JP2019516669A - Ad−35を調製する方法 - Google Patents

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Abstract

式(I)で示されるベンゾジオキソール誘導体(AD−35)の調製方法およびその中間体を提供する。本発明の方法は、ピペロニル酸を原料として使用し、ブロム化、エステル化、シアン化、シクロプロパンラクタム化、アミドのN−アルキル化、脱保護、ピペリジンのN−アルキル化および塩化を経て、式(I)の化合物を得る。本発明の方法は、出発原料が安価で入手しやすく、合成手順が少なく、処理が簡単で、工業生産に適している。【化1】

Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は、アルツハイマー病を治療するための式(I)で示される臨床試験薬物、すなわち、6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジニル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンリン酸塩(AD−35)の調製方法、およびその合成中間体に関する。
〔背景技術〕
WO2014005421には、アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有し、アルツハイマー病の治療に適用できるベンゾジオキソール化合物が報告されている。この種類の化合物のうち、特に、6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジニル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンリン酸塩(代表記号はAD−35)が注目されており、その化学構造は以下の式Iの通りである。
Figure 2019516669
AD−35は、体外におけるアセチルコリンエステラーゼ阻害活性がドネペジルの1割程度であり、比較的弱いアセチルコリンエステラーゼ阻害剤である。しかし、当該化合物は、モリス水迷路テストでは、ドネペジルに相当する薬効を示し、すなわち、記憶や学習能力の改善において効果がドネペジルに相当する。これは、AD−35が体内において別のメカニズムにより記憶や学習能力の改善効果をもたらす可能性が示唆される。Aβ25−35により誘発されたアルツハイマー病ラットモデルに対する更なる研究によると、AD−35は、炎症性サイトカインTNF−αとIL−1βとの産出および放出を顕著に阻害することができ、神経細胞へのAβ25−35毒性を大幅に減少させ、神経細胞を効果的に保護することができることが知られている。
また、AD−35は、体外においては、Cu2+などの遷移金属イオンをキレート化させる働きを示す。しかし、Cu2+は、Aβ繊維の形成を促進し、神経細胞へのAβ毒性を強化するため、神経細胞の死亡を促進してしまう。したがって、脳中の過剰なCu2+は、アルツハイマー病を誘発する危険因子の1つだと考えられる(Sarell et al.J.BIol.Chem.2010,285(53),41533)。化学的構造の観点から見れば、AD−35分子中、ピペリジン環、ピリジン環にそれぞれ存在する2つの窒素原子は、エチレンジアミンに類似する構造ユニットを形成している。このことは、なぜ該化合物が遷移金属イオンをある程度キレート化させるかの理由に説明が付く。化合物の安全性について、マウスの急性毒性試験では、AD−35の毒性はドネペジルよりもはるかに低いことがわかった。最近、実施された第1段階の単一用量漸増臨床試験(SAD)では、被験者は単回用量の90mgのAD−35を服用しても、有害反応が発生しなかったため、該化合物の安全性が高いことが証明された。
以上をまとめると、AD−35は、副作用が比較的少なく、アルツハイマー病を治療する新薬になる見込みがある。AD−35は、その複合作用のメカニズムにより、アルツハイマー病患者の症状を緩和するのみならず、さらに、この疾患の進行を遅らせることができる。
WO2014005421に報告された、AD−35およびその類似物を調製する方法は、合成手順が多く、処理が複雑で、収率が低く、さらに、いくつかのステップは工業生産に適していない。したがって、従来の調製方法の課題を克服するために、新たなプロセス手順を開発する必要がある。
〔発明の内容〕
上記技術的課題を解決するために、本発明の第1の目的は、式(I)の化合物を調製するための重要な中間体(式Vの化合物)およびその調製方法を提供することである。
Figure 2019516669
本発明の第1の態様では、式(I)の化合物を調製するための、式Vで示される中間体を提供する。
Figure 2019516669
本発明の他の態様では、式Vで表される化合物を調製する方法であって、チタン(IV)イソプロポキシド(Ti(Oi−Pr))と、グリニャール試薬型エチルマグネシウムハロゲン化物とによる作用下で、式IVで示されるシアノエステルをシクロプロパンラクタム化させ、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムを得るステップを含む、方法を提供する。
Figure 2019516669
式中、RはC−Cアルキル基であり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である。
反応におけるグリニャール試薬型エチルマグネシウムハロゲン化物は、エチルマグネシウムブロミドであることが好ましい。
反応の溶媒は、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、メチルt−ブチルエーテルまたはテトラヒドロフランから選ばれ、好ましくはジクロロメタンである。
反応の温度は0〜35℃、好ましくは0〜20℃に制御される。
反応において、式IVで示される化合物とチタン(IV)イソプロポキシド(Ti(Oi−Pr))とのモル比は、1:1〜3、好ましくは1:1〜1.5である。
反応において、式IVで示される化合物とグリニャール試薬型エチルマグネシウムハロゲン化物とのモル比は、1:1〜5、好ましくは1:2〜3である。
本発明の他の態様では、式VIIで表される化合物を調製する方法であって、塩基の作用下で、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムと、式VIで示される化合物とを結合させ、式VIIで示される化合物を得るステップを含む、方法を提供する。
Figure 2019516669
式中、Rはアミノ基の保護基であり、好ましくはt−ブトキシカルボニル(Boc)基であり、Rはハロゲンまたはp−トルエンスルホニルオキシ基である。
反応に使用される塩基は、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは炭酸セシウムから選ばれ、好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
反応において、式Vで示される化合物と塩基とのモル比は、1:1〜3、好ましくは1:1.1〜2である。
反応において、式Vで示される化合物と式VIで示される化合物とのモル比は、1:1〜3、好ましくは1:1.1〜1.5である。
反応の溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはアセトニトリルから選ばれ、好ましくはジメチルスルホキシドである。
反応の温度は25〜75℃、好ましくは55〜65℃に制御される。
本発明の第2の目的は、上記中間体を用いて式(I)の化合物を調製する方法を提供し、さらには、アセチルコリンエステラーゼ(acetylcholinesterase)を阻害する式(I)のベンゾジオキソール誘導体を高収率で簡単に調製する改良された方法を提供することである。すなわち、化合物6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジニル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンリン酸塩を調製する方法を提供する。
Figure 2019516669
当該方法は、
溶媒中において、ピペロニル酸を塩基の作用下で塩化させ、さらにN−ブロモスクシンイミド(NBS)の作用下でブロム化させ、式IIで示される化合物を得るステップ(1)と、
Figure 2019516669
式IIで示される化合物を、酸による触媒作用下でアルコール(ROH)とエステル化反応させ、式IIIで示されるエステルを得るステップ(2)と、
Figure 2019516669
(式中、RはC−Cアルキル基である。)
式IIIで示される化合物を、シアン化物イオンドナーの作用下でシアン化させ、式IVで示されるシアノエステルを得るステップ(3)と、
Figure 2019516669
(式中、RはC−Cアルキル基である。)
チタン(IV)イソプロポキシド(Ti(Oi−Pr))とグリニャール試薬型エチルマグネシウムハロゲン化物とによる作用下で、式IVで示されるシアノエステルをシクロプロパンラクタム化させ、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムを得るステップ(4)と、
Figure 2019516669
(式中、RはC−Cアルキル基であり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である。)
塩基の作用下で、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムと式VIで示される化合物とを結合させ、式VIIで示される化合物を得るステップ(5)と、
Figure 2019516669
(式中、Rはアミノ基の保護基、好ましくはt−ブトキシカルボニル(Boc)基であり、Rはハロゲンまたはp−トルエンスルホニルオキシ基である。)
式VIIで示される化合物におけるアミノ基の保護基を除去し、式VIIIで示される化合物またはその塩を得るステップ(6)と、
Figure 2019516669
(式中、Rはアミノ基の保護基であり、好ましくはt−ブトキシカルボニル(Boc)基である。)
塩基の作用下で、式VIIIで示される化合物またはその塩を、式IXで示される化合物またはその塩と反応させ、式XIで示される化合物を得るステップ(7)と、
Figure 2019516669
(式中、Yはハロゲンまたはスルホニルオキシ基である。)
式XIで示される化合物をリン酸と反応させて塩化させ、式Iの化合物を得るステップ(8)とを含む。
Figure 2019516669
上記の反応ステップに関し、
ステップ(1)においては、反応用溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、ジクロロメタンまたはクロロホルムから選ばれ、好ましくは水である。また、前記塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムから選ばれる。また、前記ピペロニル酸と塩基とN−ブロモスクシンイミド(NBS)とのモル比は1:1.2〜2:1.4〜2.4である。また、反応温度は0〜70℃、好ましくは30〜45℃に制御される。
ステップ(2)においては、RはC−Cアルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、またはイソプロピル基であり、より好ましくはエチル基である。ステップ(2)の反応は、本分野で知られている。すなわち、酸による触媒作用下で、式IIで示される化合物をアルコール(ROH)とエステル化反応させる。触媒として使用される酸は濃硫酸が好ましい。
ステップ(3)においては、前記シアン化物イオンドナーは、金属シアン化物、好ましくはシアン化第一銅(CuCN)、またはフェロシアン化カリウム/ヨウ化第一銅(KFe(CN)/CuI)、より好ましくはフェロシアン化カリウム/ヨウ化第一銅(KFe(CN)/CuI)である。
さらに好ましくは、式IIIで示される化合物とヨウ化第一銅(CuI)とのモル比は1:1〜2、好ましくは1:1.1〜1.5である。また、式IIIで示される化合物とフェロシアン化カリウム(KFe(CN))とのモル比は1:0.15〜0.35、好ましくは1:0.18〜0.25である。また、反応温度は100〜160℃、好ましくは120〜140℃に制御される。また、反応用溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、またはN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
ステップ(4)においては、グリニャール試薬型エチルマグネシウムハロゲン化物は、好ましくはエチルマグネシウムブロミドである。また、溶媒はジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、メチルt−ブチルエーテルまたはテトラヒドロフランから選ばれ、好ましくはジクロロメタンである。また、反応温度は0〜35℃、好ましくは0〜20℃に制御される。また、式IVで示される化合物とチタン(IV)イソプロポキシド(Ti(Oi−Pr))とのモル比は1:1〜3、好ましくは1:1〜1.5である。また、式IVで示される化合物とグリニャール試薬型エチルマグネシウムハロゲン化物とのモル比は1:1〜5、好ましくは1:2〜3である。
ステップ(5)においては、Rはアミノ基の保護基、好ましくはt−ブトキシカルボニル(Boc)基であり、Rはハロゲンまたはp−トルエンスルホニルオキシ基である。また、反応に使用される塩基は、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは炭酸セシウムから選ばれ、好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。また、式Vで示される化合物と塩基とのモル比は1:1〜3、好ましくは1:1.1〜2である。また、式Vで示される化合物と式VIで示される化合物とのモル比は1:1〜3、好ましくは1:1.1〜1.5である。また、反応用溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはアセトニトリルから選ばれ、好ましくはジメチルスルホキシドである。また、反応温度は25〜75℃、好ましくは55〜65℃に制御される。
ステップ(6)においては、Rがt−ブトキシカルボニル基であり且つ酸性条件下でアミノ基の保護基を除去する場合、使用される酸は、硫酸、トリフルオロ酢酸、フッ化水素酸または塩酸から選ばれ、好ましくは塩酸(ステップ(6)の反応に使用される塩酸は特に制限されないが、濃塩酸、塩化水素ガス、塩化水素ガスを吸収した溶媒、濃塩酸を溶媒で希釈してなる混合液のうち、何れか1つを使用することができる)である。また、使用される反応用溶媒は、メタノール、エタノール、酢酸エチル、またはこれらの混合溶媒から選ばれ、好ましくはエタノールと酢酸エチルとの混合溶媒であり、より好ましくはエタノールと酢酸エチルとの体積比が2:3である。また、反応温度は20〜70℃、好ましくは50〜60℃に制御される。
ステップ(7)においては、式IXで示される化合物におけるYはハロゲンまたはスルホニルオキシ基である。ハロゲンは塩素、臭素またはヨウ素から選ばれ、スルホニルオキシ基は、ベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基またはメタンスルホニルオキシ基から選ばれる。また、使用される塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから選ばれ、好ましくは炭酸カリウムである。また、式VIIIで示される化合物と、式IXで示される化合物とのモル比は1:1〜3、好ましくは1:1.4〜2である。また、式VIIIで示される化合物と塩基とのモル比は1:1.5〜4、好ましくは1:2〜3.5である。また、使用される反応用溶媒は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、水、またはこれらの混合溶媒から選ばれ、好ましくはエタノールと水との混合溶媒である。また、55〜65℃の温度下で反応させる。
ステップ(8)においては、使用される反応用溶媒は、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールから選ばれ、好ましくはエタノールである。また、式XIで示される化合物とリン酸とのモル比は1:0.95〜1.05である。また、反応温度は20〜80℃、好ましくは60〜70℃に制御される。
本発明で使用される一部の用語は以下の様に定義する。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
「アルキル基」は、基または基の一部である場合、直鎖状脂肪族炭化水素基、または分岐鎖状脂肪族炭化水素基を指す。特に指定しない限り、最も好ましくはC−Cアルキル基が選ばれる。直鎖状C−Cアルキル基、または分岐鎖状C−Cアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、へキシル基等を含むが、これらに限定されない。
本発明の好ましい反応条件は、以下の構成により示される。
ステップ(1):
Figure 2019516669
ステップ(2):
Figure 2019516669
ステップ(3):
Figure 2019516669
ステップ(4):
Figure 2019516669
ステップ(5):
Figure 2019516669
ステップ(6):
Figure 2019516669
ステップ(7):
Figure 2019516669
ステップ(8):
Figure 2019516669
〔本発明の詳細な説明〕
以下、上記反応ステップ(1)〜(8)を参照しながら、本発明の調製方法をさらに詳しく説明する。
ステップ(1)においては、ピペロニル酸をN−ブロモスクシンイミド(NBS)の作用下でオルソブロム化させ、式IIで示される化合物を生成する。当業者が熟知しているように、通常、ブロム化反応は、有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド)の中で行われる。しかし、本発明では、反応用溶媒として無機溶媒(好ましくは水)を選ぶことが好ましい。同時に、水中での原料ピペロニル酸の溶解度の向上、反応進行の促進のために、反応系中に適切な塩基を添加してピペロニル酸のカルボン酸を塩化させることで、水溶性を増加させる。ピペロニル酸(1当量)と、1.2〜2当量の塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)とを水に溶解し、1.4〜2.4当量のN−ブロモスクシンイミド(NBS)を添加し、0〜70℃の温度下、好ましくは30〜45℃の温度下で、反応完了まで反応させる。その後、酸(例えば、塩酸)で酸性化させることで、塩化したカルボキシ基を遊離させ、そして固体の析出、濾過を経て、式IIで示される化合物を得る。あるいは、反応完了後、酸(例えば、塩酸)で酸性化させ、有機溶媒(例えば、酢酸エチル)を用いて抽出し、そして濃縮、パルプ化精製を経て、式IIで示される化合物を得る。
ステップ(2)においては、式IIで示される化合物を、酸による触媒作用下でアルコール(ROH)とエステル化反応させ、式IIIで示されるエステルを得る。触媒として使用される酸は濃硫酸が好ましい。当該方法は、本分野で知られている(文献:J.Am.Chem.Soc.,1997,119(18),4097-4102を参照)。
ステップ(3)においては、式IIIで示される化合物を、シアン化物イオンドナーの作用下でシアン化させ、式IVで示されるシアノエステルを得る。式IIIで示される化合物(1当量)を適切な無水溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド)に溶解し、シアン化物イオンドナー(好ましくはフェロシアン化カリウム/ヨウ化第一銅(KFe(CN)/CuI)を添加する。なお、ヨウ化第一銅(CuI)の投入量は1〜2当量(好ましくは1:1〜1.5当量)であり、フェロシアン化カリウム(KFe(CN))は、予め80℃の温度下で乾燥され、投入量が0.15〜0.35当量(好ましくは0.18〜0.25当量)である。その後、100〜160℃の温度下、好ましくは120〜140℃の温度下で反応させる。反応完了後、固体を析出させ、濾過、溶解脱色、結晶化の方法により分離、精製し、式IVで示される化合物を得る。
ステップ(4)においては、チタン(IV)イソプロポキシド(Ti(Oi−Pr))とエチルマグネシウムハロゲン化物(グリニャール試薬)とによる作用下で、式IVで示されるシアノエステルから、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムを得る。式IVで示されるシアノエステル(1当量)を無水溶媒(好ましくはジクロロメタン)に溶解し、乾燥した不活性ガス(例えば、窒素ガス)の保護下で、1〜3当量(好ましくは1〜1.5当量)のチタン(IV)イソプロポキシド(Ti(Oi−Pr))を添加する。そして、0〜35℃の温度下、好ましくは0〜20℃の温度下で1〜5当量(好ましくは2〜3当量)のグリニャール試薬(好ましくはエチルマグネシウムブロミド)をゆっくりと滴下し、順次にシクロプロパン化反応およびラクタム化反応させ、その後、脱色、結晶化の方法により分離、精製し、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムを得る。
ステップ(5)においては、塩基の作用下で、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムと、式VIで示される化合物とを結合させ、式VIIで示される化合物を得る。式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタム(1当量)を有機溶媒(好ましくはジメチルスルホキシド)に溶解し、1〜3当量(好ましくは1.1〜2当量)の塩基(好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)と、1〜3当量(好ましくは1.1〜1.5当量)の式VIで示される化合物とを添加し、25〜75℃の温度下、好ましくは55〜65℃の温度下で3〜4時間反応させる。その後、抽出、分離および脱色により、式VIIで示される化合物を得る。該化合物は、さらなる分離、精製をせずに、そのまま次のスッテプに供する。
ステップ(6)においては、式VIIで示される化合物におけるアミノ基の保護基を除去する。アミノ基の保護基Rはt−ブトキシカルボニル(Boc)基である。式VIIで示される化合物を適切な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、酢酸エチル、またはこれらの混合溶媒、好ましくはエタノールと酢酸エチルとの混合溶媒。より好ましくはエタノールと酢酸エチルとの体積比は2:3)に溶解し、酸性(例えば、硫酸、トリフルオロ酢酸、フッ化水素酸または塩酸、好ましくは塩酸)条件下で脱保護し、20〜70℃の温度下、好ましくは50〜60℃の温度下で反応させる。反応完了後、冷却して固体を析出させ、濾過して式VIIIで示される化合物またはその塩を得る。
当該反応に使用される塩酸は特に制限されないが、濃塩酸、塩化水素ガス、塩化水素ガスを吸収した溶媒、濃塩酸を溶媒で希釈してなる混合液のうち、何れか1つを使用することができる。
ステップ(7)においては、アルカリ性条件下で、式VIIIで示される化合物またはその塩と、式IXの化合物またはその塩とを反応させ、式XIで示される化合物を得る。1当量の式VIIIで示される化合物またはその塩と、1〜3当量(好ましくは1.4〜2当量)の式IXで示される化合物またはその塩(好ましくは2−クロロメチルピリジン塩酸塩)とを、適切な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、アセトニトリル、水、またはこれらの混合溶媒、好ましくはエタノールと水との混合溶媒)に溶解した後、1.5〜4当量(好ましくは2〜3.5当量)の塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、好ましくは炭酸カリウム)を添加し、55〜65℃の温度下で反応させる。反応完了後、冷却して固体を析出し、濾過、溶解脱色、結晶化の方法により分離、精製し、式XIで示される化合物を得る。
ステップ(8)においては、式XIで示される化合物をリン酸と反応させて塩化させ、式Iの化合物を得る。式XIで示される化合物(1当量)を適切な溶媒(例えば、メタノール、エタノールまたはイソプロパノール、好ましくはエタノール)に溶解し、0.95〜1.05当量のリン酸を添加し、20〜80℃の温度下、好ましくは60〜70℃の温度下で反応させる。反応完了後、固体を析出させ、濾過して式Iの化合物を得る。
本発明は、原料としてピペロニル酸を使用し、ブロム化、エステル化、シアン化、シクロプロパンラクタム化、アミドのN−アルキル化、脱保護、ピペリジンのN−アルキル化および塩化を経て、式(I)の化合物を得る。WO2014005421で開示された調製方法に比べ、本発明の優れた点は以下のようにまとめられる。
a)合成ステップの数の減少。従来の工程では、原料として桂皮酸を使用し、10ステップの反応により式(I)の化合物を調製する。しかし、本工程は、原料としてピペロニル酸を使用し、8ステップの反応により式(I)の化合物を調製でき、且つ、複数のステップの反応において、カラムクロマトグラフィー分離の代わりに、結晶化の方法により分離、精製するため、精製処理を簡略化し、コストを低減させることができる。
b)本工程は環境に優しい。生産過程において、従来の工程による有毒ガス(窒素酸化物)が発生することなく、さらに、従来の工程における重金属、劇物および危険な試薬(例えば、五酸化二バナジウム、塩化スズ(IV)、ジエチル亜鉛、五塩化リンなど)を使用していないため、生産の安全性と処理性を向上させることができる。
c)従来の工程で使用される出発原料(桂皮酸)が高価で入手困難であるのに対し、本工程で使用される出発原料(ピペロニル酸)は安価で入手しやすい。
d)本発明の方法は、大規模な工業生産に適し、収率が高い。
以上をまとめると、本発明は、ベンゾジオキソール誘導体の調製方法およびその中間体を提供することにより、安価で入手しやすい出発原料から、アルツハイマー病を治療するための臨床試験薬物AD−35を得ることができると共に、合成手順が少なく、処理が簡単で、収率が高く、コストが低く、工業生産に適している。
〔具体的な実施形態〕
以下の実施例は本発明をさらに説明するためのものであり、本発明に対するいかなる限定をするものではない。
<参考実施例1> 原料であるt−ブチル4−[2−(p−トルエンスルホニルオキシ)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸(式VIa)の調製
Figure 2019516669
10Lの反応フラスコに、800g(3.49mol)のt−ブチル4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボン酸、5Lのジクロロメタン、974mL(6.75mol)のトリエチルアミンおよび16gの4−ジメチルアミノピリジンを添加した。撹拌機を起動させ、738g(3.87mol)のp−トルエンスルホニルクロリドを添加し、25〜38℃下で1.5時間反応させた。TLC検出により反応の完了が確認された後、水を加えて洗浄し(3L×3回)、有機相を回収し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で完全に濃縮し、1360.3gの化合物VIa(HPLC純度:85%)を得た。
1H NMR(DMSO-d6):δ0.85-0.93(m,2H),1.38(s,9H),1.42-1.52(m,5H),2.43(s,3H),2.59(br s,2H),3.84(d,2H,J=11.3Hz),4.05(t,2H,J=6.1Hz),7.50(d,2H,J=8.1Hz),7.79(d,2H,J=8.3Hz);MS(ESI):m/z 383[M+Na]+
<参考実施例2> 原料であるt−ブチル4−(2−ヨードエチル)ピペリジン−1−カルボン酸(式VIb)の調製
Figure 2019516669
50mLの反応フラスコに、5g(13.0mmol)のt−ブチル4−[2−(p−トルエンスルホニルオキシ)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸(式VIa)、35mLのアセトンおよび2.9g(19.3mmol)のヨウ化ナトリウムを添加し、1時間還流加熱した。TLC検出により反応の完了が確認された後、濃縮してアセトンを除去し、50mLの水、50mLの酢酸エチルを添加して抽出を行った。50mLの水を用いて有機相を洗浄し、有機相を回収した。50mLの酢酸エチルを用いて水相に対して抽出を行った後、当該有機相を混合して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を完全に濃縮し、3.5gの化合物VIbを得た(収率79.5%)。
1H NMR(DMSO-d6):δ0.97-1.07(m,2H),1.41(s,9H),1.51-1.58(m,1H),1.63-1.66(m,2H),1.73-1.78(m,2H),2.69(br s,2H),3.31(t,2H,J=7.3Hz),3.96(d,2H,J=10.3Hz);MS(ESI):m/z 240[M-Boc+H]+
<実施例1> 6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸(化合物II)の調製
Figure 2019516669
2Lの反応フラスコに、100g(0.60mol)のピペロニル酸、29g(0.725mol)の水酸化ナトリウムおよび1Lの水を順に添加し、撹拌して溶解させた。150g(0.84mol)のN−ブロモスクシンイミドを添加し、30〜45℃で45分間反応させた。TLC検出により反応の完了を確認した後、濃硫酸を滴下して反応液のpHを2〜3に調節した。固体を析出させ、氷浴で冷却し、濾過した。濾過ケークを水で洗浄した後、乾燥させて117.4gの化合物II(HPLC純度:82%)を得た(収率79.5%)。
1H NMR(DMSO-d6):δ6.15(s,2H),7.30(s,1H),7.32(s,1H),13.17(s,1H)。
<実施例2> 6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸(化合物II)の調製
Figure 2019516669
2Lの反応フラスコに、100g(0.60mol)のピペロニル酸、29g(0.725mol)の水酸化ナトリウムおよび1Lの水を順に添加し、撹拌して溶解させた。150g(0.84mol)のN−ブロモスクシンイミドを添加し、30〜45℃で45分間反応させた。TLC検出により反応の完了を確認した後、1Lの酢酸エチルおよび40mLの濃塩酸を添加し、20分間撹拌し、分層させた。有機相を回収し、完全に濃縮した後、200mLの水および600mLの石油エーテルをさらに添加し、1時間撹拌し、濾過した。濾過ケークを水で洗浄し、乾燥させて116gの化合物II(HPLC純度:92.0%)を得た(収率78.9%)。H NMRデータは実施例1と同じであった。
<実施例3> 6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸エチル(化合物IIIa)の調製
Figure 2019516669
2Lの反応フラスコに、117.3g(0.39mol)の6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸(II)、585mLの無水エタノールを添加した。撹拌機を起動させ、77mL(1.4mol)の濃硫酸をゆっくりと添加し、6時間還流加熱して反応させた。TLC検出により反応の完了が確認された後、氷浴で冷却し、1.2Lの水を滴下し、固体を析出させ、濾過した。濾過ケークを水で洗浄し、35〜45℃で乾燥させて124.0gの化合物IIIa(HPLC純度:85%)を得た(収率:93.9%)。
1H NMR(CDCl3):δ1.39(t,3H,J=7.1Hz),4.34(q,2H,J=7.1Hz),6.04(s,2H),7.07(s,1H),7.31(s,1H)。
<実施例4> 6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸メチル(化合物IIIb)の調製
Figure 2019516669
1Lの反応フラスコに、50g(0.30mol)の6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸(II)、500mLの無水メタノールを添加した。撹拌機を起動させ、氷浴で冷却しながら、33.3mL(0.60mol)の濃硫酸を滴下し、6時間還流加熱した。TLC検出により反応の完了を確認した後、氷浴で冷却し、固体を析出させ、500mLの水を滴下し、濾過した。濾過ケークを水で洗浄し、45〜55℃で乾燥させて44.4gの化合物IIIbを得た(収率:84.0%)。
1H NMR(DMSO-d6):δ3.83(s,3H),6.19(s,2H),7.35(s,1H),7.36(s,1H)。
<実施例5> 6−シアノ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸エチル(化合物IVa)の調製
Figure 2019516669
2Lの反応フラスコに、124g(0.38mol)の6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸エチル(IIIa)、990mLのN,N−ジメチルホルムアミドを添加した。撹拌機を起動させ、33.1g(0.09mol)のフェロシアン化カリウムおよび103.3g(0.54mol)のヨウ化第一銅を添加し、120〜140℃まで加熱し、5時間反応させた。TLC検出により反応の完了が確認された後、冷却し、水を滴下して固体を析出させ、濾過した。濾過ケークを水で洗浄した後、1.9Lのジクロロメタンの中で濾過ケークを30分間撹拌し、濾過した。濾液に9gの活性炭を添加して30分間脱色し、濾過した。濾液が少量になるまで濃縮を行い、固体を析出させた後、n−ヘキサンを滴下し、氷浴で冷却し、濾過、乾燥を経て82.8gの化合物IVa(HPLC純度:99.5%)を得た(収率:83.2%)。
1H NMR(DMSO-d6):δ1.34(t,3H,J=7.1Hz),4.33(q,2H,J=7.1Hz),6.29(s,2H),7.51(s,1H),7.57(s,1H)。
<実施例6> 6−シアノ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸エチル(化合物IVa)の調製
Figure 2019516669
50mLの反応フラスコに、3.5g(12.8mmol)の6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸エチル(IIIa)、35mLのN,N−ジメチルホルムアミド、2.3g(25.7mmol)のシアン化第一銅を添加した。撹拌機を起動させ、120〜140℃で30〜60分間反応させた。TLC検出により反応の完了を確認した後、冷却し、30mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を滴下して固体を析出させ、濾過した。濾過ケークを水で洗浄した後、濾過ケークを200mLの酢酸エチルに溶解し、飽和塩化アンモニウム水溶液を用いて洗浄し(30mL×2回)、有機相を回収した。100mLの酢酸エチルを用いて水相に対して抽出を行った後、当該有機相を混合して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濃縮、結晶化を経て、2.0gの化合物IVaを得た(収率:62.5%)。H NMRデータは実施例5と同じであった。
<実施例7> 6−シアノ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸メチル(化合物IVb)の調製
Figure 2019516669
1Lの反応フラスコに、40g(0.15mol)の6−ブロモ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸メチル(IIIb)、11.4g(31.0mmol)のフェロシアン化カリウム、35.2g(0.18mol)のヨウ化第一銅、240mLのN,N−ジメチルアセトアミドを添加し、120〜140℃の油浴下で加熱して2〜3時間反応させた。TLC検出により反応の完了を確認した後、冷却し、480mLの水を滴下して固体を析出させ、さらに氷浴で冷却し、濾過した。濾過ケークを水で洗浄した後、濾過ケークを、500mLの酢酸エチルと200mLのテトラヒドロフランとの混合液に溶解し、80℃まで加熱した。2gの活性炭を添加し、濾過した。濾液が少量になるまで濃縮を行い、固体を析出させた後、200mLの石油エーテルを滴下し、氷浴で冷却し、濾過した。石油エーテルで濾過ケークを洗浄し、乾燥させて27.7gの化合物IVbを得た(収率:87.6%)。
1H NMR(DMSO-d6):δ3.87(s,3H),6.28(s,2H),7.49(s,1H),7.55(s,1H)。
<実施例8> スピロ[6H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(化合物V)の調製
Figure 2019516669
2Lの反応フラスコに、16g(0.072mol)の式IVaの化合物、160mLのジクロロメタンを添加し、撹拌して溶解させた。窒素ガスによる保護下で、24mL(0.080mol)のチタン(IV)イソプロポキシドを添加し、0〜20℃まで冷却した後、ゆっくりと73mL(0.22mol)のエチルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル溶液(3M)を滴下し、滴下完了後、反応の完了をTLC検出により確認した。ゆっくりと水/テトラヒドロフラン溶液(64mLの水/240mLのテトラヒドロフラン)を滴下し、50℃まで加熱した後、2gの活性炭を添加して脱色し、20分間撹拌した。濾過し、濾過残渣を酢酸エチルで洗浄した後、40〜50℃、減圧下で濾液を完全に濃縮し、96mLの酢酸エチルおよび96mLの水を添加し、撹拌しながら固体を析出させた。290mLのn−ヘキサンを滴下し、氷浴で冷却し、濾過した。n−ヘキサンで濾過ケークを洗浄し、乾燥させて11.9gの化合物V(HPLC純度:70%)を得た(収率:80.2%)。
1H NMR(DMSO-d6):δ1.33-1.41(m,4H),6.11(s,2H),6.86(s,1H),7.09(s,1H),8.53(s,1H)。
<実施例9> スピロ[6H−[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(化合物V)の調製
Figure 2019516669
500mLの反応フラスコに、10g(48.8mmol)の6−シアノ−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸メチル(IVb)、200mLのメチルt−ブチルエーテルを添加し、さらに15mL(50.7mmol)のチタン(IV)イソプロポキシドを添加し、0〜20℃まで冷却した後、ゆっくりと49mL(0.15mol)のエチルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル溶液(3M)を滴下し、滴下完了後、TLC検出により反応の完了が確認された。20mLの塩酸を滴下し、250mLの酢酸エチルを用いて抽出を行った。水で有機相を洗浄し(100mL×2回)、有機相を回収した。100mLの酢酸エチルを用いて水相に対して抽出を行った後、当該有機相を混合して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、さらに活性炭で脱色し、濾過した。濾液が少量になるまで濃縮を行い、石油エーテルを滴下した後、氷浴で冷却し、濾過した。石油エーテルで濾過ケークを洗浄し、乾燥させて2.3gの化合物Vを得た(収率:23.2%)。H NMRデータは実施例8と同じであった。
<実施例10> t−ブチル4−[2−(5−オキソスピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−6−イル)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸(化合物VIIa)の調製
Figure 2019516669
250mLの反応フラスコに、11.9g(0.041mol)の式Vの化合物、84mLのジメチルスルホキシド、4g(0.071mol)の水酸化カリウム、27.3g(0.06mol)のt−ブチル4−[2−(p−トルエンスルホニルオキシ)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸(式VIa)を添加し、55〜65℃まで加熱して3〜4時間反応させた。TLC検出により反応の完了が確認された後、冷却し、150mLの水、300mLの酢酸エチルを添加して抽出を行った。有機相を回収し、水で洗浄した(150mL×2回)。200mLの酢酸エチルを用いて水相に対して抽出を行った後、当該有機相を混合し、そこに3gの活性炭を添加して脱色し、30分間撹拌して濾過した。減圧下で濾液を完全に濃縮し、化合物VIIaを得た。
1H NMR(CDCl3):δ1.08-1.19(m,2H),1.28(dd,2H,J=6.2,7.4Hz),1.45(s,9H),1.48-1.57(m,5H),1.72(d,2H,J=12.7Hz),2.69(t,2H,J=11.6Hz),3.20(t,2H,J=7.6Hz),4.07(d,2H,J=13.1Hz),6.03(s,2H),6.43(s,1H),7.23(s,1H);MS(ESI):m/z 437[M+Na]+
<実施例11> t−ブチル4−[2−(5−オキソスピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−6−イル)エチル]ピペリジン−1−カルボン酸(化合物VIIa)の調製
Figure 2019516669
250mLの反応フラスコに、6.7g(33.0mmol)の式Vの化合物、100mLのN,N−ジメチルホルムアミド、2.6g(65.0mmol)の水酸化ナトリウム、14g(41.3mmol)のt−ブチル4−(2−ヨードエチル)ピペリジン−1−カルボン酸(VIb)を添加し、25〜30℃で1.5時間反応させた。TLC検出により反応の完了が確認された後、100mLの水および100mLの酢酸エチルを添加して抽出を行い、水で有機相を洗浄して(50mL×2回)有機相を回収した。100mLの酢酸エチルを用いて水相に対して抽出を行った後、当該有機相を混合して無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を完全に濃縮し、化合物VIIaを得た。H NMRデータは実施例10と同じであった。
<実施例12> 6−[2−(4−ピペリジン)エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン塩酸塩(化合物VIIIa)の調製
Figure 2019516669
100mLの反応フラスコに、実施例10で得られた式VIIaの化合物、30mLのエタノール、45mLの酢酸エチル、10.5mLの濃塩酸を添加した。撹拌機を起動させ、50〜60℃で3時間反応させた。反応の完了がTLC検出により確認された後、加熱を停止し、氷浴で冷却し、濾過した。酢酸エチルで濾過ケークを洗浄し、乾燥させ、8.5gの灰白色の固体(化合物VIIIa;HPLC純度:97%)を得た。収率:41.4%(実施例10における化合物Vの投入量に基づいて算出)。
1H NMR(D2O):δ1.06(t,2H,J=6.7Hz),1.32-1.46(m,6H),1.60(m,1H),1.91(d,2H,J=13.5Hz),2.91-3.03(m,4H),3.39(d,2H,J=12.8Hz),5.90(s,2H),6.18(s,1H),6.68(s,1H);MS(ESI):m/z 315[M-Cl]+
<実施例13> 6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジニル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オン(化合物XI)の調製
Figure 2019516669
2Lの反応フラスコに、128.6g(0.35mol)の式VIIIaの化合物、90g(0.54mol)の2−クロロメチルピリジン塩酸塩(式IXa)、965mLの水、26gの活性炭を投入し、60〜65℃で30分間脱色し、濾過した。643mLの水および215mLのエタノールを用いて濾過残渣を洗浄し、161g(1.16mol)の炭酸カリウムをゆっくりと濾液に添加し、55〜65℃で4〜5時間反応させた。TLC検出により反応の完了が確認された後、氷浴で冷却し、濾過、乾燥を経て、137gの粗生成物を得た。粗生成物を1.37Lのエタノールに溶解し、60〜65℃で加熱、溶解させた後、活性炭を用いて脱色した(27.4g/回×2回)。濾液を撹拌しながら、4.11Lの水を滴下して固体を析出させ、氷浴で冷却し、濾過した。濾過ケークを水で洗浄し、乾燥させて118.9gの化合物XIを得た(収率:80.0%)。
1H NMR(CDCl3): δ1.26(dd,2H,J=6.1,7.6Hz),1.35(br s,3H),1.49-1.57(m,4H),1.72(d,2H,J=8.6Hz),2.08(t,2H,J=10.4Hz),2.89(d,2H,J=10.7Hz),3.19(t,2H,J=7.9Hz),3.64(s,2H),6.03(s,2H),6.42(s,1H),7.15(dd,1H,J=5.2,6.7Hz),7.24(s,1H),7.41(d,1H,J=7.7Hz),7.64(td,1H,J=7.6,1.8Hz),8.55(d,1H,J=4.2Hz);MS(ESI):m/z 406[M+H]+
<実施例14> 6−[2−[1−(2−ピリジルメチル)−4−ピペリジニル]エチル]スピロ[[1,3]ジオキソロ[4,5−f]イソインドール−7,1’−シクロプロパン]−5−オンリン酸塩(化合物I)の調製
Figure 2019516669
50mLの反応フラスコに、2g(4.9mmol)の式XIの化合物、40mLのエタノールを添加し、60〜70℃で加熱、溶解させた後、撹拌しながら、0.57gの85%(4.9mmol)リン酸を添加して固体を析出させた。40mLの酢酸エチルを滴下し、室温まで冷却した後、1時間撹拌し、濾過した。少量の酢酸エチルで濾過ケークを洗浄し、乾燥させて2.3gの白色の固体(化合物I;HPLC純度:99.8%)を得た(収率:92.7%)。
1H NMR(D2O):δ1.10(t,2H,J=7.2Hz),1.33-1.64(m,7H),1.92(d,2H,J=13.4Hz),2.95-3.09(m,4H),3.46(d,2H,J=10.7Hz),4.34(s,2H),5.89(s,2H),6.20(s,1H),6.69(s,1H),7.45(dd,1H,J=5.2,7.4Hz),7.53(d,1H,J=7.8Hz),7.88(td,1H,J=7.7,1.2Hz),8.54(d,1H,J=4.6Hz)。

Claims (19)

  1. 式Vで表される化合物。
    Figure 2019516669
  2. 式Vで表される化合物を調製する方法であって、
    チタン(IV)イソプロポキシド(Ti(Oi−Pr))とグリニャール試薬型エチルマグネシウムハロゲン化物とによる作用下で、式IVで示されるシアノエステルをシクロプロパンラクタム化させ、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムを得るステップを含む、方法。
    Figure 2019516669
    (式中、RはC−Cアルキル基であり、Xは塩素、臭素またはヨウ素である。)
  3. 前記グリニャール試薬型エチルマグネシウムハロゲン化物は、エチルマグネシウムブロミドであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 反応用溶媒は、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、メチルt−ブチルエーテルまたはテトラヒドロフランから選ばれ、好ましくはジクロロメタンであることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
  5. 反応温度は0〜35℃、好ましくは0〜20℃に制御されることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 式IVで示される化合物と、チタン(IV)イソプロポキシド(Ti(Oi−Pr))とのモル比が、1:1〜3、好ましくは1:1〜1.5であることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の方法。
  7. 式IVで示される化合物と、グリニャール試薬型エチルマグネシウムハロゲン化物とのモル比が、1:1〜5、好ましくは1:2〜3であることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の方法。
  8. 式IVで示される化合物の調製方法は、
    溶媒中において、ピペロニル酸を塩基の作用下で塩化させ、さらにN−ブロモスクシンイミド(NBS)の作用下でブロム化させ、式IIで示される化合物を得るステップ(1)と、
    Figure 2019516669
    式IIで示される化合物を、酸による触媒作用下でアルコール(ROH)とエステル化反応させ、式IIIで示されるエステルを得るステップ(2)と、
    Figure 2019516669
    式IIIで示される化合物を、シアン化物イオンドナーの作用下でシアン化させ、式IVで示されるシアノエステルを得るステップ(3)と、
    Figure 2019516669
    (式中、RはC−Cアルキル基である。)
    を含むことを特徴とする請求項2〜7の何れか1項に記載の方法。
  9. ステップ(1)において、
    反応用溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、水、ジクロロメタンまたはクロロホルムから選ばれ、好ましくは水であり、前記塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムから選ばれ、前記ピペロニル酸と塩基とN−ブロモスクシンイミド(NBS)とのモル比が1:1.2〜2:1.4〜2.4であり、反応温度は0〜70℃、好ましくは30〜45℃に制御され、
    ステップ(2)において、
    はメチル基、エチル基またはイソプロピル基であり、より好ましくはエチル基であり、前記酸は濃硫酸であり、
    ステップ(3)において、
    前記シアン化物イオンドナーは、金属シアン化物から選ばれ、好ましくはシアン化第一銅(CuCN)、またはフェロシアン化カリウム/ヨウ化第一銅(KFe(CN)/CuI)であり、より好ましくはフェロシアン化カリウム/ヨウ化第一銅(KFe(CN)/CuI)であり、
    さらに好ましくは、
    式IIIで示される化合物とヨウ化第一銅(CuI)とのモル比が1:1〜2、好ましくは1:1.1〜1.5であり、式IIIで示される化合物とフェロシアン化カリウム(KFe(CN))とのモル比が1:0.15〜0.35、好ましくは1:0.18〜0.25であり、反応温度が100〜160℃、好ましくは120〜140℃に制御され、反応用溶媒が、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミドから選ばれる、請求項8に記載の方法。
  10. 式Vで表される化合物を用い、式VIIで表される化合物を調製する方法であって、
    塩基の作用下で、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムと、式VIで示される化合物とを結合させ、式VIIで示される化合物を得るステップを含む方法。
    Figure 2019516669
    (式中、Rはアミノ基の保護基であり、好ましくはt−ブトキシカルボニル(Boc)基であり、Rはハロゲンまたはp−トルエンスルホニルオキシ基である。)
  11. 前記塩基は、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは炭酸セシウムから選ばれ、好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 式Vで示される化合物と塩基とのモル比が、1:1〜3、好ましくは1:1.1〜2であることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
  13. 式Vで示される化合物と、式VIで示される化合物とのモル比が、1:1〜3、好ましくは1:1.1〜1.5であることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の方法。
  14. 反応用溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはアセトニトリルから選ばれ、好ましくはジメチルスルホキシドであることを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載の方法。
  15. 反応温度は25〜75℃、好ましくは55〜65℃であることを特徴とする請求項10〜14の何れか1項に記載の方法。
  16. 式(I)で表される化合物を調製する方法であって、
    Figure 2019516669
    塩基の作用下で、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムと、式VIで示される化合物とを結合させ、式VIIで示される化合物を得るステップ(a)と、
    Figure 2019516669
    (式中、Rはアミノ基の保護基であり、好ましくはt−ブトキシカルボニル(Boc)基であり、Rはハロゲンまたはp−トルエンスルホニルオキシ基である。)
    式VIIで示される化合物におけるアミノ基の保護基を除去し、式VIIIで示される化合物またはその塩を得るステップ(b)と、
    Figure 2019516669
    (式中、Rはアミノ基の保護基であり、好ましくはt−ブトキシカルボニル(Boc)基である。)
    塩基の作用下で、式VIIIで示される化合物またはその塩を、式IXで示される化合物またはその塩と反応させ、式XIで示される化合物を得るステップ(c)と、
    Figure 2019516669
    (式中、Yはハロゲンまたはスルホニルオキシ基である。)
    式XIで示される化合物をリン酸と反応させ、式Iの化合物を得るステップ(d)と、
    Figure 2019516669
    を含む方法。
  17. ステップ(a)において、
    前記塩基は、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは炭酸セシウムから選ばれ、好ましくは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであり、式Vで示される化合物と塩基とのモル比が1:1〜3、好ましくは1:1.1〜2であり、式Vで示される化合物と式VIで示される化合物とのモル比が1:1〜3、好ましくは1:1.1〜1.5であり、反応用溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはアセトニトリルから選ばれ、好ましくはジメチルスルホキシドであり、反応温度は25〜75℃、好ましくは55〜65℃であり、
    ステップ(b)において、
    がt−ブトキシカルボニル基であり且つ酸性条件下でアミノ基の保護基を除去する場合、当該酸は、硫酸、トリフルオロ酢酸、フッ化水素酸または塩酸から選ばれ、好ましくは塩酸であり、使用される反応用溶媒は、メタノール、エタノール、酢酸エチル、またはこれらの混合溶媒から選ばれ、好ましくはエタノールと酢酸エチルとの混合溶媒であり、より好ましくはエタノールと酢酸エチルとの体積比が2:3であり、反応温度は20〜70℃、好ましくは50〜60℃に制御され、
    ステップ(c)において、
    式IXで示される化合物におけるYは、ハロゲンである場合には塩素、臭素またはヨウ素であることが好ましく、スルホニルオキシ基である場合にはスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基またはメタンスルホニルオキシ基であることが好ましく、前記塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムから選ばれ、好ましくは炭酸カリウムであり、式VIIIで示される化合物と式IXで示される化合物とのモル比が1:1〜3、好ましくは1:1.4〜2であり、式VIIIで示される化合物と塩基とのモル比が1:1.5〜4、好ましくは1:2〜3.5であり、使用される反応用溶媒は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、水、またはこれらの混合溶媒から選ばれ、好ましくはエタノールと水との混合溶媒であり、
    ステップ(d)において、
    使用される反応用溶媒は、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールから選ばれ、好ましくはエタノールであり、式XIで示される化合物とリン酸とのモル比が1:0.95〜1.05であり、反応温度は20〜80℃、好ましくは60〜70℃に制御される、請求項16に記載の方法。
  18. 溶媒中において、ピペロニル酸を塩基の作用下で塩化させ、さらにN−ブロモスクシンイミド(NBS)の作用下でブロム化させ、式IIで示される化合物を得るステップ(1)と、
    Figure 2019516669
    式IIで示される化合物を、酸による触媒作用下でアルコール(ROH)とエステル化反応させ、式IIIで示されるエステルを得るステップ(2)と、
    Figure 2019516669
    式IIIで示される化合物を、シアン化物イオンドナーの作用下でシアン化させ、式IVで示されるシアノエステルを得るステップ(3)と、
    Figure 2019516669
    チタン(IV)イソプロポキシド(Ti(Oi−Pr))とグリニャール試薬型エチルマグネシウムハロゲン化物とによる作用下で、式IVで示されるシアノエステルをシクロプロパンラクタム化させ、式Vで示されるスピロシクロプロパンラクタムを得るステップ(4)と、
    Figure 2019516669
    (式中、RはC−Cアルキル基から選ばれ、Xは塩素、臭素またはヨウ素である。)
    からなる方法により、式Vで示される化合物を調製することを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
  19. 式Iの化合物の調製における、請求項1に記載の式Vの化合物の用途。
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