JP2019524137A - 内生菌における代謝産物の生産 - Google Patents

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Abstract

本願発明は、ジャンチトレム生産内生菌におけるジャンチトレムの生合成のためのアミノ酸配列をコードする核酸に関する。本願発明はまた、そのような核酸を含む構築物及びベクター、並びに関連のポリペプチド、制御エレメント、及び方法に関する。

Description

本願発明は、ジャンチトレム化合物の生合成に関する。具体的には、本発明は、ジャンチトレムの合成を担う酵素をコードする遺伝子、並びに関連の構築物、ベクター、及び方法に関する。
内生菌は、生きた植物の組織中に常在し、重大な恩恵を社会に、具体的には農業に与え得る、新規の化合物及び遺伝子の特に多様な供給源をもたらす。内生菌は多くの場合、その宿主と相利共生の関係を形成するが、それは、内生菌が宿主との適応度の増加を与えるのに伴うものであり、多くの場合、防御化合物の生産を介する。同時に、宿主植物は、内生菌に、保護された環境と栄養分という恩恵をもたらす。植物は、内生菌のための栄養分と、種子を介した散布の手段とを与える。内生菌は、宿主を生物(例えば昆虫及び哺乳動物の食害)及び非生物的ストレス(例えば渇水)から保護する。
重要な飼料草であるペレニアルライグラス及びトールフェスクは、一般に真菌内生菌を伴って見出される。有益及び有害の両方の農業特性が、共生の結果として生じるが、そのような特性には、水及び栄養分のストレスに対する耐性の向上と害虫に対する抵抗性とが含まれる。昆虫抵抗性は、内生菌の生産する特異的な代謝産物、具体的にはロリンアルカロイド類及びペラミンによってもたらされる。内生菌の生産する他の代謝産物、すなわちロリトレム類及びエルゴットアルカロイドは、草食動物に対し毒性を有し、草食性の摂食を減少させる。これらの化合物は、植物内で高いレベルに蓄積する可能性があり、植物内で、様々な害虫に対する潜在的な摂食抑止力として作用する。
ジャンチトレムは、インドールジテルペンのクラスの1つであり、内生菌のサブグループによって生産される。1980年代に、ライグラススタッガー症候群の大発生によって、ジャンチトレムアルカロイド類の最初の特定に至った(Gallagherら、1980)。最近の発見は、ジャンチトレム類の多様性を浮き彫りにしている。すなわち、オーストラリア及びニュージーランド由来のP.ジャンチネラム(P. janthinellum)分離株は、広範なジャンチトレム類(ジャンチトレムB、C、D、E、F、及びG)を生産する。
ジャンチトレムは、ロリトレムBと構造的な類似性を有するインドールジテルペンのクラスの1つである(図1)。エポキシ-ジャンチトレム類は、5つの化合物の群である。そして、エポキシ-ジャンチトレムIに平行して単離された3つの更に別の構造は、エポキシ-ジャンチトレムII[10-デアセチル-10,34-(3-メチルブタ-2-エニルアセタール)]、エポキシ-ジャンチトレムIII[10-デアセチル-34-O-(3-メチルブタ-2-エニル)]、及びエポキシ-ジャンチトレムIV[34-O-(3-メチルブタ-2-エニル)]と割り振られ、それらはそれぞれ、LC-MS分析に基づくエポキシ-ジャンチトレムIの誘導体である。エポキシ-ジャンチトレムIは、ペレニアルライグラス内生菌によって生産される、主要なジャンチトレムアルカロイドである。
ペレニアルライグラス牧草中にジャンチトレム類が存在することによって、幅広い重要な牧草害虫に対する優れた保護がもたらされる。最近の発見では、ジャンチトレム類が、ロリトレムBと同様に、天然で振戦性を有する可能性があることが示されている。ロリトレムBは、ライグラススタッガーにおける主要な原因物質であることが知られている。これが、内生菌に感染した牧草の上で草を食む動物が運動失調、振戦、及び外的刺激に対する過敏性を発達させる条件である。ロリトレムBと同じように、ジャンチトレムBは、振戦性応答を誘導する可能性がある。最近のP.ジャンチネラム由来のジャンチトレムA及びBの生物活性の研究では、これらの2つの化合物が、マウスに対し振戦性を有し、コウモリガ[ワイセアナ・セルビナータ(Wiseana cervinata)]の幼虫に対し抗昆虫活性を有することが見出された(Babu、2009)。更に、エピクロエ属(Epichloe)内生菌由来のジャンチトレムは、精製されると、放牧に利点をもたらす生体保護特性を示すことが観察されている。
これらの有用な特性があるにも関わらず、ジャンチトレムアルカロイド類は、内生菌の合成する他のアルカロイド群に比べると、あまり理解されていない。ジャンチトレムの生産を操作する際に有用な情報を提供するものとなることから、ジャンチトレム類とそれらの生合成を更に理解する必要性が高まりつつある。
本願発明の目的の1つは、先行技術に付随する1つ又は複数の難題又は不備を克服するか、又は少なくとも軽減することである。
一態様では、本願発明は、内生菌におけるジャンチトレムの生合成に関与する遺伝子をコードする、実質的に精製又は単離された核酸又は核酸断片を提供する。
「核酸」とは、遺伝子の伝達を可能にするヌクレオチド鎖を意味する。この用語は、一般に、遺伝子若しくはそれらの機能的に活性な断片又はバリアント、及び又はその表現型に影響を与える生物のゲノムの他の配列を指す。用語「核酸」は、単鎖又は二重鎖のDNA(例えばcDNA又はゲノムDNA等)及びRNA(例えばmRNA又はマイクロRNA)を含み、それらは任意選択で合成の、非天然の、又は変更されたヌクレオチド塩基、合成核酸、及びそれらの組合せを含有する。
本発明による核酸は、全長遺伝子又はその一部としてもよく、また、この明細書では「核酸断片」及び「ヌクレオチド配列」とも称する。便宜上、「核酸」又は「核酸断片」という表現は、これら全てをカバーするために使用される。
「実質的に精製された」とは、核酸が、本発明の核酸の由来する生物の天然に生じたゲノム中で、その核酸に隣接する遺伝子を含まないことを意味する。そのため、この用語は、例えば、ベクター内に、自律複製するプラスミド若しくはウイルス内に、又は原核生物若しくは真核生物のゲノムDNA内に組み込まれるか、又は他の配列と独立した別々の分子(例えば、PCR又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって生じるcDNA又はゲノム若しくはcDNAの断片)として存在する、核酸を含む。それはまた、追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である核酸を含む。好ましくは、実質的に精製された核酸は、90%、更に好ましくは95%、更にいっそう好ましくは98%純粋である。
用語「単離された」とは、物質が、その元来の環境(例えば、それが天然に発生していれば天然の環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きた植物中に存在する天然に発生した核酸は、単離されていないが、天然の系の中で共存する物質のいくつか又は全てから分離された同じ核酸は、単離されている。そのような核酸は、ベクターの一部となり得る、並びに/又はそのような核酸は、組成物の一部となり得る、及びそのようなベクター若しくは組成物がその天然の環境の一部ではないという点で、やはり単離されたものであり得る。
本発明のこの態様の好適な一実施形態では、ジャンチトレム生産内生菌とは、エピクロエ属内生菌であり、更に好適な実施形態では、内生菌は、分類群LpTG-3又はLpTG-4由来であり、更にいっそう好適な実施形態では、内生菌は、NEA12、AR37、15310、15311、及びE1からなる群から選択される。
本願発明の第2の態様では、ジャンチトレム生合成ポリペプチドをコードするか、又はジャンチトレム生合成ポリペプチドをコードする配列に対し相補的若しくはアンチセンスである、実質的に精製又は単離された核酸又は核酸断片が提供され、前記核酸又は核酸断片は、(a)本明細書付属の図7、10、13、及び16(配列番号1、2、5、6、9、10、13、及び14)に示される配列;(b)(a)に記載された前記配列の相補体;(c)(a)及び(b)に記載された配列に対しアンチセンスである配列;並びに(d)(a)、(b)、及び(c)に記載された配列の関連部分と少なくともおよそ80%の同一性を有し、少なくとも20ヌクレオチドのサイズを有する、(a)、(b)、及び(c)に記載された配列の機能的に活性な断片及びバリアントからなる群から選択される、ヌクレオチド配列を含む。
本願発明は、本願発明の核酸の機能的に活性な断片及びバリアントを包含する。核酸に関連して「機能的に活性な」とは、断片又はバリアント(類似体、誘導体又は変異体等)が、ジャンチトレム生合成を調節することが可能であることを意味する。そのようなバリアントとしては、天然に発生した対立遺伝子バリアント、非天然に発生したバリアントが挙げられる。改変が結果として断片又はバリアントの機能的な活性の喪失を生じない限り、ヌクレオチドのうち1つ又は複数の追加、欠失、置換、及び誘導体化が想定される。好ましくは、機能的に活性な断片又はバリアントは、その断片又はバリアントの対応する上述の配列の関連部分と、少なくともおよそ80%の同一性、更に好ましくは少なくともおよそ90%の同一性、さらいっそうに好ましくは少なくともおよそ95%の同一性、最も好ましくは少なくともおよそ98%の同一性を有する。そのような機能的に活性なバリアント及び断片としては、例えば、保存された核酸変化を有するものが挙げられる。
好ましくは、断片は、少なくとも20ヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも100ヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも200ヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも500ヌクレオチドのサイズを有する。
「保存された核酸変化」とは、遺伝子コードの冗長性に起因するコードされたタンパク質中のアミノ酸の保存を結果として生じる、核酸の置換を意味する。そのような機能的に活性なバリアント及び断片としてはまた、例えば、対応のアミノ酸配列中に1つ又は複数の残基の保存されたアミノ酸置換を結果として生じる、核酸変化を有するものが挙げられる。
「保存されたアミノ酸置換」は、同じクラスのうちの別の1つによるアミノ酸の置換を意味し、そのクラスとは以下の通りである。
非極性: Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trp
無電荷の極性: Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Gln
酸性: Asp、Glu
塩基性: Lys、Arg、His
他の保存されたアミノ酸置換も以下のようになされることがある。
芳香族:Phe、Tyr、His
プロトン供与体:Asn、Gln、Lys、Arg、His、Trp
プロトン受容体:Glu、Asp、Thr、Ser、Tyr、Asn、Gln
本願発明の更に別の態様では、本願発明による核酸を含む遺伝子構築物が提供される。好適な実施形態では、遺伝子構築物は、本願発明による核酸と、ジャンチトレム生合成のメディエーター又はモジュレーターをコードする遺伝子とを含む、キメラ配列を含むことがある。好ましくは、ジャンチトレム生合成のメディエーター又はモジュレーターをコードする遺伝子は、外因性であり、すなわち、本願発明による核酸との組合せで天然に発生しない。
本明細書に使用される際の用語「遺伝子構築物」とは、目的の遺伝子を含む、人工的に組み立てられたか又は単離された核酸分子を指す。好ましくは、遺伝子構築物は、組換え核酸分子である。一般に、構築物は、目的とする1つ又は複数の遺伝子、場合によっては目的の遺伝子ともすることができるマーカー遺伝子、及び適切な制御配列を含むことがある。好ましくは、マーカー遺伝子は、外因性であり、すなわち本願発明による核酸との組合せで天然に発生しない。
構築物に制御配列を含むことは任意選択的であって、例えば、そのような配列は、宿主細胞の制御配列が使用される状況では必要とされないことがあることを認識するべきである。構築物という用語は、ベクターを含むが、それに限定されるものと解されるべきではない。
「キメラ配列」とは、別々のタンパク質、又はそれらの機能的に活性な断片又はバリアントを本来コードした、2つ以上の連結された核酸を含む融合遺伝子の発現を通じた、組換え手段によって生産されるハイブリッドを意味する。
「融合遺伝子」とは、融合タンパク質の発現を可能にするような方式で、好ましくは翻訳融合物として、2つ以上の核酸が連結されていることを意味する。これは、典型的には、第1のタンパク質をコードする核酸配列から終止コドンを除去し、次いで、第2のタンパク質の核酸配列をインフレームで添加することを含む。融合遺伝子は、次いで、単一のタンパク質として細胞によって発現される。タンパク質は、両方の本来のタンパク質の全配列、又はどちらか若しくは両方の機能的に活性な断片若しくはバリアントを含むように、遺伝子操作されてもよい。
好適な一実施形態では、本願発明による遺伝子構築物は、ベクターであり得る。
ベクターは、任意の適したタイプのものとしてもよく、ウイルス性としても非ウイルス性としてもよい。ベクターは、発現ベクターとしてもよい。そのようなベクターとしては、染色体の、非染色体の、及び合成の核酸配列、例えば、植物ウイルスの誘導体;細菌プラスミド;アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来のTiプラスミドの誘導体;アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)由来のRiプラスミドの誘導体;ファージDNA;酵母人工染色体;細菌人工染色体;バイナリー細菌人工染色体;プラスミドとファージDNAとの組合せに由来するベクターが挙げられる。しかし、標的細胞中で複製可能又は組込み可能又は生存可能である限り、任意の他のベクターを使用してもよい。
本発明のこの態様の好適な一実施形態では、遺伝子構築物は、プロモーター及びターミネーターを更に含むことがあり、前記プロモーター、遺伝子及びターミネーターは、作動可能に連結されている。
「プロモーター」とは、作動可能に連結された核酸配列の転写を指示するのに充分な核酸配列を意味する。
「作動可能に連結された」とは、核酸と制御配列、例えばプロモーター等が、適切な条件下で前記核酸の発現が可能になるような方式で連結されていること、例えば、転写活性化因子タンパク質等の適切な分子が制御配列に結合されている場合等を意味する。好ましくは、作動可能に連結されたプロモーターとは、付随する核酸の上流である。
「上流」とは、核酸に沿って3'→5'の方向にあることを意味する。
プロモーター及びターミネーターは、標的細胞で機能的であれば、任意の適したタイプとしてよく、標的細胞にとって内因性としても外因性としてもよい。好ましくは、プロモーター及び/又はターミネーターは、外因性であり、すなわち本願発明による核酸との組合せで天然に発生しない。
本願発明の遺伝子構築物に採用され得る種々のターミネーターはまた、当業者に周知である。ターミネーターは、プロモーター配列と同じ遺伝子由来としてもよいし、異なる遺伝子としてもよい。特に適したターミネーターは、(CaMV)35SポリA等のポリアデニル化シグナル、及びノパリンシンターゼ(nos)遺伝子及びオクトピンシンターゼ(ocs)遺伝子由来の他のターミネーターである。
遺伝子構築物は、プロモーター、遺伝子及びターミネーターに加えて、核酸の発現に必要な更に別のエレメントを、例えば、ベクター骨格、複製起点(ori)、マルチクローニング部位、スペーサー配列、エンハンサー、イントロン(トウモロコシユビキチンUbiイントロン等)、抗生物質耐性遺伝子、及び他の選択マーカー遺伝子[ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(nptII)遺伝子、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hph)遺伝子、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(bar又はpat)遺伝子等]、及びレポーター遺伝子[ベータ-グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子(gusA)及び緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子(gfp)等]を、異なる組合せで含むことがある。遺伝子構築物はまた、翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含有することがある。遺伝子構築物はまた、発現を増幅させるための適切な配列を含むことがある。
前記核酸の発現を結果としてもたらすように、遺伝子構築物の様々な構成成分が作動可能に連結されることを、当業者は認識するであろう。本願発明の遺伝子構築物の構成成分を作動可能に連結するための手法は、当業者に周知である。そのような手法としては、リンカー、例えば合成リンカー等の使用が挙げられ、そのような合成リンカーとしては、例えば1つ又は複数の制限酵素部位が挙げられる。
好ましくは、遺伝子構築物は、実質的に精製又は単離されている。
「実質的に精製された」とは、遺伝子構築物が、本発明の核酸又はプロモーターの由来する生物の天然に生じたゲノム中で、その核酸又はプロモーターに隣接する遺伝子を含まないことを意味する。そのため、この用語は、例えば、ベクター内に、自律複製するプラスミド若しくはウイルス内に、又は原核生物若しくは真核生物のゲノムDNA内に組み込まれるか、又は他の配列と独立した別々の分子(例えば、PCR又は制限エンドヌクレアーゼ消化によって生じるcDNA又はゲノム若しくはcDNAの断片)として存在する、遺伝子構築物を含む。それはまた、追加のポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部である遺伝子構築物を含む。
好ましくは、実質的に精製された遺伝子構築物は、少なくともおよそ90%純粋であり、更に好ましくは少なくともおよそ95%純粋であり、更にいっそう好ましくは少なくともおよそ98%純粋である。
用語「単離された」とは、物質が、その元来の環境(例えば、それが天然に発生していれば天然の環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きた植物中に存在する天然に発生した核酸は、単離されていないが、天然の系の中で共存する物質のいくつか又は全てから分離された同じ核酸は、単離されている。そのような核酸は、ベクターの一部となり得る、並びに/又はそのような核酸は、組成物の一部となり得る、及びそのようなベクター若しくは組成物がその天然の環境の一部ではないという点で、やはり単離されたものであり得る。
形質転換された宿主細胞を選択するための表現型形質をもたらす選択マーカー遺伝子の使用の代替として、形質転換された細胞中の遺伝子構築物の存在を、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、サザンブロットハイブリダイゼーション分析、組織化学アッセイ(例えばGUSアッセイ)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ノーザン及びウェスタンブロットハイブリダイゼーション分析等、当技術分野に周知の他の手法によって決定してもよい。
本願発明の遺伝子構築物は、任意の適した手法によって、植物又は真菌内に導入されてもよい。本願発明の遺伝子構築物を植物細胞又は真菌細胞内に組み込むための手法(例えば、形質導入、形質移入、形質転換、又は遺伝子ターゲティングによる)は、当業者に周知である。そのような手法としては、組織、細胞、及びプロトプラストへのAgrobacterium媒介性導入、Rhizobium媒介性導入、エレクトロポレーション;プロトプラストの融合;生殖器官への注入;未成熟胚内への注入並びに細胞、組織、カルス、未成熟胚及び成熟胚への高速噴出導入;微粒子銃による形質転換;ウィスカー形質転換、並びにそれらの組合せが挙げられる。手法の選択は、形質転換される植物又は真菌のタイプに大きく依存するものとなり、適切に熟練した者によって容易に決定され得る。プロトプラストの形質転換には、PEG媒介性形質転換が特に好適である。真菌の形質転換には、PEG媒介性形質転換、及びプロトプラストのエレクトロポレーション、及び菌糸の外移植片のAgrobacterium媒介性導入が、特に好適である。
本願発明の遺伝子構築物を組み込む細胞は、下記に記載されるように選択され、次いで、当技術分野に周知の手法を用いて、形質転換された植物又は真菌を再生するための適切な培地中で培養されてもよい。培養条件、例えば温度、pH等は、当業者に明らかとなる。結果として得られる植物は、当技術分野に周知の方法を使用して、有性又は無性のどちらかで繁殖させて、形質転換された植物又は真菌の後続の世代を生産してもよい
したがって、本願発明の更に別の態様では、非形質転換対照の植物細胞、植物、植物種子、若しくは他の植物の部分、又は非形質転換の真菌、真菌細胞、若しくは他の真菌の部分よりも大量のジャンチトレムを生産することが可能な、遺伝子導入された植物細胞、植物、植物種子、若しくは他の植物の部分、又は遺伝子導入された真菌、真菌細胞若しくは他の真菌の部分が提供される。
好適な実施形態では、遺伝子導入された植物細胞、植物、植物種子、若しくは他の植物の部分又は遺伝子導入された真菌、真菌細胞、若しくは他の真菌の部分は、生産されるジャンチトレムの量が非形質転換対照に比べて、少なくともおよそ10%、更に好ましくは少なくともおよそ20%、更に好ましくは少なくともおよそ30%、更に好ましくは少なくともおよそ40%増加している。
例えば、ジャンチトレムの量は、非形質転換対照に比べておよそ10%と300%の間、更に好ましくはおよそ20%と200%の間、更に好ましくはおよそ30%と100%の間、更に好ましくはおよそ40%と80%の間で増加することがある。
好ましくは、遺伝子導入された植物細胞、植物、植物種子、若しくは他の植物の部分、又は遺伝子導入された真菌、真菌細胞、若しくは他の真菌の部分は、本願発明による核酸、遺伝子構築物、又はベクターを含む。好ましくは、遺伝子導入された植物細胞、植物、植物種子、若しくは他の植物の部分、又は遺伝子導入された真菌、真菌細胞、若しくは他の真菌の部分は、本願発明による方法によって生産される。
本願発明はまた、本願発明の植物細胞又は真菌細胞に由来し、本願発明の核酸、遺伝子構築物、又はベクターを含む、遺伝子導入された植物、植物種子、若しくは他の植物の部分、又は遺伝子導入された真菌、真菌細胞、若しくは他の真菌の部分を提供する。
本願発明はまた、本願発明の植物又は真菌に由来し、本願発明の核酸、遺伝子構築物、又はベクターを含む、遺伝子導入された植物、植物種子、若しくは他の植物の部分、又は遺伝子導入された真菌、真菌細胞、若しくは他の真菌の部分を提供する。
「植物細胞」とは、半透膜によって結合されており、プラスチドを含有する、任意の自己増殖細胞を意味する。よりいっそうの増殖が望ましい場合、そのような細胞はまた、細胞壁を必要とする。植物細胞としては、本明細書に使用される際には、限定はないが、藻類、藍藻類、種子、懸濁培養物、胚、成長点領域、カルス組織、葉、根、苗条、配偶体、胞子体、花粉、及び小胞子が挙げられる。
「真菌細胞」とは、任意の真菌の細胞を意味する。用語「真菌」とは、真菌全体、真菌の器官及び組織(例えば子嚢、菌糸、仮性菌糸、仮根、菌核、梗子、胞子、分生子座、胞子嚢、分生子束柄、分生子、子嚢子座、閉鎖子嚢果、菌糸体、子嚢殻、担子器等)、胞子、真菌細胞、並びにそれらの子孫を指す。真菌は、単一の細胞として存在しても、菌糸として知られる繊維からなる菌糸体と呼ばれる多細胞体を作り上げても、どちらでもよい。殆どの真菌細胞は、多核性であり、主にキチンから構成される細胞壁を有する。
「遺伝子導入」とは、細胞内に技巧によって挿入されており、その細胞から発生した生物のゲノムの一部となってゆくDNA配列を含む、任意の細胞を意味する。
更に別の態様では、本願発明は、内生菌におけるジャンチトレム生合成を改変する方法を提供し、前記方法は、本明細書で前に記載されたような有効量の核酸又は核酸断片又は構築物を前記内生菌中に導入する工程を含む。本願発明はまた、本明細書で前に記載されたような核酸又は核酸断片又は構築物を含む(例えばそれらを用いて形質転換された)内生菌を提供する。この核酸、核酸断片又は構築物は、本明細書で前に記載されたような任意の適した方法によって、内生菌内に導入されることがある。
更に別の態様では、本願発明は、本明細書で前に記載されたような内生菌を接種された植物を提供し、前記植物は、前記内生菌に安定的に感染している内生菌不含の宿主植物を含む。好ましくは、この植物は、その中で内生菌が天然に発生しないものである。
好ましくは、植物は、接種、育種、交配、交雑、及びそれらの組合せからなる群から選択される方法によって内生菌に感染している。
好適な一実施形態では、植物は、同質遺伝子接種によって感染していることがある。これは、宿主特異的な遺伝子効果がない場合に、内生菌の表現型の効果を評価し得るという利点がある。更に具体的には、複数回の内生菌の接種が、植物の生殖質で、及び土壌に移す前に培養にて再生された小植物でなされることがある。
植物内で高度に適合し、安定な反対の交配型の内生菌を特定することによって、ペレニアルライグラスのための内生菌の分子育種に用いる手段が提供される。好ましくは、植物は、大容量接種(hyper inoculation)によって感染していることがある。
反対の交配型のタイプの内生菌株間での菌糸の融合によって、好ましい形質を宿主植物内に送達するための手段が、好ましくは大容量接種を介してもたらされる。そのような株は、高い接種頻度と幅広い生殖質、好ましくはエリートのペレニアルライグラス及び/又はトールフェスク宿主の生殖質への高い適合性という好ましい特徴を示す内生菌株と、低い接種頻度及び低い適合性を示すものの非常に好ましいアルカロイド毒素プロファイルを有する内生菌とを含む群から、好ましくは選択される。
内生菌分類群と宿主草本との間の相互作用は種特異的となるものと、一般に想定されている。出願人は、驚くべきことに、トールフェスク由来の内生菌を使用して、好ましい形質をライグラス、例えばペレニアルライグラス等に送達し得ることを見出している。
更に別の態様では、本願発明は、本願発明の植物に由来し、本願発明の内生菌に安定的に感染している植物、植物種子、又は他の植物の部分を提供する。
好ましくは、植物細胞、植物、植物種子、若しくは他の植物の部分は、イネ科草本であり、更に好ましくは、飼料、芝生、又はバイオエネルギー用のイネ科草本、例えばドクムギ属(Lolium)及びウシノケグサ属(Festuca)であり、そのようなものとしては、ホソムギ(L. perenne)及びオニウシノケグサ(L. arundinaceum)が挙げられる。
「植物細胞」とは、半透膜によって結合されており、プラスチドを含有する、任意の自己増殖細胞を意味する。よりいっそうの増殖が望ましい場合、そのような細胞はまた、細胞壁を必要とする。植物細胞としては、本明細書に使用される際には、限定はないが、種子、懸濁培養物、胚、成長点領域、カルス組織、葉、根、苗条、配偶体、胞子体、花粉、及び小胞子が挙げられる。
更に別の態様では、本願発明は、前記内生菌に安定的に感染している植物を生産するための、本明細書に前に記載されたような内生菌の使用を提供する。
更にいっそう別の態様では、本願発明は、内生菌におけるジャンチトレム生合成に関与する、実質的に精製又は単離されたポリペプチドを提供する。
好適な一実施形態では、本願発明は、(a)図8、11、14、及び17(配列番号3、4、7、8、11、12、15、及び16)に示される配列;並びに(b)(a)に記載された配列の関連部分と少なくともおよそ80%の同一性を有し、少なくとも20アミノ酸のサイズを有する、(a)に記載された配列の機能的に活性な断片及びバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実質的に精製又は単離されたジャンチトレム生合成ポリペプチドを提供する。
本願発明は、本願発明のポリペプチドの機能的に活性な断片及びバリアントを包含する。この文脈での「機能的に活性な」とは、断片又はバリアントが、その断片又はバリアントの由来とする対応のタンパク質の生物学的特性のうち1つ又は複数を有することを意味する。改変が結果として断片又はバリアントの機能的な活性の喪失を生じない限り、アミノ酸のうち1つ又は複数の追加、欠失、置換、及び誘導体化が想定される。好ましくは、断片又はバリアントは、その断片又はバリアントの対応する上述の配列の関連部分と、少なくともおよそ80%の同一性、更に好ましくは少なくともおよそ90%の同一性、更に好ましくは少なくともおよそ95%の同一性、最も好ましくは少なくともおよそ98%の同一性を有する。そのような機能的に活性なバリアント及び断片としては、例えば、対応のアミノ酸配列に1つ又は複数の残基の保存されたアミノ酸置換を有するものが挙げられる。
「保存されたアミノ酸置換」は、同じクラスのうちの別の1つによるアミノ酸の置換を意味し、そのクラスとは以下の通りである。
非極性: Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trp
無電荷の極性: Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Gln
酸性: Asp、Glu
塩基性: Lys、Arg、His
他の保存されたアミノ酸置換も以下のようになされることがある。
芳香族:Phe、Tyr、His
プロトン供与体:Asn、Gln、Lys、Arg、His、Trp
プロトン受容体:Glu、Asp、Thr、Ser、Tyr、Asn、Gln
好ましくは、断片は、少なくとも10アミノ酸、更に好ましくは少なくとも20アミノ酸、更に好ましくは少なくとも50アミノ酸、更に好ましくは少なくとも100アミノ酸、更に好ましくは少なくとも200アミノ酸のサイズを有する。
本発明のこの態様の更に別の実施形態では、本願発明による核酸又は核酸断片から組換えにより生産されるポリペプチドが提供される。ポリペプチドを組換えにより生産するための手法は、当業者に公知である。
本願発明のヌクレオチド配列及び推定されたアミノ酸配列の利用可能性によって、cDNA発現ライブラリーの免疫学的スクリーニングが容易になる。当座のアミノ酸配列の部分を代表する合成ペプチドが合成されてもよい。これらのペプチドを使用し動物を免疫して、そのアミノ酸配列を含むペプチド及び/又はタンパク質に特異性を有するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を生産することがある。次いで、これらの抗体を使用しcDNA発現ライブラリーをスクリーニングして、目的の全長cDNAクローンを単離してもよい。
本願発明をこれより、添付の実施例及び図面を参照して、更に充分に記載するものとする。しかし、以下の記載は説明的なものに過ぎないことが理解されるべきであり、形はどうあれ、上記に記載された本発明の一般性を制限するものと解されるべきではない。
エポキシ-ジャンチトレムI及びロリトレムBを示す図である。エポキシ-ジャンチトレムIは、ロリトレムBと構造的な類似性を示すパキシリン様インドールジテルペンである。出典Tapperら、2004の11,12-エポキシジャンチトレムG(エポキシ-ジャンチトレムI)の構造、化学式(C39H51NO7)、及び精密質量(645.3665)。 参照のエピクロエ種との関連による多様な起源のライグラス系統における内生菌間の遺伝子の関係のUPGMA表形図を示す図である。Dice係数(Kaurら、2015)を用いて、遺伝子の同一性を18種のSSR遺伝子座にわたって測定した。LpTG-3内生菌株及びLpTG-4内生菌株は、エピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種(Epichloe festucae var. lolii)及びLpTG-2(Hettiarachchigeら、2015)を含む特定された他の無性のエピクロエ属とは、遺伝子的に異なっている。 ゲノムサーベイ配列解析を用いて、内生菌株におけるペラミン、エルゴバリン、及びロリトレムBの生合成を担う遺伝子の存在/不在のプロファイルを決定した図であり、内生菌株は、ペレニアルライグラスとの共生を形成することが観察された4つの分類群のそれぞれ(エピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種、LpTG-2、LpTG-3、及びLpTG-4)を代表する。ロリトレムBを生産しない株は、第3の(ltmE-ltmJ)ロリトレムB遺伝子クラスターに欠失を有する。Davidsonら、2012から改編。 NEA12のPacBioコンティグ3が、247475bpの長さであり、4つのクラスター中に13種の予測又は公知の遺伝子を有することを示す図である。クラスター1(ltmG、ltmS、ltmM、ltmK)、クラスター2(ltmP、ltmQ、ltmF、ltmC、ltmB)、クラスター3(PP01、PP02)、並びにクラスター4(jtmD及びjtmO)である。薄灰色の矢印は、予測又は公知の遺伝子とそれらの起点を呈示する。pks偽遺伝子、MULEドメイン(PP03)を含むトランスポザーゼ、ヘリトロンヘリカーゼ様転位因子(TE)、及び3つのATリッチ領域の位置も示されている。PP=予測タンパク質、TE=転位因子、ψ=偽遺伝子。 4つの分類群エピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種(NEA2、NEA6、NEA10)、LpTG-2(NEA11)、LpTG-3(NEA12、AR37、15310、15311)、LpTG-4(E1)、及びFaTG-3(NEA23)に由来するエピクロエ属の内生菌の代表的な株のゲノムを、NEA12のPacBioコンティグ3にマッピングした図である。ジャンチトレム生産分類群LpTG-3及びLpTG-4にユニークなゲノムのc.177436bp領域(c.70039bp〜247475bp)を特定した。この領域内では、エピクロエ属内生菌のジャンチトレム生合成に関連するものと予測される候補遺伝子(PP01、PP02、jtmD、及びjtmJ)を含有する2つの遺伝子クラスターがある。分類群LpTG-3及びLpTG-4由来の内生菌株は全て、ジャンチトレム生合成について候補遺伝子を含有するが、一方、エピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種、LpTG-2、及びFaTG-3由来の内生菌には、この領域はない。イルミナシークエンシング技術を用いて生成されたDNAリードを、Gydle社「nuclear」alignerバージョン3.2.1.を用いてマッピングした。リードは、設定:l 50(オーバーラッピング長);s 25(感度);k 13(kmer長);m 6(ミスマッチの最大数);F 3(フィルタリング設定)を用いてマッピングした。Gydle社プログラムVisionバージョン2.6.14(www.gydle.com)を用いてアラインメントを可視化した。 NEA12ゲノムのPacBioコンティグ3の遺伝子の植物内での発現を示す図である。LpTG-3(AR37)及びエピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種(SE)に由来するエピクロエ属の内生菌の代表的な株のゲノムを、247475bpのNEA12のPacBioコンティグ3にマッピングした。LpTG-3、LpTG-4、及びエピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種におけるジャンチトレム生合成について候補遺伝子の植物内での発現を、ペレニアルライグラス-内生菌共生トランスクリプトームデータのRNA-seq解析を用いて決定した(下記の手掛かりを参照)。DNAリード及びRNAリードを、Gydle社「nuclear」aligner(www.gydle.com)バージョン3.2.1.を用いてマッピングした。リードは、設定:l 50(オーバーラッピング長);s 25(感度);k 13(kmer長);m 6(ミスマッチの最大数);F 3(フィルタリング設定)を用いてマッピングした。Gydle社プログラムVisionバージョン2.6.14(www.gydle.com)を用いてアラインメントを可視化した。クラスター2(ltmP、ltmQ、ltmF、ltmC、ltmB)、クラスター1(ltmG、ltmS、ltmM、ltmK)、クラスター3(PP01、PP02)、並びにクラスター4(jtmD及びjtmO)遺伝子の発現を、植物内における内生菌株NEA12及びE1について観察した。クラスター3及びクラスター4の遺伝子は、エピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種(SE)ゲノムには存在せず、これらの遺伝子の発現は、植物内のSEによって観察されなかった。 PP01遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号1)を示す図である。予測PP01タンパク質のコード配列を灰色で強調表示している(配列番号2)。PP01遺伝子の完全ヌクレオチド配列を、図6に記載の植物内(Alto-NEA12)トランスクリプトームデータ由来のRNAリードをマッピングすることによって特定した後、NEA12のPacBioコンティグ3由来のDNA配列を抽出した。小文字で示されたヌクレオチドは、Alto-NEA12トランスクリプトームデータセットの解析では観察されなかった。 PP01が長さ387アミノ酸のチトクロムP450モノオキシゲナーゼであることが予測されることを示す図である。ここに示されるのは、LpTG-3株NEA12(配列番号3)及びヒルステラ・ミネソテンシス(Hirsutella minnesotensis)(KJZ77225アミノ酸3〜379)(配列番号4)由来のPP01の予測アミノ酸配列のアラインメントである。タンパク質同一性:258/387(66.7%);タンパク質類似性:304/387(78.6%);ギャップ:10/387(2.6%)。EMBOSS Needleを用いて配列をアラインメントした。 LpTG-3(NEA12)由来のPP01の予測アミノ酸配列とNCBIデータベースのトップ6のBLASTpヒットとの最尤解析を介して生成されたブートストラップ合意樹である。ClustalWを使用しデフォルトパラメーターを用いて、完全な予測タンパク質配列のマルチプルアラインメントを実施した。ツリートポロジーを構築するために、MEGA6にデフォルトパラメーターと500回のブートストラップの反復を実装し、最大尤度(ML)を使用した。500回のブートストラップの反復から得た70%超のブートストラップ値を持つブランチを、各ブランチの隣にマークする。各タンパク質配列のGenbank受託番号を各樹形図に付す。PP01は、以下のチトクロム P450 モノオキシゲナーゼとの配列類似性を示す: KJZ77225.1[68%;ヒルステラ・ミネソテンシス3608];EQL02233.1[57%;オフィオコルディセプス・シネンシス(Ophiocordyceps sinensis)CO18];KND87478.1[53%;トリポクラジウム・オフィオグロソイデス(Tolypocladium ophioglossoides)CBS 100239];OAQ66296.1[50%;ポコニア・クラミドスポリア(Pochonia chlamydosporia)170];KOM22171.1 [55%;オフィオコルディセプス・ユニアテラリス(Ophiocordyceps unilateralis)];XP_013947710.1[48%;トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)IMI 206040]。 PP02遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号5)を示す図である。予測PP02タンパク質のコード配列を灰色で強調表示している(配列番号6)。開始(ATG)コドン配列及び終始(TGA)コドン配列を太字で示す。非翻訳の5'配列及び3'配列を小文字で示す。PP02遺伝子の完全ヌクレオチド配列を、図6に記載の植物内(Alto-NEA12)トランスクリプトームデータ由来のRNAリードをマッピングすることによって特定した後、NEA12のPacBioコンティグ3由来のDNA配列を抽出した。 PP02が長さ315アミノ酸の膜結合型O-アシルトランスフェラーゼ(MBOAT)タンパク質であることが予測されることを示す図である。ここに示されるのは、LpTG-3株NEA12(配列番号7)及びオイディオデンドロン・マイウス(Oidiodendron maius)Zn(KIM95229)(配列番号8)由来のPP02の予測アミノ酸配列のアラインメントである。タンパク質同一性:110/412(26.7%);タンパク質類似性:165/412(40.0%);ギャップ:118/412(28.6%)。予測MBOATドメイン(太字で示す)内では、2つの配列が、タンパク質同一性42%(37/89)及びタンパク質類似性61%(54/89)を示している。EMBOSS Needleを用いて配列をアラインメントした。 LpTG-3(NEA12)由来のPP02の予測アミノ酸配列とNCBIデータベースのトップ5のBLASTpヒットとの最尤解析を介して生成されたブートストラップ合意樹である。ClustalWを使用しデフォルトパラメーターを用いて、完全な予測タンパク質配列のマルチプルアラインメントを実施した。ツリートポロジーを構築するために、MEGA6にデフォルトパラメーターと500回のブートストラップの反復を実装し、最大尤度(ML)を使用した。500回のブートストラップの反復から得た70%超のブートストラップ値を持つブランチを、各ブランチの隣にマークする。各タンパク質配列のGenbank受託番号を各樹形図に付す。PP02は、以下のMBOATタンパク質との配列類似性を示す:KIM95229.1[33%;オイディオデンドロン・マイウスZn];KZL85868.1[30%;コレトトリカム・インカヌム(Colletotrichum incanum)]; CCX05903.1[30%;ピロネマ・オムファロデス(Pyronema omphalodes)CBS 100304]; KZP09605.1 [29%;フィブロリゾクトニア属(Fibulorhizoctonia)CBS 109695];XP_007593790.1 [31%;コレトトリカム・フィオリニエ(Colletotrichum fioriniae)PJ7]。 jtmD遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号9)を示す図である。予測JtmDタンパク質のコード配列を灰色で強調表示している(配列番号10)。開始(ATG)コドン配列及び終始(TGA)コドン配列を太字で示す。非翻訳の5'配列及び3'配列を小文字で示す。jtmD遺伝子の完全ヌクレオチド配列を、図6に記載の植物内(Alto-NEA12)トランスクリプトームデータ由来のRNAリードをマッピングすることによって特定した後、NEA12のPacBioコンティグ3由来のDNA配列を抽出した。 JtmDが長さ420アミノ酸の芳香族プレニルトランスフェラーゼ(配列番号11)であることが予測されることを示す図である。JtmDは、オフィオコルディセプス・ユニアテラリス(KOM22681.1)由来の予測タンパク質(配列番号12)と最も高い相同性を示す。タンパク質同一性:264/420(62.9%);タンパク質類似性:334/420(79.5%);ギャップ:26/420(6.2%)。EMBOSS Needleを用いて配列をアラインメントした。 LpTG-3(NEA12)由来のJtmDの予測アミノ酸配列とNCBIデータベースのトップ11のBLASTpヒットとの最尤解析を介して生成されたブートストラップ合意樹である。ClustalWを使用しデフォルトパラメーターを用いて、完全な予測タンパク質配列のマルチプルアラインメントを実施した。ツリートポロジーを構築するために、MEGA6にデフォルトパラメーターと500回のブートストラップの反復を実装し、最大尤度(ML)を使用した。500回のブートストラップの反復から得た70%超のブートストラップ値を持つブランチを、各ブランチの隣にマークする。各タンパク質配列のGenbank受託番号を各樹形図に付す。JtmDは、以下の芳香族プレニルトランスフェラーゼとのアミノ酸配列同一性を示す:KOM22681.1[67%;O.ユニアテラリス]; AGZ20478.1[49%;P.ジャンチネラム]; AAK11526.2[46%;P.パキシリ(P. paxilli)];KOS22745.1[50%;E.ウェベリ(E. weberi)]; CEJ54109.1[47%;P.ブラシリアナム(P. brasilianum)];BAU61555.1[31%;P.シンプリシシマム(P. simplicissimum)];AGZ20194.1[31%;P.クルストサム(P. crustosum)];KZF25225.1[33%;キシロナ・ヘーベ(Xylona heveae)TC161];KGO76903.1 [30%;P.イタリカム(P. italicum)]; KJK61458.1[31%;アスペルギルス・パラシティクス(Aspergillus parasiticus)SU-1]; CAP53937.2[31%;アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)]。 jtmO遺伝子(配列番号13)のヌクレオチド配列を示す図である。予測jtmOタンパク質のコード配列を灰色で強調表示している(配列番号14)。開始(ATG)コドン配列及び終始(TAG)コドン配列を太字で示す。非翻訳の5'配列及び3'配列を小文字で示す。jtmO遺伝子の完全ヌクレオチド配列を、図6に記載の植物内(Alto-NEA12)トランスクリプトームデータ由来のRNAリードをマッピングすることによって特定した後、NEA12のPacBioコンティグ3由来のDNA配列を抽出した。 JtmOが長さ479アミノ酸のFAD結合オキシドレダクターゼ(配列番号15)であることが予測されることを示す図である。JtmOは、エスコボプシス・ウェベリ(Escovopsis weberi)(KOS22754.1)由来の予測タンパク質(6-ヒドロキシ-D-ニコチンオキシダーゼ)(配列番号16)と最も高い相同性を示す。タンパク質同一性:271/481(56.3%);タンパク質類似性:344/481(71.5%);ギャップ:39/481(8.1%)。EMBOSS Needleを用いて配列をアラインメントした。 LpTG-3(NEA12)及びLpTG-4(E1)由来のJtmOの予測アミノ酸配列とNCBIデータベースのトップ6のBLASTpヒットとの最尤解析を介して生成されたブートストラップ合意樹である。ClustalWを使用しデフォルトパラメーターを用いて、完全な予測タンパク質配列のマルチプルアラインメントを実施した。ツリートポロジーを構築するために、MEGA6にデフォルトパラメーターと500回のブートストラップの反復を実装し、最大尤度(ML)を使用した。500回のブートストラップの反復から得た70%超のブートストラップ値を持つブランチを、各ブランチの隣にマークする。各タンパク質配列のGenbank受託番号を各樹形図に付す。JtmOは、以下のFAD結合オキシドレダクターゼとアミノ酸配列類似性を示す:KOS22754.1 [56%;エスコボプシス・ウェベリ];AGZ20488.1 [52%;P.ジャンチネラム];ADO29935.1[49%;P.パキシリ];BAU61564.1 [43%;P.シンプリシシマム]; AGZ20199.1 [43%;P.クルストサム]; EON68203.1[コニオスポリウム・アポリニス(Coniosporium apollinis)]。 ペレニアルライグラス-LpTG-3の共生に観察された代謝産物のLC-ESI-FTMSにより抽出されたイオンクロマトグラムであり、陽イオン化モード(ESI+)で0〜20分間収集した。 ペレニアルライグラス-LpTG-3の共生に観察された代謝産物のLC-ESI-FTMSにより抽出されたイオンクロマトグラムであり、陽イオン化モード(ESI+)で0〜20分間収集した。 エポキシ-ジャンチトレム生合成の提案される経路を示す図である。示唆されるスキームは、インドール-ジテルペン生合成経路に続くものであり、エポキシ-ジャンチトレムI(11,12-エポキシジャンチトレムG)及びそのバリアント(エポキシ-ジャンチトレムII〜IV)への倹約経路を説明する。全ての代謝産物をLC-MS/MSによって観察した(図19)。 jtmDのヌクレオチド配列(配列番号17)を示す図である。RNAiサイレンシングベクターを生成するために選択された遺伝子配列を強調表示している。すなわち、カセット2、3、及び4に用いるために選択された遺伝子配列を、それぞれイタリック表示(配列番号18)、下線(配列番号19)、及び太字(配列番号20)で示している。 遺伝子サイレンシングベクターの概略図である。エントリークローンを生成するために、遺伝子カセット[147bpのスペーサー(M.グリセア(M.grisea)由来のクチナーゼ遺伝子イントロン)によって隔てられ、attB1部位及びattB2を含有する、候補遺伝子配列の逆向き反復]を、BPクロナーゼ(Invitrogen社、米国)を用いてpDONR221ベクター内にクローニングした。Gateway(商標)の可能なデスティネーションベクター(pEND0002)を、pPZP200のT-DNA領域の改変を介して構築し、trpCP[アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)のトリプトファン生合成プロモーター]とtrpCT(A.ニデュランスのトリプトファン生合成ターミネーター)との制御下にあるhph遺伝子(選択マーカー)、及びgpdP(A.ニデュランスのグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター)とtrpCT(A.ニデュランスのトリプトファン生合成ターミネーター)との制御下にある第1の読み枠A(RFA-A)カセット(gateway)とを含有するものとした。最終的なRNAサイレンシングベクターを、エントリーベクターとpEND002ベクターとの間のLRクロナーゼ反応によって生じた。 真菌プロトプラストの再生を示す図である。A.ハイグロマイシン選抜のない真菌プロトプラストの再生と、プロトプラストの生存性の評価である。B.RNAサイレンシングベクターを用いてハイグロマイシン選抜下で形質転換された真菌プロトプラストの再生である(矢印は個々のコロニーを表示する)。C.ハイグロマイシン選抜下でRNAサイレンシングベクターを担持するE1株の回復である。
LpTG-3内生菌株NEA12におけるジャンチトレム生合成のための遺伝子の特定
全ゲノム配列解析を使用して、NEA12ゲノム中のジャンチトレム生合成のための候補遺伝子を特定した。標準的な内生菌(SE)株由来のタンパク質配列LtmE及びLtmJをクエリ配列として使用して、NEA12ゲノムを由来とする予測タンパク質データベースを探索した。このアプローチを使用すると、BLASTpサーチは、予測NEA12タンパク質のライブラリーに、13個の推定LtmEタンパク質ホモログと26個の推定LtmJタンパク質ホモログを生じた。
NEA12のゲノムは、SE株と共通して、LtmE及びltmJの予測タンパク質ホモログを有することが予想される。しかし、ジャンチトレム生産のための候補は、LpTG-3及びLpTG-4のゲノムにユニークであるものと思われた。SEはジャンチトレムを生産しないことから、候補の数をLpTG-3及びLpTG-4の内生菌にのみ存在するものに減少させるために、更に別の解析を実施した。13個の推定LtmEタンパク質ホモログ及び26個の推定LtmJタンパク質ホモログのそれぞれを、予測SEタンパク質データベースのBLASTxクエリとして用いた。単一のltmEのNEA12ホモログ(g30.t1)が、この解析で特定され(Table 1(表2))、それゆえ更に別の検討のための最も可能性のある候補となった。遺伝子g30.t1の予測タンパク質配列は、P.ジャンチネラム(JanD;49%)及びP.パキシリ(PaxD;46%)由来の芳香族プレニルトランスフェラーゼと相同性を有する(Table 2(表3))。これらの遺伝子はそれぞれ、インドールジテルペンであるシェアリニンK及びパキシリンの合成に関連する。そのため、遺伝子g30.t1を、今後はjtmDと称する。
LpTG-3ゲノムにおけるジャンチトレム生合成遺伝子クラスターの特定
NEA12ゲノムを、PacBio Sequelシークエンシングプラットフォーム(PacBio)を用いてシークエンシングした。jtmD遺伝子配列をクエリとして用いて、LpTG-3の推定ジャンチトレム生合成遺伝子クラスターを含有するコンティグを特定した。次いで、jtmDを含有するNEA12のPacBioコンティグ3(247475kb)の遺伝子の内容を、Augustus(Stanke及びMorgenstern、2005)遺伝子予測と、LTM遺伝子の公知の遺伝子配列(Youngら、2005、2006)及びjtmDを用いた手動アノテーションとの両方の組合せを使用して、アノテーションした(Table 2(表3))。
NEA12のPacBioコンティグ3は、13個の予測及び公知の遺伝子を含有する(図4)。クラスター1(ltmG、ltmS、ltmM、ltmK)及びクラスター2(ltmP、ltmQ、ltmF、ltmC、ltmB)は、それぞれc.57243〜67332bp及びc.6838bp〜16951bpに位置する(Table 2(表3))。クラスター1及びクラスター2内の遺伝子の順番及び起点は、エピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種及びエピクロエ・フェスツカエのLTM遺伝子座(Younら、2006;Saikiaら、2008)と比較して維持されている。ltmKの下流、すなわちポリケタイドシンターゼ(pks)偽遺伝子(Youngら、2005によりこのようにも記載される)は、追加のATリッチ配列が右側に隣接するいくつかのフレームシフト変異を含有することが観察された。部分的なLpTG-3(NEA12)のLTM遺伝子座のトポロジーは、ltmKとpks偽遺伝子との間に2つのレトロトランスポゾン跡が挿入されたエピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種(Lp19)(Saikiaら、2008)よりも、エピクロエ・フェスツカエ(Fl1)のLTM遺伝子座の方に類似する。
pks偽遺伝子は、LpTG-3及びエピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種に共通の配列(PacBioコンティグ3:1bp〜c.70039bp)と、分類群LpTG-3及びLpTG-4由来のジャンチトレム生産株にユニークなこれまで記載されていないゲノム配列(PacBioコンティグ3:c.70039bp〜247475bp)との間の、左側の境界を画定する(図4)。この領域に対する右側の境界は、PacBioコンティグ3(247475bp)の端によって画定される。NEA12ゲノムのこの領域は、4つの遺伝子、すなわちMULEドメインを有するトランスポザーゼ(159248bp〜163900bp)、ヘリトロンヘリカーゼ様転位因子(170950bp〜175054bp)、及び3つのATリッチ領域によって特徴付けられる(図5)。2つの遺伝子をそれぞれ含有するクラスター3及びクラスター4と称する2つの新規の遺伝子クラスターは、NEA12のPacBioコンティグ3上に特定された(Table 2(表3);図4)。
4つの分類群-エピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種(SE、NEA2、NEA6、NEA10)、LpTG-2(NEA11)、LpTG-3(NEA12、AR37、15310、15311)、LpTG-4(E1)、及びFaTG-3(NEA23)由来のエピクロエ属の内生菌の代表的な株のゲノムを、NEA12のPacBioコンティグ3にマッピングした。ジャンチトレム生産分類群LpTG-3及びLpTG-4にユニークな領域が特定された(PacBioコンティグ3:c.70039bp〜247475bp)のに対し、エピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種、LpTG-2、及びFaTG-3領域由来の内生菌については、この領域は存在しなかった(図5)。この領域には、エピクロエ属内生菌でこれまで記載されていた遺伝子はなかった。
PacBioコンティグ3内に位置する遺伝子の転写物の発現
LpTG-3(NEA12)、LpTG-4(E1)、及びエピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種(SE)におけるジャンチトレム生合成のための候補遺伝子の植物内での発現を、ペレニアルライグラス-内生菌共生トランスクリプトームデータのRNA-seq解析を用いて、2つのペレニアルライグラス-内生菌トランスクリプトーム研究から生成されたリードをNEA12のPacBioコンティグ3にマッピングすることによって決定した(図6)。1つめの研究では、トランスクリプトーム解析は、吸収膨潤後(0時間)から10日齢の実生(10日目)まで、6つの時点で、実生の成長及び成熟の間に、宿主及び内生菌のトランスクリプトームに起こる主要な変化を研究するために実施された。(Sawbridge、2016)。ペレニアルライグラス品種Alto-SE及びAlto-NEA12における2つの時点(0時間及び10日目)でのNEA12のPacBioコンティグ3内の遺伝子についての転写物の発現をここに示す。2つめの研究では、別個の組織タイプのペレニアルライグラス-内生菌共生の影響-E1に由来するトランスクリプトームの図譜を発展させた(Coganら、2012)。2つの組織タイプ、すなわち葉及び柱頭における、NEA12のPacBioコンティグ3内の遺伝子の転写物の発現をここに示す。
以前画定されたクラスター1遺伝子及びクラスター2遺伝子に加えて、ジャンチトレム生合成に関与するものと提案される遺伝子PP01、PP02、jtmD、及びjtmOも発現している。クラスター3遺伝子及びクラスター4遺伝子はエピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種(SE)のゲノムに存在しないことから、これらの遺伝子の発現は、植物内でSEには観察されなかった。
NEA12のPacBioコンティグ3上の4つの遺伝子クラスターに関する詳細な説明
クラスター1(LTM1)及びクラスター2(LTM2)
エピクロエ属のインドール-ジテルペン生合成の初発の段階のためのコア遺伝子が、LpTG-3内生菌NEA12に存在する。遺伝子ltmG、ltmC、及びltmMは、ゲネラニルゲラニル二リン酸シンターゼ、プレニルトランスフェラーゼ、及びFAD依存性モノオキシゲナーゼを、エピクロエ・フェスツカエ・ローリー変種におけるそれらのそれぞれのLtmホモログに比して99%、100%、99%のアミノ酸配列同一性でコードすることが予測されている。内在性膜タンパク質であるltmBの予測タンパク質産物(100%)は、ltmMと併せて、パスパリン生合成のためのジテルペン骨格のエポキシ化及び環化を触媒することが提案されている。遺伝子ltmP(100%)及びltmQ(100%)は、チトクロムP450モノオキシゲナーゼをコードし、エピクロエ属におけるパキシリン生合成に必要とされる6つの遺伝子のコレクションを完結させる。
クラスター3遺伝子
クラスター3(116033bp〜119536bp)は、2つの遺伝子、すなわち推定チトクロムP450モノオキシゲナーゼである予測遺伝子PP01(予測タンパク質1)と、膜結合型O-アシルトランスフェラーゼ(MBOAT)タンパク質であることが予測されているPP02とを含有する(Table 2(表3))。
PP01
PP01遺伝子のヌクレオチド配列を図7に示す。PP01は、ダイズ嚢胞線虫[ヘテロデラ・グリシンス(Heterodera glycines)]の内部寄生性真菌であるヒルステラ・ミネソテンシス由来の推定チトクロムP450モノオキシゲナーゼと相同性を示す(図8;KJZ77225.1)。PP01は、ジャンチトレム生合成における役割を有することがあるが、PP01は、これまで特徴を明らかにされた任意の他のインドール-ジテルペン遺伝子クラスターには、ホモログを持たない。例えば、PP01は、インドール-ジテルペン生合成に関与する既に記載されたチトクロムP450モノオキシゲナーゼ(例えばLtmP、LtmQ/PaxQ/AtmQ、LtmK)とは配列類似性を共有しない(図9)。E1(LpTG-4)由来のPP01の予測タンパク質配列は、NEA12(LpTG-3)のものに対し1アミノ酸の違い(アミノ酸42位でD>G)を有する。
PP02
PP02遺伝子のヌクレオチド配列を図10に示す。PP02は、膜結合型O-アシルトランスフェラーゼ(MBOAT)タンパク質であることが予測されている(図11;図12)。E1(LpTG-4)由来のPP02の予測タンパク質配列は、NEA12(LpTG-3)のものに一致する。膜に会合するとはいえ、PP02は、TMHMMによる予測解析に基づけば、膜貫通タンパク質ではない。
クラスター4
クラスター4(150720bp〜175051bp)は、2つの遺伝子、すなわち芳香族プレニルトランスフェラーゼであるJtmDと、FAD結合オキシドレダクターゼをコードすることが予測されるJtmOとを含有する。
JtmD
jtmD遺伝子のヌクレオチド配列を図13に示す。芳香族プレニルトランスフェラーゼであることが予測されているJtmDは、オフィオコルディセプス・ユニアテラリス由来の予測タンパク質と最も高い相同性を示す(63%;図14)。JtmDの予測タンパク質配列はまた、P.ジャンチネラム(JanD;49%)及びP.パキシリ(PaxD;46%)由来のもの等の芳香族プレニルトランスフェラーゼとの相同性を有する(図15;Nicholsonら、2015)。これらの遺伝子はそれぞれ、インドールジテルペンであるシェアリニンK及びパキシリンの合成に関連する。NEA12(LpTG-3)由来のJtmDの予測タンパク質配列は、E1(LpTG-4)にものに一致する。
JtmO
jtmO遺伝子のヌクレオチド配列を図16に示す。JtmOは、エスコボプシス・ウェベリ由来の予測タンパク質(6-ヒドロキシ-D-ニコチンオキシダーゼ)と最も高い相同性を示す(59%;図17)。JtmOはまた、P.ジャンチネラムにおけるシェアリニンの合成に関連するFAD結合オキシドレダクターゼであることが予測されている、JanOとの相同性を有する(52%;Nicholsonら、2015)。同様の機能が予測される遺伝子が、他のインドール-ジテルペン遺伝子クラスターに特定されている(図18)。JtmOタンパク質産物は、インドール-ジテルペンコアの引き続き起こる修飾の際の役割を有する可能性がある。NEA12(LpTG-3)及びE1(LpTG-4)におけるJtmOの予測タンパク質配列は、97.9%同一である。E1のJtmOの予測タンパク質は、NEA12のものに比べて、9アミノ酸の欠失(aa12〜20)及び1アミノ酸変換(アミノ酸326位のT>A)を有する。
JtmO
jtmO遺伝子のヌクレオチド配列を図16に示す。JtmOは、エスコボプシス・ウェベリ由来の予測タンパク質(6-ヒドロキシ-D-ニコチンオキシダーゼ)と最も高い相同性を示す(59%;図17)。JtmOはまた、P.ジャンチネラムにおけるシェアリニンの合成に関連するFAD結合オキシドレダクターゼであることが予測されている、JanOとの相同性を有する(52%;Nicholsonら、2015)。同様の機能が予測される遺伝子が、他のインドール-ジテルペン遺伝子クラスターに特定されている(図18)。JtmOタンパク質産物は、インドール-ジテルペンコアの続いて起こる修飾の際の役割を有する可能性がある。NEA12(LpTG-3)及びE1(LpTG-4)におけるJtmOの予測タンパク質配列は、97.9%同一である。E1のJtmOの予測タンパク質は、NEA12のものに比べて、9アミノ酸の欠失(aa12〜20)及び1アミノ酸変換(アミノ酸326位のT>A)を有する。
JtmD及びJtmOは、エピクロエ属内生菌ではこれまで記載されていなかった。この2つの遺伝子のホモログは、複数のペニシリウム(Penicillium)種(例えばP.ジャンチネラム、P.パキシリ、P.クルストサム)に特定されており、多くの場合、隣り合って位置することが見出される。興味深いことに、エスコボプシス・ウェベリのゲノム(GenBank:LGSR01000002.1)でも、この研究で特定された2つの遺伝子ホモログ(JtmD:KOS22745.1;JtmO:KOS22754.1)が互いに隣接することが見出されている。エスコボプシス属は、その宿主となる他の真菌に依存する寄生性の微小真菌である。
ジャンチトレム生産のための提案される生合成経路
ここに記載される作業は、エピクロエ属内生菌、具体的にはLpTG-3及びLpTG-4におけるジャンチトレム生合成のための遺伝子的な基盤を提供する。出願人は、理論に制限されることを望まないが、これらの2つの無性の分類群に加えて、ジャンチトレムを合成する少なくとも1つの祖先由来の有性のエピクロエ種がある(又はかつてはあった)可能性がある。
これまで特定されたインドール-ジテルペン遺伝子クラスターの全てが、パスパリンの合成のための遺伝子のコアセットと、分子骨格上の様々な位置特異的及び立体特異的な酸化を触媒してインドール-ジテルペン産物の多様性を生じる多機能のチトクロムP450モノオキシゲナーゼ、FAD依存性モノオキシゲナーゼ、及びプレニルトランスフェラーゼをコードする追加の一連の遺伝子とを有する。
堅牢な液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)アプローチを、インドール-ジテルペンアルカロイドの生合成に関連する標的の主要な代謝産物に利用した。ペレニアルライグラス-LpTG-3の共生から植物内に単離されたこれらの代謝産物の、抽出されたイオンクロマトグラムを図19に図示する。観察された正確な質量及び断片化のパターン(LC-MS/MS解析を介した)をTable 3(表4)に表示する。
出願人は、理論に制限されることを望まないが、これらの代謝産物の特定及び断片化に基づき、エポキシ-ジャンチトレムの生合成についてのフレームワークを提案している(図20)。ここでは、出願人は、ジャンチトレム生合成がLtmP及びLtmQによるパスパリンからβ-パキシトリオールへの合成から起こる可能性があることを提案する。JtmD及びJtmOは、ジャンチトレムの初発の生合成に必要とされ、続いてPP01及びPP02が必要となる。LtmF及びLtmKは、エポキシ-ジャンチトレムII及びIVの合成に必要とされる。
エポキシ-ジャンチトレムIの生合成に必要とされる候補遺伝子の機能解析
jtmD遺伝子のRNAiサイレンシング
ベクターの構築
RNAiサイレンシングベクターを設計するために、jtmD内の3つの候補遺伝子配列(95bp、129bp、及び432bp)を選択した(図21)。エントリークローンを生成するために、遺伝子カセットをpDONR221ベクター内にクローニングした。RNAサイレンシングベクター(図22)を、エントリークローンとGateway(商標)の可能なデスティネーションベクター(pEND0002)との間で、LRクロナーゼ反応によって生産した(Hettiarachchige、2014)。
真菌プロトプラストの単離
菌糸体を、滅菌条件下で、漏斗を覆うミラクロスの層を通して濾過することによって採取し、30mLの滅菌ddH2Oで3回洗浄した。菌糸体を10mLのOM緩衝液(1.2M MgSO4.7H2O、10mM Na2HPO4、100mM NaH2PO4.2H2O、pH5.8)で洗浄し、滅菌250mLプラスチックベッセルに移し入れた。新たに調製したOM中の10mg/mL Glucanex(30mL)(Sigma Aldrich社)を添加し、30℃で緩やかに振盪しながら(80〜100rpm)18時間インキュベーションした。glucanex/プロトプラスト溶液(30〜50μL)を顕微鏡下で調べて、消化に成功したことを確かめた。プロトプラストを、漏斗中で、ミラクロスを通して15mL滅菌ガラス遠心分離チューブ(Gentaur社、ベルギー)内に濾過し、氷上に置いた。各チューブを注意深く2mLのST緩衝液で(0.6Mソルビトール、100mM Tris-HCl、pH8.0)で覆い、遠心分離した[Beckman coulter社、Avanti(登録商標)J-25I](4℃、5000rpmで5分間)。遠心分離後、プロトプラストは、glucanex溶液とST緩衝液との間に白い層を形成し、この層を注意深く取り出した。STC緩衝液(1Mソルビトール、50mM CaCl2.2H2O、50mM Tris-HCl、pH8.0)(5mL)を、新しい滅菌ガラスチューブ中のプロトプラスト溶液に添加した。試料を緩やかに1回反転させ、遠心分離した(4℃、5000rpmで5分間)。プロトプラストのペレットを5mLのSTC緩衝液に貯え、1つのみのペレットが残るまで遠心分離を繰り返した(4℃、5000rpmで5分間)。過剰量のSTC緩衝液を除去し、最終的なプロトプラストのペレットを500μLのSTC緩衝液に再懸濁した。プロトプラスト濃度は、プロトプラストを希釈し(STC緩衝液を用いて1/100及び/又は1/1000)、血球計算盤及び顕微鏡を用いてカウントすることによって見積もった。プロトプラストを、STCを用いて1.25×108個プロトプラスト/mLに希釈した。
PEG媒介性の真菌プロトプラストの形質転換
真菌プロトプラスト内に送達する前に、3つのRNAサイレンシングベクター(図22)を、制限酵素消化及びサンガーシークエンシング(データ示さず)によって確認した。PureYield(商標)Plasmid Midiprep System(Promega社)を用いて、製造業者の指示に従って、真菌プロトプラスト内への形質転換に適した高品質のプラスミドDNAを生産した。希釈したプロトプラスト(1.25×108個プロトプラスト/mL)のアリコート(80μL)を、氷上に準備した。各アリコートに、2μLの50mMスペルミジン、5μLの5mg/mLヘパリン(STC緩衝液中に調製)、10μgのプラスミドDNA(1μg/μL、20μLを超えない)、及び20μLの70%(w/v)PEG溶液[70%(w/v)PEG4000、10mM Tris-HCl pH8.0、10mM CaCl2]を添加した。エッペンドルフチューブを緩やかに混合し、氷上で30分間インキュベーションした。1.5mLのSTC緩衝液を添加した後、プロトプラストを混合して遠心分離した(Eppendorf社、Centrifuge 5424R)(4℃、5000rpmで5分間)。上清を除去して、プロトプラストを再生培地II(RGII、500μL)(304g/Lスクロース、1g/L KH2PO4、1g/L NH4NO3、1g/L NaCl、0.25g/L無水MgSO4、0.13g/L CaCl2.2H2O、1g/L酵母抽出物、12g/L脱水ジャガイモデキストロース、1g/Lペプトン、1g/Lカゼインの酸加水分解物)に再懸濁して、一晩インキュベーションした(22℃、暗所45rpm)。
真菌のプロトプラストの再生
一晩を経たプロトプラスト溶液(200μL)を、800μLの40%(w/v)PEG溶液[40%(w/v)PEG4000、1Mソルビトール、50mM Tris-HCl pH8.0、50mM CaCl2]を用いて、室温で15分間インキュベーションした。100μLのプロトプラスト/PEG混合物を含有する溶融(50℃)の0.4%RGII(5mL)(304g/Lスクロース、1g/L KH2PO4、1g/L NH4NO3、1g/L NaCl、0.25g/L無水MgSO4、0.13g/L CaCl2.2H2O、1g/L酵母抽出物、12g/L脱水ジャガイモデキストロースブロス、1g/Lペプトン、1g/Lカゼイン酸加水分解物、4g/Lアガロース)を、100μg/mLハイグロマイシンBを含有する0.6%RGIIアガロースのペトリ皿(304g/Lスクロース、1g/L KH2PO4、1g/L NH4NO3、1g/L NaCl、0.25g/L無水MgSO4、0.13g/L CaCl2.2H2O、1g/L酵母抽出物、12g/L脱水ジャガイモデキストロースブロス、1g/Lペプトン、1g/Lカゼイン酸加水分解物、6g/Lアガロース)中にわたって均等に広げた。代表的なRGIIペトリ皿を、内生菌の生存性を評価するための対照として、ハイグロマイシンを重ねずに保持した。再生が観察されるまで(図23)、全てのペトリ皿を、暗所、22℃で4〜6週間インキュベーションした。
形質転換された真菌プロトプラストの特定
100μg/mLハイグロマイシン選抜を含む15%(w/v)ジャガイモデキストロース寒天(PDA)を含有するペトリ皿の上に、個々の再生コロニーを移し入れ、インキュベーションした。(22℃、暗所、10〜21日間)。ハイグロマイシン耐性コロニーを、250mLの滅菌培養ベッセルにて、100μg/mLハイグロマイシンを含むPDブロス(50mL)中で成長させ(22℃、暗所、150rpm、10〜21日間)、菌糸体を、滅菌条件下で、漏斗を覆うミラクロスの層を通して濾過することによって採取し、30mLの滅菌M9リン酸緩衝液(1g/L NH4Cl、11g/L Na2HPO4.7H2O、3g/L KH2PO4、5g/L NaCl)で洗浄した。洗浄した菌糸体をエッペンドルフチューブに移し入れ、凍結し(24〜48時間)、DNeasy Plant Mini Kit(Qiagen社、ドイツ)を用いて、製造業者の指示に従って、DNAを抽出した。形質転換された個体を、RNAサイレンシングベクターによって持ち込まれるハイグロマイシン遺伝子[hph;フォワード5'-tgtcgtccatcacagtttgc-3'(配列番号21)、リバース5'-gcgccgatggtttctacaaa-3'(配列番号22)]、及び/又は候補jtmD遺伝子断片[jtmD(95bp)フォワード5'-gcctttcttcttgcctgtca-3'(配列番号23)、リバース5'-gaccgcctgtgtgttttgaa-3'(配列番号24);jtmD(129bp)フォワード5'-cacacagcccaagattgcat-3'(配列番号25)、リバース5'-tggaagtctatcgccactgg-3'(配列番号26);jtmD(432bp)フォワード5'-ggagttcagtgcatgctcag-3'(配列番号27)、リバース5'-ggcaagaagaaaggctcacc-3'(配列番号28)について、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって特定した。CFX Connect(商標)リアルタイムPCR検出システム(BioRad社)[2×FastStart SYBR Green master mix(Roche社)、10uMフォワードプライマー及びリバースプライマー、2μL鋳型DNA、滅菌ddH2O(VT 10μL);95℃10分、(95℃ 30秒、60℃ 60秒、72℃ 30秒)×40、60〜95℃(増分0.5℃)5分]を使用したPCRの構成成分及びサイクル条件。アッセイは、適切な陽性及び陰性の対照DNAを含んでいた。
最後に、本明細書で概説された本願発明の趣旨を逸脱することなく様々な変更、改変、及び/又は追加がなされ得ることが理解されよう。
参考文献
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Claims (16)

  1. 内生菌におけるジャンチトレムの生合成に関与する遺伝子をコードする、実質的に精製又は単離された核酸又は核酸断片。
  2. 前記内生菌がエピクロエ属の内生菌である、請求項1に記載の核酸又は核酸断片。
  3. 前記内生菌が、分類群LPTG-3又はLPTG-4由来である、請求項2に記載の核酸又は核酸断片。
  4. ジャンチトレム生合成ポリペプチドをコードするか、又はジャンチトレム生合成ポリペプチドをコードする配列に対し相補的若しくはアンチセンスである、実質的に精製又は単離された核酸又は核酸断片であって、(a)図7、10、13、及び16(配列番号1、2、5、6、9、10、13、及び14)に示される配列;(b)(a)中の配列の相補体;(c)(a)及び(b)に規定した配列に対しアンチセンスである配列;並びに(d)(a)、(b)、及び(c)に規定した配列の関連部分と少なくともおよそ80%の同一性を有し、少なくとも20ヌクレオチドのサイズを有する、(a)、(b)、及び(c)に規定した配列の機能的に活性な断片及びバリアントからなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、核酸又は核酸断片。
  5. 前記機能的に活性な断片及びバリアントが、(a)、(b)、及び(c)に規定した配列の関連部分と少なくともおよそ95%の同一性を有し、少なくとも200ヌクレオチドのサイズを有する、請求項4に記載の核酸又は核酸断片。
  6. 図7、10、13、及び16に示されるヌクレオチド配列を含む、請求項4に記載の核酸又は核酸断片。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の核酸又は核酸断片を含む構築物。
  8. プロモーター及びターミネーターを更に含むベクターであり、前記プロモーター、核酸又は核酸断片、及びターミネーターが作動可能に連結されている、請求項7に記載の構築物。
  9. 内生菌におけるジャンチトレム生合成を改変する方法であって、有効量の請求項1から6のいずれか一項に記載の核酸又は核酸断片又は請求項7若しくは8に記載の構築物を前記内生菌中に導入する工程を含む、方法。
  10. 前記内生菌に安定的に感染している内生菌不含の宿主植物を含む、請求項9に規定の内生菌を接種された植物。
  11. 請求項10に記載の植物に由来し、請求項9に規定の内生菌に安定的に感染している植物、植物種子、又は他の植物の部分。
  12. 前記内生菌に安定的に感染している植物を生産するための、請求項9に規定の内生菌の使用。
  13. 内生菌におけるジャンチトレム生合成に関与する、実質的に精製又は単離されたポリペプチド。
  14. 前記内生菌が、分類群LPTG-3又はLPTG-4由来である、請求項13に記載のポリペプチド。
  15. (a)図8、11、14、及び17(配列番号3、4、7、8、11、12、15、及び16)に示される配列;並びに(b)(a)に規定した配列の関連部分と少なくともおよそ80%の同一性を有し、少なくとも20アミノ酸のサイズを有する、(a)に規定した配列の機能的に活性な断片及びバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実質的に精製又は単離されたジャンチトレム生合成ポリペプチド。
  16. 前記機能的に活性な断片及びバリアントが、(a)及び(b)に規定した配列の関連部分と少なくともおよそ95%の同一性を有し、少なくとも100アミノ酸のサイズを有する、請求項15に記載のポリペプチド。
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