一端面12cに切削保護膜352が形成される。切削保護膜352は、切削工程において素子片12を保護する膜である。切削保護膜352は、半導体製造方法において広く知られているレジストによって提供されている。
切削工程Q3では、切削保護膜352を貫通して、素子片12に溝212eが形成される。切削工程Q3では、半導体製造方法において広く知られているダイシングソーが用いられ、素子片12の一端面に多数の溝212eが形成される。切削工程Q3では、樹脂材料12rが切削されるとともに、複数の合金粒子12pが切削される。この結果、溝212eの内面には、樹脂材料12rの樹脂切断面353と、複数の合金粒子12pの金属切断面354とが露出する。金属切断面354は、合金粒子12pの新鮮な面である。ここで、新鮮な面とは、酸化などの変性が少ない面を意味している。合金粒子12pの金属切断面354における酸化は、錆を生じることがある。錆は、合金粒子12pの磁気熱量的な性能を低下させる。また、錆は、金属切断面354における熱伝達率を低下させる。
形成工程Q4では、金属保護層355が形成される。金属保護層355は、切削保護膜352の上から材料を供給することによって、溝212eの内面に形成される。金属保護層355は、溝212eを形成する底面、および両側面を覆う。金属保護層355は、樹脂切断面353と、金属切断面354との両方を覆う。金属保護層355は、金属切断面354における酸化を抑制する。
金属保護層355は、有機溶剤を用いるシリカ系樹脂、または、有機溶剤を用いるフッ素系樹脂である。これらの樹脂は、1(μm)程度の金属保護層355を形成する。これらの樹脂は、一端面12cからスプレー噴霧工法によって付与される。これらの樹脂は、浸漬工法、または塗布工法(刷毛塗り工法)によって付与されてもよい。さらに、シリカ系樹脂としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等、フッ素系樹脂としては、ジクロロフルオロアルキルメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル、ポリテトラフルオロエチレン等を使用可能である。
この実施形態に代えて、樹脂材料12rと同じ樹脂材料によって金属保護層355を形成してもよい。例えば、形成工程Q4において、溝212eの中に低粘度樹脂が付与される。低粘度樹脂は、溝212eを埋めることなく、溝212eの内面に金属保護層355を形成する。この場合、金属保護層355は、樹脂切断面353と、金属切断面354との両方を覆う。
分離工程Q5では、切削保護膜352が除去される。金属保護層355は、除去されることなく残る。さらに、素子片12は、固定台351から分離される。この結果、素子片12が完成する。
図17は、この実施形態における溝212eを示す部分拡大断面図である。溝212eは、樹脂切断面353と、金属切断面354とによって区画されている。さらに、溝212eのすべての内面は、金属保護層355によって覆われている。金属保護層355は、樹脂切断面353と、金属切断面354とにわたって連続している。金属保護層355は、溝212eの底面、および両側面にわたって連続している。金属保護層355は、溝212eの外、すなわち一端面12cには形成されていない。
図18および図19は、素子片12における表面の性状を示す斜視図である。ドット模様が付された表面は、素子片12を成形する際に形成された成形面である。成形面は、主として硬化後の樹脂面である。樹脂面は、成形型との接触痕、および樹脂液面痕を有する。ドット模様が付されない表面は、金属保護層355を示している。溝212eの内面、すなわち熱交換面12vにのみ、ドット模様が付されない表面が存在している。素子片12は、溝間に残された平面、4つの側面、および裏面において、成形面を有している。成形面は、金属保護層355を備えない。主要な熱交換面12vに形成された金属保護層355により、熱交換面12vにおける錆の発生が抑制される。この結果、長期間の使用においても、熱伝達率の変化が抑制される。特に、熱伝達率の低下による磁気熱量的な性能低下が抑制される。
この実施形態によると、切削工程Q3において金属切断面354が生じても、金属保護層355が金属切断面354を保護する。しかも、金属保護層355は、樹脂切断面353と金属切断面354との両方にわたって形成されるから、金属切断面354が確実に保護される。金属保護層455は、溝212eの内面にだけ形成され、素子片12の成形面には形成されないから、金属切断面354における錆の発生が抑制される。この結果、錆に起因する、素子片12の磁気熱量的な性能の低下が抑制される。
第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、切削によって形成された溝212eの全ての内面に金属保護層355が付与される。これに代えて、この実施形態では、金属切断面354にだけ金属保護層455が付与される。
図20は、この実施形態における溝212eを示す部分拡大断面図である。金属保護層455は、樹脂切断面353を覆うことなく、金属切断面354だけを覆っている。よって、金属保護層455は、溝212eの内面において、互いに離れた島状に配置されている。金属保護層455は、溝212eの内面において、分散的に配置されている。言い換えると、溝212eの内面には、金属保護層455の複数の島が点在している。これら金属保護層455の複数の島は、樹脂切断面353によって区画されている。これら金属保護層455の複数の島は、樹脂切断面353によって互いに分離されている。
金属保護層455は、樹脂切断面353の撥水作用によって撥水される樹脂材料によって形成されている。金属保護層455は、水系溶剤を用いるポリウレタン系樹脂、または、水系溶剤を用いるPVA系樹脂である。これらの樹脂は、1(μm)程度の金属保護層455を形成する。これらの樹脂は、一端面12cからスプレー噴霧工法によって付与される。これらの樹脂は、浸漬工法、または塗布工法(刷毛を使った塗り工法)によって付与されてもよい。樹脂は、形成工程Q4において、樹脂切断面353の撥水作用によって撥水される。この結果、樹脂は金属切断面354の上に凝集し、金属保護層455を形成する。
金属保護層455は、金属の防錆皮膜によって提供されてもよい。例えば、リン酸塩皮膜を用いることができる。形成工程Q4において、溝212eの中にリン酸塩を供給することにより、金属切断面354とリン酸塩とを反応させ、リン酸塩皮膜が成形される。例えば、合金粒子12pの成分である鉄に利用可能なリン酸鉄皮膜を利用可能である。リン酸鉄皮膜は、1(μm)以下の被膜を提供可能である。さらに、被膜形成用にアルカリ性第一リン酸塩を主成分とした加工液を使用可能である。
この実施形態によると、切削工程Q3において金属切断面354が生じても、金属保護層455が金属切断面354を保護する。金属保護層455は、金属切断面354だけに形成されるから、樹脂切断面353における熱伝達を損なうことなく、金属切断面354が確実に保護される。金属保護層455は、金属切断面354だけに形成されるから、材料量が抑制される。この結果、金属切断面354における錆の発生が抑制され、錆に起因する素子片12の磁気熱量的な性能の低下が抑制される。
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
先行する実施形態では、定型的な粒子パラメータとして、粒径PSを説明した。これに代えて、合金粒子12pの縦横比、重量、または表面積を粒子パラメータとしてもよい。これらの粒子パラメータは、合金粒子12pの磁気熱量効果に変化を与える。さらに、これらの粒子パラメータは、硬化前の樹脂材料12rの中における合金粒子12pの挙動に影響を与える。例えば、粒径PS、縦横比、重量、または表面積は、樹脂材料12rの中における沈降の速さに影響する。
先行する実施形態では、重力による沈降を利用して合金粒子12pを集積させている。これに代えて、または加えて、磁力を用いて合金粒子12pを集積させてもよい。微小粒子45を浮遊させたままで、標準粒子43を吸引するように、温度および磁力を調節することにより、標準粒子43の集積を生み出してもよい。
上記実施形態では、金属保護層355、455は、溝212eの内面において、少なくとも金属切断面354を覆っている。これに代えて、合金粒子12pの金属切断面354が溝212eの外にも露出する場合には、金属保護層355、455は溝212e以外の面にも形成されてもよい。例えば、大きいシート状、または塊状の素子片母材を成形し、その後に素子片母材から複数の素子片12を切り出す場合がある。この場合、素子片12は、溝212e以外にも金属切断面354を有することがある。金属保護層355、455は、溝212e以外の面における金属切断面354を保護し、錆の発生を抑制し、磁気熱量的な性能低下を抑制するために貢献する。
1 熱機器、2 磁気熱量効果型ヒートポンプ装置(MHP装置)、
3 磁気熱量効果素子(MCE素子)、 4 熱輸送媒体、
5 磁場変調装置、 6 熱輸送装置、 7 動力源、
8 低温系統、 9 高温系統、
11 素子ベッド、 11a ケース、 11b スペーサ、
12 素子片、 12a 中間素子片、 12b 端素子片、
12c 一端面(上面)、12d 他端面(下面)、12e 溝、
12f 長軸、12g 短軸、12p 合金粒子、12r 樹脂材料、
12s、12t、12u 非熱交換面、 12v、12w 熱交換面、
43 標準粒子、 45 微小粒子(不可避粒子)、
212e 溝、
351 保持台、 352 切削保護膜、
353 樹脂切断面、354 金属切断面、355 金属保護層、
455 金属保護層、
Rg1 第1領域、 Rg2 第2領域、 SD 傾斜方向。

Claims (23)

  1. 樹脂材料(12r)の中に、磁気熱量効果を発揮する複数の合金粒子(12p)を分散的に配置した素子片(12)を有する磁気熱量効果素子(3)において、
    複数の前記合金粒子は、前記合金粒子の磁気熱量効果を変化させる少なくともひとつの粒子パラメータが所定値を超える複数の標準粒子(43)を含み、
    複数の前記標準粒子は、前記素子片の中における所定の傾斜方向に沿って、前記傾斜方向の一端において多く、前記傾斜方向の他端において前記一端よりも少なくなるように配置されている磁気熱量効果素子。
  2. 前記粒子パラメータは、前記合金粒子の粒径を含み、
    前記標準粒子の前記粒径は、所定値を上回っている請求項1に記載の磁気熱量効果素子。
  3. 前記粒子パラメータは、前記合金粒子の平均粒径を含む請求項2に記載の磁気熱量効果素子。
  4. 前記合金粒子は、前記粒径が所定値を上回る複数の標準粒子(43)と、前記粒径が所定値を下回る複数の不可避粒子(45)とを含んでいる請求項2または請求項3のいずれかに記載の磁気熱量効果素子。
  5. 前記素子片は、熱を輸送する熱輸送媒体と熱交換する熱交換面(12v)を有し、
    前記傾斜方向における前記一端が前記熱交換面である請求項1から請求項4のいずれかに記載の磁気熱量効果素子。
  6. 前記熱交換面は、前記素子片に形成された溝(12e、212e)によって提供されている請求項5に記載の磁気熱量効果素子。
  7. 前記素子片は、前記溝を持たない非熱交換面(12t)を有する請求項6に記載の磁気熱量効果素子。
  8. 前記合金粒子は、長軸方向と短軸方向とを有しており、
    前記合金粒子は、前記長軸方向が磁気熱量効果を発揮させるための磁場の方向に沿うように配向されている請求項1から請求項7のいずれかに記載の磁気熱量効果素子。
  9. 前記合金粒子は、前記粒子パラメータが所定値を超えない複数の不可避粒子(45)を含んでいる請求項1から請求項8のいずれかに記載の磁気熱量効果素子。
  10. 前記素子片は扁平な板状であり、
    前記傾斜方向は、前記素子片の一端の面と、前記一端の面と反対の他端の面との間に延びている請求項1から請求項9のいずれかに記載の磁気熱量効果素子。
  11. 樹脂材料(12r)の中に、磁気熱量効果を発揮する複数の合金粒子(12p)を分散的に配置した素子片(12)を有する磁気熱量効果素子(3)において、
    前記合金粒子は、磁気熱量効果が所定値を上回る標準粒子(43)を含み、
    前記素子片は、
    熱を輸送する熱輸送媒体と熱交換する熱交換面(12v、12w)と、
    複数の前記標準粒子を含む第1領域(Rg1)と、
    前記第1領域より前記標準粒子が少ないか、前記標準粒子を含まない第2領域(Rg2)とを有し、
    前記第2領域における前記熱交換面(12w)はゼロであるか、または前記第2領域における前記熱交換面(12w)は前記第1領域における前記熱交換面(12v)より狭く形成されている磁気熱量効果素子。
  12. 前記第1領域における前記熱交換面(12v)は、前記第1領域に形成された複数の溝(12e、212e)によって提供されている請求項11に記載の磁気熱量効果素子。
  13. 前記素子片は、扁平な板状であり、
    前記第1領域は、前記素子片の一端の面(12c)に隣接しており、
    前記第2領域は、前記一端の面と反対の他端の面(12d)に隣接している請求項11または請求項12に記載の磁気熱量効果素子。
  14. 前記合金粒子は、長軸方向と短軸方向とを有しており、
    前記長軸方向は、磁気熱量効果を発揮させるための磁場の方向に沿うように配向されている請求項11から請求項13のいずれかに記載の磁気熱量効果素子。
  15. 複数の前記合金粒子は、磁気熱量効果が前記所定値を下回る複数の不可避粒子(45)を含んでいる請求項11から請求項14のいずれかに記載の磁気熱量効果素子。
  16. 前記素子片の表面は、前記合金粒子の金属切断面(354)を覆う金属保護層(355、455)を有する請求項1から請求項15のいずれかに記載の磁気熱量効果素子。
  17. 磁気熱量効果を発揮する複数の合金粒子(12p)と樹脂材料(12r)とを混合する混合工程(P6)と、
    前記混合工程により混合された混合体を素子片(12)の形状に成形する成形工程(P7)とを有し、
    前記成形工程は、硬化前の前記樹脂材料の中において、前記合金粒子を移動させる移動工程と、その後に、前記樹脂材料を硬化させる硬化工程とを含み、
    前記移動工程は、前記合金粒子の磁気熱量効果を変化させる少なくともひとつの粒子パラメータに応じて複数の前記合金粒子を移動させる磁気熱量効果素子の製造方法。
  18. さらに、前記混合工程の前に、複数の前記合金粒子の粒径に揃える分級工程(P5)を備え、
    前記移動工程における複数の前記合金粒子は、粒径が所定値を上回る標準粒子(43)と、前記分級工程があっても不可避の不可避粒子(45)とを含み、
    前記移動工程は、前記標準粒子の粒径に応じて複数の前記標準粒子を移動させる請求項17に記載の磁気熱量効果素子の製造方法。
  19. 前記素子片は、熱交換面(12v)を有し、
    前記移動工程は、
    重力下において前記熱交換面へ向かう沈降を複数の前記標準粒子に許容し、
    重力下において前記標準粒子よりも自由な移動を複数の前記不可避粒子に許容する請求項18に記載の磁気熱量効果素子の製造方法。
  20. 前記樹脂材料の硬化前における粘度は、複数の前記合金粒子の移動を許容する粘度である請求項17から請求項19のいずれかに記載の磁気熱量効果素子の製造方法。
  21. 前記成形工程の後に、前記樹脂材料と前記合金粒子とを切削することにより溝を形成する切削工程と、
    前記溝に露出した前記合金粒子の金属切断面を覆うように金属保護層(355、455)を形成する形成工程とを有する請求項17から請求項20のいずれかに記載の磁気熱量効果素子の製造方法。
  22. 前記形成工程は、前記溝の内面にのみ前記金属保護層を形成する請求項21に記載の磁気熱量効果素子の製造方法。
  23. 前記切削工程は、前記樹脂材料の樹脂切断面(353)と、前記合金粒子の金属切断面(354)とを形成し、
    前記形成工程は、少なくとも前記金属切断面を覆うように前記金属保護層を形成する請求項21に記載の磁気熱量効果素子の製造方法。
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