JP2020001064A - 連続鋳造鋳片の中心固相率推定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続鋳造において、鋳片の鋳造方向各部位における中心固相率を正確に推定する。【解決手段】連続鋳造中において未凝固鋳片のロール圧下を行い、ロール圧下に際しての圧下力と圧下量を計測し、ロール圧下に伴う鋳片の単位面積当たり平均変形抵抗ARを算出し、鋳造中における鋳片表面温度TSuを計測し、中心固相率fsとARとの関係を一次式とし、さらに計測した鋳片表面温度TSuによって補正を行うことにより、ロール圧下位置における中心固相率fsを算出する。一次式の定数、鋳片表面温度による補正係数は、予め、伝熱計算及び変形解析により定める。【選択図】図3

Description

本発明は、連続鋳造中において、連続鋳造鋳片の中心固相率を推定する方法に関するものである。
連続鋳造方法によってスラブやブルームなどの鋳片を鋳造する場合に、鋳片の中心部にリンやマンガン等の成分が偏析する、いわゆる中心偏析が発生することがある。また、鋳片中心部にはセンターポロシティと呼ばれる空孔が発生する。
連続鋳造中の凝固末期において、溶鋼の凝固収縮に伴って未凝固溶鋼が最終凝固部の凝固完了点に向かって流動する。溶鋼流動に際して、固液界面の不純物濃化溶鋼が最終凝固部に集積する。これが中心偏析の原因となる。従って、中心偏析を軽減するためには、最終凝固部付近において、溶鋼の凝固収縮量に見合った分だけ凝固シェルを圧下することにより、最終凝固部付近の溶鋼流動を抑えることが有効となる。このような考え方に基づき、連続鋳造末期の凝固完了前においてサポートロールによって鋳片を圧下する軽圧下技術が用いられている。また、ポロシティの圧着を目的とした圧下は、鋳片の厚み中心部の固相率(以下「中心固相率」ともいう。)が0.8以上の領域で有効である。
例えば特許文献1には、凝固末期の軽圧下法について述べられている。中心固相率が0.1〜0.3において軽圧下を開始し、中心固相率0.7までの区間で軽圧下を行い、この間において凝固収縮に見合う圧下を加えることで、中心偏析が改善されることが記述されている。また、特許文献2では、固相線のクレーターエンドから上流側に向かって少なくとも2mの範囲を軽圧下する発明が開示されている。「固相線のクレーターエンド」とは、中心固相率が1.0である位置を意味している。
中心固相率は、連続鋳造中の鋳片厚み方向中心部の温度TCを1次元の伝熱凝固計算によって求めた上で、液相線温度TLiq、固相線温度TSolを用いて下記式で算出されている。伝熱・凝固計算にあたってはエンタルピー法や等価比熱法などが知られている。
中心固相率=(TLiq−TC)/(TLiq−TSol) (A)
特許文献3には、鋳片圧下用ロールを所定の圧下力で圧下した時の鋳片圧下量に基づいて、鋳片の凝固完了の有無を検出することを特徴とする連続鋳造の凝固完了検出方法が開示されている。
特許文献4には、ラボ実験に用いることができる、鋳片の圧下が可能な連続鋳造装置が開示されている。
特開2005−193265号公報 特公昭62−34460号公報 特開2007−245168号公報 国際公開WO2013/175536号
実機連続鋳造において、鋳片の鋳造方向所定部位における中心固相率が推定値に対して変動することは珍しいことではないため、圧下勾配・圧下タイミングが適正値から外れ、鋳片内質が悪化するケースが存在する。このため鋳造中に、鋳片の鋳造方向各部位における、高精度かつ簡便な中心固相率推定手法の開発が求められる。特許文献3に記載の発明では、鋳片の凝固完了の有無を検出するのみであり、鋳片の鋳造方向各部位における中心固相率を正確に計測することはできない。
本発明は、連続鋳造において、鋳片の鋳造方向所定部位における中心固相率を正確に推定することのできる、連続鋳造鋳片の中心固相率推定方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)連続鋳造中において未凝固鋳片のロール圧下を行い、ロール圧下に際しての圧下力と圧下量を計測し、ロール圧下に伴う鋳片の単位面積当たり平均変形抵抗ARを算出し、鋳造中における鋳片表面温度TSuを計測し、下記(1)式に基づいて、ロール圧下位置における中心固相率fsを算出することを特徴とする、連続鋳造中の中心固相率推定方法。
fs=(AR−β−γ×(TSu−計算表面温度))/α (1)
α、β、γは定数であり、予め、伝熱計算及び変形解析により定める。計算表面温度は平均変形抵抗の関数として、予め、伝熱計算及び変形解析により定める。
(2)連続鋳造中において未凝固鋳片のロール圧下を行い、ロール圧下に際しての圧下力と圧下量を計測し、ロール圧下に伴う鋳片の単位面積当たり平均変形抵抗ARを算出し、鋳造中における鋳片表面温度TSuを計測し、下記(2)式に基づいて、ロール圧下位置における中心固相率fsを算出することを特徴とする、連続鋳造中の中心固相率推定方法。
fs=(AR−β−γ(TSu−(TLiq−ΔT)))/(α−γ・(TLiq−TSol)) (2)
Liqは液相線温度(℃)、TSolは固相線温度(℃)である。α、β、γは定数であり、予め、伝熱計算及び変形解析により定める。ΔT(℃)は鋳片の中心温度と表面温度の差であり、予め、伝熱計算により定められる定数である。
(3)前記算出したロール圧下位置における中心固相率fsに基づき、凝固が完了する(fs=1.0となる)鋳造方向位置を算出することを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の連続鋳造中の中心固相率推定方法。
(4)前記鋳片形状がブルーム形状であることを特徴とする、上記(1)から(3)までのいずれか1つに記載の連続鋳造中の中心固相率推定方法。
本発明は、連続鋳造中において未凝固鋳片のロール圧下を行い、ロール圧下による平均変形抵抗と鋳片表面温度を計測することにより、鋳片の鋳造方向所定部位における中心固相率を正確に推定することができる。
未凝固鋳片を圧下ロールで圧下する状況を示す図であり、(A)は側面断面図、(B)は正面断面図である。 実測中心固相率と予測中心固相率の相関を示す図であり、表面温度補正を行っていない場合である。 実測中心固相率と予測中心固相率の相関を示す図であり、本発明の(2)式を使う場合の表面温度補正を行っている本発明の場合である。 実測中心固相率と予測中心固相率の相関を示す図であり、本発明の(1)式を使う場合の表面温度補正を行っている本発明の場合である。
連続鋳造中において、鋳型内で凝固を開始した鋳片部位は、時間の経過とともに、鋳型(一次冷却)から下方に引き抜かれて所定の鋳造速度で二次冷却帯を通過しつつ冷却を受け、凝固が進行する。図1(A)は鋳造中の未凝固鋳片を示す側面断面図であり、鋳片は図の左から右に進行し、表面側の固相部3、固液共存層4、液相部5が、それぞれ固相線位置6、液相線位置7で区切られている。鋳片の上面側と下面側の固相線位置が合致した位置が、凝固完了位置9となる。このような凝固の進行については、鋳片の形状(幅、厚み)、鋳造速度、一次冷却条件、二次冷却条件を定めることにより、伝熱計算によって、当該鋳片部位の時間経過と鋳片の温度分布を計算することができる。注目した鋳片部位の表面温度、中心温度ともに、時間の経過(鋳造方向での進行)とともに低下する。
連続鋳造中に、図1に示すように、鋳片1を未凝固段階で圧下ロール2によって圧下することができる。圧下ロール2の圧下力を所定の圧下力としたとき、圧下ロールによる鋳片の厚み減少しろ(圧下量)については、圧下したときの鋳片の変形抵抗によって異なり、鋳片の変形抵抗が大きいほど、同一の圧下力で圧下したときの圧下量が少なくなる。
圧下量d(mm)、圧下力F(kgf)、鋳片幅w(mm)、圧下ロールの半径r(mm)から、当該圧下した部位における平均変形抵抗AR(kgf/mm2)を以下のように計算することができる。圧下時におけるロール接触弧長L(mm)は、
L=r・cos-1{(r−d)/r} (3A)
として算出され(三角関数の角度はラジアン表示)、ロール接触面積S(mm2)は、
S=L×w (3B)
となる。このロール接触面積Sに対して圧下力F(kgf)が負荷されているので、単位面積当たりの平均変形抵抗AR(kgf/mm2)は、
AR=F/S (3C)
として求めることができる。
前述のように、伝熱計算によって鋳片内の温度分布を算出した上で、所定の経過時間又は鋳造方向位置における算出した鋳片C断面内温度分布に基づいて、変形解析を用いることにより、上記定義した平均変形抵抗ARを計算で求めることができる。ここでC断面とは、鋳造方向に垂直な断面を意味する。変形解析手法としては、例えば汎用有限要素解析コードであるABAQUSを用いることができる。時間経過に対応して、鋳片断面内の中心温度TCが低下するとともに平均変形抵抗ARが上昇することから、中心温度TCと平均変形抵抗ARが1対1で対応することになる。なお、表面温度TSuも同時に1対1対応となる。そして、中心温度TCと平均変形抵抗ARの関係が一次式の関係になることが、変形解析及びラボ実験の結果から明らかとなった。また、中心固相率と中心温度TCとの関係も、前記(A)式にあるように一次式の関係にある。以上から、中心固相率と平均変形抵抗ARの関係を下記(4)式のように表現することができる。ここで中心固相率をfsと表現する。α、βは定数である。
AR=α・fs+β (4)
そこで、ラボ実験を行うことにより、上記(4)式での中心固相率fsの予測精度を確認することとした。ラボ実験は、幅400mm、厚み200mmの鋳片を鋳造する鋳型内に溶鋼を注入し、初期凝固シェルが形成されたところで凝固シェルを鋳型から引き抜き、鋳型の下方を二次冷却帯として凝固を進行させ、所定の時間経過後に圧下ロールによって鋳片の未凝固圧下を行うものである(特許文献4参照)。溶鋼成分は、C:0.55質量%、Mn:1.0質量%である。ラボ実験に際しては、鋳片の厚み中心部相当部位に熱電対を挿入し、中心温度TCの時間経過を測定した。ラボ実験の条件で計算した伝熱計算及び変形解析(ABAQUS)の結果に基づいて、(4)式の定数α、βの値を定めた。α=0.45、β=−0.6と算出された。ラボ実験で圧下力Fで圧下ロールによる圧下を行ったときの圧下量dを計測し、(3A)〜(3C)式に基づいて平均変形抵抗ARを求め、さらにARから(4)式で中心固相率fsを求め、「予測中心固相率」とした。
一方、圧下ロールで圧下を行った時点において鋳片の中心温度TCを計測し、(A)式に基づいて中心固相率fsを求め、「実測中心固相率」とした。実測中心固相率と予測中心固相率の相関を図示したところ、図2に示すとおりとなった。相関係数Rは0.78であり、両者の関係はばらつきが大きく、このままでは精度の高い中心固相率の予測は難しいことが分かった。
伝熱計算と変形解析を組み合わせて行った計算結果では、平均変形抵抗、中心温度、表面温度の3つが一つの組み合わせとして定まっている。換言すれば、中心温度、表面温度が平均変形抵抗の関数として定まる。従って、平均変形抵抗ARの実測値から鋳片の中心温度TCを定めるに際し、自動的に表面温度も定まる。そこで、ラボ実験において、ロール圧下を行う際における鋳片表面温度の測定を行った。その結果、実測した平均変形抵抗に基づいて計算で求めた計算表面温度と、実測表面温度との間に差異が生じていることが判明した。そして、計算表面温度と実測表面温度との間の差異と、上記予測中心固相率と実測中心固相率との間の差異とを対比すると、両者の間に相関関係があることが明らかとなった。
そこで、前記(4)式に、さらに鋳片表面温度の実測と計算との差異に基づく補正項を追加することとし、下記(5)式を導いた。
AR=α・fs+β+γ×(実測表面温度−計算表面温度) (5)
γは定数であり、伝熱計算と変形解析との組み合わせによって算出することができる。表面温度の実測は、圧下ロールによる圧下の直前又は直後、あるいは圧下後完全復熱後などの位置で行うことができ、計算表面温度は、当該表面温度実測位置における計算表面温度を意味する。圧下ロールによる圧下の直前又は直後に表面温度の実測を行うことが好ましい。以下、圧下ロールによる圧下の直前又は直後に表面温度を実測した場合について説明する。鋳片外周における表面温度測定部位については、長辺の幅中央で計測することが好ましいが、長辺における幅中央以外の部位、あるいは短辺において表面温度を計測することとしても良い。いずれの部位で表面温度を計測するにあたっても、計算表面温度については、表面温度計測位置に対応する部分の表面温度を計算することとなる。
計算表面温度については、前記伝熱計算と変形解析との組み合わせでは、平均変形抵抗、中心温度、表面温度の3つが一つの組み合わせとして定まっているので、平均変形抵抗を実測し、当該実測値との組み合わせで定まっている表面温度を計算表面温度としてもよい。
より簡便には、以下のような計算をすることができる。まず、鋳片の計算中心温度と計算表面温度との差異をΔTとする。ΔTについては伝熱計算から定数として求めることができる。鋳片の計算中心温度を、(A)式によって中心固相率fsで
計算中心温度=TLiq−(TLiq−TSol)fs (6A)
と表現する。次にΔTを用いて、
計算表面温度=計算中心温度−ΔT (6B)
=TLiq−(TLiq−TSol)fs−ΔT (6)
を導く。実測表面温度をTSuと表現した上で、(5)式に(6)式を代入すると、
AR=α・fs+β+γ(TSu−(TLiq−(TLiq−TSol)fs−ΔT))
=(α−γ・(TLiq−TSol))・fs+β+γ(TSu−(TLiq−ΔT)) (7)
となる。(7)式をfsについての式に置き換えると、
fs=(AR−β−γ(TSu−(TLiq−ΔT)))/(α−γ・(TLiq−TSol)) (2)
が導かれる。(2)式において、TLiq、TSolは鋼成分から定まる物性値、α、β、γ、ΔTは予め伝熱計算と変形解析から求める定数であるから、圧下による平均変形抵抗ARと実測表面温度TSuを実測することにより、圧下部位における中心固相率fsが定まることとなる。
そこで、前記と同様のラボ実験において、検証を行った。α、β、γ、ΔTは予め伝熱計算と変形解析から定めた。α=0.45、β=−0.6、γ=0.0086と算出された。また、ΔTは、中心固相率=1.0となる位置(固相のクレーターエンド)における中心温度と表面温度の差を用い、ΔT=380℃と求まった。これらの値を(2)式に代入して求めた中心固相率を「改善予測中心固相率」とし、ラボ実験で計測した実測中心温度に基づく実測中心固相率との相関について評価した。その結果を図3に示す。相関係数Rは0.92である。図2との対比から明らかなように、実測中心固相率と改善予測中心固相率との間の相関は良好であることが判明した。
実機の連続鋳造中において本発明を適用することができる。連続鋳造のサポートロール帯において、中心固相率fsを求めたい位置(中心固相率評価位置8)、あるいは当該位置の近くに、図1に示すように圧下ロール2を設け、連続鋳造中の鋳片1をロール圧下する。圧下ロール2には圧下力Fを計測する計測器を設ける。ピンチロール油圧からロール圧下力Fを計測することができる。また、圧下ロールの上流側と下流側に歪センサーを設け、ロール圧下による圧下量dを計測することができる。圧下ロール半径をr、鋳片幅をwとして、前記(3A)〜(3C)式により、平均変形抵抗ARを求めることができる。また、圧下ロールの直前又は直後に、鋳片の表面温度を計測する温度計を設け、表面温度TSuを計測する。
予め、鋳片の形状(幅、厚み)、鋳造速度、一次冷却条件、二次冷却条件に基づいて伝熱計算を行い、メニスカスからの経過時間あるいは鋳造方向位置との関係で、鋳片C断面の温度分布を計算し、計算表面温度、計算中心温度を算出する。また、計算した温度分布に基づいて、変形解析により、鋳造方向の未凝固部任意位置において圧下ロールで圧下したときの計算平均変形抵抗ARを算出しておく。(5)式の定数であるα、β、γ、(6)式の定数であるΔTについても、伝熱計算、変形解析から求めておく。
まず、(5)式に基づいて中心固相率fsを求める方法について説明する。(5)式の実測表面温度をTSuとした上で(5)式を変形し、
fs=(AR−β−γ×(TSu−計算表面温度))/α (1)
とする。
上記予め行っている変形解析の結果として、計算平均変形抵抗と計算鋳片表面温度の関係が判明している。換言すると、計算表面温度が平均変形抵抗の関数として定まっている。そこで、実測した平均変形抵抗ARと等しくなる計算変形抵抗が得られる場合における計算鋳片表面温度を導き出し、その値を(1)式の計算表面温度として用いる。その結果、(1)式に基づいて中心固相率fsが算出される。
本発明の上記(1)式を使う場合について、前記と同様のラボ実験において、検証を行った。α、β、γは上記(2)式を用いた場合と同様である。予め、伝熱計算及び変形解析により定めた中心固相率=1.0となる位置(固相のクレーターエンド)における計算表面温度は1026℃と求まった。これらの値を(1)式に代入して求めた中心固相率を「改善予測中心固相率」とし、ラボ実験で計測した実測中心温度に基づく実測中心固相率との相関について評価した。その結果を図4に示す。相関係数Rは0.88である。(2)式を用いた場合(図3)の相関係数には及ばないものの、図2との対比から明らかなように、実測中心固相率と改善予測中心固相率との間の相関は良好であることが判明した。
次に、(2)式に基づいて中心固相率fsを求める方法について説明する。(2)式で用いる変数、定数は上記のように求まっているので、これら数値を(2)式に代入することにより、中心固相率fsが算出される(前記図3参照)。上記で算出したロール圧下位置における中心固相率fsは、図2に示すように0.4以上1.0以下の条件で(5)式の近似として求めたので、この中心固相率範囲内で使うのが好ましい。
本発明では、上記のようにロール圧下位置における中心固相率fsを算出した上で、算出した中心固相率fsに基づき、凝固が完了する(fs=1.0となる)鋳造方向位置(クレーターエンド位置)を算出することができる。この場合、クレーターエンド位置であると予想される位置の前後において、鋳造方向に複数のロール対でロール圧下を行い、上記本発明の中心固相率の推定を行う。ロール圧下を行うそれぞれのロール対では、圧下量、圧下力、鋳片表面温度の測定を行い、測定値に基づいて中心固相率を推定する。そして、推定した中心固相率が1.0よりも小さくて1.0に最も近い位置のロール対をクレーターエンド上流側直近ロール対とし、推定した中心固相率が1.0よりも大きくて1.0に最も近い位置のロール対をクレーターエンド下流側直近ロール対とする。さらに、クレーターエンド位置の平均変形抵抗は予め変形解析から求めて定数を決定した(7)式でfs=1.0とし、伝熱計算結果から求めた、fs=1.0になった瞬間(中心温度が固相線温度TSol)の表面温度TSuから求めておく。
その上で、クレーターエンド上流側直近ロール対の位置の平均変形抵抗とクレーターエンド下流側直近ロール対の位置の平均変形抵抗との差と、クレーターエンド位置の変形抵抗とクレーターエンド上流側直近ロール対の位置の変形抵抗との差の比率で両ロール間ピッチを補間することにより、クレーターエンド上流側直近ロール対の位置からのクレーターエンド位置を推定することができる。
なお、上記ロール対の位置の平均変形抵抗は、圧下反力と圧下量を直接測定することで、(3)式により平均変形抵抗を直接決定する。
本発明で、未凝固鋳片にロール圧下を行うための圧下ロールとしては、ロールの長手方向で直径が一定であるフラットロール(図1(B)参照)の他、ロールの長手方向中心の半径がその両端部側の半径よりも大きいディスクロールを用いることができる。圧下ロールとしてフラットロール、ディスクロールのいずれを用いる場合でも、変形解析を行うに際し、圧下ロールの形状を入力して解析がなされる。ロール圧下を行う部位における未凝固鋳片は、幅方向両端の短辺部はすでに厚み中心まで凝固が完了している。圧下ロールとしてディスクロールを用いる場合、ロール半径の大きい部分の長さを未凝固領域長さと等しくすることができ、未凝固部分のみを圧下するので、特定の圧下力Fにおいて圧下量dが大きくなる。それに対して、圧下ロールとしてフラットロールを用いる場合には、短辺側の凝固完了部位を含めて圧下を行うので、同じ圧下力Fで圧下を行ったとき、ディスクロールに比較して圧下量dが小さくなる。そのため、中心固相率fsの推定精度を上げるためには、ディスクロールを用いることとすると好ましい。圧下ロール対の一方のロールをディスクロール、他方のロールをフラットロールとする場合における圧下量dは、圧下ロールの直前の上下ロール対のロール間隔から、上下圧下ロールのロール間隔の差によって求めることができる。
本発明が対象とする鋳片形状は、スラブ、ブルームのいずれも対象とすることができる。中でも、ブルームを対象とすると好ましい。ブルームはクレーターエンド形状が鋳造方向に向かって凸形状で安定しており、鋳片厚み中心部の幅方向温度勾配は鋳片中心から鋳片短辺表面に向かう負の関数となる。これは中心温度と表面温度の相関が大きいことを意味し、固相率推定に有利となる。一方でスラブ鋳片は凝固遅れ等により幅方向温度分布が複雑となり、中心ではない箇所に2つの温度ピークを持つケースがあり、圧下反力と表面温度の2変数だけで中心固相率を決定すると、精度不十分となる可能性がある。また、スラブの場合は、同じ連続鋳造装置において鋳片の幅が狭幅から広幅まで多種混在しているが、ブルームであれば同じ連続鋳造装置において鋳片の幅が一定であることから、上記ディスクロールを用いるに際しても単一のディスクロールで対応することができ、好ましい。
1 鋳片
2 圧下ロール
3 固相部
4 固液共存層
5 液相部
6 固相線位置
7 液相線位置
8 中心固相率評価位置
9 凝固完了位置

Claims (4)

  1. 連続鋳造中において未凝固鋳片のロール圧下を行い、ロール圧下に際しての圧下力と圧下量を計測し、ロール圧下に伴う鋳片の単位面積当たり平均変形抵抗ARを算出し、鋳造中における鋳片表面温度TSuを計測し、下記(1)式に基づいて、ロール圧下位置における中心固相率fsを算出することを特徴とする、連続鋳造中の中心固相率推定方法。
    fs=(AR−β−γ×(TSu−計算表面温度))/α (1)
    α、β、γは定数であり、予め、伝熱計算及び変形解析により定める。計算表面温度は平均変形抵抗の関数として、予め、伝熱計算及び変形解析により定める。
  2. 連続鋳造中において未凝固鋳片のロール圧下を行い、ロール圧下に際しての圧下力と圧下量を計測し、ロール圧下に伴う鋳片の単位面積当たり平均変形抵抗ARを算出し、鋳造中における鋳片表面温度TSuを計測し、下記(2)式に基づいて、ロール圧下位置における中心固相率fsを算出することを特徴とする、連続鋳造中の中心固相率推定方法。
    fs=(AR−β−γ(TSu−(TLiq−ΔT)))/(α−γ・(TLiq− TSol)) (2)
    Liqは液相線温度(℃)、TSolは固相線温度(℃)である。α、β、γは定数であり、予め、伝熱計算及び変形解析により定める。ΔT(℃)は鋳片の中心温度と表面温度の差であり、予め、伝熱計算により定められる定数である。
  3. 前記算出したロール圧下位置における中心固相率fsに基づき、凝固が完了する(fs=1.0となる)鋳造方向位置を算出することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造中の中心固相率推定方法。
  4. 前記鋳片形状がブルーム形状であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の連続鋳造中の中心固相率推定方法。
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