JP2000015409A - 連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造方法

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JP2000015409A
JP2000015409A JP10181969A JP18196998A JP2000015409A JP 2000015409 A JP2000015409 A JP 2000015409A JP 10181969 A JP10181969 A JP 10181969A JP 18196998 A JP18196998 A JP 18196998A JP 2000015409 A JP2000015409 A JP 2000015409A
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zone
slab
casting
pressure
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Kazuharu Hanazaki
一治 花崎
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳造開始から鋳造終了までの鋳片全長にわたっ
て、中心偏析の少ない健全な鋳片を得ることが可能な方
法の提供。 【解決手段】未凝固部を含む鋳片をバルジングさせ、凝
固完了までの間で圧下する連続鋳造方法において、バル
ジングおよび圧下ゾーンのそれぞれのロールに、ロール
の昇降位置を検出する検出装置とピストンロッドにかか
る圧力の検出装置を備えるロール昇降用の油圧シリンダ
を設け、ロール昇降位置とピストンロッドの圧力を検出
し、検出した値がそれぞれの目標値となるように制御
し、かつ圧下ゾーンのロール用のピストンロッドにかか
る圧力検出値から凝固完了位置を推定し、凝固完了位置
が圧下ゾーンの最後のロールよりも鋳造方向の上流側に
なるように鋳造速度と二次冷却水量のうちの少なくとも
一方を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造開始から終了
までの鋳片全長にわたって中心偏析の少ない健全な鋳片
を得ることが可能な連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法によって鋼の鋳片を製造する
と、中心偏析と呼ばれる内部欠陥が発生することがあ
る。この鋳片の中心偏析は、製品厚板の靱性の低下や厚
板から曲げ加工後に溶接して製造される大径鋼管の水素
誘起割れの原因となることが知られている。
【0003】鋳片の中心偏析は、C、S、P、Mnなど
の偏析成分が凝固末期に柱状晶間に濃化し、この濃化溶
鋼が凝固時の収縮およびバルジングと呼ばれる鋳片のふ
くれなどにより凝固完了位置に向かって流動し、そのま
ま凝固するために発生する。また、濃化溶鋼の流動がな
くても単に鋳片の厚み方向中心部に偏析成分が濃化し、
そのまま凝固することでも発生する。したがって、その
防止対策として、柱状晶間の濃化溶鋼の移動を防止する
こと、濃化溶鋼の局所的な集積を防ぐことが有効であ
る。
【0004】中心偏析の防止方法として、特開平9−5
7410号公報および特開平9−206903号公報で
は、未凝固部を含む鋳片をバルジングさせ、凝固完了位
置よりも鋳造方向の上流側で、前記バルジング量相当分
を圧下する方法が提案されている。しかし、これらの方
法には、次に示す問題点がある。
【0005】(A)鋳造速度が操業状況により変動した
場合、凝固完了位置が変動するが、鋳造速度の変動を検
出して、バルジングさせる領域のロールおよび圧下する
領域のロールの鋳片の厚みを示すロール間隔を制御され
ない場合がある。そのため、あらかじめ設定された鋳片
の圧下完了位置では、未凝固部が残り中心偏析の改善効
果が発揮できなかったり、凝固完了後の鋳片を圧下する
ため、圧下圧力の増加とそれに伴う引き抜き抵抗の増加
により、駆動モータが鋳造中に停止して鋳片の引き抜き
が困難となる事故が発生する場合がある。
【0006】(B)鋳造開始時と終了時には、鋳造速度
が時間とともに大きく変化するが、このとき凝固完了位
置が大きく変化する。上記(A)に記載した理由から、
鋳造開始時には、目標の鋳造速度に達した後にバルジン
グさせはじめ、その後にバルジングした鋳片の圧下を行
う必要がある。また、鋳造終了時には、バルジングおよ
び圧下する領域のそれぞれのロールの間隔について、バ
ルジングさせる前の鋳片の厚みに相当するロール間隔に
戻してから、鋳造速度を減速する必要がある。したがっ
て、鋳造開始時と終了時には、中心偏析の顕著な長い鋳
片が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鋳造速度が
一定の定常状態のみならず、鋳造開始から終了までの鋳
片の全長にわたって中心偏析の少ない健全な鋳片を得る
ことが可能な連続鋳造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
からまでを特徴とする鋼の連続鋳造方法にある。
【0009】未凝固部を含む鋳片をバルジングさせる
バルジングゾーンと、凝固完了までの間で上記のバルジ
ングさせた鋳片を圧下する圧下ゾーンを有する連続鋳造
装置を用いること。バルジングゾーンと圧下ゾーンは、
それぞれ複数対のロールを有すること。
【0010】バルジングゾーンと圧下ゾーンのそれぞ
れ複数対のロールには、ロール昇降用の油圧シリンダお
よびピストンロッドからなる油圧装置を備えているこ
と。さらに、それぞれの油圧装置には、ロールの昇降位
置、すなわち鋳片の厚みを検出する位置検出装置とピス
トンロッドにかかる圧力、すなわちロールにかかる圧力
検出装置を備えていること。
【0011】検出したロールの昇降位置とピストンロ
ッドにかかる圧力が、それぞれのロールに与えられたそ
れぞれの目標値となるように制御すること。
【0012】圧下ゾーンにおいては、検出したロール
のピストンロッドにかかる圧力から凝固完了位置を推定
すること。
【0013】上記の推定した凝固完了位置が圧下ゾー
ンの最後のロールよりも鋳造方向の上流側になるよう
に、鋳造速度と二次冷却水量のうちの少なくとも一方を
制御すること。
【0014】本発明の方法では、バルジングゾーンにお
いて、鋳造方向に沿って鋳片の厚みを徐々に厚くする
が、このとき、鋳片の厚みが目標の鋳片の厚みとなるよ
うに制御する。すなわち、ロールの油圧装置に備えた位
置検出装置によりロール間隔、すなわち鋳片の厚みを検
出し、また、圧力検出装置により油圧装置のピストンロ
ッドの圧力、すなわちロールの圧下圧力を検出する。検
出した鋳片の厚みおよびロールの圧下圧力があらかじめ
設定した目標値となるように、鋳片厚制御演算器は、油
圧装置の油流量を制御する流量制御弁(以下、単に流調
弁と記す)の開閉を制御する。
【0015】圧下ゾーンにおいては、バルジングした鋳
片を圧下ゾーンの最終のロールまでの間に目標の鋳片の
厚みまで徐々に圧下する制御を行う。すなわち、ロール
の油圧装置に備えた位置検出装置によりロール間隔を検
出するとともに、圧力検出装置により油圧装置のピスト
ンロッドにかかる圧力を検出する。検出した鋳片の厚み
およびロールの圧下圧力があらかじめ設定した目標値と
なるように、鋳片厚制御演算器は、油圧装置の電気信号
を油圧の出力に変換する装置(以下、単にサーボ弁と記
す)の開閉を制御する。
【0016】また、圧下ゾーンでは、凝固完了位置の直
前のロールと凝固完了位置の直後のロールとにかかる圧
力に溶鋼静圧に相当する圧力の差があることを利用し
て、圧下圧力演算器は、検出したロールの油圧装置のピ
ストンロッドの圧力の値から、鋳片の凝固完了位置を推
定する。また、この圧下圧力演算器は、推定した凝固完
了位置が圧下ゾーンの最後のロールよりも鋳造方向の上
流側(以下、単に上流側と記す)になるよう、鋳造速度
と二次冷却水量のうちの少なくとも一方を制御する。
【0017】操業条件の変化により鋳造速度が変動する
場合に、また、凝固完了位置を修正するために鋳造速度
を加速または減速する場合に、凝固完了位置は少しずれ
る。さらに、鋳造開始時および終了時のように鋳造速度
が大きく変化するときには、凝固完了位置も大きく変化
する。本発明の方法では、この凝固完了位置の変化に対
応して、圧下ゾーンの最初のロールの位置を、鋳造速度
が変動する前の位置から上流側または鋳造方向の下流側
(以下、単に下流側と記す)に移動させ、バルジングゾ
ーンと圧下ゾーンの割合を変更する制御を行う。この制
御により、鋳造速度が大きく加速または減速する鋳造開
始時および終了時も含めて、鋳造速度が変動する場合に
も、バルジングおよびその後の圧下の方法の適用ができ
る。
【0018】したがって、本発明の方法により、鋳造開
始から終了までの鋳片の全長にわたって、中心偏析の少
ない健全な鋳片を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の方法を実施する
ためのシステムの構成例を示す図である。
【0020】バルジングゾーンでは、検出された鋳片の
厚みおよびロールの圧下圧力がバルジングゾーンロール
の鋳片厚制御演算器11に入力される。この鋳片厚制御
演算器は、鋳片の厚みおよびロールの圧下圧力が目標値
になるように油圧装置の流調弁の開閉を制御する。
【0021】圧下ゾーンでは、圧下ゾーンロールの鋳片
厚制御演算器12は、検出して入力された鋳片の厚みお
よびロールの圧下圧力が目標値となるように、油圧装置
のサーボ弁の開閉を制御する。また、圧下ゾーンロール
の圧下圧力演算器13は、入力されたロールの圧下圧力
から凝固完了位置を推定する。さらに、この圧下圧力演
算器は、推定した凝固完了位置が圧下ゾーンの最終のロ
ールよりも上流側になるように、鋳造速度と二次冷却水
量のうちの少なくとも一方を制御する。
【0022】これらの上述の3種類の制御演算器のコン
トロールを、バルジング圧下パターン制御装置14が行
う。以下に、本発明の方法を詳細に説明する。
【0023】図2は、バルジングゾーンのロールのロー
ル間隔および油圧装置のピストンロッドにかかる圧力を
検出し、鋳片の厚みおよびロールの圧下圧力を制御する
フローの一例を示す図である。すなわち、ロール3の油
圧装置6のシリンダおよびピストンロッドに取り付けた
位置検出装置9によりピストンロッドの位置、つまりロ
ール間隔、すなわち鋳片の厚みを検出する。また、ピス
トンロッドの油供給側に取り付けた圧力検出装置10に
よりロールの圧下圧力を検出する。
【0024】バルジングゾーンロールの鋳片厚制御演算
器11は、検出したロール毎の鋳片の厚みと、あらかじ
め設定されたバルジング量の目標値をバルジングを起こ
させる距離で除したバルジングの勾配の値(以下、単に
バルジング勾配と記す)に応じたロール毎のロール間
隔、すなわち鋳片の厚みとの差を演算する。このとき、
この鋳片厚制御演算器は、その差が無くなるように、油
圧装置のピストンロッドを駆動するための流調弁7の開
閉を制御する。
【0025】目標のバルジング量をS0 とし、バルジン
グゾーンにp本のロールが配備されている場合に、上流
側からi番目のロールの目標のバルジング量、すなわち
目標の鋳片の厚み Bi は、下記(1)式で表される。
【0026】 Bi =S0 ×(i−1)×1/(p−1)・・・(1) ここで、 Bp =S0 たとえば、検出したi番目のロールの鋳片の厚みが、 B
i より小さい場合には、この鋳片厚制御演算器は、目
標の Bi となるように流調弁を開く制御を行う。
【0027】 また、圧力検出装置で検出した圧力とあら
かじめ設定された圧下圧力の目標値に差があれば、その
差が無くなるように、バルジングゾーンロールの鋳片厚
制御演算器は、流調弁の開閉を制御する。圧下圧力の目
標値は、そのロール毎の溶鋼メニスカスからの距離に相
当する鋳片の未凝固部の溶鋼静圧によって発生する圧力
から求められる値とする。鋳片厚制御演算器は、検出し
た圧力がこの目標の圧下圧力より大きければ、鋳片を圧
下するように、逆に、圧下圧力より小さければ、バルジ
ングを発生させるように、油圧装置のピストンロッドの
動作を制御する。
【0028】図3は、圧下ゾーンのロールのロール間隔
および油圧装置のピストンロッドにかかる圧力を検出
し、鋳片の厚みおよびロールの圧下圧力を制御するフロ
ーの一例を示す図である。すなわち、圧下ゾーンのロー
ル4の油圧装置6に取り付けた位置検出装置9および圧
力検出装置10により、ロール間隔、すなわち鋳片の厚
みおよびロールの圧下圧力を検出する。
【0029】圧下ゾーンロールの鋳片厚制御演算器12
は、検出したロール毎の鋳片の厚みと、あらかじめ設定
された目標のバルジング量を圧下ゾーンの最初のロール
と凝固完了位置相当のロールの間の距離で除した圧下勾
配の値(以下、圧下勾配と記す)に応じたロール毎のロ
ール間隔、すなわち鋳片の厚みとの差を演算する。この
とき、この鋳片厚制御演算器は、その差が無くなるよう
に、油圧装置のピストンロッドを駆動するためのサーボ
弁8の開閉を制御する。
【0030】圧下ゾーンにq本のロールが配備されてい
る場合で、かつ凝固完了位置が、圧下ゾーンの最初のロ
ールからk番目のロールに相当すると演算された場合
に、k番目ロールの上流側で直前のj番目のロールの目
標の鋳片の厚み Rj は、下記(2)式で表される。
【0031】 Rj =S0 −S0 ×(j−1)×1/(k−1) ・・・(2) たとえば、検出したj番目のロールの鋳片の厚みが、 R
j より小さい場合には、目標の値となるように、圧下
ゾーンロールの鋳片厚制御演算器は、サーボ弁を開く制
御を行う。
【0032】次に、圧下ゾーンにおける凝固完了位置の
推定とその制御方法について説明する。圧下ゾーンロー
ルの圧下圧力演算器13は、検出したロールの圧下圧力
の値から凝固完了位置を推定する。すなわち、凝固完了
位置以降の下流側に位置するロールの圧下圧力は、凝固
完了した鋳片を圧下するため、ほぼ一定で大きな圧下圧
力となる。これに対して、凝固完了位置より上流側に位
置するロールの圧下圧力は、そのロールの溶鋼メニスカ
スからの距離に相当する鋳片の未凝固部の溶鋼静圧によ
って発生する圧力に等しい圧下圧力となるため、凝固完
了した鋳片を圧下するロールの圧下圧力より小さい。す
なわち、圧下ゾーンロールの圧下圧力演算器は、ほぼ一
定で大きな圧下圧力となる最初のロールを、凝固完了位
置相当の圧下ゾーンのロールと推定する。
【0033】ここで、推定した凝固完了位置相当のロー
ルが、圧下ゾーンの最終のロールよりも上流側になるよ
うに、圧下ゾーンロールの圧下圧力演算器は、鋳造速度
と二次冷却水量のうちの少なくとも一方を制御する。す
なわち、最終のロールよりも下流側に凝固完了位置があ
る場合に、たとえば、鋳造速度を遅くする制御および二
次冷却水量を増やす制御のいずれかまたは両方の制御を
行う。
【0034】ところで、操業条件の変化により鋳造速度
が変動する場合、また凝固完了位置を修正するために鋳
造速度を加速または減速する場合、凝固完了位置は少し
ずれる。さらに、鋳造開始時および終了時のように鋳造
速度が大きく変化するとき、凝固完了位置も大きく変化
する。このように凝固完了位置が変化する場合に、これ
を検知して、バルジングゾーンおよび圧下ゾーンのロー
ルを適正な鋳片の厚みおよびロールの圧下圧力にするこ
とは、前述のとおり、中心偏析を少なくすることのみな
らず、安定した操業を行う上で、重要なことである。
【0035】図4は、凝固完了位置を修正するため、鋳
造速度を加速した場合の圧下ゾーンのロールの動作の概
念を模式的に説明する図である。鋳造速度を加速する前
の凝固完了位置が図中に示す位置(a)で、凝固完了位
置相当のロールがk番目のロールであった状態から、鋳
造速度の加速により、凝固完了位置が、下流側の位置
(b)にずれ、凝固完了位置相当のロールが、下流側の
m番目のロールにずれた場合を示す。
【0036】鋳造速度が加速し凝固完了位置が(b)の
位置にずれた直後では、圧下ゾーンのk番目のロール直
下の鋳片内部には未凝固部が存在することになる。そこ
で、k番目のロールの圧下圧力は、その位置の溶鋼静圧
によって発生する圧力にまで低下する。このとき、下流
側のm番目のロールが、新しい凝固完了位置相当のロー
ルとなる場合に、m番目の上流側で直前のロールまで、
それらのロールの圧下圧力が低下する。このようにし
て、圧下ゾーンロールの圧下圧力演算器は、m番目のロ
ールが新しい凝固完了位置相当のロールと推定する。
【0037】このとき、圧下ゾーンロールの鋳片厚制御
演算器は、図4に示すように、新しい凝固完了位置相当
のm番目のロールより上流側のロールのロール間隔を、
目標の圧下勾配となるように広げる制御を行う。ここ
で、新たな凝固完了位置相当のm番目のロールまでに目
標の圧下勾配で圧下が終了するように、上流側の{1+
(m−k)}番目のロールを、新しい圧下ゾーンの最初
のロールとして各ロールの圧下量を修正する制御を行
う。このようにして、新しい圧下ゾーンが形成される。
【0038】また、{1+(m−k)}番目より上流側
で、鋳造速度を加速する前の圧下ゾーンのロールとバル
ジングゾーンのロールを含めて、新しいバルジングゾー
ンが形成される。ここで、目標のバルジング量を、長く
なった新しいバルジングゾーンの距離で除した値を新し
い目標のバルジング勾配として、ロール毎の目標のロー
ル間隔、すなわち鋳片の厚みおよび圧下圧力を設定して
制御を行う。
【0039】図5は、凝固完了位置を修正するため、鋳
造速度を減速した場合の圧下ゾーンのロールの動作の概
念を模式的に説明する図である。減速する前の凝固完了
位置が図中に示す位置(c)で、凝固完了位置相当のロ
ールがt番目のロールであった状態から、鋳造速度の減
速により凝固完了位置が上流側の位置(d)にずれ、凝
固完了位置相当のロールが上流側のs番目のロールにず
れた場合を示す。
【0040】凝固完了位置が上流側にずれた直後には、
圧下ゾーンのt番目のロールよりも上流側の圧下ゾーン
のロールは、ロール間隔が維持されているため、鋳片と
接触しなくなる。したがって、これらのロールの圧下圧
力はほぼ零となる。このとき、s番目のロールの圧下圧
力が、凝固完了した鋳片の圧下圧力と同じ大きな圧下圧
力となる最初の圧下ゾーンのロールとなることから、圧
下ゾーンの圧下圧力演算器は、s番目のロールが新しい
凝固完了位置相当のロールと推定する。
【0041】このとき、圧下ゾーンロールの鋳片厚制御
演算器は、鋳造速度を減速する前の圧下ゾーンの最初の
ロールをr番目とした場合、新しい圧下ゾーンの最初の
ロールを{r−(t−s)}番目のロールと演算する。
また、図5に示すように、この鋳片厚制御演算器は、新
しい圧下ゾーンの最初のロールである{r−(t−
s)}番目のロールから新しい凝固完了位置相当のs番
目のロールの間を、目標の圧下勾配となるように、ロー
ル間隔を狭めたり広げたりの制御を行う。
【0042】また、バルジングゾーンの最初のロールか
ら、この{r−(t−s)}番目のロールまでが、新し
いバルジングゾーンのロールとなる。ここで、バルジン
グゾーンロールの鋳片厚制御演算器は、目標のバルジン
グ量を、新しく短くなったバルジングゾーンの距離で除
した値を新しい目標のバルジング勾配として、新しいロ
ール毎の目標のロール間隔、すなわち鋳片の厚みおよび
圧下圧力を設定し制御を行う。
【0043】次に、鋳造開始時および終了時のように鋳
造速度の加速または減速する割合が大きい場合で、凝固
完了位置が大きく変化する場合のバルジングゾーンおよ
び圧下ゾーンのロールの制御について説明する。
【0044】鋳造開始時は、低速の鋳造速度のため、凝
固完了位置は最終のバルジングゾーンのロールより鋳造
方向の上流側に位置する。このとき、凝固完了位置より
下流側に位置するバルジングゾーンおよび圧下ゾーンの
それぞれのロールの油圧装置の流調弁およびサーボ弁の
開度を微少に開けると、ピストンロッドの圧力は、すぐ
に油圧供給圧まで上昇する。これは、この油圧供給圧に
相当する圧下圧力よりも、鋳片の変形抵抗が大きく、鋳
片を圧下できなくてピストンロッドが動作しないからで
ある。
【0045】この後、鋳造速度を加速するにしたがっ
て、凝固完了位置、すなわち未凝固部が下流側に移行す
る。このとき、未凝固部を含む鋳片と接するバルジング
ゾーンのロールおよび圧下ゾーンのロールの圧下圧力
は、凝固完了した鋳片の圧下圧力より小さい。したがっ
て、圧下ゾーンロールの圧下圧力演算器は、凝固完了位
置がバルジングゾーンの最終のロールより鋳造方向の下
流側に到達したことを推定する。
【0046】凝固完了位置がバルジングゾーンの最終の
ロールに到達した時点で、圧下ゾーンロールの鋳片厚制
御演算器は、圧下ゾーンのロールを目標の圧下勾配にな
るように、ロール毎にロール間隔、すなわち鋳片の厚み
を設定し、制御を行う。これと同期して、バルジングゾ
ーンロールの鋳片厚制御演算器は、バルジングゾーンの
ロールが、目標のバルジング勾配となるように、ロール
間隔およびと圧力を制御する。
【0047】一方、鋳造終了時は、鋳造速度が減速する
にともない、凝固完了位置が上流側に移行する。上述の
図5で説明した方法で、新しい圧下ゾーンを次々と上流
側へ移行させる。このとき、鋳造速度が遅くなるにした
がって、目標のバルジング量を順次連続的に小さな値と
し、鋳造速度が鋳造終了速度になる時点で、目標のバル
ジング量を零とする。これにより、鋳造速度が鋳造終了
速度になった時点で、バルジングゾーンのロールおよび
圧下ゾーンのロールのロール間隔が、バルジングさせな
い時の鋳片の厚みまで戻ることになる。
【0048】以上のようにして、鋳造速度が変動する場
合にも本発明の方法を適用することにより、鋳片の全長
にわたって、中心偏析の少ない健全な鋳片を得ることが
できる。
【0049】
【実施例】厚み300mm、幅2300mmの鋳片を鋳
造する鋳型を備えた湾曲型スラブ連続鋳造機を用いて、
C含有率が0.15重量%の厚板用鋼の鋳造試験を実施
した。定常状態の鋳造速度を0.9m/分、目標の合計
のバルジング量を60mm、バルジング後の目標の圧下
量を60mmとした。
【0050】鋳造開始時、鋳造終了時および鋳造速度が
目標の一定速度である定常状態について、それぞれの部
位の鋳片の横断面サンプルを採取し、中心偏析の程度お
よび鋳片の厚みの変動について調査した。
【0051】鋳片の中心偏析の評価は、成分Pの最大偏
析度で行った。この成分Pの最大偏析度は、得られた鋳
片の横断面サンプルの厚み方向中心部から厚み方向50
mm、幅方向1000mmの試験片を採取し、この試験
片の表面を200μmメッシュの粗さに分け、それぞれ
のメッシュの中での成分Pの平均含有率をマッピングア
ナライザ法(MA法)で調査した。この平均の成分Pの
値Pとレードル分析値の成分P含有率P0 との比P/P
0 で評価した。
【0052】鋳片の厚みの変動については、鋳造開始時
と鋳造終了時の非定常部および定常部の、それぞれの鋳
片の横断面サンプルの鋳片の幅方向中心部の鋳片の厚み
を調査し、目標の鋳片の厚みと比較した。
【0053】鋳造開始時および鋳造終了時の非定常部
は、それらに相当する鋳造鋳片の長さを調査し、全体の
鋳造した長さに対する比を求めた。
【0054】表1に、得られた試験結果を示す。
【0055】
【表1】
【0056】本発明例の試験No.1では、鋳造開始か
ら鋳造終了まで本発明の方法を適用して鋳造した。最大
のP偏析度は、鋳造速度が一定の定常状態のとき、評価
3と良好であり、また、鋳造開始時と鋳造終了時の非定
常状態での評価でも、評価4と比較的良好であった。ま
た、これら鋳造速度が変化している非定常部の鋳造長さ
比は合計で5%、定常部長さ比が95%となり良好な結
果であった。また、鋳片の厚みの変動は、定常部および
非定常部で0.2〜0.3%であり良好であった。
【0057】これに対して、比較例の試験No.2で
は、鋳造開始時と鋳造終了時の非定常部において、本発
明の方法を適用せず、手動操作によりバルジングゾーン
ロールおよび圧下ゾーンロールのロール間隔、すなわち
鋳片の厚み位置を制御した。この結果、定常部の最大P
偏析度は評価3で良好であったが、非定常部の最大偏析
度は評価6および9と、かなりの偏析が見られた。ま
た、鋳造開始後の鋳造速度が一定になるまで、さらに鋳
造終了時の鋳造速度を減速させるのにそれぞれ時間を要
し、非定常部の鋳造長さ比が合計22%と高く、定常部
の鋳片長さ比が78%で低かった。非定常部の鋳片の鋳
片の厚み変動は、0.6〜1.0%で、かなり大きかっ
た。
【0058】また、比較例の試験No.3では、非定常
部は、本発明の方法を適用せず、また、手動操作による
バルジングおよびバルジング後の圧下も実施しなかっ
た。鋳造速度が一定となった定常部でのみ、本発明の方
法を適用して鋳造した。このとき、非定常部の最大偏析
度は、評価9および12であり、中心偏析は最悪であっ
た。非定常部の鋳片長さ比は11%で、本発明の方法を
適用した本発明例の試験No.1より高かった。
【0059】
【発明の効果】本発明の方法の適用により、鋳造開始か
ら鋳造終了までの鋳片全長にわたって中心偏析の少ない
健全な鋳片を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するためのシステムの構成
例を示す図である。
【図2】バルジングゾーンのロールのロール間隔および
油圧装置のピストンロッドにかかる圧力を検出し制御す
るフローの一例を示す図である。
【図3】圧下ゾーンのロールのロール間隔および油圧装
置のピストンロッドにかかる圧力を検出し制御するフロ
ーの一例を示す図である。
【図4】凝固完了位置を修正するために鋳造速度を加速
した場合の圧下ゾーンのロールの動作の概念を模式的に
説明する図である。
【図5】凝固完了位置を修正するために鋳造速度を減速
した場合の圧下ゾーンのロールの動作の概念を模式的に
説明する図である。
【符号の説明】 1 鋳片(凝固殻) 2 未凝固部 3 バルジングゾーンのロール 4 圧下ゾー
ンのロール 5 油圧ポンプ 6 油圧装置 7 流調弁 8 サーボ弁 9 位置検出装置 10 圧力検出
装置 11 バルジングゾーンロールの鋳片厚制御演算器 12 圧下ゾーンロールの鋳片厚制御演算器 13 圧下ゾーンロールの圧下圧力演算器 14 バルジング圧下パターン制御装置

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数対のロールを備え、未凝固部を含む鋳
    片をバルジングさせるバルジングゾーンと、複数対のロ
    ールを備え、凝固完了までの間で上記のバルジングさせ
    た鋳片を圧下する圧下ゾーンを有する連続鋳造装置を用
    いる連続鋳造方法において、バルジングゾーンおよび圧
    下ゾーンのそれぞれのロールにロール昇降用の油圧装置
    が設けられ、上記油圧装置にはロールの昇降位置を検出
    する位置検出装置と圧力検出装置を備え、検出したロー
    ルの昇降位置と圧力がそれぞれの目標値となるように制
    御し、かつ圧下ゾーンのロールの油圧装置にかかる圧力
    の検出値から凝固完了位置を推定し、凝固完了位置が圧
    下ゾーンの最後のロールよりも鋳造方向の上流側になる
    ように鋳造速度と二次冷却水量のうちの少なくとも一方
    を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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