JP2020000061A - 魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法 - Google Patents

魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法に於いて、簡便且つ短時間の処理によって、揮発性塩基窒素などの有害・毒性物質による悪臭の発生及び冷凍変性等を抑制する方法等を提供すること。【解決手段】魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法であって、該方法に含まれる前処理に於いて、多孔質固体吸着剤を用いて脱水(液切)工程を実施することを特徴とする、前記製造方法等。【選択図】なし

Description

本発明は、魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法に於いて、簡便且つ経済的な短時間の処理手段によって、揮発性塩基窒素などの悪臭の発生等の冷凍変性を抑制する方法等に関する。
冷凍食品の存在は、料理店等の事業者や、家庭の厨房の調理を代行するものといえる。即ち、家庭又は事業者に於いて、メニュー品数を増やしたり、調理時間を短縮することが出来、かつ、誰が調理をしても安定的な品質を保つことが可能となる。更に、食材の冷凍食品を「旬」の時期に収穫して加工することによって、最も栄養価が高く美味な食材を、安価で消費者や事業者に提供することもできる。
また、冷凍食品の最も優れている特長は「腐らない」ことであり、これは、「食品を無駄に廃棄せず、有効に使い切る」可能性をも意味し、引いては、食品ロス、廃棄物を減らすことにつながる。更に、冷凍食品の「前処理」の段階で食べられない部分は除外されるので、調理の段階で発生する生ゴミの量を減らすことが出来る。
このように、冷凍食品は優れた特徴を数多く有するものであるので、魚介類についても、魚肉加工冷凍品が広く製造・流通されることにより、長期間の保存が可能であり、且つ、適切に解凍することによって生鮮魚に匹敵するような味及び外観を有する魚料理を手軽に調理することが可能となっている。
しかしながら、例えば、非特許文献1等に示されているように、冷凍魚には、例えば、(i)魚特有の生臭さが残る; (ii)加熱時に水溶性タンパク質(カード)が著しくでて白濁物となり外観が見劣りすること;及び(iii)表面に氷膜(グレーズ)が付着していること;等の、一般に「冷凍変性」等と呼ばれる、生鮮魚には見られない問題点がみられることは当該技術分野において広く知られている。
特に、魚特有の生臭さの原因物質の一つであるトリメチルアミンは、浸透圧調節成分として魚類に含まれているトリメチルアミンーN-オキシド(TMAO)が魚類の腐敗の過程で分解(還元)されることで生成される物質であって、アンモニアとともに、一般に魚介類・畜肉などのたんぱく質性食品の腐敗の指標とされる揮発性塩基窒素類に含まれる。トリメチルアミンはメルカプタン及び硫化水素と共に、一般に「4大悪臭」とも呼ばれていて、悪臭防止法で「特定悪臭物質」に指定されている22成分にも含まれている。
更に、魚の体表及びえら等に細菌によって、魚の筋肉中に多く含まれるヒスチジンから食中毒の原因となるヒスタミンが生成されるので、魚肉の加工は低温(例えば、10℃以下)で短時間に処理することが求められている。
従って、魚肉の(加工)冷凍食品の製造に於いても、このような揮発性塩基窒素類及びヒスタミンなどの有害・毒性物質を出来るだけ除去し、更に、その発生を防止・抑制することが求められている。
魚肉の(加工)冷凍食品の製造に於ける、このような有害・毒性物質の除去・生成の抑制に関連する従来技術として、例えば、以下の例を挙げることが出来る。
特許文献1には、魚介類可食物に対するトレハロース及び/マルチトールを含有せしめることを特徴とするトリメチルアミン生成抑制方法等が開示されている。具体的には、魚介類可食物の生を細断又は摩擦等した後に、トレハロース及び/マルチトールを含有せしめ、次いで、干す、漬ける、焼く等の加工処理を施す方法が記載されている。
特許文献2には、魚肉の(加工)冷凍食品に於けるトリメチルアミンの発生原因であるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)の分解を抑止する方法として、魚肉を水浸漬、酸化置換又は酸化剤に浸漬する方法等が開示されている。
特許文献3には、同様の目的の為に、乳酸、炭酸、リン酸またはそれらのアルカリ金属塩を含有するTMAO分解抑制剤等が開示されている。
更に、特許文献4には、魚肉の冷凍保存中に進行するTMAOの分解に起因する品質低下の発生を抑制する方法として、冷凍前に魚肉をpH7以上に調整する方法等が開示されている。pH調整は炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液であるアルカリ性調味液を用いて行われている。
更に、特許文献5には、魚肉の冷凍前に、糖、糖アルコール等の冷凍変性防止剤とともにエタノール等のアルコールを添加することによる、TMAOの分解抑制方法等が開示されている。
又、特許文献6及び特許文献7には、高分子吸水剤を含む従来の脱水用具(例えば、商品名「ピチットシート」、昭和電工(株)製)の改良品として、魚、肉、野菜などの乾燥、冷凍の前処理に使用される脱水用具(シート)及びその製造方法が開示されている。具体的には、食用糖類の水溶液等の高浸透圧物質、及び、天然糖類又は合成高分子等の水溶性糊料を、少なくとも一部に透水性半透膜を備える支持材料で被覆して成る構造を有しており、その作用として、所定の吸水度において吸水が停止され、対象食品からの過度の脱水が防止できる、とされている。
一方、特許文献8には、冷凍魚における固有の問題(冷凍変性)を解決する方法として、pH8.6以上11.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で30分間以上漬け込む工程を含む、凍ったまま加熱調理できる冷凍魚の製造方法等が開示されている。
特開平11−308983号公報 特開2004−254687号公報 特開2004−267109号公報 特開2004−269960号公報 WO2012/133049号パンフレット 特開平1−130730号公報 特開2007−276232号公報 特開第4282746号明細書
「プロのためのメニューハンドブック」矢治長子著、冷凍食品新聞社、1997年7月31日発行、8頁〜18頁
特許文献1〜5に記載の従来技術に於いては、魚肉の冷凍食品のトリメチルアミン生成抑制又はTMAO分解抑制の為に、魚肉を酸化処理、酸化剤、及び、各種の化学剤で処理している。従って、冷凍食品中に使用されたこれらの化学剤が混入されており、更に、その結果、材料である魚肉の味・風味が何らかの影響を受けている可能性がある。
また、特許文献6及び特許文献7に開示されている脱水用具(シート)の作用・機能は食品の脱水である、当該シートに吸収される成分は実質的に水分のみであって(特許文献7の出願人であるオカモト株式会社製の食品用脱水シート「ピチット」の広告にその旨が記載されている)、水溶性タンパク質(カード)は除去されないと考えられる。更に、特許文献7の実施例に於いて、「得られた脱水シート2枚で味の開きを上下から挟み込み、4℃で一晩放置して、アジの干物を得た。」と記載されているように、脱水にはかなりの長時間(少なくとも数時間)が必要とされている。
更に、特許文献8に開示された製造方法に於けるアルカリ水溶液中への漬け込む工程も30分間〜数時間を要するものである。
又、特許文献3及び8に記載された製造方法に於いては、pH調整用の緩衝成分として炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及びクエン酸三ナトリウム等を含むアルカリ水溶液が使用されている為に、ナトリウム塩等のこれらの一部が冷凍食品中に残存し、健康上好ましくないと考えられる。
本発明の目的は、このような従来技術に於ける問題点を解決し、魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法に於いて、簡便且つ短時間の処理によって、揮発性塩基窒素などの有害・毒性物質による悪臭の発生及び冷凍変性等を抑制する方法等を提供する。
本発明者は、魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法の前処理に含まれる脱水(液切)工程に於いて、多孔質固体吸着剤を使用することによって、数分程度の極めて短時間の脱水(液切)にも拘わらず上記の冷凍変性が効果的に防止・抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の態様に関する。
[態様1]
魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法であって、該方法に含まれる前処理に於いて、多孔質固体吸着剤を用いて脱水(液切)工程を実施することを特徴とする、前記製造方法。
[態様2]
多孔質固体吸着剤が珪藻土及び/又はゼオライトを有効成分として含有することを特徴とする、態様1記載の製造方法。
[態様3]
脱水(液切)工程に於いて、魚肉と多孔質固体吸着剤とを直接又は間接的に接触させることを特徴とする、態様1又は2に記載の製造方法。
[態様4]
脱水(液切)工程を0℃〜10℃に於いて1〜25分間で実施することを特徴とする、態様1〜3のいずれか一つ記載の製造方法。
[態様5]
脱水(液切)工程による脱水率が3%〜10%であることを特徴とする、態様1〜4のいずれか一つ記載の製造方法。
[態様6]
以下の工程を含む、態様1〜5のいずれか一つ記載の製造方法:
1.前処理;
2.凍結;及び
3.包装。
[態様7]
前処理工程が、更に、原料解凍工程、加工工程、X線による残骨検査工程、水洗い(浸漬)工程、及び、UV照射工程から成る群から選択される、一つ又はそれ以上の工程を含むことを特徴とする、態様6に記載の製造方法。
本発明に於いては、魚肉の(加工)冷凍食品の製造に於ける前処理に含まれる脱水(液切)工程を多孔質固体吸着剤を用いる簡便且つ経済的な処理手段で実施することによって、トリエチルアミン等の揮発性塩基窒素類及びヒスタミン等の有害・毒性物質を効果的に除去することが出来る。更に、当該処理が短時間で行われる為に、それら有害・毒性物質の新たな生成が防止・抑制される。
本発明方法で製造された冷凍食品である魚肉には、従来技術で冷凍変性の抑制のために使用されていたような添加物は含まれない。例えば、従来技術と較べて、冷凍食品中のナトリウム含有量が相対的に低い(例えば、90mg/100g魚肉重量以下)為に健康上、好ましい。
更に、本発明方法によって、短時間の脱水(液切)工程にもかかわらず、魚肉の表面及び/又は内部から水分及び水溶性タンパク質等が迅速かつ十分に(効率的に)吸着除去されるので、冷凍保存の間、魚肉の鮮度は維持され、冷凍のままで袋加熱調理してもカードの発生を抑制することが出来、旨味増強効果が得られるので、干物のような旨味を有する(加工)冷凍食品が得られる。
[冷凍食品の条件]
一般社団法人 日本冷凍食品協会によれば、「冷凍食品」の製造及び保存では、以下の4つの自主基準(工程)を満たす必要がある。
1.前処理:前処理をし、可食部のみにすること;
2.凍結:急速凍結し、品質を保つこと;
3.包装:適切に包装し、品質劣化を防ぐこと;及び
4.保存・流通:マイナス18℃以下で保存、流通すること。
[冷凍食品を製造する一般的な方法]
冷凍食品を製造する一般的な方法には、主に以下の工程が含まれる。
1.前処理
「前処理」とは、食べられない部分を除く、調理の第一段階であり、例えば、魚ならばウロコをはがし、頭、内臓、ヒレを取って三枚にするなど、食べられない部分は除くなど、加熱調理前に通常行うような下処理に相当する。
前処理には、一般的に、例えば、原料解凍工程、「三枚おろし」及び「骨とり」等の加工(調理)工程、X線等による残骨検査工程、水洗い(浸漬)工程、脱水(液切)工程、及びUV照射工程(殺菌・旨味増幅等)等が含まれている。
2.凍結
食品の品質を保つには、素材に合った速さで凍らせる(急速凍結)ことが必要である。一般的には、食品が最大氷結晶生成温度帯(−5〜−1℃)を30分以内に通過する速さで急速凍結し、−18℃以下まで冷却することを「急速凍結(急速冷凍)」と呼ぶ。その結果、食材の中にできる氷の粒が小さくなり、細胞や組織の空間を氷の粒が広げたり、傷つけてしまったりすることがないので、食材に対する影響を最小限に抑えることが出来る。
急速凍結には大きく分けて以下の4つの方式があり、複数の方式を組み合わせる場合もある。それぞれの方式には一長一短があり、その凍結方法に適した食品も異なるため、対象食品に最適な急速凍結方式が選択される。
(1)空気式凍結(エアブラスト方式)
冷風を食品に当てて凍らせる方法で、バッチ式あるいは連続式がある。
(2)液体式凍結(ブライン方式)
低温の液体に食品を漬ける方法で、低温の液体をブラインといい、食塩水やアルコールなどが使用される。
(3)接触式凍結(コンタクト方式)
低温の冷凍板に接触させて凍結する方法で、例えば、効率を上げるために挟んで圧力をかける。
(4)液化ガス凍結方式
液体窒素や液化炭酸ガスを吹き付ける方式である。
3.包装
冷凍食品は食品に合うよう適切に包装し、保存、流通の過程での乾燥による品質変化を防ぎ、衛生状態を保つ。更に、包装には、品名や規格、原材料は何か、調理方法等の商品の情報を伝える「表示」をする。尚、凍結された魚肉の場合には、包装の前に、魚肉等を適当な大きさに切り分ける「切身工程」が含まれる場合が多い。更に、例えば、ゼオライと等の吸着剤を包装中に封入することによって、保存中に発生する揮発性塩基窒素等を吸着させることによって、凍結された魚肉から発生した臭みを除去することが出来る。
4.保存・流通
通常、−18℃以下で保管、流通させる。通常、微生物は−15℃以下では増殖しないので、食品衛生法の基準では冷凍食品の保存温度は、「−15℃以下」とされている。従って、通常、−15℃以下では腐敗はしないが、風味や味わいなどに変化が起こることがあるので、業界自主基準はそれより3℃低い-18℃以下とされている。
[本発明による製造方法]
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明は、魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法であって、該方法に含まれる前処理に於いて、多孔質固体吸着剤を用いて脱水(液切)工程を実施することを特徴とする、前記製造方法、及び、該方法で製造される魚肉の(加工)冷凍食品等に係る。本発明はまた、魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法に於いて、水及び水溶性タンパク質等を効率的に除去し、更に、トリエチルアミン等の揮発性塩基窒素類及びヒスタミン等の有害・毒性物質等を効果的に除去、及び/又は、それらの生成を防止・抑制する方法等に係る。
本発明に於いて、「魚肉」とは、一般に魚介類に由来する肉を意味する。その種類・形態・形状・大きさ等に特に制限はない。「前処理」とは、上記のように、魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法に於いて、凍結(冷凍)工程前に行われる一連の処理工程を意味する。本発明は、かかる前処理に於いて、多孔質固体吸着剤を用いて脱水(液切)工程を実施することを特徴とする。
上記の脱水(液切)工程で使用される「多孔質固体吸着剤」に含まれる有効成分としては、当業者に公知の任意の物質、例えば、珪藻土(「ダイアトマイト」とも呼ばれる珪藻の空の化石からなる堆積物であって二酸化ケイ素が主成分)、ゼオライト(沸石(zeolite)を主要構成物とする珪酸塩鉱物であり、アルミノケイ酸塩の一種)等の当業者に公知の任意の天然物質、これらの人工合成品、及び、他の成分を含み、高温・高圧下での焼成及び養生等の各種工程を経て得られる加工品、並びに、シリカ、アルミナ等の各種金属酸化物等の無機系物質の他に合成樹脂などの有機系物質を挙げることが出来る。これらは、いずれも固体の内部に微小細孔(数μm〜数オングストローム)を多数含み、大きな表面積(数百〜数千m/g)を有することを特徴とする。
多孔質固体吸着剤の形態・形状・粒径に特に制限はなく、当業者に公知の適当な方法・手段によって、例えば、ペレット状、丸粒状、破砕状、パウダー状、及び、板状(ボード状)等に当業者に公知の任意の形態に成形加工することが出来る。尚、多孔質固体吸着剤には数種類の有効成分が含まれていても良い。
本発明に於いては、珪藻土等の無機系物質を有効成分として含む多孔質固体吸着剤が好ましいい。珪藻土は、例えば、風呂上がりの足裏の水分を吸収するための一般的に「珪藻土マット(バスマット)」と呼ばれている足拭きマット(特開2010−184108号公報及び特開2006−34797号公報を参照)の素材として使用されている。
本発明の脱水(液切)工程に於いて、魚肉と多孔質固体吸着剤とを直接又は間接的に接触させることによって、魚肉の表面及び/又は内部から水分、水溶性タンパク質、並びに、トリエチルアミン等の揮発性塩基窒素類及びヒスタミン等の有害・毒性物質等を迅速かつ十分に吸着除去することが出来る。該工程に於いて、魚肉と多孔質固体吸着剤とを接触させる具体的な方法・手段に特に制限・制約はなく、当業者に公知の任意の適当な方法・手段で実施することが出来る。衛生上の観点からは、例えば、布又は不織布等の当業者に公知の適当な透水性物質を介して、魚肉と多孔質固体吸着剤を間接的に接触させることが好ましい。このために、例えば、板状の多孔質固体吸着剤の上に布又は不織布等を敷き、その上に魚肉を載置して脱水(液切)を実施することが出来る。又は、例えば、ペレット状、丸粒状及び破砕状の多孔質固体吸着剤を含む布又は不織布等から成る袋を作製し、それらを適当に敷き詰めた上に、魚肉を載置する等によって脱水(液切)を効率的に実施することが出来る。
脱水(液切)工程の条件は、魚肉及び多孔質固体吸着剤の種類、魚肉の加工形態・形状、前処理の種類等の諸条件に応じて当業者が適宜設定することが出来る。一般的には、低温(例えば、0℃〜10℃)に於いて、短時間(例えば、1〜25分間、5〜15分間、又は2〜5分間)で実施することが好ましい。
かかる脱水(液切)工程によって、魚肉の脱水率を3%〜10%、好ましくは、3%〜20%とすることが出来る。ここで、「脱水率」とは、脱水(液切)工程前の魚肉の重量に対する、該処理によって減少した量の割合(%)をいう。更に、溶解した水溶性タンパク質等も迅速かつ十分に吸着除去することが出来る。
本発明の製造方法の一態様として、
1.前処理;
2.凍結;及び
3.包装、の工程を含む方法を挙げることが出来る。
前処理工程は、上記の脱水(液切)工程に加えて、更に、原料解凍工程、「三枚おろし」及び「骨とり」等の加工工程、X線等による残骨検査工程、水洗い(浸漬)工程、及びUV照射工程(殺菌及び旨味増幅等)から成る群から選択される、一つ又はそれ以上の工程を適宜含むことが出来る。水洗い(浸漬)工程は、主に魚肉についた汚れ等を除去するために実施される工程であり、その後に実施される脱水(液切)工程によって、水洗い(浸漬)工程等で魚肉に吸収・吸着した水分・水気を除去する。
本明細書に特に記載のない限り、前処理に含まれる脱水(液切)工程以外の各工程は、既に記載したような当該技術分野で公知の任意の方法・手段・条件等に準じて当業者が適宜、設定することが出来る。更に、本発明の製造方法に於いて、以上の工程以外の工程も任意の段階に含むことが出来る。
尚、本発明の製造方法の前処理に於いては、特に水洗い(浸漬)工程をする必要はない。水洗い(浸漬)工程を実施する場合には、単に魚肉の汚れを除去するために、短時間(例えば、数秒〜数十秒程度)水洗いするか、又は、例えば、10℃〜20℃に於いて、短時間(例えば、10秒〜1分程度、好ましくは10秒〜30秒程度)、加工した魚肉を水槽中に浸漬する等によって実施しても良い。浸漬する場合には、ゼオライト等の多孔質固体吸着剤(例えば、水重量に対して1%未満の微量)を水槽の底に入れておいてもよい。
即ち、本発明の製造方法に於いて水洗い(浸漬)工程を実施する場合であっても、従来技術で見られるような、比較的長時間(30分〜数時間)の浸漬は不必要である。更に、特許文献8に開示された製造方法に於いて使用されるような、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム及びクエン酸三ナトリウム等のアルカリ水溶液を使用する必要はなく、通常の水(pH:中性)が用いられる。
本発明の製造方法の一具体例を以下の表1に示す。
Figure 2020000061
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
表1に示す方法で、魚肉の(加工)冷凍食品を製造した。その際に、「液切工程」の条件として、室温:10℃、時間:5分(実施例1)、及び、室温:10℃、時間:15分(実施例2)とした結果、脱水(液切)工程による脱水率は、夫々、3%及び10%であった。尚、原料の冷凍魚肉として黄金かれいを使用した。
比較例1:
特許文献8に記載の方法に準じて、「水洗い(浸漬)工程」としてpH8.6以上11.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で120分間の浸漬を実施し、「液切工程」として、メッシュ状の容器等に魚肉を載置し、魚肉に付着した浸漬液を室温:10℃、一定時間(2分〜30分)かけて脱水(液切)工程を実施した点以外は、実施例と同じ工程により、魚肉の(加工)冷凍食品を製造した。
比較例2:
「脱水(液切)工程」に於いて、実施例1及び2で使用した珪藻土マットに代えて、特許文献6及び特許文献7に開示されているような脱水用具(シート)上で、室温:10℃、時間:12時間を使用して脱水した点以外は実施例と同じ工程により、魚肉の(加工)冷凍食品を製造した。尚、液切工程による脱水率は、10〜15%であった。
更に、コントロールとして、表1に示す方法に於ける脱水(液切)工程を省いて魚肉の(加工)冷凍食品を製造した。
次いで、実施例1及び2、比較例、並びにコントロールで製造した(加工)冷凍食品を、温度:−18℃で2ヶ月間冷凍保存し、温度:10℃で解凍した後、検体として各種分析に供した。その結果を以下の表2に示す。尚、下記分析は、一般財団法人「日本食品分析センター」(東京都渋谷区元代々木町52番1号)に依頼して実施した。
Figure 2020000061
(注1)窒素・タンパク質換算係数:6.25
(注2)計算式:ナトリウムx2.54
尚、表2における各試験項目における値は、いずれも検体100g当たりの数値である。又、検体は、いずれも骨を除去してから試験した。
この結果から、本発明の製造方法で製造された(加工)冷凍食品は、トリメチルアミン等の揮発性塩基窒素の量が比較例1及び比較例2と較べて有意に少ないことが判る。更に、ナトリウム含量も比較例1と較べて非常に少ないことが判る。更に、実施例に於いて、脱水(液切)工程が短時間で実施される為に、コントロールと較べても、揮発性塩基窒素量が増えていない。尚、本発明方法で製造されたもの(実施例)とコントロールとを比較した場合に、ナトリウム含量に関してはコントロールの方が少ないが、これは、実施例では、脱水(液切)工程によって水分量が減少し、その結果、相対的にナトリウム等の他の成分含有比率が上がったこと(旨味増強効果)等の理由が考えられる。
本発明の製造方法によって、鮮魚に比べてトリメチルアミン等の臭みが軽減された(加工)冷凍食品を簡便且つ経済的に提供することが可能となり、今後、魚肉の(加工)冷凍食品の販売・利用がより一層促進されるものと期待される。

Claims (7)

  1. 魚肉の(加工)冷凍食品の製造方法であって、該方法に含まれる前処理に於いて、多孔質固体吸着剤を用いて脱水(液切)工程を実施することを特徴とする、前記製造方法。
  2. 多孔質固体吸着剤が珪藻土及び/又はゼオライトを有効成分として含有することを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
  3. 脱水(液切)工程に於いて、魚肉と多孔質固体吸着剤とを直接又は間接的に接触させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 脱水(液切)工程を0℃〜10℃に於いて1〜25分間で実施することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つ記載の製造方法。
  5. 脱水(液切)工程による脱水率が3%〜10%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つ記載の製造方法。
  6. 以下の工程を含む、請求項1〜5のいずれか一つ記載の製造方法:
    1.前処理;
    2.凍結;及び
    3.包装。
  7. 前処理工程が、更に、原料解凍工程、加工工程、X線による残骨検査工程、水洗い(浸漬)工程、及び、UV照射工程から成る群から選択される、一つ又はそれ以上の工程を含むことを特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
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