JP2020004743A - フィルムコンデンサ用フィルム材 - Google Patents

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加瀬部 強
Tsuyoshi Kasebe
強 加瀬部
菊地 稔
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稔 菊地
松尾 繁
Shigeru Matsuo
松尾  繁
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Abstract

【課題】tanδの過度な上昇を招来せず比誘電率を高めたフィルムコンデンサ用のポリプロピレン系フィルム材を提供すること。【解決手段】ポリプロピレンフィルムに所定厚みの無機誘電体を蒸着した二層構造を有する、ポリプロピレンのみの場合より比誘電率を向上させたことを特徴とするフィルムコンデンサ用フィルム材。【選択図】図3

Description

本発明は、比誘電率εが大きく誘電正接tanδが小さな素材であるポリプロピレンを複合化して、tanδの過度な上昇が生じず比誘電率εをより高めたフィルムコンデンサ用のフィルム材に関する。
フィルムコンデンサ用のフィルムとして様々な樹脂フィルムが用いられているが、中でもPP(ポリプロピレン)やOPP(二軸延伸ポリプロピレン)が多用される。これは、他の樹脂フィルムに比して比誘電率が高く、特にtanδが一桁ほど小さく電気エネルギーの損失が少ないという特徴を有するからである。
そして、近年、HEVなどの自動車にフィルムコンデンサが用いられ、高効率であって大容量(相対的に小型ということもできる)であることが求められている。すなわち、エネルギーロスが小さいすなわちtanδが小さいままで、比誘電率εのより大きなフィルム材またそれを用いたフィルムコンデンサが求められている。
特開平11−119127号 WO2013057987号
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、tanδの過度な上昇を招来せず比誘電率を高めたフィルムコンデンサ用のポリプロピレン系フィルム材を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、ポリプロピレンフィルムに所定厚みの無機誘電体を蒸着した二層構造を有する、ポリプロピレンのみの場合より比誘電率を向上させたことを特徴とするフィルムコンデンサ用フィルム材である。
請求項2に記載の発明は、無機誘電体の厚みをポリプロピレンフィルムの厚みの0.5%〜10%としたことを特徴とする請求項1に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材である。
請求項3に記載の発明は、無機誘電体を、マグネシア、ジルコニア、シリカ、窒化ケイ素、または、窒化アルミニウムとしたことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材である。
請求項4に記載の発明は、請求項1、2または3に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材を用いて捲回または積層されて製造されたことを特徴とするフィルムコンデンサである。
なお、原料のPPフィルムは、フィルムコンデンサの要求特性に依存するが、厚み0.5μm〜10μm、幅30cm〜90cm、長さ500m〜2000mのもの(帯状フィルム)を採用することができる。後工程である金属蒸着(電極形成)に使用する、キャンローラを備えたチャンバであるフィルムコンデンサ製造装置を利用すべく、PPフィルムはロール状に巻かれたものを用いることができる。
無機誘電体についても、フィルムコンデンサの要求特性に従って適宜選択可能であるが、PPフィルムを二層化、多層化、複合化した際にtanδが元のPPフィルムの10倍以上にならない素材を採用することがひとつの目安となる。なお、PPのtanδはおおよそ0.0005未満であり、また、εはおおよそ2.2〜2.6である。
無機誘電体の蒸着に際しては、上述の様にフィルムコンデンサ製造装置を用いることができる。仕様の態様によっては、無機誘電体の蒸着→マスキング(パターニング)→金属蒸着(電極形成)を連続して(事実上の一工程として)おこなってもよい。
本発明のフィルム材を用いて製造されるフィルムコンデンサは、実装用の加工、例えばメタリコン処理、樹脂充填等を適宜おこなって良いことはいうまでもない。
なお、フィルム材は二層構造を有すればよく、三層以上であってそのうちの二層が上記構成であれば良いものとする。たとえば、第一無機誘電体層−OPPフィルム層−第二無機誘電体層の三層構造のフィルム材等も本発明に含まれる。
本発明によれば、tanδの過度な上昇を招来せず比誘電率を高めたフィルムコンデンサ用のポリプロピレン系フィルム材を提供することができる。
また、これを用いた、電気エネルギー損失の小さな大容量(または小型)のフィルムコンデンサを提供することができる。
フィルムコンデンサ用フィルム材の製造装置の例を示した断面図である。 フィルム材の形成から電極形成までの工程概要図である。 ジルコニアの厚みをかえてOPPフィルムに蒸着したフィルム材のtanδとεとを示した表である。 マグネシア、窒化ケイ素、シリカ、窒化アルミニウムを5%厚としてOPPフィルムに蒸着したフィルム材のtanδおよびεを示した図表である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態ではOPP+ジルコニアの二層構造のフィルム材を製造しつつフィルムコンデンサ用の電極形成もおこなう態様について説明する。
図1は、本発明のフィルムコンデンサ用フィルム材の製造装置の例を示した断面図である。図2は、図1に示した製造装置によりフィルム材の形成から電極形成までの工程概要図である。なお、縮尺は説明の便宜上必ずしも統一したものでない。
製造装置1は、クーリングローラ10と、誘電体蒸着部20と、マスキング部30と、金属蒸着部40と、フィルム供給巻取部50と、を真空槽60に収容した構造である。なお、電子ビーム照射部やプラズマ照射部等を適宜設け、改質、硬化、固化等をおこなうようにする。
クーリングローラ10は、円筒形状であって軸11を中心に回転する(駆動部図示せず)。表面は鉄メッキが施され、内側から表面を冷却し(冷却機構図示せず)、所定の中心角にわたってフィルムFを巻き付けて誘電体や金属を連続的に蒸着固化する。クーリングローラ10の大きさは特に限定されないが、ここでは、直径約80cm、軸長50cmのものを用いている。
回転速度は表面速度が0.5m/分〜500m/分の間で調整可能であり、また、表面温度は、−20度〜30度まで適宜設定可能な仕様としている。用いるフィルムFの厚み、蒸着する誘電体や金属の種類、厚みに応じて回転速度や表面温度を決定する。
誘電体蒸着部20は、長手の略直方体形の筐体21と、筐体21を加熱するヒータ22と、により構成される。筐体21は、クーリングローラ10の表面に対峙して配される。すなわち、筐体21の長手を軸11に対して平行に配し、筐体21を表面に近接させて配置する。
筐体21内部には、ヒータ22により加熱され液体となったジルコニウムを貯留する貯留槽211を設けてあり、かつ、クーリングローラ10と対峙する面にスリット212を設けている。スリット212は軸11に平行に長手に配向されており、ヒータ22の適切な制御のもと、ジルコニウムの蒸気が貯留槽211からクーリングローラ10へ向けて適切な放散量および放散速度にて吹きだしていく。
また、誘電体蒸着部20は、スリット212近傍に酸素供給口23を設けており、放散されたジルコニウム蒸気を酸素雰囲気に曝し、酸化ジルコニウム(ジルコニア)としてフィルムFに蒸着させる(図2b)。このとき、クーリングローラ10は回転しているので、一定厚みのジルコニア層が連続的に形成されていくこととなる。この厚みは、スリット212からの吹出量やクーリングローラ10の回転速度にも依存するが、フィルムFの厚みの0.5%〜20%とする。
誘電体蒸着部20により、OPPフィルムとジルコニアの二層からなるフィルム材が連続的に形成されることとなる。
マスキング部30は、軸11方向に長手である柱状の筐体31の一面にノズル板32が取り付けられた構成である。ノズル板32は、クーリングローラ10に近接対峙しており、ノズル板32表面に等間隔かつ軸11方向一直線上に配された噴出孔(図示せず)からオイルをクーリングローラ10へ向けて噴出する(図2c)。このオイルは、筐体31内の貯留室311に封入されて加熱されている。オイルすなわちパターニング材料の例としては、エステル系オイル、グリコール系オイル、フッ素系オイルを用いることができる。また、マスキング部30は軸11方向に適宜往復等して、所定の電極形成用パタンをフィルム材表面に形成する。
金属蒸着部40は、長手の略直方体形の筐体41と、筐体41を加熱するヒータ42と、により構成される。筐体41は、筐体21と同様にクーリングローラ10の表面に対峙して配される。すなわち、筐体41の長手を軸11と平行に配し、筐体41をクーリングローラ10表面に近接させて配置する。
筐体41内部には抵抗加熱式ヒータ42により加熱され液体となった金属(ここではアルミニウムとする。)を貯留する貯留槽411が設けられており、かつ、クーリングローラ10と対峙する面にスリット412を設けている。スリット412は軸11に平行に長手に配向されており、ヒータ42の適切な制御のもと、アルミニウム蒸気が貯留槽211からクーリングローラ10へ向けて適切な放散量および放散速度となって吹きだしていく。
クーリングローラ10は冷却されているので、オイルがのっていないところはジルコニア表面にアルミニウムが蒸着凝固していく。一方、オイルがのっているところは、アルミニウム蒸気の熱によりオイルを剥ぎ取りアルミが着くことなくジルコニアを露出させる(図2d)。
すなわち、金属蒸着部40を経ることにより、一定厚みのアルミニウム電極がフィルム材上に連続的に形成されていくこととなる(フィルムコンデンサ用の半製品が形成されていく)。
なお、マスキングと金属蒸着を繰り返し、異種または同種の金属のパタンを更に形成するようにしても良い。
フィルム供給巻取部50は、OPPフィルム(フィルムF)を送り出す送出ローラ51と、電極が形成されたフィルム材を巻き取る巻取ローラ52と、により構成される。
真空槽60は、上記各構成を収容する。なお、本実施の形態では、誘電体蒸着部20に酸素供給口23が備わっているので、誘電体蒸着部20の近傍には仕切りを設け、所定の酸素濃度が維持されるようにしつつ、全体としては所定の真空度が保たれるようにしている。
製造装置1は、以上の様に各構成が協働し、OPPフィルム→無機誘電体蒸着(複合化されたフィルム材の形成)→電極形成を連続しておこなう。
<実験例>
OPPフィルムに対する、無機誘電体の厚みを具体的に検討することとした。
用いたOPPフィルムは、厚み=2μm、tanδ=0.0002、比誘電率ε=2.2であり、ジルコニア(酸化ジルコニウム)の厚みを、0.002μm(0.1%)、0.01μm(0.5%)、0.04μm(2%)、0.1μm(5%)、0.2μm(10%)、0.4μm(20%)として評価をおこなった。括弧内はOPPフィルムに対するジルコニアの厚みの%である。なお、ジルコニアはtanδ=0.0017,比誘電率ε=28である。
二層化したフィルム材(複合化フィルム)のtanδ複合とεを図3に示した。
図示したように、tanδは、たとえば、ジルコニア10%厚としても5%増、20%厚としても10%増であって、驚くべきことに絶対値が依然として低いままであることが確認できた。
一方比誘電率εは、ジルコニア0.1%厚であるとほとんど増加せず、0.5%厚とすると約6%の向上、2.0%とすると20%強の向上にいたり、ジルコニア5.0%厚とすると5割増、10.0%厚とする2倍以上となることが確認できた。
一方、ジルコニアの厚みが増すと熱量が大きいためOPPフィルムが熱負けしてしまい、皺などの収縮が発生してしまう。すなわち、フィルム材の歩留まりが低くなってくる。OPPフィルムFのクーリングローラ10上の移送速度等にもよるが、500m/minの場合、ジルコニア10%厚の単位面積当たりの不良率は0%であり、20%厚の場合の不良率は5%〜10%発生し、選別工程を考慮すると良好な厚みといえない。
以上から、無機誘電体はOPPフィルムの厚みの0.5%〜10%、好ましくは2.0%〜10.0%とすることにより、tanδは事実上据え置いたまま(PPフィルムと同等としたまま)εを向上させつつ歩留まり高いフィルム材を製造することが可能となることが確認できた。
なお、ジルコニアにかえて、無機誘電体としてマグネシア、窒化ケイ素、シリカ、窒化アルミニウムをそれぞれ5%厚としてOPPフィルムに蒸着したフィルム材のtanδおよびεを図4に示した。
図表から、これらの無機誘電体もtanδの過度な上昇を招来せずに比誘電率εを好適に高めることができることを確認した。
また、これらの無機誘電体も、厚みはOPPフィルムの0.5%〜10%が好ましく、2.0%〜10.0%の範囲とすることが特に好ましいことを確認した(下限はεの増加率および絶対値により決定され、上限は熱負けにより決定される)。εの絶対値としては2.3以上であることがひとつの目安となる。
なお、PPは耐熱性に特に優れている素材ではないが、無機材と複合化することにより耐熱性をも向上する。特に、フィルム材としては金属とPPフィルムとの間に無機材層が介在することとなるので耐熱性が高まり、コンデンサとしてフィルム材を積層させる場合でも金属層の半分は無機材層上に蒸着した態様となっているので耐熱性の向上に資することとなる。
仕様の態様によっては、無機誘電体層−OPPフィルム層−無機誘電体層の三層構造(上下の無機誘電体層は同種でなくても良い)とすることにより、より耐熱性を高めたコンデンサとすることも可能となる。
1 製造装置
10 クーリングローラ
11 軸
20 誘電体蒸着部
21 筐体
211 貯留槽
212 スリット
22 ヒータ
23 酸素供給口
30 マスキング部
31 筐体
311 貯留室
32 ノズル板
40 金属蒸着部
41 筐体
411 貯留槽
412 スリット
42 ヒータ
50 フィルム供給巻取部
51 送出ローラ
52 巻取ローラ
60 真空槽
本発明は、比誘電率εが大きく誘電正接tanδが小さな素材であるポリプロピレンを複合化して、tanδの過度な上昇が生じず比誘電率εをより高めたフィルムコンデンサ用のフィルム材に関する。
フィルムコンデンサ用のフィルムとして様々な樹脂フィルムが用いられているが、中でもPP(ポリプロピレン)やOPP(二軸延伸ポリプロピレン)が多用される。これは、他の樹脂フィルムに比して比誘電率が高く、特にtanδが一桁ほど小さく電気エネルギーの損失が少ないという特徴を有するからである。
そして、近年、HEVなどの自動車にフィルムコンデンサが用いられ、高効率であって大容量(相対的に小型ということもできる)であることが求められている。すなわち、エネルギーロスが小さいすなわちtanδが小さいままで、比誘電率εのより大きなフィルム材またそれを用いたフィルムコンデンサが求められている。
特開平11−119127号 WO2013057987号
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、tanδの過度な上昇を招来せず比誘電率を高めたフィルムコンデンサ用のポリプロピレン系フィルム材を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、ポリプロピレンフィルムに所定厚みの無機誘電体を蒸着した二層構造を有し、比誘電率が2.2762以上6.5000以下であり、tanδが0.00022321以下0.000197819以上であることを特徴とするフィルムコンデンサ用フィルム材である。
請求項2に記載の発明は、無機誘電体の厚みをポリプロピレンフィルムの厚みの0.5%〜10%としたことを特徴とする請求項1に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材である。
請求項3に記載の発明は、無機誘電体を、マグネシア、ジルコニア、シリカ、窒化ケイ素、または、窒化アルミニウムとしたことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材である。
請求項4に記載の発明は、ポリプロピレンフィルムに、ポリプロピレンフィルムの厚みの0.5%〜10.0%としてジルコニアを蒸着した二層構造を有し、比誘電率が2.3284以上4.5455以下であり、tanδが0.00021169以下0.00020059以上であることを特徴とするフィルムコンデンサ用フィルム材である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載のフィルムコンデンサ用フィルム材を用いて捲回または積層されて製造されたことを特徴とするフィルムコンデンサである。
なお、原料のPPフィルムは、フィルムコンデンサの要求特性に依存するが、厚み0.5μm〜10μm、幅30cm〜90cm、長さ500m〜2000mのもの(帯状フィルム)を採用することができる。後工程である金属蒸着(電極形成)に使用する、キャンローラを備えたチャンバであるフィルムコンデンサ製造装置を利用すべく、PPフィルムはロール状に巻かれたものを用いることができる。
無機誘電体についても、フィルムコンデンサの要求特性に従って適宜選択可能であるが、PPフィルムを二層化、多層化、複合化した際にtanδが元のPPフィルムの10倍以上にならない素材を採用することがひとつの目安となる。なお、PPのtanδはおおよそ0.0005未満であり、また、εはおおよそ2.2〜2.6である。
無機誘電体の蒸着に際しては、上述の様にフィルムコンデンサ製造装置を用いることができる。仕様の態様によっては、無機誘電体の蒸着→マスキング(パターニング)→金属蒸着(電極形成)を連続して(事実上の一工程として)おこなってもよい。
本発明のフィルム材を用いて製造されるフィルムコンデンサは、実装用の加工、例えばメタリコン処理、樹脂充填等を適宜おこなって良いことはいうまでもない。
なお、フィルム材は二層構造を有すればよく、三層以上であってそのうちの二層が上記構成であれば良いものとする。たとえば、第一無機誘電体層−OPPフィルム層−第二無機誘電体層の三層構造のフィルム材等も本発明に含まれる。
本発明によれば、tanδの過度な上昇を招来せず比誘電率を高めたフィルムコンデンサ用のポリプロピレン系フィルム材を提供することができる。
また、これを用いた、電気エネルギー損失の小さな大容量(または小型)のフィルムコンデンサを提供することができる。
フィルムコンデンサ用フィルム材の製造装置の例を示した断面図である。 フィルム材の形成から電極形成までの工程概要図である。 ジルコニアの厚みをかえてOPPフィルムに蒸着したフィルム材のtanδとεとを示した表である。 マグネシア、窒化ケイ素、シリカ、窒化アルミニウムを5%厚としてOPPフィルムに蒸着したフィルム材のtanδおよびεを示した図表である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態ではOPP+ジルコニアの二層構造のフィルム材を製造しつつフィルムコンデンサ用の電極形成もおこなう態様について説明する。
図1は、本発明のフィルムコンデンサ用フィルム材の製造装置の例を示した断面図である。図2は、図1に示した製造装置によりフィルム材の形成から電極形成までの工程概要図である。なお、縮尺は説明の便宜上必ずしも統一したものでない。
製造装置1は、クーリングローラ10と、誘電体蒸着部20と、マスキング部30と、金属蒸着部40と、フィルム供給巻取部50と、を真空槽60に収容した構造である。なお、電子ビーム照射部やプラズマ照射部等を適宜設け、改質、硬化、固化等をおこなうようにする。
クーリングローラ10は、円筒形状であって軸11を中心に回転する(駆動部図示せず)。表面は鉄メッキが施され、内側から表面を冷却し(冷却機構図示せず)、所定の中心角にわたってフィルムFを巻き付けて誘電体や金属を連続的に蒸着固化する。クーリングローラ10の大きさは特に限定されないが、ここでは、直径約80cm、軸長50cmのものを用いている。
回転速度は表面速度が0.5m/分〜500m/分の間で調整可能であり、また、表面温度は、−20度〜30度まで適宜設定可能な仕様としている。用いるフィルムFの厚み、蒸着する誘電体や金属の種類、厚みに応じて回転速度や表面温度を決定する。
誘電体蒸着部20は、長手の略直方体形の筐体21と、筐体21を加熱するヒータ22と、により構成される。筐体21は、クーリングローラ10の表面に対峙して配される。すなわち、筐体21の長手を軸11に対して平行に配し、筐体21を表面に近接させて配置する。
筐体21内部には、ヒータ22により加熱され液体となったジルコニウムを貯留する貯留槽211を設けてあり、かつ、クーリングローラ10と対峙する面にスリット212を設けている。スリット212は軸11に平行に長手に配向されており、ヒータ22の適切な制御のもと、ジルコニウムの蒸気が貯留槽211からクーリングローラ10へ向けて適切な放散量および放散速度にて吹きだしていく。
また、誘電体蒸着部20は、スリット212近傍に酸素供給口23を設けており、放散されたジルコニウム蒸気を酸素雰囲気に曝し、酸化ジルコニウム(ジルコニア)としてフィルムFに蒸着させる(図2b)。このとき、クーリングローラ10は回転しているので、一定厚みのジルコニア層が連続的に形成されていくこととなる。この厚みは、スリット212からの吹出量やクーリングローラ10の回転速度にも依存するが、フィルムFの厚みの0.5%〜20%とする。
誘電体蒸着部20により、OPPフィルムとジルコニアの二層からなるフィルム材が連続的に形成されることとなる。
マスキング部30は、軸11方向に長手である柱状の筐体31の一面にノズル板32が取り付けられた構成である。ノズル板32は、クーリングローラ10に近接対峙しており、ノズル板32表面に等間隔かつ軸11方向一直線上に配された噴出孔(図示せず)からオイルをクーリングローラ10へ向けて噴出する(図2c)。このオイルは、筐体31内の貯留室311に封入されて加熱されている。オイルすなわちパターニング材料の例としては、エステル系オイル、グリコール系オイル、フッ素系オイルを用いることができる。また、マスキング部30は軸11方向に適宜往復等して、所定の電極形成用パタンをフィルム材表面に形成する。
金属蒸着部40は、長手の略直方体形の筐体41と、筐体41を加熱するヒータ42と、により構成される。筐体41は、筐体21と同様にクーリングローラ10の表面に対峙して配される。すなわち、筐体41の長手を軸11と平行に配し、筐体41をクーリングローラ10表面に近接させて配置する。
筐体41内部には抵抗加熱式ヒータ42により加熱され液体となった金属(ここではアルミニウムとする。)を貯留する貯留槽411が設けられており、かつ、クーリングローラ10と対峙する面にスリット412を設けている。スリット412は軸11に平行に長手に配向されており、ヒータ42の適切な制御のもと、アルミニウム蒸気が貯留槽211からクーリングローラ10へ向けて適切な放散量および放散速度となって吹きだしていく。
クーリングローラ10は冷却されているので、オイルがのっていないところはジルコニア表面にアルミニウムが蒸着凝固していく。一方、オイルがのっているところは、アルミニウム蒸気の熱によりオイルを剥ぎ取りアルミが着くことなくジルコニアを露出させる(図2d)。
すなわち、金属蒸着部40を経ることにより、一定厚みのアルミニウム電極がフィルム材上に連続的に形成されていくこととなる(フィルムコンデンサ用の半製品が形成されていく)。
なお、マスキングと金属蒸着を繰り返し、異種または同種の金属のパタンを更に形成するようにしても良い。
フィルム供給巻取部50は、OPPフィルム(フィルムF)を送り出す送出ローラ51と、電極が形成されたフィルム材を巻き取る巻取ローラ52と、により構成される。
真空槽60は、上記各構成を収容する。なお、本実施の形態では、誘電体蒸着部20に酸素供給口23が備わっているので、誘電体蒸着部20の近傍には仕切りを設け、所定の酸素濃度が維持されるようにしつつ、全体としては所定の真空度が保たれるようにしている。
製造装置1は、以上の様に各構成が協働し、OPPフィルム→無機誘電体蒸着(複合化されたフィルム材の形成)→電極形成を連続しておこなう。
<実験例>
OPPフィルムに対する、無機誘電体の厚みを具体的に検討することとした。
用いたOPPフィルムは、厚み=2μm、tanδ=0.0002、比誘電率ε=2.2であり、ジルコニア(酸化ジルコニウム)の厚みを、0.002μm(0.1%)、0.01μm(0.5%)、0.04μm(2%)、0.1μm(5%)、0.2μm(10%)、0.4μm(20%)として評価をおこなった。括弧内はOPPフィルムに対するジルコニアの厚みの%である。なお、ジルコニアはtanδ=0.0017,比誘電率ε=28である。
二層化したフィルム材(複合化フィルム)のtanδ複合とεを図3に示した。
図示したように、tanδは、たとえば、ジルコニア10%厚としても5%増、20%厚としても10%増であって、驚くべきことに絶対値が依然として低いままであることが確認できた。
一方比誘電率εは、ジルコニア0.1%厚であるとほとんど増加せず、0.5%厚とすると約6%の向上、2.0%とすると20%強の向上にいたり、ジルコニア5.0%厚とすると5割増、10.0%厚とする2倍以上となることが確認できた。
一方、ジルコニアの厚みが増すと熱量が大きいためOPPフィルムが熱負けしてしまい、皺などの収縮が発生してしまう。すなわち、フィルム材の歩留まりが低くなってくる。OPPフィルムFのクーリングローラ10上の移送速度等にもよるが、500m/minの場合、ジルコニア10%厚の単位面積当たりの不良率は0%であり、20%厚の場合の不良率は5%〜10%発生し、選別工程を考慮すると良好な厚みといえない。
以上から、無機誘電体はOPPフィルムの厚みの0.5%〜10%、好ましくは2.0%〜10.0%とすることにより、tanδは事実上据え置いたまま(PPフィルムと同等としたまま)εを向上させつつ歩留まり高いフィルム材を製造することが可能となることが確認できた。
なお、ジルコニアにかえて、無機誘電体としてマグネシア、窒化ケイ素、シリカ、窒化アルミニウムをそれぞれ5%厚としてOPPフィルムに蒸着したフィルム材のtanδおよびεを図4に示した。
図表から、これらの無機誘電体もtanδの過度な上昇を招来せずに比誘電率εを好適に高めることができることを確認した。
また、これらの無機誘電体も、厚みはOPPフィルムの0.5%〜10%が好ましく、2.0%〜10.0%の範囲とすることが特に好ましいことを確認した(下限はεの増加率および絶対値により決定され、上限は熱負けにより決定される)。εの絶対値としては2.3以上であることがひとつの目安となる。
なお、PPは耐熱性に特に優れている素材ではないが、無機材と複合化することにより耐熱性をも向上する。特に、フィルム材としては金属とPPフィルムとの間に無機材層が介在することとなるので耐熱性が高まり、コンデンサとしてフィルム材を積層させる場合でも金属層の半分は無機材層上に蒸着した態様となっているので耐熱性の向上に資することとなる。
仕様の態様によっては、無機誘電体層−OPPフィルム層−無機誘電体層の三層構造(上下の無機誘電体層は同種でなくても良い)とすることにより、より耐熱性を高めたコンデンサとすることも可能となる。
1 製造装置
10 クーリングローラ
11 軸
20 誘電体蒸着部
21 筐体
211 貯留槽
212 スリット
22 ヒータ
23 酸素供給口
30 マスキング部
31 筐体
311 貯留室
32 ノズル板
40 金属蒸着部
41 筐体
411 貯留槽
412 スリット
42 ヒータ
50 フィルム供給巻取部
51 送出ローラ
52 巻取ローラ
60 真空槽

Claims (4)

  1. ポリプロピレンフィルムに所定厚みの無機誘電体を蒸着した二層構造を有する、ポリプロピレンのみの場合より比誘電率を向上させたことを特徴とするフィルムコンデンサ用フィルム材。
  2. 無機誘電体の厚みをポリプロピレンフィルムの厚みの0.5%〜10%としたことを特徴とする請求項1に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材。
  3. 無機誘電体を、マグネシア、ジルコニア、シリカ、窒化ケイ素、または、窒化アルミニウムとしたことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材。
  4. 請求項1、2または3に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材を用いて捲回または積層されて製造されたことを特徴とするフィルムコンデンサ。
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