発明の詳細な説明
定義
本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈が暗に示さない限り、本明細書中で使用される用語は、下記に定義される意味を有する。例えば、それらの定義および本明細書全体に相互排他的なエレメントまたは選択肢を含めることによって、別段矛盾(contraindicated)しないかまたは暗に示されない限り、用語「a」および「an」は、1つまたはそれを超えるものを意味し、用語「または」は、文脈が許す場合、「および/または」を意味する。したがって、本明細書および添付の請求項において使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
本開示の中、例えば、任意の本開示の実施形態または請求項の中の様々な箇所において、1つまたはそれを超える特定の構成要素、エレメントまたは工程を「含む」、化合物、組成物または方法が言及される。本発明の実施形態は、それらの特定の構成要素、エレメントまたは工程であるか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる、化合物、合成物、組成物または方法も明確に含む。用語「〜を含む(comprised of)」は、用語「〜を含む(comprising)」と交換可能に使用され、等価な用語として述べられる。例えば、構成要素または工程「を含む」本開示の組成物、デバイス、製造品または方法は、オープンであり、それらは、それらの組成物または方法に加えてさらなる構成要素または工程を含むか、またはそのように読める。しかしながら、それらの用語は、意図した目的のための本開示の組成物、デバイス、製造品または方法の機能を消失させ得る列挙されていないエレメントを包含しない。同様に、構成要素または工程「からなる」本開示の組成物、デバイス、製造品または方法は、限定的(closed)であり、それらは、かなりの量のさらなる構成要素またはさらなる工程を有するそれらの組成物または方法を含まないか、またはそのように読める。さらに、用語「含む(including)」ならびに他の形、例えば、「含む(include)」、「含む(includes)」および「含む(included)」の使用は、限定的ではない。最後に、用語「〜から本質的になる」は、本明細書中でさらに定義されるような意図した目的のための本開示の組成物、デバイス、製造品または方法の機能に対して重大な影響を及ぼさない列挙されていないエレメントを含むことを認める。本明細書中において使用される小見出しは、単に構成上の目的であって、記載される主題を限定すると解釈されるべきでない。別段示されない限り、質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA法および薬理学の従来の方法が使用される。
本明細書中で使用されるとき、「約」は、化合物または組成物の特定の特性を説明するために提供される数値または値の範囲に関連して使用されるとき、その値または値の範囲が、当業者にとって妥当であると見なされる程度に逸脱することがあるが、なおもその特定の特性を説明することを示す。妥当な逸脱には、その特定の特性を計測するか、測定するかまたは導く際に使用される機器の正確度または精度の範囲内である逸脱が含まれる。詳細には、用語「約」は、この文脈において使用されるとき、その数値または値の範囲が、列挙される値または値の範囲の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%または0.01%、典型的には、10%〜0.5%、より典型的には、5%〜1%変動し得るが、なおもその特定の特性を説明することを示す。
「〜を本質的に保持する」、「〜を本質的に保持している」および同様の用語は、本明細書中で使用されるとき、検出可能な程度に変化していないか、または関連する構造の化合物または組成物または部分のその同じ活性、特徴または特性の測定結果の実験誤差の範囲内である、化合物または組成物またはその部分の特性、特徴、機能または活性のことを指す。
「〜を実質的に保持する」、「〜を実質的に保持している」および同様の用語は、本明細書中で使用されるとき、関連する構造の別の化合物または組成物または部分のその同じ物理的特性の測定結果と統計的に異なり得る、化合物または組成物またはその部分の物理的特性または物理的特徴の計測値のことを指すが、そのような差は、その活性または特性を評価するための好適な生物学的試験システムにおける生物学的活性または薬理学的特性の統計学的に有意な差または意味のある差につながらない(すなわち、生物学的活性または生物学的特性は、本質的に保持されている)。したがって、句「実質的に保持する」は、物理的特性または物理的特徴と明確に関連する生理化学的特性もしくは薬理学的特性または生物学的活性に対して、化合物または組成物の物理的特性または物理的特徴が及ぼす影響のことを言及している。
「無視できる程度に」または「無視できる」は、本明細書中で使用されるとき、HPLC解析による定量のレベルより低い不純物の量であり、存在する場合は、それが混入している組成物の約0.5%〜約0.1w/w%を表す。文脈に応じて、それらの用語は、統計学的に有意な差が、計測値の間または結果の間に観察されないか、またはそれらの値を得るために使用した計測手段の実験誤差の範囲内であることを代わりに意味し得る。実験的に測定されたパラメータの値の無視できる差は、そのパラメータを特徴とする不純物が、無視できる量で存在することを暗に意味しない。
「〜を主に含む」、「〜を主に有する」および同様の用語は、本明細書中で使用されるとき、混合物の主要な構成要素のことを指す。混合物が、2つの構成要素の混合物であるとき、主要な構成要素は、その混合物の50重量%超を占める。3つまたはそれを超える構成要素の混合物の場合、主な構成要素は、その混合物中に最も多い量で存在する構成要素であり、その混合物の質量の大部分を占めていてもよいし、占めていなくてもよい。
用語「電子吸引基」は、この用語が本明細書中で使用されるとき、官能基または電気陰性原子と結合している原子から誘起的におよび/または共鳴を介してどちらか優勢であるほうで、電子密度を引き寄せる官能基または電気陰性原子のことを指し(すなわち、官能基または原子は、共鳴を介する電子供与性であり得るが、全体的には誘起的電子吸引性であり得る)、陰イオンまたは電子が豊富な部分を安定化させる傾向がある。電子吸引効果は、典型的には、電子吸引基(EWG)によって電子不足にされた、結合した原子に結合される他の原子に、減衰した形ではあるが誘起的に伝わるので、より離れた反応中心の求電子性に影響する。
例示的な電子吸引基としては、−C(=O)、−CN、−NO2、−CX3、−X、−C(=O)OR’、−C(=O)NH2、−C(=O)N(R’)Rop、−C(=O)R’、−C(=O)X、−S(=O)2Rop、−S(=O)2OR’、−SO3H2、−S(=O)2NH2、−S(=O)2N(R’)Rop、−PO3H2、−P(=O)(OR’)(ORop)2、−NO、−NH2、−N(R’)(Rop)、−N(Rop)3 +およびそれらの塩が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、Xは、−F、−Br、−Clまたは−Iであり、Ropは、各存在において独立して、必要に応じての置換基に対して先に記載された群から選択され、いくつかの態様において、独立して、C1−C6アルキルおよびフェニルからなる群より選択され、R’は、水素または他の箇所で必要に応じての置換基に対して記載されているような基から選択されるRopであり、いくつかの態様において、C1−C12アルキルまたはC1−C6アルキルである。例示的なEWGは、置換に応じてアリール基(例えば、フェニル)およびある特定のヘテロアリール基(例えば、ピリジン)も含み得る。したがって、用語「電子吸引基」は、電子吸引基でさらに置換されたアリールまたはヘテロアリールも含む。典型的には、電子吸引基は、−C(=O)、−CN、−NO2、−CX3および−Xであり、ここで、Xは、ハロゲンである。その置換基に応じて、必要に応じて置換されたアルキル部分も、電子吸引基であり得る。いくつかの態様において、電子吸引基は、好適なインビトロ酵素アッセイにおいて計測されたとき、EWGがグルクロニド単位置換基として存在しない対応する薬物リンカー化合物または結合体と比べて、薬物リンカー化合物またはリガンド薬物結合体におけるそのグルクロニド単位のグリコシダーゼの切断速度を高めるその単位の置換基である。
「電子供与基」は、この用語が本明細書中で使用されるとき、官能基または電気陽性の原子と結合している原子の電子密度を、誘起的におよび/または共鳴を介してどちらか優勢であるほうで高める官能基または電気陽性の原子のことを指し(すなわち、官能基または原子は、誘起的に電子吸引性であり得るが、全体的には、共鳴を介した電子供与性であり得る)、陽イオンまたは電子不足の系を安定化させる傾向がある。電子供与効果は、典型的には、電子供与基(EDG)によって電子が豊富にされた結合した原子に結合される他の原子に共鳴を介して伝わるので、より離れた反応中心の求核性に影響する。例示的な電子供与基としては、−OH、−OR’、−NH2、−NHR’およびN(R’)2が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、各R’は、独立して選択されるC1−C12アルキル、典型的には、C1−C6アルキルである。それらの置換基に応じて、アリール、ヘテロアリールまたは不飽和アルキル部分も、電子供与基であり得る。
「部分」は、本明細書中で使用されるとき、ある分子または化合物の特定のセグメント、フラグメントまたは官能基を意味する。化学的部分は、時折、ある分子、化合物または化学式の中に埋め込まれたまたはそれらに付け加えられた化学的実体(すなわち、置換基または可変基)として示される。
所与の範囲の炭素原子によって本明細書中に記載される任意の置換基または置換基部分に対して、その指定の範囲は、任意の個別の数の炭素原子が記載されることを意味する。したがって、例えば、「必要に応じて置換されたC1−C4アルキル」、「必要に応じて置換されたアルケニルC2−C6アルケニル」に対する言及は、本明細書中で定義されるような、必要に応じて置換された、1、2、3または4個の炭素アルキル部分が存在すること、あるいは本明細書中で定義されるような、必要に応じて置換された、2、3、4、5もしくは6個の炭素アルケニルまたは3、4、5、6、7もしくは8個の炭素アルケニル部分が存在することを特に意味する。そのような数字による表示のすべてが、個々の炭素原子基のすべてを開示すると明確に意図されており;ゆえに、「必要に応じて置換されたC1−C4アルキル」は、メチル、エチル、3炭素アルキルおよび4炭素アルキルを含み、これらには、置換または非置換を問わず、それらの位置異性体のすべてが含まれる。したがって、アルキル部分が置換されているとき、数字による表示は、非置換の基本部分を指すのであって、その基本部分の置換基に存在し得る炭素原子を含むと意図されていない。所与の範囲の炭素原子によって特定される、本明細書中で定義されるようなエステル、カーボネート、カルバメートおよび尿素の場合、指定される範囲は、それぞれの官能基のカルボニル炭素を含む。したがって、C1エステルは、ギ酸エステルのことを指し、C2エステルは、酢酸エステルのことを指す。
本明細書中に記載される他の任意の他の部分に対する、本明細書中に記載される有機置換基、有機部分および有機基は、通常、不安定な部分が、本明細書中に記載される1つまたはそれを超える用途のために十分な化学的安定性を有する化合物を生成するために使用できる一過性の種である場合を除いて、そのような不安定な部分を排除する。五価の炭素を有する置換基、部分または基をもたらす本明細書中に提供される定義の運用による置換基、部分または基は、特に排除される。
「アルキル」は、単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、メチルまたは連続した炭素原子(そのうちの1つは、一価である)の一群のことを指し、それらの炭素原子のうちの1つまたはそれを超える炭素原子は、飽和であり(すなわち、1つまたはそれを超えるsp3炭素を含み)、直鎖状、第二級、第三級または環式の配置で、すなわち、直鎖、分枝鎖、環式の配置またはそれらのいくつかの組み合わせで、共に共有結合される。それらの連続した飽和炭素原子が、環式の配置であるとき、そのようなアルキル部分は、本明細書中で定義されるようなカルボシクリルと称される。
アルキル置換基としてのアルキル部分またはアルキル基について言及するとき、それと会合するマーカッシュ構造または別の有機部分に対するアルキル置換基は、メチルであるか、またはそのアルキル置換基のsp3炭素を介してその構造もしくは部分に共有結合されている連続した炭素原子の鎖である。ゆえに、アルキル置換基は、本明細書中で使用されるとき、少なくとも1つの飽和部分を含み、1つまたはそれを超える不飽和部分または不飽和基も含み得る。したがって、アルキル置換基はさらに、不飽和アルキル置換基を定義する1つ、2つ、3つまたはそれを超える独立して選択された二重結合および/または三重結合を含み得、本明細書中に記載されるような必要に応じての置換基を含む他の部分によって置換され得る(すなわち、必要に応じて置換され得る)。飽和非置換アルキル置換基は、飽和炭素原子(すなわち、sp3炭素)を含み、sp2またはsp炭素原子を含まない。
別段示されないかまたは文脈によって暗に示されない限り、用語「アルキル」は、飽和の非環式炭化水素ラジカルを示し、ここで、その炭化水素ラジカルは、表示されている数の共有結合した飽和炭素原子を有する(例えば、「C1−C6アルキル」または「C1−C6アルキル」は、1つの飽和炭素原子(すなわちメチルである)または2、3、4個、5個もしくは6個の連続した非環式飽和炭素原子を含むアルキル部分またはアルキル基を意味し、「C1−C8アルキル」とは、1つの飽和炭素原子または2、3、4、5、6個、7個もしくは8個の連続した飽和非環式炭素原子を有するアルキル部分またはアルキル基のことを指す。アルキル部分またはアルキル基における飽和炭素原子の数は、変動してもよく、典型的には、1〜50、1〜30または1〜20であり、より典型的には、1〜8または1〜6である。典型的には、アルキルとは、飽和C1−C8アルキル部分のことを指し得るか、またはより典型的には、C1−C6またはC1−C4アルキル部分であり、後者は時折、低級アルキルと称される。炭素原子の数が示されていないとき、そのアルキル部分またはアルキル基は、1〜8個の炭素原子を有する。
アルキル置換基、アルキル部分またはアルキル基が、明示されるとき、その種類には、親アルカン(すなわち一価である)から水素原子を除去することによって得られるものが含まれ、それらとしては、メチル、エチル、1−プロピル(n−プロピル)、2−プロピル(イソ−プロピル、−CH(CH3)2)、1−ブチル(n−ブチル)、2−メチル−1−プロピル(イソ−ブチル、−CH2CH(CH3)2)、2−ブチル(sec−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3)、2−メチル−2−プロピル(t−ブチル、−C(CH3)3)、アミル、イソアミル、sec−アミル、ならびに他の直鎖および分枝鎖アルキル部分が挙げられるが、これらに限定されない。
「アルキレン」は、単独でまたは(of)別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、置換または非置換の、飽和の分枝鎖、環式または直鎖の炭化水素ジラジカルのことを指し、ここで、述べられている数の炭素原子、典型的には、1〜10個の炭素原子のうちの、および親アルカンの同じまたは2つの異なる飽和(すなわち、sp3)炭素原子から2つの水素原子を除去することによって得られる2つのラジカル中心を有する(すなわち二価である)、1つまたはそれを超えるそれらの炭素原子は、不飽和である(すなわち、1つまたはそれを超えるsp3炭素を含む)。アルキレン部分はさらに、その飽和炭素のうちの別のものまたはアルキルラジカルのラジカル炭素から水素原子が除去されてジラジカルを形成する本明細書中に記載されるようなアルキルラジカルを含む。典型的には、アルキレン部分としては、親アルキル部分の飽和炭素原子から水素原子を除去することによって得られる二価の部分が挙げられるが、これに限定されず、メチレン(−CH2−)、1,2−エチレン(−CH2CH2−)、1,3−プロピレン(−CH2CH2CH2−)、1,4−ブチレン(−CH2CH2CH2CH2−)および同様のジラジカルによって例証されるが、これらに限定されない。典型的には、アルキレンは、sp3炭素だけを含む分枝鎖または直鎖炭化水素である(すなわち、ラジカル炭素原子にもかかわらず完全に飽和している)。
「カルボシクリル」は、単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、単環式、二環式または三環式環系のラジカルのことを指し、ここで、その環系を形成している原子(すなわち、骨格原子)の各々は、炭素原子であり、その環式環系の各環における1つまたはそれを超えるこれらの炭素原子は、飽和である(すなわち、1つまたはそれを超えるsp3炭素を含む)。したがって、カルボシクリルは、飽和炭素の環式配置であるが、不飽和炭素原子も含んでよいので、その炭素環は、飽和または部分不飽和であり得るか、または芳香族部分と縮合され得、シクロアルキルおよび芳香族環に対する縮合点は、そのカルボシクリル部分の隣接する不飽和炭素および芳香族部分の隣接する芳香族の炭素に存在する。
別段特定されない限り、カルボシクリルは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アルキルアリールなどに対して記載される部分で置換され得る(すなわち必要に応じて置換され得る)か、または別のシクロアルキル部分で置換され得る。シクロアルキル部分、シクロアルキル基またはシクロアルキル置換基としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル(adamantly)、および環式環系の中に炭素原子だけを有する他の環式部分が挙げられるが、これらに限定されない。
カルボシクリルが、マーカッシュ基(すなわち、置換基)として使用されるとき、そのカルボシクリルは、カルボシクリル部分の炭素環系に含まれている炭素原子を介して会合されるマーカッシュ式または別の有機部分に結合されるが、但し、その炭素原子は、芳香族ではない。カルボシクリル置換基を含むアルケン部分の不飽和炭素が、それと会合するマーカッシュ式に結合されるとき、そのカルボシクリルは時折、シクロアルケニル置換基と称される。カルボシクリル置換基における炭素原子の数は、その炭素環系の骨格原子の総数によって定義される。その数は、変動してもよく、別段特定されない限り、典型的には、3〜50、1〜30または1〜20、より典型的には、3〜8または3〜6の範囲であり、例えば、C3−C8カルボシクリルは、3、4、5、6、7または8個の炭素環式炭素原子を含むカルボシクリル置換基、カルボシクリル部分またはカルボシクリル基を意味し、C3−C6カルボシクリルは、3、4、5または6個の炭素環式炭素原子を含むカルボシクリル置換基、カルボシクリル部分またはカルボシクリル基を意味する。カルボシクリルは、親シクロアルカンまたは親シクロアルケンの環原子から1つの水素原子を除去することによって得られることがある。代表的なC3−C8カルボシクリルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニル、シクロオクチルおよびシクロオクタジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。
ゆえに、カルボシクリル置換基、カルボシクリル部分またはカルボシクリル基は、典型的には、その炭素環系の中に3、4、5、6、7、8個の炭素原子を有し、環外二重結合もしくは環内二重結合または環内三重結合あるいはその両方の組み合わせを含み得、その環内二重結合もしくは環内三重結合またはその両方の組み合わせは、4n+2個の電子の環式共役系を形成しない。二環式環系は、1個(すなわち、スピロ環系)または2個の炭素原子を共有することがあり、三環式環系は、合計2個、3個または4個の炭素原子、典型的には、2個または3個を共有することがある。
「カルボシクロ」は、単独でまたは別の用語の一部として、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、上で定義されたようなカルボシクリルのことを指し、ここで、そのシクロアルキル環の別の水素原子が、除去されており(すなわち、二価であり)、典型的には、C3−C10炭素環またはC3−C8カルボシクロである。
「アルケニル」は、この用語が単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、1つまたはそれを超える二重結合官能基(例えば、−CH=CH−部分)あるいは1、2、3、4、5もしくは6個またはそれを超える、典型的には、1、2または3個のそのような官能基を含み、かつアルケニル置換基、アルケニル部分またアルケニル基がビニル部分(例えば、−CH=CH2部分)でない限り、アリール部分もしくはアリール基(例えば、フェニル)または連結した直鎖状、第二級、第三級または環式の炭素原子、すなわち、直鎖、分枝鎖、環式またはそれらの任意の組み合わせで置換され得る(すなわち、必要に応じて置換され得る)、有機部分、有機置換基または有機基のことを指す。複数の二重結合を有するアルケニル部分、アルケニル基またはアルケニル置換基は、連続して配置された二重結合(すなわち、1,3ブタジエニル部分)または1つもしくはそれを超える介在性の飽和炭素原子によって連続せずに配置された二重結合あるいはそれらの組み合わせを有し得るが、但し、二重結合の環式の連続した配置は、4n+2個の電子の環式共役系を形成しない(すなわち、芳香族ではない)。
アルケニル部分、アルケニル基またはアルケニル置換基が、明示されるとき、その種類としては、1つまたはそれを超えるエンド二重結合および親アルケン化合物のsp2炭素から水素原子を除去することによって得られる一価の部分を有する本明細書中に記載される必要に応じて置換された任意のアルキルまたはカルボシクリルの基、部分または置換基が例として挙げられるが、これらに限定されない。そのような一価の部分としては、典型的には、ビニル(−CH=CH2)、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ならびに少なくとも1つの二重結合官能基を含む他の直鎖、環式および分枝鎖のあらゆる炭素含有部分が挙げられるが、これらに限定されない。アルケニルが、マーカッシュ基として使用される(すなわち、置換基である)とき、そのアルケニルは、そのアルケン官能基の二重結合した炭素(すなわち、sp2炭素)を介して会合されるマーカッシュ式または別の有機部分に結合される。アルケニル置換基における炭素原子の数は、それをアルケニル置換基として定義するアルケン官能基のsp2炭素原子の数、およびアルケニル部分が可変基であるより大きな部分またはマーカッシュ構造のいかなる炭素原子も含まないこれらのsp2炭素の各々に付け加えられた連続した非芳香族炭素原子の総数によって定義される。その数は、二重結合官能基がマーカッシュ構造に二重結合されるとき(例えば、=CH2)、変動してもよく、別段特定されない限り、1〜50、例えば、典型的には、1〜30または1〜20、より典型的には、1〜8または1〜6の範囲であるか、または二重結合官能基が、マーカッシュ構造に単結合されるとき(例えば、−CH=CH2)、変動してもよく、別段特定されない限り、2〜50、典型的には、2〜30または2〜20、より典型的には、2〜8または2〜6の範囲である。例えば、C2−C8アルケニルまたはC2−C8アルケニルは、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子(このうち少なくとも2つが、互いに共役しているsp2炭素である)を含むアルケニル部分を意味し、C2−C6アルケニルまたはC2−C6アルケニルは、2、3、4、5または6個の炭素原子(このうち少なくとも2つが、互いに共役しているsp2炭素である)を含むアルケニル部分を意味する。典型的には、アルケニル置換基は、互いに共役している2つのsp2炭素を有するC2−C6またはC2−C4アルケニル部分である。
「アルケニレン」は、単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、述べられている数の炭素原子、典型的には、2〜10個の炭素原子の、アルケニルに対して先に記載されたような、1つまたはそれを超える二重結合部分を含み、親アルケンにおけるアルケン官能基の同じまたは2つの異なるsp2炭素原子から2つの水素原子を除去することによって得られる2つのラジカル中心を有する、有機部分、有機置換基または有機基のことを指す。アルケニレン部分には、アルケニルラジカルの二重結合官能基の同じもしくは異なるsp2炭素原子または異なる二重結合部分のsp2炭素から水素原子が除去されて、ジラジカルを提供する、本明細書中に記載されるようなアルケニルラジカルも含まれる。典型的には、アルケニレン部分は、−C=C−または−C=C−X1−C=C−との構造(ここで、X1は、存在しないか、または本明細書中で定義されるようなアルキレンである)を含むジラジカルを含む。アルケニレン部分における炭素原子の数は、それをアルケニレン部分として定義するアルケン官能基のsp2炭素原子の数、およびアルケニル部分が可変基として存在するより大きな部分またはマーカッシュ構造のいかなる炭素原子も含まないそのsp2炭素の各々に付け加えられた連続した非芳香族炭素原子の総数によって定義される。その数は、変動してもよく、別段特定されない限り、2〜50、典型的には、2〜30または2〜20、より典型的には、2〜8または2〜6の範囲である。例えば、C2−C8アルケニレンまたはC2−C8アルケニレンは、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子(このうち少なくとも2つが、互いに共役しているsp2炭素である)を含むアルケニレン部分を意味し、C2−C6アルケニルまたはC2−C6アルケニレンは、2、3、4、5または6個の炭素原子(このうち少なくとも2つが、互いに共役しているsp2炭素である)を含むアルケニル部分を意味する。典型的には、アルケニレン置換基は、互いに共役している2つのsp2炭素を有するC2−C6またはC2−C4アルケニレンである。
「アリール」は、この用語が単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、環ヘテロ原子を有しない、1、2、3または4〜6つの芳香族環、典型的には1〜3つの芳香族環を含む、芳香族環系または縮合環系によって定義される有機部分、有機置換基または有機基のことを指し、ここで、それらの環は、4n+2個の電子(ヒュッケル則)、典型的には6、10または14個の電子(そのうちのいくつかが、ヘテロ原子との環外共役にさらに関与してもよい(交差共役、例えば、キノン))の環共役系に関与している炭素原子のみから構成される。アリール置換基、アリール部分またはアリール基は、典型的には、6、8、10個またはそれを超える芳香族炭素原子によって形成される。アリール置換基、アリール部分またはアリール基は、必要に応じて置換されている。例示的なアリールとしては、C6−C10アリール(例えば、フェニルおよびナフタレニルおよびフェナントリル)が挙げられる。中性アリール部分の芳香族性は、偶数の(or)電子を必要とするので、その部分に対する所与の範囲は、奇数の芳香族炭素を有する種を包含しないことが理解されるだろう。アリールが、マーカッシュ基(すなわち、置換基)として使用されるとき、そのアリールは、アリール基の芳香族炭素を介してそれと会合するマーカッシュ式または別の有機部分に結合される。
「アリーレン」または「ヘテロアリーレン」は、単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、オルト、メタ、またはパラ配置またはanであり得る2つの共有結合をより大きな部分内に形成する(すなわち、二価である)芳香族ジラジカル部分である。アリーレンおよびヘテロアリーレンには、本明細書中で定義されるような親アリール部分または親アリール基から水素原子を除去することによる二価の種が含まれる。ヘテロアリーレンにはさらに、親アリーレンの1つまたはそれを超えるがすべてではない芳香族炭素原子をヘテロ原子が置き換えているものが含まれる。例示的なアリーレンとしては、以下の構造:
に示されているような、フェニル−1,2−エン、フェニル−1,3−エンおよびフェニル−1,4−エンが挙げられるが、これらに限定されない。
「アリールアルキル」または「ヘテロアリールアルキル」は、この用語が単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、アルキル部分に結合されたアリールまたはヘテロアリール部分、すなわち(アリール)−アルキル−のことを指し、ここで、アルキルおよびアリール基は、上に記載されたとおりであり、例えば、限定ではないが、C6H5−CH2−、C6H5−CH(CH3)CH2−またはC6H5−CH2−CH(CH2CH2CH3)−である。(ヘテロ)アリールアルキルが、マーカッシュ基(すなわち、置換基)として使用されるとき、その(ヘテロ)アリールアルキルのアルキル部分が、そのアルキル部分のsp3炭素を介してそれと会合するマーカッシュ式に結合される。
「アルキルアリール」または「アルキルヘテロアリール」は、この用語が単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、アリールまたはヘテロアリール部分に結合されたアルキル部分、すなわち−(ヘテロ)アリール−アルキルのことを指し、ここで、(ヘテロ)アリールおよびアルキル基は、上に記載されたとおりであり、例えば、限定ではないが、−C6H4−CH3または−C6H4−CH2CH(CH3)である。アルキル(ヘテロ)アリールが、マーカッシュ基(すなわち、置換基)として使用されるとき、そのアルキル(ヘテロ)アリールの(ヘテロ)アリール部分が、そのアリールまたはヘテロアリール部分のsp2炭素を介してそれと会合するマーカッシュ式に結合される。
「ヘテロシクリル」は、この用語が単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、炭素環系内で水素原子と結合している1つまたはそれを超えるがすべてではない骨格炭素原子が、許容される場合に必要に応じて置換される、独立して選択されたヘテロ原子(N/NH、O、S、Se、B、SiおよびPを含むがこれらに限定されない)によって置き換えられているカルボシクリルのことを指し、ここで、2つまたはそれを超えるヘテロ原子が、互いに隣接していてもよいし、同じ環系内の1つまたはそれを超える炭素原子、典型的には、1〜3個の原子によって分断されていてもよい。それらのヘテロ原子としては、典型的には、N/NH、OおよびSが挙げられる。ヘテロシクリルは、典型的には、その複素環式環系に合計1〜10個のヘテロ原子を含むが、但し、その複素環式環系におけるいずれか1つの環のすべてではない骨格原子がヘテロ原子であり、ここで、その環における、許容される場合に必要に応じて置換される各ヘテロ原子は、独立して、N/NH、OおよびSからなる群より選択されるが、但し、いずれか1つの環は、隣接する2つのOまたはS原子を含まない。下記で定義される例示的なヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、複素環と集合的に称され、Paquette,Leo A.;“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A.Benjamin,New York,1968)、特にChapter 1、3、4、6、7および9;“The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs”(John Wiley & Sons,New York、1950年から現在まで)、特に、Volume 13、14、16、19および28;ならびにJ.Am.Chem.Soc.1960,82:5545−5473、特に5566−5573)に提供されている。
ヘテロシクリルが、マーカッシュ基(すなわち、置換基)として使用されるとき、そのヘテロシクリルの飽和または部分不飽和の複素環系が、その複素環の炭素またはヘテロ原子を介してそれと会合するマーカッシュ式またはより大きな部分に結合され、ここで、そのような結合は、その炭素またはヘテロ原子の不安定なまたは許されない形式的な酸化状態をもたらさない。その文脈におけるヘテロシクリルは、それをヘテロシクリルとして定義している複素環式環系が、非芳香族であるが、炭素環式環、アリールまたはヘテロアリール環と縮合してもよく、フェニル(すなわち、ベンゾ)縮合ヘテロシクロアルキル部分を含む、一価の部分である。
典型的には、ヘテロシクリルは、そのシクロアルキル環の1、2または3個の炭素が、結合されている水素とともに、必要に応じて置換されたN/NH、OおよびSからなる群より選択されるヘテロ原子で置き換えられているカルボシクリルであり、C3−C24ヘテロシクロアルキル、より典型的には、C3−C12またはC5−C12ヘテロシクロアルキル(ここで、下付き文字は、ヘテロシクリルの複素環式環系の骨格原子(その炭素原子およびヘテロ原子を含む)の総数を示している)である。非限定的なヘテロシクリルは、0〜2個のN原子、0〜2個のO原子または0〜1個のS原子またはそれらのいくつかの組み合わせを含み得るが、但し、前記ヘテロ原子のうちの少なくとも1つは、ピロリジン−2−オンにおけるように1つまたは2つのオキソ(=O)部分を有する1つの炭素原子において、または酸化した部分(例えば、−N(=O)、−S(=O)−または−S(=O)2−であるがこれらに限定されない)を含むようにヘテロ原子において、置換され得る環式環系内に存在する。より典型的には、ヘテロシクロアルキルとしては、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルおよびピペラジニルが挙げられる。
「ヘテロアリール」は、この用語が単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、そのアリールの芳香族環の1つまたはそれを超えるがすべてではない芳香族の炭素が、ヘテロ原子によって置き換えられている、本明細書中で定義されるようなアリール部分、アリール基またはアリール置換基のことを指す。ヘテロアリールは、典型的には、そのヘテロアリール環系の環に合計1〜4個のヘテロ原子を含むが、但し、そのヘテロアリールにおけるいずれか1つの環系のすべてではない骨格原子が、許容される場合に必要に応じて置換されるヘテロ原子であり、0〜3個のN原子、1〜3個のN原子または0〜3個のN原子、典型的には、0〜1個のO原子および/または0〜1個のS原子を有するが、但し、少なくとも1つのヘテロ原子が存在する。ヘテロアリールは、単環式、二環式または多環式であり得る。単環式ヘテロアリールとしては、C5−C24ヘテロアリール、典型的には、C5−C12またはC5−C6ヘテロアリールが挙げられ、ここで、下付き文字は、そのヘテロアリールの芳香族環系の骨格原子(その炭素原子およびヘテロ原子を含む)の総数を示している。いくつかの態様において、ヘテロアリールは、親アリール部分の芳香族環の炭素原子のうちの1つの1、2または3個およびそれらに結合している水素原子が、許容される場合に必要に応じて置換される、ヘテロ原子(N/NH、OおよびSを含む)によって置き換えられているアリール部分であるが、但し、そのアリール部分におけるいずれか1つの芳香族環系のすべてではない骨格原子が、ヘテロ原子によって置き換えられており、より典型的には、酸素(−O−)、硫黄(−S−)窒素(=N−)または−NR−(ここで、Rは、−H、保護基もしくはC1−C20アルキル、C6−C24アリールであるか、または環式共役系を保持する様式で別の有機部分で置換された窒素である)によって置き換えられており、ここで、その窒素、硫黄または酸素ヘテロ原子は、環系内の隣接する原子とのπ結合またはヘテロ原子上の孤立電子対のいずれかを介して共役系に関与している。他の態様において、ヘテロアリールは、本明細書中で定義されるような、芳香族化されたヘテロシクリルである。
典型的には、ヘテロアリールは、いくつかの態様において5員または6員の芳香族複素環系を有する単環式である。5員のヘテロアリールは、その芳香族複素環系内に1〜4個の芳香族炭素原子および必要な数の芳香族ヘテロ原子を含む単環式C5ヘテロアリールである。6員のヘテロアリールは、その芳香族複素環系内に1〜5個の芳香族炭素原子および必要な数の芳香族ヘテロ原子を含む単環式C6ヘテロアリールである。5員であるヘテロアリールは、4、3、2または1個の芳香族ヘテロ原子を有し、6員であるヘテロアリールは、5、4、3、2または1個の芳香族ヘテロ原子を有するヘテロアリールを含む。C5ヘテロアリールは、許容される場合に、親複素環化合物(ピロール、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾールおよびテトラゾールを含む)の、芳香族炭素から水素原子を除去するかまたは芳香族ヘテロ原子から電子を除去することによって得られる一価の部分である。6員であるC6ヘテロアリールは、許容される場合に、親芳香族複素環化合物(ピリジン、ピリダジン、ピリミジンおよびトリアジンを含むがこれらに限定されない)の芳香族炭素から水素原子を除去するかまたは芳香族ヘテロ原子から電子を除去することによって得られる一価の部分によって例証される。
「5員の窒素含有ヘテロアリール」は、この用語が単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、必要に応じて置換された5員の複素環式芳香族系のことを指し、それは、一価であり、芳香族骨格窒素原子を含み、典型的には単環式ヘテロアリールであるか、またはアリール環系もしくは別のヘテロアリール環系と縮合して、典型的には6,5−縮合環系を形成し、ここで、その5員の複素環式芳香族部分は、許容される場合に必要に応じて置換される、1つまたはそれを超える独立して選択される他のヘテロ原子(例えば、N/NH、OまたはS)を含み得る。例示的な5員のヘテロアリールとしては、チアゾール、ピロール、イミダゾール、オキサゾールおよびトリアゾールが挙げられる。
「6員の窒素含有ヘテロアリール」は、この用語が単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、必要に応じて置換された6員の複素環式芳香族系のことを指し、それは、一価であり、芳香族骨格窒素原子を含み、典型的には単環式ヘテロアリールであるか、またはアリール環系もしくは別のヘテロアリール環系と縮合して、典型的には6,5−または6,6−縮合環系を形成し、ここで、その6員の複素環式芳香族部分は、許容される場合に必要に応じて置換される、1つまたはそれを超える独立して選択される他のヘテロ原子(例えば、N/NH、OまたはS)を含み得る。例示的な6員のヘテロアリールとしては、ピリジン、ピリミジンおよびピラジンが挙げられるが、これらに限定されない。
「ヘテロシクロ」は、この用語が単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、上で定義されたようなヘテロシクリル部分、ヘテロシクリル基またはヘテロシクリル置換基のことを指し、ここで、許容される場合には異なる炭素原子から水素原子もしくは電子が、または存在する場合には窒素環原子から電子が除去されて、二価の部分がもたらされる。
「ヘテロアリーレン」は、この用語が単独でまたは別の用語の一部として本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、上で定義されたようなヘテロアリール部分、ヘテロアリール基またはヘテロアリール置換基のことを指し、ここで、許容される場合には異なる芳香族炭素原子から水素原子もしくは電子が、または存在する場合には芳香族窒素環原子から電子が除去されて、二価の部分がもたらされる。「5員の窒素含有ヘテロアリーレン」は、その芳香族複素環系に少なくとも1つの芳香族窒素原子を含み、二価であり、上に記載されたような5員の窒素含有ヘテロアリールと構造的に同様に関連している。同様に、「6員の窒素含有ヘテロアリーレン」も二価であり、上に記載されたような6員の窒素ヘテロアリールと構造的に同様に関連している。
「ヘテロアルキル」は、単独でまたは別の用語と組み合わせて本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、完全に飽和しているかまたは1〜3の不飽和度を含み、1〜20個の炭素原子および1〜10個のヘテロ原子、典型的には、1〜5個のヘテロ原子(O、N、SiおよびS(典型的には、O、NおよびS)からなる群より選択され、許容される場合に必要に応じて置換される)からなる、必要に応じて置換された直鎖または分枝鎖の炭化水素のことを指し、ここで、窒素および硫黄原子の各々は、必要に応じて酸化して、N−オキシド、スルホキシドまたはスルホンとなるか、または窒素原子の1つは、必要に応じて四級化される。それらのヘテロ原子O、N、Sおよび/またはSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部の位置またはヘテロアルキルの必要に応じて置換されたアルキル基の末端の位置に位置し得る。非限定的な例としては、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2−S(O)−CH3、−NH−CH2−CH2−NH−C(O)−CH2−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−O−CH3および−CH=CH−N(CH3)−CH3が挙げられる。最大2個のヘテロ原子が、例えば、限定されないが−CH2−NH−OCH3および−CH2−O−Si(CH3)3のように、連続してよい。いくつかの態様において、ヘテロアルキルは、完全に飽和している。ヘテロアルキルは、典型的には、別段示されないかまたは文脈によって示されない限り、その連続したヘテロ原子およびそのアルキル部分の非芳香族炭素原子の数によって表される。したがって、−CH2−CH2−O−CH3および−CH2−CH2−S(O)−CH3は両方とも、C4−ヘテロアルキルであり、−CH2−CH=N−O−CH3および−CH=CH−N(CH3)−CH3は両方とも、C5ヘテロアルキルである。
「ヘテロアルキレン」は、単独でまたは別の用語と組み合わせて本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−および−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−によって例証されるがこれらに限定されない二価の部分をもたらすように、親ヘテロアルキルの水素原子またはヘテロ原子電子を除去することによってヘテロアルキル(上で論じられたような)から得られる二価の基を意味する。ヘテロアルキレンの場合、そのヘテロ原子は、その必要に応じて置換されたアルキル鎖にとって内部に存在し得るか、またはそのアルキル鎖の一方もしくは両方の末端を占め得る。ヘテロアルキレンが、リンカー単位の構成要素であるとき、文脈によって示されないかまたは暗に示されない限り、そのリンカー単位内のその構成要素の両方の配向が許容される。
「アミノアルキル」は、単独でまたは別の用語と組み合わせて本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、第一級アミン(塩基性窒素がさらに置換されない)をもたらすように、または第二級もしくは第三級アミン(塩基性アミンが、それぞれ1つまたは2つの上に記載されたようなアルキル部分(いくつかの態様において、その両方の部分と結合している窒素と一体となって、骨格原子として塩基性窒素を含むC3−C8ヘテロシクリル、典型的には、C3−C6ヘテロシクリルを規定する)によってさらに置換される)をもたらすように、上で定義されたようなアルキレン部分の1つのラジカル末端に結合された塩基性窒素を有する部分、基または置換基のことを指す。アミノアルキルが、マーカッシュ基(すなわち、置換基)として使用されるとき、そのアミノアルキルのアルキレン部分は、その部分のsp3炭素(すなわち、上述のアルキレンの他方のラジカル末端)を介して、それと会合するマーカッシュ式に結合される。いくつかの態様において、アミノアルキルは、自己安定化するリンカー単位(LSS)または自己安定化したリンカー単位(LS)の一部のとき、例示的な非環式塩基性単位である。アミノアルキルは、典型的には、そのアルキレン部分の連続した炭素原子の数によって表される。したがって、C1アミノアルキルとしては、−CH2NH2、−CH2NHCH3および−CH2N(CH3)2が挙げられるが、これらに限定されず、C2アミノアルキルとしては、−CH2CH2NH2、−CH2CH2NHCH3および−CH2CH2N(CH3)2が挙げられる。
「必要に応じて置換されたアルキル」、「必要に応じて置換されたアルケニル」、「必要に応じて置換されたアルキニル」、「必要に応じて置換されたアルキルアリール」、「必要に応じて置換されたアリールアルキル」、「必要に応じて置換された複素環」、「必要に応じて置換されたアリール」、「必要に応じて置換されたヘテロアリール」、「必要に応じて置換されたアルキルヘテロアリール」、「必要に応じて置換されたヘテロアリールアルキル」および同様の用語は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、または本明細書中に定義もしくは開示されるような他の置換基、部分もしくは基のことを指し、ここで、その置換基、部分または基の水素原子は、必要に応じて、異なる部分または基で置き換えられているか、またはそれらの置換基、部分もしくは基のうちの1つを構成する脂環式炭素鎖は、その鎖の炭素原子を異なる部分または基で置き換えることによって中断されている。いくつかの態様において、アルケン官能基は、アルキル置換基の2つの連続したsp3炭素原子を置き換えるが、但し、そのアルキル部分のラジカル炭素は、置き換えられず、これにより、必要に応じて置換されたアルキルは、不飽和アルキル置換基になる。
前述の置換基、部分または基のいずれか1つにおける、水素を置き換える必要に応じての置換基は、独立して、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、フルオロアルコキシおよびアミノ(一置換、二置換および三置換アミノ基ならびにその保護された誘導体を含む)からなる群より選択されるか、または−X、−OR’、−SR’、−NH2、−N(R’)(Rop)、−N(Rop)3、=NR’、−CX3、−CN、−NO2、−NR’C(=O)H、−NR’C(=O)Rop、−NR’C(=O)Rop、−C(=O)R’、−C(=O)NH2、−C(=O)N(R’)Rop、−S(=O)2Rop、−S(=O)2NH2、−S(=O)2N(R’)Rop、−S(=O)2NH2、−S(=O)2N(R’)Rop、−S(=O)2OR’、−S(=O)Rop、−OP(=O)(OR’)(ORop)、−OP(OH)3、−P(=O)(OR’)(ORop)、−PO3H2、−C(=O)R’、−C(=S)Rop、−CO2R’、−C(=S)ORop、−C(=O)SR’、−C(=S)SR’、−C(=S)NH2、−C(=S)N(R’)(Rop)2、−C(=NR’)NH2、−C(=NR’)N(R’)Ropおよびそれらの塩からなる群より選択され、ここで、各Xは、独立して、ハロゲン:−F、−Cl、−Brおよび−Iからなる群より選択され;各Ropは、独立して、C1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C6−C24アリール、C3−C24ヘテロシクリル、C5−C24ヘテロアリール、保護基およびプロドラッグ部分からなる群より選択されるか、または2つのRopは、それらと結合しているヘテロ原子と一体となって、ヘテロシクリルを規定し;R’は、水素またはRopであり、ここで、Ropは、C1−C20アルキル、C6−C24アリール、C3−C24ヘテロシクリル、C5−C24ヘテロアリールおよび保護基からなる群より選択される。
典型的には、必要に応じての置換基は、−X、−OH、−ORop、−SH、−SRop、−NH2、−NH(Rop)、−NR’(Rop)2、−N(Rop)3、=NH、=NRop、−CX3、−CN、−NO2、−NR’C(=O)H、NR’C(=O)Rop、−CO2H、−C(=O)H、−C(=O)Rop、−C(=O)NH2、−C(=O)NR’Rop、−S(=O)2Rop、−S(=O)2NH2、−S(=O)2N(R’)Rop、−S(=O)2NH2、−S(=O)2N(R’)(Rop)、−S(=O)2OR’、−S(=O)Rop、−C(=S)Rop、−C(=S)NH2、−C(=S)N(R’)Rop、−C(=NR’)N(Rop)2およびそれらの塩からなる群より選択され、ここで、各Xは、独立して、−Fおよび−Clからなる群より選択され、Ropは、典型的には、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、C3−C10ヘテロシクリル、C5−C10ヘテロアリールおよび保護基からなる群より選択され;R’は、独立して、水素、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、C3−C10ヘテロシクリル、C5−C10ヘテロアリールおよび保護基(独立してRopから選択される)から典型的になる群より選択される。より典型的には、置換基は、−X、−Rop、−OH、−ORop、−NH2、−NH(Rop)、−N(Rop)2、−N(Rop)3、−CX3、−NO2、−NHC(=O)H、−NHC(=O)Rop、−C(=O)NH2、−C(=O)NHRop、−C(=O)N(Rop)2、−CO2H、−CO2Rop、−C(=O)H、−C(=O)Rop、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(Rop)、−C(=O)N(Rop)2、−C(=NR’)NH2、−C(=NR’)NH(Rop)、−C(=NR’)N(Rop)2、保護基およびそれらの塩からなる群より選択され、ここで、各Xは、−Fであり、Ropは、独立して、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリールおよび保護基からなる群より選択され;R’は、水素、C1−C6アルキルおよび保護基(独立してRopから選択される)からなる群より選択される。
いくつかの態様において、アルキル置換基は、−NH2、−NH(Rop)、−N(Rop)2、−N(Rop)3、−C(=NR’)NH2、−C(=NR’)NH(Rop)および−C(=NR’)N(Rop)2からなる群より選択され、ここで、R’およびRopは、上でR’またはRop基のいずれか1つに対して定義されたとおりである。それらの態様のいくつかにおいて、R’および/またはRop置換基は、Ropが、独立して、水素およびC1−C6アルキルからなる群より選択されるときのように、塩基性単位(BU)(すなわち、BUの塩基性官能基)を提供する。上に記載されたような、アルキレン、カルボシクリル、カルボシクロ、アリール、アリーレン、ヘテロアルキル、ヘテロアルキレン、ヘテロシクリル、ヘテロシクロ、ヘテロアリールおよびヘテロアリーレン基も、同様に置換され得る。
「必要に応じて置換されたヘテロ原子」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、官能基内もしくは他の有機部分内のヘテロ原子(このヘテロ原子は、さらに置換されない)のことを指し、かつ/または官能基内もしくは他の有機内の−NH−(この水素は、保持されるか、またはその窒素原子上の孤立電子対の局在化を適切に保持する置換基によって置き換えられる)のことを指す。ゆえに、そのような置換基には、それらの用語が本明細書中で定義されるように、必要に応じて置換された、アルキル、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルが含まれ、さらに、必要に応じて置換された、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリールおよびアリールヘテロアルキルが含まれ得るが、この包含は、これらの置換基への窒素孤立電子対の非局在化の量に依存し、いくつかの態様において、そのような置換基には、その置換基のカルボニル官能基が窒素原子に結合されたカルボニル含有置換基は含まれない。いくつかの態様において、本発明の実施形態によって記載されるようなPABまたはPAB型部分の可変基J’が、必要に応じて置換された−NH−であるとき、そのように置換された窒素原子は、リンカー単位が切断されて、PABまたはPAB型部分の自壊を可能にするJ’を放出するとき、その窒素孤立電子対の局在化を適切に保持している。他の態様において、本発明の実施形態によって記載されるようなグルクロニド単位のW’とYとの間(been)のグリコシド結合の可変基E’が、必要に応じて置換された−NH−部分であるとき、そのように置換された窒素原子は、YとWとの間のグリコシド結合に関与する窒素孤立電子対の局在化を適切に保持し、グリコシダーゼ切断に対する認識部位を提供することにより、そのグリコシド結合の切断が、その結合の自発的な加水分解と効果的に競合する。
いくつかの態様において、非環式炭素鎖における炭素を置き換える必要に応じての置換基は、ヘテロアルキルまたはヘテロアルキレンを提供し、その目的のために、その必要に応じての置換基は、典型的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)NH−、S(=O)2NH−、−NHS(=O)2−、−OC(=O)NH−および−NHC(=O)Oからなる群より選択され、ここで、−NH−は、必要に応じて置換されている。
「O連結型部分」、「O連結型置換基」および同様の用語は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、その基または置換基の酸素原子を介してそれと直接会合する別の部分に結合されている基または置換基のことを指す。O連結型基は、一価であり得、それらとしては、−OH、アセトキシ(すなわち、−OC(=O)CH3)、アシルオキシ(すなわち、−OC(=O)Rb(ここで、Rbは−H、必要に応じて置換されたC1−C20アルキル、必要に応じて置換されたC3−C20シクロアルキル、必要に応じて置換されたC3−C20アルケニル、必要に応じて置換されたC2−C20アルキニル、必要に応じて置換されたC6−C24アリール、必要に応じて置換されたC5−C24ヘテロアリールまたは必要に応じて置換されたC3−C24ヘテロシクリルである)などの基が挙げられるがこれらに限定されず、O連結型基は、一価の基、例えば、限定ではないが、必要に応じて置換されたC1−C20アルキルオキシ(すなわち、C1−C20脂肪族エーテル)(ここで、そのアルキル部分は、飽和または不飽和である)および他のエーテル(必要に応じて置換された、C6−C24アリールオキシ(アリール−O−)、フェノキシ(Ph−O−)、C5−C20ヘテロアリールオキシ(ヘテロアリール−O−)、およびシリルオキシ(すなわち、R3SiO−(ここで、各Rは、独立して、C1−C20アルキルまたはC6−C24アリールである)または必要に応じて置換されたC5−C24ヘテロアリール)ならびに−ORPR(ここで、RPRは、先に定義されたような保護基である)を含む)をさらに含み得るか、またはO連結型基は、二価であり得、それらとしては、=Oまたは−X−(CH2)n−Y−(ここで、XおよびYは、独立して、SおよびOであり、下付き文字nは、2〜3であることにより、XおよびYの両方と結合している炭素とともにスピロ環系を形成する)が挙げられるが、これらに限定されない。
典型的には、O連結型置換基は、−OH、−OC(=O)CH3)、−OC(=O)Rb、C1−C6飽和アルキルエーテルおよびC2−C6不飽和エーテル(ここで、Rbは、典型的には、必要に応じて置換された、C1−C6飽和アルキル、C3−C6不飽和アルキル、C2−C6アルケニルまたはフェニルである)からなる群より選択される一価の部分であるか、または−OHを除外したその群から選択される。他の例示的なO連結型置換基は、本明細書中に開示されるようなカルバメート、エーテルおよびカーボネートに対する定義によって提供され、ここで、そのカルバメート、エーテルおよびカーボネート官能基の一価の酸素原子が、それと会合するマーカッシュ構造またはより大きな有機部分に結合される。
「ハロゲン」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のことを指し、典型的には、−Fまたは−Clである。
「保護基」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、それと連結している原子または官能基が、望まれない反応に関与できることを妨げるかまたは実質的に減少させる部分のことを指す。原子または官能基に対する典型的な保護基は、Greene(1999),“Protective groups in organic synthesis,3rd ed.”,Wiley Interscienceに記載されている。酸素、硫黄および窒素などのヘテロ原子に対する保護基は、求電子性の化合物との望まれない反応を最小限に抑えるかまたは回避するために時折使用される。その他のときには、保護基は、保護されていないヘテロ原子の求核性および/または塩基性を減少させるかまたは無くすために使用される。保護された酸素の非限定的な例は、−ORPR(ここで、RPRは、ヒドロキシルに対する保護基であり、ヒドロキシルは、典型的にはエステル(例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステルまたは安息香酸エステル)として保護されている)によって与えられる。ヒドロキシルに対する他の保護基は、有機金属試薬または他の高度に塩基性の試薬の求核性との干渉を回避し、その目的のために、ヒドロキシルは、典型的には、アルキルエーテルまたはヘテロシクロアルキルエーテル(例えば、メチルエーテルまたはテトラヒドロピラニルエーテル)、アルコキシメチルエーテル(例えば、メトキシメチルエーテルまたはエトキシメチルエーテル)、必要に応じて置換されたアリールエーテル、およびシリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBS/TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)および[2−(トリメチルシリル)エトキシ]−メチルシリル(SEM))を含むが、これらに限定されないエーテルとして保護されている。窒素保護基は、−NHRPRまたは−N(RPR)2−(ここで、RPRの少なくとも1つが窒素原子保護基であるか、または両方のRPRが一体となって、窒素原子保護基を規定する)におけるような第一級または第二級アミンに対する保護基を含む。
保護基は、それが、分子内の他の箇所で、および所望するとき、新しく形成された分子の精製中に、所望の化学変換をもたらすために必要な反応条件下において、望まれない副反応および/または保護基の早期の喪失を防ぐかまたは実質的に回避することができ、その新しく形成された分子の構造または立体化学的な完全性に悪影響を及ぼさない条件下において除去することができるとき、好適な保護基である。例として、以下に限定されないが、好適な保護基は、官能基の保護について先に記載されたものを含み得る。いくつかの態様において、好適な保護基は、典型的には、ペプチドカップリング反応において使用される保護基である。例えば、窒素に対する好適な保護基は、酸不安定カルバメート保護基、例えば、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)である。
「エステル」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、エステル官能基を定義する−C(=O)−O−との構造を有する、置換基、部分または基のことを指し、ここで、その構造のカルボニル炭素原子は、別のヘテロ原子に直接接続されず、それと会合する有機部分の水素または別の炭素原子に直接接続されており、その一価の酸素原子は、ラクトンを提供するように、異なる炭素原子に対する同じ有機部分に結合されるか、または他の何らかの有機部分に結合される。典型的には、エステルは、エステル官能基に加えて、1〜50個の炭素原子、典型的には、1〜20個の炭素原子またはより典型的には、1〜8個の炭素原子、および0〜10個、典型的には0〜2個の、独立して選択されるヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、Siであるが、通常O、SおよびN)を含む有機部分を含むか、またはそれらからなり、ここで、その有機部分は、−C(=O)−O−構造を介して(すなわち、エステル官能基を介して)結合される。エステルが、マーカッシュ構造の置換基または可変基であるとき、その置換基は、エステル官能基の一価の酸素原子を介して、それと会合する構造に結合される。そのような場合、エステル官能基のカルボニル炭素に結合される有機部分は、本明細書中に記載される有機基のいずれか1つ、例えば、C1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C6−C24アリール、C5−C24ヘテロアリール、C3−C24ヘテロシクリル、またはこれらのいずれかの置換された誘導体(例えば、1、2、3、4個またはそれを超える置換基を含み、必要に応じての置換基に対して本明細書中で定義されるような各置換基が、独立して選択される)を含む。例示的なエステルとしては、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、イソプロピオン酸エステル、イソ酪酸エステル、酪酸エステル、吉草酸エステル、イソ吉草酸エステル、カプロン酸エステル、イソカプロン酸エステル、ヘキサン酸エステル、ヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、フェニル酢酸エステルおよび安息香酸エステルが例として挙げられるがこれらに限定されないか、または−OC(=O)Rbとの構造(ここで、Rbは、アシルオキシO連結型置換基に対して定義されたとおりであり、典型的には、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、3−メチル−プロパ−1−イル、3,3−ジメチル−プロパ−1−イルおよびビニルからなる群より選択される)を有する。本明細書中に記載されるようなエステル置換基は、例示的な一価のO連結型置換基である。
「エーテル」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、カルボニル部分に結合されていない1、2、3、4個またはそれを超える、典型的には1または2個の、−O−(すなわち、オキシ)部分を含む有機部分、有機基または有機置換基のことを指し、ここで、2つの−O−部分は、互いに対してすぐ隣に存在していない(すなわち、直接結合していない)。典型的には、エーテル構造は、式−O−有機部分(式中、有機部分は、エステル官能基に結合される有機部分に対して記載されるとおりである)を含むかまたはそれからなる。より典型的には、エーテル部分、エーテル基またはエーテル置換基は、−O−有機部分との式を有し、式中、その有機部分は、必要に応じて置換されたアルキル基に対して本明細書中に記載されたとおりである。エーテルが、マーカッシュ基(すなわち、エーテル置換基)として使用されるとき、そのエーテル官能基の酸素は、それと会合するマーカッシュ式に結合される。エーテルが、マーカッシュ基における置換基として使用されるとき、それは時折、例示的なO連結型置換基である「アルコキシ」基と呼称される。C1−C20アルコキシには、C1−C4エーテル置換基(例えば、例として、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ−プロポキシ、ブトキシおよびアリルオキシ(すなわち、−OCH2CH=CH2))が含まれる。
「アミド」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、構造R−C(=O)N(Rc)−または−C(=O)N(Rc)2との必要に応じて置換された官能基を有する部分のことを指し、その構造に対して、他のヘテロ原子は、そのカルボニル炭素に直接結合されず、独立して選択されるRcは、水素、保護基または有機部分であり、その有機部分は、エステル官能基に結合される有機部分に対して本明細書中に記載されるとおりであり、典型的には、必要に応じて置換されたC1−C20アルキルである。典型的には、水素、またはRcから独立して選択される有機部分が、アミド官能基に結合され、ここで、その有機部分もまた、エステル官能基に結合される有機部分に対して本明細書中に記載されるとおりである。有機部分に結合されたとき、得られる構造は、有機部分−C(=O)N(Rc)2またはRc−C(=O)N(Rc)−有機部分によって表される。アミドが、マーカッシュ構造に対する可変部分として列挙されるとき、そのアミド官能基のアミド窒素原子またはカルボニル炭素原子が、その構造に結合される。アミドは、典型的には、酸塩化物などの酸ハロゲン化物と、第一級または第二級アミンを含む分子とを縮合することによって調製される。あるいは、カルボン酸含有分子の活性化エステルを介して進むことが多い、ペプチド合成の分野で周知のアミドカップリング反応が用いられる。ペプチドカップリング法を介したアミド結合の例示的な調製は、Benoiton(2006)“Chemistry of peptide synthesis”,CRC Press;Bodansky (1988)“Peptide synthesis:A practical textbook”Springer−Verlag;Frinkin,M.ら、“Peptide Synthesis”Ann.Rev.Biochem.(1974)43:419−443に提供されている。活性化カルボン酸の調製において使用される試薬は、Hanら、“Recent development of peptide coupling agents in organic synthesis”Tet.(2004)60:2447−2476に提供されている。
「カーボネート」は、本明細書中で使用されるとき、カーボネート官能基を定義する−O−C(=O)−O−構造を含む置換基、部分または基を意味する。典型的には、カーボネート基は、本明細書中で使用されるとき、有機部分を含み、その有機部分は、−O−C(=O)−O−構造を介して結合されるエステル官能基に結合された有機部分、例えば、有機部分−O−C(=O)−O−に対して本明細書中に記載されるとおりである。カーボネートが、マーカッシュ基(すなわち、置換基)として使用されるとき、そのカーボネート官能基の一価の酸素原子の一方が、それと会合するマーカッシュ式に結合され、他方が、エステル官能基に結合された有機部分に対して先に記載されたような有機部分の炭素原子に結合される。そのような場合、カーボネートは、例示的なO連結型置換基である。
「カルバメート」は、本明細書中で使用されるとき、−O−C(=O)N(Rc)−もしくは−O−C(=O)N(Rc)2、または−O−C(=O)NH(必要に応じて置換されたアルキル)もしくは−O−C(=O)N(必要に応じて置換されたアルキル)2によって表される必要に応じて置換されたカルバメート官能基構造を含む置換基、部分または基を意味し、ここで、その必要に応じて置換されたアルキルは、例示的なカルバメート官能基置換基であり、Rcおよび必要に応じて置換されたアルキルは、独立して選択され、独立して選択されるRcは、水素、保護基または有機部分であり、その有機部分は、エステル官能基に結合される有機部分に対して本明細書中に記載されるとおりであり、典型的には、必要に応じて置換されたアルキルである。典型的には、カルバメート基は、本明細書中で使用されるとき、Rcから独立して選択される有機部分をさらに含み、その有機部分は、−O−C(=O)−N(Rc)−構造を介して結合されるエステル官能基に結合される有機部分に対して本明細書中に記載されるとおりであり、得られる構造は、有機部分−O−C(=O)−N(Rc)−または−O−C(=O)−N(Rc)−有機部分との式を有する。カルバメートが、マーカッシュ基(すなわち、置換基)として使用されるとき、カルバメート官能基の一価の酸素(O連結型)または窒素(N連結型)が、それと会合するマーカッシュ式に結合される。カルバメート置換基の結合は、明示的に示される(NまたはO連結型)か、またはこの置換基について言及している文脈において暗に意味される。本明細書中に記載されるO連結型カルバメートは、例示的な一価のO連結型置換基である。いくつかの態様において、カルバメート官能基は、薬物単位と自壊性スペーサー単位のPABまたはPAB型の自壊性部分とを相互接続し、第1のスペーサー単位の自壊に続いて、自発的な分解を起こして、CO2および薬物化合物としてのDを放出することによって、第2の自壊性スペーサー単位として機能する。
「抗体」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、最も幅広い意味で使用され、インタクトなモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物学的活性を示す抗体フラグメントを特に網羅するが、但し、抗体フラグメントは、必要な数の薬物リンカー部分への必要な数の共有結合の部位を有する。天然の形態の抗体は、四量体であり、2つの同一の対のイムノグロブリン鎖からなり、各対は、1つの軽鎖および1つの重鎖を有する。各対において、軽鎖可変領域および重鎖可変領域(VLおよびVH)が一体となって、抗原への結合に主に関わる。軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインは、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域により中断されるフレームワーク領域からなる。定常領域は、免疫系によって認識され得、免疫系と相互作用し得る(例えば、Janewayら(2001),“Immunol.Biology,5th ed.”,Garland Publishing,New Yorkを参照のこと)。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであり得る。抗体は、任意の好適な種から得ることができる。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒトまたはマウスが起源である。抗体は、例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり得る。抗体またはその抗体フラグメントは、リガンド単位として本発明のLDCに組み込まれる例示的な標的化剤であり、これらの場合において時折、抗体リガンド単位と称される。
いくつかの態様において、抗体は、過剰に増殖するかまたは過剰に刺激された哺乳動物細胞(すなわち、異常細胞)上のエピトープに選択的かつ特異的に結合し、ここで、そのエピトープは、正常細胞とは異なって、異常細胞によって優先的に提示されるか、もしくは異常細胞により特徴的であるか、または異常細胞内で優先的に提示され、異常細胞の近傍に特有であるか、もしくは異常細胞に局在しない正常細胞と異なって異常細胞の近傍の正常細胞により特徴的である。それらの態様において、哺乳動物細胞は、典型的にはヒト細胞である。
「モノクローナル抗体」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体のことを指し、すなわち、その集団を構成している個々の抗体は、少量で存在し得るあり得る天然に存在する変異またはグリコシル化パターンの差異を除いては同一である。モノクローナル抗体(mAb)は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して産生されている。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体の集団から得られているという抗体の性質を示すものであって、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきでない。
「抗体フラグメント」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、インタクトな抗体の抗原結合部位または可変領域を含み、インタクトな抗体の同族抗原に結合することが可能なままである、インタクトな抗体の一部のことを指す。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、鎖状抗体、一本鎖抗体分子、scFv、scFv−Fc、抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体フラグメント、Fab発現ライブラリーによって生成されるフラグメント、または標的抗原(例えば、がん細胞抗原、免疫細胞抗原、ウイルス抗原または微生物抗原)に免疫特異的に結合する上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられる。
「細胞傷害活性」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、NAMPTi化合物またはその誘導体の細胞殺滅効果または抗生存効果のことを指すか、またはNAMPT薬物単位を有する、リガンド薬物結合体もしくはリガンド薬物結合体の細胞内代謝産物のことを指す。細胞傷害活性は、NAMPTi化合物もしくはその誘導体の存在下またはNAMPT薬物単位を有するリガンド薬物結合体の存在下での既定の時間にわたる細胞のインキュベーション後にそれらの細胞の半数が生存する単位体積あたりの濃度(モル濃度または質量濃度)であるIC50値として表現され得る。
「細胞分裂抑制活性」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、NAMPTi化合物、リガンド薬物結合体、またはNAMPT薬物単位を有するリガンド薬物結合体の細胞内代謝産物の抗増殖性効果のことを指し、それらの生物学的有効性は、細胞殺滅に依存せず、それらの効果は、過剰に増殖する細胞、過剰に刺激された免疫細胞または他の異常細胞もしくは望まれない細胞の細胞分裂の阻害に起因する。
「特異的結合」および「特異的に結合する」は、これらの用語が本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、対応する標的化される抗原と免疫学的に選択的な様式で結合できるが、数多くの他の抗原とは結合しない、リガンド薬物結合体における標的化部分としての、抗体、そのフラグメントまたは抗体リガンド単位のことを指す。典型的には、抗体またはそのフラグメントは、標的化される抗原に少なくとも約1×10−7M、好ましくは、約1×10−8M〜1×10−9M、1×10−10Mまたは1×10−11Mの親和性で結合し、密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)への結合に対する親和性よりも少なくとも2倍高い親和性でその所定の抗原に結合し、ここで、前記親和性は、抗体リガンド単位としてリガンド薬物結合体に組み込まれているとき、実質的に保持される。
「リガンド薬物結合体」は、この用語が本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、標的化剤に由来するリガンド単位、およびリガンド薬物結合体化合物から放出されたときNAMPTi化合物またはその誘導体を提供するNAMPT薬物単位(D)を含む化合物またはそのような化合物の集合体のことを指し、ここで、そのリガンド薬物結合体の標的化するリガンド単位は、標的化される同族の部分に選択的に結合する。いくつかの場合において、リガンド薬物結合体化合物の集合体は、リガンド薬物結合体合成物と称され、ここで、個々のリガンド薬物結合体化合物は、主に、各リガンド単位に結合されたNAMPT薬物単位の数またはNAMPT薬物単位が結合しているリガンド単位上の位置が異なる。他の場合では、リガンド薬物結合体という用語は、合成物の個々のメンバー(すなわち、リガンド薬物結合体化合物)に適用される。
「標的化剤」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、標的化される部分に選択的に結合することができ、かつリガンド薬物結合体にリガンド単位として組み込まれているとき、またはリガンド薬物結合体のリガンド単位が標的化剤と構造的に対応しており、その標的化リガンド単位が結合体の標的化部分であるとき、その能力を実質的に保持している、作用物質のことを指す。いくつかの態様において、標的化剤は、異常細胞に特徴的な接近可能な抗原またはこれらの細胞が見られる周辺の環境に特有である接近可能な抗原に特異的に結合する抗体である。他の態様において、標的化剤は、異常細胞もしくは他の望まれない細胞に特徴的であるかまたはそれらの細胞上により多く存在している接近可能なレセプター、あるいは異常細胞が見られる周辺の環境の細胞に特有の接近可能なレセプターに特異的に結合するレセプターリガンドである。典型的には、標的化剤は、異常な哺乳動物細胞の標的化される部分、より典型的には、異常なヒト細胞の標的化される部分に選択的に結合する本明細書中で定義されるような抗体である。
本明細書中で定義されるような「標的化される部分」は、リガンド単位であるリガンド薬物結合体の標的化剤または標的化部分によって選択的に認識される部分である。いくつかの態様において、標的化される部分は、異常細胞上、異常細胞内、または異常細胞の近傍に存在し、典型的には、正常細胞、または異常細胞が通常存在しないそのような細胞の環境と比べて、多い存在量またはコピー数で存在する。いくつかの態様において、標的化される部分は、抗体による選択的結合にとって接近可能な抗原であり、その抗体は、抗体リガンド単位として組み込まれている例示的な標的化剤であるか、またはリガンド薬物結合体におけるリガンド単位と構造的に対応している。他の態様において、標的化部分は、細胞外で接近可能な細胞膜レセプターに対するリガンドの標的化部分であり、その細胞膜レセプターは、そのレセプターリガンドを組み込んでいるかまたはそのレセプターリガンドと構造的に対応しているリガンド薬物結合体のリガンド単位によって提供される同族の標的化部分が結合すると内部移行され得るか、または細胞表面レセプターの結合の後にリガンド薬物結合体化合物の受動輸送または促進性輸送が可能である。いくつかの態様において、標的化される部分は、異常な哺乳動物細胞上、またはそのような異常細胞の環境に特徴的な哺乳動物細胞上に存在する。いくつかの態様において、標的化される部分は、異常な哺乳動物細胞の抗原、より典型的には、異常なヒト細胞の標的化される部分である。
「標的細胞」、「標的化される細胞」または同様の用語は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リガンド薬物結合体が、異常細胞の増殖または他の望まれない活性を阻害するために相互作用するようにデザインされた、意図される細胞である。いくつかの態様において、標的化される細胞は、過剰に増殖する細胞または過剰に活性化された免疫細胞であり、これらは、例示的な異常細胞である。典型的には、それらの異常細胞は、哺乳動物細胞、より典型的には、ヒト細胞である。他の態様において、標的化される細胞は、異常細胞の近傍に存在し、これにより、それらの近くの細胞に対するリガンド薬物結合体の作用は、異常細胞または望まれない細胞に対して、意図される効果を及ぼす。例えば、近くの細胞は、腫瘍の異常な血管構造に特徴的な上皮細胞であり得る。リガンド薬物結合体化合物またはそのような化合物の組成物によるそれらの血管細胞の標的化は、腫瘍の近くの異常細胞に対して細胞傷害効果または細胞分裂抑制効果を間接的に及ぼすように、これらの細胞への栄養の送達を阻害すると考えられている、これらの細胞に対して細胞傷害効果または細胞分裂抑制効果を及ぼし、かつ/またはこれらの細胞の近傍においてNAMPT薬物単位をNAMPTi化合物または誘導体として放出することによって、近くの異常細胞に対して直接的な細胞傷害効果または細胞分裂抑制効果を及ぼす。
「抗原」は、この用語が本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、非結合体化抗体もしくはそのフラグメントによる選択的結合、または非結合体化抗体を組み込んでいるかもしくはそれと構造的に対応する抗体リガンド単位を含む抗体薬物結合体化合物への選択的結合が可能な部分である。いくつかの態様において、抗原は、正常細胞と比べて異常細胞によって優先的に提示される、細胞外で接近可能な細胞表面タンパク質、糖タンパク質または炭水化物である。いくつかの場合において、抗原を提示している異常細胞は、哺乳動物において過剰に増殖する細胞である。他の場合において、抗原を提示している異常細胞は、哺乳動物における過剰に活性化された免疫細胞である。他の態様において、抗体薬物結合体化合物の抗体リガンド単位によって特異的に結合される抗原は、そのような異常細胞の非存在下において正常細胞が通常経験する環境とは異なって、哺乳動物における過剰に増殖する細胞または過剰に活性化された免疫細胞の特定の環境に存在する。なおも他の態様において、細胞表面抗原は、抗体薬物結合体合成物の化合物による選択的結合の際に内部移行が可能である。ADCに接近可能な細胞表面にある、過剰に増殖する細胞と会合した抗原としては、例として、CD19、CD70、CD30、CD33、NTB−A,αvβ6およびCD123が挙げられるが、これらに限定されない。
「抗体薬物結合体」は、この用語が本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リガンド薬物結合体の標的化部分が抗体の標的化部分であるリガンド薬物結合体のことを指し、ここで、その抗体は、NAMPT薬物単位Dと典型的には介在性のリンカー単位を介して共有結合的に会合した抗体リガンド単位の形態である。いくつかの態様において、その用語は、抗体の配列および構造、NAMPT薬物単位ならびにリンカー単位における先に記載されたバリエーションを除いては同じ抗体リガンド単位を有するが、各抗体に対する可変の負荷量またはリンカー薬物部分の分布を有する(例えば、複数の抗体薬物結合体化合物におけるいずれか2つのそのような化合物におけるNAMPT薬物単位の数は同じであるが、標的化部分への結合の部位の箇所が異なるとき)、結合体化合物の集合体(すなわち、集団または複数存在すること)のことを指す。そのような態様において、抗体薬物結合体は、リンカー単位内の分枝の有無に応じてそれぞれ、抗体薬物結合体合成物の結合体化合物の1抗体リガンド単位あたりの薬物リンカーまたはNAMPT薬物単位の平均負荷量によって記載される。本明細書中に記載される方法から得られる抗体薬物結合体合成物は、Ab−(LR−LO−D)pとの一般式を有し、式中、Abは、抗体リガンド単位であり、下付き文字pは、抗体リガンド単位に接続された薬物リンカー部分またはNAMPT薬物単位の平均数であり、LR−LOは、リンカー単位を規定し、LRは、1次リンカーであり、その構成要素が抗体薬物結合体のリンカー単位に存在しなければならないのでそのように命名され、LOは、必要に応じての2次リンカーであり、存在するとき、酵素(例えば、プロテアーゼまたはグリコシダーゼ)切断または非酵素(例えば、還元性または加水分解性)切断に感受性であることにより、NAMPT薬物単位をNAMPTi化合物またはその誘導体として放出する。いくつかの態様において、その切断は、異常な環境において増大されるか、または標的化抗体リガンド単位とその同族抗原とが結合したとき、その合成物の抗体薬物結合体化合物の細胞内への内部移行の後に生じる。本明細書中に開示される一般化された抗体薬物結合体の構造において、Dは、NAMPT薬物単位であり、そのNAMPT薬物単位は、LOが存在するときはLOに対する酵素作用もしくは非酵素作用の後に、またはLOが存在しないときはLRとDとの間の結合に対する酵素作用もしくは非酵素作用の後に、NAMPTi化合物またはその誘導体として放出され、下付き文字pは、約2〜約20または約2〜約16または約2〜約10の範囲の数であり、いくつかの態様において、約2、約4または約8である。合成物の抗体薬物結合体化合物は、下付き文字pがp’によって置き換えられている同じ一般式によって記載され、ここで、p’は、2〜20または2〜16または2〜10の範囲の整数であり、いくつかの態様において、2、4または8である。
結合体化反応からの調製における1リガンド単位あたりのNAMPT薬物単位または薬物リンカー部分の平均数は、従来の手段(例えば、質量分析、ELISAアッセイ、HICおよび/またはHPLC)によって特徴付けられ得る。いくつかの場合において、他の薬物負荷量を有するリガンド薬物結合体化合物からの均一なリガンド薬物結合体(ここで、pは、ある特定の値である(すなわち、pがp’になる))の分離、精製および特徴付けは、逆相HPLCまたは電気泳動などの手段によって達成され得る。
「リガンド単位」は、この用語が本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、同族の標的化される部分に選択的に結合し、標的化剤の構造を組み込んでいる、リガンド薬物結合体の標的化部分のことを指す。リガンド単位(L)としては、レセプターリガンド、細胞表面抗原に対する抗体およびトランスポーター基質のリガンド単位が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、リガンド薬物結合体化合物によって結合されるレセプター、抗原またはトランスポーターは、正常細胞とは異なって異常細胞上に、より多い存在量で存在する。他の態様において、リガンド薬物結合体化合物によって結合されるレセプター、抗原またはトランスポーターは、異常細胞の部位から遠位にある正常細胞とは異なって、異常細胞の近傍にある正常細胞上に、より多い存在量で存在する。抗体リガンド単位を含むリガンド単位の様々な態様は、本発明の実施形態によってさらに説明される。
「リンカー単位」は、この用語が本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、NAMPT薬物単位(D)とリガンド単位(L)(これらの用語は、本明細書中で定義されるとおりである)との間に介在しており、それらに共有結合されている、リガンド薬物結合体における有機部分のことを指す。リンカー単位(LU)は、その単位の必須の構成要素である1次リンカー(LR)、およびいくつかの態様では存在し、リガンド薬物結合体化合物の薬物リンカー部分内または薬物リンカー化合物内でLRとDとの間を介在している、必要に応じての2次リンカー(LO)を含む。いくつかの態様において、LRは、スクシンイミド(M2)またはコハク酸アミド(M3)部分を含み、時折、リガンド薬物結合体のリンカー単位内に塩基性単位をさらに含み、他の態様において、LRは、マレイミド(M1)部分を含み、時折、薬物リンカー化合物のリンカー単位内に塩基性単位をさらに含む。本明細書中に記載されるような薬物リンカー化合物は、時折、マレイミド(M1)部分を含むので、リガンド単位をもたらす標的化剤の結合が生じて、M1のマレイミド環系へのチオール官能基のマイケル付加を経由して、標的化剤の反応性チオール官能基を介して、そのような薬物リンカー化合物が得られる。標的化剤が、抗体であるとき、反応性チオールは、いくつかの態様において、その抗体のシステインチオール基によって提供される。その付加の結果として、リガンド薬物結合体化合物のリンカー単位は、チオ置換スクシンイミド環系を有するスクシンイミド(M2)部分を含む。非環式または環式の塩基性単位が、自己安定化するリンカー(LSS)(リガンド薬物結合体内のLRが、LSSである)の部分として存在することに起因する、制御された条件下でのその環系のその後の加水分解は、本明細書中にさらに記載されるような自己安定化したリンカー(LS)の構成要素であるコハク酸アミド(M3)部分をもたらす。結果として、リガンド薬物結合体化合物におけるLSSは加水分解されて、LRはLSになる。その加水分解は、スクシンイミド環系と適切に近接している本明細書中にさらに記載されるような塩基性単位(BU)のおかげで制御可能である。
「1次リンカー」は、この用語が本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リンカー単位(LU)の必須の構成要素のことを指し、本発明のリガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物に対して、本明細書中にさらに記載されるような、自己安定化する(LSS)リンカーまたは自己安定化した(LS)リンカーである。薬物結合体化合物またはリガンド薬物結合体(LDC)におけるLSS1次リンカーは、それぞれマレイミド(M1)またはスクシンイミド(M2)部分を特徴とする一方で、LDCにおけるLS1次リンカーは、コハク酸アミド(M3)部分を特徴とする。本発明のLSSまたはLS1次リンカーは、M1もしくはM2のマレイミドもしくはスクシンイミド環系のイミド窒素またはM3のアミド窒素に結合されたC1−C12アルキレン部分も特徴とし、ここで、そのアルキレン部分は、いくつかの態様において、非環式塩基性単位によって置換され、必要に応じての置換基によってさらに置換され得るか、または他の態様において、環式塩基性単位を組み込み、必要に応じて置換される。LSS1次リンカーを有する薬物リンカー化合物は、典型的には通常、LSS−LO−Dとして表される一方で、LSS1次リンカーを有するリガンド薬物結合体は、典型的には通常、L−(LSS−LO−D)pとして表され、ここで、可変基は、本明細書中で先に定義されたとおりである。
薬物リンカー化合物におけるLSSのマレイミド(M1)部分は、標的化剤のチオール官能基と反応して、リガンド薬物結合体のLSS1次リンカーにおいてチオ置換スクシンイミド部分(M2)を形成することができ、ここで、そのチオ置換基は、標的化剤を組み込んでいるかまたはその構造に対応しているリガンド単位であり、そのリガンド単位は、標的化剤のチオール官能基の1つ由来の硫黄原子を介してM2に結合されている。その反応の結果として、標的化剤は、リガンド単位として、1次リンカー(LR)に共有結合されるようになる。その後のM2の加水分解によって、M2がコハク酸アミド部分(M3)であるLS1次リンカーがもたらされる。そのリンカー部分は、加水分解に対するそのスクシンイミド環系の2つのカルボニルの相対的な反応性に応じて、2つの位置異性体(M3AおよびM3B)の混合物として存在し得る。LS1次リンカーを有するリガンド薬物結合体は、典型的には通常、L−(LS−LO−D)pとして表され、ここで、可変基は、本明細書中で先に記載されたとおりである。
「2次リンカー」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リンカー単位(LU)における有機部分のことを指し、ここで、その2次リンカー(LO)は、いくつかの態様では薬物リンカー化合物もしくはリガンド薬物結合体の自己安定化する(LSS)リンカーであるかまたはLSSの加水分解におけるリガンド薬物結合体の自己安定化した(LS)リンカーである1次リンカー(LR)と薬物単位とを相互接続するそのリンカー単位の必要に応じての構成要素である。典型的には、LRは、LOが存在するとき、LRとLOとの間で共有されるヘテロ原子または官能基を介してLOに結合される。リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物のいくつかの態様の場合、LOは、存在し、LRおよびNAMPT薬物単位(D)に共有結合される。それらの態様のいくつかの場合、LOは、PABまたはPAB型部分を有する自壊性スペーサー単位(Y)およびペプチド切断可能単位を含む。それらの態様において、W、YおよびDは、−W−Yy−Dによって表される直鎖配置で配置され、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり、下付き文字yは、1または2であり、Wに結合したYは、PABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位である。PABまたはPAB型部分が関わる他の態様において、LOは、グルクロニド単位をさらに含み、そのグルクロニド単位において、PABまたはPAB型の自壊性部分を有する自壊性スペーサー単位は、切断可能なグリコシド結合を介して炭水化物部分(Su)に結合されており、その炭水化物部分、およびSuをYに結合させているグリコシドのヘテロ原子(E’)は、時折、W’と称され、これにより、W’、YおよびDは、−Yy(W’)−D(ここで、Y(W’)−は、Wであり、Wは、グルクロニド単位であり、下付き文字yは、1または2であり、W’に結合したYは、自壊性スペーサー単位である)によって表されるような直交配置で配置される。
それらの態様のいずれかにおいて、2次リンカーは、LUが、1つより多い薬物単位に結合されるとき、第1の必要に応じてのストレッチャー単位(A)および/または分枝単位(B)をさらに含む。第1の必要に応じてのストレッチャー単位(A)は、存在するとき、LRと2次リンカーの残部とを、Bの有無に応じて必要に応じてBの仲介によって相互接続するか、またはLRがLSSまたはLSであるときはLRとDとを、必要に応じてAOを経由して相互接続し、ここで、AOは、−W−Yy−または−Yy(W’)−を介するLSSまたはLSの構成要素であり、YyのYは、WまたはW’に共有結合されており、PABまたはPAB型部分を有する自壊性スペーサー単位である。
他の態様において、例えば、DがWに直接結合されるときのように、PABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位は、存在せず、Wは、ペプチド切断可能単位であり、LUは、−Aa−W−Yy−Dとの構造を有し、ここで、下付き文字yは、0であり、Yyは、LUに結合されるNAMPT薬物単位構成要素からの必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられるか、または下付き文字yは、1であり、Yは、必要に応じて置換されたヘテロ原子または官能基であり、後者は、自壊が可能であり得るので、自壊性スペーサー単位であるとみなされ得るか、またはYは、Wに対するプロテアーゼの作用の後に自壊を起こさないスペーサー単位であるか、または下付き文字yは、2であり、Yyは、−Y−Y’−であり、下付き文字yが1である場合に対して列挙されたものから独立して選択されるY構成要素の組み合わせである。Wがペプチド切断可能単位またはグルクロニド単位(すなわち、Wが−Y(W’)−である)であり、YがPAB型の自壊性スペーサー単位である、なおも他の態様において、第2のスペーサー単位(Y’)は、存在しないか、または存在することがあり、後者の場合、それは、いくつかの態様において、自壊が可能であり得るがゆえに自壊性スペーサー単位とみなされる官能基、またはPABもしくはPAB型の自壊性部分を有する第2の自壊性スペーサー単位のいずれかであり得、LUは、例えば、構造−Aa−W−Y−Y’−Dまたは−Aa−Y(W’)−Y’−Dを有し、ここで、Wは、プロテアーゼによって切断可能なペプチド切断可能単位であり、W’は、グルコシダーゼによって切断可能なグリコシド結合のヘテロ原子(E’)を介してYに結合した炭水化物部分(Su)である。時折、その第2の自壊性スペーサー単位(Y’)は、PABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位(例えば、他の箇所に記載されるようなカルバメート官能基またはメチレンカルバメート単位であって、この両方は自壊が可能である)以外である。他の態様において、第2のスペーサー単位(Y’)は、自壊を起こさず、構造Y’−DのNAMPTi誘導体が放出され、その誘導体は、さらに酵素処理または非酵素処理を受けて、DをNAMPTi化合物として放出し得る。それらの態様のすべてにおいて、LUは、概して、−Aa−W−Yy−Dによって表され、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり、下付き文字yは、0、1もしくは2であるか、またはWは、式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、下付き文字yは、1もしくは2であり、Yyの1つのYは、−Y(W’)−に存在する。
いくつかの態様において、LDC内または薬物リンカー化合物内のLOは、共有される必要に応じて置換されたヘテロ原子を介してNAMPT薬物単位に直接、または第2のスペーサー単位として作用する官能基を介して間接的に、共有結合されている自壊性スペーサー単位を含み、ここで、そのスペーサー単位は、自壊を起こしてもよいし、起こさなくてもよく、ペプチド切断可能単位としてのWまたはグルクロニド単位のW’の切断は、異常細胞から遠位にある正常細胞またはそのような正常細胞の環境と比べて、異常細胞内または異常細胞の近傍において経験する可能性が高い条件下での切断である。ペプチド切断可能単位としてのWまたはグルクロニド単位のW’は、第1の自壊性スペーサー単位に結合されるので、W/W’に対する酵素作用によって、第1の自壊性スペーサー単位の断片化がもたらされ、その後、第2のスペーサー単位も自壊が可能である場合、第2のスペーサー単位の断片化がもたらされ、同時に、Y’−DまたはDがNAMPTi化合物またはその誘導体として放出される。
リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物の他の態様におけるLOは、第1の自壊性スペーサー単位に共有結合されている第2の自壊性スペーサー単位を含み、異常細胞から遠位にある異常細胞内で経験する可能性が高い条件下でのペプチド切断可能単位の形態のWまたはグルクロニド単位のW’の切断によって、第1および第2の自壊性スペーサー単位の連続的な断片化がもたらされて、NAMPTi化合物またはその誘導体としてDが放出される。あるいは、その切断は、異常細胞の部位から遠位にある正常細胞の環境と比べて、それらの細胞の近傍において生じ得る。典型的には、第1の自壊性スペーサー単位の断片化は、本明細書中に記載されるようなPABまたはPAB型部分の1,6−脱離反応を介して生じ、その後、本明細書中に記載されるようなカルバメート官能基またはメチレンカルバメート(MAC)単位の断片化が生じ、ここで、その官能基またはMAC単位は、第2の自壊性スペーサー単位として働く。
2次リンカー(LO)は、ただ1つのNAMPT薬物単位に結合されるリンカー単位においてDに結合されているとき、典型的には、(1)または(2)の構造:
によって表され、ここで、可変基は、本明細書中で定義されるとおりである。本発明のいくつかの態様において、構造(1)におけるYyは、本明細書中に記載されるようなPABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位(Y)を含むかまたはそれからなり、ここで、そのPABまたはPAB型部分は、ペプチド切断可能単位の形態のWおよびDで置換されている。本発明の他の態様において、構造(2)におけるYyは、本明細書中に記載されるような自壊性スペーサー単位のPABまたはPAB型部分を含むかまたはそれからなり、ここで、そのPABまたはPAB型部分は、グルクロニド単位のW’およびDで置換され、リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物において、その部分はさらにそれぞれ−LR−Aa−(ここで、LRがリガンド単位(L)に結合される)またはLR−Aa−で置換される。
典型的には、下付き文字aが0または1であり、下付き文字yおよびwがそれぞれ1であり、下付き文字yが1または2である構造(1)を有する2次リンカーは、
によって表され、ここで、下付き文字yが1である場合、上記式のY’は、構造(1)を含むLUに結合されるNAMPT構成要素からの必要に応じて置換されたヘテロ原子で置き換えられ、下付き文字aが0または1であり、下付き文字yが1または2である構造(2)を有する2次リンカーは、
によって表され、ここで、下付き文字yが1である場合、上記式のY’は、構造を含むLUに結合されるNAMPT構成要素からの必要に応じて置換されたヘテロ原子で置き換えられ、下付き文字yが2であるとき、Y’は、YとDとの間で共有される必要に応じて置換された官能基、もしくは共有される官能基が必要に応じて置換されたカルバメートであるときのように第2の自壊性部分であるか、またはY’は、MAC単位であり、ここで、J’、V、Z1、Z2、Z3、R’、R8およびR9は、PABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位に対する実施形態において定義されるとおりであり、E’およびSuは、式−Y(W’)−のグルクロニド単位に対する実施形態において定義されるとおりであり、ここで、構造(1)の2次リンカーにおける中央の(ヘテロ)アリーレン上のAa−W−J’−および−C(R8)(R9)−Y’−D置換基は、互いに対してオルトまたはパラであるか、または構造(2)の2次リンカーにおける中央の(ヘテロ)アリーレン上の−E’−Su(すなわち、W’)および−C(R8)(R9)−Y’−D置換基は、互いに対してオルトまたはパラである。
「マレイミド部分」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、1次リンカー(LR)が、自己安定化するリンカー(LSS)であるとき、LRの構成要素のことを指す。マレイミド部分(M1)は、標的化剤の反応性チオール官能基によるマイケル付加(すなわち、1,4−共役付加)に関与して、チオ置換スクシンイミド(M2)部分を提供することができ、ここで、そのチオ置換基は、リガンド薬物結合体合成物またはその結合体化合物において本明細書中に記載されるような標的化剤を組み込んでいるかまたはその構造に対応するリガンド単位である。薬物リンカー化合物のM1部分は、そのイミド窒素を介して1次リンカー(LR)の残部に結合される。イミド窒素以外は、M1部分は通常、非置換であるが、そのマレイミド環系の環式二重結合において非対称的に置換されてもよい。そのような置換は、マレイミド環系の立体障害が少ないかまたはより電子不足の二重結合炭素(より支配的な寄与に応じて)に対する標的化剤の反応性チオールの位置化学的に好ましい共役付加をもたらし得る。典型的には、その共役付加は、スクシンイミド(M2)部分をもたらし、その部分は、標的化剤によって提供されるチオール官能基からの硫黄原子を介してリガンド単位によってチオ置換される。
自己安定化するリンカー(LSS)に存在するとき、チオ置換スクシンイミド(M2)部分のスクシンイミド環系の制御された加水分解は、チオ置換基による不斉置換に起因して、自己安定化したリンカー(LS)におけるコハク酸アミド(M3)部分の位置化学異性体を提供し得る。それらの異性体の相対量は、M1前駆体に存在した任意の置換基が部分的に原因とされ得る、M2の2つのカルボニル炭素の反応性の差に少なくとも部分的に起因し得る。
「スクシンイミド部分」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、自己安定化するリンカー(LSS)の構成要素のことを指し、そしてそれは、リガンド薬物結合体のリンカー単位の構成要素であり、薬物リンカー化合物におけるマレイミド部分(M1)のマレイミド環系への標的化剤のチオール官能基のマイケル付加から生じる。ゆえに、スクシンイミド(M2)部分は、必要に応じて置換されたC1−C12アルキレン部分を介して1次リンカーの残部で置換されたイミド窒素を有するチオ置換スクシンイミド環系を含み、ここで、その部分は、環式塩基性単位を組み込んでいるか、または他の箇所に記載されるような非環式塩基性単位によって置換され、M1前駆体上に存在していた可能性がある置換基で必要に応じて置換される。
「コハク酸アミド部分」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リガンド薬物結合体内のリンカー単位の自己安定化したリンカー(LS)の構成要素のことを指し、LSの別の構成要素によるアミド窒素の置換を有するコハク酸アミドヘミ酸の構造を有し、ここで、その構成要素は、環式塩基性単位を組み込んでいるかまたは非環式塩基性単位によって置換され、L−S−によるさらなる置換を有する、必要に応じて置換されたC1−C12アルキレン部分であり、ここで、Lは、標的化剤を組み込んでいるリガンド単位であり、Sは、その標的化剤からの硫黄原子である。したがって、コハク酸アミド部分は、遊離カルボン酸官能基およびアミド官能基(その窒素ヘテロ原子は、1次リンカーの残部に結合される)を有し、そのカルボン酸官能基またはアミド官能基に対してアルファ位の炭素においてL−S−によって置換される。コハク酸アミド(M3)部分は、塩基性単位によって補助される加水分解によるカルボニル−窒素結合の1つの切断を起こした自己安定化する1次リンカーにおけるスクシンイミド(M2)部分のチオ置換スクシンイミド環系から生じる。理論に拘束されるものではないが、上述の加水分解は、コハク酸アミド(M3)部分をもたらし、チオ置換基の脱離反応を介したその結合体からの標的化リガンド単位の早期の喪失を被る可能性が低いリガンド薬物結合体におけるリンカー単位を提供すると考えられている。
「自己安定化するリンカー」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リガンド薬物結合体におけるリンカー単位の1次リンカーにおけるM2含有構成要素のことを指すか、または薬物結合体化合物におけるリンカー単位のM1含有構成要素であり、ここで、その構成要素は、対応する自己安定化するリンカー(LSS)の制御された加水分解条件下での変換による自己安定化したリンカー(LS)のM2含有構成要素に対する前駆体である。その加水分解は、LSSの塩基性単位構成要素によって促進され、最初にLSSを含んでいたリガンド薬物結合体は、今はLSを含んでいるリンカー単位(LU)のおかげで、そのリガンド単位の早期の喪失に対してより抵抗性になる。LSS部分は、そのM1またはM2部分に加えて、ARを含み、そのARは、必須のストレッチャー単位であり、必要に応じて、いくつかの態様において、環式塩基性単位を組み込んでいるかまたはM1もしくはM2およびLUの残部と共有結合される非環式塩基性単位によって置換される、必要に応じて置換されたC1−C12アルキレン部分を、AOと組み合わせて含む。
本発明の文脈において、薬物リンカー部分としてリガンド薬物結合体化合物に組み込まれる前の薬物リンカー化合物のLSSは、マレイミド(M1)部分(これを介して、標的化剤は、リガンド単位として結合される)およびARを含む。いくつかの態様において、BUのC1−C12アルキレン部分は、薬物リンカー化合物におけるM1のマレイミド環系のイミド窒素およびリンカー単位の残部に結合され、その後者は、必要に応じて、LSSのAOを介して生じる。それらの態様のいくつかにおいて、AOは、必要に応じて置換された電子吸引性ヘテロ原子または官能基(本明細書中で、加水分解増強(HE)単位と称され、これは、いくつかの態様において、BUに加えて、リガンド薬物結合体化合物の対応するLSSにおけるM2部分の加水分解速度を高め得る)からなるかまたはそれを含む。リガンド薬物結合体化合物に薬物リンカー化合物が組み込まれた後、LSSは、リガンド単位によってチオ置換されたマレイミド(M2)部分を含む(すなわち、リガンド単位の結合は、M1のマレイミド環系への標的化剤の反応性チオールのマイケル付加を介して生じる)。
いくつかの態様において、環化した塩基性単位(cBU)は、その単位の塩基性窒素への形式的な環化を介した非環式塩基性単位に構造的に対応し、その環式塩基性単位の構造は、スピロC4−C12ヘテロシクロとしてARに組み込まれる。そのような構築物において、スピロ炭素は、M1のマレイミドイミド窒素、ゆえにM2におけるその窒素に結合され、さらに必要に応じてAO(いくつかの態様において加水分解増強(HE)単位である)を介してリンカー単位の残部に結合される。その態様において、環式BUは、非環式塩基性単位の加水分解(これもまたHEによって増強され得る)と定性的に同様の様式での、M2のスクシンイミド部分から、M3によって表される対応する開環した形態への加水分解を補助する。
いくつかの態様において、本発明に係る薬物リンカー化合物またはリガンド薬物結合体におけるLSS部分は、それぞれM1−AR(BU)−AO−または−M2−AR(BU)−AO−との一般式によって表すことができ、式中、AR(BU)は、環式塩基性単位を組み込んでいるかまたは非環式塩基性単位によって置換された必須のストレッチャー単位(AR)であり、M1およびM2は、それぞれマレイミド部分およびスクシンイミド部分であり、AOは、いくつかの態様において、HEからなるかまたはそれを含む、第2の必要に応じてのストレッチャー単位である。
例示的なLSSの構造は、一般式1Aの構造であり、式中、これらの構造は、
によって表されるような例示的なリガンド薬物結合体化合物に存在し、式中、点線の曲線は、必要に応じての環化を示し、環化が存在するとき、BUは、環式塩基性単位であるか、またはBUは、非環式塩基性単位であり、[C(Rd1)Rd1)]q−[HE]部分は、AOが存在する式1のAOであり、HEは、必要に応じての加水分解増強単位であり、下付き文字qは、0または1〜6の範囲の整数であり;各Rd1は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C6アルキルからなる群より選択されるか、または2つのRd1、それらと結合している炭素原子および任意の介在炭素原子は、必要に応じて置換されたC3−C8カルボシクロを規定し、残りのRd1は、もしあれば、独立して、水素または必要に応じて置換されたC1−C6であり;Ra2は、必要に応じて置換されたC1−C12アルキルであり、これは、環式塩基性単位において、BUおよびRa2と結合している炭素原子とともに、第二級または第三級塩基性骨格窒素原子を有する必要に応じて置換されたスピロC4−C12ヘテロシクロを規定し、その環式塩基性単位は、対応する結合体(Ra2が水素であり、BUが水素によって置き換えられている)と比べて、示されているスクシンイミド(M2)部分の加水分解速度を高めることにより、好適なpHにおいてコハク酸アミド(M3)部分を提供することができ、かつ/または上述の結合体(Ra2が水素であり、BUが水素によって置き換えられている)よりも、対応する結合体(Ra2が水素であり、BUが非環式BUである)の加水分解速度の上昇を実質的に保持する。
他の例示的なLSS構造は、式Iによって表されるリガンド薬物結合体合成物の調製において通常使用される中間体である薬物リンカー化合物に存在する一般式IBの構造:
であり、式中、BUは、式1Aの構造に対して定義されたとおりであり、他の可変基は、式1Aに対して、ならびにそれおよび他の例示的なLSS構造に対する実施形態において定義されたとおりである。式IBを有する薬物リンカー化合物が、リガンド薬物結合体の調製において使用されるとき、式IBは、式IAに変換される。
「自己安定化したリンカー」は、自己安定化したリンカー(LS)の対応するM3部分を提供するように、制御された条件下で加水分解を起こした、LDCにおける自己安定化するリンカー(LSS)のM2含有部分から導かれる有機部分であり、ここで、そのLU構成要素は、元のM2含有LSS部分をもたらした、標的化部分とM1含有部分との縮合反応を逆転させる可能性が低い。M3部分に加えて、自己安定化したリンカー(LS)は、環式塩基性単位を組み込んでいるかまたは非環式塩基性単位によって置換されたARを含み、ここで、ARは、M3、およびLSが構成要素であるリンカー単位の残部に共有結合される。M3部分は、リガンド薬物結合体におけるLSSのスクシンイミド部分(M2)の変換から得られ、ここで、そのM2部分は、薬物リンカー化合物におけるLSS部分のM1のマレイミド環系への、標的化部分のスルフヒドリル基のマイケル付加から生じるチオ置換スクシンイミド環系を有し、そのM2から導かれた部分は、M2における対応する置換基と比べてチオ置換基の脱離反応に対する反応性が低い。それらの態様において、M2から導かれた部分は、M2に対応するコハク酸アミド(M3)部分の構造を有し、ここで、M2は、そのスクシンイミド環系のカルボニル−窒素結合のうちの1つの加水分解を起こし、その加水分解は、その結合の結果としての適切な近接に起因するBUの塩基性官能基によって補助される。ゆえに、その加水分解の生成物は、カルボン酸官能基、およびM2含有LSS前駆体におけるイミド窒素に対応するアミド窒素においてLUの残部で置換されたアミド官能基を有する。いくつかの態様において、塩基性官能基は、非環式塩基性単位の第一級、第二級もしくは第三級アミン、または環式塩基性単位の第二級もしくは第三級アミンである。他の態様において、BUの塩基性窒素は、グアニジノ部分におけるような、必要に応じて置換された塩基性官能基のヘテロ原子である。いずれかの態様において、塩基によって触媒される加水分解に対するBUの塩基性官能基の反応性は、pHによって制御される。
したがって、自己安定化したリンカー(LS)は、典型的には、環式塩基性単位を組み込んでいるかまたは非環式塩基性単位によって置換されたARに共有結合されたM3部分の構造を有し、そしてARは、2次リンカーLOに共有結合される。以下のように示される様式で配置された、M3、AR、AOおよびBU構成要素を有するLSならびにLOは、M3−AR(BU)−AO−LO−またはM3−AR(BU)−AO−LO−との式によって表され、式中、BUは、どちらかのタイプの塩基性単位(環式または非環式)を表す。
上に示された様式で配置された、M2またはM3ならびにAR(BU)、AOおよびLO(ここで、BUは非環式である)を有するLSSおよびLS部分の例示的な非限定的な構造は、
によって例として示されるが、これに限定されず、ここで、示される−CH(CH2NH2)C(=O)−部分が、−AR(BU)−AO−であり、ここで、BUは、ARが、M2またはM3のそれぞれイミド窒素またはアミド窒素に共有結合され、非環式塩基性単位である−CH2NH2によって置換された、非環式塩基性単位であり、AOは、LOに結合された[HE]であり、[HE]は、−C(=O)−である。それらの例示的な構造は、LSSからLSへの変換におけるM2のスクシンイミド環の加水分解からのスクシンイミド(M2)部分またはコハク酸アミド(M3)部分を含む。
M2またはM3ならびに上に示された様式でLOに結合されたAR(BU)およびAO構成要素(ここで、BUは環式塩基性単位としてARに組み込まれている)を有するLSSおよびLS部分の例示的な構造は、
によって例として示されるが、これに限定されない。
上記のAR(BU)−AO部分において、BUは、ヘテロシクロ環式塩基性単位であり、その単位の構造は、AR(BU)部分における非環式塩基性単位のアミノアルキルに対応し、ここで、非環式塩基性単位の塩基性窒素は、その非環式塩基性単位と結合しているM2のスクシンイミド窒素に対してアルファ位の炭素とRa2を介して形式的に環化されている。上記のLSSおよびLS部分の各々における波線は、対応する薬物リンカー化合物におけるM1部分のマレイミド環系への標的化剤のチオール基のマイケル付加の際に、そのチオール官能基に由来するリガンド単位の硫黄原子の共有結合の部位を示す。上記の構造の各々におけるアスタリスクは、M2/M3−AR(BU)−AO−LO−(ここで、BUは環式または非環式である)の−LSS−LO−およびLS−LO−構造への薬物単位の共有結合の部位を示す。M2のスクシンイミド環系は、そのチオ置換基に起因して非対称的に置換されるので、遊離したカルボン酸基と比べて位置が異なる本明細書中で定義されるようなコハク酸アミド(M3)部分の位置化学異性体が、M2の加水分解時に生じ得る。上記の構造において、LOに結合したカルボニル官能基は、本明細書中で定義されるような加水分解増強因子[HE]を例証しており、ここで、[HE]は、−AR(BU)およびLOに共有結合されるLSSまたはLSの示されているAO構成要素である。
−M3−AR(BU)−部分(ここで、BUは非環式または環式の塩基性単位である)の構造は、式M2−AR(BU)の対応するLSS部分と比べて、リガンド単位のチオ置換基を脱離する可能性が低いがゆえに、その標的化部分を喪失させる可能性が低いので、これらの部分は、自己安定化したリンカー(LS)部分の例示的な構造を表す。理論に拘束されるものではないが、高い安定性は、M2と比べてM3におけるより高い配座柔軟性(これは、E2脱離反応にとって好ましい立体配座にチオ置換基をもはや拘束しない)に起因すると考えられている。
「塩基性単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、LSSを含むM2部分内のスクシンイミド環系の、塩基によって触媒される加水分解に関与するBUによって対応するLS部分に持ち越される(すなわち、スクシンイミドカルボニル−窒素結合のうちの1つへの水分子の付加を触媒する)、本明細書中に記載されるような自己安定化するリンカー(LSS)部分内の有機部分のことを指す。いくつかの態様において、塩基によって触媒される加水分解は、LSSに結合された標的化リガンド単位によって許容できる制御された条件下で惹起される。他の態様において、塩基によって触媒される加水分解は、LSSを含む薬物リンカー化合物を標的化剤と接触させると惹起され、ここで、標的化剤の反応性チオールのマイケル付加は、薬物リンカー化合物のLSSM1部分の加水分解と効果的に競合する。理論に拘束されるものではないが、以下の態様は、好適な塩基性単位のデザインについて様々な考慮すべき事柄を説明する。1つのそのような態様において、非環式塩基性単位の塩基性官能基およびLSSにおけるM2構成要素に対するその相対的位置は、BUがM2のカルボニル基に水素結合できるように選択され、それは、その求電子性およびゆえに水の攻撃に対する感受性を効果的に高める。別のそのような態様において、それらの選択は、水分子(その求核性は、BUの塩基性官能基と水素結合することによって高められる)が、M2カルボニル基を対象とするように、行われる。第3のそのような態様において、それらの選択は、プロトン化における塩基性窒素が、誘起的電子吸引性によってスクシンイミドカルボニルの求電子性を高めるように、行われる。最後のそのような態様において、それらの機構のいくつかの組み合わせは、LSSからLSへの加水分解のための触媒に寄与する。
典型的には、上記の機構的態様のいずれかを介して作用し得る非環式塩基性単位は、1個の炭素原子または2〜6個の連続した炭素原子、より典型的には、1個の炭素原子または2もしくは3個の連続した炭素原子を含み、ここで、それらの炭素原子は、非環式塩基性単位の塩基性アミノ官能基を、それと結合しているLSS部分の残部に接続する。スクシンイミド(M2)部分から対応する開環コハク酸アミド(M3)部分への加水分解を補助するために、塩基性アミン窒素が、必要とされる近接の位置に存在するために、非環式塩基性単位のアミンを有する炭素鎖は、典型的には、M2のスクシンイミド窒素(およびゆえに、対応するM1−AR構造のマレイミド窒素)へのARの結合の部位に対してアルファ位のその部分の炭素においてLSSのARに結合される。典型的には、非環式塩基性単位におけるそのアルファ炭素は、(S)立体化学的配置、またはL−アミノ酸のアルファ炭素の配置に対応する配置を有する。
先に記載されたように、非環式型のBUまたは環化型のBUは、典型的には、LSSのM1もしくはM2またはLSのM3に、必要に応じて置換されたC1−C12アルキレン部分を介して接続され、ここで、その部分は、環化した塩基性単位を組み込んでいるか、または非環式塩基性単位によって置換されており、M1もしくはM2のそれぞれマレイミド窒素もしくはスクシンイミド窒素またはM3のアミド窒素に結合される。いくつかの態様において、環式塩基性単位を組み込んでいるC1−C12アルキレン部分は、そのリンカー単位構成要素が存在するとき、LOに共有結合され、典型的には、エーテル、エステル、カーボネート、尿素、ジスルフィド、アミドカルバメートまたは他の官能基の仲介によって、より典型的には、エーテル、アミドまたはカルバメート官能基を介して存在する。同様に、非環式型のBUは、典型的には、M2のスクシンイミド環系の加水分解の後にM1もしくはM2のマレイミドもしくはスクシンイミド環系のイミノ窒素原子またはM3のアミド窒素に結合されているアルキレン部分の同じ炭素において非環式塩基性単位によって置換される必要に応じて置換されたC1−C12アルキレン部分を介してLSSのM1もしくはM2またはLSのM3に接続される。
いくつかの態様において、環式塩基性単位は、非環式塩基性単位と同じアルファ炭素に結合された必要に応じて置換されたC1−C12アルキル(Ra2)に非環式塩基性単位を形式的に環化するがゆえにスピロ環式環系を形成することによって、非環式BUの構造を組み込み、環式塩基性単位は、BUが非環式であるときのようにARの置換基であるのではなく、ARの構造に組み込まれる。それらの態様において、形式的な環化は、非環式塩基性単位の塩基性アミン窒素への環化であり、ゆえに、2つのアルファ炭素置換基における相対的な炭素鎖長に応じて、必要に応じて置換された対称的または非対称的なスピロC4−C12ヘテロシクロとして環式塩基性単位を提供する(ここで、その塩基性窒素は、塩基性の骨格ヘテロ原子となっている)。その環化が、環式塩基性単位における非環式塩基性単位の塩基性の特性を実質的に保持するために、非環式塩基性単位の窒素の塩基性窒素原子は、環式塩基性単位のヘテロシクロに四級化された骨格窒素をもたらし得るので、第一級または第二級アミンの塩基性窒素原子であるはずであって、第三級アミンの塩基性窒素原子ではない。非環式塩基性単位から環式塩基性単位への形式的な環化のその態様において、塩基性窒素がLSSからLSへの変換におけるM2からM3への加水分解を補助する能力を実質的に保持するために、これらの1次リンカーにおける得られた環式塩基性単位の構造は、3個を超えない、典型的には1または2個の、介在性炭素原子が、AR構成要素の塩基性窒素原子とスピロアルファ炭素との間に存在するように位置する塩基性窒素を通常有し得る。ARに組み込まれた環式塩基性単位ならびにそれらを構成要素として有するLSSおよびLS部分は、本発明の実施形態によってさらに説明される。
「加水分解増強単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、LSS部分およびその加水分解産物であるLSの必要に応じての置換基である、電子吸引基または電子吸引部分のことを指す。加水分解増強単位(HE)は、存在するとき、LSSの別の構成要素としてARに結合される第2のストレッチャー単位であり、ここで、ARは、M2部分のイミド窒素に結合され、その電子吸引効果は、LSのM3部分への変換のためのその部分におけるスクシンイミドカルボニル基の求電子性を高め得る。環式塩基性単位または非環式塩基性単位をそれぞれ組み込んでいるかまたはそれによって置換されたARの場合、誘導によるM3への加水分解速度を高めるためのM2のカルボニル基に対するHEの潜在的な効果およびどちらかのタイプのBUの上述の効果は、M1−AR(BU)−[HE]−との構造を有する薬物リンカー化合物からリガンド薬物結合体を調製している間にM1の早期の加水分解がかなりの程度で生じないように、調整される。代わりに、制御された条件(pHが故意に高められたときのような)下で加水分解(すなわち、リガンド薬物結合体化合物の−M2−AR(BU)−[HE]−部分から、対応する−M3−AR(BU)−[HE]−部分への変換)を促進するBUと[HE]との併用効果は、M1部分の加水分解を相殺するための過度に過剰なモル濃度の薬物リンカー化合物が必要ないほどである。ゆえに、M2のスクシンイミド環系に結合された標的化リガンド単位を提供する、M1のマレイミド環系への標的化剤の反応性チオールのマイケル付加は、典型的には、M1の加水分解と効果的に競合する速度で生じる。理論に拘束されるものではないが、低pHでは、例えば、BUの塩基性アミンがTFA塩の形態であるときのように、薬物リンカー生成物におけるM1の早期の加水分解は、適切な緩衝剤を使用して塩基触媒に適したpHにまで高められたときよりかなり遅いと考えられており、許容され得る過剰なモル濃度の薬物リンカー化合物を使用することが、薬物リンカー化合物のM1部分への標的化剤の反応性チオール官能基のマイケル付加が完了するための時間経過中に生じる早期のM1加水分解に起因する任意の喪失を相殺できると考えられている。
先に論じられたように、どちらかのタイプの塩基性単位によるカルボニル加水分解の増強は、その官能基の塩基性度およびM1/M2カルボニル基に対するその塩基性官能基の距離に依存する。典型的には、HE単位は、M2またはそれから導かれるM3に結合され、LSSまたはLSと2次リンカー(LO)との共有結合も提供する、ARの末端から遠位に位置するカルボニル部分(すなわち、ケトンまたは−C(=O)−)または他のカルボニル含有官能基である。ケトン以外のカルボニル含有官能基としては、エステル、カルバメート、カーボネートおよび尿素が挙げられる。HEが、ケトン以外のカルボニル含有官能基であるとき、その官能基のカルボニル部分が、典型的には、ARの残部に結合される。いくつかの態様において、HE単位は、ARの残部が共有結合されるイミド窒素から十分に遠位のAR内に存在し得、これにより、M2含有部分のスクシンイミドカルボニル−窒素結合の加水分解感受性に対する識別可能な効果または小さな効果は観察できず、その代わりに、その効果は、主にBUから駆動される。
「ストレッチャー単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、薬物単位とより近位にあるそのリンカー単位の他の介在構成要素と標的化リガンド単位を物理的に分離する、リンカー単位の1次または2次リンカーにおける有機部分のことを指す。ARストレッチャー単位は、塩基性単位を提供するので、LSSまたはLS1次リンカーにおける必須の構成要素である。NAMPTi化合物その誘導体として薬物単位を放出するためのリガンド薬物結合体の薬物リンカー部分におけるリンカー単位の効率的なプロセシングを可能にするために、それらの必要に応じてのストレッチャー単位の一方または両方を欠くLSS1次リンカーによって提供されるリガンド単位からの立体的軽減(steric relief)が不十分であるとき、第1の必要に応じてのストレッチャー単位(A)および/または第2の必要に応じてのストレッチャー単位(AO)の存在が、必要とされ得る。あるいは、または立体的軽減に加えて、それらの必要に応じての構成要素は、薬物リンカー化合物の調製における合成を容易にするために含められ得る。第1または第2の必要に応じてのストレッチャー単位(AまたはAO)はそれぞれ、単一の単位であり得るか、または複数のサブユニットを含み得る。典型的には、AまたはAOは、1つの明確な単位であるか、または2〜4つの明確なサブユニットを有する。いくつかの態様において、AもしくはAOまたはそのサブユニットは、−LP(PEG)−との式を有する。
いくつかの態様において、薬物リンカー化合物のM1またはリガンド薬物結合体化合物のM2/M3への共有結合に加えて、ARは、必要に応じてAOを介して2次リンカーに結合され、ここで、LSS/LSの構成要素としてのAOは、ARに組み込まれている環式塩基性単位によってまたはARの置換基としての非環式塩基性単位によって触媒される、LSSからLSへの変換の速度を改善するための加水分解増強(HE)単位として働き得るカルボニル含有官能基である。それらの態様のいくつかにおいて、式1、式2または式Iにおいて、下付き文字nが2またはそれを超える数字であり、下付き文字bが1であることを必要とする場合、ARは、LOの分枝単位を介して2次リンカー(LO)に結合されるか、またはこれらの式において、下付き文字nが1であり、下付き文字bが0である場合、ARは、LSSもしくはLSの必要に応じての第2のストレッチャー単位(AO)を介して2次リンカーに結合されるか、またはARもしくはAOは、下付き文字aが1であるときはLOの第1の必要に応じてのストレッチャー単位(A)を介して、または下付き文字aが0であるときはWを介して、2次リンカー(LO)に結合され、構成要素W、YおよびDは、直鎖状に配置され、ここで、下付き文字wは、1であり、Wは、ペプチド切断可能単位である(すなわち、−W−Yy−D(ここで、下付き文字yは、0、1または2である)として配置される)か、または下付き文字aが0であるときはARもしくはAOまたは下付き文字aが1であるときはAは、グルクロニド単位の式−Y(W’)−におけるW’であるようにYyのYに結合され、W、YyおよびDは、直交的に配置される(すなわち、−Yy(W’)−D(下付き文字yは、1または2である)として配置される)。最後に、式1、式2または式IにおけるARまたはAOは、下付き文字aが0であり、下付き文字wが0であるとき、Yy−Dに結合される。
LDCまたは薬物リンカー化合物におけるいくつかのリンカー単位は、−LP(PEG)−Ww−Yy−との式(式中、下付き文字aは1であり、式1、式2または式IにおけるAまたはそのサブユニットは、−LP(PEG)−であり、下付き文字wは1であり、Wは、ペプチド切断可能単位である)を含むか、または式−LP(PEG)−Yy(W’)−(式中、下付き文字aは1であり、式1、式2または式IにおけるAまたはそのサブユニットは、−LP(PEG)−であり、Yy(W’)−における−Y(W’)−は、グルクロニド単位であり、下付き文字yは1または2である)を含む。
典型的には、第1の必要に応じてのストレッチャー単位(A)は、下付き文字bが0であるときはAOの有無に応じて1次リンカーのARもしくは第2の必要に応じてのストレッチャー単位(AO)に、または下付き文字bが1であるときはBに、1つの官能基を介してAを接続する1個の炭素原子または2〜6個の連続した炭素原子を有し、Wおよび/またはYの有無ならびに2次リンカー内のA、WおよびYの配置に応じて、別の官能基を介してAをW、YまたはDに接続する。式1、式2または式Iのいくつかの態様において、下付き文字aは0であり、第1のストレッチャー単位は、存在しないか、または下付き文字aは1であり、Aは、α−アミノ酸、β−アミノ酸または他のアミン含有酸残基であり、Aは、AR、AOまたはBに結合され、アミド官能基を介してW、YまたはDに結合される。他の態様において、AOが、存在し、加水分解増強単位(HE)からなるかまたはそれを含むとき、Aは、AOに結合される。
「分枝単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リンカー単位(LU)の必要に応じての構成要素である三官能性の有機部分のことを指す。1つより多い薬物単位(D)、典型的には、2、3または4個が、リガンド薬物結合体化合物または薬物リンカー化合物における薬物リンカー部分のリンカー単位(LU)に結合されるとき、分枝単位(B)は存在する。式1もしくは式2のリガンド薬物結合体または式Iの薬物リンカー化合物において、これらの構造式のいずれかにおいて下付き文字nが1より大きいとき存在するBbの下付き文字bが1であるとき、分枝単位の存在が、示される。分枝単位は、2次リンカー単位(LO)に組み込まれるために、三官能性である。nが1である態様において、下付き文字bが0であるとき、分枝単位は、表示されているように存在しない。LU1つあたり複数のD単位に起因して分枝単位を有する薬物リンカー化合物またはリガンド薬物結合体化合物は、式−B−Aa−Ww−Yy−(式中、下付き文字aおよびwは、独立して0または1であり、下付き文字yは、0、1または2であり、Wは、ペプチド切断可能単位である)を含むリンカー単位を有するか、または式−B−Aa−Yy(W’)−(式中、下付き文字aは、0または1であり、下付き文字yは、1または2であり、この式の中の−Y(W’)は、グルクロニド単位である)を含むリンカー単位を有する。Aは、式−LP(PEG)−を含み得るので、これらの場合において、下付き文字bが0であるとき、リンカー単位は、式−LP(PEG)−Ww−Yy−または−LP(PEG)−Yy(W’)−を含み得る。
いくつかの態様において、天然もしくは非天然のアミノ酸、または官能化された側鎖を有する他のアミン含有酸化合物が、分枝単位として働く。いくつかの態様において、Bは、L配置またはD配置のリジン、グルタミン酸またはアスパラギン酸部分であり、これらにおいて、それぞれイプシロン−アミノ、ガンマ−カルボン酸またはベータ−カルボン酸官能基が、BとLUの残部とを相互接続する。
「切断可能単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リンカー単位内の反応性部位を提供する有機部分のことを指し、ここで、その部位に対する反応性は、異常細胞(例えば、過剰に増殖する細胞または過剰に刺激された免疫細胞)内または異常細胞周辺においてより高く、これは、いくつかの態様において、異常細胞の部位に通常存在しないかまたは異常細胞の部位から遠位にある正常細胞と比べて、異常細胞内または異常細胞周辺の位置におけるより多い量の酵素活性または非酵素活性に起因し、リンカー単位の反応性部位に対する作用は、そのリンカー単位を有するリガンド薬物結合体化合物から放出されるNAMPTi化合物またはその誘導体に異常細胞を優先的に曝露させる。NAMPTiまたはその誘導体の放出による曝露は、その切断可能単位を有するリンカー単位に対する酵素作用または非酵素作用によって惹起される。本発明のいくつかの態様において、切断可能単位またはその構成要素(WまたはW’)は、異常細胞の部位から遠位にある正常細胞または正常細胞の近傍と比べて、過剰増殖細胞、免疫刺激細胞または他の異常細胞の内部または周辺において活性または存在量がより多い酵素によって切断可能な反応性部位を含む(すなわち、WまたはW’は、酵素基質を提供する)。本発明のそれらの態様のいくつかにおいて、切断可能単位は、プロテアーゼに対する基質であり、そのプロテアーゼは、いくつかの態様において、制御プロテアーゼまたはヒドロラーゼまたはグリコシダーゼであり、ここで、そのプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼは、標的化される細胞の細胞内に位置する(すなわち、切断可能単位の反応性部位は、プロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼによってそれぞれ切断可能なペプチド結合またはグリコシド結合である)。それらの態様において、切断可能単位のペプチド結合またはグリコシド結合は、血清プロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼと比べて、細胞内の制御プロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼによる選択的切断が可能である。
他の態様において、切断可能単位は、異常細胞が通常存在しないかまたは標的化される細胞の部位から遠位にある正常細胞の環境と比べて、リガンド薬物結合体のリガンド単位によって標的化される異常細胞内または異常細胞の周辺環境において作動可能である可能性が高い他の機構(すなわち、非酵素的機構)によって切断可能な反応性部位を含む。それらの態様のいくつかにおいて、反応性部位は、標的化される異常細胞へのリガンド薬物結合体化合物の細胞内部移行の後に酵素的または非酵素的に作動される可能性が高い。
あるいは、Wは、リガンド薬物結合体合成物に組み込まれているとき、異常細胞が通常存在しない正常細胞の環境と比べて、異常細胞へのその合成物の化合物の優先的な内部移行の際にリゾチームの酸性環境に対して感受性であるかまたはそのような細胞の中もしくはその周りのより高い還元性環境に対して感受性である、官能基を提供し、これにより、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのDの放出は、その放出された化合物に、正常細胞と比べて優先的に異常細胞を曝露させる。
切断可能な結合を提供する官能基としては、(a)正常細胞と比べて、異常細胞のより高い還元性状態または異常細胞が経験する低酸素条件下で生成される過剰なグルタチオンに感受性である、ジスルフィド結合を形成するスルフヒドリル基、(b)正常細胞への内部移行と比べて、その切断可能な結合を有するリンカー単位を有するリガンド薬物結合体化合物の異常細胞への選択的な内部移行の際にリゾチームの酸性条件に感受性である、シッフ塩基またはヒドラゾン官能基を形成するアルデヒド基、ケトン基またはヒドラジン基、(c)正常細胞と比べて異常細胞によって優先的に生成もしくは排出されるプロテアーゼまたは標的化される細胞内の制御プロテアーゼによる酵素的切断に感受性である、ペプチド結合におけるようなアミド結合を形成するカルボン酸基またはアミノ基、および(d)正常細胞と比べて異常細胞によって優先的に生成または排出されるヒドロラーゼまたはエステラーゼによる酵素的切断に感受性である、ある特定の尿素もしくはカルバメート基を形成するアミノ基もしくはヒドロキシル基またはエステル基もしくはカーボネート基を形成するカルボン酸基もしくはヒドロキシ基が例として挙げられるが、これらに限定されない。
切断可能な結合を提供するなおも他の官能基は、正常細胞と比べて異常細胞によって時折優先的に生成され得るグリコシダーゼ(glycosides)に対する基質であるグリコシド結合を有する糖または炭水化物に見られる。あるいは、リンカー単位をプロセシングしてNAMPTi化合物またはその誘導体を放出するために必要なプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼ酵素は、正常細胞と比べて異常細胞によって優先的に生成される必要はないが、但し、そのプロセシング酵素は、NAMPTi化合物またはその誘導体の早期の放出から望まれない副作用を引き起こし得るほどは正常細胞によって排出されない。他の場合において、必要とされるプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼ酵素は、排出され得るが、薬物の望まれない早期の放出を回避するために、本発明のいくつかの態様は、典型的には、プロセシング酵素が、異常細胞によって引き起こされる異常な環境(enviroment)に応答して異常細胞によって産生されるのか近くの正常細胞によって産生されるのかを問わず、異常細胞の近傍に排出され、その環境に局在したままであることを必要とする。その点において、ペプチド切断可能単位としてのWまたはグルクロニド単位のW’(ここで、Wは−Y(W’)−との式を有する)は、自由に循環している酵素とは異なって、異常細胞の環境におけるまたは環境内のプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼによって優先的に作用されるように選択される。それらの場合、リガンド薬物結合体化合物は、正常細胞の近傍においてNAMPTi化合物またはその誘導体を放出する可能性が低く、かつ内部移行されたリガンド薬物結合体化合物が作用されると意図される酵素を細胞内で産生するが排出しない正常細胞にかなりの程度で内部移行されないだろう。なぜなら、そのような細胞は、その化合物による進入に必要な標的化される部分を提示する可能性が低いか、または十分なコピー数の標的化される部分を有する可能性が低いからである。
いくつかの態様において、Wは、アミノ酸を含むペプチド切断可能単位であるか、または異常細胞内に存在するプロテアーゼもしくはこれらの異常細胞の環境に局在しているプロテアーゼに基質を提供する1つもしくはそれを超えるアミノ酸配列を含むかもしくはそれらからなる。したがって、Wは、自壊性スペーサー単位Yの自壊性部分へのアミド結合を介してリンカー単位に組み込まれる、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチドまたはドデカペプチド部分を含み得るかまたはそれらからなり得、ここで、その部分は、そのプロテアーゼに対する認識配列を提供する。他の態様において、Wは、式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、式中、W’は、標的化される部分が異常細胞上に存在することに起因して、そのスペーサー単位および炭水化物部分を有するリガンド薬物結合体化合物が選択的に侵入する異常細胞によって優先的に産生されるかまたはそのような細胞に見られるグリコシダーゼによって切断可能なグリコシド結合によって、必要に応じて置換されたヘテロ原子(E’)を介して、グルクロニドの自壊性スペーサー単位(Y)の自壊性部分に結合された炭水化物部分(Su)である。
「スペーサー単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、NAMPT薬物単位(D)またはDに共有結合された別のそのような部分(Y’)に共有結合されるリガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物のリンカー単位内の2次リンカー(LO)における部分のことを指し、いくつかの態様において、スペーサー単位(Y)は、式1、式2または式Iにおいて下付き文字bが0である場合、第1の必要に応じてのストレッチャー単位(A)にも、またはこれらの式のうちのいずれか1つにおいて下付き文字bが1である場合、分枝単位(B)にも、またはAおよびBが存在しない(すなわち、下付き文字aおよびbが両方とも0である)場合、第2の必要に応じてのストレッチャー単位(AO)にも、またはこれらの他のリンカー単位構成要素のいずれもが存在しない場合、ARにも、共有結合される。他の態様において、Yは、WおよびDに、またはWがペプチド切断可能単位であるときのようにDに結合された別のスペーサー単位(Y’)に、共有結合される。式1、式2または式IにおけるYyの各Yは、独立して、必要に応じて置換されたヘテロ原子、自壊が可能であり得る必要に応じて置換された官能基、非自壊性スペーサー単位および自壊性スペーサー単位からなる群より選択される。それらの式のうちのいずれか1つにおけるWが、ペプチド切断可能単位であるとき、Wに結合されたYは、自壊性スペーサー単位であり得、Wが、式−Y(W’)のグルクロニド単位であるとき、W’に結合したYは、W’におけるグリコシド結合の切断の後にDがNAMPTi化合物またはその誘導体として放出されるための自壊性スペーサー単位であるために必要である。
典型的には、1つの配置において、W、YyおよびDは、Yyに結合したDとともに直鎖状に配置され、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり、下付き文字yは、1または2であり、Wに対するプロテアーゼの作用によって、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのDの放出が惹起される。下付き文字yが2であるとき、Wのプロテアーゼ切断は、それ自体でNAMPT阻害が可能であり得る−Y−Y’−Dを放出するか、またはその放出された部分におけるYは、自壊性スペーサー単位であり、NAMPT阻害が可能であり得るY’−Dがその後、放出される。最後に、両方のスペーサー単位(YおよびY’)は、自壊が可能であり、−Y−Y’−Dを放出するWのプロテアーゼ切断の後、連続的な自壊事象が生じて、NAMPTi化合物またはその誘導体としてDが放出される。
典型的には、リガンド薬物結合体が、2次リンカー(LO)内に式−Y(W’)−のグルクロニド単位を含む別の配置では、式1、式2または式Iにおける下付き文字yは、1または2であり、グルクロニド単位のW’およびDまたは−Y’−Dは、Yに共有結合され、ここで、Yは、自壊性スペーサー単位であるか、またはYおよびY’はそれぞれ、グルクロニド単位に対してグリコシダーゼが作用する際に自壊が可能であり、そしてYは、A、BおよびAOの有無に応じてA、B、AOまたはLRにも結合され、W’は、LOの残部に対して直交する。前述同様に、グリコシダーゼの作用の後、Yの自壊によって、Dまたは−Y’−Dが放出され、後者の場合、Y’が、自壊が可能であるとき、Dが、最終的にNAMPTi化合物またはその誘導体として放出されるか、またはDが、治療効果を発揮するためにY’またはそのフラグメントが保持されているNAMPTi化合物の誘導体として放出される。どちらの配置においても、Yyは、ペプチド切断可能単位またはグルクロニド単位の切断が酵素作用を介して行われたとき生じ得る、W/W’の切断を干渉し得るその単位による立体的相互作用を回避するために、ペプチド切断可能単位またはグルクロニドの切断部位をDから分断するために働き得る。
典型的には、NAMPT薬物単位(D)に結合されたスペーサー単位は、本明細書中で定義されるような自壊性部分を含むかまたはそれからなり、ここで、その部分は、自壊性スペーサー単位を規定し、切断単位(W)に共有結合され、切断可能単位の酵素処理は、自己破壊のための自壊性部分を活性化するので、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する。いくつかの態様において、そのYの自壊性部分は、Wがペプチド切断可能単位であるとき、アミド(またはアニリド)官能基を介してWに共有結合される。
自壊性スペーサー(Space)単位が、ペプチド切断可能単位としてWに共有結合され、下付き文字yが2である、それらの態様において、その自壊性スペーサーは、LUに結合されたNAMPT薬物単位構成要素からの必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基を介してDに共有結合され、Yyは、−Y−Y’−であり、ここで、Yは、自壊性スペーサーであり、Y’は、必要に応じて置換された官能基である。下付き文字yが1である他のそのような態様において、NAMPT薬物単位構成要素の必要に応じて置換されたヘテロ原子は、スペーサー単位の自壊性部分に直接結合される。どちらの態様の場合も、必要に応じて置換されたヘテロ原子は、NAMPT薬物単位が、リガンド薬物結合体化合物からNAMPTi化合物またはその誘導体として放出されたとき、ニコチンアミド複素環によって占有される結合部位において酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体と相互作用することができる、頭部基構成要素以外のNAMPTi薬物単位の構成要素によって提供される。下付き文字yが1であるそれらの態様のいくつかにおいて、Y’を置き換えるNAMPT薬物単位構成要素のヘテロ原子は、時折、Xaと呼称され、ここで、Xaは、OまたはSであり、いくつかの場合において、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位によって提供される。Y’が必要に応じて置換された官能基である他の態様において、NAMPT薬物単位構成要素によって提供されるその基を構成する必要に応じて置換されたヘテロ原子は、時折、必要に応じて置換されたNH、OまたはSである。上記の態様のいずれか1つにおいて、アミドまたはアニリド官能基に対する酵素作用によって惹起されるYの自壊性部分の自発的な自己破壊(Yは、ペプチド切断可能単位としてのWに一体となって結合する)および自壊性スペーサー単位としてのYのPABまたはPAB型の自壊性部分の自発的な自己破壊が、いくつかの態様において、H−Xa−TN−IN−DA−HNとの式(式中、TN、IN、DAおよびHNは、NAMPTi化合物またはNAMPT薬物単位に対して定義されたとおりである)を有するNAMPTi化合物またはその誘導体の放出を惹起するように、YyはNAMPT薬物単位(D)に結合される。
それらの態様の他の態様において、自壊性スペーサー単位はまた、別の自壊性スペーサー単位を介してDに共有結合されており、Yyは、−Y−Y’−であり、Yは、第1の自壊性スペーサーであり、Y’は、いくつかの態様において必要に応じて置換されたヘテロ原子(時折、Xbと呼称される)を含む第2の自壊性スペーサー単位である。それらの態様のいくつかにおいて、Xbは、NAMPTi化合物またはその誘導体の尾部(TN)単位によって提供される。どちらの場合においても、Yyは、NAMPT薬物単位(D)に結合され、アミドまたはアニリド官能基に対する酵素作用によって惹起される第1の自壊性スペーサー単位Yの自発的な自己破壊が、Y’−Dを放出し、次いでそれは自発的に分解して、NAMPTi化合物またはその誘導体になる。そのような場合、得られるNAMPTi化合物またはその誘導体は、H−Xb−TN−IN−DA−HNとの式を有し、式中、TN、IN、DAおよびHNは、NAMPTi化合物またはNAMPT薬物単位に対して定義されたとおりである。
他の態様において、Yyにおける自壊性スペーサー単位Yの自壊性部分は、グリコシド結合を介してグルクロニド単位のW’に結合され、その結合の切断は、NAMPTi化合物またはその誘導体を提供するようにY’−DまたはDの放出を惹起する。前述同様に、Y’は、下付き文字yが2であるとき、第2の自壊性スペーサー単位であり得るか、または下付き文字yが1であるとき、NAMPT薬物単位の構成要素の必要に応じて置換されたヘテロ原子(時折、Xaと呼称される)によって置き換えられ得る。下付き文字yが2である他の態様において、Y’は、NAMPT薬物単位の構成要素によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基であり、時折、Xbと呼称される。いくつかの態様において、その官能基は、リガンド薬物結合体化合物または薬物リンカー化合物からの放出の際に自発的な分解が可能であるとき、第2の自壊性スペーサー単位として働く。XaまたはXbが、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)によって提供されるとき、最終的に放出される化合物は、それぞれH−Xa−TN−IN−DA−HNまたはH−Xb−TN−IN−DA−HNとの式を有し、この場合、典型的には、Xaは、OまたはSであり、Xbは、必要に応じて置換されたNH、OまたはSであり、TN、IN、DAおよびHNは、NAMPTi化合物またはNAMPT薬物単位に対して定義されたとおりである。
「自壊性部分」は、本明細書中で使用されるとき、スペーサー単位(Y)内の二官能性部分のことを指し、ここで、その自壊性部分は、許容される場合に必要に応じて置換される、共有されるヘテロ原子または官能基を介してDに共有結合されており、また、Wがペプチド切断可能単位であるときは、許容される場合に必要に応じて置換される別のヘテロ原子(J’)を介してWのペプチドにも共有結合されているか、またはWが式−Y(W’)−のグルクロニド単位であるときは、W’の炭水化物部分(Su)に結合されたグリコシドのヘテロ原子(E’)にも共有結合されており、その自壊性部分は、活性化されない限り、これらの薬物リンカー構成要素を、通常は安定な3部からなる分子に組み込んでいる。
活性化されると、ペプチド切断可能単位Wとの共有結合または式−Y(W’)−のグルクロニド単位におけるW’のグリコシド結合は切断され、下付き文字yが1または2であるとき、それぞれDまたは−Y’−Dが、その自壊性スペーサー単位の自壊性部分の自己破壊によって、その3部からなる分子から自発的に分離して、NAMPTi化合物またはその誘導体を放出する。いくつかの態様において、下付き文字yが1であるいくつかの態様において、Y’は、Xaと呼称される必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられており、その結合体から放出されるNAMPTi化合物またはその誘導体は、その薬物単位が、尾部(TN)単位を介して結合体化されるとき、式H−Xa−TN−IN−DA−HNを有する。他の態様において、下付き文字yが2であるとき、Y’は、Xbと呼称される必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基であり、その官能基も、自発的な分解が可能である場合、それは、第2の自壊性スペーサー単位となり、その第2の自壊性スペーサー単位は、薬物単位が尾部(TN)単位を介して結合体化されているとき、その分解の際に、Xb−TN−IN−DA−HNとの式を有するNAMPTi化合物またはその誘導体を提供する。それらの態様のどちらにおいても、YまたはYおよびY’の自己破壊は、いくつかの場合において、NAMPT薬物単位(D)、および自壊性部分がY’−DまたはDに結合されているスペーサー単位を有するリンカー単位を含むリガンド薬物結合体化合物の細胞内部移行の後に、生じる。
Wがペプチド切断可能単位であるいくつかの態様において、Y’−DもしくはDと、Wに結合したYの必要に応じて置換されたヘテロ原子J’との間に介在している、自壊性部分の構成要素であるスペーサー単位、またはWが、Y’−DもしくはDと、W’における必要に応じて置換されたヘテロ原子E’との間にある、式−Y(W’)−のグルクロニド単位である自壊性スペーサー単位の構成要素は、必要に応じて置換された、−C6−C24アリーレン−C(R8)(R9)−、−C5−C24ヘテロアリーレン−C(R8)(R9)−、−C6−C24アリーレン−C(R8)=C(R9)−または−C5−C24ヘテロアリーレン−C(R8)=C(R9)−との式を有し、式中、R8およびR9は、本発明の実施形態によって記載されるとおりであり、典型的には、C6−C10アリーレン−CH2−またはC5−C10ヘテロアリーレン−CH2−であり、ここで、その(ヘテロ)アリーレンは、必要に応じて置換されており、自壊性部分の構成要素であるスペーサー単位は、断片化を起こして、1,4または1,6−脱離反応によってイミノ−キノンメチドまたは関連する構造を形成することができ、同時に、プロテアーゼによって切断可能なJ’とWとの間の結合が切断されると、またはグリコシダーゼによって切断可能なW’の結合が切断されると、DまたはY’−Dを放出する。いくつかの態様において、J’に結合された上述の構成要素を有する自壊性スペーサー単位は、必要に応じて置換されたp−アミノベンジルアルコール(PAB)部分、オルトもしくはパラ−アミノベンジルアセタール、またはPAB基に電子的に類似の他の芳香族化合物(すなわち、PAB型)、例えば、2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体(例えば、Hayら、1999,Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2237を参照のこと)もしくはp−アミノベンジルアルコール(PAB)部分のフェニル基がヘテロアリーレンによって置き換えられているものによって例証される。
理論に拘束されるものではないが、リンカー単位に組み込まれた自壊性スペーサー単位のPABまたはPAB型部分のアリーレンまたはヘテロアリーレン基の芳香族炭素は、J’によって置換されており、ここで、J’の電子供与性のヘテロ原子は、Wの切断部位に結合されて、そのヘテロ原子の電子供与能力は、弱められる(すなわち、EDG能力が、リンカー単位への自壊性スペーサー単位の自壊性部分の組み込みによってマスクされる)。ヘテロ(アリーレン)の他方の置換基は、必要に応じて置換された第2の官能基もしくはヘテロ原子またはNAMPT薬物単位(D)に結合された第2のスペーサー単位(Y’)に結合された、ベンジル炭素であり、ここで、そのベンジル炭素は、中央のアリーレンまたはヘテロアリーレンの別の芳香族炭素原子に結合され、その減弱された電子供与性のヘテロ原子を有する芳香族炭素は、そのベンジル炭素原子に隣接する(すなわち、1,2の関係性)か、またはそのベンジル炭素原子からさらに2つの位置だけ離れた位置にある(すなわち、1,4の関係性)。官能化されたEDGヘテロ原子は、Wの切断部位がプロセシングされたとき、マスクされたヘテロ原子の電子供与能力が回復するがゆえに、1,4−または1,6−脱離反応を引き起こして、ベンジル置換基から−Dまたは−Y’−DをNAMPTi化合物またはその誘導体として排出するように選択されるか、またはY’−Dが放出されると、その化合物は、NAMPT阻害を介して治療効果を発揮することができ得るか、または治療効果を誘発するためには、その後のY’の自壊が、NAMPTi化合物またはその誘導体を提供するために必要とされ得る。例示的な自壊性部分およびそれらの自壊性部分を有する自壊性スペーサー単位は、本発明の実施形態によって例証される。
「メチレンカルバメート単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、自壊が可能であって、第1の自壊性スペーサー単位とリガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物のリンカー単位内の薬物単位との間に介在する有機部分のことを指し、したがって、それは、例示的な第2のスペーサー単位である。
薬物単位に結合されるメチレンカルバメート(MAC)単位は、式III:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、式中、波線は、第1の自壊性スペーサー単位(Y)へのメチレンカルバメート単位の共有結合を示し;Dは、メチレンカルバメート単位に組み込まれる官能基(例えば、ヒドロキシル、チオール、アミドまたはアミン官能基)を有する薬物単位であり;T*は、前記官能基からのヘテロ原子であり、それには、酸素、硫黄または窒素(すなわち、必要に応じて置換された−NH−)が含まれ、時折Xbと呼称され、NAMPT薬物単位の構成要素によって提供され;R51、R52およびR53は、本発明の実施形態によって例証される。MAC単位を含むリンカー単位が切断されると、第2の自壊性スペーサー単位(Y’)としてそのMAC単位に結合された第1の自壊性スペーサー単位(Y)が、断片化を起こして、式IIIの−Y’−Dを放出する。次いで、MAC単位は、自発的に分解して、DをNAMPTi化合物またはその誘導体として放出し、これについて推定される機構は、本発明の実施形態によって示される。NAMPT薬物単位が、そのNAMPT(TN)尾部単位のXbを介して結合体化されるとき、その化合物またはその誘導体は、Xb−TN−IN−DA−HNとの式を有し、式中、TN、IN、DAおよびHNは、NAMPTi化合物およびNAMPT薬物単位に対して定義されたとおりである。
「NAMPTi化合物」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、ホモ二量体として活性型で存在する、細胞内のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)の阻害によって治療効果を発揮することができる化合物のことを指す。NAMPTi化合物またはその誘導体は、典型的には、NAMPT二量体の2つの単量体の境界面における狭いトンネル(15×6オングストローム)に結合し、ここで、それらの単量体のアミノ酸配列は、互いに対して逆平行に配置されており、典型的には、記載されるとおりの順序で配置される4つの構成要素:NAMPT頭部単位(HN)、供与体受容体単位(DA)、相互接続単位(IN)および尾部単位(TN)に分けられる。いくつかの態様において、NAMPTi化合物は、それをNAMPT薬物単位としてリガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物に組み込むための結合体化の柄として働き得るNAMPT尾部単位の中に官能基を有するように誘導体化(derivitized)されているかまたは誘導体化される。他の態様において、その尾部単位を有するNAMPTi化合物前駆体は、まず、前記官能基を介して結合体化されて、中間体薬物リンカー化合物を形成した後、薬物リンカー化合物内のNAMPT薬物単位に、そのように形成された中間体の前駆体薬物単位が生成される。
本発明の実施において使用するために有用なまたは適応できるNAMPTi化合物としては、Roulston,A.and Shore,G.C.(2016)“New Strategies to maximize therapeutic opportunities for NAMPT inhibitors in oncology”Mol.Cell.Oncol.3(1):e1052180;Sampath,D.ら(2015)“Inhibition of nicotinamide phosphoribosyl−transferase(NAMPT)as a therapeutic strategy”Pharmacol Ther.151:16−31;Zak,M.ら(2015)“Identification of nicotinamide phosphoribosyltransferase(NAMPT)transferase inhibitors with no evidence of CYP3A4 time−dependent inhibition and improved aqueous solubility”Bioorg.Med.Chem.Lett.25:529−541;Giannetti,A.M.ら(2014)“Fragment−based identification of amides derived from trans−2−(pyridin−3−yl)cyclopropanecarboxylic acid as potent inhibitors of human nicotinamide phospho−ribosyltransferase(NAMPT)”J.Med.Chem.57:770−792;Christensen,M.K.ら(2013)“Nicotinamide phosphoribosyltransferase inhibitors,design,preparation,and structure−activity relationships”J.Med.Chem.56:9071−9088;Dragovich,P.S.ら、“Fragment−based design of 3−aminopyridine−derived amides as potent inhibitors of human nicotinamide phosphoribosyltransferase(NAMPT)”Bioorg.Med.Chem.Lett.24:954−962;Zheng,X.(2013)“Structure−based discovery of novel amide−containing nicotinamide phosphoribosyltransferase(NAMPT)inhibitors”J.Med.Chem.56:6413−6433;Galli,U.ら(2013)“Medicinal chemistry of nicotinamide phosphoribosyltransferase(NAMPT)inhibitors”J.Med.Chem.56:6279−6296;Gunzner−Toste,J.ら(2013)“Discovery of potent and efficacious urea−containing nicotinamide phosphoribosyltransferase(NAMPT)inhibitors with reduced CYP2C9 inhibition properties”Bioorg.Med.Chem.Lett.23:3531−3538;You,H.ら(2011)“Design,synthesis and X−ray crystallographic study of NAmPRTase inhibitors as anti−cancer agents”Eur.J.Med.Chem.46:1153−1164;Lockman,J.W.ら(2010)“Analogues of 4−[(7−bromo−2−methyl−4−oxo−3H−quinazolin−6−yl)methylprop−2−ynylamino]−N−(3−pyridylmethyl)benzamide(CB−30865)as potent inhibitors of nicotinamide phosphoribosyltransferase(NAMPT)”J.Med.Chem.53:8734−8746;Colombano,G.ら、“A novel potent nicotinamide phosphoribosyltransferase inhibitor synthesized by click chemistry”J.Med.Chem.53:616−623;Galli,U.ら(2008)“Synthesis and biological evaluation of isosteric analogues of FK866,an inhibitor of NAD salvage”ChemMedChem 3:771−779に記載されているものが挙げられ、これらの構造は、参照により本明細書中に明確に援用され、それらのいくつかは、リガンド薬物結合体における薬物単位として結合体化を可能にするための、リンカー単位への結合に好適な官能基をすでに有していることが予想外にも見出されているか、または必須の置換基をNAMPTi化合物の既存の尾部単位に付加すること、もしくはその尾部単位を全体として、構造的に異なる尾部単位で置き換えることによって、結合体化のためのそのような柄を導入するために改変され得る。
それらの態様のいくつかにおいて、リガンド薬物結合体化合物からのDの放出が、上記の刊行物のリストに記載されているものを含む公知のNAMPTi化合物の誘導体の形態であり得るように、その公知のNAMPTi化合物は、リンカー単位への結合を可能にするように誘導体化される。他の態様において、誘導体化されたNAMPTi化合物は、リガンド薬物結合体化合物からのY’−D部分の放出に起因して、まずは所望の作用部位に選択的に送達され、所望の治療効果を単独で発揮し得るか、またはY’−Dが、それ自体でNAMPTの阻害剤として生物学的に活性である場合、Dと組み合わさって、所望の治療効果を発揮し得、続いて分解されて、親NAMPTi化合物を生成し得る。そのような態様において、NAMPTi化合物の誘導体化は、典型的には、本明細書中に記載されるようなNAMPT尾部単位に対する誘導体化であるが、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体においてニコチンアミド複素環が占有する部位への結合に関与する頭部基以外の他の構成要素に対しても行われ得る。
「NAMPT薬物単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物のリンカー単位に共有結合されていて、リンカー単位に対する酵素作用または非酵素作用の際にそのリガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物から放出される、リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物の構成要素のことを指す。いくつかの態様において、NAMPT薬物単位は、リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物に薬物単位として組み込まれていた親NAMPTi化合物として放出される。他の態様において、放出されたNAMPT薬物単位は、リンカー単位のフラグメントを保持し、誘導体化されたNAMPTi化合物が、リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物のリンカー単位に対する酵素作用または(on)非酵素作用から生じる。その誘導体化されたNAMPTi化合物は、NAMPTを阻害することによって、それ自体で治療効果を発揮し得、かつ/またはさらなる酵素作用もしくは非酵素作用を受けて、親NAMPTi化合物を最終的に放出し得る。
「NAMPT頭部単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、NAMPTi化合物の供与体受容体単位に共有結合されているかもしくはそれを組み込んでおり、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)への酵素的変換の前に、ニコチンアミド複素環が通常占有しているNAMPTの結合部位と相互作用することができ、典型的には、必要に応じて置換された、C5−C24ヘテロアリールもしくは部分芳香族C8−C24ヘテロシクリル(ここで、それらの両方が、必要に応じて置換された5または6員の窒素含有芳香族複素環系を含む)である、NAMPTi化合物もしくはその誘導体またはその化合物もしくは誘導体のNAMPT薬物単位の構成要素のことを指す。NAMPT頭部(HN)単位が供与体受容体(DA)単位の一部を組み込んでいるそれらの態様において、そのような組み込みは、5または6員の芳香族環系または非芳香族環系の形をとり、ここで、DA単位は、部分芳香族または完全芳香族の縮合環系を有するHN−DA単位を定義するように、その環系に環化される。典型的には、そのような場合、HNが、必要に応じて置換された6員の窒素含有芳香族複素環系であるとき、その環系へのDAの環化は、部分芳香族または完全芳香族の6,5−または6,6−縮合環系の形のHN−DA部分を提供する。
いくつかの態様において、NAMPTの単量体が、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体を形成するとき、HN単位は、NAMPTの一方の単量体上のPhe193および/または他方の単量体のTyr18’と相互作用することができ、各NAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する。その相互作用は、典型的には、それらの2つのアミノ酸残基の一方または両方の芳香族側鎖とのπ−πオフセットスタッキング相互作用によって生じる。窒素含有C5−C24ヘテロアリールまたは部分芳香族C9−C24ヘテロシクリルは、通常、弱塩基性であるか、または正常な生理学的条件下において無電荷のままである。したがって、HN単位は、典型的には、約−2〜約7の範囲のpKaを有し、本明細書中に記載されるようなピリジン模倣物を含む。それらのおよび他のHN単位は、本発明の実施形態によってさらに説明される。
「ピリジン模倣物」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、NAMPT頭部単位(HN)のことを指し、ここで、その単位の必要に応じて置換されたC5−C24ヘテロアリールまたは部分芳香族C8−C24ヘテロシクリルは、約−2〜約7のpKaを有するので、弱塩基性であり、ニコチンアミドのピリジン部分が関わる相互作用を含む相互作用によって、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のニコチンアミド結合部位と相互作用することができる。HN単位としてのピリジン模倣物は、必要に応じて置換され、かつ/または適切な場合には必要に応じて置換されたC5ヘテロアリールもしくはC6ヘテロ(アリール)に必要に応じて縮合される、ピリジン−3−イルおよびピリジン−4−イルを含み、ここで、そのピリジニルは、その部分の芳香族骨格炭素原子によって供与体受容体(DA)単位に結合される。いくつかの態様において、その単位は、DAのヘテロ原子を介して、またはHNとDAとの間に導入される必要に応じて置換された酸素、硫黄もしくは窒素ヘテロ原子を介して、6員の窒素含有芳香族環系の隣接する骨格炭素原子においてその環系を通常含むピリジン模倣物に必要に応じて環化される。どちらの場合においても、その形式的な環化の結果として、供与体受容体(DA)単位の一部は、必要に応じて置換された、完全芳香族の6,5−縮合環系または部分芳香族の6,6−縮合環系を通常有するHN−DAを定義するように、典型的には、必要に応じて置換された5員の芳香族複素環系または必要に応じて置換された6員の非芳香族環系の形態で、HNに組み込まれる。そのような場合、その形式的な環化のために導入される必要に応じて置換されたヘテロ原子には、−NR−が含まれ、ここで、Rは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたC6−C24アリールおよび必要に応じて置換されたC5−C24ヘテロアリール、S(=O)0−2および−O−である。他の態様において、その単位は、HNとDAと間に導入される必要に応じて置換されたメチレンを介して必要に応じて置換される6員の窒素含有芳香族環系の隣接する骨格炭素原子において、その環系を通常含む、ピリジン模倣物に必要に応じて環化される。その形式的な環化は、HNへの供与体受容体(DA)単位の部分的な組み込みももたらすが、必要に応じて置換された部分芳香族6,5縮合環系を通常有するHN−DA部分を定義するように、典型的には必要に応じて置換される非芳香族5員環系の形態でそのような部分的な組み込みをもたらす。それらのおよび他のピリジン模倣物は、本発明の実施形態によってさらに説明される。
「NAMPT供与体受容体単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、NAMPTi化合物の頭部単位(HN)に少なくとも部分的に結合されるかもしくは組み込まれ、相互接続単位(IN)にも結合される、NAMPTi化合物もしくはその誘導体またはその化合物もしくは誘導体のNAMPT薬物単位の構成要素のことを指す。環化による前記組み込みを伴うまたは伴わないHNとDAとの組み合わせは、HN−DAとの式によって表される。供与体受容体(DA)単位は、必要に応じて置換された水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基を含み、ここで、その官能基のヘテロ原子は、HNに結合されるか、またはDAは、その官能基(functional)を含む有機部分であり、その有機部分の炭素原子は、いくつかの態様において水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基と結合する炭素原子であるHNに共有結合される。それらの態様において、DAのヘテロ原子または炭素原子の結合は、DAのヘテロ原子を介した、あるいは必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または導入される必要に応じて置換された窒素、酸素もしくは硫黄原子を介した、HNの5員の窒素含有芳香族複素環系またはHNの6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する骨格炭素原子と供与体受容体(DA)単位の必要に応じての形式的な環化を有する、HNの5員の窒素含有芳香族複素環系の2もしくは3位またはHNの6員の窒素含有芳香族複素環系の3もしくは4位における骨格炭素原子への結合である。典型的には、前記形式的な環化は、必要に応じて置換された部分芳香族または完全芳香族の6,5または6,6−縮合環系を通常有するHN−DA部分を定義する、HNの必要に応じて置換された6員の窒素含有環系への環化である。それらの態様のいずれか1つにおいて、HNへのDAの前記結合は、5員または6員の窒素含有芳香族環系の骨格窒素原子への結合であり、ここで、HNへのDAの前記必要に応じての環化は、典型的には、6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する炭素原子への環化である。HNへのDAの形式的な環化の上記の態様のいずれかにおいて、前記形式的な環化は、その環化の前に存在するDAの供与体官能基または受容体官能基の水素結合能力を実質的に保持するように生じる。
いくつかの態様において、水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基は、必要に応じて置換されたアミド官能基であるかまたはそれを含み、DAは、ニコチンアミドのアミド官能基と同じ1つまたはそれを超える相互作用でニコチンアミド結合部位において相互作用することができるので、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体のSer275と相互作用することができ、各NAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する。その相互作用は、典型的には、そのアミノ酸残基のヒドロキシル側鎖と水素結合を介して生じ、かつ/または水素結合することによって直接、もしくは水分子の仲介を含む水素結合ネットワークを介して間接的に、Asp219、Ser241およびVal242からなる群より選択される1つもしくはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができる。それらのおよび他のDA単位は、本発明の実施形態によってさらに説明される。
「アクリルアミド供与体受容体」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、必要に応じて置換されたC2−C20アルケニレン(ここで、それをアルケニレン部分として定義するsp2炭素の1つは、必要に応じて置換されたアミド官能基のカルボニル炭素に結合され、そのアミド官能基の窒素原子は、NAMPT相互接続(IN)単位への結合の部位であり、そのアミド官能基に対して遠位にあるアルケニレン部分のもう1つのsp2炭素は、NAMPT頭部(HN)単位の必要に応じて置換された5または6員の窒素含有芳香族複素環系へのそのDA単位の共有結合の部位である)を有する、NAMPTi化合物内もしくはその誘導体内の、またはその化合物もしくは誘導体のNAMPT薬物単位の、供与体受容体(DA)単位のサブセットのことを指す。アクリルアミドDA単位が、HNの必要に応じて置換された窒素含有芳香族複素環系の隣接する骨格炭素原子に環化されるとき、それは、典型的には、HNの6員の窒素含有芳香族複素環系に縮合される5員の芳香族複素環系を定義するように、近位にあるsp2炭素原子と隣接する炭素原子との間に導入される酸素、硫黄または必要に応じて置換された窒素ヘテロ原子を介してアミド官能基に対して遠位にあるアルケニレン部分のsp2炭素原子を介してHNの6員の芳香族複素環系に環化される。そのような供与体受容体単位のバイオアイソスターは、アクリルアミド供与体受容体単位の定義に含められ、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体の境界面内の親構造のアミド官能基に起因する複数の相互作用を保持しつつ、HN単位とIN単位とを結合することによってそのタイプのDA単位と立体的かつ機能的に等価である有機部分である。
「ニコチンアミド模倣物」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、NAMPTi化合物もしくはその誘導体、またはその化合物もしくは誘導体のNAMPT薬物単位のHN−DA−のことを指し、ここで、DAは、その化合物の相互接続単位に結合され、HNは、ピリジン模倣物であり、DAは、ピリジン模倣物の弱塩基性骨格窒素原子に対して3位に結合され、そのピリジン模倣物およびDAの水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基は、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のニコチンアミド結合部位において、先に記載されたようなニコチンアミドのピリジン官能基およびアミド官能基と同じ1つまたはそれを超える相互作用で相互作用することができる。
「NAMPT尾部単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、NAMPTi化合物の相互接続(IN)単位に結合され、NAMPTi化合物またはその誘導体では、NAMPT尾部(TN)単位への結合のためまたはNAMPT薬物単位としてのNAMPTi化合物もしくはその誘導体の組み込みのために、リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物のリンカー単位への共有結合を形成することができる官能基を提供する、NAMPTi化合物もしくはその誘導体またはその化合物もしくは誘導体のNAMPT薬物単位の構成要素のことを指す。その目的のために、TNは、いくつかの態様において、典型的には、必要に応じて置換されたアミノ−アルコール残基または必要に応じて置換されたカルボン酸−アルコール残基であるかまたはそれを含み、その残基のアミノ窒素またはカルボニル炭素原子は、INまたはINに結合されたTNの残部に結合される。
他の態様において、TNは、必要に応じて置換されたベンズアミド部分であるかまたはそれを含み、そのベンズアミド部分のアミド窒素原子は、INまたはTNの残部へのその原子の必要に応じての環化とともに、INまたはINに結合されたTNの残部に結合され、そのどちらの必要に応じての環化も、IN−TNとの式に含まれ、そのベンズアミド部分の芳香族環は、アミドカルボニル炭素原子が結合している部位に対して3または4位において、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で少なくとも置換される。なおも他の態様において、TNは、アリールまたはビアリール部分であるかまたはそれを含み、その部分の芳香族環は、少なくとも、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換される。それらの態様において、アミノアルコールもしくはカルボン酸−アルコール残基のヒドロキシル酸素原子、またはベンズアミド、アリールもしくはビアリール部分のヒドロキシル、チオールもしくはアミノ残基の酸素、硫黄もしくは窒素原子は、LOの有無に応じてそれぞれLRまたはLOへのTNの共有結合の部位である。TNアリール部分は、C6−C24アリーレンまたはC5−C24ヘテロアリーレンを有する部分を含み、TNビアリール部分は、独立して選択されるC6−C24アリーレンもしくはC5−C24ヘテロアリーレンまたはそれらの組み合わせを有する部分を含む。TNの残部がINに結合される上記の態様のいずれかにおいて、その残部は、典型的には、必要に応じて置換されたC2−C20ヘテロアルキレンもしくは必要に応じて置換されたC3−C20ヘテロシクロまたはそれらの組み合わせ、より典型的には、C2−C7ヘテロアルキレンもしくはC5−C6ヘテロシクロまたはそれらの組み合わせである。それらの態様において、C3−C20ヘテロシクロまたはC5−C6ヘテロシクロは、典型的には、飽和または部分不飽和である。
いくつかの態様において、TNまたは−IN−TN−は、Ile309、Pro307、Val350、Ile378およびAla379によって形成される疎水性の間隙(cleft)領域との1つまたはそれを超える相互作用に関わることができ、かつ/または酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体のTyr188、Lys189、Ala379、Asn377、Glu376、Val350、Arg349およびPro307からなる群より選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができ、ここで、各NAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する。それらのおよび他のTN単位は、本発明の実施形態によってさらに説明される。
「NAMPT相互接続単位」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、供与体受容体(DA)単位と尾部(TN)単位とを相互接続する、NAMPTi化合物もしくはその誘導体またはその化合物もしくは誘導体のNAMPT薬物単位の構成要素のことを指す。いくつかの態様において、INは、DAと尾部単位との間の領域におけるトンネルを裏打ちしている疎水性側のアミノ酸側鎖とのファンデルワールス相互作用に関わり、NAMPTi化合物を二量体の境界面に固定するために尾部単位が1つまたはそれを超える上述の相互作用に関わることを可能にする。典型的には、相互接続単位の長さは、その部分が、リガンド薬物結合体におけるNAMPTi薬物単位としての結合体化のための柄として導入されたとき、そのNAMPTホモ二量体へのNAMPTi化合物の結合を過度に干渉せず、いくつかの場合では増大させ得るために、酵素的に能力のあるNAMPT二量体にNAMPTi化合物が結合したら、TNのヒドロキシルまたはアミノ残基置換基が、溶媒が接近可能な空間に向かって突き出ることを可能にするように選択される。その目的のために、INは、通常、C1−C8アルキレン、C6−C24アリーレンまたはそれらの組み合わせからなる群より選択される疎水性残基を有するかまたはそれを含み、ここで、HN−DAへの結合の部位に対して遠位にある疎水性残基の末端は、TN単位への結合のために必要に応じて官能化される。それらの官能基としては、−O−、−S(=O)1,2および−C(=O)−が挙げられる。いくつかの態様において、INは、必要に応じて置換されたC2−C12ヘテロアルキレンまたは必要に応じて置換されたC5−C20ヘテロシクロをさらに含み、これは、いくつかの態様において、TNへの共有結合のために必要に応じて官能化される。INの疎水性残基は、2つのNAMPT単量体間の酵素的に能力のある二量体の境界面において疎水性相互作用が可能であり得るにもかかわらず、それらの相互作用は、その酵素へのNAMPTi化合物または誘導体の結合に有意に寄与しない可能性があるので、それらの相互作用に対する放出されたNAMPT薬物単位におけるINの能力は、必要に応じてのものであると見なされる。IN単位は、本発明の実施形態によってさらに説明される。
「細胞傷害性薬物」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、過剰に増殖する細胞、過剰に活性化された免疫細胞または他の異常細胞に対して抗生存効果を発揮する、リガンド薬物結合体に由来する化合物または代謝産物のことを指す。いくつかの態様において、細胞傷害性薬物は、それらの細胞に対して直接作用するか、または過剰に増殖する細胞または他の異常細胞もしくは望まれない細胞の生存および/もしくは成長を支持する異常な血管構造に対して作用することによって間接的に作用するか、あるいは、細胞傷害性薬物は、過剰に活性化された免疫細胞に浸潤する部位内に作用する。典型的には、細胞傷害性薬物によって作用される異常細胞または望まれない細胞は、哺乳動物細胞、より典型的には、ヒト細胞である。細胞傷害性薬物の細胞傷害活性は、インビトロ細胞モデル系におけるがん細胞の半数が細胞傷害剤への曝露に対して生き残る有効濃度、典型的には、単位体積あたりのモル量であるIC50値として表現され得る。したがって、IC50値は、モデル依存性である。典型的には、LDCに組み込まれた細胞傷害剤は、過剰に増殖する細胞を含むインビトロ細胞モデルにおいて、100nM〜0.1pMまたはより典型的には、約10nM〜1pMのIC50値を有し得る。高度に毒性の細胞傷害性薬物は、典型的には、そのようなモデルにおいて約100pMまたはそれより低いIC50値を有する。MDR表現型を有する異常な化合物における細胞傷害性薬物または細胞分裂抑制薬物に対する抵抗性を逆転させる化合物は、それ自体では細胞傷害性でないが、それらは時折、抗増殖性効果を発揮する細胞分裂抑制薬物であるような細胞傷害性薬物として含められ、その抗増殖性効果は、細胞の殺滅に依存しないが、過剰に増殖する細胞、過剰に刺激された免疫細胞または他の異常細胞もしくは望まれない細胞の細胞分裂の阻害に起因して残る。結合体化されていない遊離薬物であるNAMPTi化合物は、典型的には、閾値量のNAD枯渇が細胞傷害性に必要であることを示す急勾配の用量反応曲線を示す。さらに、最大の細胞傷害性のために、NAMPTi化合物への持続的な曝露は、通常、細胞内のATPを、NADレベルの回復が可能になった場合に生じ得るような細胞死を免れることがない量にまで枯渇させるために必要である。
「血液悪性腫瘍」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リンパ系または骨髄の起源の細胞が起源である血液細胞腫瘍のことを指し、用語「液体腫瘍(liquid tumor)」と同義である。血液悪性腫瘍は、低悪性度、中程度の悪性度または高度の悪性度としてカテゴリー化され得る。
「リンパ腫」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、リンパ系起源の過剰に増殖する細胞から通常発生する血液悪性腫瘍のことを指す。リンパ腫は時折、2つの主要なタイプ:ホジキンリンパ腫(HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)に分類される。リンパ腫は、表現型マーカー、分子マーカーまたは細胞発生マーカーに従ってがん細胞に最も似ている正常細胞型に従っても分類され得る。その分類におけるリンパ腫のサブタイプとしては、成熟B細胞新生物、成熟T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞新生物、ホジキンリンパ腫、ならびに免疫不全関連リンパ球増殖性障害が挙げられるが、これらに限定されない。リンパ腫のサブタイプには、前駆T細胞リンパ芽球性リンパ腫(T細胞リンパ芽球が骨髄中に産生されるので、時折、リンパ芽球性白血病と称される)、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性B細胞リンパ球性リンパ腫(末梢血の関与に起因して、時折、白血病と称される)、MALTリンパ腫、バーキットリンパ腫、菌状息肉腫およびそのより高悪性度異型のセザリー病、別段特定されない末梢性T細胞リンパ腫、結節硬化型のホジキンリンパ腫、および混合細胞型のホジキンリンパ腫が含まれる。
「白血病」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、骨髄起源の過剰に増殖する細胞から通常発生する血液悪性腫瘍のことを指し、それらとしては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)および急性単球性(monocyctic)白血病(AMoL)が挙げられるが、これらに限定されない。他の白血病としては、ヘアリーセル白血病(HCL)、T細胞リンパ性白血病(T−PLL)、大顆粒リンパ球性白血病および成人T細胞白血病が挙げられる。
「過剰に増殖する細胞」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、望まれない細胞増殖、または異常に高い細胞分裂速度もしくは持続的な細胞分裂状態、あるいは周辺の正常な組織の細胞活性と無関係であるかまたは協調しない他の細胞活性を特徴とする異常細胞のことを指す。典型的には、過剰に増殖する細胞は、哺乳動物細胞である。いくつかの態様において、過剰に増殖する細胞は、最初に細胞分裂の変化を引き起こした可能性がある刺激の中止の後に、持続的な細胞分裂状態または細胞活性化状態が生じる本明細書中で定義されるような過剰に刺激された免疫細胞である。他の態様において、過剰に増殖する細胞は、形質転換した正常細胞またはがん細胞であり、それらの細胞増殖の制御されない進行性の状態は、良性、潜在的に悪性(前悪性)またはあからさまに悪性の腫瘍をもたらし得る。形質転換した正常細胞またはがん細胞に起因する過剰増殖状態としては、前がん、過形成、異形成、アデノーマ、肉腫、芽腫、癌腫、リンパ腫、白血病またはパピローマとして特徴付けられる状態が挙げられるが、これらに限定されない。前がんは、がん発生の高リスクに関連する組織学的な変化を示し、時折、がんを特徴付ける分子および表現型の特性のすべてではないがいくつかを有する、病変として通常定義される。ホルモンに関連する前がんまたはホルモン感受性の前がんとしては、前立腺上皮細胞内新生物(PIN)、特に高悪性度のPIN(HGPIN)、非定型小腺房増殖(atypical small acinar proliferation)(ASAP)、子宮頸部異形成および非浸潤性乳管癌が挙げられる。過形成とは、概して、器官の著しい拡大または良性腫瘍の形成もしくは成長をもたらし得る、通常見られる増殖を超える、器官内または組織内の細胞の増殖のことを指す。過形成としては、子宮内膜増殖症(子宮内膜症)、良性前立腺肥大症および導管過形成が挙げられるが、これらに限定されない。
「正常細胞」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、正常な組織の細胞の完全性の維持または制御された細胞の代謝回転に必要な循環しているリンパ性細胞もしくは血液細胞の補充あるいは損傷によって必要とされる組織修復に関係するか、または病原体への曝露もしくは他の細胞の傷害に起因する制御された免疫応答もしくは炎症反応に関係する、協調した細胞分裂を起こしている細胞のことを指し、ここで、誘発された細胞分裂または免疫応答は、その必要な維持、補充または病原体クリアランスの完了時に終結する。正常細胞には、正常に増殖している細胞、正常な静止状態の細胞および正常に活性化された免疫細胞が含まれる。
「正常な静止状態の細胞」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、静止中のGo状態の非がん性細胞のことを指し、ストレスもしくはマイトジェンによって刺激されていないか、または正常に不活性であるかもしくは炎症促進性サイトカインへの曝露によって活性化されていない免疫細胞である。
「過剰に刺激された免疫細胞」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、異常に持続的な増殖あるいは最初に増殖もしくは刺激の変化を誘発した可能性がある刺激の中止後に生じるかまたはいかなる外部からの傷害もないときに生じる不適当な刺激状態を特徴とする、自然免疫または適応免疫に関わる細胞のことを指す。しばしば、持続的な増殖または不適当な刺激状態は、疾患状態または症状に特徴的な慢性の炎症状態をもたらす。いくつかの場合において、最初に増殖または刺激の変化を誘発した可能性がある刺激は、外部からの傷害のせいではなく、自己免疫疾患におけるように内部に由来する。いくつかの態様において、過剰に刺激された免疫細胞は、慢性的な炎症促進性サイトカイン曝露を介して過剰に活性化された炎症促進性免疫細胞である。
本発明のいくつかの態様において、LDC合成物のリガンド薬物結合体化合物は、異常に増殖しているかまたは不適切にもしくは持続的に活性化された炎症促進性免疫細胞によって優先的に提示される抗原に結合する。それらの免疫細胞には、古典的に活性化されたマクロファージまたは1型ヘルパーT(Th1)細胞が含まれ、これらは、マクロファージおよびCD8+T細胞の活性化に関わるサイトカインである、インターフェロン−ガンマ(INF−γ)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−10(IL−10)および腫瘍壊死因子−ベータ(TNF−β)を産生する。
「グリコシダーゼ」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、グリコシド結合の酵素的切断が可能なタンパク質のことを指す。典型的には、切断されるグリコシド結合は、リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物の切断可能単位としてグルクロニド単位の中に存在する。時折、リガンド薬物結合体に作用するグリコシダーゼは、LDCが正常細胞と比べて優先的に接近する(この接近は、リガンド単位の標的化能力に起因する)、過剰に増殖する細胞、過剰に活性化された免疫細胞または他の異常細胞の細胞内に存在する。時折、グリコシダーゼは、異常細胞または望まれない細胞に対してより特異的であるか、または正常細胞と比べて異常細胞または望まれない細胞によって優先的に排出されるか、またはLDCが投与される意図された被験体の血清中に通常見られるグリコシダーゼの量と比べて多い量で異常細胞の近傍に存在する。典型的には、グリコシダーゼによって作用される、−W’(Y)−との式を有するグルクロニド単位内のグリコシド結合は、W’がSu−E’−となるように、炭水化物部分(Su)のアノマー炭素と自壊性ストレッチャー単位(Y)とを、必要に応じて置換されたヘテロ原子(E’)を介して接続する。いくつかの態様において、E’は、炭水化物部分(Su)に対してグリコシド結合を形成し、自壊性ストレッチャー単位Yにおける自壊性部分のフェノール酸素原子であり、その結合のグリコシド切断は、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのDまたはY’−Dの1,4−または1,6−脱離反応を引き起こす。
いくつかの態様において、薬物リンカー化合物またはリガンド薬物結合体は、式LSS−Bb−(Aa−Yy(W’)−D)nまたはL−(LS−Bb−(Aa−Yy(W’)−D)n)pによって表され、式中、LSSは、M1−AR(BU)−AO−であり、LSは、M2−AR(BU)−AOまたはM3−AR(BU)−AO−であり、AOは、いくつかの態様において加水分解増強(HE)単位として働く、第2の必要に応じてのストレッチャー単位であり、Aは、第1の必要に応じてのストレッチャー単位であり、いくつかの態様において、Aまたはそのサブユニットは、−LP(PEG)−との式を有し、式中、−LPおよびPEGは、それぞれパラレルコネクター単位およびPEG単位に対して本明細書中で定義されるとおりであり;BUは、非環式または環式の塩基性単位を表し、下付き文字aおよびbは、独立して0または1であり、下付き文字nは、1、2、3または4であり、ここで、下付き文字nが2、3または4であるとき、Bは、分枝単位であり、存在し、これにより、下付き文字bは1であり、ここで、下付き文字aが1であり、下付き文字yが1または2であるとき、Aは、第1のストレッチャー単位である。
それらの態様において、−Y(W’)−は、典型的には、式−(Su−O’)−Y−であり、式中、Suは、炭水化物部分であり、Yは、Suにグリコシド結合しているPABまたはPAB型の自壊性部分を有する自壊性スペーサー単位であり、O’は、グリコシダーゼによって切断可能なグリコシド結合の酸素原子を表し、NAMPT薬物(D)単位は、下付き文字yが1であるように、NAMPT尾部(TN)単位を介してYの自壊性部分に直接結合されるか、またはDは、下付き文字yが2であるようにY’を介して自壊性部分に結合され、ここで、Y’は、第2のスペーサー単位(これは、自壊が可能であってもよいし、可能でなくてもよい)、またはNAMPTi化合物もしくはその誘導体の尾部単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子もしくは官能基であり、後者は、Y’−Dの放出時に自壊が可能であることにより、NAMPTi化合物もしくはその誘導体としてDを提供し得るか、またはY’は、メチレンカルバメート単位であり、ここで、Su−O’−は、自壊性部分の必要に応じて置換された(ヘテロ)アリーレンに結合され、Dまたは−Y’−Dは、Dまたは−Y’−Dの自壊性放出が惹起され、それによって、NAMPTi化合物またはその誘導体が提供されるように、必要に応じて置換されたベンジル炭素を介してその(ヘテロ)アリーレンに結合される。そのような−Y(W’)−部分は、グルクロニド単位と称されるが、W’のSuは、グルクロン酸残基に限定されない。
典型的には、−(Su−O’−Y)−との式(式中、−O’−は、グリコシド結合の酸素を表し、Suは、炭水化物部分である)を有するグルクロニド単位は、自壊性スペーサー単位(Y)に対して記載された構造によって表され、ここで、YのPABまたはPAB型部分の中央の(ヘテロ)アリーレン部分に結合されたE’は、酸素原子であり、そのヘテロ原子は、炭水化物部分(Su)のアノマー炭素原子を介してその部分に結合される。
いくつかの態様において、Dに結合されるそのような部分は、以下の構造:
を有する式−(Su−O’)−Y−Y’−Dの部分を含み、
式中、Y’は、下付き文字yが1であるとき、NAMPT化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位の必要に応じて置換されたヘテロ原子(NH−、OおよびSを含むがこれらに限定されない)によって置き換えられ、そのヘテロ原子は、いくつかの態様においてXaであり、ここで、Xaは、OまたはSであるか、またはY’は、下付き文字yが2であるいくつかの場合において、必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基であり、ここで、その官能基は、Y’がカルバメート官能基であるときのように自壊が可能であり得、それは、いくつかの態様において、−OC(=O)−Xb−との式を有し、式中、Xbは、NAMPT尾部(TN)単位の必要に応じて置換されたヘテロ原子の必要に応じて置換されたNH、OまたはSであるか、またはY’は、下付き文字yが2である他の場合において、第2のスペーサー単位であり、それも、Y’がメチレンカルバメート単位であるときのように自壊が可能であり得;R24A、R24BおよびR24Cは、独立して、水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、他のEDG、ハロゲン、ニトロおよび他のEWGからなる群より選択されるか、または左側の構造におけるR2AおよびR’もしくは右側の構造におけるR24CおよびR’は、それらと結合している芳香族炭素と一体となって、ベンゾ縮合C5−C6炭素環を規定し、グリコシダーゼの酵素作用によってグリコシド結合から放出されたフェノールの−OHの電子供与能力、グリコシダーゼによる選択的な切断に対する感受性、および1,4−または1,6−脱離反応による断片化から生じるイミノ−キノンメチド中間体の安定性が、Dまたは−Y’Dの脱離能力とバランスがとれて、NAMPTi化合物またはその誘導体の適切に効率的な放出が生じるように、選択される。上記の−Yy(W’)−D構造における−(Su−O’)−Y’−部分は、代表的なグルクロニド単位である。グリコシド結合が、グルクロン酸に対するグリコシド結合であるとき、そのグリコシド結合の酵素的切断が可能なグリコシダーゼは、グルクロニダーゼである。
それらの態様のいくつかにおいて、−(Su−O’)−Y−Y’−Dが、以下の構造:
を有し、ここで、Y’は、下付き文字yが2であるいくつかの場合において、−OC(=O)−Xb−であり、Xbは、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位の第一級または第二級アミン官能基からの窒素原子であるか、または下付き文字yが1であるとき、Y’は、Xbによって置き換えられており、Xbは、TNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子であり;R45は、−OHまたは−CO2Hであり、残りの可変基は、NAMPTi化合物およびNAMPT薬物単位に対して定義されたとおりである。それらのおよび他のグルクロニド単位のさらなる説明は、本発明の実施形態によって提供される。
「炭水化物部分」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、Cm(H2O)n(ここで、nはmと等しい)との実験式を有し、その式におけるCH2OH部分がカルボン酸(例えば、グルコースにおけるCH2OH基の酸化からのグルクロン酸)に酸化されているヘミアセタール型またはその誘導体のアルデヒド部分を含む、単糖の一価のラジカルのことを指す。典型的には、炭水化物部分(Su)は、ピラノースなどの環式ヘキソースまたはフラノースなどの環式ペントースの一価のラジカルである。通常、ピラノースは、β−D立体配座のグルクロニドまたはヘキソースである。いくつかの場合、ピラノースは、β−D−グルクロニド部分(すなわち、β−グルクロニダーゼによって切断可能なグリコシド結合を介して自壊性スペーサー単位の自壊性部分に連結されたβ−D−グルクロン酸)である。時折、炭水化物部分は、非置換である(例えば、天然に存在する環式ヘキソースまたは環式ペントースである)。他の場合、炭水化物部分は、β−D−グルクロニド誘導体、例えば、1つまたはそれを超える、典型的には、1または2個のヒドロキシル部分が、独立して、ハロゲンおよびC1−C4アルコキシからなる群より選択される部分で置き換えられたグルクロン酸であり得る。
「プロテアーゼ」は、本明細書中で使用されるとき、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、ペプチドに通常見られるアミド結合などのカルボニル−窒素結合の酵素的切断が可能なタンパク質のことを指す。プロテアーゼは、主要な6つのクラス:セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼおよびメタロプロテアーゼに分類され、これらは、その基質のカルボニル−窒素結合の切断に主に関与する活性部位における触媒残基に対して命名されている。プロテアーゼは、様々な特異性を特徴とし、その特異性は、カルボニル−窒素結合のN末端側および/またはC末端側における残基の同一性に依存する。
Wが、式1、式2または式Iにおいて、下付き文字yが1または2であるときは自壊性スペーサーY、または下付き文字yが0であるときはNAMPT薬物単位に、プロテアーゼによって切断可能なアミドまたは他のカルボニル−窒素含有官能基を介して結合された、ペプチド切断可能単位であるとき、その切断部位は、過剰に増殖する細胞および過剰に刺激された免疫細胞を含む異常細胞において見られるかまたはこれらの異常細胞が存在する環境に特有の細胞内に見られるプロテアーゼによって認識される切断部位に限定されることが多い。そのような場合、そのプロテアーゼは、そのペプチド切断可能単位を有するリガンド薬物結合体によって標的化される細胞内に優先的に存在してもよいし、存在しなくてもよいか、またはその細胞内により多い存在量で見られてもよいし、見られなくてもよい。なぜなら、そのプロテアーゼは、結合体の免疫学的に特異的な取り込みに起因して有害作用を及ぼすようにリガンド単位が方向付けられている標的化される部分を有しないか、または不十分なコピー数のその標的化される部分しか有しない細胞にはあまり接近しないからである。他の場合、そのプロテアーゼは、異常細胞によって優先的に排出されるか、あるいはそれらの異常細胞が正常細胞と比べて見られる環境、または異常細胞の非存在下で正常細胞が見られる典型的な環境と比べて異常細胞が見られる環境における細胞によって優先的に排出される。したがって、プロテアーゼが排出されるそれらの場合において、そのプロテアーゼは、典型的には、正常細胞の近傍と比べて、リガンド薬物結合体によって標的化される細胞の近傍において優先的に存在しなければならないか、またはその細胞の近傍でより多い量で見られなければならない。
リガンド薬物結合体合成物に組み込まれるとき、Wを含み、Yの有無に応じてYまたはDに炭素−窒素結合を介して結合されるペプチドは、その結合を切断するプロテアーゼに認識配列を提示して、リンカー単位の断片化をもたらし、それにより、合成物の結合体化合物からNAMPTi化合物またはその誘導体の放出が生じる。時折、認識配列は、NAMPTi化合物またはその誘導体を所望の作用部位に適切に送達するという目的のために、リガンド単位による異常細胞の標的化に起因して正常細胞と比べてリガンド薬物結合体が好ましく接近する異常細胞に存在するかまたは正常細胞と比べて異常細胞によって優先的に産生される細胞内のプロテアーゼによって、選択的に認識される。いくつかの態様において、NAMPTi化合物またはその誘導体の早期の放出を最小限に抑えるがゆえに、放出された化合物への望まれない全身曝露を最小限に抑えるために、そのペプチドは、循環プロテアーゼに抵抗性である。それらの態様のいくつかにおいて、そのペプチドは、その配列順序において1つまたはそれを超える非天然アミノ酸または非古典的アミノ酸を有することにより、その抵抗性を有し得る。そのおよび他の態様において、異常細胞によって生成されるか異常細胞内に存在するプロテアーゼによって特異的に切断されるアミド結合は、時折、アニリド結合であり、ここで、そのアニリドの窒素は、そのような部分に対して先に定義された構造を有する自壊性部分の新生電子供与性ヘテロ原子(すなわち、J’)である。したがって、Wにおけるそのようなペプチド配列に対するプロテアーゼの作用は、PABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位の中央の(ヘテロ)アリーレン部分を介して1,4−または1,6−脱離反応によって生じるリンカー単位の断片化からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出をもたらす。
制御プロテアーゼは、典型的には細胞内に位置し、細胞の維持、増殖または他の細胞内の活性をはじめとした細胞の活性の制御に必要であり、それらの活性は、時折、異常細胞において異常になるかまたは調節不全になる。いくつかの場合において、Wが、その細胞外の存在と比べて細胞内に優先的に存在するプロテアーゼを対象としているとき、そのプロテアーゼは、典型的には、制御プロテアーゼである。いくつかの場合において、それらのプロテアーゼには、カテプシンが含まれる。カテプシンには、セリンプロテアーゼ、カテプシンA、カテプシンG、アスパラギン酸プロテアーゼであるカテプシンD、カテプシンE、およびシステインプロテアーゼであるカテプシンB、カテプシンC、カテプシンF、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL1、カテプシンL2、カテプシンO、カテプシンS、カテプシンWおよびカテプシンZが含まれる。
他の場合において、Wが、異常細胞から遠位にある正常細胞と比べて異常細胞(例えば、過剰に増殖している免疫細胞または過剰に刺激された免疫細胞)の近傍の細胞外に優先的に分布しているプロテアーゼを対象としているとき、その分布は、異常細胞による優先的な排出に起因するか、またはプロテアーゼの排出が過剰に増殖している免疫細胞もしくは過剰に刺激された免疫細胞の環境に特有である付近の細胞による優先的な排出に起因する。それらの場合のいくつかにおいて、プロテアーゼは、メタロプロテアーゼである。典型的には、それらのプロテアーゼは、組織リモデリングに関わり、その組織リモデリングは、過剰に増殖する細胞の侵襲性または過剰に活性化された免疫細胞の望まれない蓄積(これらは、そのような細胞のさらなる動員をもたらすことが多い)を助ける。
本明細書中で使用される「細胞内で切断される」、「細胞内の切断」および同様の用語は、リガンド薬物結合体などに対して生じる、標的化される細胞内の代謝プロセスまたは代謝反応のことを指し、ここで、NAMPT薬物単位と結合体のリガンド単位との間のリンカー単位を介した共有結合が切断されて、標的化される細胞内において、NAMPTi化合物もしくはその誘導体またはその結合体の他の代謝産物が放出される。ゆえに、その切断に由来する部分は、リガンド薬物結合体の細胞内の代謝産物である。
「バイオアベイラビリティ」は、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、患者に投与された所与の量の薬物の全身アベイラビリティ(すなわち、血中/血漿レベル)のことを指す。バイオアベイラビリティは、投与された剤形から全身循環に到達した薬物の時間(速度)と総量(程度)の両方の測定結果を示す絶対語である。
「被験体」は、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、過剰増殖障害、炎症性障害もしくは免疫障害または異常細胞に原因がある他の障害を有するか、またはそのような障害に罹りやすい、有効量のリガンド薬物結合体の投与から恩恵を受け得る、ヒト、非ヒト霊長類または哺乳動物のことを指す。被験体の非限定的な例としては、ヒト、ラット、マウス、モルモット、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、鳥類および家禽が挙げられる。典型的には、被験体は、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウスまたはイヌである。
用語「阻害する」または「〜の阻害」は、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、計測可能な量だけ減少させること、または全体的に望まれない活性もしくは結果を防ぐことを意味する。いくつかの態様において、その(he)望まれない結果または活性は、異常細胞に関係し、過剰増殖または過剰刺激または疾患状態の根底にある他の調節不全の細胞活性を含む。リガンド薬物結合体によるそのような調節不全の細胞活性の阻害は、典型的には、細胞培養物(インビトロ)または異種移植片モデル(インビボ)におけるような好適な試験系において、未処置の細胞(ビヒクルで偽処置された細胞)と比べて測定される。典型的には、目的の異常細胞上に存在しないかもしくは目的の異常細胞上に低コピー数で存在する抗原を標的化するリガンド薬物結合体、または任意の公知の抗原を認識しないように遺伝的に操作されたリガンド薬物結合体を、ネガティブコントロールとして使用する。
用語「治療有効量」は、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、哺乳動物において疾患または障害を処置するのに有効な薬物の量のことを指す。がんの場合において、薬物の治療有効量は、がん細胞数を減少させ得る;腫瘍サイズを減少させ得る;末梢器官へのがん細胞の浸潤を阻害し得る(すなわち、ある程度遅くし得る、好ましくは、停止し得る);腫瘍の転移を阻害し得る(すなわち、ある程度遅くし得る、好ましくは、停止し得る);腫瘍の成長をある程度阻害し得る;かつ/またはがんに関連する1つまたはそれを超える症候をある程度軽減し得る。薬物が、既存のがん細胞の成長を阻害し得、かつ/または既存のがん細胞を殺滅し得る限り、その薬物は、細胞分裂抑制性または細胞傷害性であり得る。がん治療の場合、有効性は、例えば、反応率(RR)および/または全生存(OS)を決定する疾患進行までの期間(TTP)を評価することによって計測され得る。
過剰に刺激された免疫細胞に起因する免疫障害の場合、治療有効量の薬物は、過剰に刺激された免疫細胞の数を減少させ得、別の正常な組織に対するそれらの免疫細胞の刺激および/もしくは浸潤の程度を減少させ得、かつ/または過剰に刺激された免疫細胞に起因する調節不全の免疫系に関連する1つまたはそれを超える症候をある程度軽減し得る。過剰に刺激された免疫細胞に起因する免疫障害の場合、有効性は、例えば、1つもしくはそれを超えるサイトカインレベル(例えば、IL−1β、TNFα、INFγおよびMCP−1に対するレベル)または古典的に活性化されたマクロファージの数を含む1つまたはそれを超える炎症性代理を評価することによって計測され得る。
本発明のいくつかの態様において、リガンド薬物結合体化合物は、標的細胞(すなわち、異常細胞、例えば、過剰に増殖する細胞または過剰に刺激された免疫細胞)の表面上の抗原と会合し、次いで、その結合体化合物は、レセプター媒介性エンドサイトーシスを介して標的細胞の内部に取り込まれる。いったん細胞の内部に入ると、その結合体のリンカー単位内の1つまたはそれを超える切断単位が、切断されて、DをNAMPTi化合物またはその誘導体として放出する。次いで、放出された化合物は、サイトゾル内を自由に遊走でき、細胞傷害活性または細胞分裂抑制活性を誘発できるか、または過剰に刺激された免疫細胞の場合は、代わりに、炎症促進性シグナル伝達を阻害し得る。本発明の別の態様において、NAMPT薬物単位(D)は、遠位部位において早期に放出されるのではなく、標的化される細胞の外側であるが標的化される細胞の近傍内においてリガンド薬物結合体化合物から放出され、放出されたNAMPTi化合物またはその誘導体は、その後、細胞に侵入することができる。
「キャリア」は、別段述べられないかまたは文脈によって暗に示されない限り、化合物とともに投与される、希釈剤、アジュバントまたは賦形剤のことを指す。そのような薬学的キャリアは、液体(例えば、水および油(石油、動物、植物または合成起源の油、例えば、落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油を含む))であり得る。キャリアは、食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイドケイ酸、尿素であり得る。さらに、補助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤および着色剤も使用され得る。1つの実施形態において、化合物または組成物および薬学的に許容され得るキャリアは、被験体に投与されるとき、滅菌される。化合物が静脈内に投与されるとき、水が例示的なキャリアである。食塩水溶液およびデキストロース水溶液およびグリセロール水溶液も、特に、注射可能な溶液のための液体キャリアとして使用され得る。好適な薬学的キャリアには、賦形剤、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水およびエタノールも含まれる。本組成物は、所望であれば、少量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤も含み得る。
「処置する」、「処置」および同様の用語は、文脈によって別段示されない限り、治療的な処置、または再発を防ぐための予防的な措置のことを指し、ここで、その目的は、望まれない生理学的な変化または障害(例えば、がんの発生もしくは転移または慢性炎症による組織損傷)を阻害するかまたは減速させる(和らげる)ことである。典型的には、そのような治療的な処置の有益なまたは所望の臨床結果としては、検出可能であるか検出不可能であるかを問わず、症候の軽減、疾患の程度の低下、疾患状態の安定化(すなわち、悪化させないこと)、疾患進行の遅延または減速、疾患状態の回復または寛解、および緩解(部分的であるか完全であるかを問わない)が挙げられるが、これらに限定されない。この用語は、処置を受けない被験体の予想される生存時間または生活の質と比べて、被験体の生存時間を延ばすことまたは生活の質(quality of like)を高めることも意味し得る。処置を必要とする者には、症状または障害をすでに有している者ならびに症状または障害を有する傾向がある者が含まれる。
がんまたは慢性炎症に関係する疾患状態の文脈において、その用語は、腫瘍細胞、がん細胞または腫瘍の成長を阻害すること;腫瘍細胞またはがん細胞の複製を阻害すること、腫瘍細胞またはがん細胞の内転移を阻害すること、全腫瘍量を減らすかまたはがん性細胞の数を減少させること、炎症促進性免疫細胞の複製または刺激を阻害すること、調節不全の免疫系の慢性の炎症状態を阻害するかもしくは減少させるかまたは自己免疫性の症状もしくは疾患を有する被験体が経験する発赤の頻度および/もしくは強度を低下させること、あるいはがんまたは過剰に免疫が刺激された疾患もしくは症状に関連する1つもしくはそれを超える症候を回復させることのうちのいずれかまたはすべてを含む。
「塩の形態」は、本明細書中で使用されるとき、文脈によって別段示されない限り、全体的に中性の種を形成するように、対カチオンおよび/または対アニオンとのイオン会合において帯電した化合物のことを指す。したがって、塩の形態には、対アニオンとのイオン会合において、プロトン化した形態の化合物が含まれる。そのような塩の形態は、同じ化合物内の塩基性官能基と酸性官能基との相互作用から生じ得るか、または負に帯電した分子(例えば、酢酸イオン、コハク酸イオンまたは他の対アニオン)の包含を伴い得る。いくつかの態様において、塩の形態の化合物は、親化合物の塩基性官能基または酸性官能基と、それぞれ外部の酸または塩基との相互作用を介して生じる。他の態様において、対アニオンと会合した化合物の帯電した原子は、親化合物の構造的完全性を変化させずに中性種への自発的な解離は生じることができないという意味において、永続する。対イオンは、親化合物上で逆の電荷を安定化させる、帯電した任意の有機または無機部分であり得る。さらに、塩の形態の化合物は、その構造の中に1つより多い帯電した原子を有し得る。親化合物の複数の帯電した原子が、塩の形態の一部である場合、その塩の形態の化合物は、複数の対イオンを有し得る。ゆえに、塩の形態の化合物は、1つもしくはそれを超える帯電した原子および/または1つもしくはそれを超える対イオンを有し得る。
四級化された窒素原子を含まない塩の形態の化合物は、典型的には、化合物の塩基性官能基(例えば、第一級、第二級もしくは第三級アミンまたは他の塩基性アミン官能基)が、その塩基性官能基のプロトン化のために好適なpKaの有機酸または無機酸と相互作用するとき、または好適なpKaを有する化合物の酸性官能基(例えば、カルボン酸)が、水酸化物塩(例えば、NaOHまたはKOH)または酸性官能基の脱プロトン化のために好適な強度の有機塩基(例えば、トリエチルアミン)と相互作用するとき、得られる。いくつかの態様において、塩の形態の化合物は、少なくとも1つの塩基性アミン官能基を含むので、酸付加塩が、このアミン基と形成され得、そのアミン基には、環式または非環式の塩基性単位の塩基性(basis)アミン官能基が含まれる。
「薬学的に許容され得る塩」は、本明細書中で使用されるとき、文脈によって別段示されない限り、その対イオンが、意図された被験体へのその塩の形態の投与にとって許容され得、無機対カチオンおよび無機対アニオンならびに有機対カチオンおよび有機対アニオンを含む、化合物の塩の形態のことを指す。塩基性アミン官能基(例えば、環式または非環式の塩基性単位における塩基性アミン官能基)に対する例示的な薬学的に許容され得る対アニオンとしては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、ベシル酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩))が挙げられるが、これらに限定されない。
典型的には、薬学的に許容され得る塩は、P.H.Stahl and C.G.Wermuth,editors,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Weinheim/Zurich:Wiley−VCH/VHCA,2002に記載されている塩から選択される。塩の選択は、薬物生成物が示さなければならない特性に依存し、それらとしては、意図される投与経路に応じた様々なpH値における適切な水溶解度、取扱いに適した流動特性および低吸湿性(すなわち、相対湿度に対する水吸収)を伴う結晶化度、ならびに加速条件(すなわち、40℃かつ75%相対湿度において貯蔵されたときの分解または固体状態の変化を測定するための条件)下において、凍結乾燥された製剤におけるときのように、化学的安定性および固体状態の安定性を測定することによる、必要とされる貯蔵寿命が挙げられる。
「負荷量」、「薬物負荷量」、「ペイロード負荷量」または同様の用語は、本明細書中で使用されるとき、文脈によって別段示されない限り、LDC合成物のリガンド薬物結合体化合物の集団におけるペイロード(「ペイロード」および「薬物」は、「生物学的に活性な化合物またはその誘導体」と本明細書中で相互交換可能に使用される)の平均数のことを指す。結合体化された薬物を欠く種も含み得るその合成物の薬物負荷量は、リガンド単位1つあたりの結合されたD/D+単位または薬物リンカー部分の分布によって特徴付けられる。他の種としては、リガンド単位1つあたり同じ数のNAMPT薬物単位または薬物リンカー部分を有するが、そのリンカー単位へのそれぞれの薬物リンカー部分の結合部位が異なり、その他の点では、ペプチド配列におけるグリコシル化の変動および変異の差異を可能にするリガンド単位に対する構造を実質的に有するそれらの結合体化合物が挙げられ得る。薬物負荷量は、リガンド単位1つあたり1〜24個の、NAMPT薬物単位(D)またはDを含む薬物リンカー部分の範囲であり得、時折、DAR、すなわち薬物と標的化部分との比と称され、ここで、リガンド薬物結合体の標的化部分は、そのリガンド単位である。本明細書中に記載されるリガンド薬物結合体合成物は、典型的には、1〜24の範囲のDAR値を有し、いくつかの態様では、1〜約10、約2〜約8、約2〜約6、約2〜約5または約2〜約4の範囲である。典型的には、DAR値は、約2、約4、約6、約8または約10である。リガンド薬物結合体合成物のリガンド単位1つあたりの結合体化された薬物の平均数、すなわちDAR値は、従来の手段(例えば、UV/可視分光法、質量分析、ELISAアッセイおよびHPLC)によって特徴付けられ得る。定量的なDAR値も、測定され得る。いくつかの場合において、特定のDAR値を有する均一なリガンド薬物結合体化合物の分離、精製および特徴付けは、逆相HPLCまたは電気泳動を用いる方法によって達成され得る。DARは、リガンド単位としてリガンド薬物結合体に組み込まれる標的化剤上の結合部位の数によって限定され得る。
例えば、標的化剤が、抗体であり、結合部位が、システインチオール官能基であるとき、その抗体は、マイケル付加を起こすように、薬物リンカー化合物などのM1−AR(BU)含有部分のマレイミド環系に対して十分に反応性であるただ1つまたはいくつかを有し得る。時折、システインチオール官能基は、抗体の鎖間ジスルフィド結合に関与したシステイン残基のシステインチオール官能基である。他の場合において、システインチオール官能基は、鎖間ジスルフィド結合に関与せず、遺伝子操作を介して導入された、システイン残基のシステインチオール官能基である。時折、理論上の最大値未満の、NAMPT薬物単位またはこれらの単位を有する薬物リンカー部分が、結合体化反応中に抗体に結合体化される。
I.実施形態
リガンド薬物結合体合成物およびリガンド薬物結合体化合物ならびにそれらの薬物リンカー化合物前駆体およびそれらの中間体が、本明細書中に提供され、ここで、その合成物のリガンド薬物結合体化合物は、過剰に増殖している細胞または過剰に活性化された免疫細胞へのNAMPTi化合物またはその誘導体の優先的な送達が可能であるか、またはそのような異常細胞の近傍へのその化合物またはその誘導体の優先的な送達(これらの異常細胞から遠位にある正常細胞または正常細胞の近傍と比べて、近くの正常細胞への優先的な送達を含む)が可能であり、ゆえに、これらの異常細胞を特徴とする疾患および症状の処置に有用である。
1.1 一般原則:
リガンド薬物結合体は、3つの主要な構成要素を有する:(1)異常細胞もしくは望まれない細胞が通常存在しない正常細胞上、正常細胞内、または正常細胞近傍に存在する他の部分と比べて、これらの異常細胞または他の望まれない細胞の細胞上、細胞内または細胞近傍に存在する標的化される部分に選択的に結合する標的化剤を組み込んでいるリガンド単位(ここで(or)、標的化される部分は、異常細胞または他の望まれない細胞の細胞上、細胞内または細胞近傍において、正常細胞、または異常細胞もしくは望まれない細胞が通常存在しない正常細胞の環境と比べて、より多いコピー数で存在する)、(2)NAMPTi化合物またはその誘導体の構造を組み込んでいる薬物単位(D)、および(3)Dとリガンド単位とを相互接続し、DをNAMPTi化合物またはその誘導体として条件的に放出することができる、リンカー単位(ここで、前記放出は、好ましくは、異常細胞内もしくは異常細胞の近傍、または異常細胞の部位から遠位にある正常細胞とは異なって異常細胞の環境に特有の標的化された正常細胞内もしくは標的化された正常細胞の近傍における放出である)。
本発明において使用されるNAMPTi化合物またはその誘導体は、細胞内のNAMPTを阻害することによって、哺乳動物細胞に対して生物学的効果(例えば、細胞傷害効果または細胞分裂抑制効果)を主にまたは選択的に発揮するNAMPTi化合物またはその誘導体である。いくつかの実施形態において、NAMPT化合物またはその誘導体は、NAMPTのニコチンアミド結合部位と競合的に競合し、これらの場合、その酵素によるホスホ−リボシル化を受けて、モノヌクレオチドが形成され得る。理論に拘束されるものではないが、そのように形成されたモノヌクレオチド代謝産物は、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)よりもゆっくりNAMPTから放出され得るので、その酵素の生成物阻害が引き起こされ、かつ/または放出されたら、NMNからNADへの変換におけるニコチンアミドモノヌクレオチドアデニリルトランスフェラーゼ(NMNAT)を阻害し得る。NADサルベージ経路のそれらの工程のいずれかにおける阻害は、対応するNAMPT薬物単位を有するリガンド薬物結合体化合物によって標的化された細胞からの流出を阻害する、5’−リン酸基に起因するモノヌクレオチド代謝産物の細胞内の捕捉に起因して、より延長され得る。
いくつかの態様において、結合体の標的化リガンド単位によって認識される標的化部分は、細胞外に提示される膜タンパク質のエピトープであり、正常細胞と比べて異常細胞上または望まれない細胞上に優先的に見られる。異常細胞(すなわち、標的化される細胞)に対する特異性は、リガンド薬物結合体のリガンド(L)単位に起因する。いくつかの実施形態において、リガンド単位は、抗体のリガンド単位であり、その場合、その抗体は、例示的な標的化剤であり、そのリガンド単位は、その抗体が異常な哺乳動物細胞を認識する能力を実質的に保持する。そのようなリガンド単位は、時折、抗体リガンド単位と称される。
いくつかの実施形態において、有効量のNAMPTi化合物を細胞内に送達して、細胞傷害性、細胞分裂抑制、免疫抑制性または抗炎症性の効果を発揮するために、リガンド単位によって標的化される膜タンパク質は、十分なコピー数を有すること、およびリガンド薬物結合体化合物がそのリガンド単位を介して結合すると内部移行されることが好ましい。
薬物単位に組み込むためのNAMPTi化合物またはその誘導体は、結合体化されていない形態で投与されたとき、有害な末梢効果を示し得る。そのような化合物は、リガンド薬物結合体におけるNAMPT薬物単位の形態であるとき、選択的な送達のおかげで、より良く耐容性を示し得る。この目的のために、リガンド薬物結合体のリンカー単位は、標的化リガンド単位とNAMPT薬物単位との間の架橋として働く単なる受動的な構造ではなく、NAMPT薬物単位の早期の放出を防ぐために、リガンド薬物結合体の投与部位から標的化される部位への送達まで、十分な安定性を有するように慎重に操作されなければならず、そしてそれを遊離NAMPTi化合物またはその誘導体として効率的に放出するべきである。このタスクを達成するために、反応性チオールまたはチオール含有官能基を有する標的化剤は、好ましくは、M1−AR(BU)−AO−との式を含む薬物リンカー化合物のLSS含有部分と反応して、リガンド薬物結合体内にM2−AR(BU)−AO−との式を含むLSS含有部分を形成し、それは、制御された加水分解条件下において、M3−AR(BU)−AO−との式(式中、BUは、環式または非環式の塩基性単位であり、M1、M2およびM3は、それぞれマレイミド、スクシンイミドおよびコハク酸アミド部分であり、ARは、必須のストレッチャー単位であり、AOは、第2の必要に応じてのストレッチャー単位である)を含むLS含有部分に変換可能である。したがって、好ましいリガンド薬物結合体は、標的化リガンド単位、NAMPT薬物単位、および1次リンカー(LR)としてLSSまたはLSを有する介在性リンカー単位を含み、ここで、LRは、リガンド単位に結合され、かつDに直接または2次リンカー(LO)を介して結合され、LOの1つの構成要素が、LRに結合され、LOの同じまたは異なる構成要素が、Dに結合される。
1.1 塩基性単位(BU)を有する1次リンカー(LR):
1次リンカー(LR)は、リガンド薬物結合体、薬物リンカー化合物または他の中間体のリンカー単位の構成要素であり、好ましくは、環式または非環式の塩基性単位を有するので、自己安定化するリンカー(LSS)または自己安定化したリンカー(LS)としてLRを定義する。そのようなリガンド薬物結合体において、LRは、LRがLSSであるときはスクシンイミド(M2)部分を介してまたはLRがLSであるときはコハク酸アミド(M3)部分を介してリガンド単位に結合される(ここで、後者の1次リンカーは、その塩基性単位(BU)によって媒介されるM2部分の加水分解に由来する)か、またはLRは、薬物リンカー化合物または他の中間体では、標的化剤の反応性チオール官能基と、LRとしてのLSSのマレイミド(M1)部分との相互作用を介してその結合が可能である。
1.1.1 非環式塩基性単位
いくつかの実施形態において、LR−は、M1−AR(BU)−AO−との式(式中、BUは非環式塩基性単位である)を有する薬物リンカー化合物におけるLSS部分である。AOが加水分解増強(HE)単位であるその式の例示的なLSS1次リンカーは、式I:
における下部構造によって表され、式中、表示されているM1部分は、マレイミド部分であり、BUは、非環式塩基性単位であり、波線は、LOが存在しない場合は−Dへの共有結合、またはLOが存在する場合は−LO−Dへの共有結合を示し、RMは、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、HEは、必要に応じての加水分解増強単位であり、Ra2は、水素または必要に応じて置換されたC1−C8アルキルである。非環式塩基性単位は、典型的には、そのラジカル中心の一方がRa2と同じ炭素に結合される、必要に応じて置換されたC1−C6アルキレンを含み、ここで、その炭素は、M1部分のイミド窒素に対してアルファ位に存在し、他方のラジカル中心は、BUの塩基性アミン官能基に結合される。塩基触媒によるマレイミド環系の早期の加水分解を回避するために、塩基性アミン官能基の塩基性窒素は、典型的には、塩の形態としてプロトン化されているか、または塩基性アミン官能基の塩基性アミンは、酸不安定保護基で保護され、脱保護によって、プロトン化されたBUがもたらされる。早期の加水分解を妨げるための前者のストラテジーの場合、塩基性官能基の塩基性アミンは、第一級、第二級または第三級アミンであり得る一方で、後者のストラテジーの場合、塩基性官能基の塩基性アミンは、第一級または第二級アミンであり得る。
薬物リンカー化合物におけるM1−AR(BU)−との式のLSS部分は、標的化剤の反応性チオール官能基と相互作用すると、以下の下部構造:
(ここで、AOとしてのHEは、加水分解増強単位であり、表示されているM2部分は、スクシンイミド部分であり、その部分は、L−S−でチオ置換されており;Lは、標的化剤を組み込んでいるかまたはそれに対応するリガンド単位であり、表示されている(#)硫黄原子は、標的化剤の反応性チオールまたはチオール含有官能基に由来し;波線は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはDへの共有結合の部位を示し;BUは、非環式塩基性単位であり、残りの可変基は、BUが非環式塩基性単位である上記の対応するM1−AR(BU)−下部構造に対して定義されたとおりである)によって例証されるような式1のリガンド薬物結合体のLに結合された薬物リンカー部分においてL−M2−AR(BU)−AO−との式のL−LSS−下部構造に変換される。
上記のL−M2−AR(BU)−AO−下部構造を有するL−LSS−部分は、非環式塩基性単位によって媒介される制御された加水分解をスクシンイミド環系が受けると、以下の下部構造:
(ここで、式2のリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物の薬物リンカー部分は、Lに結合された単一の上記のLS1次リンカーを有すると表され得るかまたは両方の混合物を有すると表され得、それらは集合的に、L−M3−AR(BU)−AO−と称され、ここで、BUは、非環式塩基性単位であり、残りの可変基は、M2含有前駆体に対して先に定義されたとおりであり、表示されているM3AおよびM3B部分は、L−S−によってチオ置換されたコハク酸アミド(M3)部分であり、結合体化合物混合物への上記のL−M3A−AR(BU)−AO−およびL−M3B−AR(BU)−AO−の構成物の寄与は、塩基によって触媒される加水分解に対するL−M2−AR(BU)−AO−前駆体のコハク酸(M2)部分のスクシンイミド環系の2つのカルボニル炭素の相対的な反応性に依存する)によって例証されるようなLS含有部分を有する下部構造に変換される。
好ましい実施形態において、上記のM1−AR(BU)−AO−、L−M2−AR(BU)−AO−およびL−M3−AR(BU)−AO−下部構造のいずれか1つにおけるRa2は、−H、−CH3、−CH2CH3または−CH2CH2CH3である。他の好ましい実施形態において、それらの構造のいずれか1つにおけるAOとしての[HE]は、−C(=O)−である。それらの実施形態のいずれか1つにおいて、BUは、好ましくは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]x−N(Ra3)(Ra3)との式を有し、式中、下付き文字xは、0、1、2または3であり、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルもしくは窒素保護基であるか、またはそれらと結合している窒素原子と一体となって、C3−C6ヘテロシクロアルキルを規定するか、または両方のRa3が一体となって、窒素保護基を規定する。
より好ましい実施形態において、非環式BUは、式−(CH2)xNH2、−(CH2)xNHRa3または−(CH2)xN(Ra3)2との式であり、式中、下付き文字xは、1〜4の範囲の整数であり、1または2が特に好ましく;Ra3は、各場合において、独立して、水素、−CH3または−CH2CH3であるか、または両方のRa3が、それらと結合している窒素と一体となって、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルヘテロシクリルを規定し、ここで、そのように定義される第一級、第二級または第三級塩基性アミンは、必要に応じてプロトン化されているか、または塩の形態、好ましくは、薬学的に許容され得る塩の形態である。
それらのより好ましい実施形態のいくつかにおいて、Ra2は、水素であり、このおよび上記の実施形態のいずれかにおいて、−CH2−NH2または−CH2CH2−NH2の構造を有する非環式BUが、特に好ましい。Ra2が水素であり、非環式塩基性単位が−CH2−NH2である式2のリガンド薬物結合体は、BUが環式塩基性単位である対応する結合体に対する対照物として使用され得、その環式塩基性単位の構造は、ARの構造に組み込まれ、上記のLSSまたはLS構造のいずれか1つにおける非環式BUとRa2との環化によって形式的に導かれ、ここで、Ra2は、本明細書中に記載されるような水素以外である。それらのより好ましい実施形態のいずれか1つにおいて、RMは、好ましくは、水素またはC1−C4アルキルであり、より好ましくは、水素である。
特に好ましい実施形態において、非環式塩基性単位を有するLSSおよびLSS1次リンカーは、式I内において、および式1の薬物リンカー部分に結合されたリガンド単位に対して、それぞれ以下の下部構造:
によって表され、ここで、Ra3は、好ましくは、水素、C1−C4アルキルまたは窒素保護基であり、Ra3と結合している塩基性窒素原子は、Ra3が、水素、C1−C4アルキルであるとき、必要に応じてプロトン化されているか、または薬学的に許容され得る塩である。
それらのLSS1次リンカーの制御された条件下での環式塩基性単位による加水分解に由来するLS1次リンカーは、式2の薬物リンカー部分に結合されたリガンド単位に対して、以下の下部構造:
によって例証され、ここで、チオ置換基L−S−は、コハク酸(M3)アミド部分のカルボン酸官能基またはアミド官能基に対してアルファ位の炭素に結合されるか、または2つの位置異性体の混合物であり、Ra3は、水素、C1−C4アルキルまたは窒素保護基であり、Ra3と結合している塩基性窒素原子は、Ra3が、水素、C1−C4アルキルであるとき、必要に応じてプロトン化されているか、または薬学的に許容され得る塩の形態である。
特に好ましい実施形態において、Ra3は、水素であり、Ra3と結合している塩基性窒素原子は、プロトン化されているか、もしくは薬学的に許容され得る塩の形態であるか、またはRa3は、−C(=O)O−t−Bu(BOC)である。
1.1.2 環式塩基性単位
上で述べたように、環式塩基性単位を有する、LSS部分またはL−LSSもしくはL−LS−下部構造は、いくつかの実施形態において、上記のM1−AR(BU)−AO−、L−M2−AR(BU)−AO−およびL−M3−AR(BU)−AO−式のいずれか1つに対応し、式中、Ra2は、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、これらは、式I内において、および式1内のLに結合した薬物リンカー部分内において、それぞれ以下の下部構造:
によって例証され、式2の薬物リンカー部分に結合されたリガンド単位に対して、以下の下部構造:
によって例証され、ここで、BUは、実線の曲線によって示されるようにRa2に環化され、残りの可変基は、環式塩基性単位を提供するように、BUが非環式である対応するLSSおよびLS部分において定義されたとおりである。
好ましくは、環式BUの塩基性窒素は、Ra2が水素であり、BUが存在しない、対応する結合体と比べて、式1の示されているスクシンイミド(M2)部分の加水分解の速度を高めることができることにより、好適なpHにおいて、式2の示されているコハク酸アミド(M3)部分を提供する。より好ましくは、BUが非環式塩基性単位である対応する結合体を提供する加水分解の増強は、非環式BUに形式的に由来する非環式塩基性単位を有する結合体によって実質的に保持される。
形式的には、1つの群の実施形態における環式塩基性単位は、対応するスピロC4−C12ヘテロシクロ(ここで、そのラジカル窒素原子は、そのヘテロシクロの塩基性骨格ヘテロ原子になることによって、第二級または第三級塩基性アミンがもたされる)を形成するように、非環式塩基性単位の第一級または第二級塩基性アミン官能基の塩基性窒素原子から水素原子を除去し、Ra2の必要に応じて置換されたC1−C12アルキル炭素鎖における炭素から水素原子を除去することにより、アルキレン部分が形成され、次いで、それらのラジカル中心においてその塩基性アミノとアルキレン部分とを結合させることによって得られる、環式塩基性単位を含む。
好ましくは、スピロC4−C12ヘテロシクロの塩基性骨格窒素原子は、M1/M2のイミド窒素から1または2炭素原子離れており、ゆえに好ましくは、M2の制御された加水分解の後に、M3の対応するアミド窒素から同じ数の炭素原子だけ離れている。
BUが、BUの塩基性アミン官能基の塩基性窒素原子が骨格原子であるスピロヘテロシクロを有する環式塩基性単位であるLSSまたはLSS1次リンカーは、式I内において、および式1の薬物リンカー部分に結合されたリガンド単位に対して、下付き文字pが1である存在に対して例証されるとき、それぞれ以下の下部構造:
によって例証され、LS1次リンカー(ここで、BUは、塩基性アミン官能基の塩基性窒素が骨格原子であるスピロヘテロシクロを有する環式塩基性単位である)は、式2の薬物リンカー部分に結合されるリガンド単位に対して、以下の下部構造:
によって例証され、ここで、RMは、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり;下付き文字Pは、1または2であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;Ra3は、−H、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキレンであり、Ra3に結合された塩基性窒素は、必要に応じてプロトン化されているか、または塩の形態、好ましくは、薬学的に許容され得る塩の形態であるか、またはRa3は、窒素保護基(例えば、好適な酸不安定保護基)であり、残りの可変基は、対応する非環式塩基性単位を有するLSSおよびLS1次リンカーに対して先に定義されたとおりである。好ましい実施形態において、下付き文字Pは、1であり、下付き文字Qは、1、2または3であるか、または下付き文字Pは、2であり、下付き文字Qは、1または2である。
第一級または第二級アミンの塩基性アミン窒素に適した酸不安定保護基としては、−C(=O)O−t−Bu(BOC)が挙げられる。BUが環式塩基性単位である上記の構造のいずれか1つにおいて、[HE]は、好ましくは−C(=O)−である。それらの好ましい実施形態のいずれか1つにおいて、RMは、好ましくは、水素またはC1−C4アルキル、より好ましくは、水素である。
より好ましい実施形態において、環式塩基性単位を有するLSSおよびLSS1次リンカーは、式I内において、および式1の薬物リンカー部分に結合されるリガンド単位に対して、それぞれ以下の下部構造:
によって例証される。
それらのLSS含有部分の、制御された条件下での環式塩基性単位による加水分解に由来するLS1次リンカーは、下付き文字pが1である式2の存在に対して、式2の下部構造:
によって例証され、式中、チオ置換基L−S−は、コハク酸(M3)アミド部分のカルボン酸官能基もしくはアミド官能基に対してアルファ位の炭素に結合されるか、または2つの位置異性体の混合物である。特に好ましい実施形態において、Ra3は、水素であり、そのように定義される第二級アミンは、プロトン化されているか、もしくは薬学的に許容され得る塩の形態であるか、またはRa3は、−C(=O)O−t−Bu(BOC)である。
1.2 2次リンカー(LO):
リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物またはその中間体のリンカー単位における2次リンカーは、1次リンカー(LR)とNAMPT薬物単位(D)との間に位置する必要に応じての有機部分である。2次リンカー(LO)は、存在するとき、DをNAMPTi化合物またはその誘導体として放出するように、酵素処理または非酵素処理に供される。いくつかの実施形態において、切断可能単位がLOに存在することにより、その処理が可能になる。好ましい実施形態において、式1、式2または式Iにおいて、下付き文字wが1であるとき、Wは、ペプチド切断可能単位であり、LOは、プロテアーゼによる酵素処理のための切断部位を提供することにより、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのDの放出を惹起する。それらの実施形態のいくつかにおいて、スペーサー単位は、Wと薬物単位との間に介在し、式1、式2または式Iにおいて、下付き文字yは、1または2であり、Wに結合したYyのYは、PABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位である。他の好ましい実施形態において、下付き文字wが、式1、式2または式Iにおいて1であるとき、Wは、式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、式中、W’は、グリコシド結合を介して自壊性スペーサー単位(Y)に結合される炭水化物部分であり、ここで、その結合は、グリコシダーゼによるLOの酵素処理がNAMPTi化合物またはその誘導体としてのDの放出を惹起することを可能にする。
いくつかの実施形態において、Wは、過剰に増殖する細胞、過剰に活性化された免疫細胞または他の異常細胞の細胞内または細胞近傍に存在するプロテアーゼに基質を提供するペプチド切断可能単位である。標的化される異常細胞の部位から遠位にある正常細胞によって排出され得るプロテアーゼによって認識されないかまたは不十分にしか認識されないペプチド切断可能単位が、好ましい。他の好ましいペプチド切断可能単位は、薬物単位として結合体化されたNAMPTi化合物またはその誘導体の全身曝露をもたらし得る、リガンド薬物結合体からの薬物単位の非標的化放出を最小限に抑えるために、体循環しているプロテアーゼによって認識されないかまたは不十分にしか認識されない。制御プロテアーゼであるプロテアーゼ、またはリガンド薬物結合体化合物のリガンド単位が特異的に結合した膜表面レセプターの内部移行の際にリガンド薬物結合体が時折送達される細胞内コンパートメントであるリソソームに見られるプロテアーゼによって基質として認識されるペプチド切断可能単位が、より好ましい。制御プロテアーゼおよびリソソームプロテアーゼは、例示的な細胞内プロテアーゼである。
1つの実施形態において、2次リンカー内のペプチド切断可能単位(W)は、以下の構造:
を有するジペプチド部分を含むかまたはそれからなり、ここで、波線は、2次リンカーを含むリンカー単位内の共有結合の部位を示し、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
R34は、
との構造を有し、ここで、波線は、ジペプチド骨格への共有結合の部位を示し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2または−(CH2)2CO2Hであり、そのジペプチド部分は、プロテアーゼ、好ましくは、制御プロテアーゼまたはリソソームプロテアーゼに認識部位を提供する。
好ましい実施形態において、ジペプチドは、バリン−アラニン(val−ala)である。別の実施形態において、Wは、ジペプチドであるバリン−シトルリン(val−cit)を含むかまたはそれからなる。別の実施形態において、Wは、ジペプチドであるトレオニン−グルタミン酸(thr−glu)を含むかまたはそれからなる。それらの実施形態のいずれか1つにおいて、ジペプチド部分は、アミド結合(すなわち、カルボニル−窒素結合)を介して自壊性スペーサー単位(Y)の自壊性部分に共有結合されている。それらの実施形態のいくつかにおいて、そのアミド結合は、アラニンまたはシトルリンのカルボン酸官能基のカルボニル炭素と必要に応じて置換されたアミンとの間に存在し、そのアミンの窒素原子は、PABまたはPAB型の自壊性部分の必要に応じて置換された中央の(ヘテロ)アリーレンに結合される。他の好ましい実施形態において、そのアミド結合は、グルタメートのアルファカルボン酸官能基のカルボニル炭素と必要に応じて置換されたアミンとの間に存在し、そのアミンの窒素原子は、PABまたはPAB型の自壊性部分における必要に応じて置換された中央の(ヘテロ)アリーレンに結合される。したがって、それらの実施形態において、自壊性部分は、ジペプチド部分の上述のカルボン酸官能基がその(ヘテロ)アリールアミン部分に結合されたアミノ窒素とのアニリド結合を介して結合している自壊性スペーサー単位の必要に応じて置換されたアリールアミンまたはヘテロアリールアミン部分を含む。
別の実施形態において、切断可能単位は、2次リンカー内の式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、グリコシダーゼに対する認識部位を有するグリコシド結合した炭水化物部分(W’)を含む。好ましい実施形態において、グリコシダーゼは、そのグルクロニド単位を含むリガンド薬物結合体によって標的化される細胞の細胞内に位置する。それらの実施形態において、W’は、グリコシドのヘテロ原子(E’)に結合された炭水化物部分(Su)であり、ここで、SuとE’との間の結合は、グリコシド結合であり、Su−E’は、グリコシダーゼによるその結合の切断のための認識部位を提供する。それらの実施形態において、W’は、好ましくは、
との構造を有し、ここで、R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり、E’は、炭水化物部分(Su)および自壊性スペーサー単位Yの自壊性部分に結合される(波線によって示されるような)ヘテロ原子部分(例えば、−O−、−S−または必要に応じて置換された−NH−)であり、その炭水化物部分への結合は、グリコシダーゼに対する認識部位を提供する。好ましくは、その部位は、リソソームグリコシダーゼによって認識される。いくつかの実施形態において、グリコシダーゼは、グルクロニダーゼであり、これにより、R45は、−CO2Hである。
いくつかの好ましい実施形態において、2次リンカー(LO)は、Wとしてのペプチド切断可能単位に加えて、1つまたは2つのスペーサー単位(YまたはY−Y’)および第1のストレッチャー単位(A)も含む。他の好ましい実施形態において、LOは、Wとしてのペプチド切断可能単位に加えて、第1のストレッチャー単位(A)も含むが、スペーサー単位を有しない。それらの実施形態のどちらにおいても、Aまたはそのサブユニットは、−LP(PEG)−である。他の好ましい実施形態において、切断可能単位としてのグルクロニド単位に加えて、LOは、第1のストレッチャー単位(A)を含み、さらなるスペーサー単位(Y’)をさらに含み得る。Wが、ペプチド切断可能単位であるとき、A、WおよびYは、(1a)の−LO−D構造内に示されるように、Dに対して直線関係で配置される。Wが、式−Y(W’)−を有するグルクロニド単位であるとき、A、W’およびY/Y’は、(1b)の−LO−D構造内に示されるように、Dに対して直交関係で配置される。
どちらの構造における波線も、リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物におけるLRへの共有結合の部位を示し、下付き文字aは、0または1であり、下付き文字wは、1であり、下付き文字yは、0、1または2であり、Y’は、自壊が可能であってもよいし可能でなくてもよい必要に応じての第2のスペーサー単位であり、両方の式において、Yは、自壊性スペーサー単位である。aが1であるとき、Aの前の波線は、LOサブユニットと1次リンカー(LR)、好ましくは、LRとしてのLSSまたはLSとの共有結合を示す。下付き文字aが0であるとき、その波線は、式1aにおけるペプチド切断可能単位によるLRへの共有結合または式1bのグルクロニド単位のYへの共有結合を示す。
好ましい実施形態において、下付き文字aは、式(1a)または(1b)において1である。それらの実施形態のいくつかにおいて、Aに共有結合される−AOも存在する。それらの好ましい実施形態のいくつかにおいて、Aまたはそのサブユニットは、−LP(PEG)−である。式(1a)の他の好ましい実施形態において、下付き文字yは、2であり、D(Y’)に結合されたスペーサー単位は、自壊が可能であるメチレンカルバメート(MAC)単位であり、Y’に結合されたスペーサー単位(Y)も、自壊が可能である。式(1a)の他の好ましい実施形態において、下付き文字yが2であるとき、Dに結合されるスペーサー単位は、自壊が可能であるがゆえに第2の自壊性スペーサー単位(Y’)であるカルバメート官能基であり、Y’に結合されるスペーサー単位も、自壊が可能であるがゆえに第1の自壊性スペーサー単位(Y)である。他の好ましい実施形態において、−LO−Dは、式(1b)の構造を有し、ここで、Y’は、存在し、−Y(W’)−は、グルクロニド単位であり、Yは、自壊性スペーサー単位であり、Y’は、カルバメート官能基またはメチレンカルバメート単位であり、この両方が、自壊が可能である。式(1a)または式(1b)のそれらの好ましい実施形態のどちらか1つにおいて、WまたはW’に結合されたスペーサー単位(Y)は、PABまたはPAB型の自壊性部分を含む自壊性スペーサー単位である。
式(1a)のLOにおいて下付き文字wが1であるいくつかの実施形態において、下付き文字yは、0であり、Dは、NAMPTi化合物またはその誘導体の尾部単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子を介してWに直接結合され、そのヘテロ原子は、いくつかの実施形態において、Xbと呼称され、Xbは、好ましくは、−NH、OまたはSである。それらの実施形態において、式1、式および式IのYyは、Xbによって置き換えられ、W−Xb結合は、DをNAMPTi化合物またはその誘導体として放出するプロテアーゼによって切断可能である。好ましい実施形態において、Dは、尾部単位を介して結合され、W−Xb結合のプロテアーゼ切断から生じるNAMPTi化合物またはその誘導体は、H−Xb−TN−IN−DA−HNとの式を有し、式中、可変基TN、IN、DAおよびHNは、NAMPTi化合物またはNAMPT薬物単位の実施形態に対して定義されたとおりである。式(1a)のLOにおいて下付き文字wが1である他の実施形態において、下付き文字yは、1であり、Dは、Yを介してLOに結合され、Dに結合されたYは、自壊を起こさないスペーサー単位または必要に応じて置換された官能基であり、それは、いくつかの実施形態において(is some embodiments)、NAMPTの生物学的に活性な阻害剤として放出されたとき、Dを伴ったままである。それらの実施形態において、W−Y結合は、Y−Dを放出するプロテアーゼによって切断可能であり、そのY−Dは、それ自体でNAMPTの阻害剤であり得るか、またはさらなる酵素処理または非酵素処理を受けて、DをNAMPTi化合物またはその誘導体として放出し得る。式(1a)のLOにおいて下付き文字wが1であるなおも他の実施形態において、下付き文字yは、2であり、Dは、YおよびY’構成要素を介してLOに結合され、Dに結合されたY’は、自壊を起こさないスペーサー単位または必要に応じて置換された官能基であり、それは、いくつかの実施形態において、NAMPTi化合物またはその誘導体として放出されたとき、Dを伴ったままである。それらの実施形態において、W−Y結合は、Y−‘Y−Dを放出するプロテアーゼによって切断可能であり、そのY−‘Y−Dは、それ自体でNAMPTの阻害剤であり得るか、またはさらなる酵素処理もしくは非酵素処理を受けて、Y’−DもしくはDをNAMPTi化合物もしくはその誘導体として放出し得る。
式(1b)のLOにおいて下付き文字wが1であるいくつかの実施形態において、下付き文字yは、1であり、Dは、Yに直接結合される。それらの実施形態において、W’−Y結合は、DをNAMPTi化合物またはその誘導体として放出するグルコシダーゼによって切断可能である。式(1b)の他の実施形態において、下付き文字yは、2であり、Dは、YおよびY’の仲介を介してLOに結合され、Dに結合したY’は、自壊を起こさないスペーサー単位または必要に応じて置換された官能基であり、それは、いくつかの実施形態において、NAMPTi化合物またはその誘導体として放出されたとき、Dを伴ったままである。それらの実施形態において、W’−Y結合は、Y’−Dを放出するグルコシダーゼによって切断可能であり、そのY’−Dは、それ自体でNAMPTの阻害剤であり得るか、またはさらなる酵素処理もしくは非酵素処理を受けて、DをNAMPTi化合物もしくはその誘導体として放出し得る。
下付き文字yが2である式(1a)または式(1b)に対するなおも他の実施形態において、WまたはW’に結合したYとDに結合したY’との両方が、それぞれW−YまたはW’−Y結合が切断されたとき、連続的な自壊を起こして、DをNAMPTi化合物またはその誘導体として放出する、自壊性スペーサー単位である。それらの実施形態のいくつかにおいて、Yは、PABまたはPAB型の自壊性部分を含み、Y’は、本明細書中で定義されるようなメチレンカルバメート(MAC)単位またはカルバメート官能基である。
LOにおけるいくつかの例示的なA/AO、WおよびY部分の構造ならびにそれらの置換基は、WO2004/010957、WO2007/038658、米国特許第6,214,345号、同第7,498,298号、同第7,968,687号および同第8,163,888号、ならびに米国特許出願公開第2009−0111756、同第2009−0018086および同第2009−0274713に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書中に明確に援用される。
いくつかの実施形態において、Aまたはそのサブユニットは、
との構造を有し、ここで、波線は、リンカー単位の残部内の共有結合を示し、どちらの構造のカルボニル部分に対する波線も、Wを含むジペプチド部分のアミノ末端への共有結合の部位を表し、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり、A、WおよびYは、Dに対してまたは本明細書中に記載される自壊性スペーサー単位の自壊性部分に対して直鎖状に配置され、ここで、Wは、W’がYおよびAに結合されたグルクロニド単位であり、W’およびYは、Dに対して直交で配置され、どちらの構造のアミノ部分に対する波線も、Aの別のサブユニットのカルボニル含有官能基への共有結合、または好ましくはAOを介したLRへの共有結合の部位を表し;
KおよびL’は、独立して、C、N、OまたはSであるが、但し、KまたはL’が、OまたはSであるとき、Kに対するR41およびR42またはL’に対するR43およびR44は、存在せず、KまたはLが、Nであるとき、Kに対するR41、R42の一方またはL’に対するR42、R43の一方は、存在しないが、但し、隣接する2つのL’は、独立して、N、OまたはSとして選択されず;
下付き文字eおよびfは、0〜12の範囲の、独立して選択される整数であり、下付き文字gは、1〜12の範囲の整数であり:
Gは、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、−OH、−ORPR、−CO2H、CO2RPR(ここで、RPRは、好適な保護である)、−N(RPR)(RPR)(ここで、RPRは、独立して、保護基であるか、またはRPRは、一体となって、好適な保護基を形成する)または−N(R45)(R46)(ここで、R45、R46の一方は、水素またはRPRであり、RPRは、好適な保護基であり、他方は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである)であり;
R38は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり;R39〜R44は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたアリールまたは必要に応じて置換されたヘテロアリールであるか、またはR39とR40の両方は、それらと結合している炭素と一体となって、C3−C6シクロアルキルを構成するか、またはR41、R42は、KがCであるとき、それらと結合しているKと一体となって、またはR43、R44は、L’がCであるとき、それらと結合しているL’と一体となって、C3−C6シクロアルキルを構成するか、またはR40およびR41またはR40およびR43またはR41およびR43は、それらと結合している炭素またはヘテロ原子ならびにそれらの炭素および/またはヘテロ原子の間に介在している原子と一体となって、5または6員のカルボシクロまたはヘテロシクロを構成するが、但し、KがOまたはSであるとき、R41およびR42は、存在せず、KがNであるとき、R41、R42の一方は、存在せず、L’がOまたはSであるとき、R43およびR44は、存在せず、L’がNであるとき、R43、R44の一方は、存在しない。
いくつかの実施形態において、式(3)または式(4)のR38は、水素である。他の実施形態において、−K(R41)(R42)は、−(CH2)−である。他の実施形態において、下付き文字eが、0でないとき、R39およびR40は、各存在において水素である。他の実施形態において、下付き文字fが、0でないとき、−L(R43)(R44)−は、各存在において−CH2−である。
好ましい実施形態において、Gは、−CO2Hである。他の好ましい実施形態において、Kおよび/またはLは、Cである。他の好ましい実施形態において、下付き文字eまたはfは、0である。なおも他の好ましい実施形態において、下付き文字e+fは、1〜4の範囲の整数である。
いくつかの実施形態において、AO、Aまたはそのサブユニットは、−NH−C1−C10アルキレン−C(=O)−、−NH−C1−C10アルキレン−NH−C(=O)−C1−C10アルキレン−C(=O)−、−NH−C1−C10アルキレン−C(=O)−NH−C1−C10アルキレン(C=O)−、−NH−(CH2CH2O)s−CH2(C=O)−、−NH−(C3−C8カルボシクロ)(C=O)−、−NH−(C6−C10アリーレン−)−C(=O)−および−NH−(C3−C8ヘテロシクロ−)C(=O)との構造を有する。
他の実施形態において、Aまたはそのサブユニットは、
との構造を有し、ここで、R13は、−C1−C10アルキレン−、−C3−C8カルボシクロ−、−C6−C10アリーレン−、−C1−C30ヘテロアルキレン−、−C3−C8ヘテロシクロ−、−C1−C10アルキレン−C6−C10アリーレン−、−C6−C10アリーレン−C1−C10アルキレン−、−C1−C10アルキレン−(C3−C8カルボシクロ)−、−(C3−C8カルボシクロ)−C1−C10アルキレン−、−C1−C10アルキレン−(C3−C8ヘテロシクロ)−、−(C3−C8ヘテロシクロ)−C1−C10アルキレン−、−(CH2CH2O)1−10(−CH2)1−3−または−(CH2CH2NH)1−10(−CH2)1−3−である。いくつかの実施形態において、R13は、−C1−C10アルキレン−または−C1−C30ヘテロアルキレン−である。いくつかの実施形態において、R13は、−C1−C10アルキレン−、−(CH2CH2O)1−10−(CH2)1−3−または−(CH2CH2NH)1−10−(CH2)1−3−である。いくつかの実施形態において、R13は、−C1−C10アルキレン−ポリエチレングリコールまたは−ポリエチレンイミンである。
より好ましい実施形態において、Aまたはそのサブユニットは、アルファ−アミノ酸部分、ベータ−アミノ酸部分または他のアミン含有酸残基に構造的に対応する。単一の単位としてのまたはサブユニットA1−4を有するAの他の実施形態は、−LR−LO−との式を有するリンカー単位に対する実施形態において説明されている。
いくつかの実施形態において、自壊性スペーサー単位は、W/W’が、自壊性スペーサー単位YのPABまたはPAB型の自壊性部分に共有結合されているとき、W/W’の酵素処理の後に1,4−または1,6−脱離反応を起こすことができる。いくつかの実施形態において、Wが、ペプチド切断可能単位であるとき、WおよびYは、リンカー単位のLO内において、−Y−Dまたは−Y−Y’−Dに対して直鎖状に配置され、−Y−Dまたは−Y−Y’−Dは、以下の構造:
を有し、ここで、式1、式2または式Iにおいて、下付き文字yが1であるとき、上記の構造におけるY’は、必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられ、そのヘテロ原子は、いくつかの実施形態において、Xaと呼称され、好ましくは、XaはOまたはSであるか、またはそれらの式のいずれか1つにおいて下付き文字yが2であるとき、Y’は、式−OC(=O)−Xb−のカルバメート官能基またはXbを組み込んでいるMAC単位であり、好ましくは、Xbは、NAMPT薬物単位の必要に応じて置換されたNH、OまたはSである。好ましい実施形態において、NAMPT薬物単位は、NAMPT尾部(TN)単位を介してLOに結合され、XaまたはXbは、式H−Xa−TN−IN−DA−HNまたはH−Xb−TN−IN−DA−HNのNAMPTi化合物またはその誘導体の放出をもたらすTNによって提供され、式中、可変基TN、IN、DAおよびHNは、NAMPTi化合物、その誘導体またはNAMPT薬物単位の実施形態に対して定義されたとおりであり;V、Z1、Z2およびZ3は、独立して、−C(R24)=または−N=であり;
R24は、独立して、水素、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR25、−SR26、−N(R27)(R28)、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルまたは−C(R29)=C(R30)−R31であり、ここで、R25は、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC6−C10ヘテロアリールであり、R26は、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリールであり、R27およびR28は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリールであるか、またはR27とR28の両方は、それらと結合している窒素と一体となって、5または6員のヘテロシクリルを規定し、R29およびR30は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、R31は、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C10アリール、必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリール、−C(=O)OR32または−C(=O)NR32であり、R32は、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C24アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C24ヘテロアリールであり、R8およびR9は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはそれらと結合しているベンジル炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6カルボシクロを規定するか、またはR8、R9の一方は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、他方は、必要に応じて置換されたC5−C10アリールまたはC5−C10ヘテロアリールであり;R’は、水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子吸引基、または−CH3もしくは他の電子供与基であり;
J’は、−O−、S−または必要に応じて置換されたNH(−N(R33)−(ここでR33は、R32に対して定義されたとおりである)を含む)であり、好ましくは、水素またはメチルであり、
J’に対する波線は、J’の電子供与能力を阻害して、自壊性スペーサー単位の中央の(ヘテロ)アリーレン構成要素を適切に安定化させるように、Wの官能基への必要に応じて置換されたヘテロ原子の共有結合を表し、プロテアーゼによるWの酵素処理は、J’が、Wのカルボニル含有官能基のカルボニル部分に結合されるときのように、その能力の脱阻害をもたらす。その処理の結果として、中央の(ヘテロ)アリーレン構成要素の上述のベンジル置換基、Dまたは−Y’−Dの放出が惹起されて、NAMPTi化合物またはその誘導体が提供され、それは、いくつかの実施形態において、H−Xa−TN−IN−DA−HNまたはH−Xb−TN−IN−DA−HNとの式を有し、式中、可変基TN、IN、DAおよびHNは、NAMPTi化合物、その誘導体またはNAMPT薬物単位に対して説明されたとおりである。
好ましい実施形態において、2つを超えないR24が、水素以外である。他の好ましい実施形態において、R’は、水素である。他の好ましい実施形態において、R8およびR9の一方または両方が、水素であるか、またはJ’は、−NH−である。なおも他の好ましい実施形態において、V、Z1、Z2およびZ3は、それぞれ=CH−である。より好ましい実施形態において、V、Z1、Z2およびZ3は、それぞれ=CH−であり、R’は、水素であるか、またはR8およびR9は、それぞれ水素である。より好ましい実施形態において、V、Z1、Z2およびZ3は、それぞれ=CH−であり、R’は、水素であるか、またはR8およびR9は、それぞれ水素であり、J’は、−NH−である。
他の実施形態において、Wは、式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、式中、W’およびYは、リンカー単位のLO内において、−Y’−Dまたは−Dに対して直交的に配置され、ここで、Yは、グリコシダーゼに対する認識部位を提示するように、必要に応じて置換されたヘテロ原子(E’)を介して、グリコシド結合した炭水化物(Su)部分に結合された自壊性部分を有する自壊性スペーサー単位である。それらの実施形態において、−Y’−Dまたは−Dに対するYおよびW’の直交の配置は、以下の構造:
によって表され、ここで、式1、式2または式Iにおいて、下付き文字yが1であるとき、Y’は、NAMPT薬物単位、好ましくは、そのNAMPT尾部(TN)単位によって提供される、必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられており、そのヘテロ原子は、いくつかの実施形態において、Xaと呼称され、Xaは、OまたはSであるか、またはY’は、その必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基であり、その官能基は、Yがカルバメート官能基であるときのように、自壊が可能であり得、そのカルバメート官能基は、いくつかの実施形態において、式−O(C=O)−Xb−であり、式中、Xbは、必要に応じて置換されたNH、OまたはSであるか、またはY’は、Y’がメチレンカルバメート単位であるときのように、自壊が可能であり得る第2のスペーサー単位であり;J’およびE’は、独立して、−O−、S−および必要に応じて置換されたNH(−N(R33)−(ここで、R33はR32に対して定義されたとおりであり、好ましくは、水素またはメチルである)を含む)からなる群より選択され;
V、Z1およびZ3は、独立して、−C(R24)=または−N=であり;R24は、独立して、水素、ハロゲン、−NO2、−CN、−OR25、−SR26、−N(R27)(R28)、−C(R29)=C(R30)−R31、W’および必要に応じて置換されたC1−C6アルキルからなる群より選択されるが;
但し、W’のE’は、V、Z1、Z3の1つに結合され、ここで、その可変基は、=C(R24)−として定義される(すなわち、R24の1つは、式Su−E’−のW’−である)が、但し、他のV、Z1、Z2は、=N−または=C(R24)−によって定義され、ここで、R24は、W’以外であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;
R25は、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリールであり;R26は、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリールであり、R27およびR28は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリールであるか、またはR27とR28の両方は、それらと結合している窒素と一体となって、5または6員のヘテロシクリルを規定し、R29およびR30は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、R31は、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C10アリール、必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリール、−CN、−C(=O)OR32または−C(=O)NR32であり;R32は、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC6−C10ヘテロアリールであり;
R8およびR9は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはそれらの両方と結合しているベンジル炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6カルボシクロを規定するか、またはR8、R9の一方は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、他方は、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリールであり;R’は、水素であるか、またはハロゲン、−NO2、−CNもしくは他の電子吸引基、または電子供与基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;E’は、−O−または必要に応じて置換された−NH−であり;Jは、−NH−であり;Y’は、必要に応じての第2のスペーサー単位であるか、またはそうでなければ、必要に応じて置換されたヘテロ原子、カルバメート官能基もしくはメチレンカルバメート(MAC)単位であり;
J’に対する波線は、下付き文字aが1である場合は、J’とAの官能基との共有結合を表すか、または下付き文字aが0であり、AOが存在する場合(例えば、J’が、LOのAまたはLRのAOのカルボニル含有官能基のカルボニル部分に結合されるとき)は、J’とAOとの共有結合を表すか、またはAおよびAOが両方とも存在しない場合は、J’とARとの共有結合を表し;
グリコシダーゼによるW’−E’の酵素処理は、電子供与基としてのE’がPABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位Yの中央の(ヘテロ)アリーレンからベンジル置換基の1,4−または1,6−脱離反応を引き起こす能力の脱阻害をもたらす。その処理の放出の結果として、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのDまたは−Y’−Dの放出が惹起され、そのNAMPTi化合物は、好ましい実施形態において、H−Xa−TN−IN−DA−HNまたはH−Xb−TN−IN−DA−HNとの式を有し、式中、可変基TN、IN、DAおよびHNは、NAMPTi化合物、その誘導体またはNAMPT薬物に対して説明されたとおりである。
好ましい実施形態において、W’、およびY’を介してDに結合したYの自壊性部分を含む直交の配置は、以下の構造:
によって表される。
上記の直交の配置のより好ましい実施形態において、−E’−は、−O−または−NH−であり、ここで、グリコシド結合したヘテロ原子としての酸素は、O’によって表され、VまたはZ3は、=C(R24)であり、R24は、水素または電子吸引基である。他の好ましい実施形態において、R8およびR9は、水素であり、V、Z1またはZ2は、=CH−である。他の好ましい実施形態において、−J−は、−NHであり、V、Z1またはZ2は、=CH−であり、R’は、水素または電子吸引基、好ましくは、−NO2である。
特に好ましい実施形態において、下付き文字yが1または2である−Yy(W’)−Dは、以下の構造:
を有し、ここで、Xbは、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位の第一級または第二級アミン官能基の窒素原子であり、Y’は、式−C(=O)−Xb−の自壊性スペーサー単位であるか、またはY’を置き換えるXaは、下付き文字yが1であるとき、NAMPTi化合物またはその誘導体のTNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子であり(すなわち、XaはOまたはSであり);R45は、−OHまたは−CO2Hであり;R’は、水素もしくは−NO2であるか、またはY’は、カルバメート官能基であり;残りの可変基は、NAMPTi化合物、その誘導体およびNAMPT薬物単位に対して定義されたとおりである。
他の特に好ましい実施形態において、下付き文字yが2である−Yy(W’)−Dは、以下の構造:
を有し、ここで、Xaは、TNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子であり;R45は、−OHまたは−CO2Hであり;R’は、水素または−NO2であり;R51、R52およびR53は、MAC単位に対して定義されたとおりであり、残りの可変基は、NAMPTi化合物、その誘導体およびNAMPT薬物単位に対して定義されたとおりである。
1.3 リンカー単位としてのLR−Lo
1つの群の実施形態において、本明細書中に開示される−W−Yy−Dまたは−Yy(W’)−D構造のいずれかにおけるNAMPT薬物単位(D)は、NAMPTi化合物またはその誘導体を表し、ここで、必要に応じて置換されたヘテロ原子が、NAMPT薬物単位、好ましくは、そのNAMPT尾部(TN)単位によって提供され、下付き文字yが1であるとき、自壊性スペーサー単位におけるPABまたはPAB型部分のベンジル位に結合されるか、または下付き文字yが2であるとき、Y’を介してそのベンジル位に結合され、ここで、Y’は、TN単位の必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基または第2の自壊性スペーサー単位である。
それらの実施形態のいくつかにおいて、リガンド薬物結合体合成物内またはその結合体化合物内の薬物リンカー部分の−LSS−LO−Dおよびその加水分解産物である−LS−LO−D(この形成は、好ましい実施形態において、非環式または環式の塩基性単位によって触媒される)は、それぞれ以下の構造:
を有し、ここで、波線は、リガンド単位の共有結合を示し、LSにおけるM3部分に対するその共有結合は、酸またはアミド官能基に隣接する炭素原子への共有結合であり、RMは、残りの官能基に隣接する炭素に結合し;点線の曲線は、必要に応じての環化を示し、環化が存在しないとき、BUは、非環式塩基性単位であり、Ra2は、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、環化が存在するとき、BUおよびRa2は、その両方と結合している炭素原子と一体となって、環式塩基性単位を規定し;Wは、ペプチド切断可能単位であり;Aは、必要に応じての第1のストレッチャー単位であり;下付き文字aは、0または1であり、それぞれAが存在しないことまたは存在することを示し;[HE]は、必要に応じての加水分解増強単位であり;RMは、水素またはC1−C4アルキルであり;V、Z1およびZ2は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、ここで、独立して選択されるR24は、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルまたは電子供与基であり;R8およびR9は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはそれらと結合しているベンジル炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6カルボシクロを規定するか、またはR8、R9の一方は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、他方は、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリールであり;J’は、必要に応じて置換されたヘテロ原子(例えば、−O−または必要に応じて置換された−NH−(−N(R33)(ここで、R33は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである)を含む))であり;
Y’は、必要に応じての第2のスペーサー単位であり、下付き文字yが1であるとき、存在せず、その場合、上記の−LSS−LO−D構造におけるY’は、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられ、そのヘテロ原子は、いくつかの好ましい実施形態において、Xaと呼称され、Xaは、−O−または−S−であり、Y’は、下付き文字yが2であるとき、存在し、その場合、Y’は、その必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む第2のスペーサー単位または官能基であり、その第2のスペーサー単位または官能基は、自壊が可能であり得、これにより、Y’は、第2の自壊性スペーサー単位であり、その自壊は、後者の場合、いくつかの好ましい実施形態に対して、Y’が−OC(=O)−Xb−(ここで、Xbは、NAMPTi化合物またはその誘導体の尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、Xbは、−NH−、−O−または−S−である)であるとき生じ、その自壊は、前者の場合、Y’がメチレンカルバメート(MAC)単位であるとき、生じる。
好ましい実施形態において、V、Z1、Z2のうちの2つは、=CH−であり、他のものは、=N−もしくは=CH−であるか、またはR8およびR9は、独立して、水素またはC1−C4アルキルである。他の好ましい実施形態において、J’は、−NH−である。より好ましい実施形態において、V、Z1、Z2は、それぞれ=CH−であり、R8およびR9は、独立して、水素、−CH3および−CH2CH3からなる群より選択され;J’は、−NH−である。それらの実施形態において、表示されているM2およびM3残基は、それぞれスクシンイミド部分およびコハク酸アミド部分を表す。
他の実施形態において、下付き文字yが1または2である式(1a)のLOを有し、非環式または環式の塩基性単位を有する、式LSS−LO−Dの薬物リンカー化合物は、以下の構造:
によって例証され、ここで、点線の曲線および可変基は、非環式または環式の塩基性単位およびペプチド切断可能2次リンカーを有するリガンド薬物結合体における薬物リンカー部分に対して先に記載されたとおりである。それらの実施形態において、表示されているM1残基は、マレイミド部分を表す。
他のそのような実施形態において、好ましくは、V、Z1およびZ2は、それぞれ=CH−であるか、またはR8、R9の一方は、水素であり、他方は、水素、C1−C4アルキルまたは必要に応じて置換されたフェニルである。なおも他のそのような実施形態において、好ましくは、[HE]は、−C(=O)−であり、R’は、水素であるか、またはR8およびR9は、両方とも水素である。
他の群の実施形態において、リガンド薬物結合体合成物内または結合体化合物内の薬物リンカー部分のLSS−LO−Dおよびその加水分解産物である−LS−LO−DにおけるLOは、式(1a)を有し、式中、下付き文字wは、0または1であり、下付き文字wが1であるとき、Wは、ペプチド切断可能単位であり、下付き文字yは、0であり、式1、式2および式IにおけるYyは、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子(Xbと呼称される)によって置き換えられ、そのNAMPTi化合物またはその誘導体は、そのヘテロ原子を介してWに直接結合される。下付き文字wが1であるそれらの実施形態において、W−J’結合は、式H−Xb−TN−IN−DA−HNを有するNAMPTi化合物またはその誘導体であるDを放出するプロテアーゼによって切断可能であり、式中、Xbは、好ましくは、TNによって提供されるような、−NH−、−S−または−O−であり、他の可変基は、定義されたとおりである。それらの実施形態において、リガンド薬物結合体合成物またはその結合体化合物における式−LSS−LO−Dおよび−LS−LO−の薬物リンカー部分(ここで、下付き文字yは、0であり、Yyを置き換えるXbは、TNの必要に応じて置換されたヘテロ原子である)は、それぞれ以下の構造:
を有し、対応する薬物リンカー化合物は、以下の構造:
を有し、ここで、点線の曲線および他の可変基は、非環式または環式の塩基性単位およびペプチド切断可能2次リンカーを有するリガンド薬物結合体における薬物リンカー部分に対して先に記載されたとおりである。
好ましい実施形態において、リガンド薬物結合体合成物内またはその結合体化合物内の薬物リンカー部分の−LSS−LO−Dおよびその加水分解産物である−LS−LO−D(ここで、LOは、Wがペプチド切断可能単位であり、下付き文字yが1または2であり、A、WおよびY/Y’が、Dに対して直鎖の配置である、式(1a)である)は、それぞれ
によって表され、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、ここで、点線の曲線および可変基は、ペプチド切断可能2次リンカーにおいて非環式または環式の塩基性単位を有するリガンド薬物結合体における薬物リンカー部分に対して先に記載されたとおりであり、下付き文字yが1であるとき、上記の−LSS−LO−D実施形態におけるY’は、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子(Xaと呼称され、Xaは−O−または−S−である)で置き換えられる。
それらの薬物リンカー部分および薬物リンカー化合物において、好ましくは、J’は、−NH−である。LOにおけるA、WおよびY/Y’がDに対して直鎖の配置であるより好ましい実施形態、式−LSS−LO−Dおよび式−LSS−LO−Dの加水分解産物のリガンド薬物結合体合成物内またはその結合体化合物内の薬物リンカー部分は、それぞれ以下の構造:
を有し、式LSS−LO−Dの対応する薬物リンカー化合物は、以下の構造:
を有し、ここで、Wは、ジペプチドからなるかまたはそれを含み、ここで、そのジペプチドサブユニットは、Wの遠位末端に存在し、表示されている結合は、自由に循環している血清プロテアーゼと比べて細胞内のプロテアーゼによって特異的に切断可能なアミド結合であり、残りの可変基は、非環式または環式の塩基性単位およびペプチド切断可能2次リンカーを有するリガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物における薬物リンカー部分に対して先に定義されたとおりである。
Wがジペプチドを含む上記の実施形態のいずれか1つにおいて、そのジペプチドは、細胞内のプロテアーゼによって認識される。好ましくは、そのプロテアーゼは、カテプシンプロテアーゼであり、ここで、カテプシンプロテアーゼによって認識される好ましいジペプチドは、
の構造(ここで、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造(ここで、ハッシュタグは、ジペプチド骨格への共有結合の部位を示す)を有し、R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、(CH2)3NH(C=NH)NH2または−(CH2)2CO2Hである)を有し、ジペプチドのN末端における波線は、AおよびAOの有無に応じて、AもしくはAOへの共有結合またはLSSもしくはLSへの共有結合の部位を示し、ジペプチドのC末端における波線は、J’またはJ’としての−NH−への共有結合の部位を示す。
他の実施形態において、Wが、式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、これにより、LOが、Dに対して直交配置のA、W’およびY/Y’を有する式1bである、リガンド薬物結合体の薬物リンカー部分である、リガンド薬物結合体化合物内の薬物リンカー部分の−LSS−LO−Dおよびその加水分解産物である−LS−LO−D(この形成は、非環式または環式の塩基性単位によって触媒される)は、それぞれ以下の構造:
を有し、ここで、点線の曲線は、必要に応じての環化を示し、環化が存在しないとき、BUは、非環式塩基性単位であり、Ra2は、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、環化が存在するとき、BUおよびRa2は、その両方と結合している炭素原子と一体となって、環式塩基性単位を規定し;波線は、リガンド単位の共有結合を示し、LSにおけるM3部分に対するその共有結合は、酸またはアミド官能基に隣接する炭素原子への共有結合であり、RMは、残りの官能基に隣接する炭素原子に結合し;Aは、必要に応じての第1のストレッチャー単位であり;下付き文字aは、0または1であり、それぞれAが存在しないことまたは存在することを示し;[HE]は、必要に応じての加水分解増強因子単位であり;RMは、水素またはC1−C4アルキルであり;VおよびZ3は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、ここで、独立して選択されるR24は、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルまたは電子吸引基であり;R8およびR9は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはその両方と結合しているベンジル炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6カルボシクロを規定するか、またはR8、R9の一方は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、他方は、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリールであり;J’およびE’は、独立して選択される必要に応じて置換されたヘテロ原子(例えば、−O−または必要に応じて置換された−NH−(−N(R33)(ここで、各R33は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである)を含む))であり;
Y’は、必要に応じての第2のスペーサー単位であり、下付き文字yが1であるとき、存在せず、その場合、上記の−LSS−LO−D構造におけるY’は、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられ、そのヘテロ原子は、いくつかの好ましい実施形態において、Xaと呼称され、Xaは、−O−または−S−であり、Y’は、下付き文字yが2であるとき、存在し、その場合、そのY’は、必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む第2のスペーサー単位または官能基であり、その第2のスペーサー単位または官能基は、自壊が可能であり得、これにより、Y’は、第2の自壊性スペーサー単位であり、その自壊は、後者の場合、いくつかの好ましい実施形態に対して、Y’が−OC(=O)−Xb−(ここで、Xbは、NAMPTi化合物またはその誘導体の尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、Xbは、−NH−、−O−または−S−である)であるとき、生じ、その自壊は、前者の場合、Y’がメチレンカルバメート(MAC)単位であるとき、生じ;
R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;波線は、リガンド単位の共有結合を示し、LSにおけるM3部分へのその共有結合は、酸またはアミド官能基に対してアルファ位の炭素原子への共有結合であり、RMは、残りのベータ炭素に結合する。好ましい実施形態において、VおよびZ2は、=CH−であるか、またはR8およびR9は、独立して、水素またはC1−C4アルキルである。他の好ましい実施形態において、J’は、−NH−である。より好ましい実施形態において、R8およびR9は、独立して、水素、−CH3および−CH2CH3からなる群より選択され;J’は、−NH−である。それらの実施形態において、表示されているM2およびM3残基は、それぞれスクシンイミド部分およびコハク酸アミド部分を表す。
他の実施形態において、非環式または環式の塩基性単位およびグルクロニド単位を有する式LSS−LO−Dの薬物リンカー化合物は、以下の構造:
によって例証され、ここで、可変基は、リガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物における、グルクロニドに基づく薬物リンカー部分に対して先に記載されたとおりである。
好ましい実施形態において、Wが式−Y(W’)−のグルクロニド単位である、−LSS−LO−Dおよびその加水分解産物である−LS−LO−Dは、式(1b)のLOを有し、これにより、A、W’およびYは、Dに対して直交配置であり、それぞれ
によって表され、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、ここで、O’は、グリコシド結合した酸素を表し、その酸素に対する結合は、グリコシダーゼによって切断可能であり、可変基は、リガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物における、グルクロニドに基づく薬物リンカー部分に対して先に記載されたとおりである。
それらの薬物リンカー部分および薬物リンカー化合物において、好ましくは、R8、R9の一方は、水素であり、他方は、水素、C1−C4アルキルまたは必要に応じて置換されたフェニルである。他のそのような実施形態において、好ましくは、J’は、−O−または−N(R33)であり、ここで、R33は、水素またはC1−C4アルキルであるか、またはR’は、水素または電子吸引基である。より好ましい実施形態において、Jは、−NH−であり、R’は、水素または−NO2である。
LOにおけるA、W’およびYがDに対して直交配置であるより好ましい実施形態において、式−LSS−LO−Dのリガンド薬物結合体化合物および式−LSS−LO−Dのその加水分解産物の薬物リンカー部分は、それぞれ以下の構造:
を有し、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、ここで、可変基は、リガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物における、グルクロニドに基づく薬物リンカー部分に対して先に記載されたとおりである。
他の好ましい実施形態において、Wがペプチド切断可能単位であり、下付き文字yが1または2である式(1a)のLOを有し、ヘテロシクロ環式塩基性単位を有する、リガンド薬物結合体化合物の、−LSSおよび−LSを含む薬物リンカー部分は、それぞれ
によって表され、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、ここで、下付き文字Pは、1または2であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;Ra3は、−H、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキレンであり、Ra3に結合した塩基性窒素は、必要に応じてプロトン化されているか、または塩の形態、好ましくは、薬学的に許容され得る塩の形態であるか、またはRa3は、窒素保護基、例えば、好適な酸不安定保護基であり;
Wがペプチド切断可能単位であり、下付き文字yが1または2である式(1a)のLOを有し、非環式塩基性単位を有する、リガンド薬物結合体化合物の、−LSS含有および−LS含有薬物リンカー部分は、それぞれ
によって表され、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、ここで、HEは、必要に応じての加水分解増強単位であり、Aは、必要に応じての第1のストレッチャー単位であり、下付き文字aは、0または1であり、それぞれAが存在することまたは存在しないことを示し;下付き文字xは、1または2であり、Ra2は、水素または−CH3または−CH2CH3であり;Ra3は、各場合において、独立して、水素、−CH3または−CH2CH3であるか、または両方のRa3が、それらと結合している窒素と一体となって、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルヘテロシクリルを規定し、ここで、そのように定義される第一級、第二級または第三級塩基性アミンは、必要に応じてプロトン化されているか、または塩の形態、好ましくは、薬学的に許容され得る塩の形態であり;
Y’は、必要に応じての第2のスペーサー単位であり、下付き文字yが1であるとき、存在せず、その場合、上記の−LSS−LO−D構造におけるY’は、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられ、そのヘテロ原子は、いくつかの好ましい実施形態において、Xaと呼称され、Xaは、−O−または−S−であり、Y’は、下付き文字yが2であるとき、存在し、その場合、Y’は、その必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む第2のスペーサー単位または官能基であり、ここで、その第2のスペーサー単位または官能基は、自壊が可能であり得、これにより、Y’は、第2の自壊性スペーサー単位であり、その自壊は、後者の場合、いくつかの好ましい実施形態に対して、Y’が−OC(=O)−Xb−(ここで、Xbは、NAMPTi化合物またはその誘導体の尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、Xbは、−NH−、−O−または−S−である)であるとき生じ、その自壊は、前者の場合、Y’がメチレンカルバメート(MAC)単位であるとき、生じ;
R34およびR35は、ペプチド切断可能単位に対して先に定義されたとおりであり、残りの可変基は、これらのペプチド切断可能単位を含む薬物リンカー部分および薬物リンカー化合物に対して先に定義されたとおりである。
他の好ましい実施形態において、Wがペプチド切断可能単位であり、下付き文字yが0または1である式(1a)のLOを有し、ヘテロシクロ環式塩基性単位を有する、リガンド薬物結合体化合物の、−LSS含有および−LS含有薬物リンカー部分は、それぞれ
によって表され、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、Wがペプチド切断可能単位であり、下付き文字yが0または1である式(1a)のLOを有し、非環式塩基性単位を有する、リガンド薬物結合体化合物の、−LSS含有および−LS含有薬物リンカー部分は、それぞれ
によって表され、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、ここで、下付き文字yが0であるとき、Yは、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられ、そのヘテロ原子は、いくつかの好ましい実施形態において、Xaと呼称され、Xaは、−O−または−S−であり、下付き文字yが1であるとき、Yは、その必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む第2のスペーサー単位または官能基であり、その第2のスペーサー単位または官能基は、自壊が可能であり得、これにより、Yは、PABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位以外の自壊性スペーサー単位であり、その自壊は、いくつかの好ましい実施形態において、Yが−OC(=O)−Xb−であるとき生じ、ここで、Xbは、NAMPTi化合物またはその誘導体の尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、Xbは、−NH−、−O−または−S−であり、Yが存在するときはLO内のW−Y結合またはYが存在しないときはW−D結合のプロテアーゼ切断によって、NAMPTi化合物またはその誘導体が放出され、そのNAMPTi化合物またはその誘導体は、好ましい実施形態において、式H−Xa−TN−IN−DA−HNまたはH−Xb−TN−IN−DA−HNを有し;
式中、TN、IN、DAおよびHNは、NAMPTi化合物、その誘導体またはNAMPT薬物単位に対して定義されたとおりであり、Ra3と結合している塩基性窒素は、Ra3が窒素保護基以外であるとき、必要に応じてプロトン化されており、R34およびR35は、ペプチド切断可能単位に対して先に定義されたとおりであり、残りの可変基は、ペプチド切断2次リンカーを有する薬物リンカー部分および薬物リンカー化合物に対して先に定義されたとおりである。
他の好ましい実施形態において、LOが式(1b)であるグルクロニド単位、およびリガンド薬物結合体化合物内にヘテロシクロ環式塩基性単位を有するLSS含有ならびにLS含有薬物リンカー部分は、それぞれ以下の構造:
を有し、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、LOが式1bであるグルクロニド単位、およびリガンド薬物結合体化合物内に非環式塩基性単位を有するLSS含有ならびにLS含有薬物リンカー部分は、それぞれ以下の構造:
を有し、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、ここで、下付き文字xは、1または2であり、Ra2は、水素または−CH3または−CH2CH3であり;Ra3は、各場合において、独立して、水素、−CH3または−CH2CH3であるか、または両方のRa3が、それらと結合している窒素と一体となって、アゼチジニル、ピロリジニルまたはピペリジニルヘテロシクリルを規定し、
そのように定義される第一級、第二級または第三級塩基性アミンは、必要に応じてプロトン化されているか、または塩の形態、好ましくは、薬学的に許容され得る塩の形態であり、O’は、グリコシド結合した酸素を表し、その酸素に対する結合は、グリコシダーゼによって切断可能であり;他の可変基は、リガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物における、グルクロニドに基づく薬物リンカー部分に対して先に記載されたとおりである。
より好ましい実施形態において、Wがペプチド切断可能単位であり、下付き文字yが1または2である式(1a)のLOを有し、ヘテロシクロ環式塩基性単位または非環式塩基性単位を有する、リガンド薬物結合体化合物内の−LSS含有薬物リンカー部分は、
によって表され、上記の薬物リンカー部分の制御された加水分解からのより好ましいLS含有薬物リンカー部分は、
によって表され、対応するより好ましい薬物リンカー化合物は、
によって表され、ここで、可変基は、リガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物においてヘテロシクロ環式塩基性単位または非環式塩基性単位およびペプチド切断可能2次リンカーを有する薬物リンカー部分および薬物リンカー化合物に対して先に記載されたとおりであり、Ra3と結合している窒素原子は、Ra3が窒素保護基以外であるとき、必要に応じてプロトン化されているか、または塩の形態、好ましくは、薬学的に許容され得る塩の形態(from)である。
他のより好ましい実施形態において、Wがペプチド切断可能単位であり、下付き文字yが0または1である式(1a)のLOを有し、ヘテロシクロ環式塩基性単位または非環式塩基性単位を有する、リガンド薬物結合体化合物のLSS含有薬物リンカー部分は、
によって表され、上記の薬物リンカー部分の制御された加水分解からのLS含有薬物リンカー部分は、
によって表され、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、ここで、Yは、下付き文字yが0であるとき、存在せず、その場合、Yは、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられ、そのヘテロ原子は、いくつかのより好ましい実施形態において、Xaと呼称され、Xaは、−O−または−S−であるか、またはYは、下付き文字yが1であるとき、存在し、Yは、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基であり、いくつかのより好ましい実施形態において、その必要に応じて置換されたヘテロ原子は、Xbと呼称され、Xaは、−NH−、−O−または−S−であるか、またはYは、PABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位以外のスペーサー単位であり;
下付き文字が1で、Yが存在するときはLO内の表示されているW−Y結合または下付き文字yが0であり、Yが存在しないときはW−D結合のプロテアーゼ切断は、式H−Xa−TN−IN−DA−HN、H−Xb−TN−IN−DA−HNまたはH−Y−TN−IN−DA−HNのNAMPT化合物またはその誘導体を放出し、式中、TN、IN、DAおよびHNは、NAMPTi化合物、その誘導体またはNAMPT薬物単位に対して定義されたとおりであり、他の可変基は、リガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物においてヘテロシクロ環式塩基性単位または非環式塩基性単位およびペプチド切断可能2次リンカーを有する薬物リンカー部分および薬物リンカー化合物に対して先に記載されたとおりであり、Ra3と結合している塩基性窒素原子は、Ra3が窒素保護基以外であるとき、必要に応じてプロトン化されているか、または塩の形態、好ましくは、薬学的に許容され得る塩の形態である。
他のより好ましい実施形態において、LOが式(1b)であるグルクロニド単位を有し、リガンド薬物結合体内にヘテロシクロ環式塩基性単位または非環式塩基性単位を有する、−LSS含有薬物リンカー部分は、
によって表され、上記のLSS含有薬物リンカー部分の制御された加水分解からのLS含有薬物リンカー部分は、以下の構造:
を有し、対応する薬物リンカー化合物は、
によって表され、ここで、他の可変基は、リガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物においてヘテロシクロ環式塩基性単位または非環式塩基性単位およびグルクロニドに基づく2次リンカーを有する薬物リンカー部分および薬物リンカー化合物に対して先に記載されたとおりであり、Ra3と結合している窒素原子は、Ra3が窒素保護基以外であるとき、必要に応じてプロトン化されているか、または塩の形態、好ましくは、薬学的に許容され得る塩の形態である。
上記の好ましいおよびより好ましい実施形態において、リガンド薬物結合体の薬物リンカー部分内のLSSおよびLS構成要素は、それぞれM2−AR(BU)−AO−およびM3−AR(BU)−AO−との一般式を例証し、式中、BUは、環式塩基性単位であり、AOとしての[HE]は、−C(=O)−であり、M2は、スクシンイミド部分であり、M3は、コハク酸アミド部分であり、薬物リンカー化合物のLSSは、M1−AR(BU)−AO−との一般式を例証し、式中、BUは、環式塩基性単位を含むリガンド薬物結合体の代表的なLSS部分に対する前駆体である環式塩基性単位であり、M1は、マレイミド部分であり、AOとしての[HE]は、−C(=O)−である。
上記の実施形態のいくつかにおいて、Aまたはそのサブユニットは、下付き文字aが1であるとき、上記のLR−Lo−D構造(ここで、LRは、LSSまたはLSである)のいずれか1つにおけるAOに結合され、好ましくは、独立して選択されるアミン含有酸(例えば、アミノ酸残基)に対応する構造を有し、そのアミン含有酸のカルボン酸末端は、エステルまたはアミド、好ましくは、アミドとしてWに結合され、そのN末端は、カルボニル含有官能基を介して式M1−AR(BU)−AO−もしくはM2−AR(BU)−AO−のLSSまたは式M3−AR(BU)−AO−のLSに結合され、式中、BUは、環式塩基性単位である。それらの実施形態のいくつかにおいて、AOは、[HE]であるか、または[HE]を含み、ここで、HEは、カルボニル含有官能基であり、そのカルボニル炭素は、WのN末端に結合される。
他の実施形態において、Aまたはそのサブユニットは、−LP(PEG)−との式を有し、式中、LPは、パラレルコネクター単位であり、PEGは、PEG単位である。それらの実施形態において、PEG単位は、合計2〜36個のエチレンオキシ単量体単位を含み、LPは、Wに共有結合されている、アミン含有酸残基、好ましくは、アミノ酸残基を含む。より好ましい実施形態において、リガンド薬物結合体の薬物リンカー部分または薬物リンカー化合物のリンカー単位内のLPの共有結合は、アミド官能基を介する。他のより好ましい実施形態において、PEG単位は、合計4〜24個連続したエチレンオキシ単量体単位を含む。
ヘテロシクロ環式塩基性単位または非環式塩基性単位、およびプロテアーゼによって切断可能なペプチド切断可能単位を有する、上記の−LSS−LO−Dおよび−LS−LO−Dリガンド薬物結合体の下部構造ならびにLSS−LO−D薬物リンカー化合物構造のいずれか1つにおいて、好ましくは、R34は、メチル、イソプロピルまたは−CH(OH)CH3であり、R35は、メチル、−(CH2)3NH(C=O)NH2または−(CH2)2CO2Hである。ヘテロシクロ環式塩基性単位または非環式塩基性単位、およびグリコシダーゼによって切断可能なグルクロニド単位を有する、上記の−LSS−LO−Dおよび−LS−LO−Dリガンド薬物結合体の下部構造ならびにLSS−LO−D薬物リンカー化合物構造のいずれか1つにおいて、好ましくは、R45は、−CO2Hである。
A、W’、YがDに対して直交配置である好ましい実施形態において、第1のストレッチャー単位(A)は、存在し、式(3)もしくは式(4)に対して先に定義された構造を有するか、または式(3a)もしくは式(4a)の構造:
を有し、式中、下付き文字eまたはfは、0または1であり、GおよびR39〜R44は、先に定義されたとおりであり、式(3)、(3a)、(4)および(4a)構造のいずれか1つのカルボニル部分に対する波線は、好ましくはアミド官能基を介した、J’へのAの結合の部位を表し、これらの構造のどちらか一方のアミノ部分に対する波線は、第2のストレッチャー単位AOのカルボニル含有官能基への結合の部位またはAOとしての[HE]のカルボニル炭素への結合の部位を表す。式(3)または式(4)の好ましい実施形態において、L’は、存在せず(すなわち、下付き文字qは0であり)、Gは、水素、−CO2Hもしくは−NH2または天然に存在するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸またはリジン)の側鎖である。他の好ましい実施形態において、L’およびKは、炭素であり、R41、R42、R43およびR44は、各存在において、水素である。他の好ましい実施形態において、R38〜R44は、各存在において、水素である。他の好ましい実施形態は、式(3)を有し、式中、Kは窒素であり、R41、R42の一方は存在せず、他方は水素である。他の好ましい実施形態は、式(4)を有し、式中、下付き文字rは1であり、Kは窒素であり、R41、R42の一方は存在せず、他方は水素である。他の好ましい実施形態において、構造(3)の下付き文字pおよびqは、両方とも0であるか、または構造(4)の下付き文字qおよびrは、両方とも0である。他の好ましい実施形態は、構造(3)を有し、ここで、下付き文字pおよびqは、両方とも0であり、Kは、R41およびR42と一体となって、−C(=O)−である。他の好ましい実施形態は、構造(4)を有し、ここで、下付き文字qは1であり、L’はR43およびR44と一体となって、−C(=O)−である。
A、W、YがDに対して直鎖配置である好ましい実施形態において、第1のストレッチャー単位(A)は、存在し、W’、YおよびDが直交配置である好ましい実施形態に対して上に記載されたのと同じ可変基の優先度を有する。そのような好ましい実施形態において、式(3)、(3a)、(4)および(4a)構造のいずれか1つのカルボニル部分に対する波線は、ペプチド切断可能単位(W)のN末端へのAの結合の部位を表し、これらの構造のいずれか1つのアミノ部分に対する波線は、第2のストレッチャー単位AO−のカルボニル含有官能基への結合の部位またはAOとしての[HE]のカルボニル炭素への結合の部位を表す。
他の好ましい実施形態において、AおよびAOは、両方とも存在し、Aは、式(3)、(3a)、(4)および(4a)から選択される。より好ましい実施形態において、Aは、アルファ−アミノ酸残基、ベータ−アミノ酸残基または他のアミン含有酸残基である。より好ましい実施形態において、Aは、アルファ−アミノ酸残基、ベータ−アミノ酸残基または他のアミン含有酸残基である。
上記の−LR−LO−D、−LSS−LO−Dおよび−LS−LO−Dリガンド薬物結合体下部構造、ならびに第1の必要に応じてのストレッチャー単位が存在し、特に非環式塩基性単位またはヘテロシクロ環式塩基性単位を有するLSS−LO−D薬物リンカー化合物構造のいずれか1つにおいて、Aに対応する好ましいアミン含有酸は、NH2−X1−CO2Hとの構造を有し、ここで、X1は、必要に応じて置換されたC1−C6アルキレンである。
特に好ましいリガンド薬物結合体は、Lに結合される上記の−LR−LO−D、−LSS−LO−Dおよび−LS−LO−Dリガンド薬物結合体下部構造のいずれか1つによって表され、ここで、Lは、LR、LSSまたはLS部分に結合される抗体リガンド単位である。
1.3.1 リガンド単位
本発明のいくつかの実施形態において、リガンド単位が存在する。そのリガンド単位(L)は、標的化される部分に特異的に結合するリガンド薬物結合体の標的化部分である。リガンド単位は、標的化される部分として働く細胞の構成要素に特異的に結合し得る(細胞結合剤)か、または他の目的の標的分子に特異的に結合し得る。リガンド単位は、NAMPTi化合物またはその誘導体としてDを選択的に放出するために、リガンド薬物結合体の薬物単位を、そのリガンド単位と相互作用する特定の標的細胞集団に標的化して提示するように作用する。リガンド単位を提供する標的化剤としては、タンパク質、ポリペプチドおよびペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なリガンド単位としては、タンパク質、ポリペプチドおよびペプチド(例えば、抗体、例えば、完全長抗体およびその抗原結合フラグメント、インターフェロン、リンフォカイン、ホルモン、成長因子ならびにコロニー刺激因子)によって提供されるリガンド単位が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適なリガンド単位は、ビタミン、栄養素輸送分子または他の任意の細胞結合分子もしくは細胞結合物質からのリガンド単位である。いくつかの実施形態において、リガンド単位は、非抗体タンパク質標的化剤に由来する。他の実施形態において、リガンド単位は、抗体などのタンパク質標的化剤に由来する。好ましい標的化剤は、より大きな分子量のタンパク質、例えば、少なくとも約80Kdの分子量を有する細胞結合剤である。
標的化剤は、薬物リンカー化合物のLSS部分と反応して、薬物リンカー部分に共有結合したリガンド単位を形成し、ここで、その薬物リンカー部分は、式−LSS−Dを有する。標的化剤は、天然に存在するか天然に存在しない(例えば、操作されている)かを問わず、下付き文字pによって定義される必要な数の薬物リンカー部分を収容できる適切な数の結合部位を有しなければならないように改変されているかまたは改変される。例えば、下付き文字pの値が6〜14であるために、標的化剤は、6〜14個の薬物リンカー部分に対する結合を形成することができなければならない。それらの結合部位は、天然に存在し得るか、または標的化剤に操作され得る。標的化剤は、標的化剤の反応性のもしくは活性化可能なヘテロ原子またはヘテロ原子含有官能基を介して薬物リンカー化合物のリンカー単位のLSS部分への結合を形成し得る。標的化剤上に存在し得る反応性のもしくは活性化可能なヘテロ原子またはヘテロ原子含有官能基は、硫黄(1つの実施形態において、標的化剤のチオール官能基から)、C=Oまたは(1つの実施形態において、標的化剤のカルボニル、カルボキシルまたはヒドロキシル基から)および窒素(1つの実施形態において、標的化剤の第一級または第二級アミノ基から)を含む。それらのヘテロ原子は、標的化剤の天然の状態、例えば、天然に存在する抗体において、標的化剤上に存在し得るか、または化学修飾もしくは遺伝子操作を介して標的化剤に導入され得る。
1つの実施形態において、標的化剤は、チオール官能基を有し、その標的化剤からのリガンド単位は、そのチオール官能基の硫黄原子を介してリガンド薬物結合体化合物の薬物リンカー部分に結合される。
別の実施形態において、標的化剤は、薬物リンカー化合物のリンカー単位のLSSの活性化エステル(N−ヒドロキシスクシンイミド、ペンタフルオロフェニルおよびp−ニトロフェニルエステルを含むがこれらに限定されない)と反応し得るリジン残基を有するがゆえに、リガンド単位からの窒素原子と薬物リンカー化合物のリンカー単位からのC=O官能基との間にアミド結合がもたらされる。
さらに別の実施形態において、標的化剤は、1つまたはそれを超えるチオール官能基を導入するように化学修飾され得る1つまたはそれを超えるリジン残基を有する。その標的化剤からのリガンド単位は、導入されたチオール官能基の硫黄原子を介してリンカー単位に結合される。リジンを修飾するために使用され得る試薬としては、N−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA)および2−イミノチオラン塩酸塩(トラウト試薬)が挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態において、標的化剤は、1つまたはそれを超えるチオール官能基を有するように化学修飾され得る1つまたはそれを超える炭水化物基を有し得る。その標的化剤からのリガンド単位は、導入されたチオール官能基の硫黄原子を介してリンカー単位に結合されるか、またはその標的化剤は、アルデヒド(−CHO)基を提供するように酸化され得る1つまたはそれを超える炭水化物基を有し得る(例えば、Laguzzaら、1989,J.Med.Chem.32(3):548−55を参照のこと)。次いで、対応するアルデヒドは、求核性(nucleophillic)窒素を有する薬物リンカー化合物のLSS部分と反応し得る。標的化剤上のカルボニル基と反応し得るLSS上の他の反応性部位としては、ヒドラジンおよびヒドロキシルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。薬物リンカー部分を結合するためのタンパク質の改変に対する他のプロトコルは、Coliganら、Current Protocols in Protein Science,vol.2,John Wiley & Sons(2002)(参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
好ましい実施形態において、薬物リンカー化合物のLSSの反応基は、マレイミド(M1)部分であり、LとLSSとの共有結合は、標的化剤のチオール官能基を介して達成され、チオ置換スクシンイミド(M2)部分が、マイケル付加を介して形成される。そのチオール官能基は、標的化剤の天然の状態で、例えば、天然に存在する残基において、その標的化剤上に存在し得るか、または化学修飾および/もしくは遺伝子操作を介して標的化剤に導入され得る。
薬物結合体化の部位が、結合体化の容易さ、薬物リンカーの安定性、得られたバイオコンジュゲートの生物物理的特性に対する影響およびインビトロ細胞傷害性をはじめとしたいくつかのパラメータに影響し得ることが、バイオコンジュゲートに対して観察されている。薬物リンカーの安定性に関して、リガンドへの薬物リンカーの結合体化の部位は、結合体化された薬物リンカー部分が脱離反応を起こす能力、および薬物リンカー部分がバイオコンジュゲートのリガンド単位からバイオコンジュゲートの環境に存在する代替の反応性チオール(例えば、血漿中のとき、アルブミンにおける反応性チオール、遊離システインまたはグルタチオン)に移行される能力に影響し得る。そのような部位としては、例えば、鎖間ジスルフィド、ならびに選択されたシステインの操作された部位が挙げられる。本明細書中に記載されるリガンド薬物結合体は、他の部位に加えて、脱離反応にあまり感受性でない部位(例えば、Kabatに示されているようなEUインデックスによるところの239位)におけるチオール残基に結合体化され得る。
さらに別の実施形態において、標的化剤は、抗体の標的化剤であり、チオール官能基は、例えば、システイン残基の導入によって、その抗体に化学的に導入される。したがって、いくつかの実施形態において、リガンド薬物結合体化合物のリンカー単位は、導入されたシステイン残基を介して薬物リンカー部分に結合体化される。
したがって、より好ましい実施形態において、標的化剤は、抗体であり、チオール官能基は、鎖間ジスルフィドの還元によって生成されるか、またはリンカー単位は、リガンド単位の還元された鎖間ジスルフィドのシステイン残基に結合体化される。他のより好ましい実施形態において、標的化剤は、抗体であり、チオール官能基は、リガンド単位の還元された鎖間ジスルフィドのシステイン残基および遺伝子操作によって導入されたシステイン残基からのチオール官能基である。
結合体が、抗体の代わりに、非免疫反応性のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドリガンドを含むとき、有用な非免疫反応性のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドリガンドとしては、トランスフェリン、上皮成長因子(「EGF」)、ボンベシン、ガストリン、ガストリン放出ペプチド、血小板由来成長因子、IL−2、IL−6、トランスフォーミング成長因子(「TGF」)、例えば、TGF−αおよびTGF−β、ワクシニア増殖因子(「VGF」)、インスリンおよびインスリン様成長因子IおよびII、ソマトスタチン、レクチン、ならびに低密度リポタンパク質由来のアポタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
特に好ましい標的化剤は、インタクトな抗体を含む抗体である。実際に、本明細書中に記載される実施形態のいずれかにおいて、リガンド単位は、抗体のリガンド単位であり得る。有用なポリクローナル抗体は、免疫された動物の血清に由来する抗体分子の不均一な集団である。有用なモノクローナル抗体は、特定の抗原決定基(例えば、がん細胞抗原、ウイルス抗原、微生物抗原、タンパク質、ペプチド、炭水化物、化学物質、核酸またはそれらのフラグメント)に対する抗体の均一な集団である。目的の抗原に対するモノクローナル抗体(mAb)は、継続的な培養中の細胞株による抗体分子の産生を提供する当該分野で公知の任意の手法を用いることによって調製され得る。
有用なモノクローナル抗体としては、ヒトモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体またはキメラヒト−マウス(または他の種)モノクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されない。抗体には、完全長抗体およびその抗原結合フラグメントが含まれる。ヒトモノクローナル抗体は、当該分野で公知の数多くの手法のいずれか(例えば、Tengら、1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.80:7308−7312;Kozborら、1983,Immunology Today 4:72−79;およびOlssonら、1982,Meth.Enzymol.92:3−16)によって作製され得る。
抗体は、標的細胞(例えば、がん細胞抗原、ウイルス抗原または微生物抗原)に免疫特異的に結合する抗体または腫瘍細胞もしくはマトリックスに結合する他の抗体の機能的に活性なフラグメント、誘導体またはアナログであり得る。この点において、「機能的に活性な」は、そのフラグメント、誘導体またはアナログが、標的細胞に免疫特異的に結合することができることを意味する。どのCDR配列が抗原に結合するかを明らかにするために、CDR配列を含む合成ペプチドを、当該分野で公知の任意の結合アッセイ方法による抗原との結合アッセイ(例えば、BIAcoreアッセイ)において使用することができる(例えば、Kabatら、1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,Md;Kabat Eら、1980,J.Immunology 125(3):961−969を参照のこと)。
他の有用な抗体としては、抗体のフラグメント(例えば、F(ab’)2フラグメント、Fabフラグメント、Fv、一本鎖抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、scFv、scFv−FVであるがこれらに限定されない)または抗体と同じ特異性を有する他の任意の分子が挙げられる。
さらに、標準的な組換えDNA法を用いて作製され得る、ヒト部分と非ヒト部分の両方を含む組換え抗体(例えば、キメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体)も、有用な抗体である。キメラ抗体は、異なる部分が異なる動物種に由来する分子、例えば、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する分子である(例えば、米国特許第4,816,567号;および米国特許第4,816,397号(それらの全体が参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つまたはそれを超える相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する、非ヒト種由来の抗体分子である(例えば、米国特許第5,585,089号(その全体が参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。そのようなキメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、当該分野で公知の組換えDNA法によって、例えば、国際公開第WO87/02671号;欧州特許公開第0184187号;欧州特許公開第0171496号;欧州特許公開第0173494号;国際公開第WO86/01533号;米国特許第4,816,567号;欧州特許公開第012023号;Berterら、Science(1988)240:1041−1043;Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1987)84:3439−3443;Liuら、J.Immunol.(1987)139:3521−3526;Sunら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)(1987)84:214−218;Nishimuraら、Cancer.Res.(1987)47:999−1005;Woodら、Nature(1985)314:446−449;Shawら、J.Natl.Cancer Inst.(1988)80:1553−1559;Morrison,Science(1985)229:1202−1207;Oiら、BioTechniques(1986)4:214;米国特許第5,225,539号;Jonesら、Nature 1986)(321:552−525;Verhoeyanら、Science(1988)239:1534;およびBeidlerら、J.Immunol.(1988)141:4053−4060に記載されているような方法(これらの各々は参照により本明細書中に明確に援用される)を用いて作製され得る。
完全ヒト抗体が特に好ましく、それは、内在性免疫グロブリンの重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子を発現できないがヒト重鎖遺伝子およびヒト軽鎖遺伝子を発現できるトランスジェニックマウスを用いて作製され得る。
抗体には、改変されたアナログおよび誘導体が含まれ、すなわち、かかる共有結合が、その抗体が抗原結合免疫特異性を保持するのを可能にする限り、任意のタイプの分子の共有結合によって改変されたアナログおよび誘導体が含まれる。例えば、限定ではないが、抗体の誘導体およびアナログには、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク分解性の切断、細胞の抗体単位または他のタンパク質への結合などによって、さらに改変されたものが含まれる。数多くの任意の化学修飾が、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの存在下における代謝合成などを含むがこれらに限定されない公知の手法によって行われ得る。さらに、アナログまたは誘導体は、1つまたはそれを超える非天然のアミノ酸を含み得る。
抗体は、Fcレセプターと相互作用するアミノ酸残基に修飾(例えば、置換、欠失または付加)を有し得る。特に、抗体は、抗FcドメインとFcRnレセプターとの間の相互作用に関わると特定されたアミノ酸残基に修飾を有し得る(例えば、国際公開第WO97/34631号(その全体が参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)。
特定の実施形態において、がんを処置するための公知の抗体が、使用され得る。別の特定の実施形態において、自己免疫疾患を処置するための抗体が、本発明の合成物および方法に従って使用される。
ある特定の実施形態において、有用な抗体は、活性化リンパ球上に発現されたレセプターまたはレセプター複合体に結合し得る。そのレセプターまたはレセプター複合体は、免疫グロブリン遺伝子スーパーファミリーのメンバー、TNFレセプタースーパーファミリーのメンバー、インテグリン、サイトカインレセプター、ケモカインレセプター、主要組織適合タンパク質、レクチンまたは補体調節タンパク質を含み得る。
いくつかの実施形態において、抗体は、CD19、CD20、CD30、CD33、CD70、アルファ−v−ベータ−6またはLewisY抗原に特異的に結合し得る。
抗体は、ヒト化抗CD33抗体(US2013/0309223(その全体があらゆる目的のために参照により本明細書中に援用される))、ヒト化抗ベータ6抗体(例えば、WO2013/123152(その全体があらゆる目的のために参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)、ヒト化抗Liv−1抗体(例えば、US2013/0259860(その全体があらゆる目的のために参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)またはヒト化AC10抗体(例えば、US8,257,706(その全体があらゆる目的のために参照により本明細書中に援用される)を参照のこと)であり得る。抗体リガンド単位へのリンカー単位の例示的な結合は、チオエーテル結合を介する。そのチオエーテル結合は、鎖間ジスルフィド結合、導入されたシステイン残基およびそれらの組み合わせを介し得る。
1.3.2 パラレルコネクター単位
いくつかの実施形態において、AまたはAOは、式Aまたは式Bの構造:
を有するパラレルコネクター単位(LP)であり、式中、下付き文字vは、1〜4の範囲の整数であり;下付き文字v’は、0〜4の範囲の整数であり;XLPは、天然もしくは非天然のアミノ酸側鎖によって提供されるか、または−O−、−NRLP−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)−、−C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=O)N(RLP)−および−N(RLP)C(=NRLP)N(RLP)−またはヘテロシクロからなる群より選択され、ここで、各RLPは、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C12アルキル、好ましくは、水素および必要に応じて置換されたC1−C6アルキルからなる群より選択されるか、または2つのRLPが、それらの介在性原子と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C20ヘテロシクリル、好ましくは、必要に応じて置換されたC3−C6ヘテロシクリルを規定し、残りの任意のRLPは、先に定義されたとおりであり;Arは、必要に応じて置換されたC6−C24アリーレンまたは必要に応じて置換されたC5−C24ヘテロアリーレン、好ましくは、必要に応じて置換されたフェニレンであり;各REおよび各RFは、独立して、−H、必要に応じて置換されたC1−C12アルキル、必要に応じて置換されたC6−C24アリールおよび必要に応じて置換されたC5−C24ヘテロアリール、好ましくは、水素および必要に応じて置換されたフェニルからなる群より選択されるか、またはREおよびRFは、それらと結合している同じ炭素と一体となって、または隣接する炭素からのREおよびRFは、これらの炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C20カルボシクロ、好ましくは、必要に応じて置換されたC3−C6カルボシクロを規定し、残りの任意のREおよびRF置換基は、先に定義されたとおりであり;波線は、リガンド薬物結合体内または薬物リンカー化合物構造内の式Aまたは式Bの構造の共有結合を示す。
いくつかの実施形態において、−LP(PEG)−は、式A1またはA2の構造:
を有し、式中、可変基は、式Aにおいて定義されたとおりである。
好ましい実施形態において、LPは、式A1の構造を有し、式中、XLPは、天然または非天然のアミノ酸側鎖によって提供される。
式A、式A1、式A2または式Bの好ましい実施形態において、REおよびRFは、独立して、−Hおよび−C1−C4アルキルからなる群より選択される。式A、式A1または式A2の好ましい実施形態において、XLPは、−O−、−NH、−S−および−C(=O)−からなる群より選択される。
いくつかの実施形態において、LPは、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、ペニシラミン、セリンおよびトレオニンからなる群より選択され、それらの各々は、D−またはL−立体化学的配置である。
他の実施形態において、LPは、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システインおよびペニシラミンからなる群より選択され、それらの各々は、D−またはL−立体化学的配置である。
他の実施形態において、LPは、D−またはL−立体化学的配置のチオール含有アミノ酸残基である。そのチオール含有アミノ酸は、好ましくは、システイン、ホモシステインまたはペニシラミンである。
他の実施形態において、LPは、アミノアルカン二酸残基である。好ましいアミノアルカン二酸は、N−アルキルアミノアルカン二酸、2−アミノヘキサン二酸、2−アミノヘプタン二酸および2−アミノオクタン二酸(H−Asu−OH)である。
他の実施形態において、LPは、ジアミノアルカン酸残基である。好ましいジアミノアルカン酸は、N−アルキル−ジアミノ−アルカン酸、N,N−ジアルキルアミノ−アルカン酸,α,γ−ジアミノ酪酸(H−Dab−OH)およびα,β−ジアミノプロピオン酸である。
好ましい実施形態において、LPのためのリジン、システインまたはペニシラミンアミノ酸残基が、下記に示される:
ここで、波線は、薬物リンカー部分または薬物リンカー化合物のリンカー単位内のLP(PEG)−のPEGおよびLPに対する共有結合点を示す。
LP単位としてリジンを有する好ましいリガンド薬物結合体が、下記に示され、ここで、L、LS、A、AO、W、W’、Y、Y’、D、PEG、下付き文字yは、0、1または2であり、下付き文字aおよびpは、本明細書中に記載されるとおりである。表示されている(*)位置における(R)−および(S)−立体異性体は、本明細書中の使用に適している。
1.3.3 PEG単位
本明細書中に教示されるようなPEG単位は、リガンド薬物結合体内の薬物リンカー部分の疎水性NAMPT薬物単位および他の疎水性構成要素の好適なレベルの疎水性マスキングを付与するようにデザインされる。その理由のために、本明細書中に教示されるようなPEG単位の組み込みは、リガンド単位に組み込まれる結合体化されていない標的化剤と比べて、結果として生じるリガンド薬物結合体の薬物動態に悪影響を及ぼす疎水性NAMPT薬物単位に特に適している。それらのより不良な薬物動態(pharmokinetics)には、リガンド薬物結合体のNAMPT薬物単位に組み込まれたまたはそれに対応する疎水性NAMPTi化合物またはその誘導体の疎水性に起因し得る、より高い血漿クリアランスが含まれる。したがって、結合体化されていない標的化剤と比べて、有意に高い血漿クリアランスおよびそれに対応してより低い血漿曝露を示す疎水性NAMPT薬物単位を有するリガンド薬物結合体は、式−LP(PEG)−(式中、LPは、パラレルコネクター単位であり、PEGは、PEG単位である)のストレッチャー単位またはそのサブユニットを有する疎水性NAMPT薬物単位と結合しているリンカー単位によって恩恵を受け得る。リンカー単位がそのようなストレッチャー単位を含むリガンド薬物結合体は、疎水性NAMPT薬物単位の疎水性薬物リンカー部分内の平行配向およびLPに結合したPEG単位に起因して、より好ましい薬物動態(pharmokinetic)特性を有し得、ここで、血漿クリアランスに対する疎水性NAMPT薬物単位の疎水性の悪影響(薬物リンカー部分の他の疎水性構成要素によってさらに悪化し得る)は、十分に低減されるか、または本質的に排除される(すなわち、薬物リンカー部分の疎水性はマスクされる)。
PEG単位は、パラレルコネクター単位においてリガンド薬物結合体(またはその中間体)に直接結合され得る。PEG単位の他の末端(または複数の末端)は、遊離しており、固定されておらず、メトキシ、カルボン酸、アルコールまたは他の好適な官能基の形をとり得る。そのメトキシ、カルボン酸、アルコールまたは他の好適な官能基は、PEG単位の末端のPEGサブユニットに対するキャップとして作用する。当業者は、PEG単位が、反復ポリエチレングリコールサブユニットを含むことに加えて、非PEG材料も含み得る(例えば、複数のPEG鎖を互いに結合することを促進するために、またはパラレルコネクター単位への結合を促進するために)ことを理解するだろう。非PEG材料とは、反復−CH2CH2O−サブユニットの一部ではない、PEG単位における原子のことを指す。本明細書中に提供される実施形態において、PEG単位は、非PEGエレメントを介して互いに連結された2つの単量体PEG鎖を含み得る。
したがって、いくつかの実施形態において、PEG単位は、反応性官能基を介してアミノ酸残基に共有結合される。反応性官能基は、活性化されたPEG分子と結合し得る反応性官能基(例えば、遊離アミノ基または遊離カルボキシル基)である。例えば、N末端のアミノ酸残基およびリジン(K)残基は、遊離アミノ基を有し;C末端のアミノ酸残基は、遊離カルボキシル基を有する。スルフヒドリル基(例えば、システイン残基上に見られるような)も、PEGを結合するための反応性官能基として使用され得る。さらに、活性化された基(例えば、ヒドラジド基、アルデヒド基および芳香族アミノ基)をポリペプチドのC末端に特異的に導入するための、酵素によって支援される方法が報告されている(Schwarzら(1990)Methods Enzymol.184:160;Roseら(1991)Bioconjugate Chem.2:154;およびGaertnerら(1994)J.Biol.Chem.269:7224を参照のこと]。
PEG単位の付加は、得られるリガンド薬物結合体の薬物動態に対して2つの潜在的な影響を及ぼし得る。所望の影響は、薬物リンカーの露出された疎水性エレメントによって誘導される非特異的な相互作用の減少に起因するクリアランスの減少(および結果として、曝露量の増加)である。第2の影響は、望まれないことがあり、それは、リガンド薬物結合体の分子量の増加に起因し得る分布体積および分布速度の減少に起因する。PEGサブユニットの数を増加させると、結合体の流体力学的半径が大きくなり、拡散性が低下する。そして、拡散性の低下は、リガンド薬物結合体が腫瘍に入り込む能力を低下させ得る(Schmidt and Wittrup,Mol.Cancer Ther.(2009)8:2861−2871)。これらの2つの競合する薬物動態学的影響が理由で、投与された結合体合成物のリガンド薬物結合体化合物のクリアランスを減少させるがゆえに血漿曝露量を増加させるのに十分大きいが、その拡散性を大幅に低下させる(リガンド薬物結合体化合物が意図した標的細胞集団に到達する能力を低下させ得る)ほどには大きくないPEGを使用することが望ましい。
好ましい実施形態において、PEG単位は、2〜72、2〜60、2〜48、2〜36もしくは2〜24個のサブユニット、または4〜72、4〜60、4〜48、4〜36もしくは4〜24個のサブユニット、または6〜72、6〜60、6〜48、6〜36もしくは6〜24個のサブユニット、または8〜72、8〜60、8〜48、8〜36もしくは8〜24個のサブユニット、または12〜72、12〜60、12〜48、12〜36もしくは12〜24個のサブユニット、または8〜36、8〜24もしくは8〜12個のサブユニットを有する誘導体化された直鎖の単一のPEG鎖である。
本明細書中に提供される実施形態のいずれかにおいて使用するための好ましい直鎖のPEG単位は、以下のとおりである:
ここで、波線は、LPへのパラレルコネクター単位に対する結合の部位を示し;RPEG1は、PEG結合単位であり、RPEG2は、PEGキャッピング単位であり;RPEG3は、PEGカップリング単位(すなわち、複数のPEGサブユニット鎖をともにカップリングするための単位)であり、下付き文字nは、2〜72、好ましくは、4〜72、より好ましくは、6〜72、8〜72、10〜72、12〜72、6〜24または8〜24から選択され、8〜12が特に好ましく;下付き文字eは、2〜5であり;下付き文字n’の各々は、独立して、1〜72から選択される。
より好ましい実施形態において、1つのPEG単位には、72または36個を超えないPEGサブユニットが存在する。他のより好ましい実施形態において、下付き文字nは、8もしくは約8、12もしくは約12、または24もしくは約24である。
PEG結合単位(RPEG1)は、PEG単位の一部であり、PEG単位の官能基を介してPEG単位をパラレルコネクター単位(LP)に接続するように作用する。PEG単位をLPに結合するための官能基としては、ジスルフィド結合またはチオエーテル結合を形成するスルフヒドリル基、ヒドラゾン結合を形成するアルデヒド基、ケトン基またはヒドラジン基、オキシム結合を形成するヒドロキシルアミン、ペプチド結合を形成するカルボン酸基またはアミノ基、エステル結合を形成するカルボン酸基またはヒドロキシ基、スルホンアミド結合を形成するスルホン酸、カルバメート結合を形成するアルコール、およびスルホンアミド結合またはカルバメート結合またはアミド結合を形成するアミンが挙げられる。したがって、いくつかの実施形態におけるPEG単位は、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、ヒドラゾン結合、オキシム結合、ペプチド結合、エステル結合、スルホンアミド結合、カルバメート結合またはアミド結合を介してLPに結合される。
いくつかの実施形態において、RPEG1は、−C(O)−、−O−、−S−、−S(O)−、−NH−、−C(O)O−、−C(O)C1−C10アルキル、−C(O)C1−C10アルキル−O−、−C(O)C1−C10アルキル−CO2−、−C(O)C1−C10アルキル−NH−、−C(O)C1−C10アルキル−S−、−C(O)C1−C10アルキル−C(O)−NH−、−C(O)C1−C10アルキル−NH−C(O)−、−C1−C10アルキル、−C1−C10アルキル−O−、−C1−C10アルキル−CO2−、−C1−C10アルキル−NH−、−C1−C10アルキル−S−、−C1−C10アルキル−C(O)−NH−、−C1−C10アルキル−NH−C(O)−、−CH2CH2SO2−C1−C10アルキル−、−CH2C(O)−C1−C10アルキル−、=N−(OまたはNH)−C1−C10アルキル−O−、=N−(OまたはNH)−C1−C10アルキル−NH−、=N−(OまたはNH)−C1−C10アルキル−CO2−、=N−(OまたはNH)−C1−C10アルキル−S−、
であり、ここで、各場合において、C1−C10は、必要に応じて置換されている。
好ましい実施形態において、RPEG1は、−NH−、−C(=O)−、トリアゾールに連結した基または−S−またはマレイミドに連結した基、例えば、
であり、ここで、波線は、LPへの結合部位を示し、アスタリスクは、PEG単位内の結合部位を示す。
PEGキャッピング単位(RPEG2)は、PEG単位の一部であり、PEG単位の固定された末端に対して遠位にある固定されていない末端においてPEG単位を終結するように作用する。
例示的な実施形態において、RPEG2は、独立して、−C1−C10アルキル、−C2−C10アルキル−CO2H、−C2−C10アルキル−OH、−C2−C10アルキル−NH2、−C2−C10アルキル−NH(C1−C3アルキル)または−C2−C10アルキル−N(C1−C3アルキル)2であり、ここで、各C1−C3アルキルは、独立して選択され、C1−C10、C2−C10およびC1−C3は、必要に応じて置換されている。
RPEG3は、連続したPEGサブユニットの2つの直鎖配列がPEG単位内に含まれるときのPEG単位の一部であり、これらの配列を共に繋いで単一の直鎖とするように作用する。例示的な実施形態において、RPEG3は、−C1−C10アルキル−C(O)−NH−、−C1−C10アルキル−NH−C(O)−、−C2−C10アルキル−NH−、−C2−C10アルキル−O−、−C1−C10アルキル−S−または−C2−C10アルキル−NH−であり、ここで、C1−C10アルキルおよびC2−C10アルキルは、必要に応じて置換されている。
本明細書中に提供される実施形態のいずれかにおいて使用され得る好ましい直鎖のPEG単位は、以下のとおりである:
ここで、波線は、LPへの共有結合の部位を示し、下付き文字nは、それぞれ独立して、4〜72、6〜72、8〜72、10〜72、12〜72、6〜24または8〜24から選択される。いくつかの態様において、下付き文字nは、約8、約12または約24である。
PEGサブユニットについて言及するとき、例えば、リガンド薬物結合体もしくは中間体化合物(例えば、薬物リンカー化合物)の集団について言及するとき、および/または多分散PEGを使用するとき、文脈に応じて、サブユニットの数は、平均数を表し得ることが認識されるだろう。
1.3.4 切断可能単位
切断可能単位(W)は、リガンド薬物結合体の薬物リンカー部分内の2次リンカーの構成要素であるか、または薬物リンカー化合物のリンカー単位の構成要素であり、ここで、Wは、酵素的にまたは非酵素的に作用されたとき、2次リンカー内の共有結合の切断をもたらして、薬物化合物または活性な薬物部分の放出を惹起する反応性部位を提供する。いくつかの実施形態において、その部位に対する反応性は、正常細胞と比べて、過剰に増殖する細胞または過剰に刺激された免疫細胞(すなわち、異常細胞)の細胞内または細胞周辺においてより高く、その部位への作用は、放出された薬物化合物または活性な薬物部分を異常細胞に優先的に曝露させる。それらの実施形態のいくつかにおいて、切断可能単位またはその構成要素(WまたはW’)は、ある酵素によって切断可能な反応性部位を含み(すなわち、WまたはW’は、酵素基質を提供する)、その酵素の活性もしくは存在量は、正常細胞と比べて、過剰に増殖する細胞、免疫を刺激する細胞または他の異常細胞もしくは望まれない細胞の細胞内または細胞周辺においてより高いか、またはその酵素の活性もしくは存在量は、異常細胞もしくは望まれない細胞の部位から遠位にある正常細胞の近傍においてより高い。他の実施形態において、切断可能単位は、異常細胞が通常存在しないかまたは標的化される細胞の部位から遠位にある正常細胞の環境と比べて、リガンド薬物結合体のリガンド単位によって標的化される異常細胞内または異常細胞の周辺の環境において、作用可能である可能性が高い他の機構(すなわち、非酵素的機構)によって切断可能な反応性部位を含む。それらの実施形態のいくつかにおいて、反応性部位は、標的化される異常細胞へのリガンド薬物結合体化合物の細胞内部移行の後に、酵素的にまたは非酵素的に作動される可能性が高い。標的化される異常細胞の細胞膜上に、リガンド薬物結合体化合物の標的化部分(すなわち、リガンド単位)によって認識される標的化される部分がより多く提示されていることに起因して、その内部移行は、正常細胞と比べて、それらの細胞において生じる可能性が高い。ゆえに、標的化される細胞は、NAMPT薬物単位が放出されると、リガンド薬物結合体化合物から遊離したNAMPTi化合物またはその誘導体に、細胞内で曝露される可能性が高い。切断可能単位は、標的化される部位の条件下または標的化される細胞内において切断に感受性である1つまたは複数の部位を含み得るが、いくつかの実施形態において、ただ1つのそのような部位を有する。
いくつかの実施形態において、切断可能単位は、プロテアーゼ、好ましくは、制御プロテアーゼ、またはヒドロラーゼもしくはグリコシダーゼに対する基質であり、ここで、そのプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼは、標的化される細胞の細胞内に位置する(すなわち、切断可能単位の反応性部位は、プロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼによって切断可能なそれぞれペプチド結合またはグリコシド結合である)。それらの実施形態において、切断可能単位のペプチド結合またはグリコシド結合は、血清中のプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼと比べて細胞内の制御プロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼによって選択的な切断が可能である。それらの細胞内の制御プロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼは、より好ましい実施形態において、異常細胞の部位から遠位にある正常細胞と比べて、標的化される異常細胞に対してより特異的である。他の実施形態において、切断可能単位は、異常細胞の部位から遠位にある正常細胞と比べて、標的化される異常細胞または他の望まれない細胞によって、より多い量で排出されるプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼに対する基質であり、WまたはW’は、排出されたプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼによる選択的な切断が可能である。なおも他の態様において、切断可能単位は、末梢における他の正常細胞と比べて、異常細胞の環境に特有の正常細胞内に存在するかまたはそれによって優先的に排出されるプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼに対する基質である。
あるいは、Wは、リガンド薬物結合体合成物に組み込まれているとき、異常細胞内にその合成物の化合物が優先的に内部移行された際にリゾチームの酸性環境に感受性である官能基を提供するか、または異常細胞が通常存在しない正常細胞の環境と比べてそのような細胞の細胞内もしくは細胞付近のより高い還元性の環境に感受性である官能基を提供し、最終的にそのリガンド薬物結合体化合物からDがNAMPTi化合物またはその誘導体として放出されること(この放出は、その感受性の官能基に対する作用によって惹起される)により、正常細胞と比べて異常細胞が優先的にその薬物化合物またはその誘導体に曝露される。他の実施形態において、リガンド薬物結合体化合物は、末梢における正常細胞と比べて、異常細胞の環境に特有の標的化される正常細胞に優先的に内部移行され、その結合体化合物の切断可能単位に対する酵素作用または非酵素作用は、NAMPT薬物単位を放出させ、それにより、近くの異常細胞をNAMPTi化合物またはその誘導体に優先的に曝露する。
いくつかの実施形態において、薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物における切断可能単位は、自壊性部分を含むかまたはそれからなるスペーサー単位(Y)に共有結合されており、その切断可能単位またはその構成要素(WまたはW’)に対する酵素作用は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物の、−W−Y−Dまたは−Y(W’)−DのY−D内においてその単位の自己破壊を引き起こして、DをNAMPTi化合物またはその誘導体として放出し、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位を表し、−Y(W’)−は、グルクロニド単位である。
切断可能な結合を提供する官能基としては、(a)正常細胞と比べて異常細胞のより高い還元性の条件または異常細胞が経験する低酸素条件下で生成される過剰なグルタチオンに対して感受性である、ジスルフィド結合を形成するスルフヒドリル基、(b)正常細胞への内部移行と比べて、切断可能な結合を有するリンカー単位を有するLDC化合物が異常細胞に選択的に内部移行される際にリゾチームの酸性条件に感受性である、シッフ塩基またはヒドラゾン官能基を形成するアルデヒド基、ケトン基またはヒドラジン基、(c)正常細胞と比べて異常細胞によって優先的に産生もしくは排出されるプロテアーゼまたは標的化される細胞内の制御プロテアーゼによる酵素的切断に感受性である、ペプチド結合におけるようなアミド結合を形成するカルボン酸基またはアミノ基、(d)正常細胞と比べて異常細胞によって優先的に産生もしくは排出されるヒドロラーゼまたはエステラーゼによる酵素的切断に感受性である、ある特定の尿素基もしくはカルバメート基を形成するアミノ基もしくはヒドロキシル基またはエステル基もしくはカーボネート基を形成するカルボン酸基もしくはヒドロキシ基が、例として挙げられるが、これらに限定されない。
切断可能な結合を提供するなおも他の官能基は、正常細胞と比べて異常細胞によって時折、優先的に産生され得る、グリコシダーゼに対する基質であるグリコシド結合を有する糖または炭水化物に見られる。あるいは、薬物化合物または活性な薬物部分を放出するためのリンカー単位のプロセシングに必要なプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼ酵素は、正常細胞と比べて異常細胞によって優先的に産生される必要はないが、但し、そのプロセシング酵素は、その薬物化合物または部分の早期の放出によって望まれない副作用を引き起こし得るほどは、正常細胞によって排出されない。他の場合において、その必要なプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼ酵素は、排出され得るが、薬物の望まれない早期の放出を回避するために、異常細胞によって引き起こされる異常な環境に応答して異常細胞によって産生されるのか近くの正常細胞によって産生されるのかを問わず、そのプロセシング酵素が、異常細胞の近傍において排出され、その環境に局在したままであることが好ましい。その点において、ペプチド切断可能単位としてのWまたはグルクロニド単位のW’(ここで、Wは−Y(W’)−である)は、自由に循環している酵素とは異なって異常細胞の環境中または環境内のプロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはグリコシダーゼによって優先的に作用されるように選択される。そのような場合、リガンド薬物結合体化合物は、リガンド薬物結合体化合物に対して作用するように意図された酵素を細胞内で産生するが排出しない正常細胞の近傍においてその薬物単位を薬物化合物または活性な薬物部分として放出する可能性は低く、かつ正常細胞は、リガンド薬物結合体化合物の侵入に必要な標的化される部分を提示する可能性が低いので、リガンド薬物結合体化合物は、正常細胞内に内部移行されないだろう。
いくつかの実施形態において、Wは、アミノ酸を含むペプチド切断可能単位であるか、または異常細胞内に存在するプロテアーゼもしくはこれらの異常細胞の環境に局在するプロテアーゼに対して基質を提供する1つもしくはそれを超えるアミノ酸配列を含むかもしくはそれらからなる。したがって、Wは、自壊性Yの自壊性部分へのアミド結合を介してリンカー単位に組み込まれた、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチドまたはドデカペプチド部分を含み得るかまたはそれらからなり得、ここで、その部分は、そのプロテアーゼに対する認識配列である。他の態様において、Wは、式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、式中、W’は、グルクロニドの自壊性スペーサー単位(Y)の自壊性部分に結合されるヘテロ原子(E’)に対するグリコシド結合を有する炭水化物部分(Su)であり、ここで、そのグリコシド結合は、異常細胞によって優先的に産生されるか、または標的化される部分が異常細胞上に存在することに起因してそのスペーサー単位および炭水化物部分を有するLDCが選択的に侵入するそのような細胞に見られる、グリコシダーゼによって切断可能である。
1.3.4 スペーサー単位
ただ1つの薬物単位に結合され、PABまたはPAB関連の自壊性スペーサー単位を有するリンカー単位においてNAMPT薬物単位(D)に結合されるときの2次リンカー(LO)は、好ましい実施形態において、(1)または(2)の構造:
によって表され、ここで、式(1)において、下付き文字wは、0または1であり、それぞれWが存在しないことまたは存在することを示し、Wは、存在するとき、ペプチド切断可能単位であり、YyのYは、PABまたはPAB型のスペーサー単位であり、WとYとの間のペプチド結合は、プロテアーゼによって切断可能であることにより、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのDの放出が惹起され、式(2)は、Wwを式−Y(W’)−のグルクロニド単位で置き換えることによって式(1)に関係し、式中、YyのYは、PABまたはPAB型のスペーサー単位であり、W’は、グリコシド結合した炭水化物であり、W’とYとの間のグリコシド結合は、グリコシダーゼによって切断可能であることにより、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのDの放出を惹起して惹起し、どちらの式においても、下付き文字yは、1または2であり、Aは、必要に応じての第1のストレッチャー単位であり、下付き文字aは、0または1であり、それぞれAが存在しないことまたは存在することを示す。
第2のスペーサー単位(Y’)が存在し、下付き文字yが2である、それらの実施形態において、式(1)および式(2)は、2次リンカーに対して先に記載されたような式(1a)および式(1b)によって表される。式(1a)または(1b)において、Y’が存在するとき、Y’は、時折、第1のスペーサー単位の自壊の後に自発的な分解が可能である別のスペーサー単位(それはPABまたはPAB型の自壊性スペーサー単位である)であり、いくつかの好ましい実施形態において、その第2の自壊性スペーサー単位は、−OC(=O)−Xb−によって表されるカルバメート官能基であり、ここで、Xbは、NAMPT薬物単位、好ましくは、その尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、好ましくは、−NH−、−O−または−S−である。式(1a)または(1b)において、Y’が存在しない(すなわち、式(1)または式(2)における下付き文字yが1である)とき、Y’は、好ましい実施形態において、NAMPTi化合物またはその誘導体のNAMPT尾部(TN)単位によって提供される必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられており、そのヘテロ原子は、これらの実施形態のいくつかにおいて、Xaと呼称され、Xaは、好ましくは、−O−または−S−である。
例示的なPABまたはPAB関連の自壊性部分は、−Dまたは−Y’−D(ここで、下付き文字yはそれぞれ1または2である)に結合される2次リンカーに存在するとき、マスクされた電子供与基(EDG)によって置換された中央のアリーレンまたはヘテロアリーレンおよびヘテロ原子または共有される官能基を介してDに直接結合されるベンジル炭素を有するか、または介在性の第2のスペーサー単位(Y’)を介して間接的にDに結合され、ここで、マスクされたEDGおよびベンジル炭素置換基は、互いに対してオルトまたはパラである(すなわち、1,2または1,4置換パターン)。それらの実施形態のいくつかにおいて、第2のスペーサー単位(Y’)は、存在するとき、自壊が可能であるか、または存在しない。
放出されたY’−DのY’が自壊できるときのように、Dまたは−Y’−DをNAMPTi化合物もしくはその誘導体またはそれらの前駆体として放出するために1,4−または1,6−断片化を可能にする必須の1,2または1,4置換パターンを中央の(ヘテロ)アリーレンが有する、PABまたはPAB関連の自壊性部分を有する自壊性スペーサー単位の例示的な構造は、
によって表され、ここで、J’に対する波線は、1次リンカー(LR)、好ましくは、LSSまたはLSへの共有結合の部位を示すか、またはJ’を介したもしくはJ’を含む官能基を介した2次リンカーの残部への共有結合の部位を示し、J’は、許容される場合に必要に応じて置換されるヘテロ原子(すなわち、必要に応じて置換された−NH−)であり、Dは、NAMPT薬物単位であり、Y’は、存在するとき、官能基または第2の自壊性部分(例えば、カルバメート官能基またはMAC単位)であるか、またはY’は、存在せず、上記式において、NAMPT薬物単位、好ましくは、その尾部(TN)単位からの必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられ、V、Z1、Z2、Z3は、独立して、=Nまたは=C(R24)−であり、各R24は、独立して、水素、および必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、C6−C24アリール、(C6−C24アリール)−C1−C12アルキル−、C5−C24ヘテロアリールおよび(C5−C24ヘテロアリール)−C1−C12アルキル−、ならびにびハロゲンおよび他の電子吸引基からなる群より選択され;R’は、水素、または必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、C6−C24アリール、(C6−C24アリール)−C1−C12アルキル−、C5−C24ヘテロアリールまたはC5−C24ヘテロアリール)−C1−C12アルキル、または電子供与基であり;R8およびR9は、独立して、水素、必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニル、C2−C12アルキニル、C6−C24アリールおよびC5−C24ヘテロアリールからなる群より選択されるか、またはR8とR9との両方が、それらと結合している炭素原子と一体となって、C3−C20カルボシクロを規定する。好ましい実施形態において、V、Z1、Z2のうちの1つもしくはそれを超えるものまたはV、Z2、Z3のうちの1つもしくはそれを超えるものが、=CH−である。他の好ましい実施形態において、R’は、水素または電子供与基(C1−C6エーテル、例えば、−OCH3および−OCH2CH3を含む)であるか、またはR8、R9の一方は、水素であり、他方は、水素またはC1−C4アルキルである。より好ましい実施形態において、V、Z1およびZ2のうちの2つもしくはそれを超えるものが、=CH−であるか、またはV、Z2およびZ3のうちの2つもしくはそれを超えるものが、=CH−である。他のより好ましい実施形態において、R8、R9およびR’は、それぞれ水素である。
いくつかの実施形態において、下付き文字yが2である構造(1)に示されているような−W−Yy−D(ここで、Wは、ペプチド切断可能単位である)は、以下の構造:
を有し、ここで、−N(Ry)D’は、Dを表し、D’は、Dの残部であり、点線は、D’へのRyの必要に応じての環化を示し、Ryは、水素であるか、またはRyは、D’への環化が存在しないとき、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはD’に環化されるとき、必要に応じて置換されたC1−C6アルキレンであり;−J’−は、許容される場合に必要に応じて置換されるヘテロ原子(O、Sおよび必要に応じて置換された−NH−を含む)であり、J’またはJ’を含む官能基は、隣接する波線によって示されるようにWに結合され、その結合の切断は、リガンド薬物結合体合成物の化合物からの第一級または第二級アミン含有NAMPTi化合物またはその誘導体としてのDの放出を惹起し、残りの可変基は、上で定義されたとおりである。それらの可変部分は、標的化される部位においてペプチド切断可能単位Wのプロセシングから放出されたときのJ’の反応性が、PABまたはPAB型の自壊性部分から除去されるY’−DまたはDの反応性およびその脱離反応から生じるキノン−メチド型の中間体の安定性と釣り合うように、選択される。
それらの実施形態において、Dと、第1の自壊性スペーサー単位YのPABまたはPAB関連の自壊性部分のベンジル炭素(−C(R8)(R9)−)との間の介在部分は、Y’であり、カルバメート官能基が、YとDとの間で共有される。そのような実施形態において、スペーサー単位Yの断片化および−Y’−Dの放出の後、PABまたはPAB関連の自壊性部分を含む2次リンカーに窒素原子が結合された第一級または第二級アミンを有するNAMPTi化合物またはその誘導体としてDを放出するためにCO2が失われる。
いくつかの実施形態において、−Y’−Dに結合したPABまたはPAB型部分を有する自壊性スペーサー単位は、以下の構造:
を有し、ここで、窒素原子に隣接する波線は、Wへの共有結合の部位を示し、そのWへの結合は、プロテアーゼによって切断可能であり、R33は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、好ましくは、水素またはC1−C4アルキル、より好ましくは、水素、−CH3または−CH2CH3である。より好ましい実施形態において、V、Z1およびZ2は、それぞれ=CH−であり、R33は、水素である。
理論に拘束されるものではないが、R33が−Hであり、Y’がカルバメート官能基である、Yの連続的な自壊は、以下のように、ペプチド切断可能単位を有するリガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物に対して例証される:
いくつかの実施形態において、下付き文字yが2であり、Wが式−Y(W’)−のグルクロニド単位である、構造(2)に示されているような−Yy(W’)−Dは、以下の構造:
を有し、ここで、J’は、許容される場合に必要に応じて置換されるヘテロ原子(O、Sおよび必要に応じて置換された−NH−を含む)であり、J’に対する波線は、好ましくはLSSもしくはLSであるLRとの安定した共有結合の部位を示す(すなわち、プロセシングされないか、または標的化される部位において安定である)か、または前記ヘテロ原子もしくはそのヘテロ原子を含む官能基を介した2次リンカーの残部との安定した共有結合の部位を示し;J’から独立して選択されるE’は、電子供与部分(例えば、−O−、−S−または−N(R33)−(ここで、R33は、上で定義されたとおりである))であり、E’の電子供与能力は、W’の炭水化物部分(Su)への結合によって減弱され、W’は、E’に隣接する波線によって示されるように、−E’−Suであり、ここで、E’に結合したSuは、グリコシダーゼに対する切断部位を提供し、E’および−C(R8)(R9)−Y’−D部分のベンジル炭素は、V、Z1、Z2またはZ3によって定義される位置において中央の(ヘテロ)アリーレンに結合され、V、Z1、Z2、Z3のうちの少なくとも2つは、=C(R24)−でなければならず、ここで、一方のR24置換基が、−C(R8)(R9)−Y’−D部分であり、他方が、W’であり、W’および−C(R8)(R9)−Y’−D部分は、DもしくはY’−Dまたはその前駆体をNAMPTi化合物またはその誘導体として放出するための切断時に1,4−または1,6−断片化(fragmention)を可能にするように、1,2または1,4の関係性であり;残りの可変基は、ペプチド切断可能単位に結合されるPABまたはPAB関連の自壊性スペーサー単位に対して先に定義されたとおりである。好ましい実施形態において、J’は、−O−、−N(R33)−であり、ここで、R33は、好ましくは、水素またはC1−C4アルキルである。他の好ましい実施形態において、W’および−C(R8)(R9)−Y’−Dに結合されない残りのV、Z1、Z2、Z3可変基の一方または両方は、=CH−である。なおも他の好ましい実施形態において、R’は、水素または電子吸引基(−CN、−NO2またはハロゲンを含む)であるか、またはR8、R9の一方は、水素であり、他方は、水素またはC1−C4アルキルである。より好ましい実施形態において、V、Z1、Z2、Z3からの残りの可変基の両方が、=CH−である。理論に拘束されるものではないが、R’が、グルクロニド単位における電子吸引基であるとき、その基は、W’のグリコシド結合をグリコシダーゼ切断に対してより感受性にすることによって、その切断に依存するリガンド薬物結合体化合物からのDの放出を支援すると考えられている。
いくつかの実施形態において、構造(2)の2次リンカー−D部分に対して、Y’−Dに結合されたPABまたはPAB型部分を有する自壊性スペーサー単位は、以下の構造:
を有し、ここで、可変基は、先に定義されたとおりである。好ましい実施形態において、V、Z3の両方が、=CH−である。他の好ましい実施形態において、R33は、水素である。なおも他のより好ましい実施形態において、R8およびR9は、それぞれ水素であり、R’は、水素または−NO2である。
自壊性部分の中央の(ヘテロ)アリーレンは、Dの放出を調節するため、それを組み込んでいるリガンド薬物結合体の生理化学的特性を改善するため(例えば、疎水性を低下させるため)、および/またはプロテアーゼもしくはグリコシダーゼ切断に対するその結合の感受性を高めるために、1,2−または1,4−脱離反応の動態に影響するようにさらに置換され得る。例えば、グリコシダーゼ切断に対する感受性を高めるために、R’は、W’のE’が、グリコシダーゼによって切断可能なグルクロニド単位内のグリコシド結合の酸素原子であるときのように、電子吸引基、例えば、ハロゲン、−CNまたは−NO2であり得る。
自壊牲構造の例示的かつ非限定的な例は、Alouaneら、“Self−immolative spacers:Kinetic aspects,structure−property relationships,and applications”Angew.Chem.Int.Ed.(2015):54:7492−7509;Blencoweら、“Self−immolative linkers in polymeric delivery systems”Polym.Chem.(2011)2:773−790;Greenwaldら、“Drug delivery systems employing 1,4−or 1,6−elimination:poly(ethylene glycol)prodrugs of amine−containing compounds”J.Med.Chem.(1999)42:3657−3667によって;ならびに米国特許第7,091,186号;同第7,754,681号;同第7,553,816号;および同第7,989,434号(これらのすべての全体が、参照により本明細書中に援用され、これらに提供されている構造および可変基が特に参照により援用される)に提供されている。
好ましい実施形態において、Y’は、Dと共有されるカルバメート官能基を表し、Y’は、上に示されたような様式でCO2およびNAMPTi化合物またはその誘導体の形態のDに自発的に分解する第2の自壊性スペーサー単位であり、これは、第1の自壊性スペーサー単位のPABまたはPAB型部分の1,6−断片化の後に生じる。他の好ましい実施形態において、Y’は、Dに結合されているとき、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有するメチレンカルバメート単位であり、ここで、波線は、第1の自壊性スペーサー単位(Y)へのメチレンカルバメート単位の共有結合を示し;Dは、メチレンカルバメート単位に組み込まれたヒドロキシル官能基を有するNAMPTi化合物またはその誘導体の薬物単位であり;O*は、メチレンカルバメート単位に組み込まれるようになるその官能基からの酸素ヘテロ原子であり;R51、R52およびR53は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C12アルキル、必要に応じて置換されたC6−C24アリールまたは必要に応じて置換されたC結合C5−C24ヘテロアリールであるか、またはR51およびR52は、それらと結合している窒素および炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C20ヘテロシクロを規定し、R53は、水素または必要に応じて置換されたC1−C12アルキルである。
理論に拘束されるものではないが、YおよびY’の連続的な自壊は、R33が−Hであり、W’のE’がグリコシド結合の酸素原子(O’)であるグルクロニド単位を有するリガンド薬物結合体および薬物リンカー化合物に対して、以下のとおり例証される:
好ましい実施形態において、R51、R52およびR53は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C10アリールまたは必要に応じて置換されたC結合C5−C10ヘテロアリールであるか、またはR51およびR52は、それらと結合している窒素および炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたアゼチジニル、ピロロジニル、ピペリジニルまたはホモピペリジニル部分を規定する。より好ましい実施形態において、R51、R52およびR53は、それぞれ水素であるか、またはR51およびR52は、それらと結合している窒素および炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたピロロジニルまたはピペリジニル部分を規定し、R53は、水素である。
ペプチド切断可能単位を有し、第2の自壊性部分としてMAC単位を組み込んでいる、式1および/または式2のリガンド薬物結合体の実施形態は、式3および/もしくは式4の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、薬物リンカー化合物の場合の対応する実施形態は、式III
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、
式中、Wは、ペプチド切断可能単位であり、Yは、第1の自壊性スペーサー単位であり、表示されている第2の自壊性スペーサー単位は、MAC単位であり、式1および式2において下付き文字yは2であり;残りの可変基は、先に定義されたとおりである。
式1および/または式2のリガンド薬物結合体、ならびにグルクロニド単位を有し、第2の自壊性部分としてMAC単位を組み込んでいる式Iの薬物リンカー化合物の実施形態は、式3、式4および式IIIと類似の構造を有し、これらの式における−W−Y−は、−Y(W’)−によって置き換えられており、Yは、グルクロニド単位に対する実施形態によって説明されたようなグリコシド結合を介してW’に結合される第1の自壊性スペーサーである。
1.4 NAMPT薬物単位
NAMPT薬物単位(D)は、式1および/もしくは式2のリガンド薬物結合体化合物のリンカー単位のLRもしくはLO(それぞれLOの有無に応じて)に、または式Iの薬物リンカー化合物のリンカー単位に、頭部基の構成要素以外のDの構成要素を介して共有結合されており、ここで、その構成要素は、NAMPT薬物単位が、NAMPTi化合物または誘導体としてリガンド薬物結合体化合物または薬物リンカー化合物から放出されたとき、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体とニコチンアミド結合部位において相互作用することができる。その放出は、結合体化合物または薬物リンカー化合物におけるリンカー単位の酵素処理または非酵素処理の後に生じる。1つの好ましい群の実施形態において、その処理は、リガンド単位の2次リンカーにおいて生じ、下付き文字wが0であるときは、リンカー単位の何らかのフラグメントの保持を伴ってもしくは伴わずに、または下付き文字wが1であるときは、切断可能単位(W)の酵素処理の際に、NAMPT薬物単位を切り離す。後者の場合、Wは、好ましくは、プロテアーゼによって、好ましくは、Yとのペプチド結合の切断によって、処理することができるペプチド切断可能単位であるか、またはWは、好ましくは、式−Y(W’)のグルクロニド単位であり、式中、Yは、自壊性スペーサー単位であり、W’は、グリコシダーゼによる切断が可能なグリコシド結合を介してそのスペーサー単位に結合される。
好ましい実施形態において、リガンド薬物結合体合成物の薬物リンカー化合物または結合体化合物のリンカー単位への共有結合の部位であるNAMPT薬物(D)単位の構成要素は、一般式:
またはその塩、好ましくは、薬学的に許容され得る塩を有するNAMPT薬物単位のNMAPT尾部(TN)単位であり、式中、波線は、式1、式2または式IにおけるLOまたはLRへの共有結合の部位を示し;HNは、NAMPT頭部単位であり、DAは、NAMPT供与体受容体単位であり、INは、NAMPT相互接続単位であり、TNは、上述のNAMPT尾部単位である。それらの実施形態において、NAMPTi化合物またはその誘導体によって提供されるTNは、必要に応じて置換されたヘテロ原子を有する官能基を有するように改変されているかまたは改変され、そのヘテロ原子は、式Iの薬物リンカー化合物または式1および/もしくは式2のリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物のリンカー単位にTNを結合するための柄として働くがゆえに、その薬物リンカーまたは結合体化合物へのNAMPT薬物単位としてのNAMPTi化合物またはその誘導体の組み込みの部位になる。リンカー単位またはその前駆体へのTNの共有結合の後に、NAMPT薬物単位の残部が、不連続な構成要素としてまたはTNを含む何らかの中間体として構築され得るとき、その組み込みは、そのような化合物の調製の様式に関して推論しないので、NAMPT薬物単位の同一性に限定されない。
下付き文字wが1である1つのそのような実施形態において、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのDの放出の惹起は、リガンド単位の2次リンカーにおけるペプチド切断可能単位のプロテアーゼ切断によって生じる。別のそのような実施形態において、Dの放出の惹起は、2次リンカーにおけるグルクロニド単位のグリコシダーゼ切断によって生じる。典型的には、Wがペプチド切断可能単位であり、下付き文字yが0であるとき、Dは、H−Xb−TN−IN−DA−HNとの式を有するNAMPTi化合物またはその誘導体として直接放出され、式中、Xbは、リンカー単位へのNAMPT薬物単位の共有結合の部位であった、TNの官能基の必要に応じて置換されたヘテロ原子である。
下付き文字yが0であり、W−Dの共有結合がプロテアーゼによって切断される、好ましい実施形態において、Xbは、好ましくは、TNのアミノ、ヒドロキシルまたはチオール含有官能基からの−NH−、−O−または−S−である。下付き文字yが1または2である他の好ましい実施形態において、W−Yの共有結合は、プロテアーゼによって切断され、Y−DまたはY−Y’−Dが、最初に放出される部分であり、Yが自壊性スペーサー単位でない場合、Y−DまたはY−Y’−Dのどちらかが、NAMPTi化合物の誘導体としてそれ自体でNAMPTの阻害剤として生物学的に活性であり得る。
下付き文字yが1である他の好ましい実施形態において、Yは、自壊性スペーサー単位であり、最初に放出されるY−Dは、自発的な断片化を起こして、H−Xa−TN−IN−DA−HNとの式を有するNAMPTi化合物またはその誘導体となり、式中、Xaは、TNの官能基の必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、リンカー単位へのNAMPT薬物単位の共有結合の部位であり、好ましくは、TNのヒドロキシルまたはチオール含有官能基からの−O−または−S−である。
下付き文字yが2であり、Wが自壊性スペーサー単位に結合されるペプチド切断可能単位である場合、Y−Y’−Dの最初の放出の後、Yの自壊が生じて、Y’−Dが提供され、Y’が自壊性スペーサー単位でない場合、そのY’−D自体が、NAMPTi化合物の誘導体としてそれ自体でNAMPTの阻害剤として生物学的に活性であり得る。Y’が、式−OC(=O)−Xb−のカルバメート官能基であるか、または例えば式−OC(=O)NH−CH2−Xb−(式中、Xbは、TNの官能基の必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、リンカー単位に対するNAMPT薬物単位の共有結合の部位である)のようなMAC単位であるときのように、Y’も自発的な分解が可能である場合、Dは、H−Xb−TN−IN−DA−HNとの式(式中、Xbは、好ましくは、必要に応じて置換された−NH−、−O−または−S−である)を有するNAMPTi化合物またはその誘導体として最終的に放出される。
下付き文字wが1である別のそのような実施形態において、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのDの放出の惹起は、式−Y(W)−のグルクロニド単位のグリコシダーゼ切断によって生じ、式中、Yは自壊性単位であり、この式は、下付き文字yが1または2であることを必要とする。下付き文字yが1である場合、グリコシダーゼの作用は、Y−Dを放出し、それは自発的に断片化して、H−Xa−TN−IN−DA−HNとの式を有するNAMPTi化合物またはその誘導体となり、式中、Xaは、TNの官能基の必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、リンカー単位への共有結合の部位であり、好ましくは、TNのヒドロキシルまたはチオール含有官能基からの−O−または−S−である。下付き文字yが2である場合、グリコシダーゼの作用は、最初にY−Y’−Dを放出し、それは、Yの自発的な断片化の後、Y’−Dを提供し、Y’が自壊性スペーサー単位でない場合、そのY’−D自体が、NAMPTi化合物の誘導体としてそれ自体でNAMPTの阻害剤として生物学的に活性であり得る。Y’が、式−OC(=O)−Xb−のカルバメート官能基であるか、または例えば式−OC(=O)NH−CH2−Xb−(式中、Xbは、TNの官能基の必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、リンカー単位への共有結合の部位である)のようなMAC単位であるときのように、Y’も自発的な分解が可能である場合、Dは、H−Xb−TN−IN−DA−HNとの式(式中、Xbは、好ましくは、必要に応じて置換された−NH−、−O−または−S−である)を有するNAMPTi化合物またはその誘導体として最終的に放出される。
好ましいNAMPT薬物単位は、以下のNAMPT頭部(HN)単位、NAMPT供与体受容体(DA)単位、NAMPT相互接続(IN)単位およびNAMPT尾部(TN)単位のいずれか1つの組み合わせによって提供される。特に好ましい組み合わせは、以下の構造のNAMPT薬物単位:
を提供する。
1.4.1 NAMPT頭部単位
NAMPT頭部(HN)単位は、NAMPTi化合物もしくはその誘導体またはその化合物もしくは誘導体のNAMPT薬物単位の構成要素であり、この構成要素は、その化合物のNAMPT供与体受容体(DA)単位に共有結合されているかまたはそれを全体的もしくは部分的に組み込んでおり、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)への酵素的変換の前に通常ニコチンアミドのピリジン部分によって占められているNAMPTの結合部位と相互作用することができる。いくつかの実施形態において、NAMPT頭部(HN)単位、またはHNがDA単位を少なくとも部分的に組み込んでいるHN−DA部分は、必要に応じて置換された、C5−C24ヘテロアリールまたは部分芳香族C8−C24ヘテロシクリルであり、それらのどちらかが、必要に応じて置換された5または6員の窒素含有芳香族複素環系を含む。HN単位がDA単位を少なくとも部分的に組み込んでいるそれらの実施形態において、そのような組み込みは、好ましくは、部分芳香族または完全芳香族の6,5−または6,6縮合環系を有するHN−DA部分を規定するように、HNの必要に応じて置換された6員の窒素含有芳香族複素環系に結合されたDA単位がその環系に環化されている5または6員の芳香族環系または非芳香族環系の形をとる。
好ましい実施形態において、HNは、ピリジン模倣物であり、ここで、その単位の必要に応じて置換されたC5−C24ヘテロアリールまたは部分芳香族C8−C24ヘテロシクリルは、約−2〜約7のpKaを有し、ゆえに、弱塩基性であるか、または正常な生理学的条件下において無電荷のままであり、ニコチンアミドのピリジン部分が関与する1つまたはそれを超える相互作用によって、酵素的に能力のあるNAMPT二量体のニコチンアミド結合部位と相互作用することができる。好ましい実施形態において、ピリジン模倣物は、必要に応じて置換された6員の窒素含有芳香族複素環系を含み、より好ましくは、必要に応じて置換されたピリジン−3−イルまたはピリジン−4−イルであり、かつ/または適切な場合には、必要に応じて置換されたC5もしくはC6複素環に必要に応じて縮合され、ここで、そのピリジニル部分は、芳香族炭素原子によって供与体受容体(DA)単位に結合される。したがって、HNとしてのより好ましいピリジン模倣物としては、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有するものが挙げられ、ここで、R1は、水素または電子吸引基、好ましくは、水素、−NH2またはクロロであり;R2は、ハロゲン、好ましくは、フルオロであり;R3は、水素または電子供与基、好ましくは、水素または−NH2であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し、それに隣接する芳香族炭素原子は、DAによる前記必要に応じての環化の部位であることにより、HN−DAを提供し、ここで、HNは、DAの少なくとも一部を組み込んでいる。
他のより好ましい実施形態において、HNは、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有するピリジン模倣物であり、ここで、波線は、DAへの共有結合の部位を示し、それに隣接する芳香族炭素原子は、HN−DAに対するDAによる前記必要に応じての環化の部位であり、ここで、HNは、DAの少なくとも一部を組み込んでおり;R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素、メチルまたはエチル、より好ましくは、水素またはメチルである。
他の好ましい実施形態において、ピリジン模倣物は、必要に応じて置換された5員の窒素含有芳香族複素環系を含み、DAは、その環系の芳香族炭素原子または窒素原子に結合される。したがって、HNとしてのより好ましいピリジン模倣物には、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有するものが含まれ、ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素、メチルまたはエチル、より好ましくは、水素である。
より好ましい実施形態において、DAは、ピリジン模倣物に環化せずに、6員の窒素含有芳香族複素環系の骨格芳香族炭素原子において必要に応じて置換されるその環系を含むピリジン模倣物に共有結合されている。他の好ましい実施形態において、DAは、6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する骨格芳香族炭素において必要に応じて置換されるその環系を有するピリジン模倣物に環化して、HN−DA部分を形成する。それらの好ましい実施形態のいくつかにおいて、環化は、DAのヘテロ原子を介して、またはHNとDAとの間に導入される必要に応じて置換された酸素、硫黄もしくは窒素ヘテロ原子を介して、生じ、どちらの場合においても、それは、完全芳香族の6,5−縮合環系を有するHN−DA部分を規定するように、供与体受容体(DA)単位の一部を5員の芳香族の形態でHNに組み込む。DAが、隣接する骨格芳香族炭素においてピリジン模倣物に環化されてHN−DA部分(ここで、HNは、DAの一部を組み込んでいる)を形成する、他の好ましい実施形態において、DAは、部分芳香族6,5−縮合環系を有するHN−DA部分を規定するように、非芳香族5員環の形態でHNとDAとの間に導入される必要に応じて置換されたメチレンを介してその隣接する骨格炭素原子に環化される。HN−DA部分を規定するそれらの実施形態は、時折まとめて、下記のNAMPT供与体受容体単位の実施形態においてさらに説明されるようなニコチンアミド部分と称される。
上述の実施形態のいずれか1つにおいて、より好ましくは、ピリジン模倣物としてのHNまたはニコチンアミド模倣物としてのHN−DAは、NAMPTの単量体が、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体を形成するとき、NAMPTの一方の単量体上のPhe193および/または他方の単量体のTyr18’と相互作用することができ、ここで、各NAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する。理論に拘束されるものではないが、それらの相互作用は、それらの2つのアミノ酸残基の一方または両方の芳香族側鎖とのπ−πオフセットスタッキングによって生じ得る。
1.4.2 NAMPT供与体受容体単位
NAMPT供与体受容体(DA)単位は、NAMPTi化合物もしくはその誘導体の構成要素またはその化合物もしくはその誘導体のNAMPT薬物単位の構成要素であり、この構成要素は、HN−DA部分として頭部単位(HN)に結合されるかまたは組み込まれ、その化合物または誘導体のNAMPT相互接続(IN)単位にも結合される。供与体受容体(DA)単位は、水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基を含み、ここで、その官能基のヘテロ原子は、HNに結合されるか、またはDAは、その官能基を含む有機部分であり、その有機部分の炭素原子は、HNに結合され、その炭素原子は、いくつかの実施形態において、水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基と結合している炭素原子であり、DAの有機部分の官能基のヘテロ原子または炭素原子の結合は、NAMPT頭部(HN)単位の5員の窒素含有芳香族複素環系の2もしくは3位またはHNの6員の窒素含有芳香族複素環系の3もしくは4位における骨格炭素原子への結合であり、DAのヘテロ原子を介したあるいは必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または芳香族の必要に応じて置換された窒素、酸素もしくは硫黄原子を介した窒素含有芳香族複素環系の隣接する骨格炭素原子へのDA単位の必要に応じての環化は、必要に応じて置換された部分芳香族または完全芳香族の縮合環系を有するHN−DA部分をもたらし、ここで、DAの前記結合は、5または6員の窒素含有芳香族環系の骨格窒素原子に対する結合であり、窒素含有芳香族複素環系の隣接する芳香族炭素原子への前記必要に応じての環化は、DAの供与体官能基または受容体官能基の水素結合能力を実質的に保持する。
好ましい実施形態において、HNは、ピリミジン模倣物であり、そのピリジン模倣物へのDAの環化を有するまたは有しないHN−DA部分は、ニコチンアミド模倣物である。DAがピリジン部分に環化されるそれらの実施形態において、その環化は、DA単位を少なくとも部分的に組み込んでいる、部分芳香族または完全芳香族の6,5−または6,6−縮合環系を形成するように行われる。
他の好ましい実施形態において、DAは、必要に応じて置換されたアミド官能基を含み、そのアミド官能基は、DAの水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基であり、NMNのアミド官能基と同じ1つまたはそれを超える相互作用でニコチンアミド結合部位において相互作用することができる。したがって、NAMPT薬物単位におけるDAは、リガンド薬物結合体化合物または薬物リンカー化合物から放出されたとき、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体のSer275と相互作用することができ、ここで、各NAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する。それらの実施形態のいくつかにおいて、DAのアミド官能基は、水素結合を介してSer275残基のヒドロキシル側鎖においてそのアミノ酸と相互作用することができ、かつ/または水素結合によって直接、もしくは水分子の仲介を含む水素結合ネットワークを介して間接的に、Asp219、Ser241およびVal242からなる群より選択される1つまたはそれを超えるアミノ酸残基とも相互作用することができる。
したがって、好ましいDA単位は、必要に応じて置換されたアミド官能基を有するかまたはそれを含み、好ましい実施形態は、以下の構造:
を含むかまたは有し、ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素、メチルまたはエチル、より好ましくは、水素であり、R4に結合した窒素原子は、HNへの必要に応じての環化の部位であり、これにより、R4は、結合によって置き換えられ、波線は、HN、またはHNに結合されるDAの残部への共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す。
他のDA単位は、アミドバイオアイソスター構造を有するかまたは含み、好ましい実施形態は、以下の構造:
およびその塩(薬学的に許容され得る塩を含むがこれに限定されない)を含むかまたは有し、ここで、波線は、HNまたはDAの残部への共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示し、DAがアミドバイオアイソスターを有するかまたは含む他の好ましい実施形態は、以下の構造:
ならびにその塩(薬学的に許容され得る塩を含むがこれに限定されない)を含むかまたは有し、ここで、XDは、O、SまたはNR4Dであり;R4およびR4Dは、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキルからなる群より選択されるか、または両方のR4が、それらと結合している窒素原子と介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換された5または6員(memebered)のヘテロシクロを規定し;波線は、HN、またはHNに結合されるDAの残部への共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示し、R4の1つに結合した窒素原子またはR4Dに結合した窒素原子は、HNへのそれらのアミドバイオアイソスターの必要に応じての環化のための部位であり、R4またはR4Dの一方は、介在する必要に応じて置換された炭素原子または必要に応じて置換されたヘテロ原子(例えば、NH、Oまたは−S(=O)0−2)を介したピリジン模倣物への結合によって置き換えられる。DA内の内部の環化またはHNピリジン模倣物へのDAアミドバイオアイソスターの環化が存在する好ましい実施形態は、以下の構造:
およびそれらの塩(薬学的に許容され得る塩を含むがこれに限定されない)を含み、ここで、R4は、先に記載されたとおりであり、R5は、必要に応じて置換されたC6−C24アリールまたはC5−C24ヘテロアリール、好ましくは、必要に応じて置換されたフェニルであり;波線は、INへの共有結合の部位を示す。
より好ましい実施形態において、DAは、水素結合供与体または水素結合受容体として働く必要に応じて置換されたアミド官能基、および必要に応じて置換されたC2−C20アルケニレンを特徴とするアクリルアミド供与体受容体単位であり、そのアルケニレンのsp2炭素の1つは、アミド官能基のカルボニル炭素に結合され、そのアミド官能基の窒素原子は、NAMPT相互接続(IN)単位への結合の部位であり、アミド官能基に結合されていないそのアルケニレンの別のsp2炭素は、HNの必要に応じて置換された5または6員の窒素含有芳香族複素環系へのそのDA単位の共有結合の部位である。他のより好ましい実施形態において、DAは、そのアクリルアミド供与体受容体単位のバイオアイソスターである。アクリルアミドDA単位のアクリルアミドバイオアイソスターは、酵素的に能力のあるNAMPT二量体の境界面内での親化合物に起因する複数の相互作用を保持しつつ、HNおよびIN単位を共につなげることによって、そのタイプのDA単位と立体的かつ機能的に等価な有機部分である。
特に好ましいアクリルアミドDA単位は、以下の構造:
を有するかまたは含み、ここで、ポンド記号(#)は、INへのDAの共有結合の部位を示し;波線は、HN、またはHNに結合されるDAの残部への共有結合の部位を示し、それに隣接する炭素原子は、アクリルアミドDA単位によるHNへの前記必要に応じての環化の部位であり;R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素、メチルまたはエチル、より好ましくは、水素であり、他の特に好ましいアクリルアミドDA単位は、以下の構造:
を有し、ここで、ポンド記号(#)は、INへのDAの共有結合の部位を示し;波線は、HN、またはHNに結合されるDAの残部への共有結合の部位を示し;R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素、メチルまたはエチル、より好ましくは、水素である。
アクリルアミドDA単位が、HNの必要に応じて置換された窒素含有芳香族複素環系の隣接する骨格炭素原子に環化されるとき、その環化は、特に好ましい実施形態において、HNの6員の窒素含有芳香族複素環系に縮合された5員の芳香族複素環系を規定するように、アミド官能基に近位のアルケニレン部分のsp2炭素原子と隣接する炭素原子との間に導入される酸素、硫黄または必要に応じて置換された窒素ヘテロ原子を介して、その近位のsp2炭素原子を介して6員の必要に応じて置換された窒素含有芳香族複素環系に環化される。6員の必要に応じて置換された窒素含有芳香族複素環系が、ピリジン模倣物であり、それに結合したDAが、アクリルアミドDA単位であるとき、そのように記載される様式でDAがHNに必要に応じて環化されたHN−DA部分は、時折、ニコチンアミド模倣物と称される。他のHN−DA部分またはニコチンアミド模倣物は、立体的に許容される場合、HNまたはピリジン模倣物への必要に応じての環化とともに、上に記載されたようなアミド官能基またはそのバイオアイソスターを有するかまたは含む。
DAがHNに環化されない特に好ましいHN−DAまたはニコチンアミド模倣物は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素、メチルまたはエチル、より好ましくは、水素であり;波線は、INへの共有結合の部位を示す。特に好ましい他のそのようなHN−DAまたはニコチンアミド模倣物は、以下の構造:
およびその塩(薬学的に許容され得る塩を含むがこれに限定されない)を有し、ここで、R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素、メチルおよびエーテルからなる群より選択され、より好ましくは、R4は、水素であり、波線は、INへの共有結合の部位を示す。
DAが少なくとも部分的にHNに環化されている特に好ましいHN−DAまたはニコチンアミド模倣物は、以下の構造:
およびその塩(薬学的に許容され得る塩を含むがこれに限定されない)を有し、ここで、R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素、メチルおよびエチル、より好ましくは、水素またはメチルからなる群より選択されるか、または2つのR4は、それらと結合している窒素原子と一体となって、介在炭素原子とともに、必要に応じて置換された5または6員のヘテロシクロを規定し;波線は、INへの共有結合の部位を示す。
DAがアミド官能基である特に好ましいHN−DAまたはニコチンアミド模倣物は、以下の構造:
およびその塩(薬学的に許容され得る塩を含むがこれに限定されない)を有し、ここで、R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素、メチルおよびエチル、より好ましくは、水素またはメチルからなる群より選択され;波線は、INへの共有結合の部位を示す。
HNへのDAの環化を有するまたは有しない、本明細書中に記載されるHN単位とDA単位との様々な組み合わせによって形式上誘導可能な、上で具体的に列挙されていない他のHN−DAまたはニコチンアミド模倣物は、NAMPTi化合物またはその誘導体が、MM2最小化立体配座であるとき、HNの5または6員の窒素芳香族複素環系のDAに結合されていない弱塩基性または無電荷の窒素と、その窒素原子から最も遠位にあるDAの原子との間の距離が、約7.0〜約7.3オングストローム、より好ましくは、約7.1〜約7.2オングストロームの範囲である、好ましい組み合わせで企図される。他の好ましい組み合わせにおいて、その最小化立体配座における、DAに結合されたHNの原子と、NAMPT尾部(TN)単位と結合しているNAMPT相互接続(IN)単位の原子との間の距離は、約8.0オングストローム〜約9.5オングストローム、より好ましくは、約8.3オングストローム〜約9.2オングストロームの範囲内である。
1.4.3 NAMPT相互接続単位
NAMPT相互接続(IN)単位は、NAMPTi化合物もしくはその誘導体の構成要素、またはその化合物もしくは誘導体のNAMPT薬物単位の構成要素であり、その構成要素は、供与体受容体(DA)単位と尾部(TN)単位とを相互接続する。いくつかの実施形態において、INは、酵素的に能力のあるNAMPT酵素においてDAと尾部単位との間の領域におけるトンネルを裏打ちしている疎水性側のアミノ酸側鎖とのファンデルワールス相互作用に関わることができ、NAMPTi化合物を二量体の境界面に固定するために尾部単位が1つまたはそれを超える上述の相互作用に関わることを可能にする。典型的には、相互接続単位の長さは、その部分が、リガンド薬物結合体におけるNAMPTi薬物単位としての結合体化のための柄として導入されたとき、NAMPTi化合物の結合を過度に干渉しないために、NAMPTi化合物が結合したら、TNのヒドロキシルまたはアミノ残基置換基が、溶媒が接近可能な空間に向かって突き出ることを可能にするように選択される。その目的のために、INの好ましい実施形態は、必要に応じて置換されたC1−C8アルキレン、必要に応じて置換されたC6−C24アリーレンまたはそれらの組み合わせからなる群より選択される疎水性残基を含み、ここで、HN−DAへの結合の部位に対して遠位にある疎水性残基の末端は、NAMPT尾部(TN)単位への結合のために必要に応じて官能化される。他の好ましい実施形態において、INは、TNへの結合のために必要に応じて官能化される、必要に応じて置換されたC2−C12ヘテロアルキレンまたは必要に応じて置換されたC5−C20ヘテロシクロをさらに含む。
NAMPT薬物単位におけるHN、DAおよびINの好ましい組み合わせにおいて、リガンド薬物結合体化合物または薬物リンカー化合物からのその薬物単位の放出からのNAMPTi化合物またはその誘導体のINまたはIN−TNは、NAMPTのVal242、Ile309、Ile351およびHis191からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超える、好ましくは、2つまたはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができ、ここで、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する。
他の好ましい実施形態において、IN単位は、−X1−[C(=O)]0,1−、−X1−S(=O)1,2−、−X2−C6−C24アリーレン−[C(=O)]0,1−、−X2−C6−C24アリーレン−[S(=O)1,2]0,1、−X2−C6−C24アリーレン−O−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−[C(=O)0,1]−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−[S(=O)1,2]0,1−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−O−または−X2−C3−C20ヘテロシクロ−[C(=O)0,1]−であるかまたはそれを含み、ここで、そのアリーレン、ヘテロアリーレンおよびヘテロシクロは、必要に応じて置換されており、X1は、必要に応じて置換されたC5−C7アルキレンであり、X2は、存在しないか、または必要に応じて置換されたC1−C4アルキレンである。より好ましい実施形態において、INは、−CH2−(CH2)3−7−CH2−、−CH2−(CH2)3−7−CH2−O−、−CH2−(CH2)3−7−C(=O)−、−CH2−(CH2)3−7−S(=O)2−または−CH2−(CH2)3−7−S(=O)−である。それらの実施形態のいくつかにおいて、X1またはX2の炭素原子は、INへのTNの必要に応じての環化の部位である。
他のより好ましい実施形態において、INは、以下の構造:
を有するかまたは含み、ここで、波線は、DAまたはDAに結合されるINの残部への共有結合の部位を示し、ポンド記号(#)は、TNへの共有結合の部位を示し;R6は、水素、または必要に応じて置換された飽和もしくは不飽和のC1−C6アルキル、好ましくは、C1−C4アルキル、−CH2CH=C(CH3)2または−CH2−C≡CHである。
1.4.4 NAMPT尾部単位
NAMPT尾部(TN)単位は、NAMPTi化合物もしくはその誘導体の構成要素、またはその化合物もしくは誘導体のNAMPT薬物単位の構成要素であり、その構成要素は、相互接続(IN)単位に結合される。NAMPTi化合物またはその誘導体に対して、好ましい実施形態において、TNは、NAMPT薬物単位としてNAMPTi化合物またはその誘導体を組み込むための、リガンド薬物結合体または薬物リンカー化合物のリンカー単位への共有結合を形成することができる官能基を提供する。1つの群の好ましい実施形態におけるその目的のためのNAMPT尾部(TN)単位は、必要に応じて置換されたアミノ−アルコール残基または必要に応じて置換されたカルボン酸−アルコール残基を含み、その残基のアミノ窒素またはカルボニル炭素原子が、INまたはINに結合されるTNの残部に結合される。
別の群の好ましい実施形態において、TNは、必要に応じて置換されたベンズアミド部分を含み、そのベンズアミド部分のアミド窒素原子が、INまたはTNの残部へのその原子の必要に応じての環化とともに、INまたはINに結合されるTNの残部に結合され、ここで、前記必要に応じての環化は、IN−TNとの式の中に含まれる。いくつかの実施形態において、その必要に応じての環化は、本明細書中で定義されるようなINのX1またはX2の炭素原子への環化である。どちらの場合においても、ベンズアミド部分の芳香族環は、アミドカルボニル炭素原子が結合している部位に対して3または4位において、少なくとも、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換されている。
さらに別の群の好ましい実施形態において、TNは、アリールまたはビアリール部分であるかまたはそれを含み、その部分の芳香族原子が、INまたはINに結合されるTNの残部に結合され、その部分の芳香族環は、少なくとも、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換されており;アミノアルコールもしくはカルボン酸−アルコール残基のヒドロキシル酸素原子、またはベンズアミド、アリールもしくはビアリール部分のヒドロキシル、チオールもしくはアミノ残基の酸素、硫黄もしくは窒素原子は、LOの有無に応じてそれぞれLRまたはLOへのTNの共有結合の部位である。
TNの上記の好ましい群の実施形態のいずれか1つにおいて、INに結合するためのTNの残部は、好ましくは、必要に応じて置換されたC2−C4ヘテロアルキレンもしくは必要に応じて置換されたC3−C20ヘテロシクロまたはそれらの組み合わせである。
より好ましいTN単位は、以下の構造:
およびその塩(薬学的に許容され得る塩を含むがこれに限定されない)を有するアミノアルコール残基であるかまたはそれを含み、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素またはメチルであり;波線は、INに結合されるTNの残部への共有結合またはINへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、式1もしくは式2のリガンド薬物結合体化合物内の薬物リンカー部分または式Iの薬物リンカー化合物の、LOの有無に応じてLOまたはLRへの共有結合性の部位を示す。
他の好ましい実施形態、TN単位は、以下の構造:
を有するかまたは含むベンズアミド部分であるかまたはそれを含み、ここで、Xbは、必要に応じて置換された−NH−、−S−または−O−、好ましくは、−NH−、−N(CH3)−、−N(CH2CH3)−または−O−であり;R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキル、好ましくは、水素、メチルまたはエチル、より好ましくは、水素であり;波線は、IN、またはINに結合されるTNの残部への共有結合の部位を示し;ベンズアミド部分のアミド窒素は、IN、またはINに結合されるTNの残部へのTNの必要に応じての環化の部位であり;ポンド記号(#)は、式1もしくは式2のリガンド薬物結合体化合物内の薬物リンカー部分における、または式Iの薬物リンカー化合物の、LOの有無に応じてLOまたはLRへの共有結合の部位を示す。
なおも他の好ましい実施形態、TN単位は、以下の構造:
およびその塩(薬学的に許容され得る塩を含むがこれに限定されない)を有するかまたは含むアリールまたはビアリール部分であるかまたはそれを含み、ここで、Xbは、必要に応じて置換された−NH、−S−または−O−であり、波線は、IN、またはINに結合されるTNの残部への共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、式1もしくは式2のリガンド薬物結合体化合物内の薬物リンカー部分における、または式Iの薬物リンカー化合物の、LOの有無に応じてLOまたはLRへの共有結合の部位を示す。
TNおよびIN単位の好ましい組み合わせ(すなわち、−IN−TN−)は、以下の構造:
を有し、ここで、Xbは、必要に応じて置換された−NH−、−O−または−S−であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、式1もしくは式2のリガンド薬物結合体化合物内の薬物リンカー部分または式Iの薬物リンカー化合物の、LOの有無に応じてLOまたはLRへの共有結合の部位を示す。
上記のHN、DAおよびIN単位のいずれか1つと組み合わされたTN単位も企図される。好ましい組み合わせにおいて、リガンド薬物結合体化合物または薬物リンカー化合物から放出されたNAMPT薬物単位のTNは、Ile309、Pro307、Val350、Ile378およびAla379からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超える、好ましくは、2つまたはそれを超える、より好ましくは、3つまたはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができ、ここで、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する。TNの他の好ましい実施形態は、TNまたはIN−TNが、Tyr188、Lys189、Ala379、Asn377、Glu376、Val350、Arg349およびPro307からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超える、好ましくは、2つまたはそれを超える、より好ましくは、3つまたはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができるリガンド薬物結合体化合物または薬物リンカー化合物から放出されたNAMPT薬物単位の実施形態であり、ここで、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する。
NAMPTi化合物もしくはその誘導体における、または上記で具体的に列挙されていないリガンド薬物結合体化合物もしくは薬物リンカー化合物におけるその化合物もしくは誘導体のNAMPT薬物単位における、他のTN単位は、好ましくは、NAMPTi化合物またはその誘導体がMM2最小化立体配座であるとき、約5.5〜約7.0オングストロームの範囲内、またはより好ましくは約5.9オングストロームという、その化合物もしくは誘導体の結合体化部位として働くヘテロ原子からの距離またはINに結合されるTNの原子への対応するNAMPT薬物単位の結合体化の部位からの距離を有する。
1.5 過剰増殖の症状の処置
リガンド薬物結合体は、腫瘍細胞もしくはがん細胞の分裂増殖を阻害するため、腫瘍もしくはがん細胞においてアポトーシスを引き起こすため、または患者においてがんを処置するために有用である。リガンド薬物結合体は、がんを処置するための種々の設定においてしかるべく使用され得る。リガンド薬物結合体は、腫瘍細胞またはがん細胞に薬物を送達するために使用され得る。理論に拘束されるものではないが、1つの実施形態において、リガンド薬物結合体のリガンド単位は、がん細胞または腫瘍細胞に関連する細胞表面の抗原もしくはレセプターに結合するかまたはそれと会合し、リガンド薬物結合体が結合すると、抗原もしくはレセプターによって媒介されるエンドサイトーシスまたは他の内部移行機構を介して腫瘍細胞またはがん細胞の内側に取り込まれ(内部移行され)得る。その抗原は、腫瘍細胞もしくはがん細胞に結合され得るか、または腫瘍細胞もしくはがん細胞に関連する細胞外マトリックスタンパク質であり得る。いったん細胞の内側に入ると、リンカー系の構成要素に応じて、酵素的または非酵素的に切断可能な機構を介して、薬物が細胞内で放出される。代替の実施形態では、薬物または薬物単位は、腫瘍細胞またはがん細胞の近傍においてリガンド薬物結合体から切断され、続いて、その薬物または薬物単位が、細胞に入り込む。
リガンド薬物結合体は、結合体化特異的な腫瘍薬物またはがん薬物の標的化を提供し得、ゆえに、その薬物の全般的な毒性を低下させ得る。
いくつかの実施形態において、リンカー単位は、血液中でリガンド薬物結合体を安定化させるが、いったん細胞の内側に入ると、薬物を遊離することができる。
1つの実施形態において、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に結合する。
別の実施形態において、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞の表面上に存在する腫瘍細胞抗原またはがん細胞抗原に結合する。
別の実施形態において、リガンド単位は、腫瘍細胞またはがん細胞に関連する細胞外マトリックスタンパク質である腫瘍細胞抗原またはがん細胞抗原に結合する。
特定の腫瘍細胞またはがん細胞に対するリガンド単位の特異性は、最も効果的に処置されるそれらの腫瘍またはがんを判定するために重要であり得る。例えば、BR96リガンド単位を有するリガンド薬物結合体は、肺、乳房、結腸、卵巣および膵臓の癌腫を含む抗原陽性の癌腫の処置に有用であり得る。抗CD30または抗CD70に結合するリガンド単位を有するリガンド薬物結合体は、血液悪性腫瘍の処置に有用であり得る。
リガンド薬物結合体で処置され得る他の特定のタイプのがんとしては、以下の固形腫瘍、血液由来のがん、急性および慢性白血病ならびにリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
固形腫瘍としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫(synovioma)、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん、結腸直腸がん、腎臓がん、膵がん、骨がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、食道がん、胃がん、口腔がん、鼻腔がん、咽喉がん、扁平上皮癌腫、基底細胞癌腫、腺癌、汗腺癌腫、皮脂腺癌腫、乳頭状癌腫、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌腫、気管支原性癌腫、腎細胞癌腫、ヘパトーマ、胆管癌腫、絨毛癌腫、セミノーマ、胎児性癌腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸がん、子宮がん、精巣がん、小細胞肺癌腫、膀胱癌腫、肺がん、上皮癌腫、神経膠腫、多形神経膠芽腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、皮膚がん、メラノーマ、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫が挙げられるが、これらに限定されない。
血液由来のがんとしては、急性リンパ芽球性白血病「ALL」、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病「AML」、急性前骨髄球性白血病「APL」、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病(acute erythroleukemic leukemia)、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性(nonlymphocyctic)白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄球性白血病「CML」、慢性リンパ球性白血病「CLL」、ヘアリーセル白血病および多発性骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない。
急性および慢性白血病としては、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ球性および骨髄球性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。
リンパ腫としては、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病および真性多血症が挙げられるが、これらに限定されない。
腫瘍、転移を含むがこれらに限定されないがん、または過剰に増殖する細胞を特徴とする他の疾患もしくは障害は、ADC合成物の投与によって、処置され得るかまたはその進行が阻害され得る。
他の実施形態において、がんを処置するための方法が提供され、その方法は、それを必要とする患者に、有効量のリガンド薬物結合体合成物および化学療法剤を投与する工程を含む。1つの実施形態において、リガンド薬物結合体と組み合わせて化学療法剤で処置されるがんは、その化学療法剤に不応性であると見出されていない。別の実施形態において、リガンド薬物結合体と組み合わせて化学療法剤で処置されるがんは、その化学療法剤に不応性である。リガンド薬物結合体合成物は、がんのための処置として手術も受けた患者に投与され得る。
いくつかの実施形態において、患者は、放射線治療などのさらなる処置も受ける。特定の実施形態において、リガンド薬物結合体は、化学療法剤または放射線治療と同時に投与される。別の特定の実施形態において、化学療法剤または放射線治療は、リガンド薬物結合体の投与の前または後に投与される。
化学療法剤は、一連のセッションにわたって投与され得る。治療の標準である化学療法剤などの化学療法剤のいずれか1つまたは組み合わせが、投与され得る。
さらに、リガンド薬物結合体でがんを処置する方法は、化学療法または放射線治療の代替として提供され、ここで、その化学療法または放射線治療は、毒性過ぎると判明しているかまたは判明し得、例えば、処置されている被験体に対して許容できないまたは耐えられない副作用をもたらす。処置される患者は、必要に応じて、許容され得るまたは耐えられると見出されている処置に応じて、別のがん処置(例えば、手術、放射線治療または化学療法)で処置され得る。
1.6 LDCを含む薬学的組成物
本発明は、本明細書中に記載されるリガンド薬物結合体合成物および薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物を提供する。その薬学的組成物は、リガンド薬物結合体が、リガンド単位が結合する抗原の発現に関連する障害を処置するために患者に投与されるのを可能にする任意の形態で、存在し得る。例えば、薬学的組成物は、液体または凍結乾燥された固体の形態で存在し得る。好ましい投与経路は、非経口経路である。非経口投与としては、皮下注射、静脈内、筋肉内および胸骨内注射または注入の手法が挙げられる。好ましい実施形態において、リガンド薬物結合体を含む薬学的組成物は、液体の溶液の形態で静脈内に投与される。
薬学的組成物は、その組成物が患者に投与されたときに化合物が生物学的に利用可能になることを可能にするように製剤化され得る。そのような組成物は、1つまたはそれを超える投与単位の形をとり得、ここで、例えば、凍結乾燥された固体は、好適な液体キャリアを加えた際に溶液または懸濁液として再構成されたとき、単一の投与単位を提供し得る。
薬学的組成物の調製において使用される材料は、好ましくは、使用される量において無毒性である。薬学的組成物における活性成分の最適な投与量が種々の因子に依存し得ることは、当業者には明らかだろう。関連する因子としては、動物(例えば、ヒト)のタイプ、特定の形態の薬学的組成物、投与様式および使用されるリガンド薬物結合体合成物が挙げられるが、これらに限定されない。
薬学的組成物は、例えば、液体の形態で存在し得る。その液体は、注射による送達に有用であり得る。注射によって投与するための組成物において、界面活性物質、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定剤および等張剤のうちの1つまたはそれを超えるものも含められ得る。
液体組成物は、それが溶液であるか、懸濁液であるか、他の同様の形態であるかを問わず、以下:滅菌された希釈剤(例えば、注射用水、食塩水溶液、好ましくは、生理食塩水、リンガー溶液、等張性塩化ナトリウム、固定油、例えば、溶媒または懸濁媒として働き得る合成モノまたはジグリセリド(digylcerides)、ポリエチレングリコール、グリセリン、シクロデキストリン、プロピレングリコールまたは他の溶媒);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝剤(例えば、アミノ酸、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩);洗浄剤(例えば、非イオン性界面活性剤、ポリオール);および張度を調整するための作用物質(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)のうちの1つまたはそれを超えるものも含み得る。非経口用組成物は、ガラス製、プラスチック製または他の材料製の、アンプル、使い捨てシリンジまたは複数回量バイアルに封入され得る。生理食塩水が、例示的なアジュバントである。注射可能な薬学的組成物は、好ましくは、滅菌される。
特定の障害または症状の処置において有効な結合体の量は、その障害または症状の性質に依存し得、標準的な臨床上の手法によって決定され得る。さらに、最適な投与量の範囲の特定を助けるために、インビトロまたはインビボアッセイを必要に応じて用いることができる。組成物において使用される正確な用量も、投与経路およびその疾患または障害の重症度に依存し得、担当医の判断および各患者の都合に従って決定されるべきである。
薬学的組成物は、好適な投与量がそれを必要とする被験体への投与のために得られるように、有効量のLDC合成物を含む。典型的には、この量は、薬学的組成物の少なくとも約0.01重量%である。
静脈内投与の場合、薬学的組成物は、動物の体重1kgあたり約0.01〜約100mgのリガンド薬物結合体合成物を含み得る。1つの態様において、薬学的組成物は、動物の体重1kgあたり約1〜約100mgのリガンド薬物結合体合成物を含み得る。別の態様において、投与される量は、約0.1〜約25mg/kg体重の範囲内のリガンド薬物結合体合成物であり得る。
一般に、患者に投与されるリガンド薬物結合体合成物の投与量は、典型的には、約0.01mg/kg〜約100mg/kg被験体体重である。いくつかの実施形態において、患者に投与される投与量は、約0.01mg/kg〜約15mg/kg被験体体重である。いくつかの実施形態において、患者に投与される投与量は、約0.1mg/kg〜約15mg/kg被験体体重である。いくつかの実施形態において、患者に投与される投与量は、約0.1mg/kg〜約20mg/kg被験体体重である。いくつかの実施形態において、投与される投与量は、約0.1mg/kg〜約5mg/kgまたは約0.1mg/kg〜約10mg/kg被験体体重である。いくつかの実施形態において、投与される投与量は、約1mg/kg〜約15mg/kg被験体体重である。いくつかの実施形態において、投与される投与量は、約1mg/kg〜約10mg/kg被験体体重である。いくつかの実施形態において、投与される投与量は、1処置サイクルにわたって、約0.1〜4mg/kg、好ましくは、0.1〜3.2mg/kgまたはより好ましくは、0.1〜2.7mg/kg被験体体重である。
リガンド薬物結合体は、任意の好都合な経路、例えば、注入またはボーラス注射、上皮または粘膜皮膚の内層(例えば、経口粘膜、直腸および腸粘膜)を介した吸収によって投与され得る。投与は、全身投与または局所投与であり得る。様々な送達系、例えば、リポソーム、微小粒子、マイクロカプセル、カプセルにおける被包が知られており、それらを、化合物を投与するために用いることができる。ある特定の実施形態において、1種より多い化合物または合成物が、患者に投与される。
ある実施形態において、リガンド薬物結合体は、動物、特に人間への静脈内投与に適合された薬学的組成物として、日常的な手順に従って製剤化される。典型的には、静脈内投与用のキャリアまたはビヒクルは、滅菌された等張性の緩衝水溶液である。必要であれば、組成物は、可溶化剤も含み得る。静脈内投与用の組成物は、注射部位における疼痛を和らげるためのリグノカインなどの局所麻酔剤を必要に応じて含み得る。一般に、それらの成分は、別々に、または単位剤形において共に混合された状態で、例えば、乾燥した凍結乾燥粉末としてまたは水を含まない濃縮物として、活性な作用物質の量を示しているアンプルまたはサシェなどの密閉された容器内に、供給される。リガンド薬物結合体が、注入によって投与される場合、それは、例えば、滅菌された薬学グレードの水または食塩水を含む注入ボトルとともに分配され得る。リガンド薬物結合体が、注射によって投与される場合、滅菌された注射用水または食塩水のアンプルが提供され得、それらの成分が投与前に混合され得る。
薬学的組成物は、一般に、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)の優良医薬品製造基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)のあらゆる規則に完全に則って、滅菌された実質的に等張性のものとして製剤化される。
1.7 番号が付けられた実施形態
以下の番号が付けられた実施形態は、本発明をさらに例証するが、これらに限定されない。
1.リガンド薬物結合体(LDC)合成物であって、その合成物は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、Lは、リガンド単位であり;Dは、ニコチンアミドの複素環に対応する、頭部基以外のNAMPT薬物単位の構成要素を介して式1および/または式2の合成物構造に共有結合されているNAMPT薬物単位であり、ここで、その構成要素は、NAMPT薬物単位が、その合成物のリガンド薬物結合体化合物からNAMPT阻害剤(NAMPTi)化合物またはその誘導体として放出されたとき、そのニコチンアミドモノヌクレオチド結合部位において酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体と相互作用することが可能なままであり;LRは、必要に応じて、必要に応じての2次リンカーであるLOを介して、リガンド単位と薬物単位とを相互接続する1次リンカーであり;下付き文字aおよびbは、独立して0または1であり、AまたはBがそれぞれ存在しないことまたは存在することを示し;下付き文字nは、1、2、3または4であり;Aは、第1の必要に応じてのストレッチャーであり;下付き文字bが1であり、下付き文字nが、2、3または4であるとき、Bは、分枝単位であるか、または下付き文字nが1であるとき、Bは存在せず、下付き文字bは0であり、AおよびBの各々は、独立して選択される単一の単位であるか、または必要に応じて、2、3または4つの独立して選択されたサブユニットを含むかまたはそれらからなり;下付き文字;
yは、0、1または2であり、それぞれYが存在しないことまたは1つもしくは2つのYが存在することを示し;Yは、スペーサー単位であるか、または必要に応じて置換されたヘテロ原子もしくは官能基であるが、但し、下付き文字yが0であるとき、Yyは、必要に応じて置換された−NH−、−O−および−S−からなる群より選択される、遠位末端の構成要素の必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられ;下付き文字yが1であるとき、Yは、必要に応じて置換された−NH−、OおよびSからなる群より選択される、遠位末端の構成要素の必要に応じて置換されたヘテロ原子に共有結合されているスペーサー単位であり;下付き文字yが2であり、Yyが−Y−Y’−であるとき、Yは、第1のスペーサー単位であり、Y’は、必要に応じて置換された−NH−、OおよびSからなる群より選択される、遠位末端の構成要素の必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基、または第2のスペーサー単位であり;
下付き文字wは、0または1であり、それぞれWが存在しないことまたは存在することを示し;下付き文字wが1であるとき、Wは、ペプチド切断可能単位または式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、ここで、W’は、必要に応じて置換されたヘテロ原子を介してYとグリコシド結合している炭水化物部分を表すが、但し、W’に結合したYは、第1の自壊性スペーサー単位でなければならず;下付き文字yは、0、1または2であるが、但し、Wがグルクロニド単位であるとき、下付き文字yは、1または2であり、その場合、下付き文字yは、その必須の自壊性スペーサー単位を含み;下付き文字wが1であるとき、これは、切断可能単位が存在することを示し、その単位の酵素的切断または非酵素的切断は、リガンド薬物結合体合成物の結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起し;下付き文字wが0であるとき、これは、切断可能単位が存在しないことを示し、LOが存在するときは、表示されているLR部分とLO部分との間の結合、またはLOが存在しないときは、LRとDとの間の結合の酵素的切断または非酵素的切断は、NAMPTi化合物または誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起し;
下付き文字pは、下付き文字nが1以外であるときは薬物リンカー部分の平均負荷量であるか、または下付き文字nが1であるときは平均薬物負荷量であり、ここで、どちらの場合においても下付き文字pは、1〜24の範囲の数字であり;リガンド薬物結合体合成物の化合物は、pがp’によって置き換えられた式1および/または式2の構造に構造的に対応し、ここで、p’は、1〜24の範囲の整数である、リガンド薬物結合体(LDC)合成物。
2.NAMPTi薬物単位が、以下の一般構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、波線は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示し;HNは、NAMPT頭部単位であり、そのNAMPT頭部単位は、必要に応じて置換された、C5−C24ヘテロアリールまたは部分芳香族C9−C24ヘテロシクリルであり、必要に応じて置換された5または6員の窒素含有芳香族複素環系を含み;
DAは、供与体受容体単位であり、その供与体受容体単位は、水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基であるかまたはそれを含み、上記5員の窒素含有芳香族複素環系の2もしくは3位または該6員の窒素含有芳香族複素環系の3もしくは4位の骨格炭素原子に結合されており、ここで、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された窒素、酸素もしくは硫黄原子を介した、上記6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する骨格炭素原子とDAの必要に応じての形式的な環化により、部分芳香族または完全芳香族の縮合6,5−または6,6−環系が生じ、ここで、DAの前記結合は、その5または6員の窒素含有芳香族複素環系の骨格窒素原子に対する結合であり、その6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する炭素原子への前記形式的な環化は、前記環化の非存在下のDAの供与体官能基または受容体官能基の水素結合能力を実質的に保持し;
INは、相互接続単位であり、その相互接続単位は、−X1−[C(=O)]0,1−、−X1−S(=O)1,2−、−X2−C6−C24アリーレン−[C(=O)]0,1−、−X2−C6−C24アリーレン−[S(=O)1,2]0,1、−X2−C6−C24アリーレン−O−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−[C(=O)0,1]−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−[S(=O)1,2]0,1、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−O−または−X2−C3−C20ヘテロシクロ−[C(=O)0,1]−であるかまたはそれを含み、ここで、そのアリーレン、ヘテロアリーレンおよびヘテロシクロは、必要に応じて置換されており;X1は、必要に応じて置換されたC5−C7アルキレンであり;X2は、存在しないか、または必要に応じて置換されたC1−C4アルキレンであり;
TNは、NAMPT尾部単位であり、そのNAMPT尾部単位は、必要に応じて置換されたアミノ−アルコール残基またはカルボン酸−アルコール残基であるかまたはそれを含み、その残基のアミノ窒素またはカルボニル炭素は、INに結合されるか、またはTNは、必要に応じて置換されたベンズアミド部分であるかまたはそれを含み、そのベンズアミド部分のアミド窒素原子は、その原子とINまたはTNの残部との必要に応じての環化によってINに結合され、そのベンズアミド部分の芳香族環は、少なくとも、アミドカルボニル炭素原子が結合している部位に対して3または4位において、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換されるか、またはTNは、必要に応じて置換されたアリールまたはビアリール部分であるかまたはそれを含み、そのアリールまたはビアリール部分の芳香族骨格原子は、INまたはTNの残部に結合され、そのアリールまたはビアリール部分の芳香族環は、少なくとも、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換されており;
TNまたはその残部は、INに結合され、ここで、前記残部は、必要に応じて置換されたC2−C7ヘテロアルキレンまたは必要に応じて置換されたC5−C6ヘテロシクロであり、アミノアルコールもしくはカルボン酸−アルコール残基のヒドロキシル酸素原子、またはベンズアミド、アリールもしくはビアリール部分のヒドロキシル、チオールもしくはアミノ残基の酸素、硫黄もしくは窒素原子は、その合成物の式1または式2のリガンド薬物結合体化合物の薬物リンカー部分の、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへのTNの共有結合の部位である、実施形態1に記載のリガンド薬物結合体合成物。
3.NAMPT頭部(HN)単位が、ピリジン模倣物である、実施形態2に記載の薬物結合体合成物。
4.供与体受容体(DA)単位が、必要に応じて置換されたアミド官能基またはそのバイオアイソスターを含む、実施形態2または3に記載のリガンド薬物結合体合成物。
5.HN−DAが、ニコチンアミド模倣物である、実施形態2または3に記載のリガンド薬物結合体合成物。
6.HNの6員の窒素含有芳香族複素環系が、ピリジンの芳香族複素環系であって、導入される芳香族の酸素、硫黄または必要に応じて置換された窒素原子を介したそのピリジン芳香族環系へのDAの必要に応じての環化を有する、ピリジンの芳香族複素環系であり、これにより、HNは、6−5縮合芳香族環系を含む、実施形態2に記載のリガンド薬物結合体合成物。
7.放出されたNAMPT薬物単位のHNが、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体の一方の単量体におけるPhe193および/または他方の単量体のTyr18’ と相互作用することができ、それらのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態2〜6のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
8.前記NAMPT頭部単位の相互作用が、Phe193および/またはTyr18’の芳香族側鎖とのπ−πスタッキングを介する、実施形態7に記載のリガンド薬物結合体合成物。
9.NAMPT頭部単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、R1は、水素、−NH2またはクロロであり;R2は、フルオロであり;R3は、水素または−NH2であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し、それに隣接する芳香族炭素原子は、HNに対するDAによる前記必要に応じての環化の部位である、実施形態2に記載のリガンド薬物結合体合成物。
10.NAMPT頭部単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、波線は、DAへの共有結合の部位を示し、それに隣接する芳香族炭素原子は、HNに対するDAによる前記必要に応じての環化の部位である、実施形態2に記載のリガンド薬物結合体合成物。
11.NAMPT頭部単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、波線は、DAへの共有結合の部位を示し、それに隣接する芳香族炭素原子は、HNに対するDAによる前記必要に応じての環化の部位であり;R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルである、実施形態2に記載のリガンド薬物結合体合成物。
12.供与体受容体単位が、それと結合しているHNの窒素含有芳香族環系の隣接する骨格炭素原子に必要に応じて環化されるアクリルアミドDA単位である、実施形態2〜11のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
13.放出されたNAMPT薬物単位の供与体受容体単位が、Asp219、Ser241、Val242およびSer275からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができ、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態2〜12のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
14.前記DAの相互作用が、直接水素結合するか、または水分子の仲介に関わる水素結合ネットワークを介して間接的に水素結合する、実施形態13に記載のリガンド薬物結合体合成物。
15.供与体受容体単位が、以下の構造:
を有し、ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;DAは、必要に応じてHNと環化し、前記環化は、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された芳香族ヘテロ原子を介した、カルボニル炭素の近位にあるsp2炭素原子(表示されているような)との環化であり;波線は、HNへの共有結合の部位を示し、それに隣接する該炭素原子は、DAによる前記必要に応じての環化の部位であり;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態2〜12のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
16.供与体受容体単位が、以下の構造
を有し、ここで、
R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、NAMPT頭部単位への共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態2〜12のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
17.供与体受容体単位が、以下の構造:
を有し、ここで、
R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、HNへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態2〜12のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
18.供与体受容体単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、
XDは、O、SまたはNRDであり、ここで、その窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、RDは、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;各R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキルからなる群より選択されるか、または両方のR4が、それらと結合している窒素原子および介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C6ヘテロシクロを規定し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示し;波線は、HNへの共有結合の部位を示し、DAは、必要に応じて、HNの隣接する部位と環化し、前記環化は、表示されている窒素原子に結合されたR4が共有結合によって置き換えられるような、表示されている窒素原子からの環化であるか、または前記環化は、XDが−NRDであるとき、直接のまたは導入される−S(=O)0−2部分を介したXDからの環化であり、そのどちらの場合においても、RDは、結合によって置き換えられる、実施形態2〜12のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
19.供与体受容体単位が、以下の構造:
を有する、実施形態18に記載のリガンド薬物結合体合成物。
20.供与体受容体単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、波線は、NAMPT頭部単位への共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態2〜12のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
21.HN−DA−が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、INへの共有結合の部位を示し、カルボニル炭素の近位にあるsp2炭素原子は、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された芳香族ヘテロ原子を介したHNに対する必要に応じての環化の部位(表示されているような)である、実施形態2に記載のリガンド薬物結合体合成物。
22.HN−DA−が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、
R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキルからなる群より選択され;波線は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態2に記載のリガンド薬物結合体合成物。
23.HN−DA−が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、
ここで、
R4は、水素もしくは必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであるか、または両方のR4が、それらと結合している窒素原子および介在炭素原子と一体となって、C5−C6ヘテロシクロを規定し;波線は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態2に記載のリガンド薬物結合体合成物。
24.HN−DA−が、以下の構造
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキルからなる群より選択され;波線は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態2に記載のリガンド薬物結合体合成物。
25.HN−DA−が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、
R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキルからなる群より選択され;R5は、必要に応じて置換されたC6−C24アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C24ヘテロアリールであり;波線は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態2に記載のリガンド薬物結合体合成物。
26.放出されたNAMPT薬物単位のNAMPT尾部(TN)単位または−IN−TN−が、Ile309、Pro307、Val350、Ile378およびAla379からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができ、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態2〜25のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
27.放出されたNAMPT薬物単位のTNまたは−IN−TN−が、Tyr188、Lys189、Ala379、Asn377、Glu376、Val350、Arg349およびPro307からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができ、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態2〜26のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
28.NAMPT尾部単位が、必要に応じて置換されたアミノアルコール部分であるかまたはそれを含み、そのアルコールの酸素原子は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位である、実施形態2〜25のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
29.NAMPT尾部単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有するアミノアルコール部分であり、ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、INへの共有結合性の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態28に記載のリガンド薬物結合体合成物。
30.尾部単位が、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位であるヘテロ原子を提供する官能基を有する必要に応じて置換されたベンズアミド部分であるかまたはそれを含む、実施形態2〜25のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
31.NAMPT尾部単位が、以下の構造:
を有するベンズアミド部分であり、ここで、
Xbは、−S−、−O−または必要に応じて置換された−NH−であり;R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、INへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示し、そのベンズアミド部分は、必要に応じてINと環化し、そのベンズアミド部分のアミド窒素は、前記環化の部位であり、これにより、R4は、共有結合によって置き換えられる、実施形態30に記載のリガンド薬物結合体合成物。
32.NAMPT尾部単位が、以下の構造:
を有するベンズアミド部分である、実施形態31に記載のリガンド薬物結合体合成物。
33.NAMPT尾部単位が、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位であるヘテロ原子を提供する官能基を有する必要に応じて置換されたアリール、ヘテロアリールまたはビアリール部分であるかまたはそれを含む、実施形態2〜25のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体。
34.NAMPT尾部単位が、以下の構造:
を有する有するビアリールまたはアリール部分であり、ここで、
Xbは、−S−、−O−または必要に応じて置換されたNH−であり;波線は、INへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態33に記載のリガンド薬物結合体。
35.NAMPT尾部単位が、以下の構造:
を有するアリール部分であり、ここで、Xbは、−S−、−O−または必要に応じて置換されたNH−であり、Xbは、波線によって示されるようなINへの共有結合の部位に対してメタまたはパラ位に存在し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態33に記載のリガンド薬物結合体。
36.放出されたNAMPT薬物単位のINが、NAMPTのVal242、Ile309、Ile351およびHis191からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超えるアミノ酸と相互作用することができ、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態2〜35のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
37.INが、−CH2−(CH2)3−7−CH2−、−CH2−(CH2)3−7−CH2−O−、−CH2−(CH2)3−7−C(=O)−、−CH2−(CH2)3−7−S(=O)2−または−CH2−(CH2)3−7−S(=O)−である、実施形態2〜35のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
38.INが、以下の構造:
を有し、ここで、波線は、DAへの共有結合の部位を示し、ポンド記号(#)は、TNへの共有結合の部位を示し;R6は、水素、C1−C4アルキル、−CH2CH=C(CH3)2または−CH2−C≡CHである、実施形態2〜35のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
39.−IN−TN−が、以下の構造:
を有し、ここで、
Xbは、−NH−、−O−または−S−であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態2〜25のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
40.−IN−TN−が、以下の構造:
を有し、ここで、Xbは、−O−、−S−または必要に応じて置換されたNH−であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態2〜25のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
41.NAMPT薬物単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、
ここで、ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態1に記載のリガンド薬物結合体合成物。
42.L−LR−が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、Lは、リガンド単位であり、表示されている(#)硫黄原子は、リガンド単位からの硫黄原子であり;波線は、結合体構造の残部への共有結合の部位を示す、実施形態1〜41のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
43.L−LR−が、以下の構造:
または
その薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、Lは、リガンド単位であり、表示されている(#)原子は、リガンド単位からの原子であり;波線は、結合体構造の残部への共有結合の部位を示す、実施形態1〜41のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
44.合成物が、式1および/もしくは式2の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、
式中、Lは、リガンド単位であり;Sは、リガンド単位の硫黄原子であり、式2においては、表示されているコハク酸アミド(M3)部分のカルボン酸官能基に対してαまたはβ位の炭素原子に結合され;R6は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、式2においては、L−S−によって置換された炭素に隣接する飽和炭素原子に結合され;AOは、第2の必要に応じてのストレッチャー単位であり;BUは、塩基性単位であり、Ra2は、必要に応じて置換されたC1−C12アルキル基であり;点線の曲線は、必要に応じての環化を示し、前記環化の非存在下では、BUは、非環式塩基性単位であるか、または前記環化の存在下では、BUは、環化した塩基性単位であり、ここで、Ra2およびBUはその両方と結合している炭素原子と一体となって、BUの第二級または第三級アミン官能基の塩基性骨格窒素原子を含む必要に応じて置換されたスピロC3−C20ヘテロシクロを規定し、その非環式塩基性単位または環式塩基性単位の塩基性窒素原子は、その塩基性窒素原子の置換度に応じて、窒素保護基によって必要に応じて適切に保護されているか、または必要に応じてプロトン化されている、実施形態1〜41のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
45.合成物が、以下の構造:
によって表され、ここで、
AOとしての[HE]は、必要に応じての加水分解増強単位であり;下付き文字wは、1であり;Wは、ペプチド切断可能単位であり;そのペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用によって、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内のW−J’結合が切断されて、リガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出が惹起されるか、またはWは、以下の構造:
を有する式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、式中、
Suは、炭水化物部分であり、−E’−は、グリコシダーゼによって切断可能なグリコシド結合の必要に応じて置換されたヘテロ原子を表し、これにより、Su−E’は、W’であり、グルクロニド単位構造の残部は、W’に結合した自壊性スペーサー単位であり;J’は、必要に応じて置換された独立して選択されるヘテロ原子であり;V、Z1、Z2およびZ3は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、ここで、各R24は、独立して、水素、ならびに必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニルおよびC2−C12アルキニル、ならびにハロゲン、電子吸引基、電子供与基、−E’−Su、ならびに−C(R8)(R9)−からなる群より選択されるが、
但し、ただ1つの−C(R8)(R9)−部分およびただ1つの−E’−Su部分しか存在せず、V、Z1、Z2およびZ3のうちの1つは、R24が−C(R8)(R9)−である=C(R24)−であり、V、Z1、Z2およびZ3のうちのもう1つは、R24が−E’−Suである=C(R24)−であるが、但し、その−C(R8)(R9)−および−E’−Su部分は、互いに対してオルトまたはパラであり;
R8およびR9は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニルもしくはC2−C12アルキニル、または必要に応じて置換された、C6−C20アリールもしくはC5−C20ヘテロアリールであるか、またはR8およびR9は、その両方と結合している炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C20カルボシクロを規定し;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;
J’に隣接する波線は、下付き文字aが1であるときはAへのグルクロニド単位の共有結合の部位、または下付き文字aが0であるときは表示されているLSSもしくはLS1次リンカーへのグルクロニド単位の共有結合の部位を示し;−C(R8)(R9)−部分に隣接する波線は、下付き文字yが2であるときはY’へのグルクロニド単位の共有結合の部位、または下付き文字yが1であるときはDへのグルクロニド単位の共有結合の部位を示し;そのグルクロニド単位に対するグリコシダーゼの作用によって、そのグリコシド結合が切断されて、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出が惹起される、実施形態44に記載のリガンド薬物結合体(LDC)合成物。
46.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、−W−Yy−Dは、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、
ここで、
Xaは、TNの第一級または第二級アミン官能基の窒素原子であり;Xbは、TNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素ヘテロ原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
47.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、−W−Yy−Dは、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、O*は、TNのアルコール官能基からからの酸素原子であり;R’は、水素もしくまたは−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R51、R52およびR53は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C14アリールまたは必要に応じて置換されたC結合C3−C8ヘテロアリールであるか、またはR51およびR52は、その両方が結合している窒素および炭素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジンヘテロシクロを規定し、R53は、水素であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;O*は、TNのアルコール官能基の酸素原子を表し、O’は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物または誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
48.Wが、ペプチド切断可能単位であり、−Yy−D−が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、
ここで、Xaは、TNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子であり;Xbは、TNの第一級または第二級アミン官能基の窒素原子であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;J’は、波線によって示されるようにWに結合される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内のその結合の切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
49.Wが、ペプチド切断可能単位であり、−Yy−D−が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、
R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;R7、R10およびR11は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C14アリールまたは必要に応じて置換されたC結合C3−C8ヘテロアリールであるか、またはR7およびR10は、その両方が結合している窒素および炭素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジンヘテロシクロを規定し、R11は、水素であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;O*は、TNのアルコール官能基の酸素原子を表し;J’は、波線によって示されるようにWに結合される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内のその結合の切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
50.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素ヘテロ原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
51.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
52.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Wは、ペプチド切断可能単位であり;下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
53.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Wは、ペプチド切断可能単位であり;下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
54.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
55.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
56.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Wは、ペプチド切断可能単位であり;下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
57.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Wは、ペプチド切断可能単位であり;下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
58.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、ここで、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;Ra2は、水素、または点線の曲線によって示されるように必要に応じてBUに環化されるC1−C6アルキルであり、Ra1の1つまたはRa3の1つは、Ra2がC1−C6アルキルであるとき、Ra2の炭素原子に対する結合で置き換えられ;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
59.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Wは、ペプチド切断可能単位であり;Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;Ra2は、水素、または点線の曲線によって示されるように必要に応じてBUに環化されるC1−C6アルキルであり、Ra1の1つまたはRa3の1つは、Ra2がC1−C6アルキルであるとき、Ra2の炭素原子に対する結合で置き換えられ;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
60.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
61.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;BUは、必要に応じてプロトン化された−CH2−NH2であり;Ra2は、水素であり;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
62.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Wは、ペプチド切断可能単位であり;Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
63.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Wは、ペプチド切断可能単位であり;Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;BUは、必要に応じてプロトン化された−CH2−NH2であり;Ra2は、水素であり;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態45に記載のリガンド薬物結合体合成物。
64.Wが、ペプチド切断可能単位であり、その単位は、ジペプチドを含み、そのジペプチドは、リガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起するように、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内のW−J’結合またはJ’が−NHであるときはW−NH結合の制御プロテアーゼまたはリソソームプロテアーゼによる切断のための前記プロテアーゼに対する認識部位を提供する、前述の実施形態のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
65.Wが、以下の構造:
を有し、ここで、
R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
との構造を有し、ここで、アスタリスクは、ジペプチド骨格への共有結合の部位を示し;R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2または−(CH2)2CO2Hであり;波線は、リガンド薬物結合体合成物を表している構造へのジペプチドの共有結合点を示す、実施形態64に記載のリガンド薬物結合体合成物。
66.Wが、−Phe−Lys−、−Val−Ala−、−Val−Lys−、−Ala−Lys−、−Val−Cit−、−Phe−Cit−、−Leu−Cit−、−Ile−Cit−、−Phe−Arg−および−Trp−Cit−からなる群より選択され、ここで、Citは、シトルリンである、実施形態65に記載のリガンド薬物結合体合成物。
67.Aまたはそのサブユニットが、−LP(PEG)−である、実施形態1〜66のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
68.−LP−またはそのサブユニットが、必要に応じて置換された、アミノアルカン二酸、ジアミノアルカン酸、硫黄置換アルカン二酸、硫黄置換アミノアルカン酸、ジアミノアルカノール、アミノアルカンジオール、ヒドロキシル置換アルカン二酸、ヒドロキシル置換アミノアルカン酸または硫黄置換アミノアルカノール残基であり、置換された硫黄は、還元型または酸化型である、実施形態67に記載のリガンド薬物結合体合成物。
69.−LP−またはそのサブユニットが、リジン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、オルニチン、シトルリン、システイン、ホモシステイン、ペニシラミン、トレオニン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、チロシン、ヒスチジンまたはトリプトファンのアミノ酸残基であり、そのアミノ酸は、D配置またはL配置である、実施形態67に記載のリガンド薬物結合体合成物。
70.LPまたはそのサブユニットが、D−またはL−立体化学的配置の、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、ペニシラミン、セリンまたはトレオニンからなる群より選択される、実施形態67に記載のリガンド薬物結合体合成物。
71.−LP−またはそのサブユニットが、式LP−1もしくはLP−2の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、式中、
XLPは、−O−、−NRLP−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)−、−C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=NRLP)N(RLP)−およびC3−C8ヘテロシクロからなる群より選択され;各RLPは、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C6アルキルからなる群より選択されるか、または2つのRLPは、それらと結合している炭素原子およびそれらの介在原子と一体となって、C5−C6ヘテロシクロを規定し、残りの任意のRLPは、先に定義されたとおりであり;Arは、必要に応じて置換された、C6−C10アリーレンまたはC5−C10ヘテロアリーレンであり;各REおよび各RFは、独立して、−H、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC2−C6アルキレン、必要に応じて置換されたC6−C10アリーレンおよび必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリーレンからなる群より選択されるか、またはREおよびRFは、その両方と結合している炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたスピロC3−C6カルボシクロを規定するか、または隣接する炭素原子からのREおよびRFは、これらの原子および任意の介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C6カルボシクロを規定し、残りの任意のREおよびRFは、先に定義されたとおりであり;1つの波線は、PEG単位の共有結合の部位を示し、その他の波線は、リガンド薬物結合体合成物を表している構造内の式LP−1または式LP−2の共有結合を示す、実施形態67に記載のリガンド薬物結合体合成物。
72.−LP(PEG)−が、式LP−3もしくは式LP−4の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、式中、
下付き文字vは、1〜4の範囲の整数であり;XLPは、−O−、−NRLP−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)−、−C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=NRLP)N(RLP)−およびC3−C8ヘテロシクロからなる群より選択され;各RLPは、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C6アルキルからなる群より選択されるか、または2つのRLPは、それらと結合している炭素原子およびそれらの介在原子と一体となって、C5−C6ヘテロシクロを規定し、残りの任意のRLPは、先に定義されたとおりであり;Arは、必要に応じて置換された、C6−C10アリーレンまたはC5−C10ヘテロアリーレンであり;
各REおよび各RFは、独立して、−H、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC2−C6アルキレン、必要に応じて置換されたC6−C10アリーレンおよび必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリーレンからなる群より選択されるか、またはREおよびRFは、その両方と結合している炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたスピロC3−C6カルボシクロを規定するか、または隣接する炭素原子からのREおよびRFは、これらの原子および任意の介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C6カルボシクロを規定し、残りの任意のREおよびRFは、先に定義されたとおりであるか、または−[C(RE)(RF)]v−XLP−との側鎖は、天然または非天然のアミノ酸側鎖によって提供され;一方の波線は、PEG単位の共有結合の部位を示し、他方の波線は、リガンド薬物結合体合成物を表している構造内の式LP−1または式LP−2の共有結合を示す、実施形態67に記載のリガンド薬物結合体合成物。
73.REおよびRFが、独立して、−Hおよび−C1−C4アルキルからなる群より選択される、実施形態71または72に記載のリガンド薬物結合体合成物。
74.XLPが、−O−、−NH、−S−および−C(=O)−からなる群より選択される、請求項71、72または73に記載のリガンド薬物結合体合成物。
75.PEGが、
からなる群より選択される構造を有し、ここで、
波線は、パラレルコネクター単位(LP)のXLPへの結合の部位を示し;
下付き文字n’は、独立して、1〜72の範囲であり;RPEG1は、必要に応じてのPEG結合単位であり;RPEG2は、PEGキャッピング単位であり;RPEG3は、PEGカップリング単位である、請求項67〜74のいずれか1項に記載のリガンド薬物結合体合成物。
76.−XLP−PEGが、以下の構造:
を有し、ここで、下付き文字n’は、8、12または24であり、RPEG2は、Hまたは−CH3である、実施形態71〜75のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
77.A、AOまたはそのサブユニットが、式(3)または式(4)の構造
を有し、式中、波線は、合成物構造内の共有結合を示し;KおよびL’は、独立して、C、N、OまたはSであるが、但し、KまたはL’がOまたはSであるとき、Kに対するR41およびR42またはL’に対するR43およびR44は、存在せず、KまたはL’がNであるとき、Kに対するR41、R42の一方またはL’に対するR42、R43の一方は、存在せず、隣接する2つのL’は、独立して、N、OまたはSとして選択されず;下付き文字eおよびfは、0〜12の範囲の、独立して選択される整数であり、下付き文字gは、1〜12の範囲の整数であり、
Gは、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、−OH、−ORPR、−CO2H、CO2RPR(ここで、RPRは、好適な保護である)であるか、またはGは、−N(RPR)(RPR)(ここで、RPRは、独立して保護基であるか、またはRPRは、一体となって、好適な保護基を形成する)であるか、またはGは、−N(R45)(R46)(ここで、R45、R46の一方は、水素またはRPRであり、RPRは、好適な保護基であり、他方は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである)であり;
R38は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり;R39〜R44は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたアリールおよび必要に応じて置換されたヘテロアリールからなる群より選択されるか、またはR39、R40は、その両方と結合している炭素原子と一体となって、もしくはR41、R42は、Kが炭素原子であるとき、その両方と結合しているKと一体となって、C3−C6カルボシクロを規定し、R41〜R44は、本明細書中で定義されるとおりであるか、またはR43、R44は、L’が炭素原子であるとき、その両方と結合しているL’と一体となって、C3−C6カルボシクロを規定し、R39〜R42は、本明細書中で定義されるとおりであるか、またはR40およびR41、またはR40およびR43、またはR41およびR43は、その両方が結合している炭素原子またはヘテロ原子ならびにそれらの炭素原子間および/またはヘテロ原子間を介在している原子と一体となって、C5−C6カルボシクロまたはC5−C6ヘテロシクロを規定し、R39、R44、およびR40〜R43の残りは、本明細書中で定義されるとおりであるが、
但し、KがOまたはSであるとき、R41およびR42は、存在せず、KがNであるとき、R41、R42の一方は、存在せず、L’がOまたはSであるとき、R43およびR44は、存在せず、L’がNであるとき、R43、R44の一方は、存在しないか、または
A、AOまたはそのサブユニットは、アルファ−アミノ酸残基、ベータ−アミノ酸残基または別のアミン含有酸残基である、実施形態1〜76のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
78.式(3)または式(4)が、式(3a)または式(4a)の構造:
を有し、式中、下付き文字eおよびfは、独立して、0または1である、実施形態77に記載のリガンド薬物結合体合成物。
79.リガンド単位が、抗体であり、それにより、抗体薬物結合体(ADC)の抗体リガンド単位が規定され、その抗体リガンド単位によって標的化される部分は、合成物のADC化合物に結合したとき細胞内部移行が可能である、異常細胞の接近可能な細胞表面抗原であり、異常細胞の部位から遠位にある正常細胞と比べて多いコピー数で異常細胞上に存在する、実施形態1〜78のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
80.リガンド単位が、合成物のリガンド薬物結合体化合物に結合したとき細胞内部移行が可能である異常細胞上の接近可能な細胞表面レセプターの同族リガンドであり、そのレセプターは、正常細胞と比べて多いコピー数で異常細胞上に存在する、実施形態1〜78のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
81.リガンド単位が、抗体であり、それにより、抗体薬物結合体(ADC)の抗体リガンド単位が規定され、その抗体リガンド単位によって標的化される部分は、異常細胞の近傍にある血管上皮細胞の接近可能な細胞表面抗原であり、前記抗原は、結合されたADCの細胞内部移行が可能であり、該異常細胞の部位から遠位にある正常な上皮細胞と比べて多いコピー数で前記細胞上に存在する、実施形態1〜78のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
82.下付き文字pが、約2、約4または約8である、実施形態1〜81のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
83.スクシンイミド(M2)またはコハク酸アミド(M3)部分が存在し、リガンド単位が、抗体またはその抗原結合フラグメントのリガンド単位であり、それにより、抗体リガンド単位が規定され、コハク酸(M2)部分またはコハク酸アミド(M3)部分に結合した抗体リガンド単位の硫黄原子は、その抗体またはその抗原結合フラグメントのシステイン残基の硫黄原子である、前述の実施形態のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
84.システイン残基が、抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖または軽鎖における導入されたシステイン残基である、実施形態83に記載のリガンド薬物結合体合成物。
85.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Lは、抗体であり、それにより、抗体薬物結合体(ADC)の抗体リガンド単位が規定され、Sは、その抗体の硫黄原子であり;下付き文字aは、1であり、Aは、アミノ酸残基であり;BUは、非環式塩基性単位であり、これにより、点線の曲線は存在せず、Ra2は水素であるか、またはBUは、C1−C6アルキルとしてのRa2およびその両方と結合している炭素原子と一体となって、環式塩基性単位を規定し、これにより、点線の曲線が存在し;R’は、水素または−NO2である、実施形態1に記載のリガンド薬物結合体合成物。
86.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Lは、抗体であり、それにより、抗体薬物結合体(ADC)の抗体リガンド単位が規定され、Sは、その抗体の硫黄原子であり;下付き文字aは、1であり、Aは、アミノ酸残基であり;BUは、非環式塩基性単位であり、これにより、点線の曲線は存在せず、Ra2は水素であるか、またはBUは、C1−C6アルキルとしてのRa2およびその両方と結合している炭素原子と一体となって、環式塩基性単位を規定し、これにより、点線の曲線が存在し;R’は、水素または−NO2である、実施形態1に記載のリガンド薬物結合体合成物。
87.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Lは、抗体であり、それにより、抗体薬物結合体(ADC)の抗体リガンド単位が規定され、Sは、その抗体の硫黄原子であり;下付き文字aは、1であり、Aは、アミノ酸残基であり;BUは、非環式塩基性単位であり、これにより、点線の曲線は存在せず、Ra2は水素であるか、またはBUは、C1−C6アルキルとしてのRa2およびその両方と結合している炭素原子と一体となって、環式塩基性単位を規定し、これにより、点線の曲線が存在し;R’は、水素または−NO2である、実施形態1に記載のリガンド薬物結合体合成物。
88.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Lは、抗体であり、それにより、抗体薬物結合体(ADC)の抗体リガンド単位が規定され、Sは、その抗体の硫黄原子であり;下付き文字aは、1であり、Aは、アミノ酸残基であり;BUは、非環式塩基性単位であり、これにより、点線の曲線は存在せず、Ra2は水素であるか、またはBUは、C1−C6アルキルとしてのRa2およびその両方と結合している炭素原子と一体となって、環式塩基性単位を規定し、これにより、点線の曲線が存在し;R’は、水素または−NO2である、実施形態1に記載のリガンド薬物結合体合成物。
89.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Lは、抗体であり、それにより、抗体薬物結合体(ADC)の抗体リガンド単位が規定され、Sは、その抗体の硫黄原子であり、その抗体は、モノクローナル抗体またはキメラ抗体である、実施形態1に記載のリガンド薬物結合体合成物。
90.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、
Lは、抗体であり、それにより、抗体薬物結合体(ADC)の抗体リガンド単位が規定され、Sは、その抗体の硫黄原子であり、その抗体は、モノクローナル抗体またはキメラ抗体である、実施形態1に記載のリガンド薬物結合体合成物。
91.実施形態1〜90のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物および1つ、2つ、3つまたはそれを超える賦形剤を含む、製剤。
92.製剤が、薬学的に許容され得る製剤またはその前駆体である、実施形態91に記載の製剤。
93.薬学的に許容され得る製剤の前駆体が、被験体への静脈内注射用の溶液としての再構成に適した固体である、実施形態92に記載の製剤。
94.薬学的に許容され得る製剤が、被験体への静脈内注射に適した液体である、実施形態92に記載の製剤。
95.リガンド薬物結合体合成物が、過剰増殖性の疾患または症状を処置するための有効量で製剤中に存在する、実施形態91〜94のいずれか1つに記載の製剤。
96.過剰増殖性の疾患または症状を処置する方法であって、前記疾患または症状を有する患者に、有効量の実施形態1〜90のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物を投与する工程を含む、方法。
97.過剰増殖性の疾患または症状ががんである、実施形態96に記載の方法。
98.がんが白血病またはリンパ腫である、実施形態97に記載の方法。
99.有効量の実施形態1〜90のいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物に腫瘍細胞またはがん細胞を曝露することによって、前記細胞の分裂増殖を阻害するかまたは腫瘍細胞もしくはがん細胞においてアポトーシスを引き起こす方法。
100.薬物リンカー化合物であって、その化合物は、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、
Dは、ニコチンアミドの複素環に対応する、頭部基以外のNAMPT薬物単位の構成要素を介して式1および/または式2の合成物構造に共有結合されているNAMPT薬物単位であり、ここで、その構成要素は、NAMPT薬物単位が、薬物リンカー化合物から、または薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物からNAMPTi化合物またはその誘導体として放出されたとき、そのニコチンアミドモノヌクレオチド結合部位において酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体と相互作用することが可能なままであり;LRは、標的化剤と相互作用してリガンド薬物結合体合成物におけるリガンド単位としてのその標的化剤と共有結合を形成することができる官能基を有する1次リンカーであり;下付き文字aおよびbは、独立して0または1であり、AまたはBがそれぞれ存在しないことまたは存在することを示し;下付き文字nは、1、2、3または4であり;Aは、第1の必要に応じてのストレッチャーであり;下付き文字bが1であり、下付き文字nが、2、3または4であるとき、Bは、分枝単位であるか、または下付き文字nが1であるとき、Bは存在せず、下付き文字bは0であり、AおよびBの各々は、独立して選択される単一の単位であるか、または必要に応じて、2、3または4つの独立して選択されたサブユニットを含むかまたはそれらからなり;
下付き文字yは、0、1または2であり、それぞれYが存在しないことまたは1つもしくは2つのYが存在することを示し;Yは、スペーサー単位、または必要に応じて置換されたヘテロ原子もしくは官能基であるが、但し、下付き文字yが0であるとき、Yyは、必要に応じて置換された−NH−、OおよびSからなる群より選択される、遠位末端の構成要素の必要に応じて置換されたヘテロ原子によって置き換えられ;下付き文字yが1であるとき、Yは、必要に応じて置換された−NH−、OおよびSからなる群より選択される、遠位末端の構成要素の必要に応じて置換されたヘテロ原子に共有結合されているスペーサー単位であり;下付き文字yが2であり、Yyが−Y−Y’−であるとき、Yは、第1のスペーサー単位であり、Y’は、必要に応じて置換された−NH−、OおよびSからなる群より選択される、遠位末端の構成要素の必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基であるか、または第2のスペーサー単位であり;
下付き文字wは、0または1であり、それぞれWが存在しないことまたは存在することを示し;
下付き文字wが1であるとき、Wは、ペプチド切断可能単位または式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、
W’は、必要に応じて置換されたヘテロ原子を介してYとグリコシド結合している炭水化物部分を表すが、但し、W’に結合したYは、第1の自壊性スペーサー単位でなければならず;下付き文字yは、0、1または2であるが、但し、Wがグルクロニド単位であるとき、下付き文字yは、1または2であり、その場合、下付き文字yは、その必須の自壊性スペーサー単位を含み;下付き文字wが1であるとき、これは、切断可能単位が存在することを示し、その単位の酵素的切断または非酵素的切断は、薬物リンカー化合物からの、または薬物リンカー化合物から調製されたリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物からの、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起し;下付き文字wが0であるとき、これは、切断可能単位が存在しないことを示し、LOが存在するときは、表示されているLR部分とLO部分との間の結合、またはLOが存在しないときは、LRとDとの間の結合の酵素的切断または非酵素的切断は、薬物リンカー化合物からの、または薬物リンカー化合物から調製されたリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物からの、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、薬物リンカー化合物。
101.NAMPT薬物単位が、一般構造:
またはその塩によって表され、ここで、波線は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示し;HNは、NAMPT頭部単位であり、そのNAMPT頭部単位は、必要に応じて置換された、C5−C24ヘテロアリールまたは部分芳香族C9−C24ヘテロシクリルであり、必要に応じて置換された5または6員の窒素含有芳香族複素環系を含み;
DAは、供与体受容体単位であり、その供与体受容体単位は、水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基であるかまたはそれを含み、その5員の窒素含有芳香族複素環系の2もしくは3位またはその6員の窒素含有芳香族複素環系の3もしくは4位の骨格炭素原子に結合されており、ここで、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された窒素、酸素もしくは硫黄原子を介した、その6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する骨格炭素原子とDAの必要に応じての形式的な環化により、部分芳香族または完全芳香族の縮合6,5−または6,6−環系が生じ、
ここで、DAの前記結合は、その5または6員の窒素含有芳香族複素環系の骨格窒素原子に対する結合であり、その6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する炭素原子への前記形式的な環化は、前記環化の非存在下のDAの供与体官能基または受容体官能基の水素結合能力を実質的に保持し;
INは、相互接続単位であり、その相互接続単位は、−X1−[C(=O)]0,1−、−X1−S(=O)1,2−、−X2−C6−C24アリーレン−[C(=O)]0,1−、−X2−C6−C24アリーレン−[S(=O)1,2]0,1、−X2−C6−C24アリーレン−O−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−[C(=O)0,1]−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−[S(=O)1,2]0,1、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−O−または−X2−C3−C20ヘテロシクロ−[C(=O)0,1]−であるかまたはそれを含み、ここで、そのアリーレン、ヘテロアリーレンおよびヘテロシクロは、必要に応じて置換されており;X1は、必要に応じて置換されたC5−C7アルキレンであり;X2は、存在しないか、または必要に応じて置換されたC1−C4アルキレンであり;
TNは、NAMPT尾部単位であり、そのNAMPT尾部単位は、必要に応じて置換されたアミノ−アルコール残基またはカルボン酸−アルコール残基であるかまたはそれを含み、その残基のアミノ窒素またはカルボニル炭素は、INに結合されるか、またはTNは、必要に応じて置換されたベンズアミド部分であるかまたはそれを含み、そのベンズアミド部分のアミド窒素原子は、その原子とINまたはTNの残部との必要に応じての環化によってINに結合され、そのベンズアミド部分の芳香族環は、少なくとも、アミドカルボニル炭素原子が結合している部位に対して3または4位において、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換されているか、またはTNは、必要に応じて置換されたアリールまたはビアリール部分であるかまたはそれを含み、そのアリールまたはビアリール部分の芳香族骨格原子は、INまたはTNの残部に結合され、そのアリールまたはビアリール部分の芳香族環は、少なくとも、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換されており;
TNまたはその残部は、INに結合され、ここで、前記残部は、必要に応じて置換されたC2−C7ヘテロアルキレンまたは必要に応じて置換されたC5−C6ヘテロシクロであり、アミノアルコールもしくはカルボン酸−アルコール残基のヒドロキシル酸素原子、またはベンズアミド、アリールもしくはビアリール部分のヒドロキシル、チオールもしくはアミノ残基の酸素、硫黄もしくは窒素原子は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへのTNの共有結合の部位である、実施形態100に記載の薬物リンカー化合物。
102.NAMPT頭部(HN)単位が、ピリジン模倣物である、実施形態101に記載の薬物リンカー化合物。
103.供与体受容体(DA)単位が、必要に応じて置換されたアミド官能基またはそのバイオアイソスターを含む、実施形態101または102に記載の薬物リンカー化合物。
104.HN−DAが、ニコチンアミド模倣物である、実施形態101または102に記載の薬物リンカー化合物。
105.HNの6員の窒素含有芳香族複素環系が、ピリジンの芳香族複素環系であって、導入される芳香族の酸素、硫黄または必要に応じて置換された窒素原子を介したそのピリジン芳香族環系へのDAの必要に応じての環化を有する、ピリジンの芳香族複素環系であり、これにより、HNは、6−5縮合芳香族環系を含む、実施形態101に記載の薬物リンカー化合物。
106.放出されたNAMPT薬物単位のHNが、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体の一方の単量体におけるPhe193および/または他方の単量体のTyr18’と相互作用することができ、それらのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態101〜105のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
107.前記NAMPT頭部単位の相互作用が、Phe193および/またはTyr18’の芳香族側鎖とのπ−πスタッキングを介する、実施形態106に記載の薬物リンカー化合物。
108.NAMPT頭部単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、
R1は、水素、−NH2またはクロロであり;R2は、フルオロであり;R3は、水素または−NH2であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し、それに隣接する芳香族炭素原子は、DAによる前記必要に応じての環化の部位である、実施形態101に記載の薬物リンカー化合物。
109.NAMPT頭部単位が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、
波線は、DAへの共有結合の部位を示し、それに隣接する芳香族炭素原子は、DAによる前記必要に応じての環化の部位である、実施形態101に記載の薬物リンカー化合物。
110.NAMPT頭部単位が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、波線は、DAへの共有結合の部位を示し、それに隣接する芳香族炭素原子は、DAによる前記必要に応じての環化の部位であり;R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルである、実施形態101に記載の薬物リンカー化合物。
111.供与体受容体単位が、それと結合しているHNの窒素含有芳香族環系の隣接する骨格炭素原子に必要に応じて環化されるアクリルアミドDA単位である、実施形態101〜110のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
112.放出されたNAMPT薬物単位の供与体受容体単位が、Asp219、Ser241、Val242およびSer275からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができ、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態101〜111のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
113.前記DAの相互作用が、直接水素結合するか、または水分子の仲介に関わる水素結合ネットワークを介して間接的に水素結合する、実施形態112に記載の薬物リンカー化合物。
114.供与体受容体単位が、以下の構造:
を有し、ここで、
R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;DAは、必要に応じてHNと環化し、前記環化は、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された芳香族ヘテロ原子を介した、カルボニル炭素の近位にあるsp2炭素原子(表示されているような)との環化であり;波線は、HNへの共有結合の部位を示し、それに隣接する該炭素原子は、DAによる前記必要に応じての環化の部位であり;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態101〜111のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
115.供与体受容体単位が、以下の構造:
を有し、ここで、
R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、HNへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態101〜111のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
116.供与体受容体単位が、以下の構造:
を有し、ここで、
R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、HNへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態101〜111のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
117.供与体受容体単位が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、
XDは、O、SまたはNRDであり、ここで、その窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、RDは、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;各R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキルからなる群より選択されるか、または両方のR4が、それらと結合している窒素原子および介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C6ヘテロシクロを規定し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示し;波線は、HNへの共有結合の部位を示し、DAは、必要に応じて、HNの隣接する部位と環化し、前記環化は、表示されている窒素原子に結合されたR4が共有結合によって置き換えられるような、表示されている窒素原子からの環化であるか、または前記環化は、XDが−NRDであるとき、直接のまたは導入される−S(=O)0−2部分を介したXDからの環化であり、そのどちらの場合においても、RDは、結合によって置き換えられる、実施形態101〜111のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
118.供与体受容体単位が、以下の構造:
を有する、実施形態117に記載の薬物リンカー化合物。
119.供与体受容体単位が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、
波線は、NAMPT頭部単位への共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態101〜111のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
120.HN−DA−が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、
R4は、独立して、水素またはC1−C4アルキルであり;波線は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態101に記載の薬物リンカー化合物。
121.HN−DA−が、以下の構造:
またはその塩を有し、
ここで、R4は、独立して、水素およびC1−C4アルキルからなる群より選択され;波線は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態101に記載の薬物リンカー化合物。
122.HN−DA−が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであるか、または両方のR4が、それらと結合している窒素原子および介在炭素原子と一体となって、C5−C6ヘテロシクロを規定し;波線は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態101に記載の薬物リンカー化合物。
123.HN−DA−が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキルからなる群より選択され;波線は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態101に記載の薬物リンカー化合物。
124.HN−DA−が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、
R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキルからなる群より選択され;R5は、必要に応じて置換されたC6−C24アリールまたは必要に応じて置換されたC5−C24ヘテロアリールであり;波線は、INへの共有結合の部位を示す、実施形態101に記載の薬物リンカー化合物。
125.放出されたNAMPT薬物単位のNAMPT尾部(TN)単位または−IN−TN−が、Ile309、Pro307、Val350、Ile378およびAla379からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができ、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態101〜124のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
126.放出されたNAMPT薬物単位のTNまたは−IN−TN−が、Tyr188、Lys189、Ala379、Asn377、Glu376、Val350、Arg349およびPro307からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超えるアミノ酸残基と相互作用することができ、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態101〜125のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
127.NAMPT尾部単位が、アミノアルコール部分であり、そのアルコールの酸素原子は、LOの有無に応じてLOまたはLRへの共有結合の部位である、実施形態101〜124のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
128.NAMPT尾部単位が、以下の構造:
またはその塩を有するアミノアルコール部分であり、
ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、INへの共有結合性の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態127に記載の薬物リンカー化合物。
129.尾部単位が、LOの有無に応じてLOまたはLRへの共有結合の部位であるヘテロ原子を提供する官能基を有するベンズアミド部分である、実施形態101〜124のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
130.NAMPT尾部単位が、以下の構造:
を有するベンズアミド部分であり、ここで、Xbは、−S−−O−または必要に応じて置換された−NH−であり;R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、INへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示し、そのベンズアミド部分は、必要に応じてINと環化し、そのベンズアミド部分のアミド窒素は、前記環化の部位であり、これにより、R4は、共有結合によって置き換えられる、実施形態129に記載の薬物リンカー化合物。
131.NAMPT尾部単位が、以下の構造:
を有するベンズアミド部分である、実施形態130に記載の薬物リンカー化合物。
132.NAMPT尾部単位が、リンカー単位への共有結合の部位であるヘテロ原子を提供する官能基を有する、アリール、ヘテロアリールまたはビアリール部分である、実施形態101〜124のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
133.NAMPT尾部単位が、以下の構造:
を有する有するビアリールまたはヘテロアリール部分であり、ここで、
Xbは、−S−、−O−または必要に応じて置換されたNH−であり;波線は、INへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態132に記載の薬物リンカー化合物。
134.NAMPT尾部単位が、以下の構造:
を有するアリール部分であり、ここで、
Xbは、−S−、−O−または必要に応じて置換されたNH−であり、Xbは、波線によって示されるようなINへの共有結合の部位に対してメタまたはパラ位に存在し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態123に記載の薬物リンカー化合物。
135.放出されたNAMPT薬物単位のINが、NAMPTのVal242、Ile309、Ile351およびHis191からなる群より選択される、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPT単量体の1つまたはそれを超えるアミノ酸と相互作用することができ、そのNAMPT単量体は、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態101〜134のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
136.INが、−CH2−(CH2)3−7−CH2−、−CH2−(CH2)n1−CH2−O−、−CH2−(CH2)3−7−C(=O)−、−CH2−(CH2)3−7−S(=O)2−または−CH2−(CH2)3−7−S(=O)−である、実施形態101〜134のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
137.INが、以下の構造:
を有し、ここで、波線は、DAへの共有結合の部位を示し、ポンド記号(#)は、TNへの共有結合の部位を示し;R6は、水素、C1−C4アルキル、−CH2CH=C(CH3)2または−CH2−C≡CHである、実施形態101〜134のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
138.−IN−TN−が、以下の構造:
を有し、ここで、Xbは、−O−、−S−または必要に応じて置換されたNH−であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態101〜124のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
139.−IN−TN−が、以下の構造:
を有し、ここで、波線は、DAへの共有結合の部位を示し、ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてLOまたはLRへの共有結合の部位を示し;Xbは、−O−、−S−または必要に応じて置換されたNH−である、実施形態101〜124のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
140.NAMPT薬物単位が、以下の構造:
またはその塩を有し、
ここで、ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、請求項100に記載の薬物リンカー化合物。
141.LR−が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、波線は、薬物リンカー化合物の残部への共有結合の部位を示す、実施形態100〜140のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
142.LR−が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、波線は、薬物リンカー化合物の残部への共有結合の部位を示す、実施形態100〜140のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
143.化合物が、式Iの構造:
またはその塩によって表され、式中、R6は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、式2においては、L−S−によって置換された炭素に隣接する飽和炭素原子に結合され;AOは、第2の必要に応じてのストレッチャー単位であり;BUは、塩基性単位であり、Ra2は、必要に応じて置換されたC1−C12アルキル基であり;点線の曲線は、必要に応じての環化を示し、前記環化の非存在下では、BUは、非環式塩基性単位であるか、または前記環化の存在下では、BUは、環化した塩基性単位であり、ここで、Ra2およびBUは、その両方と結合している炭素原子と一体となって、BUの第二級または第三級アミン官能基の塩基性骨格窒素原子を含む必要に応じて置換されたスピロC3−C20ヘテロシクロを規定し、その非環式塩基性単位または環式塩基性単位の塩基性窒素原子は、その塩基性窒素原子の置換度に応じて、窒素保護基によって必要に応じて適切に保護されているか、または必要に応じてプロトン化されている、実施形態100〜140のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
144.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、
AOとしての[HE]は、必要に応じての加水分解増強単位であり;下付き文字wは、1であり;Wは、ペプチド切断可能単位であり、そのペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用によって、その薬物リンカー化合物内または薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内のW−J’結合が切断されて、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出が惹起されるか、またはWは、以下の構造:
を有する式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、ここで、Suは、炭水化物部分であり、−E’−は、グリコシダーゼによって切断可能なグリコシド結合の必要に応じて置換されたヘテロ原子を表し、これにより、Su−E’は、W’であり、グルクロニド単位構造の残部は、W’ に結合した自壊性スペーサー単位であり;J’は、必要に応じて置換された独立して選択されるヘテロ原子であり;
V、Z1、Z2およびZ3は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、ここで、各R24は、独立して、水素、ならびに必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニルおよびC2−C12アルキニル、ならびにハロゲン、電子吸引基、電子供与基、−E’−Su、ならびに−C(R8)(R9)−からなる群より選択されるが、但し、ただ1つの−C(R8)(R9)−部分およびただ1つの−E’−Su部分しか存在せず、V、Z1、Z2およびZ3のうちの1つは、R24が−C(R8)(R9)−である=C(R24)−であり、V、Z1、Z2およびZ3のうちのもう1つは、R24が−E’−Suである=C(R24)−であるが、但し、その−C(R8)(R9)−および−E’−Su部分は、互いに対してオルトまたはパラであり;
R8およびR9は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニルもしくはC2−C12アルキニル、または必要に応じて置換された、C6−C20アリールもしくはC5−C20ヘテロアリールであるか、またはR8およびR9は、その両方と結合している炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C20カルボシクロを規定し;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;
J’に隣接する波線は、下付き文字aが1であるときはAへのグルクロニド単位の共有結合の部位、または下付き文字aが0であるときは表示されているLSSもしくはLS1次リンカーへのグルクロニド単位の共有結合の部位を示し;−C(R8)(R9)−部分に隣接する波線は、下付き文字yが2であるときはY’へのグルクロニド単位の共有結合の部位、または下付き文字yが1であるときはDへのグルクロニド単位の共有結合の部位を示し;そのグルクロニド単位に対するグリコシダーゼの作用によって、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内のグリコシド結合が切断されて、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出が惹起される、実施形態143に記載の薬物リンカー化合物。
145.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、−W−Yy−Dが、以下の構造:
またはその塩を有し、
ここで、
Xaは、TNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子であり;Xbは、TNの第一級または第二級アミン官能基の窒素原子であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素ヘテロ原子を表し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
146.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、−W−Yy−Dは、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R51、R52およびR53は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C14アリールまたは必要に応じて置換されたC結合C3−C8ヘテロアリールであるか、またはR51およびR52は、その両方が結合している窒素および炭素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジンヘテロシクロを規定し、R53は、水素であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;
O*は、TNのアルコール官能基の酸素原子を表し、O’は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物または誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
147.Wが、ペプチド切断可能単位であり、−Yy−D−が、以下の構造:
またはその塩を有し、
ここで、Xaは、TNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子であり;
Xbは、TNの第一級または第二級アミン官能基の窒素原子であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;J’は、波線によって示されるようにWに結合される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内のその結合の切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
148.Wが、ペプチド切断可能単位であり、−Yy−D−が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;R51、R52およびR53は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C14アリールまたは必要に応じて置換されたC結合C3−C8ヘテロアリールであるか、またはR51およびR52は、その両方が結合している窒素および炭素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジンヘテロシクロを規定し、R53は、水素であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;O*は、TNのアルコール官能基の酸素原子を表し;J’は、波線によって示されるようにWに結合される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製される結合体化合物内のその結合の切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
149.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、
−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素ヘテロ原子を表し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
150.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;
BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;
−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
151.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり;下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、
ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
152.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり;下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;
BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;
ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
153.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、
−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
154.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;
BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;
−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
155.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり;下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;
Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
156.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり:下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;
BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;
Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
157.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;
BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;
Ra2は、水素、または点線の曲線によって示されるように必要に応じてBUに環化されるC1−C6アルキルであり、Ra1の1つまたはRa3の1つは、Ra2がC1−C6アルキルであるとき、Ra2の炭素原子に対する結合で置き換えられ;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;
−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
158.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり;Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;
BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、点線の曲線によって示されるようにその両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;Ra2は、水素、または点線の曲線によって示されるように必要に応じてBUに環化されるC1−C6アルキルであり、Ra1の1つまたはRa3の1つは、Ra2がC1−C6アルキルであるとき、Ra2の炭素原子に対する結合で置き換えられ;Ra3に結合したBUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;
ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
159.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
160.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;BUは、必要に応じてプロトン化された−CH2−NH2であり;Ra2は、水素であり;
−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
161.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり;Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;
ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
162.化合物が、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、Wは、ペプチド切断可能単位であり;Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;BUは、必要に応じてプロトン化された−CH2−NH2であり;Ra2は、水素であり;
ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内の前記切断は、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、実施形態144に記載の薬物リンカー化合物。
163.Wが、ペプチド切断可能単位であり、その単位は、ジペプチドを含み、そのジペプチドは、その薬物リンカーまたはリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起するように、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体合成物の結合体化合物内のW−J’結合またはJ’が−NHであるときはW−NH結合の制御プロテアーゼまたはリソソームプロテアーゼによる切断のための前記プロテアーゼに対する認識部位を提供する、前述の実施形態のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
164.Wが、以下の構造:
を有し、ここで、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
との構造を有し、ここで、アスタリスクは、ジペプチド骨格への共有結合の部位を示し;R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2または−(CH2)2CO2Hであり;波線は、薬物リンカー化合物を表している構造へのジペプチドの共有結合点を示す、実施形態163に記載の薬物リンカー化合物。
165.Wが、−Phe−Lys−、−Val−Ala−、−Val−Lys−、−Ala−Lys−、−Val−Cit−、−Phe−Cit−、−Leu−Cit−、−Ile−Cit−、−Phe−Arg−および−Trp−Cit−からなる群より選択され、ここで、Citは、シトルリンである、請求項164に記載の薬物リンカー化合物。
166.Aまたはそのサブユニットが、−LP(PEG)−である、実施形態100〜165のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
167.−LP−またはそのサブユニットが、必要に応じて置換された、アミノアルカン二酸、ジアミノアルカン酸、硫黄置換アルカン二酸、硫黄置換アミノアルカン酸、ジアミノアルカノール、アミノアルカンジオール、ヒドロキシル置換アルカン二酸、ヒドロキシル置換アミノアルカン酸または硫黄置換アミノアルカノール残基であり、置換された硫黄は、還元型または酸化型である、実施形態166に記載の薬物リンカー化合物。
168.−LP−またはそのサブユニットが、リジン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、オルニチン、シトルリン、システイン、ホモシステイン、ペニシラミン、トレオニン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、チロシン、ヒスチジンまたはトリプトファンのアミノ酸残基であり、そのアミノ酸は、D配置またはL配置である、実施形態166に記載の薬物リンカー化合物。
169.LPまたはそのサブユニットが、D−またはL−立体化学的配置の、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、ペニシラミン、セリンまたはトレオニンからなる群より選択される、実施形態166に記載の薬物リンカー化合物。
170.−LP−またはそのサブユニットが、式LP−1もしくはLP−2の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、式中、XLPは、−O−、−NRLP−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)−、−C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=NRLP)N(RLP)−およびC3−C8ヘテロシクロからなる群より選択され;各RLPは、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C6アルキルからなる群より選択されるか、または2つのRLPは、それらと結合している炭素原子およびそれらの介在原子と一体となって、C5−C6ヘテロシクロを規定し、残りの任意のRLPは、先に定義されたとおりであり;Arは、必要に応じて置換された、C6−C10アリーレンまたはC5−C10ヘテロアリーレンであり;
各REおよび各RFは、独立して、−H、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC2−C6アルキレン、必要に応じて置換されたC6−C10アリーレンおよび必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリーレンからなる群より選択されるか、またはREおよびRFは、その両方と結合している炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたスピロC3−C6カルボシクロを規定するか、または隣接する炭素原子からのREおよびRFは、これらの原子および任意の介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C6カルボシクロを規定し、残りの任意のREおよびRFは、先に定義されたとおりであり;
1つの波線は、PEG単位の共有結合の部位を示し、その他の波線は、薬物リンカー化合物を表している構造内の式LP−1または式LP−2の共有結合を示す、実施形態166に記載の薬物リンカー化合物。
171.−LP(PEG)−が、式LP−3もしくは式LP−4の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、
式中、下付き文字vは、1〜4の範囲の整数であり;XLPは、−O−、−NRLP−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)−、−C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=NRLP)N(RLP)−およびC3−C8ヘテロシクロからなる群より選択され;各RLPは、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C6アルキルからなる群より選択されるか、または2つのRLPは、それらと結合している炭素原子およびそれらの介在原子と一体となって、C5−C6ヘテロシクロを規定し、残りの任意のRLPは、先に定義されたとおりであり;Arは、必要に応じて置換された、C6−C10アリーレンまたはC5−C10ヘテロアリーレンであり;
各REおよび各RFは、独立して、−H、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC2−C6アルキレン、必要に応じて置換されたC6−C10アリーレンおよび必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリーレンからなる群より選択されるか、またはREおよびRFは、その両方と結合している炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたスピロC3−C6カルボシクロを規定するか、または隣接する炭素原子からのREおよびRFは、これらの原子および任意の介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C6カルボシクロを規定し、残りの任意のREおよびRFは、先に定義されたとおりであるか、または−[C(RE)(RF)]v−XLP−との側鎖は、天然または非天然のアミノ酸側鎖によって提供され;
一方の波線は、PEG単位の共有結合の部位を示し、他方の波線は、薬物リンカー化合物を表している構造内の式LP−1または式LP−2の共有結合を示す、実施形態166に記載の薬物リンカー化合物。
172.REおよびRFが、独立して、−Hおよび−C1−C4アルキルからなる群より選択される、実施形態170または171に記載の薬物リンカー化合物。
173.XLPが、−O−、−NH、−S−および−C(=O)−からなる群より選択される、実施形態170、171または172に記載の薬物リンカー化合物。
174.PEGが、
からなる群より選択される構造を有し、ここで、
波線は、パラレルコネクター単位(LP)のXLPへの結合の部位を示し;
下付き文字n’は、独立して、1〜72の範囲であり;RPEG1は、必要に応じてのPEG結合単位であり;RPEG2は、PEGキャッピング単位であり;RPEG3は、PEGカップリング単位である、実施形態166〜173のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
175.−XLP−PEGが、以下の構造:
を有し、ここで、下付き文字n’は、8、12または24であり、RPEG2は、Hまたは−CH3である、実施形態170〜174のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
176.A、AOまたはそのサブユニットが、式(3)または式(4)の構造:
を有し、
式中、波線は、薬物リンカー化合物を表している構造内の共有結合を示し;KおよびL’は、独立して、C、N、OまたはSであるが、但し、KまたはL’がOまたはSであるとき、Kに対するR41およびR42またはL’に対するR43およびR44は、存在せず、KまたはL’がNであるとき、Kに対するR41、R42の一方またはL’に対するR42、R43の一方は、存在せず、隣接する2つのL’は、独立して、N、OまたはSとして選択されず;下付き文字eおよびfは、0〜12の範囲の、独立して選択される整数であり、下付き文字gは、1〜12の範囲の整数であり;
Gは、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、−OH、−ORPR、−CO2H、CO2RPR(ここで、RPRは、好適な保護である)であるか、またはGは、−N(RPR)(RPR)(ここで、RPRは、独立して保護基であるか、またはRPRは、一体となって、好適な保護基を形成する)であるか、またはGは、−N(R45)(R46)(ここで、R45、R46の一方は、水素またはRPRであり、RPRは、好適な保護基であり、他方は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである)であり;
R38は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり;
R39〜R44は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたアリールおよび必要に応じて置換されたヘテロアリールからなる群より選択されるか、またはR39、R40は、その両方と結合している炭素原子と一体となって、もしくはR41、R42は、Kが炭素原子であるとき、その両方と結合しているKと一体となって、C3−C6カルボシクロを規定し、R41〜R44は、本明細書中で定義されるとおりであるか、またはR43、R44は、L’が炭素原子であるとき、その両方と結合しているL’と一体となって、C3−C6カルボシクロを規定し、R39〜R42は、本明細書中で定義されるとおりであるか、またはR40およびR41、またはR40およびR43、またはR41およびR43は、その両方が結合している炭素原子またはヘテロ原子ならびにそれらの炭素原子間および/またはヘテロ原子間を介在している原子と一体となって、C5−C6カルボシクロまたはC5−C6ヘテロシクロを規定し、R39、R44、およびR40〜R43の残りは、本明細書中で定義されるとおりであるが、
但し、KがOまたはSであるとき、R41およびR42は、存在せず、KがNであるとき、R41、R42の一方は、存在せず、L’がOまたはSであるとき、R43およびR44は、存在せず、L’がNであるとき、R43、R44の一方は、存在しないか、または
Aまたはそのサブユニットは、アルファ−アミノ酸残基、ベータ−アミノ酸残基または別のアミン含有酸残基である、実施形態100〜175のいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
177.式(3)または式(4)が、式(3a)または式(4a)の構造:
を有し、式中、
下付き文字eおよびfは、独立して、0または1である、実施形態176に記載の薬物リンカー化合物。
1A.リガンド薬物結合体(LDC)合成物であって、その合成物は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表され、ここで、Lは、リガンド単位であり;Dは、一般構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表されるNAMPT薬物単位であり、ここで、波線は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示し;HNは、NAMPT頭部単位であり、そのNAMPT頭部単位は、必要に応じて置換された、C5−C24ヘテロアリールまたは部分芳香族C9−C24ヘテロシクリルであり、ここで、そのC5−C24ヘテロアリールまたは部分芳香族C9−C24ヘテロシクリルは、ニコチンアミドの複素環に対応する必要に応じて置換された5または6員の窒素含有芳香族複素環系を含み、NAMPT薬物単位が、合成物のリガンド薬物結合体化合物からNAMPT阻害剤(NAMPTi)化合物またはその誘導体として放出されると、そのニコチンアミドモノヌクレオチド結合部位において、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体と相互作用することができ;
DAは、供与体受容体単位であり、その供与体受容体単位は、水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基であるかまたはそれを含み、その5員の窒素含有芳香族複素環系の2もしくは3位またはその6員の窒素含有芳香族複素環系の3もしくは4位の骨格炭素原子に結合されており、ここで、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された窒素、酸素もしくは硫黄原子を介した、その6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する骨格炭素原子とDAの必要に応じての形式的な環化により、部分芳香族または完全芳香族の縮合6,5−または6,6−環系が生じ、ここで、DAの前記結合は、その5または6員の窒素含有芳香族複素環系の骨格窒素原子に対する結合であり、その6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する炭素原子への前記形式的な環化は、前記環化の非存在下のDAの供与体官能基または受容体官能基の水素結合能力を実質的に保持し;
INは、相互接続単位であり、その相互接続単位は、−X1−[C(=O)]0,1−、−X1−S(=O)1,2−、−X2−C6−C24アリーレン−[C(=O)]0,1−、−X2−C6−C24アリーレン−[S(=O)1,2]0,1、−X2−C6−C24アリーレン−O−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−[C(=O)0,1]−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−[S(=O)1,2]0,1、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−O−または−X2−C3−C20ヘテロシクロ−[C(=O)0,1]−であるかまたはそれを含み、ここで、そのアリーレン、ヘテロアリーレンおよびヘテロシクロは、必要に応じて置換されており;X1は、必要に応じて置換されたC5−C7アルキレンであり;X2は、存在しないか、または必要に応じて置換されたC1−C4アルキレンであり;
TNは、NAMPT尾部単位であり、そのNAMPT尾部単位は、必要に応じて置換されたアミノ−アルコール残基またはカルボン酸−アルコール残基であるかまたはそれを含み、その残基の−O−または必要に応じて置換された窒素は、LOの有無に応じてLOまたはまたはLRへの共有結合の部位であるか、またはTNは、必要に応じて置換されたベンズアミド部分であるかまたはそれを含み、そのベンズアミド部分のアミド窒素原子は、その原子とINまたはTNの残部との必要に応じての環化によってINに結合され、そのベンズアミド部分の芳香族環は、少なくとも、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換されており、アミドカルボニル炭素原子が結合している部位に対して3または4位におけるそのベンズアミド部分の−O−、−S−または必要に応じて置換された窒素は、LOの有無に応じてLOまたはLRへの共有結合の部位であるか、またはTNは、必要に応じて置換されたアリールまたはビアリール部分であるかまたはそれを含み、そのアリールまたはビアリール部分の芳香族骨格原子は、INまたはTNの残部に結合され、そのアリールまたはビアリール部分の芳香族環は、少なくとも、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換されており、その残基の−O−、−S−または必要に応じて置換された窒素は、LOの有無に応じてLOまたはまたはLRへの共有結合の部位であり;TNまたはその残部は、INに結合され、前記残部は、必要に応じて置換されたC2−C7ヘテロアルキレンまたは必要に応じて置換されたC5−C6ヘテロシクロであり;
LRは、1次リンカーであり、そのリンカーは、リガンド単位と薬物単位とを、必要に応じて、必要に応じての2次リンカーであるLOを介して、表示されているように相互接続し;下付き文字aおよびbは、独立して0または1であり、AまたはBがそれぞれ存在しないことまたは存在することを示し;下付き文字nは、1、2、3または4であり;Aは、第1の必要に応じてのストレッチャーであり;下付き文字bが1であり、下付き文字nが、2、3または4であるとき、Bは、分枝単位であるか、または下付き文字nが1であるとき、Bは存在せず、下付き文字bは0であり、AおよびBの各々は、独立して選択される単一の単位であるか、または必要に応じて、独立して選択される少なくとも2つ、3つもしくは4つのサブユニットを含むかもしくはそれらからなり;
下付き文字yは、0、1または2であり、それぞれYが存在しないことまたは1つもしくは2つのYが存在することを示し;Yは、スペーサー単位であるが、但し、下付き文字yが1であるとき、Yは、−O−、−S−および必要に応じて置換された窒素からなる群より選択されるTNの必要に応じて置換されたヘテロ原子に共有結合されているスペーサー単位であり;下付き文字yが2であり、Yyが−Y−Y’−であるとき、Yは、第1のスペーサー単位であり、Y’は、TNの必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基であるか、またはY’は、第2のスペーサー単位であり;
下付き文字wは、0または1であり、それぞれWが存在しないことまたは存在することを示し;下付き文字wが1であるとき、Wは、ペプチド切断可能単位または式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、ここで、W’は、必要に応じて置換されたヘテロ原子を介してYとグリコシド結合している炭水化物部分を表すが、但し、W’に結合したYは、第1の自壊性スペーサー単位でなければならず;下付き文字yは、0、1または2であるが、但し、Wがグルクロニド単位であるとき、下付き文字yは、1または2であり、その場合、下付き文字yは、その必須の自壊性スペーサー単位を含み;下付き文字wが1であるとき、これは、切断可能単位が存在することを示し、その単位の酵素的切断または非酵素的切断は、リガンド薬物結合体合成物の結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起し;下付き文字wが0であるとき、これは、切断可能単位が存在しないことを示し、LOが存在するときは、表示されているLR部分とLO部分との間の結合、またはLOが存在しないときは、LRとDとの間の結合の酵素的切断または非酵素的切断が、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起し;
下付き文字pは、下付き文字nが1以外であるときは薬物リンカー部分の平均負荷量であるか、または下付き文字nが1であるときは平均薬物負荷量であり、どちらの場合においても下付き文字pは、約1〜約24の範囲の数字であり;リガンド薬物結合体合成物の化合物は、pがp’によって置き換えられた式1または式2の構造に構造的に対応し、ここで、p’は、1〜24の範囲の整数である、リガンド薬物結合体(LDC)合成物。
2A.NAMPT頭部(HN)単位が、ピリジン模倣物である、実施形態1Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
3A.供与体受容体(DA)単位が、必要に応じて置換されたアミド官能基またはそのバイオアイソスターを含む、実施形態1Aまたは2Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
4A.HN−DAが、ニコチンアミド模倣物である、実施形態1Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
5A.HNの6員の窒素含有芳香族複素環系が、ピリジンの芳香族複素環系であって、導入される芳香族の酸素、硫黄または必要に応じて置換された窒素原子を介したそのピリジン芳香族環系へのDAの必要に応じての環化を有する、ピリジンの芳香族複素環系であり、これにより、HNは、6−5縮合芳香族環系を含む、実施形態1Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
6A.酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPTホモ二量体の各々が、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態1A〜5Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
7A.NAMPT頭部単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩、特に、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、R1は、水素、−NH2またはクロロであり;R2は、フルオロであり;R3は、水素または−NH2であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し、それに隣接する芳香族炭素原子は、HNに対するDAによる前記必要に応じての環化の部位である、実施形態1A〜5Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
8A.供与体受容体単位が、以下の構造:
特に、以下の構造:
(ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;DAは、必要に応じてHNと環化し、前記環化は、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された芳香族ヘテロ原子を介した、カルボニル炭素の近位にあるsp2炭素原子(表示されているような)との環化であり;波線は、HNへの共有結合の部位を示し、それに隣接する該炭素原子は、DAによる前記必要に応じての環化の部位であり;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す)を有するか、
または供与体受容体単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩、特に、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、XDは、O、SまたはNRDであり、ここで、その窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、RDは、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;各R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキルからなる群より選択されるか、または両方のR4が、それらと結合している窒素原子および介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C6ヘテロシクロを規定し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示し;波線は、HNへの共有結合の部位を示し、DAは、必要に応じて、HNの隣接する部位と環化し、前記環化は、表示されている窒素原子に結合されたR4が共有結合によって置き換えられるような、表示されている窒素原子からの環化であるか、または前記環化は、XDが−NRDであるとき、直接のまたは導入される−S(=O)0−2部分を介したXDからの環化であり、そのどちらの場合においても、RDは、結合によって置き換えられる)を有する、
実施形態1A〜7Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
9A.HN−DA−が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、INへの共有結合の部位を示し、カルボニル炭素の近位にあるsp2炭素原子は、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された芳香族ヘテロ原子を介したHNに対する必要に応じての環化の部位(表示されているような)である、実施形態1A〜8Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
10A.NAMPT尾部単位が、必要に応じて置換されたアミノアルコール部分(ここで、そのアルコールの酸素原子は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位である)であるかまたはそれを含み、特に、以下の構造
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、INへの共有結合性の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す)を有するか、またはその尾部単位が、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位であるヘテロ原子を提供する官能基を有する必要に応じて置換されたベンズアミド部分であるかまたはそれを含み、特に、以下の構造:
(ここで、Xbは、−S−−O−または必要に応じて置換された−NH−であり;R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり、そのベンズアミド部分は、必要に応じてINと環化し、そのベンズアミド部分のアミド窒素は、前記環化の部位であり、これにより、R4は、共有結合によって置き換えられる)、より詳細には、以下の構造:
(ここで、波線は、INへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す)
を有する、実施形態1A〜9Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
11A.INが、−CH2−(CH2)3−7−CH2−、−CH2−(CH2)3−7−CH2−O−、−CH2−(CH2)3−7−C(=O)−、−CH2−(CH2)3−7−S(=O)2−または−CH2−(CH2)3−7−S(=O)−である、実施形態1A〜10Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
12A.−IN−TN−が、以下の構造:
を有し、ここで、Xbは、−NH−、−O−または−S−であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態11Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
13A.NAMPT薬物単位が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態1A〜12Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
14A.L−LR−が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩を有し、ここで、表示されている(#)窒素、炭素または硫黄原子は、リガンド単位からの原子であり;波線は、結合体構造の残部への共有結合の部位を示す、実施形態1A〜13Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
15A.合成物が、式1および/もしくは式2の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(式中、Sは、リガンド単位の硫黄原子であり、式2においては、表示されているコハク酸アミド(M3)部分のカルボン酸官能基に対してαまたはβ位の炭素原子に結合され;R6は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、式2においては、L−S−によって置換された炭素に隣接する飽和炭素原子に結合され;AOは、第2の必要に応じてのストレッチャー単位であり;BUは、塩基性単位であり、Ra2は、必要に応じて置換されたC1−C12アルキル基であり;
点線の曲線は、必要に応じての環化を示し、前記環化の非存在下では、BUは、非環式塩基性単位であるか、または前記環化の存在下では、BUは、環化した塩基性単位であり、ここで、Ra2およびBUはその両方と結合している炭素原子と一体となって、BUの第二級または第三級アミン官能基の塩基性骨格窒素原子を含む必要に応じて置換されたスピロC3−C20ヘテロシクロを規定し、その非環式塩基性単位または環式塩基性単位の塩基性窒素原子は、塩基性窒素原子の置換度に応じて、窒素保護基によって必要に応じて適切に保護されているか、または必要に応じてプロトン化されている)によって表され、特に、以下の構造:
(ここで、AOとしての[HE]は、必要に応じての加水分解増強単位であり;下付き文字wは、1であり;Wは、ペプチド切断可能単位であり、そのペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用によって、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内のW−J’結合が切断されて、リガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出が惹起されるか、または
Wは、以下の構造:
を有する式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、ここで、Suは、炭水化物部分であり、−E’−は、グリコシダーゼによって切断可能なグリコシド結合の必要に応じて置換されたヘテロ原子を表し、これにより、Su−E’は、W’であり、グルクロニド単位構造の残部は、W’に結合した自壊性スペーサー単位であり;J’は、必要に応じて置換された独立して選択されるヘテロ原子であり;V、Z1、Z2およびZ3は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、ここで、各R24は、独立して、水素、ならびに必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニルおよびC2−C12アルキニル、ならびにハロゲン、電子吸引基、電子供与基、−E’−Su、ならびに−C(R8)(R9)−からなる群より選択されるが、但し、ただ1つの−C(R8)(R9)−部分およびただ1つの−E’−Su部分しか存在せず、V、Z1、Z2およびZ3のうちの1つは、R24が−C(R8)(R9)−である=C(R24)−であり、V、Z1、Z2およびZ3のうちのもう1つは、R24が−E’−Suである=C(R24)−であるが、但し、その−C(R8)(R9)−および−E’−Su部分は、互いに対してオルトまたはパラであり;
R8およびR9は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニルもしくはC2−C12アルキニル、または必要に応じて置換された、C6−C20アリールもしくはC5−C20ヘテロアリールであるか、またはR8およびR9は、その両方と結合している炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C20カルボシクロを規定し;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;
J’に隣接する波線は、下付き文字aが1であるときはAへのグルクロニド単位の共有結合の部位、または下付き文字aが0であるときは表示されているLSSもしくはLS1次リンカーへのグルクロニド単位の共有結合の部位を示し;−C(R8)(R9)−部分に隣接する波線は、下付き文字yが2であるときはY’へのグルクロニド単位の共有結合の部位、または下付き文字yが1であるときはDへのグルクロニド単位の共有結合の部位を示し、残りの可変基は、先のそれらの意味を保持しており;そのグルクロニド単位に対するグリコシダーゼの作用によって、そのグリコシド結合が切断されて、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出が惹起される)
を有する、実施形態1Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
16A.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、−W−Yy−Dは、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、Xaは、TNの第一級または第二級アミン官能基の窒素原子であり;Xbは、TNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子である)を有するか、
または−W−Yy−Dは、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、R51、R52およびR53は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C14アリールまたは必要に応じて置換されたC結合C3−C8ヘテロアリールであるか、またはR51およびR52は、その両方が結合している窒素および炭素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジンヘテロシクロを規定し、R53は、水素であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;O*は、TNのアルコール官能基の酸素原子を表し、O’は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物または誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)を有するか、または
Wが、ペプチド切断可能単位であり、その場合、−Yy−D−は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、Xaは、TNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子であり;Xbは、TNの第一級または第二級アミン官能基の窒素原子である)を有するか、
あるいは以下の構造:
もしくはその薬学的に許容され得る塩(ここで、R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;R7、R10およびR11は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C14アリールまたは必要に応じて置換されたC結合C3−C8ヘテロアリールであるか、またはR7およびR10は、その両方が結合している窒素および炭素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジンヘテロシクロを規定し、R11は、水素であり;
R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;O*は、TNのアルコール官能基の酸素原子を表し;J’は、波線によって示されるようにWに結合される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内のその結合の切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
を有する、実施形態15Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
17A.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、合成物は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲である)
あるいは以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;
R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり、Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素ヘテロ原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表されるか、または
Wが、ペプチド切断可能単位であり、その場合、合成物は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲である)によって表されるか、
あるいは以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;
Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表される、実施形態15Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
18A.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、合成物は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲である)によって表されるか、
あるいは以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;
R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表されるか、または
Wが、ペプチド切断可能単位であり、その場合、合成物は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲である)によって表されるか、
あるいは以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;BUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;
R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり、Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表される、実施形態15Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
19A.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、合成物は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;Ra2は、水素、または点線の曲線によって示されるように必要に応じてBUに環化されるC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、ここで、Ra2への環化の非存在下では、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;BUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、
環化の存在下では、Ra1の1つまたはRa3の1つは、Ra2がC1−C6アルキルであるRa2の炭素原子への結合で置き換えられ、残りのRa1およびRa3は、先に定義されたとおりである)、特に、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩、より詳細には、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは特に、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩
(ここで、Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、XaまたはXbは、TNからのものであり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表されるか、または
Wが、ペプチド切断可能単位であり、その場合、合成物は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra2は、水素、または点線の曲線によって示されるように必要に応じてBUに環化されるC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、
ここで、Ra2への環化の非存在下では、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;BUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、
環化の存在下では、Ra1の1つまたはRa3の1つは、Ra2がC1−C6アルキルであるRa2の炭素原子への結合で置き換えられ、残りのRa1およびRa3は、先に定義されたとおりである)、特に、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩、より詳細には、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは
特に、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、XaおよびXbは、TNからのものであり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり、ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内の前記切断は、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表される、実施形態15Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
20A.Wが、ペプチド切断可能単位であり、その単位は、ジペプチドを含み、そのジペプチドは、リガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起するように、そのリガンド薬物結合体合成物の化合物内のW−J’結合またはJ’が−NHであるときはW−NH結合の制御プロテアーゼまたはリソソームプロテアーゼによる切断のための前記プロテアーゼに対する認識部位を提供する、実施形態1A〜19Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
21A.Wが、以下の構造:
(ここで、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
の構造(ここで、
アスタリスクは、ジペプチド骨格への共有結合の部位を示す)を有し;R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2または−(CH2)2CO2Hであり;波線は、リガンド薬物結合体合成物を表している構造へのジペプチドの共有結合点を示す)を有し、
特に、Wが、−Phe−Lys−、−Val−Ala−、−Val−Lys−、−Ala−Lys−、−Val−Cit−、−Phe−Cit−、−Leu−Cit−、−Ile−Cit−、−Phe−Arg−および−Trp−Cit−からなる群より選択され、ここで、Citは、シトルリンである、
実施形態20Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
22A.Aまたはそのサブユニットが、−LP(PEG)−であり、ここで、−LP−またはそのサブユニットは、必要に応じて置換された、アミノアルカン二酸、ジアミノアルカン酸、硫黄置換アルカン二酸、硫黄置換アミノアルカン酸、ジアミノアルカノール、アミノアルカンジオール、ヒドロキシル置換アルカン二酸、ヒドロキシル置換アミノアルカン酸または硫黄置換アミノアルカノール残基であり、置換された硫黄は、還元型または酸化型であるか、または−LP−またはそのサブユニットは、リジン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、オルニチン、シトルリン、システイン、ホモシステイン、ペニシラミン、トレオニン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、チロシン、ヒスチジンまたはトリプトファンのアミノ酸残基であり、そのアミノ酸は、D配置またはL配置であるか、または
−LP(PEG)−は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(式中、下付き文字vは、1〜4の範囲の整数であり;XLPは、−O−、−NRLP−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)−、−C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=NRLP)N(RLP)−およびC3−C8ヘテロシクロ、特に、−O−、−NH、−S−および−C(=O)−からなる群より選択され;各RLPは、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C6アルキルからなる群より選択されるか、または2つのRLPは、それらと結合している炭素原子およびそれらの介在原子と一体となって、C5−C6ヘテロシクロを規定し、残りの任意のRLPは、先に定義されたとおりであり;Arは、必要に応じて置換された、C6−C10アリーレンまたはC5−C10ヘテロアリーレンであり;
各REおよび各RFは、独立して、−H、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC2−C6アルキレン、必要に応じて置換されたC6−C10アリーレンおよび必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリーレン、特に、水素およびC1−C4アルキルからなる群より選択されるか、またはREおよびRFは、その両方と結合している炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたスピロC3−C6カルボシクロを規定するか、または隣接する炭素原子からのREおよびRFは、これらの原子および任意の介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C6カルボシクロを規定し、残りの任意のREおよびRFは、先に定義されたとおりであるか、または−[C(RE)(RF)]v−XLP−との側鎖は、天然または非天然のアミノ酸側鎖によって提供され;波線は、結合体構造の残部内の共有結合の部位を示す)、
特に、
によって表されるPEG単位
(ここで、波線は、パラレルコネクター単位(LP)のXLPへの結合の部位を示し;下付き文字n’は、独立して、1〜72の範囲であり;RPEG1は、必要に応じてのPEG結合単位であり;RPEG2は、PEGキャッピング単位であり;RPEG3は、PEGカップリング単位である)、
または以下の構造:
を有するXLP−PEG(ここで、下付き文字n’は、8、12または24であり、RPEG2は、Hまたは−CH3である)
を有する、請求項1A〜21Aのいずれか1項に記載のリガンド薬物結合体合成物。
23A.Aまたはそのサブユニットが、式(3)もしくは式(4)の構造:
(式中、波線は、合成物構造内の共有結合を示し;KおよびL’は、独立して、C、N、OまたはSであるが、但し、KまたはL’がOまたはSであるとき、Kに対するR41およびR42またはL’に対するR43およびR44は、存在せず、KまたはL’がNであるとき、Kに対するR41、R42の一方またはL’に対するR42、R43の一方は、存在せず、隣接する2つのL’は、独立して、N、OまたはSとして選択されず;下付き文字eおよびfは、0〜12の範囲の、独立して選択される整数であり、下付き文字gは、1〜12の範囲の整数であり;
Gは、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、−OH、−ORPR、−CO2H、CO2RPR(ここで、RPRは、好適な保護である)であるか、またはGは、−N(RPR)(RPR)(ここで、RPRは、独立して保護基であるか、またはRPRは、一体となって、好適な保護基を形成する)であるか、またはGは、−N(R45)(R46)(ここで、R45、R46の一方は、水素またはRPRであり、RPRは、好適な保護基であり、他方は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである)であり;
R38は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり;R39〜R44は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたアリールおよび必要に応じて置換されたヘテロアリールからなる群より選択されるか、またはR39、R40は、その両方と結合している炭素原子と一体となって、もしくはR41、R42は、Kが炭素原子であるとき、その両方と結合しているKと一体となって、C3−C6カルボシクロを規定し、R41〜R44は、本明細書中で定義されるとおりであるか、またはR43、R44は、L’が炭素原子であるとき、その両方と結合しているL’と一体となって、C3−C6カルボシクロを規定し、R39〜R42は、本明細書中で定義されるとおりであるか、またはR40およびR41もしくはR40およびR43もしくはR41およびR43は、その両方が結合している炭素原子またはヘテロ原子ならびにそれらの炭素原子間および/またはヘテロ原子間に介在している原子と一体となって、C5−C6カルボシクロまたはC5−C6ヘテロシクロを規定し、R39、R44、およびR40〜R43の残りは、本明細書中で定義されるとおりであるが、但し、KがOまたはSであるとき、R41およびR42は、存在せず、KがNであるとき、R41、R42の一方は、存在せず、L’がOまたはSであるとき、R43およびR44は、存在せず、L’がNであるとき、R43、R44の一方は、存在しない)
を有するか、または
Aまたはそのサブユニットが、アルファ−アミノ酸残基、ベータ−アミノ酸残基または別のアミン含有酸残基であり、
特に、式(3)または式(4)は、式(3a)または式(4a)の構造:
(式中、下付き文字eおよびfは、独立して、0または1である)
を有する、請求項1A〜22Aのいずれか1項に記載のリガンド薬物結合体合成物。
24A.リガンド単位が、抗体またはその抗原結合フラグメントであり、それにより、抗体薬物結合体(ADC)の抗体リガンド単位が規定され、
その抗体リガンド単位によって標的化される抗原は、合成物のADC化合物に結合したとき細胞内部移行が可能である、異常細胞の接近可能な細胞表面抗原であり、異常細胞の部位から遠位にある正常細胞と比べて多いコピー数で異常細胞上に存在するか、または異常細胞の近傍にある血管上皮細胞の接近可能な細胞表面抗原であり、ここで、前記抗原は、結合したADCの細胞内部移行が可能であり、異常細胞の部位から遠位にある正常な上皮細胞と比べて多いコピー数で前記細胞上に存在する、実施形態1A〜23Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
25A.下付き文字pが、約2、約4または約8である、実施形態24Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
26A.結合体構造の薬物リンカー部分のスクシンイミド(M2)またはコハク酸アミド(M3)部分に結合した硫黄原子が、抗体またはその抗原結合フラグメントの硫黄原子であり、それにより、抗体リガンド単位が規定され、ここで、コハク酸(M2)部分またはコハク酸アミド(M3)部分に結合した抗体リガンド単位の硫黄原子は、その抗体もしくはその抗原結合フラグメントに固有のシステイン残基またはその抗体もしくはその抗原結合フラグメントの重鎖もしくは軽鎖における導入されたシステイン残基の硫黄原子である、実施形態15A〜19Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物。
27A.合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表されるか、または
合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩によって表されるか、または
合成物が、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩、特に、
またはその薬学的に許容され得る塩
(ここで、下付き文字aは、1であり、Aは、アミノ酸残基であり;BUは、非環式塩基性単位であり、これにより、点線の曲線は存在せず、Ra2は水素であるか、またはBUは、C1−C6アルキルとしてのRa2およびその両方と結合している炭素原子と一体となって、環式塩基性単位を規定し、これにより、点線の曲線が存在し;R’は、水素または−NO2である)、
より詳細には、
またはその薬学的に許容され得る塩、あるいは
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、Lは、抗体であり、それにより、抗体薬物結合体(ADC)の抗体リガンド単位が規定され、Sは、その抗体の硫黄原子であり、その抗体は、モノクローナル抗体またはキメラ抗体である)
によって表される、実施形態(embodimet)1Aに記載のリガンド薬物結合体合成物。
28A.実施形態1A〜27Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物および少なくとも1つ、2つ、3つまたはそれを超える賦形剤を含む製剤であって、特に、その製剤は、薬学的に許容され得る製剤またはその前駆体であり、特に、その薬学的に許容され得る製剤の前駆体は、それを必要とする被験体への静脈内注射用の溶液としての再構成に適した固体であるか、またはその薬学的に許容され得る製剤は、それを必要とする被験体への静脈内注射に適した液体であり、より詳細には、そのリガンド薬物結合体合成物は、過剰増殖性の疾患または症状を処置するための有効量で存在する、製剤。
29A.過剰増殖性の疾患または症状を処置する方法であって、前記疾患または症状、特にがん、より詳細には白血病またはリンパ腫を有する、その処置を必要とする被験体に、有効量の請求項1〜13、15〜19および27のいずれか1項に記載のリガンド薬物結合体合成物を投与する工程を含む、方法。
30A.有効量の実施形態1A〜27Aのいずれか1つに記載のリガンド薬物結合体合成物またはその化合物に腫瘍細胞またはがん細胞を曝露することによって、腫瘍細胞もしくはがん細胞の分裂増殖を阻害するかまたは腫瘍細胞もしくはがん細胞においてアポトーシスを引き起こす方法。
31A.薬物リンカー化合物であって、その薬物リンカー化合物は、以下の構造:
またはその塩によって表され、ここで、LRは、標的化剤と相互作用して、リガンド薬物結合体合成物中の標的化剤に対応するリガンド単位またはリガンド薬物結合体合成物においてその標的化剤を組み込んでいるリガンド単位と共有結合を形成することができる官能基を有する1次リンカーであり;
Dは、一般構造:
またはその塩によって表されるNAMPT薬物単位であり、ここで、波線は、必要に応じての2次リンカーである表示されているようなLOの有無に応じて、それぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示し;
HNは、NAMPT頭部単位であり、そのNAMPT頭部単位は、必要に応じて置換された、C5−C24ヘテロアリールまたは部分芳香族C9−C24ヘテロシクリルであり、ここで、そのC5−C24ヘテロアリールまたは部分芳香族C9−C24ヘテロシクリルは、ニコチンアミドの複素環に対応する必要に応じて置換された5または6員の窒素含有芳香族複素環系を含み、NAMPT薬物単位が、合成物のリガンド薬物結合体化合物からNAMPT阻害剤(NAMPTi)化合物またはその誘導体として放出されると、そのニコチンアミドモノヌクレオチド結合部位において、酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体と相互作用することができ;
DAは、供与体受容体単位であり、その供与体受容体単位は、水素結合供与体官能基または水素結合受容体官能基であるかまたはそれを含み、その5員の窒素含有芳香族複素環系の2もしくは3位またはその6員の窒素含有芳香族複素環系の3もしくは4位の骨格炭素原子に結合されており、ここで、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された窒素、酸素もしくは硫黄原子を介した、その6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する骨格炭素原子とDAの必要に応じての形式的な環化により、部分芳香族または完全芳香族の縮合6,5−または6,6−環系が生じ、ここで、DAの前記結合は、その5または6員の窒素含有芳香族複素環系の骨格窒素原子に対する結合であり、その6員の窒素含有芳香族複素環系の隣接する炭素原子への前記形式的な環化は、前記環化の非存在下のDAの供与体官能基または受容体官能基の水素結合能力を実質的に保持し;
INは、相互接続単位であり、その相互接続単位は、−X1−[C(=O)]0,1−、−X1−S(=O)1,2−、−X2−C6−C24アリーレン−[C(=O)]0,1−、−X2−C6−C24アリーレン−[S(=O)1,2]0,1、−X2−C6−C24アリーレン−O−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−[C(=O)0,1]−、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−[S(=O)1,2]0,1、−X2−C5−C24ヘテロアリーレン−O−または−X2−C3−C20ヘテロシクロ−[C(=O)0,1]−であるかまたはそれを含み、ここで、そのアリーレン、ヘテロアリーレンおよびヘテロシクロは、必要に応じて置換されており;X1は、必要に応じて置換されたC5−C7アルキレンであり;X2は、存在しないか、または必要に応じて置換されたC1−C4アルキレンであり;
TNは、NAMPT尾部単位であり、そのNAMPT尾部単位は、必要に応じて置換されたアミノ−アルコール残基またはカルボン酸−アルコール残基であるかまたはそれを含み、その残基の−O−または必要に応じて置換された窒素は、LOの有無に応じてLOまたはまたはLRへの共有結合の部位であるか、またはTNは、必要に応じて置換されたベンズアミド部分であるかまたはそれを含み、そのベンズアミド部分のアミド窒素原子は、その原子とINまたはTNの残部との必要に応じての環化によってINに結合され、そのベンズアミド部分の芳香族環は、少なくとも、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換されており、アミドカルボニル炭素原子が結合している部位に対して3または4位におけるそのベンズアミド部分の−O−、−S−または必要に応じて置換された窒素は、LOの有無に応じてLOまたはLRへの共有結合の部位であるか、またはTNは、必要に応じて置換されたアリールまたはビアリール部分であるかまたはそれを含み、そのアリールまたはビアリール部分の芳香族骨格原子は、INまたはTNの残部に結合され、そのアリールまたはビアリール部分の芳香族環は、少なくとも、ヒドロキシル、チオールまたはアミノ残基で置換されており、その残基の−O−、−S−または必要に応じて置換された窒素は、LOの有無に応じてLOまたはまたはLRへの共有結合の部位であり;TNまたはその残部は、INに結合され、ここで、前記残部は、必要に応じて置換されたC2−C7ヘテロアルキレンまたは必要に応じて置換されたC5−C6ヘテロシクロであり、
下付き文字aおよびbは、独立して0または1であり、AまたはBがそれぞれ存在しないことまたは存在することを示し;下付き文字nは、1、2、3または4であり;Aは、第1の必要に応じてのストレッチャーであり;下付き文字bが1であり、下付き文字nが、2、3または4であるとき、Bは、分枝単位であるか、または下付き文字nが1であるとき、Bは存在せず、下付き文字bは0であり、AおよびBの各々は、独立して選択される単一の単位であるか、または必要に応じて、独立して選択される少なくとも2つ、3つもしくは4つのサブユニットを含むかもしくはそれらからなり;
下付き文字yは、0、1または2であり、それぞれYが存在しないことまたは1つもしくは2つのYが存在することを示し;Yは、スペーサー単位であるが、但し、下付き文字yが1であるとき、Yは、−O−、−S−および必要に応じて置換された窒素からなる群より選択されるTNの必要に応じて置換されたヘテロ原子に共有結合されているスペーサー単位であり;下付き文字yが2であり、Yyが−Y−Y’−であるとき、Yは、第1のスペーサー単位であり、Y’は、TNの必要に応じて置換されたヘテロ原子を含む官能基であるか、またはY’は、第2のスペーサー単位であり;
下付き文字wは、0または1であり、それぞれWが存在しないことまたは存在することを示し;下付き文字wが1であるとき、Wは、ペプチド切断可能単位または式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、ここで、W’は、必要に応じて置換されたヘテロ原子を介してYとグリコシド結合している炭水化物部分を表すが、但し、W’に結合したYは、第1の自壊性スペーサー単位でなければならず;下付き文字yは、0、1または2であるが、但し、Wがグルクロニド単位であるとき、下付き文字yは、1または2であり、その場合、下付き文字yは、その必須の自壊性スペーサー単位を含み;下付き文字wが1であるとき、これは、切断可能単位が存在することを示し、薬物リンカー化合物内、またはリガンド薬物結合体化合物もしくは薬物リンカー化合物から調製されるN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分内の、その単位の酵素的切断または非酵素的切断は、NAMPTi化合物またはそれらからの誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起し、下付き文字wが0であるとき、これは、切断可能単位が存在しないことを示し、
LOが存在するときは、表示されているLR部分とLO部分との間の結合、またはLOが存在しないときは、LRとDとの間の結合の酵素的切断または非酵素的切断が、薬物リンカー化合物または前記薬物リンカー部分もしくはNAC結合体からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する、薬物リンカー化合物。
32A.NAMPT頭部(HN)単位が、ピリジン模倣物である、実施形態31Aに記載の薬物リンカー化合物。
33A.供与体受容体(DA)単位が、必要に応じて置換されたアミド官能基またはそのバイオアイソスターを含む、実施形態31Aまたは32Aに記載の薬物リンカー化合物。
34A.HN−DAが、ニコチンアミド模倣物である、実施形態31Aに記載の薬物リンカー化合物。
35A.HNの6員の窒素含有芳香族複素環系が、ピリジンの芳香族複素環系であって、導入される芳香族の酸素、硫黄または必要に応じて置換された窒素原子を介したそのピリジン芳香族環系へのDAの必要に応じての環化を有する、ピリジンの芳香族複素環系であり、これにより、HNは、6−5縮合芳香族環系を含む、実施形態31Aに記載の薬物リンカー化合物。
36A.酵素的に能力のあるNAMPTホモ二量体のNAMPTホモ二量体の各々が、NCBI参照配列NP_005737.1のアミノ酸配列を有する、実施形態31Aに記載の薬物リンカー化合物。
37A.NAMPT頭部単位が、以下の構造:
またはその塩、特に、以下の構造:
またはその塩(ここで、R1は、水素、−NH2またはクロロであり;R2は、フルオロであり;R3は、水素または−NH2であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し、それに隣接する芳香族炭素原子は、HNに対するDAによる前記必要に応じての環化の部位である)
を有する、実施形態31A〜36Aのいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
38A.供与体受容体単位が、以下の構造:
特に、以下の構造:
(ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;DAは、必要に応じてHNと環化し、前記環化は、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された芳香族ヘテロ原子を介した、カルボニル炭素の近位にあるsp2炭素原子(表示されているような)との環化であり;波線は、HNへの共有結合の部位を示し、それに隣接する炭素原子は、DAによる前記必要に応じての環化の部位であり;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示す)
を有するか、または
供与体受容体単位が、以下の構造:
またはその塩、特に、以下の構造:
またはその塩(ここで、XDは、O、SまたはNRDであり、ここで、その窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、RDは、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;各R4は、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C4アルキルからなる群より選択されるか、または両方のR4が、それらと結合している窒素原子および介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C6ヘテロシクロを規定し;ポンド記号(#)は、INへの共有結合の部位を示し;波線は、HNへの共有結合の部位を示し、DAは、必要に応じて、HNの隣接する部位と環化し、前記環化は、表示されている窒素原子に結合されたR4が共有結合によって置き換えられるような、表示されている窒素原子からの環化であるか、または前記環化は、XDが−NRDであるとき、直接のまたは導入される−S(=O)0−2部分を介したXDからの環化であり、そのどちらの場合においても、RDは、結合によって置き換えられる)
を有する、実施形態31A〜37Aのいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
39.HN−DA−が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、INへの共有結合の部位を示し、カルボニル炭素の近位にあるsp2炭素原子は、導入される必要に応じて置換された非芳香族炭素原子または必要に応じて置換された芳香族ヘテロ原子を介したHNに対する必要に応じての環化の部位(表示されているような)である、実施形態31A〜36Aのいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
40.NAMPT尾部単位が、必要に応じて置換されたアミノアルコール部分であるかまたはそれを含み、そのアルコールの酸素原子は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位であり、特に、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(ここで、R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり;波線は、INへの共有結合性の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す)を有するか、または
尾部単位が、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位であるヘテロ原子を提供する官能基を有する必要に応じて置換されたベンズアミド部分であるかまたはそれを含み、特に、以下の構造:
(ここで、Xbは、−S−−O−または必要に応じて置換された−NH−であり;R4は、水素または必要に応じて置換されたC1−C4アルキルであり、そのベンズアミド部分は、必要に応じてINと環化し、そのベンズアミド部分のアミド窒素は、前記環化の部位であり、これにより、R4は、共有結合によって置き換えられる)、より詳細には、以下の構造:
(ここで、波線は、INへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す)
を有する、実施形態31A〜39Aのいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
41.INが、−CH2−(CH2)3−7−CH2−、−CH2−(CH2)3−7−CH2−O−、−CH2−(CH2)3−7−C(=O)−、−CH2−(CH2)3−7−S(=O)2−または−CH2−(CH2)3−7−S(=O)−である、実施形態31A〜40Aのいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
42.−IN−TN−が、以下の構造:
を有し、ここで、Xbは、−NH−、−O−または−S−であり;波線は、DAへの共有結合の部位を示し;ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態31A〜39Aのいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
43A.NAMPT薬物単位が、以下の構造:
またはその塩を有し、ここで、ポンド記号(#)は、LOの有無に応じてそれぞれLOまたはLRへの共有結合の部位を示す、実施形態31Aに記載の薬物リンカー化合物。
44A.薬物リンカー化合物が、以下の構造:
またはその塩(ここで、R6は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり、式2においては、L−S−によって置換された炭素に隣接する飽和炭素原子に結合され;AOは、第2の必要に応じてのストレッチャー単位であり;BUは、塩基性単位であり、Ra2は、必要に応じて置換されたC1−C12アルキル基であり;点線の曲線は、必要に応じての環化を示し、前記環化の非存在下では、BUは、非環式塩基性単位であるか、または前記環化の存在下では、BUは、環化した塩基性単位であり、ここで、Ra2およびBUはその両方と結合している炭素原子と一体となって、BUの第二級または第三級アミン官能基の塩基性骨格窒素原子を含む必要に応じて置換されたスピロC3−C20ヘテロシクロを規定し、その非環式塩基性単位または環式塩基性単位の塩基性窒素原子は、その塩基性窒素原子の置換度に応じて、窒素保護基によって必要に応じて適切に保護されているか、または必要に応じてプロトン化されている)
によって表され、
特に、以下の構造:
(ここで、AOとしての[HE]は、必要に応じての加水分解増強単位であり;下付き文字wは、1であり;Wは、ペプチド切断可能単位であり;そのペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用によって、その薬物リンカー化合物内の、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分の、W−J’結合が切断されて、そのリガンド薬物結合体化合物からのNAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出が惹起されるか、または
Wは、以下の構造:
を有する式−Y(W’)−のグルクロニド単位であり、ここで、Suは、炭水化物部分であり、−E’−は、グリコシダーゼによって切断可能なグリコシド結合の必要に応じて置換されたヘテロ原子を表し、これにより、Su−E’は、W’であり、グルクロニド単位構造の残部は、W’に結合した自壊性スペーサー単位であり;J’は、必要に応じて置換された独立して選択されるヘテロ原子であり;
V、Z1、Z2およびZ3は、独立して、=N−または=C(R24)−であり、ここで、各R24は、独立して、水素、ならびに必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニルおよびC2−C12アルキニル、ならびにハロゲン、電子吸引基、電子供与基、−E’−Su、ならびに−C(R8)(R9)−からなる群より選択されるが、但し、ただ1つの−C(R8)(R9)−部分およびただ1つの−E’−Su部分しか存在せず、V、Z1、Z2およびZ3のうちの1つは、R24が−C(R8)(R9)−である=C(R24)−であり、V、Z1、Z2およびZ3のうちのもう1つは、R24が−E’−Suである=C(R24)−であるが、但し、その−C(R8)(R9)−および−E’−Su部分は、互いに対してオルトまたはパラであり;
R8およびR9は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C12アルキル、C2−C12アルケニルもしくはC2−C12アルキニル、または必要に応じて置換された、C6−C20アリールもしくはC5−C20ヘテロアリールであるか、またはR8およびR9は、その両方と結合している炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C20カルボシクロを規定し;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;
J’に隣接する波線は、下付き文字aが1であるときはAへのグルクロニド単位の共有結合の部位、または下付き文字aが0であるときは表示されているLSS1次リンカーへのグルクロニド単位の共有結合の部位を示し;−C(R8)(R9)−部分に隣接する波線は、下付き文字yが2であるときはY’へのグルクロニド単位の共有結合の部位、または下付き文字yが1であるときはDへのグルクロニド単位の共有結合の部位を示し、残りの可変基は、先のそれらの意味を保持しており;
そのグルクロニド単位に対するグリコシダーゼの作用によって、そのグリコシド結合が切断されて、その薬物リンカー化合物からの、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分からの、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出が惹起される)
を有する、実施形態(embosiment)31Aに記載の薬物リンカー化合物。
45A.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、−W−Yy−Dは、以下の構造:
またはその塩(ここで、Xaは、TNの第一級または第二級アミン官能基の窒素原子であり;Xbは、TNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子である)を有するか、
または−W−Yy−Dは、以下の構造:
またはその塩(R51、R52およびR53は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C14アリールまたは必要に応じて置換されたC結合C3−C8ヘテロアリールであるか、またはR51およびR52は、その両方が結合している窒素および炭素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジンヘテロシクロを規定し、R53は、水素であり;R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;
O*は、TNのアルコール官能基からの酸素原子を表し、O’は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、前記切断は、その薬物リンカー化合物からの、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分からの、NAMPTi化合物または誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)を有するか、
またはWが、ペプチド切断可能単位であり、その場合、−Yy−D−は、以下の構造:
またはその塩(ここで、Xaは、TNのアルコール官能基の酸素原子またはチオール官能基の硫黄原子であり;Xbは、TNの第一級または第二級アミン官能基の窒素原子である)を有するか、
あるいは以下の構造:
またはその塩(ここで、R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;R7、R10およびR11は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC6−C14アリールまたは必要に応じて置換されたC結合C3−C8ヘテロアリールであるか、またはR7およびR10は、その両方が結合している窒素および炭素原子と一体となって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジンヘテロシクロを規定し、R11は、水素であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;
O*は、TNのアルコール官能基の酸素原子を表し;J’は、波線によって示されるようにWに結合される必要に応じて置換されたヘテロ原子であり、その結合の切断は、その薬物リンカー化合物からの、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分からの、NAMPTi化合物または誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
を有する、実施形態44Aに記載の薬物リンカー化合物。
46A.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、薬物リンカー化合物は、以下の構造:
もしくはその塩(ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲である)または以下の構造:
もしくはその塩(ここで、Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;
R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり、Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素ヘテロ原子を表し、前記切断は、その薬物リンカー化合物からの、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分からの、NAMPTi化合物または誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表されるか、または
Wが、ペプチド切断可能単位であり、その場合、合成物は、以下の構造:
またはその塩(ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲である)によって表されるか、または以下の構造:
またはその塩(ここで、Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;
Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり;Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されているか、またはRa3の一方または両方が水素であるとき、必要に応じて、好適な窒素保護基によって保護されており;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、前記切断は、その薬物リンカー化合物からの、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分からの、NAMPTi化合物または誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表される、実施形態44Aに記載の薬物リンカー化合物。
47A.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、薬物リンカー化合物は、以下の構造:
またはその塩(ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲である)によって表されるか、または以下の構造:
またはその塩(ここで、Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;
R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、前記切断は、その薬物リンカー化合物からの、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分からの、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表されるか、または
Wが、ペプチド切断可能単位であり、その場合、薬物リンカー化合物は、以下の構造:
またはその塩(ここで、下付き文字Pは、1、2または3であり;下付き文字Qは、1〜6の範囲である)によって表されるか、または以下の構造:
(ここで、Ra2は、水素またはC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;BUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;
R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra3は、−H、または必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換された−C1−C4アルキレン−(C6−C10アリール)、または−RPEG1−O−(CH2CH2O)1−36−RPEG2であり、ここで、RPEG1は、C1−C4アルキレンであり、RPEG2は、−HまたはC1−C4アルキルであり、Ra3に結合した塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており;ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、前記切断は、その薬物リンカー化合物からの、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分からの、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表される、実施形態44Aに記載の薬物リンカー化合物。
48A.Wが、グルクロニド単位であり、その場合、薬物リンカー化合物は、以下の構造:
またはその塩(ここで、R’は、水素、または−NO2もしくは他の電子吸引基であり;Ra2は、水素、または点線の曲線によって示されるように必要に応じてBUに環化されるC1−C6アルキルであり、BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、ここで、Ra2への環化の非存在下では、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;
Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;BUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、
環化の存在下では、Ra1の1つまたはRa3の1つは、Ra2がC1−C6アルキルであるRa2の炭素原子への結合で置き換えられ、残りのRa1およびRa3は、先に定義されたとおりである)、特に、以下の構造:
もしくはその塩、より詳細には、以下の構造:
もしくはその塩、または特に、以下の構造:
もしくはその塩(ここで、Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、XaまたはXbは、TNからのものであり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R45は、−CH2OHまたは−CO2Hであり;−O’−は、グリコシダーゼによって切断可能なO−グリコシド結合の酸素原子を表し、前記切断は、その薬物リンカー化合物からの、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分からの、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表されるか、または
Wが、ペプチド切断可能単位であり、その場合、薬物リンカー化合物は、以下の構造:
またはその塩(ここで、R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり;Ra2は、水素、または点線の曲線によって示されるように必要に応じてBUに環化されるC1−C6アルキルであり;BUは、−[C(Ra1)(Ra1)]−[C(Ra1)(Ra1)]0−3−N(Ra3)(Ra3)との構造を有し、
ここで、Ra2への環化の非存在下では、各Ra1は、独立して、水素、または必要に応じて置換された、C1−C4アルキル、C6−C10アリール、C5−C10ヘテロアリール、(C6−C10アリール)−C1−C4アルキル−もしくは(C5−C10ヘテロアリール)−C1−C4アルキル−であるか、または2つのRa1は、それらと結合している炭素および任意の介在炭素と一体となって、必要に応じて置換されたC3−C6シクロアルキルを規定し;Ra3は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであるか、またはRa3は、その両方と結合している窒素原子と一体となって、塩基性窒素が骨格原子であるC3−C6ヘテロシクリルを規定し;BUの塩基性窒素原子は、必要に応じてプロトン化されており、
環化の存在下では、Ra1の1つまたはRa3の1つは、Ra2がC1−C6アルキルであるRa2の炭素原子への結合で置き換えられ、残りのRa1およびRa3は、先に定義されたとおりである)、特に、以下の構造:
もしくはその塩、より詳細には、以下の構造:
もしくはその塩、または特に、以下の構造:
もしくはその塩(ここで、Y’は、−Xa−、−O−C(=O)−Xb−または−OC(=O)NH−CH2−Xa−であり、XaまたはXbは、TNからのものであり、−Xa−は、Oであり、Xbは、−NH−であり;R’は、水素、または−OC1−C6アルキルもしくは他の電子供与基であり、ペプチド切断可能単位に対するプロテアーゼの作用は、W−NH結合を切断し、前記切断は、その薬物リンカー化合物からの、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分からの、NAMPTi化合物またはその誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起する)
によって表される、実施形態44Aに記載の薬物リンカー化合物。
49A.Wが、ペプチド切断可能単位であり、その単位は、ジペプチドを含み、そのジペプチドは、薬物リンカー化合物、薬物リンカー部分またはNAC結合体からのNAMPTi化合物または誘導体としてのNAMPT薬物単位の放出を惹起するように、その薬物リンカー化合物内、またはその薬物リンカー化合物から調製されるリガンド薬物結合体化合物もしくはN−アセチル−システイン(NAC)結合体の薬物リンカー部分内の、W−J’結合またはJ’が−NHであるときはW−NH結合の制御プロテアーゼまたはリソソームプロテアーゼによる切断のための前記プロテアーゼに対する認識部位を提供する、実施形態31A〜48Aのいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
50A.Wが、以下の構造:
(ここで、R34は、ベンジル、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、−CH(OH)CH3であるか、または
との構造(ここで、アスタリスクは、ジペプチド骨格への共有結合の部位を示す)を有し;
R35は、メチル、−(CH2)4−NH2、−(CH2)3NH(C=O)NH2、−(CH2)3NH(C=NH)NH2または−(CH2)2CO2Hであり;波線は、リガンド薬物結合体合成物を表している構造へのジペプチドの共有結合点を示す)を有し、
特に、Wが、−Phe−Lys−、−Val−Ala−、−Val−Lys−、−Ala−Lys−、−Val−Cit−、−Phe−Cit−、−Leu−Cit−、−Ile−Cit−、−Phe−Arg−および−Trp−Cit−からなる群より選択され、ここで、Citは、シトルリンである、請求項4A9に記載の薬物リンカー化合物。
51A.Aまたはそのサブユニットが、−LP(PEG)−であり、ここで、−LP−またはそのサブユニットは、必要に応じて置換された、アミノアルカン二酸、ジアミノアルカン酸、硫黄置換アルカン二酸、硫黄置換アミノアルカン酸、ジアミノアルカノール、アミノアルカンジオール、ヒドロキシル置換アルカン二酸、ヒドロキシル置換アミノアルカン酸または硫黄置換アミノアルカノール残基であり、置換された硫黄は、還元型または酸化型であるか、または−LP−またはそのサブユニットは、リジン、アルギニン、アスパラギン、グルタミン、オルニチン、シトルリン、システイン、ホモシステイン、ペニシラミン、トレオニン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、チロシン、ヒスチジンまたはトリプトファンのアミノ酸残基であり、ここで、そのアミノ酸は、D配置またはL配置であるか、または
−LP(PEG)−は、以下の構造:
またはその薬学的に許容され得る塩(式中、下付き文字vは、1〜4の範囲の整数であり;XLPは、−O−、−NRLP−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)−、−C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=O)N(RLP)−、−N(RLP)C(=NRLP)N(RLP)−およびC3−C8ヘテロシクロ、特に、−O−、−NH、−S−および−C(=O)−からなる群より選択され;
各RLPは、独立して、水素および必要に応じて置換されたC1−C6アルキルからなる群より選択されるか、または2つのRLPは、それらと結合している炭素原子およびそれらの介在原子と一体となって、C5−C6ヘテロシクロを規定し、残りの任意のRLPは、先に定義されたとおりであり;Arは、必要に応じて置換された、C6−C10アリーレンまたはC5−C10ヘテロアリーレンであり;
各REおよび各RFは、独立して、−H、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたC2−C6アルキレン、必要に応じて置換されたC6−C10アリーレンおよび必要に応じて置換されたC5−C10ヘテロアリーレン、特に、水素およびC1−C4アルキルからなる群より選択されるか、またはREおよびRFは、その両方と結合している炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたスピロC3−C6カルボシクロを規定するか、または隣接する炭素原子からのREおよびRFは、これらの原子および任意の介在炭素原子と一体となって、必要に応じて置換されたC5−C6カルボシクロを規定し、残りの任意のREおよびRFは、先に定義されたとおりであるか、または−[C(RE)(RF)]v−XLP−との側鎖は、天然または非天然のアミノ酸側鎖によって提供され;
波線は、結合体構造の残部内の共有結合の部位を示す)、特に、
によって表されるPEG単位
(ここで、波線は、パラレルコネクター単位(LP)のXLPへの結合の部位を示し;下付き文字n’は、独立して、1〜72の範囲であり;RPEG1は、必要に応じてのPEG結合単位であり;RPEG2は、PEGキャッピング単位であり;RPEG3は、PEGカップリング単位である)
または以下の構造:
を有するXLP−PEG(式中、下付き文字n’は、8、12または24であり、RPEG2は、Hまたは−CH3である)
を有する、実施形態31A〜50Aのいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
52A.Aまたはそのサブユニットが、式(3)または式(4)の構造:
(式中、波線は、合成物構造内の共有結合を示し;KおよびL’は、独立して、C、N、OまたはSであるが、但し、KまたはL’がOまたはSであるとき、Kに対するR41およびR42またはL’に対するR43およびR44は、存在せず、KまたはL’がNであるとき、Kに対するR41、R42の一方またはL’に対するR42、R43の一方は、存在せず、隣接する2つのL’は、独立して、N、OまたはSとして選択されず;下付き文字eおよびfは、0〜12の範囲の、独立して選択される整数であり、下付き文字gは、1〜12の範囲の整数であり;
Gは、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、−OH、−ORPR、−CO2H、CO2RPR(ここで、RPRは、好適な保護である)であるか、またはGは、−N(RPR)(RPR)(ここで、RPRは、独立して保護基であるか、またはRPRは、一体となって、好適な保護基を形成する)であるか、またはGは、−N(R45)(R46)(ここで、R45、R46の一方は、水素またはRPRであり、RPRは、好適な保護基であり、他方は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルである)であり;
R38は、水素または必要に応じて置換されたC1−C6アルキルであり;R39〜R44は、独立して、水素、必要に応じて置換されたC1−C6アルキル、必要に応じて置換されたアリールおよび必要に応じて置換されたヘテロアリールからなる群より選択されるか、またはR39、R40は、その両方と結合している炭素原子と一体となって、もしくはR41、R42は、Kが炭素原子であるとき、その両方と結合しているKと一体となって、C3−C6カルボシクロを規定し、R41〜R44は、本明細書中で定義されるとおりであるか、またはR43、R44は、L’が炭素原子であるとき、その両方と結合しているL’と一体となって、C3−C6カルボシクロを規定し、R39〜R42は、本明細書中で定義されるとおりであるか、またはR40およびR41、またはR40およびR43、またはR41およびR43は、その両方が結合している炭素原子またはヘテロ原子ならびにそれらの炭素原子間および/またはヘテロ原子間を介在している原子と一体となって、C5−C6カルボシクロまたはC5−C6ヘテロシクロを規定し、R39、R44、およびR40〜R43の残りは、本明細書中で定義されるとおりであるが、但し、KがOまたはSであるとき、R41およびR42は、存在せず、KがNであるとき、R41、R42の一方は、存在せず、L’がOまたはSであるとき、R43およびR44は、存在せず、L’がNであるとき、R43、R44の一方は、存在しない)を有するか、または
Aまたはそのサブユニットが、アルファ−アミノ酸残基、ベータ−アミノ酸残基または別のアミン含有酸残基であり、
特に、式(3)または式(4)は、式(3a)または式(4a)の構造:
(式中、下付き文字eおよびfは、独立して、0または1である)
を有する、実施形態31A〜51Aのいずれか1つに記載の薬物リンカー化合物。
53A.薬物リンカー化合物が、以下の構造:
またはその塩(ここで、下付き文字aは、1であり、Aは、アミノ酸残基であり;BUは、非環式塩基性単位であり、これにより、点線の曲線は存在せず、Ra2は水素であるか、またはBUは、C1−C6アルキルとしてのRa2およびその両方と結合している炭素原子と一体となって、環式塩基性単位を規定し、これにより、点線の曲線が存在し;R’は、水素または−NO2である)、
特に、
またはその塩によって表される、実施形態31Aに記載の薬物リンカー化合物。
54A.実施形態1Aに記載のリガンド薬物結合体合成物またはその化合物を調製する方法であって、その方法は、実施形態31Aに記載の薬物リンカー化合物の1次リンカーの反応性官能基と相互作用することができる反応性官能基(function group)を有する標的化剤に対応するリガンド単位と、その薬物リンカー化合物の1次リンカーと構造的に対応するリガンド薬物結合体の1次リンカーとの間に共有結合を形成するように、その薬物リンカー化合物をその標的化剤と接触させる工程を含む、方法。
55A.標的化剤の反応性官能基が、鎖間ジスルフィド結合の還元を介した抗体に固有の、または抗体の遺伝子操作によって導入される、抗体のシステインチオールであり、リガンド薬物結合体の1次リンカーの反応性官能基が、その1次リンカーのストレッチャー単位を構成するマレイミド(M1)部分であり、前記反応性官能基の前記接触が、Lが抗体リガンド単位である実施形態1Aに記載のリガンド薬物結合体合成物またはリガンド薬物結合体化合物を提供する、実施形態54Aに記載の方法。
全般的な情報。すべての商業的に入手可能な無水溶媒を、さらに精製することなく使用した。シリカゲルクロマトグラフィーは、Biotage Isolera Oneフラッシュ精製システム(Charlotte,NC)において行った。UPLC−MSは、Acquity UPLC BEH C18 2.1×50mm、1.7μm逆相カラムが備え付けられたWaters Acquity H−Class Ultra Performance LCにインターフェースされたWaters Xevo G2 ToF質量分析計において行った。酸性移動相(0.1%ギ酸)は、1.43分間にわたる3%〜95%のアセトニトリル水溶液のグラジエントからなり(流速=0.7mL/分)、0.36分間にわたってベースライン条件まで戻した。「疎水性の方法」と明記される場合、溶離剤の組成は、3.57分間にわたって、97%アセトニトリル水溶液という最大値まで増加させ、ベースライン条件に戻した。「極性の方法」と明記されるとき、ACQUITY UPLC HSS T3カラム(100Å,1.8μm,2.1mm×150mm)を使用し、溶離剤の組成は、1.79分間にわたって、3%から95%の最大値までアセトニトリル水溶液を増加させ、ベースライン条件に戻した。
分取HPLCは、Waters 2998 PDA検出器とともに配置されたWaters 2545溶媒送達システムにおいて行った。生成物を、0.05%トリフルオロ酢酸の水溶液(溶媒A)および0.05%トリフルオロ酢酸のアセトニトリル溶液(溶媒B)で溶出するC12 Phenomenex Synergi逆相カラム(10.0〜50mm直径×250mm長,4μm,80Å)において精製した。これらの精製方法は、通常、5%水性溶媒Bから95%溶媒Bへの勾配である溶媒Aから溶媒Bへの直線勾配からなり;流速は、カラム直径に応じて変動した。NMRスペクトルデータは、Varian Mercury 400MHz分光計において収集された。結合定数(J)は、ヘルツを単位として報告される。
NAMPT酵素の調製。C末端6×Hisタグを含むNAMPTを、pET28aベクター(Novagen)を用いて大腸菌において発現させた。そのタンパク質をニッケルアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、次いで、緩衝液を50mM Tris、100mM NaCl,pH7に交換し、急速凍結した。
蛍光偏光アッセイ。FPアッセイにおいて使用するための蛍光プローブ分子を、化合物10とフルオレセイン−5−カルボニル(carbonly)アジドのジアセテートとの反応(クルチウス転位を介する)の後、酢酸基の鹸化によって調製した。その生成物を分取HPLCによって精製した。1ウェルあたり30μlを含む384ウェルプレートにおいてアッセイを行った。アッセイ緩衝液は、50mM HEPES、50mM KCl、5mM MgCl2、125μM ATP、0.5mMベータ−メルカプトエタノールおよび0.005%BSAからなった。NAMPTは120nMで使用し、蛍光プローブ分子は30nMで使用した。試験物質を、約1000nM〜0.5nMの希釈系列として加えた。室温で4時間インキュベートした後、蛍光偏光をEnvisionプレートリーダーにおいて計測した。応答モデルに対する4パラメータ対数(阻害剤濃度)を使用するGraphPad Prismにおいて、カーブフィッティングを行った。
インビトロNADアッセイ。対数増殖期の培養細胞を、20%FBSが補充された150μLのRPMI1640を含む96ウェルプレートに24時間播種した。細胞培養液中の遊離薬物または抗体薬物結合体の段階希釈物を4×作用濃度で調製し;50μLの各希釈物をその96ウェルプレートに加えた。ADCを加えた後、細胞を試験物質とともに37℃で2〜4日間インキュベートした。NADレベルをNAD−Glo(登録商標)(Promega,Madison,WI)で評価し、ルミネセンスをプレートリーダーにおいて計測した。IC50値は、ここでは、無処置コントロールと比べてNADレベルの50%減少をもたらす濃度と定義される。
インビボ異種移植片モデル。すべての実験を、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Careが公認する施設のAnimal Care and Use Committeeに従って行った。有効性実験は、L540cyホジキンリンパ腫モデルにおいて行った。腫瘍細胞を細胞懸濁液として、免疫不全SCIDマウスの皮下に移植した。腫瘍の移植において、平均腫瘍体積が約100mm3に達したとき、マウスを試験群(1群あたり5匹のマウス)にランダム化した。ADCまたはコントロールを腹腔内注射によって1回投与した。時間に応じた腫瘍体積を、式(L×W2)/2を用いて決定した。腫瘍体積が750mm3に達したら、動物を安楽死させた。永続的な回復を示すマウスは、移植の10〜12週間後に終了とした。
スキーム1:HN−DAがピリジル−ビニル性アミド部分であり、NAMPT尾部単位が誘導体化ベンズアミド部分である、NAMPTi化合物誘導体の例示的な調製
スキーム2:NAMPT薬物単位が、2つの自壊性スペーサー単位(第1のスペーサー単位は、グルクロニド単位のスペーサー単位であり、第2のスペーサー単位は、カルバメート官能基である)を用いてリンカー単位に共有結合されている、薬物リンカー化合物の例示的な調製
スキーム3:NAMPT薬物単位が、ベンジル−エーテル官能基を用いてグルクロニド単位の自壊性スペーサー単位を介してリンカー単位に直接、共有結合されている、薬物リンカー化合物の例示的な調製
スキーム4:NAMPT薬物単位が、2つの自壊性スペーサー単位(第1のスペーサー単位は、グルクロニド単位のスペーサー単位であり、第2のスペーサー単位は、MAC単位である)を用いてリンカー単位に共有結合されている、NAMPT薬物リンカーの例示的な調製
スキーム5:HN−DAが、ピリジル−尿素部分であり、NAMPT尾部単位が、誘導体化ベンズアミド部分である、NAMPTi誘導体化合物の例示的な調製
スキーム6:NAMPT薬物単位が、ピリジル尿素HN−DA部分を含み、2つの自壊性スペーサー単位(第1のスペーサー単位は、グルクロニド単位のスペーサー単位であり、第2のスペーサー単位は、カルバメート官能基である)を用いてリンカー単位に共有結合されている、薬物リンカー化合物の例示的な調製
スキーム7:HN−DAが、ピリジル−スクアラミド部分であり、NAMPT尾部単位が、誘導体化ベンズアミド部分である、NAMPTi誘導体化合物の例示的な調製
スキーム8:HN−DAが、ピリジル−スクアラミド部分であり、NAMPT尾部単位が、誘導体化ベンズアミド部分である、NAMPTi誘導体化合物の代替の例示的な調製
スキーム9:NAMPT薬物単位が、ピリジル−スクアラミドHN−DA部分を含み、2つの自壊性スペーサー単位(第1のスペーサー単位は、グルクロニド単位のスペーサー単位であり、第2のスペーサー単位は、カルバメート官能基である)を用いてリンカー単位に共有結合されている、薬物リンカー化合物の例示的な調製
実施例1:tert−ブチル(E)−4−(4−(3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボシキレート(1):(2E)−3−(ピリジン−3−イル)プロパ−2−エン酸(698mg,4.68mmol)を、DMF(24mL)に溶解し、DIPEA(2mL,11.7mmol)およびHATU(1.80g,4.68mmol)で処理した。5分後、tert−ブチル4−(4−アミノブチル)ピペリジン−1−カルボシキレート(1.00g,3.90mmol)を、DMF(8mL)中の溶液として加えた。その反応物を室温で一晩撹拌した。反応溶媒を真空中で除去し、残渣をEtOAcに再溶解し、次いで、水で1回、飽和NaHCO3で2回、およびブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製することにより、表題化合物を得た(1.16g,3.00mmol,77%)。LCMS:tR=1.22分;m/z=388.3[M+H]+。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.78 - 8.71 (m, 1H), 8.57 (dd, J = 4.8, 1.6 Hz, 1H), 7.83 - 7.75 (m, 1H), 7.62 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 7.35 - 7.29 (m, 1H), 6.45 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 5.68 (t, 1H), 4.18 - 3.90 (m, 2H), 3.40 (td, J = 7.2, 5.9 Hz, 2H), 2.76 - 2.55 (m, 2H), 1.70 - 1.51 (m, 4H), 1.45 (s, 9H), 1.43 - 1.31 (m, 3H), 1.31 - 1.20 (m, 2H), 1.07 (qd, J = 12.5, 4.4 Hz, 2H).
実施例2.(E)−N−(4−(ピペリジン−4−イル)ブチル)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド(2):化合物1(1.06g,2.75mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、TFA(3mL)で90分間処理した。その反応物を真空中で濃縮し、1:1MeCN:H2Oに再溶解し、再度濃縮して、表題化合物をジ−TFA塩として得た(1.30g,2.69mmol,98%)。LCMS:tR=0.46分;m/z=288.2[M+H]+。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 9.01 - 8.93 (m, 1H), 8.74 (dd, J = 5.5, 1.4 Hz, 1H), 8.60 (dtt, J = 8.2, 1.5, 0.6 Hz, 1H), 7.99 - 7.87 (m, 1H), 7.61 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 3.40 - 3.28 (m, 6H), 2.95 (td, m, 2H), 2.02 - 1.86 (m, 2H), 1.69 - 1.53 (m, 3H), 1.50 - 1.24 (m, 6H).
実施例3.(E)−N−(4−(1−(3−アミノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)ブチル)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド(3):
化合物2(30mg,0.058mmol)および3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)安息香酸(14mg,0.058mmol)を含む反応容器に、EDCのDCM溶液の0.25M溶液(350μL,0.087mmol)を加えた後、DMAPのDCM溶液の0.25M溶液(350μL,0.087mmol)およびDIPEA(51μL,0.29mmol)を加えた。その反応物を3時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。その粗材料をEtOAcに再溶解し、水で2回、飽和NH4Clで1回およびブラインで1回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。得られた中間体生成物を、30%のTFAのDCM溶液で30分間処理し、次いで、真空中で濃縮した。分取HPLCによる精製によって、表題化合物を得た(22.1mg,0.042mmol,73%)。LCMS:tR=0.66分;m/z=407.3[M+H]+。
実施例5.(E)−N−(4−(1−(4−アミノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)ブチル)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド(4):
表題化合物を、4−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)安息香酸を出発酸として使用して化合物3に対する方法に従って調製した。LCMS:tR=0.67分;m/z=407.3[M+H]+。
実施例6.(E)−N−(4−(1−(2−アミノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)ブチル)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド(5):
表題化合物を、2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)安息香酸を出発酸として使用して化合物3に対する方法に従って調製した。LCMS:tR=0.88分;m/z=407.3[M+H]+。
実施例7.(E)−N−(4−(1−(3−ヒドロキシベンゾイル)ピペリジン−4−イル)ブチル)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド(6):
化合物2(30mg,0.058mmol)および3−ヒドロキシ安息香酸(8.0mg,0.058mmol)を含む反応容器に、EDCのDCM溶液の0.25M溶液(350μL,0.087mmol)を加えた後、DMAPのDCM溶液の0.25M溶液(350μL,0.087mmol)およびDIPEA(51μL,0.29mmol)を加えた。その反応物を3時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。分取HPLCによる精製によって、表題化合物を得た(12.1mg,0.023mmol,40%)。LCMS:tR=0.79分;m/z=408.3[M+H]+。
実施例8.(E)−N−(4−(1−(4−ヒドロキシベンゾイル)ピペリジン−4−イル)ブチル)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド(7):
表題化合物を、4−ヒドロキシ安息香酸を出発酸として使用して化合物6に対する方法に従って調製した。LCMS:tR=0.74分;m/z=408.3[M+H]+。
実施例9.(E)−N−(4−(1−(2−ヒドロキシベンゾイル)ピペリジン−4−イル)ブチル)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド(8):
表題化合物を、2−ヒドロキシ安息香酸を出発酸として使用して化合物6の方法に従って調製した。LCMS:tR=1.18分;m/z=408.2[M+H]+。
実施例10.(E)−N−(4−(1−(3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾイル)ピペリジン−4−イル)ブチル)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド(9):
表題化合物を、3−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸を出発酸として使用して化合物6の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.79分;m/z=452.3[M+H]+。
実施例11.(E)−N−(4−(1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾイル)ピペリジン−4−イル)ブチル)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド(10):
表題化合物を、4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸を出発酸として使用して化合物6に対する方法に従って調製した。LCMS:tR=0.74分;m/z=452.3[M+H]+。
実施例12.メチル(E)−3−ニトロ−5−(4−(4−(3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)−ピペリジン−1−カルボニル)ベンゾエート(11):
表題化合物を、3−(メトキシカルボニル)−5−ニトロ安息香酸を出発酸として使用して化合物6の方法に従って調製した。LCMS:tR=1.10分;m/z=495.4[M+H]+。
実施例13.メチル(E)−3−アミノ−5−(4−(4−(3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)−ピペリジン−1−カルボニル)ベンゾエート(12):
10:1MeOH:AcOH中の11(35mg,0.057mmol)の撹拌溶液に、Zn末(約40mg)を小分けにして加えた。2時間後、その反応物をセライトプラグで濾過し、真空中で濃縮した。残渣をDMSOに再溶解し、分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(24mg,0.052mmol,91%)。LCMS:tR=0.89分;m/z=465.4[M+H]+。
実施例14.(E)−3−アミノ−5−(4−(4−(3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)−ピペリジン−1−カルボニル)安息香酸(13):
1:1MeOH:THF(500μL)中の12(5.0mg,0.011mmol)の撹拌溶液に、LiOHの0.2M溶液(269μl,0.054mmol)を加えた。その反応物を室温で6時間撹拌し、次いで、1M HClでクエンチした。その反応物を真空中で濃縮し、次いで、DMSOに再溶解し、分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(3.9mg,0.007mmol,64%)。LCMS:tR=0.75分;m/z=451.4[M+H]+。
実施例15.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−((((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(14):
化合物3(241mg,0.59mmol)およびメチル(2S,3S,4S,5R,6S)−3,4,5−トリス(アセチルオキシ)−6−[2−(3−{[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]アミノ}プロパンアミド)−4−{[(4−ニトロフェノキシカルボニル)オキシ]メチル}フェノキシ]オキサン−2−カルボシキレート(596mg,0.65mmol、Bioconjugate Chem.2006,17,831−840の手順に従って調製されたもの)をDMF(4mL)およびピリジン(1mL)に溶解した。HOAc(32mg,0.24mmol)を、DMF中の溶液として加え、反応物を室温で一晩撹拌した。その反応物をEtOAcに注ぎ込み、有機層を2×水、3×飽和NaHCO3および3×5%LiClで洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製することにより、表題化合物を得た(550mg,0.47mmol,79%)。LCMS:tR=1.48分;m/z=1181.5[M+H]+。
実施例16.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−アミノプロパンアミド)−4−((((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)オキシ)−メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(15):
化合物14(550mg,0.47mmol)をTHF(12mL)およびMeOH(12mL)に溶解し、氷上で冷却した。LiOHの溶液(0.2M,23ml,4.6mmol)をゆっくり加えた。30分後、その反応物を氷から取り出し、室温まで加温した。4時間後、その反応物をEtOAcで3回洗浄し、水相を濃縮することにより、粗生成物を得て、それを分取HPLCによってさらに精製することにより、表題化合物を得た(78mg,0.075mmol,16%)。LCMS:tR=0.78分;m/z=819.4[M+H]+。
実施例17.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)−アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)−カルバモイル)オキシ)メチル)−フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(16):
化合物15(78mg,0.075mmol)をDMF(0.7μl)およびDIPEA(39μl,0.22mmol)に溶解した後、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル(2S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−(2,5−ジオキソピロール−1−イル)プロパノエート(30mg,0.078mmol)を加えた。3時間後、その反応物をDMSOで希釈し、分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(80mg,0.067mmol,90%)。LCMS:tR=1.02分;m/z=1085.5[M+H]+。
実施例18.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(17):
化合物16(80mg,0.067mmol)を20%TFAのDCM溶液(6mL)で1時間処理した。溶媒を真空中で除去し、残渣をDMSOに溶解し、分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(66.5mg,0.055mmol,82%)。LCMS:tR=0.81分;m/z=985.4[M+H]+。
実施例19.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−((S)−44−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−38,45−ジオキソ−2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35−ドデカオキサ−39,46−ジアザノナテトラコンタン−49−アミド)−4−((((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)−ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(18):
DMF(1mL)中のFmoc−Lys(PEG12)−OSu(70mg,0.068mmol)の溶液を化合物15(55.4mg,0.068mmol)に加えた。DIPEA(47μL,0.27mmol)を加え、その反応物を室温で4時間撹拌した。その反応物を分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(88.8mg,0.051mmol,75%)。LCMS:tr=1.22分;m/z=1740.9[M+H]+。
実施例20.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−((S)−44−アミノ−38,45−ジオキソ−2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35−ドデカオキサ−39,46−ジアザノナテトラコンタン−49−アミド)−4−((((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)−カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(19):
化合物19を、化合物15の方法によって化合物18から調製した。LCMS:tR=0.88分;m/z=1517.8[M+H]+。
実施例21.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−((S)−44−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)−アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−38,45−ジオキソ−2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35−ドデカオキサ−39,46−ジアザノナテトラコンタン−49−アミド)−4−((((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)−カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(20):
化合物20を、化合物16の方法によって化合物19から調製した。LCMS:tR=1.04分;m/z=1784.9[M+H]+。
実施例22.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−((S)−44−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−38,45−ジオキソ−2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35−ドデカオキサ−39,46−ジアザノナテトラコンタン−49−アミド)−4−((((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(21):
化合物21を化合物17の方法によって調製した。LCMS:tR=0.86分;m/z=1683.8[M+H]+。
実施例23.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)−カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)−ピペリジン−1−カルボニル)フェノキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(22):
化合物6(27.5mg,0.053mmol)およびMol.Cancer Ther.15(5):938−945に従って調製された(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−(ブロモメチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(43mg,0.053mmol)をDMFに溶解した。K2CO3(15mg,0.11mmol)を加え、その反応物を40℃で撹拌した。45分後、その反応物を、酢酸(30μL)を加えることによってクエンチした。その生成物を分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(6.2mg,0.005mmol,13%)。LCMS:tR=1.44分;m/z=1138.7[M+H]+。
実施例24.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−アミノプロパンアミド)−4−((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェノキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(23):
化合物23を、化合物15の方法によって化合物22から調製した。LCMS:tR=0.75分;m/z=776.5[M+H]+。
実施例25.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)−ピペリジン−1−カルボニル)フェノキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(24):
化合物23(1.9mg,0.002mmol)を、DMF(72μl)中の、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノエート(0.7mg,0.003mmol)およびDIPEA(1.3μl,0.007mmol)で処理した。45分後、その反応物をDMSOで希釈し、分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(1.6mg,71%)。LCMS:tR=0.86分、m/z=927.6[M+H]+。
実施例26.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)−カルボニル)(メチル)アミノ)アセトアミド)−4−(((((3−(((ジ−tert−ブチル(イソブチル)シリル)オキシ)カルボニル)−フェノキシ)メチル)(2−(メチルスルホニル)エチル)カルバモイル)−オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)−テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(25):
Angew.Chem.Int.Ed.2016,55,7948に従って調製された(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)(メチル)−アミノ)アセトアミド)−4−((((2−(メチルスルホニル)エチル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(131mg,0.146mmol)をDCM(1.5mL)に溶解し、パラホルムアルデヒド(131mg,4.4mmol)、TMSCl(500μL)および水(1μL)で連続して処理した。90分後、その反応物を0.45ミクロンシリンジフィルターで濾過した。濾液に無水トルエン(3mL)を加えた後、濃縮した。この活性化中間体を高真空下で1時間乾燥させた。ジ−tert−ブチル(イソブチル)シリル3−ヒドロキシベンゾエートを、無水トルエンから3回共沸することによって乾燥させた。その活性化中間体およびフェノール誘導体を無水DCM(1mL)中で合わせ、DIPEA(76μL,0.44mmol)で処理した。1時間後、その反応物をEtOAcで希釈し、飽和NH4Clで3回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。その粗材料をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製することにより、表題化合物を得た(108mg,0.087mmol,59%)。LCMS:tR=2.07分(疎水性の方法)、m/z=1268.5[M+Na]+。
実施例27.3−(((((3−(2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)(メチル−)アミノ)アセトアミド)−4−(((2S,3R,4S,5S,6S)−3,4,5−トリアセトキシ−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)ベンジル)オキシ)カルボニル)(2−(メチルスルホニル)エチル)アミノ)メトキシ)安息香酸(26):
化合物25(108mg,0.087mmol)を10:1THF:ピリジン(900μL)に溶解し、HF:ピリジン(50μL)で処理した。90分後、その反応物を、過剰なTMSOEtを加えることによってクエンチした。その粗材料を真空中で濃縮し、DMSOに再溶解し、分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(9mg,0.009mmol,10%)。LCMS:tR=1.52分(疎水性の方法);m/z=1070.4[M+Na]+。
実施例28.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)−カルボニル)(メチル)アミノ)アセトアミド)−4−((((2−(メチルスルホニル)エチル)((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェノキシ)メチル−)カルバモイル)−オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(27):
化合物26(9mg,0.009mmol)を、DMF(100μl)中においてHATU(3.6mg,0.009mmol)およびDIPEA(4.5μL,0.026mmol)で5分間処理した。次いで、化合物2(2.7mg,0.009mmol)を加えた。5分後、その反応物をDMFで希釈し、分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(8.3mg,0.006mmol,73%)。LCMS:tR=1.45分(疎水性の方法);m/z=1317.6[M+H]+。
実施例29.(2S,3S,4S,5R,6S)−3,4,5−トリヒドロキシ−6−(2−(2−(メチルアミノ)−アセトアミド)−4−((((2−(メチルスルホニル)エチル)((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル−)ピペリジン−1−カルボニル)フェノキシ)メチル)カルバモイル)オキシ)メチル)−フェノキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(28):
化合物28を、化合物15に対する方法に従って化合物27から調製した。LCMS:tR=0.74分;m/z=955.5[M+H]+。
実施例30.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(2−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−N−メチルプロパンアミド)アセトアミド)−4−((((2−(メチルスルホニル)エチル)((3−(4−(4−((E)−3−(ピリジン−3−イル)アクリルアミド)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェノキシ)メチル)カルバモイル)オキシ−)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(29):
化合物28(4.7mg,0.005mmol)を、DMF(100μL)中の、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパノエート(5.2mg,0.020mmol)およびDIPEA(6.9μL,0.039mmol)で処理した。3時間後、その反応物をDMSOで希釈し、分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(0.78mg,0.001mmol,14%)。LCMS:tR=0.90分;m/z=1106.5[M+H]+。
実施例31.tert−ブチル(2−((シクロヘキシリデンアミノ)オキシ)エチル)(メチル)−カルバメート(36):
シクロヘキサノンオキシム(478mg,4.22mmol)を8mLのDMFに溶かし、氷浴内で冷やした。NaH(338mg,14.08mmol,60%鉱油分散物)を少しずつ加え、その反応混合物をアルゴン下、0℃で1時間撹拌し、その時点の後、2mLのDMF中のtert−ブチル(2−クロロエチル)(メチル)カルバメート(818mg,4.22mmol)を加え、氷浴を除去し、その反応混合物を室温で20時間撹拌し、次いで、60℃で3時間加熱した。その混合物を冷却し、濾過し、濾液を真空中で濃縮し、残渣を飽和NH4Clとエーテルとに分割した。水性抽出物をエーテルでさらに1回抽出し、合わせた有機抽出物を0.5M NaOHで1回、ブラインで1回洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮することにより、表題化合物を得た(696mg,2.57mmol,61%)。LCMS:tR=1.56分;m/z=293.2[M+H]+。1HNMR (400 MHz, CDCl3, δ): 1.46 (s, 9H), 1.56-1.73 (m, 6H), 2.18-2.23 (m, 2H), 2.45 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 2.91 (s, 3H), 3.40-3.54 (m, 2H), 4.05-4.17 (m, 2H).
実施例32.tert−ブチル(2−((シクロヘキシルアミノ)オキシ)エチル)(メチル)カルバメート(37):
化合物36(696mg,2.57mmol)を10mLのMeOHに溶かし、氷浴内で冷やした。少量のメチルオレンジを加え、次いで、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(323mg,5.15mmol)を加えた。その黄色溶液に、2M HClのMeOH溶液を、色がピンク色に変化するまで加えた。氷上で30分間撹拌し、次いで、氷浴を除去し、室温で4時間撹拌した。その反応混合物を真空中で濃縮し、次いで、水に懸濁し、混合物のpHを6N KOHで9に調整し、等体積のブラインで希釈し、CH2Cl2で4回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2)によって精製することにより、化合物37を得た(534mg,1.96mmol,76%)。LCMS:tR=1.56分;m/z=293.2[M+H]+。1HNMR (400 MHz, CDCl3, δ): 1.02-1.33 (m, 4H), 1.46 (s, 9H), 1.54-1.68 (m, 2H), 1.74 (dt, J = 13.3, 3.9 Hz, 2H), 1.80-1.90 (m, 2H), 2.66-2.85 (m, 1H), 2.88 (s, 3H), 3.30-3.53 (m, 2H), 3.77 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 5.50 (br s, 1H).
実施例33.tert−ブチル(12−シクロヘキシル−1−(9H−フルオレン−9−イル)−3,11−ジオキソ−2,13−ジオキサ−4,12−ジアザペンタデカン−15−イル)(メチル)カルバメート(38):
5mLのDMF中の、Fmoc−アミノヘプタン酸(720mg,1.96mmol)、NMM(0.26mL,2.36mmol)およびHATU(894mg,2.36mmol)の溶液を5mLのDMF中の化合物37(534mg,1.96mmol)に加え、その反応混合物をアルゴン下、室温で一晩撹拌した。その反応混合物を真空中で部分的に濃縮し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3溶液で2回洗浄した。水性抽出物を再度、EtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで1回洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2)によって精製することにより、表題化合物を得た(339mg,0.55mmol,28%)。LCMS:tR=1.82分;m/z=621.3[M+H]+。
実施例34.tert−ブチル(2−((7−アミノ−N−シクロヘキシルヘプタンアミド)オキシ)エチル−(メチル)カルバメート(39):
化合物39を、化合物15の方法によって化合物38から調製した。LCMS:tr=1.06分;m/z=400.4[M+H]+。
実施例35.tert−ブチル(2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)−ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(メチル)カルバメート(40):
カルボニルジトリアゾール(358mg,2.18mmol)および4−アミノピリジン(68.4mg,0.73mmol)を15mLのTHF中において室温で一晩撹拌した。その反応混合物をEtOAcで希釈し、水で1回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を10mLのTHFに再懸濁し、DIEAを含む10mLのTHF(0.25mL,1.45mmol)および溶解のための2mLのDMF中の化合物39に加え、その反応物をアルゴン下、室温で2.5時間撹拌し、真空中で濃縮した。粗生成物を分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(183mg,0.35mmol,49%)。LCMS:tR=1.14分;m/z=520.4[M+H]+。
実施例36.N−シクロヘキシル−N−(2−(メチルアミノ)エトキシ)−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)ヘプタンアミド(41):
表題化合物を、化合物17の方法によって化合物40から調製した。LCMS:tR=0.73分;m/z=420.4[M+H]+。
実施例37.tert−ブチル(3−((2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)−ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(メチル)カルバモイル)フェニル)カルバメート(42):
表題化合物を、3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)安息香酸を酸性構成要素として使用して化合物3の方法に従って化合物41から調製した。LCMS:tR=1.17分;m/z=639.5[M+H]+。
実施例38.3−アミノ−N−(2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)−ヘプタンアミド)オキシ)エチル)−N−メチルベンズアミド(43):
表題化合物を、化合物17の方法によって42から調製した。LCMS:tR=0.89分;m/z=539.4[M+H]+。
実施例39.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)−カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)−ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(メチル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(44):
表題化合物を、化合物14の方法によって43から調製した。LCMS:tR=1.48分;m/z=1313.8[M+H]+。
実施例40.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−アミノプロパンアミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(メチル)カルバモイル)−フェニル)−カルバモイル)−オキシ)−メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(45):
表題化合物を、化合物15の方法によって化合物44から調製した。LCMS:tR=0.95分;m/z=951.7[M+H]+。
実施例41.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(メチル)カルバモイル)フェニル)−カルバモイル)オキシ)−メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(46):
表題化合物を、化合物16の方法によって化合物45から調製した。LCMS:tR=1.16分;m/z=1217.8[M+H]+。
実施例42.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(メチル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)オキシ)−メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(47):
表題化合物を、化合物17の方法によって化合物46から調製した。LCMS:tR=0.95分;m/z=1117.7[M+H]+。
実施例43.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(3−((S)−44−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)−カルボニル)アミノ)−38,45−ジオキソ−2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35−ドデカオキサ−39,46−ジアザノナテトラコンタン−49−アミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)−ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(メチル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(48):
表題化合物を、化合物18の方法によって化合物45から調製した。LCMS:tR=1.74分;m/z=1872.4[M+H]+。
実施例44.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(3−((S)−44−アミノ−38,45−ジオキソ−2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35−ドデカオキサ−39,46−ジアザノナテトラコンタン−49−アミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(メチル)−カルバモイル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(49):
表題化合物49を、化合物15の方法によって化合物48から調製した。LCMS:tR=1.40分;m/z=1649.9[M+H]+。
実施例45.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(3−((S)−44−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)−アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−38,45−ジオキソ−2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35−ドデカオキサ−39,46−ジアザノナテトラコンタン−49−アミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(メチル)−カルバモイル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)−フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(50):
表題化合物を、化合物16の方法によって49から調製した。LCMS:tR=1.62分;m/z=1916.3[M+H]+。
実施例46.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(3−((S)−44−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)−38,45−ジオキソ−2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32,35−ドデカオキサ−39,46−ジアザノナテトラコンタン−49−アミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−(3−(ピリジン−4−イル)ウレイド)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(メチル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)オキシ)−メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(51):
表題化合物を、化合物17の方法によって化合物50から調製した。LCMS:tR=0.98分;m/z=1816.9[M+H]+。
実施例47.N−シクロヘキシル−7−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)−N−(2−モルホリノエトキシ)ヘプタンアミド(52):表題化合物をWO2010/23307A1に従って調製した。
実施例48.tert−ブチル(2−((N−シクロヘキシル−7−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(エチル)カルバメート(57):
2mLのMeCN中の化合物56のTFA塩(78.3mg,0.15mmol)の溶液に、DIEA(77.5μL,0.45mmol)および3−エトキシ−4−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(32.4mg,0.15mmol)を加え、その反応物を室温で1時間撹拌し、次いで、分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(49.2mg,0.070mmol,47%)。LCMS:tR=1.35分;m/z=586.4[M+H]+。
実施例49.N−シクロヘキシル−7−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)−N−(2−(エチルアミノ)エトキシ)ヘプタンアミド(58):
表題化合物を、化合物17の方法によって化合物57から調製した。LCMS:tR=0.81分;m/z=486.3[M+H]+。
実施例50.tert−ブチル(3−((2−((N−シクロヘキシル−7−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(エチル)カルバモイル)フェニル)−カルバメート(59):
表題化合物を、3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)安息香酸を出発酸として使用して化合物6の方法に従って化合物58から調製した。LCMS:tR=1.36分;m/z=705.4[M+H]+。
実施例51.3−アミノ−N−(2−((N−シクロヘキシル−7−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)−N−エチルベンズアミド(60):
表題化合物を、化合物17の方法によって化合物59から調製した。LCMS:tR=1.08分;m/z=605.4[M+H]+。
実施例52.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(エチル)カルバモイル)−フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(61):
表題化合物を、化合物14の方法によって化合物60から調製した。LCMS:tR=1.51分;m/z=1379.7[M+H]+。
実施例53.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−アミノプロパンアミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ヘプタンアミド)−オキシ)エチル)(エチル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(62):
表題化合物を、化合物15の方法によって化合物61から調製した。LCMS:tR=0.99分;m/z=1017.5[M+H]+。
実施例54.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−((S)−3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ヘプタンアミド)−オキシ)エチル)(エチル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシ−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(63):
表題化合物を、化合物16の方法によって化合物62から調製した。LCMS:tR=1.18分;m/z=1283.6[M+H]+。
実施例55.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−((S)−3−アミノ−2−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((((3−((2−((N−シクロヘキシル−7−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ヘプタンアミド)オキシ)エチル)(エチル)−カルバモイル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(64):
表題化合物を、化合物17の方法によって化合物63から調製した。LCMS:tR=0.97分;m/z=1183.5[M+H]+。
実施例56.8−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)オクタン酸(65):
表題化合物を、8−アミノオクタン酸を出発アミンとして使用して化合物57の方法によって調製した。LCMS:tR=0.68分;m/z=332.2[M+H]+。
実施例57.8−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)−N−(フラン−2−イルメチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)オクタンアミド(66):
表題化合物を、化合物1の方法によって化合物65および2−((フラン−2−イルメチル)アミノ)エタン−1−オールから調製した。LCMS:tR=0.82分;m/z=455.3[M+H]+。
実施例58.3−((8−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−8−オキソオクチル)アミノ)−4−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(67):
表題化合物を、化合物3の方法によって化合物65およびピペリジン−4−オールから調製した。LCMS:tR=0.68分;m/z=415.3[M+H]+。
実施例59.3−((8−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−8−オキソオクチル)アミノ)−4−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(68):
表題化合物を、化合物3の方法によって化合物65およびアゼチジン−3−オールから調製した。LCMS:tR=0.65分;m/z=387.2[M+H]+。
実施例60.8−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)−N−((1−(ヒドロキシメチル)シクロペンチル)メチル)−N−メチルオクタンアミド(69):
表題化合物を、化合物1の方法によって化合物65および(1−((メチルアミノ)−メチル)シクロペンチル)メタノールから調製した。LCMS:tR=0.98分;m/z=457.3[M+H]+。
実施例61.tert−ブチル(8−((2−ヒドロキシエチル)(メチル)アミノ)−8−オキソオクチル)カルバメート(70):
表題化合物を、化合物3に対する方法に従って8−((tert−ブトキシカルボニル)−アミノ)オクタン酸および2−(メチルアミノ)エタン−1−オールから調製した。LCMS:tR=1.13分;m/z=339.3[M+Na]+。
実施例62.8−アミノ−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルオクタンアミド(71):
表題化合物を、化合物17に対する方法に従って化合物70から調製した。LCMS:tR=0.44分;m/z=217.3[M+H]+。
実施例63.8−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルオクタンアミド(72):
表題化合物を、化合物57に対する方法に従って化合物71から調製した。LCMS:tR=0.70分;m/z=389.4[M+H]+。
実施例64.ジ−tert−ブチル(イソブチル)シリル4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボシキレート(73):
アルゴン下、オーブン乾燥フラスコ内の45mLのCH2Cl2中の4−ヒドロキシピペリジン(1.00g,9.89mmol)の溶液に、トリエチルアミン(3.58mL,25.7mmol)を加え、その反応物にCO2をバブリングし、次いで、シリンジを介してBIBSOTf(3.58mL,12.85mmol)を加え、その反応物をCO2下、室温で一晩撹拌した。その反応混合物をCH2Cl2で希釈し、水で3回洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2)によって精製することにより、表題化合物を得た(1.50g,4.37mmol,44%)。LCMS:tR=1.88分;m/z=344.3[M+H]+。
実施例65.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)−カルボニル)(メチル)アミノ)アセトアミド)−4−((((((1−(((ジ−tert−ブチル(イソブチル)シリル)オキシ)カルボニル)−ピペリジン−4−イル)オキシ)メチル)(2−(メチルスルホニル)エチル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシ−カルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(74):
表題化合物を、化合物25の方法に従って化合物73から調製した。LCMS:tR=1.92分;m/z=1253.6[M+H]+。
実施例66.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)−カルボニル)(メチル)アミノ)アセトアミド)−4−((((2−(メチルスルホニル)エチル)((ピペリジン−4−イルオキシ)−メチル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(75):
表題化合物を、化合物26の方法に従って化合物74から調製した。LCMS:tR=1.54分;m/z=1011.4[M+H]+。
実施例67.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(2−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)−カルボニル)(メチル)アミノ)アセトアミド)−4−((((((1−(8−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)−シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)オクタノイル)ピペリジン−4−イル)オキシ)メチル)(2−(メチルスルホニル)エチル)−カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(76):
表題化合物を、化合物1の方法に従って化合物75および65から調製した。LCMS:tR=1.60分;m/z=1324.6[M+H]+。
実施例68.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(4−((((((1−(8−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)オクタノイル)ピペリジン−4−イル)オキシ)メチル)(2−(メチル−スルホニル)エチル)カルバモイル)オキシ)メチル)−2−(2−(メチルアミノ)アセトアミド)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(77):
表題化合物を、化合物15の方法に従って化合物76から調製した。LCMS:tR=0.90分;m/z=962.4[M+H]+。
実施例69(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(2−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−N−メチルプロパンアミド)アセトアミド)−4−((((((1−(8−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)−シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)オクタノイル)ピペリジン−4−イル)オキシ)メチル)(2−(メチルスルホニル)エチル)−カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(78):
表題化合物を、化合物29の方法に従って化合物77から調製した。LCMS:tR=1.05分;m/z=1113.5[M+H]+。
実施例70.(E)−8−(2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジノ)オクタン酸(79):
17mLのピリジン中の、(Z)−N’−シアノ−N−(ピリジン−4−イル)メチルスルファニルメタンイミドアミド(695mg,3.62mmol)、8−アミノオクタン酸(576mg,3.62mmol)、DMAP(486mg,3.98mmol)およびDIEA(1.90mL,10.85mmol)の溶液をアルゴン下、70℃で一晩加熱し、真空中で濃縮し、分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(668mg,2.20mmol,61%)。LCMS:tR=0.63分;m/z=304.2[M+H]+。
実施例71.(E)−8−(2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジノ)−N−((1−(ヒドロキシメチル)シクロペンチル)メチル)−N−メチルオクタンアミド(80):
表題化合物を、化合物1の方法に従って化合物79および(1−((メチルアミノ)−メチル)シクロペンチル)メタノールから調製した。LCMS:tR=0.92分;m/z=429.3[M+H]+。
実施例72.(E)−8−(2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジノ)−N−(フラン−2−イルメチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)オクタンアミド(81):
表題化合物を、化合物1の方法に従って化合物79および2−((フラン−2−イルメチル)アミノ)エタン−1−オールから調製した。LCMS:tR=0.79分;m/z=427.3[M+H]+。
実施例73.(E)−2−シアノ−1−(8−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−8−オキソオクチル)−3−(ピリジン−4−イル)グアニジン(82):
表題化合物を、化合物1の方法に従って化合物79およびピペリジン−4−オールから調製した。LCMS:tR=0.95分;m/z=387.3[M+H]+。
実施例74.(E)−8−(2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジノ)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルオクタンアミド(83):
表題化合物を、化合物79の方法によって化合物71および(Z)−N’−シアノ−N−(ピリジン−4−イル)メチルスルファニルメタンイミドアミドから調製した。LCMS:tR=0.66分;m/z=361.4[M+H]+。
実施例75.8−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)−N−(5−エチル−4−ヒドロキシピリミジン−2−イル)オクタンアミド(84):
表題化合物を、化合物49を出発酸として使用して化合物1の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.79分;m/z=453.26[M+H]+。
実施例76.(E)−8−(2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジノ)−N−(5−エチル−4−ヒドロキシピリミジン−2−イル)オクタンアミド(85):
表題化合物を、化合物60を出発酸として使用して化合物1の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.75分;m/z=425.27[M+H]+
実施例77.(9H−フルオレン−9−イル)メチル(7−(シクロヘキシル(2−(メチルアミノ)−エトキシ)アミノ)−7−オキソヘプチル)カルバメート(86):
表題化合物を化合物2の方法に従って調製した。LCMS:tR=1.18分;m/z=522.30[M+H]+。
実施例78.(9H−フルオレン−9−イル)メチル(7−((2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−N−メチルベンズアミド)エトキシ)(シクロヘキシル)アミノ)−7−オキソヘプチル)カルバメート(87):
表題化合物を化合物1の方法に従って調製した。LCMS:tR=1.82分;m/z=864.41[M+H]+。
実施例79.3−アミノ−N−(2−((7−アミノ−N−シクロヘキシルヘプタンアミド)オキシ)エチル)−N−メチルベンズアミド(88):
化合物87(42.0mg,0.049mmol)を1mLの2%ピペリジンのDMF溶液に溶かし、室温で1時間撹拌した。その生成物を分取HPLCによって精製することにより、表題化合物を得た(27.9mg,0.043mmol,88%)。LCMS:tR=0.77分;m/z=419.27[M+H]+。
実施例80.(E)−3−アミノ−N−(1−シアノ−11−シクロヘキシル−10−オキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)−12−オキサ−1,3,11−トリアザテトラデカ−1−エン−14−イル)−N−メチルベンズアミド(89):
表題化合物を化合物60の方法に従って調製した。LCMS:tr=0.86分;m/z=563.30[M+H]+。
実施例81.tert−ブチル4−(4−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ブチル)ピペリジン−1−カルボシキレート(90):
表題化合物を化合物33の方法に従って調製した。LCMS:tR=1.00分;m/z=429.17[M+H]+。
実施例82.3−((4−(ピペリジン−4−イル)ブチル)アミノ)−4−(ピリジン−4−イルアミノ)−シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(91):
表題化合物を化合物2の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.41分;m/z=329.17[M+H]+。
実施例83.tert−ブチル(3−(4−(4−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバメートジオン(92):
表題化合物を化合物3の方法に従って調製した。LCMS:tR=1.00分;m/z=548.24[M+H]+。1HNMR (400 MHz, CD3OD, δ): 1.05-1.26 (m, 2H), 1.30-1.39 (m, 3H), 1.39-1.48 (m, 2H), 1.50 (s, 9H), 1.54-1.61 (m, 1H), 1.61-1.73 (m, 3H), 1.84 (br d, J = 12.0 Hz, 1H), 2.81 (t, J = 12.0 Hz, 1H), 3.65-3.80 (m, 3H), 4.59 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 6.97 (dt, J = 8.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 7.31 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.43 (ddd, J = 12.0 Hz, 2.2 Hz, 1.1 Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.55 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 8.32-8.38 (m, 2H).
実施例84.3−((4−(1−(3−アミノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)ブチル)アミノ)−4−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−3−エン−1,2−ジオン(93):
表題化合物を化合物2の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.68分;m/z=448.20[M+H]+。
実施例85.tert−ブチル4−(4−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)−ブチル)ピペリジン−1−カルボシキレート(94):
Tert−ブチル4−(4−アミノブチル)ピペリジン−1−カルボシキレート(47.2mg,0.18mmol)を、3mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液および1.5mLのジオキサンに溶かし、1.5mLのジオキサン中のFmoc−Cl(71.4mg,0.28mmol)の溶液を0℃においてゆっくり加えた。その反応混合物をアルゴン下で一晩、外界温度まで加温し、次いで、EtOAcと1M HClとに分割し、有機層をブラインで1回洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、0〜50%のMeOH/CH2Cl2のグラジエントを使用するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した(74mg,0.16mmol,84%)。LCMS:tR=1.76分;m/z=501.23[M+Na]+。
実施例86.(9H−フルオレン−9−イル)メチル(4−(ピペリジン−4−イル)ブチル)カルバメート(95):
表題化合物を化合物2の方法に従って調製した。LCMS:tr=1.69分;m/z=379.18[M+H]+。
実施例87.(9H−フルオレン−9−イル)メチル(3−(4−(4−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバメート(96)
表題化合物を化合物1の方法に従って調製した。LCMS:tR=1.91分;m/z=720.49[M+H]+。
実施例88.(4−(4−アミノブチル)ピペリジン−1−イル)(3−アミノフェニル)メタノン(97):
表題化合物を化合物88の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.76分;m/z=276.24[M+H]+。1HNMR (400 MHz, CD3OD, δ): 1.05-1.27 (m, 2H), 1.29-1.38 (m, 2H), 1.38-1.49 (m, 2H), 1.54-1.69 (m, 4H), 1.86 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 2.83 (t, J = 14.0 Hz, 1H), 2.92 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 3.10 (t, J = 14.0 Hz, 1H), 3.68 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 4.61 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 7.18-7.32 (m, 3H), 7.48 (t, J = 8.0 Hz, 1H).
実施例89.(Z)−1−(4−(1−(3−アミノベンゾイル)ピペリジン−4−イル)ブチル)−2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジン(98):
表題化合物を化合物60の方法に従って調製した。LCMS:tr=1.02分;m/z=420.42[M+H]+。
実施例90.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−((((3−(4−(4−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)オキシ)−メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(99)
表題化合物を化合物9の方法に従って調製した。LCMS:tR=1.38分;m/z=1223.40[M+H]+。
実施例91.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−アミノプロパンアミド)−4−((((3−(4−(4−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(100):
表題化合物を、化合物10および化合物88の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.89分;m/z=860.30[M+H]+。
実施例92.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)−4−((((3−(4−(4−((3,4−ジオキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)シクロブタ−1−エン−1−イル)アミノ)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(101):
表題化合物を、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−(2,5−ジオキソピロール−1−イル)プロパノエートを出発NHSエステルとして使用して化合物11の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.82分;m/z=1011.32[M+H]+。
実施例93.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)−カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−((((3−(((E)−1−シアノ−11−シクロヘキシル−10−オキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)−12−オキサ−1,3,11−トリアザテトラデカ−1−エン−14−イル)(メチル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)−オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(102):
表題化合物を化合物9の方法に従って調製した。LCMS:tR=1.39分;m/z=1337.50[M+H]+。
実施例94.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−アミノプロパンアミド)−4−((((3−(((E)−1−シアノ−11−シクロヘキシル−10−オキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)−12−オキサ−1,3,11−トリアザテトラデカ−1−エン−14−イル)(メチル)カルバモイル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(103):
表題化合物を、化合物10および化合物88の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.88分;m/z=976.40[M+H]+。
実施例95.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(4−((((3−(((E)−1−シアノ−11−シクロヘキシル−10−オキソ−2−(ピリジン−4−イルアミノ)−12−オキサ−1,3,11−トリアザテトラデカ−1−エン−14−イル)(メチル)カルバモイル)−フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)−2−(3−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)−プロパンアミド)プロパンアミド)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(104):
表題化合物を、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−(2,5−ジオキソピロール−1−イル)プロパノエートを出発NHSエステルとして使用して化合物11の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.93分;m/z=1126.4[M+H]+。
実施例96.(2S,3R,4S,5S,6S)−2−(2−(3−((((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)プロパンアミド)−4−((((3−(4−(4−((Z)−2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジノ)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)フェノキシ)−6−(メトキシカルボニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(105):
表題化合物を化合物9の方法に従って調製した。LCMS:tR=1.39分;m/z=1194.38[M+H]+。
実施例97.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(2−(3−アミノプロパンアミド)−4−((((3−(4−(4−((Z)−2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジノ)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)−オキシ)メチル)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(106)
表題化合物を化合物10の方法に従って調製した。LCMS(極性の方法):tR=1.42分;m/z=832.31[M+H]+。
実施例98.(2S,3S,4S,5R,6S)−6−(4−((((3−(4−(4−((Z)−2−シアノ−3−(ピリジン−4−イル)グアニジノ)ブチル)ピペリジン−1−カルボニル)フェニル)カルバモイル)オキシ)メチル)−2−(3−(3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)プロパンアミド)プロパンアミド)フェノキシ)−3,4,5−トリヒドロキシテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸(107):
表題化合物を、2,5−ジオキソピロリジン−1−イル3−(2,5−ジオキソピロール−1−イル)プロパノエートを出発NHSエステルとして使用して化合物11の方法に従って調製した。LCMS:tR=0.85分;m/z=983.33[M+H]+。
実施例99:NAMPTi化合物の結合および細胞傷害性(cytoxicity)。薬物リンカー化合物またはリガンド薬物結合体のリンカー単位とNAMPT薬物単位として共有結合するための官能基をNAMPT尾部(TN)単位上に有するNAMPTi化合物およびその誘導体を、実施例Xに記載されているような蛍光偏光アッセイを用いて、酵素的に能力のあるNAMPTへの結合について評価し、実施例XXに記載されているようなCellTiter−GloTMアッセイを用いて細胞傷害性について評価した。それらのアッセイの結果を表1に示す。上述の共有結合に適したNAMPTi誘導体を提供するための、NAMPTi化合物(例えば、CHS−828、FK−866、化合物30および化合物52)のTN単位の修飾は、典型的には、NAMPT酵素の結合の無視できる減少から中程度の減少をもたらし、このことは、化合物43を除いて、親化合物30と比べて、有意な結合の改善を示した。インビトロ細胞傷害性は、さらに様々であり、膜透過性の差が、観察されたIC50値に影響している可能性がある。様々なNAMPT頭部単位クラスの偏光アッセイの提示から明らかにされたより密接に結合する化合物を、薬物リンカー化合物内およびリガンド薬物結合体内の薬物リンカー部分へのさらなる合成のために選択した。それらの合成は、TN単位によって提供される官能基に応じて、薬物リンカー部分のリンカー単位における自壊性スペーサー単位へのNAMPT薬物単位の共有結合のために、カルバメートもしくはベンジルエーテル官能基またはメチレン−アルコキシカルバメート(MAC)単位を使用した。
FK−866およびCHS−828の構造は、以下のとおりである。
実施例100:抗体薬物結合体のインビトロ活性。鎖間ジスルフィドの完全還元によって8つの結合体化可能システイン/抗体をもたらし、その後のマレイミド含有薬物リンカーによるアルキル化によって、ADCを調製した。抗原1、抗原2または抗原3を標的化する、ピリジルアクリルアミド、ピリジル尿素およびピリジルスクアラミドNAMPT頭部単位クラスに対する代表的なADCを調製した。すべてのADCを、8つのNAMPT薬物単位/抗体リガンド単位で負荷し、それらは、サイズ排除クロマトグラフィーによって単量体であった。ADCを、NAD−Gloアッセイを使用して、NADを枯渇させる能力について試験した。
がん細胞上のいつでも内部移行可能な遍在性の抗原である抗原Ag1を標的化する結合体は、ほとんどの細胞株に対して強い活性を示したが、BxPC−3に対する弱い活性は、遊離薬物に対するこの細胞株のより低い感度を反映している(表2)。Ag2を標的化する結合体は、CD30陽性L540cy細胞に対して高度に活性であった一方、抗原Ag3を標的化する結合体は、Hep3BおよびJHH−7細胞に対して活性であった。Ag2 ADCに対して計測可能な活性は、別で標的化ADCに感受性であったCD30陰性細胞株において観察されなかったことから、それらの構築物の高度の免疫学的特異性が示唆される。
実施例101:インビボ異種移植片モデル。CD30を標的化する抗Ag2キメラ抗体cAC10を、薬物リンカー化合物21(ここで、そのリンカー単位は、PEG単位を含み、PEG単位を含まない薬物リンカー化合物17のアナログである)を用いて、8つのNAMPT薬物単位/Abに結合体化した。そのように調製された抗体薬物結合体は、Ag2−21と特定される。0日目に、SCIDマウスにL450cy腫瘍細胞を移植した。腫瘍は、9日目に100mm3に達し、この時点において、マウスを1、3または10mg/kg(ip)という単回用量のAg2−21で処置した。腫瘍サイズを71日までモニターしたところ、3および10mg/KgのAg2−21(図1)で処置された動物について完全な回復がもたらされ、1mg/Kgでは、10mg/kgの非結合コントロールADC(h00−21)で処置されたマウスと比べて腫瘍成長の遅延がもたらされた。この用量設定試験は、10mg/Kg Ag2−21を用いた同じ異種移植片モデルにおける、処置を含む以前の実験を確認するものであり、これは、無処置の動物ならびにcAC10抗体および薬物リンカー化合物51から調製された10mg/KgのAg2−51で処置された動物と比較して行われた(図2)。その以前の実験では、完全な回復がまず、Ag2−21で処置された動物に対して観察され、腫瘍成長の遅延が、Ag2−51で処置された動物に対して観察された。
完全奏効(CR)は、***CR6/6または5/5;**CR4/5;*CR1/6によって示されるような、動物の総数に対する、本実験中の任意の時点において腫瘍質量が観察できない本研究の処置群における動物の数を表す。
生存期間中央値は、日数を表す。
実施例102:抗体薬物結合体の耐容性。Balb/cマウスに、5mg/Kg、20mg/Kgまたは75mg/Kgの、h00−17(8)として特定される抗体薬物結合体(8つのNAMPT薬物単位の負荷量を有し、非結合コントロール抗体(h00)および薬物リンカー化合物17から調製されたものである)を投与した。これらの結合体による処置は、耐容性がよく、無処置の動物と比べて、体重減少または外面的な毒性の徴候は観察されない(図3)。