JP2019516798A - 幼少期に適用するためのカルボン酸 - Google Patents

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Abstract

本発明は、皮膚のバリア機能を改善する際に使用するための、カルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物に関し、該薬学的組成物は乳幼児に投与される。本発明はまた、患者の皮膚疾患を処置および/または予防する方法に関し、該方法は、有効量のカルボン酸またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与する工程を含む。

Description

本発明は、皮膚のバリア機能を改善する際に使用するための、カルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物に関し、該薬学的組成物は乳幼児に投与される。本発明はさらに、患者の皮膚疾患を処置および/または予防する方法および/または患者の皮膚疾患に関連する症状を緩和するための方法に関し、該方法は、有効量のカルボン酸またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与する工程を含み、患者は乳幼児である。
バリアの完全性の影響は有意である。バリアの完全性が低減すると、感染ならびに化学物質および/またはアレルゲンへの直接の曝露が生じる。
さらに、身体のバリア表面、例えば皮膚は、その「バリア機能」が生後に発達し続けることが知られている。一例として、体液が皮膚を通り抜ける能力は、皮膚バリアが成熟するにつれて、生まれた時から生後数ヶ月/1年かけて低下する。これは、経皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss:TEWL)によって測定することができ、出生後に徐々に減少する。
さらに、一生の早い時期に、発達段階で重要な期間、いわゆる「絶好の機会」が存在することが知られており、この期間は、免疫系の発達にとって、それゆえに、その後の生涯を通して対象の健康全般にとって、極めて重要である。
したがって、幼少期における重篤な疾患を予防するために、一生の早い時期に皮膚のバリア機能を改善することが望ましい。さらに、改善されたバリア機能の長期効果がその後の生涯を通じて持続することが望ましい。好ましくは、都合よく投与することができ、したがって良好な対象のコンプライアンスを有する薬剤によって、バリア機能は改善されるべきである。
したがって、本発明の根底にある技術的課題は、幼少期におけるバリア機能を改善し、かつ皮膚のバリア機能に長期にわたる有益な効果を及ぼす薬剤を提供することである。この技術的課題は、特許請求の範囲に規定される実施態様によって解決される。
かくして、本発明は、皮膚のバリア機能を改善するのに使用するための、カルボン酸またはその薬学的に許容される塩、特にカルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物に関し、該薬学的組成物は乳幼児に投与される。本発明はまた、患者の皮膚疾患を処置するための方法であって、有効量のカルボン酸またはその薬学的に許容される塩、特に有効量の、カルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法に関し、特に、該患者は乳幼児、特に0〜12歳、好ましくは0〜10、0〜8、0〜6、0〜5、0〜4歳、より好ましくは0〜3歳の乳幼児である。本発明の一つの特定の態様では、乳幼児は0〜3歳である。
様々な態様において、本発明は、患者の皮膚疾患を予防するための方法であって、有効量のカルボン酸またはその薬学的に許容される塩、特に有効量の、カルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法に関し、特に、該患者は乳幼児、特に0〜12歳、好ましくは0〜10、0〜8、0〜6、0〜5、0〜4歳、より好ましくは0〜3歳の乳幼児である。本発明の一つの特定の態様では、乳幼児は0〜3歳である。
様々な態様において、本発明は、患者の皮膚疾患に関連する症状を緩和するための方法であって、有効量のカルボン酸またはその薬学的に許容される塩、特に有効量の、カルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与する工程を含む方法に関し、特に、該患者は乳幼児、特に0〜12歳、好ましくは0〜10、0〜8、0〜6、0〜5、0〜4歳、より好ましくは0〜3歳の乳幼児である。本発明の一つの特定の態様では、乳幼児は0〜3歳である。
本発明の様々な態様では、様々な態様において本明細書に記載されるカルボン酸またはその薬学的に許容される塩、特にカルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物の乳幼児への投与は、皮膚を介して伝播する感染症および疾患から乳幼児を保護する。
本発明の様々な態様では、前記カルボン酸は、2〜4個の炭素原子を含み、特にカルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、もしくは酪酸、またはその薬学的に許容される塩であり、プロピオン酸またはその薬学的に許容される塩が好ましい。
本発明の様々なさらなる態様では、様々な態様において本明細書に記載されるカルボン酸またはその薬学的に許容される塩、特にカルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物は、液体形態、特にスプレー、ゲル、クリーム、もしくは水溶液の形態で、または固体形態、特にカプセルもしくは錠剤の形態で投与される。
本発明の様々なさらなる態様では、様々な態様において本明細書に記載されるカルボン酸またはその薬学的に許容される塩、特にカルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物は、局所的または経口的に投与される。
本発明の特定の態様では、本明細書に記載される様々な態様のいずれか1つに従って使用するための薬学的組成物は、唯一の活性成分としてカルボン酸を含む。
様々な態様において、本発明は、患者の皮膚疾患を予防するための方法を提供し、該方法は、有効量のカルボン酸もしくはその薬学的に許容される塩、または様々な態様において本明細書に記載するように有効量のカルボン酸もしくはその薬学的に許容される塩を含有する薬学的組成物を、患者に投与する工程を含み、該患者は乳幼児である。
特定の態様において、カルボン酸は、様々な態様において本明細書で定義されるようなカルボン酸であり、薬学的組成物は、様々な態様において定義されるような組成物である。
本発明の別の特定の態様では、カルボン酸またはその薬学的に許容される塩、特に様々な態様において本明細書に記載するようにカルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物は、様々な態様において本明細書で定義される液体または固体の形態で適用される。
本発明のさらに別の特定の態様では、カルボン酸またはその薬学的に許容される塩、特に様々な態様において本明細書に記載するようにカルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物は、局所的に、鼻腔内に、または経口的に投与される。
本発明者らは、驚くべきことにかつ予想外に、カルボン酸が皮膚のバリア機能に有益な効果を及ぼし、かつ乳幼児に安全に適用できることを見出した。さらに、驚くべきことに、また予想外に、幼児期に開始するカルボン酸の連続投与は、一生を通じてバリア機能を改善することによって、長期にわたる有益な効果を及ぼすことが見出された。
したがって、バリア機能の改善へのカルボン酸の即効性のある効果に加えて、カルボン酸が一生の早い時期に皮膚などのバリア組織に投与される場合、それらはバリア機能を改善し、結果的に個体を感染および疾患から生涯を通じて長期間保護することができる。
この科学的発見は、バリア機能を改善し、結果として感染、化学物質誘発性病変およびアレルギーから保護する手段として、一生の早い時期に局所的に、様々な態様において本明細書に記載するような本発明のカルボン酸に曝露することを含む。
これに関連して、実験的な証拠は、一生の早い時期(初日の頃から3年まで)での処置は、生涯を通じて病気の発症に非常に有益な影響を及ぼし得ることを示している。さらに、様々な態様において本明細書に記載するような本発明のカルボン酸は、上皮細胞の機能ならびに関連する間質細胞および免疫細胞に影響を及ぼして、組織のバリア機能をもたらし、かつ感染、化学物質およびアレルゲン曝露からの防御を達成することができる。
前述の観点から、本発明者らは、驚くべきことにかつ予期せざることに、カルボン酸が、特に局所的適用によって、特にプロピオネートを含有する溶液を使用することによって、皮膚の処置に使用され得ることを見出した。これに関して、ヒトボランティアは、既知のアレルゲン(例えば、ニッケル)への曝露に続いて、プロピオネートの溶液を局所的に投与され得る;実施例2を参照されたい。皮膚炎および/または湿疹の症状、すなわちアレルギー反応が観察され得る。しかしながら、カルボン酸、特にプロピオネートの投与後に、該症状は著しく軽減され、すなわち、臨床スコアが有意に低下しうる。したがって、様々な態様または局面において本明細書に記載される本発明の組成物および方法は、とりわけ、ニッケルに対する接触過敏症の後に有効である。さらに、本発明の組成物および方法は、擦り傷の後の皮膚修復を改善するのに有効である。全体として、プロピオネートを含有する溶液による皮膚の処置は、皮膚炎および/または湿疹などの皮膚疾患を緩和し、かつ皮膚のバリア機能を改善することによって皮膚の赤み、皮膚病変、皮膚のしわ、皮膚の不純物および/または凹凸を軽減するのに有効である。これに関して、本発明の組成物および方法を用いた乳幼児の早期処置は、アレルギー性皮膚炎、皮膚の炎症および/または皮膚バリアの破壊からの防護を提供することが本発明者らによって実証された。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、本発明の組成物および方法を用いた皮膚の処置が、アレルギー性気道炎症および粘液産生を防ぐことを見出した。様々な態様または局面において本明細書に記載される本発明の組成物は、とりわけ、局所的に適用することができ、医療および化粧品産業に関連性がある。
本発明に用いられるカルボン酸は、カルボキシル基(C(O)OH)を含みかつ一般式R-C(O)OH (式中、RはC(O)OH官能基に結合された残部である)を有する有機化合物である限り、特に限定されない。本発明の特定の態様では、Rはアルキル基であり、さらなる修飾を含んでもよい。より特定の態様では、Rは、メチル、エチル、またはプロピル側鎖を表す。本発明の特定の態様では、Rはエチル側鎖であり、したがって、該カルボン酸はプロピオン酸である。
本発明の意味において、用語「アルキル」それ自体は、1〜10個、特に1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素を意味し、アルキル基は、非置換であるか、またはヒドロキシル、アミノ、カルボン酸、ハロゲン、シアノ、もしくはニトロからなる群より選択される1つまたは複数の同じまたは異なる置換基で置換されてもよい。好適なものは、C1-C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル(アミル)、2-ペンチル(sec-ペンチル)、3-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル(=イソ-ペンチルまたはイソ-アミル)、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、2,2-ジメチルプロピル(=ネオペンチル)、n-ヘキシル、イソ-ヘキシル、sec-ヘキシル、tert-ヘキシルなどである。最も好適なものは、C1-C3アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルである。
上記によれば、さらに別の特定の態様では、様々な態様において本明細書に記載されるような本発明によるカルボン酸は、以下からなる群より選択される:酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、2-ヒドロキシプロピオン酸、ジ乳酸(dilactic acid)、2-ベンジルオキシプロピオン酸、2-(p-ニトロフェニル)-オキシ-プロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸、2,3-ジヒドロキシプロピオン酸、3-ヒドロキシプロピオン酸メチル、3-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3-ヒドロキシプロピオン酸ベンジル、3-ヒドロキシプロピオン酸パラ-ニトロフェニル、3-ヒドロキシプロピオン酸p-ニトロベンジル、ポリエチレングリコール3-ヒドロキシプロピオネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸p-ニトロフェニル、プロピオン酸p-ニトロベンジル、2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸、またはその薬学的に許容される塩。
本発明の特定の態様では、様々な態様において本明細書に記載されるような、本発明に従って使用される化合物は、酢酸、プロピオン酸、および酪酸、またはそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される。
本発明で使用されるカルボン酸は、1つまたは複数の不斉中心を含むことができ、したがってラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、個々のジアステレオマーおよびジアステレオマー混合物として存在し得る。これらの化合物の全てのそのような異性体は、本発明に明示的に含まれる。本発明の化合物はまた、結合回転が特定のリンケージの周りで制限されるリンケージ(例:炭素-炭素結合)、例えば環または二重結合の存在に起因する制限、を含むことができる。したがって、全てのシス-トランス異性体およびE/Z異性体は、本発明に明示的に含まれる。本発明の化合物は、複数の互変異性体の形態でも表すことができ、そのような場合、たとえ単一の互変異性体のみが示されるとしても、本発明は、本明細書に記載の化合物の全ての互変異性体を明示的に含む(例えば、環系のアルキル化は複数の部位でのアルキル化をもたらし、本発明はそのような反応生成物の全てを明示的に包含する)。そのような化合物の全てのそのような異性体は、本発明に明示的に含まれる。本明細書に記載の化合物の全ての結晶形態は、本発明に明示的に含まれる。
本発明で使用されるカルボン酸もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載される本発明によるカルボン酸を、特に治療有効量で、任意で薬学的に許容される担体とともに含有する組成物は、皮膚のバリア機能を改善するために使用される。
したがって、一態様では、本発明は、特に乳幼児の皮膚のバリア機能を改善するための、様々な態様において本明細書に記載される本発明によるカルボン酸、特に酢酸、プロピオン酸、もしくは酪酸に;またはその薬学的に許容される塩に;または本明細書に記載される本発明によるカルボン酸もしくはその薬学的に許容される塩を特に治療有効量で任意で薬学的に許容される担体とともに含有する組成物に関する。
皮膚のバリア機能の低下に関連する種々の疾患が知られている。しかしながら、本発明で提供される手段によって処置/予防される疾患は、皮膚のバリア機能の低下に直接関連する疾患に限定されず、バリア機能の低下の結果である疾患、例えば皮膚のバリア機能の低下が原因で皮膚に影響を与える物質、例えばアレルゲンまたは毒性物質、によって引き起こされる疾患にも及ぶ。
したがって、本発明によって乳幼児において処置/予防され得る皮膚疾患には、ブロックL00〜L99のものを含むICD-10第XII章に国際分類される疾患を含むが、これらに限定されない。特に、本発明の手段によって処置および/または予防される皮膚疾患は、ブロックL20〜L30のもの、すなわち、皮膚炎および湿疹である。かくして、本発明の手段によって処置および/または予防される疾患としては、以下が挙げられる:アトピー性皮膚炎、例えばベニエー痒疹;脂漏性皮膚炎、例えば、脂漏性毛嚢炎、新生児頭部皮膚炎;おむつ(ナプキン)皮膚炎、例えばおむつかぶれ;アレルギー性接触皮膚炎、例えば、金属によるアレルギー性接触皮膚炎、接着剤によるアレルギー性接触皮膚炎、化粧品によるアレルギー性接触皮膚炎、皮膚に接触する薬物によるアレルギー性接触皮膚炎、染料によるアレルギー性接触皮膚炎、他の化学製品によるアレルギー性接触性膚炎、皮膚に接触する食物によるアレルギー性接触皮膚炎、食物以外の植物によるアレルギー性接触皮膚炎、その他の因子によるアレルギー性接触皮膚炎;刺激性接触皮膚炎、例えば、洗剤による刺激性接触皮膚炎、油およびグリースによる刺激性接触皮膚炎、溶剤による刺激性接触皮膚炎、化粧品による刺激性接触皮膚炎、皮膚に接触する薬物による刺激性接触皮膚炎、他の化学製品による刺激性接触皮膚炎、皮膚に接触する食物による刺激性接触皮膚炎、食物以外の植物による刺激性接触皮膚炎、その他の因子による刺激性接触皮膚炎;詳細不明の接触皮膚炎、例えば、化粧品による詳細不明の接触皮膚炎、皮膚に接触する薬物による詳細不明の接触皮膚炎、染料による詳細不明の接触皮膚炎、他の化学製品による詳細不明の接触皮膚炎、皮膚に接触する食物による詳細不明の接触皮膚炎、食物以外の植物による詳細不明の接触皮膚炎、その他の因子による詳細不明の接触皮膚炎;剥脱性皮膚炎;体内に取り込まれた物質による皮膚炎、例えば、薬物および薬剤による全身性皮膚発疹、薬物および薬剤による限局性皮膚発疹、摂取した食物による皮膚炎、体内に取り込まれた他の物質による皮膚炎、体内に取り込まれた未特定の物質による皮膚炎;ビダール苔癬および痒疹、例えば、慢性単純性苔癬、結節性痒疹、他の痒疹;掻痒、例えば、肛門の掻痒、陰嚢の掻痒、外陰部の掻痒、肛門性器の掻痒、他の掻痒;その他の皮膚炎、例えば、貨幣状皮膚炎、発汗障害(汗疱)、自家感作性皮膚炎(cutaneous autosensitization)、カンジダ疹、皮膚糸状菌疹、類湿疹、感染性皮膚炎、間擦性紅斑、白色粃糠疹、その他の特定された皮膚炎または湿疹。
本発明の特定の態様では、疾患はアトピー性皮膚炎または接触皮膚炎、特にアレルギー性接触皮膚炎、さらに特定すると、金属によるアレルギー性接触皮膚炎である。
本明細書で使用する用語「アレルギー性接触皮膚炎」(ACD)は、物質との接触によって引き起こされるアレルギー反応の兆候である接触皮膚炎の一形態を指す。
ACDは、ヒトに見られる免疫毒性の最も一般的な形態であると認められる。ACDは過敏反応であって、ヒト集団において非定型的な反応である。
アレルギー性接触皮膚炎の症状は、刺激性接触皮膚炎によって引き起こされる症状と非常に似ている。アレルギー性接触皮膚炎の最初の徴候は、曝露部位における皮疹または皮膚病変の存在である。皮疹の原因となるアレルゲンの種類に応じて、皮疹はにじみ出たり、流れ出たり、かさぶたで覆われたりすることがあり、また、それは皮がむけたり、はがれたり、肥厚性になったりすることがある。皮膚病変は皮疹の形を取らない可能性があるが、それは丘疹、水疱、小水胞または単純な赤みの部分を含み得る。アレルギー性接触皮膚炎に起因する発疹と刺激性接触皮膚炎に起因する発疹との主な違いは、前者の発疹はトリガーが皮膚に接触した領域に限定される傾向があるのに対して、後者の場合には、発疹が皮膚上により広範囲に広がる可能性が高いことである。アレルギー性接触皮膚炎の発疹は、アレルゲンに曝露されてから1または2日後に現れることもある。
他の症状には、かゆみ、皮膚の赤みまたは炎症、限局性腫脹が含まれ、その部位が触ると痛くなったり、熱くなったりすることがある。処置しないまま放置すると、皮膚が黒ずんだり、革のように硬くなってひび割れしたりすることがある。疼痛も存在し得る。
アレルギー性接触皮膚炎の症状は、完全に消散するまで1ヶ月間も長く続くことがある。ひとたび特定の物質に対する皮膚反応を起こしてしまうと、残りの生涯にわたってそれを保持する可能性が最も高く、そのアレルゲンと接触したときに症状が再び現れるだろう。
アレルギー性接触皮膚炎は、ニッケル(硫酸ニッケル6水和物)を含むがこれに限定されない様々な因子によって引き起こされる;ニッケルは世界中で最も頻繁に確認される接触アレルゲンである。ニッケルには、宝飾品および衣服の留め金またはボタンとして頻繁に出会う。ニッケルに対するアレルギーは、毎年世界中で10億ドル以上の費用がかかる。さらなる原因は金(金チオ硫酸ナトリウム)であり、これも宝飾品および歯科材料としてしばしば見られる。クロムもまた、アレルギー性接触皮膚炎の頻度の高い原因である。クロムは皮革のなめしに使用されている。さらに、未硬化のセメント/モルタル、フェイシャル化粧品およびいくつかの固形石けんの成分。その他の因子には、以下が含まれる:トキシコデンドロン属(Toxicodendron)の植物からの油性コーティング剤、マングローブおよびリュウゼツラン(agave)の特定の種からの樹液、チオメルサール、ネオマイシン、香料、ホルムアルデヒド、塩化コバルト、バシトラシン、クオタニウム-15、現像液、特にメトールを含むもの、プラモキシンまたはジフェンヒドラミンなどの局所麻酔薬、長期間使用した後の、イソチアゾリノン類、メルカプトベンゾチアゾール、または白金の可溶性塩。本発明において、処置および/または予防されるACDは、好ましくは金属、特にニッケルとの接触によって引き起こされるものである。処置されるACDは、イエダニ(house dust mite: HDM)によっても引き起こされることがある。ダニの腸には、強力な消化酵素(特にペプチダーゼ1(ダニ))が含まれており、該酵素は糞中に長く存在し、喘鳴(wheezing)などのアレルギー反応の主な誘導因子である。ダニの外骨格もまた、アレルギー反応に寄与し得る。家庭におけるイエダニの寄生は、アトピー性皮膚炎および表皮バリア障害に関連しており、これらはいずれも、本発明の方法および組成物を用いて処置/予防することができる。イエダニはまた、アレルギー性鼻炎および喘息にも関連しており、これらもまた、様々な態様において本明細書に記載される本発明の方法および組成物を用いて処置/予防することができる。
アレルギー性接触皮膚炎の診断は、主に理学的検査と医療履歴に基づいている。しかし、本発明は、そのような方法によって診断されたACDの処置および/または予防に限定されない。症例によっては、医師は、患者が経験している症状および発疹の外観に基づいて、正確な診断を下すことができる。アレルギー性接触皮膚炎の単一エピソードの症例では、それが必要な全てである。履歴および理学的検査により容易に説明されない慢性的および/または間欠的な発疹は、しばしば、さらなる検査から利益を得るであろう。
過敏性アレルギー検査は、アレルギー性接触皮膚炎の正確な原因を判定するためによく用いられる検査である。米国アレルギー・ぜんそく・免疫学会(American Academy of Allergy, Asthma, and Immunology)によると、「パッチテストは接触アレルゲン同定のための究極の判断基準である。」
パッチテストは、小さなパッチに少量の潜在的アレルゲンを塗布し、次いでそれを皮膚に貼ることからなる。2日後、それらを取り除き、適用された物質の1つに皮膚反応が生じた場合には、盛り上がったぶつぶつがパッチの下で目立つであろう。適用後72または96時間でそのテストを再び読み取る。
パッチテストは、慢性の再発性接触皮膚炎を有する患者に使用される。接触皮膚炎を診断し、かつ症状の他の潜在的原因を除外するために使用され得る他の検査には、皮膚病変部の皮膚生検および培養が含まれる。
したがって、一つの特定の態様では、本発明は、乳幼児の皮膚のバリア機能を改善し、それにより金属による、特にクロムまたはニッケル、さらに特定するとニッケルによる、アレルギー性接触皮膚炎を処置および/または予防するのに使用するための、本明細書に記載される本発明によるカルボン酸、特に酢酸、プロピオン酸、もしくは酪酸、またはその薬学的に許容される塩を、特に治療有効量で、任意で薬学的に許容される担体とともに、含有する薬学的組成物に関し、ここで、本明細書に記載される本発明によるカルボン酸またはその薬学的に許容される塩を含有する薬学的組成物は乳幼児に投与され、好ましくは、本明細書に記載される本発明による薬学的組成物はその出生時から開始して定期的に乳幼児に投与される。
薬学的に許容される担体は当技術分野において周知である。すなわち、当業者は、本発明の手段および方法で使用するための許容される担体を容易に得ることができる。薬学的に許容される担体としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:水、塩溶液、アルコール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物、例えばラクトース、アミロースまたはデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、白色パラフィン、グリセロール、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、コラーゲン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ならびにポリビニルピロリドン。担体はまた、以下の刊行物に記載される物質のいずれかを含み得る:Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro and Gennaro編, 第20版, Lippincott Williams & Wilkins, 2000); Theory and Practice of Industrial Pharmacy (Lachman他編, 第3版, Lippincott Williams & Wilkins, 1986); Encyclopedia of Pharmaceutical Technology (Swarbrick and Boylan編, 第2版, Marcel Dekker, 2002)。充填剤は、粉末セルロース、ソルビトール、マンニトール、および様々なタイプのラクトース、リン酸塩などから選択することができるが、これらに限定されない。
ポリマーは、限定するものではないが、親水性または疎水性ポリマー、例えばセルロースの誘導体(例:メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、エチルセルロース);ポリビニルピロリドン(例:ポビドン、クロスポビドン、コポビドン);ポリメタクリレート(例:Eudragit RS、RL);親油性成分(例:モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル);および様々な他の物質、例えばヒドロキシプロピルデンプン、ポリエチレンオキシド、カラギーナンなどから選択することができる。最も一般的には、ヒプロメロースなどの適切な粘度の親水性膨潤ポリマーが、好ましくは5%を超える量、より好ましくは8%を超える量で使用される。滑剤は、限定するものではないが、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアロール、セタノール、ポリエチレングリコールなどから選択することができる。滑沢剤は、限定するものではないが、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、水添ヒマシ油、ポリエチレングリコールなどから選択することができる。
本発明の活性成分は、中和された薬学的に許容される塩の形態として組成物へと製剤化され得る。薬学的に許容される塩には、限定するものではないが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸、クエン酸などの有機酸により形成される酸付加塩が含まれる。遊離カルボキシル基から形成される塩はまた、例えば、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、ならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導され得る。
本発明の特定の態様では、本明細書に記載される本発明による薬学的組成物は局所投与用であり、すなわち、それは局所用組成物である。本発明において有用な局所用組成物は、皮膚への局所適用に適した製剤を含む。一態様では、該組成物は、本明細書に記載される本発明によるカルボン酸またはその塩と、薬学的に許容される局所用担体とを含む。一態様では、薬学的に許容される局所用担体は、組成物の約50重量%〜約99.99重量%(例えば、組成物の約80重量%〜約95重量%)である。
前記組成物は広範なタイプの製品にすることができ、こうした製品のタイプには、限定するものではないが、ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、シェービングクリーム、軟膏、クレンジングリキッドウォッシュおよび固形バー、シャンプー、ペースト、粉末、ムース、シェービングクリーム、拭き取り布、パッチ、ネイルラッカー、創傷包帯、ガーゼ付き絆創膏、ヒドロゲル、フィルム、およびメイクアップ化粧品、例えばコンシーラー、ファンデーション、マスカラ、口紅などが含まれる。これらの製品タイプは、溶液、エマルション(例えば、マイクロエマルションおよびナノエマルション)、ゲル、固形物、ミセル、およびリポソームを含むがこれらに限定されない、薬学的に許容される局所用担体のいくつかのタイプを含み得る。以下はこのような局所用担体の非限定的な例である。他の局所用担体は当業者によって製剤化され得る。
本発明において有用な局所用組成物は、溶液として製剤化することができる。溶液は、典型的には、水性溶媒(例えば、約50重量%〜約99.99重量%、例えば約90重量%〜約99重量%の薬学的に許容される水性溶媒)を含む。本発明に有用な局所用組成物は、皮膚軟化剤を含む溶液として製剤化することができる。このような組成物は、好ましくは約2%〜約50%の皮膚軟化剤を含有する。本明細書で使用する「皮膚軟化剤」は、乾燥の防止または軽減のみならず、皮膚の保護のためにも使用される物質を指す。多種多様の適切な皮膚軟化剤が知られており、本明細書で使用することができる。適切な物質の多数の例が載っているInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, Wenninger and McEwen編, 1656〜61頁, 1626頁, および1654〜55頁(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Assoc, Washington, D.C., 第7版, 1997年)(以下「ICIハンドブック」)を参照されたい。一態様では、本明細書に記載される本発明によるカルボン酸は、生理食塩水またはロック・リンガー液の形態で適用される。活性成分、すなわちカルボン酸の濃度は、適用される量に応じて当業者によって調整され得る。しかし、1〜250mg/mlの範囲、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、23、240または250mg/mlの濃度を使用することが好適である。
ローションはそのような溶液から作ることができる。ローションは、典型的には、約1%〜約20%(例えば、約5%〜約10%)の皮膚軟化剤および約50%〜約90%(例えば、約60%〜約80%)の水を含む。
溶液から製剤化され得る別のタイプの製品は、クリームである。クリームは、典型的には、約5%〜約50%(例えば、約10%〜約20%)の皮膚軟化剤および約45%〜約85%(例えば、約50%〜約75%)の水を含む。
溶液から製剤化され得るさらに別のタイプの製品は、軟膏である。軟膏は、動物油もしくは植物油または半固体炭化水素の単純な基剤を含むことができる。軟膏は、約2%〜約10%の皮膚軟化剤と約0.1%〜約2%の増粘剤とを含み得る。本明細書において有用な増粘剤または粘度上昇剤のより完全な開示は、ICIハンドブック1693〜1697頁に見出すことができる。本発明において有用な局所用組成物はまた、エマルションとして製剤化することもできる。その担体がエマルションである場合、担体の約1%〜約10%(例えば、約2%〜約5%)が乳化剤を含む。乳化剤は、非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性であり得る。適切な乳化剤は、ICIハンドブック1673〜1686頁に開示されている。
ローションおよびクリームは、エマルションとして製剤化することができる。典型的には、そのようなローションは0.5%〜約5%の乳化剤を含む。そのようなクリームは、典型的には、約1%〜約20%(例えば、約5%〜約10%)の皮膚軟化剤;約20%〜約80%(例えば、30%〜約70%)の水;および約1%〜約10%(例えば、約2%〜約5%)の乳化剤を含むであろう。ローションおよびクリームのような、水中油型および油中水型の単一エマルションスキンケア製品は、化粧品分野で周知であり、本発明において有用である。水中油中水型のような多相エマルション組成物も本発明において有用である。一般的に、そのような単一エマルションまたは多相エマルションは、水、皮膚軟化剤および乳化剤を必須成分として含有する。
本発明の局所用組成物はまた、適切なゲル化剤を用いてゲル(例えば、水性ゲル)、例えば浴用または洗浄用に使用するゲルとして製剤化することもできる。水性ゲルに適したゲル化剤には、限定するものではないが、天然ガム、アクリル酸およびアクリレートの重合体および共重合体、ならびにセルロース誘導体(例:ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース)が含まれる。油(例えば鉱油)に適したゲル化剤には、水素化ブチレン/エチレン/スチレン共重合体および水素化エチレン/プロピレン/スチレン共重合体が含まれるが、これらに限定されない。そのようなゲルは、典型的には、約0.1重量%〜5重量%のそうしたゲル化剤を含む。
本発明の局所用組成物はまた、固形製剤(例えば、ワックス系のスティック、固形石けん組成物、粉末、または粉末含有拭き取り布、または浴用もしくは洗浄用の粉末)に製剤化することもできる。
また、リポソーム製剤も本発明の有用な組成物である。リポソームの例は、単ラメラリポソーム、多重ラメラリポソーム、および小ラメラ(paucilamellar)リポソームであり、リン脂質を含有してもしなくてもよい。リポソームは、典型的には、約50nm〜約10ミクロン、例えば約0.1〜約1ミクロンのサイズを有する。そのような組成物は、最初に、カルボン酸を、リン脂質、例えばジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、および水と組み合わせることによって、調製することができる。リポソームを形成するのに適した組成の表皮脂質をリン脂質の代わりに使用することができる。そのような表皮脂質の例には、グリセリルモノエステルおよびジエステル、ポリエチレン脂肪エーテル、ならびにステロールが含まれるが、これらに限定されない。次いで、リポソーム製剤を製造するために、リポソーム調製物を上記の担体の1つに組み入れることができる(例えば、溶液、ゲル、または水中油型エマルション中に懸濁させる)。
ミセル製剤も本発明の有用な組成物である。そのような組成物は、一本鎖界面活性剤および脂質を用いて調製することができる。
ミセルは、典型的には、約1nm〜約100nm、例えば約10nm〜約50nmのサイズを有する。次いで、ミセル製剤を製造するために、ミセル調製物を上記の担体の1つ(例えば、ゲルまたは溶液)に組み入れることができる。
本発明に有用な局所用組成物は、上記の成分に加えて、皮膚、毛髪、および爪に使用するための組成物中で従来から使用されている多種多様な追加の油溶性物質および/または水溶性物質を、それらの技術分野で確立されたレベルで含むことができる。
本発明で使用される薬学的に許容される担体、または本発明の薬学的組成物の製剤に関わりなく、本明細書に記載される本発明によるカルボン酸またはその許容される塩は、その薬学的組成物に含まれる唯一の活性成分であることが好ましい。本発明の意味で用語「活性成分」は、薬学的活性物質、特にカルボン酸、すなわち生物体によって十分な量で吸収されたときに生理学的効果を示す物質である。本発明の意味で生理学的効果とは、特に別記実施例に示される方法を用いて、または当業者に公知の方法を用いて測定して、皮膚疾患、特にアトピー性皮膚炎または湿疹の臨床スコアが低下することである。
さらなる局面では、本発明は、対象、特に乳幼児の皮膚のバリア機能を改善するための方法に関し、該方法は、本明細書に記載される本発明によるカルボン酸またはその薬学的に許容される塩を有効量で、対象に投与する工程を含む。有効量は、所与の状態および投与レジメンに対して治療効果を与える量を指す。特に、「治療有効量」は、該疾患の症状を予防、緩和、または軽減するのに有効な量、特にヒトまたは非ヒト動物の皮膚疾患の臨床スコアを低下させるのに有効な量を意味する。治療有効量の決定は当業者の技能の範囲内である。本発明による化合物の治療有効量または投与量は、広い範囲内で変えることができ、関連技術分野で公知の方法により決定することができる。投与量は、広い範囲内で変えることができ、当然、個々の場合に個々の要件に合わせて調整する必要があろう。
これに関連して、用語「処置」、「処置する」などは、本明細書では、一般に所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味するために使用される。その効果は、疾患もしくはその症状を完全にまたは部分的に予防するという観点から予防的であり得、かつ/または疾患および/もしくは疾患に起因する有害作用を部分的にもしくは完全に治癒するという観点から治療的であり得る。本明細書で使用する用語「処置」は、対象の疾患のあらゆる処置をカバーし、(a)望ましくない免疫応答に関連する疾患が、その疾患の素因を持っている可能性がある対象において発生するのを予防すること;(b)疾患を抑制する、すなわちその進行を阻止すること;または(c)疾患を軽減する、すなわち疾患の退行を生じさせることを包含する。
本発明において「患者」または「対象」は、相互交換可能に使用され、ヒトおよび他の動物、特に哺乳動物、ならびに他の生物を含むことを意味する。したがって、前記方法は、ヒトの治療と獣医学的な適用の両方に応用可能である。好ましい態様では、患者または対象は哺乳動物であり、最も好ましい態様では、患者または対象はヒトである。
用語「プロピオネート」は、プロピオン酸の薬学的に許容される塩、例えば、プロピオン酸のナトリウム塩などを指す。
用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の化合物中に存在する酸性基または塩基性基の塩を包含する。薬学的に許容される酸付加塩としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))。本発明の特定の化合物は、様々なアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。適切な塩基塩には、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、およびジエタノールアミン塩が含まれるが、これらに限定されない。
表現「薬学的組成物」および「治療用組成物」は、本明細書では、最も広い意味で相互交換可能に使用される。それらは、本発明においては、治療有効量の活性成分、すなわち、カルボン酸またはその薬学的に許容される塩を、任意で薬学的に許容される担体または希釈剤とともに、含有することを意味する。
それは、ヒトまたは非ヒト動物における疾患または障害の処置、制御、改善、状態の向上、または予防に適した組成物を包含する。したがって、それはヒトまたは動物の医療分野で使用するための薬学的組成物を包含する。そのような「治療用組成物」は、それがカルボン酸またはその生理学的に許容される塩と、任意で担体または賦形剤とを含有し、その塩と担体および賦形剤とがそれにより処置される標的生物に許容されることを特徴とする。
様々な態様において本明細書に記載される本発明の化合物および該化合物を含有する薬学的組成物は、体表面に局所的に投与され、したがって、上記のように局所投与に適した形態に製剤化され得る。様々な態様において本明細書に記載される本発明の薬学的組成物は、鼻腔内または経口投与に適するように製剤化されてもよい。
様々な態様において本明細書で提供される本発明の薬学的組成物はまた、制御放出組成物、すなわち、活性成分が投与後のある期間にわたって放出される組成物として投与することができる。制御放出または持続放出組成物は、親油性デポー(例えば、脂肪酸、ワックス、油)中に製剤を含む。別の態様では、該組成物は、即時放出組成物、すなわち、投与直後に全ての活性成分が放出される組成物である。
様々な態様において本明細書で提供される薬学的組成物は、ヒトおよび動物、例えば、トリ、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、マウス、ラット、ウサギなどを処置するための、ヒトおよび動物の薬物療法に使用することができる。ヒトを処置することが好ましい。
様々な態様において本明細書に記載される本発明による薬学的組成物の適切な投与量は、変化し得る。投与量は、例えば、投与される特定の化合物、投与経路、処置/予防される状態、および処置される対象など、個々のケースの個々の要件に合わせて調整されるであろう。しかし、該化合物は、デポー製剤(インプラント、徐放性製剤など)として、週1回、月1回、またはより長い間隔で投与することもできる。特定の製品は、絆創膏、パッチなどである。そのような場合には、投与量は、1日の投与量よりもはるかに多く、投与形態、体重および具体的な症状に合わせて調整しなければならない。適切な投与量は、従来型のモデル試験、好ましくは動物モデル、を実施することによって決定することができる。1日の投与量は、1回量としてまたは分割量で投与することができる。
活性成分の有効用量は、少なくとも、処置される状態の性質、毒性、該化合物を予防的に用いるのか(より低い用量)、または活動的な状態に対して用いるのか、薬物送達方法、および製剤処方によって決まり、従来の用量漸増試験を用いて臨床医により決定されるであろう。
特定の態様では、様々な態様または局面において本明細書に記載される本発明の薬学的組成物は、長期間にわたって乳幼児に毎日投与される。定期的な適用、特に毎日の適用は、皮膚のバリア機能が改善されるために、疾患の発症を予防するという有益な長期的効果を有する。したがって、定期的な、特に毎日の適用は、本発明の薬学的組成物の適用によって生じる皮膚の改善されたバリア機能のために、原因物質が皮膚を通って対象の体内に入るのを防ぐことができる。そのような長期にわたる有益な効果は、乳幼児の全生涯を通して観察される。そうした効果を最大にするために、様々な態様または局面において本明細書に記載される本発明の薬学的組成物の1日量の投与を、一生の早い時期に、すなわち、好ましくは出生直後に、出生後1、2、3、4、5、6、7、8週または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月の年齢で、開始することが好適である。
本明細書で使用する用語「傷」は、組織構造の正常な完全性の断絶を有する身体病変に関係する。すなわち、本発明の化粧品組成物は、傷の外観を軽減するために使用することができる。
他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料を以下に記載する。相反する場合には、定義を含む本明細書が優先される。さらに、材料、方法、および実施例は単なる例示にすぎず、限定することを意図したものではない。
本明細書に記載される一般的な方法および技術は、当技術分野で周知の従来方法に従って、また、他に示されない限り、本明細書全体にわたって引用され説明される、様々な一般文献およびより詳しい参考文献に記載の方法に従って実施することができる。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989);Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates (1992);およびHarlow and Lane Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1990)を参照されたい。
本発明の局面は、図面および前述の説明において詳細に例示され説明されているが、こうした例示および説明は、例示的または典型的であって、限定的ではないとみなされるべきである。当業者であれば、以下の特許請求の範囲および精神の範囲内で変更および修飾を行うことができることが理解されよう。特に、本発明は、上記および下記の様々な態様の特徴の任意の組み合わせを含むさらなる態様を包含する。本発明はまた、前述または後述の説明には記載されていない場合もあるが、個々に図面に示された全てのさらなる特徴を包含する。また、図面および説明に記載された態様の単一の選択肢、ならびにそれらの特徴の単一の選択肢は、本発明の他の局面の主題から除外され得る。
さらに、特許請求の範囲において、「含む」という語は他の要素または工程を排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は複数を排除しない。単一のユニットは、特許請求の範囲に記載された幾つかの特徴の機能を果たすことができる。属性(attribute)または値に関連して「本質的に」、「約」、「およそ」などの用語は、特に、厳密にその属性または厳密にその値をもそれぞれ定義する。特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
本発明の局面は、本発明の態様およびその多くの利点のさらなる理解を提供する、以下の例示的・非限定的な実施例によってさらに説明される。以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために含まれる。以下の実施例に開示された技術は、本発明の実施において良好に機能する本発明で使用される技術を表し、したがって、本発明の実施にとって好ましい様式を構成すると考えられることが、当業者には理解されるべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示された特定の態様において多くの変更を行うことができ、同様のまたは類似の結果をまだ得ることができることを理解すべきである。特許出願、製造業者マニュアルおよび科学刊行物を含む多数の文書が本明細書に引用されている。これらの文書の開示は、本発明の特許性に関連するとは考えられないが、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。より具体的には、全ての参考文書は、個々の文書が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に指示された場合と同じ程度に、参照により組み入れられる。
プロピオネートによる新生児皮膚の処置はアレルギー性皮膚炎、皮膚の炎症および皮膚バリアの破壊を防ぐ。(A)ヘマトキシリンおよびエオシン染色したパラフィン包埋皮膚組織切片(4μM)の8〜10の代表的な画像に対して、皮膚炎症スコアの評価(0-正常;1-軽度の炎症;2-中程度の炎症;3-顕著な炎症;4-重度の炎症;5-非常に重度の炎症)を(実験条件については盲検的に)実施した。(B)経皮水分蒸散量(TEWL)の測定を、3回目の皮膚HDM感作が終了してから24時間後に行った。マウス1匹につき3回測定した。1群あたりのマウスn=5。 プロピオネートによる新生児皮膚の処置はアレルギー性皮膚炎、皮膚の炎症および表皮肥厚を防ぐ。感作領域からの皮膚組織をホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し、4μMの組織切片をヘマトキシリンとエオシンで染色した。ビヒクル処置対照(左)またはプロピオン酸ナトリウム処置マウス(右)からの代表的な画像を10倍の倍率で示す。挿入画像は20倍の倍率で示される。 プロピオネートによる新生児皮膚の処置はアレルギー性気道炎症および粘液産生を防ぐ。(A)気道の好酸球数および(B)気道の好中球数を、最後の鼻腔内負荷の72時間後に採取した気管支肺胞洗浄液からサイトスピンで測定した。(C)肺における粘液産生は、過ヨウ素酸-シッフ(PAS)染色したパラフィン包埋肺組織切片(4μM)からの末梢気道と中間気道の代表的画像において、完全にPAS染色された細胞の頻度として定量化した。1群あたりのマウスn=5。 実験の流れを示した図。
実施例1 - 乳幼児の皮膚に対するカルボン酸の長期的効果
この研究は、カルボン酸が乳幼児の皮膚に生涯にわたって及ぼす長期的かつ有益な効果を調べることを目的としている。そのため、乳幼児には、カルボン酸を局所的または経口的に、好ましくは誕生直後に、投与する。投与量は新生児の体重に応じて変化し得る。陰性対照として、カルボン酸を投与しない乳幼児をこの研究期間を通して観察する。乳幼児の生後数年の間、皮膚を介して伝播する疾患の発生を記録して、対照乳幼児と比較する。例えば、皮膚を介して伝播するウイルス疾患またはアレルゲン曝露後の接触皮膚炎の症状を記録する。したがって、湿疹、皮膚の赤み、皮膚の凹凸などの全ての発生を記録し、監視する。関連する時間量の後、例えば1、2、3、4年、またはそれ以上の後に、イベントの数を比較する。定期的な、特に1日1回の、投与量でカルボン酸を投与された乳幼児は、カルボン酸の定期的な、特に1日1回の、投与量を投与されない乳幼児と比較して、イベント数の減少を示す。
実施例2 - 皮膚の処置におけるカルボン酸
この研究は、特に皮膚がアレルギー物質に曝露された場合に(特にアレルギー性接触皮膚炎)、プロピオネートによる処置が乳幼児の皮膚のバリア機能を促進するかどうかを調べることを目的としている。
アレルギー性過敏症は、12時間にわたるニッケルアレルゲンによる接触感作によって誘発することができる。アレルゲンとの最後の接触から60時間後、炎症を起こした皮膚の処置を、ロック・リンガー液中の50mMプロピオネート4×140μl、またはロック・リンガー対照液4×140μlのいずれかを用いて、8時間にわたって実施する。皮膚病変の臨床スコアは、当技術分野で公知のプロトコルを用いて決定することができる。
実施例3 - 傷ついた皮膚に対するカルボン酸の効果
この研究は、プロピオネートによる処置が損傷後の皮膚のバリア機能を促進するかどうかを調べることを目的としている。
したがって、ロック・リンガー液中の50mMプロピオネート140μlまたは対照の水140μlのいずれかを用いて、感染した傷を、傷の誘発の12時間後に処置することができる。
実施例4 - プロピオネートによる新生児皮膚の処置は、アレルギー性皮膚炎、皮膚の炎症、および皮膚バリアの破壊を防ぐ
第1世代のBALBC/J (Charles River社)新生児マウスを、生後4日目および6日目に、5mgのプロピオン酸ナトリウム(100mg/mlプロピオン酸ナトリウム溶液50μl;プロピオン酸ナトリウム(Sigma Aldrich社;カタログ番号P5436)を0.9%NaClに溶解して、滅菌ろ過した)またはビヒクル対照(0.9%NaCl;Laboratorium G. Bichsel AG;カタログ番号1000096)を用いて、背部皮膚上に局所的に処置した。生後10日目に、15μgのイエダニ(HDM)(Greer Laboratories Inc.;カタログ番号B84)による皮膚感作を開始した。皮膚感作を実施するために、15μgのHDMに浸したガーゼ(Dermaplast社;カタログ番号214 010)を新生児マウスの背部皮膚に当て、それをバイオクルーシブドレッシング(bioclusive dressing)(Systagenix社;カタログ番号2463)で固定し、粘着テープ(Molnlycke Health Care社;カタログ番号310500)で覆って、ガーゼの脱落とその結果としてのHDMの摂取を防止した。感作を連続して3週間実施したが、各週は連続5日間の感作からなり、3日目にガーゼを変え、5日目にガーゼを取り除き、その後2日間の回復期が続いた。感作レジメンを通してHDM浸漬ガーゼを当てる1時間前に、マウスを5mgのプロピオン酸ナトリウム溶液またはビヒクル対照溶液で局所的に処置した。3回目の皮膚感作が終了してから72時間後に、マウスを、30μlの総容量で、15μgのHDM (Greer Laboratories Inc.;カタログ番号B84)により連続3日間鼻腔内負荷し、最後の鼻腔内負荷から72時間後にマウスを屠殺した。
実施例5 - プロピオネートによる新生児皮膚の処置は、アレルギー性皮膚炎、皮膚の炎症、および表皮肥厚を防ぐ
第1世代のBALBC/J (Charles River社)新生児マウスを、生後4日目および6日目に、5mgのプロピオン酸ナトリウム(100mg/mlプロピオン酸ナトリウム溶液50μl;プロピオン酸ナトリウム(Sigma Aldrich社;カタログ番号P5436)を0.9%NaClに溶解して、滅菌ろ過した)またはビヒクル対照(0.9%NaCl;Laboratorium G. Bichsel AG;カタログ番号1000096)を用いて、背部皮膚上に局所的に処置した。生後10日目に、15μgのイエダニ(HDM)(Greer Laboratories Inc.;カタログ番号B84)による皮膚感作を開始した。皮膚感作を実施するために、15μgのHDMに浸したガーゼ(Dermaplast社;カタログ番号214 010)を新生児マウスの背部皮膚に当て、それをバイオクルーシブドレッシング(bioclusive dressing)(Systagenix社;カタログ番号2463)で固定し、粘着テープ(Molnlycke Health Care社;カタログ番号310500)で覆って、ガーゼの脱落とその結果としてのHDMの摂取を防止した。感作を連続して3週間実施したが、各週は連続5日間の感作からなり、3日目にガーゼを変え、5日目にガーゼを取り除き、その後2日間の回復期が続いた。感作レジメンを通してHDM浸漬ガーゼを当てる1時間前に、マウスを5mgのプロピオン酸ナトリウム溶液またはビヒクル対照溶液で局所的に処置した。3回目の皮膚感作が終了してから72時間後に、マウスを、30μlの総容量で、15μgのHDM (Greer Laboratories Inc.;カタログ番号B84)により連続3日間鼻腔内負荷し、最後の鼻腔内負荷から72時間後にマウスを屠殺した。感作領域からの皮膚組織をホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し、4μMの組織切片をヘマトキシリンとエオシンで染色した。
実施例6 - プロピオネートによる新生児皮膚の処置は、アレルギー性気道炎症および粘液産生を防ぐ
第1世代のBALBC/J (Charles River社)新生児マウスを、生後4日目および6日目に、5mgのプロピオン酸ナトリウム(100mg/mlプロピオン酸ナトリウム溶液50μl;プロピオン酸ナトリウム(Sigma Aldrich社;カタログ番号P5436)を0.9%NaClに溶解して、滅菌ろ過した)またはビヒクル対照(0.9%NaCl;Laboratorium G. Bichsel AG;カタログ番号1000096)を用いて、背部皮膚上に局所的に処置した。生後10日目に、15μgのイエダニ(HDM)(Greer Laboratories Inc.;カタログ番号B84)による皮膚感作を開始した。皮膚感作を実施するために、15μgのHDMに浸したガーゼ(Dermaplast社;カタログ番号214 010)を新生児マウスの背部皮膚に当て、それをバイオクルーシブドレッシング(bioclusive dressing)(Systagenix社;カタログ番号2463)で固定し、粘着テープ(Molnlycke Health Care社;カタログ番号310500)で覆って、ガーゼの脱落とその結果としてのHDMの摂取を防止した。感作を連続して3週間実施したが、各週は連続5日間の感作からなり、3日目にガーゼを変え、5日目にガーゼを取り除き、その後2日間の回復期が続いた。感作レジメンを通してHDM浸漬ガーゼを当てる1時間前に、マウスを5mgのプロピオン酸ナトリウム溶液またはビヒクル対照溶液で局所的に処置した。3回目の皮膚感作が終了してから72時間後に、マウスを、30μlの総容量で、15μgのHDM (Greer Laboratories Inc.;カタログ番号B84)により連続3日間鼻腔内負荷し、最後の鼻腔内負荷から72時間後にマウスを屠殺した。
実施例4〜6の実験のセットアップ
局所的処置およびアトピー性皮膚炎モデル
第1世代のBALBC/J (Charles River社)新生児マウス(4日齢)を、実験0日目および2日目に、5mgのプロピオン酸ナトリウム(100mg/mlプロピオン酸ナトリウム溶液50μl;プロピオン酸ナトリウム(Sigma Aldrich社;カタログ番号P5436)を0.9%NaClに溶解して、滅菌ろ過した)またはビヒクル対照(0.9%NaCl;Laboratorium G. Bichsel AG;カタログ番号1000096)を用いて、背部皮膚上に局所的に処置した。実験6日目に、15μgのイエダニ(HDM)(Greer Laboratories Inc.;カタログ番号B84)による皮膚感作を開始した。皮膚感作を実施するために、15μgのHDMに浸したガーゼ(Dermaplast社;カタログ番号214 010)を新生児マウスの背部皮膚に当て、それをバイオクルーシブドレッシング(bioclusive dressing)(Systagenix社;カタログ番号2463)で固定し、粘着テープ(Molnlycke Health Care社;カタログ番号310500)で覆って、ガーゼの脱落とその結果としてのHDMの摂取を防止した。感作を連続して3週間実施したが、各週は連続5日間の感作からなり、3日目にガーゼを変え、5日目にガーゼを取り除き、その後2日間の回復期が続いた。感作レジメンを通してHDM浸漬ガーゼを当てる1時間前に、マウスを5mgのプロピオン酸ナトリウム溶液またはビヒクル対照溶液で局所的に処置した。3回目の皮膚感作が終了してから72時間後に、マウスを、30μlの総容量で、15μgのHDM (Greer Laboratories Inc.;カタログ番号B84)により連続3日間鼻腔内負荷し、最後の鼻腔内負荷から72時間後にマウスを屠殺した。
TEWL測定
3回目の皮膚HDM感作が終了してから24時間後に、TEWAmeter TM 300 (C.K Electronic GmbH, Koln, ドイツ)を用いて、経皮水分蒸散量(TEWL)の測定を、感作した背部皮膚領域上で行った。マウス1匹につき3回測定した。
皮膚免疫組織化学および炎症スコア
感作領域からの背部皮膚組織を切除し、ホルマリン溶液中で固定し、パラフィンに包埋した。4μMの組織切片をヘマトキシリンとエオシンで染色した。これらの組織切片の8〜10の代表的な画像(10倍の倍率)に対して、皮膚炎症スコアの評価(0-正常;1-軽度の炎症;2-中程度の炎症;3-顕著な炎症;4-重度の炎症;5-非常に重度の炎症)を(実験条件については盲検的に)実施した。
肺の分析
マウスの気管にカニューレを挿入し、PBS 0.2%BSA溶液500μlを用いて気管支肺胞洗浄(BAL)を行った。Coulterカウンターを使用して全BAL細胞数を測定し、BAL液のサイトスピン標本で細胞分画数(differential cell counts)を測定した。
左肺葉をホルマリン中で固定し、パラフィンに包埋し、4μMの組織切片を過ヨウ素酸-シッフ(PAS)で染色した。肺における粘液産生は、末梢気道と中間気道の代表的画像における完全に過ヨウ素酸-シッフ(PAS)染色された細胞の頻度として定量化した。

Claims (15)

  1. 皮膚のバリア機能を改善するのに使用するための、カルボン酸またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有する薬学的組成物であって、乳幼児に投与される、薬学的組成物。
  2. 前記乳幼児が0〜3歳である、請求項1に記載の使用のための薬学的組成物。
  3. 前記カルボン酸が、皮膚を介して伝播される感染症および疾患から前記乳幼児を保護する、請求項1または2に記載の使用のための薬学的組成物。
  4. 前記カルボン酸が2〜4個の炭素原子を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物。
  5. 前記カルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、もしくは酪酸、またはその薬学的に許容される塩、好ましくはプロピオン酸またはその薬学的に許容される塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物。
  6. 液体または固体形態である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物。
  7. 液体の薬学的組成物が、スプレー、ゲル、クリーム、または水溶液の形態である、請求項6に記載の使用のための薬学的組成物。
  8. 固体の薬学的組成物がカプセル剤または錠剤の形態である、請求項6に記載の使用のための薬学的組成物。
  9. 局所的または鼻腔内に適用される、請求項7に記載の使用のための薬学的組成物。
  10. 経口的に適用される、請求項8に記載の使用のための薬学的組成物。
  11. 前記カルボン酸が前記薬学的組成物に含まれる唯一の活性成分である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用のための薬学的組成物。
  12. 患者の皮膚疾患を予防するための方法であって、有効量のカルボン酸もしくはその薬学的に許容される塩、または有効量のカルボン酸もしくはその薬学的に許容される塩を含有する薬学的組成物を患者に投与する工程を含み、該患者が乳幼児である、方法。
  13. 前記カルボン酸が請求項4または請求項5に規定されるカルボン酸であり、薬学的組成物が請求項1〜11のいずれか一項に規定される組成物である、請求項12に記載の方法。
  14. 薬学的組成物が請求項6〜8のいずれか一項に規定される液体または固体形態で適用される、請求項12または請求項13に記載の方法。
  15. 薬学的組成物が局所的、鼻腔内、または経口的に投与される、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
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