JP2020001426A - 車両の側部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドア内蔵センタピラーの基本断面における車幅方向の幅を大きく確保して、その耐力向上を図ると共に、側突時にフロントドア内のインパクトビーム後端の荷重を受けることもできる車両の側部構造の提供を目的とする。【解決手段】ドア内蔵センタピラー50は、下部側になる程、前後幅が広く形成されており、側面部50cは、インパクトビーム18の後端内端部よりも車幅方向外方側に位置するベース側面部50fと、上記インパクトビーム18の後端内端部よりも車幅方向内方側に位置する第2の側面部50hと有し、該第2の側面部50hが上記ドア内蔵センタピラー50下部の前部寄りに形成され、上記インパクトビーム18後端を上記第2の側面部50hに対して車両側面視でオーバラップさせたことを特徴とする。【選択図】図2

Description

この発明は、観音開き式ドアのフロントドア内部に設けられたインパクトビームの後端を、リヤドア前端部に内蔵されて前面部と、後面部と、前後両面部の車外端同士を連結する側面部とから成るドア内蔵センタピラーに対して、車両側面視でオーバラップさせた車両の側部構造に関する。
一般に、フロントドアとリヤドアとを観音開き構造と成した観音開き式のドアが知られている。
このような観音開き式のドアを採用する場合、車体には、ルーフサイドレールとサイドシルとを上下方向に連結する強度部材としてのセンタピラーが設けられないので、例えば、特許文献1に開示されているように、リヤドア内にその上端から下端に渡るハット断面形状のバーチカルレイン(ドア内蔵センタピラー)を設けた構造が知られている。
上記特許文献1には、観音開き式ドアのフロントドア内に設けられたインパクトビームの後端を、リヤドア前端部に内蔵されたバーチカルレインに対して、車両側面視でオーバラップさせており、側突時にフロントドア内のインパクトビームの後端からの側突荷重も受けるよう構成したものである。
しかしながら、車両側突時におけるバーチカルレイン(ドア内蔵センタピラー)の耐力向上の観点から、当該バーチカルレインの車幅方向の幅を広くするという点で、改善の余地があった。
特開2003−025848号公報
そこで、この発明は、ドア内蔵センタピラーの基本断面における車幅方向の幅を大きく確保して、その耐力向上を図ると共に、側突時にフロントドア内のインパクトビーム後端の荷重を受けることもできる車両の側部構造の提供を目的とする。
この発明による車両の側部構造は、観音開き式ドアのフロントドア内部に設けられたインパクトビームの後端を、リヤドア前端部に内蔵されて前面部と、後面部と、前後両面部の車外端同士を連結する側面部とから成るドア内蔵センタピラーに対して、車幅方向外方側に配設させつつ車両側面視でオーバラップさせた車両の側部構造であって、上記ドア内蔵センタピラーは、下部側になる程、前後幅が広く形成されており、上記側面部は、上記インパクトビームの後端内端部よりも車幅方向外方側に位置するベース側面部と、上記インパクトビームの後端内端部よりも車幅方向内方側に位置する第2の側面部とを有し、該第2の側面部が上記ドア内蔵センタピラー下部の前部寄りに形成され、上記インパクトビーム後端を上記第2の側面部に対して車両側面視でオーバラップさせたものである。
上記構成によればドア内蔵センタピラーのベース側面部は、フロントドア内のインパクトビームにおける後端内端部よりも車幅方向外方側に位置するので、ドア内蔵センタピラーの基本断面における車幅方向の幅を大きく確保して、ドア内蔵センタピラーの耐力向上を図ることができる。
また、上述のインパクトビーム後端を第2の側面部に対して車両側面視でオーバラップさせたので、側突時にフロントドア内のインパクトビーム後端の荷重を受けることができる。
要するに、ドア内蔵センタピラーの基本断面幅の維持と、側突時におけるインパクトビームからの側突荷重の受け止めと、の両立を図ることができる。
この発明の一実施態様においては、上記第2の側面部は上方に向かうに従い前後幅が狭くなるよう形成されたものである。
上記構成によれば、第2の側面部により側突時のインパクトビームからの荷重受け面を確保し、当該第2の側面部を上方に向かうに従い前後幅を狭くすることで、剛性の急変による応力集中を回避し、第2の側面部の剛性を上方に向かうに従い漸減変化させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記リヤドアの前端ラインは、その上方が後傾となるよう傾斜しており、上記ドア内蔵センタピラーの前端は、リヤドア前端ラインの後傾形状に沿って傾斜しており、上記ベース側面部はベルトライン部よりも下方が略同じ前後幅に形成され、上記第2の側面部は車両側面視で上記ベルトライン部の下部を頂部とする三角形状に形成されたものである。
上記構成によれば、ベース側面部のベルトライン部よりも下方の前後幅を略一定に維持させつつ、第2の側面部の面積を確保することができる。
この発明の一実施態様においては、上記インパクトビームはその後端が車両側面視で上記ドア内蔵センタピラーの下端部およびサイドシルとオーバラップするよう配置されたものである。
上記構成によれば、インパクトビーム後端からの側突荷重を、上述のドア内蔵センタピラーとサイドシルとに分散して伝達することができる。
この発明の一実施態様においては、上記ドア内蔵センタピラーの第2の側面部の外面と、上記サイドシルを補強するサイドシルレインの外面との車幅方向位置が略同じ位置になるよう構成されたものである。
上記構成によれば、側突時に上記インパクトビーム後端からの側突荷重を、ドア内蔵センタピラーの第2の側面部と、サイドシルレインとに同じタイミングで荷重入力することができ、側突荷重の荷重分散向上を図ることができる。
この発明によれば、ドア内蔵センタピラーの基本断面における車幅方向の幅を大きく確保して、その耐力向上を図ると共に、側突時にフロントドア内のインパクトビーム後端の荷重を受けることもできる効果がある。
本発明の車両の側部構造を示す車両右側の側面図 ドアアウタパネルを取外した状態で示す車両右側の側面図 フロントドアを取付けた状態で示す車両右側の側面図 ドアアウタパネルを取外した状態で示すリヤドアの斜視図 ドア内蔵センタピラー、上部レイン、インパクトビームを車幅方向内側から見た状態で示す側面図 上部レインを車幅方向内側前方から見た状態で示す斜視図 図3のA−A線に沿う要部の矢視断面図 図3のB−B線に沿う要部の矢視断面図 図3のC−C線に沿う要部の矢視断面図 図3のD−D線に沿う要部の矢視断面図 図3のE−E線に沿う要部の矢視断面図 ドア内蔵センタピラーの潰れ状態を示す説明図
ドア内蔵センタピラーの基本断面における車幅方向の幅を大きく確保して、その耐力向上を図ると共に、側突時にフロントドア内のインパクトビーム後端の荷重を受けることもできるという目的を、観音開き式ドアのフロントドア内部に設けられたインパクトビームの後端を、リヤドア前端部に内蔵されて前面部と、後面部と、前後両面部の車外端同士を連結する側面部とから成るドア内蔵センタピラーに対して、車幅方向外方側に配設させつつ車両側面視でオーバラップさせた車両の側部構造において、上記ドア内蔵センタピラーは、下部側になる程、前後幅が広く形成されており、上記側面部は、上記インパクトビームの後端内端部よりも車幅方向外方側に位置するベース側面部と、上記インパクトビームの後端内端部よりも車幅方向内方側に位置する第2の側面部とを有し、該第2の側面部が上記ドア内蔵センタピラー下部の前部寄りに形成され、上記インパクトビーム後端を上記第2の側面部に対して車両側面視でオーバラップさせるという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の側部構造を示し、図1は当該側部構造を示す車両右側の側面図(但し、図1ではフロントドアを取外した状態で示す)、図2はリヤドアのドアアウタパネルを取外した状態で示す車両右側の側面図、図3はフロントドアを取付けた状態で示す車両右側の側面図(但し、図3ではフロントドアのドアアウタパネルを取外した状態で示す)、図4はドアアウタパネルおよびラッチ取付けプレートを取外した状態で示すリヤドアの斜視図、図5はドア内蔵センタピラー、上部レイン、インパクトビームを車幅方向内側から見た状態で示す側面図、図6は上部レインを車幅方向内側前方から見た状態で示す斜視図である。
また、図7は図3のA−A線に沿う要部の矢視断面図、図8は図3のB−B線に沿う要部の矢視断面図、図9は図3のC-C線に沿う要部の矢視断面図、図10は図3のD−D線に沿う要部の矢視断面図、図11は図3のE−E線に沿う要部の矢視断面図である。
なお、以下の実施例においては、車両右側の構成について述べるが、車両左側の構成は車幅右側のそれと左右対称または左右略対称に構成されている。
<前提構造>
図1、図2に示すように、車体上部において前後方向に延びるルーフサイドレール1と、車体後方部において上下方向に延びるリヤピラー2と、該リヤピラー2と連続して下方に延びるリヤボディ3と、車体下部において前後方向に延びるサイドシル4と、図示しない車両前側のヒンジピラーおよびフロントピラーとで囲繞されセンタピラーを有さないドア開口部5が車体側部に形成されている。
なお、上述のルーフサイドレール1、リヤピラー2、サイドシル4、車両前側のヒンジピラー、フロントピラーは何れも閉断面構造に形成された車体強度部材である。
上述のドア開口部5は、車両前側のヒンジピラー(図示せず)に上下一対のドアヒンジを介して開閉可能に取付けられたフロントドア10(図3参照)と、リヤボディ3に上下一対のドアヒンジを介して開閉可能に取付けられたリヤドア30とで開閉されると共に、フロントドア10とリヤドア30とで観音開き式ドアが構成されている。
すなわち、観音開き式ドアは、フロントドア10がその前端部のドアヒンジを支点として開閉し、リヤドア30がその後端部のドアヒンジを支点として開閉し、両ドア10,30の開時には、前席乗員乗降用の開口と、後席乗員乗降用の開口との間に仕切のないドア開口部5が形成されるものである。
一方で、上述のサイドシル4は、図7、図8に示すように、サイドシルインナ6と、サイドシルアウタ7と、サイドシルレイン8(詳しくは、サイドシルレインフォースメント)とを備え、車両前後方向に延びるサイドシル閉断面9を有する車体剛性部材であり、左右一対のサイドシル4,4(但し、図面では、車両右側のサイドシル4のみを示す)におけるサイドシルインナ6,6間には、車室の床面を形成するフロアパネル20が張架されている。
<フロントドアの構成>
上述のドア開口部5の前側を開閉するフロントドア10は、図3、図7、図9、図10、図11に示すように、ドアインナパネル11とドアアウタパネル12とをヘミング加工にて一体化したもので、図3、図9、図10に示すように、ドアインナパネル11の上側後部にはレインフォースメント13を介してガラスガイド14が取付けられている。
また、図3に示すように、ドアインナパネル11のベルトライン部BLには、当該ベルトライン部BLに沿って前後方向に延びるベルトラインレインフォースメント15を取付けている。さらに、同図に示すように、ドアインナパネル11の後縁部段下げ部11aと、前側の段下げ部(図示せず)との間には複数のインパクトビーム16,17,18を張架している。
ここで、複数のインパクトビーム16,17,18のうち、上側のインパクトビーム16はベルトライン部BLに沿って車両前後方向に延びており、上下方向中間部のインパクトビーム17は後縁部段下げ部11aから前上方向に延びており、下側のインパクトビーム18も後縁部段下げ部11aから前上方向に延びている。
図7、図11に示すように、下側のインパクトビーム18の後部と、ドアインナパネル11における後縁部段下げ部11aとの間には、メッキ鋼板製のジャンクションプレート19が介設されている。このジャンクションプレート19は車両側突時に下側のインパクトビーム18が口開き変形するのを防止すると共に、錆による浸蝕を防止するプレートであり、このジャンクションプレート19とインパクトビーム18とで、当該ジャンクションプレート19の前後方向の長さに相当する部分的な閉断面が形成されている。
<リヤドアの構成>
ところで、上述のドア開口部5の後側を開閉するリヤドア30は、図7〜図11に示すように、ドアインナパネル31とドアアウタパネル32とをヘミング加工等により一体化したもので、図1に示すように、これら両パネル31,32によりドア本体部30Mと、当該ドア本体部30Mに対して車幅方向の幅が狭いドアサッシュ部30Sとが一体形成されている。
図2、図3、図4に示すように、上述のドアインナパネル31には、複数の開口部33,34,35,36が開口形成されている。
これら複数の開口部33〜36のうち、前側下部に位置する開口部33は、ドアラッチ組付け用の開口部であり、後側上部に位置する開口部34はドアウインドガラス嵌込み用の開口部であり、他の開口部35,36は軽量化用の開口部である。
図1、図2、図4に示すように、リヤドア30の前端ライン30FLは車両側面視で略直線状に形成されると共に、その上方が後傾となるように前低後高状に傾斜している。一方、リヤドア30におけるドア本体部30Mの後端部において上述のドアインナパネル31には上下方向に延びるヒンジレインフォースメント37を設けている。
また、図8に示すように、ドア下面部としてのドアインナパネル31の下面部31aには、補強レインとしてのラッチ取付けプレート38が設けられている。同図に示すように、当該ラッチ取付けプレート38は車幅方向に延びる主面部38aと、該主面部38aの車幅方向内端から上方に延びる上片部38bと、上記主面部38aの車幅方向外端から下方に延びる下片部38cと、を一体形成した強度部材である。
そして、上述のラッチ取付けプレート38の主面部38a上面には、図11に示すベースプレート39を介してラッチユニット40(図8参照)が取付けられる。なお、図11において、41はストライカ、42はピン、43はピン受けである。
<ドア内蔵センタピラーとその周辺構造>
図2、図3に示すように、リヤドア30内の前端部には、その上端から下端まで上下方向に延びる超高張力鋼板製のドア内蔵センタピラー50(以下、単にセンタピラー50と略記する)が設けられており、図8に示すように、当該センタピラー50の前後方向中間下端部(詳しくは、後述するベース側面部最下端部50k)がラッチ取付けプレート38の下片部38cおよびドアインナパネル31の下部に接合固定されている。
図2、図4に示すように、このセンタピラー50の前端は、車両側面視で略直線状に形成されると共に、リヤドア30の前端ライン30FLの後傾形状に沿って傾斜している。
図9、図10に示すように、この実施例では上述のセンタピラー50はリヤドア30内の前寄りの位置において、当該センタピラー50の前端とドアインナパネル31の前端とが略一致するように配置されている。
また、図9〜図11に示すように、上述のセンタピラー50は、車幅方向に延びる前面部50aと、車幅方向に延びる後面部50bと、車両前後方向に延びて上記前後両面部の車外端同士を連結する側面部50cとを有し、車幅方向内側が開放する平面視でハット断面形状に形成されており、上述の前面部50aおよび後面部50bの車幅方向内端部には当該内端部から車両前後方向に延びるフランジ部50d,50eが一体形成されている。
ここで、上述の側面部50cは、図11に示すように、ベース側面部50fと、このベース側面部50fに略車幅方向に延びる中間前面部50gを介して一体形成され前後方向に延びる第2の側面部50hとから形成されている。なお、ベース側面部50f、第2の側面部50hの詳細構造については後述する。
図10に示すように、上述の前後の各フランジ部50d,50eはドアインナパネル31に接合されており、センタピラー50とドアインナパネル31との間には、上下方向に延びるセンタピラー閉断面51が形成されている。
図3のC-C線矢視断面図である図9に示すように、ドアサッシュ部30Sにおけるドアインナパネル31と、センタピラー50の後側のフランジ部50eとの間には、レインフォースメント52が介設されている。
図2、図3、図5に示すように、リヤドア30内部のベルトライン部BLよりも下方側(つまり、ドア本体部30M側)において、ドア後端部に位置するヒンジレインフォースメント37と、センタピラー50のベース側面部50fの後部とを接続する複数のインパクトビーム44,45が設けられている。
ここで、上記複数のインパクトビーム44,45のうち、上側のインパクトビーム44は、ヒンジレインフォースメント37の上部寄りの位置からセンタピラー50のベース側面部50fに向けて前下に延びており、下側のインパクトビーム45は、ヒンジレインフォースメント37の下端部からセンタピラー50のベース側面部50fに向けて前上に延びており、上下の両インパクトビーム44,45の配設位置および傾斜方向を異ならせることで、リヤドア30のドア本体部30Mの広範囲に渡って側突荷重を受け止めるよう構成したものである。
図2、図5に示すように、上述のベルトライン部BLの上部位置でセンタピラー50の前部または後部の一方(この実施例では後部)を屈曲させて屈曲部53を形成し、この屈曲部53よりも上方側(ドアサッシュ部30Sに対応する部分)のセンタピラー50の前後幅を、屈曲部53よりも下方側(ドア本体部30Mに対応する部分)のセンタピラー50の前後幅と比較して細く形成し、当該センタピラー50の屈曲部53よりも上方側の部位に隣接してシートベルトのアンカアジャスタ54を設けている。
図9に示すように、上述のアンカアジャスタ54はドアインナパネル31の車室側の面(車幅方向内側の面)に設けられるもので、同図に示すように、予めナット55が溶接固定された上下一対のブラケット56を、ドアインナパネル31のドア内部空間側の面(車幅方向外側の面)に溶接接合し、上述のナット55(つまりウエルドナット)に車室内側から締結するボルト57を用いて、アンカアジャスタ54がドアインナパネル31に取付けられたものである。
図9、図10に示すように、上述のセンタピラー50の後端(すなわち、後側のフランジ部50e)はドアインナパネル31にのみ接合される一方、センタピラー50の前端(すなわち、前側のフランジ部50d)は、その上部から下部の上下方向略全長に渡ってドアアウタパネル32とドアインナパネル31とに接合され、これら各要素31,32,50の3枚溶接を達成し、かつ、上述の屈曲部53はセンタピラー50の後部側に形成されたものであり、上述のアンカアジャスタ54はセンタピラー50の後部側に隣接配置されている。
図11に示すように、フロントドア10内部に設けられた下側のインパクトビーム18の後端は、リヤドア30内のセンタピラー50(詳しくは、その第2の側面部50h)に対して車両側面視でオーバラップさせている。
図2、図3、図5に示すように、当該センタピラー50は、下部側になる程、その前後幅が連続して漸次広くなるよう形成されている。
また、図11に示すように、上記センタピラー50の側面部50cは、インパクトビーム18の後端内端部18aよりも車幅方向外方側に位置するベース側面部50fと、インパクトビーム18の後端内端部18aよりも車幅方向内方側に位置する第2の側面部50hと、を有しており、これらベース側面部50fおよび第2の側面部50hは前後方向に延びるように形成されると共に、当該第2の側面部50hがセンタピラー50下部の前部寄りに形成されていて、上記インパクトビーム18の後端は、図11に示すように、第2の側面部50hに対して車両側面視でオーバラップさせたものである。
このように、センタピラー50のベース側面部50fを、インパクトビーム18の後端内端部18aよりも車幅方向外方側に位置させて、センタピラー50の基本断面(図9、図10で示したセンタピラー閉断面51参照)の車幅方向の幅を大きく確保し、かつ、フロントドア10内のインパクトビーム18後端を第2の側面部50hとオーバラップさせて、側突時にフロントドア10内のインパクトビーム18からの荷重を上記第2の側面部50hにて受け止めるよう構成したものである。
図2、図4、図5に示すように、上述の第2の側面部50hは上方に向かうに従いその前後幅が連続して漸次狭くなるよう形成されており、これにより当該第2の側面部50hによる荷重受け面の確保と、剛性の急変による応力集中を回避すべく構成したものである。
因に、上述の第2の側面部50hを、フロントドア10内のインパクトビーム18後端とオーバラップする部位にのみ形成する比較構造も考えられるが、この場合には、第2の側面部50hが形成された部位と、第2の側面部50hが形成されていない部位との境界部においてセンタピラー50の剛性が急変し、これに起因して応力が集中するので、これを回避するために、上記構造を採用したものである。
また、図2、図5に示すように、上述のベース側面部50fはベルトライン部BLよりも下方が略同じ前後幅に形成されており、第2の側面部50hは車両側面視でベルトライン部BLの下部を頂部とする上下方向に細長い三角形状に形成されている。これにより、ベース側面部50fのベルトライン部BLよりも下方の前後幅を略一定に保ちつつ、第2の側面部50hの面積を確保すべく構成している。
図2、図7に示すように、フロントドア10内のインパクトビーム18はその後端が、車両側面視でセンタピラー50の下端部、詳しくは、第2の側面部50hの下端部と、サイドシル4とにオーバラップするよう配置されており、これにより、インパクトビーム18後端からの側突荷重を、センタピラー50とサイドシル4とに分散して伝達するよう構成している。
また、図7に示すように、センタピラー50の第2の側面部50hの外面と、サイドシル4を補強するサイドシルレイン8の外面との車幅方向位置が略同じ位置になるよう構成されており、これにより、側突時にインパクトビーム18後端からの側突荷重を、閉断面構造のセンタピラー50における第2の側面部50hと、車体強度部材であるサイドシルレイン8とに同じタイミングで荷重入力し、当該側突荷重の荷重分散性能を向上すべく構成している。
<上部レインとその周辺構造>
ところで、図5、図6に示すように、センタピラー50の上端部からベルトライン部BLに渡って当該センタピラー50の上記各面部(前面部50a、後面部50b、ベース側面部50f参照)を一体で補強する上部レイン60(いわゆる裏当て部材)が設けられており、これにより、センタピラー50の上端部からベルトライン部BLに渡るドアサッシュ部30Sの上下を、当該上部レイン60で補強し、ドア本体部30Mに対して車幅方向の厚みが小さいドアサッシュ部30Sの薄さによる剛性低下を、上部レイン60にて補強し、リヤドア30の上下間での剛性差をなくすよう構成したものである。
図5、図6、図9に示すように、この実施例では、上述の上部レイン60はセンタピラー50の車幅方向内側の面(つまり、センタピラー閉断面51側の面)に当接接合されているが、当該上部レイン60をセンタピラー50の車幅方向外側の面に当接接合する構造を採用してもよい。
上述の上部レイン60は当該上部レイン60が当接されるセンタピラー50の形状と対応すべく、車幅方向に延びる前面部60aと、車幅方向に延びる後面部60bと、車両前後方向に延びて前後両面部の車外端同士を連結する側面部60cとを有すると共に、側面部60cの中間部、詳しくは、上下方向中間部および前後方向中間部には、開口部60dが開口形成されている。また、後述するセンタピラー50の補強ビード59と対応すべく、開口部60dの上下における側面部60cには、上下方向に延びるビード部60e,60fが一体形成されている。
図5、図6に示すように、上述の上部レイン60はその下部から部分的にベルトライン部BLよりも下方に延びる下方延出部61を備えており、センタピラー50のベルトライン部BLにおいて上部レイン60の存在の有無により、上下方向で剛性差が生じることを、当該下方延出部61にて抑制すべく構成している。
図5に示すように、上述の下方延出部61は、インパクトビーム44,45が接続された側であるセンタピラー50のベース側面部50fの後部から後面部50bに渡る部位から、水平方向断面で略L字形状の断面構造を保って下方に延出されている。これにより、上述のインパクトビーム44,45を介して、より大きい側突荷重が作用するセンタピラー50の後部側の補強向上を図るよう構成している。
また、この実施例では、図5に示すように、上部レイン60の下方延出部61は、上述の屈曲部53が形成される側のベース側面部50fから後面部50bに渡る部位から、水平方向断面で略L字形状の断面構造を保って下方に延出されており、上部レイン60にて前後幅が細いセンタピラー50における屈曲部53よりも上方側(ドアサッシュ部30Sに対応する部分)の補強を行なうと共に、屈曲部53が形成される側に下方延出部61を設けることで、当該下方延出部61にて屈曲部53に対する補強をも行なうよう構成したものである。
<センタピラー下部側の構造>
一方、センタピラー50の下方においては、図8で示したように、ドア下面部としてのドアインナパネル31の下面部31aに、補強レインであるラッチ取付けプレート38が取付けられており、センタピラー50の下端直上には、その上部に対して剛性が低い低剛性部としての開口部58がベース側面部50fに設けられている。
このように、センタピラー50下方のドア下面部に補強レインとしてのラッチ取付けプレート38を設けることで、側突直後にドア下面部の変位を抑制しつつ、低剛性部である開口部58を介してセンタピラー50の下端直上を内側に変位させて、側突エネルギの吸収を図るよう構成したものである。
また、低剛性部を開口部58で形成することにより、当該開口部58にて容易にセンタピラー50の下端部近傍の剛性低下を図り、併せて、軽量化をも達成すべく構成している。
図8に示すように、センタピラー50の内側のドア下面部としてのドアインナパネル31の下面部31aには、ラッチ取付けプレート38を介してラッチユニット40が配設されており、上述の補強レインは当該ラッチ取付けプレート38にて構成されると共に、上述の開口部58はラッチユニット40組付け時に当該ラッチユニット40との干渉を回避する大きさに形成されている。
上述のラッチユニット40は、図2、図3で示した開口部33からドアインナパネル31とセンタピラー50との間の空間に挿入して、上述のラッチ取付けプレート38に組付けられるが、この際、上記開口部58をラッチユニット40の組付け性の確保に有効利用して、ラッチユニット40とセンタピラー50とが干渉することを回避できると共に、当該ラッチ取付けプレート38を補強レインとして有効利用することで、別途補強部材を設ける必要がなくなるように構成したものである。
<補強ビートの構成>
図2、図4に示すように、センタピラー50のベース側面部50fにおける前後方向の中間部には、上述の開口部58の直上位置からセンタピラー上端まで上下方向に延び、かつ、車幅方向内側に凹む補強ビード59が上下方向に連続して一体形成されている。
上述の補強ビード59の形成によりセンタピラー50の剛性向上を図り、開口部58の変位に連動してセンタピラー50の上部側が不所望に変位することを抑制し、さらには、センタピラー50の潰れ時には、その倒れ変位を防止して、安定した潰れ変位を確保するよう構成したものである。
図12はセンタピラー50の潰れ状態を示す説明図であって、補強ビード59が存在しない場合には、側突荷重入力時にセンタピラーは、図12に仮想線βで示すように倒れ変位するが、ベース側面部50fに上下方向に延びる上述の補強ビード59を形成すると、当該ベース側面部50fの剛性および側突耐力が向上するので、側突荷重入力時にセンタピラー50は、図12に仮想線αで示すように、安定した潰れ変位となり、補強ビード59が存在しない構造と比較して、衝撃吸収エネルギの増大を図ることができる。
<センタピラー下部側の構造>
また、図2、図5に示すように、センタピラー50の下端前後両部には、低剛性部となる非フランジ部50i,50j(フランジ部を形成しない所謂ノーフランジ部)が形成されている。そして、図8に示すように、ドアインナパネル31の下端とは、開口部58直下におけるベース側面部50fの最下端部50kのみが接合されている。
図8に示すように、上述のベース側面部50fの最下端部50kは、補強レインであるラッチ取付けプレート38の下片部38cを介してドアインナパネル31の下端と接合(最下端部50kと下片部38cとドアインナパネル31との3枚溶接固定)されたものであり、ベース側面部50fの最下端部50kの剛性を確保している。
上述の如く、センタピラー50の下端に非フランジ部50i,50jを設けることで、センタピラー50の下端部近傍の剛性低下を確保し、加えて、当該非フランジ部50i,50jにて軽量化をも達成するよう構成したものである。
図4、図5に示すように、センタピラー50の下部乃至下端部の前部には、側面部50cにおけるベース側面部50fから車室内側に後退する第2の側面部50hが形成されており、図2に仮想線で示すように、フロントドア10内部に設けられたインパクトビーム18の後端部が、車両側面視で上述の第2の側面部50h下部とオーバラップしており、このオーバラップした部位に上述の非フランジ部50iが形成されている。
これにより、側突時に上述のインパクトビーム18からの荷重は、第2の側面部50hの下部を介して確実に受け止めつつ、非フランジ部50iにて低剛性部を形成することで、側突時にセンタピラー50の下端部の前側をドア内側に変位させるよう構成したものである。
なお、図1〜図3において、21は後輪ホイールハウスである。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
このように、上記実施例の車両の側部構造は、観音開き式ドアのフロントドア10内部に設けられたインパクトビーム18の後端を、リヤドア30前端部に内蔵されて前面部50aと、後面部50bと、前後両面部の車外端同士を連結する側面部50cとから成るドア内蔵センタピラー50に対して、車幅方向外方側に配設させつつ車両側面視でオーバラップさせた車両の側部構造であって、上記ドア内蔵センタピラー50は、下部側になる程、前後幅が広く形成されており、上記側面部50cは、上記インパクトビーム18の後端内端部18aよりも車幅方向外方側に位置するベース側面部50fと、上記インパクトビーム18の後端内端部18aよりも車幅方向内方側に位置する第2の側面部50hとを有し、該第2の側面部50hが上記ドア内蔵センタピラー50下部の前部寄りに形成され、上記インパクトビーム18後端を上記第2の側面部50hに対して車両側面視でオーバラップさせたものである(図2、図7、図11参照)。
この構成によればドア内蔵センタピラー50のベース側面部50fは、フロントドア10内のインパクトビーム18における後端内端部18aよりも車幅方向外方側に位置するので、ドア内蔵センタピラー50の基本断面における車幅方向の幅を大きく確保して、センタピラー50の全体の閉断面も大きく確保しつつ、その耐力向上を図ることができる。
また、上述のインパクトビーム18後端を第2の側面部50hに対して車両側面視でオーバラップさせたので、側突時にフロントドア10内のインパクトビーム18後端の荷重を受けることができる。
要するに、ドア内蔵センタピラー50の基本断面幅の維持と、側突時におけるインパクトビーム18からの側突荷重の受け止めと、の両立を図ることができる。
また、この発明の一実施形態においては、上記第2の側面部50hは上方に向かうに従い前後幅が狭くなるよう形成されたものである(図2、図5参照)。
この構成によれば、第2の側面部50hにより側突時のフロントドア10内のインパクトビーム18からの荷重受け面を確保しつつ、当該第2の側面部50hを上方に向かうに従い前後幅を狭くすることで、剛性の急変による応力集中を回避し、第2の側面部50hの剛性を上方に向かうに従い漸減変化させることができる。
さらに、この発明の一実施形態においては、上記リヤドア30の前端ライン30FLは、その上方が後傾となるよう傾斜しており、上記ドア内蔵センタピラー50の前端は、リヤドア30の前端ライン30FLの後傾形状に沿って傾斜しており、上記ベース側面部50fはベルトライン部BLよりも下方が略同じ前後幅に形成され、上記第2の側面部50hは車両側面視で上記ベルトライン部BLの下部を頂部とする三角形状に形成されたものである(図1、図2、図5参照)。
この構成によれば、ベース側面部50fのベルトライン部BLよりも下方の前後幅を一定長さに維持させつつ、第2の側面部の面積を確保することができる。
さらにまた、この発明の一実施形態においては、上記インパクトビーム18はその後端が車両側面視で上記ドア内蔵センタピラー50の下端部およびサイドシル4とオーバラップするよう配置されたものである(図7参照)。
この構成によれば、インパクトビーム18後端からの側突荷重を、上述のドア内蔵センタピラー50とサイドシル4とに分散して伝達することができる。
加えて、この発明の一実施形態においては、上記ドア内蔵センタピラー50の第2の側面部50hの外面と、上記サイドシル4を補強するサイドシルレイン8の外面との車幅方向位置が略同じ位置になるよう構成されたものである(図7参照)。
この構成によれば、側突時に上記インパクトビーム18後端からの側突荷重を、ドア内蔵センタピラー50の第2の側面部50hと、サイドシルレイン8とに同じタイミングで荷重入力することができ、側突荷重の荷重分散向上を図ることができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のドア内蔵センタピラーは、実施例のセンタピラー50に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
以上説明したように、本発明は、観音開き式ドアのフロントドア内部に設けられたインパクトビームの後端を、リヤドア前端部に内蔵されて前面部と、後面部と、前後両面部の車外端同士を連結する側面部とから成るドア内蔵センタピラーに対して、車両側面視でオーバラップさせた車両の側部構造について有用である。
4…サイドシル
8…サイドシルレイン
10…フロントドア
18…インパクトビーム
18a…後端内縁部
30…リヤドア
30FL…前端ライン
50…センタピラー(ドア内蔵センタピラー)
50a…前面部
50b…後面部
50c…側面部
50f…ベース側面部
50h…第2の側面部
BL…ベルトライン部

Claims (5)

  1. 観音開き式ドアのフロントドア内部に設けられたインパクトビームの後端を、リヤドア前端部に内蔵されて前面部と、後面部と、前後両面部の車外端同士を連結する側面部とから成るドア内蔵センタピラーに対して、車幅方向外方側に配設させつつ車両側面視でオーバラップさせた車両の側部構造であって、
    上記ドア内蔵センタピラーは、下部側になる程、前後幅が広く形成されており、
    上記側面部は、上記インパクトビームの後端内端部よりも車幅方向外方側に位置するベース側面部と、上記インパクトビームの後端内端部よりも車幅方向内方側に位置する第2の側面部とを有し、
    該第2の側面部が上記ドア内蔵センタピラー下部の前部寄りに形成され、
    上記インパクトビーム後端を上記第2の側面部に対して車両側面視でオーバラップさせたことを特徴とする
    車両の側部構造。
  2. 上記第2の側面部は上方に向かうに従い前後幅が狭くなるよう形成された
    請求項1に記載の車両の側部構造。
  3. 上記リヤドアの前端ラインは、その上方が後傾となるよう傾斜しており、
    上記ドア内蔵センタピラーの前端は、リヤドア前端ラインの後傾形状に沿って傾斜しており、
    上記ベース側面部はベルトライン部よりも下方が略同じ前後幅に形成され、
    上記第2の側面部は車両側面視で上記ベルトライン部の下部を頂部とする三角形状に形成された
    請求項2に記載の車両の側部構造。
  4. 上記インパクトビームはその後端が車両側面視で上記ドア内蔵センタピラーの下端部およびサイドシルとオーバラップするよう配置された
    請求項1〜3の何れか一項に記載の車両の側部構造。
  5. 上記ドア内蔵センタピラーの第2の側面部の外面と、上記サイドシルを補強するサイドシルレインの外面との車幅方向位置が略同じ位置になるよう構成された
    請求項4に記載の車両の側部構造。
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