JP5802999B2 - 歯ブラシおよび歯ブラシの製造方法 - Google Patents

歯ブラシおよび歯ブラシの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、歯の歯垢を除去する歯ブラシおよび歯ブラシの製造方法に関する。
虫歯(う蝕)や歯周病といった歯科疾患の原因は、歯間に残された食物残渣や歯の表面に付着した歯垢であると言われている。食物残渣や歯垢を除去するために、歯ブラシ、デンタルフロス、洗口剤等を利用したプラーク(歯垢)コントロールが有効であり、特に歯ブラシを用いたブラッシングが一般的に行われている。
しかし、歯ブラシを構成するブラシ毛の長さが均一である従来の歯ブラシを用いてブラッシングを行う場合、口腔内の部位によって歯間空間の形状が相違するため(凹凸があるため)、比較的突出している歯の表側の平滑面を刷掃することは容易であるが、歯間や、歯の裏側の平滑面、奥歯(大臼歯)、歯と歯茎の間に形成されるいわゆる歯周ポケット等を刷掃するのは困難である。
そこで、歯ブラシの短手方向のブラシ毛の長さは等しいが、短手方向側面から見た場合、ブラシの端部が凸部と凹部を形成するブラシ部を有する歯ブラシが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平09−234114号公報
上述した特許文献1に記載された技術を利用しても、歯の裏側の刷掃を試みると、歯ブラシと歯が接触してしまい、依然として歯の裏側全体を刷掃しにくく、特に歯の裏側の歯間や歯周ポケットを刷掃するのは困難であり歯垢の除去には限界があった。
そこで本発明は、このような課題に鑑み、歯の裏側の歯間および歯周ポケットを効果的に刷掃することが可能な歯ブラシおよび歯ブラシの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の歯ブラシは、植毛基台上に植毛された複数の毛束で構成されるブラシ部と、ブラシ部から延長された把持部とを備え、複数の毛束は、把持部の長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように配置され、配列の対角線上に位置する毛束のブラシ毛は、対角線上に位置していない毛束のブラシ毛よりも長いことを特徴とする。
歯の裏側の刷掃を試みると、歯ブラシと歯が接触してしまい、歯ブラシの短手方向と、歯の生える方向に沿って形成される歯間の方向(以下、単に歯間方向と称する)とを合わせることはできず、歯ブラシの短手方向と歯間方向とに多少なりとも角度が生じ、歯ブラシの凸部が歯間に咬合しなくなる。また、奥歯の裏側の刷掃を試みると、歯ブラシと前歯が接触してしまい、歯ブラシの短手方向と、歯と歯茎の間に形成される歯周ポケットの長手方向(以下、単に歯周ポケット方向と称する)とを合わせることはできず、歯ブラシの短手方向と歯周ポケット方向とに多少なりとも角度が生じ、歯ブラシの凸部が歯周ポケットに入り込めなくなる。そこで、ユーザが歯の裏側を磨こうとして、歯ブラシの短手方向と歯間方向または歯周ポケット方向とが所定の角度を為す場合に、歯間方向または歯周ポケット方向と略同じ方向になる、対角線上に位置する毛束を長くしておけば、毛束を歯間や歯周ポケットに咬合させることが可能となる。これにより、歯の裏側の歯間や奥歯の裏側の歯周ポケットの歯垢を効率的に除去することができる。
配列の長手方向および短手方向の中央に位置する列は奇数本の毛束で構成されてもよい。
これにより、短手方向に延びる列の数と、長手方向に延びる列の数が異なったとしても、毛束を対角線に位置させることができる。また、長手方向および短手方向の中央に位置する列の中央に位置する毛束は、2本の対角線のいずれにも属し、上歯を磨く際にも、下歯を磨く際にも歯間や歯周ポケットを効果的に刷掃することが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明の他の歯ブラシは、植毛基台上に植毛された複数のブラシ毛で構成されるブラシ部と、ブラシ部から延長された把持部とを備え、植毛された領域の対角線上に位置するブラシ毛を頂部とし、対角線から遠ざかるにつれてブラシ毛の長さが連続的に短くなることを特徴とする。
歯の裏側の刷掃を試みると、歯ブラシと歯が接触してしまい、歯ブラシの短手方向と、歯間方向とを合わせることはできず、歯ブラシの短手方向と歯間方向とに多少なりとも角度が生じ、歯ブラシの凸部が歯間に咬合しなくなる。また、奥歯の裏側の刷掃を試みると、歯ブラシと前歯が接触してしまい、歯ブラシの短手方向と、歯周ポケット方向とを合わせることはできず、歯ブラシの短手方向と歯周ポケット方向とに多少なりとも角度が生じ、歯ブラシの凸部が歯周ポケットに入り込めなくなる。そこで、ユーザが歯の裏側を磨こうとして、歯ブラシの短手方向と歯間方向または歯周ポケット方向とが所定の角度を為す場合に、歯間方向または歯周ポケット方向と略同じ方向になる、対角線上に位置するブラシ毛を長くしておけば、ブラシ毛を歯間や歯周ポケットに咬合させることが可能となる。これにより、歯の裏側の歯間や奥歯の裏側の歯周ポケットの歯垢を効率的に除去することができる。
複数のブラシ毛は、対角線の交点が最も長く、交点から対角線の端部方向に連続的に短くなってもよい。
かかる構成により、対角線の交点に位置するブラシ毛を先端としてその周囲に位置する複数本のブラシ毛で円錐や多角錐といった錐形状となるため、歯の水平方向の厚みの方向に狭くなる歯間や奥歯の裏側の歯周ポケットに、ブラシ毛を確実に咬合させることができる。
上記課題を解決するために、本発明の他の歯ブラシは、植毛基台上に植毛された複数の毛束で構成されるブラシ部と、ブラシ部から延長された把持部とを備え、複数の毛束は、把持部の長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように配置され、配列の対角線上に位置する毛束は、対角線上に位置していない毛束よりも撓みにくいことを特徴とする。
歯の裏側の刷掃を試みると、歯ブラシと歯が接触してしまい、歯ブラシの短手方向と、歯間方向とを合わせることはできず、歯ブラシの短手方向と歯間方向とに多少なりとも角度が生じ、歯ブラシの凸部が歯間に咬合しなくなる。また、奥歯の裏側の刷掃を試みると、歯ブラシと前歯が接触してしまい、歯ブラシの短手方向と、歯周ポケット方向とを合わせることはできず、歯ブラシの短手方向と歯周ポケット方向とに多少なりとも角度が生じ、歯ブラシの凸部が歯周ポケットに入り込めなくなる。そこで、ユーザが歯の裏側を磨こうとして、歯ブラシの短手方向と歯間方向または歯周ポケット方向とが所定の角度を為す場合に、歯間方向または歯周ポケット方向と略同じ方向になる、対角線上に位置する毛束を撓みにくくしておけば、毛束を歯間や歯周ポケットに咬合させることが可能となる。これにより、歯の裏側の歯間や奥歯の裏側の歯周ポケットの歯垢を効率的に除去することができる。
配列の対角線上に位置する毛束の直径は、対角線上に位置していない毛束の直径よりも大きくてもよい。配列の対角線上に位置する毛束のブラシ毛の密度は、対角線上に位置していない毛束の密度よりも高くてもよい。配列の対角線上に位置する毛束は、対角線上に位置していない毛束よりも、堅い材質からなるブラシ毛で構成されていてもよい。配列の対角線上に位置する毛束は、対角線上に位置していない毛束よりも、太いブラシ毛で構成されていてもよい。
かかる構成により、配列の対角線上に位置する毛束を、対角線上に位置しない毛束よりも撓みにくくすることができる。
対角線に位置するブラシ毛は、対角線上に位置していないブラシ毛とは、異なる色であってもよい。
これにより、対角線に位置する毛束の方向を色の相違により明示的に表現でき、歯ブラシをどのような角度で持てば、対角線上に位置する毛束と、歯間や奥歯の歯周ポケットとを咬合させることができるかをユーザに視覚的かつ直感的に把握させることが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明の歯ブラシの製造方法は、植毛基台と植毛基台から延長される把持部とを形成する基台形成工程と、把持部の長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように、複数の毛束を植毛する植毛工程とを含み、配列の対角線上に位置する毛束のブラシ毛は、対角線上に位置していない毛束のブラシ毛よりも長く形成されることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の他の歯ブラシの製造方法は、植毛基台と植毛基台から延長される把持部とを形成する基台形成工程と、植毛基台に複数のブラシ毛を植毛する植毛工程と、植毛された領域の対角線上に位置するブラシ毛を頂部とし、対角線から遠ざかるにつれてブラシ毛の長さが連続的に短くなるように、ブラシ毛を切除する毛切工程とを含むことを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の他の歯ブラシの製造方法は、植毛基台と該植毛基台から延長される把持部とを形成する基台形成工程と、把持部の長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように、複数の毛束を植毛する植毛工程とを含み、配列の対角線上に位置する毛束のブラシ毛は、対角線上に位置していない毛束のブラシ毛よりも撓みにくく形成されることを特徴とする。
上述した歯ブラシの技術的思想に基づく構成要素やその説明は、当該歯ブラシの製造方法にも適用可能である。
本発明は、歯の表側のみならず歯の裏側の歯間および歯周ポケットを効果的に刷掃することができる。したがって、本発明にかかる歯ブラシを用いれば、歯の表側のみならず歯の裏側の、平滑面、歯間、奥歯や歯周ポケットを確実に刷掃することができ、歯に付着した歯垢を効果的に除去することが可能となる。
第1の実施形態にかかる歯ブラシの六面図である。 ブラシ部を説明するための説明図である。 植毛基台の一例を説明するための説明図である。 第1の実施形態にかかる毛束の配列について説明するための説明図である。 歯と歯ブラシとの相対位置関係を説明するための説明図である。 歯と歯ブラシとの相対位置関係を説明するための説明図である。 歯と歯ブラシとの相対位置関係を説明するための説明図である。 第1の実施形態にかかる歯ブラシの製造方法を説明するための説明図である。 第2の実施形態にかかる歯ブラシの六面図である。 ブラシ部を説明するための説明図である。 歯と歯ブラシとの相対関係を説明するための説明図である。 第2の実施形態にかかる歯ブラシの製造方法を説明するための説明図である。 第3の実施形態にかかる歯ブラシの六面図である。 第3の実施形態にかかる歯ブラシの断面図である。 ブラシ部を説明するための説明図である。 植毛基台の一例を説明するための説明図である。 第3の実施形態にかかる毛束の配列について説明するための説明図である。 第3の実施形態にかかる歯ブラシの製造方法を説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる歯ブラシ100の六面図であり、図2は、ブラシ部110を説明するための説明図である。図1中、(a)が左側面図、(b)が正面図、(c)が右側面図、(d)が背面図、(e)が上面図、(f)が底面図をそれぞれ示す。
図1および図2に示すように、歯ブラシ100は、ブラシ部110と、ブラシ部110から延長された把持部102とを含んで構成される。
ブラシ部110は、植毛基台112と、植毛基台112上に植毛された複数の毛束150とで構成される。
植毛基台112および把持部102は、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリプロピレン(PP)、セルロースプロピオネート等のセルロース誘導体、ポリアミド、ポリカーボネート−ポリエチレンテレフタレート共重合体(PC−PET)、ポリカーボネート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(PC−ABS)、ポリメチルペンテン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル酸系ポリマー、ポリアセタール樹脂、熱可塑性エラストマー(オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル(PVC)系等)等またはこれらの混合物で構成される。
図3は、植毛基台112の一例を説明するための説明図である。図3(a)に示すように、本実施形態の植毛基台112は、例えば、把持部102の長手方向、すなわち歯ブラシ100の長手方向(以下、単に長手方向と称する)に13.2mm、把持部102の短手方向、すなわち歯ブラシ100の短手方向(以下、単に短手方向と称する)に12.9mmで形成され、長手方向の端部112aは半径(R)41.6mmの曲面形状となっている。また植毛基台112の短手方向の端部112b、112cは半径(R)11.625mmの曲面形状となっている。
また植毛基台112には、毛束150を植毛するための植毛穴114(直径1.3mmから1.6mm)が21穴形成されている。図3に示す例において植毛穴114は、直径1.5mmである。
本実施形態において植毛穴114は、長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように植毛基台112に配置される。植毛穴114は、長手方向に延びる方向にも短手方向に延びる方向にも列を構成するように植毛基台112に配置されるが、ここでは、説明の便宜のため、短手方向に延びる配列を列、長手方向に延びる配列を行とする。
図3(b)に示すように、植毛穴114は、植毛基台112の長手方向の端部112aから長手方向にA列、B列、C列、D列、E列の5列を構成するように配置され、A列、B列、D列、E列は短手方向に4穴、C列は短手方向に5穴配置される。
毛束150は、太さ0.13mmから0.3mmのブラシ毛を複数含んで構成される。ブラシ毛は、0.13mm未満では、曲げ強度が十分でない場合があり、0.3mmを超えると剛直になりすぎてしまう。またブラシ毛は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン等の合成樹脂またはこれらの混合物、豚毛等の獣毛で構成される。
図4は、第1の実施形態にかかる毛束150の配列について説明するための説明図である。毛束150は、植毛基台112の植毛穴114に植毛されるので、図4に示すように、毛束150は、A列、B列、D列、E列には短手方向に4本、C列には短手方向に5本配置される。
本実施形態では、配列の対角線上に位置する毛束150a(図4中黒色で塗りつぶしている)のブラシ毛は、対角線上に位置していない毛束150b(図4中白色で塗りつぶしている)のブラシ毛よりも図4中手前方向に1mmから2mm長い。例えば、対角線上に位置していない毛束150bの植毛基台112から先端部まで長さが11mmである場合、対角線上に位置する毛束150aは、12.5mmである。
図5から図7は、歯と歯ブラシとの相対位置関係を説明するための説明図である。図5、図6は、歯を裏側から見た図であり、歯ブラシのブラシ毛は、図の奥方向に植毛されている。特に図5は、歯間方向を示す図であり、図6および図7は、奥歯の歯周ポケット方向を示す図であり、図7は、歯ブラシの、対角線上に位置する毛束が奥歯の歯周ポケットに当接する様子を説明するための説明図である。
図5に示すように、歯ブラシを用いて歯の裏側の刷掃を試みると、歯ブラシと歯が接触してしまい、歯ブラシの短手方向と、歯間方向(歯の生える方向に沿って形成される歯間の方向)とを合わせることはできず、歯ブラシの短手方向と歯間方向とに多少なりとも角度が生じ、歯ブラシの凸部が歯間に咬合しなくなる。
したがって、図5(b)に示す従来の、単に長手方向に沿ってブラシの先端部が凸部12と凹部14を形成しただけの歯ブラシ10を用いたとしても、図5(c)に示すように、凸部12の頂部の方向と、歯間方向に角度θが生じてしまい、歯間方向に沿って凸部12の頂部を当てることができず、歯の裏側の歯間を磨くことはできない。
そこで、図5(a)に示すように、短手方向と歯間方向とに角度を生じさせた場合に歯間方向と略平行になる、対角線上に位置する毛束150aを長くしておけば、毛束150aを歯間に咬合させることが可能となる。ここで、上歯の裏側を磨く際に、歯間方向と平行した方向の対角線上に位置する毛束150aは、下歯の裏側を磨く際に歯間方向と直交することになる。
また、図6に示すように、歯ブラシを用いて、奥歯の裏側の刷掃を試みると、歯ブラシと前歯が接触してしまい、歯ブラシの短手方向と、歯周ポケット方向(歯と歯茎の間に形成される歯周ポケットの長手方向)とを合わせることはできず、歯ブラシの短手方向と歯周ポケット方向とに多少なりとも角度が生じ、歯ブラシの凸部が歯周ポケットに入り込めなくなる。
したがって、図5(b)に示す従来の、単に長手方向に沿ってブラシの先端部が凸部12と凹部14を形成しただけの歯ブラシ10を用いたとしても、図6(b)に示すように、凸部12の頂部の方向と、歯周ポケット方向に角度δが生じてしまい、歯周ポケット方向に沿って凸部12の頂部を当てることができず、歯の裏側の歯間を磨くことはできない。特に、奥歯は、前歯と比較してカーブがきついため、歯周ポケット方向に沿って凸部12の頂部を当てることができない。したがって、奥歯の裏側の歯周ポケットの磨き残しが多くなってしまう。
そこで、図6(a)に示すように、短手方向と歯周ポケット方向とに角度を生じさせた場合に歯周ポケット方向と略平行になる、対角線上に位置する毛束150aを長くしておけば、毛束150aを歯周ポケットに咬合させることが可能となる。ここでは、理解を容易にするために、下歯について図示したが、上歯の裏側の奥歯の歯周ポケットについても毛束150aを咬合させることが可能となる。したがって、上歯の裏側を磨く際に、歯周ポケット方向と平行した方向の対角線上に位置する毛束150aは、下歯の裏側を磨く際に歯周ポケット方向と直交することになる。
また、図7に示すように、対角線上に位置する毛束150aを長くしているので、対角線上に位置しない毛束150bが奥歯(臼歯)や歯茎の側面に当接しつつも、毛束150aが歯周ポケットに咬合する。ここでは、理解を容易にするために、下歯について図示したが、上歯の奥歯の歯周ポケットについても毛束150aを咬合させることが可能となる。
なお、本実施形態において、毛束150aが位置する対角線と、長手方向との為す角は、38.5度(または141.5度)となるが、これに限定されず、毛束150aが位置する対角線と、歯ブラシ100の長手方向との為す角は、30度から45度の任意の角度とすることができる。
ここで、植毛基台112の、長手方向の中央に位置する列(ここではC列)および短手方向の中央に位置する行は奇数本の毛束150で構成される。これにより、短手方向に延びる列の数と、長手方向に延びる行の数が異なったとしても、毛束150を確実に対角線に位置させることができる。また、長手方向に延びる行の中央に位置する行および短手方向に延びる列の中央に位置する列の真中に位置する毛束150a(C列に配される毛束150a)は、2本の対角線のいずれにも属し、上歯を磨く際にも、下歯を磨く際にも歯間および歯周ポケットを効果的に刷掃することが可能となる。
また、本実施形態において、対角線に位置する毛束150aのブラシ毛は、対角線上に位置していない毛束150bのブラシ毛とは、異なる色である。ここでは、対角線上に位置していないブラシ毛を例えば白色とし、対角線に位置する毛束150aのブラシ毛を例えば青色とする。これにより、対角線に位置する毛束150aの方向を色の相違により明示的に表現でき、歯ブラシ100をどのような角度で持てば、対角線上に位置する毛束150aと歯間または歯周ポケットとを咬合させることができるかをユーザに視覚的かつ直感的に把握させることが可能となる。
また、植毛基台112を透明で構成すれば、対角線上に位置する毛束150aを歯ブラシ100の背面から鏡越しにユーザに視認させることもでき、ユーザは、対角線が歯間に沿うようにブラッシングするだけで、対角線上に位置する毛束150aと歯間とが咬合することになり、容易に歯間を刷掃することが可能となる。また、ユーザは、対角線が歯周ポケットに沿うようにブラッシングするだけで、対角線上に位置する毛束150aと歯周ポケットとが咬合することになり、容易に歯周ポケットを刷掃することが可能となる。
なお、本実施形態では、対角線に位置する毛束150aのブラシ毛を、対角線上に位置していない毛束150bのブラシ毛とは、異なる色としているが、これに限定されず、対角線に位置する毛束150aをユーザに認識させることができればよく、対角線に位置する毛束150aのブラシ毛の一部(例えば、先端)を対角線に位置しない毛束150bのブラシ毛と異なる色にしたり、対角線に位置する毛束150aのブラシ毛の形状を対角線に位置しない毛束150bのブラシ毛と相違させたり、ブラシ部110背面の、対角線に位置する毛束150aが植毛されている植毛穴114に対応する位置のみを着色したりしてもよい。
以上説明したように、本実施形態にかかる歯ブラシ100によれば、対角線に位置する毛束150aのブラシ毛を、対角線上に位置していない毛束150bのブラシ毛より長くする構成により、歯の表側のみならず歯の裏側の歯間および歯周ポケットを効果的に刷掃することができる。したがって、歯ブラシ100を用いれば、歯の表側のみならず歯の裏側の、平滑面、歯間、奥歯や、歯と歯茎の間の歯周ポケット(特に奥歯の裏側の歯周ポケット)等を確実に刷掃することができ、歯に付着した歯垢を効果的に除去することが可能となる。
(歯ブラシの製造方法)
次に、上述した歯ブラシ100の製造方法について説明する。図8は、第1の実施形態にかかる歯ブラシ100の製造方法を説明するための説明図である。図8に示すように本実施形態にかかる歯ブラシ100の製造方法は、植毛基台112と植毛基台112から延長される把持部102とを形成する基台形成工程(S200)と、把持部102の長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように、複数の毛束150を植毛する植毛工程(S202)とを含む。
ここで植毛工程S202において植毛される、配列の対角線上に位置する毛束150aのブラシ毛は、対角線上に位置していない毛束150bのブラシ毛よりも長く形成される。
このように本実施形態にかかる歯ブラシ100の製造方法においても、歯の表側のみならず歯の裏側の歯間および歯周ポケットを効果的に刷掃することができる歯ブラシ100を提供することが可能となる。
(第2の実施形態:歯ブラシ300)
図9は、第2の実施形態にかかる歯ブラシ300の六面図であり、図10は、ブラシ部310を説明するための説明図である。図9中、(a)が左側面図、(b)が正面図、(c)が右側面図、(d)が背面図、(e)が上面図、(f)が底面図をそれぞれ示す。
図9および図10に示すように、歯ブラシ300は、ブラシ部310と、ブラシ部310から延長された把持部102とを含んで構成される。第1の実施形態における構成要素として既に述べた102は、実質的に機能が等しいので重複説明を省略し、ここでは、構成が相違するブラシ部310を主に説明する。
ブラシ部310は、植毛基台312と、植毛基台312上に植毛された複数のブラシ毛で構成される。なお、植毛基台312の材質は、植毛基台112の材質と実質的に等しく、ブラシ毛の材質は、毛束150を構成するブラシ毛の材質と実質的に等しいため、重複説明を省略する。
本実施形態において植毛基台312に植毛されたブラシ毛350の構造は、植毛された領域の対角線上に位置するブラシ毛350a(図9および図10中黒色で示す)を頂部とし、対角線から遠ざかるにつれてブラシ毛350の長さが連続的に短くなる。
上述したように、歯の裏側の刷掃を試みると、歯ブラシ300と歯が接触してしまい、歯ブラシ300の短手方向と、歯間方向とを合わせることはできず、歯ブラシ300の短手方向と歯間方向とに多少なりとも角度が生じ、歯ブラシの凸部が歯間に咬合しなくなる。
そこで、ユーザが歯の裏側を磨こうとして、歯ブラシ300の短手方向と歯間方向とが所定の角度を為す場合に、歯間方向と略同じ方向になる、対角線上に位置するブラシ毛350aを長くしておけば、ブラシ毛350aを歯間に咬合させることが可能となる。これにより、歯の裏側の歯間の歯垢を効率的に除去することができる。
また、植毛基台312に植毛された複数のブラシ毛350は、対角線の交点が最も長く、交点から対角線の端部方向に連続的に短くなる。ここで、対角線の端部に位置するブラシ毛350の長さは、対角線の交点に位置するブラシ毛350の長さより1.3から1.6mm短くなる。例えば、対角線の交点に位置するブラシ毛350の長さが12.5mmであると、対角線の端部に位置するブラシ毛350の長さは11mmとなり、対角線上に位置しないブラシ毛350の最短の長さは、9mmとなる。
図11は、歯と歯ブラシとの相対関係を説明するための説明図である。図11に示すように、対角線の交点に位置するブラシ毛350を先端としてその周囲に位置する複数本のブラシ毛350で円錐や多角錐といった錐形状を構成するため、歯の水平方向の厚みの方向に狭くなる歯間や、歯と歯茎の間に形成される歯周ポケット、特に前歯よりもカーブがきつい(オーバハングした)奥歯の歯間や歯周ポケットに、ブラシ毛350を確実に咬合させることができる。
また、本実施形態においても、対角線に位置するブラシ毛350aをユーザに認識させるために、対角線に位置するブラシ毛350aを、対角線上に位置していないブラシ毛350とは異なる色にしても、対角線に位置するブラシ毛350aを最も濃い色とし、対角線上に位置しないブラシ毛350を、対角線から遠ざかるにつれて、徐々に色を薄くしても、対角線に位置するブラシ毛350aおよびその付近の所定本数(例えば5本)のブラシ毛350を対角線上に位置していないブラシ毛350とは異なる色にしてもよい。また、対角線に位置するブラシ毛350aの一部(例えば、先端)を対角線上に位置しないブラシ毛350と異なる色にしても、対角線に位置するブラシ毛350aの形状を対角線上に位置しないブラシ毛350と相違させてもブラシ部310背面の、対角線に位置するブラシ毛350aが植毛されている植毛穴に対応する位置のみを着色したりしてもよい。
これにより、対角線に位置するブラシ毛350aの視認性を向上させることができ、歯ブラシ300をどのような角度で持てば、対角線上に位置するブラシ毛350aと歯間または歯周ポケットとを咬合させることができるかをユーザに示唆することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態にかかる歯ブラシ300によれば、歯の表側のみならず歯の裏側の歯間および歯周ポケットを効果的に刷掃することができる。したがって、歯ブラシ300を用いれば、歯の表側のみならず歯の裏側の、平滑面、歯間、奥歯や歯周ポケット等を確実に刷掃することができ、歯に付着した歯垢を効果的に除去することが可能となる。
(歯ブラシの製造方法)
次に、上述した歯ブラシ300の製造方法について説明する。図12は、第2の実施形態にかかる歯ブラシ300の製造方法を説明するための説明図である。図12に示すように本実施形態にかかる歯ブラシ300の製造方法は、植毛基台312と植毛基台312から延長される把持部102とを形成する基台形成工程(S400)と、植毛基台312に複数のブラシ毛350を植毛する植毛工程(S402)と、植毛された領域の対角線上に位置するブラシ毛350aを頂部とし、対角線から遠ざかるにつれてブラシ毛350の長さが連続的に短くなるように、ブラシ毛を切除する毛切工程(S404)とを含む。
毛切工程S404を含む工程により、容易かつ確実に、対角線上に位置するブラシ毛350aを頂部とし、対角線から遠ざかるにつれてブラシ毛350の長さを連続的に短くすることができる。また対角線の交点が最も長く、交点から対角線の端部方向に連続的に短くなるようにブラシ毛350を形成することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態にかかる歯ブラシ300の製造方法においても、歯の表側のみならず歯の裏側の歯間および歯周ポケットを効果的に刷掃することができる歯ブラシ300を提供することが可能となる。
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態にかかる歯ブラシ500の六面図であり、図14は、第3の実施形態にかかる歯ブラシ500の断面図であり、図15は、ブラシ部510を説明するための説明図である。図13中、(a)が左側面図、(b)が正面図、(c)が右側面図、(d)が背面図、(e)が上面図、(f)が底面図をそれぞれ示し、図14中、(a)が、図13のA−A断面図を、(b)が、図13のB−B断面図を、(c)が、図13のC−C断面図を、(d)が、図13のD−D断面図を、(e)が、図13のE−E断面図を、(f)が、図13のF−F断面図を、(g)が、図13のG−G断面図を、それぞれ示し、図14中、理解を容易にするために毛束を省略する。
図13、図14および図15に示すように、歯ブラシ500は、ブラシ部510と、ブラシ部510から延長された把持部502とを含んで構成される。
ブラシ部510は、植毛基台512と、植毛基台512上に植毛された複数の毛束550とで構成される。
植毛基台512および把持部502は、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリプロピレン(PP)、セルロースプロピオネート等のセルロース誘導体、ポリアミド、ポリカーボネート−ポリエチレンテレフタレート共重合体(PC−PET)、ポリカーボネート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(PC−ABS)、ポリメチルペンテン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル酸系ポリマー、ポリアセタール樹脂、熱可塑性エラストマー(オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル(PVC)系等)等またはこれらの混合物で構成される。
図16は、植毛基台512の一例を説明するための説明図である。図16(a)に示すように、本実施形態の植毛基台512は、例えば、把持部502の長手方向、すなわち歯ブラシ500の長手方向(以下、単に長手方向と称する)に14mm、把持部502の短手方向、すなわち歯ブラシ500の短手方向(以下、単に短手方向と称する)に12.7mmで形成され、長手方向の端部512aは半径(R)12.945mmの曲面形状となっている。また植毛基台512の短手方向の端部512b、512cは半径(R)12.451mmの曲面形状となっている。
また植毛基台512には、毛束550を植毛するための植毛穴514が21穴形成されている。本実施形態において、対角線上に位置する植毛穴514aの直径は、対角線上に位置していない植毛穴514の直径よりも大きい。図16に示す例において、植毛穴514aは、直径1.7mmであり、植毛穴514bは、直径1.5mmである。
本実施形態において植毛穴514は、長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように植毛基台512に配置される。植毛穴514は、長手方向に延びる方向にも短手方向に延びる方向にも列を構成するように植毛基台512に配置されるが、ここでは、説明の便宜のため、短手方向に延びる配列を列、長手方向に延びる配列を行とする。
図16(b)に示すように、植毛穴514は、植毛基台512の長手方向の端部512aから長手方向にA列、B列、C列、D列、E列の5列を構成するように配置され、A列、B列、D列、E列は短手方向に4穴、C列は短手方向に5穴配置される。
毛束550は、太さ0.13mmから0.3mmのブラシ毛を複数含んで構成される。ブラシ毛は、0.13mm未満では、曲げ強度が十分でない場合があり、0.3mmを超えると剛直になりすぎてしまう。またブラシ毛は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン等の合成樹脂またはこれらの混合物、豚毛等の獣毛で構成される。なお、本実施形態において、毛束550を構成するブラシ毛の長さは、全て等しく、例えば、11mmである。
図17は、第3の実施形態にかかる毛束550の配列について説明するための説明図である。毛束550は、植毛基台512の植毛穴514に植毛されるので、図17に示すように、毛束550は、A列、B列、D列、E列には短手方向に4本、C列には短手方向に5本配置される。
本実施形態では、配列の対角線上に位置する毛束550a(図17中黒色で塗りつぶしている)のブラシ毛は、対角線上に位置していない毛束550b(図17中白色で塗りつぶしている)のブラシ毛よりも撓みにくく形成される。
ここでは、配列の対角線上に位置する植毛穴514aの直径が、対角線上に位置していない植毛穴514bの直径よりも大きく形成されることから、植毛穴514aに植毛される毛束550aの直径は、植毛穴514bに植毛される毛束550bの直径よりも大きくなる。これにより、毛束550aは、毛束550bよりも撓みにくくなる。
図5を参照して説明すると、図5(a)に示すように、短手方向と歯間方向とに角度を生じさせた場合に歯間方向と略平行になる、対角線上に位置する毛束550aを毛束550bよりも撓みにくくしておけば、毛束550aを歯間に咬合させることが可能となる。ここで、上歯の裏側を磨く際に、歯間方向と平行した方向の対角線上に位置する毛束550aは、下歯の裏側を磨く際に歯間方向と直交することになる。
また、図6を参照して説明すると、図6(a)に示すように、短手方向と歯周ポケット方向とに角度を生じさせた場合に歯周ポケット方向と略平行になる、対角線上に位置する毛束550aを撓みにくくしておけば、毛束550aを歯周ポケットに咬合させることが可能となる。ここでも、上歯の裏側を磨く際に、歯周ポケット方向と平行した方向の対角線上に位置する毛束550aは、下歯の裏側を磨く際に歯周ポケット方向と直交することになる。
さらに、図7を参照して説明すると、対角線上に位置する毛束550aを撓みにくくしているため、対角線上に位置しない毛束550bが奥歯(臼歯)や歯茎の側面に当接して撓みつつも、撓みにくい毛束550aが歯周ポケットに咬合する。ここでは、理解を容易にするために、下歯について図示したが、上歯の奥歯の歯周ポケットについても毛束550aを咬合させることが可能となる。
このように対角線上に位置する毛束550aのブラシ毛を、対角線上に位置しない毛束550bのブラシ毛よりも撓みにくくする構成により、歯の表側のみならず歯の裏側の歯間や、歯周ポケット、特に、奥歯の裏側の歯周ポケットを効果的に刷掃することができる。したがって、歯ブラシ500を用いれば、歯の表側のみならず歯の裏側の、平滑面、歯間、奥歯や、歯と歯茎の間の歯周ポケット(特に奥歯の裏側の歯周ポケット)等を確実に刷掃することができ、歯に付着した歯垢や、歯周ポケットに蓄積した汚れを効果的に除去することが可能となる。
なお、本実施形態においても、毛束550aが位置する対角線と、長手方向との為す角は、38.5度(または141.5度)となるが、これに限定されず、毛束550aが位置する対角線と、歯ブラシ500の長手方向との為す角は、30度から45度の任意の角度とすることができる。
ここで、植毛基台512の、長手方向の中央に位置する列(ここではC列)および短手方向の中央に位置する行は奇数本の毛束550で構成される。これにより、短手方向に延びる列の数と、長手方向に延びる行の数が異なったとしても、毛束550を確実に対角線に位置させることができる。また、長手方向に延びる行の中央に位置する行および短手方向に延びる列の中央に位置する列の真中に位置する毛束550a(C列に配される毛束550a)は、2本の対角線のいずれにも属し、上歯を磨く際にも、下歯を磨く際にも歯間および歯周ポケットを効果的に刷掃することが可能となる。
また、本実施形態において、対角線に位置する毛束550aのブラシ毛は、対角線上に位置していないブラシ毛とは、異なる色である。ここでは、対角線上に位置していないブラシ毛を例えば白色とし、対角線に位置する毛束550aのブラシ毛を例えば青色とする。これにより、対角線に位置する毛束550aの方向を色の相違により明示的に表現でき、歯ブラシ500をどのような角度で持てば、対角線上に位置する毛束550aと歯間または歯周ポケットとを咬合させることができるかをユーザに視覚的かつ直感的に把握させることが可能となる。
また、植毛基台512を透明で構成すれば、対角線上に位置する毛束550aを歯ブラシ500の背面から鏡越しにユーザに視認させることもでき、ユーザは、対角線が歯間に沿うようにブラッシングするだけで、対角線上に位置する毛束550aと歯間とが咬合することになり、容易に歯間を刷掃することが可能となる。また、ユーザは、対角線が歯周ポケットに沿うようにブラッシングするだけで、対角線上に位置する毛束550aと歯周ポケットとが咬合することになり、容易に歯周ポケットを刷掃することが可能となる。
なお、本実施形態では、対角線に位置する毛束550aのブラシ毛を、対角線上に位置していない毛束550のブラシ毛とは、異なる色としているが、これに限定されず、対角線に位置する毛束550aをユーザに認識させることができればよく、対角線に位置する毛束550aのブラシ毛の一部(例えば、先端)を対角線に位置しない毛束550のブラシ毛と異なる色にしたり、対角線に位置する毛束550aのブラシ毛の形状を対角線に位置しない毛束550のブラシ毛と相違させたり、ブラシ部510背面の、対角線に位置する毛束550aが植毛されている植毛穴514に対応する位置のみを着色したりしてもよい。
また、ここでは、配列の対角線上に位置する毛束550aの直径を、植毛穴514bに植毛される毛束550bの直径よりも大きくすることで、毛束550aを、毛束550bよりも撓みにくくしているが、これに限定されず、対角線上に位置する毛束550aのブラシ毛を、対角線上に位置しない毛束550bのブラシ毛よりも撓みにくくできれば、他の構成でもよい。
例えば、配列の対角線上に位置する毛束550aのブラシ毛の密度を、対角線上に位置していない毛束550bの密度よりも高くしたり、配列の対角線上に位置する毛束550aを、対角線上に位置していない毛束550bよりも、堅い材質からなるブラシ毛で構成したり、配列の対角線上に位置する毛束550aを、対角線上に位置していない毛束550bよりも、太いブラシ毛で構成したりしてもよい。
以上説明したように、本実施形態にかかる歯ブラシ500によれば、毛束550aのブラシ毛を毛束550bのブラシ毛よりも撓みにくくする構成により、歯の表側のみならず歯の裏側の歯間や、歯周ポケット、特に、奥歯の裏側の歯と歯茎の間を効果的に刷掃することができる。したがって、歯ブラシ500を用いれば、歯の表側のみならず歯の裏側の、平滑面、歯間、奥歯や、歯と歯茎の間の歯周ポケット(特に奥歯の裏側の歯周ポケット)等を確実に刷掃することができ、歯に付着した歯垢や、歯周ポケットに蓄積した汚れを効果的に除去することが可能となる。
(歯ブラシの製造方法)
次に、上述した歯ブラシ500の製造方法について説明する。図18は、第3の実施形態にかかる歯ブラシ500の製造方法を説明するための説明図である。図18に示すように本実施形態にかかる歯ブラシ500の製造方法は、植毛基台512と植毛基台512から延長される把持部502とを形成する基台形成工程(S600)と、把持部502の長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように、複数の毛束550を植毛する植毛工程(S602)とを含む。
ここで植毛工程S602において植毛される、配列の対角線上に位置する毛束550aのブラシ毛は、対角線上に位置していない毛束550bのブラシ毛よりも撓みにくく形成される。
このように本実施形態にかかる歯ブラシ500の製造方法においても、歯の表側のみならず歯の裏側の、平滑面、歯間、奥歯や、歯と歯茎の間の歯周ポケット(特に奥歯の裏側の歯周ポケット)等を確実に刷掃することができる、歯ブラシ500を提供することが可能となる。
[変形例]
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
上記各実施形態では、優先的に歯に当たる毛束(毛束150a又は毛束550a)が位置する対角線と、長手方向との為す角度を38.5度(または141.5度)とした形態を具体例として説明した。これは、歯の内側を磨くときに、歯ブラシを十分に立てる場合には好適であるが、歯ブラシを立てずにブラッシングすることに慣れているユーザには、最適とは言えない場合がある。
そこで、歯ブラシを立てずにブラッシングするユーザに提供する場合には、優先的に歯に当たる毛束(毛束150a又は毛束550a)が位置する対角線と、長手方向との為す角度を22度から28度としてもよい。より具体的には、優先的に歯に当たる毛束(毛束150a又は毛束550a)が位置する対角線と、長手方向との為す角度を25度としてもよい。例えば、図4において、A列に属する毛束のうち、中央の2つの毛束(150b)を1つに減らし、かつ、E列に属する毛束のうち、中央の2つの毛束(150b)を1つに減らすことによって、毛束150aが位置する対角線と、長手方向との為す角度を25度にすることができる。
このように本変形例の歯ブラシによれば、歯ブラシを横に寝かせた状態でブラッシングするユーザであっても、効率的に歯の裏側を刷掃することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、本明細書の歯ブラシの製造方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的に進めることも可能である。
本発明は、歯の歯垢を除去する歯ブラシおよび歯ブラシの製造方法に利用することができる。
100、300、500 …歯ブラシ
102、502 …把持部
110、310、510 …ブラシ部
112、312、512 …植毛基台
114、514 …植毛穴
150、550 …毛束
350 …ブラシ毛

Claims (13)

  1. 植毛基台上に植毛された複数の毛束で構成されるブラシ部と、
    前記ブラシ部から延長された把持部と、
    を備え、
    前記複数の毛束は、前記把持部の長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように配置され、
    前記配列の対角線上に位置する毛束のブラシ毛は、前記対角線上に位置していない毛束のブラシ毛よりも長いことを特徴とする歯ブラシ。
  2. 前記配列の長手方向および短手方向の中央に位置する列は奇数本の毛束で構成されることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ。
  3. 植毛基台上に植毛された複数のブラシ毛で構成されるブラシ部と、
    前記ブラシ部から延長された把持部と、
    を備え、
    植毛された領域の対角線上に位置するブラシ毛を頂部とし、前記対角線から遠ざかるにつれてブラシ毛の長さが連続的に短くなることを特徴とする歯ブラシ。
  4. 前記複数のブラシ毛は、前記対角線の交点が最も長く、前記交点から前記対角線の端部方向に連続的に短くなることを特徴とする請求項3に記載の歯ブラシ。
  5. 植毛基台上に植毛された複数の毛束で構成されるブラシ部と、
    前記ブラシ部から延長された把持部と、
    を備え、
    前記複数の毛束は、前記把持部の長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように配置され、
    前記配列の対角線上に位置する毛束は、前記対角線上に位置していない毛束よりも撓みにくいことを特徴とする歯ブラシ。
  6. 前記配列の対角線上に位置する毛束の直径は、前記対角線上に位置していない毛束の直径よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の歯ブラシ。
  7. 前記配列の対角線上に位置する毛束のブラシ毛の密度は、前記対角線上に位置していない毛束の密度よりも高いことを特徴とする請求項5に記載の歯ブラシ。
  8. 前記配列の対角線上に位置する毛束は、前記対角線上に位置していない毛束よりも、堅い材質からなるブラシ毛で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の歯ブラシ。
  9. 前記配列の対角線上に位置する毛束は、前記対角線上に位置していない毛束よりも、太いブラシ毛で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の歯ブラシ。
  10. 前記対角線に位置するブラシ毛は、前記対角線上に位置していないブラシ毛とは、異なる色であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
  11. 植毛基台と該植毛基台から延長される把持部とを形成する基台形成工程と、
    前記把持部の長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように、複数の毛束を植毛する植毛工程と、
    を含み、
    前記配列の対角線上に位置する毛束のブラシ毛は、前記対角線上に位置していない毛束のブラシ毛よりも長く形成されることを特徴とする歯ブラシの製造方法。
  12. 植毛基台と該植毛基台から延長される把持部とを形成する基台形成工程と、
    前記植毛基台に複数のブラシ毛を植毛する植毛工程と、
    植毛された領域の対角線上に位置するブラシ毛を頂部とし、前記対角線から遠ざかるにつれてブラシ毛の長さが連続的に短くなるように、ブラシ毛を切除する毛切工程と、
    を含むことを特徴とする歯ブラシの製造方法。
  13. 植毛基台と該植毛基台から延長される把持部とを形成する基台形成工程と、
    前記把持部の長手方向および短手方向に規則的な配列を構成するように、複数の毛束を植毛する植毛工程と、
    を含み、
    前記配列の対角線上に位置する毛束のブラシ毛は、前記対角線上に位置していない毛束のブラシ毛よりも撓みにくく形成されることを特徴とする歯ブラシの製造方法。
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