JP2020003528A - 電子写真感光体および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体および電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】表面層の耐摩耗性と潤滑性に優れた電子写真感光体の、簡便な製造方法を提供する。また、上記製造方法により製造された電子写真感光体を提供する。【解決手段】表面層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を硬化させて表面層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、該表面層形成用塗布液が、アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子と、イソシアヌレート骨格および重合性官能基を同一分子内に有する特定の化合物と重合性官能基を有する特定の正孔輸送性化合物とを含有する。また、支持体および表面層を有する電子写真感光体であって、該表面層が、上記表面層形成用塗布液の硬化物であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は電子写真感光体および電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真感光体の耐摩耗性とクリーニング性を向上させる目的で、硬化性樹脂あるいは架橋構造を有する樹脂を含有する表面層に、有機樹脂粒子を添加する技術が知られている。
特許文献1には、硬化性樹脂を含有する表面層に添加するアクリル樹脂粒子やメラミン樹脂粒子に、特定の表面処理を行い、耐摩耗性とクリーニング性に優れた電子写真感光体を作製する技術が記載されている。
特許文献2には、架橋構造を有する樹脂とアクリル樹脂粒子やメラミン樹脂粒子を含有する表面層の表面を、所望の粗さに設計し、耐摩耗性とクリーニング性を両立する電子写真感光体を作製する技術が記載されている。
特開2016−95340号公報 特開2006−267467号公報
特許文献1に記載の電子写真感光体の製造工程ではアクリル樹脂粒子やメラミン樹脂粒子の表面処理工程が必要である。また、特許文献1および2に記載の電子写真感光体の製造工程では、アクリル樹脂粒子やメラミン樹脂粒子の分散工程が必要である。すなわち、特許文献1および2のいずれに記載された技術においても、製造にかかる工数が増えてしまうことが課題であった。一方で、電子写真感光体の表面層の潤滑性を改善することで電子写真感光体のクリーニング性を改善できることが知られている。
したがって、本発明の目的は、表面層の耐摩耗性と潤滑性に優れた電子写真感光体の、簡便な製造方法を提供することにある。
また本発明の別の目的は、上記製造方法により製造した電子写真感光体を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明に係る電子写真感光体の製造方法は、表面層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を硬化させて表面層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、該表面層形成用塗布液が、アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子と、下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(7)で示される化合物と、を含有することを特徴とする。
Figure 2020003528
(一般式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。
13およびR14は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。
Xは、水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基、または、下記一般式(2)で示される1価の基、または、下記一般式(3)で示される1価の基、または、下記一般式(4)で示される1価の基を示す。)
Figure 2020003528
(一般式(2)中、R15は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。R16は、水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
Figure 2020003528
(一般式(3)中、R17は、水素原子、または、メチル基を示す。R18は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
Figure 2020003528
(一般式(4)中、R19およびR20は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。
Yは、下記式(5)で示される2価の基、または、下記一般式(6)で示される2価の基を示す。)
Figure 2020003528
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(一般式(6)中、R25は炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
Figure 2020003528
(一般式(7)中、P1は下記式(8)で示される重合性官能基、下記式(9)で示される重合性官能基、下記式(10)で示される重合性官能基、または下記式(11)で示される重合性官能基を示す。aは、1以上4以下の整数であり、aが2以上である場合、a個のP1は同一であっても異なっていてもよい。
Zは正孔輸送性基を示し、該ZのP1との結合部位を水素原子に置き換えた水素付加物は、下記一般式(12)、または下記一般式(13)で示される化合物である。)
Figure 2020003528
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Figure 2020003528
Figure 2020003528
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(一般式(12)中、R31は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基、または置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいビフェニル基を示す。
32およびR33は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。また、R31、R32およびR33はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2020003528
(一般式(13)中、R34、R35、R36およびR37は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。
また、R34、R35、R36およびR37はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
38、およびR39は水素原子、または炭素数1〜3のアルキル基を示す。
また、R38およびR39はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
また、本発明の別の態様に係る電子写真感光体は、支持体および表面層を有する電子写真感光体であって、該表面層が、表面層形成用塗布液の硬化物であり、該表面層形成用塗布液が、アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子と、上記一般式(1)で示される化合物と、上記一般式(7)で示される化合物と、を含有することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、表面層の耐摩耗性と潤滑性に優れた電子写真感光体の、簡便な製造方法が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、上記製造方法により製造された電子写真感光体が提供される。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。
特許文献1に記載の技術は、表面層からのアクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子の離脱を抑制するために、粒子の表面を無機膜および有機成分で被覆し、表面層を構成する硬化性樹脂と粒子の被覆膜を硬化反応により結合させる技術である。すなわち、粒子の表面処理工程を要する。また、特許文献2に記載の技術では、アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子を含有する表面層の表面粗さを所望の範囲に制御するために、粒子の分散工程が必要となる。
従来技術では、アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子に対するその他の表面層を構成する成分の親和性が低く、これを補うために上記のように粒子の表面処理あるいは分散処理を行う必要があった。そのため、結果として表面層を形成する工程の工数が増加していた。
上記従来技術で生じていた課題を解決するために、本発明者らは電子写真感光体の製造方法を検討した。検討の結果、本発明に係る表面層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を硬化させて表面層を形成することで、耐摩耗性と潤滑性に優れた電子写真感光体を製造できることがわかった。ここで、本発明に係る表面層形成用塗布液は、以下の材料を含有する。
・アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子(以下、「粒子a」とも記す。)
・イソシアヌレート骨格および重合性官能基を同一分子内に有する化合物(以下、「化合物b」とも記す。)
・重合性官能基を有する正孔輸送性化合物(以下、「化合物c」とも記す。)
上記製造方法により本発明の効果が得られるメカニズムについて、以下のように考えている。
まず、化合物bと化合物cは略均一に溶解する。一方粒子aに対しては化合物cよりも化合物bの方が親和性が高く、粒子aは優先的に化合物bに囲まれる。つまり、粒子aは表面層形成用塗布液の中で化合物bに囲まれた状態で分散すると予想される。
このとき化合物bのイソシアヌレート骨格は粒子aと引き合い、化合物bの重合性官能基は粒子aと反対側を向くと考えられる。この表面層形成用塗布液から形成された表面層は、化合物bおよび化合物cの硬化物の中に粒子aが均等に分散した状態となる。
粒子aは表面層の表面に露出するものが一定数以上存在し、粒子aに起因する表面層の凹凸形状によって摩擦力が低減するため、潤滑性が向上する。また、表面層自体が化合物bおよび化合物cの硬化物で構成されることから耐摩耗性が向上する。
さらに繰り返し使用時の表面層の状態を考えると、表面層内部は粒子aが均等に分散しているため、表面層が摩耗しても内部の粒子aが表面層の表面に順次露出していくことにより、繰り返し使用後も潤滑性が維持される。また、硬化物として化学的に安定なイソシアヌレート骨格を有する化合物bを含むため、放電による材料劣化が抑制される。これにより、材料劣化に伴う摩擦係数の増加が抑制され、繰り返し使用後も高い潤滑性が維持される。
以上のように、本発明では、粒子a、化合物bおよび化合物cの3種類の材料が、表面層形成用塗布液中および、該表面層形成用塗布液を塗布して形成された塗布膜のいずれにおいても効果的に作用し合っている。これにより、粒子の表面処理や分散などの工数を増やすことなく、耐摩耗性と潤滑性に優れた電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
すなわち、各構成が相乗的に効果を及ぼし合うことによって、本発明の効果を達成することが可能となる。
[電子写真感光体の製造方法]
本発明の一態様に係る電子写真感光体の製造方法は、表面層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を硬化させて表面層を形成する工程を有する。表面層形成用塗布液は、表面層以外の各層を形成した後、最も外側に形成した層の上に塗布する。
表面層以外の各層を形成する方法としては、各層を形成するための塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。
表面層以外の各層を形成するための塗布液および表面層形成用塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性および生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
表面層形成用塗布液を塗布して形成した塗布膜の硬化は、塗布液が含有する重合性官能基を有する化合物を加熱または放射線の照射によって重合させることで行うことができる。
加熱においては、熱風乾燥炉、赤外線ヒーター、IHヒーターなどを用いることができる。放射線としては紫外線、電子線が挙げられる。このとき、必要に応じて公知の重合開始剤を用いてもよい。また、特性改善などの目的で、硬化させる前後に別途、加熱処理を行ってもよい。
以下に表面層形成用塗布液についてさらに詳述する。
表面層形成用塗布液は、アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子と、下記一般式(1)で示される化合物と、下記一般式(7)で示される化合物と、を含有する。
下記一般式(1)で示される化合物は、先に述べた化合物bに対応する。
Figure 2020003528
(一般式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。R13およびR14は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。Xは、水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基、または、下記一般式(2)で示される1価の基、または、下記一般式(3)で示される1価の基、または、下記一般式(4)で示される1価の基を示す。)
Figure 2020003528
(一般式(2)中、R15は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。R16は、水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
Figure 2020003528
(一般式(3)中、R17は、水素原子、または、メチル基を示す。R18は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
Figure 2020003528
(一般式(4)中、R19およびR20は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。Yは、下記式(5)で示される2価の基、または、下記一般式(6)で示される2価の基を示す。)
Figure 2020003528
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(一般式(6)中、R25は炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
上記一般式(1)で示される化合物の例を以下に示す。
Figure 2020003528
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下記一般式(7)で示される化合物は、先に述べた化合物cに対応する。
Figure 2020003528
(一般式(7)中、P1は下記式(8)で示される重合性官能基、下記式(9)で示される重合性官能基、下記式(10)で示される重合性官能基、または下記式(11)で示される重合性官能基を示す。aは、1以上4以下の整数であり、aが2以上である場合、a個のP1は同一であっても異なっていてもよい。
Zは正孔輸送性基を示し、該ZのP1との結合部位を水素原子に置き換えた水素付加物は、下記一般式(12)で示される化合物、または下記一般式(13)で示される化合物である。)
Figure 2020003528
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(一般式(12)中、R31は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基、または置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいビフェニル基を示す。
32およびR33は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。また、R31、R32およびR33はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2020003528
(一般式(13)中、R34、R35、R36およびR37は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。
また、R34、R35、R36およびR37はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
38、およびR39は水素原子、または炭素数1〜3のアルキル基を示す。
また、R38およびR39はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
上記一般式(7)で示される化合物の例を以下に示す。
Figure 2020003528
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以下に、アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子について説明する。アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子は先に述べた粒子aに対応する。
アクリル樹脂粒子は、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体を含有する。中でも、スチレンアクリル樹脂粒子であることが好ましい。アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂の重合度や、樹脂が熱可塑性か熱硬化性であるかは、特に限定されない。アクリル樹脂粒子の粒子径は、1.0μm以下であることが好ましい。
本発明に用いることのできる市販のアクリル樹脂粒子としては、例えば、日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製ファインスフェア:FS−101、FS−102、FS−107、FS−201、FS−301、MG−155、MG−351、MG−451、積水化成品工業株式会社製TECHPOLYMER:SSX−101、SSX−102、SSX−103、SSX−104、SSX−105、JSR株式会社製高架橋粒子:SX8002、積水化成品工業株式会社製ポリメタクリル酸メチル粉体:XX−159AP、XX−160APなどが挙げられる。
メラミン樹脂粒子は、メラミン構造を有する樹脂を含有する。中でも、メラミンホルムアルデヒド樹脂粒子であることが好ましい。メラミン樹脂の重合度や、樹脂が熱可塑性か熱硬化性であるかは、特に限定されない。メラミン樹脂粒子の粒子径は、1.0μm以下であることが好ましい。
本発明に用いることのできる市販のメラミン樹脂粒子としては、例えば、日本触媒株式会社製メラミンホルムアルデヒド樹脂粒子:エポスターSS、エポスターS、エポスターFS、エポスターS6、エポスターS12、日本触媒株式会社製メラミンベンゾグアナミン樹脂粒子:エポスターM30、などが挙げられる。
表面層形成用塗布液中のアクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子の質量Aに対する、前記一般式(1)で示される化合物の質量Bの比率B/Aは、9.5質量%以上であることが好ましい。
アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子の質量Aの、該質量Aと、前記一般式(1)で示される化合物の質量Bと、前記一般式(7)で示される化合物の質量Cの総和に対する比率A/(A+B+C)は、10質量%以上34質量%以下であることが好ましい。
表面層形成用塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。特に、表面層形成用塗布液は、炭素数3以下のアルコール溶剤を含むことが好ましい。炭素数3以下のアルコール溶剤が含まれる割合は、表面層形成用塗布液中の塗布液全量に対して、10〜90質量%の範囲内であることが好ましい。
表面層形成用塗布液は、粒子aの表面処理工程や分散工程を経ることなく、材料を混合、撹拌するのみで調製することができる。
以下、本発明の製造方法により製造される、本発明の別の態様に係る電子写真感光体の構成および各層について説明する。本発明の別の態様に係る電子写真感光体は、支持体および表面層を有し、該表面層が、上記表面層形成用塗布液の硬化物である。
表面層は、以下で説明する保護層、あるいは保護層を有さない積層型感光体の場合は電荷輸送層、保護層を有さない単層型感光体の場合は単層型感光層、のいずれかである。
すなわち、保護層、電荷輸送層および単層型感光層が表面層となる場合は、各層を形成するための塗布液は、先に述べた表面層形成用塗布液としての条件を満たし、先に述べた方法により硬化されて層が形成される。
<支持体>
本発明の製造方法により製造される電子写真感光体は、支持体を有する。支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合または被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
<導電層>
本発明の製造方法により製造される電子写真感光体において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などをさらに含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
導電層は、上述の各材料および溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体の上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
本発明の製造方法により製造される電子写真感光体において、支持体または導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電子写真感光体に電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属などをさらに含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤をさらに含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上述の各材料および溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体または導電層の上に形成し、乾燥および/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<感光層>
本発明の製造方法により製造される電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層を有する。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1−1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料および溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体、導電層または下引き層の上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
(1−2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイルなどが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上述の各材料および溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を電荷発生層の上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂および溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体、導電層または下引き層の上に形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
<保護層>
本発明において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は、導電性粒子および/または電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイルなどが挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明の一態様に係る電子写真感光体の製造方法により製造される電子写真感光体は、プロセスカートリッジに支持されて用いられてもよい。すなわち、該プロセスカートリッジは、該電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る電子写真感光体の製造方法により製造される電子写真感光体は、電子写真装置に用いられてもよい。すなわち、該電子写真装置は、前記電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする。
図1に、電子写真感光体1を備えたプロセスカートリッジ11を有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
円筒状の電子写真感光体1は、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正または負の所定電位に帯電される。なお、図1では、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段9を別途設けず、上記付着物を現像手段5などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、プロセスカートリッジ11を電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
さらに、本発明の一態様に係る電子写真感光体の製造方法により製造される電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、および、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において「部」とあるものは、特に断りのない限り質量基準である。
<電子写真感光体の製造>
<支持体>
支持体として直径29.9mm、長さ357.5mm、厚さ0.7mmの円筒状アルミニウム製シリンダーを用いた。
<下引き層>
金属酸化物として酸化亜鉛粒子(比表面積:19m2/g、粉体抵抗:4.7×106Ω・cm)100質量部をトルエン500質量部と撹拌混合した。これにN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業株式会社製)0.8質量部をシランカップリング剤として添加し、6時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、140℃で6時間加熱乾燥し、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、ポリビニルブチラール(商品名:エスレック(登録商標)B BM−1、積水化学工業株式会社製)15質量部およびブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルウレタン社製)15質量部を混合溶液に溶解させた。混合溶液はメチルエチルケトン73.5質量部と1−ブタノール73.5質量部の混合溶液である。
この溶液に上記で調製した表面処理された酸化亜鉛粒子80.8質量部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業株式会社製)0.4質量部を加えた。その後、直径0.8mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置を用い、23℃雰囲気下で3時間分散した。分散後、以下の材料を加えて攪拌し、下引き層用塗布液を調製した。
・シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レダウコーニング社製):0.01質量部
・架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(商品名:TECHPOLYMER(登録商標) SSX−103、積水化成品工業株式会社製、平均一次粒子径3.1μm):5.6質量部
この下引き層用塗布液を上記支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で乾燥して、膜厚が18μmの下引き層を形成した。
<電荷発生層>
下記の4つの材料を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、4時間分散処理した後、酢酸エチル700質量部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
・CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°および28.2°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質):20質量部
・ポリビニルブチラール(商品名:エスレック(登録商標)B BX−1、積水化学工業株式会社製):10質量部
・下記式(A)で示される化合物:0.2質量部
・シクロヘキサノン:600質量部
この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を15分間80℃で乾燥して、膜厚0.18μmの電荷発生層を形成した。
Figure 2020003528
<電荷輸送層>
下記の4つの材料を、キシレン600質量部およびジメトキシメタン200質量部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液を調製した。
・下記式(B)で示される化合物(電荷輸送物質):30質量部
・下記式(C)で示される化合物(電荷輸送物質):60質量部
・下記式(D)で示される化合物(電荷輸送物質):10質量部
・ポリカーボネート(商品名:ユーピロン(登録商標)Z400、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製、ビスフェノールZ型のポリカーボネート):100質量部
Figure 2020003528
Figure 2020003528
Figure 2020003528
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間110℃で乾燥して、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
<保護層>
次に、保護層用塗布液1〜43を調製した。
1−プロパノール100質量部に、表1に示す種類の、粒子aに対応する粒子、化合物bに対応する化合物、および化合物cに対応する化合物をそれぞれ表1に示す質量部にて混合、撹拌し、保護層用塗布液1〜43を得た。
保護層用塗布液の調製に用いた粒子aに対応する粒子を以下に示す。保護層用塗布液41の調製においては粒子aの代わりに以下の粒子Pを用いた。
粒子a−1 積水化成品工業株式会社製 XX−160AP
(ポリメタクリル酸メチル粒子、粒子径0.1μm)
粒子a−2 積水化成品工業株式会社製 SSX−102
(ポリメタクリル酸メチル粒子、粒子径2.0μm)
粒子a−3 日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製 MG−451
(ポリスチレンアクリル粒子、粒子径0.1μm)
粒子a−4 日本ペイント・インダストリアルコーティングス株式会社製 FS−301
(ポリスチレンアクリル粒子、粒子径1.0μm)
粒子a−5 日本触媒株式会社製 エポスターS
(メラミンホルムアルデヒド樹脂粒子、粒子径0.2μm)
粒子a−6 日本触媒株式会社製 エポスターS6
(メラミンホルムアルデヒド樹脂粒子、粒子径0.4μm)
粒子a−7 日本触媒株式会社製 エポスターS12
(メラミンホルムアルデヒド樹脂粒子、粒子径1.2μm)
粒子P 信越化学工業株式会社製 QSG−170
(シリカ粒子、粒子径0.17μm)
各保護層用塗布液の調製に用いた化合物bに対応する化合物、および化合物cに対応する化合物の種類は、上述の化合物bおよび化合物cの例における式の番号で表1に示した。ただし、化合物cの代わりに用いたDは上記式(D)で示す化合物であり、Eは下記式(E)で示す化合物、TMPTAはトリメチロールプロパントリアクリレート(ダイセル・サイテック株式会社製)である。
Figure 2020003528
保護層用塗布液1〜43について、粒子aの質量Aに対する、化合物bの質量Bの比率B/A、および質量A、質量Bおよび化合物cの質量Cの総和に対する粒子aの質量Aの比率A/(A+B+C)の値を、表1に示す。
これらの保護層用塗布液をそれぞれ電荷輸送層上に浸漬塗布した。次に、得られた塗膜を40℃で6分間乾燥させた。その後、窒素雰囲気中において、支持体(被照射体)を200rpmで回転させながら1.6秒間、電子線を塗膜に照射した。電子線の照射条件は、加速電圧70kVにて吸収線量8000Gyとなるように設定した。引き続き、窒素雰囲気中において25℃から120℃まで30秒かけて昇温させ、塗膜を加熱した。電子線照射およびその後の加熱時の雰囲気の酸素濃度は15ppmであった。次に、大気中において100℃で30分間加熱処理を行うことによって、膜厚5μmの保護層を形成した。
以上のようにして、保護層用塗布液1〜43を用いて、対応する電子写真感光体1〜43を作製した。これらの保護層用塗布液、および電子写真感光体を用いて、以下の評価を行った。
[評価]
電子写真感光体は、電子写真装置(image RUNNER(登録商標)−ADV 4545、キヤノン製)に搭載し、23℃50%RHの環境下で印字比率5%のA4画像出力を20万枚行った後に、以下の潤滑性の評価および耐摩耗性の評価に供した。
<潤滑性の評価>
潤滑性の評価では、回転式の摩擦摩耗試験機にて動摩擦係数の測定を行った。回転式の摩擦摩耗試験機は、電子写真感光体を支持し、回転する機構と、電子写真感光体表面に所望の角度と侵入量でクリーニングブレードを当接させて支持する機構と、を備えた装置である。クリーニングブレードを当接させて支持する機構は負荷を検知する検知手段を備えている。
クリーニングブレードにはウォーレス硬度(IRHD硬さ試験法のM法の値)が77度、反発弾性率20%のウレタンゴムブレードを用いた。
幅10mm、厚さ2mm、自由長7mmのブレードを、設定角28°、侵入量1.0mmで当接させて支持し、回転数100rpmにて電子写真感光体を回転させた。回転開始から1分後に、ブレード当接部における電子写真感光体の接線方向の負荷、および法線方向の負荷を検知手段から読み取り、接線方向の負荷を法線方向の負荷で除することで動摩擦係数を算出した。
結果を表2に示す。なお、電子写真感光体38、40、41、42は、測定中にブレードがめくれてしまい、動摩擦係数が測定できなかった。
<耐摩耗性の評価>
新東科学株式会社製Heidon:Type14を用い、表面引掻き硬さJIS K5600の手法を模して、電子写真感光体の表面層の傷のつきやすさを評価することで耐磨耗性を評価した。電子写真感光体の表面に先端のRが0.1mmの円錐型引掻針(ダイヤモンド針)を接触させ、分銅で100gの垂直荷重を与えた。Heidon:Type14とは別に用意した電子写真感光体を回転支持する機構によって、0.5rpmの速度で表面を引掻き、電子写真感光体写真表面の周方向に傷を形成した。形成された傷について、株式会社小坂研究所社製の表面粗さ測定機サーフコーダSE3500型を用い、電子写真感光体の母線方向(傷を横切る向き)に、JISB0601(1982)に従う最大高さRmaxを測定した。これにより、電子写真感光体の表面層の傷のつきやすさを評価した。
結果を表2に示す。
Figure 2020003528
Figure 2020003528
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (8)

  1. 表面層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜を硬化させて表面層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、
    該表面層形成用塗布液が、
    アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子と、
    下記一般式(1)で示される化合物と、
    下記一般式(7)で示される化合物と、
    を含有することを特徴とする、電子写真感光体の製造方法。
    Figure 2020003528
    (一般式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。
    13およびR14は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。
    Xは、水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基、または、下記一般式(2)で示される1価の基、または、下記一般式(3)で示される1価の基、または、下記一般式(4)で示される1価の基を示す。)
    Figure 2020003528
    (一般式(2)中、R15は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。R16は、水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
    Figure 2020003528
    (一般式(3)中、R17は、水素原子、または、メチル基を示す。R18は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
    Figure 2020003528
    (一般式(4)中、R19およびR20は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。Yは、下記式(5)で示される2価の基、または、下記一般式(6)で示される2価の基を示す。)
    Figure 2020003528
    Figure 2020003528
    (一般式(6)中、R25は炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
    Figure 2020003528
    (一般式(7)中、P1は下記式(8)で示される重合性官能基、下記式(9)で示される重合性官能基、下記式(10)で示される重合性官能基、または下記式(11)で示される重合性官能基を示す。aは、1以上4以下の整数であり、aが2以上である場合、a個のP1は同一であっても異なっていてもよい。
    Zは正孔輸送性基を示し、該ZのP1との結合部位を水素原子に置き換えた水素付加物は、下記一般式(12)、または下記一般式(13)で示される化合物である。)
    Figure 2020003528
    Figure 2020003528
    Figure 2020003528
    Figure 2020003528
    Figure 2020003528
    (一般式(12)中、R31は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基、または置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいビフェニル基を示す。
    32およびR33は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。また、R31、R32およびR33はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2020003528
    (一般式(13)中、R34、R35、R36およびR37は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。
    また、R34、R35、R36およびR37はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    38、およびR39は水素原子、または炭素数1〜3のアルキル基を示す。
    また、R38およびR39はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記アクリル樹脂粒子が、スチレンアクリル樹脂粒子である請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記メラミン樹脂粒子が、メラミンホルムアルデヒド樹脂粒子である請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記アクリル樹脂粒子または前記メラミン樹脂粒子の粒子径が、1.0μm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記アクリル樹脂粒子または前記メラミン樹脂粒子の質量Aに対する、前記一般式(1)で示される化合物の質量Bの比率B/Aが9.5質量%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子の質量Aの、該質量Aと、前記一般式(1)で示される化合物の質量Bと、前記一般式(7)で示される化合物の質量Cの総和に対する比率A/(A+B+C)が、10質量%以上34質量%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  7. 前記表面層形成用塗布液が炭素数3以下のアルコール溶剤を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  8. 支持体および表面層を有する電子写真感光体であって、該表面層が、表面層形成用塗布液の硬化物であり、該表面層形成用塗布液が、
    アクリル樹脂粒子またはメラミン樹脂粒子と、
    下記一般式(1)で示される化合物と、
    下記一般式(7)で示される化合物と、
    を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2020003528
    (一般式(1)中、R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。
    13およびR14は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。
    Xは、水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基、または、下記一般式(2)で示される1価の基、または、下記一般式(3)で示される1価の基、または、下記一般式(4)で示される1価の基を示す。)
    Figure 2020003528
    (一般式(2)中、R15は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。R16は、水素原子、または、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
    Figure 2020003528
    (一般式(3)中、R17は、水素原子、または、メチル基を示す。R18は、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
    Figure 2020003528
    (一般式(4)中、R19およびR20は、それぞれ独立に、水素原子、または、メチル基を示す。R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキレン基を示す。
    Yは、下記式(5)で示される2価の基、または、下記一般式(6)で示される2価の基を示す。)
    Figure 2020003528
    Figure 2020003528
    (一般式(6)中、R25は炭素数1〜3のアルキレン基を示す。)
    Figure 2020003528
    (一般式(7)中、P1は下記式(8)で示される重合性官能基、下記式(9)で示される重合性官能基、下記式(10)で示される重合性官能基、または下記式(11)で示される重合性官能基を示す。aは、1以上4以下の整数であり、aが2以上である場合、a個のP1は同一であっても異なっていてもよい。
    Zは正孔輸送性基を示し、該ZのP1との結合部位を水素原子に置き換えた水素付加物は、下記一般式(12)、または下記一般式(13)で示される化合物である。)
    Figure 2020003528
    Figure 2020003528
    Figure 2020003528
    Figure 2020003528
    Figure 2020003528
    (一般式(12)中、R31は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基、または置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいビフェニル基を示す。
    32およびR33は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。また、R31、R32およびR33はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2020003528
    (一般式(13)中、R34、R35、R36およびR37は置換基として炭素数1〜3のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。
    また、R34、R35、R36およびR37はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    38およびR39は水素原子、または炭素数1〜3のアルキル基を示す。
    また、R38およびR39はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
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