JP2020004743A - フィルムコンデンサ用フィルム材 - Google Patents
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Abstract
Description
無機誘電体についても、フィルムコンデンサの要求特性に従って適宜選択可能であるが、PPフィルムを二層化、多層化、複合化した際にtanδが元のPPフィルムの10倍以上にならない素材を採用することがひとつの目安となる。なお、PPのtanδはおおよそ0.0005未満であり、また、εrはおおよそ2.2〜2.6である。
無機誘電体の蒸着に際しては、上述の様にフィルムコンデンサ製造装置を用いることができる。仕様の態様によっては、無機誘電体の蒸着→マスキング(パターニング)→金属蒸着(電極形成)を連続して(事実上の一工程として)おこなってもよい。
本発明のフィルム材を用いて製造されるフィルムコンデンサは、実装用の加工、例えばメタリコン処理、樹脂充填等を適宜おこなって良いことはいうまでもない。
なお、フィルム材は二層構造を有すればよく、三層以上であってそのうちの二層が上記構成であれば良いものとする。たとえば、第一無機誘電体層−OPPフィルム層−第二無機誘電体層の三層構造のフィルム材等も本発明に含まれる。
また、これを用いた、電気エネルギー損失の小さな大容量(または小型)のフィルムコンデンサを提供することができる。
図1は、本発明のフィルムコンデンサ用フィルム材の製造装置の例を示した断面図である。図2は、図1に示した製造装置によりフィルム材の形成から電極形成までの工程概要図である。なお、縮尺は説明の便宜上必ずしも統一したものでない。
回転速度は表面速度が0.5m/分〜500m/分の間で調整可能であり、また、表面温度は、−20度〜30度まで適宜設定可能な仕様としている。用いるフィルムFの厚み、蒸着する誘電体や金属の種類、厚みに応じて回転速度や表面温度を決定する。
誘電体蒸着部20により、OPPフィルムとジルコニアの二層からなるフィルム材が連続的に形成されることとなる。
すなわち、金属蒸着部40を経ることにより、一定厚みのアルミニウム電極がフィルム材上に連続的に形成されていくこととなる(フィルムコンデンサ用の半製品が形成されていく)。
なお、マスキングと金属蒸着を繰り返し、異種または同種の金属のパタンを更に形成するようにしても良い。
OPPフィルムに対する、無機誘電体の厚みを具体的に検討することとした。
用いたOPPフィルムは、厚み=2μm、tanδ=0.0002、比誘電率εr=2.2であり、ジルコニア(酸化ジルコニウム)の厚みを、0.002μm(0.1%)、0.01μm(0.5%)、0.04μm(2%)、0.1μm(5%)、0.2μm(10%)、0.4μm(20%)として評価をおこなった。括弧内はOPPフィルムに対するジルコニアの厚みの%である。なお、ジルコニアはtanδ=0.0017,比誘電率εr=28である。
図示したように、tanδは、たとえば、ジルコニア10%厚としても5%増、20%厚としても10%増であって、驚くべきことに絶対値が依然として低いままであることが確認できた。
一方比誘電率εrは、ジルコニア0.1%厚であるとほとんど増加せず、0.5%厚とすると約6%の向上、2.0%とすると20%強の向上にいたり、ジルコニア5.0%厚とすると5割増、10.0%厚とする2倍以上となることが確認できた。
図表から、これらの無機誘電体もtanδの過度な上昇を招来せずに比誘電率εrを好適に高めることができることを確認した。
また、これらの無機誘電体も、厚みはOPPフィルムの0.5%〜10%が好ましく、2.0%〜10.0%の範囲とすることが特に好ましいことを確認した(下限はεrの増加率および絶対値により決定され、上限は熱負けにより決定される)。εrの絶対値としては2.3以上であることがひとつの目安となる。
10 クーリングローラ
11 軸
20 誘電体蒸着部
21 筐体
211 貯留槽
212 スリット
22 ヒータ
23 酸素供給口
30 マスキング部
31 筐体
311 貯留室
32 ノズル板
40 金属蒸着部
41 筐体
411 貯留槽
412 スリット
42 ヒータ
50 フィルム供給巻取部
51 送出ローラ
52 巻取ローラ
60 真空槽
無機誘電体についても、フィルムコンデンサの要求特性に従って適宜選択可能であるが、PPフィルムを二層化、多層化、複合化した際にtanδが元のPPフィルムの10倍以上にならない素材を採用することがひとつの目安となる。なお、PPのtanδはおおよそ0.0005未満であり、また、εrはおおよそ2.2〜2.6である。
無機誘電体の蒸着に際しては、上述の様にフィルムコンデンサ製造装置を用いることができる。仕様の態様によっては、無機誘電体の蒸着→マスキング(パターニング)→金属蒸着(電極形成)を連続して(事実上の一工程として)おこなってもよい。
本発明のフィルム材を用いて製造されるフィルムコンデンサは、実装用の加工、例えばメタリコン処理、樹脂充填等を適宜おこなって良いことはいうまでもない。
なお、フィルム材は二層構造を有すればよく、三層以上であってそのうちの二層が上記構成であれば良いものとする。たとえば、第一無機誘電体層−OPPフィルム層−第二無機誘電体層の三層構造のフィルム材等も本発明に含まれる。
また、これを用いた、電気エネルギー損失の小さな大容量(または小型)のフィルムコンデンサを提供することができる。
図1は、本発明のフィルムコンデンサ用フィルム材の製造装置の例を示した断面図である。図2は、図1に示した製造装置によりフィルム材の形成から電極形成までの工程概要図である。なお、縮尺は説明の便宜上必ずしも統一したものでない。
回転速度は表面速度が0.5m/分〜500m/分の間で調整可能であり、また、表面温度は、−20度〜30度まで適宜設定可能な仕様としている。用いるフィルムFの厚み、蒸着する誘電体や金属の種類、厚みに応じて回転速度や表面温度を決定する。
誘電体蒸着部20により、OPPフィルムとジルコニアの二層からなるフィルム材が連続的に形成されることとなる。
すなわち、金属蒸着部40を経ることにより、一定厚みのアルミニウム電極がフィルム材上に連続的に形成されていくこととなる(フィルムコンデンサ用の半製品が形成されていく)。
なお、マスキングと金属蒸着を繰り返し、異種または同種の金属のパタンを更に形成するようにしても良い。
OPPフィルムに対する、無機誘電体の厚みを具体的に検討することとした。
用いたOPPフィルムは、厚み=2μm、tanδ=0.0002、比誘電率εr=2.2であり、ジルコニア(酸化ジルコニウム)の厚みを、0.002μm(0.1%)、0.01μm(0.5%)、0.04μm(2%)、0.1μm(5%)、0.2μm(10%)、0.4μm(20%)として評価をおこなった。括弧内はOPPフィルムに対するジルコニアの厚みの%である。なお、ジルコニアはtanδ=0.0017,比誘電率εr=28である。
図示したように、tanδは、たとえば、ジルコニア10%厚としても5%増、20%厚としても10%増であって、驚くべきことに絶対値が依然として低いままであることが確認できた。
一方比誘電率εrは、ジルコニア0.1%厚であるとほとんど増加せず、0.5%厚とすると約6%の向上、2.0%とすると20%強の向上にいたり、ジルコニア5.0%厚とすると5割増、10.0%厚とする2倍以上となることが確認できた。
図表から、これらの無機誘電体もtanδの過度な上昇を招来せずに比誘電率εrを好適に高めることができることを確認した。
また、これらの無機誘電体も、厚みはOPPフィルムの0.5%〜10%が好ましく、2.0%〜10.0%の範囲とすることが特に好ましいことを確認した(下限はεrの増加率および絶対値により決定され、上限は熱負けにより決定される)。εrの絶対値としては2.3以上であることがひとつの目安となる。
10 クーリングローラ
11 軸
20 誘電体蒸着部
21 筐体
211 貯留槽
212 スリット
22 ヒータ
23 酸素供給口
30 マスキング部
31 筐体
311 貯留室
32 ノズル板
40 金属蒸着部
41 筐体
411 貯留槽
412 スリット
42 ヒータ
50 フィルム供給巻取部
51 送出ローラ
52 巻取ローラ
60 真空槽
Claims (4)
- ポリプロピレンフィルムに所定厚みの無機誘電体を蒸着した二層構造を有する、ポリプロピレンのみの場合より比誘電率を向上させたことを特徴とするフィルムコンデンサ用フィルム材。
- 無機誘電体の厚みをポリプロピレンフィルムの厚みの0.5%〜10%としたことを特徴とする請求項1に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材。
- 無機誘電体を、マグネシア、ジルコニア、シリカ、窒化ケイ素、または、窒化アルミニウムとしたことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材。
- 請求項1、2または3に記載のフィルムコンデンサ用フィルム材を用いて捲回または積層されて製造されたことを特徴とするフィルムコンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018119424A JP2020004743A (ja) | 2018-06-25 | 2018-06-25 | フィルムコンデンサ用フィルム材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018119424A JP2020004743A (ja) | 2018-06-25 | 2018-06-25 | フィルムコンデンサ用フィルム材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020004743A true JP2020004743A (ja) | 2020-01-09 |
Family
ID=69100320
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018119424A Pending JP2020004743A (ja) | 2018-06-25 | 2018-06-25 | フィルムコンデンサ用フィルム材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020004743A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112175220A (zh) * | 2020-09-03 | 2021-01-05 | 广东以色列理工学院 | 耐高温的改性聚丙烯薄膜及其制备方法和应用 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03253014A (ja) * | 1990-03-02 | 1991-11-12 | Hitachi Ltd | フイルムコンデンサ及びその製造方法 |
JP2007142396A (ja) * | 2005-11-14 | 2007-06-07 | General Electric Co <Ge> | 改善した誘電特性を有するフィルムコンデンサ |
-
2018
- 2018-06-25 JP JP2018119424A patent/JP2020004743A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03253014A (ja) * | 1990-03-02 | 1991-11-12 | Hitachi Ltd | フイルムコンデンサ及びその製造方法 |
JP2007142396A (ja) * | 2005-11-14 | 2007-06-07 | General Electric Co <Ge> | 改善した誘電特性を有するフィルムコンデンサ |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112175220A (zh) * | 2020-09-03 | 2021-01-05 | 广东以色列理工学院 | 耐高温的改性聚丙烯薄膜及其制备方法和应用 |
EP3965127A1 (en) * | 2020-09-03 | 2022-03-09 | Guangdong Technion Israel Institute of Technology | High-temperature resistant modified polypropylene film, and preparation method and use thereof |
US11597808B2 (en) | 2020-09-03 | 2023-03-07 | Guangdong Technion Israel Institute Of Technology | Method for preparing modified polypropylene film |
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