JP2006255068A - 歯ブラシ用毛材および歯ブラシ - Google Patents

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Abstract

【課題】歯ブラシの使用交換時期を的確に判断することができるばかりか、清掃性に優れた歯ブラシ用毛材および歯ブラシの提供。
【解決手段】合成樹脂からなるモノフィラメントを素材とする歯ブラシ用毛材であって、前記モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面形状が突起部を1つ以上有する異形状に形成されているとともに、それら突起部の少なくとも先端部分が着色されていることを特徴とする歯ブラシ用毛材およびその歯ブラシ用毛材を使用した歯ブラシ。
【選択図】図1

Description

本発明は、歯ブラシの使用交換時期を的確に判断することができるとともに、清掃性に優れた歯ブラシ用毛材およびこの毛材を用いた歯ブラシに関するものである。
歯ブラシを使用するに際して、古い歯ブラシと新しい歯ブラシとの使用交換時期は、歯ブラシの使用回数や使用時間、ブラッシングの強さなどの使用条件、さらに毛材の材質や植毛形状などによって異なるが、一般には古い歯ブラシの毛材が摩耗したり、毛開きが顕著に現れたりした時点であることが多い。
しかるに、歯ブラシ毛材の摩耗や毛開きの判断基準は、使用する人によって異なり、適正な使用交換時期が過ぎているにも関わらず使用し続けている人もいる。そして、摩耗や毛開きをした清掃性に欠けた歯ブラシを使用し続けた結果、歯を十分清掃することができずに歯周病などにかかる人も少なくはない。
このような問題に応える歯ブラシ用毛材としては、芯鞘構造の毛材であって、芯部と鞘部の色調がそれぞれ異なり、鞘部が摩耗することにより芯部が表面に現れ、その色の変化によって歯ブラシの使用交換時期を判断することができる歯ブラシ用毛材(例えば、特許文献1参照)が既に知られている。
しかしながら、この歯ブラシ用毛材は、色の変化がはっきりと現れるには、鞘部がどの方向からも均一に摩耗しなければならず、結果として、毛材表面の摩耗が遅くなるため、適正な使用交換時期を超えて使用する可能性もあり、さらには清掃性も十分に得られないことから、目的とする実用性改善効果を十分には発揮し得ないものであった。
実開昭59−77430号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
すなわち、本発明の目的は、歯ブラシの使用交換時期を的確に判断することができるとともに、清掃性に優れた歯ブラシ用毛材およびこの毛材を用いた歯ブラシを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、合成樹脂からなるモノフィラメントを素材とする歯ブラシ用毛材であって、前記モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面形状が突起部を1つ以上有する異形状に形成されているとともに、それら突起部の少なくとも先端部分が着色されていることを特徴とする歯ブラシ用毛材が提供される。
なお、本発明の歯ブラシ用毛材においては、
前記突起部の数が2〜10の範囲にあること、
前記突起部の先端部分における着色部分の突出方向の厚みが0.005〜0.03mm、かつ幅が0.02〜0.07mmの範囲にあること、
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件を満たすことにより、さらに優れた効果を取得することができる。
また、本発明の歯ブラシは、前記歯ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とし、使用交換時期を的確に判断することができるとともに、清掃性に優れた歯ブラシとなる。
本発明の歯ブラシ用毛材は、摩耗や毛開きの状態を色の変化によって的確に表すことができるばかりか、清掃性にも優れたものであるため、この歯ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用した歯ブラシは、新しい歯ブラシとの使用交換時期を的確に判断することができるとともに、清掃性に優れたものとなる。
以下に本発明の歯ブラシ用毛材および歯ブラシについて図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の歯ブラシ用毛材の一例を示す斜視図であり、1は歯ブラシ用毛材(合成樹脂モノフィラメント)、2は毛材本体部、3は突起部、4は着色部をそれぞれ示している。
図1から分かるように、本発明の歯ブラシ用毛材1は、合成樹脂からなるモノフィラメントを素材とし、このモノフィラメント1の繊維軸方向に垂直な断面形状が突起部3を1つ以上(図面では4つ)有する異形状に形成されているとともに、それら突起部3の少なくとも先端部分に着色部4が形成されていることを特徴とするものである。
そして、この歯ブラシ用毛材1を歯ブラシの毛材として使用した場合には、ブラッシングの際に歯ブラシ用毛材1の突起部3が歯と接触し、その少なくとも先端部分にある着色部4が摩耗することにより色の変化が現れる。そして、この色の変化が、歯ブラシ用毛材1の摩耗や毛開きの状態を的確に表し、新しい歯ブラシとの使用交換時期を的確に知らしめるのである。
また、この突起部3は、摩耗や毛開きの状態を表すという機能だけではなく、歯の表面の汚れを掻き落とすという清掃機能をも兼ね備えている。
したがって、本発明の歯ブラシ用毛材1は、上記の機能を発現するために、突起部3を1つ以上有することが必要である。
そして、歯ブラシ用毛材1を構成する合成樹脂モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面形状としては、例えば、図2の(a)〜(e)に示す形状のものなどが挙げられ、要求される機能の程度に応じて、これらの形状のものを適宜選定することができる。
なお、本発明の歯ブラシ用毛材1を構成する合成樹脂は、歯ブラシ用毛材1の素材となるモノフィラメントの溶融紡糸が可能で、歯ブラシ用毛材1に要求される特性を発揮するものであれば特に限定はされないが、一般に歯ブラシ用毛材としては、その主成分としてポリアミド系樹脂またはポリエステル系樹脂が好ましく使用され、さらに、適度な硬さと回復性を有するなどの理由から、ナイロン610、ナイロン612およびこれら共重合体、またはポリブチレンテレフタレートおよびこれらを主体とする共重合体が好ましく使用される。
また、着色部4の色調としては、着色部4が摩耗することにより色の変化が現れるように、毛材本体部2と異なる色であれば特に限定はされない。また、その着色部4に使用される着色剤の種類についても、人体に影響を及ぼすことのないものであれば、特に限定はされない。
さらに、本発明の歯ブラシ用毛材1には、上記合成樹脂や着色剤のほか、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、耐熱剤、耐候剤、耐光剤、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、着色剤、および可塑剤などの添加剤を任意に含有せしめることができる。
以上の条件を満たすことにより、本発明の歯ブラシ用毛材1は、摩耗や毛開きの状態を色の変化によって的確に表すことができるばかりか、清掃性にも優れたものであるため、この歯ブラシ用毛材を歯ブラシの毛材として使用した場合には、新しい歯ブラシとの使用交換時期を的確に判断することができるとともに、清掃性に優れた歯ブラシが得られるのである。
さらに、本発明においては、上記条件に加え、次の条件を満たすことにより、さらに優れた機能を発現することが可能となる。
すなわち、本発明の歯ブラシ用毛材1においては、突起部3の数が2〜10、さらには3〜8の範囲にあることがより好ましい。
つまり、突起部3の数が上記範囲を下回る場合は、色の変化が確認しにくくなるばかりか、清掃性に欠けた歯ブラシ用毛材1となりやすく、この歯ブラシ用毛材1を歯ブラシに使用した場合には、使用交換すべき時期が超過して初めて色の変化がはっきりと現れ、使用交換時期を的確に判断することができにくくなるばかりか、清掃性に欠けた歯ブラシとなりやすい。
逆に、突起部3の数が上記範囲を上回る場合は、清掃性に優れた歯ブラシ用毛材が得られやすいが、着色部4の摩耗が遅くなり、色の変化がはっきりと現れるまでに時間がかかるため、この歯ブラシ用毛材1を歯ブラシに使用した場合には、使用交換すべき時期が超過して初めて色の変化がはっきりと現れ、使用交換時期を的確に判断することができにくくなる。
また、本発明の歯ブラシ用毛材1においては、突起部3の先端部分における着色部4の突出方向の厚みD(図2参照)が0.005〜0.03mm、さらには0.007〜0.02mm、かつ幅W(図2参照)が0.02〜0.07mm、さらには0.03〜0.06mmの範囲にあることが好ましい。
つまり、厚みDと幅Wが上記範囲を下回る場合は、着色部4が早く摩耗しやすいため、この歯ブラシ用毛材1を歯ブラシに使用した場合には、使用交換すべき時期達していない状態で色の変化が現れ、使用交換時期が的確に判断されにくくなる。
逆に、厚みDと幅Wが上記範囲を上回る場合は、着色部4の摩耗が遅くなるため、この歯ブラシ用毛材1を歯ブラシに使用した場合には、使用交換すべき時期が超過して初めて色の変化がはっきりと現れ、使用交換時期を的確に判断することができにくくなる。
さらに、突起部3の大きさについては、着色部4よりも大きければ、特に限定はされないが、清掃効果が得られやすいとの理由から、その突出方向の高さが0.005〜0.06mm、さらには0.01〜0.05mm、かつ幅が0.03〜0.12mm、さらには0.05〜0.1mmの範囲にあることが好ましい。
次に、本発明のブラシ用毛材の製造方法について説明する。
本発明の歯ブラシ用毛材1は、何ら特殊な方法を用いる必要はなく、公知の溶融紡糸方法でモノフィラメントを製造し、このモノフィラメントを所望の長さにカットすることによって製造することができる。
例えば、毛材本体部2および突起部3の一部となる合成樹脂Aと着色部4となる着色剤を含有した合成樹脂Bとを、公知の複合型溶融紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融混練された合成樹脂の溶融物を、例えば、図4に示すような、合成樹脂Aの溶融物の流路10と、合成樹脂Bの溶融物の流路9とからなる複合押出しダイ8から共押出しし、共押出された合成樹脂を冷却浴に導いて冷却固化する。
次に、冷却固化した未延伸糸には、加熱延伸および必要に応じて熱セットが施され、モノフィラメントとなる。
そして、得られたモノフィラメントは、歯ブラシ用途に応じた長さにカットされ、歯ブラシ用毛材1として使用される。
なお、突起部3の先端部分に着色部4を設ける方法については、上記の複合押出しダイ8を使用して複合モノフィラメントを溶融紡糸する方法のほか、毛材本体部2と突起部3とが一体となったモノフィラメントを溶融紡糸し、染色などにより、突起部3の先端部分を着色する方法も挙げられるが、この方法は、突起部3が微小であるため、その先端部分を均一に着色することは技術的に難しい。したがって、本発明の歯ブラシ用毛材1の素材となるモノフィラメントの製造に際しては、着色部4を均一かつ容易に設けることができるとの理由から、上記複合押出しダイ8を使用した溶融紡糸方法が好ましい。
また、本発明の歯ブラシ用毛材1の断面形状については、図1または図2の(a)〜(d)に示すような丸形の毛材本体部2に突起部3を有する形状のほか、楕円や三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形の毛材本体部2に突起部3を有する形状も挙げられ、具体的には、図2の(e)がその1つである。この場合には、複合押出しダイの合成樹脂Aの吐出孔の形状を、楕円や三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形にすることで得ることができる。
さらに、歯ブラシ用毛材1の太さについては、特に限定はされないが、一般に歯ブラシ用途としては、突起部3の大きさも含めて0.15〜0.25mmの範囲のものが好ましく使用される。
一方、本発明の歯ブラシは、上記製造方法で得られたブラシ用毛材1を使用し、公知の製造方法により得られたものである。
以下、実施例を挙げて本発明の歯ブラシ用毛材をさらに詳しく説明する。
なお、実施例における歯ブラシ用毛材の評価は次の方法により行った。
また、以下に記載する評価用歯ブラシは、実施例および比較例で得られた歯ブラシ用毛材を、植毛域9mm×22mmに34個所の植毛孔を有する歯ブラシ用基台に、20本/孔、かつ毛丈10mmとなるように植毛したものである。
[使用交換時期の評価]
15名のモニターに歯ブラシを使用してもらい、毛材の色が変化したと判断できた時点における毛材の毛開き状態から、色の変化が新しい歯ブラシとの使用交換時期内に的確に現れたかどうかを判断した。なお、使用交換時期は毛開き率(%)で表し、使用前のブラシ部分の幅Aと、使用後のブラシ部分の幅Bとから、式100×A/Bを用いて毛開き率を求めた。また、毛開き率と歯ブラシの使用交換時期の関係については以下の通りである。
毛開き率100〜150%・・・「使用交換時期に未達状態」
毛開き率150〜200%・・・「直ちに使用交換すべき状態」
毛開き率200%以上・・・「使用交換時期を超過した状態」
[清掃性]
10mm立方のアクリル板の上表面に幅1mm、高さ3mmの溝を設けた疑似歯モデルを作成し、溝の内表面も含め、アクリル板上表面一体に歯垢染色液(プラークチェック液)を均一に付着させた。次に、作成した歯ブラシを使用して、アクリル板上表面を、垂直荷重350g、振幅長30mm、かつ振幅速度180往復/分の条件で3分間ブラッシングを行い、その後、ブラッシングにより歯垢染色液が除去された部分の面積を測定した。そして、除去された部分の面積をブラッシング前の歯垢染色液付着総面積に対する百分率で表し、この値を除去率(%)とした。この除去率の値が大きいほど清掃性に優れていることを示す。
[実施例1〜6]
着色部となる合成樹脂として群青を1.0重量%含有するナイロン610樹脂(東レ(株)製 M2001)を、毛材本体部および突起部の一部となる合成樹脂として着色剤を含有しないナイロン610樹脂(東レ(株)製 M2001)を使用した。
これら合成樹脂を複合型溶融紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融混練した後、所望の太さ、突起部の数、および着色部の大きさになるように設計された複合押出しダイから共押出しし、共押出しされた合成樹脂を冷却浴に導いて冷却固化した。
その後、冷却固化した未延伸糸に加熱延伸と熱セットを施し、表1に示すような断面形状を有する太さ0.2mmのモノフィラメントを得た。そして、得られたモノフィラメントを歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作成した。
[比較例1]
公知の丸断面用芯鞘複合押出しダイを使用したこと以外は、実施例1と同じ条件で、図3に示すような芯部6と鞘部7からなり、鞘部7が群青で着色された断面形状を有する太さ0.2mmのモノフィラメントを得た。そして、得られたモノフィラメントを歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作成した。
上記各実施例および比較例で得られた歯ブラシについての評価結果を表1に併せて示す。
Figure 2006255068
表1から明らかなように、本発明の条件を満たす歯ブラシ用毛材およびそれを用いた歯ブラシ(実施例1〜5)は、新しい歯ブラシとの使用交換時期を的確に判断することができるとともに、清掃性に優れたものであることが分かる。そして、特に突起部の数とその先端部における着色部の大きさがさらに適正条件を満たした歯ブラシ用毛材およびそれを用いた歯ブラシ(実施例1)は、これらの効果をバランス良く兼ね備えたものであることが分かる。
しかし、本発明の条件を満たさない歯ブラシ用毛材およびそれを用いた歯ブラシ(比較例1)は、色の変化がはっきりと現れるためには、毛材の鞘部がどの方向からも均一に摩耗しなければならず、結果として、毛材表面の摩耗が遅くなるため、使用交換時期を的確に判断することができないばかりか、清掃性に欠けたものであった。
本発明の歯ブラシ用毛材は、摩耗や毛開きの状態を色の変化によって的確に表すことができるばかりか、清掃性にも優れたものであるため、この歯ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用した場合には、新しい歯ブラシとの使用交換時期を的確に判断することができるとともに、清掃性に優れた歯ブラシが得られる。そして、この歯ブラシを使用することにより、歯周病などを未然に防ぐことが可能となる。
本発明の歯ブラシ用毛材の一例を示す斜視図である。 (a)〜(e)は本発明の歯ブラシ用毛材の断面図である。 芯鞘複合モノフィラメントを素材とする歯ブラシ用毛材(比較例)の断面図である。 (a)は本発明のモノフィラメントを製造する際に使用する複合押出しダイの一例を示す側断面図、(b)は(a)中のi−j線における断面図、(c)は吐出孔出口側から見た場合の複合押出しダイの正面図である。
符号の説明
1 歯ブラシ用毛材(合成樹脂モノフィラメント)
2 毛材本体部
3 突起部
4 着色部
6 芯部
7 鞘部
8 複合押出しダイ
9 着色剤を含有した合成樹脂の流路
10 着色剤を含有してない合成樹脂の流路
11 吐出孔出口
D 着色部の突出方向の厚み(mm)
W 着色部の幅(mm)

Claims (4)

  1. 合成樹脂からなるモノフィラメントを素材とする歯ブラシ用毛材であって、前記モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面形状が突起部を1つ以上有する異形状に形成されているとともに、それら突起部の少なくとも先端部分が着色されていることを特徴とする歯ブラシ用毛材。
  2. 前記突起部の数が2〜10の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ用毛材。
  3. 前記突起部の先端部分における着色部分の突出方向の厚みが0.005〜0.03mm、かつ幅が0.02〜0.07mmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の歯ブラシ用毛材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とする歯ブラシ。
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