JP2019520126A - 口腔ケア器具用のフィラメント及び口腔ケア器具 - Google Patents

口腔ケア器具用のフィラメント及び口腔ケア器具 Download PDF

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Abstract

口腔ケア器具用のフィラメントは、長手方向軸と、この長手方向軸に対して実質的に垂直な平面内に延在する、実質的に十字形状の断面領域と、を有する。十字形状の断面領域は、4つの突起部及び4つのチャネルを有する。突起部及びチャネルは、交互に配置されている。各チャネルは、隣接しかつ合流する突起部により形成される、凹状の湾曲部を有する。凹状の湾曲部は、半径を有し、また、各突起部は端が丸みを帯びており、それにより、湾曲部を形成する。湾曲部は、直径を有し、チャネルの湾曲部の半径に対する突起部の湾曲部の直径の比率は、約0.2〜約1.5である。

Description

本開示は、長手方向軸と、その長手方向軸に実質的に垂直な平面内に延在する実質的に十字形状の断面領域と、を有する、口腔ケア器具用のフィラメントに関する。本開示は更に、口腔ケア具用の毛束及びヘッド、並びにかかるヘッドを備えた口腔ケア器具に関する。
手動式又は電動式歯ブラシのような口腔ケア器具用の、複数のフィラメントで構成される毛束は、当該技術分野において周知である。一般的に、毛束は、使用者の口腔内に挿入されることを意図したヘッドの剛毛支持部に取り付けられている。通常は、ヘッドに把持部ハンドルが取り付けられ、歯磨きの際には、このハンドルが使用者により握られる。ヘッドは、ハンドルに永久的に連結されているか、又はハンドルに繰り返し着脱可能となっている。
歯を効果的に清掃するために、フィラメントの自由端と歯との間に適切な接触圧力が与えられなければならない。一般的に、接触圧力は、フィラメントの曲げ剛性及び変位に依存し、一方で、単一のフィラメントの曲げ剛性は、その長さ及び断面積に依存する。通常、より長いフィラメントは、より短いフィラメントと比較して、より低い曲げ剛性を示す。しかしながら、比較的細いフィラメントは、容易に屈曲して離れてしまう傾向にあり、また比較的低い曲げ剛性は、歯の表面における歯垢除去の効率性を減少させ、加えて、歯間貫入特性及び清掃性能を低下させる。より長いフィラメントの曲げ剛性の低下を補償するために、フィラメントの断面積の寸法を増大させることができる。しかしながら、比較的太いフィラメントは、不快な歯磨き感覚を生じさせる場合があり、また口腔内の歯肉を傷つけやすい。加えて、より太いフィラメントは、低い曲げ回復性を示す場合があり、比較的短期間の使用後に、当該フィラメントの使用による毛束パターンの使い古した印象が生じる場合がある。
更に、非円形断面領域、例えば多角形の、又は十字形状の断面領域をもたらす、それらの長さ延在部分に沿った輪郭を有するフィラメントもまた、当該技術分野において周知である。このようなフィラメントは、通常の使用中、口腔ケア器具の清掃特性を改善するべきである。特に、輪郭付けられた端部は、歯磨きプロセス中により頑丈な摩擦作用を提供して、歯垢及び歯の表面上の残留物の除去を改善させるべきである。
これらのタイプのフィラメントを備える歯ブラシは、歯の外側の頬側面を適切に清掃する一方で、これらは、一般的に、歯間空隙内への貫入が依然として比較的困難であるため、隣接歯間領域並びにその他の到達しづらい口腔領域からの歯垢並びに残骸の適切な除去には、同様に適していない。更に、製造プロセス中及び歯磨き中に、十字形状のフィラメント/剛毛は、互いに絡まりやすくなり、その結果、歯ブラシは摩耗した外観を呈するようになる。なお、これらのフィラメントは、歯磨き中に、歯及び歯肉の表面から歯垢及び残骸を除去するのに十分な毛管効果を提供しない。
本開示の目的は、前述の欠点のうち少なくとも1つを克服する、口腔ケア器具ためのフィラメント、毛束及びヘッドを提供することである。このようなヘッドを備える口腔ケア器具を提供することもまた、本開示の目的である。
一態様によれば、口腔ケア器具用のフィラメントが提供され、ここで、このフィラメントは、長手方向軸と、長手方向軸に実質的に垂直な平面内に延在する実質的に十字形状の断面領域と、を有し、この十字形状の断面領域は、4つの突起部及び4つのチャネルを有し、この突起部及びチャネルは、交互に配置されており、各チャネルは、隣接しかつ合流する突起部により形成される凹状の湾曲部を有し、この凹状の湾曲部は、半径を有し、各突起部は、端が丸みを帯びており、それにより、湾曲部を形成し、その湾曲部は、直径を有し、チャネルの湾曲部の半径に対する、突起部の湾曲部の直径の比率は、約0.2〜約1.5の範囲内である。
一態様によれば、このようなフィラメントを備えた口腔ケア器具用の毛束及びヘッドが提供される。
一態様によれば、このようなヘッドを備えた口腔ケア器具が提供される。
本発明を、種々の実施形態及び図面に関して、以下により詳細に記載する。
本開示による複数のフィラメントを備えた口腔ケア器具の概略透視図を示す。 図1のフィラメントの概略断面図を示す。 現況技術によるフィラメントの概略断面図を示す。 毛束の例示的な実施形態の、概略断面図を示す。 第1の例示的な比較実施形態による毛束の、概略断面図を示す。 第2の例示的な比較実施形態による毛束の、概略断面図を示す。 図2に示したフィラメントの歯磨きの結果を、2つの例示的な比較実施形態によるフィラメントの歯磨き結果と比較した図を示す。 図2に示したフィラメントの「スラリー取り込み質量」を、2つの例示的な比較実施形態によるフィラメントの「スラリー取り込み質量」と比較した図を示す。 図2に示したフィラメントの「スラリー取り込み速度」を、2つの例示的な比較実施形態によるフィラメントの「スラリー取り込み速度」と比較した図を示す。 現況技術によるダイヤモンド形状のフィラメントの、概略断面図を示す。
本開示によるフィラメントは、フィラメントの主な延在によって画定される長手方向軸を有する。以下、その長手方向軸に沿ったフィラメントの延在はまた、「フィラメントの長手方向の延在」と称される場合がある。フィラメントは、長手方向軸に実質的に垂直な平面内に延在する断面領域を有する。このような断面領域の形状は十字形状である。十字形状の断面領域は、4つの突起部及び4つのチャネルを含み、これらの突起部及びチャネルは交互に配置される。2つの隣接する突起部、即ち、これらの突起部の2つの隣接する側方縁は、チャネルの底部に合流し、「合流領域」を画定する。隣接する突起部は、即ち、内側に向かって湾曲した半径を有する凹状の湾曲部がチャネルの底部において形成される様式で、かかる合流領域において合流する。
各突起部は端が丸みを帯びており、それにより、湾曲部を形成する。このような湾曲部は、直径を有し、チャネルの湾曲部の半径に対する、突起部の湾曲部の直径の比率は、約0.2〜約1.5、又は約0.3〜約1.0、又は約0.5〜約0.7の範囲内である。本開示によるフィラメントは、現況技術による標準的な十字形状のフィラメント(図3参照)と比較して相対的に低い比率を有する。換言すれば、突起部の湾曲部の直径に関して、即ち、突起部の幅延在部分に関して、チャネルの凹状の湾曲部の半径は、比較的大きいか、又は換言すれば、チャネルの凹状の湾曲部の半径と比較して、突起部の湾曲部の直径は比較的細くあり得る。
驚くべきことに、このようなフィラメントの形状は、口腔内におけるブラシの快適性を維持しつつ、改善された清掃性能を提供する、ということが見出された。加えて、このような形状は、歯磨き中に、フィラメントが絡まってしまう可能性が減少するため、フィラメント/毛束の外観の摩耗が減少することを手助けする、ということが見出された。更に、歯ブラシの製造プロセス中の、このようなフィラメントの製造可能性は、改善される。
十字形状の断面領域の各突起部は、フィラメントの長手方向の延在に沿った2つの外側側方縁を備える。これらの外側縁は、歯の表面上に比較的高い集中応力を発生させて、歯垢を破壊し、かつ除去し得る。外側縁は、歯垢及び残骸がより効果的に緩むように、摩擦効果を提供することができる。チャネルの底部における凹状の湾曲部の半径が比較的大きいため、歯の表面から歯垢をより容易に/効果的に緩める/除去する、増大した剛性/安定性を伴う突起部が提供される。チャネルは、次に、破壊された歯垢を捕捉し、かつ歯から取り除き得る。
図7において示されるように、また以下で更に説明するように、本開示による複数のフィラメントを備える毛束は、円形のフィラメント、又は従来の十字形状のフィラメントの毛束と比較して、頬面の、舌側の、咬合面の、及び歯間の、並びに歯肉線に沿った表面からの改善された歯垢除去を提供する。
更に、凹状の湾曲部の半径の特定の形状に起因して、チャネルは、フィラメントがより低い密度で、即ち、より低い詰込み率を伴って毛束内に詰込まれることを容易にし得る。これにより、歯磨きプロセス中、より長い時間、より多くの歯磨き剤/練り歯磨きが、フィラメントに保持される/フィラメントへと付着される可能性がもたらされる。更に、より低い毛束の密度は、歯磨き剤が拡散して、改善された全体的な歯磨きプロセスがもたらされる可能性を回避してしまう場合がある。換言すれば、歯に接触して清掃する際に、チャネルにおいて練り歯磨きがより良好に受容され得て、直接送達され、これにより、特に、歯の変色の除去に関して望ましい、多大な研磨効果が達成される。
更に、毛束内の低減されたフィラメント密度/より低い詰込み率は改善された毛管作用を与えることができ、この毛管作用によって歯磨き剤がフィラメントの先端/自由端へと流れるために、歯磨きの間により良好に利用可能な歯磨き剤を歯及び歯肉に与えることができる。また、歯磨き中、このような毛管作用が歯垢の取り込みを更に容易にし、全体的な清掃性能/効率を改善し得る。
更に、過去において、従来の十字形状のフィラメント(例えば、図3において示すように、また更に後述するように)が、これらのタイプのフィラメントが、製造及び歯磨き中の両方で、それらの間で容易に絡まってしまうという欠点を有する、ということが観察された。しかしながら、驚くべきことに、所謂「ピッキングプロセス」中に、複数のフィラメントが撚り合って1つの毛束を形成する場合に、フィラメントが絡まってしまうという可能性が著しく減少するため、本開示によるフィラメントの外側表面の特定の形状/輪郭が、改善された製造可能性を可能にする、ということが見出された。
更に、比較的大きい半径により、例えば、ステープリング留め又は高温の毛束付けプロセス中に、フィラメントがブラシヘッドの取り付け表面上に突いて固定される場合に、ブラシの製造プロセス中に発生するフィラメントの損傷が減少する。過去において、ピッキングプロセス中に、比較的多数の従来の十字形状のフィラメントが損傷を受けることが観察されてきた。特に、突起部がフィラメントから切断されて離れてしまう、又はチャネルの底部における合流領域においてフィラメントが撚り継いでしまう場合がある。撚り継いだフィラメントは、比較的鋭い端部を提供し得るが、これは、歯磨き中に口腔組織を傷つける/痛める場合がある。
突起部の湾曲部の直径は、約0.01mm〜約0.04mmの範囲内、又は約0.018mm〜約0.026mmの範囲内であってよい。
チャネルの凹状の湾曲部の半径は、約0.015mm〜約0.12mm、又は約0.025mm〜約0.10mm、又は約0.03mm〜約0.08mm、又は0.04mm〜約0.06の範囲内であってよい。かかる範囲の半径は、標準的な十字形状のフィラメントに比べて比較的大きい。このような比較的大きい半径は、増大した安定性を伴う突起部を提供する。
十字形状のフィラメントの突起部は、外向き方向において、即ち、断面領域の中心から離れ、かつ外側円周に向かった方向に放射状に先細になっていてもよい。このような先細突起は、狭い空隙及び到達しづらい領域への接近を確実にし得、また、なおより深いかつ効果的な歯間領域への貫入/進入を可能にし得る。同一量の材料から製造された円形形状のフィラメントと比較して、十字形状のフィラメントの曲げ剛性がより高いために、より高い曲げ剛性はフィラメントの突起部を強めて、歯間領域内へとより容易に滑り込ませ得る。
突起部は、約6°〜約25°の範囲内の角度により、又は約8°〜約20°の範囲内の角度により、外向きに放射状に先細になっていてもよい。驚くべきことに、このような先細になっていることは、最適な歯間貫入特性を可能にする、ということが見出された。更に、このようなフィラメントは、隣接するフィラメントの輪郭上で絡まってしまうことなく、より容易に毛束に束ねることができる。
十字形状の断面領域は、外径を有する。本開示との関連において、外径は、フィラメントの断面領域の中心を通過する直線の長さにより画定され、またその終点は、断面領域の最も外側の円周上に位置する。換言すれば、十字形状の断面領域は、円の形状において仮想の外側円周(即ち、外側外囲円)を有し、かつ外径は、円の中心を通過する、円の最も長い直線区分として画定される。
外径は、約0.15mm〜約0.40mm、若しくは約0.19mm〜約0.38mmの範囲内であってよい、又は外径は、約0.22mm〜約0.35mm、若しくは約0.24mm〜約0.31mmの範囲内であってよい。
チャネルの湾曲部の半径に対する外径の比率は、約2.5〜約12の範囲内であってよい。代替的に、チャネルの湾曲部の半径に対する外径の比率は、約2.7〜約9の範囲内であってよい。
驚くべきことに、このようなフィラメントの形状は、口腔内におけるブラシの快適性を維持しつつ、改善された清掃性能を提供する、ということが見出された。加えて、このような形状は、歯磨き中に、フィラメントが絡まってしまう可能性が減少するため、フィラメント/毛束の外観の摩耗が減少することを更になお手助けする、ということが見出された。更に、歯ブラシの製造プロセス中の、このようなフィラメントの製造可能性は、更に改善される。
突起部の湾曲部の直径は、フィラメントの外径の約6%〜約15%、又は約8%〜約12%の範囲内であってよい。驚くべきことに、このようなフィラメントは、なおより良好な様式で歯の輪郭に適合し得、またより容易に歯間空隙内へと貫入して、より完全に歯垢及び残骸を除去し得る、ということが見出された。
フィラメントは、実質的に円筒状のフィラメントであってよい、即ち、フィラメントは、実質的に円筒状の、外側の横方向表面を有してよい。換言すれば、その長手方向軸に沿ったフィラメントの断面領域の形状及び寸法は、実質的に変化しなくてよい、即ち、断面領域の形状及び寸法は、フィラメントの長手方向の延在にわたって実質的に一定であってよい。本開示との関連において、「フィラメントの外側の横方向表面」という用語は、その側面における、フィラメントの外側面又は外側表面を意味する。このタイプのフィラメントは、先細フィラメントと比較して、増大した曲げ剛性を提供し得る。より高い曲げ剛性は、フィラメントの歯間間隙/空隙内への貫入を促進し得る。なお、円筒状のフィラメントは、一般にゆっくりと使い古され、フィラメントのより長い耐用期間を提供し得る。
円筒状のフィラメントは、実質的に端が丸みを帯びた先端/自由端を有して、穏やかな清掃特性を提供し得る。端が丸みを帯びた先端は、歯磨き中に、歯肉が傷つけられるのを防ぎ得る。本開示との関連において、端が丸みを帯びたフィラメントは、依然として、実質的に円筒状のフィラメントの定義の分類に入り得る。
代替的に、フィラメントは、その長手方向軸に沿った、実質的に円筒状の部分及び先細部分を備えてもよく、先細部分は、フィラメントの自由端に向かって、長手方向に先細になっており、円筒状の部分は、本開示による断面領域を有する。換言すれば、フィラメントは、先が尖った先端を有する、先細フィラメントであってもよい。先細フィラメントは、2本の歯の間の部分ばかりでなく、ブラッシングの際に歯肉ポケットに最適に入り込むことができ、改善された清掃特性を提供することができる。先細フィラメントは、約8mm〜約16mm、任意に約12.5mmの範囲内で、取り付け表面上に延在した全体の長さを有してよく、また先細部分は、フィラメントの先端から測定して約5mm〜約10mmの範囲内で、長さを有してよい。先が尖った先端は、針形状であってよく、枝分かれ状又は羽根状の端部を有してもよい。先細になっている部分は、化学的及び/又は機械的な先細形成プロセスにより製造することができる。
フィラメントは、外側表面において着色された、カオリン粘土などの研摩材を伴う、又は伴わないポリアミド、例えば、ナイロン、カオリン粘土などの研摩材及び/又はポリアミド指示薬材料、例えばナイロン指示薬材料を伴う、又は伴わないポリブチレンテレフタレート(PBT)から製造されてよい。ポリアミド指示薬材料の着色は、経時的にフィラメントが使用されると緩やかに摩耗し得て、フィラメントが摩耗した程度を示す。
フィラメントは、異なる材料の少なくとも2つの区分を含むことができる。少なくとも1つの区分は、熱可塑性エラストマー材料(TPE)を含み、また少なくとも1つの区分は、外側表面において着色された、カオリン粘土などの研摩材を伴う、又は伴わないポリアミド、例えば、ナイロン、カオリン粘土などの研摩材又はポリアミド指示薬材料、例えばナイロン指示薬材料を伴う、又は伴わないポリブチレンテレフタレート(PBT)を含む。これらの少なくとも2つの区分は、平行した構造において、又はコア−外装構造において配置されてもよく、これは、フィラメント全体の剛性の減少をもたらし得る。より硬質の材料、例えば、ポリアミド又はPBTを含む内側/コア区分、及びコア区分を取り囲み、より軟質の材料、例えばTPEを含む外側/外装区分を伴うコア−外装構造は、穏やかな清掃特性をもたらす比較的軟質の外側横方向表面を伴う、フィラメントを提供し得る。
フィラメントは、フッ化物、亜鉛、ストロンチウム塩、香料、シリカ、ピロリン酸塩、過酸化水素、硝酸カリウム、又はこれらの組み合わせから選択される構成要素を備えてよい。例えば、フッ化物は、鉱化効果を提供し得、したがって、虫歯を防止し得る。亜鉛は、使用者の免疫系を強化し得る。過酸化水素は、歯を漂白/白くし得る。シリカは、より効果的に歯の歯垢及び残骸を除去する研磨効果を有し得る。ピロリン酸塩は、歯肉線に沿った新しい歯垢、歯石及び歯の結石の形成を阻害し得る。ピロリン酸塩を含むフィラメントは、歯肉及び口腔粘膜の炎症に対する持続的な保護を提供し得る。
複数のこのようなフィラメントは共に束ねられて毛束を形成し、毛束の中心に配置されたフィラメントがフッ化物を含んで、歯磨きプロセス中に歯を鉱化するのに対して、それらは、毛束の外側横方向表面におけるフィラメントがピロリン酸塩を含んで、歯肉線に沿った歯垢、歯石及び歯の結石の形成を阻害し得る様式において配置されてよい。
少なくとも1つの上記に掲載された構成要素を、外装上で、即ち、フィラメントの外側区分上で、コーティングしてよい。換言すれば、少なくともいくつかの毛束のフィラメントは、内側/コア区分がTPE、ポリアミド、又はPBTを含んでよく、また外側/外装区分が少なくとも1つの上記に掲載された構成要素を含んでよい、コア−外装構造を備えてよい。このようなコア−外装構造は、比較的高濃度で構成要素(複数可)が直接歯に有効となるようにし得る、即ち、歯磨き中に、構成要素(複数可)が歯に直接接触し得る。
代替的に、少なくとも1つの上記に掲載された構成要素は、TPE、ポリアミド、例えばナイロン、及び/又はPBTと共に共押し出しされ得る。このような実施形態は、使用中にフィラメント材料がゆっくりと摩耗して離れる場合に、構成要素(複数可)が徐々に歯に有効となるようにし得る。
上記いずれかの実施形態にかかる複数のフィラメントは、一緒に束ねられて、口腔ケア器具に取り付けられた毛束を形成してもよい。口腔ケア器具は、ハンドル及びヘッドを備える歯ブラシであってよい。ヘッドはハンドルから延在し、またハンドルに繰り返し着脱可能なものであってよい、又はヘッドは取り外しできないようにハンドルに連結されていてよい。歯ブラシは、電動式歯ブラシ又は手動式歯ブラシであってよい。
ヘッドは、実質的に円形又は楕円形の形状を有する剛毛支持部を備えてよい。このような刷毛支持部は、回転振動運動を行うことができる電動式歯ブラシ用に提供することができる。電動式歯ブラシの剛毛支持部は、運動軸の周囲を回転し、かつ運動軸に沿って振動する様式で軸方向に運動するように駆動することができ、そのような運動軸は、剛毛支持部の上側の上面により画定される平面に対して、実質的に垂直に延在してよい。本開示に基づく複数のフィラメントを備えた1本以上の毛束を刷毛支持部に取り付けることができる。当該毛束(複数可)は、フィラメントの突起部が、更に改善されたヘッドの清掃特性を与えることができるヘッドの回転振動運動の際に歯間領域及び到達しづらい領域により容易に挿入されることを可能とするものである。歯の表面に対して実質的に垂直なフィラメントの振動動作により、歯垢及びその他の残留物を緩めつつ、回転運動により歯垢及び更なる残留物を押し流すことができる。
本開示に基づく毛束は、約40%〜約60%、又は約45%〜約55%、又は約45%の範囲内の詰込み率を有してもよい。驚くべきことに、本開示に基づくフィラメントは、隣接する2つのフィラメントの間の隙間を最大にすることができるような、毛束内のフィラメントの比較的低い詰込み率を可能にし得ることを見出した。本開示との関連において、「詰込み率」という用語は、毛束孔の横断断面領域により割った、毛束孔におけるフィラメントの横断断面領域の合計と定義される。毛束を毛束孔内に取り付けるために、ステープルなどの定着具が使用される実施形態では、定着手段領域は、毛束孔の横断断面領域から除外される。フィラメントが依然として、外側の横方向表面の一部に沿って互いに接触を有する一方で、約45%の詰込み率は、毛束内で特定の間隙容積を保つ。間隙容積は、より多くの練り歯磨きを歯磨きプロセスへと送達し得て、かつ練り歯磨きがより長い時間歯と相互作用することができ、改善された歯磨き効果に寄与する。加えて、間隙容積、即ち、フィラメント間の空隙は、改善された毛管作用により、緩んだ歯垢の増大した取り込みを可能にする。
驚くべきことに、本開示に基づくフィラメントを使用することにより、この間隙容積が達成可能であることが見出された。依然として互いに接触を有する一方で、フィラメントが空隙領域において隙間を保つことが重要であることが見出された。規定要件に従い、かつ外観全体に関して消費者により評価される歯ブラシを製造するために、典型的には、高詰込み率(円形のフィラメントに関しては約70%〜約80%、ダイヤモンド形状のフィラメントに関しては、約80%、三葉型のフィラメントに関しては、約89%)が必要とされる。ステープリング留めプロセスにより製造された歯ブラシに関しては、約70%よりも低い詰込み率では、毛束孔内に不十分に圧縮されたフィラメントをもたらすこととなり、またしたがって、毛束の保持が不十分となる。したがって、円形のフィラメントが約70%よりも低い詰込み率を伴う場合には、規定要件が満たされない。高温で毛束付けられた歯ブラシに関しては、約70%よりも低い詰込み率により、溶融液の圧力が、フィラメントが互いに接触するまでもう一方へと毛束のフィラメントを押す際に、成形プロセスにわたって、プラスチック溶融液が毛束内へと進入することを可能にし得る。所謂、多棘はそれにより形成され、歯肉を痛めてしまう/傷つけてしまう場合があり、したがって、製品が不安全となってしまう。規定及び安全性の見解の他に、円形のフィラメントの低詰込み毛束は、「粗野」かつ破壊された外観を有し得、また消費者により許容され得ない。しかしながら、本開示に基づくフィラメントを使用することにより、改善された清掃特性を提供する一方で、許容される全体的外観を有する、コンプライアンスを満たし、かつ安全な製品のために、低い詰込み率を達成することができる。
約40%〜約60%、若しくは約45%〜約55%、又は45%の範囲内の比較的低い詰込み率は、改善された毛管効果により、改善された歯磨き効果、即ち、歯の表面及び歯肉からのより良好な歯垢及び残骸の除去を提供し得る。これらの毛管効果は、歯磨き剤がフィラメントの先端/自由端に向かって流れることを可能にし、したがって、歯磨き中に、歯磨き剤をより有効に歯及び歯肉に与えることができる。同時に、歯及び歯肉の表面からの歯垢及び残骸の取り込みが改善される。
なお、フィラメントの十字形状の形態に起因して、同一量の材料から製造された場合に、各単一のフィラメントは、円形形状のフィラメントよりも硬い。しかしながら、約40%〜約60%、若しくは約45%〜約55%、又は45%の範囲内の低い詰込み率により、本開示に基づくフィラメントから製造された毛束全体の剛性は、円形形状のフィラメントの毛束と比較して低下する。驚くべきことに、このような毛束は、増大した清掃効率を提供しつつ、歯磨き中に、改善された感覚的体験を提供する、ということが見出された。
口腔ケア器具用のヘッドに取り付けられた、少なくとも1つの毛束は、長手方向軸と、この長手向軸に垂直な平面において延在する断面領域と、を有してよい。複数のフィラメントは、毛束の断面領域が、毛束を作り上げる、各個々のフィラメントのそれぞれの形状の拡大した形状を有する様式において、配置されてよい。換言すれば、毛束は、そのフィラメントの拡大した変形型である、即ち、毛束の断面領域の形状は、各個々のフィラメントではあるがより大きな寸法のフィラメントとして、実質的に同一の十字形状の断面領域を有してよい。毛束の断面領域の形状は、そのフィラメントの断面領域の形状に対応してよい。本開示との関連において、「拡大した形状を有する断面領域」という用語は、同一の形状だが増大した寸法を備える断面領域を意味する。換言すれば、形状のタイプは同一であってよいが、断面領域の寸法は異なる、即ち増大する。毛束の断面領域の外側円周において、2つの隣接する個々のフィラメントの間に存在し得るいかなる間隙、ばらつき、起伏、又は溝穴も、当該断面領域の実質的な形状に寄与せず、またしたがって、注意しなくてよい。
このような毛束は、増大した清掃特性を提供し得る。個々のフィラメントの特定の形状/形態は、円形又は従来の十字形状の断面領域を伴う正規のフィラメントの特性とは異なる、特定の清掃特性を有する。これらの特定の清掃特性は、各個々のフィラメントの断面形状の拡大された変形型である毛束全体の断面形状をフィラメントが形成するような様式において、当該フィラメントを配置させることにより、強化されてよい。なお、各単一のフィラメントの特定の形態は一般には使用者にとって視認可能ではなく、本開示による毛束はそれぞれの形態を使用者に伝え、またしたがって、当該毛束を作り上げるフィラメントの対応する清掃特性を伝え得る。
フィラメント及び毛束が、それぞれ、非円形形状を伴う各断面領域を有するため、フィラメント並びに毛束全体は、歯磨きプロセス中に、異方性の曲げ剛性特性を提供し得る。所与された接触圧力がフィラメント/毛束の自由端へと加えられた場合、フィラメント/毛束の偏向/変位の量は、フィラメント/毛束の直径/半径に依存する。直径/半径がより小さいと、フィラメント/毛束の自由端の偏向/変位が大きくなり、また逆に、直径/半径がより大きいと、フィラメント/毛束の自由端の偏向/変位が小さくなる。毛束は、より大きい清掃力が必要であり得る方向において、より大きい曲げ剛性が提供されるような様式において、ヘッドの取り付け表面上に配置されてよい。穏やかな清掃力又はマッサージ効果が必要とされ得る方向において、より小さい曲げ剛性が提供され得る。
本開示に基づく口腔ケア器具用のヘッドは、少なくとも1個の毛束孔、例えば盲端穴が設けられた刷毛支持部を備えてよい。本開示による複数のフィラメントを備えた毛束は、ステープル留めプロセス/定着毛束付け法により、毛束孔に固定/定着され得る。これは、毛束のフィラメントが、例えば金属で形成された、例えば、定着具ワイヤ又は定着具プレートのような定着具の周囲にほぼU字状の態様で折り曲げられる/折り畳まれることを意味する。定着具と共にフィラメントを毛束孔内へと押し込み、これにより、定着具が毛束孔の反対側の壁内へと貫入し、それにより、フィラメントを剛毛支持部へと定着/固定/締結する。定着具は、正係合及び摩擦係合により、反対側の壁に固定されてもよい。毛束穴が盲端穴である場合、定着具は、フィラメントを穴の底部に対して保持する。換言すれば、実質的に垂直の様式において、U形状の湾曲部にわたって定着具を位置させてよい。毛束のフィラメントが、実質的にU形状の構成において定着具の周囲で湾曲するため、各フィラメントの第1のリム及び第2のリムは、フィラメントの方向において剛毛支持部から延在する。ステープル留めプロセスに使用してよい/ステープル留めプロセスにおける使用に好適なフィラメントのタイプはまた、「両端フィラメント」とも称される。ステープル留めプロセスにより製造される口腔ケア器具用のヘッドは、比較的低コストかつ時間的に効率のよい様式において提供することができる。本開示によるフィラメントの改善された形態により、ステープル留めプロセス中に、フィラメントがブラシヘッドの取り付け表面上に突いて固定される場合に、例えば切断などにより、フィラメントが損傷することはより少なくなる。更に、複数のフィラメントが突かれて1つの毛束を形成する場合に、隣接するフィラメントの外側表面上で、より少数のフィラメントが絡まるにとどまる。
代替的に、少なくとも1つの毛束は、高温の毛束付けプロセスの手段により、ヘッドに取り付け/固着されてよい。口腔ケア器具のヘッドを製造する1つの方法は、次の工程を含んでよい。第1に、本開示による所望の量のフィラメントを提供することにより、少なくとも1つの毛束を形成してよい。第2に、毛束を型穴内に定置させて、それにより、ヘッドに取り付けられると推定されるフィラメントの端部がこの穴内へと延在するようにしてよい。第3に、射出成形プロセスにより、ヘッド、又はヘッド及びハンドルを備える口腔ケア器具の本体を、型穴内へと延在するフィラメントの端部の周囲に形成して、それにより、少なくとも1つの毛束をヘッドに定着させてよい。代替的に、射出成形プロセスにより、口腔ケア器具の残りの部分が形成される前に、型穴内へと延在するフィラメントの端部の周囲にヘッドの第1の部分−所謂「シールプレート」−を形成することにより、毛束を定着させてよい。射出成形プロセスを開始する前に、型穴内へと延在する少なくとも1つの毛束の端部を任意に溶融/融着させて、溶融密集体又は溶融球にしてフィラメントと一緒に連結させ、これにより、溶融密集体又は溶融球が穴内に配置されてよい。少なくとも1つの毛束は、口腔ケア器具の仕上げヘッド上の毛束の所望の位置に対応する盲穴を有する型支柱により、型穴内に保持されてよい。換言すれば、高温の毛束付けプロセスの手段によりヘッドに取り付けられた少なくとも1つの毛束のフィラメントは、それらの長さに沿った中間部分に折り重ならなくてよく、また定着具/ステープルを使用することによりヘッドに取り付けられなくてよい。少なくとも1つの毛束は、定着具無しの毛束付けプロセスの手段により、ヘッド上に取り付けられてよい。高温の毛束付け製造プロセスは、複雑な毛束形態を可能にする。例えば、毛束は、その自由端、即ち、その上部表面において特定のトポグラフィ/形態を有してよく、歯の輪郭に最適に適合するように形状付けられてよく、また歯間の貫入を更に強化するように形状付けられてよい。例えば、トポグラフィは、1つ又は2つの方向において角がとられる若しくは丸みをつけられてよい、先が尖ってよい、又は線状、凹状若しくは凸状に形成されてよい。本開示によるフィラメントの改善された形態により、高温の毛束付けプロセス中に、フィラメントがブラシヘッドの取り付け表面上に突かれて固定される場合に、例えば切断などにより、フィラメントが損傷することはより少なくなる。更に、複数のフィラメントが突かれて1つの毛束を形成する場合に、隣接するフィラメントの外側表面上で、より少数のフィラメントが絡まるにとどまる。
以下は、図面を参照した、本開示による口腔ケア器具及びその部品の例示的な実施形態の非限定的な考察である。
図1は、ハンドル12と、ハンドル12から長手方向に延びるヘッド14とを含む手動式又は電動式歯ブラシ10であり得る、口腔ケア器具10の透視俯瞰図を示す。ヘッド14は、ハンドル12に近い近位端部41、及びハンドル12から最も遠い、即ち、近位端部41の反対側の遠位端部40を有する。ヘッド14は、長さ延在部分52、及び長さ延在部分52に対して実質的に垂直な幅延在部分51を伴う、実質的に楕円の形状を有してよい。本発明に基づく複数のフィラメント20を有する複数の毛束16は、高温の毛束付け又はステープル留めプロセスの手段により、ヘッド14に固着されてもよい。毛束16は、実質的に直交する様式において、ヘッド14の取り付け表面18から延在してよい。
図1に示すような毛束16は、複数の端が丸みを帯びたフィラメント20を備え、それらのうち1つを図2に示す。代替的に、20は、長手方向軸フィラメントに沿った、実質的に円筒状の部分及び先細部分を備える、先細フィラメントであってよい。先細部分は、フィラメント20の自由端向かって先細になっており、また円筒状の部分は、本開示による断面領域22を有する。複数のフィラメント20は、毛束16が、各個々のフィラメント20の形状の拡大した形状を有する断面領域32を有する様式で、配置される。換言すれば、毛束16の断面領域32の形状は、各個別のフィラメント20の断面領域22の形状に対応する。毛束16は、約40%〜約60%、又は約45%〜約55%の範囲内の詰込み率を有してもよい。「詰込み率」は、毛束孔の断面領域により割った、フィラメント20の断面領域22の合計として定義される。
図2は、本発明に基づくフィラメント20の概略断面図を示す。フィラメント20は、長手方向軸と、長手方向軸に対して実質的に垂直な平面において延在する、実質的に十字形状の断面領域22と、を有する。十字形状の断面領域22は、4つの突起部24及び4つのチャネル26を有する。突起部24及びチャネル26は、交互に配置されている。各突起部24は、約6°〜約25°又は約8°〜約20°の範囲内の角度αにより、外向き方向に先細になっている。
断面領域22は、フィラメントの断面領域22の中心36を通る外径28を有する。外径28の終点は、断面領域22の最も外側の円周38上に位置する。外径28は、約0.15mm〜約0.40mm、約0.19mm〜約0.38mm、約0.22mm〜約0.35mm、又は約0.24mm〜約0.31mmの範囲内の、長さ延在部分を有する。
更に、各チャネル26は、凹状の湾曲部34、即ち、断面領域22の中心36に向かって内側に湾曲した湾曲部を有する。凹状の湾曲部34は、2つの隣接しかつ合流する突起部24により、各チャネル26の底部において形成される。凹状の湾曲部34は、約0.015mm〜約0.12mm、又は約0.025mm〜約0.10mm、又は約0.03mm〜約0.08mm、又は約0.04mm〜0.06mmの範囲にある半径30を有する。
凹状の湾曲部34の半径30に対する外径28の比率は、約2.5〜約12、又は約2.7〜約9の範囲内である。
各突起部24は端が丸みを帯びており、それにより、特定の直径42を伴う湾曲部を形成する。このような直径42はまた、2つの対向する外側縁44の間に延在する幅延在部分42として画定され得る。チャネル26の湾曲部34の半径30に対する、突起部24の湾曲部の直径42の比率は、約0.2〜約1.5、又は約0.3〜約1.0、又は約0.5〜約0.7の範囲内である。
更に、直径42は、フィラメント20の外径28の、約6%〜約15%、又は約8%〜約12%の範囲で画定される。例えば、直径42は、約0.01mm〜約0.04mmの範囲内、又は約0.018mm〜0.026mmの範囲内であってもよい。
図3は、現況技術による十字形状のフィラメント54の、概略断面図を示す。フィラメント54は、次の寸法を備える。
外径56:0.295mm
チャネルの凹状の湾曲部の半径58:0.01mm
凹状の湾曲部の半径58に対する外径56の比率:29.5
突起部の先細りα:15°
突起部の湾曲部の直径62:0.04mm
半径58に対する直径62の比率:4
内径64:0.1mm。
図4は、本発明による毛束66の例示的な実施形態1の概略断面図を示す。毛束66は、約49%の詰込み率を有する。毛束66のフィラメント68は、次の寸法を有する。
外径28:0.309mm
凹状の湾曲部の半径30:0.06mm
凹状の湾曲部の半径30に対する外径28の比率:5.15
突起部の先細りα:10°
突起部42の湾曲部の直径42:0.04mm
半径30に対する直径42の比率:0.67
内径70:0.12mm。
図5は、現況技術による複数の円形形状のフィラメント74を備える毛束72の、概略断面図を示す。フィラメント74の直径は、約0.178mm(7mil)である。このような毛束72は、約77%の詰込み率を有する(比較実施例2)。
図6は、図3による複数のフィラメント54を備える毛束76の、概略断面図を示す。このような毛束76は、約58%の詰込み率を有する(比較実施例3)。
比較実験
ロボット試験:
複数のフィラメント68(例示的な実施形態1)を備えた図4に示される毛束66(毛束の直径:1.7mm)、複数のフィラメント74(比較実施例2)を備えた図5に示される毛束72(毛束の直径:1.7mm)、及び複数のフィラメント54(比較実施例3)を備えた図6に示される毛束76(毛束の直径:1.7mm)を、人工歯(typodont)上での代替的歯垢除去のそれらの効率に関して比較した。
以下の条件下でロボットシステムKUKA 3を用いて、歯磨き試験を行った(表1を参照)。
Figure 2019520126
図7は、例示的な実施形態1、比較実施例2、及び比較実施例3の代替的歯垢除去の量を、それぞれ歯の表面全体78、頬側表面80、舌側表面82、舌側及び頬側表面84、咬合表面86、歯肉線88、及び歯間表面90に関して、%で示したものである。
図7は、例示的な実施形態1が、歯の表面全体78、頬側表面80、舌側表面82、舌側及び頬側表面84、咬合表面86、歯肉線88、及び歯間表面90に関して、比較実施例2及び3と比較して著しく改善された歯垢除去特性を提供することを、明らかに示す。清掃性能の最も著しい改善は、それぞれ、22%及び9%の改善を伴って、咬合表面86上で生じた。
スラリー取り込み試験:
図8は、本開示に基づき、かつ約46%の詰込み率を有するフィラメント(例示的な実施形態4)を備えた毛束(毛束の直径:1.7mm)の「スラリー取り込み質量」を、約80%の詰込み率を有する(比較実施例5)ダイヤモンド形状のフィラメント(図10参照)を備えた毛束(毛束の直径:1.7mm)の「スラリー取り込み質量」及び比較実施例2による毛束72の「スラリー取り込み質量」と比較した図を示す。
例示的な実施例4のフィラメントは、次の寸法を有する。
外径:0.269mm
チャネルの凹状の湾曲部の半径:0.05mm
凹状の湾曲部の半径に対する外径の比率:5.38
突起部の先細りα:14°
突起部の湾曲部の直径:0.029mm
チャネルの凹状の湾曲部の半径に対する、突起部の湾曲部の直径の比率:0.58
内径:0.102mm
比較実施例5のフィラメントは、次の寸法を有する(図10)。
長い方の対角線長さ92:0.29mm
短い方の対角線長さ94:0.214mm
図9は、例示的な実施形態4の「スラリー取り込み速度」を、比較実施例2及び5の「スラリー取り込み速度」と比較した図を示す。
試験の説明
例示的な実施形態4並びに比較実施例2及び5による毛束を備えるブラシヘッドを、フィラメントが下向きに尖った水平位置において固定した。練り歯磨きスラリーの皿(練り歯磨き:水=1:3)を、はかりと共に、ブラシヘッド直下に定置させた。このスケールを用いて、皿内のスラリー量を測定した。試験が開始されると、ブラシは100mm/秒で下方に移動し、かつスラリー中に2mmの深さで浸液した。次に、ブラシを練り歯磨きスラリー中で5秒間保持して、再び100mm/分で引き上げた。この垂直方向の力を、経時的に測定した。
図8及び9は、比較実施例2及び5と比較して、質量及び速度の観点から、例示的な実施形態4が著しく改善された「スラリー取り込み」を提供することを明らかに示している。例示的な実施形態4の毛束内の増大した空隙容量は、改善された毛管作用を可能にする。これは練り歯磨き(スラリー)の取り込み量の増大をもたらし、これにより、練り歯磨きが、歯磨きプロセスにより長く相互作用を与える/寄与することになる。例示的な実施形態4の毛束は、約50%速い取り込み速度において、約50%多い練り歯磨きスラリーを吸収することが可能であり、これは改善された歯の清掃効果をもたらす。換言すれば、より多くの練り歯磨きを歯磨きプロセスへと送達するのみならず、例示的な実施形態4の毛束内の特定の空隙容量はまた、緩んだ歯垢の増大した取り込みをも可能にする。これにより、より低い詰込み率を可能とする本開示に基づく十字形状のフィラメントを備えた歯ブラシの全体的な臨床性能の改善がもたらされる。
本開示との関連において、「実質的に」という用語は、理論上は正確な一致又は挙動を示すことが期待されるが、実際にはわずかに正確ではないものとして具体化され得る要素又は機構の構成を意味する。そのようなものであるから、本用語は、定量的な値、測定値、又はその他の関連する表現が、問題とされる対象物の基本的機能に変化をもたらすことなく、記載される基準から変動し得る程度を示すものである。
本明細書において開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、このような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図される。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。

Claims (15)

  1. 口腔ケア器具(10)用のフィラメント(20)であって、前記フィラメント(20)は、長手方向軸と、前記長手方向軸に実質的に垂直な平面内に延在する実質的に十字形状の断面領域(22)と、を有し、前記十字形状の断面領域(22)は、4つの突起部(24)及び4つのチャネル(26)を有し、前記突起部(24)及び前記チャネル(26)は、交互に配置されており、各チャネル(26)は、隣接しかつ合流する突起部(24)により形成される凹状の湾曲部(34)を有し、前記凹状の湾曲部(34)は、半径(30)を有し、
    各突起部(24)は、端が丸みを帯びており、それにより、湾曲部を形成し、前記湾曲部は、直径(42)を有し、
    前記チャネル(26)の前記湾曲部(34)の前記半径(30)に対する、前記突起部(24)の前記湾曲部の前記直径(42)の比率が、約0.2〜約1.5の範囲内である、フィラメント(20)。
  2. 前記チャネル(26)の前記湾曲部(34)の前記半径(30)に対する、前記突起部(24)の前記湾曲部の前記直径(42)の前記比率が、約0.3〜約1.0、好ましくは、約0.5〜約0.7である、請求項1に記載のフィラメント(20)。
  3. 前記突起部(24)の前記湾曲部の前記直径(42)が、約0.01mm〜約0.04mmの範囲内、好ましくは、約0.018mm〜0.026mmの範囲内である、請求項1又は2に記載のフィラメント(20)。
  4. 前記チャネル(26)の前記湾曲部(34)の前記半径(30)が、約0.025mm〜約0.10mm、好ましくは、約0.03mm〜約0.08mm、更に好ましくは、約0.04mm〜約0.06mmの範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載のフィラメント(20)。
  5. 各突起部(24)が、外向き方向に先細になっている、請求項1〜4のいずれかに記載のフィラメント(20)。
  6. 各突起部(24)が、約6°〜約25°の範囲で画定された角度で外向き方向に先細になっている、請求項5に記載のフィラメント(20)。
  7. 各突起部(24)が、約8°〜約20°の範囲で画定された角度で外向き方向に先細になっている、請求項5又は6に記載のフィラメント(20)。
  8. 前記断面領域(22)が外径(28)を有し、前記外径(28)が、約0.15mm〜約0.40mm、好ましくは、約0.19mm〜約0.38mm、更に好ましくは、約0.22mm〜約0.35mm、更により好ましくは、約0.24mm〜約0.31mmの範囲内である、請求項1〜7のいずれかに記載のフィラメント(20)。
  9. 前記断面領域(22)が外径(28)を有し、前記チャネル(26)の前記湾曲部(34)の前記半径(30)に対する前記外径(28)の比率が、約2.5〜約12の範囲内である、請求項1〜8のいずれかに記載のフィラメント(20)。
  10. 前記断面領域(22)が外径(28)を有し、前記チャネル(26)の前記湾曲部(34)の前記半径(30)に対する前記外径(28)の比率が、約2.7〜約9の範囲内である、請求項1〜9のいずれかに記載のフィラメント(20)。
  11. 前記フィラメント(20)が、その長手方向軸に沿って、実質的に円筒状の部分と、先細部分と、を備え、前記先細部分が、前記フィラメントの自由端に向かって先細になっており、前記円筒状の部分が、請求項1〜10のいずれかに記載の断面領域(22)を有する、請求項1〜10のいずれかに記載のフィラメント(20)。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の複数のフィラメント(20)を備える、口腔ケア器具(10)用の毛束(16、66)。
  13. 前記毛束(16、66)が、約40%〜約60%、好ましくは、約45%〜約55%の範囲内の詰込み率を有する、請求項12に記載の毛束(16、66)。
  14. 請求項12又は13に記載のフィラメント(20)の毛束(16、66)を備える、口腔ケア器具(10)用のヘッド(14)。
  15. 請求項14に記載のヘッド(14)を備える、口腔ケア器具(10)。
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