JP2020000154A - スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法 - Google Patents

スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020000154A
JP2020000154A JP2018124610A JP2018124610A JP2020000154A JP 2020000154 A JP2020000154 A JP 2020000154A JP 2018124610 A JP2018124610 A JP 2018124610A JP 2018124610 A JP2018124610 A JP 2018124610A JP 2020000154 A JP2020000154 A JP 2020000154A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cheese
smoke
mold
smoked
aging
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018124610A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7231341B2 (ja
Inventor
公実子 小島
Kumiko Kojima
公実子 小島
浩太 奈良
Kota Nara
浩太 奈良
瑞恵 斎藤
Mizue Saito
瑞恵 斎藤
美幸 横尾
Miyuki Yokoo
美幸 横尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meiji Co Ltd
Original Assignee
Meiji Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meiji Co Ltd filed Critical Meiji Co Ltd
Priority to JP2018124610A priority Critical patent/JP7231341B2/ja
Publication of JP2020000154A publication Critical patent/JP2020000154A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7231341B2 publication Critical patent/JP7231341B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)

Abstract

【課題】チーズ表面全面に十分な量のカビマット層を形成させ、かつ工業的に大量生産することの可能な新規なスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法を提供すること。【解決手段】チーズカードを第1熟成する工程と、第1熟成されたチーズカードを燻煙処理する工程と、燻煙処理されたチーズカードを第2熟成する工程と、を含む、スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法に関する。
燻煙処理(燻製、スモーク)とは、木材等を熱して発生した煙を食品に当てる調理方法である。燻煙処理は、燻煙により独特の風味が得られることから、香ばしい風味を付与するといった、食品の嗜好性向上を主目的として実施される場合が多い。
燻煙処理により、燻煙中の殺菌・防腐成分の食品への付着や浸透、食品の水分含有量の減少が生じ、食品の保存性を向上させることができるため、歴史的には、燻煙の持つ殺菌作用による保存性向上を目的として、燻煙処理は発展してきている。
プロセスチーズ、ハード系やセミハード系のナチュラルチーズを燻煙処理した燻製チーズを工業的に大量生産する方法が開示されている(特許文献1〜3)。
また、チーズの水分含有量を維持した燻煙処理する方法も検討されている(特許文献4〜6)。
特許第3921184号公報 特開2013−212057号公報 特開2012−50363号公報 特公平7−14号公報 特開2002−281896号公報 特開2003−079313号公報
一方、カマンベールチーズやブリーチーズに代表される白カビチーズは、白カビにより熟成処理されて製造されている。チーズとしての熟成が完了した白カビチーズは、白カビがチーズ表面全面に生えていることにより、チーズ表面全面にカビマット層が形成され、カビマット層直下の軟質チーズ部分はとろけて軟らかくなっている。本発明者らの検討によれば、チーズとしての熟成が完了した白カビチーズに対しての燻煙処理のハンドリング性や機械包装適性は低下するため、熟成工程完了後の白カビチーズの燻煙処理は工業的な大量生産には不向きであることが分かった。
また、燻煙処理のハンドリング性や機械包装適性が低下しないよう、カビマット層直下の軟質チーズ部分が全くとろけていない状態で熟成を終了させ、燻煙処理し、その後包装してレトルト殺菌処理を行うことも可能ではある。しかし、この場合はチーズとしての熟成が十分とはいえず、白カビチーズ本来の風味や食感を損ない、商品としての品質が低下してしまう。
本発明が解決しようとする課題は、チーズ表面全面に十分な量のカビマット層を形成させ、かつ工業的に大量生産することの可能な新規なスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行って、熟成後に燻煙処理工程を設けるのではなく、第1熟成工程と第2熟成工程の間に燻煙処理工程を設けることにより、かかる課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下のとおりである。
(1)
チーズカードを第1熟成する工程と、
第1熟成されたチーズカードを燻煙処理する工程と、
燻煙処理されたチーズカードを第2熟成する工程と、を含む、スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
(2)
燻煙処理する工程において、第1熟成されたチーズカードを収納した庫内に間欠的に燻煙を充填する、(1)に記載の製造方法。
(3)
燻煙処理する工程において、0〜30℃で、3〜720分間、第1熟成されたチーズカードを燻煙処理する、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)
第1熟成する工程において、5〜20℃で、1〜20日間、チーズカードを熟成する、請求項(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)
第2熟成する工程において、5〜20℃で、1〜20日間、燻煙処理されたチーズカードを熟成する、(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)
(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法により得られる、スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズ。
本発明によれば、チーズ表面全面に十分な量のカビマット層を形成させ、かつ工業的に大量生産することの可能な新規なスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法を提供することができる。
本発明を、発明を実施するための形態により具体的に説明するが、本発明は、以下の発明を実施するための形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
本発明のスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法は、
チーズカードを第1熟成する工程(第1熟成工程)と、
第1熟成されたチーズカードを燻煙処理する工程(燻煙処理工程)と、
燻煙処理されたチーズカードを第2熟成する工程(第2熟成工程)と、を含む。
本発明においては、熟成工程完了後に燻煙処理工程を設けてスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズを得るのではなく、軟質チーズのチーズ表面の熟成を第1熟成工程と、第2熟成工程とに分割し表面熟成軟質チーズとしての熟成を十分に行うと共に、その第1熟成工程と、第2熟成工程の間に、燻煙処理工程を設けたことにより、チーズ表面全面に十分な量のカビマット層を形成させ、かつ工業生産も可能なスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造を可能としたものである。本発明の製造方法によれば、表面熟成軟質チーズとしての良好な組織・触感を有するチーズを製造可能である。
また、本発明の製造方法によれば、水分含有量の高い軟質チーズカード表面のカビ生育を阻害せず、カビがチーズ表面全面に生えていながら、チーズが全体的に薄い褐色を呈し、燻製特有の香ばしい風味があるスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズを製造することができる。
本発明の製造方法により得られるスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズにおける水分含量は、通常、45〜58%程度である。
水分含量は、従来公知の方法により測定することができる。
本発明において、「スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズ」における「スモークされた」とは、チーズカードに対して燻煙処理が施されていることを意味するが、燻煙処理によりチーズ表面がスモークにより薄い褐色を呈していることにより、チーズが「スモーク」されていることを確認することができる。
本発明において、カビによる表面熟成軟質チーズとしては、特に限定されないが、例えば、白カビチーズが挙げられる。白カビチーズについては、白カビタイプとも呼ばれる。
白カビチーズとしては、特に限定されないが、例えば、カマンベールチーズ及びブリーチーズ等が挙げられる。
本発明において、「スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズ」は、チーズ外側表面が全て、カビによる表面熟成の結果として、カビがチーズ全面に生えていることによるカビマット層で覆われていることが好ましい。
本発明の製造方法は、チーズ外側表面全面がカビマット層で覆われている、カットされていないチーズを製造するのに好適である。
本発明の製造方法により製造されるスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズは、チーズ表面全面に十分な量のカビマット層を形成されていることにより、カビマット層からチーズの中身が漏れ出す現象(チーズ漏れ)の発生を軽減し得、チーズが「スモーク」され、チーズが全体的に薄い褐色を呈することで、美観にも優れる。
(第1熟成工程)
本発明の製造方法においては、チーズカードを第1熟成する工程を含む。
第1熟成工程は、特に限定されず、公知の熟成法によりチーズカードを熟成する予備熟成工程である。
例えば、熟成庫に設けられた、熟成時のチーズを静置する棚上でチーズカードを予備熟成させる。
第1熟成工程において用いられるチーズカードについては、特に限定されないが、通常のチーズカードの製造法により製造すればよいが、一般には、以下の手順により行われる。
加温した乳に対して、スターターとなる乳酸菌を添加し、乳酸菌発酵を行う。
用いられる乳としては、一般に、牛乳が用いられるが、他の動物由来の乳であってもよく、特に限定されないが、例えば、羊、山羊等が挙げられる。複数の動物由来の乳の混合乳を用いることも可能である。
次いで、乳のタンパク質を凝固させる。凝固の方法は、特に限定されないが、凝乳酵素であるレンネットを添加して行うことが好ましい。
タンパク質を凝固させることにより、ホエイから分離されてチーズカードが得られる。チーズカードについては、第1熟成工程の原料として用いる前に成形してもよい。
本発明の製造方法において用いられるチーズカードにおける水分含量は、通常、47〜60%程度である。
チーズカードを第1熟成する際のカビの接種方法は、特に限定されないが、カビの胞子を添加した水を噴霧する方法であってもよく、カビの胞子を添加した水中にチーズカードを浸漬させる方法であってもよい。
第1熟成工程における熟成条件は、特に限定されないが、例えば、5〜20℃で、1〜20日間熟成させることが好適である。
上記熟成条件の範囲において、熟成温度は、好ましくは5〜18℃であり、及び/又は熟成日数は、好ましくは5日間以上である。
(燻煙処理工程)
本発明の製造方法においては、第1熟成工程の後工程として、第1熟成されたチーズカードを燻煙処理する工程を含む。
燻煙処理工程を第2熟成工程の前に行う本発明の製造方法により、チーズが全体的に薄い褐色を呈し、燻製特有の香ばしい風味がある、スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズとすることができる。
燻製処理方法は大別すると、煙を直接使用する燻煙処理法と、煙を直接使用しない液体燻製法(液燻法)とに分けられる。
燻煙処理法による場合も、液燻法による場合にも、従来公知の方法に準じて燻製処理工程を行うことができる。
燻煙処理法は、特に限定されないが、例えば、乾熱式スモーク法、スチーム式(湿熱式)スモーク法、電子スモーク法等が挙げられる。
乾熱式スモーク法は、直火又は電熱ヒーター等により木材を加熱し、燻煙を発生させて、食品を燻煙処理する方法である。
スチーム式(湿熱式)スモーク法は、高温の蒸気により木材を加熱し、燻煙を発生させて、食品を燻煙処理する方法である。
電子スモーク法は、マイナスイオンを発生させる加湿用噴霧装置を備えたスモークチャンバー内に発生した燻煙を引き込み、燻煙をマイナスイオンに帯電させ、プラスイオンに帯電している食品を燻煙処理する方法である。
液燻法は、木材を不完全燃焼させて発生した燻煙を凝縮又は水に吸収させた後、精製して燻液とし、食品に燻液を直接添加する、燻液に食品を浸漬する、又は燻液を食品に塗布や噴霧することにより、食品を燻煙処理する方法である。
第1熟成されたチーズカードの燻製処理を行う場合には、第2熟成工程におけるチーズカードのカビによる十分な熟成のために、燻煙処理法が好適であり、中でも、乾熱式スモーク法が好適である。
乾熱式スモーク法による場合には、スモークハウス等の従来公知のスモーク装置を用いることにより燻煙処理を行うことができる。
スモーク装置としては、特に限定されないが、例えば、直接燻煙装置として、食品を燻煙処理する燻煙庫内で直接燻煙を発生させられるように、燻煙発生装置が燻煙庫内に設けられていてもよく、また、燻煙発生装置が燻煙庫と隔てられた間接燻煙装置を用いてもよいが、間接燻煙装置が好適に用いられる。
燻煙発生装置は、特に限定されないが、例えば、木材を供給するホッパー部と木材燃焼機構を備える。
間接燻煙装置による場合には、燻煙発生装置と燻煙庫は配管により連結され、燻煙発生装置により発生した燻煙は、配管を通って燻煙庫に充填される。
燻煙処理に用いる木材は、燻煙材としてのスモークウッド、スモークチップ等が挙げられ、付与する薫香により選択すればよく、その材質は特に限定されないが、サクラ、クルミ、ナラ、ブナ、リンゴ、ヒッコリー、シラカバ等が好適に用いられ、これらのミックスであってもよい。
乾湿状態が一定していれば、燻煙材の水分含量は、特に限定されないが、好ましくは10〜35%であり、より好ましくは20〜30%である。
質の良い安定した燻煙を一定供給できれば、スモークチップの粒径は、特に限定されないが、好ましくは2〜15mm、より好ましくは6〜12mmである。
燻煙処理工程を行う前に、燻煙材の水分含量を測定し、燻煙材の加水工程や、乾燥工程を設けてもよい。
燻煙処理工程においては、作業効率の観点で、第1熟成されたチーズカードを燻煙庫内に静置した後に、燻煙の充填を開始することが好適である。
燻煙処理は、特に限定されないが、例えば、燻煙庫に設けられた、燻煙処理時のチーズを静置する棚上で第1熟成されたチーズカードを燻煙処理する。
燻煙処理工程における処理条件は、特に限定されないが、例えば、0〜30℃で、3〜720分間燻煙処理することが好適である。
上記処理条件の範囲において、燻煙庫内温度は、好ましくは0〜30℃であり、より好ましくは4〜20℃であり、及び/又は燻煙処理時間は、好ましくは3〜300分間であり、より好ましくは3〜120分間である。
燻煙処理時間は、煙投入時間、保持時間、排気時間を含めた燻煙処理総時間として、30分以上、40分以上、50分以上であることが好ましく、150分以下、120分以下、100分以下、60分以下であることが好ましい。
本発明の製造方法において、第2熟成工程後のレトルト殺菌処理において、カビマット層内部のチーズ組織が熱で融けることにより、カビマット層の層構造が弱い部分からチーズ漏れ等を起こし、商品としての品質が低下してしまう場合があるので、第2熟成工程後において、カビマット層がチーズ表面全面に、むらなく生成されていることが好適である。
カビマット層をむらなく生成させるためには、燻煙の持つ殺菌作用によってカビが生育阻害を受けないように燻煙処理工程を行うことが好ましい。また、燻煙の持つ殺菌作用によってカビが生育阻害を受けた場合でも、むらなくカビマット層を形成できるよう、第2熟成工程の途中のチーズカードを何度も反転させて第2熟成工程を行ってもよく、第2熟成工程の前にカビを再度チーズカードに対して接種してもよい。
本発明においては、燻煙処理前後のチーズカード表面の色彩変化(色差)を測定して、燻煙処理を制御することが好ましい。
色差の測定法としては、特に限定されないが、例えば、分光測色計や色彩色差計を用いて、L***表色系のL値等の差を測定すればよい。L***表色系は、L*の値が大きいほど白く、a*の値が大きいほど赤く、b*が大きいほど黄色いことを示す。
分光測色計としては、特に限定されないが、例えば、コニカミノルタ社製CM−700d等が挙げられる。
色彩色差計としては、特に限定されないが、例えば、コニカミノルタ社製CR−410等が挙げられる。
燻煙処理前後でのチーズカード表面の色差の測定法は、特に限定されないが、以下のとおりである。
第1熟成されたチーズカードについて、燻製処理前のチーズカード表面の色彩値を測定する(L0 *、a0 *、b0 *)。
続いて、燻煙処理されたチーズカードについて、燻製処理前のチーズカード表面の色彩値を測定した箇所と同じ個所の色彩値を測定する(L*、a*、b*)。
以下の計算式に基づいて、一つ一つのチーズカードにおける色差ΔEを算出する。
ΔE=〔(L*−L0 *2+(a*−a0 *2+(b*−b0 *21/2
測定に供したチーズカードのΔEの平均を算出して、色差平均を測定する。
色差平均(ΔE)は、好ましくは5〜25であり、より好ましくは7〜20である。
色差平均(ΔE)が、上記範囲内にあるように燻煙処理を行うことにより、燻煙中の殺菌作用を有する構成成分によるカビ生育の阻害を抑制する上で好適である。
また、色差平均(ΔE)が、上記範囲内にあるように燻煙処理を行うことにより、第2熟成工程後のレトルト殺菌処理において生じるチーズ漏れをより少なく制御した、スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズを製造することができる。
さらに、色差平均(ΔE)が、上記範囲内であることにより、水分含有量の高い軟質チーズカード表面のカビ生育を阻害せず、カビがチーズ表面全面に生えていながら、燻製特有の香ばしい風味があるスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズを製造することができる。
本発明における燻煙処理工程においては、第1熟成されたチーズカードを収納した庫内に燻煙を充填するが、燻煙処理は、庫内への「燻煙の供給」と「燻煙の排気」とを行うことが好ましい。
燻煙処理においては、さらに「燻煙の供給停止」を行うことが好ましく、「燻煙の供給」と「燻煙の供給停止」を継続して行うことが好ましい。
本発明における「燻煙の供給停止」とは、一定期間、「燻煙の供給」を停止した状態を保持していることを意味し、「燻煙の供給停止」時には、燻煙庫からの強制的な「燻煙の排気」は行われていないことを意味する。
庫内への燻煙の充填は、燻煙処理が終了するまで「燻煙の供給」と「燻煙の供給停止」とが行われることを意味する。
燻煙処理は、例えば、1回目の燻煙供給(燻煙供給時間:t1)後、燻煙供給を停止し(停止時間:s1)、その後に燻煙を排気して燻煙処理工程を完了する、すなわち「燻煙の供給」と「燻煙の供給停止」がそれぞれ1回でもよい。
また、例えば、1回目の燻煙供給(燻煙供給時間:t1)後、燻煙供給を停止し(停止時間:s1)、2回目の燻煙供給(燻煙供給時間:t2)後、2回目の燻煙供給の停止し(停止時間:s2)その後に燻煙を排気して燻煙処理工程を完了する、すなわち「燻煙の供給」と「燻煙の供給停止」とを交互に、同回数繰り返してもよい。
さらに、例えば、1回目の燻煙供給(燻煙供給時間:t1)後、燻煙供給を停止し(停止時間:s1)、2回目の燻煙供給(燻煙供給時間:t2)後、燻煙を排気して燻煙処理工程を完了する、すなわち「燻煙の供給」回数(n回)より「燻煙の供給停止」回数が少なくても(n−1回)よい。
燻煙供給時間(t1、t2、t3・・・)は、それぞれ任意の時間でもあってもよく、等時間であってもよい。燻煙供給停止時間(s1、s2、s3・・・)は、それぞれ任意の時間でもあってもよく、等時間であってもよい。
(第2熟成工程)
本発明の製造方法においては、燻煙処理工程の後工程として、燻煙処理されたチーズカードを第2熟成する工程を含む。
第2熟成工程は、カビによる表面熟成軟質チーズに求められる良好な風味や食感を付与するために行われる追加熟成工程である。
通常、カビによる表面熟成軟質チーズにおいては、第2熟成を行ってチーズとしての熟成が完了すると、カビマット層直下の軟質チーズ部分が熟成によりとろけて軟らかくなっている。したがって、第2熟成後に、燻煙処理工程を行うと、燻煙処理のハンドリング性や機械包装適性が低下してしまう。本発明においては、第2熟成工程を、燻煙処理工程に次いで行うことにより、カビが表面全面に生え、チーズとしての熟成が完了した、燻製特有の香ばしい風味があるスモークされたカビによる表面熟成軟質チーズとすることができる。
また、燻煙処理時に燻煙の持つ殺菌作用によってカビが生育阻害を受けると、熟成工程完了後のレトルト殺菌処理においてカビマット層内部のチーズ組織が熱で融けることにより、カビマット層の層構造が弱い部分からチーズ漏れ等を起こし、商品としての品質が劣化してしまう場合がある。本発明においては、燻煙中の殺菌作用を有する構成成分によるカビ生育の阻害を抑制した燻煙処理工程後に、燻煙処理された熟成途中のチーズ表面全面にカビが生え、カビマット層がチーズ表面全面に、むらなく生成されると共に、カビマット層直下の軟質チーズ部分がとろけて軟らかくなるまで第2熟成を行って、熟成工程完了後のレトルト殺菌処理において生じるチーズ漏れを減少させることが好適である。
本発明においては、チーズ漏れの発生率(漏れ発生率)は、同一ロットでレトルト殺菌処理したチーズの総数を分母として、目視で確認してチーズ漏れの起きたチーズの割合として求められる。
漏れ発生率は、0%であることが最適であるが、例えば、好ましくは20%以下であり、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
漏れ発生率は、当該範囲内で、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下又は1%以下であることが好適である。
第2熟成工程においても、例えば、熟成庫に設けられた、熟成時のチーズを静置する棚上でチーズカードを熟成させる。チーズカードをインナーフィルムで包装し、プラスティック製カップに挿入してから熟成させてもよい。
第2熟成工程における熟成条件は、特に限定されないが、例えば、5〜20℃で、1〜20日間熟成させることが好適である。
具体的には、カビによる表面熟成軟質チーズに求められる良好な風味と組織・食感を有する状態、例えば、カビマット層直下の軟質チーズ部分がとろけて軟らかくなるまで熟成させればよい。
上記熟成条件の範囲において、熟成温度は、好ましくは5〜18℃であり、及び/又は熟成日数は、好ましくは2日間以上である。
さらに、第2熟成されたチーズに対し、レトルト殺菌処理を行うことで、保存性の向上(賞味期限の延長)を図ることもできる。
レトルト殺菌処理の条件は、公知のチーズ製品の加熱殺菌方法を用いればよく、特に限定されないが、例えば、チーズがプラスティック容器に挿入されている場合には、容器を樹脂フィルムでシールし、チーズ中心部温度120℃で4分間加熱するか、これと同等以上の効力を有する加熱条件で行うことが好適である。
上記条件の範囲において、チーズがプラスティック容器に充填されて密閉されている場合には、チーズ中心部温度は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは90℃以上である。
より具体的には、チーズ中心部温度を80℃以上で10分間以上に保持することにより殺菌してもよい。
レトルト殺菌処理の方法は、特に限定されないが、例えば、好適な温度に設定された湯浴中で浸漬することによる方法が挙げられる。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
一般的なカマンベールチーズの製造方法に従って製造した円盤型のカマンベールチーズカード(直径約80mm、高さ約23mm、重量約100g)に対して、13℃、7日間第1熟成を行った。
次いで、第1熟成されたチーズカードに対して、13℃で燻煙処理を行った。
燻煙処理の条件については、表1に記載のとおりである。
燻煙処理したチーズカードを、インナーフィルム包装を行ってから円形のプラスティック製カップに挿入し、第2熟成を13℃、7日間行った。
続いて、プラスティック製カップの上面を樹脂フィルムでシールし、95℃の熱湯に浸漬し、レトルト殺菌処理を行った。
レトルト殺菌処理後に冷蔵温度まで冷却し、品質確認した結果を表1に示す。
色差は、色彩色差計(コニカミノルタ社製CR−410)により測定した。燻製処理前後のチーズカード表面(同一サンプルの同一箇所)の色彩値を測定して色差ΔEを算出し、得られた色差ΔEの平均値を色差平均とした。
漏れ発生率は、目視により確認して、レトルト殺菌処理した製品数の総数に対する、レトルト殺菌処理においてチーズ漏れの発生した製品数の割合として算出した。
なお、参考例においては、第1熟成、第2熟成及びレトルト殺菌処理後の製品に対して、燻煙処理を行った。
Figure 2020000154

Claims (6)

  1. チーズカードを第1熟成する工程と、
    第1熟成されたチーズカードを燻煙処理する工程と、
    燻煙処理されたチーズカードを第2熟成する工程と、を含む、スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法。
  2. 燻煙処理する工程において、第1熟成されたチーズカードを収納した庫内に間欠的に燻煙を充填する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 燻煙処理する工程において、0〜30℃で、3〜720分間、第1熟成されたチーズカードを燻煙処理する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 第1熟成する工程において、5〜20℃で、1〜20日間、チーズカードを熟成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 第2熟成する工程において、5〜20℃で、1〜20日間、燻煙処理されたチーズカードを熟成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られる、スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズ。
JP2018124610A 2018-06-29 2018-06-29 スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法 Active JP7231341B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018124610A JP7231341B2 (ja) 2018-06-29 2018-06-29 スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018124610A JP7231341B2 (ja) 2018-06-29 2018-06-29 スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020000154A true JP2020000154A (ja) 2020-01-09
JP7231341B2 JP7231341B2 (ja) 2023-03-01

Family

ID=69097823

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018124610A Active JP7231341B2 (ja) 2018-06-29 2018-06-29 スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7231341B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002253187A (ja) * 2001-02-28 2002-09-10 Tomokazu Hashimoto 低電圧電気燻製方法
JP2012060896A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Snow Brand Milk Products Co Ltd 白カビチーズおよびその製造方法
US20140057027A1 (en) * 2009-02-18 2014-02-27 Crustocean Technologies Limited Method and apparatus for smoke-infusing proteinaceous foods and smoked-infused such proteinaceous food product so-obtained
WO2015005321A1 (ja) * 2013-07-09 2015-01-15 株式会社明治 一口サイズのスモークチーズ及びその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002253187A (ja) * 2001-02-28 2002-09-10 Tomokazu Hashimoto 低電圧電気燻製方法
US20140057027A1 (en) * 2009-02-18 2014-02-27 Crustocean Technologies Limited Method and apparatus for smoke-infusing proteinaceous foods and smoked-infused such proteinaceous food product so-obtained
JP2012060896A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Snow Brand Milk Products Co Ltd 白カビチーズおよびその製造方法
WO2015005321A1 (ja) * 2013-07-09 2015-01-15 株式会社明治 一口サイズのスモークチーズ及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7231341B2 (ja) 2023-03-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5226820B2 (ja) モッツァレラチーズの製造方法
RU2391846C2 (ru) Способ получения мягкого, ломтевого и/или твердого сыра, содержащего пряности и/или травы и применение композиции
JP7231341B2 (ja) スモークされたカビによる表面熟成軟質チーズの製造方法
EP1726212B1 (fr) Nouveau procédé de production d'un fromage à croute naturelle fleurie
JP3370815B2 (ja) ナチュラルチーズおよびその製造方法
RU2414138C2 (ru) Мягкий сычужный сыр "колорит" и способ его производства
JPS5988053A (ja) 米飯食品の製造方法
JPH0789879B2 (ja) 安全かつ長期保存可能な米飯の製造方法
JP2020110193A (ja) パック入り焼成魚肉フレークとその製造方法
JP2020061948A (ja) 豆腐加工品及びその製造方法
KR101684926B1 (ko) 선지묵의 가공방법 및 이 가공방법에 의해 가공된 선지묵
JP2022055751A (ja) 白カビ系チーズ
US3840669A (en) Preparation of white pickled cheese
US2649378A (en) Method for preserving pimento
JP3393526B2 (ja) 食品包装体
JP4211963B2 (ja) 米飯食品の製造方法
JPH06343385A (ja) 魚節の加工方法
KR101283156B1 (ko) 찢어먹는 치즈의 제조방법 및 이에 따라 제조된 찢어먹는 치즈
Lagares Manufacturing process for whole muscle cooked meat products V: Cooking
JP5261768B2 (ja) ナチュラルチーズ、およびその製造方法
JP3731370B2 (ja) 長期保存可能な米飯の製造方法及び包装米飯
JP2020162581A (ja) 白カビ系チーズ
JP2020162580A (ja) 白カビ系チーズ
RU2218796C1 (ru) Способ производства сыра плавленого консервного
JP2009022232A (ja) チーズ類の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210628

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220502

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220701

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220701

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7231341

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150