JP2020003823A - 偏光板及び偏光板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 様々な基板に適用可能な配向層を有し、且つ、偏光特性に優れた偏光板を提供する。【解決手段】 本発明の偏光板1は、配向層3と、前記配向層3上に設けられたリオトロピック液晶性を有する有機色素を含む偏光層4と、を有し、前記偏光層4内において前記有機色素が超分子会合体を形成しており、前記配向層3が、シクロオレフィン系樹脂を含む。【選択図】 図3
Description
本発明は、配向層を有する偏光板、及びその製造方法に関する。
従来、リオトロピック液晶性を示す有機色素を含むコーティング液を基板上に塗布・乾燥することで、基板上に偏光層を形成することが知られている。
基板の表面には、通常、配向処理(ラビング処理など)を施すことで配向規制力が付与されている。そのため、コーティング液に含まれる有機色素は、基板表面の配向規制力の影響を受けて所定の方向に配向する。そして、塗布したコーティング液を乾燥することで、有機色素の配向が固定され、偏光特性を有する乾燥塗膜(偏光層)が基板上に形成される。
しかし、基板の形成材料によっては、基板表面に配向処理を施しただけでは有機色素を所定の方向に配向させることができない又は配向させ難い場合がある。
基板の表面には、通常、配向処理(ラビング処理など)を施すことで配向規制力が付与されている。そのため、コーティング液に含まれる有機色素は、基板表面の配向規制力の影響を受けて所定の方向に配向する。そして、塗布したコーティング液を乾燥することで、有機色素の配向が固定され、偏光特性を有する乾燥塗膜(偏光層)が基板上に形成される。
しかし、基板の形成材料によっては、基板表面に配向処理を施しただけでは有機色素を所定の方向に配向させることができない又は配向させ難い場合がある。
このような問題を解決するため、基板上に、ポリイミド系樹脂を含む配向層(以下、ポリイミド系配向層という)を形成し、このポリイミド系配向層上に有機色素を含む塗布液を塗布・乾燥することで偏光層を形成することが知られている(例えば、特許文献1)。ポリイミド系配向層は、その内部にポリイミド系樹脂を含み且つその表面に配向処理が施された層である。
しかし、ポリイミド系配向層は、十分な配向規制力を有さない。そのため、有機色素の種類によっては、配向層上で有機色素が十分に配向せず、偏光層の偏光特性が低くなるという問題がある。
また、ポリイミド系配向層を形成するには、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含む塗布液を基板上に塗布し、この塗膜を高温(約200℃前後)で焼成することでポリアミド酸をイミド化する必要がある。仮に、塗膜の焼成温度が基板のガラス転移温度(Tg)よりも高い場合、焼成時に、基板がそのガラス転移温度を超えて加熱される。基板がそのガラス転移温度よりも高い温度で加熱されると、基板の機械的強度や光学特性などが変質する虞がある。そのため、ポリイミド系配向層を形成する場合、基板の形成材料として、上記焼成温度よりも高いガラス転移温度を有する材料を用いる必要がある。つまり、ポリイミド系配向層を基板上に形成する場合、基板の形成材料が限定されるという問題がある。特に、基板の形成材料が樹脂である場合、樹脂のガラス転移温度は一般に上記焼成温度よりも低い場合が多いため、多くの樹脂基板上に配向層を設けることができない。
また、ポリイミド系配向層を形成するには、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含む塗布液を基板上に塗布し、この塗膜を高温(約200℃前後)で焼成することでポリアミド酸をイミド化する必要がある。仮に、塗膜の焼成温度が基板のガラス転移温度(Tg)よりも高い場合、焼成時に、基板がそのガラス転移温度を超えて加熱される。基板がそのガラス転移温度よりも高い温度で加熱されると、基板の機械的強度や光学特性などが変質する虞がある。そのため、ポリイミド系配向層を形成する場合、基板の形成材料として、上記焼成温度よりも高いガラス転移温度を有する材料を用いる必要がある。つまり、ポリイミド系配向層を基板上に形成する場合、基板の形成材料が限定されるという問題がある。特に、基板の形成材料が樹脂である場合、樹脂のガラス転移温度は一般に上記焼成温度よりも低い場合が多いため、多くの樹脂基板上に配向層を設けることができない。
本発明の目的は、様々な基板に適用可能な配向層を有し、且つ、偏光特性に優れた偏光板、及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、様々な基板に適用でき、且つ、有機色素を良好に配向させ得る配向層の形成材料を探索し、本発明を完成した。
本発明の偏光板は、配向層と、前記配向層上に設けられたリオトロピック液晶性を有する有機色素を含む偏光層と、を有し、前記偏光層内において前記有機色素が超分子会合体を形成しており、前記配向層が、シクロオレフィン系樹脂を含む。
本発明の好ましい偏光板は、さらに基板を有し、前記基板上に前記配向層が設けられている。
本発明の好ましい偏光板は、前記シクロオレフィン系樹脂が、非晶性である。また、本発明の好ましい偏光板は、前記シクロオレフィン系樹脂が、ノルボルネン系樹脂である。また、本発明の好ましい偏光板は、前記配向層が、実質的に光学的等方性を示す等方性配向層である。
また、本発明の好ましい偏光板は、前記基板が樹脂フィルムであり、前記樹脂フィルムに含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)が、180℃以下である。また、本発明の好ましい偏光板は、前記基板の表面が剥離性を有する。
本発明の別の局面によれば、偏光板の製造方法を提供する。
本発明の偏光板の製造方法は、シクロオレフィン系樹脂を含む第1のコーティング液を塗布し、第1の塗膜を形成する工程と、前記第1の塗膜を乾燥し、第1の乾燥塗膜を形成する工程と、前記第1の乾燥塗膜の表面に配向処理を施し、配向層を形成する工程と、有機色素を含む第2のコーティング液を前記配向層上に塗布し、第2の塗膜を形成する工程と、前記第2の塗膜を乾燥し、第2の乾燥塗膜である偏光層を形成する工程と、を有する。
本発明の偏光板の製造方法は、シクロオレフィン系樹脂を含む第1のコーティング液を塗布し、第1の塗膜を形成する工程と、前記第1の塗膜を乾燥し、第1の乾燥塗膜を形成する工程と、前記第1の乾燥塗膜の表面に配向処理を施し、配向層を形成する工程と、有機色素を含む第2のコーティング液を前記配向層上に塗布し、第2の塗膜を形成する工程と、前記第2の塗膜を乾燥し、第2の乾燥塗膜である偏光層を形成する工程と、を有する。
本発明の好ましい偏光板の製造方法では、前記配向処理が、ラビング処理である。
本発明の偏光板は、様々な基板に適用可能な配向層を有し、且つ、偏光特性に優れる。
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本明細書において、用語の接頭語として、第1、第2などを付す場合があるが、この接頭語は、用語を区別するためだけに付されたものであり、順序や優劣などの特別な意味を持たない。
また、本明細書において、方向を意味する「上」は、便宜上、図1に示すような水平面に置いた偏光板を基準に、図面の上側を指し、「下」は、図面の下側を指す。また、本明細書において、「AAA〜BBB」という記載は、「AAA以上BBB以下」を意味する。
また、本明細書において、方向を意味する「上」は、便宜上、図1に示すような水平面に置いた偏光板を基準に、図面の上側を指し、「下」は、図面の下側を指す。また、本明細書において、「AAA〜BBB」という記載は、「AAA以上BBB以下」を意味する。
本発明の偏光板は、配向層と、配向層上に設けられた偏光層と、を有している。以下、本発明の一実施形態に係る偏光板について説明する。
偏光板1は、図1に示すように、下から順に基板2、配向層3、及び偏光層4を有する。図1では、基板2の上面に配向層3が設けられており、配向層3の上面に偏光層4が設けられている。もっとも、本発明の偏光板1は、図1のような層構成に限定されず、例えば、図2に示すように偏光層4の上面に保護層5などを設けてもよく、図3に示すように基板2を有していなくてもよい(即ち、偏光板1は、配向層3と偏光層4のみから構成されていてもよい)。なお、図3に示すような基板を有さない偏光板は、図1に示すような基板2、配向層3、及び偏光層4を有する偏光板において、配向層3及び偏光層4の積層体を基板2から剥離することで得ることができる。
保護層5を偏光層4の上面に積層する場合、実用的には、保護層5と偏光層4の間には、任意の適切な接着層が設けられる(図示せず)。接着層を形成する材料としては、例えば、接着剤、粘着剤、アンカーコート剤等が挙げられる。
基板2は、図1及び図2に示すような単層構造でもよく、2以上の層を有する多層構造でもよい。例えば、図4に示すように、基板2は、ベース層21と位相差層22の2層を有する。また、基板2は3層以上の多層構造であってもよい(図示せず)。このような多層構造の基板2は、ベース層21の上に接着層(図示せず)を介して位相差層22を積層することで形成し得る。
なお、図1乃至図4では、配向層3と偏光層4の間には他層が介在しておらず、配向層3の上面と偏光層4の下面は接している。
本発明の偏光板では、配向層の配向規制力によって偏光層内の有機色素が配向されている。以下、各層の構成について説明する。
偏光板1は、図1に示すように、下から順に基板2、配向層3、及び偏光層4を有する。図1では、基板2の上面に配向層3が設けられており、配向層3の上面に偏光層4が設けられている。もっとも、本発明の偏光板1は、図1のような層構成に限定されず、例えば、図2に示すように偏光層4の上面に保護層5などを設けてもよく、図3に示すように基板2を有していなくてもよい(即ち、偏光板1は、配向層3と偏光層4のみから構成されていてもよい)。なお、図3に示すような基板を有さない偏光板は、図1に示すような基板2、配向層3、及び偏光層4を有する偏光板において、配向層3及び偏光層4の積層体を基板2から剥離することで得ることができる。
保護層5を偏光層4の上面に積層する場合、実用的には、保護層5と偏光層4の間には、任意の適切な接着層が設けられる(図示せず)。接着層を形成する材料としては、例えば、接着剤、粘着剤、アンカーコート剤等が挙げられる。
基板2は、図1及び図2に示すような単層構造でもよく、2以上の層を有する多層構造でもよい。例えば、図4に示すように、基板2は、ベース層21と位相差層22の2層を有する。また、基板2は3層以上の多層構造であってもよい(図示せず)。このような多層構造の基板2は、ベース層21の上に接着層(図示せず)を介して位相差層22を積層することで形成し得る。
なお、図1乃至図4では、配向層3と偏光層4の間には他層が介在しておらず、配向層3の上面と偏光層4の下面は接している。
本発明の偏光板では、配向層の配向規制力によって偏光層内の有機色素が配向されている。以下、各層の構成について説明する。
[偏光層]
偏光層は、リオトロピック液晶性を有する有機色素を含む層である。偏光層内において有機色素は超分子会合体を形成している。ここで、超分子会合体とは、複数の有機色素が水素結合等によって結合し、1つの複合体を形成している状態である。また、リオトロピック液晶性とは、有機色素と溶媒を含むコーティング液の温度や濃度を変化させることにより、有機色素が等方相−液晶相の相転移を生じる性質を意味する。
超分子会合体を形成した有機色素を含む偏光層は、例えば、適当な有機色素と溶媒を含むコーティング液を塗布し、それを乾燥させることによって得ることができる。
偏光層は、リオトロピック液晶性を有する有機色素を含む層である。偏光層内において有機色素は超分子会合体を形成している。ここで、超分子会合体とは、複数の有機色素が水素結合等によって結合し、1つの複合体を形成している状態である。また、リオトロピック液晶性とは、有機色素と溶媒を含むコーティング液の温度や濃度を変化させることにより、有機色素が等方相−液晶相の相転移を生じる性質を意味する。
超分子会合体を形成した有機色素を含む偏光層は、例えば、適当な有機色素と溶媒を含むコーティング液を塗布し、それを乾燥させることによって得ることができる。
偏光層に含まれる有機色素は、リオトロピック液晶性を有し、且つ、超分子会合体を形成し得るものであれば特に限定されない。
このような有機色素としては、例えば、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、ペリレン系化合物、キノフタロン系化合物、ナフトキノン系化合物、メロシアニン系化合物などが挙げられる。良好なリオトロピック液晶性を示すことから、アゾ系化合物を用いることが好ましい。
このような有機色素としては、例えば、アゾ系化合物、アントラキノン系化合物、ペリレン系化合物、キノフタロン系化合物、ナフトキノン系化合物、メロシアニン系化合物などが挙げられる。良好なリオトロピック液晶性を示すことから、アゾ系化合物を用いることが好ましい。
アゾ系化合物の中では、分子中に芳香環を有するアゾ化合物が好ましく、ナフタレン環を有するジスアゾ化合物がより好ましい。このようなアゾ系化合物を含むコーティング液を塗布・乾燥することにより、偏光特性に優れた偏光層を得ることができる。
また、アゾ系化合物は、その分子中に極性基を有するアゾ系化合物が好ましい。極性基を有するアゾ系化合物は、水系溶媒に可溶であり、水系溶媒に溶解して超分子会合体を形成し易い。このため、極性基を有するアゾ系化合物を含むコーティング液は、特に良好なリオトロピック液晶性を示す。
なお、極性基とは、極性を持つ官能基を意味する。極性基としては、OH基、COOH基、NH2基、NO2基、CN基のような比較的電気陰性度の大きい酸素及び/又は窒素を含む官能基が挙げられる。
また、アゾ系化合物は、その分子中に極性基を有するアゾ系化合物が好ましい。極性基を有するアゾ系化合物は、水系溶媒に可溶であり、水系溶媒に溶解して超分子会合体を形成し易い。このため、極性基を有するアゾ系化合物を含むコーティング液は、特に良好なリオトロピック液晶性を示す。
なお、極性基とは、極性を持つ官能基を意味する。極性基としては、OH基、COOH基、NH2基、NO2基、CN基のような比較的電気陰性度の大きい酸素及び/又は窒素を含む官能基が挙げられる。
極性基を有するアゾ系化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される芳香族ジスアゾ化合物が好ましい。
一般式(1)において、Q1は、置換若しくは無置換のアリール基を表し、Q2は、置換若しくは無置換のアリーレン基を表し、R1は、独立して、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアセチル基、置換若しくは無置換のベンゾイル基、置換若しくは無置換のフェニル基を表し、Mは、対イオンを表し、mは、0〜2の整数を表し、nは、0〜6の整数を表す。ただし、m及びnの少なくとも何れか一方は、0でなく、1≦m+n≦6である。前記mが2である場合、各R1は、同一又は異なる。
一般式(1)に示されたOH、(NHR1)m、及び(SO3M)nは、それぞれナフチル環の7つの置換部位のいずれに結合していてもよい。
なお、本明細書において、「置換若しくは無置換」とは、「置換基で置換されている、又は、置換基で置換されていない」ことを意味する。
一般式(1)に示されたOH、(NHR1)m、及び(SO3M)nは、それぞれナフチル環の7つの置換部位のいずれに結合していてもよい。
なお、本明細書において、「置換若しくは無置換」とは、「置換基で置換されている、又は、置換基で置換されていない」ことを意味する。
前記一般式(1)のナフチル基とアゾ基(−N=N−)の結合位置は、特に限定されない。前記ナフチル基は、式(1)において右側に表されているナフチル基を指す。好ましくは、前記ナフチル基とアゾ基は、前記ナフチル基の1位又は2位で結合されている。
前記一般式(1)のR1のアルキル基、アセチル基、ベンゾイル基、又はフェニル基が置換基を有する場合、その置換基としては、下記アリール基又はアリーレン基において例示する、各置換基が挙げられる。
前記R1は、好ましくは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアセチル基であり、より好ましくは水素原子である。
前記置換若しくは無置換のアルキル基としては、置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
前記R1は、好ましくは、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアセチル基であり、より好ましくは水素原子である。
前記置換若しくは無置換のアルキル基としては、置換若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
前記一般式(1)のM(対イオン)は、好ましくは、水素イオン;Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属イオン;Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属イオン;その他の金属イオン;アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムイオン;有機アミンの塩などが挙げられる。前記金属イオンとしては、例えば、Ni+、Fe3+、Cu2+、Ag+、Zn2+、Al3+、Pd2+、Cd2+、Sn2+、Co2+、Mn2+、Ce3+などが挙げられる。有機アミンとしては、炭素数1〜6のアルキルアミン、ヒドロキシル基を有する炭素数1〜6のアルキルアミン、カルボキシル基を有する炭素数1〜6のアルキルアミンなどが挙げられる。上記一般式(1)において、SO3Mが2つ以上である場合、各Mは、同一又は異なっていてもよい。また、前記一般式(1)において、SO3MのMが2価以上の陽イオンである場合、隣接する他の一般式(1)のアゾ系化合物のSO3 −と結合して超分子会合体を形成し得る。
前記一般式(1)のmは、好ましくは1である。また、一般式(1)のnは、好ましくは1又は2である。
一般式(1)のナフチル基の具体例としては、例えば、下記式(a)乃至式(l)などが挙げられる。式(a)乃至式(l)のR1及びMは、一般式(1)と同様である。
一般式(1)のナフチル基の具体例としては、例えば、下記式(a)乃至式(l)などが挙げられる。式(a)乃至式(l)のR1及びMは、一般式(1)と同様である。
前記一般式(1)において、前記Q1で表されるアリール基は、フェニル基の他、ナフチル基などのようなベンゼン環が2以上縮合した縮合環基が挙げられる。
前記Q2で表されるアリーレン基は、フェニレン基の他、ナフチレン基などのようなベンゼン環が2以上縮合した縮合環基が挙げられる。
前記Q2で表されるアリーレン基は、フェニレン基の他、ナフチレン基などのようなベンゼン環が2以上縮合した縮合環基が挙げられる。
Q1のアリール基又はQ2のアリーレン基は、それぞれ置換基を有していてもよいし、又は、置換基を有していなくてもよい。前記アリール基又はアリーレン基が、置換若しくは無置換のいずれの場合でも、極性基を有する一般式(1)の芳香族ジスアゾ化合物は、水系溶媒に対する溶解性に優れている。
前記アリール基又はアリーレン基が置換基を有する場合、その置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、炭素数1〜6のアシルアミノ基、ジヒドロキシプロピル基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、COOM基などのカルボキシル基、SO3M基などのスルホン酸基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲノ基などが挙げられる。好ましくは、前記置換基は、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、スルホン酸基、及びニトロ基から選ばれる1つである。このような置換基を有する芳香族ジスアゾ化合物は、特に水溶性に優れている。これらの置換基は、1種又は2種以上置換されていてもよい。また、前記置換基は、任意の比率で置換されていてもよい。
前記一般式(1)のQ1は、好ましくは置換若しくは無置換のフェニル基であり、より好ましくは前記置換基を有するフェニル基である。
前記Q2は、好ましくは置換若しくは無置換のナフチレン基であり、より好ましくは前記置換基を有するナフチレン基であり、特に好ましくは前記置換基を有する1,4−ナフチレン基である。
前記Q2は、好ましくは置換若しくは無置換のナフチレン基であり、より好ましくは前記置換基を有するナフチレン基であり、特に好ましくは前記置換基を有する1,4−ナフチレン基である。
一般式(1)のQ1が置換若しくは無置換のフェニル基で、且つ、Q2が置換若しくは無置換の1,4−ナフチレン基である芳香族ジスアゾ系化合物は、下記一般式(2)で表される。
一般式(2)において、R1、M、m及びnは、上記一般式(1)のそれらと同様である。
一般式(2)において、A及びBは、置換基を表し、a及びbは、その置換数を表す。前記A及びBは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、炭素数1〜6のアシルアミノ基、ジヒドロキシプロピル基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、COOM基などのカルボキシル基、SO3M基などのスルホン酸基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲノ基を表す。前記aは、0〜5の整数であり、前記bは、0〜4の整数を表す。ただし、a及びbの少なくとも何れか一方は0でない。前記aが2以上の場合、前記置換基Aは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。前記bが2以上の場合、前記置換基Bは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。
一般式(2)において、A及びBは、置換基を表し、a及びbは、その置換数を表す。前記A及びBは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、炭素数1〜6のアシルアミノ基、ジヒドロキシプロピル基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、COOM基などのカルボキシル基、SO3M基などのスルホン酸基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲノ基を表す。前記aは、0〜5の整数であり、前記bは、0〜4の整数を表す。ただし、a及びbの少なくとも何れか一方は0でない。前記aが2以上の場合、前記置換基Aは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。前記bが2以上の場合、前記置換基Bは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。
一般式(2)に含まれる芳香族ジスアゾ化合物の中では、下記一般式(3)で表される芳香族ジスアゾ化合物を用いることが好ましい。一般式(3)の芳香族ジスアゾ化合物は、置換基Aがアゾ基(−N=N−)を基準にしてパラ位に結合している。さらに、一般式(3)の芳香族ジスアゾ化合物は、そのナフチル基のOH基がアゾ基に隣接した位置(オルト位)に結合している。かかる一般式(3)の芳香族ジスアゾ化合物を用いれば、偏光度の高い偏光板を得ることができる。
一般式(3)において、R1、M、m及びnは、上記一般式(1)のそれらと同様であり、Aは、一般式(2)のそれと同様である。
一般式(3)において、pは、0〜4の整数を表す。前記pは、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
一般式(3)において、pは、0〜4の整数を表す。前記pは、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。
上記一般式(1)乃至(3)で表される芳香族ジスアゾ化合物は、例えば、細田豊著「理論製造 染料化学(5版)」(昭和43年7月15日技報堂発行、135頁乃至152頁)に従って合成できる。
例えば、一般式(3)の芳香族ジスアゾ化合物は、アニリン誘導体とナフタレンスルホン酸誘導体をジアゾ化及びカップリング反応させてモノアゾ化合物を得た後、このモノアゾ化合物をジアゾ化した後、さらに、1−アミノ−8−ナフトールスルホン酸誘導体とカップリング反応させることによって合成できる。
例えば、一般式(3)の芳香族ジスアゾ化合物は、アニリン誘導体とナフタレンスルホン酸誘導体をジアゾ化及びカップリング反応させてモノアゾ化合物を得た後、このモノアゾ化合物をジアゾ化した後、さらに、1−アミノ−8−ナフトールスルホン酸誘導体とカップリング反応させることによって合成できる。
[配向層]
配向層は、その上面に有機色素と溶媒を含むコーティング液を塗布した際に、コーティング液に含まれる有機色素を所定方向に配向させる機能を有する層である。配向層は、シクロオレフィン系樹脂を含んでいる。シクロオレフィン系樹脂は、その分子内に脂肪族環を有する重合体である。
配向層は、その上面に有機色素と溶媒を含むコーティング液を塗布した際に、コーティング液に含まれる有機色素を所定方向に配向させる機能を有する層である。配向層は、シクロオレフィン系樹脂を含んでいる。シクロオレフィン系樹脂は、その分子内に脂肪族環を有する重合体である。
配向層におけるシクロオレフィン系樹脂の含有量は特に限定されないが、好ましくは、配向層全体の50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。
シクロオレフィン系樹脂の含有量が50質量%を下回ると、配向層が良好に有機色素を配向できない虞がある。
シクロオレフィン系樹脂の含有量が50質量%を下回ると、配向層が良好に有機色素を配向できない虞がある。
シクロオレフィン系樹脂を構成する複数の脂肪族環において、各脂肪族環の環構成原子の炭素数は特に限定されないが、通常4以上であり、好ましくは5以上である。また、脂肪族環の炭素数は、通常15以下であり、好ましくは12以下である。脂肪族環の炭素数が4を下回ると、シクロオレフィン系樹脂が剛直になり過ぎ、配向処理によって配向層に配向規制力を付与し難くなる虞がある。他方、脂肪族環の炭素数が15を上回ると、シクロオレフィン系樹脂が柔軟になり過ぎ、付与する配向規制力にムラが生じる虞がある。
また、脂肪族環は、無置換であってもよく任意の置換基を有していてもよい。脂肪族環が有する置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルキレンアリール基などが挙げられる。なお、これらの置換基の炭素数は通常1〜8であり、その炭素鎖は、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよい。
また、脂肪族環は、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造であってもよく、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造であってもよいが、機械的強度、耐熱性、及び有機色素の配向性などの観点から、シクロアルカン構造を有するものが好ましい。
また、脂肪族環は、無置換であってもよく任意の置換基を有していてもよい。脂肪族環が有する置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルキレンアリール基などが挙げられる。なお、これらの置換基の炭素数は通常1〜8であり、その炭素鎖は、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよい。
また、脂肪族環は、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造であってもよく、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造であってもよいが、機械的強度、耐熱性、及び有機色素の配向性などの観点から、シクロアルカン構造を有するものが好ましい。
シクロオレフィン系樹脂は、脂肪族環以外に、脂肪族環を有さない他の構造単位を有していてもよい。例えば、シクロオレフィン系樹脂は、共役ジエン類、各種置換ビニル化合物、α−オレフィン等が共重合されていてもよい。
シクロオレフィン系樹脂が、脂肪族環と他の構造単位を有する場合、脂肪族環の占める割合は特に限定されない。脂肪族環は、好ましくはシクロオレフィン系樹脂全体の50モル%以上を占め、より好ましくは70モル%以上を占め、特に好ましくは90モル%以上を占める。脂肪族環の含有量がシクロオレフィン系樹脂全体の50モル%を下回ると、シクロオレフィン系樹脂が剛直になり過ぎ、配向処理によって配向層に配向規制力を付与し難くなる虞がある。
シクロオレフィン系樹脂が、脂肪族環と他の構造単位を有する場合、脂肪族環の占める割合は特に限定されない。脂肪族環は、好ましくはシクロオレフィン系樹脂全体の50モル%以上を占め、より好ましくは70モル%以上を占め、特に好ましくは90モル%以上を占める。脂肪族環の含有量がシクロオレフィン系樹脂全体の50モル%を下回ると、シクロオレフィン系樹脂が剛直になり過ぎ、配向処理によって配向層に配向規制力を付与し難くなる虞がある。
シクロオレフィン系樹脂は、例えば、シクロオレフィンを重合又は共重合することで得られる。シクロオレフィンとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びそれらの誘導体(環に置換基を有するもの)などの多環構造の不飽和炭化水素;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素;それらの誘導体などが挙げられる。
シクロオレフィンと共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどのエチレン又はα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジエン等が挙げられる。
シクロオレフィンと共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどのエチレン又はα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジエン等が挙げられる。
シクロオレフィン系樹脂を含む配向層は、強い配向規制力を有するため、有機色素を十分に配向させることができる。そのため、シクロオレフィン系樹脂を含む配向層を用いることで、偏光特性に優れた偏光板を形成することができる。
シクロオレフィン系樹脂を含む配向層が強い配向規制力を有する一因について、本発明者らは以下のように推測する。
配向層の配向規制力の強弱は、主として、(a)配向処理が施される被処理面の形状変化、(b)被処理面の表面に露出した分子の化学的構造、の2つによって左右される。
シクロオレフィン系樹脂は、脂肪族環を含んでいるため柔軟性に優れる。そのため、ラビング処理などの機械的配向処理を施した際、微細溝が形成され易い。即ち、配向処理によって表面に形状変化が生じ易い。また、シクロオレフィン系樹脂は、その分子の化学的構造である脂肪族環が有機色素の配向を乱し難い。従って、シクロオレフィン系樹脂を含む配向層は、被処理面の形状変化と分子の化学的構造の相乗効果によって強い配向規制力を有し、有機色素を良好に配向させることができる。
シクロオレフィン系樹脂を含む配向層が強い配向規制力を有する一因について、本発明者らは以下のように推測する。
配向層の配向規制力の強弱は、主として、(a)配向処理が施される被処理面の形状変化、(b)被処理面の表面に露出した分子の化学的構造、の2つによって左右される。
シクロオレフィン系樹脂は、脂肪族環を含んでいるため柔軟性に優れる。そのため、ラビング処理などの機械的配向処理を施した際、微細溝が形成され易い。即ち、配向処理によって表面に形状変化が生じ易い。また、シクロオレフィン系樹脂は、その分子の化学的構造である脂肪族環が有機色素の配向を乱し難い。従って、シクロオレフィン系樹脂を含む配向層は、被処理面の形状変化と分子の化学的構造の相乗効果によって強い配向規制力を有し、有機色素を良好に配向させることができる。
本発明では、シクロオレフィン系樹脂として、ノルボルネン系樹脂が用いられることが好ましい。ノルボルネン系樹脂は、出発原料(単量体)の一部または全部に、ノルボルネン骨格を有するノルボルネン系単量体を用いて得られる重合体又は共重合体をいう。
ノルボルネン系樹脂は、その分子の化学的構造が有機色素の配向を特に乱し難いと考えられる。そのため、ノルボルネン系樹脂を用いることで、有機色素をさらに良好に配向させ得る配向層を形成することができる。
ノルボルネン系樹脂は、その分子の化学的構造が有機色素の配向を特に乱し難いと考えられる。そのため、ノルボルネン系樹脂を用いることで、有機色素をさらに良好に配向させ得る配向層を形成することができる。
また、本発明では、シクロオレフィン系樹脂は、結晶性であってもよく非晶性であってもよいが、好ましくは非晶性である。
ここで、「非晶性のシクロオレフィン系樹脂」とは、結晶化に伴う発熱ピークが観察されないか、または観察されたとしても結晶融解熱量が10J/g以下となる(即ち、結晶化度が極めて低い)シクロオレフィン系樹脂をいう。
非晶性のシクロオレフィン系樹脂を用いることで、有機色素をより良好に配向させることができ、その結果、偏光特性に優れた偏光板を形成することができる。本発明者らはその理由を以下のように推測する。
非晶性シクロオレフィン系樹脂は、結晶性シクロオレフィン系樹脂に比して結晶化度が低い。即ち、非晶性シクロオレフィン系樹脂は、結晶性シクロオレフィン系樹脂に比して分子が規則的に配向しておらず、無秩序に分散し得る。
結晶性シクロオレフィン系樹脂は、その分子の化学的構造である結晶構造が機械的配向処理による微細溝の形成を妨げ易く、且つ、結晶構造自体が有機色素の配向を乱し易い。他方、非晶性シクロオレフィン系樹脂は分子が無秩序に分散し得るため、その分子の化学的構造である非晶構造が機械的配向処理による微細溝の形成を妨げ難く、且つ、非晶構造自体が有機色素の配向を乱し難い。従って、非結晶性シクロオレフィン系樹脂を含む配向層は、結晶性シクロオレフィン系樹脂を含む配向層に比して、有機色素をさらに良好に配向させ得る。
ここで、「非晶性のシクロオレフィン系樹脂」とは、結晶化に伴う発熱ピークが観察されないか、または観察されたとしても結晶融解熱量が10J/g以下となる(即ち、結晶化度が極めて低い)シクロオレフィン系樹脂をいう。
非晶性のシクロオレフィン系樹脂を用いることで、有機色素をより良好に配向させることができ、その結果、偏光特性に優れた偏光板を形成することができる。本発明者らはその理由を以下のように推測する。
非晶性シクロオレフィン系樹脂は、結晶性シクロオレフィン系樹脂に比して結晶化度が低い。即ち、非晶性シクロオレフィン系樹脂は、結晶性シクロオレフィン系樹脂に比して分子が規則的に配向しておらず、無秩序に分散し得る。
結晶性シクロオレフィン系樹脂は、その分子の化学的構造である結晶構造が機械的配向処理による微細溝の形成を妨げ易く、且つ、結晶構造自体が有機色素の配向を乱し易い。他方、非晶性シクロオレフィン系樹脂は分子が無秩序に分散し得るため、その分子の化学的構造である非晶構造が機械的配向処理による微細溝の形成を妨げ難く、且つ、非晶構造自体が有機色素の配向を乱し難い。従って、非結晶性シクロオレフィン系樹脂を含む配向層は、結晶性シクロオレフィン系樹脂を含む配向層に比して、有機色素をさらに良好に配向させ得る。
非晶性シクロオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、(1)非晶性ノルボルネン系樹脂、(2)単環の非晶性シクロオレフィン系樹脂、(3)非晶性の環状共役ジエン系樹脂、(4)これらの水素化物などが挙げられる。
(1)非晶性ノルボルネン系樹脂
非晶性ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系単量体を開環重合又は付加重合することによって得ることができる。
開環重合によって得られる非晶性ノルボルネン系樹脂として、ノルボルネン系単量体のみを開環重合して得られた樹脂、ノルボルネン系単量体とその他の単量体を開環重合して得られた樹脂、及びこれらの水素化物などが挙げられる。
付加重合によって得られる非晶性ノルボルネン系樹脂として、ノルボルネン系単量体のみを付加重合して得られた樹脂、ノルボルネン系単量体とその他の単量体を付加重合して得られた樹脂、及びこれらの水素化物などが挙げられる。
非晶性ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系単量体を開環重合又は付加重合することによって得ることができる。
開環重合によって得られる非晶性ノルボルネン系樹脂として、ノルボルネン系単量体のみを開環重合して得られた樹脂、ノルボルネン系単量体とその他の単量体を開環重合して得られた樹脂、及びこれらの水素化物などが挙げられる。
付加重合によって得られる非晶性ノルボルネン系樹脂として、ノルボルネン系単量体のみを付加重合して得られた樹脂、ノルボルネン系単量体とその他の単量体を付加重合して得られた樹脂、及びこれらの水素化物などが挙げられる。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、メタノテトラヒドロフルオレン、テトラシクロドデセン及びそれらの誘導体などが挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのノルボルネン系単量体は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン系単量体のみからなる開環重合体、又はノルボルネン系単量体とその他の単量体の開環重合体は、上記の単量体成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。開環重合触媒としては、例えば、金属のハロゲン化物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。
また、これらの開環重合体は、水素化されていてもよい。例えば、ノルボルネン系単量体を開環重合させる際、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を用いることで開環重合体を水素化することができる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。
また、これらの開環重合体は、水素化されていてもよい。例えば、ノルボルネン系単量体を開環重合させる際、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を用いることで開環重合体を水素化することができる。
ノルボルネン系単量体のみからなる付加重合体、又はノルボルネン系単量体とその他の単量体との付加重合体は、上記の単量体を、公知の付加重合触媒の存在下で重合して得ることができる。付加重合触媒としては、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物からなる触媒を用いることができる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン及びこれらの誘導体;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
また、これらの付加重合体は、水素化されていてもよい。例えば、ノルボルネン系単量体を付加重合させる際、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を用いることで付加重合体を水素化することができる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン及びこれらの誘導体;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
また、これらの付加重合体は、水素化されていてもよい。例えば、ノルボルネン系単量体を付加重合させる際、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を用いることで付加重合体を水素化することができる。
(2)単環の非晶性シクロオレフィン系樹脂
単環の非晶性シクロオレフィン系樹脂としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環のシクロオレフィン単量体の付加重合体及びその水素化物を挙げることができる。
単環の非晶性シクロオレフィン系樹脂としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環のシクロオレフィン単量体の付加重合体及びその水素化物を挙げることができる。
(3)非晶性環状共役ジエン系樹脂
非晶性環状共役ジエン系樹脂としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−又は1,4−付加重合した重合体及びその水素化物を挙げることができる。
非晶性環状共役ジエン系樹脂としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−又は1,4−付加重合した重合体及びその水素化物を挙げることができる。
上記に例示した非晶性シクロオレフィン系樹脂の中でも、非晶性のノルボルネン系樹脂又はその水素化物が好ましく用いられる。
非晶性のノルボルネン系樹脂は、その分子構造が特に有機色素の配向を乱し難いと考えられ、有機色素を特に良好に配向させることができる。
非晶性のノルボルネン系樹脂は、その分子構造が特に有機色素の配向を乱し難いと考えられ、有機色素を特に良好に配向させることができる。
一般式(4)において、Cは、ノルボルネン骨格の置換基を表し、cは、その置換数を表す。前記Cは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、炭素数1〜6のアシルアミノ基、ジヒドロキシプロピル基等の炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、COOM基などのカルボキシル基、SO3M基などのスルホン酸基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲノ基を表す。前記cは、0〜12の整数を表す。前記cが2以上の場合、前記置換基Cは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。好ましくは、前記cは0〜5であり、より好ましくは0〜2であり、特に好ましくは0(即ち、無置換)である。なお、一般式(4)において、Cは炭素原子を表していない。
また、非晶性シクロオレフィン系樹脂が上記一般式(4)で表されるノルボルネン骨格を有する繰り返し単位を含む場合、非晶性シクロオレフィン系樹脂は、さらに下記一般式(5)及び一般式(6)で表される少なくとも一方の繰り返し単位を含むことが好ましく、より好ましくは、下記一般式(5)及び一般式(6)で表される両方の繰り返し単位を含む。
なお、非晶性シクロオレフィン系樹脂が、一般式(4)の繰り返し単位に加え一般式(5)及び/又は一般式(6)の繰り返し単位を含む場合、各繰り返し単位同士は共重合していてもよく、共重合せずに混合された状態(即ち、一般式(4)の繰り返し単位を有するポリマーと、一般式(5)の繰り返し単位を有するポリマー及び/又は一般式(6)の繰り返し単位を有するポリマーとが混合された状態)であってもよい。
なお、非晶性シクロオレフィン系樹脂が、一般式(4)の繰り返し単位に加え一般式(5)及び/又は一般式(6)の繰り返し単位を含む場合、各繰り返し単位同士は共重合していてもよく、共重合せずに混合された状態(即ち、一般式(4)の繰り返し単位を有するポリマーと、一般式(5)の繰り返し単位を有するポリマー及び/又は一般式(6)の繰り返し単位を有するポリマーとが混合された状態)であってもよい。
一般式(5)及び(6)において、D及びEは、上記一般式(4)のCと同様である。D及びEは、同一の置換基であってもよいし、互いに異なる置換基であってもよい。
一般式(5)において、dはDの置換数を表す。dは、0〜10の整数であり、好ましくは0〜5であり、より好ましくは0〜3であり、特に好ましくは0である。前記dが2以上の場合、前記Dは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。
一般式(6)において、eはEの置換数を表す。eは、0〜16の整数であり、好ましくは0〜8であり、より好ましくは0〜4であり、特に好ましくは0である。前記eが2以上の場合、前記Eは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。
一般式(5)において、dはDの置換数を表す。dは、0〜10の整数であり、好ましくは0〜5であり、より好ましくは0〜3であり、特に好ましくは0である。前記dが2以上の場合、前記Dは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。
一般式(6)において、eはEの置換数を表す。eは、0〜16の整数であり、好ましくは0〜8であり、より好ましくは0〜4であり、特に好ましくは0である。前記eが2以上の場合、前記Eは、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。
シクロオレフィン系樹脂の重量平均分子量(MwA)は、特に限定されないが、通常通常20,000〜150,000であり、好ましくは25,000〜100,000であり、より好ましくは25,000〜60,000であり、特に好ましくは30,000〜40,000である。
なお、重量平均分子量(MwA)は、直角レーザー光散乱検出器を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
なお、重量平均分子量(MwA)は、直角レーザー光散乱検出器を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
配向層は、その性質が光学的異方性を示す異方性配向層であってもよく、実質的に光学的等方性を示す等方性配向層であってもよいが、等方性配向層であることが好ましい。配向層が実質的に光学的等方性であれば、配向層の光学的性質によって偏光板全体の光学特性が左右されない。そのため、基板や偏光層(有機色素)を変更することによって偏光板全体が所望の光学的性質を示すように調整することができる。光学的性質が実質的に等方性である配向層は、非晶性のシクロオレフィン系樹脂を用いることで形成することができ、特に非晶性のノルボルネン系樹脂を用いることで容易に形成することができる。
なお、「実質的に光学的等方性である」とは、配向層の屈折率楕円体が、nx=nz=nyである場合だけでなく、nx≒nz≒nyである場合を含む。具体的には、配向層の面内複屈折率Δnxy(Δnxy=nx−ny)の絶対値、及び厚み方向複屈折率Δnxz(Δnxz=nx−nz)の絶対値が、0.0005以下である場合を含み、好ましくは0.0001以下であり、より好ましくは0.00005以下である。
なお、「nx」は、23℃、波長590nmにおいて、測定対象となる層(ここでは、配向層)面内の屈折率が最大となる方向(X軸方向)における屈折率を表し、前記「ny」は、同面内でX軸方向に対して直交する方向(Y軸方向)における屈折率を表し、前記「nz」は、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向(厚み方向)における屈折率を表す。
なお、「実質的に光学的等方性である」とは、配向層の屈折率楕円体が、nx=nz=nyである場合だけでなく、nx≒nz≒nyである場合を含む。具体的には、配向層の面内複屈折率Δnxy(Δnxy=nx−ny)の絶対値、及び厚み方向複屈折率Δnxz(Δnxz=nx−nz)の絶対値が、0.0005以下である場合を含み、好ましくは0.0001以下であり、より好ましくは0.00005以下である。
なお、「nx」は、23℃、波長590nmにおいて、測定対象となる層(ここでは、配向層)面内の屈折率が最大となる方向(X軸方向)における屈折率を表し、前記「ny」は、同面内でX軸方向に対して直交する方向(Y軸方向)における屈折率を表し、前記「nz」は、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向(厚み方向)における屈折率を表す。
配向層の厚みは特に限定されないが、通常2μm〜50μmであり、好ましくは2μm〜20μmであり、特に好ましくは2μm〜10μmである。
配向層が等方性配向層である場合、その面内位相差値(Re)は、好ましくは−30nm〜30nmであり、より好ましくは−20nm〜20nmであり、特に好ましくは−10nm〜10nmである。また、その厚み方向位相差値(Rth)は、好ましくは−30nm〜30nmであり、より好ましくは−20nm〜20nmであり、特に好ましくは−10nm〜10nmである。
なお、面内位相差値(Re)は、23℃、波長590nmの光で測定した配向層の面内の位相差値を意味する。面内位相差値(Re)は、配向層の厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx−ny)×dによって求めることができる。
また、厚み方向の位相差値(Rth)は、23℃、波長590nmの光で測定した配向層の厚み方向の位相差値を意味する。厚み方向位相差値(Rth)は、配向層の厚みをd(nm)としたとき、Rth=(nx−nz)×dによって求めることができる。
配向層が等方性配向層である場合、その面内位相差値(Re)は、好ましくは−30nm〜30nmであり、より好ましくは−20nm〜20nmであり、特に好ましくは−10nm〜10nmである。また、その厚み方向位相差値(Rth)は、好ましくは−30nm〜30nmであり、より好ましくは−20nm〜20nmであり、特に好ましくは−10nm〜10nmである。
なお、面内位相差値(Re)は、23℃、波長590nmの光で測定した配向層の面内の位相差値を意味する。面内位相差値(Re)は、配向層の厚みをd(nm)としたとき、Re=(nx−ny)×dによって求めることができる。
また、厚み方向の位相差値(Rth)は、23℃、波長590nmの光で測定した配向層の厚み方向の位相差値を意味する。厚み方向位相差値(Rth)は、配向層の厚みをd(nm)としたとき、Rth=(nx−nz)×dによって求めることができる。
[基板]
基板は、配向層と偏光層の下側に配置されており、両層を支持する部材である。もっとも、本発明の偏光板は、基板を有していなくてもよい。
基板の材質は特に特に限定されず、例えば、ガラス基板、石英基板、樹脂フィルム、液晶フィルム、シリコン基板などが挙げられる。好ましくは、ガラス基板又は樹脂フィルムが用いられ、特に好ましくは樹脂フィルムが用いられる。
基板は、配向層と偏光層の下側に配置されており、両層を支持する部材である。もっとも、本発明の偏光板は、基板を有していなくてもよい。
基板の材質は特に特に限定されず、例えば、ガラス基板、石英基板、樹脂フィルム、液晶フィルム、シリコン基板などが挙げられる。好ましくは、ガラス基板又は樹脂フィルムが用いられ、特に好ましくは樹脂フィルムが用いられる。
前記ガラス基板としては、任意の適切なものが選択され得る。前記ガラス基板としては、例えば、アルカリ成分を含むソーダ石灰(青板)ガラス、低アルカリ硼砂酸ガラスなどが挙げられる。
前記樹脂フィルムの形成材料は特に限定されず、任意の適切なものが選択され得るが、樹脂フィルム(基板)は、実質的にシクロオレフィン系樹脂を含まないことが好ましい。
ここで、「実質的にシクロオレフィン系樹脂を含まない」とは、シクロオレフィン系樹脂が基板中に完全に含まれない場合だけでなく、シクロオレフィン系樹脂が3質量%以下含まれる場合を含む。
樹脂フィルムの形成材料として、好ましくは、熱可塑性ポリマーを含むフィルムが挙げられる。前記熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、セルロース系、スチレン系、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリアミド系、ポリアセタール系、ポリカーボネート系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリアリレート系、ポリイミド系などが挙げられる。これらの熱可塑性ポリマーは、1種単独で、又は2種類以上を併用してもよい。また、透明性に優れたポリマーフィルム(例えば、ヘイズ値5%以下のフィルム)を用いることが好ましい。
基板の厚みは、特に限定されない。薄型軽量化の観点から、基板の厚みは、好ましくは300μm以下、さらに好ましくは5μm〜200μm、より好ましくは10μm〜100μmである。
ここで、「実質的にシクロオレフィン系樹脂を含まない」とは、シクロオレフィン系樹脂が基板中に完全に含まれない場合だけでなく、シクロオレフィン系樹脂が3質量%以下含まれる場合を含む。
樹脂フィルムの形成材料として、好ましくは、熱可塑性ポリマーを含むフィルムが挙げられる。前記熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、セルロース系、スチレン系、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリアミド系、ポリアセタール系、ポリカーボネート系、ポリブチレンテレフタレート系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリアリレート系、ポリイミド系などが挙げられる。これらの熱可塑性ポリマーは、1種単独で、又は2種類以上を併用してもよい。また、透明性に優れたポリマーフィルム(例えば、ヘイズ値5%以下のフィルム)を用いることが好ましい。
基板の厚みは、特に限定されない。薄型軽量化の観点から、基板の厚みは、好ましくは300μm以下、さらに好ましくは5μm〜200μm、より好ましくは10μm〜100μmである。
樹脂フィルムの形成材料である樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、好ましくは180℃以下であり、より好ましくは150℃以下であり、さらに好ましくは120℃以下であり、特に好ましくは100℃以下である。ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じたDSC法によって求めることができる。
ガラス転移温度が低い樹脂は、一般的に、ガラス転移温度が高い(180℃を超える)樹脂よりも結晶度が低く、透過率が高い傾向にある。従って、180℃以下のガラス転移温度を有する樹脂を基板の形成材料として用いることで、透過率の高い偏光板を形成することができる。
なお、一般的な配向層は、その形成工程において高温焼成が必要とされる。例えば、ポリイミドを含む配向層は、ポリアミド酸をポリイミド化するため、一般に200℃程度の高温焼成を必要とする。樹脂フィルムのガラス転移温度は一般的に低いため、このような高温焼成を必要とする配向層を基板(樹脂フィルム)上に形成しようとすると、高温焼成により基板に変形や劣化が生じる虞があり、好ましくない。
これに対し、本発明の配向層は、180℃以下のガラス転移温度を有する基板上にも、基板の変形や劣化を生じることなく形成することができる。
ガラス転移温度が低い樹脂は、一般的に、ガラス転移温度が高い(180℃を超える)樹脂よりも結晶度が低く、透過率が高い傾向にある。従って、180℃以下のガラス転移温度を有する樹脂を基板の形成材料として用いることで、透過率の高い偏光板を形成することができる。
なお、一般的な配向層は、その形成工程において高温焼成が必要とされる。例えば、ポリイミドを含む配向層は、ポリアミド酸をポリイミド化するため、一般に200℃程度の高温焼成を必要とする。樹脂フィルムのガラス転移温度は一般的に低いため、このような高温焼成を必要とする配向層を基板(樹脂フィルム)上に形成しようとすると、高温焼成により基板に変形や劣化が生じる虞があり、好ましくない。
これに対し、本発明の配向層は、180℃以下のガラス転移温度を有する基板上にも、基板の変形や劣化を生じることなく形成することができる。
基板は、その光学的特性が異方性である異方性基板(例えば、位相差フィルム)であってもよく、その光学的特性が実質的に等方性である等方性基板であってもよい。基板の光学的特性は、偏光板の用途等を考慮して適宜変更することができる。なお、「光学的性質が異方性」であるとは、基板の屈折率楕円体が、nx=ny=nzの関係及びnx≒ny≒nzの関係を満足しないことをいう。
また、図4に示すように、基板2がベース層21と位相差層22の2層を有する場合、ベース層21は、上記に例示した基板の形成材料と同様の材料を用いて形成することができる。位相差層22としては、従来公知の任意の位相差フィルムを用いることができる。
また、基板の表面は、剥離性を有していてもよい。基板の表面が剥離性を有することで、基板の表面上に形成された配向層及び偏光層を含む積層体を基板から容易に剥離することができ、この積層体を被着体に貼り付けることができる。前記積層体を被着体に貼り付けることで、配向層、偏光層、及び被着体を有する新たな偏光板を構成することができる。
剥離性は、基板の形成材料自体が元来有する性質であってもよく、剥離処理によって基板表面に付与された性質であってもよい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、シクロオレフィン系樹脂との接着性が元来低いため、基板としてポリエチレンテレフタレート系のフィルムを用いた場合、基板表面は配向層(シクロオレフィン系樹脂)に対して剥離性を有する。また、剥離処理としては、例えば、基板表面に対するシリコーンの塗布などが挙げられる。
被着体としては、例えば、ガラス板;液晶パネル;トリアセチルセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを含む汎用樹脂フィルム;1/4波長板や3/4波長板などの位相差フィルム;上記と同様な剥離性を有する基板などが挙げられる。積層体を被着体に貼り付けて構成された偏光板の構成については、後の[偏光板の用途]の欄にて詳述する。
剥離性は、基板の形成材料自体が元来有する性質であってもよく、剥離処理によって基板表面に付与された性質であってもよい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、シクロオレフィン系樹脂との接着性が元来低いため、基板としてポリエチレンテレフタレート系のフィルムを用いた場合、基板表面は配向層(シクロオレフィン系樹脂)に対して剥離性を有する。また、剥離処理としては、例えば、基板表面に対するシリコーンの塗布などが挙げられる。
被着体としては、例えば、ガラス板;液晶パネル;トリアセチルセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを含む汎用樹脂フィルム;1/4波長板や3/4波長板などの位相差フィルム;上記と同様な剥離性を有する基板などが挙げられる。積層体を被着体に貼り付けて構成された偏光板の構成については、後の[偏光板の用途]の欄にて詳述する。
本発明の偏光板は、シクロオレフィン系樹脂を含む配向層を有し、この配向層の上に偏光層が形成されている。シクロオレフィン系樹脂を含む配向層は強い配向規制力を有する。従って、本願発明の偏光板は、優れた偏光特性を示す。
また、本発明では、配向層がシクロオレフィン系樹脂を含んでいるため、塗膜を高温度で焼成しなくても配向層を形成し得る。従って、シクロオレフィン系樹脂を含む配向層は、ガラス転移温度(Tg)が比較的低い基板にも適用することができる。即ち、シクロオレフィン系樹脂を含む配向層は、様々な基板に適用することができる。
また、本発明では、配向層がシクロオレフィン系樹脂を含んでいるため、塗膜を高温度で焼成しなくても配向層を形成し得る。従って、シクロオレフィン系樹脂を含む配向層は、ガラス転移温度(Tg)が比較的低い基板にも適用することができる。即ち、シクロオレフィン系樹脂を含む配向層は、様々な基板に適用することができる。
[偏光板の製造方法]
本発明の偏光板の製造方法は、少なくとも下記工程A乃至工程C、並びに、工程E及び工程Fを経て製造される。必要に応じて、工程Fの後、下記工程Gを行ってもよい。また、必要に応じて、工程Cの後であって工程Eの前に、下記工程Dを行ってもよい。
工程A:前記シクロオレフィン系樹脂を含む第1のコーティング液を塗布し、第1の塗膜を形成する工程。
工程B:前記第1の塗膜を乾燥し、第1の乾燥塗膜を形成する工程。
工程C:前記第1の乾燥塗膜の表面に配向処理を施し、配向層を形成する工程。
工程D:工程Cで得られた配向層の表面に、親水化処理を施す工程。
工程E:前記有機色素を含む第2のコーティング液を配向層上に塗布し、第2の塗膜を形成する工程。
工程F:前記第2の塗膜を乾燥し、第2の乾燥塗膜である偏光層を形成する工程。
工程G:工程Eで得られた偏光層の表面に、耐水化処理を施す工程。
本発明の偏光板の製造方法は、少なくとも下記工程A乃至工程C、並びに、工程E及び工程Fを経て製造される。必要に応じて、工程Fの後、下記工程Gを行ってもよい。また、必要に応じて、工程Cの後であって工程Eの前に、下記工程Dを行ってもよい。
工程A:前記シクロオレフィン系樹脂を含む第1のコーティング液を塗布し、第1の塗膜を形成する工程。
工程B:前記第1の塗膜を乾燥し、第1の乾燥塗膜を形成する工程。
工程C:前記第1の乾燥塗膜の表面に配向処理を施し、配向層を形成する工程。
工程D:工程Cで得られた配向層の表面に、親水化処理を施す工程。
工程E:前記有機色素を含む第2のコーティング液を配向層上に塗布し、第2の塗膜を形成する工程。
工程F:前記第2の塗膜を乾燥し、第2の乾燥塗膜である偏光層を形成する工程。
工程G:工程Eで得られた偏光層の表面に、耐水化処理を施す工程。
<工程A>
第1のコーティング液は、シクロオレフィン系樹脂と、シクロオレフィン系樹脂を溶解又は分散させる溶媒と、を含む。第1のコーティング液に含まれるシクロオレフィン系樹脂は、特に限定されず、上述したものを用いることができる。第1のコーティング液は、溶媒に、シクロオレフィン系樹脂を溶解又は分散させることによって得られる。
なお、必要に応じて、シクロオレフィン系樹脂以外の他のポリマー、及び/又は添加剤などを前記溶媒に添加してもよい。
第1のコーティング液は、シクロオレフィン系樹脂と、シクロオレフィン系樹脂を溶解又は分散させる溶媒と、を含む。第1のコーティング液に含まれるシクロオレフィン系樹脂は、特に限定されず、上述したものを用いることができる。第1のコーティング液は、溶媒に、シクロオレフィン系樹脂を溶解又は分散させることによって得られる。
なお、必要に応じて、シクロオレフィン系樹脂以外の他のポリマー、及び/又は添加剤などを前記溶媒に添加してもよい。
前記溶媒は、特に限定されず、従来公知の溶媒を用いることができるが、有機溶媒が好ましい。前記有機溶媒としては、水との混和性が低く、且つシクロオレフィン系樹脂を溶解可能であるものが好ましい。前記有機溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、THF(テトラヒドロフラン)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。特に、NMP(N−メチルピロリドン)、DMF(N,N−ジメチルホルミアミド)、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)等の高極性非プロトン溶媒が好ましい。これらは単独で使用してもよく、複数組合わせて使用してもよい。
第1のコーティング液中におけるシクロオレフィン系樹脂の濃度は、特に限定されず、例えば、5質量%〜50質量%であり、好ましくは10質量%〜50質量%であり、特に好ましくは10質量%〜30質量%である。
第1のコーティング液を塗布することにより、第1のコーティング液が膜状になった第1の塗膜が形成される。
第1のコーティング液の塗布方法は特に限定されず、例えば、従来公知のコータを用いた塗布方法を採用できる。前記コータとしては、バーコータ、ロールコータ、スピンコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータなどが挙げられる。
また、第1のコーティング液を塗布する対象(塗布面)は特に限定されず、好ましくは、上記基板が用いられる。基板の表面は離型性を有していてもよく、離型性を有していなくてもよい。本欄で例示する偏光板の製造方法では、工程Aにおいて基板の表面に第1のコーティング液を塗布した場合を想定して以降の工程を説明する。
第1のコーティング液の塗布方法は特に限定されず、例えば、従来公知のコータを用いた塗布方法を採用できる。前記コータとしては、バーコータ、ロールコータ、スピンコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータなどが挙げられる。
また、第1のコーティング液を塗布する対象(塗布面)は特に限定されず、好ましくは、上記基板が用いられる。基板の表面は離型性を有していてもよく、離型性を有していなくてもよい。本欄で例示する偏光板の製造方法では、工程Aにおいて基板の表面に第1のコーティング液を塗布した場合を想定して以降の工程を説明する。
<工程B>
第1の塗膜を乾燥することにより、第1の塗膜に含まれる溶媒が揮発し、固形のシクロオレフィン系樹脂を含む層(第1の乾燥塗膜)が形成される。
乾燥方法は特に限定されず、自然乾燥や強制的な乾燥を実施できる。強制的な乾燥としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。好ましくは、自然乾燥が用いられる。
乾燥時間は、乾燥温度や溶媒の種類によって、適宜、選択され得る。例えば、自然乾燥の場合には、乾燥時間は、好ましくは1秒〜120分であり、より好ましくは10秒〜5分である。
また、乾燥温度は特に限定されないが、基板のガラス転移温度(Tg)よりも低いことが好ましい。乾燥温度が基板のガラス転移温度を超えると、基板の性質(機械的強度や光学特性等)が変質する虞がある。具体的には、乾燥温度は、好ましくは10℃〜100℃であり、より好ましくは10℃〜90℃であり、特に好ましくは10℃〜80℃である。
なお、乾燥温度とは、第1の塗膜の表面や内部の温度ではなく、第1の塗膜を乾燥する雰囲気の温度を意味する。
本発明では、配向層の形成材料としてシクロオレフィン系樹脂を用いているため、配向層を形成するのに第1の塗膜を高温で焼成しなくてもよい。
第1の塗膜を乾燥することにより、第1の塗膜に含まれる溶媒が揮発し、固形のシクロオレフィン系樹脂を含む層(第1の乾燥塗膜)が形成される。
乾燥方法は特に限定されず、自然乾燥や強制的な乾燥を実施できる。強制的な乾燥としては、例えば、減圧乾燥、加熱乾燥、減圧加熱乾燥などが挙げられる。好ましくは、自然乾燥が用いられる。
乾燥時間は、乾燥温度や溶媒の種類によって、適宜、選択され得る。例えば、自然乾燥の場合には、乾燥時間は、好ましくは1秒〜120分であり、より好ましくは10秒〜5分である。
また、乾燥温度は特に限定されないが、基板のガラス転移温度(Tg)よりも低いことが好ましい。乾燥温度が基板のガラス転移温度を超えると、基板の性質(機械的強度や光学特性等)が変質する虞がある。具体的には、乾燥温度は、好ましくは10℃〜100℃であり、より好ましくは10℃〜90℃であり、特に好ましくは10℃〜80℃である。
なお、乾燥温度とは、第1の塗膜の表面や内部の温度ではなく、第1の塗膜を乾燥する雰囲気の温度を意味する。
本発明では、配向層の形成材料としてシクロオレフィン系樹脂を用いているため、配向層を形成するのに第1の塗膜を高温で焼成しなくてもよい。
<工程C>
第1の乾燥塗膜の表面に配向処理を施すことにより配向層が形成される(第1の乾燥塗膜が配向処理により配向層となる)。配向処理は、機械的配向処理であってもよく、化学的配向処理であってもよい。
機械的配向処理とは、第1の乾燥塗膜の表面に機材を接触させることにより、その表面に配向規制力を付与する方法であり、例えば、ラビング処理が挙げられる。ラビング処理とは、前記機材として無数のパイルを植設したラビング布を用いる方法である。ラビング布で第1の乾燥塗膜の表面を擦ることによって、第1の乾燥塗膜の表面に配向規制力を付与することができる。
他方、化学的配向処理とは、第1の乾燥塗膜の表面に、第1の乾燥塗膜と非接触な手段によって配向規制力を付与する方法であり、例えば、光化学反応を用いた配向処理が挙げられる。光化学反応を用いた配向処理は、予め第1のコーティング液に配向剤を含ませておき、そして第1の乾燥塗膜に光を照射することによって実施することができる。配向剤としては、例えば、光化学反応を生じる光反応性官能基を有するポリマーなどが挙げられる。光化学反応としては、例えば、光異性化反応、光開閉環反応、光二量化反応、光分解反応、光フリース転移反応などが挙げられる。
第1の乾燥塗膜の表面に配向処理を施すことにより配向層が形成される(第1の乾燥塗膜が配向処理により配向層となる)。配向処理は、機械的配向処理であってもよく、化学的配向処理であってもよい。
機械的配向処理とは、第1の乾燥塗膜の表面に機材を接触させることにより、その表面に配向規制力を付与する方法であり、例えば、ラビング処理が挙げられる。ラビング処理とは、前記機材として無数のパイルを植設したラビング布を用いる方法である。ラビング布で第1の乾燥塗膜の表面を擦ることによって、第1の乾燥塗膜の表面に配向規制力を付与することができる。
他方、化学的配向処理とは、第1の乾燥塗膜の表面に、第1の乾燥塗膜と非接触な手段によって配向規制力を付与する方法であり、例えば、光化学反応を用いた配向処理が挙げられる。光化学反応を用いた配向処理は、予め第1のコーティング液に配向剤を含ませておき、そして第1の乾燥塗膜に光を照射することによって実施することができる。配向剤としては、例えば、光化学反応を生じる光反応性官能基を有するポリマーなどが挙げられる。光化学反応としては、例えば、光異性化反応、光開閉環反応、光二量化反応、光分解反応、光フリース転移反応などが挙げられる。
配向処理は、好ましくは、機械的配向処理が用いられ、より好ましくはラビング処理が用いられる。化学的配向処理を用いた場合、予め第1のコーティング液に配向剤を混入しなければならず、この配向剤分子の化学的構造が有機色素の配向を乱す虞があるためである。
<工程D>
配向層の表面に親水化処理を施すことで配向層に親水性を付与することができる。
親水化処理は、例えば、乾式処理でもよく、又は、湿式処理でもよい。乾式処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理及びグロー放電処理などの放電処理;火炎処理;オゾン処理;UVオゾン処理;紫外線処理などの電離活性線処理などが挙げられる。湿式処理としては、例えば、水やアセトンなどの溶媒を用いた超音波処理;アルカリ処理;アンカーコート処理などが挙げられる。これらの処理は、1種単独で、又は2種類以上を併用してもよい。
前記親水化処理としては、好ましくは、コロナ処理、プラズマ処理、UVオゾン処理から選ばれる少なくとも1つを採用できる。かかる親水化処理を行えば、配向層の表面に極性を確実に付与できる。
配向層の表面に親水化処理を施すことで配向層に親水性を付与することができる。
親水化処理は、例えば、乾式処理でもよく、又は、湿式処理でもよい。乾式処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理及びグロー放電処理などの放電処理;火炎処理;オゾン処理;UVオゾン処理;紫外線処理などの電離活性線処理などが挙げられる。湿式処理としては、例えば、水やアセトンなどの溶媒を用いた超音波処理;アルカリ処理;アンカーコート処理などが挙げられる。これらの処理は、1種単独で、又は2種類以上を併用してもよい。
前記親水化処理としては、好ましくは、コロナ処理、プラズマ処理、UVオゾン処理から選ばれる少なくとも1つを採用できる。かかる親水化処理を行えば、配向層の表面に極性を確実に付与できる。
<工程E>
第2のコーティング液は、上記有機色素と、有機色素を溶解又は分散させる溶媒と、を含む。第2のコーティング液に含まれる有機色素は、リオトロピック液晶性を有し、且つ、超分子会合体を形成し得るものであれば特に限定されない。第2のコーティング液は、溶媒に、有機色素を溶解又は分散させることによって得られる。
なお、必要に応じて、有機色素以外の他のポリマー、及び/又は添加剤などを前記溶媒に添加してもよい。
第2のコーティング液は、上記有機色素と、有機色素を溶解又は分散させる溶媒と、を含む。第2のコーティング液に含まれる有機色素は、リオトロピック液晶性を有し、且つ、超分子会合体を形成し得るものであれば特に限定されない。第2のコーティング液は、溶媒に、有機色素を溶解又は分散させることによって得られる。
なお、必要に応じて、有機色素以外の他のポリマー、及び/又は添加剤などを前記溶媒に添加してもよい。
前記溶媒は、特に限定されず、従来公知の溶媒を用いることができるが、水系溶媒が好ましい。水系溶媒としては、水、親水性溶媒、水と親水性溶媒の混合溶媒などが挙げられる。前記親水性溶媒は、水に略均一に溶解する溶媒である。親水性溶媒としては、例えば、メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコールなどのグリコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;などが挙げられる。上記水系溶媒は、好ましくは、水、又は、水と親水性溶媒の混合溶媒が用いられる。
第2のコーティング液は、液温や有機色素の濃度などを変化させることにより、リオトロピック液晶相を示す。リオトロピック液晶相は、有機色素が液中で超分子会合体を形成することによって生じる。リオトロピック液晶相は、偏光顕微鏡で観察される光学模様によって、確認、識別できる。
第2のコーティング液中における有機色素の濃度は、それが液晶相を示すように調製することが好ましい。第2のコーティング液中における有機色素の濃度は、通常0.05質量%〜50質量%であり、好ましくは0.5質量%〜40質量%であり、より好ましくは2質量%〜30質量%である。
また、第2のコーティング液は、適切なpHに調整される。コーティング液のpHは、好ましくはpH2〜10程度、より好ましくはpH6〜8程度である。
さらに、第2のコーティング液の温度は、好ましくは10℃〜40℃、より好ましくは15℃〜30℃に調整される。
また、第2のコーティング液は、適切なpHに調整される。コーティング液のpHは、好ましくはpH2〜10程度、より好ましくはpH6〜8程度である。
さらに、第2のコーティング液の温度は、好ましくは10℃〜40℃、より好ましくは15℃〜30℃に調整される。
第2のコーティング液を配向層上に塗布することにより、第2のコーティング液が膜状になった第2の塗膜が形成される。第2の塗膜内において、有機色素は配向層表面の配向規制力によって所定の方向に配向する。
第2のコーティング液の塗布方法は特に限定されず、上記第1のコーティング液の塗布方法と同様の方法を採用することができる。
第2のコーティング液の塗布方法は特に限定されず、上記第1のコーティング液の塗布方法と同様の方法を採用することができる。
<工程F>
第2の塗膜を乾燥することにより、第2の塗膜に含まれる溶媒が揮発し、固形の有機色素を含む第2の乾燥塗膜(偏光層)が形成される。偏光層内において、有機色素は超分子会合体を形成したままその配向が固定されている。
工程Fを経ることにより、下から順に、基板、配向層、及び偏光層が積層された偏光板が形成される。
なお、第2の塗膜の乾燥方法や乾燥条件などは特に限定されず、上記工程Bと同様の方法・条件によって乾燥できる。
第2の塗膜を乾燥することにより、第2の塗膜に含まれる溶媒が揮発し、固形の有機色素を含む第2の乾燥塗膜(偏光層)が形成される。偏光層内において、有機色素は超分子会合体を形成したままその配向が固定されている。
工程Fを経ることにより、下から順に、基板、配向層、及び偏光層が積層された偏光板が形成される。
なお、第2の塗膜の乾燥方法や乾燥条件などは特に限定されず、上記工程Bと同様の方法・条件によって乾燥できる。
<工程G>
偏光層に耐水化処理液を接触させることによって偏光層に耐水性を付与することができる。
偏光層を耐水化処理液に接触させる方法は、特に限定されない。前記接触方法としては、(a)偏光層の表面に耐水化処理液を塗布する、(b)耐水化処理液が満たされた浴中に偏光板を浸漬する、(c)耐水化処理液が満たされた浴中に偏光板を通過させる、などの方法が挙げられる。前記(a)の耐水化処理液の塗布は、適宜なコータ、又は、スプレーなどを用いて実施できる。
これらの中では、前記(b)偏光板を耐水化処理液中に浸漬する、及び、前記(c)偏光板を耐水化処理液中に通過させる、の何れかの方法が好ましい。この方法によれば、偏光層全体に耐水化処理液を確実に接触させることができる。また、この方法によれば、偏光層内に耐水化処理液が浸透し易くなる。
耐水化処理直後の偏光板の偏光層の表面が十分に湿潤となるように、前記耐水化処理液を偏光層中に十分に浸透させることが好ましい。特に、前記(b)又は(c)の方法によれば、耐水化処理液を偏光層中に十分に浸透させることができ、さらに、処理浴から偏光板を出した直後には、十分な量の処理液で表面が湿った偏光層を得ることができる。
偏光層に耐水化処理液を接触させることによって偏光層に耐水性を付与することができる。
偏光層を耐水化処理液に接触させる方法は、特に限定されない。前記接触方法としては、(a)偏光層の表面に耐水化処理液を塗布する、(b)耐水化処理液が満たされた浴中に偏光板を浸漬する、(c)耐水化処理液が満たされた浴中に偏光板を通過させる、などの方法が挙げられる。前記(a)の耐水化処理液の塗布は、適宜なコータ、又は、スプレーなどを用いて実施できる。
これらの中では、前記(b)偏光板を耐水化処理液中に浸漬する、及び、前記(c)偏光板を耐水化処理液中に通過させる、の何れかの方法が好ましい。この方法によれば、偏光層全体に耐水化処理液を確実に接触させることができる。また、この方法によれば、偏光層内に耐水化処理液が浸透し易くなる。
耐水化処理直後の偏光板の偏光層の表面が十分に湿潤となるように、前記耐水化処理液を偏光層中に十分に浸透させることが好ましい。特に、前記(b)又は(c)の方法によれば、耐水化処理液を偏光層中に十分に浸透させることができ、さらに、処理浴から偏光板を出した直後には、十分な量の処理液で表面が湿った偏光層を得ることができる。
前記耐水化処理液は、特に限定されず、従来公知なものを用いることができる。前記耐水化処理液は、例えば、前記有機色素を架橋する機能を有する架橋剤と、その架橋剤を溶解又は分散する溶媒と、を含む。
架橋剤としては、例えば、有機窒素化合物を挙げることができ、前記溶媒としては、例えば、水系溶媒を挙げることができる。
有機窒素化合物としては、その分子中に2個以上のカチオン性基(好ましくは、窒素原子を含むカチオン性基)を有する非環式の有機窒素化合物などが好ましく用いられる。非環式の有機窒素化合物(非環式の脂肪族窒素化合物)としては、例えば、アルキレンジアミンなどの脂肪族ジアミン又はその塩;アルキレントリアミンなどの脂肪族トリアミン又はその塩;アルキレンテトラアミンなどの脂肪族テトラアミン又はその塩;アルキレンペンタアミンなどの脂肪族ペンタアミン又はその塩;アルキレンエーテルジアミンなどの脂肪族エーテルジアミン又はその塩などが挙げられる。
前記水系溶媒としては、上記工程Dの欄で例示したものを用いることができる。
架橋剤としては、例えば、有機窒素化合物を挙げることができ、前記溶媒としては、例えば、水系溶媒を挙げることができる。
有機窒素化合物としては、その分子中に2個以上のカチオン性基(好ましくは、窒素原子を含むカチオン性基)を有する非環式の有機窒素化合物などが好ましく用いられる。非環式の有機窒素化合物(非環式の脂肪族窒素化合物)としては、例えば、アルキレンジアミンなどの脂肪族ジアミン又はその塩;アルキレントリアミンなどの脂肪族トリアミン又はその塩;アルキレンテトラアミンなどの脂肪族テトラアミン又はその塩;アルキレンペンタアミンなどの脂肪族ペンタアミン又はその塩;アルキレンエーテルジアミンなどの脂肪族エーテルジアミン又はその塩などが挙げられる。
前記水系溶媒としては、上記工程Dの欄で例示したものを用いることができる。
耐水化処理液中における架橋剤の濃度は、好ましくは1質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは5質量%〜30質量%である。
耐水化処理液に偏光層を接触させると、偏光層中の有機色素間が架橋剤を介して架橋される。前記架橋により、耐水性及び機械的強度に優れた偏光層が得られる。
耐水化処理液に偏光層を接触させると、偏光層中の有機色素間が架橋剤を介して架橋される。前記架橋により、耐水性及び機械的強度に優れた偏光層が得られる。
[偏光板の用途]
本発明の偏光板は、好ましくは、画像表示装置内に組み込まれる。本発明の偏光板を有する画像表示装置は、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイなどを含む。前記画像表示装置の好ましい用途はテレビである。
本発明の偏光板が基板を有する場合、偏光板は、基板上に積層された状態で使用できる。また、基板の表面が剥離性を有する場合、配向層及び偏光層を含む積層体を基板の表面から剥離し、前記積層体を被着体に貼り合わせて新たな偏光板を構成することもできる。
例えば、図5(a)は、図1の偏光板1に含まれる配向層3及び偏光層4を基板2から剥離した後、偏光層4の上面に第1の被着体61を貼り付けた偏光板1Aを表している。この第1の被着体61が剥離性を有する場合、偏光板1Aに含まれる配向層3及び偏光層4を第1の被着体61から剥離した後、配向層3の下面に第2の被着体62を貼り付け、図5(b)に示すような偏光板1Bを構成することもできる。
また、図6は、図1の偏光板1に含まれる配向層3及び偏光層4を基板2から剥離した後、偏光層4の上面に第1の被着体61を貼り付け、配向層3の下面に第2の被着体62を貼り付けることで構成された偏光板1Cを表している。
本発明の偏光板は、好ましくは、画像表示装置内に組み込まれる。本発明の偏光板を有する画像表示装置は、液晶表示装置、有機ELディスプレイ、及びプラズマディスプレイなどを含む。前記画像表示装置の好ましい用途はテレビである。
本発明の偏光板が基板を有する場合、偏光板は、基板上に積層された状態で使用できる。また、基板の表面が剥離性を有する場合、配向層及び偏光層を含む積層体を基板の表面から剥離し、前記積層体を被着体に貼り合わせて新たな偏光板を構成することもできる。
例えば、図5(a)は、図1の偏光板1に含まれる配向層3及び偏光層4を基板2から剥離した後、偏光層4の上面に第1の被着体61を貼り付けた偏光板1Aを表している。この第1の被着体61が剥離性を有する場合、偏光板1Aに含まれる配向層3及び偏光層4を第1の被着体61から剥離した後、配向層3の下面に第2の被着体62を貼り付け、図5(b)に示すような偏光板1Bを構成することもできる。
また、図6は、図1の偏光板1に含まれる配向層3及び偏光層4を基板2から剥離した後、偏光層4の上面に第1の被着体61を貼り付け、配向層3の下面に第2の被着体62を貼り付けることで構成された偏光板1Cを表している。
本発明について、実施例及び比較例を示して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた各測定方法は、以下の通りである。
[配向層及び偏光層の厚みの測定方法]
配向層及び偏光層の厚みは、基板から配向層及び偏光層の一部を剥離し、3次元非接触表面形状計測システム((株)菱化システム製、製品名「Micromap MM5200」)を用いて、前記基板と配向層及び偏光層との段差を測定した。
配向層及び偏光層の厚みは、基板から配向層及び偏光層の一部を剥離し、3次元非接触表面形状計測システム((株)菱化システム製、製品名「Micromap MM5200」)を用いて、前記基板と配向層及び偏光層との段差を測定した。
[透過率及び二色比の測定方法]
偏光板の透過率(Ts)及び二色比は、分光光度計(日本分光(株)製、製品名「V−7100」)を用いて測定した。
なお、偏光板の透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。測定波長は、波長550nmであった。
また、測定対象の偏光板に、偏光層側から直線偏光の測定光を入射して、視感度補正したY値のk1及びk2を求めた。そのk1及びk2を下記式に代入して、二色比を求めた。ただし、前記k1は、偏光板の最大透過率方向における直線偏光の透過率を表し、前記k2は、前記最大透過率方向に直交する方向における直線偏光の透過率を表す。式:二色比=log(1/k2)/log(1/k1)。
偏光板の透過率(Ts)及び二色比は、分光光度計(日本分光(株)製、製品名「V−7100」)を用いて測定した。
なお、偏光板の透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。測定波長は、波長550nmであった。
また、測定対象の偏光板に、偏光層側から直線偏光の測定光を入射して、視感度補正したY値のk1及びk2を求めた。そのk1及びk2を下記式に代入して、二色比を求めた。ただし、前記k1は、偏光板の最大透過率方向における直線偏光の透過率を表し、前記k2は、前記最大透過率方向に直交する方向における直線偏光の透過率を表す。式:二色比=log(1/k2)/log(1/k1)。
[有機色素の合成]
4−ニトロアニリンと8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸とを、常法(細田豊著「理論製造 染料化学 第5版」昭和43年7月15日技法堂発行、135ページ乃至152ページに記載の方法)により、ジアゾ化及びカップリング反応させて、モノアゾ化合物を得た。得られたモノアゾ化合物を、前記常法によりジアゾ化し、さらに、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−ジスルホン酸リチウム塩とカップリング反応させて粗生成物を得た。これを塩化リチウムで塩析することによって、下記構造式(7)のジスアゾ化合物を得た。
4−ニトロアニリンと8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸とを、常法(細田豊著「理論製造 染料化学 第5版」昭和43年7月15日技法堂発行、135ページ乃至152ページに記載の方法)により、ジアゾ化及びカップリング反応させて、モノアゾ化合物を得た。得られたモノアゾ化合物を、前記常法によりジアゾ化し、さらに、1−アミノ−8−ナフトール−2,4−ジスルホン酸リチウム塩とカップリング反応させて粗生成物を得た。これを塩化リチウムで塩析することによって、下記構造式(7)のジスアゾ化合物を得た。
[実施例1]
下記構造式(I)乃至(III)で表される繰り返し単位を有するポリマーブレンドである非晶性ノルボルネン系ポリマー(日本ゼオン(株)社製、製品名「ZNX330R」)をシクロヘキサンに溶解させ、10質量%の第1のコーティング液を調製した。
下記構造式(I)乃至(III)で表される繰り返し単位を有するポリマーブレンドである非晶性ノルボルネン系ポリマー(日本ゼオン(株)社製、製品名「ZNX330R」)をシクロヘキサンに溶解させ、10質量%の第1のコーティング液を調製した。
トリアセチルセルロース(ガラス転移温度(Tg):163℃)からなる厚み80μmの基板(富士フィルム(株)製、製品名「TD80UL」)を用意し、基板上にバーコータ(BUSHMAN社製、製品名「Mayer rot HS5」)を用いて、第1のコーティング液を塗布し、第1の塗膜を得た。第1の塗膜を80℃の加熱下で10分間乾燥させることで第1の乾燥塗膜(厚み5μm)を形成した。
レーヨン布(吉川化工(株)製、製品名「YA−181−R」)をラビング布とし、このラビング布を鉄芯に巻き付けた状態で第1の乾燥塗膜の表面にラビング処理を施し配向層を形成した。その後、配向層の表面にテーブル式コロナ処理機を用いてコロナ処理を施した。このようにして基板と配向層の積層体を得た。
なお、2枚の試験用偏光板(ヨウ素系偏光板)をクロスニコルに配置し、両偏光板の間に実施例1で用いた基板のみを介在させた場合と、両偏光板の間に実施例1で作製した基板と配向層の積層体を介在させた場合と、を比較したところ、光漏れの程度は同じであった。ここから、配向層は、実質的に光学的等方性を示すと評価した。
レーヨン布(吉川化工(株)製、製品名「YA−181−R」)をラビング布とし、このラビング布を鉄芯に巻き付けた状態で第1の乾燥塗膜の表面にラビング処理を施し配向層を形成した。その後、配向層の表面にテーブル式コロナ処理機を用いてコロナ処理を施した。このようにして基板と配向層の積層体を得た。
なお、2枚の試験用偏光板(ヨウ素系偏光板)をクロスニコルに配置し、両偏光板の間に実施例1で用いた基板のみを介在させた場合と、両偏光板の間に実施例1で作製した基板と配向層の積層体を介在させた場合と、を比較したところ、光漏れの程度は同じであった。ここから、配向層は、実質的に光学的等方性を示すと評価した。
前記構造式(7)のジスアゾ化合物をイオン交換水に溶解することにより、4質量%の第2のコーティング液を調製した。
基板と配向層の積層体の表面(コロナ処理を施した配向層の表面)に、上記と同様のバーコータを用いて第2のコーティング液を塗布し第2の塗膜を得た。第2の塗膜を23℃の恒温室内で自然乾燥することにより、第2の乾燥塗膜(偏光層:厚み200nm)を形成した。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率42%、二色比34であった。
基板と配向層の積層体の表面(コロナ処理を施した配向層の表面)に、上記と同様のバーコータを用いて第2のコーティング液を塗布し第2の塗膜を得た。第2の塗膜を23℃の恒温室内で自然乾燥することにより、第2の乾燥塗膜(偏光層:厚み200nm)を形成した。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率42%、二色比34であった。
[実施例2]
基板として厚み38μmのポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度(Tg):150℃)からなるフィルム(三菱樹脂(株)製、製品名「ダイアホイルT100−38」)を用いたこと以外は実施例1と同様に偏光板を作製した。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率41%、二色比32であった。
基板として厚み38μmのポリエチレンテレフタレート(ガラス転移温度(Tg):150℃)からなるフィルム(三菱樹脂(株)製、製品名「ダイアホイルT100−38」)を用いたこと以外は実施例1と同様に偏光板を作製した。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率41%、二色比32であった。
[実施例3]
実施例2で作製した偏光板において、配向層及び偏光層を基板から剥離し、配向層及び偏光層のみからなる積層体を得た。得られた積層体の偏光層を被着体であるガラス板(松波硝子工業(株)製、製品名「MICRO SLIDE GLASS」、50mm×45mm、厚み1.3mm)の表面に粘着剤を介して接着することにより、下から順に配向層、偏光層、及びガラス板を有する偏光板を作製した(図5(a)参照)。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率40%、二色比31であった。
実施例2で作製した偏光板において、配向層及び偏光層を基板から剥離し、配向層及び偏光層のみからなる積層体を得た。得られた積層体の偏光層を被着体であるガラス板(松波硝子工業(株)製、製品名「MICRO SLIDE GLASS」、50mm×45mm、厚み1.3mm)の表面に粘着剤を介して接着することにより、下から順に配向層、偏光層、及びガラス板を有する偏光板を作製した(図5(a)参照)。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率40%、二色比31であった。
[比較例1]
基板上に配向層を形成せず、基板の表面にラビング処理及びコロナ処理を施し第2のコーティング液を塗布したこと以外は実施例1と同様に偏光板を作製した。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率41%、二色比3であった。
基板上に配向層を形成せず、基板の表面にラビング処理及びコロナ処理を施し第2のコーティング液を塗布したこと以外は実施例1と同様に偏光板を作製した。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率41%、二色比3であった。
[比較例2]
基板上に配向層を形成せず、基板の表面にラビング処理及びコロナ処理を施し第2のコーティング液を塗布したこと以外は実施例2と同様に偏光板を作製した。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率41%、二色比2であった。
基板上に配向層を形成せず、基板の表面にラビング処理及びコロナ処理を施し第2のコーティング液を塗布したこと以外は実施例2と同様に偏光板を作製した。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率41%、二色比2であった。
[比較例3]
ポリイミド前駆体であるポリアミド酸と溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)を含む第3のコーティング液を調製した。
厚み1.3mmのガラス基板上に、第3のコーティング液を塗布し、80℃で2分間乾燥させ、その後200℃で10分間焼成することでポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の表面に対し、実施例1と同様にラビング処理とコロナ処理を施すことでポリイミド配向層を形成した。その後、実施例1と同様に第2のコーティング液を配向層上に塗布・乾燥することで偏光板を作製した。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率41%、二色比23であった。
ポリイミド前駆体であるポリアミド酸と溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)を含む第3のコーティング液を調製した。
厚み1.3mmのガラス基板上に、第3のコーティング液を塗布し、80℃で2分間乾燥させ、その後200℃で10分間焼成することでポリイミド膜を形成した。このポリイミド膜の表面に対し、実施例1と同様にラビング処理とコロナ処理を施すことでポリイミド配向層を形成した。その後、実施例1と同様に第2のコーティング液を配向層上に塗布・乾燥することで偏光板を作製した。
このようにして得られた偏光板の光学特性を測定したところ、透過率41%、二色比23であった。
[評価]
シクロオレフィン系樹脂である非晶性ノルボルネン系ポリマーを含む配向層を用いた実施例1及び2の偏光板は、配向層を有しない比較例1及び2の偏光板よりも高い二色比を示した。ここから、配向層を設けることで偏光板の偏光特性が高くなることが分かる。
また、実施例1及び2の偏光板は、ポリイミドを含む配向層を有する比較例3の偏光板よりも高い二色比を示した。ここから、シクロオレフィン系樹脂を含む配向層を用いた方が、ポリイミドを含む配向層を用いるよりも二色比の高い偏光板を形成できることが分かる。
また、ポリアミドを含む配向層を形成するには、ポリアミド膜を焼成する必要があるため、第3のコーティング液を塗布する塗布面(基板)は、ポリアミド膜の焼成温度以上の耐熱性を有する必要がある。そのため、比較例3ではガラス基板を塗布面として用いている。
この点、実施例1及び2の偏光板はシクロオレフィン系樹脂を配向層の形成材料として用いているため、焼成を行わなくてよい。そのため、焼成温度に耐久性を有さない種々の基板(実施例1及び2では、樹脂フィルム)上で偏光板を作製することができる。
シクロオレフィン系樹脂である非晶性ノルボルネン系ポリマーを含む配向層を用いた実施例1及び2の偏光板は、配向層を有しない比較例1及び2の偏光板よりも高い二色比を示した。ここから、配向層を設けることで偏光板の偏光特性が高くなることが分かる。
また、実施例1及び2の偏光板は、ポリイミドを含む配向層を有する比較例3の偏光板よりも高い二色比を示した。ここから、シクロオレフィン系樹脂を含む配向層を用いた方が、ポリイミドを含む配向層を用いるよりも二色比の高い偏光板を形成できることが分かる。
また、ポリアミドを含む配向層を形成するには、ポリアミド膜を焼成する必要があるため、第3のコーティング液を塗布する塗布面(基板)は、ポリアミド膜の焼成温度以上の耐熱性を有する必要がある。そのため、比較例3ではガラス基板を塗布面として用いている。
この点、実施例1及び2の偏光板はシクロオレフィン系樹脂を配向層の形成材料として用いているため、焼成を行わなくてよい。そのため、焼成温度に耐久性を有さない種々の基板(実施例1及び2では、樹脂フィルム)上で偏光板を作製することができる。
本発明の偏光板は、液晶表示装置などの画像表示装置に利用できる。
また、本発明の偏光板の製造方法は、配向性に優れた偏光層を有する偏光板を製造する際に好適に利用できる。
また、本発明の偏光板の製造方法は、配向性に優れた偏光層を有する偏光板を製造する際に好適に利用できる。
1…偏光板、2…基板、3…配向層、4…偏光層、5…保護層
Claims (9)
- 配向層と、前記配向層上に設けられたリオトロピック液晶性を有する有機色素を含む偏光層と、を有し、
前記偏光層内において前記有機色素が超分子会合体を形成しており、
前記配向層が、シクロオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする偏光板。 - さらに基板を有し、前記基板上に前記配向層が設けられた請求項1に記載の偏光板。
- 前記シクロオレフィン系樹脂が、非晶性である請求項1又は2に記載の偏光板。
- 前記シクロオレフィン系樹脂が、ノルボルネン系樹脂である請求項1乃至3の何れか一項に記載の偏光板。
- 前記配向層が、実質的に光学的等方性を示す等方性配向層である請求項1乃至4の何れか一項に記載の偏光板。
- 前記基板が樹脂フィルムであり、前記樹脂フィルムに含まれる樹脂のガラス転移温度(Tg)が、180℃以下である請求項2乃至5の何れか一項に記載の偏光板。
- 前記基板の表面が剥離性を有する請求項2乃至6の何れか一項に記載の偏光板。
- シクロオレフィン系樹脂を含む第1のコーティング液を塗布し、第1の塗膜を形成する工程と、
前記第1の塗膜を乾燥し、第1の乾燥塗膜を形成する工程と、
前記第1の乾燥塗膜の表面に配向処理を施し、配向層を形成する工程と、
有機色素を含む第2のコーティング液を前記配向層上に塗布し、第2の塗膜を形成する工程と、
前記第2の塗膜を乾燥し、第2の乾燥塗膜である偏光層を形成する工程と、を有する偏光板の製造方法。 - 前記配向処理が、ラビング処理である請求項8に記載の偏光板の製造方法。
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Legal Events
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