JP2020001872A - 原稿給送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】非接触式の光学センサを用いてシートの給送状態を精度良く検出し、給送不良を防止する。【解決手段】原稿を装置本体内に取り込む取込手段と、前記取込手段を移動させる移動手段と、前記取込手段により取り込まれた原稿を一枚ずつ給送する給送手段と、給送対象の原稿をそれ以外の原稿と分離する分離手段と、前記給送手段によって給送された原稿を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、前記給送手段よりも給送方向の上流側において、原稿の移動量を検出する検出手段と、前記給送手段および前記移動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記搬送手段によって搬送される原稿の後端が前記給送手段を通過したときに、前記検出手段によって次の給送対象原稿が前記上流側へ移動したことを検出した場合、前記移動手段が前記取込手段を退避位置に退避させたまま、前記給送手段により次の給送対象原稿を給送することを特徴とする。【選択図】図7

Description

本発明は、原稿を給送可能な原稿給送装置及び原稿給送装置を備えた画像読取装置において、原稿の給送状態を検出する技術に関する。
複数枚の原稿を順次分離して搬送する原稿給送装置及び搬送される原稿の画像を読み取る画像読取装置において原稿の給送不良の回避や検知の方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、分離ローラ(ブレーキローラ)の回転状態を検出し、分離ローラが回転していないと判断したらピックアップローラを原稿に対し非接触状態に保持する方法が開示されている。給送ローラ(セパレータローラ)による原稿の給送中に、給送ローラと給送ローラに対向して接する分離ローラとの間に複数枚の原稿が進入した場合、原稿間の摩擦よりもローラ・原稿間の摩擦の方が強いため分離ローラは回転せずに給送対象原稿以外を搬送方向に搬送されるのを規制する。一方、1枚だけ原稿が進入した場合は分離ローラが給送される原稿に連れられて回転する。この分離ローラの回転状態に応じて、ピックアップローラを原稿に接触状態にするかピックアップローラの非接触状態を保持するかを判断する。
また、特許文献2には、ピックアップローラ(ピックローラ)にエンコーダ付き従動ローラを設け、ピックアップローラ部での原稿の実移動量を検出し、下流側での到達検知手段も合わせて原稿のジャムを検出する方法が開示されている。
特許第5075089号公報 特許第4537213号公報
特許文献1記載の方法では分離ローラに回転状態を検出するエンコーダを設ける必要があり、装置の小型化を阻む要因になる。また、分離ローラの回転状態を直接検出することで給送ローラと分離ローラ間に原稿が侵入しているかどうかを判断しているが、原稿が1枚だけ進入していてもローラの劣化により分離ローラが連れられて回転しない(回転が鈍い)場合なども想定され、その場合は原稿の進入枚数は正常に検出できない。
また、特許文献2記載の方法では、エンコーダ付き従動ローラを設ける必要があり、従動ローラが原稿に接触するため原稿に対しストレスを与えてジャムの要因になったり、従動ローラが原稿と擦れることで耐久寿命への影響が生じてしまう。
上記を鑑み、本発明の一態様に係る原稿給送装置は、
原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に載置された原稿を装置本体内に取り込む取込手段と、
前記原稿台に載置された原稿に接する取込位置と原稿から離れた退避位置との間で前記取込手段を移動させる移動手段と、
前記取込手段により取り込まれた原稿を一枚ずつ給送する給送手段と、
前記給送手段に当接し、給送対象の原稿をそれ以外の原稿と分離する分離手段と、
前記給送手段によって給送された原稿を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記給送手段よりも給送方向の上流側において、原稿の移動量を検出する検出手段と、
前記給送手段および前記移動手段を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記搬送手段によって搬送される原稿の後端が前記給送手段を通過したときに、前記検出手段によって次の給送対象原稿が前記上流側へ移動したことを検出した場合、
前記移動手段が前記取込手段を退避位置に退避させたまま、前記給送手段により次の給送対象原稿を給送することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る原稿給送装置は、
原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に載置された原稿を装置本体内に取り込む取込手段と、
前記取込手段を、前記原稿台に載置された原稿に接する取込位置と、原稿から離れた退避位置との間で移動させる移動手段と、
前記取込手段により取り込まれた原稿を一枚ずつ給送する給送手段と、
前記給送手段に当接し、給送対象の原稿をそれ以外の原稿と分離する分離力を発生する分離手段と、
前記給送手段によって給送された原稿を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
前記給送手段よりも給送方向の上流側において、原稿の移動量を検出する検出手段と、
前記分離手段が発生する前記分離力を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記搬送手段によって搬送される原稿の後端が前記分離手段を通過したときに、前記検出手段によって次の給送対象原稿が前記上流側へ移動したことを検出した場合、
前記分離力を一時的に低減するよう制御することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係る原稿給送装置は、
原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に載置された原稿を搬送路に取り込む取込手段と、
前記取込手段による前記原稿の押圧力を制御する押圧手段と、
前記取込手段により取り込んだ原稿を一枚ずつ給送する給送手段と、
前記給送手段によって給送される原稿を前記搬送路において搬送する搬送手段と、
前記給送手段の上流側で前記原稿の移動量を検出する検出手段と、
前記押圧手段を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記移動量に基づいて前記原稿の移動速度を計算し、原稿が前記給送手段に到達するまでの間、前記取込手段により取り込まれる原稿の前記移動速度が規定の目標速度以上を維持するよう前記押圧手段を制御することを特徴とする。
本発明によれば、原稿の給送状態を検出することにより、良好な給送制御や取込制御を行うことができる。
本発明の一実施形態に係る画像読取装置の構成を概略的に示す断面図。 図1の画像読取装置の主要部の構成を概略的に示す模式図。 光学センサの配置を概略的に示す部分断面図。 光学センサの構成を概略的に示す模式図。 光学センサによるシートの移動速度の変化例を示す図。 シート速度が目標速度以上を維持するようピックアップローラの押圧力を調整したときのシート速度の変化例を示す図。 シート速度が目標速度の範囲内を維持するようピックアップローラの押圧力を調整したときのシート速度の変化例を示す図。 分離ローラ対にシートが1枚だけ進入する場合の給送部の動作を概略的に示す部分断面図。 分離ローラ対にシートが複数枚進入する場合の給送部の動作を概略的に示す部分断面図。 第1の実施形態での給送動作の手順を示すフローチャート。 第2の実施形態での給送動作の手順を示すフローチャート。 分離ローラの内部構造を概略的に示す部分断面図。 ピックアップローラの昇降機構を概略的に示す部分断面図。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態に係る原稿給送装置及び当該原稿給送装置を備える画像読取装置について説明する。
<画像読取装置200>
図1は、第1の実施形態に係る、原稿給送装置を備える画像読取装置の構成を概略的に示す部分断面図であり、図2は、図1の画像読取装置の主要部の構成を概略的に示す模式図である。
図1及び図2において、画像読取装置200は、シート取込装置101を備える。シート積載台(原稿台)1には複数枚のシート(原稿)が積載(載置)されており、シート積載台1は昇降自在に構成されている。積載台駆動モータ2は、シート積載台1を昇降させる。シート検知センサ3は、シート積載台1に積載されたシートがシート取込位置にあることを検知する。シート積載台1に積載されたシートがシート取込位置に無い場合は積載台駆動モータ2を駆動し、シート最上面が取込位置になるようシート積載台1を移動させる。シート積載検知センサ12は、シート積載台1のシート積載面1aにシートが積載されていることを検知する。
ピックアップローラ4(取込手段)は、シート積載台1のシート(原稿)を装置本体内に取り込んで給送ローラ6へ送り出す。ピックアップモータ5は、ピックアップローラ4を回転させる。図2ではシート上面がシート取込位置にあり、ピックアップローラ4を回転させればシートの取り込みが始まる状態である。
給送ローラ6は、ピックアップローラ4の下流側に設けられており、給送モータ8によって、シートを搬送方向下流側に給送する方向に回転するよう駆動されている。給送ローラ6はワンウェイクラッチを介して給送モータ8と連結され、給送モータ8の駆動は一方向のみ伝達される。給送モータ8により給送するときは給送ローラ6に駆動力が伝達されるが、レジストローラ17,18等によりシートが給送モータ8以上の速度でシートが搬送されるときは、ワンウェイクラッチにより給送モータ8の回転は伝達されず、給送ローラ6はシートの搬送に連れられて従動回転する。給送ローラ6と搬送路を挟んで対向して設けられる分離ローラ7(分離駆動手段)は、シートを搬送方向上流側に押し戻す方向に回転する回転力を不図示のトルクリミッタ(スリップクラッチ)を介して分離モータ9から常時受けている。給送ローラ6と分離ローラ7との間にシートが1枚存在するときは、上記トルクリミッタが伝達する分離ローラ7がシートを上流側に押し戻す方向の回転力の上限値より、給送ローラ6によって下流側に送られるシートと分離ローラ7との間の摩擦力によってシートが下流側に給送される方向への回転力が上回り、分離ローラ7は給送ローラ6に追従して回転する(連れ回りする)。
一方、給送ローラ6と分離ローラ7との間にシートが複数枚存在するときは、分離ローラ7は、シートを上流側に押し戻す方向の回転をローラ軸から受け、最も上のシート以外が下流側に搬送されないようにする。
このように給送ローラ6のシートを下流側に給送する作用と、分離ローラ7のシートを下流側に搬送されないようにする作用とによって、シートが重なって給送ローラ6と分離ローラ7とのニップ部に送り込まれたとき、最も上のシートのみ下流側に給送され、それ以外のシートは下流側に搬送されないようにされることで、重なったシートが分離給送される。よって、給送ローラ6と分離ローラ7とは、一対の分離ローラ対42を構成する。分離ローラ対42は、搬送対象の複数のシートを1枚ずつ分離して搬送するためのシート分離部の一例として機能する。
分離ローラ7によるシートの分離力を変更できる。分離モータ9を回転させずに保持するだけでもシートを分離できる。分離ローラ7がシートを上流側へ戻す方向へ回転するよう分離モータ9を駆動することでさらに強い分離力が得られる。
なお、本実施形態では、分離ローラ対42を使用しているが、分離ローラ対42の代わりに分離ローラと給送ローラのどちらか一方をベルトにした、分離ベルトローラ対を使用してもよい。また、分離ローラを分離パッドに置き換え、シートに当接することで下流側へ複数枚のシートが搬送されることを防ぐようにしてもよい。
また、分離されたシートが通過する位置に重送検知センサ30を備えることで、シート分離部によってシートが一枚ずつに分離できているかを検知することができる。本実施形態においては重送検知センサ30として超音波の送受信部を用いた検知装置を用いており、搬送路を跨いだ送受信部間における超音波の減衰量によって重送を検知することができる。
搬送モータ10は、シート分離後のシートを、画像読取センサ14,15(画像読取部)によってシート(原稿)の画像の読み取りが行われる画像読取位置まで搬送し、更に排出位置まで搬送するため、レジストローラ18、搬送ローラ21,23を駆動する。各ローラに駆動により、ローラ対として構成される対向側の各ローラ(レジストローラ17、搬送ローラ20,22)が従動することで、シートを排出位置まで搬送することができる。また、搬送モータ10は、シートの読み取りに最適な速度や、シートの解像度等の設定に応じてシートの搬送速度を変更できるよう各ローラを駆動する。なお、レジストクラッチ19は、搬送モータ10の回転駆動力をレジストローラ18(原稿搬送部)に伝達、又は当該伝達を遮断することにより、レジストローラ18を駆動し、又はその駆動を停止する。
ニップ隙間調整モータ11は、給送ローラ6と分離ローラ7との隙間、或いは分離ローラ7に対してシートを介して給送ローラ6が圧接する圧接力を調整する。これにより、シートの厚みに適合した隙間、或いは圧接力が調整され、シートを分離することができる。
搬送ローラ20,21で構成される搬送ローラ対、搬送ローラ22,23で構成される搬送ローラ対、及び図1に示すさらに下流側のローラ対は、シートを排出積載部44に搬送する。上ガイド板40と下ガイド板41との2つのガイド板は、分離ローラ対、レジストローラ対、各搬送ローラ対及び下流側のローラ対により搬送されるシートを案内する。
なお、画像読取装置200は、装置全体の動作を制御する制御部45を備えている。制御部45は、例えば、1つ以上のプロセッサ(CPU)で構成される。
本実施形態の画像読取装置200は、シート積載台1と対向する位置であり、かつ、シートの搬送方向においてピックアップローラ4よりも上流側の位置に配置された、光学センサ111を備えている。光学センサ111は、給送(搬送)されるシートの挙動を検出するためのセンサである。本実施形態では、光学センサ111は、撮像対象物(シート)の移動量又は移動方向の検出に用いられる。例えば、光学センサ111は、シートの搬送方向の移動量及び当該搬送方向に直交する方向(シートの幅方向)の移動量の検出に用いられる。
<ピックアップローラ昇降機構>
ピックアップローラ4は昇降機構を備え、ピックアップローラ4がシートに接してシートを取りこめる取込位置と、シートから離間する退避位置との間を移動できる。図13はピックアップローラ4周辺の断面図であり、図13(a)はピックアップローラ4を退避位置に移動させたとき、図13(b)はピックアップローラ4を取込位置に移動させたときの状態を示す図である。
図13において、ピックアップモータ5の駆動力はピックアップモータ駆動ギア61に伝達される。ピックアップモータ駆動ギア61からの駆動力はタイミングベルト64、ギア63を介してピックアップローラ4に伝達される。ピックアップモータ駆動ギア61、ギア63、ピックアップローラ4はピックアップローラフレーム62に取り付けられる。ピックアップローラ4は劣化により交換が可能なようにピックアップフレーム62からは着脱自在となっている。ピックアップフレーム62はピックアップモータ駆動ギア61の中心を回転軸として回転自在になっている。ピックアップ昇降モータ70はばね65を介してピックアップフレーム62を上下方向に昇降させる駆動力を発生させるパルスモータである。
ピックアップローラ4が退避位置にあるとき(図13(a))、ピックアップローラフレーム62は上限位置にあり、ピックアップローラフレーム62がこの位置にいることをフレーム検知センサ66で検知する。フレーム検知センサ66がピックアップローラフレーム62を検知している位置を起点として、ピックアップ昇降モータ70を所定パルス数だけ下降方向へ駆動することでピックアップローラ4を取込位置へ移動する(図13(b))。
また、ピックアップローラ4が取込位置にあるとき、シート積載台1に積載されるシートへの押圧力を調整できる。ピックアップローラ4を退避位置から取込位置まで移動させるとき、ピックアップ昇降モータ70のパルス数に応じて移動するが、ピックアップローラ4がシートと当接した後さらにシート方向へ移動させるとばね65に圧縮荷重がかかり、ピックアップローラ4が取込位置にいる状態でシートに加圧することができる。シート積載台1に積載されるシート束に可撓性がある場合は、ピックアップローラ4の加圧によりシート束が圧縮されて撓み、ピックアップローラ4は取込位置よりも下方向へ移動してしまう。このときのシートは撓んだ分だけ取込位置より押し下げられるが、シート検知センサ3でシートを検知しなくなるため積載台駆動モータ2を駆動してシートがシート検知センサ3で検知するまでシート積載台1を上昇させる。するといずれシートとピックアップローラ4の両方とも取込位置で釣り合うようになる。このときピックアップローラ4がシートにかける荷重はピックアップ昇降モータ70によりばね65を圧縮した距離(またはモーターのパルス数)に応じて決まる。
以上のようにして、ピックアップローラ4によるシートへの押圧力の調整ができるが、より正確に調整する場合は、図13に示す圧力センサ67により押圧力を検知しながら、目標の押圧力となるようピックアップ昇降モータ70を制御してもよい。圧力センサ67は、ピックアップローラフレーム62のピックアップローラ4の軸受部分に取り付けることで、ピックアップローラ4がシートに押圧しているときにその荷重を検知できる。
以上のピックアップローラ4の昇降機構を用い、シート積載台1からシートを取り込むときにはピックアップローラ4をシート取込位置に移動させ、ピックアップローラ4によりシートを給送ローラ6まで取り込み終えたとき又は後段のローラでシートを送っている場合には、ピックアップローラ4をシート取込位置から離れた退避位置に移動させるよう制御する。
<光学センサ111>
図3は、光学センサ111の配置を概略的に示す部分断面図であり、図1に示す部材のうち、光学センサ111、シート積載台1、ピックアップローラ4、給送ローラ6、及び分離ローラ7を抽出して示している。図3は、光学センサ111のシート積載台1との位置関係を示している。光学センサ111は、基板100に実装されており、基板100は、シート積載台1と対向する位置に、シート積載台1と平行に取り付けられている。即ち、光学センサ111の撮像面がシート積載台1の表面(対向面)と平行になるように基板100が取り付けられている。光学センサ111の撮像面がシート積載台1の表面と平行になることは、光学センサ111が実装されている基板100がシート積載台1の表面と平行になることと同義である。
光学センサ111にはエリアイメージセンサを使用する。本実施形態においては、光学センサ111を撮像素子として用いて、搬送されるシートの画像を取得して、その画像情報に基づいてシートの移動量を検出することで、シートの挙動を検出する。光学センサ111は、エリアイメージセンサである撮像素子により、搬送されるシートを撮像して、二次元の撮像画像を取得し、時系列に取得した撮像画像を比較して、X方向及びY方向の2次元のシートの移動量を検出する。本実施形態では、シートの幅方向がX方向、シートの搬送方向がY方向となるように、光学センサ111が配置される。
光学センサ111は、シートが搬送される搬送路内における撮像基準面から所定距離離れるように配置されている。撮像基準面は、撮像素子である光学センサ111と対向する、光学センサ111による撮像の基準となる面であり、本実施形態では、撮像対象物(シート)が搬送される搬送路(シート積載台1)の表面が撮像基準面として定められる。但し、複数枚のシートがシート積載台1に積載(載置)された状況においては、搬送されるシートの表面に相当する位置が撮像基準面となる。即ち、シートを給送するときのシート積載台1の昇降範囲における最上位の位置でのシート積載台1の表面が概ね撮像基準面と一致する。
光学センサ111を撮像基準面から所定距離離すことによって、シートの種類や光学センサ111が配置される位置に依らずにシートの画像を適切な間隔で取得することができる。したがって、光学センサ111としては、所定距離離れたシートに対し撮像焦点の合うものを用いることが好ましい。本実施形態においては、所定距離として20mmから30mm程度、撮像基準面から光学センサ111を離して配置している。
本実施形態では、光学センサ111によってシートの画像を所定の時間間隔で取得し、所定の時間間隔ごとの画像(もしくは所定の移動量間隔に基づいた画像)を比較することによって、シートの移動量を判定する。シートの移動量の判定は、例えば、光学センサ111が実装される基板100に設けられたICによって行われる。この場合、基板100に実装されるICが移動量検出部として機能する。但し、光学センサ111によって取得した画像を外部装置に送信し、外部装置上で移動量の判定を行ってもよく、その場合、外部装置を含めて移動量検出部を構成していると言える。その場合、外部装置における移動量の判定を行っている部分を含めて移動検出部を構成していることとなる。なお、シートの移動量の判定は、図4(b)を用いて後述するように、光学センサ111内部で行われてもよい。
図4(a)に示すように、光学センサ111の前に不図示のプリズムやレンズ等の光学部材(本例ではレンズ103)を配置し、対向するに対して正対させる場合、光学センサ111が受光する光量が最大となるように光学部材を配置する。動作上問題が無い場合には、小型化やコストを優先して、これらの光学部材を省略できる。
撮像対象物(シート)の移動量又は移動方向の検出(判定)は、光学センサ111によりエリアイメージを取得し、当該エリアイメージをA/D(アナログ/デジタル)変換して得られた画像を順次比較することによって行われる。本実施形態では、光学センサ111が撮像対象物の移動量又は移動方向を検出可能なセンサである(光学センサ111内部で移動量又は移動方向の検出が行われる)場合について説明する。この場合、光学センサ111が撮像対象物の移動量又は移動方向を検出可能な移動量検出部を備えている。
本実施形態では、光学センサ111内部でTG(Timing Generator)によりイメージセンサ(撮像素子)を駆動して画像信号を取得するとともに、A/D変換及び画像信号の解析を行い、撮像対象物の移動量又は移動方向を検出する構成が採用されている。具体的には、図4(b)に示すように、光学センサ111内部には、イメージセンサ、TG、AFE(Analog Front End)、及びDSP(Digital Signal Processor)を備えている(いわゆるシステム・オン・チップ(SoC)で構成されている)。光学センサ111は、TGにより駆動されるイメージセンサにより、撮像対象のエリアイメージ(画像信号)を取得し、AFEにより、取得した画像信号に対してA/D変換を実行する。更に、光学センサ111は、DSPにより、A/D変換後のデジタル画像信号に基づいて、撮像対象物の移動量を検出する。即ち、DSPが移動量検出部として機能している。
なお、別の例として、光学センサ111は画像信号の取得のみを行い、光学センサ111の外部の画像信号処理デバイス(例えば、上述のように基板100に設けられたIC)が、A/D変換及び画像信号の解析、並びに撮像対象物の移動量又は移動方向の検出を行う構成が採用されてもよい。
本実施形態では、光学センサ111による画像信号の取得は、光源部(発光素子)から撮像対象物(シート等)に光を照射し、反射した光を受光部(イメージセンサ)が受光して光電変換することによって行われる。光学センサ111が備える光源部は、レーザ又は発光ダイオード(LED)で構成される。即ち、光学センサ111は、レーザにより赤外線レーザ光を撮像対象物に照射して、又はLEDによる発光を用いて撮像対象物に光を照射し、当該撮像対象物による反射光を受光することで、撮像対象物の表面画像を取得する。
特に、光源部にレーザ方式を用いれば、より詳細にシートの移動量を検出可能となるため、好適である。なお、レーザ方式を用いる場合、レーザ光の波長を適切に選択することによって、搬送中のシートのばたつきに起因した、移動量の検出精度の低下を軽減することが可能である。例えば、高さ約2mm程の搬送路内を搬送されるシートに対し、シートの搬送面から光学センサ111までの距離が20mm程度である場合、約850nmの波長を有する赤外線レーザ光を用いることで、搬送中のシートにばたつきが発生しても移動量の検出精度を維持できることが実験的に明らかとなっている。
本実施形態においては、図3に示すように、ピックアップローラ4を保持しているピックアップローラ保持部材201が延出し、光学センサ111を保持する。光学センサ111はケース体112によって覆われている。光学センサ111の検出領域を最大限に拡大することを目的として、光学センサ111はピックアップローラ4を撮像しない向きに配置して、シートのみ撮像する構成にするのが望ましい(撮像領域の一部にでもシート以外の領域があると、移動量又は移動方向を検出する為の情報量が少なくなり、検出精度を低下させる要因になる)。
光学センサ111は図3等に示す通りピックアップローラ4より上流側に配置しているが、できるだけピックアップローラ4に近いことが望ましい。画像読取装置200で搬送可能な最小サイズのシート(最小シート)を搬送するときに、そのシート先端が分離ローラ対42のニップ領域下流側端に到達したときでもそのシートの移動を検知できる位置に光学センサ111を配置するとよい。つまり、最小サイズのシートの搬送方向の長さよりも、光学センサ111の検出位置から分離ローラ対42のニップ領域下流側端までの距離の方が短くなるような配置がよい。
<シートの搬送状態の検出>
本実施形態の画像読取装置200は、1つの光学センサ111を用いて、シートの搬送状態を検出する。具体的には、画像読取装置200は、次に示すようにシート給送中に生じるシートの給送異常の検出、及びシートの位置を推定するシートの位置検出を行う。本実施形態の画像読取装置200において、シートの給送異常の検出及びシートの位置検出は、制御部45によって実行される。
(シートの給送異常の検出)
シートの給送異常の検出は、光学センサ111により検出されるシートの移動量のうち、搬送方向と幅方向との両方の移動量に基づいて給送異常の発生を判定することによって実現される。シートの給送異常の例には、給送ローラ6又はその下流側の搬送路においてシートの先端付近が詰まるジャム、及び、ステープル等で留められた複数枚のシートを給送したときに、無理やりシートを分離することによりステープル部分が破損することが含まれる。シートの給送が正常な場合、シートの幅方向の移動量はほとんど検出されず(即ち、移動量はほぼ0)、シートの搬送方向の移動量として、シートの給送速度に応じた値が安定し検出される。
給送異常が発生した場合、例えば、シートが詰まってジャムが発生した場合、シートの搬送方向の移動量の急激な減少が検出される。また、ステープルで留められたシートを給送した場合、給送ローラ6付近を中心としてシートが回転することにより、シートの搬送方向の移動量だけでなく、正常にシートが給送されている際には検出されない、シートの幅方向の移動量も検出する。
制御部45は、このような給送異常を検出(給送異常が発生したと判定)した場合、直ちに、シートの給送動作を停止させる。
(シートの位置検出)
シートの位置検出は、シートの搬送方向の移動速度を検出し、その移動速度の変化に基づいてシートの先端及び後端の位置を検出することによって実現される。シートの移動速度の検出には、給送異常の検出と同様に、光学センサ111により検出されるシートの移動量が用いられるが、シートの搬送方向の移動量のみが用いられる(シートの幅方向の移動量は用いられない)。制御部45は、光学センサ111により検出されたシートの搬送方向の移動量に基づいて、単位時間当たりの移動量(移動速度)を求める。更に、制御部45は、シートの移動速度の変化を監視することにより、当該移動速度の変化を検出し、当該移動速度の変化の検出タイミングと、搬送路上の各ローラの周速に対応するシートの移動速度との関係に基づいて、シートの位置を推定する。
次に、図5を参照して、シートの位置検出についてより詳しく説明する。図5は、1枚のシートをシート積載台1から給送した場合に、光学センサ111により検出されるシートの搬送方向の移動量に基づいて求めたシートの移動速度の変化を例示している。本実施形態では、シートの搬送方向において上流側から順に、ピックアップローラ4、給送ローラ6(分離ローラ7)、及びレジストローラ17,18が配置されている。シート積載台1から搬送路へのシートの給送及び搬送路でのシートの搬送に用いられるこれらのローラの周速は、シートの搬送方向における上流側のローラよりも下流側のローラの方が速い(下流側のローラよりも上流側のローラの方が遅い)ことが望ましい。これは、給送及び搬送されるシートにローラ間でたるみが生じることを防止するとともに、シート間で適切な紙間を維持するためである。
具体的には、給送ローラ6の周速は、ピックアップローラ4の周速よりも速く、レジストローラ17,18の周速は、給送ローラ6の周速よりも速くなるよう、各ローラの周速が制御される。例えば、ピックアップローラ4の周速は400[mm/sec]、給送ローラの周速は600[mm/sec]レジストローラ17,18及びその下流側のローラの周速は700[mm/sec]である。
各ローラは、回転しながらシートに当接することによりシートを給送又は搬送する。シートの移動速度(搬送速度)は、当該シートの給送又は搬送に寄与しているローラの周速に依存して変化する。このため、制御部45は、シートの移動速度の変化に応じて、当該シートの先端がいずれのローラに到達したかを検出することが可能であり、以下にて具体的に示す。
図5において、最初にピックアップローラ4の回転を開始することにより、シート積載台1において停止状態にあるシートの移動が始まる。このときのシートの移動速度の最大値は、ピックアップローラ4の周速(本例では400[mm/sec])に等しくなる。
その後、シートの先端が給送ローラ6に到達すると、給送ローラ6による当該シートの給送が開始される。上述のように、給送ローラ6の周速はピックアップローラ4の周速よりも速い(本例では600[mm/sec])。このため、シートが給送ローラ6に到達すると、当該シートの移動速度は急上昇する。制御部45は、このようなシートの移動速度の変化(後述する給送ローラ到達検出範囲内の移動速度よりも遅い速度から、給送ローラ到達検出範囲内の移動速度への変化)を検出することにより、当該シートの先端が給送ローラ6に到達したと判定する。なお、実際には速度変化が起こった時に、検出される移動量がばたつくことがあるが、所定時間内のばたつきを無視したり、複数のデータに対し移動平均などの平均化処理をしたりすれば良い。給送ローラ6によって搬送されるシートがレジストローラ17,18に到達する際も同様である。
本実施形態では、シートの先端が給送ローラ6に到達した(給送ローラ6からレジストローラ17,18までの間にある)と判定する条件(給送ローラ到達検出範囲)が予め定められる。例えば、当該条件は、シートの移動速度が、給送ローラ6の周速(本例では600[mm/sec])を含む所定の範囲(本例では450〜650[mm/sec]の範囲)内にあることである。この範囲の下限値(本例では450[mm/sec])は、ピックアップローラ4の周速よりも速い速度として定められる。
また、シートが給送ローラ6に到達しても、当該シートの移動速度は、必ずしも給送ローラ6の周速とは等しくならず、給送ローラ6の周速よりも遅くなる可能性がある。これは、分離ローラ7により上流側に戻す力がシートに働き、給送ローラ6とシートとの間で滑りが発生する可能性があるためである。このため、上記の条件として定められる範囲は、比較的広い範囲に定められうる。本例では、この範囲の上限値(本例では650[mm/sec])は、一例として、給送ローラ6の周速よりも少し速い速度に定められている。本実施形態では、図5に示す給送ローラ到達検出範囲内の移動速度は、給送ローラ6(給送手段)による給送に対応する移動速度の一例である。
次に、シートの先端がレジストローラ17,18に到達すると、当該シートの移動速度は更に急上昇する。制御部45は、このようなシートの移動速度の変化を検出することにより、当該シートの先端がレジストローラ17,18に到達したと判定する。
本実施形態では、シート先端がレジストローラ17,18に到達したと判定する条件(レジストローラ到達検出範囲)が予め定められる。例えば、当該条件は、シートの移動速度が、レジストローラ17,18の周速(本例では700[mm/sec])を含む所定の範囲(本例では670〜730[mm/sec]の範囲)内にあることである。本実施形態では、レジストローラ到達検出範囲は、給送ローラ到達検出範囲よりも狭い範囲に定められている。これは、シートの先端がレジストローラ17,18に到達した後には、ローラとシートとの滑りはほとんど生じず、シートの移動速度が安定するためである。本実施形態では、図5に示すレジストローラ到達検出範囲内の移動速度は、レジストローラ17,18(搬送手段)による搬送に対応する移動速度の一例である。
制御部45は、シートの先端がレジストローラ17,18に到達するまで、当該シートの先端の位置検出を行う。その後、制御部45は、シートの後端の位置検出に処理を移行する。
シートの先端がレジストローラ17,18に到達した後、当該シートの移動速度は、レジストローラ17,18の周速と等しい速度で安定する。一方、シートの後端が光学センサ111の位置を通過すると(即ち、光学センサ111による撮像領域から外れると)、光学センサ111による移動量の検出結果に基づいて検出されるシートの移動速度が、急激に減少する。制御部45は、シートの移動速度のこのような変化の検出に応じて、シートの後端が光学センサ111の位置を通過したと判定する。
なお、光学センサ111の位置を通過した、搬送中のシートの次に搬送されるシートが、シート積載台1上で静止していれば、光学センサ111を用いて、シートの移動速度が、停止状態の速度(0[mm/sec])に変化することが検出される。しかし、搬送中のシートと次のシートとが接触しており、かつ、当該次のシートが搬送中のシートと連動して移動する可能性がある。この場合、光学センサ111を用いて検出されるシートの移動速度は0にならない。そこで、シートの後端が光学センサ111の位置を通過したと判定するための速度検出範囲を設定してもよい。本実施形態では、一例として、後述するように、シートがレジストローラ17,18で搬送されている場合には給送ローラ6の回転を停止するようにしているため、制御部45は、シートの移動速度が300[mm/sec]以下の範囲内に変化したことに応じて、当該シートの後端が光学センサ111の位置を通過したと判定する。
以上説明したようなシートの位置検出により、シートの先端が給送ローラ6又はレジストローラ17,18へ到達したこと、及びシートの後端が光学センサ111の位置を通過したことを検出することが可能である。
<ピックアップローラ押圧力調整>
ピックアップローラ4をシートの取込位置に移動させ、シートに押圧した状態で回転させることでシートを取り込むことができる。ピックアップローラ4のシートへの押圧力が強ければシートは安定した速度で取り込まれる反面、取込対象のシート以外も取り込み方向への力を受けるためシートの重送やジャムが発生しやすくなる。逆にシートへの押圧力が弱ければシートによってはピックアップローラ4とシートとが滑ってシートを取り込めなくなる。両者のバランスをとるように光学センサ111により検出されるシートの移動速度に基づいてピックアップローラ4によるシートへの押圧力を調整することで安定した取り込みが実現できる。
図6をもとにピックアップローラ4の取り込み時における押圧力の調整方法を説明する。図6ではピックアップローラ4を回転し始めたタイミングA時点からのピックアップローラ4の速度と取り込まれるシートの移動速度とをグラフで示している。なお、シートの移動速度は、光学センサ111によって取得した移動量から計算される。本実施形態においては、シートの目標速度をV1とし、シート速度がV1以上を維持するようピックアップローラ4の押圧力を調整する。
まず、ピックアップローラ4のシートへの押圧力に標準的な値を初期設定として、ピックアップモータ5を駆動することによりピックアップローラ4を回転させるとシートが取り込まれ始める(タイミングA)。タイミングAから一定時間間隔でシートの移動速度を検出し、シートが規定の目標速度に達していなければ押圧力を強くするよう制御する。タイミングAから一定時間後(タイミングB)でシートの移動速度を検出すると目標速度V1に達していないため、ピックアップローラ4による押圧力を強くする。すると、ピックアップローラ4とシートとの摩擦力が強くなり、シートの移動速度が速くなる。
次の一定時間後(タイミングC)では、シートの移動速度は目標速度V1を超えているためピック押圧力は変更しない。その後は同様の制御を続ける。シートが駆動中の給送ローラ6に到達すると(タイミングD)、シートの移動速度は給送ローラ6の周速に近い速度まで急上昇し、それによってシート先端が給送ローラ6に到達したと判断する(タイミングE)。そうすると、このシートの取り込みは終了となるため、ピックアップローラ4を停止させると同時に退避位置まで移動させて押圧を解除する。
以上により標準的な押圧力では十分でない場合に押圧力を上昇させることでピックアップローラ4とシートとの滑りを少なくして安定した取り込みができるようになる。普通紙や厚紙などある程度の腰のあるシートや、サイズが大きかったり厚みがあったり1枚当たりの重量が大きいシートなどではピックアップローラ4とシートとが滑りやすいため特にこのようなシートの取り込みには有効である。
薄紙などのような腰が無くジャムが起きやすいシートではピックアップローラ4とシートとの滑りを一定量許容することでさらに押圧力を弱くしつつ安定した取り込みを実現できる。図7では図6同様ピックアップローラ4を回転し始めたタイミングAからのピックアップローラ4の速度と取り込まれるシートの移動速度とをグラフで示しているが、シートの目標速度に幅を持たせ、下限速度をV2、上限速度をV3とし、V2からV3の範囲内を維持するようピックアップローラ4の押圧力を調整する。上限速度のV3はピックアップローラ4の周速よりも低い値を設定する。V3がピックローラ4の周速以上に設定されてしまうと、押圧力が高い状態でシートを搬送してしまう可能性があるため、できるだけ小さい押圧力でシートを搬送する(取り込む)ために、V3をピックアップローラ4の周速よりもわずかに小さい値に設定している。
まず、ピックアップモータ5を駆動することによりピックアップローラ4を回転させるとシートが取り込まれ始める。タイミングAから一定時間間隔でシートの移動速度を検出する。タイミングAから一定時間後のタイミングBにて目標下限速度V2に達していないため押圧力を強くする。このときの押圧力の変更幅は目標下限速度V2とシート速度との差が大きいほど押圧力も強くなるようにする。
すると一定時間後のタイミングCではシート速度は目標下限速度V2を超えてピックアップローラ4の周速に近い速度まで上昇しているが、目標の上限速度V3を超えているため押圧力を弱くする。このとき、タイミングBでの押圧力の上昇幅よりも小さい幅で押圧力を弱くする。
次の一定時間後(タイミングD)ではまだ目標の上限速度V3を超えているためタイミングCと同様に押圧力を弱くする。その後、タイミングEではシート速度はV2からV3の範囲内であるため押圧力は変更しない。シート速度が一度目標の範囲内に入ったとしても、シートとローラ表面の状態の違いなどでシート速度が変動することもある。図7のタイミングE〜F間ではピックアップローラ4のシートへの押圧力は同じだが滑りが大きくなり、タイミングFで目標下限V2を下回っている。その場合、タイミングBと同様に押圧力を強くするが、タイミングFではBと比べて目標下限速度V2とシート速度との差が小さいため、押圧力の上昇幅をタイミングBより小さくする。
その後も一定時間間隔でシート速度がV2からV3の範囲内かを判定し、範囲外なら押圧力を変更する。シートが給送ローラ6に到達するタイミングG以降は図6でのタイミングD以降の制御と同様であるため説明を省略する。
なお、このようにしてタイミングGに至る直前に設定された押圧力は、次のシートの取込開始時(タイミングA)における押圧力に反映されるように制御することが好ましい。
ピックアップローラ4で取り込んでいるシート速度の目標として上限と下限を設け、ピックアップローラ4とシートとの一定量の滑りを許容することで、ピックアップローラ4を過度にシートに押し付けることが無くなるため、シートの重送やジャムの発生を防止できる。特に薄紙での取り込みで効果がある。
なお、以上説明した実施形態ではピックアップローラ4の押圧力を調整することでシートへの負荷を考慮しながらシート速度を調整したが、本実施形態はこれに限られず、ピックアップローラ4の回転速度を調整することによってシート速度を調整するようにしても良い。
<分離ローラの戻り現象>
レジストローラ17,18及び搬送ローラ20〜23によって搬送されるシートの後端が分離ローラ対42のニップを抜けたときに次の給送対象であるシートがニップに挟まれているかどうかを判別する方法を説明する。分離ローラ7は上述の通り分離モータ9からトルクリミッタを介して駆動力を伝達されている。図12に分離ローラ7の断面図を示す。分離ローラ7には、分離モータ9とギア等を介して連結されている分離ローラ駆動軸57から駆動力を伝達される。分離ローラ駆動軸57はトルクリミッタ51に連結される。トルクリミッタ51は、分離ローラ駆動軸57から駆動力を受け取る内輪52、内輪52に対して一定の束縛力を持ち一定以上の回転力が加わると滑るよう束縛しているコイルばね54、コイルばね54と連結されトルクリミッタ51の周囲を覆うよう構成される外輪53の3つから構成される。外輪53は分離ローラ軸55と連結し、さらに分離ローラ軸55の周りは分離ローラゴム56により覆われる。分離ローラ駆動軸57と分離ローラゴム56表面との負荷の差が一定以上となるとトルクリミッタ51の内輪52とコイルばね54とが滑って負荷が制限される。静止状態から負荷をかけたとき、コイルばね54と内輪52とが滑るまでに、コイルばね54の伸縮により内輪52と外輪53との間に一定量は回転差が生じてしまう。この状態で負荷から解放されると回転差がコイルばねの反発力によって負荷方向と反対側に戻ろうとする。このとき、給送ローラ6は、給送方向に回転していた状態であり、給送ローラ6を駆動するための駆動ギアのバックラッシに相当するストローク分だけ、次のシートごと上流側に戻されることがある。給送ローラ6の停止状況や駆動ギアの構造にもよるが、1mm程度シートが戻されることがあるが、光学センサ111における撮像範囲は、本実施形態の例としては1mm四方程度のものを用いることができ、シートが戻されたことを検出するのには十分である。実際には、光学センサ111の撮像範囲に関わらず、表面画像の取得間隔前後の撮像画像において重複している部分が移動量を判定するのに必要な量以上となるようなサンプリング間隔を有するセンサを用いれば良い。
<次の給送対象シート先端の分離ローラ対到達検出>
この現象を利用して給送ローラ6と分離ローラ7間のニップでのシート有無の検出ができる。レジストローラ17,18及び搬送ローラ20〜23によって搬送されるシートの後端が分離ローラ対42のニップを抜けたときに、次の給送対象であるシートがニップに挟まれている場合、トルクリミッタの反発力により分離ローラ7が一定量だけ上流側に急激に戻るのと同時にシートも同量だけ上流側へ戻る。これを光学センサ111で検出する。本実施形態における給送ローラ6および分離ローラ7においては、1mm前後シートが戻されることがあるが、光学センサ111においては、例えばその分解能としては、1500cpi(count per inch)程度のものを用いることができ、すなわち、1インチ当たり1500カウントの移動量データを検出することが可能である。その場合、1カウント当たり25.4/1500 = 0.017mmの移動が起こると移動量が出力されるものであり、戻されたシートの移動量を検出するには十分である。
図8、図9を使って説明する。図8はシート搬送中にシート積載台1にある次のシートの先端が分離ローラ対42に到達していない場合である。図8(a)はレジストローラ17,18でシートを搬送している図である。給送ローラ6は給送モータ8との連結の間にワンウェイクラッチがあるため、シートの搬送により搬送方向にはほぼ無負荷で連れ回る。分離ローラ7は搬送されるシートとの摩擦力がトルクリミッタの制限トルクを超えるため搬送方向に連れ回っている。また、このとき光学センサ111ではシートの搬送速度でシートの移動を検出しているがシート後端が光学センサ111に到達すると、シートの移動を検出できなくなる。このタイミングから一定時間後にシート後端は分離ローラ対42のニップ位置に到達する(図8(b))。シート後端がニップ部を抜けたとき、給送ローラ6と分離ローラ7の連れ回りは止まるとともに、分離ローラ7にあるトルクリミッタのコイルばねの影響で、分離ローラ7が少し上流側へ戻される(図8(c))。次の給送対象シートは先端がシート積載台1にあるため静止したままで、光学センサ111でもシートの移動は検出されない。この場合、ピックアップローラ4による取り込みが必要になるので、ピックアップローラ4を取込位置に移動させ(図8(d))、ピックアップローラ4を回転させることでシートが取り込まれる(図8(e))。
図9はシート搬送中にシート積載台1にある次のシートの先端が分離ローラ対42に到達している場合である。図9(a)はシートをレジストローラ17,18で搬送している状態であるが、次の給送対象シートの先端は分離ローラ対42のニップに挟まれている。このとき給送ローラ6への給送モータ8からの駆動は切られているが、給送ローラ6は搬送されるシートに連れられて搬送方向に回転する。しかし、分離ローラ7には次のシート先端が接触しているため、トルクリミッタの制限トルクを超えずに分離ローラ7はほぼ静止している。
シートの搬送を続けると、シート後端が分離ローラ対42のニップ部に到達する(図9(b))。このとき光学センサ111は次の給送対象のシートの移動量の検出を開始する。分離ローラ7は搬送されるシートにより連れ回っていないものの、一定の負荷が分離ローラ7のトルクリミッタにはかかっているため、シート後端がニップ部を抜けると負荷から解放された分離ローラ7は上流側へ戻される(図9(c))。次の給送対象のシートはニップ部に挟まれているため、同時に分離ローラ7の戻りによりシートは上流側へ戻される。このシートの移動を光学センサ111で検出することで、次の給送対象のシート先端が分離ローラ対42のニップ部に到達しているか否かを判断できる。
次の給送対象であるシートの先端がニップ部に到達している場合、ピックアップローラ4により取り込む必要が無いため、ピックアップローラ4を取込位置へ移動せずに、直ちに給送モータ8を駆動して給送ローラ6を回転させれば、次のシートの給送を開始できる(図9(d))。
<ピックアップローラ押圧力調整制御フロー>
これらの制御を図10のフローチャートを元に説明する。シート積載台1にはシート束が積載され、最上面のシートは図3に示す取込位置まで上昇している状態とする。まず分離モータ9を保持状態にする(S101)。これにより分離ローラ7のトルクリミッタ内輪は固定される。
次に給送モータ8を駆動させて給送ローラ6を回転させる(S102)。さらに、シート積載台1にあるシートを取り込むべくピックアップローラ4を取込位置まで下降させる(S103)。このときのピックアップローラ4のシートへの押圧力は種々のシートに対して広く適用できる値を初期設定とする。
ピックアップローラ4が取込位置まで下降されると、ピックアップモータ5を駆動させてピックアップローラ4を回転させる(S104)。ここからシートが安定した速度で取り込まれるよう、図6で説明したように、光学センサ111で検出するシート移動量に応じてピックアップローラ4の押圧力を調整する。
シートの移動速度は所定時間間隔(例えば200msec間隔)で設定された各シート速度検出タイミングで検出する。このシート速度検出タイミングになると(S105Yes)、検出したシート速度が目標速度V1を超えているかどうかを判定する(S106)。
シート速度がV1を超えていれば(S106Yes)、シートの取り込みに問題はないのでピックアップローラ4の押圧力は維持する。もしシート速度がV1以下であれば(S106No)、ピックアップローラ4とシートとが滑って安定した取り込みが出来ていないので、ピックアップローラ4によるシートへの押圧力を上昇させる(S107)。
この制御をシート速度検出タイミングの度に、シート先端が分離ローラ対42に到達するまで(S108Noの間)繰り返す。シート先端が分離ローラ対42に到達したかどうかの判定は、図5を用いて説明したように、光学センサ111が検出するシート速度がピックアップローラ4による速度から給送ローラ6による速度に変動したときに到達したと判定する。
シート先端が分離ローラ対42に到達したとき(S108Yes)、シートの取り込みが終了となるのでピックアップモータ5を停止させ(S109)、ピックアップローラ4を退避位置へ上昇させる(S110)。ここまでがシート1枚に対するピックアップローラ4による取り込み動作である。なお、S109とS110とは順序が入れ替わっても良く、ピックアップローラ4を退避位置へ上昇してから、或いは、上昇させながら回転を停止しても良い。
このように、シートの取り込みにおいてピックアップローラ4の周速に対しシートが滑って速度が遅くなっているとき、シート速度が目標速度以上を維持するようにピックアップローラ4のシートへの押圧力を強くすることで、押圧力を最小限に留めつつシートの安定した取り込みを実現できる。
なお、ここでは図6に示すシートの目標下限速度V1のみ設定したが、図7のように目標速度に範囲を持たせ、上限と下限を設定してもよい。このときの目標速度の上限には、上述したようにピックアップローラ4の周速よりも低い値を設定する、つまりピックアップローラ4とシートとの滑りを一定量許容することで、ピックアップローラ4のシートへの過度な押圧を防ぐことができるため、特に薄紙などの腰の弱いシートで安定した取り込みを実現できる。
また、シート速度が目標下限速度に達していないときにピックアップローラ4のシートへの押圧力を強くするとき、シート速度と目標下限速度との差が大きいほど強くなるような押圧力を設定してもよい。シート速度と目標下限速度との差が大きい場合、シート速度をいち早く目標速度に達することができ、シート速度と目標下限速度との差が小さい場合、過度な押圧力をシートに与えないようにできる。
ピックアップローラ4のシートへの押圧力を初期状態よりも強く調整したとき、分離ローラ7によるシートの分離力を強くするよう制御してもよい。例えば、初期状態では分離モータ9は保持しているが、ピックアップローラ4の押圧力を強くしたときは分離モータ9を駆動して分離ローラ7がシートを戻す方向の回転力が強くなるようにして分離力を強くする。また、ピックアップローラ4のシートへの押圧力に応じて分離ローラ7による分離力を変更してもよい。ピックアップローラ4の押圧力を強くするとシートの重送が発生しやすくなるため、分離力を強くすることで重送を防止できる。また、給送ローラ6と分離ローラ7とのニップ圧を調整する(上昇させる)ことで分離力を強めても良い。
シートの取り込み速度を速くするために、本実施の形態では、ピックアップローラ4によるシートへの押圧力を強くしたが、ピックアップローラ4の回転速度を速くしてもよい。また、押圧力と回転速度の両方を上昇させるようにしてもよい。
<ピックアップローラ退避判定処理フロー>
次に図10のS111以降の処理について説明する。給送されるシート先端がレジストローラ17,18に到達するまで(S111Noの間)給送ローラ6による給送を継続する。シート先端がレジストローラに到達したかどうかの判定は、分離ローラ対42への到達と同様に、光学センサ111が検出するシート速度が給送ローラ6による速度からレジストローラ17,18による速度に変動したときに到達したと判定する。シート先端がレジストローラ17,18に到達したとき(S111Yes)、給送ローラ6による給送が終了するため、給送モータ8の駆動を停止する(S112)。なお、シート先端がレジストローラ17,18に到達したことの判定には、他の光学センサを用いても良い。
次は搬送されるシートの後端が分離ローラ対42に到達するまで待機するが、そのためにまず、光学センサ111位置にシート後端が到達するまで(S113Noの間)待機する。光学センサ111にシート後端が到達したかどうかの判定は、光学センサ111が検出するシート速度がレジストローラ17,18や搬送ローラ20〜23による速度から静止状態に変動したときに到達したと判定する。
シート後端が光学センサ111に到達したとき(S113Yes)、そこからシート後端が分離ローラ対42に到達するまでの所定時間だけ待機する。ここではシート後端が分離ローラ対42のニップ領域の上流側端に到達すると予測されるタイミングまで待機する。そのために一定時間をカウントするタイマーのカウントを開始し(S114)、所定時間経過するまで待機する(S115No)。なお、光学センサ111を例えば分離ローラ対42のニップ位置の上流端におけるシートの移動量を検出可能な位置に配置しても良く、その場合、S114、S115は省略できる。
一定時間が経過したとき(S115Yes)、次の給送対象のシートが分離ローラ対42のニップに到達しているかどうかを検知するため、次の給送対象のシートの移動量を光学センサ111により検出するのを開始する(S116)。ここでは検出を開始してからの累積したシート移動量を求める。シートが搬送方向に移動したときの移動量は正の値とし、逆にシートが上流側に移動したときの移動量は負の値とする。
このシート移動量が閾値−D1以下となるとき(S117No)、つまりシートが上流側へD1以上移動したときに、次の給送対象のシート先端が分離ローラ対42に到達していると判定する。このときは次のシートを給送するときピックアップローラ4による取り込みが必要ないため、直ちに給送モータ8を駆動して(S119)給送ローラ6による給送を開始する。なお、直ちに給送モータ8を駆動せずに、所定の時間の経過を待ってから駆動を開始しても良い。
シート移動量が−D1より大きければ(S117Yes)、この時点ではシートが分離ローラ7により上流側へ戻されていないと判断される。シート移動量の検出を終えるのは、シート後端が分離ローラ対42のニップ部領域の下流側を抜けた後に分離ローラ7が上流側へ戻る動作をするまでの一定期間後とする。シート移動量を検出する期間内は継続して検出する(S118No)。
シート移動量を検出する期間が終了したとき(S118Yes)、シートの戻りは検出できなかったことになり、次の給送対象のシート先端は分離ローラ対42には到達していないことになる。よってこの場合は、ピックアップローラ4によるシートの取り込みが必要になるためS102に分岐してシートのピックアップから始める。
搬送されるシート後端がニップを抜けたときに次の給送対象シートの移動量を光学センサ111により検知することで、次の給送対象のシート先端が分離ローラ対42のニップに進入しているかどうかを判断できる。この方法によれば分離ローラ7の回転量を検出せずとも正確に判断できる。
このように、次の給送対象のシートの戻りを検出した後、ピックアップローラ4を退避位置に移動したまま給送ローラ6によりシートを給送することで、ピックアップローラ4による取り込みを省略できる。具体的には、ピックアップローラ4を下降する制御を行わなくて良い。これにより、給送対象のシート以外も取り込みにより負荷を与えずに済み、さらに、ピックアップローラ4がシートに接する時間が減るためローラの劣化を低減できる。
なお、本実施の形態では、光学センサ111をピックアップローラ4よりも給送方向の上流側に配置してシート積載台1上のシートの移動を検知したが、光学センサ111は他の場所に配置しても良い。例えば、ピックアップローラ4と搬送方向における同じ位置や、ピックアップローラ4から分離ローラ対42のニップ領域上端までの範囲に配置しても良い。ピックアップローラ4によるシートの取り込み速度を検出するためには光学センサ111はピックアップローラ4と搬送方向に対して同じ位置に配置するのが良い。そのためにはピックアップローラ4を分割ローラとし、分割したローラ間に光学センサ111を配置することが好ましい。
また、搬送されるシート後端が分離ローラ対42を通過した後に次の給送対象のシートの移動を検知するためには、光学センサ111は分離ローラ対42のニップ領域上流側端の上流側直近に配置するのが良い。例えば薄紙を搬送する場合、搬送されるシート後端が分離ローラ対42を通過した後に分離ローラ7が戻った時に先端が戻されたシートに先端付近でループが発生すると、ループよりも上流側に光学センサ111を配置されているとシートの移動量が検知できない。分離ローラ対42上流側直近であれば仮にループが発生したとしてもシートの移動を検出できる。
これらをともに満たすためには光学センサ111は、ピックアップローラ4上流側直近から分離ローラ対42上流側直近までの範囲に配置するのが良い。また、ピックアップローラ4付近及び分離ローラ対42上流側直近の2か所など複数個所に光学センサ111を配置してもよい。
なお、本実施の形態では、ピックアップローラ4を取込位置と退避位置との間で移動するようにしたが、ピックアップローラ4は常に取込位置に固定しておいても良い。本実施の形態でピックアップローラ4を退避位置へ移動する替わりにピックアップローラ4の押圧力を弱くし、ピックアップローラ4を取込位置へ移動する替わりに押圧力を強くしても良い。この方法によれば、ピックアップローラ4が退避位置から取込位置までの移動にかかる時間を省略しつつ、ピックアップローラ4によるシートへの負荷を減らすことができる。また、ピックアップローラ4の回転数のみを変更するようにしても良い。
以上の制御は画像読取装置200が有する給送モードに応じて変更しても良い。画像読取装置200は複数の給送モードを有し、例えば、幅広いシート種類に適した通常給送モード、特に薄紙などのジャムが発生しやすいシートに適した薄紙給送モード、シート同士が静電気で密着しやすかったりシートサイズが大きかったり厚いシートなどより強い分離力が必要な強分離給送モードの3つを有する場合、それぞれの給送モードに応じて給送設定を変更する。薄紙給送モードでは通常給送モードと比べて、例えば、図6の目標速度V1や図7のV2、V3の値を小さくしてもよい。
ピックアップローラ4によるシートへの押圧力を調整するために、ピックアップローラ4をシートへ押し付ける力を変更できるようにしたが、この限りではない。例えば、シート積載台1をシート取込位置の方へ押し上げることでも押圧力を強くすることができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る原稿給送装置及び当該原稿給送装置を備える画像読取装置について説明する。なお、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、主に第1の実施形態との相違点について説明する。
第1の実施形態では、制御部45は、搬送されるシート後端の分離ローラ対42への通過に伴い分離ローラ7が上流側へ僅かに戻り、そのとき次の給送対象のシート先端が分離ローラ対42に到達していれば分離ローラ7と共にシートも戻り、それを光学センサ111で検出することでシート先端が分離ローラ対42に到達しているか否かを検出した。そしてシート先端が分離ローラ対42に到達している場合は次の給送時にピックアップローラ4を退避位置に移動させたまま給送ローラ6を回転させるよう制御した。本実施形態では、搬送されるシート後端が分離ローラ対42を通過した時に分離ローラ7が上流側へ戻る現象を抑制するために分離モータ9による分離力を一時的に抑制するよう駆動制御する。分離ローラ7によって生じる薄紙などの先端折れを防止し、それに起因するジャムを抑止することができる。
この制御を図11のフローチャートを元に説明する。図11は第1の実施形態のフローチャートを示す図10と共通の制御については同じ符号を付与している。本実施形態のみに適用される制御にはS201〜S206の符号を付与している。図11において、搬送されるシート後端が分離ローラ対42に到達し(S115Yes)、次の給送対象シートの移動量の検出を開始する(S116)処理までと移動量の検出方法は第1の実施形態と同様である。異なるのは、分離ローラ7によるシートの戻りを判定する移動量の閾値を−D2としている(S201)点である。
分離モータ9の駆動制御により分離ローラ7の戻りを抑制すべく、分離ローラ7の戻りをより早く検出して抑制制御に反映させる必要があるため、D2はD1よりも小さい値としている。シート移動量が−D2以下になるとき(S201No)、つまりシートが上流側へD2以上移動したときに、次の給送対象のシート先端が分離ローラ対42に到達していると判定する。このとき分離モータ9の保持を解除する(S202)。
第1の実施形態で説明したように、分離ローラ7が上流側へ戻る現象はトルクリミッタ51内のコイルばね54の反発力によるものである。分離モータ9の保持によりトルクリミッタ51の内輪52も保持されていた状態が、分離モータ9の保持解除により内輪52もフリーになり、コイルばね54の反発力により内輪52が回転して反発力が解消され、分離ローラ7の上流側へ戻る現象も抑制される。よって分離ローラ7によりシートが上流側に戻される距離はこの抑制制御により小さくなる。
ここまでの制御だと、搬送されるシート後端が分離ローラ対42のニップ領域を通過したときに分離ローラ7の戻りが1回だけ発生する場合には、分離ローラ7の戻りの抑制制御が有効に働く。なお、S202で分離モータ9の保持を解除したときには、シート後端は分離ローラ対42のニップ領域を完全に抜けているため、搬送されるシートと分離力を抑制した分離ローラ対42との間への影響は無い。
しかし一方で、分離ローラ7の戻りが複数回生じる可能性もある。例えば、搬送されるシートと次の給送対象のシートとが分離ローラ対42のニップで挟まれて接しているシート面同士の状態の違いや、分離ローラ7表面の劣化のムラにより、シート同士やシートと分離ローラ7表面との接触部の摩擦力が均一でない場合がある。
このような場合に搬送されるシート後端が分離ローラ対42を通過したときに分離ローラ7の戻りが複数回発生することが考えられる。この場合、搬送されるシート後端が分離ローラ対42のニップ領域内にあるときにS202で分離モータ9の保持を解除することで、搬送されるシート後端がニップ領域を抜けるまでの間に分離ローラ7が搬送方向に連れ回ってしまうことがある。それにより次の給送対象のシートも分離されることなく下流側へ連れられて搬送されてしまい、重送になってしまう可能性がある。
これを回避するため、S202の後、シート移動量がD3以上となったとき(S203No)、つまり分離力を解除した結果、シートが一度は−D2まで上流側へ戻ったにも関わらず下流側へ流されているのを検知したとき、分離モータ9の保持を再度オンにする(S204)。これによりシートの重送を回避することができる。なお、S203では分離モータ9を保持するための条件として、シート移動量がD3以上となったときを例に挙げたが、実際には、−D2よりも下流側(正方向側)にシートが移動したことを検知できれば良いため、シート移動量が−D4以上(D4<D2)となった場合にS204に移行するようにしても良く、好ましくはD4=0とした場合である。
S203でシート移動量がD3より小さいとき(S203Yes)、シートは分離ローラ7により上流側に戻されたままと判断し、分離モータ9の状態は維持する(保持解除状態)。搬送されるシート後端が分離ローラ対42のニップ領域を完全に抜けたと想定されるまでの所定時間が経過するまで(S205No)同様の制御を続け、所定時間が経過すると(S205Yes)、シート移動量の検出を終了する。次の給送を開始するため、分離モータ9の保持をオンにし(S206)、給送モータ8の回転により(S119)、給送を開始する。
図11のS115とS205ではともにS116でシート移動量の検出を開始してからの所定期間が経過するのを待機するための判断処理であるが、それぞれ異なる期間を設定しても良い。S205の処理をする場合、次の給送対象のシートがすでに分離ローラ対42に到達しており、ピックアップローラ4による取り込みが必要なく、S119での給送モータ8による給送が多少遅れてもシート同士の紙間が著しく長くなることは無い。また、S202により分離モータ9の保持を解除しているため、搬送されるシート後端が確実に分離ローラ対42のニップ部を抜けてから次の給送を始める必要がある。これらより、S205の待機時間はS115よりも長く設定してもよい。
本実施の形態では、シート後端が分離ローラ対42を通過した時に分離ローラ7の分離力を抑制するため、分離モータ9の保持を一時的に解除したが、分離力を抑制できればこの限りではない。例えば、分離ローラ7が搬送方向に回転するよう分離モータ9を駆動制御してもよい。これによりトルクリミッタ51のコイルばね54に発生する反発力を内輪52の正転により解消でき、分離力の抑制ができる。
また、分離力の抑制に分離モータ9の制御ではなく、ニップ隙間調整モータ11の制御で実現してもよい。ニップ隙間調整モータ11により分離ローラ7と給送ローラ6との隙間を開けることで、シートと分離ローラ7との摩擦が低減され、搬送されるシート後端が分離ローラ対42を通過した時に分離ローラ7が上流側へ戻ってもシートに伝わらずにシートに影響を与えないようにできる。
以上説明したように、本実施形態によれば、次の給送対象のシート先端が分離ローラ7に接触していた場合、搬送されるシート後端が分離ローラ対42を抜けるときに生じる分離ローラ7の戻る力を抑制することにより、シート先端の破損やジャムの要因になることを防止できる。
以上、本発明の原稿給送装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、以上説明した各実施形態を適宜変更したり、組み合わせて適用することが可能である。
1 シート積載台
1a シート積載面
2 積載台駆動モータ
3 シート検知センサ
4 ピックアップローラ
5 ピックアップモータ
6 給送ローラ
7 分離ローラ
8 給送モータ
9 分離モータ
10 搬送モータ
11 ニップ隙間調整モータ
12 シート積載検知センサ
14,15 画像読取センサ
17,18 レジストローラ
20〜23 搬送ローラ
45 制御部
51 トルクリミッタ
70 ピックアップ昇降モータ
111 光学センサ
200 画像読取装置

Claims (12)

  1. 原稿が載置される原稿台と、
    前記原稿台に載置された原稿を装置本体内に取り込む取込手段と、
    前記原稿台に載置された原稿に接する取込位置と原稿から離れた退避位置との間で前記取込手段を移動させる移動手段と、
    前記取込手段により取り込まれた原稿を一枚ずつ給送する給送手段と、
    前記給送手段に当接し、給送対象の原稿をそれ以外の原稿と分離する分離手段と、
    前記給送手段によって給送された原稿を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
    前記給送手段よりも給送方向の上流側において、原稿の移動量を検出する検出手段と、
    前記給送手段および前記移動手段を制御する制御手段と
    を備え、
    前記制御手段は、前記搬送手段によって搬送される原稿の後端が前記給送手段を通過したときに、前記検出手段によって次の給送対象原稿が前記上流側へ移動したことを検出した場合、
    前記移動手段が前記取込手段を退避位置に退避させたまま、前記給送手段により次の給送対象原稿を給送することを特徴とする原稿給送装置。
  2. 前記制御手段は、前記取込手段により原稿を取り込むときは前記取込手段を前記取込位置に移動し、前記取込手段により原稿を前記給送手段まで取り込んだときに前記取込手段を前記取込位置から前記退避位置に移動するよう前記移動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の原稿給送装置。
  3. 原稿が載置される原稿台と、
    前記原稿台に載置された原稿を装置本体内に取り込む取込手段と、
    前記取込手段を、前記原稿台に載置された原稿に接する取込位置と、原稿から離れた退避位置との間で移動させる移動手段と、
    前記取込手段により取り込まれた原稿を一枚ずつ給送する給送手段と、
    前記給送手段に当接し、給送対象の原稿をそれ以外の原稿と分離する分離力を発生する分離手段と、
    前記給送手段によって給送された原稿を搬送路に沿って搬送する搬送手段と、
    前記給送手段よりも給送方向の上流側において、原稿の移動量を検出する検出手段と、
    前記分離手段が発生する前記分離力を制御する制御手段と
    を備え、
    前記制御手段は、前記搬送手段によって搬送される原稿の後端が前記分離手段を通過したときに、前記検出手段によって次の給送対象原稿が前記上流側へ移動したことを検出した場合、
    前記分離力を一時的に低減するよう制御することを特徴とする原稿給送装置。
  4. 前記分離手段は、前記給送手段に当接する分離ローラと、前記分離ローラが前記原稿を給送方向の上流側へ移動する方向に回転するよう駆動して前記分離力を発生させる分離駆動手段とを有する
    ことを特徴とする請求項3に記載の原稿給送装置。
  5. 前記制御手段は、前記分離駆動手段の駆動を停止することで前記分離力を低減することを特徴とする請求項4に記載の原稿給送装置。
  6. 前記制御手段は、前記分離ローラが前記原稿を前記給送方向の下流側へ移動する方向に回転するよう駆動して前記分離力を低減するよう制御することを特徴とする請求項4に記載の原稿給送装置。
  7. 前記制御手段は、前記分離力を低減した後、前記検出手段により前記給送方向の下流側への前記原稿の移動を検出したときに、前記分離力の低減を解除することを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の原稿給送装置。
  8. 前記制御手段は、前記搬送手段による前記原稿の搬送中に前記検出手段が検出する前記移動量の変化が無くなったタイミングから所定時間経過した時点で、前記原稿の後端が前記給送手段を通過したと判断することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の原稿給送装置。
  9. 原稿が載置される原稿台と、
    前記原稿台に載置された原稿を搬送路に取り込む取込手段と、
    前記取込手段による前記原稿の押圧力を制御する押圧手段と、
    前記取込手段により取り込んだ原稿を一枚ずつ給送する給送手段と、
    前記給送手段によって給送される原稿を前記搬送路において搬送する搬送手段と、
    前記給送手段の上流側で前記原稿の移動量を検出する検出手段と、
    前記押圧手段を制御する制御手段と
    を備え、
    前記制御手段は、前記移動量に基づいて前記原稿の移動速度を計算し、原稿が前記給送手段に到達するまでの間、前記取込手段により取り込まれる原稿の前記移動速度が規定の目標速度以上を維持するよう前記押圧手段を制御することを特徴とする原稿給送装置。
  10. 前記押圧手段は、原稿に接触しない退避位置と原稿に加圧した状態で接する取込位置との間で前記取込手段を移動させる移動手段を有し、
    前記制御手段は、原稿の前記移動速度が前記目標速度に達していないとき、前記取込手段による前記原稿の押圧力を強くすることを特徴とする請求項9に記載の原稿給送装置。
  11. 前記制御手段は、
    原稿の前記移動速度が前記目標速度を超えているとき前記押圧力を弱くし、
    原稿の前記移動速度が前記目標速度に達していないときは、前記移動速度と前記目標速度との差が大きいほど前記押圧力を強くすることを特徴とする請求項9または10に記載の原稿給送装置。
  12. 前記検出手段は、原稿で反射した光を受光して光電変換を行う撮像素子を有し、所定の時間間隔で前記撮像素子により取得した複数の前記原稿の画像に基づいて、前記原稿の移動量を検出することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の原稿給送装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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