JP2019517977A - 金属酸化物濃度勾配を含むガラス系物品 - Google Patents

金属酸化物濃度勾配を含むガラス系物品 Download PDF

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Abstract

化学強化ガラス系物品の形成方法を提供する。特定位の方法は:厚さ(t)、長さ寸法、幅及び重量を画定する第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面を備える、ガラス系基板を提供するステップ;並びに複数のアルカリイオンを上記ガラス系基板中へとイオン交換することによって、上記厚さ(t)の少なくとも1つの有意な部分に沿って変動する、ゼロではないアルカリ金属酸化物濃度を形成するステップを含む。上記イオン交換するステップは、ガラス系基板を、少なくとも約90重量%のKNO3及び約10重量%未満のNaNO3を含む溶融塩浴に、同一の溶融塩浴組成及び温度でピーク中心張力(CT)が生成されるイオン交換時間の70%〜130%の時間にわたって浸漬させるステップを含む。上記方法によって調製されるイオン交換済みガラス系物品も提供する。

Description

関連出願
本出願は、2016年4月20日出願の米国特許出願第62/325,353号に対する優先権を主張するものであり、上記特許出願は参照によりその全体が本出願に援用される。
本開示は、改善された破壊抵抗を含む改善された損傷耐性を示すガラス系物品に関し、より詳細には、ゼロでない金属酸化物濃度勾配、又は厚さのうちの有意な部分に沿って変化する濃度を示す、ガラス及びガラスセラミック物品に関する。
ガラス系物品は、上記物品の表面に傷を導入し得る、強い衝撃を受けることがある。このような傷は、表面から最大約200マイクロメートルの深さまで延在し得る。従来は、ガラス内へのこのような傷の導入によって引き起こされる破損を防止するために、熱強化ガラスが使用されてきた。というのは、熱強化ガラスは大きな圧縮応力(CS)層(例えばガラスの総厚さのおよそ21%)を呈することが多く、これは傷がガラス内へと更に伝播するのを防止でき、従って破損を防止できるためである。熱強化によって生成される応力プロファイルの一例を図1に示す。図1では、熱処理済みガラス系物品100は、第1の表面101、厚さt及び表面CS110を含む。熱処理済みガラス系物品100は、第1の表面101から圧縮深さ(DOC)130に向かって減少するCSを示し、本明細書中で定義されているように、この深さにおいて応力が圧縮応力から引張応力に変化し、最大中心張力(CT)120に到達する。
熱強化は現在、厚いガラス系物品(即ち厚さtが約3ミリメートル以上のガラス系物品)に限定されている。というのは、熱強化及び所望の残留応力を達成するためには、このような物品のコアと表面との間に十分な熱勾配を形成する必要があるためである。このような厚い物品は、ディスプレイ(例えば携帯電話、タブレット、コンピュータ、ナビゲーションシステム等を含む消費者向け電子機器)、建築用材(例えば窓、シャワーパネル、カウンタートップ等)、輸送(例えば自動車、鉄道、航空機、船舶等)、電気製品、又は破壊抵抗に優れているものの薄く軽い物品を必要とするいずれの用途といった、多くの用途において、望ましくないか又は実用的でない。
化学強化は、熱強化のようにガラス系物品の厚さによって制限されていないが、公知の化学強化ガラス系物品は、熱強化ガラス系物品の応力プロファイルを示さない。化学強化によって(例えばイオン強化プロセスによって)生成される応力プロファイルの例を、図2に示す。図2では、化学強化ガラス系物品200は、第1の表面201、厚さt及び表面CS210を含む。ガラス系物品200は、第1の表面201からDOC230に向って低下するCSを示し、DOC230は本明細書では、応力が圧縮応力から引張応力へと変化して、最大CT220に到達する深さと定義される。図2に示すように、このようなプロファイルは、略平坦なCT領域、又はCT領域の少なくとも一部分に沿って引張応力が一定若しくは略一定となるCT領域を示す。多くの場合、公知の化学強化ガラス系物品は、図1に示す最大中央値に比べて、最大CT値が低い。
更に、化学強化において使用できるイオン交換プロセス、特に大きく重いイオンをガラス中に入れて比較的小さいイオンと交換するイオン強化プロセスは、基板の重量及び寸法の望ましくない増加をもたらす場合がある。これらの変化は特に、斜面状の縁部又は他の非対称の特徴部分を有するガラス系物品に関して問題となり得る。このようなガラス系物品において、重量及び寸法の変化はねじれをもたらす。イオン交換後の最終的な(大型の及び/又はねじれを有する)部品の、このような望ましくない形状変化を低減するための方法は、優先的に材料を除去することによって、所望の特徴を有する部品を生産するための、エッチング又は研磨を伴う場合がある。しかしながらこれらの手順は必然的に、更なるプロセスステップを製造工程に付加し、これにはコストがかかり、また取り扱いの機会の増加により、最終的な部品の収率が低くなる場合がある。更に上記手順は通常、特にスパイクCSの望ましくない低下、場合によってはスパイク厚さの望ましくない低下を招くことになる。
従って、改善された破壊抵抗を示す薄型ガラス系物品、及び上記ガラス系物品の望ましくない変化を低減する改善されたイオン交換プロセスの方法が、必要とされている。
本開示の第1の態様は:厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面と;ゼロではなく、かつ約0・t〜約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、金属酸化物の濃度と;71.5/√(t)以上の最大CTを備える中心張力(CT)領域とを備える、ガラス系物品に関し、上記ガラス系物品が破砕された場合、上記ガラス系物品は少なくとも2断片/インチ(断片/平方インチ)(0.31断片/cm)に破砕される。本明細書中で使用される場合、金属酸化物濃度の上記変動は、金属酸化物濃度勾配と呼ばれる場合もある。1つ以上の実施形態では、上記金属酸化物の上記濃度は、ゼロではなく、かつ上記厚さ全体に沿って変動する。1つ以上の実施形態では、上記CT領域は、ゼロではなく、かつ約0・t〜約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、金属酸化物濃度を含んでよい。1つ以上の実施形態の上記ガラス系物品は、約3ミリメートル(mm)以下、2mm以下又は約1以下の厚さtを含んでよい。
本開示の第2の態様は:約3ミリメートル未満の厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面と;上記厚さに沿って延在する応力プロファイルとを備える、ガラス系物品に関し、上記応力プロファイルの、約0・tから0.3・tまでの間及び0.7・t超の厚さ範囲の全ての点は、絶対値が約0.1MPa/マイクロメートル超である正接を有し、上記応力プロファイルは、最大CS、DOC、及び71.5/√(t)以上の最大CTを含み、最大CSに対する最大CTの比は、約0.01〜約0.2であり、上記DOCは約0.1・t以上である。
本開示の第3の態様は:厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面と;ゼロではなく、かつ約0・t〜約0.3・t(又は約0・t〜約0.4・t、又は約0・t〜約0.45・t)の厚さ範囲に沿って変動する、金属酸化物の濃度と;約200MPa以上の表面圧縮応力と;71.5/√(t)以上の最大CTを有するCT領域とを備える、ガラス系物品に関する。
本開示の第4の態様は:厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面と;濃度勾配を形成する金属酸化物とを備える、ガラス系物品に関し、上記金属酸化物の上記濃度は、上記第1の表面から、上記第1の表面と上記第2の表面との間のある点に向かって低下し、上記点から上記第2の表面に向かって増大し、上記点における上記金属酸化物の上記濃度はゼロではなく、上記ガラス系物品は、約0J/m超から20J/m未満の蓄積引張エネルギ及び約70GPa以上の弾性率を備える。
本開示の第5の態様は:約3ミリメートル未満の厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面と;上記厚さに沿って延在する応力プロファイルとを備える、ガラス系物品に関し、約0tから0.3tまでの間及び0.7t超の厚さ範囲の全ての点における上記応力プロファイルは、絶対値が約0.1MPa/マイクロメートル超である正接を有し、上記応力プロファイルは、最大CS、DOC及び最大CTを含み、最大CSに対する最大CTの比は、約0.01〜約0.2であり、上記DOCは約0.1・t以上であり、上記ガラス系物品は、約0J/m超から20J/m未満の蓄積引張エネルギ及び約70GPa以上の弾性率を備える。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は、上記厚さ全体に沿って連続的に変動する、金属酸化物のゼロではない濃度を備える。いくつかの例では、金属酸化物の上記ゼロではない濃度は、約10マイクロメートル未満の厚さセグメントに沿って連続的に変動する。
本開示の第6の態様は、CS領域及びCT領域を含む応力プロファイルを備える、ガラス系物品に関し、上記CT領域は、式:応力(x)=MaxT−(((CT・(n+1))/0.5n)・|(x/t)‐0.5|n)によって定義され、ここで:MaxTは最大引張値であり;CTはMaxT以下であり、かつMPaを単位とする正の値として与えられ;xはマイクロメートルを単位とする、厚さ(t)に沿った位置であり;nは1.5〜5である。いくつかの実施形態では、最大CT値は約50MPa〜約250MPaであり、また上記最大CT値は、約0.4t〜約0.6tの深さにおけるものである。1つ以上の実施形態では約0t〜約0.1tの厚さにおいて、上記応力プロファイルは、約20MPa/マイクロメートル〜約200MPa/マイクロメートルの範囲の傾斜を含む。1つ以上の実施形態では、上記応力プロファイルは、0.5tから表面までで測定された複数の誤差関数によって定義される。
本明細書に記載のガラス系物品の1つ以上の実施形態によると、上記金属酸化物の1価イオンは、約0・t〜約0.3・t、約0・t〜約0.4・t又は約0・t〜約0.45・tの厚さ範囲に沿って応力を生成する。1つ以上の実施形態の上記金属酸化物の濃度は、上記第1の表面から、上記第1の表面と上記第2の表面との間のある点に向かって低下し、上記点から上記第2の表面に向かって上昇する。
1つ以上の実施形態では、上記金属酸化物の上記濃度は、上記厚さ全体にわたって約0.05モル%以上である。例えば1つ以上の実施形態では、上記第1の表面における上記金属酸化物の上記濃度は、深さ約0.5・tにおける上記金属酸化物の上記濃度の約1.5倍高い。例示的実施形態では、上記ガラス系物品は、上記金属酸化物の合計濃度が約1モル%〜約15モル%である。1つ以上の実施形態では、上記金属酸化物の例としては、LiO、NaO、KO、RbO及びCsOのうちのいずれの1つ以上が挙げられる。1つ以上の実施形態では、上記金属酸化物は、上記ガラス系基板又は物品中の全金属酸化物の中で最大のイオン直径を有する。
1つ以上の実施形態では、上記CT領域は、ゼロではなく、かつ約0・t〜約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、上記金属酸化物を含む。本明細書に記載のガラス系物品の1つ以上の実施形態では、上記最大CTは71.5/√(t)以上である。
いくつかの実施形態のガラス物品は、第1の金属酸化物濃度及び第2の金属酸化物濃度を備える。いくつかの実施形態では、上記第1の金属酸化物濃度は、約0・t〜約0.5・tである第1の厚さ範囲において、約0モル%〜約15モル%である。いくつかの実施形態では、上記第2の金属酸化物濃度は、約0マイクロメートル〜約25マイクロメートルである第2の厚さ範囲において、約0モル%〜約10モル%である。上記ガラス系物品は、任意の第3の金属酸化物を含んでよい。
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品は、最大CTより大きな表面圧縮応力(CS)を示してよい。本明細書に記載のガラス系物品の1つ以上の実施形態は、約300MPa以上の表面CSを含んでよい。いくつかの例では、この表面CSは、上記ガラス系物品の厚さが約2mm以下である場合に示される。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は、約200MPa以上の表面CSと、約0.4・t以上の化学層深さ(chemical depth of layer)との組み合わせを示す。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は、上記第1の表面からDOCまで延在するCSを含み、上記DOCは約0.1・t以上である。いくつかの例では、表面CSに対する最大CTの比は約0.1〜約0.8である。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は非晶質構造を有する。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品は結晶質構造を含んでよい。
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品は、約380nm〜約780nmの波長にわたって、約88%以上の透過率を示してよい。いくつかの例では、本明細書に記載のガラス系物品は、CIE光源F02の下で、L*値約88以上、a*値約−3〜約+3、及びb*値約−6〜約+6の、CIELAB色空間座標を示してよい。
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品は、約70GPa以上の弾性率を含んでよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品は、約100キロポアズ(kP)未満の液相粘度を備える。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品は約0.65MPa・m1/2以上の破壊靭性(K1C)を示す。1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品は:合計量約15モル%以下のAl及びNaOを含む組成物;約4モル%以上のNaOを含む組成物;B及びZnOのうちのいずれの1つ以上を含む組成物;並びにPを略含まない組成物のうちのいずれの1つ以上を含む。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は、約460℃において、約450μm/時間(平方マイクロメートル/時間)以上の1価イオン拡散性を備える。いくつかの実施形態では、この1価イオン拡散性は、約0.15・t以上のDOCと、上記最大CTの1.5倍以上の表面CSとの組み合わせにおいて示される。
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品は特定の破砕挙動を示す。例えば、1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品が1回のイベント(即ち落下又は器具との1回の衝突等の、1回の衝撃)で破砕される場合、上記ガラス系物品は少なくとも2断片/インチ(断片/平方インチ)(0.31断片/cm)に破砕される。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品が破砕される場合、上記ガラス系物品は少なくとも少なくとも1断片/インチ(0.155断片/cm)〜40断片/インチ(断片/平方インチ)(6.2断片/cm)に破砕される。
本開示の第7の態様は、強化ガラス系物品中でのガラス基板の使用に関する。1つ以上の実施形態では、上記ガラス基板は(モル%で):約68%〜約75%のSiO;約12%〜約15%のAl;約0.5%〜約5%のB;約2%〜約10%のLiO;約0%〜約6%のNaO;約1%〜約4%のMgO;約0%〜約3%のZnO;及び約0%〜約5%のCaOを含み、上記ガラス基板はイオン交換可能であり、非晶質である。1つ以上の実施形態では、上記ガラス基板は:約0.45〜約1である、ROに対するLiOの比;約‐5%〜約0%である、ROの総量とAlの量との差;約0%〜約3%である、ROの総量(モル%)とAlの量との差;及び約0%〜約1%である、ROの総量(モル%)に対するMgOの量(モル%)の比のうちのいずれの1つ以上を示し、上記ガラス基板は核形成剤を略含まない。
本開示の第8の態様は、モル%で:約68%〜約75%のSiO;約12%〜約15%のAl;約0.5%〜約5%のB;約2%〜約10%のLiO;約0%〜約6%のNaO;約1%〜約4%のMgO;約0%〜約3%のZnO;及び約0%〜約5%のCaOを含む組成物を含む、ガラス基板に関し、上記ガラス基板はイオン交換可能であり、非晶質である。1つ以上の実施形態では、上記ガラス基板は:約0.45〜約1である、ROに対するLiOの比;約−5%〜約0%である、ROの総量とAlの量との差;約0%〜約3%である、ROの総量(モル%)とAlの量との差;及び約0%〜約1%である、ROの総量(モル%)に対するMgOの量(モル%)の比のうちのいずれの1つ以上を示す。1つ以上の実施形態では、上記ガラス基板は核形成剤を略含まない。
本開示の第9の態様は、モル%で:約68%〜約75%のSiO;約12%〜約15%のAl;約0.5%〜約5%のB;約2%〜約10%のLiO;約0%〜約6%のNaO;約1%〜約4%のMgO;約0%〜約3%のZnO;及び約0%〜約5%のCaOを含む、ガラス基板に関し、上記ガラス基板は非晶質であり、強化される。1つ以上の実施形態では、上記NaO濃度は上記ガラス基板内で変動する。1つ以上の実施形態では、上記ガラス基板は核形成剤を略含まない。1つ以上の実施形態によると、上記強化ガラス基板は、以下の組成的関係:約0.45〜約1である、ROに対するLiOの比;約‐5%〜約0%である、ROの総量とAlの量との差;約0%〜約3%である、ROの総量(モル%)とAlの量との差;及び約0%〜約1%である、ROの総量(モル%)に対するMgOの量(モル%)の比のうちのいずれの1つ以上を示す。
本開示の第10の態様は:前面、背面及び側面を有するハウジング;少なくとも部分的に上記ハウジングの内側にある、電気部品;上記ハウジングの上記前面の、又は上記前面に隣接する、ディスプレイ;並びに上記ディスプレイを覆うように配置されたカバー基板を備える、デバイスに関し、上記カバー基板又は上記ハウジングは、本明細書に記載の実施形態によるガラス系物品を含む。
本開示の第11の態様は、化学強化ガラス系物品の形成方法に関する。1つ以上の実施形態では、上記方法は:厚さ(t)、長さ寸法、幅及び重量を画定する第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面を備える、ガラス系基板を提供するステップ;並びに複数のアルカリイオンを上記ガラス系基板中へとイオン交換することによって、上記厚さ(t)の少なくとも1つの有意な部分に沿って変動する、ゼロではないアルカリ金属酸化物濃度を形成するステップを含み、上記イオン交換するステップは、上記ガラス系基板を、少なくとも約90重量%のカリウム塩(例えばKNO)及び約10重量%未満のナトリウム塩(例えばNaNO)を含む溶融塩浴に、約12時間未満にわたって浸漬させるステップを含む。
1つ以上の実施形態では、上記溶融塩浴は更に、約2重量%未満のリチウム塩(例えばLiNO)を含む。いくつかの実施形態では、上記厚さは約2mm未満である。1つ以上の実施形態では、上記厚さは約1mm未満である。いくつかの実施形態では、上記厚さは約0.8mm未満である。1つ以上の実施形態では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記重量が1.6%未満だけ増加する。いくつかの実施形態では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記長さ寸法が0.24%未満だけ変化する。1つ以上の実施形態では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記幅が0.24%未満だけ変化する。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品は、上記イオン交換するステップの前の上記ガラス基板に比べて、上記イオン交換するステップの後に、200μm未満だけねじれる。1つ以上の実施形態では、上記カリウム塩(例えばKNO)は少なくとも92重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、上記カリウム塩(例えばKNO)は少なくとも94重量%の量で存在する。1つ以上の実施形態では、上記カリウム塩(例えばKNO)は約95重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、上記ナトリウム塩(例えばNaNO)は約8重量%未満の量で存在する。1つ以上の実施形態では、上記ナトリウム塩(例えばNaNO)は約5重量%未満の量で存在する。いくつかの実施形態では、上記ナトリウム塩(例えばNaNO)は約5重量%の量で存在する。1つ以上の実施形態では、上記カリウム塩(例えばKNO)は約90%〜約97重量%の量で存在し、上記ナトリウム塩(例えばNaNO)は約10%〜約3重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品は約12時間未満にわたってイオン交換される。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は約10時間未満にわたってイオン交換される。いくつかの実施形態では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記長さ寸法が約0.2%〜約0.15重量%だけ変化する。1つ以上の実施形態では、上記方法は更に、カリウム塩(例えばKNO)を含む第2の溶融塩浴中での第2のイオン交換を含む。
本開示の第12の態様は、本明細書に記載の方法で調製されたガラス系物品に関する。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品は:長さ寸法;幅寸法;重量;厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;並びに71.5/√(t)以上の最大CTを備える中心張力(CT)領域を備える、イオン交換済みガラス系物品であり、上記厚さtは単位mmで与えられる。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品の上記厚さ(t)が0.8mmである場合:(1)イオン交換前のガラス系基板の重量に比べて、上記イオン交換済み金属酸化物から得られる上記ガラス系物品の上記重量が、1.6%未満だけ増加し;(2)イオン交換前のガラス系基板の長さ寸法に比べて、上記イオン交換済みガラス系物品の上記長さ寸法が、0.24%未満だけ変化し;(3)イオン交換前のガラス系基板の幅寸法に比べて、上記ガラス系物品の上記幅寸法が、0.24%未満だけ変化する。
いくつかの実施形態では、イオン交換前のガラス系基板の重量に比べて、上記イオン交換済み金属酸化物から得られる上記ガラス系物品の上記重量が、1.4%未満だけ増加する。1つ以上の実施形態では、イオン交換前のガラス系基板の上記長さ寸法に比べて、上記イオン交換済みガラス系物品の上記長さ寸法が、0.15%未満だけ変化する。いくつかの実施形態では、イオン交換前のガラス系基板の幅寸法に比べて、上記ガラス系物品の上記幅寸法が、0.15%未満だけ変化する。1つ以上の実施形態では、上記物品は更に、約300MPa以上の表面圧縮応力(CS)を備える。いくつかの実施形態では、上記表面CSは約400MPa以上である。1つ以上の実施形態では、tは約1ミリメートル以下である。
本開示の第13の態様は:前面、背面及び側面を有するハウジング;少なくとも部分的に上記ハウジングの内側にある、電気部品;上記ハウジングの上記前面の、又は上記前面に隣接する、ディスプレイ;並びに上記ディスプレイを覆うように配置されたカバー基板を備える、デバイスに関し、上記カバー基板又は上記ハウジングは、上述の実施形態のうちのいずれに記載のガラス系物品を含む。
本開示の第1の実施形態では、化学強化ガラス系物品の形成方法が提供される。上記方法は:厚さ(t)、長さ寸法、幅及び重量を画定する第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面を備える、ガラス系基板を提供するステップ;並びに複数のアルカリイオンを上記ガラス系基板中へとイオン交換することによって、上記厚さ(t)の少なくとも1つの有意な部分に沿って変動する、ゼロではないアルカリ金属酸化物濃度を形成するステップを含む。上記イオン交換するステップは、上記ガラス系基板を、少なくとも約90重量%のカリウム塩及び約10重量%未満のナトリウム塩を含む溶融塩浴に、約12時間未満にわたって浸漬させるステップを含む。
本開示の実施形態(2)では、上記溶融塩浴が約2重量%未満のリチウム塩を更に含む、実施形態(1)の方法が提供される。
本開示の実施形態(3)では、上記厚さが約2mm未満である、実施形態(1)又は(2)の方法が提供される。
本開示の実施形態(4)では、上記厚さが約1mm未満である、実施形態(1)〜(3)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(5)では、上記厚さが約0.8mmである、実施形態(1)〜(4)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(6)では、上記カリウム塩がKNOであり、上記ナトリウム塩がNaNOであり、上記リチウム塩がLiNOであり、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記重量が1.6%未満だけ増加する、実施形態(1)〜(4)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(7)では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記長さ寸法が0.24%未満だけ変化する、実施形態(1)〜(6)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(8)では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記幅が0.24%未満だけ変化する、実施形態(1)〜(7)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(9)では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記ガラス系物品が200μm未満だけねじれる、実施形態(1)〜(8)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(10)では、上記カリウム塩が少なくとも92重量%の量で存在する、実施形態(1)〜(9)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(11)では、上記カリウム塩が少なくとも94重量%の量で存在する、実施形態(1)〜(10)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(12)では、上記カリウム塩が約95重量%の量で存在する、実施形態(1)〜(11)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(13)では、上記ナトリウム塩が約8重量%未満の量で存在する、実施形態(1)〜(12)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(14)では、上記ナトリウム塩が約6重量%未満の量で存在する、実施形態(1)〜(13)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(15)では、上記ナトリウム塩が約5重量%の量で存在する、実施形態(1)〜(14)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(16)では、上記カリウム塩が約90〜約97重量%の量で存在し、上記ナトリウム塩が約10〜約3重量%の量で存在する、実施形態(1)〜(15)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(17)では、上記ガラス系物品が約12時間未満にわたってイオン交換される、実施形態(1)〜(16)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(18)では、上記ガラス系物品が約10時間未満にわたってイオン交換される、実施形態(1)〜(17)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(19)では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記長さ寸法が約0.2〜約0.15重量%だけ変化する、実施形態(1)〜(18)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(20)では、カリウム塩を含む第2の溶融塩浴中での第2のイオン交換を更に含む、実施形態(1)〜(19)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の実施形態(21)では、実施形態(1)〜(20)のうちのいずれか1つの方法によって調製される、ガラス系物品が提供される。
本開示の実施形態(22)では、イオン交換済みガラス系物品が提供される。上記イオン交換済みガラス系物品は:長さ寸法;幅寸法;重量;厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;並びに71.5/√(t)以上の最大CTを備える中心張力(CT)領域を備える、イオン交換済みガラス系物品であり、上記厚さtは単位mmで与えられる。上記ガラス系物品の上記厚さ(t)は、0.8mmである。イオン交換前のガラス系基板の重量に比べて、上記イオン交換済み金属酸化物から得られる上記ガラス系物品の上記重量は、1.6%未満だけ増加し;イオン交換前のガラス系基板の長さ寸法に比べて、上記イオン交換済みガラス系物品の上記長さ寸法は、0.24%未満だけ変化し;イオン交換前のガラス系基板の幅寸法に比べて、上記ガラス系物品の上記幅寸法は、0.24%未満だけ変化する。
本開示の実施形態(23)では、イオン交換前のガラス系基板の重量に比べて、上記イオン交換済み金属酸化物から得られる上記ガラス系物品の上記重量が、1.4%未満だけ増加する、実施形態(22)のガラス系物品が提供される。
本開示の実施形態(24)では、イオン交換前のガラス系基板の上記長さ寸法に比べて、上記イオン交換済みガラス系物品の上記長さ寸法が、0.15%未満だけ変化する、実施形態(22)又は(23)のガラス系物品が提供される。
本開示の実施形態(25)では、イオン交換前のガラス系基板の幅寸法に比べて、上記ガラス系物品の上記幅寸法が、0.15%未満だけ変化する、実施形態(22)〜(24)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の実施形態(26)では、約300MPa以上の表面圧縮応力(CS)を更に備える、実施形態(22)〜(25)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の実施形態(27)では、上記表面CSが約400MPa以上である、実施形態(22)〜(26)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の実施形態(28)では、tが約1ミリメートル以下である、実施形態(22)〜(27)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の実施形態(29)では:前面、背面及び側面を有するハウジング;少なくとも部分的に上記ハウジングの内側にある、電気部品;上記ハウジングの上記前面の、又は上記前面に隣接する、ディスプレイ;並びに上記ディスプレイを覆うように配置されたカバー基板を備える、デバイスであって、上記カバー基板又は上記ハウジングは、実施形態(22)〜(28)のいずれか1つのガラス系物品を含む、デバイスが提供される。
本開示の態様(1)では、化学強化ガラス系物品の形成方法が提供される。上記方法は、複数のアルカリイオンをガラス系基板中へとイオン交換することによって、ゼロではないアルカリ金属酸化物濃度を有するガラス系物品を形成するステップであって、上記アルカリ金属酸化物濃度は、上記ガラス系物品の厚さ(t)の少なくとも1つの有意な部分に沿って変動する、ステップを含む。上記ガラス系基板は、厚さ(t)を画定する第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面、長さ寸法、幅並びに重量を備える、ガラス系基板を含む。上記イオン交換するステップは、上記ガラス系基板を、(a)2.5:1及び(b)上記ガラス系基板中のモル比(LiO+KO):NaOのうちの小さい方より大きい、カリウム塩とナトリウム塩との重量比を備える溶融塩浴に、同一の溶融塩浴組成及び温度でピーク中心張力(CT)が生成されるイオン交換時間の50%〜130%の時間にわたって、浸漬させるステップを含む。
本開示の態様(2)では、上記溶融塩浴が約2重量%未満のリチウム塩を更に含む、態様(1)の方法が提供される。
本開示の態様(3)では、上記厚さが約2mm未満である、態様(1)又は(2)の方法が提供される。
本開示の態様(4)では、上記厚さが約1mm未満である、態様(1)〜(3)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(5)では、上記厚さが約0.8mmである、態様(1)〜(4)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(6)では、上記カリウム塩がKNOであり、上記ナトリウム塩がNaNOであり、上記リチウム塩がLiNOであり、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記重量が1.6%未満だけ増加する、態様(1)〜(5)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(7)では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記長さ寸法が0.24%未満だけ変化する、態様(1)〜(6)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(8)では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記幅が0.24%未満だけ変化する、態様(1)〜(7)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(9)では、上記イオン交換するステップの前のガラス基板に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記ガラス系物品が200μm未満だけねじれる、態様(1)〜(8)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(10)では、上記カリウム塩が少なくとも92重量%の量で存在する、態様(1)〜(9)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(11)では、上記カリウム塩が少なくとも94重量%の量で存在する、態様(1)〜(10)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(12)では、上記カリウム塩が約95重量%の量で存在する、態様(1)〜(11)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(13)では、上記ナトリウム塩が約8重量%未満の量で存在する、態様(1)〜(12)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(14)では、上記ナトリウム塩が約6重量%未満の量で存在する、態様(1)〜(13)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(15)では、上記ナトリウム塩が約5重量%の量で存在する、態様(1)〜(14)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(16)では、上記カリウム塩が少なくとも約90重量%の量で存在し、上記ナトリウム塩が約10重量%以下の量で存在する、態様(1)〜(15)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(17)では、上記カリウム塩が約90重量%〜約97重量%の量で存在し、上記ナトリウム塩が約10重量%〜約3重量%の量で存在する、態様(1)〜(16)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(18)では、上記ガラス系物品が、同一の溶融塩浴組成及び温度でピーク中心張力(CT)が生成されるイオン交換時間の70%〜130%の時間にわたって、イオン交換される、態様(1)〜(17)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(19)では、上記ガラス系物品が約12時間未満にわたってイオン交換される、態様(1)〜(18)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(20)では、上記ガラス系物品が約10時間未満にわたってイオン交換される、態様(1)〜(19)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(21)では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記長さ寸法が約0.1%〜約0.2%だけ変化する、態様(1)〜(20)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(22)では、カリウム塩を含む第2の溶融塩浴中での第2のイオン交換を更に含む、態様(1)〜(21)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(23)では、上記ガラス基板が2.5D又は3D形状を有する、態様(1)〜(22)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(24)では、上記イオン交換するステップが、上記ガラス基板の中心点のNaO濃度の、1.3モル%未満の上昇を生成する、態様(1)〜(23)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(25)では、上記ガラス系物品が圧縮応力スパイク及びスパイク層深さ(DOLspike)を備え、DOLspike/tが約0.006〜約0.014である、態様(1)〜(24)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(26)では、DOLspike/tが約0.008〜約0.012である、態様(25)の方法が提供される。
本開示の態様(27)では、上記ガラス系物品がリチウムを含む、態様(1)〜(26)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(28)では、上記ガラス系物品の上記中心点におけるNaOモル濃度が、上記中心点における上記ガラス系物品の合計アルカリ金属酸化物モル濃度の45%未満である、態様(1)〜(27)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(29)では、上記ガラス系物品の上記中心点におけるNaO濃度が4.5モル%未満である、態様(1)〜(28)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(30)では、上記ガラス系物品が71.5/√(t)以上の最大中心張力を有し、上記厚さtが単位mmで与えられる、態様(1)〜(29)のいずれか1つの方法が提供される。
本開示の態様(31)では、態様(1)〜(30)のいずれか1つの方法によって調製された、ガラス系物品が提供される。
本開示の態様(32)では、ガラス系物品が提供される。上記ガラス系物品は:厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;LiO;並びにNaOを含む。上記ガラス系物品の中心点におけるNaOの含有量は、約4.5モル%未満である。
本開示の態様(33)では、上記ガラス系物品の上記中心点におけるNaOの上記含有量が約4.0モル%未満である、態様(32)のガラス系物品が提供される。
本開示の態様(34)では、上記ガラス系物品の上記中心点におけるNaOの上記含有量が約3.0モル%未満である、態様(32)又は(33)のガラス系物品が提供される。
本開示の態様(35)では、ガラス系物品が提供される。上記ガラス系物品は:厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;並びにNaOを含む。上記ガラス系物品の中心点におけるNaOのモル濃度は、上記中心点における上記ガラス系物品の合計アルカリ金属酸化物モル濃度の約45%未満である。
本開示の態様(36)では、上記ガラス系物品の上記中心点におけるNaOの上記モル濃度が、上記中心点における上記ガラス系物品の上記合計アルカリ金属酸化物モル濃度の約40%未満である、態様(35)のガラス系物品が提供される。
本開示の態様(37)では、ガラス系物品が提供される。上記ガラス系物品は:厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;並びに圧縮応力スパイク層深さ(DOLspike)を含む。DOLspike/tは約0.006〜約0.014である。
本開示の態様(38)では、DOLspike/tが約0.008〜約0.012である、態様(37)のガラス系物品が提供される。
本開示の態様(39)では、DOLspike/tが約0.009〜約0.011である、態様(37)又は(38)のガラス系物品が提供される。
本開示の態様(40)では、DOLspike/tが約0.01である、態様(37)〜(39)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の態様(41)では、tが約0.03mm〜約1.3mmである、態様(32)〜(40)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の態様(42)では、tが約0.8mmである、態様(32)〜(41)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の態様(43)では、約300MPa以上の表面圧縮応力(CS)を更に備える、態様(32)〜(42)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の態様(44)では、上記表面CSが約400MPa以上である、態様(32)〜(43)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の態様(45)では、上記ガラス系物品が2.5D又は3D形状を有する、態様(32)〜(44)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の態様(46)では、NaO濃度が上記ガラス系物品の中心で最小となる、態様(32)〜(45)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の態様(47)では、約200μm未満のねじれを更に備える、態様(32)〜(46)のいずれか1つのガラス系物品が提供される。
本開示の態様(48)では、強化ガラス系物品が提供される。上記強化ガラス系物品は:
中心張力CT下の内部領域;及び圧縮応力CS下の少なくとも1つの圧縮応力層を備え、上記圧縮応力層は、上記ガラス系物品の表面から圧縮深さDOCまで延在し、t<0.5mmである場合にDOC≧0.1t、t≧0.5mmである場合にDOC≧50μmであり、上記内部領域に隣接する。上記強化ガラス系物品は、直径10mmの4.2gステンレス鋼製ボールを用いた、高さ100cmから30グリットのサンドペーパー(これは、上記サンドペーパーと上記ガラスの上記表面との間に100μmの空隙が存在するように、上記ガラスの表面上に位置決めされる)上への逆ボール落下試験に供した場合に、少なくとも60%の残存率(survivability rate)を有し、上記残存率は少なくとも5個の試料の試験に基づく。
本開示の態様(49)では、上記強化ガラス系物品が、高さ150cmからの上記逆ボール落下試験に供した場合に、少なくとも60%の残存率を有する、態様(48)のガラス系物品が提供される。
本開示の態様(50)では、デバイスが提供される。上記デバイスは:前面、背面及び側面を有するハウジング;少なくとも部分的に上記ハウジングの内側にある、電気部品;上記ハウジングの上記前面の、又は上記前面に隣接する、ディスプレイ;並びに上記ディスプレイを覆うように配置されたカバー基板を備え、上記カバー基板又は上記ハウジングは、態様(31)〜(49)のいずれか1つのガラス系物品を含む。
更なる特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、またその一部は、「発明を実施するための形態」から、又は以下の「発明を実施するための形態」、特許請求の範囲及び添付の図面を含む本明細書に記載されている実施形態を実践することによって、当業者には容易に明らかとなるだろう。
上述の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」の両方は、単なる例であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、また本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。これらの図面は、1つ以上の実施形態を図示しており、本説明と併せて、これら様々な実施形態の原理及び動作を説明する役割を果たす。
公知の熱強化ガラス系物品の、厚さを横断する断面図 公知の化学強化ガラス系物品の、厚さを横断する断面図 本開示の1つ以上の実施形態による化学強化ガラス系物品の、厚さを横断する断面図 正の応力を有するCT領域及び負の応力を有するCS領域を有する、本開示の1つ以上の実施形態による様々な応力プロファイルを示す深さの関数としてグラフ リング・オン・リング試験装置の概略断面図 本開示に記載の逆ボール・オン・サンドペーパー(inverted ボール on sandpaper:IBoS)試験を実施するために使用される装置の実施形態の概略断面図 移動体又はハンドヘルド電子デバイスで使用されるガラス系物品に典型的に発生する、損傷の導入及び屈曲による破損の主要な機序の概略断面図 本明細書に記載の装置でIBoS試験を実施する方法に関するフローチャート 公知の化学強化ガラス系物品及び本開示の1つ以上の実施形態によるガラス系物品における、NaOの濃度を示すグラフ 本開示の1つ以上の実施形態によるCT値及びDOC値をイオン交換時間の関数として示すグラフ 公知の化学強化ガラス系物品と、正の応力を有するCT領域及び負の応力を有するCS領域を有する、本開示の1つ以上の実施形態によるガラス系物品との、深さの関数としての応力プロファイルを比較するグラフ 公知の化学強化ガラス及びガラスセラミックの応力プロファイルのグラフ 本開示の1つ以上の実施形態によるガラス及びガラスセラミックの応力プロファイルのグラフ 実施例3Dの落下試験における破損高さのグラフ 化学強化ガラス系物品と、本開示の1つ以上の実施形態によるガラス系物品との、深さの関数としての公知の応力プロファイルを比較するグラフ 正の応力を有するCT領域及び負の応力を有するCS領域を有する、実施例4A〜4Dの応力プロファイルを深さの関数として示すグラフ 実施例4B〜4Dに関する離散蓄積引張エネルギデータ点を示すグラフ 実施例4A〜4DにおけるKO及びNaOの濃度を深さの関数として示すグラフ 図17と同一のデータを示すものの、深さの関数としてのNaOの濃度をより明確に示すための異なるスケールを用いたグラフ 正の応力を有するCT領域及び負の応力を有するCS領域を有する、実施例4A及び4C〜4Fの応力プロファイルを深さの関数として示すグラフ 正の応力を有するCT領域及び負の応力を有するCS領域を有する、図19と同一のデータを異なるスケールで示すグラフ 正の応力を有するCT領域及び負の応力を有するCS領域を有する、実施例5A〜5Gの応力プロファイルを深さの関数として示すグラフ 第2及び/又は第3のイオン交換ステップの持続時間の関数として、実施例5A〜5Gに関するDOC値を示すグラフ 第2及び/又は第3のイオン交換ステップの持続時間の関数として、実施例5A〜5Gに関するCT値を示すグラフ 正の応力を有するCT領域及び負の応力を有するCS領域を有する、実施例7A〜7Gに関する応力プロファイルを深さの関数として示すグラフ 実施例7A〜7Gに関する中心張力値及び蓄積引張エネルギを、いずれもイオン交換時間の関数として示すグラフ 正の応力を有するCT領域及び負の応力を有するCS領域を有する、比較例8A及び実施例8Bの応力プロファイルを深さの関数として示すグラフ 比較例8A及び実施例8Bの蓄積引張エネルギをCTの関数として示すグラフ 比較例8C及び実施例8Dの蓄積引張エネルギをCTの関数として示すグラフ 実施例2及び9、並びに比較例9A及び9Bに関する破損落下高さを示すグラフ 実施例2及び9、並びに比較例9B及び9Cに関する摩耗リング・オン・リング試験結果を示すグラフ 実施例2及び9に関する4点曲げ試験結果を示す、ワイブル分布プロット 実施例10A〜10Eに関する最大CT値をイオン交換時間の関数として示すグラフ 実施例10Dのガラス系物品の表面から上記ガラス系物品内へと延在する深さの関数として、実施例10Dの測定された応力を示すグラフ 様々な荷重又は圧力で摩耗させた後の、実施例11Aによるガラス系物品に関する破損時荷重値(load to failure value)を示すグラフ 180グリットのサンドペーパー及び30グリットのサンドペーパー上に落下させた後に、実施例11Aによるガラス系物品が破損する高さを示すグラフ 30グリットのサンドペーパー上に落下させた後に、実施例11A及び比較例11Bによるガラス系物品が破損する高さを示すグラフ 25psi(172.369kPa)の荷重又は圧力で摩耗させた後の、実施例11A及び比較例11Bによるガラス系物品の平均破損時荷重を比較するグラフ 45psi(310.2642kPa)の荷重又は圧力で摩耗させた後の、実施例11A及び比較例11Bによるガラス系物品の平均破損時荷重を比較するグラフ 本明細書に記載のガラス系物品の1つ以上の実施形態を組み込んだ電子デバイスの正面平面図 実施例13A〜Eによるガラス系物品に関するNaO組成物プロファイルを深さの関数として示すグラフ 実施例13A〜Eによるガラス系物品に関するCT、DOC及びCSを示すグラフ 実施例14A1〜14A5及び14B1〜14B4によるガラス系物品に関する、CT対イオン交換時間を示すグラフ 正の応力を有するCT領域及び負の応力を有するCS領域を有する、実施例14B1〜14B4によるガラス系物品に関するSCALPデータを示すグラフ 実施例14B1〜14B4によるガラス系物品に関する、FSMによって得られた表面応力及び折れ曲がり応力(knee stress)値の範囲を示すグラフ 正の応力を有するCT領域及び負の応力を有するCS領域を有する、実施例14A4及び14B3によるガラス系物品に関するSCALPデータを示すグラフ 実施例14A4及び14B3によるガラス系物品に関する落下試験結果を示すプロット イオン交換の結果としてねじれを生じ得る、ガラス部品の斜面状縁部の概略図 実施例14A4及び14B3によるガラス系物品に関するNaO及びKO組成プロファイルを深さの関数として示すグラフ 実施例14A4及び14B3によるガラス系物品に関するNaOプロファイルの水平スキャンを示すグラフ
これより様々な実施形態に対する詳細な言及を行う。これらの実施形態の例は、添付の実施例及び図面に例示される。
本明細書に記載の実施形態は、落下性能の改善、イオン交換によるねじれの低減、及びイオン交換による重量増加の低減を示す。ガラス系物品のこれらの改善された特性は、少なくとも部分的には、ガラスの組成、イオン交換に使用される溶融塩浴の組成、及びイオン交換の持続時間によるものである。溶融塩浴の組成及びイオン交換時間は、ガラス系物品の中心張力、ねじれ及び重量増加が最適化されるように選択される。中心張力の量は、ガラス系物品の総圧縮応力に関連し、中心張力が高いほど、力の平衡化により、圧縮応力の程度が高くなる。高い程度の圧縮応力は、ガラス系物品の落下性能の改善に寄与する。本明細書に記載されるように、イオン交換の持続時間は、ガラス系物品中への金属酸化物拡散の総量を最小化しながら、高い中心張力が達成されるように選択され、これにより、結果として得られるねじれ及び重量増加も最小化される。
以下の記載では、同様の参照記号は、図面において示す複数の図を通して、同様の又は対応する部分を指す。特段明記されていない限り、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「外向き(outward)」、「内向き(inward)」等の用語は、利便性のための単語であり、限定的な用語として解釈してはならないことも理解される。更に、ある群が、複数の要素の少なくとも1つの群及びその組み合わせを含むものとして記載されている場合は常に、上記群は、列記されている要素のうちのいずれの個数のもの(個別に又は互いに組み合わせて)を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなることが理解される。同様に、ある群が、複数の要素の少なくとも1つの群及びその組み合わせからなるものとして記載されている場合は常に、上記群は、列記されている要素のうちのいずれの個数のもの(個別に又は互いに組み合わせて)からなってよいことが理解される。特段明記されていない限り、値の範囲が記載されている場合、これは上記範囲の上限及び下限並びにその間のいずれの範囲を含む。本明細書中で使用される場合、名詞は、特段明記されていない限り、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」の対象を指す。また、本明細書及び図面中で開示される様々な特徴は、いずれの、及びあらゆる組み合わせで使用できることも理解される。
本明細書中で使用される場合、用語「ガラス系物品(glass‐based article)」及び「ガラス系基板(glass‐based substrate)」はその最も広い意味で使用され、全体又は一部がガラス製であるいずれの物体を含む。ガラス系物品としては、ガラス及び非ガラス材料の積層体;ガラス及び結晶質材料の積層体;並びに(非晶質層及び結晶質層を含む)ガラスセラミックが挙げられる。特段の記載がない限り、全ての組成はモルパーセント(モル%)を単位として表される。
用語「略、実質的に(substantially)」及び「約(about)」は本明細書では、いずれの量的比較、値、測定値又は他の表現に付随し得る不可避的な不確実性を表すために使用される場合があることに留意されたい。これらの用語はまた、ある量的表現が、問題となっている主題の基本的な機能を変化させることなく、言明されている基準から変動できる程度を表すためにも使用される。よって例えば、「MgOを実質的に含まない(substantially free of MgO)」ガラス系物品は、これらの酸化物がガラス系物品に能動的に添加又は混入されないものの、汚染物質としてごく少量存在し得る、ガラス系物品である。
特段の記載がない限り、全ての温度はセルシウス度(℃)を単位として表される。本明細書中で使用される場合、用語「軟化点(softening point)」は、ガラスの粘度がおよそ107.6ポアズ(P)となる温度を指し、用語「アニール点(anneal point)」は、ガラスの粘度がおよそ1013.2ポアズとなる温度を指し、用語「200ポアズ温度(200 poise temperature)(T200P)」は、ガラスの粘度がおよそ200ポアズとなる温度を指し、用語「1011ポアズ温度(1011 poise temperature)」は、ガラスの粘度がおよそ1011ポアズとなる温度を指し、用語「35kP温度(35 kP temperature)(T35kP)」は、ガラスの粘度がおよそ35キロポアズ(kP)となる温度を指し、用語「160kP温度(160 kP temperature)(T160kP)」は、ガラスの粘度がおよそ160kPとなる温度を指す。
図面全体、特に図1〜3に関して、これらの図示は、特定の実施形態を説明する目的のものであり、本開示又は添付の特許請求の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるだろう。これらの図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、図面の特定の特徴部分及び特定の視野を、明瞭さ及び簡潔さのために、拡大して又は概略的に示す場合がある。
本明細書中で使用される場合、圧縮深さ(depth of compression:DOC)は、ガラス系物品内の応力が圧縮応力から引張応力に変化する深さを指す。DOCでは、応力は正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に遷移し(例えば図1の130)、従って応力値0を示す。しかしながら図面のうちのいくつか、例えば図4、11、14、15、19、20、21、24、26、43及び45では、圧縮応力が負として示されており、また引張応力が正として示されている。
本明細書中で使用される場合、用語「化学深さ(chemical depth)」、「化学層深さ(chemical depth of layer)」及び「化学層の深さ(depth of chemical layer)」は、相互交換可能なものとして使用でき、金属酸化物又はアルカリ金属酸化物のイオン(例えば金属イオン又はアルカリ金属イオン)がガラス系物品中に拡散する深さ、及び電子線プローブ微小分析(Electron Probe Micro‐Analysis:EPMA)又はグロー放電発光表面分析(Glow Discharge−Optical Emission Spectroscopy:GD−OES)で決定されるような上記イオンの濃度が最小値に到達する深さを指す。特にNaO拡散の深さ又はNaイオンの濃度は、EPMA及び表面応力メータを用いて決定できる(以下で更に詳細に説明する)。
当該技術分野において通常用いられてきた慣例によると、圧縮は負(<0)の応力として表され、張力は正(>0)の応力として表される。しかしながら本記載全体を通して、CSは正の値又は絶対値として表される。即ち本明細書中に記載される場合、特段の注記がない限りCS=|CS|である。
本明細書において記載されるのは、アルカリ含有ガラスを含むシリケートガラスといったガラス、並びに移動体電子デバイス及びタッチ式ディスプレイのためのカバーガラスとして使用できるガラスセラミックを含む、薄型の化学強化ガラス系物品である。上記ガラス系物品は、ディスプレイ(又はディスプレイ物品として)(例えば掲示板、店頭システム、コンピュータ、ナビゲーションシステム等)、建築用物品(壁、取付具、パネル、窓等)、輸送用物品(例えば自動車用途、鉄道、航空機、船舶等)、家電製品(例えば洗濯機、乾燥機、食器洗浄機、冷蔵庫等)又はある程度の破壊抵抗を必要とするいずれの物品にも使用できる。
特に本明細書に記載のガラス系物品は薄型であり、典型的には厚い(例えば厚さ約2mm又は3mm以上の)ガラス系物品を強化することによってしか達成できない応力プロファイルを示す。上記ガラス系物品は、その厚さに沿って、独特な応力プロファイルを示す。場合によっては、本明細書に記載のガラス系物品は、強化ガラス系物品よりも高い表面CSを示す。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は、(公知の化学強化ガラス系物品よりも漸進的にCSの低下及び増大が起こる)上記ガラス系物品内に比較的深く延在する圧縮応力層を有し、これにより上記ガラス系物品は、上記ガラス系物品又は上記ガラス系物品を含むデバイスを硬質表面(例えば花崗岩)又は硬質粗面(例えばアスファルト)上に落下させた場合であっても、有意に改善された破壊抵抗を示す。1つ以上の実施形態のガラス系物品は、いくつかの公知の化学強化ガラス基板よりも高い最大CT値を示す。
DOCは、(1)株式会社ルケオ(日本、東京)製のFSM‐6000等の市販の機器を用いた表面応力メータ(一般にFSM技法と呼ばれる)、又は(2)イオン交換処理に依存する散乱光偏光器(scattered light polariscope:SCALP)によって測定できる。ガラス物品中の応力が、ガラス物品中へのカリウムイオンの交換によって生成される場合、FSMを用いてDOCを測定する。応力が、ガラス物品中へのナトリウムイオンの交換によって生成される場合、SCALPを用いてDOCを測定する。ガラス物品中の応力が、ガラス中へのカリウム及びナトリウムイオン両方の交換によって生成される場合、DOCはSCALPで測定される。というのは、ナトリウムの交換深さがDOCを示し、カリウムイオンの交換深さが圧縮応力の大きさの変化(ただし圧縮応力から引張応力への応力の変化ではない)を示すと考えられるためであり、このようなガラス物品中のカリウムイオンの交換深さ(「カリウムDOL(Potassium DOL)」は、FSMで測定される。
表面CSを含むCSは、FSM技法で測定してよい。表面応力測定は、応力光係数(stress optical coefficient:SOC)の正確な測定に依存し、これはガラスの複屈折に関係する。SOCは、ガラスの応力光係数の測定のための標準試験法(Standard Test Method for Measurement of Glass Stress‐Optical Coefficient)」という名称のASTM規格C770‐16(その内容全体は参照により本出願に援用される)に記載された手順C(ガラスディスク法)に従って測定される。
1つ以上の実施形態では、最大CT値は、当該技術分野において公知の散乱光偏光器(SCALP)技法を用いて測定してよい。
上述のように、本明細書に記載のガラス系物品はイオン交換によって化学強化され、公知の強化ガラス系物品が示すものとは異なる応力プロファイルを示す。本開示では、ガラス系基板は一般に強化されておらず、ガラス系物品は一般に、(例えばイオン交換によって)強化されたガラス系基板を指す。このプロセスでは、ガラス系物品の表面の又は表面付近のイオンを、価数又は酸化状態が同一の、より大きなイオンで置換する‐即ち上記イオンと交換する。ガラス系物品がアルカリアルミノシリケートガラスを含む実施形態では、ガラスの表面層のイオンと、上記より大きなイオンとは、Li(ガラス系物品中に存在する場合)、Na、K、Rb、及びCsといった、1価のアルカリ金属陽イオンである。あるいは、上記表面層中の1価陽イオンを、Ag等といった、アルカリ金属陽イオンではない1価陽イオンで置換してもよい。このような実施形態では、ガラス系基板中へと交換される1価イオン(又は陽イオン)は、結果として得られるガラス系物品中に応力を生成する。
イオン交換プロセスは典型的には、ガラス系基板を、ガラス系基板中の比較的小さなイオンと交換されることになる比較的大きなイオンを含有する溶融塩浴(又は2つ以上の溶融塩浴)に浸漬させることによって実施される。なお、水性塩浴を利用してもよい。更に、1つ以上の浴の組成は、2種類以上の比較的大きなイオン(例えばNa及びK)を含んでもよく、又は単一の比較的大きなイオンを含んでもよい。浴の組成及び温度;浸漬時間;塩浴(又は複数の浴)中でのガラス系物品の浸漬回数;複数の塩浴の使用;アニーリング、洗浄等の追加のステップを含むがこれらに限定されない、イオン交換プロセスに関するパラメータが、一般に、ガラス系物品の組成(物品の構造及び存在するいずれの結晶質相を含む)、並びに強化によって得られるガラス系物品の所望のDOL又はDOC及びCSによって決定されることは、当業者には理解されるであろう。例えばガラス系基板のイオン交換は、上記比較的大きなアルカリ金属イオンの、限定するものではないが硝酸塩、硫酸塩及び塩化物といった塩を含有する、少なくとも1つの溶融浴に、上記ガラス系基板を浸漬させることによって達成できる。典型的な塩としては、KNO、NaNO、LiNO、NaSO及びこれらの組み合わせが挙げられる。溶融塩浴の温度は典型的には約380℃〜約450℃であり、その一方で浸漬時間は、ガラスの厚さ、浴の温度及びガラス(又は1価イオン)の拡散性に応じて、約15分〜約100時間である。しかしながら、上述のものとは異なる温度及び浸漬時間を用いてもよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス系基板を、温度が約370℃〜約480℃である100%NaNOの溶融塩浴に浸漬させてよい。いくつかの実施形態では、上記ガラス系基板を、約5%〜約90%のKNO及び約10%〜約95%のNaNOを含む溶融混合塩浴に浸漬させてよい。いくつかの実施形態では、上記ガラス系基板を、NaSO及びNaNOを含む、より幅広い温度範囲(例えば最高約500℃)を有する溶融混合塩浴に浸漬させてよい。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品を、第1の浴中での浸漬後に第2の浴に浸漬させてよい。第2の浴中での浸漬は、100%KNOを含む溶融塩浴中での15分〜8時間の浸漬を含んでよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス系基板を、NaNO及びKNO(例えば49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む、約420℃未満の温度(例えば約400℃又は約380℃)の溶融混合塩浴に、約5時間未満、又は約4時間未満にわたって浸漬させてよい。
イオン交換条件を調整することによって、「スパイク(spike)」を提供でき、即ち結果として得られるガラス系物品の表面又は表面付近の応力プロファイルの傾斜を増大させることができる。このスパイクは、本明細書に記載のガラス系物品で使用されるガラス組成物の独特の特性により、単一の浴又は複数の浴によって達成でき、ここで上記1つ以上の浴は、単一組成又は混合組成を有する。
図3に示すように、1つ以上の実施形態のガラス系物品300は、厚さtを画定する、第1の表面302及び上記第1の表面の反対側の第2の表面304を含む。1つ以上の実施形態では、上記厚さtは、約3ミリメートル以下、例えば約0.01ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.1ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.2ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.3ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.4ミリメートル〜約3ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約2.5ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約2ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約1.5ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約1ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約0.9ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約0.8ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約0.7ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約0.6ミリメートル、約0.01ミリメートル〜約0.5ミリメートル、約0.1ミリメートル〜約0.5ミリメートル、約0.3ミリメートル〜約0.5ミリメートル、又はこれらに含まれるいずれの部分範囲内であってよい。
上記ガラス系物品は、第1の表面302から第2の表面304まで(即ち上記厚さtの長さ全体に沿って)延在する応力プロファイル312を含む。図3では、x軸は応力値を表し、y軸はガラス系物品内の厚さ又は深さを表す。
図3に示すように、応力プロファイル312は、(表面CS310を有する)CS層315、(最大CT320を有する)CT層325、及び応力プロファイル312が330において圧縮応力から引張応力に変化するDOC317を含む。CT層325はまた、関連する深さ又は長さ327(CT領域又は層)を有する。本明細書中で使用される場合、DOC及びDOLに関する言及は、一方の表面(第1の表面302又は第2の表面304)からの深さに関するものであり、DOC又はDOLは他方の表面からも存在し得ることを理解されたい。
表面CS310は、約150MPa以上又は約200MPa以上(例えば約250MPa以上、約300MPa以上、約400MPa以上、約450MPa以上、約500MPa以上又は約550MPa以上)であってよい。表面CS310は、最大約900MPa、最大約1000MPa、最大約1100MPa又は最大約1200MPaであってよい。本明細書中で提供される表面CS値は、最大CSを含んでもよい。いくつかの実施形態では、表面CSは最大CS未満である。
最大CT320は、約71.5/√(t)以上であってよい。いくつかの実施形態では、最大CT320は、約80MPa以上、約85MPa以上又は約90MPa以上である。いくつかの実施形態では、最大CT320は約80MPa超〜約100MPa(例えば約85MPa〜約100MPa、約90MPa〜約100MPa、約80MPa〜約95MPa、約80MPa〜約90MPa、約85MPa〜約95MPa、又は約88MPa〜約92MP)であってよい。最大CT320は、約0.3・t〜約0.7・t、約0.4・t〜約0.6・t又は約0.45・t〜約0.55・tの範囲に位置設定してよい。なお、表面CS310及び最大CT320のうちのいずれの1つ以上は、ガラス系物品の厚さに依存し得る。例えば、厚さ約0.8mmのガラス系物品は、約85MPa〜約100MPaの最大CTを有してよい。ガラス系物品の厚さを低減すると、最大CTは増大し得る。換言すれば、最大CTは厚さの低減と共に(即ちガラス系物品が薄くなるに従って)増大する。
いくつかの実施形態では、表面CS310に対する最大CT320の比は、約0.1〜約0.8(例えば約0.1〜約0.7、約0.1〜約0.6、約0.1〜約0.5、約0.1〜約0.4、約0.1〜約0.3、約0.1〜約0.25、約0.1〜約0.2、約0.15〜約0.8、約0.2〜約0.8、約0.3〜約0.8、約0.4〜約0.8、約0.5〜約0.8、又は約0.6〜約0.8)であってよい。公知の化学強化ガラス系物品では、表面CS310に対する最大CT320の比は0.1以下である。いくつかの実施形態では、表面CSは最大CTの4倍(例えば5倍、6倍又は6.5倍)以上であってよい。いくつかの実施形態では、表面CSは最大で、最大CTの約47.5倍であってよい。表面CSは、最大CTの約4倍〜約7.5倍であってよい。
1つ以上の実施形態では、応力プロファイル312は最大CSを備え、これは典型的には表面CS310であり、第1の表面302及び第2の表面304のうちの一方又は両方において見ることができる。1つ以上の実施形態では、CS層又は領域315は、厚さの一部分に沿って、DOC317及び最大CT320まで延在する。1つ以上の実施形態では、DOC317は約0.1・t以上であってよい。例えばDOC317は、約0.12・t以上、約0.14・t以上、約0.15・t以上、約0.16・t以上、0.17・t以上、0.18・t以上、0.19・t以上、0.20・t以上、約0.21・t以上、又は最大約0.25・tであってよい。1つ以上の実施形態では、応力プロファイル312は、放物線状の形状として説明され得る。いくつかの実施形態では、引張応力を示すガラス系物品の領域又は深さに沿った応力プロファイルは、放物線状の形状を示す。1つ以上の具体的実施形態では、応力プロファイル312は、平坦応力(即ち圧縮若しくは引張応力)部分、又は略一定の応力(即ち圧縮若しくは引張応力)を示す部分を含まない。いくつかの実施形態では、CT領域は、平坦応力を略含まない、又は略一定の応力を含まない、応力プロファイルを示す。1つ以上の実施形態では、約0・tから0.2・tまでの間及び0.8・t超(又は約0・tから約0.3・tまでの間及び0.7・t超)の厚さ範囲の応力プロファイル312の全ての点は、絶対値が約0.1MPa/マイクロメートル超の正接を備える。いくつかの実施形態では、上記正接の絶対値は約0.2MPa/マイクロメートル超であってよい。いくつかのより具体的な実施形態では、上記正接の絶対値は0.3MPa/マイクロメートル超であってよい。更に具体的な実施形態では、上記正接の絶対値は0.5MPa/マイクロメートル超であってよい。換言すれば、これらの厚さ範囲(即ち0・tから約2・tまでの間及び0.8・t超、又は約0・tから0.3・tまでの間及び0.7・t以上)に沿った、1つ以上の実施形態の応力プロファイルは、本明細書に記載の正接を有する点を排除する。理論によって束縛されるものではないが、公知の誤差関数又は準線形応力プロファイルは、約0.1MPa/マイクロメートル未満、約0.2MPa/マイクロメートル未満、約0.3MPa/マイクロメートル未満、又は約0.5MPa/マイクロメートル未満であってよい正接を有する、これらの厚さ範囲(即ち約0・tから約2・tまでの間及び0.8・t超、又は約0・tから0.3・tまでの間及び0.7・t以上)に沿った点を有する(図2の220で示すような、厚さ範囲に沿った平坦な又はゼロ傾斜の応力プロファイルを示す)。本開示の1つ以上の実施形態のガラス系物品は、図3に示すように、これらの厚さ範囲に沿った、平坦な又はゼロ傾斜の応力プロファイルを有する、このような点を示さない。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は、約0.1・t〜0.3・t及び約0.7・t〜0.9・tの厚さ範囲において、最大正接及び最小正接を備える応力プロファイルを示す。いくつかの例では、最大正接と最小正接との間の差は、約3.5MPa/マイクロメートル以下、約3MPa/マイクロメートル以下、約2.5MPa/マイクロメートル以下又は約2MPa/マイクロメートル以下である。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は、深さ方向に又はガラス系物品の厚さtの少なくとも一部分に沿って延在するいずれの線形セグメントを実質的に含まない、応力プロファイル312を含む。換言すれば、応力プロファイル312は、厚さtに沿って略連続的に増大又は減少する。いくつかの実施形態では、上記応力プロファイルは、約10マイクロメートル以上、約50マイクロメートル以上、約100マイクロメートル以上又は約200マイクロメートル以上の長さの、深さ方向のいずれの線形セグメントを実質的に含まない。本明細書中で使用される場合、用語「線形(linear)」は、上記線形セグメントに沿った、約5MPa/マイクロメートル未満又は約2MPa/マイクロメートル未満の大きさを有する傾斜を指す。いくつかの実施形態では、深さ方向のいずれの線形セグメントを実質的に含まない応力プロファイルの1つ以上の部分は、ガラス系物品内の、第1の表面及び第2の表面のうちの一方又は両方から約5マイクロメートル以上(例えば10マイクロメートル以上、又は15マイクロメートル以上)の深さに存在する。例えば、第1の表面から約0マイクロメートル〜約5マイクロメートル未満の深さに沿って、上記応力プロファイルは線形セグメントを含んでよいが、第1の表面から約5マイクロメートル以上の深さでは、上記応力プロファイルは線形セグメントを実質的に含み得ない。
いくつかの実施形態では、上記応力プロファイルは約0t〜約0.1tの深さに線形セグメントを含んでよく、約0.1t〜約0.4tの深さにおいては線形セグメントを含み得ない。いくつかの実施形態では、約0t〜約0.1tの範囲の厚さにおいて、上記応力プロファイルは、約20MPa/マイクロメートル〜約200MPa/マイクロメートルの傾斜を有してよい。本明細書中で後に記載されるように、このような実施形態は、浴が2つ以上のアルカリ塩を含む、若しくは浴が混合アルカリ塩浴である、単回のイオン交換プロセス、又は複数回(例えば2回以上)のイオン交換プロセスによって形成してよい。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品を、CT領域(図3の327)に沿った応力プロファイルの形状に関して説明できる。例えばいくつかの実施形態では、(応力が張力である)CT領域に沿った応力プロファイルは、等式によって近似できる。いくつかの実施形態では、CT領域に沿った応力プロファイルは、式(1):
応力(x)=MaxT−(((CT・(n+1))/0.5)・|(x/t)−0.5|) (1)
によって近似できる。式(1)では、応力(x)は位置xにおける応力値である。ここで応力は正(張力)である。式(1)では、MaxTは最大張力値であり、CTはnにおける張力値であり、MaxT以下である。MaxT及びCTはいずれも、MPaを単位とする正の値として表される。値xは、マイクロメートルを単位とする、厚さ(t)に沿った位置であり、その範囲は0〜tであり、x=0は一方の表面(図3の302)であり、x=0.5tはガラス系物品の中心であり、x=tは反対側の表面(図3の304)である。式(1)で使用されているMaxTは最大CTに等しく、約71.5/√(t)以上であってよい。いくつかの実施形態では、式(1)で使用されているMaxTは、約80MPa超〜約100MPa(例えば約85MPa〜約100MPa、約90MPa〜約100MPa、約80MPa超〜約95MPa、約80超〜約90MPa又は約85MPa〜約95MPa)であってよく、nは、1.5〜5(例えば2〜4、2〜3若しくは1.8〜2.2)又は約1.5〜約2であるフィッティングパラメータである。1つ以上の実施形態では、n=2は放物線状の応力プロファイルを提供でき、n=2から逸脱した指数は、放物線状に近い形状を有する応力プロファイルを提供する。図4は、フィッティングパラメータnの変化に基づく、本開示の1つ以上の実施形態による様々な応力プロファイルを示すグラフである。
1つ以上の実施形態では、CTは、ガラス系物品の主表面のうちの一方又は両方に圧縮応力スパイクが存在するMaxT未満であってよい。1つ以上の実施形態では、ガラス系物品の一方又は両方の主表面に圧縮応力スパイクが存在しない場合、CTはMaxTに等しい。
いくつかの実施形態では、応力プロファイルを熱処理によって修正してよい。このような実施形態では、熱処理は、いずれのイオン交換プロセスの前、イオン交換プロセスとイオン交換プロセスとの間、又は全てのイオン交換プロセスの後に実施してよい。いくつかの実施形態では、熱処理は、表面又は表面付近の応力プロファイルの傾斜の低減をもたらすことができる。表面における傾斜がより急峻であること又はより大きいことが望ましいいくつかの実施形態では、熱処理後のイオン交換プロセスを利用して、表面又は表面付近に、「スパイク」を提供する、即ち応力プロファイルの傾斜を増大させることができる。
1つ以上の実施形態では、応力プロファイル312は、厚さの一部分に沿って変動する、1つ以上の金属酸化物のゼロではない濃度によって生成される。上述のように、金属酸化物濃度の変動は、本明細書では金属酸化物濃度勾配と呼ばれる場合もある。いくつかの実施形態では、金属酸化物の濃度は、ゼロではなく、約0・t〜約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する。いくつかの実施形態では、金属酸化物の濃度はゼロではなく、約0・t〜約0.35・t、約0・t〜約0.4・t、約0・t〜約0.45・t又は約0・t〜約0.48・tの厚さ範囲に沿って変動する。金属酸化物は、ガラス系物品中に応力を生成するものとして説明できる。濃度の変動は、上述の厚さ範囲に沿って連続的なものであってよい。濃度の変動は、約100マイクロメートルの厚さセグメントに沿った、約0.2モル%の金属酸化物濃度の変化を含んでよい。この変化は、実施例1に示すように、マイクロプローブを含む、当該技術分野で公知の方法で測定してよい。濃度がゼロではなく、かつ厚さの一部分に沿って濃度が変動する金属酸化物は、ガラス系物品中に応力を生成するものとして説明できる。
濃度の変動は、上述の厚さ範囲に沿って連続的であってよい。いくつかの実施形態では、濃度の変動は、約10マイクロメートル〜約30マイクロメートルの厚さセグメントに沿って連続的であってよい。いくつかの実施形態では、金属酸化物の濃度は、第1の表面から、第1の表面と第2の表面との間の点に向かって低下し、上記点から第2の表面に向かって上昇する。
金属酸化物の濃度は、2つ以上の金属酸化物(例えばNaOとKOとの組み合わせ)を含んでよい。2つの金属酸化物が利用され、イオンの半径が互いに異なるいくつかの実施形態では、深さが浅い位置では、半径が大きいイオンの濃度が、半径が小さいイオンの濃度より高いが、深さが深い位置では、半径が小さいイオンの濃度が、半径が大きいイオンの濃度より高い。例えば単一のNa及びK含有浴をイオン交換プロセスで使用する場合、深さが浅い位置では、ガラス系物品中のKイオンの濃度がNaイオンの濃度より高いが、深さが深い位置では、Naの濃度がKイオンの濃度より高い。その原因の一部は、比較的小さい1価イオンと交換されてガラス中に入る1価イオンのサイズである。このようなガラス系物品では、表面又は表面付近の領域には、比較的大きなイオン(即ちKイオン)がより多く存在するため、表面又は表面付近の領域は比較的高いCSを備える。この比較的高いCSは、表面又は表面付近の、比較的急峻な傾斜を有する応力プロファイル(即ち表面における応力プロファイルのスパイク)によって示され得る。
1つ以上の金属酸化物の濃度勾配又は変動は、本明細書中で既に説明したように、ガラス系基板の化学強化によって生成され、ここでは、ガラス系基板中の複数の第1の金属イオンが、複数の第2の金属イオンによって交換される。上記第1のイオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム及びルビジウムのイオンであってよい。上記第2の金属イオンは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムのうちの1つのイオンであってよいが、ただし上記第2のアルカリ金属イオンは、第1のアルカリ金属イオンのイオン半径より大きなイオン半径を有する。上記第2の金属イオンは、ガラス系基板中に、その酸化物(例えばNaO、KO、RbO、CsO又はこれらの組み合わせ)として存在する。
1つ以上の実施形態では、金属酸化物濃度勾配は、CT層327を含むガラス系物品の厚さtの大部分又は厚さt全体を通って延在する。1つ以上の実施形態では、金属酸化物の濃度は、CT層327において約0.5モル%以上である。いくつかの実施形態では、金属酸化物の濃度は、ガラス系物品の厚さ全体に沿って約0.5モル%以上(例えば約1モル%以上)であってよく、第1の表面302及び/又は第2の表面304において最大であり、第1の表面302と第2の表面304との間の点に向かって略一定に低下する。上記点では、金属酸化物の濃度は、厚さt全体に沿って最小であるが、濃度は上記点においてもゼロではない。換言すれば、上記特定の金属酸化物のゼロではない濃度は、(本明細書に記載されているように)厚さtの大部分、又は厚さt全体に沿って延在する。いくつかの実施形態では、上記特定の金属酸化物は、CT層327において濃度が最低となる。ガラス系物品中の上記特定の金属酸化物の合計濃度は、約1モル%〜約20モル%であってよい。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は、第1の金属酸化物濃度及び第2の金属酸化物濃度を、上記第1の金属酸化物濃度が約0t〜約0.5tの第1の厚さ範囲に沿って約0モル%〜約15モル%となり、かつ上記第2の金属酸化物濃度が約0マイクロメートル〜約25マイクロメートル(又は約0マイクロメートル〜約12マイクロメートル)の第2の厚さ範囲に沿って約0モル%〜約10モル%となるように含む。しかしながら、上記第1の金属酸化物及び上記第2の金属酸化物のうちの一方又は両方の濃度は、ガラス系物品の厚さの大部分又は全体に沿ってゼロではない。ガラス系物品は、任意の第3の金属酸化物濃度を含んでよい。第1の金属酸化物はNaOを含んでよく、第2の金属酸化物はKOを含んでよい。
金属酸化物の濃度は、上記金属酸化物の上記濃度勾配を含むように修正を行う前の、ガラス系物品中の上記金属酸化物のベースライン量から決定してよい。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は、ガラス系物品の中点におけるNaO濃度の、イオン交換済みでないガラス基板に比べて約1.3モル%未満の上昇、例えば約1.2モル%未満、約1.1モル%未満又は約1.0モル%未満の上昇を示し得る。中点におけるNaO濃度の上昇が1.3モル%超であることは、ガラス系物品中へのナトリウムイオンの過剰な拡散が発生したことを示し、これにより望ましくないねじれ及び重量増加が発生し得る。更に、本明細書に記載されているように、ナトリウムイオンの過剰な拡散は、改善された圧縮深さ、損傷耐性又は落下性能を提供しない。本明細書中で使用される場合、「中点(center point)」は、ガラス系物品内の深さが0.5t(垂直方向)であり、かつガラス系物品の最も近い周縁部から少なくとも5t(水平方向)である位置にある、ガラス物品内のいずれの点を指す。垂直方向は、ある線に沿って測定され、この線は:(1)第1の表面と第2の表面とを結び、上記中点を通過する;並びに(2)上記線が第1の表面及び第2の表面と交差する点において、上記第1及び第2の表面に対して垂直である線である。水平方向は、周縁部と中点との間の線に沿って測定され、垂直方向の測定に使用される線に対して垂直である。
いくつかの実施形態では、ガラス系物品の中点におけるNaOモル濃度は、中点におけるガラス系物品の合計アルカリ金属酸化物(RO)モル濃度の約45%未満、例えば合計アルカリ金属酸化物モル濃度の約40%未満である。NaOに起因し得る、合計アルカリ金属酸化物モル濃度の上記パーセンテージは、ガラス系物品中へのナトリウムイオン交換が行われた程度を示す。というのは、イオン交換は1:1プロセスであり、合計アルカリ金属酸化物モル濃度は変化しないためである。中点における合計アルカリ金属酸化物の約45%より高い、中点におけるNaO濃度は、ガラス系物品中へのナトリウムイオンの過剰な拡散が発生したことを示すことができ、これにより望ましくないねじれ及び重量増加が発生し得る。
いくつかの実施形態では、ガラス系物品の中点におけるNaOモル濃度は、約4.5モル%未満、例えば約4モル%未満、約3モル%未満又は約2.5モル%未満である。例えばいくつかの実施形態では、ガラス系物品の中点におけるNaOモル濃度が約4.5モル%未満であるガラス系物品を、リチウム含有ガラス系基板から形成できる。4.5モル%超である、中点におけるNaOモル濃度は、ガラス系物品中へのナトリウムイオンの過剰な拡散が発生したことを示すことができ、これにより望ましくないねじれ及び重量増加が発生し得る。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品を、その破砕様式及び上記破砕によって得られた断片に関して説明できる。1つ以上の実施形態では、破砕された場合、ガラス系物品は、2個以上の断片/ガラス系物品(破砕前)の平方インチ(又は6.4516平方センチメートルあたり)に破砕される。場合によっては、ガラス系物品は、3個以上、4個以上、5個以上又は10個以上の断片/ガラス系物品(破砕前)の平方インチ(又は6.4516平方センチメートルあたり)に破砕される。いくつかの例では、破砕された場合、ガラス系物品は、断片の50%以上が、ガラス系物品(破砕前)の表面積の5%未満、2%未満又は1%未満の表面積を有するように、複数の断片に破砕される。いくつかの実施形態では、破砕された場合、ガラス系物品は、断片の90%以上、又は100%が、ガラス系物品(破砕前)の表面積の5%未満、2%未満又は1%未満の表面積を有するように、複数の断片に破砕される。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品の化学強化後、結果として得られたガラス系物品の応力プロファイル317は、改善された破壊抵抗を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、破砕時、ガラス系物品は、平均最長断面寸法が約2・t以下(例えば1.8・t、1.6・t、1.5・t、1.4・t、1.2・t又は1・t以下)の断片を含む。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は約0.65MPa・m1/2以上の破壊靭性(K1C)を示してよい。場合によっては、破壊靭性は約0.69MPa・m1/2以上、約0.7MPa・m1/2以上、約0.8MPa・m1/2以上又は約0.9MPa・m1/2以上であってよい。いくつかの実施形態では破壊靭性は約0.65MPa・m1/2〜約1MPa・m1/2であってよい。
いくつかの実施形態では、基板は、荷重200gでのビッカース硬度試験で測定した場合に、約500HVN〜約800HVN(kgf/mm)の硬度を有することを特徴としてもよい。いくつかの実施形態では、ガラス系物品は、約600HVN〜約800HVNのビッカース硬度を有してよい。
本明細書に記載のガラス系物品は、0J/m超〜約40J/mの蓄積引張エネルギを示してよい。いくつかの例では、蓄積引張エネルギは、約5J/m〜約40J/m、約10J/m〜約40J/m、約15J/m〜約40J/m、約20J/m〜約40J/m、約1J/m〜約35J/m、約1J/m〜約30J/m、約1J/m〜約25J/m、約1J/m〜約20J/m、約1J/m〜約15J/m、約1J/m〜約10J/m、約10J/m〜約30J/m、約10J/m〜約25J/m、約15J/m〜約30J/m、約15J/m〜約25J/m、約18J/m〜約22J/m、約25J/m〜約40J/m又は約25J/m〜約30J/mであってよい。1つ以上の実施形態の熱及び化学強化ガラス系物品は、約6J/m以上、約10J/m以上、約15J/m以上又は約20J/m以上の蓄積引張エネルギを示してよい。
蓄積引張エネルギは、以下の式(2):
蓄積引張エネルギ(J/m)=1−νE∫σ^2dt (2)
を用いて算出でき、ここで νはポアソン比であり、Eは弾性率であり、積分は引張領域のみに関して計算される。
本明細書に記載のガラス系物品は一般に、約70GPa以上(例えば約70GPa〜約100GPa、約72GPa〜約100GPa、約75GPa〜約100GPa、約76GPa〜約100GPa、約78GPa〜約100GPa、約80GPa〜約100GPa、約82GPa〜約100GPa、約84GPa〜約100GPa、約86GPa〜約100GPa、約88GPa〜約100GPa、約90GPa〜約100GPa、約70GPa〜約95GPa、約70GPa〜約90GPa、約70GPa〜約88GPa、約70GPa〜約86GPa、約70GPa〜約85GPa、約70GPa〜約84GPa、約70GPa〜約82GPa、又は約70GPa〜約80GPa)の弾性率又はヤング率を有する。ガラス系物品の組成が元来有する弾性率は、上記ガラス系物品から生産される最終的なガラス系物品に、所望の高い剛性(これは外因的な特性である)を提供できる。明瞭性のために、弾性率測定値の具体的なタイプが明示されていない場合、本明細書に記載の弾性率は、例えばせん断弾性率、バルク弾性率、ポアソン比等ではなく、材料のヤング率である。
いくつかの実施形態では、ガラス系物品の液相粘度は低く、これにより、薄型圧延技法によるガラス系物品の形成が可能である。本明細書中で使用される場合、用語「液相粘度(liquidus viscosity)」は、液相線温度における溶融ガラスの粘度を指し、用語「液相線温度(liquidus temperature)」は、溶融ガラスを融点(即ち室温から温度を上昇させる際に最後の結晶が溶融する温度)から冷却するに従って結晶が最初に出現する温度を指す。一般に、本明細書に記載のガラス系物品(又は上記物品の形成に使用される組成物)は、約100キロポアズ(kP)未満の液相粘度を示す。いくつかの実施形態では、ガラス系物品(又は上記物品の形成に使用される組成物)は、約80kP、約60kP未満、約40kP未満、約30kP未満(例えば約15kP〜約30kP)の液相粘度を示す。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は、約4N〜約7N、約4.5N〜約7N、約5N〜約7N、約4N〜約6.5N、約4N〜約6N、又は約5N〜約6Nの、ヌープ引掻き‐横方向割れ閾値を示す。本明細書中で使用される場合、「ヌープ引掻き‐横方向割れ閾値(Knoop Scratch Lateral Cracking Threshold)」は、ヌープ圧子を用いて形成された微小展性引掻き溝の幅の2倍以上にわたって延在する横方向の割れの、(5回の押込みイベント中3回以上における)開始時点の荷重である。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は、約10kgf(98.0665N)以上、約12kgf(117.6798N)以上、又は約15kgf(147.09975N)以上のビッカース押込み破砕閾値を示す。いくつかの例では、ガラス系物品は約15kgf(147.09975N)〜約25kgf(245.16625N)のビッカース押込み破砕閾値を示す。本明細書中で使用される場合、「ビッカース押込み破砕閾値(Vicker’s Indentation Fracture Threshold)は、押込み部位の少なくとも1つの隅から延在する中央/径方向割れの、(5回の押込みイベント中3回以上における)開始時点の荷重である。
1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は、摩耗リング・オン・リング(abraded ring‐on‐ring:AROR)試験に供した場合に、改善された表面強度を示す。材料の強度は、破砕が発生する応力として定義される。AROR試験は、平坦なガラス試験片に関する表面強度測定法であり、「環境温度における改質セラミックの単調等二軸曲げ強さの標準試験法(Standard Test Method for Monotonic Equibiaxial Flexural Strength of Advanced Ceramics at Ambient Temperature)」という名称のASTM C1499‐09(2013年)が、本明細書に記載のAROR試験方法の基礎となっている。ASTM C1499‐09 の内容は、その全体が参照により本出願に援用される。
一実施形態では、ASTM C158‐02(2012年)「曲げによるガラスの強度の標準試験法(破壊係数の決定)(Standard Test Methods for Strength of Glass by Flexure(Determination of Modulus of Rupture))」の「摩耗手順(abrasion Procedures)」という名称の添付書類A2に記載の方法及び装置を用いてガラス試料まで送達される90グリットのシリコンカーバイド(SiC)粒子を用いて、ガラス試験片をリング・オン・リング試験の前に摩耗させて、表面欠陥条件を平準化及び/又は制御する。ASTM C158‐02の内容及び特に添付書類2の内容は、その全体が参照により本出願に援用される。摩耗材料は典型的には、304kPa(44psi)の空気圧を用いて、15psi(103.4214kPa)の荷重でガラス系物品の表面上にサンドブラストされるが、以下の実施例では、摩耗材料を他の荷重(例えば25psi(172.369kPa)又は45psi(310.2642kPa))で表面にサンドブラストした。空気流が確立された後、5cmの摩耗材料を漏斗に入れ、摩耗材料の導入後5秒間にわたって試料をサンドブラストする。
AROR試験のために、図5に示すような少なくとも1つの摩耗済み表面を有するガラス系物品410を、サイズが異なる2つの同心リング間に配置し、等二軸曲げ強度(即ち2つの同心リング間での曲げに供した場合に材料が耐えることのできる最大応力)を、これもまた図5に示すように決定する。AROR構成400では、摩耗済みガラス系物品410は、直径D2の支持リング420によって支持される。直径D1の荷重印加リング430によって、ガラス系物品の表面に、荷重計(図示せず)によって力Fが印加される。
荷重印加リング及び支持リングの直径の比D1/D2は、約0.2〜約0.5であってよい。いくつかの実施形態では、D1/D2は約0.5である。荷重印加リング430及び支持リング420は、同心となるよう、支持リングの直径D2の0.5%以内に位置合わせする必要がある。試験用のロードセルは、選択された範囲内のいずれの荷重において±1%以内となるよう正確でなければならない。いくつかの実施形態では、試験は、温度23±2℃及び相対湿度40±10%で実施される。
器具の設計に関して、荷重印加リング430の突出表面の半径rは、h/2≦r≦3h/2であり、ここでhはガラス系物品410の厚さである。荷重印加リング430及び支持リング420は典型的には、硬度HRc>40の硬化鋼製である。AROR器具は市販されている。
AROR試験のために意図される破損機構は、荷重印加リング430内の表面430aから開始するガラス系物品410の破砕を観察するというものである。この領域以外、即ち荷重印加リング430と支持リング420との間から発生する破損は、データ分析から省略される。しかしながら、ガラス系物品410の薄さ及び高い強度により、試験片厚さhの1/2を超える大きな偏向が観察されることがある。従って、荷重印加リング430の下側から発生する破損の高いパーセンテージが観察されることは珍しくない。リングの内側及びリングの下側の両方における応力の進展(歪みゲージの分析によって収集される)、並びに各試験片の破損の始点が分からなければ、応力を正確に算出することはできない。従ってAROR試験は、測定される応答として、破損時のピーク荷重に焦点を当てている。
ガラス系物品の強度は、表面の傷の存在に左右される。しかしながら、所与のサイズの傷が存在する可能性は正確に予測できない。というのは、ガラスの強度は統計的な性質のものであるためである。従って、得られたデータの統計的表現として、確率分布を一般に使用できる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品は、表面の摩耗に25psi(172.369kPa)又は45psi(310.2642kPa)の荷重を用いたARORで決定されるものとして、少なくとも20kgf(196.133N)及び最大約30kgf(294.1995N)の表面又は等二軸曲げ強度を有する。他の実施形態では、表面強度は少なくとも25kgf(245.16625N)であり、更に他の実施形態では少なくとも30kgf(294.1995N)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品を、逆ボール・オン・サンドペーパー(IBoS)試験における性能に関して説明できる。IBoS試験は、図6に概略図で示すように、移動体又はハンドヘルド電子デバイスに使用されるガラス系物品に典型的に発生する、損傷の導入及び屈曲による破損に関する主要な機序を模倣した、動的成分レベル試験である。使用現場では、損傷の導入(図7のa)は、ガラス系物品の上面で発生する。破砕はガラス系物品の頂面で開始され、損傷はガラス系物品を貫通する(図7のb)か、又は破砕がガラス系物品の頂面の屈曲から若しくはガラス系物品の内部から伝播する(図7のc)。IBoS試験は、ガラスの表面への損傷の導入、及び動的荷重下での屈曲の印加を同時に行うよう設計される。いくつかの例では、ガラス系物品は、同一のガラス系物品が仮に圧縮応力を含んでいない場合に比べて、圧縮応力を含んでいる場合に、改善された落下性能を示す。
IBoS試験装置を図6に概略図で示す。装置500は、試験スタンド510及びボール530を含む。ボール530は、例えばステンレス鋼ボール等の、剛性又は硬質のボールである。一実施形態では、ボール530は直径10mmの4.2グラムステンレス鋼ボールである。ボール530を、所定の高さhから、ガラス系物品試料518上に直接落下させる。試験スタンド510は、花崗岩等の硬質かつ剛性の材料からなる硬質ベース512を含む。表面上に配置された摩耗材料を有するシート514を硬質ベース512の上面に配置し、上記摩耗材料を備えた表面が上を向くようにする。いくつかの実施形態では、シート514は30グリットの表面を有するサンドペーパーであり、他の実施形態では180グリットの表面を有するサンドペーパーである。ガラス系物品試料518は、空隙516がガラス系物品試料518とシート514との間に存在するように、試料ホルダ515によってシート514の上の所定の位置に保持される。シート514とガラス系物品試料518との間の空隙516により、ボール530の衝突時にガラス系物品試料518をシート514の摩耗表面へと屈曲させることができる。一実施形態では、ガラス系物品試料518を全ての隅にわたってクランプ係留することにより、屈曲をボールの衝突点のみに内包されたまま維持し、また繰り返し性を保証する。いくつかの実施形態では、試料ホルダ514及び試験スタンド510は、最大約2mmの試料厚さを収容するよう適合される。空隙516は約50μm〜約100μmである。空隙516は、材料の剛度(ヤング率E)の差に関して調整されるように適合されるものの、上記弾性率及び試料の厚さも含む。接着テープ520を用いて、ガラス系物品試料の上面を覆い、ボール530の衝突時にガラス系物品試料518が破砕された場合に断片を回収できる。
摩耗表面として様々な材料を用いてよい。1つの特定の実施形態では、摩耗表面は、シリコンカーバイド若しくはアルミナサンドペーパーといったサンドペーパー、加工済みサンドペーパー、又は相当な硬度及び/若しくは鋭利さを有することが当業者に公知であるいずれの摩耗材料である。いくつかの実施形態では、30グリットのサンドペーパーを用いてよい。というのはこれが、コンクリート又はアスファルトよりも一貫した表面トポグラフィ、並びに所望のレベルの試験片表面損傷を生成する粒径及び鋭利さを有するためである。
ある態様では、上述の装置500を用いたIBoS試験を実施する方法600が図8に示されている。ステップ610では、ガラス系物品試料(図6の518)を上述の試験スタンド510に配置し、ガラス系物品試料518と摩耗表面を有するシート514との間に空隙516が形成されるように、試料ホルダ515に固定する。方法600は、摩耗表面を有するシート514が既に試験スタンド510に配置されていることを前提としている。しかしながらいくつかの実施形態では、方法は、シート514を試験スタンド510に、摩耗材料を有する表面が上を向くように配置するステップを含んでよい。いくつかの実施形態では(ステップ610a)、ガラス系物品試料518を試料ホルダ510に固定する前に、接着テープ520をガラス系物品試料518の上面に付着させる。
ステップ620では、所定の質量及びサイズの硬質ボール530を、所定の高さhからガラス系物品試料518の上面に、ボール530が上記上面(又は上記上面に取り付けられた接着テープ520)の概ね幾何学的中心(即ち幾何学的中心の1mm以内、又は3mm以内、又は5mm以内、又は10mm以内)に衝突するように落下させる。ステップ620での衝突に続いて、ガラス系物品試料518の損傷の程度を決定する(ステップ630)。上述のように、本明細書では、用語「破砕(fracture)は、基板を落下させるか又は基板に物体を衝突させた場合に、基板の厚さ全体及び/又は表面全体にわたって割れが伝播することを意味する。
方法600では、他のタイプ(例えばコンクリート又はアスファルト)の落下試験表面の反復使用時に観察されている「経年劣化」降下を回避するために、各落下後に、摩耗表面を有するシート514を交換してよい。
様々な所定の落下高さh及び増分が、方法600において典型的に使用される。この試験は例えば、開始時に最小落下高さ(例えば約10〜20cm)を用いる。続いて、連続する複数回の落下に関して、設定された増分又は可変増分だけ、高さを増加させてよい。方法600に記載の試験は、ガラス系物品試料518が破壊又は破砕された時に停止する(ステップ631)。あるいは落下高さhが、破砕を引き起こすことなく、最大落下高さ(例えば約100cm)に到達した場合、方法600の落下試験を停止してもよく、又はステップ620を、破砕が発生するまで上記最大高さで繰り返してよい。
いくつかの実施形態では、方法600のIBoS試験は、各所定の高さhにおいて、各ガラス系物品試料518に対して1回しか実施されない。しかしながら他の実施形態では、各試料を各高さにおいて複数回の試験に供してよい。
ガラス系物品試料518の破砕が発生した場合(図8のステップ631)、方法600に従ったIBoS試験を終了する(ステップ640)。所定の落下高さにおけるボール落下によって引き起こされた破砕が観察されない場合(ステップ632)、落下高さを所定の増分、例えば5、10又は20cmだけ増加させ(ステップ634)、ステップ620及び630を、試料の破砕が観察される(631)まで、又は試料の破壊が発生しないまま最大試験高さに到達する(636)まで、繰り返す。ステップ631又は636に到達すると、方法600に従った試験を終了する。
上述の逆ボール・オン・サンドペーパー(IBoS)試験に供した場合、本明細書に記載のガラス系物品の実施形態は、ボールを高さ100cmからガラスの表面に落下させたとき、少なくとも約60%の残存率を有する。例えばガラス系物品は、5個の同一の(又は略同一の)試料(即ち上述のように、概ね同一の組成と、強化されている場合は概ね同一の圧縮応力及び圧縮深さ又は圧縮応力とを有する試料)のうちの3個が、所定の高さ(ここでは100cm)から落下させた場合に破砕されることなくIBoS落下試験に耐える場合に、「所与の高さから落下させた場合に60%の残存率を有する」と記述される。他の実施形態では、強化されたガラス系物品の100cmでのIBoS試験での残存率は、少なくとも約70%、他の実施形態では少なくとも約80%、更に他の実施形態では少なくとも約90%である。他の実施形態では、IBoS試験において高さ100cmから落下させた強化ガラス系物品の残存率は、少なくとも約60%、他の実施形態では少なくとも約70%、更に他の実施形態では少なくとも約80%、他の実施形態では少なくとも約90%である。1つ以上の実施形態では、IBoS試験において高さ150cmから落下させた強化ガラス系物品の残存率は、少なくとも約60%、他の実施形態では少なくとも約70%、更に他の実施形態では少なくとも約80%、他の実施形態では少なくとも約90%である。
上述のIBoS試験法及び装置を用いて所定の高さから落下させた場合の、ガラス系物品の残存率を決定するために、ガラス系物品の少なくとも5個の同一の(又は略同一の)試料(即ち上述のように、概ね同一の組成と、強化されている場合は概ね同一の圧縮応力及び圧縮深さ又は層とを有する試料)が試験されるが、試験結果の信頼レベルを高めるために、更に多数の(例えば10個、20個、30個等の)試料を試験に供してよい。他の実施形態では、残存率を決定するために少なくとも10個の試料を試験する。各試料を、所定の高さ(例えば100cm又は150cm)から1回落下させるか、あるいは上記所定の高さに到達するまで破砕を引き起こすことなく漸進的に高くなる高さから落下させ、破砕のエビデンス(試料の厚さ全体及び/又は表面全体にわたる割れの形成及び伝播)を視覚的に(即ち目視で)検査する。所定の高さからの落下後に破砕が観察されない場合、試料は落下試験に「耐えた」と見做され、試料を上記所定の高さ以下の高さから落下させたときに破砕が観察される場合、試料は「破損した」(又は「耐えられなかった」)と見做される。残存率は、落下試験に耐えた試料集団のパーセンテージとなるように決定される。例えば、所定の高さから落下させた場合に、10個のグループのうち7個の試料が破砕されなかった場合、ガラスの残存率は70%となる。
本明細書に記載のガラス系物品は透明であってよい。1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は約1ミリメートル以下の厚さを有してよく、また約380nm〜約780nmの波長にわたって約88%以上の透過率を示してよい。
ガラス系物品は、略白色であってもよい。例えばガラス系物品は、CIE光源F02の下で、L*値約88以上、a*値約−3〜約+3、及びb*値約−6〜約+6の、CIELAB色空間座標を示してよい。あるいはガラス系物品は、CIE光源F02の下で、L*値約40以下、a*値約−3〜約+3、及びb*値約−6〜約+6の、CIELAB色空間座標を示してよい。このような色空間座標は、他のCIE光源(例えばD65)下において存在してもよい。
基板の選択は特に限定されない。いくつかの例では、ガラス系物品を、イオン交換に関して高い陽イオン拡散性を有するものとして説明できる。1つ以上の実施形態では、ガラス又はガラスセラミックは、迅速なイオン交換性を有し、即ちガラス又はガラスセラミックは、460℃において約450μm/時間以上の、又は460℃において約500μm/時間以上の、1価イオン拡散性を示す。
ある特定の温度において、拡散性は式(3):
拡散性=DOLIOX^2/5.6*T (3)
を用いて算出され、ここでDOLIOXはイオン交換層の深さであり、Tは上記DOLIOXに到達するためにかかるIOX時間である。
ガラス系物品は、非晶質基板、結晶質基板又はこれらの組み合わせ(例えばガラスセラミック基板)を含んでよい。1つ以上の実施形態では、(本明細書に記載されているように化学強化される前のガラス系物品基板は、モルパーセント(モル%)で:約40〜約80のSiO、約10〜約30のAl、約0〜約10のB、約0〜約20のRO、約0〜約15のROというガラス組成を含んでよい。本明細書中で使用される場合、ROは、LiO、NaO、KO、RbO及びCsO等のアルカリ金属酸化物の合計量を指す。本明細書中で使用される場合、ROは、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO等のアルカリ土類金属酸化物の合計量を指す。いくつかの例では、上記組成物は、約0モル%〜約5モル%のZrO及び約0〜約15モル%のPのうちの一方又は両方を含んでよい。TiOは、約0モル%から約2モル%まで存在してよい。
いくつかの実施形態では、上記ガラス組成物は、SiOを、モル%で約45〜約80、約45〜約75、約45〜約70、約45〜約65、約45〜約60、約50〜約70、約55〜約70、約60〜約70、約70〜約75、約70〜約72、約50〜約65、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲の量だけ含んでよい。
いくつかの実施形態では、上記ガラス組成物は、Alを、モル%で約5〜約28、約5〜約26、約5〜約25、約5〜約24、約5〜約22、約5〜約20、約6〜約30、約8〜約30、約10〜約30、約12〜約30、約12〜約18、約12〜約14、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲の量だけ含んでよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス組成物は、Bを、モル%で約0〜約8、約0〜約6、約0〜約4、約0.1〜約8、約0.1〜約6、約0.1〜約4、約1〜約10、約2〜約10、約4〜約10、約2〜約8、約0.1〜約5、約1〜約3、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲の量だけ含んでよい。いくつかの例では、上記ガラス組成物は、Bを含まないか又は略含まなくてよい。本明細書中で使用される場合、ガラス組成物の成分に関する句「略含まない(substantially free)」は、初期バッチ形成又は後続のイオン交換中に上記成分がガラス組成物に能動的又は意図的に添加されないものの、不純物としては存在し得ることを意味する。例えばある成分が約0.1モル%未満の量で存在する場合、ガラスは上記成分を略含まないと記述できる。
いくつかの実施形態では、上記ガラス組成物は、MgO、CaO及びZnO等の1つ以上のアルカリ土類金属酸化物を含んでよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のアルカリ土類金属酸化物の合計量は、最大約15モル%のゼロではない量であってよい。1つ以上の具体的実施形態では、いずれのアルカリ土類金属酸化物の合計量は、最大約14モル%、最大約12モル%、最大約10モル%、最大約8モル%、最大約6モル%、最大約4モル%、最大約2モル%、又は最大約1.5モル%の、ゼロではない量であってよい。いくつかの実施形態では、1つ以上のアルカリ土類金属酸化物の合計量は、モル%で、約0.1〜10、約0.1〜8、約0.1〜6、約0.1〜5、約1〜10、約2〜10、約2.5〜8、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内であってよい。MgOの量は、約0モル%〜約5モル%、約2モル%〜約4モル%、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内であってよい。ZnOの量は、約0〜約2モル%、約0.1モル%〜約2モル%、約0.1モル%〜約1モル%、約0.5モル%〜約1.5モル%、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内であってよい。CaOの量は約0モル%〜約2モル%であってよい。1つ以上の実施形態では、ガラス組成物はMgOを含んでよく、かつCaO及びZnOを略含まなくてよい。一実施形態では、ガラス組成物はCaO又はZnOのいずれか一方を含んでよく、かつMgO、CaO及びZnOのうちの他のものを略含まなくてよい。1つ以上の具体的実施形態では、ガラス組成物は、MgO、CaO及びZnOのうちの2つの金属酸化物のみを含んでよく、上記アルカリ土類金属酸化物のうちの第3のものを略含まなくてよい。
ガラス組成物中のアルカリ金属酸化物ROの合計量は、モル%で、約5〜約20、約5〜約18、約5〜約16、約5〜約15、約5〜約14、約5〜約12、約5〜約10、約5〜約8、約6〜約20、約7〜約20、約8〜約20、約8〜約18、約8〜約16、約8〜約14、約8〜約12、約8〜約11、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内であってよい。
1つ以上の実施形態では、ガラス組成物は、約0モル%〜約18モル%、約0モル%〜約16モル%、約0モル%〜約14モル%、約0モル%〜約12モル%、約1モル%〜約18モル%、約1モル%〜約16モル%、約1モル%〜約14モル%、約1モル%〜約12モル%、約1モル%〜約10モル%、約1モル%〜約8モル%、約1モル%〜約5モル%、約1モル%〜約4モル%、約1モル%〜約3モル%、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内の量のNaOを含む。いくつかの実施形態では、上記組成物は、約4モル%未満のNaOを含んでよい。
いくつかの実施形態では、LiO及びNaOの量は、成形性及びイオン交換性のバランスを取るために、ある具体的な量又は比に制御される。例えばLiOの量が増加すると、液相粘度が低下する場合があり、従って一部の成形方法が使用できなくなる。しかしながらこのようなガラス組成物は、本明細書に記載されているように、より深いDOCレベルまでイオン交換される。NaOの量は、液相粘度を修正できるものの、より深いDOCレベルまでのイオン交換を阻害し得る。1つ以上の実施形態では、LiO含有ガラス組成物(又はNa‐Li間の交換が主要な強化機序である組成物)中の深部における十分な応力のために、1つ以上の実施形態のガラス組成物は、約0.3超、約0.45以上、約0.5以上又は約0.7以上の組成比LiO/(RO)を含む。本明細書に記載のガラス系物品中、特にNaOを含むガラス系物品(又はK‐Na間の交換が主要な強化機序である組成物)の、比較的深い深部において、比較的高いCS値を維持するために、1つ以上の実施形態のガラス組成物は、約0.3超、約0.5以上又は約0.7以上の組成比NaO/(RO)を含んでよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス組成物は、KOを、約5モル%未満、約4モル%未満、約3モル%未満、約2モル%未満、又は約1モル%未満の量で含んでよい。1つ以上の代替実施形態では、上記ガラス組成物はKOを含まないか、又は本明細書中で定義されているように略含まなくてよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス組成物は、LiOを、約0モル%〜約18モル%、約0モル%〜約15モル%、約0モル%〜約10モル%、約0モル%〜約8モル%、約0モル%〜約6モル%、約0モル%〜約4モル%、約0モル%〜約2モル%、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内の量で含んでよい。いくつかの実施形態では、上記ガラス組成物はLiOを、約2モル%〜約10モル%、約4モル%〜約10モル%、約6モル%〜約10モル%、約5モル%〜約8モル%、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内の量で含んでよい。1つ以上の代替実施形態では、上記ガラス組成物はLiOを含まないか、又は本明細書中で定義されているように略含まなくてよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス組成物はFeを含んでよい。このような実施形態では、Feは、約1モル%未満、約0.9モル%未満、約0.8モル%未満、約0.7モル%未満、約0.6モル%未満、約0.5モル%未満、約0.4モル%未満、約0.3モル%未満、約0.2モル%未満、約0.1モル%未満、並びにこれらの間の全ての範囲及び部分範囲内の量で存在してよい。1つ以上の代替実施形態では、上記ガラス組成物はFeを含まないか、又は本明細書中で定義されているように略含まなくてよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス組成物はZrOを含んでよい。このような実施形態では、ZrOは、約1モル%未満、約0.9モル%未満、約0.8モル%未満、約0.7モル%未満、約0.6モル%未満、約0.5モル%未満、約0.4モル%未満、約0.3モル%未満、約0.2モル%未満、約0.1モル%未満、並びにこれらの間の全ての範囲及び部分範囲内の量で存在してよい。1つ以上の代替実施形態では、上記ガラス組成物はZrOを含まないか、又は本明細書中で定義されているように略含まなくてよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス組成物は、Pを、約0モル%〜約10モル%、約0モル%〜約8モル%、約0モル%〜約6モル%、約0モル%〜約4モル%、約0.1モル%〜約10モル%、約0.1モル%〜約8モル%、約2モル%〜約8モル%、約2モル%〜約6モル%、約2モル%〜約4モル%、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内の量で含んでよい。いくつかの例では、上記ガラス組成物は、Pを含まないか又は略含まなくてよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス組成物はTiOを含んでよい。このような実施形態では、TiOは、約6モル%未満、約4モル%未満、約2モル%未満、又は約1モル%未満の量で存在してよい。1つ以上の代替実施形態では、上記ガラス組成物はTiOを含まないか、又は本明細書中で定義されているように略含まなくてよい。いくつかの実施形態ではTiOは、約0.1モル%〜約6モル%、約0.1モル%〜約4モル%、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内の量で存在する。
いくつかの実施形態では、上記ガラス組成物は、様々な組成関係を含んでよい。例えば上記ガラス組成物は、約0〜約1、約0.4〜約1、約0.45〜約1、約0.5〜約1、約0.6〜約1、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内の、ROの合計量(モル%)に対するLiOの量(モル%)の比を含んでよい。
いくつかの実施形態では、上記ガラス組成物は、約−5〜約2、約−5〜約1.5、約−5〜約1、約−5〜約0、約−5〜約−1、約−5〜約−2、約−4〜約2、約−3〜約2、約−2〜約2、約−3〜約−1、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内の、ROの合計量(モル%)とAlの量(モル%)との間の差(RO−Al)を含んでよい。
いくつかの実施形態では上記ガラス組成物は、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0.1〜約4、約0.1〜約3、約1〜約3、約1〜約2、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内の、ROの合計量(モル%)とAlの量(モル%)との間の差(RO−Al)を含んでよい。本明細書中で使用される場合、ROは、本明細書中で定義されているように、RO及びROを含む。
いくつかの実施形態では、上記ガラス組成物は、約−4〜約5、約−2〜約4、約0.1〜約5、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内の、Alの量(モル%)に対するROの合計量(モル%)比(RO/Al)を含んでよい。例えば、Alの量(モル%)に対するROの合計量(モル%)比(RO/Al)は、約−4〜約4.5、約−4〜約4、約−4〜約3.5、約−4〜約3、約−4〜約2.5、約−4〜約2、約−4〜約1.5、約−4〜約1、約−3.5〜約5、約−3〜約5、約−2.5〜約5、約−2〜約5、約−1.5〜約5、約−1〜約5、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0.1〜約4、約0.1〜約3、約0.1〜約2、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内であってよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス組成物は、約15モル%以下、14モル%以下、13モル%以下、12モル%以下、11モル%以下、又は約10.5モル%以下の、AlとNaOとの合計量を含む。AlとNaOとの合計量は約5モル%超であってよい。
1つ以上の実施形態のガラス組成物は、約0〜約1の範囲内の、ROの合計量(モル%)に対するMgOの量(モル%)の比を示してよい。いくつかの実施形態では、比MgO/ROは、約0〜約0.9、約0〜約0.8、約0〜約0.7、約0〜約0.6、約0〜約0.5、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内である。
いくつかの実施形態では、上記ガラス組成物は、核形成剤を含まないか又は略含まなくてよい。典型的な核形成剤の例は、TiO、ZrO等である。核形成剤は、ガラス中の微結晶の形成を開始させることができるガラス中の構成成分としての機能に関して説明できる。
いくつかの実施形態では、ガラス基板に使用される組成物は、約0モル%〜約2モル%の、NaSO、NaCl、NaF、NaBr、KSO、KCl、KF、KBr、As、Sb、及びSnOのうちのいずれの1つ以上から選択された少なくとも1つの清澄剤と共にバッチ形成してよい。1つ以上の実施形態によるガラス組成物は更に、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約2、約0.1〜約1、約1〜約2、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内のSnOを含んでよい。本明細書中で開示されるガラス組成物は、As及び/又はSbを含まないか又は略含まなくてよい。
1つ以上の実施形態では、上記組成物は具体的には:62モル%〜75モル%のSiO;10.5モル%〜約17モル%のAl;5モル%〜約13モル%のLiO;0モル%〜約4モル%のZnO;0モル%〜約8モル%のMgO;2モル%〜約5モル%のTiO;0モル%〜約4モル%のB;0モル%〜約5モル%のNaO;0モル%〜約4モル%のKO;0モル%〜約2モル%のZrO;0モル%〜約7モル%のP;0モル%〜約0.3モル%のFe;0モル%〜約2モル%のMnO;及び0.05モル%〜約0.2モル%のSnOを含んでよい。本明細書中で使用される場合、MnOは、あらゆる種類の酸化マンガンを指す。
1つ以上の実施形態では、上記組成物は:67モル%〜約74モル%のSiO;11モル%〜約15モル%のAl;5.5モル%〜約9モル%のLiO;0.5モル%〜約2モル%のZnO;2モル%〜約4.5モル%のMgO;3モル%〜約4.5モル%のTiO;0モル%〜約2.2モル%のB;0モル%〜約1モル%のNaO;0モル%〜約1モル%のKO;0モル%〜約1モル%のZrO;0モル%〜約4モル%のP;0モル%〜約0.1モル%のFe;0モル%〜約1.5モル%のMnO;及び0.08モル%〜約0.16モル%のSnOを含んでよい。
1つ以上の実施形態では、上記組成物は、70モル%〜75モル%のSiO;10モル%〜約15モル%のAl;5モル%〜約13モル%のLiO;0モル%〜約4モル%のZnO;0.1モル%〜約8モル%のMgO;0モル%〜約5モル%のTiO;0.1モル%〜約4モル%のB;0.1モル%〜約5モル%のNaO;0モル%〜約4モル%のKO;0モル%〜約2モル%のZrO;0モル%〜約7モル%のP;0モル%〜約0.3モル%のFe;0モル%〜約2モル%のMnO;及び0.05モル%〜約0.2モル%のSnOを含んでよい。
本明細書に記載されているように化学強化する前のガラス系物品の他の例示的な組成を表1Aに示す。表1Bは、表1Aに列挙した例に関して決定された、選択された物理的特性を列挙したものである。表1Bに列挙されている物理的特性としては:密度;低温及び高温CTE;歪み点、アニール点及び軟化点;1011ポアズ温度、35kP温度、200kP温度、液相線温度及びジルコン破壊温度;ジルコン破壊粘度及び液相粘度;ポアソン比;ヤング率;屈折率;並びに応力光係数が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品及びガラス基板は、30ppm/℃以下の高温CTE、及び/又は少なくとも70GPaの弾性率、いくつかの実施形態では最大80GPaの弾性率を有する。
Figure 2019517977
Figure 2019517977
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ガラス系物品がガラスセラミックを含む場合、結晶相はβスポジュメン、ルチル、ガーナイト又は他の公知の結晶相及びこれらの組み合わせを含んでよい。
ガラス系物品は略平面状であってよいが、他の実施形態は、湾曲した、又はその他の形状に成形若しくは彫刻された基板を利用してよい。いくつかの例では、ガラス系物品は、3次元(「3D」)又は2.5次元(「2.5D」)形状を有してよい。いくつかの実施形態では、ガラス系物品は、非平面状、皿状又はソリ状の3D形状を有してよく、基板の両主表面は非平面状である。いくつかの他の実施形態では、ガラス系物品は、基板の主表面のうちの一方が非平面状となるようにガラス物品の少なくとも1つの縁部が非対称プロファイルを有する、2.5D形状を有してよい。ガラス系物品は、光学的に略透明であり、透過性であり、かつ光を散乱させないものであってよい。ガラス系物品は、約1.45〜約1.55の屈折率を有してよい。本明細書中で使用される場合、屈折率値は550nmの波長に関するものである。
更に、又はあるいは、ガラス系物品の厚さは1つ以上の寸法に沿って一定であってよく、又は美観上及び/若しくは機能上の理由から、その寸法のうちの1つ以上に沿って変動してよい。例えばガラス系物品の縁部は、ガラス系物品の中心に近い領域に比べて厚くなっていてよい。ガラス系物品の長さ、幅及び厚さ寸法もまた、物品の用途又は使用法に応じて変動してよい。
ガラス系物品は、成形方法によって特性決定できる。例えばガラス系物品は、フロート成形可能である(即ちフロートプロセスによって成形される)こと、ダウンドロー可能であること、及び特にフュージョン成形可能であるか又はスロットドロー可能である(即ちフュージョンドロープロセス又はスロットドロープロセスによって成形される)ことを特徴としてよい。
フロート成形可能なガラス系物品は、平滑な表面を特徴としてよく、溶融ガラスを典型的にはスズである溶融金属床上でフロート加工することによって均一な厚さが作製される。ある例示的なプロセスでは、溶融スズ床上に供給された溶融ガラスは、フロートガラスリボンを形成する。このガラスリボンがスズ床に沿って流れるに従って、ガラスリボンが固体ガラス系物品へと固化するまで温度が徐々に低下し、上記固体ガラス系物品は、スズからローラ上へと持ち上げることができる。床から離れた後、ガラス系物品を更に冷却し、アニーリングすることによって、内部応力を低減できる。ガラス系物品がガラスセラミックである場合、フロートプロセスで成形されたガラス系物品をセラミック化プロセスに供してよく、このプロセスによって1つ以上の結晶質相が生成される。
ダウンドロープロセスは、比較的美しい状態の表面を有する均一な厚さのガラス系物品を生成する。ガラス系物品の平均曲げ強度は、表面の傷の量及びサイズによって制御されるため、接触が最小限である美しい状態の表面は、比較的高い初期強度を有する。その後、この高強度ガラス系物品を更に(例えば化学的に)強化した場合、得られる強度は、ラップ仕上げし、研磨した表面を有するガラス系物品の強度よりも高いものとなり得る。ダウンドロー加工されたガラス系物品は、約2mm未満の厚さにダウンドロー加工されていてよい。更に、ダウンドロー加工されたガラス系物品は、極めて平坦で平滑な表面を有し、これはその最終的な用途において、コストがかかる研削及び研磨を行うことなく使用できる。ガラス系物品がガラスセラミックである場合、ダウンドロープロセスで成形されたガラス系物品をセラミック化プロセスに供してよく、このプロセスによって1つ以上の結晶質相が生成される。
フュージョンドロープロセスは例えば、溶融ガラス原材料を受け入れるためのチャネルを有する、ドロー加工用タンクを使用する。このチャネルは、チャネルの両側に、チャネルの長さに沿って、頂部で開口した堰を有する。チャネルが溶融材料で満たされると、溶融ガラスはこの堰からあふれる。溶融ガラスは重力によって、ドロー加工用タンクの外側表面を、2つの流動ガラスフィルムとして流れ落ちる。ドロー加工用タンクのこれらの外側表面は、下方かつ内向きに延在して、ドロー加工用タンクの下方の縁部において接合する。これら2つの流動ガラスフィルムはこの縁部で接合して融合し、単一の流動ガラス系物品を形成する。フュージョンドロー法は、チャネルを越えて流れる2つのガラスフィルムが1つに融合するため、結果として得られるガラス系物品の外側表面が装置のいずれの部分にも接触しないという利点を提供する。従ってフュージョンドロー加工されたガラス系物品の表面特性は、このような接触に影響されない。ガラス系物品がガラスセラミックである場合、フュージョンプロセスで成形されたガラス系物品をセラミック化プロセスに供してよく、このプロセスによって1つ以上の結晶質相が生成される。
スロットドロープロセスは、フュージョンドロー法とは異なっている。スロットドロープロセスでは、溶融原材料ガラスをドロー加工用タンクに供給する。ドロー加工用タンクの底部は開放スロットを有し、これは、上記スロットの長さに沿って延在するノズルを備える。溶融ガラスはこのスロット/ノズルを通って流れ、連続したガラス系物品として、アニーリング領域内に向かって下方へと流れる。ガラス系物品がガラスセラミックである場合、スロットドロープロセスで成形されたガラス系物品をセラミック化プロセスに供してよく、このプロセスによって1つ以上の結晶質相が生成される。
いくつかの実施形態では、ガラス系物品を、米国特許第8,713,972号明細書「精密ガラス圧延成形プロセス及び装置(Precision Glass Roll Forming Process and Apparatus)」、米国特許第9,003,835号明細書「表面特徴加工シートガラスの精密圧延成形(Precision Roll Forming of Textured Sheet Glass)」、米国公開特許第20150027169号明細書「ガラスリボンを成形するための装置及び方法(Methods And Apparatus For Forming A Glass Ribbon)」、及び米国公開特許第20050099618号明細書「薄型ガラス物品を成形するための装置及び方法(Apparatus and Method for Forming Thin Glass Article)」に記載されているような薄型圧延プロセスを用いて成形してよく、これらの文献の内容は参照によりその全体が本出願に援用される。より具体的には、ガラス系物品は:溶融ガラスの垂直な流れを供給するステップ;溶融ガラス又はガラスセラミックの供給された流れを、約500℃以上又は約600℃以上の表面温度に維持された成形用ロールのペアを用いて成形して、成形済み厚さを有する成形済みガラスリボンを形成するステップ;ガラスの上記成形済みリボンを、約400℃以下の表面温度に維持されたサイズ調整用ロールのペアを用いてサイズ調整して、上記成形済み厚さ未満の所望の厚さ及び所望の厚さ均一性を有する、サイズ調整済みガラスリボンを製造するステップによって成形してよい。ガラスリボンの成形に使用される装置は:溶融ガラスの供給される流れを供給するためのガラス供給デバイス;約500℃以上の表面温度に維持された成形用ロールのペアであって、上記成形用ロールは互いに近接して離間して、成形用ロール間にガラス成形用間隙を画定し、このガラス成形用間隙は、上記ガラス供給デバイスの垂直方向下側に位置し、これにより、溶融ガラスの供給された流れを受承し、溶融ガラスの供給された流れを上記成形用ロール間で薄く加工して、成形済み厚さを有する成形済みガラスリボンを形成する、成形用ロールのペア;並びに約400℃以下の表面温度に維持されたサイズ調整用ロールのペアであって、上記サイズ調整用ロールは、互いに近接して離間して、サイズ調整用ロール間にガラスサイズ調整用間隙を画定し、このガラスサイズ調整用間隙は、上記成形用ロールの垂直方向下側に位置し、これにより、上記成形済みガラスリボンを受承し、上記成形済みガラスリボンを薄く加工して、所望の厚さ及び所望の厚さ均一性を有するサイズ調整済みガラスリボンを製造する、サイズ調整用ロールのペアを含んでよい。
いくつかの例では、薄型圧延プロセスは、ガラスの粘度によってフュージョン又はスロットドロー法を使用できない場合に利用できる。例えば薄型圧延を利用して、ガラスが100kP未満の液相粘度が示す場合にガラス系物品を成形できる。
ガラス系物品に酸研磨又は他の処理を施すことによって、表面の傷の影響を除去又は低減してよい。
本開示の別の態様は、本明細書に記載のガラス系物品を含むデバイスに関する。例えば上記デバイスとしては、ディスプレイを含む又は強化薄型ガラスを必要とするデバイスが挙げられる。1つ以上の実施形態では、上記デバイスは電子デバイスであり、これは、携帯電話、ラップトップ、タブレット、mp3プレイヤー、ナビゲーションデバイス等といった移動体デバイス、又はコンピュータ、電子ディスプレイ、車両内情報/エンターテインメントシステム、掲示板、店頭システム、ナビゲーションシステム等といった静置型デバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のガラス系物品は、建築用物品(壁、取付具、パネル、窓等)、輸送用物品(例えば自動車用途、鉄道、航空機、船舶等の窓ガラス若しくは内部表面)、家電製品(例えば洗濯機、乾燥機、食器洗浄機、冷蔵庫等)又はある程度の破壊抵抗を必要とするいずれの物品に組み込んでよい。図39に示すように、電子デバイス1000は、本明細書に記載の1つ以上の実施形態によるガラス系物品100を含んでよい。デバイス1000は:前面1040、背面1060及び側面1080を有するハウジング1020;並びに少なくとも一部又は全体が上記ハウジング内にあり、かつ少なくとも1つのコントローラ、メモリ、及び上記ハウジングの上記前面上の又は上記前面に隣接するディスプレイ1120を含む、電気部品(図示せず)を含む。ガラス系物品100は、上記ハウジングの上記前面上に又は上記前面を覆うように配置されてディスプレイ1120を覆う、カバー基板として図示されている。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品を、ハウジング1020のバックカバーとして又はハウジング1020の一部として使用してよい。
本開示の別の態様は、耐破砕性ガラス系物品の形成方法に関する。上記方法は:約1ミリメートル以下の厚さを画定する第1の表面及び第2の表面を有するガラス系基板を提供するステップ;並びに本明細書に記載されているように、上記ガラス系基板内に応力プロファイルを生成することによって、耐破砕性ガラス系物品を提供するステップを含む。1つ以上の実施形態では、上記応力プロファイルを生成するステップは、複数のアルカリイオンを上記ガラス系基板中へとイオン交換することによって、(本明細書に記載されているように)厚さの大部分に沿って又は厚さ全体に沿って変動する、ゼロではないアルカリ金属酸化物濃度を形成するステップを含む。一例として、上記応力プロファイルを生成するステップは、温度が約350℃以上(例えば約350℃〜約500℃)の、Na、K、Rb、Cs又はこれらの組み合わせの硝酸塩を含む溶融塩浴中にガラス系基板を浸漬させるステップを含む。一例として、上記溶融浴はNaNO、KNO又はこれらの組み合わせを含んでよく、また約485℃以下の温度を有してよい。別の例として、上記浴はNaNO及びKNOの混合物を含んでよく、約460℃の温度を有してよい。上記ガラス系基板は上記浴中に、約2時間以上、最大約48時間(例えば約2時間〜約10時間、約2時間〜約8時間、約2時間〜約6時間、約3時間〜約10時間、又は約3.5時間〜約10時間)にわたって浸漬させてよい。
いくつかの実施形態では、上記方法は、単一の浴で、又は2つ以上の浴での連続的な浸漬ステップを用いた2つ以上のステップで、ガラス系基板に化学強化又はイオン交換を施すステップを含んでよい。例えば、2つ以上の浴を連続的に使用してよい。1つ以上の浴の組成は、単一の金属(例えばAg、Na、K、Rb若しくはCs)又は複数の金属の組み合わせを、同一の浴中に含んでよい。2つ以上の浴を利用する場合、これらの浴は、互いに同一の又は異なる組成及び/又は温度を有してよい。各上記浴中での浸漬時間は同一であってよく、又は所望の応力プロファイルを提供するために変動させてもよい。
上記方法の1つ以上の実施形態では、第2の浴又は後続の複数の浴を利用して、より高い表面CSを生成してよい。いくつかの例では、上記方法は、上記ガラス系基板を上記第2の又は後続の浴に浸漬させて、化学層深さ及び/又はDOCに有意な影響を及ぼすことなく、より高い表面CSを生成するステップを含む。このような実施形態では、上記第2の又は後続の浴は、単一の金属(例えばKNO若しくはNaNO)又は複数の金属(KNO及びNaNO)の混合物を含んでよい。上記第2の又は後続の浴の温度は、より高い表面CSを生成できるように調整できる。いくつかの実施形態では、上記第2の又は後続の浴中での上記ガラス系基板の浸漬時間もまた、化学層深さ及び/又はDOCに有意な影響を及ぼすことなく、より高い表面CSを生成できるように調整できる。例えば、上記第2の又は後続の浴中での浸漬時間は、10時間未満(例えば約8時間以下、約5時間以下、約4時間以下、約2時間以下、約1時間以下、約30分以下、約15分以下、又は約10分以下)であってよい。
1つ以上の代替実施形態では、上記方法は、本明細書に記載のイオン交換プロセスと併用してよい1つ以上の熱処理ステップを含んでよい。この熱処理は、所望の応力プロファイルが得られるように上記ガラス系物品を熱処理するステップを含む。いくつかの実施形態では、上記熱処理するステップは、上記ガラス系基板を、約300℃〜約600℃の温度までアニーリング、焼戻し又は加熱するステップを含む。上記熱処理は、1分〜約18時間にわたって継続してよい。いくつかの実施形態では、上記熱処理は、1つ以上のイオン交換プロセスの後、又はイオン交換プロセスとイオン交換プロセスとの間に使用してよい。
本開示の別の態様は、化学強化ガラス系物品を形成する方法に関し、上記方法は:厚さ(t)、長さ寸法、幅及び重量を画定する第1の表面及び上記第1の表面と反対側の第2の表面を備えるガラス系基板を提供するステップ;並びに複数のアルカリイオンを上記ガラス系基板中へとイオン交換することによって、上記厚さ(t)の少なくとも大部分に沿って変動するゼロではないアルカリ金属酸化物濃度を形成するステップを含み、上記イオン交換するステップは、上記ガラス系基板を、少なくとも約90重量%のカリウム塩(例えばKNO)及び約10重量%未満のナトリウム塩(例えばNaNO)を含む溶融塩浴中に、約12時間未満にわたって浸漬するステップを含む。本方法の詳細は、上述の実施形態のいずれと組み合わせてもよい。
イオン交換することによって、圧縮表面スパイクを伴って又は伴わずに深い圧縮深さ(厚さの>10%)を達成できるガラス組成物は、落下試験、摩耗リング・オン・リング試験及び4点曲げ試験において、改善された機械的性能を示す。このようにして達成された応力プロファイルは、ガラスの深部へのイオン交換の結果である。場合によっては、交換したイオンが十分に拡散することによって、部品の中点又は中点付近がイオン交換を受け、極めて深い圧縮深さが得られる。
ガラス中の比較的小さいイオンを大きく重いイオンで交換するプロセスは、重量及び寸法の部分的な増加ももたらし得る。例えば斜角になった縁部又は他の非対称特徴部分を有するガラス又はガラスセラミック部品は、様々な問題を提示し得る。このようなガラス系物品では、重量及び寸法の変化により、2次元又は3次元的な上記部品の望ましくないねじれが誘発され得る。このようなねじれは、システムの組み立てに関して問題となり得、従ってイオン交換誘発型のねじれを低減するためのプロセスが必要となる。イオン交換誘発型の寸法変化及び/又はねじれは、上記部品中へと交換されるイオンの数に比例する。イオン交換プロファイルが深いことにより、イオン交換中に0.3%を超える有意な重量増加が発生し得る。(2段階又は混合浴イオン交換を用いることによって得られる場合がある)圧縮応力の表面スパイクの存在は、重量増加/寸法変化及びねじれに関して、測定可能ではあるものの比較的小さい影響しか有しない。
更に、ガラス系物品が極めて高いCT値を達成できる場合、断片の数が少ない、ガラスの好ましい(「非脆性(non‐frangible)」)最終破砕パターンを達成するために十分にCTが低下するまで、ガラス系基板を、最大CTの達成に必要な時間より大幅に長い時間にわたってイオン交換する。その結果、ガラス系基板はこの比較的低いCT値を達成するためにイオン交換浴中に長時間置かれ、Na‐Li間置換によって有意な、例えば2重量%の重量増加を蓄積する。この重量増加は、イオン交換済み部品の過剰な変形/ねじれにつながり得る。
本明細書に記載の方法の1つ以上の実施形態は、「2.5D」(例えば斜角付き)及び3D部品の寸法変化及び/又はねじれを軽減することが発見されている。イオン交換条件は、イオン交換時間、従ってガラス中へと交換されるイオンの数を最小としながら、既に概説したように最大の又は最大付近のDOCを有する応力プロファイルが達成されるように定義される。これらの方法は、寸法変化及び/又はねじれを管理するためのいずれの二次的なイオン交換後加工のための労力を大幅に低減し、又はその必要を除去しさえする。機械的性能とねじれの制御とを同時に最適化するために、イオン交換浴の組成、時間及び温度を入念に選択する必要がある。
1つ以上の実施形態は一般に、厚さ寸法が約3mm未満、約2.5mm未満、約2mm未満、約1.5mm未満、約1.4mm未満、約1.3mm未満、約1.2mm未満、約1.1mm未満、約1mm未満、約0.9mm未満、約0.8mm未満、約0.7mm未満、約0.6mm未満、又は約0.5mm未満のガラス系物品基板に関する。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品の厚さは約0.3mm〜約1.3mmである。いくつかの実施形態では、上記厚さは約1mm又は約0.8mmである。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品は不均一な厚さを有してよく、これにより上記ガラス系物品の局所的領域は、上記ガラス系物品の大半の部分の厚さより小さい又は大きい厚さを有してよい。1つ以上の実施形態では、上記方法は、非脆性のガラス系物品を提供し、従ってこのガラス系物品は比較的少数の断片へと破壊される。
比較的迅速なイオン拡散性(>300μm/時間)を有するガラスを、本明細書に記載の方法を用いてイオン交換できる。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は、リチウム含有ガラスを含む。いくつかの実施形態では、上記方法はLiO/RO>0.65を有するガラス系物品に適用される。
溶融塩浴の温度は、380℃〜約450℃であってよい。更なる実施形態では、上記温度は約400℃〜約460℃若しくは420℃〜約440℃、約430℃、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内である。
上記溶融塩浴は様々であってよい。1つ以上の実施形態では、上記溶融塩浴は更に、約2重量%、1.5重量%又は1重量%未満のリチウム塩(例えばLiNO)を含む。いくつかの実施形態では、カリウム塩(例えばKNO)は、少なくとも90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、又は96重量%の量で存在し、残部がナトリウム塩及び任意にリチウム塩である。1つ以上の実施形態では、カリウム塩(例えばKNO)は、約90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、又は97重量%の量で存在する。更なる実施形態では、基本的にカリウム塩(例えばKNO)からなる溶融浴を使用する。カリウム塩(例えばKNO)の例示的な範囲は、少なくとも約90重量%、例えば約90重量%〜約97重量%である。ナトリウム塩(例えばNaNO)の量も様々であってよい。1つ以上の実施形態では、ナトリウム塩(例えばNaNO)は、約70重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、又は5重量%未満の量で存在する。いくつかの実施形態では、ナトリウム塩(例えばNaNO)は、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、又は3重量%の量で存在する。ナトリウム塩(例えばNaNO)の例示的な範囲は、約10重量%未満、例えば約10重量%〜約3重量%である。いくつかの実施形態では、溶融塩浴中のナトリウム塩に対するカリウム塩の重量比は、(a)2.5:1、及び(b)ガラス系基板中のモル比(LiO+KO):NaOのうちの、小さい方より大きい。換言すれば、溶融塩浴の組成は部分的に、ガラス基板の組成に基づいて決定され得る。浴中のカリウム塩の量が本明細書に記載のものよりも少ない場合、ガラス系物品中への過剰なナトリウム拡散が発生する場合があり、これは望ましくないねじれ及び重量増加を生成する。
同様に、浴時間は様々であってよい。1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は、約12時間、11時間、10時間、9時間、8時間、7時間、6時間、5時間又は4時間未満かつ1時間超にわたってイオン交換される。いくつかの実施形態では、ガラス系物品は約7時間にわたってイオン交換される。いくつかの実施形態では、浴時間は、同一のガラス基板並びに浴条件(組成及び温度)に関して、ガラス系物品中に最大中心張力を生成する浴時間に対して定義できる。このような状況において、浴時間は、最大中心張力を生成する浴時間の約50%〜約130%、例えば最大中心張力浴時間の約55%〜約130%、最大中心張力浴時間の約60%〜約130%、最大中心張力浴時間の約65%〜約130%、最大中心張力浴時間の約70%〜約130%、最大中心張力浴時間の約75%〜約125%、最大中心張力浴時間の約80%〜約120%、最大中心張力浴時間の約85%〜約115%、最大中心張力浴時間の約90%〜約110%、最大中心張力浴時間の約95%〜約105%、最大中心張力浴時間の約100%、又はこれらに内包される若しくはこれらの端点によって画定されるいずれの部分範囲内であってよい。浴時間が最大中心張力浴時間の50%未満である場合、ガラス系物品は、所望の損傷耐性及び落下性能を提供するには低すぎる中心張力及び対応する合計圧縮応力を示す。浴時間が最大中心張力浴時間の130%を超える場合、ガラス系物品は、イオン交換時間の延長に関連する中心張力の降下により、所望の損傷耐性及び落下性能を提供するには低すぎる中心張力及び対応する合計圧縮応力と、ガラス系物品中への更なる金属イオンの拡散により、所望の範囲を超えた程度の歪み及び重量増加とを示す。更に、最大中心張力浴時間の130%を超えた浴時間は、望ましくないねじれ及び重量増加を相殺する、圧縮深さの増大を提供しない。
いくつかの実施形態では、上記方法は第2のイオン交換を更に含み、これは上述のイオン交換の前又は後に実施してよい。上記第2のイオン交換は、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれを含むことができる。ある例示的な方法は、例えば7時間、6時間、5時間、又は4時間にわたる、430℃の80重量%カリウム塩/20重量%ナトリウム塩(例えば80重量%KNO/20重量%NaNO)中での第1のイオン交換と、これに続く、混合カリウム塩/ナトリウム塩(例えばKNO/NaNO)又は純ナトリウム塩(例えばKNO)浴中での第2のステップとを含む。別の例示的な方法は、純KNO中での第1のイオン交換と、これに続く、例えば95重量%カリウム塩/5重量%ナトリウム塩(例えば95重量%KNO/5重量%NaNO)中での、例えば7時間、6時間、5時間、又は4時間にわたる第2のイオン交換とを含む。
上述のように、上記方法は、所望の応力プロファイルを維持しながら、イオン交換前物品基板に比べて小さい重量増加、長さ若しくは幅寸法の変化、又はねじれを示す、ガラス系物品を提供する。1つ以上の実施形態では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、1.6%、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1%、又は0.9%未満の重量増加がある。更なる実施形態では、少なくとも0.3%の重量増加がある。いくつかの実施形態では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、0.24%、0.23%、0.20%、0.19%、0.18%、0.17%、0.16%、0.15%、0.14%、0.13%、0.12%、0.11%、又は0.10%未満の長さ寸法の変化がある。更なる実施形態では、少なくとも0.1%の長さ寸法の変化、例えば少なくとも0.2%の長さ寸法の変化がある。いくつかの実施形態では、長さ寸法の変化は、約0.1%〜約0.2%、例えば約0.15%〜約0.0.2%である。1つ以上の実施形態では、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、0.24%、0.23%、0.20%、0.19%、0.18%、0.17%、0.16%、0.15%、0.14%、0.13%、0.12%、0.11%、又は0.10%未満の幅の変化がある。更なる実施形態では、少なくとも0.1%の幅寸法の変化、例えば0.2%の幅寸法の変化がある。1つ以上の実施形態では、ガラス系物品は、イオン交換前のガラス系基板に比べてイオン交換後に200μm未満だけ、例えばイオン交換前のガラス系基板に比べてイオン交換後に180μm、160μm、150μm、130μm、又は120μm未満だけ、ねじれる。いくつかの実施形態では、ガラス系物品は、ガラスの主軸へのフィットによって画定された平坦な平面から測定した場合に約200μm未満の、例えば約180μm、約160μm、約150μm、約130μm、又は約120μm未満の、ねじれを示し得る。
これらの方法の1つの利点は、ガラス系物品の所望の特性(優れた機械的性能の属性をもたらすCT、CS、DOC及びDOL値)を維持したまま、ガラス系物品の歪みが最小化されることである。ガラス部品のイオン交換誘発型ねじれは、イオン交換後の研磨又はエッチングを注意深く用いることによって低減できるものであったが、このスキームは、応力プロファイルの重要な特徴を犠牲にすることなく除去してよい材料の量によって、制限される場合がある。イオン交換後の研磨又はエッチングが有効な場合であっても、これらの方法は、製造プロセスを複雑化する余分なステップである。これらの追加のステップは時間及びコストがかかり、また最終的な部品の歩留まりにマイナスの影響を及ぼし得る、追加の作業ステップを導入するものである。本明細書に記載の方法は、イオン交換プロセス自体におけるねじれを最小化するイオン交換のレシピ(時間、温度、浴組成)を規定することによって、イオン交換誘発型ガラス変形の問題に根本から対処する。本発明のイオン交換プロセスにより、イオン交換浴の時間も短縮でき、これにより、リチウム被毒に関して、イオン交換時間及び浴の寿命という点で作業効率を理想化できる。本明細書に記載の方法は、斜角を有する又はその他の成形を施された特徴部分(これは相当なイオン交換を行った場合にねじれる傾向がある)を有するガラス系物品に関して特に有利である。
本開示の別の態様は、本明細書に記載の方法で調製されたガラス系物品に関する。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は:長さ寸法;幅寸法;重量;厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;並びに71.5/√(t)以上の最大CTを備える中心張力(CT)領域を備える、イオン交換済みガラス系物品であり、厚さtはmmを単位として与えられる。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品の厚さ(t)が0.8mmである場合、イオン交換前のガラス系物品の重量に比べて、イオン交換済み金属酸化物によってもたらされる、ガラス系物品の1.6%未満の重量増加がある。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品の厚さ(t)が0.8mmである場合、イオン交換前のガラス系物品の長さ寸法に比べて、イオン交換済みガラス系物品の長さ寸法に0.24%未満の変化がある。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品の厚さ(t)が0.8mmである場合、イオン交換前のガラス系物品の幅寸法に比べて、上記ガラス系物品の幅寸法に0.24%未満の変化がある。これらの特性の測定は、室温(例えば約25℃〜約35℃)で実施してよい。
上述のような様々な変形例が、イオン交換済みガラス系物品に適用可能である。例えば、いくつかの実施形態では、イオン交換前のガラス系物品の重量に比べて、イオン交換済み金属酸化物によってもたらされる、ガラス系物品の1.4%未満の重量増加がある。1つ以上の実施形態では、イオン交換前のガラス系物品の長さ寸法に比べて、イオン交換済みガラス系物品の長さ寸法に0.15%未満の変化がある。いくつかの実施形態では、イオン交換前のガラス系物品の幅寸法に比べて、上記ガラス系物品の幅寸法に0.15%未満の変化がある。
1つ以上の実施形態では、上記物品は更に、約300MPa以上の表面圧縮応力(CS)を備える。いくつかの実施形態では、表面CSは、約400MPa、450MPa又は500MPa以上である。1つ以上の実施形態では表面CSは、約400MPa〜約750MPa、450MPa〜約750MPa、500MPa〜約750MPa、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内である。
いくつかの実施形態では、CTは、約50MPa〜約100MPa、約60MPa〜約90MPa、約70MPa〜約80MPa、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内であってよい。更なる実施形態では、CTは、厚さ約0.8mmのガラス系物品に関して、約50MPa〜約100MPa、約60MPa〜約90MPa、約70MPa〜約80MPa、又はこれらに内包されるいずれの部分範囲内であってよい。
1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は、少なくとも15%のDOCを有してよい。更なる実施形態では、DOCは、厚さ約0.8mmのガラス系物品に関して少なくとも15%であってよい。
いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品は、約5μm〜約15μmの圧縮応力スパイク層深さ(DOLspike)を有してよい。更なる実施形態では、上記ガラス系物品は、厚さ約0.8mmのガラス系物品に関して、約5μm〜約15μmのDOLspikeを有してよい。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品は、厚さの約0.625%〜約1.875%のDOLspikeを有してよい。いくつかの実施形態では、上記ガラス系物品は、約0.006〜約0.014、例えば約0.008〜約0.012、約0.009〜約0.011、約0.01、又はこれらに内包される若しくはこれらの端点から形成されるいずれの部分範囲内のDOLspike/tを有してよい。本明細書中で使用される場合、DOLspikeは、上記ガラス系物品に形成された圧縮応力スパイクの深さを指す。DOLspikeは、FSMで測定される上記ガラス系物品内のカリウムイオン交換の深さ(「カリウムDOL(Potassium DOL)」)に基づいて定義してよく、おおよそ折れ曲がり応力の深さであってもよい。DOLspike/tが0.006未満である場合、上記ガラス系物品は、低い損傷耐性及び落下性能を示し、望ましくない。DOLspike/tが0.014より大きい場合、上記ガラス系物品は、過剰なイオン交換を受けており、これは望ましくないねじれ及び重量増加を生成し得る。1つ以上の実施形態では、上記ガラス系物品は、100MPa、110MPa、120MPa、又は130MPa超の折れ曲がり応力(CSknee)を有してよい。本明細書中で使用される場合、CSkneeは、応力プロファイルの「折れ曲がり(knee)」(これは、応力プロファイルの傾斜が大きく変化する位置である)における圧縮応力を指す。図33に示すように、DOLspikeは約12μmであり、CSkneeは約151MPaである。
本開示の別の態様は:前面、背面及び側面を有するハウジング;少なくとも部分的に上記ハウジングの内側にある、電気部品;上記ハウジングの上記前面の、又は上記前面に隣接する、ディスプレイ;並びに上記ディスプレイを覆うように配置されたカバー基板を備える、デバイスに関し、上記カバー基板は、上述のイオン交換済みガラス系物品のうちのいずれを含む。
以下の実施例によって、様々な実施形態を更に明らかにする。実施例では、強化前の実施例を「基板(substrate)」と呼ぶ。強化に供された後の実施例を「物品(article)」又は「ガラス系物品(glass‐based article)」と呼ぶ。
実施例1
以下の表2に示すような公称組成を有するガラスセラミック基板を提供した。これらのガラスセラミック基板は0.8ミリメートル(mm)の厚さを有し、また、主要な結晶相としてのβスポジュメン固溶体と、ルチルを含む1つ以上の微量相とを含む、結晶相集合体を含んでいた。上記ガラスセラミック基板を、NaNOを含む485℃の溶融塩浴中に、10時間(条件A)、13時間(条件B)若しくは24時間(条件C)にわたって、又はNaNOを含む430℃の溶融塩浴中に、2時間(比較条件D)にわたって浸漬させて、強化ガラスセラミック物品を形成した。
Figure 2019517977
上記ガラスセラミック物品の化学プロファイルを、マイクロプローブで測定した。これを図9に示す。応力(σ)は、試料の厚さに沿った位置において、式(4):
σ(z)=BE/1−ν(Cavg−C(z)) (4)
によって濃度(z)に比例する。式(4)中、Bは格子膨張係数であり、Eは弾性率であり、νはポアソン比であり、Cavgは、試料にわたる濃度の積分である。図9に示すように、比較的高温の浴を利用する場合(即ち条件A〜C)、Naイオンは、物品の厚さの略全体を通ってイオン交換される。このようなガラスセラミックでは、NaOはCT領域中に、約1.2モル%以上の量で存在する。比較的低温の浴でイオン交換されたガラスセラミック物品(比較条件D)は、公知の応力プロファイルに類似した応力プロファイルを示した。
実施例2
表2に示されているものと同一の組成、及び0.8mmの厚さを有するものの、非晶質構造を有する(そして結晶相を有しない)ガラス基板を、100%NaNOを含む約430℃の溶融塩浴中に様々な持続時間にわたって浸漬させることによって化学強化して、ガラス系物品を提供した。上記ガラス系物品のDOC及び最大CT値を、散乱光偏光器(SCALP)を用いて測定した。図10に示すように、DOC及び最大CTの上昇は、浸漬又はイオン交換の長さに左右される。最大CT値は、ガラスを約16時間にわたって浸漬させた後で観察された。
実施例2のガラス系物品の応力プロファイルを、SCALPを用いて測定した。これを図11に示す。正の応力値を示すx軸の上部はCT値であり、負の応力値を示すx軸の下部はCS値である。16時間にわたって化学強化したガラス系物品の応力プロファイルは、最大CT値(即ち175MPa)と、放物線状の形状とを示し、上記形状は、100マイクロメートル(μm)の深さ方向の線形部分を略含んでいなかった。SCALPで測定した表面CSは、約410MPaであった。従って、実施例2の表面CSに対する最大CTの比は、約0.4375であった。
実施例3
比較のために、それぞれ厚さが約0.8mmである実施例1のガラスセラミック基板及び実施例2のガラス基板を、350℃のNaNOの溶融塩浴に3.5時間浸漬することによる化学強化に供した(それぞれ実施例3A及び3B)。図12に示されている、得られたガラスセラミック物品及びガラス系物品の応力プロファイル(式4を用いて、マイクロプローブで測定した化学プロファイルによって近似)は、誤差関数(erfc)又は準線形形状に類似している。更に、DOCは、上記ガラス又はガラスセラミック中へとイオン交換されたアルカリの深さ(即ち化学イオン交換深さ)より小さい。
それぞれ厚さが約0.8mmである実施例1のガラスセラミック基板及び実施例2のガラス基板を、430℃のNaNOの溶融塩浴に24時間浸漬することによる化学強化に供した(それぞれ実施例3C及び3D)場合得られたガラス系物品は、図13に示されているような(EPMAによって得られた)金属酸化物濃度プロファイルを示した。これらの金属酸化物濃度プロファイルは放物線状であり、厚さ全体にわたるNaイオンのイオン交換を示す。化学プロファイルはEMPAを用いて測定され、NaO拡散の化学的深さは、400マイクロメートル以上として示されている。更に、NaOは、CT層中を含む厚さ全体を通して、約1モル%以上の濃度で存在している。実施例3Dの、結果として得られたガラスセラミック物品は、ガラスセラミック基板を同一の複数の携帯電話ハウジングに組み込んだ落下試験において、優れた破壊抵抗を示した。具体的には、実施例3Dの5個の試料を携帯電話デバイスに組み付け、高さ50cmから開始される連続した複数回の落下のために、サンドペーパー上に落下させた。各試料がある高さからの落下に耐えた場合、試料が破砕されるまで、各試料を増大させた高さから再び落下させ、各試料が破砕された時点で、該試料の破損高さを図13Aに記録した。実施例3Dは、平均破損高さ172.5cmを示した。
図14は、公知のプロセスに従って化学強化されたガラス系基板、及び本明細書に記載の方法に従って化学強化されたガラス系基板の、応力プロファイルを示す。図14に示すように、本明細書に記載の実施形態のガラス系物品の応力プロファイルは、(約50マイクロメートル以上の長さ又は絶対値としての深さを有する)線形セグメントを略含まない放物線状であり、約0.2・tのDOCを示すが、erfc、準線形形状を有する公知の応力プロファイルは、(約0.6ミリメートル、即ち600マイクロメートルの全長に対して)深さ約0.1ミリメートル〜約0.7ミリメートルの略線形の部分を示す。公知の応力プロファイルはまた、比較的低いCT値及び比較的低いDOCも示す。
実施例4
表2の組成を有する(それぞれ厚さ約1mmの)ガラス基板を、430℃のNaNOの第1の溶融塩浴に24時間にわたって浸漬させることによる化学強化に供した。1個のガラス系物品は、いずれの追加の強化ステップに供されなかった(実施例4A)。3個のガラス系物品を、約430℃のKNOの第2の溶融塩浴に0.75時間、4時間又は8時間(それぞれ実施例4B、4C及び4D)にわたって浸漬させることによる、第2の強化ステップに供した。SCALPで測定された、結果として得られたガラス系物品の応力プロファイルを、図15に示し、ここではガラス系物品の深さ又は厚さがx軸上にプロットされ、応力がy軸上にプロットされている。正の応力値はCT値であり、負の応力値はCS値である。機器の空間分解能により、第2のKNOイオン交換ステップに関連するCSの測定は不可能となっている。実施例4A及び4Bのガラス系物品は、同様のプロファイルを示した。実施例4C及び4Dのガラス系物品は、時間と共に、及び第2の強化ステップにおける浸漬の後、(実施例4A及び4Bに比べて)低下したCT及び(実施例4A及び4Bに比べて)低下したCSを示した。実施例4C及び4Dのガラス系物品はまた、実施例4A及び4Bに比べて増大したDOCも示し、このDOC値は0.2・t超であった。
図16は、実施例4B〜4Dのそれぞれに関する蓄積引張エネルギを、J/mを単位として示し、これらはKNOの第2の溶融塩浴中に浸漬される時間に応じて、15J/m超である。蓄積引張エネルギは、測定されたSCALP応力プロファイルから、上述の式(3)を用いて算出できる。
図17及び18は、実施例4B〜4Dのそれぞれに関する、深さ(マイクロメートル)の関数としてのKO及びNaOのそれぞれの濃度プロファイルを示す。図17に示すように、KOの化学深さは、実施例4B(KNO浴中で0.75時間浸漬)に関して3マイクロメートル、実施例4C(KNO浴中で4時間浸漬)に関して6マイクロメートル、及び実施例4D(KNO浴中で8時間浸漬)に関して5マイクロメートルである。図18に示すように、NaOは深さ全体に貫入し、実施例4B〜4Dのそれぞれに関して、濃度はガラス系物品の深さ全体に沿って約1モル%以上である。
実施例4E及び4Fは、430℃のNaNOの第1の溶融塩浴中に24時間浸漬させることによる化学強化、及びこれに続いて430℃までの温度でそれぞれ4時間又は8.25時間にわたる熱処理に供された、表2の組成を有するガラス基板(それぞれ厚さ約1mm)を含んでいた。実施例4E及び4Fのガラス系物品の応力プロファイルを図19に示し、実施例4A、4C及び4Dに関する応力プロファイルが比較のために示されている。図20は、0.5・tの深さ又はその付近における応力プロファイルの違いを示すために、より小さいスケールで、図19と同一のグラフを示す。
実施例5
表2の組成を有する(それぞれ厚さ約1mmの)ガラス基板を、430℃のNaNOの第1の溶融塩浴に24時間にわたって浸漬させることによる化学強化に供した。1個のガラス系物品は、いずれの追加の強化ステップに供されなかった(実施例5A)。2個のガラス系物品を、390℃の炉内にガラス系物品を入れて上記ガラス系物品を上記炉内に約8時間又は28時間(それぞれ実施例5B及び5C)維持することによる、第2の強化ステップに供した。4個のガラス系物品を、430℃のNaNOの第2の溶融塩浴に4時間又は8時間(それぞれ実施例5D及び5G)にわたって浸漬させることによる、(第1の強化ステップ及び異なる第2の強化ステップの後の)第3の強化ステップに供した。実施例5A〜5Gそれぞれに関する強化ステップを表3に示す。測定されたCT値も表3に示す。
Figure 2019517977
結果として得られたガラス系物品の応力プロファイルを図21に示し、ここではガラス系物品の深さ又は厚さがx軸上にプロットされ、応力がy軸上にプロットされている。正の応力値はCT値であり、負の応力値はCS値である。図21に示すように、第2及び/又は第3の熱処理の持続時間が増大するに従って、DOCは増大し、CTは低下した。DOCの増大及びCTの低下は、イオン交換後の合計熱処理時間の関数として、それぞれ図22及び23に更に明確に示されている。
次に、実施例5A〜5Gのガラス系物品をポーク(poke)試験に供した。このポーク試験では、ガラス系物品の片側をテープに接着し、もう片方のむき出しの側部に、鋭利な器具を衝突させて破砕する。結果として得られた断片の個数は、ガラス系物品の蓄積引張エネルギに相関し得る。実施例5A、5B及び5Dは多数の(即ち50を超える、更には100を超える)断片を呈したが、実施例5Fは10個の断片を呈し、実施例5Cは3個の断片を呈し、実施例5E及び5Gは4個の断片を呈した。多数の断片へと破砕された実施例5A、5B及び5Dは、全て約100MPa以下のCT値を有する実施例5C、5E、5F及び5Gに比べて、高いCT(約100MPa超)を示した。
実施例7
表2に示されているような公称組成を有し、それぞれ厚さ約1mmであるガラス基板を、100%NaNOを含む430℃の溶融塩浴中での化学強化に供した。ガラス基板を溶融塩浴中に浸漬させる持続時間を表5に示す。
Figure 2019517977
実施例7A〜7Gのガラス系物品の応力プロファイルを図24に示す。上記応力プロファイルは、SCALPを用いて測定した。CT値及び蓄積引張エネルギの変化をいずれもイオン交換時間の関数として示すグラフを、図25に示す。図25に示すように、16時間及び24時間にわたる、溶融塩浴中でのガラス基板の浸漬により、絶対値で最大表面CS値及び最大CT値を示すガラス系物品が得られる。
実施例8
表2に示されているような公称組成を有し、それぞれ厚さ約0.8mmであるガラス基板を、NaNOとNaSOとの混合物を含む500℃の溶融塩浴中での、15分(比較例8A)及び16時間(実施例8B)にわたる化学強化に供した。実施例8A及び8Bのガラス系物品の応力プロファイルを図26に示す。図26に示すように、比較例8Aは公知の応力プロファイルを示したが、実施例8Bは本開示の1つ以上の実施形態による応力プロファイルを示した。実施例8A及び8Bのガラス系物品の蓄積引張エネルギは、実施例4B〜4Dと同一の方法で算出した。算出された蓄積引張エネルギを、図27に示すように、測定されたCT(MPa)の関数としてプロットする。
図27に示すように、比較例8Aは、所与のCT値に関して、(同一のCT値に関する)実施例8Bよりもはるかに高い蓄積引張エネルギを示した。具体的には、約55MPaのCTにおいて、比較例8Aは約8J/mの蓄積引張エネルギを示したが、実施例8Bは約3.5J/mの蓄積引張エネルギを示した。比較例8A及び実施例8Bは破砕され、実施例8Bは比較例8Aよりも少ない個数の片へと破砕され、比較例8Aは大幅に多数の片へと破砕された。従って、理論によって束縛されるものではないが、蓄積引張エネルギの制御により、破砕によってもたらされる断片化のパターン又は断片の個数を制御又は予測するための方法を提供できる。
表2に示されているような公称組成を有し、それぞれ厚さ約1mmであるガラス基板を、NaNOを含む430℃の溶融塩浴中での、4時間(比較例8C)及び61.5時間(実施例8D)にわたる化学強化に供した。比較例8Cは公知の応力プロファイルを示したが、実施例8Dは本開示の1つ以上の実施形態による応力プロファイルを示した。実施例8C及び8Dの蓄積引張エネルギを、実施例4B〜4Dと同一の方法で算出し、図28に示すように、測定されたCT(MPa)の関数としてプロットした。
図28に示すように、比較例8Cは、所与のCT値に関して、(同一のCT値に関する)実施例8Dよりもはるかに高い蓄積引張エネルギを示した。比較例8C及び実施例8Dは破砕され、実施例8Dは比較例8Cよりも少ない個数の片へと破砕され、比較例8Cは大幅に多数の片へと破砕された。
実施例9
70.9モル%のSiO、12.8モル%のAl、1.95モル%のB、7.95モル%のLiO、2.43モル%のNaO、2.98モル%のMgO、0.89モル%のZnO及び0.1モル%のSnOという公称組成を有する、厚さが約0.8mmのガラス基板を、表5のイオン交換条件に供した。表6において、実施例9の様々な特性を実施例2と比較する。
Figure 2019517977
Figure 2019517977
実施例9のガラス系物品の応力プロファイが測定され、これは本明細書に記載の形状を示した。
実施例9と同一の厚さを有する、実施例2、比較例9A及び9Bによるガラス基板を提供した。実施例2によるガラス基板を、430℃の100%NaNOの溶融浴中で33時間にわたってイオン交換した。比較例9Aは、390℃の100%NaNOの溶融浴中で16時間にわたってイオン交換され、これもまた公知の誤差関数応力プロファイルを示した。実施例9Bのガラス基板は、57.5モル%のSiO、16.5モル%のAl、16.7モル%のNaO、2.5モル%のMgO及び6.5モル%のPという公称組成を有し、イオン交換されて公知の誤差関数応力プロファイルを示した。本明細書中で使用される場合、用語「誤差関数応力プロファイル(error function stress profile)」は、図1に類似した応力プロファイルを指す。
次に、実施例2、実施例9並びに比較例9A及び9Bによるガラス系物品を、同一の携帯電話デバイスに組み込んだ。これらの携帯電話デバイスを、20センチメートルから開始されて増大する高さから、30グリットのサンドペーパー上に落下させた。ガラス系物品がある高さ(例えば20cm)からの落下に耐えた場合、更に高い高さ(例えば30cm、40cm、50cm等)から携帯電話を再び落下させた。ガラス系物品が破損した高さを図29にプロットする。この図は、実施例2、実施例9並びに比較例9A及び9Bの試料に関する平均破損高さも示す。図29に示すように、実施例2及び9は、比較例9A及び9Bよりも大幅に高い落下高さにおいて破損を呈した。具体的には、比較例9A及び9Bはそれぞれ約38cm及び55cmの落下高さで破損を示したが、実施例2及び9はそれぞれ約147cm及び132cmの落下高さで破損を示した。
同一の携帯電話デバイス及び180グリットのサンドペーパーを用いて、同一の試験を新しい試料で繰り返した。比較例9Aに関する平均破損高さは204cmであり、比較例9Bに関する平均破損高さは190cmであり、実施例2に関する平均破損高さは214cmであり、実施例9に関する平均破損高さは214cmであった。
65モル%のSiO、5モル%のB、14モル%のAl、14モル%のNaO、2モル%のMgO及び0.1モル%のSnOという公称組成を有する、厚さ0.8mmの比較例9Cによるガラス基板をイオン交換すると、公知の誤差関数応力プロファイルを示した。実施例2及び(本実施例において上述した応力プロファイルを示す)比較例9B、比較例9Cのガラス系物品試料、並びに表5に示す条件4に従ってイオン交換された実施例9のガラス系物品を、本明細書に記載のAROR試験に供した。
実施例6及び9並びに比較例9Cを、25psi(172.369kPa)及び45psi(310.2642kPa)の荷重又は圧力を用いて摩耗させ、実施例2を、25psi(172.369kPa)の荷重のみを用いて摩耗させた。ARORデータを図30に示す。図30に示すように、実施例2及び9は、各摩耗荷重又は圧力において、比較例9B及び比較例9Cよりも高い破損時荷重を示した。
(本実施例において上述されているようにイオン交換された)実施例2及び(条件4に従ってイオン交換された)9のガラス系物品試料を、4点曲げ試験に供した。結果を図31のワイブル分布プロットに示す。図31に示すように、実施例9は、比較的高い破損時応力又は荷重(例えば約400MPa超)を示した。
既に示したように、歪み点が525℃より高い組成物から作製したガラス系物品では、約350℃〜約480℃のイオン交換温度(又はイオン交換浴温度)が可能である。いくつかの実施形態では、1価イオン拡散性が約800平方マイクロメートル/時間超であるガラス組成物は、金属酸化物をガラス系物品中に拡散させて、物品の深さ又は厚さ全体に迅速に貫入させることができ、これにより応力緩和が最小化される。過剰な応力緩和は、ガラス系物品の表面圧縮応力を低下させる場合がある。
本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
実施例10
実施例9と同一の組成を有する、厚さ約0.8mmのガラス基板を、表7に提供した条件に従った、430℃の100%NaNO溶融塩浴中での浸漬によるイオン交換に供した。結果として得られたガラス系物品は最大CT値を示した。これを図32に、イオン交換時間の関数としてプロットする。
Figure 2019517977
実施例10Dに関する応力プロファイルは、米国特許第8,854,623号「ガラス試料のプロファイル特徴の測定のためのシステム及び方法(Systems and methods for measuring a profile characteristic of a glass sample)」(その内容は参照によりその全体が本出願に援用される)に記載されているような、屈折ニアフィールド(refracted near‐field)測定法を用いて測定した。図33は、測定された応力を、実施例10Dのガラス系物品の表面から上記ガラス系物品の中へと延在する深さの関数として示す。具体的な深さにおける応力が表8に示されているが、これは、応力の傾斜が大きく変化する位置である「折れ曲がり」におけるものを含む。
Figure 2019517977
実施例11
実施例11Aは、実施例1と同一の組成を有する厚さ0.8mmのガラス基板を含んでいた。このガラス基板を、80%KNO及び20%NaNOを含む430℃の単一の溶融塩浴中で、16時間にわたってイオン交換した。結果として得られたガラス系物品は、表9に記載の応力プロファイルを示した。
Figure 2019517977
実施例11Aによるガラス系物品を、本明細書に記載のAROR試験に供した。ガラス系物品の第1のセットを、5psi(34.4738kPa)の荷重又は圧力を用いて摩耗させ、ガラス系物品の第2のセットを、25psi(172.369kPa)の荷重又は圧力を用いて摩耗させ、ガラス系物品の第3のセットを、45psi(310.2642kPa)の荷重又は圧力を用いて摩耗させた。ARORデータを図34に示す。図34に示すように、実施例11Aによるガラス系物品は全て、約25kgf(245.16625N)超の平均破損時荷重を示した。
実施例11Aによるガラス系物品を、同一の携帯電話デバイスに組み込んだ。これらの携帯電話デバイスを、20cmから開始されて増大する高さから、180グリットのサンドペーパー上に落下させた。ガラス系物品がある高さ(例えば20cm)からの落下に耐えた場合、最大で高さ225cmである更に高い高さ(例えば30cm、40cm、50cm等)から、携帯電話を再び落下させた。180グリットのサンドペーパー及び30グリットのサンドペーパーの両方においてガラス系物品が破損した高さを、図35にプロットする。図35に示すように、実施例11Aのガラス系物品は、実施例11Aの3つ全てのガラス系物品が、高さ約225cmまでの、180グリットのサンドペーパーへの落下に耐えた(平均耐久落下高さ約215cmが得られた)。30グリットのサンドペーパー上への平均耐久落下高さは132cmであった。
実施例11Aによるガラス系物品は、約480mHz〜約3000mHzの周波数範囲にわたって、約5.8〜約6の誘電率を示した。実施例11Aによるガラス系物品は、約480mHz〜約3000mHzの周波数範囲にわたって、約0.010〜約0.013の誘電損失正接を示した。
実施例11Aによるガラス系物品の屈折率は、約380nm〜約1550nmにわたって約1.496〜約1.523であり、約380nm〜約800nmにわたって約1.496〜約1.503である。
実施例11Aによるガラス系物品を、表10に示す様々な化学処理に供した。上記ガラス系物品の耐化学性を、比較例11B、11C及び11Dと比較した。比較例11Bは、64.3モル%のSiO、7.02モル%のB、14モル%のAl、14モル%のNaO、0.5モル%のKO、0.03モル%のFe及び0.1モル%のSnOという公称組成を有するガラス基板であった。比較例11Cは、64.75モル%のSiO、5モル%のB、14モル%のAl、13.75モル%のNaO、2.4モル%のMgO及び0.08モル%のSnOという公称組成を有するガラス基板であった。比較例11Dは、57.5モル%のSiO、16.5モル%のAl、16.71モル%のNaO、2.8モル%のMgO、0.05モル%のSnO及び6.5モル%のPという公称組成を有するガラス基板を含んでいた。
Figure 2019517977
実施例12
実施例12Aは、実施例1と同一の組成を有する厚さ0.8mmのガラス基板を含んでいた。比較例12Bは、比較例11Dと同一の組成を有する厚さ0.8mmのガラス基板を含んでいた。実施例12Aのガラス基板を、表11に記載の単一の浴を用いて、単一のステップで化学強化した。比較例12Bのガラス基板を、表11に記載されているように、2段階プロセスでイオン交換した。
Figure 2019517977
実施例12A及び比較例12Bによるガラス系物品を、同一の携帯電話デバイスに組み込んだ。これらの携帯電話デバイスを、20センチメートルから開始されて増大する高さから、30グリットのサンドペーパー上に落下させた。30グリットのサンドペーパーにおいてガラス系物品が破損した高さを、図36にプロットする。図36に示すように、実施例12Aのガラス系物品は、比較例12Bの平均耐久高さ(即ち38cm)の3倍超(即ち127cm)の平均耐久落下高さを示した。
実施例12A及び比較例12Bによるガラス系物品を、25psi(172.369kPa)の荷重又は圧力を用いて、本明細書に記載のAROR試験に供した。図37に示すように、実施例12Aのガラス系基板は、約31.3kgf(306.948145N)の平均破損時荷重を示したが、比較例12Bのガラス系基板は、約27.4kgf(268.70221N)の平均破損時荷重を示した。摩耗荷重又は圧力を45psi(310.2642kPa)まで上昇させると、実施例12Aと比較例12Bとの間の平均破損時荷重の差は増大した。具体的には、45psi(310.2642kPa)の荷重又は圧力の下では、図38に示すように、実施例12Aは約28.9kgf(283.412185N)の平均破損時荷重を示したが、比較例12Bは、約19.6kgf(192.21034N)の平均破損時荷重を示した。
実施例13
実施例13A〜Eは、厚さが0.8mmであり、相互Na/Li拡散性が〜900μm/時間であり、LiO/ROが0.77であるガラス基板を特徴としていた。化学組成を以下の表12に示す。
Figure 2019517977
次に、実施例13A、13B、13C、13D及び13Eのガラス基板を、430℃において、NaNOを含む溶融塩浴中で、それぞれ2時間、4時間、8時間、16時間、及び24時間にわたってイオン交換した。実施例13A〜Eに関するNaO組成プロファイルを図40に示す。この図から分かるように、上記組成プロファイルは、イオン交換時間の増大と共に進化する。実施例13A〜Eのイオン交換条件に関するCT、DOC及びCSを図41に示す。負の数は圧縮応力であり、正の数はCT及びDOCである。
図41は、図40に示したガラスに関するCT及びDOCの、イオン交換時間の関数としてのプロットを示す。同様のデータを、混合浴(例えば95%KNO/5%NaNO又は80%KNO/20%NaNO)中でイオン交換した試料について得る。応力プロファイルに関して、中心張力(CT)はイオン交換時間の関数として最大値を通過することが分かり、圧縮深さ(DOC)は、図41に示すようにピークCTに近くかつこれを上回るため、厚さの約15%を超えた深さで安定する。Li含有ガラスのイオン交換に純Na浴を使用すると、表面圧縮応力(CS)は、イオン交換時間の増大と共に低下する。
実施例14
実施例14A1〜14A5及び14B1〜14B4は、厚さが0.8mmであり、上の表12に示されているものと同一の組成を有するガラス基板を特徴としていた。次に、実施例14A1、14A2、14A3、14A4及び14A5のガラス基板を、430℃において、80%KNO/20%NaNOを含む溶融塩浴中で、それぞれ2時間、4時間、8時間、16時間及び24時間にわたってイオン交換した。実施例14B1、14B2、14B3及び14B4のガラス基板を、430℃において、95%KNO/5%NaNOを含む溶融塩浴中で、それぞれ5時間、6時間、7時間及び8時間にわたってイオン交換した。
図42は、実施例14A1〜14A5及び14B1〜14B4に関する、CT対イオン交換時間(時間)を示す。80%KNO/20%NaNO中でイオン交換された実施例14A1〜14A5、は、16時間のイオン交換後に、〜100MPaのCTを示す。95%KNO/5%NaNO中でイオン交換された実施例14B1〜14B4は、わずか7時間で同等のCTを示す。イオン交換浴中での時間の減少及び重量増加の低下により、いくつかの実施形態では、上記95/5浴におけるスケジュールが好ましい場合がある。
図43は、実施例14B1〜14B4に関するSCALPデータを示す。負の数は圧縮を表し、正の数は張力を表す。圧縮深さは、部品の厚さの18%超である。この図は、比較的広範囲のイオン交換時間にわたって、制御された狭い範囲のCT値を達成できる、本方法の柔軟さを示している。更に、イオン交換時間に対する圧縮深さは、全てのスケジュールにおいて厚さの15%を大幅に超えており、また関心対象の範囲内のイオン交換時間の関数として、極めて安定している。安定したCT及びDOCを有するこの幅広いプロセスウィンドウにより、このイオン交換法は、多様な製造条件に適用でき、またイオン交換プロセスに高いレベルの堅牢性を与える。
図44は、FSM実施例14B1〜14B4に関する、FSMで得られた表面応力及び折れ曲がり応力値の範囲を示す。100Mpa未満の折れ曲がり応力値はこれまで、>130MPaといった相当に高い折れ曲がり応力値と、厚さの15%超という大きなDOCとの組み合わせによって達成される、優れた落下性能を実現できなかった。実施例14B1〜14B4は、少なくとも140MPaの折れ曲がり応力を達成する。
図45は、実施例14A4及び14B3に関するSCALPデータを示す。図45に示すように、実施例14B3(95%KNO/5%NaNO浴、7時間)は、実施例14A4(80%KNO/20%NaNO浴、16時間)に見られる所望のCTを維持できた。
以下の表13は、実施例14A4及び14B3について、斜角付き縁部を有するおよそ60mm×130mm×0.8mmの部品に関するパーセント重量増加、パーセント寸法変化及び測定されたねじれを示す。図42に示すように、重量増加、寸法増大及びねじれの全てが、実施例14B3において、CTを維持したまま大幅に低減されている。ねじれは、Tropel Flatmaster FM200干渉計を用いて、平坦なプレートから最小二乗フィットを採用して測定した。
Figure 2019517977
表14は、実施例14A4及び14B3についての、比較例のイオンと本発明のイオンとに関する表面CSの比較である。実施例14B3は、200MPaもの高い表面応力を示し、これは4点曲げ試験性能、及びいくつかのタイプの引掻きに対する耐性の上昇に関して有利となり得る。
Figure 2019517977
図46は、実施例14A4及び14B3に関する落下試験結果を示す。重量増加及びねじれが小さい実施例14B3は、実施例14A4に比べて、180グリット及び30グリットのサンドペーパーにおいて同等の落下性能を有することが分かる。
図47は、イオン交換の結果としてねじれが発生し得る、ガラス部品の斜角付き縁部の概略図である。点線は、以下で議論する図48及び49に示す垂直方向及び水平方向の組成スキャンを得たおおよその領域を表す。
図48は、2.5D形状の部品の0.8mm厚の領域を通してマイクロプローブで得た、実施例14A4及び14B3に関するNaO及びKO組成プロファイルを示し、これらは同様の組成プロファイルを実証しているが、実施例14B3においてNaO濃度が低い。これは表13で開示されている重量増加データと一致する。
図49は、図47に示されている水平方向に沿った、表14に記載のスケジュールに関するNaOプロファイルを示す。
実施例14B3は、部品の縁部周辺において、CSが低い「外皮(rind)」を維持し、これは破損モードに関して有利である。また実施例14B3の縁部には、張力が見られる点が存在しない。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
化学強化ガラス系物品の形成方法であって、上記方法は:
複数のアルカリイオンをガラス系基板中へとイオン交換することによって、ゼロではないアルカリ金属酸化物濃度を有するガラス系物品を形成するステップであって、上記アルカリ金属酸化物濃度は、上記ガラス系基板の厚さ(t)の少なくとも1つの有意な部分に沿って変動する、ステップ
を含み、
上記イオン交換するステップは、上記ガラス系基板を、溶融塩浴に、同一の溶融塩浴組成及び温度でピーク中心張力(CT)が生成されるイオン交換時間の50%〜130%の時間にわたって、浸漬させるステップを含み、
上記溶融塩浴は:
(a)2.5:1及び(b)上記ガラス系基板中のモル比(LiO+KO):NaOのうちの小さい方より大きい、カリウム塩とナトリウム塩との重量比
を備え、
上記ガラス系基板は:
厚さ(t)を画定する第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;
長さ寸法;
幅;並びに
重量
を備える、方法。
実施形態2
上記溶融塩浴は約2重量%未満のリチウム塩を更に含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
上記厚さは約2mm未満である、実施形態1又は2に記載の方法。
実施形態4
上記厚さは約1mm未満である、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
実施形態5
上記厚さは約0.8mmである、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6
上記カリウム塩はKNOであり、上記ナトリウム塩はNaNOであり、上記リチウム塩はLiNOであり、上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記重量が1.6%未満だけ増加する、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の方法。
実施形態7
上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記長さ寸法が0.24%未満だけ変化する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。
実施形態8
上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記幅が0.24%未満だけ変化する、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9
上記イオン交換するステップの前の上記ガラス基板に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記ガラス系物品が200μm未満だけねじれる、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10
上記カリウム塩は少なくとも92重量%の量で存在する、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11
上記カリウム塩は少なくとも94重量%の量で存在する、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12
上記カリウム塩は約95重量%の量で存在する、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の方法。
実施形態13
上記ナトリウム塩は約8重量%未満の量で存在する、実施形態1〜12のいずれか1つに記載の方法。
実施形態14
上記ナトリウム塩は約6重量%未満の量で存在する、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15
上記ナトリウム塩は約5重量%の量で存在する、実施形態1〜14のいずれか1つに記載の方法。
実施形態16
上記カリウム塩は少なくとも約90重量%の量で存在し、上記ナトリウム塩は約10重量%以下の量で存在する、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の方法。
実施形態17
上記カリウム塩は約90重量%〜約97重量%の量で存在し、上記ナトリウム塩は約10重量%〜約3重量%の量で存在する、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態18
上記ガラス系物品は、同一の溶融塩浴組成及び温度でピーク中心張力(CT)が生成されるイオン交換時間の70%〜130%の時間にわたって、イオン交換される、実施形態1〜17のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19
上記ガラス系物品は約12時間未満にわたってイオン交換される、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20
上記ガラス系物品は約10時間未満にわたってイオン交換される、実施形態1〜19のいずれか1つに記載の方法。
実施形態21
上記イオン交換するステップの前に比べて、上記イオン交換するステップの後には、上記長さ寸法が約0.1%〜約0.2%だけ変化する、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の方法。
実施形態22
カリウム塩を含む第2の溶融塩浴中での第2のイオン交換を更に含む、実施形態1〜21のいずれか1つに記載の方法。
実施形態23
上記ガラス基板は2.5D又は3D形状を有する、実施形態1〜22のいずれか1つに記載の方法。
実施形態24
上記イオン交換するステップは、上記ガラス基板の中心点のNaO濃度の、1.3モル%未満の上昇を生成する、実施形態1〜23のいずれか1つに記載の方法。
実施形態25
上記ガラス系物品は圧縮応力スパイク及びスパイク層深さ(DOLspike)を備え、DOLspike/tは約0.006〜約0.014である、実施形態1〜24のいずれか1つに記載の方法。
実施形態26
DOLspike/tは約0.008〜約0.012である、実施形態25の方法。
実施形態27
上記ガラス系物品はリチウムを含む、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。
実施形態28
上記ガラス系物品の上記中心点におけるNaOモル濃度は、上記中心点における上記ガラス系物品の合計アルカリ金属酸化物モル濃度の45%未満である、実施形態1〜27のいずれか1つに記載の方法。
実施形態29
上記ガラス系物品の上記中心点におけるNaO濃度は4.5モル%未満である、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
実施形態30
上記ガラス系物品は71.5/√(t)以上の最大中心張力を有し、上記厚さtは単位mmで与えられる、実施形態1〜29のいずれか1つに記載の方法。
実施形態31
実施形態1〜30のいずれか1つに記載の方法によって調製された、ガラス系物品。
実施形態32
厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;
ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;
LiO;並びに
Na
を含む、ガラス系物品であって、
上記ガラス系物品の中心点におけるNaOの濃度は、約4.5モル%未満である、ガラス系物品。
実施形態33
上記ガラス系物品の上記中心点におけるNaOの上記含有量は約4.0モル%未満である、実施形態32に記載のガラス系物品。
実施形態34
上記ガラス系物品の上記中心点におけるNaOの上記含有量は約3.0モル%未満である、実施形態32又は33に記載のガラス系物品。
実施形態35
厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;
ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;並びに
Na
を含む、ガラス系物品であって、
上記ガラス系物品の中心点におけるNaOのモル濃度は、上記ガラス系物品の上記中心点における合計アルカリ金属酸化物モル濃度の約45%未満である、ガラス系物品。
実施形態36
上記ガラス系物品の上記中心点におけるNaOの上記モル濃度は、上記ガラス系物品の上記中心点における上記合計アルカリ金属酸化物モル濃度の約40%未満である、実施形態35に記載のガラス系物品。
実施形態37
厚さ(t)を画定する、第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;
ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;並びに
圧縮応力スパイク層深さ(DOLspike
を含む、ガラス系物品であって、
DOLspike/tは約0.006〜約0.014である、ガラス系物品。
実施形態38
DOLspike/tは約0.008〜約0.012である、実施形態37に記載のガラス系物品。
実施形態39
DOLspike/tは約0.009〜約0.011である、実施形態37又は38に記載のガラス系物品。
実施形態40
DOLspike/tは約0.01である、実施形態37〜39のいずれか1つに記載のガラス系物品。
実施形態41
tは約0.03mm〜約1.3mmである、実施形態32〜40のいずれか1つに記載のガラス系物品。
実施形態42
tは約0.8mmである、実施形態32〜41のいずれか1つに記載のガラス系物品。
実施形態43
約300MPa以上の表面圧縮応力(CS)を更に備える、実施形態32〜42のいずれか1つに記載のガラス系物品。
実施形態44
上記表面CSは約400MPa以上である、実施形態32〜43のいずれか1つに記載のガラス系物品。
実施形態45
上記ガラス系物品は2.5D又は3D形状を有する、実施形態32〜44のいずれか1つに記載のガラス系物品。
実施形態46
NaO濃度は上記ガラス系物品の中心で最小となる、実施形態32〜45のいずれか1つに記載のガラス系物品。
実施形態47
約200μm未満のねじれを更に備える、実施形態32〜46のいずれか1つに記載のガラス系物品。
実施形態48
中心張力CT下の内部領域;及び
圧縮応力CS下の少なくとも1つの圧縮応力層
を備える、強化ガラス系物品であって、
上記圧縮応力層は、上記ガラス系物品の表面から圧縮深さDOCまで延在し、t<0.5mmである場合にDOC≧0.1t、t≧0.5mmである場合にDOC≧50μmであり、上記内部領域に隣接し、
上記強化ガラス系物品は、直径10mmの4.2gステンレス鋼製ボールを用いた、高さ100cmから30グリットのサンドペーパー(これは、上記サンドペーパーと上記ガラスの上記表面との間に100μmの空隙が存在するように、上記ガラスの表面上に位置決めされる)上への逆ボール落下試験に供した場合に、少なくとも60%の残存率を有し、上記残存率は少なくとも5個の試料の試験に基づく強化ガラス系物品。
実施形態49
上記強化ガラス系物品は、高さ150cmからの上記逆ボール落下試験に供した場合に、少なくとも60%の残存率を有する、実施形態48に記載の強化ガラス系物品。
実施形態50
前面、背面及び側面を有するハウジング;
少なくとも部分的に上記ハウジングの内側にある、電気部品;
上記ハウジングの上記前面の、又は上記前面に隣接する、ディスプレイ;並びに
上記ディスプレイを覆うように配置されたカバー基板
を備える、デバイスであって、
上記カバー基板又は上記ハウジングは、実施形態29〜49のいずれか1つに記載のガラス系物品を含む、デバイス。
100 熱処理済みガラス系物品
101 第1の表面
110 表面CS
130 圧縮深さ(DOC)
120 最大中心張力(CT)120
300 ガラス系物品
302 第1の表面
304 第2の表面
310 表面CS
312 応力プロファイル
315 CS層、CS領域
317 DOC
320 最大CT
325 CT層
327 CT層325の深さ又は長さ、CT領域、CT層
410 少なくとも1つの摩耗済み表面を有するガラス系物品、摩耗済みガラス系物品
420 支持リング
430 荷重印加リング
430a ガラス系物品410の、荷重印加リング430内の表面
500 IBoS試験装置
510 試験スタンド
512 硬質ベース
514 シート
516 空隙
518 ガラス系物品試料
520 接着テープ
530 ボール、硬質ボール
1000 電子デバイス
1020 ハウジング
1040 ハウジング1020の前面
1060 ハウジング1020の背面
1080 ハウジング1020の側面
1120 ディスプレイ

Claims (13)

  1. 化学強化ガラス系物品の形成方法であって、前記方法は:
    複数のアルカリイオンをガラス系基板中へとイオン交換することによって、ゼロではないアルカリ金属酸化物濃度を有するガラス系物品を形成するステップであって、前記アルカリ金属酸化物濃度は、前記ガラス系基板の厚さ(t)の少なくとも1つの有意な部分に沿って変動する、ステップ
    を含み、
    前記イオン交換するステップは、上記ガラス系基板を、溶融塩浴に、同一の溶融塩浴組成及び温度でピーク中心張力(CT)が生成されるイオン交換時間の50%〜130%の時間にわたって、浸漬させるステップを含み、
    前記溶融塩浴は:
    (a)2.5:1及び(b)前記ガラス系基板中のモル比(LiO+KO):NaOのうちの小さい方より大きい、カリウム塩とナトリウム塩との重量比
    を備え、
    前記ガラス系基板は:
    厚さ(t)を画定する第1の表面及び上記第1の表面の反対側の第2の表面;
    長さ寸法;
    幅;並びに
    重量
    を備える、方法。
  2. 前記溶融塩浴は約2重量%未満のリチウム塩を更に含み、及び/又は
    前記方法は、カリウム塩を含む第2の溶融塩浴中での第2のイオン交換を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記厚さは約2mm未満であり、及び/又は
    前記ガラス基板は2.5D又は3D形状を有する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記カリウム塩はKNOであり、前記ナトリウム塩はNaNOであり、前記リチウム塩はLiNOであり、前記イオン交換するステップの前に比べて、前記イオン交換するステップの後には、前記重量が1.6%未満だけ増加し;
    前記イオン交換するステップの前に比べて、前記イオン交換するステップの後には、前記長さ寸法が0.24%未満だけ変化し;及び/又は
    前記イオン交換するステップの前に比べて、前記イオン交換するステップの後には、前記幅が0.24%未満だけ変化し;及び/又は
    前記イオン交換するステップの前に比べて、前記イオン交換するステップの後には、前記長さ寸法が約0.1%〜約0.2%だけ変化し;及び/又は
    前記イオン交換するステップの前の前記ガラス基板に比べて、前記イオン交換するステップの後には、前記ガラス系物品が200μm未満だけねじれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記カリウム塩は少なくとも約90重量%の量で存在し、前記ナトリウム塩は約10重量%以下の量で存在し;及び/又は
    前記ガラス系物品は約12時間未満にわたってイオン交換される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記イオン交換するステップは、前記ガラス基板の中心点のNaO濃度の、1.3モル%未満の上昇を生成し;及び/又は
    前記ガラス系物品は圧縮応力スパイク及びスパイク層深さ(DOLspike)を備え、DOLspike/tは約0.006〜約0.014であり;及び/又は
    前記ガラス系物品の前記中心点におけるNaOモル濃度は、前記中心点における前記ガラス系物品の合計アルカリ金属酸化物モル濃度の45%未満であり;及び/又は
    前記ガラス系物品の前記中心点におけるNaO濃度は4.5モル%未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記ガラス系物品はリチウムを含み;及び/又は
    前記ガラス系物品は71.5/√(t)以上の最大中心張力を有し、前記厚さtは単位mmで与えられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 厚さ(t)を画定する、第1の表面及び前記第1の表面の反対側の第2の表面;
    ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;
    LiO;並びに
    Na
    を含む、ガラス系物品であって、
    前記ガラス系物品の中心点におけるNaOの濃度は、約4.5モル%未満である、ガラス系物品。
  9. 厚さ(t)を画定する、第1の表面及び前記第1の表面の反対側の第2の表面;
    ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;並びに
    Na
    を含む、ガラス系物品であって、
    前記ガラス系物品の中心点におけるNaOのモル濃度は、前記ガラス系物品の前記中心点における合計アルカリ金属酸化物モル濃度の約45%未満である、ガラス系物品。
  10. 厚さ(t)を画定する、第1の表面及び前記第1の表面の反対側の第2の表面;
    ゼロではなく、かつ約0・t〜少なくとも約0.3・tの厚さ範囲に沿って変動する、イオン交換済み金属酸化物の濃度;並びに
    圧縮応力スパイク層深さ(DOLspike
    を含む、ガラス系物品であって、
    DOLspike/tは約0.006〜約0.014である、ガラス系物品。
  11. tは約0.03mm〜約1.3mmであり;及び/又は
    前記ガラス系物品は2.5D又は3D形状を有し;及び/又は
    約300MPa以上の表面圧縮応力(CS)を更に備え;及び/又は
    約200μm未満のねじれを更に備える、請求項8〜10のいずれか1項に記載のガラス系物品。
  12. 中心張力CT下の内部領域;及び
    圧縮応力CS下の少なくとも1つの圧縮応力層
    を備える、強化ガラス系物品であって、
    前記圧縮応力層は、前記ガラス系物品の表面から圧縮深さDOCまで延在し、t<0.5mmである場合にDOC≧0.1t、t≧0.5mmである場合にDOC≧50μmであり、前記内部領域に隣接し、
    前記強化ガラス系物品は、直径10mmの4.2gステンレス鋼製ボールを用いた、高さ100cmから30グリットのサンドペーパー(これは、前記サンドペーパーと前記ガラスの前記表面との間に100μmの空隙が存在するように、前記ガラスの表面上に位置決めされる)上への逆ボール落下試験に供した場合に、少なくとも60%の残存率を有し、前記残存率は少なくとも5個の試料の試験に基づく強化ガラス系物品。
  13. 前面、背面及び側面を有するハウジング;
    少なくとも部分的に前記ハウジングの内側にある、電気部品;
    前記ハウジングの前記前面の、又は前記前面に隣接する、ディスプレイ;並びに
    前記ディスプレイを覆うように配置されたカバー基板
    を備える、デバイスであって、
    前記カバー基板又は前記ハウジングは、請求項8〜12のいずれか1項に記載のガラス系物品を含む、デバイス。
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