JP2019513352A - 親水性ポリマー材料を使用するrna画分の精製 - Google Patents

親水性ポリマー材料を使用するrna画分の精製 Download PDF

Info

Publication number
JP2019513352A
JP2019513352A JP2018549217A JP2018549217A JP2019513352A JP 2019513352 A JP2019513352 A JP 2019513352A JP 2018549217 A JP2018549217 A JP 2018549217A JP 2018549217 A JP2018549217 A JP 2018549217A JP 2019513352 A JP2019513352 A JP 2019513352A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
whole blood
rna
nucleotides
length
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018549217A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7093305B2 (ja
Inventor
ラウファー,トーマス
バイアー,マークス
カラマン,ムスタファ
ケラー,アンデラス
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hummingbird Diagnostics GmbH
Original Assignee
Hummingbird Diagnostics GmbH
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hummingbird Diagnostics GmbH filed Critical Hummingbird Diagnostics GmbH
Publication of JP2019513352A publication Critical patent/JP2019513352A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7093305B2 publication Critical patent/JP7093305B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1003Extracting or separating nucleic acids from biological samples, e.g. pure separation or isolation methods; Conditions, buffers or apparatuses therefor
    • C12N15/1006Extracting or separating nucleic acids from biological samples, e.g. pure separation or isolation methods; Conditions, buffers or apparatuses therefor by means of a solid support carrier, e.g. particles, polymers
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N1/00Sampling; Preparing specimens for investigation
    • G01N1/28Preparing specimens for investigation including physical details of (bio-)chemical methods covered elsewhere, e.g. G01N33/50, C12Q
    • G01N1/34Purifying; Cleaning
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N1/00Sampling; Preparing specimens for investigation
    • G01N1/28Preparing specimens for investigation including physical details of (bio-)chemical methods covered elsewhere, e.g. G01N33/50, C12Q
    • G01N1/40Concentrating samples
    • G01N1/405Concentrating samples by adsorption or absorption
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N1/00Sampling; Preparing specimens for investigation
    • G01N1/28Preparing specimens for investigation including physical details of (bio-)chemical methods covered elsewhere, e.g. G01N33/50, C12Q
    • G01N1/40Concentrating samples
    • G01N1/4055Concentrating samples by solubility techniques

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

本発明は、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去する方法に関する。本発明はまた、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製する方法に関する。本発明はさらに、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定する方法に関する。さらに、本発明は、個体における疾患を診断する方法に関する。さらに、本発明は、本発明の方法の実施に有用なキットに関する。

Description

本発明は、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去する方法に関する。本発明はまた、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製する方法に関する。本発明はさらに、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定する方法に関する。さらに、本発明は、個体における疾患を診断する方法に関する。さらに、本発明は、本発明の方法の実施に有用なキットに関する。
全血サンプルは、例えば、患者が特異的疾患に罹患しているか否かを判定するために分子生物学的分析で使用されている。これらのサンプルは、多くの場合、凍結するための全血をサンプリングし、次いで、その後凍結血液を処理することにより回収される。凍結血液は、少なくともサンプルサイズとして200μlを要する。全血の凍結輸送および処理には高コストが伴う。
したがって、血液スポット技術を使用する全血サンプルの回収が好ましい。血液スポット技術では、より少量のサンプル量のみを要し、典型的にはヒトにおいて45〜60μlであるが、進化している分析技術では、10〜15μlのヒト血液、およびより少量のヒト血液を使用するサンプルを使用する。サンプリングが完了すると、血液スポットは空気中で乾燥された後、処理のため、研究所に移送または郵送される。血液は乾燥されているので、危険性があるとは考えられない。したがって、取扱いまたは出荷において特別な使用上の注意を払う必要はない。分析場所に入ると、所望の成分、例えばタンパク質または代謝産物が乾燥血液スポットから上澄みに抽出され、次いで上澄みが、例えば液体クロマトグラフィーおよび/または質量分析によってさらに分析される。
今日、全血に含まれているバイオマーカーは、疾患の早期診断、リスク層別化および治療管理に重要な役割を担っている。特に、マイクロRNA(miRNA)は、全血で確認されているバイオマーカーである。miRNAは、広範囲の生物学的プロセス、例えば、増殖、分化、アポトーシス、ストレス応答および腫瘍形成などにおいて、細胞が複雑な遺伝子発現カスケードを微調整することができるようにする調節エレメントの群を表す。miRNAは血液中に遊離循環核酸として、また血液細胞中に存在する。これは、miRNAが血液細胞中で、またはmiRNAを循環血液中に放出する種々の組織中で発現されるという事実による。
現在、血液は、miRNAなどの血液中に含まれるRNAバイオマーカーを決定するために、PaxGene血液RNAチューブを使用して回収されている。血液中に含まれているmiRNAなどのRNAバイオマーカーを精製および単離するためには、機器に基づく大きな分析努力が必要である。さらに、この技術は非常に時間がかかり、高価である。
したがって、上記の欠陥および困難性の1つまたは複数を低減または排除する血液調製の改良方法が必要とされている。
本発明の発明者らは、全血サンプルに由来するRNA画分の複雑性の低減のためには、血液スポット技術が有用であることを初めて評価した。特に、本発明の発明者らは、全血サンプル由来の長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分の除去、または全血サンプル由来の長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分(miRNAを含む)の精製に血液スポット技術が有益であることを見出した。精製および/または単離されたRNA画分はRNA分子を含む。本発明の発明者らはさらに、こうした精製および/または単離されたRNA分子、例えばmiRNA分子の発現プロファイルが決定され得ること、また、前記発現プロファイルが高品質のものであることを見出した。さらに、本発明の発明者らは、血液スポット技術が異なる環境条件(例えば、温度および/または湿度)下でサンプル安定性を提供し、技術的安定性を提供し、疾患に罹患している個体の診断または鑑別診断ができることを見出した。
国際公開第2013/067520 A1号パンフレット 米国特許出願公開第2013116597 A1号明細書
"A multilingual glossary of biotechnological terms: (IUPAC Recommendations)", Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and Kolbl, H. eds. (1995), Helvetica Chimica Acta, CH−4010 Basel, Switzerland)
第1の態様において、本発明は、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去する方法であって、
(i)全血サンプルの全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブを提供するステップと、
(ii)(前記全血を再構成させるために)吸収性プローブを流体と接触させるステップと、
(iii)ステップ(ii)からの流体を回収して、長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去するステップと、を含む、方法に関する。
第2の態様において、本発明は、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製する方法であって、
(i)全血サンプルの全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブを提供するステップと、
(ii)(全血を再構成させるために)吸収性プローブを流体と接触させるステップと、
(iii)ステップ(ii)からの流体を回収し、それにより長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製するステップと、を含む、方法に関する。
第3の態様において、本発明は、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定する方法であって、
(i)第2の態様の方法を実施するステップと、
(ii)適切な技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するステップと、を含む、方法に関する。
第4の態様において、本発明は、個体における疾患の診断方法であって、
(i)全血サンプルが個体由来である、第2の態様に記載の方法を実施するステップと、
(ii)適切な技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するステップと、
(iii)前記レベルを1つまたは複数の参照レベルと比較するステップと、
(iv)個体が比較に基づいて疾患に罹患しているか否かを診断または鑑別診断するステップと、を含む、方法に関する。
あるいは、前記第4の態様は、以下の方法のようにして明確化することができる:個体における疾患の診断方法であって、
(i)全血サンプルが個体由来である、第3の態様に記載の方法を実施するステップと、
(ii)前記レベルを1つまたは複数の参照レベルと比較するステップと、
(iii)個体が比較に基づいて疾患に罹患しているか否かを診断または鑑別診断するステップと、を含む、方法。
第5の態様において、本発明は、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去するための親水性ポリマー材料の使用に関する。
第6の態様において、本発明は、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製するための親水性ポリマー材料の使用に関する。
第7の態様において、本発明は、疾患を診断または鑑別診断するための、第3の態様に記載の方法の使用に関する。
第8の態様において、本発明は、
(i)親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブを含むキットに関する。
第9の態様において、本発明は、
(i)親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブに吸収された全血を再構成するための流体を含むキットに関する。
本発明のこの概要は、必ずしも本発明のすべての特徴について記載しているものではない。他の実施形態は、次の詳細な説明の概要から明らかになるであろう。
発明の詳細な説明
定義
本発明を以下において詳細に説明する前に、本発明は、本明細書に記載されている特定の方法論、プロトコールおよび試薬に限定されるものではなく、変更することができることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のものであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことも理解されたい。特段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。
本明細書に使用される用語は、好ましくは、非特許文献1に記載されているように定義される。
いくつかの文献が本明細書の本文全体にわたって引用されている。本明細書に引用されている各文献(すべての特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の仕様書、指示書、GenBank受託番号配列提出物等を含む)は、上記または下記にかかわらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明が先行発明によるそのような開示よりも先行する権利が付与されないことを認めるものと解釈されるものではない。そのように組み込まれた参考文献の定義または教示と、本明細書に挙げた定義または教示の間に矛盾がある場合、本明細書の本文が優先される。
本発明による用語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変化形は、記載された要素または要素の群の包含を意味するが、他の要素または要素の群を排除することを意味するものではない。本明細書に記載の「〜から本質的になる」という用語は、記載した要素または要素の群を包含するが、記載した要素に実質的に影響を及ぼすか変更する改変または他の要素を排除することを意味する。本発明に記載の「〜からなる(consisting of)」という用語または「〜からなる(consists of)」などの変化形は、記載した要素または要素の群を包含し、他の任意の要素または要素の群を排除することを意味する。
本発明を説明している文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)使用される用語「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」ならびに類似の言及は、本明細書で特段の指示のない限り、または文脈によって明白に否定されない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈するものとする。
用語「ヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、DNA(デオキシリボ核酸)およびRNA(リボ核酸)などの核酸のモノマーまたはサブユニットとして機能する有機分子を意味する。核酸のビルディングブロックのヌクレオチドは、窒素塩基、5炭素糖(リボースまたはデオキシリボース)、および少なくとも1つのリン酸基から構成されている。したがって、ヌクレオシドとリン酸基はヌクレオチドを生じる。
用語「長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分」は、本明細書で使用する場合、大きなRNA分子、すなわち長さが200ヌクレオチド以上の1つまたは複数のRNA分子を含むRNA部分を意味する。1つまたは複数のRNA分子は、リボソームRNA(rRNA)分子を包含する。rRNAは、リボソーム18S RNAおよびリボソーム28S RNAからなる群から選択される。
本発明の文脈において、用語「リボソームリボ核酸(略称rRNA)」は、リボソームのRNA成分を意味し、すべての生物におけるタンパク質合成に必須である。これはリボソーム内の主要物質を構成し、約60重量%のrRNAおよび40重量%のタンパク質である。リボソームは、2つの主要なrRNAおよび50以上のタンパク質を含む。リボソームRNAは、2つのサブユニット、大サブユニット(LSU)および小サブユニット(SSU)を形成する。大サブユニットはリボソーム28S RNAを包含し、小サブユニットはリボソーム18S RNAを包含する。
用語「長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分」は、本明細書で使用される場合、短鎖RNA分子、すなわち長さが200ヌクレオチド未満の長さを有する1つまたは複数のRNA分子を含むRNA部分を意味する。この1つまたは複数のRNA分子は、miRNA、tRNA、siRNA、piRNA、およびsnorRNAからなる群から選択することができる。
用語「マイクロRNA(略称miRNA)」という用語は、少なくとも10ヌクレオチドの長さであって40ヌクレオチド以下の長さを有する一本鎖RNA分子を意味する。このヌクレオチドは互いに共有結合されている。例えば、一本鎖RNA分子は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40ヌクレオチドの長さを有する。miRNAは遺伝子発現を制御し、また転写されるそれらのDNAの遺伝子によりコードされているが、miRNAはタンパク質に翻訳されない(すなわち、miRNAは非コードRNAである)。miRNAをコードする遺伝子は、プロセシングされた成熟miRNA分子よりも長い。miRNAは、まず、capおよびpoly−Aテールを有する一次転写物またはpri−miRNAとして転写され、細胞核内のpre−miRNAとして知られる短い70ヌクレオチドステム・ループ構造にプロセシングされる。このプロセシングは、ヌクレアーゼDroshaおよび二本鎖RNA結合タンパク質Pashaからなるマイクロプロセッサ複合体として知られるタンパク質複合体によって動物において実施されている。次いで、これらのpre−miRNAは、エンドヌクレアーゼDicerとの相互作用によって細胞質内の成熟miRNAにプロセシングされ、またRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)の形成も開始する。Dicerがpre−miRNAのステム・ループを切断した場合、2つの相補的なショートRNA分子が形成されるが、1つだけがRISCに組み込まれる。この鎖はガイド鎖として知られており、5’末端の安定性に基づき、RISC中の触媒的に活性なRNaseであるアルゴノートタンパク質によって選択される。miRNA、アンチガイド(アンチ鎖)、またはパッセンジャー鎖として知られている残りの鎖は、RISC基質として分解される。したがって、miRNAは、「正常な」miRNAのような同じヘアピン構造に由来する。そのため、「正常」miRNAが後で「成熟miRNA」または「ガイド鎖」と呼ばれる場合、miRNAは「アンチガイド鎖」または「パッセンジャー鎖」である。
用語「トランスファーRNA(略称tRNA)」は、本明細書で使用される場合、mRNAとタンパク質のアミノ酸配列との間の物理的結合として機能する、典型的には長さが76〜90ヌクレオチドのRNAからなるアダプター分子を意味する。これは、メッセンジャーRNA(mRNA)中の3ヌクレオチド配列(コドン)によって指示されたとおり、細胞のタンパク質合成機構(リボソーム)にアミノ酸を運ぶことによって行われる。このように、tRNAは、遺伝子コードによる新しいタンパク質の生物学的合成である翻訳の必須成分である。
用語「低分子干渉RNA(略称siRNA)」は、本明細書で使用される場合、長さが20〜25塩基対である二本鎖RNA分子のクラスを意味する。siRNAは多くの役割を果たすが、RNA干渉(RNAi)経路において最も顕著であり、相補的なヌクレオチド配列を有する特定の遺伝子の発現を妨げる。siRNAは、転写後にmRNAが分解するように機能し、その結果、翻訳は起こらない。
用語「piwi相互作用RNA(piwi−interacting RNA)(略称piRNA)」は、本明細書で使用される場合、動物細胞において発現される非コードRNA小分子の最も大きなクラスを意味する。piRNAは、piwiタンパク質との相互作用を介して、RNA−タンパク質複合体を形成する。これらのpiRNA複合体は、生殖細胞系、特に精子形成系のレトロトランスポゾンおよび他の遺伝子エレメントのエピジェネティックおよび転写後遺伝子サイレンシングの両方に関連している。piRNA複合体は、マイクロRNA(miRNA)とは、サイズ(21〜24ntではなく26〜31nt)、配列保存の欠如、および複雑性の増加の点で異なる。
用語「核小体低分子RNA(略称snoRNA)」は、本明細書で使用される場合、主として、他のRNA、主にリボソームRNA、転移RNAおよび核小体低分子RNAの化学修飾を誘導するRNA低分子のクラスを意味する。snoRNAの2つの主たるクラスには、メチル化に関連するC/D box snoRNA、およびシュードウリジル化に関連するH/ACA box snoRNAがある。snoRNAは、一般にガイドRNAと呼ばれているが、トリパノソーマにおけるRNA編集を指示するガイドRNAと混同すべきではない。
用語「全血」は、本明細書で使用される場合、非分画血液を意味する。したがって、全血はすべての血液成分を含む。全血は、無細胞液(血漿または血清)および複数の血液細胞型の混合物からなる。主要な3つの血液細胞型は、赤血球(red blood cell、erythrocyte)、白血球(white blood cell、leukocyte)、および血小板(platelet、thrombocyte)である。それぞれの型は、血液中の全RNAに対し異なる量のRNAを付与する。
用語「赤血球(RBC)」および「赤血球」は、本明細書で使用される場合、血液量の44%を構成する、全血中で最も多量な細胞を意味する。成熟RBCは、成熟中に核およびオルガネラを喪失するため、全血液RNAプールにいかなるRNAも提供しない。しかし、網状赤血球としても知られている未成熟RBCは、いくらかの残存核酸を保持している可能性がある。網状赤血球はRBC集団の約1%を構成するので、網状赤血球由来の残存RNAは全血液RNAプール中の70%以下のRNAを提供する。
用語「白血球(WBC)」および「白血球」は、本明細書で使用される場合、身体の免疫機能を果たす有核血液細胞を意味する。白血球は、血液中で最も転写的に活性な細胞である。白血球は、顆粒球、リンパ球および単球からなる。顆粒球はさらに、好中球、好塩基球および好酸球に分けることができる。リンパ球は、B細胞、T細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞に分けることができる。各白血球サブタイプの細胞数は、炎症および白血病などの疾患状態の間に有意に変化する。
用語「血小板(platelet)」および「血小板(thrombocyte)」は、本明細書で使用される場合、血液凝固において主要な役割を果たす血液細胞を意味する。血小板は、巨核球と呼ばれる骨髄大型細胞が細分化することによって血液循環に入る。赤血球と同様に、血小板には核およびオルガネラが存在しない。網状血小板と呼ばれる未成熟血小板は、巨核球由来の残存RNAを含む。血小板数の4.5%以下は網状血小板であり得る。したがって、血小板RNAもまた全RNA血液プールに寄与する。
用語「血漿」は、本明細書で使用される場合、懸濁液の全血中の血球を通常保持する血液の淡黄色液体成分を意味する。血漿は血液細胞の細胞間マトリックスになっている。血漿は、約92%の水、7%の生体タンパク質、例えばアルブミン、ガンマグロブリン、抗血友病因子、および他の凝固因子と、1%の無機塩、糖、脂質、ホルモンおよびビタミンから構成される流体である。
用語「血清」は、本明細書で使用される場合、血液細胞でもなく(血清は白血球または赤血球を含まない)、凝固因子でもない血液成分を意味する。血清はフィブリノーゲンを含まない血漿である。血清は、血液凝固(凝血)に使用されないすべてのタンパク質、ならびにすべての電解質、抗体、抗原、ホルモンおよび任意の外因性物質(例えば、薬物および微生物)を含む。
用語「全血サンプル」は、本明細書で使用する場合、もはや個体の身体の一部ではない血液物質を意味する。個体から血液を採取することによって全血サンプルを提供することができるが、以前に単離された血液物質を用いて提供することもできる。全血サンプルは、従来の採血技術を使用して個体から採取することができる。例えば、全血は、針を使用して個体の腕の静脈から、または指先穿刺によって採取することができる。したがって、全血サンプルは、血液滴の形態を有する。前記血液滴は、個体上にあってもよく、例えば個体の指先上にあってもよい。また全血サンプルは、採血管に、例えば毛細管、またはピペットチップ中に含まれていてもよい。
用語「血液スポット」は、1つまたは複数の血液滴を含む濾紙を意味する。通常、1つまたは複数の血液滴を含む濾紙は、サンプリング後に乾燥される。本発明者らは、親水性ポリマー材料を使用して血液滴を吸収させた。
用語「血液スポット技術」という用語は、血液サンプルが濾紙上に吸い取られるバイオサンプリングの形態を意味する。生体サンプル採取後、血液を含む濾紙を好ましくは乾燥させる。乾燥させたサンプルは、分析実験室に容易に輸送され、RNA発現分析などの様々な方法を用いて分析される。特に、血液スポット標本は、指、踵またはつま先からランセットによって抜き取られた数滴の血液を吸収性濾紙上に適用することによって回収される。血液を濾紙に十分に染み込ませ、好ましくは風乾させる。標本は、乾燥剤を入れた低ガス透過性プラスチックバッグに保管して湿気を低減させることができ、熱帯地方でも周囲温度に保つことができる。実験室に入ると、技術者は、さらなる分析のため、自動型または手動型の穴あけパンチを使用して、染み込ませた濾紙の小さなディスクをシートから離すことができる。ペーパーディスクをパンチングする代わりに、最近の自動化ソリューションでは、パンチングすることなく、フィルターを通して溶離液をフラッシングすることによってサンプルを抽出することができる。本発明者らは、その上に血液を染み込ませ/適用させる親水性ポリマー材料を使用した。
用語「個体」は、本明細書中で使用される場合、全血サンプルを採取、取得、または単離することができる任意の対象(被験者)を意味する。
さらに、「個体」という用語は、本明細書で使用される場合、女性または男性が疾患に罹患しているか否かを知ることが望まれる任意の対象を意味する。特に、用語「個体」は、本明細書で使用される場合、疾患に罹患していることが疑われる対象を意味する。個体は、疾患に罹患している、すなわち病気にかかっていると診断されるか、または疾患に罹患していない、すなわち健康であると診断される。用語「個体」はまた、本明細書で使用される場合、疾患に罹患している対象、すなわち病気にかかっている対象も意味する。患者は、疾患に関して再検査されてもよく、疾患に依然として罹患している、すなわち病気にかかっていると診断することができ、または、今は疾患に罹患していない、すなわち、例えば治療的介入後に健康であると診断することができる。健康であると診断された患者、すなわち疾患に罹患していない患者は、試験されていない/未知の別の疾患に罹患している可能性があることに留意されたい。疾患は、肺がんであり得る。女性または男性が疾患に罹患しているか否かを知ることが望まれる個体はまた、患者と呼ぶこともできる。
個体は、ヒトおよび他の哺乳動物の両方を含めた哺乳動物であってもよく、例えばげっ歯動物、ウサギまたはサルなどの動物である。げっ歯動物は、マウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはチンチラであってもよい。
用語「(コントロール)対象」という用語は、本明細書で使用する場合、疾患に罹患している、すなわち病気にかかっていることが知られている対象(陽性コントロール)を意味する。用語「(コントロール)対象」はまた、本明細書で使用される場合、疾患に罹患していないことが判明している対象(陰性コントロール)、すなわち健康である対象も意味する。したがって、用語「健康な対象」は、本明細書で使用される場合、疾患に罹患していないことが判明している対象を意味する。健康であることが判明している、すなわち試験された/既知の疾患に罹患していない(コントロール)対象は、試験されていない/未知の別の疾患に罹患している可能性があることに留意されたい。疾患は肺がんであり得る。
(コントロール)対象は、ヒトおよび他の哺乳動物の両方を含めた哺乳動物であってもよく、例えばげっ歯動物、ウサギまたはサルなどの動物である。げっ歯動物は、マウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはチンチラであってもよい。
用語「疾患を診断する」は、本明細書で使用される場合、個体がその疾患の兆候を示すか、または罹患しているか否かを判定することを意味する。好ましくは、疾患は肺がんである。
用語「疾患を鑑別診断する」は、本明細書で使用される場合、個体が疾患の徴候を示すか、疾患に罹患しているか、または別の疾患の徴候を示すか、もしくは罹患しているか否かを判定することを意味する。好ましくは、疾患は肺がんである。他の疾患は、肺がん以外の疾患である。「疾患を鑑別診断する」はまた、本発明の文脈において使用される場合、別々に治療された疾患を互いに区別することを可能にする。例えば、疾患は、アジュバント処置された疾患、例えば、アジュバント処置された肺がんであり、他の疾患は、緩和処置された疾患、例えば、緩和処置された肺がんであってもよいし、あるいは、疾患は緩和処置された疾患、例えば、緩和処置された肺がんであってもよく、他の疾患は、アジュバント処置された疾患、例えばアジュバント処置された肺がんであってもよい。
用語「処置」、特に「治療的処置」は、本明細書で使用される場合、個体の健康状態を改善し、および/または個体の寿命を延長する(増加させる)任意の療法を意味する。前記治療は、個体における疾患を排除し、個体における疾患の発症を停止または遅延させ、個体における疾患の発症を阻害または遅延させ、個体における症状の頻度または重症度を低減し、および/または現在疾患に罹患しているか以前に疾患に罹患していた個体における再発を低減する。治療的処置は、肺がんの治療であり得る。肺がんの治療的処置は、化学療法、手術、放射線療法、アジュバント療法、および緩和療法からなる群から選択される。
用語「吸収性プローブ」は、本明細書で使用される場合、全血サンプル中に含まれる全血を吸収することができる任意のプローブを意味する。本明細書で使用される吸収性プローブは、親水性ポリマー材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。
用語「親水性ポリマー材料」は、本明細書で使用される場合、全血サンプル中に含まれる全血を吸収することができる任意の材料を意味する。用語「親水性ポリマー材料」は、本明細書で使用される場合、極性官能基または荷電官能基を含み、材料を水中で可溶性にするポリマー材料をさらに意味する。親水性ポリマー材料は、親水性ポリマーを含む。親水性ポリマーは、2種以上の親水性モノマーから生産される。用語「親水性ポリマー材料」は、本明細書で使用される場合、例えばポリエチレンなどの本来親水性ではないが、親水性が付与されたポリマー材料も包含する。ポリマー材料が当初親水性でない場合、材料を親水性状態に変換する多くの方法が存在する。親水性表面を生成する方法としては、界面活性剤、例えばTween−40またはTween−80による吸着処理が挙げられ、親水性表面が生成される。また処理は、親水性エレメントおよび疎水性エレメントの両方を含有する他の分子によっても生じる。疎水性エレメントは疎水性ポリマー材料と強く相互作用し、親水性エレメントを露出させて親水性表面を生成する。さらに、プラズマによる処理(コロナ、空気、火炎、または化学薬品)は、酸素プラズマ処理を含めた、そのような材料の表面に極性基を加える別の周知の方法である。同様に、表面への親水性ポリマーのグラフト化、および極性または親水性分子、例えば糖などによる表面上の活性基の化学的官能化を使用し、高分子材料上に親水性表面を達成することができる。また共有結合修飾を使用して、ポリマー材料の表面に極性官能基または親水性官能基を付加することができる。
親水性ポリマー材料は、セルロース含有材料、例えば、綿、多糖類、ポリオレフィン、ポリエステル、またはそれらの改変物からなる群から選択することができる。多糖類はセルロースであってよく、ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレンおよびポリメチルペンテンからなる群から選択することができ、ポリエステルは、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタラートからなる群から選択することができる。親水性ポリマー材料としての綿、セルロースおよびポリエチレンが特に好ましい。
親水性ポリマー材料を含むデバイス/プローブの例としては、限定するものではないが、Mitra Microsampling Device(neoteryx社製、Torrance、CA、米国)、Non−Indicating FTA Classic Card(GE Healthcare Life Science社製、Buckinghamshire、英国)、Non−Indicating FTA Elute Micro Card(GE Healthcare Life Science社製、Buckinghamshire、英国)、HemaSpot HF(Spot On Sciences社製、Austin、TX、米国)、HemaSpot SE(Spot On Sciences社製、Austin、TX、米国)、TNF(Munktell社製、Barenstein、ドイツ)、およびTNF−Di(Munktell社製、Barenstein、ドイツ)が挙げられる。
用語「レベル」は、本明細書で使用される場合、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子の量(例えば、グラム、モル、またはイオン数で測定した場合)または濃度(例えば、絶対濃度または相対濃度)を意味する。用語「レベル」は、本明細書で使用される場合、スケール化された、正規化された、またはスケール化され正規化された量または値も含む。一実施形態において、レベルは、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子の発現レベルである。前記発現レベルは、(相対)RNA(例えばmiRNA)濃度、(相対)RNA(例えばmiRNA)量、または(相対)RNA(例えばmiRNA)消光単位、例えば相対蛍光単位などとして示すことができる。
本発明の文脈において、用語「パーツのキット(略称キット)」は、本明細書で特定した少なくともいくつかの構成材料の任意の組合せであり、それらの構成材料が空間的に共存して機能的ユニットに組み合わされており、またさらなる構成材料を含むことができるものと理解されたい。
発明の実施形態
本発明をここでさらに説明する。以下の節において、本発明の異なる態様をより詳細に定義する。そのように定義された各態様は、明らかに反対の指示のない限り、他の任意の態様または複数の態様と組み合わせることができる。特に、好ましい、または有利であると示した任意の特徴は、明らかに反対の指示のない限り、好ましい、または有利であると示した任意の他の特徴または複数の特徴と組み合わせることができる。
本発明者らは、血液スポット技術が全血サンプルの複雑性を低減するために有用であることを初めて評価した。特に、本発明の発明者らは、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去するため、または全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分(miRNAを含める)を精製するために、血液スポット技術が有用であることを見出した。精製および/または単離されたRNA画分は、RNA分子を含む。さらに本発明の発明者らは、そのような精製および/または単離されたRNA分子、例えばmiRNA分子の発現プロファイルを決定することができること、また前記発現プロファイルが高品質であることを見出した。さらに、本発明者らは、血液スポット技術が、異なる環境条件(例えば、温度および/または湿度)下においてサンプルの安定性を提供し、技術的安定性を提供し、疾患に罹患している個体の診断または鑑別診断を可能にすることを見出した。
したがって、第1の態様において、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去する方法であって、
(i)全血サンプルの全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる吸収性プローブを提供するステップと、
(ii)(全血を再構成させるために)吸収性プローブを流体と接触させるステップと、
(iii)ステップ(ii)からの流体を回収し、それにより長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去するステップと、を含む、方法に関する。
ステップ(i)において、全血サンプル中の全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる、吸収性プローブが提供される。それにより、全血に含まれている長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子が親水性ポリマー材料に吸収される。
ステップ(i)において提供される吸収性プローブは、全血サンプルと(物理的に)接触させる、親水性ポリマー材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる吸収性プローブを配置し、それにより親水性ポリマー材料に全血を吸収させることによって得ることができる。
吸収性プローブと全血サンプルとの(物理的な)接触は、吸収性プローブを全血サンプルに液浸または浸漬することによって達成することができる。全血サンプルは、血液滴の形態を取ることができる。全血も血液採取チューブに含まれていてもよい。あるいは、全血サンプルの1滴または複数の液滴は、例えばピペットを介して吸収性プローブに適用することができる。(物理的な)接触によって、全血は、全血中に含まれている長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子と共に、親水性ポリマー材料中に/親水性ポリマー材料に浸漬される。
通常、プローブと全血サンプルとの(物理的)接触は、1〜20秒、好ましくは1〜10秒、より好ましくは1〜5秒、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20秒維持することで十分である。接触時間は、できるだけ短いことが望ましい。プローブは、その時間中に所定量の血液を吸収し、飽和されると、それ以上の血液は吸収しない。プローブのサイズおよび形状は、吸収された血液の体積および吸収速度を調節するために変更することができる。1〜50μL、好ましくは5〜25μL、さらにより好ましくは10〜20μLの血液容量、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50μlの容量が適切であると考えられる。
ステップ(ii)において、吸収性プローブは流体と接触させる。流体は、液体であっても気体であってもよい。好ましくは、流体は、カオトロピック流体、例えばカオトロピック液体または気体である。より好ましくは、カオトロピック流体は、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、塩化グアニジニウム、アルカリチオシアネート、アルカリイソチオシアネート、アルカリヨウ化物およびアルカリ過塩素酸塩からなる群から選択される。さらに好ましくは、カオトロピック流体はチオシアン酸グアニジニウムである。あるいは、カオトロピック流体、例えばカオトロピック液体または気体は、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、塩化グアニジニウム、アルカリチオシアネート、アルカリイソチオシアネート、アルカリヨウ化物およびアルカリ過塩素酸塩を含み得る。好ましくは、カオトロピック流体は、グアニジニウムチオシアネートを含む。
吸収性プローブと流体との接触は、吸収性プローブを流体に液浸または浸漬することによって達成することができる。これは手動により、または流体取扱いロボットにより行うことができる。ステップ(ii)によって全血を再構成させることができる。物理的撹拌技術、例えば、流体および/または吸収性プローブの超音波処理、混合、またはボルテックスなどは、再構成プロセスを加速することができる。特に、ステップ(ii)は、全血中に含まれる分子を相互に分離させることができる。いくつかの分子は親水性ポリマー材料から除去することができ、他の分子は除去することができない。これらの分子は、親水性ポリマー材料に吸収されたままである。本発明の発明者らは、驚いたことに、長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子は親水性ポリマー材料に吸収されたままで、流体に入り込まないが、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子は、ステップ(ii)の流体によって親水性ポリマー材料から抽出されることを見出した。
ステップ(iii)において、流体はステップ(ii)から回収される。このプロセスにより、長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分は除去される。この点に関し、長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分の除去は、長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分が完全に除去されることを必ずしも意味するものではないことに留意されたい。また本発明は、長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子の少なくとも一部が除去される実施形態を網羅している。例えば、いくつかの実施形態において、長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、96、97、98、99または100%が除去される。長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子の少なくとも90%が除去されることが好ましい。長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子の少なくとも95%が除去されることがより好ましい。長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子の少なくとも98%または99%が除去されることがさらにより好ましい。200ヌクレオチド以上のRNA分子の100%、すなわち、200ヌクレオチド以上のすべてのRNA分子が除去されることが最も好ましい。
ステップ(ii)からの流体の回収は、吸収性プローブを流体から除去することによって達成することができる。
好ましくは、長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分は、リボソーム18S RNAおよびリボソーム28S RNAからなる群から選択される1つまたは複数のRNA分子を含む。
第2の態様において、本発明は、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製する方法であって、
(i)全血サンプルの全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる吸収性プローブを提供するステップと、
(ii)(前記全血を再構成させるために)吸収性プローブを流体と接触させるステップと、
(iii)ステップ(ii)からの流体を回収し、それにより長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製するステップと、を含む、方法に関する。
ステップ(i)において、全血サンプル中の全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる、吸収性プローブが提供される。それにより、全血に含まれている長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子が親水性ポリマー材料に吸収される。
ステップ(i)において提供される吸収性プローブは、全血サンプルとの(物理的な)接触に、親水性ポリマー材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる吸収性プローブを配置し、それにより親水性ポリマー材料に全血を吸収させることによって得ることができる。
吸収性プローブと全血サンプルとの(物理的な)接触は、吸収性プローブを全血サンプルに液浸または浸漬することによって達成することができる。全血サンプルは、血液滴の形態を取ることができる。全血も血液採取チューブに含まれていてもよい。あるいは、全血サンプルの1滴または複数の液滴は、例えばピペットを介して吸収性プローブに適用することができる。(物理的な)接触によって、全血は、全血中に含まれている長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子と共に、親水性ポリマー材料中に/親水性ポリマー材料に浸漬される。
通常、プローブと全血サンプルとの(物理的)接触は、1〜20秒、好ましくは1〜10秒、より好ましくは1〜5秒、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20秒維持することで十分である。接触時間は、できるだけ短いことが望ましい。プローブは、その時間中に所定量の血液を吸収し、飽和されると、それ以上の血液は吸収しない。プローブのサイズおよび形状は、吸収された血液の体積および吸収速度を調節するために変更することができる。1〜50μL、好ましくは5〜25μL、さらにより好ましくは10〜20μLの血液容量、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50μlの容量が適切であると考えられる。
ステップ(ii)において、吸収性プローブは流体と接触させる。流体は、液体であっても気体であってもよい。好ましくは、流体は、カオトロピック流体、例えばカオトロピック液体または気体である。より好ましくは、カオトロピック流体は、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、塩化グアニジニウム、アルカリチオシアネート、アルカリイソチオシアネート、アルカリヨウ化物およびアルカリ過塩素酸塩からなる群から選択される。さらに好ましくは、カオトロピック流体はチオシアン酸グアニジニウムである。あるいは、カオトロピック流体、例えばカオトロピック液体または気体は、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、塩化グアニジニウム、アルカリチオシアネート、アルカリイソチオシアネート、アルカリヨウ化物およびアルカリ過塩素酸塩を含み得る。好ましくは、カオトロピック流体は、グアニジニウムチオシアネートを含む。
吸収性プローブと流体との接触は、吸収性プローブを流体に液浸または浸漬することによって達成することができる。これは手動により、または流体取扱いロボットにより行うことができる。ステップ(ii)によって全血を再構成させることができる。物理的撹拌技術、例えば、流体および/または吸収性プローブの超音波処理、またはボルテックスなどは、再構成プロセスを加速することができる。特に、ステップ(ii)は、全血中に含まれる分子を相互に分離させることができる。いくつかの分子は親水性ポリマー材料から除去することができ、他の分子は除去することができない。これらの分子は、親水性ポリマー材料に吸収されたままである。本発明の発明者ら、驚いたことに、長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子は親水性ポリマー材料に吸収されたままでで、流体には入り込まないが、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子はステップ(ii)において流体により親水性ポリマー材料から抽出されることを見出した。
ステップ(iii)において、流体はステップ(ii)から回収される。このプロセスにより、長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分が精製される。それは特に再構成された血液サンプルの水性相から精製される。好ましくは、長さが200ヌクレオチド未満の精製RNA画分は、少なくとも50%、または少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは、少なくとも90%、例えば少なくとも50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.9%、または100%の純度を有する。
ステップ(ii)からの流体の回収は、吸収性プローブを流体から除去することによって達成することができる。
好ましくは、長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分は、miRNA、tRNA、siRNA、piRNAおよびsnorRNAからなる群から選択される1つまたは複数のRNA分子を含む。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、吸収性プローブは、20時間以下、好ましくは5時間以下、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29分、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20時間以下、流体と接触させる。より好ましくは、吸収性プローブは1分〜20時間、さらに好ましくは、1分〜5時間、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29分、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20時間、流体と接触させる。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、6g/cm以下、好ましくは4g/cm、例えば0.5、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5または6g/cmの密度を有する。より好ましくは、親水性ポリマー材料は、0.5〜6g/cm、さらにより好ましくは1〜4g/cm、例えば0.5、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5または6g/cmの密度を有する。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は多孔質である。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、材料の全体積の20〜70%、好ましくは30〜50%、例えば20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70%の細孔容積を有する。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、直径または最大断面寸法で100μm以下、好ましくは50μm以下、例えば10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100μm以下の細孔を含む。より好ましくは、親水性ポリマー材料は、直径または最大断面寸法で10〜100μm、さらにより好ましくは20〜50μm、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100μmの細孔を含む。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、セルロース含有材料、例えば綿、多糖類、ポリオレフィンおよびポリエステルからなる群から選択される。好ましくは、
(i)多糖類が、セルロースであり、
(ii)ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリメチルペンテンからなる群から選択され、または
(iii)ポリエステルが、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される。
より好ましくは、親水性ポリマー材料は、綿、セルロースまたはポリエチレンである。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、吸収性プローブは、1〜50μl、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50μlの全血の所定の最大容量を吸収した。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、吸収性プローブは、10mm以下、好ましくは5mm以下、例えば、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mm以下の長さを有し、また、40mm以下、好ましくは20mm以下、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40mm以下の断面積を有する。
このようなサイズは、全血サンプルが、例えば指先穿刺からの血液滴である場合、適切であると考えられる。
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態において、吸収性プローブは、250mm以下、好ましくは200mm以下、例えば1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250mm以下の体積を有する。このような体積は、全血サンプルが、例えば指先穿刺からの血液滴である場合、適切であると考えられる。
より好ましくは、吸収性プローブは、2〜10mm、好ましくは2〜5mm、例えば2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mmの長さを有し、また、5〜40mm、好ましくは5〜20mm、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40mmの断面積を有する。
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態では、吸収性プローブは、1mm〜250mm、好ましくは2.5mm〜200mm、例えば1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250mmの体積を有する。
円筒形プローブ上の平坦端部の円筒または半円形端部が望ましいと考えられるが、様々な構造を使用することができる。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料に吸収された全血は乾燥されている。乾燥は、外気中で、例えば室温(20℃)で、または高温(例えば、30℃)で実施することができる。あるいは、吸収性プローブは、吸収性プローブと乾燥容器の壁または他の潜在的な汚染物質表面との接触を最小にしながら乾燥を助けるように構成された特別な乾燥容器に移すことができる。乾燥容器は、乾燥を容易にする乾燥剤を含んでいてもよい。乾燥は、0.5〜5時間、または0.5〜3時間の間、例えば、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5または5時間、実施することができる。これに関して、乾燥時間は、湿度、温度、乾燥される体積、および吸収性プローブの形状および構造に依存するので、乾燥時間は変化することに留意されたい。さらに、血液を迅速に乾燥させることで、血液サンプルの分解を遅らせることができる。少量サンプルの乾燥は、多量サンプルの乾燥よりも速い。乾燥時間を短縮するため、親水性材料は、空気が吸収性プローブに入り、より速く乾燥されるように、空気透過性または気体透過性であるように選択されるのが好ましい。
流体は、さらなる処理(例えば、濃縮)または分析(例えば、マイクロアレイ分析)のために吸収性プローブから分離することができるが、吸収性プローブは廃棄することもできる。
したがって、本発明の第2の態様の一実施形態において、本方法は、
(iv)1つまたは複数の分離技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を単離するステップをさらに含む。
1つまたは複数の分離技術は、遠心分離、蒸発/再構成、濃縮、沈殿、液体/液体抽出、および固相抽出からなる群から選択されることが好ましい。
この単離ステップによって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分の純度をさらに改善することができる。長さが200ヌクレオチド未満の単離されたRNA画分は、少なくとも70%、または少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも95%、例えば、少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.9%、または100%の純度を有することが特に好ましい。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、吸収性プローブは、参照標準、抗凝固剤および安定化剤からなる群から選択される物質をさらに含む。
抗凝固剤の使用は、血液の均一性を維持し、望ましくない分解を防止するのに有用である。抗凝固剤は、乾燥して吸収性プローブに適用することができるが、好ましくは、湿潤状態または液体状態で適用し、使用前に乾燥させる。最も一般的な抗凝固剤は、ポリアニオン(例えば、ヘパリン)または金属キレート化剤(例えば、EDTA、クエン酸)の2つのカテゴリーに入る。適切な抗凝固剤は、クエン酸デキストロース、クエン酸リン酸デキストロース、クエン酸リン酸デキストロースアデニン、クエン酸ナトリウム、K2 EDTA、K3 EDTA、EDTAナトリウム、ヘパリンリチウム、ヘパリンナトリウム、カリウムおよびシュウ酸塩が挙げられると考えられる。吸収性プローブに適用される抗凝固剤は、分析の精度に悪影響を及ぼさないように、使用される流体および下流の分析と適切に適合させるべきである。
分析の際の参照標準、例えば、内部標準および外部標準の使用は、一般的な実施である。したがって、(乾燥した)血液が吸収性プローブから抽出される場合、参照標準(湿潤または乾燥)を流体の製造またはサンプリング中に吸収性プローブに適用してもよく、または再構成流体に添加してもよい。血液の分析に影響を及ぼさない多くの不揮発性物質を参照標準として使用することができる。放射性標識、蛍光標識および重水素標識を使用することができる。
安定剤の使用もまた一般的な手段である。安定剤は、血液を安定化させるのに有用である。安定剤は、吸収性プローブに乾燥して適用することができるが、好ましくは、湿潤状態または液体状態で適用し、使用前に乾燥させる。安定剤の例としては、限定するものではないが、RNA−later、RNAstable、PAXgene−regent、RNAsin、およびcatrimox−14が挙げられる。
本発明の第1および第2の態様の一実施形態において、吸収性プローブは、特許文献1、または特許文献2に記載のプローブである。特に、吸収性プローブは、特許文献1または特許文献2に記載されているような生物学的流体サンプリングデバイスの一部である。これに関しては、特許文献1の第10頁第28行〜第34頁第27行、図2、図3および図8、ならびに請求項1〜19と、特許文献2の段落[0068]〜[0129]、図2、図3および図8、および請求項1〜19を参照されたい。
第3の態様において、本発明は、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定する方法であって、
(i)第2の態様の方法を実施するステップと、
(ii)適切な技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するステップと、を含む、方法に関する。
本発明の発明者らは、驚いたことに、RNA分子、例えば、本発明の第2の態様に従って精製/単離されたmiRNAのレベルを決定することができることを見出した。このような場合、サンプル処理時間を短縮することが可能であり、サンプル分析(例えば、発現プロファイリングによる)を簡略化することができ、コストを節約することができる。
好ましくは、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子は、miRNA、tRNA、siRNA、piRNAおよびsnorRNAからなる群から選択される。
本発明の第3の態様の一実施形態において、ステップ(ii)で決定されたレベルは発現レベルである。
ステップ(ii)における決定は、RNA分子、例えばmiRNAのレベル、特にRNA分子、例えばmiRNAの発現レベルを決定するための任意の簡便な手段を実施することができる。例えば、定性的、半定量的および/または定量的検出方法を使用することができる。様々な技術が当業者に周知である。RNA分子、例えばmiRNAのレベル、特にRNA分子、例えばmiRNAの発現レベルは、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、ポリメラーゼ伸長、配列決定、質量分析またはそれらの任意の組合せによって決定されることが好ましい。核酸増幅は、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、例えばリアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT qPCR)などを使用して実施することができる。リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、単一RNA分子、例えばmiRNA、または少数のRNA分子、例えばmiRNAの分析において好ましい。これは、低含量のRNA分子、例えばmiRNAを検出するのに特に好適である。しかし、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT qPCR)は、単一のRNA分子、例えばmiRNA、および多数のRNA分子、miRNAを分析することができる。
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、例えばリアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(RT qPCR)によるmiRNAの発現レベルを決定するための様々なキットおよびプロトコールを利用することができる。例えば、miRNAの逆転写は、TaqMan MicroRNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems社製)を使用して製造者の推奨に従って行うことができる。簡単に説明すると、miRNAは、dNTP、MultiScribe逆転写酵素および標的miRNAに特異的なプライマーと合わせることができる。得られたcDNAを希釈し、PCR反応に使用することができる。PCRは、製造業者の推奨(Applied Biosystems)に従って行うことができる。簡単に説明すると、cDNAを標的miRNAに特異的なTaqManアッセイと合わせ、ABI7300を用いてPCR反応を行うことができる。
核酸ハイブリダイゼーションは、マイクロアレイ/バイオチップまたはin situハイブリダイゼーションを用いて行うことができる。in situハイブリダイゼーションは、単一のRNA分子、例えばmiRNA、および少数のRNA分子、miRNAを分析するのに好ましい。しかし、マイクロアレイ/バイオチップは、単一のRNA分子、例えばmiRNA、および多数のRNA分子、例えばmiRNAを分析することができる。(i)核酸ハイブリダイゼーションが、マイクロアレイ/バイオチップもしくはビーズを使用して、またはin situハイブリダイゼーションを使用して実施されること、ならびに/あるいは(ii)核酸増幅がリアルタイムPCRを使用して実施されることがより好ましい。
ステップ(ii)における適切な技術は、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、ポリメラーゼ伸長、配列決定、および質量分析、またはそれらの任意の組合せからなる群より選択されることが好ましい。(i)マイクロアレイ/バイオチップ、ビーズ、もしくはin situハイブリダイゼーションを使用して核酸ハイブリダイゼーションを実施すること、および/または(ii)リアルタイムPCRを使用して核酸増幅を行うことがより好ましい。
第4の態様において、本発明は、個体における疾患の診断方法であって、
(i)前記全血サンプルが個体から由来した(採取された、得られた、単離された)、第2の態様に記載の方法を実施するステップと、
(ii)適切な技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子の前記レベルを決定するステップと、
(iii)レベルを1つまたは複数の参照レベルと比較するステップと、
(iv)個体が前記比較に基づいて疾患に罹患しているか否かを診断または鑑別診断するステップと、を含む、方法に関する。
ステップ(ii)における決定は、RNA分子、例えばmiRNAのレベル、特にRNA分子、例えばmiRNAの発現レベルを決定するための任意の簡便な手段によって実施することができる。例えば、定性的、半定量的および/または定量的検出方法を使用することができる。様々な技術が当業者に周知である。RNA分子、例えばmiRNAのレベル、特にRNA分子、例えばmiRNAの発現レベルは、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、ポリメラーゼ伸長、配列決定、質量分析またはそれらの任意の組合せによって決定されることが好ましい。核酸増幅は、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、例えばリアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT qPCR)などを使用して実施することができる。リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、単一RNA分子、例えばmiRNA、または少数のRNA分子、例えばmiRNAの分析において好ましい。これは、低含量のRNA分子、例えばmiRNAを検出するのに特に好適である。しかし、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT qPCR)は、単一のRNA分子、例えばmiRNA、および多数のRNA分子、miRNAを分析することができる。
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、例えばリアルタイム定量ポリメラーゼ連鎖反応(RT qPCR)によるmiRNAの発現レベルを決定するための様々なキットおよびプロトコールを利用することができる。例えば、miRNAの逆転写は、TaqMan MicroRNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems社製)を使用して製造者の推奨に従って行うことができる。簡単に説明すると、miRNAは、dNTP、MultiScribe逆転写酵素および標的miRNAに特異的なプライマーと合わせることができる。得られたcDNAを希釈し、PCR反応に使用することができる。PCRは、製造業者の推奨(Applied Biosystems)に従って行うことができる。簡単に説明すると、cDNAを標的miRNAに特異的なTaqManアッセイと合わせ、ABI7300を用いてPCR反応を行うことができる。
核酸ハイブリダイゼーションは、マイクロアレイ/バイオチップまたはin situハイブリダイゼーションを用いて行うことができる。in situハイブリダイゼーションは、単一のRNA分子、例えばmiRNA、および少数のRNA分子、miRNAを分析するのに好ましい。しかし、マイクロアレイ/バイオチップは、単一のRNA分子、例えばmiRNA、および多数のRNA分子、例えばmiRNAを分析することができる。(i)核酸ハイブリダイゼーションが、マイクロアレイ/バイオチップもしくはビーズを使用して、またはin situハイブリダイゼーションを使用して実施されること、ならびに/あるいは(ii)核酸増幅がリアルタイムPCRを使用して実施されることがより好ましい。
ステップ(ii)における適切な技術は、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、ポリメラーゼ伸長、配列決定、および質量分析、またはそれらの任意の組合せからなる群より選択されることが好ましい。(i)マイクロアレイ/バイオチップ、ビーズ、またはin situハイブリダイゼーションを使用して核酸ハイブリダイゼーションを実施すること、および/または(ii)リアルタイムPCRを用いて核酸増幅を行うことがより好ましい。
前記第4の態様は、あるいは、以下のように明確化することができる:個体における疾患の診断方法であって、
(i)前記全血サンプルが個体から由来した(採取された、得られた、単離された)、第3の態様に記載の方法を実施するステップと、
(ii)前記レベルを1つまたは複数の参照レベルと比較するステップと、
(iii)個体が比較に基づいて疾患に罹患しているか否かを診断または鑑別診断するステップと、を含む、方法。
参照レベルは、個体が疾患に罹患しているか否かを決定することができる任意のレベルであってよい。好ましくは、1つまたは複数の参照レベルは、1名または複数の健康な対象、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、または500名の健康な対象、1名または複数の疾患に罹患している対象、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、または500名の疾患に罹患している対象、ならびに/あるいは1名または複数の他の疾患に罹患している対象、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、または500名の他の疾患に罹患している対象からの1つまたは複数の参照全血サンプル、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、400、または500の参照全血サンプルを測定することによって決定される。
特に、1つまたは複数の参照レベルは、1名または複数の肺がん対象、好ましくは肺がん治療を受けている肺がん対象、より好ましくは緩和肺がん治療またはアジュバント肺がん治療を受けている肺がん対象、ならびに/あるいは1名または複数の健康である対象、好ましくは肺がん治療を受けていない対象、より好ましくは、緩和肺がん治療またはアジュバント肺がん治療を受けていない対象からの1つまたは複数の参照全血サンプルを測定することによって決定される。分析において1名の対象あたり1つの参照全血サンプルを採取することが実際的である。追加の参照全血サンプルが必要な場合、同一対象を(再)試験することができる。
前記参照レベルは、平均参照レベルであってもよい。参照レベルを測定し、その「平均」値(例えば、平均、中央値またはモード値)を計算することによって決定することができる。参照レベルは、試験または診断される患者と同じ性別(例えば、女性もしくは男性)および/または同様の年齢/世代(例えば、成人もしくは高齢者)の対象由来であることが好ましい。
疾患は、任意の疾患、例えば、肺がんであり得る。他の疾患は、肺がん以外の疾患であってもよい。
一実施形態において、個体における疾患の診断方法は、
(i)前記全血サンプルが個体から由来した(採取された、得られた、単離された)、第3の態様に記載の方法を実施するステップと、
(ii)前記レベルを、1名または複数の健康な対象由来の1つまたは複数の参照全血サンプルを測定することによって決定される参照レベルと比較するステップと、
(iii)個体が比較に基づいて疾患に罹患しているか否かを診断するステップと、を含む。好ましくは、疾患は肺がんである。
別の一実施形態において、個体における疾患の診断方法は、
(i)前記全血サンプルが個体から由来した(採取された、得られた、単離された)、第3の態様に記載の方法を実施するステップと、
(ii)前記レベルを、1名または複数の疾患に罹患している対象由来の1つまたは複数の参照全血サンプルを測定することによって決定される参照レベルと比較するステップと、
(iii)個体が比較に基づいて疾患に罹患しているか否かを診断するステップと、を含む。好ましくは、疾患は肺がんである。
別の一実施形態において、個体における疾患の診断方法は、
(i)前記全血サンプルが個体から由来した(採取された、得られた、単離された)、第3の態様に記載の方法を実施するステップと、
(ii)前記レベルを、1名または複数の疾患に罹患している対象由来の1つまたは複数の参照全血サンプルを測定することによって決定される参照レベル、および1名または複数の別の疾患に罹患している対象由来の1つまたは複数の参照全血サンプルを測定することによって決定される参照レベルと比較するステップと、
(iii)個体が比較に基づいて疾患に罹患しているか否かを診断するステップと、を含む。好ましくは、疾患は肺がんであり、他の疾患は肺がん以外の疾患である。また本方法は、異なる治療された疾患を互いに区別することも可能にする。例えば、疾患は、アジュバント処置された疾患、例えば、アジュバント処置肺がんであり、他の疾患は、緩和処置された疾患、例えば、例えば緩和処置された肺がんであってもよく、または、疾患は緩和処置された疾患、例えば緩和処置された肺がんであり、他の疾患はアジュバント処置疾患、例えばアジュバント処置肺がんであってもよい。
第5の態様において、本発明は、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去するための親水性ポリマー材料の使用に関する。好ましくは、長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分は、リボソーム18S RNAおよびリボソーム28S RNAからなる群から選択される1つ以上のRNA分子を含む。
第6の態様において、本発明は、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製するための親水性ポリマー材料の使用に関する。好ましくは、長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分は、miRNA、tRNA、siRNA、piRNAおよびsnorRNAからなる群から選択される1つ以上のRNA分子を含む。
本発明の第5および第6の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は吸着プローブ中に含まれる(本発明の第1および第2の態様を参照されたい)。
本発明の第5および第6の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、6g/cm以下、好ましくは4g/cm以下、例えば0.5、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5または6g/cmの密度を有する。より好ましくは、親水性ポリマー材料は、0.5〜6g/cm、さらにより好ましくは1〜4g/cm、例えば0.5、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5または6g/cmの密度を有する。
本発明の第5および第6の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は多孔質である。
本発明の第5および第6の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、材料の全体積の20〜70%、好ましくは30〜50%、例えば20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70%の細孔容積を有する。
本発明の第5および第6の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、直径または最大断面寸法において、100μm以下、好ましくは50μm以下、例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100μm以下の細孔を含む。より好ましくは、親水性ポリマー材料は、直径または最大断面寸法において、10〜100μm、さらにより好ましくは20〜50μm、例えば10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100μmの細孔を含む。
本発明の第5および第6の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、セルロース含有材料、例えば、綿、多糖類、ポリオレフィン、ポリエステルからなる群から選択」される。好ましくは、
(i)多糖類は、セルロースであり、
(ii)ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリメチルペンテンからなる群から選択され、または
(iii)ポリエステルは、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される。
より好ましくは、親水性ポリマー材料は、綿、セルロースまたはポリエチレンである。
本発明の第5および第6の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、特許文献1または特許文献2に記載されている材料である。特に、親水性ポリマー材料は、特許文献1またはと特許文献2に記載されている、生物学的流体サンプリングデバイスに含まれる吸収性プローブの一部である。これに関し、特許文献1の第10ページ第28行〜第34ページ第27行、図2、3および8、および請求項1〜19と、特許文献2の明細書の段落[0068]〜[0129]、図2、3および8、ならびに請求項1〜19を参照されたい。
吸収性プローブおよび/または親水性ポリマー材料の他の実施形態に関しては、本発明の第1または第2の態様に言及されている。
第7の態様において、本発明は、疾患を診断または鑑別診断するための第3の態様に記載の方法の使用に関する。疾患は肺がんであり得る。疾患の診断または鑑別診断に関しては、本発明の第4の態様に言及されている。
第8の態様において、本発明は、
(i)親水性ポリマー材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる吸収性プローブ、を含むキットに関する。
キットは、全血サンプルを採取するのに有用である。
本発明の第8の態様の一実施形態において、キットは、
(ii)個体から血液を取り出す手段、
(iii)容器、および/または
(iv)吸収された全血サンプルからの全血を有する吸収性プローブが、本発明の第1〜第4の態様の方法において使用可能であるという情報を含むデータ媒体をさらに含む。
本発明の第8の態様の別の一実施形態において、キットは、
(ii)個体から血液を取り出す手段、
(iii)長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および/または長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するための手段、
(iv)容器、および/または
(v)吸収された全血サンプルからの全血を有する吸収性プローブが、本発明の第1〜第4の態様の方法において使用可能であるという情報を含むデータ媒体、をさらに含む。
個体から血液を取り出す手段は、注射器(針付き)、針、およびランセットからなる群から選択することができる。注射器(針付き)は、個体の腕の静脈から血液を採取するために使用することができる。針またはランセットは、上部皮膚層を破壊し、個体から(例えば、指先穿刺を介して)血液滴を取り出すために使用することができる。次いで、親水性ポリマー材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる吸収性プローブは、全血液サンプルと(物理的に)接触するように配置され、それにより全血が親水性ポリマー材料に吸収される。その後、吸収性プローブは乾燥、例えば風乾させることができる。これは、室温(20℃)または高温(例えば30℃)で行うことができる。
次いで、全血サンプルの全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブを、さらなる分析のために実験室に送ることができる。
長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および/または長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するための手段は、
(i)長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および/または長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子を検出するためのポリヌクレオチド、および/または
(ii)バイオチップ、RT−PCTシステム、PCRシステム、フローサイトメーターまたは次世代シークエンシングシステム、を含んでいてもよい。
好ましくは、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子はmiRNA分子である。
前記ポリヌクレオチドは、バイオチップに結合させることができる。前記ポリヌクレオチドはまた、RT−PCTシステム、PCRシステム、または次世代配列決定システムにおけるプライマーとして使用することもできる。
データ媒体は、非電子的データ媒体、例えばグラフ式データ媒体、例えば情報リーフレット(例えば、本発明の第1〜第4の態様に記載の前記キットを使用する方法の詳細を含む)、情報シート、バーコードもしくはアクセスコード、または電子データ媒体、例えばフロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、マイクロチップまたは他の半導体ベースの電子データ媒体であってもよい。アクセスコードは、データベース、例えばインターネットデータベース、集中データベースまたは分散データベースへのアクセスを可能にする。またアクセスコードは、コンピュータにコンピュータユーザのためのタスクを実行させるアプリケーションソフトウェア、またはスマートフォンおよび他のモバイルデバイス上で動作するように設計されたソフトウェアであるモバイルアプリケーションへのアクセスを可能にする。前記データ媒体は、本明細書で決定されたRNA分子、例えばmiRNAのレベルの1つまたは複数の参照レベルをさらに含んでいてもよい。データ媒体がデータベースにアクセスすることができるアクセスコードを含む場合、前記1つまたは複数の参照レベルはこのデータベースに格納されていてもよい。
キットは、全血サンプルを採取する際に有用な緩衝液、試薬および/または希釈剤を含めた、商業上および使用者の観点から望ましい材料を任意選択で含んでいてもよい。
第9の態様において、本発明は、
(i)親水性ポリマー材料を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる吸収性プローブに吸収される(全血サンプル由来の)全血を再構成するための流体、を含むキットに関する。
流体は、液体または気体であってもよい。好ましくは、流体は、カオトロピック流体、例えばカオトロピック液体または気体である。より好ましくは、カオトロピック流体は、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、塩化グアニジニウム、アルカリチオシアネート、アルカリイソチオシアネート、アルカリヨウ化物およびアルカリ過塩素酸塩からなる群から選択される。さらに好ましくは、カオトロピック流体はチオシアン酸グアニジニウムである。あるいは、カオトロピック流体、例えば、カオトロピック流体および気体は、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、塩酸グアニジニウム、塩化グアニジニウム、アルカリチオシアネート、アルカリイソチオシアネート、アルカリヨウ化物およびアルカリ過塩素酸塩を含み得る。好ましくは、カオトロピック流体は、グアニジニウムチオシアネートを含む。
このキットは、本発明の第1〜第4の態様の方法を実施するために、すなわち、全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去するため、全血液サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製するため、また、全血液サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製し、(続いて)前記RNA分子のレベルを決定するために有用である。
上記のRNA画分は、1つまたは複数のRNA分子、例えばmiRNA分子を含む。長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分は、好ましくは、リボソーム18S RNAおよびリボソーム28S RNAからなる群から選択される1つまたは複数のRNA分子を含み、長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分は、好ましくは、miRNA、tRNA、siRNA、piRNAおよびsnorRNAからなる群から選択される1つまたは複数のRNA分子を含む。
キットが全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製し、(続いて)前記RNA分子のレベルを決定するためのものである場合、RNA分子(例えば、miRNA分子)のレベル、特に発現レベルを決定する手段をさらに含む。好ましくは、前記手段は、1つまたは複数のRNA分子(例えばmiRNA分子)の(発現)レベルを決定するための1つまたは複数のポリヌクレオチド、および/またはマイクロアレイ、RT−PCTシステム、PCRシステム、フローサイトメーター、ビーズベースのマルチプレックスシステムまたは次世代シークエンシングシステムを含む。
本発明の第9の態様の一実施形態において、キットは、
(ii)容器、および/または
(iii)本発明の第1〜第4の態様の方法をどのように実施するかに関する指示が入力されたデータ媒体をさらに含む。
本発明の第9の態様の別の実施形態において、キットは、
(ii)長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および/または長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するための手段、
(iii)容器、ならびに/あるいは
(iv)本発明の第1〜第4の態様の方法をどのように実施するかに関する指示が入力されたデータ媒体、をさらに含む。
長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および/または長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するための手段は、
(i)長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および/または長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子を検出するためのポリヌクレオチド、ならびに/あるいは
(ii)バイオチップ、RT−PCTシステム、PCRシステム、フローサイトメーターまたは次世代シークエンシングシステム、を含み得る。
好ましくは、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子はmiRNA分子である。
前記ポリヌクレオチドは、バイオチップに結合させることができる。また前記ポリヌクレオチドは、RT−PCTシステム、PCRシステム、または次世代配列決定システムにおけるプライマーとして使用することもできる。
キットは、1つまたは複数の容器を含む。例えば、流体は、容器内に、例えばボトル内に、特にスプレーボトル内に入れることができる。さらに、前記RNA分子のレベルを決定するための手段は容器に含まれていてもよい。
データ媒体は、非電子的データ媒体、例えばグラフ式データ媒体、例えば情報リーフレット、情報シート、バーコードもしくはアクセスコード、または電子データ媒体、例えばフロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、マイクロチップまたは他の半導体ベースの電子データ媒体であってもよい。アクセスコードは、データベース、例えばインターネットデータベース、集中データベースまたは分散データベースへのアクセスを可能にする。またアクセスコードは、コンピュータにコンピュータユーザのためのタスクを実行させるアプリケーションソフトウェア、またはスマートフォンおよび他のモバイルデバイス上で動作するように設計されたソフトウェアであるモバイルアプリケーションへのアクセスを可能にする。前記データ媒体は、本明細書で決定されたRNA分子、例えばmiRNAのレベルの1つまたは複数の参照レベルをさらに含んでいてもよい。データ媒体がデータベースにアクセスすることができるアクセスコードを含む場合、前記1つまたは複数の参照レベルはこのデータベースに格納されていてもよい。
キットは、本発明の第1〜第4の態様の方法を実施するための緩衝液(複数可)、試薬(複数可)および/または希釈剤(複数可)を含めた、商業上および使用者の観点から望ましい材料を任意選択で含んでいてもよい。
本発明の第8または第9の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、6g/cm以下、好ましくは4g/cm以下、例えば0.5、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5または6g/cmの密度を有する。より好ましくは、親水性ポリマー材料は、0.5〜6g/cm、さらにより好ましくは1〜4g/cm、例えば0.5、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5または6g/cmの密度を有する。
本発明の第8または第9の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は多孔質である。
本発明の第8および第9の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、材料の全体積の20〜70%、好ましくは30〜50%、例えば20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70%の細孔容積を有する。
本発明の第8または第9の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、直径または最大断面寸法で100μm以下、好ましくは50μm以下、例えば10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100μm以下の細孔を含む。より好ましくは、親水性ポリマー材料は、直径または最大断面寸法で10〜100μm、さらにより好ましくは20〜50μm、例えば10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100μmの細孔を含む。
本発明の第8または第9の態様の一実施形態において、親水性ポリマー材料は、セルロース含有材料、例えば、綿、多糖類、ポリオレフィン、ポリエステルからなる群から選択される。好ましくは、
(i)多糖類が、セルロースであり、
(ii)ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリメチルペンテンからなる群から選択され、または
(iii)ポリエステルが、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される。より好ましくは、親水性ポリマー材料は、綿、セルロースまたはポリエチレンである。
本発明の第8または第9の態様の一実施形態において、吸収性プローブは、1〜50μl、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50μlの全血の所定の最大容量を吸収した。
本発明の第8または第9の態様の一実施形態において、吸収性プローブは、10mm以下、好ましくは5mm以下、例えば2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mm以下の長さを有し、また40mm以下、好ましくは20mm以下、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40mm以下の断面積を有する。このようなサイズは、全血サンプルが、例えば指先穿刺からの血液滴である場合、適切であると考えられる。
本発明の第8または第9の態様の別の実施形態において、吸収性プローブは、250mm以下、好ましくは200mm以下、例えば1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250mm以下の体積を有する。このような体積は、全血サンプルが、例えば指先穿刺からの血液滴である場合、適切であると考えられる。
より好ましくは、吸収性プローブは、2〜10mm、好ましくは2〜5mm、例えば2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mmの長さを有し、また5〜40mm、好ましくは5〜20mm、例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40mmの断面積を有する。
本発明の第8または第9の態様の別の実施形態において、吸収性プローブは、1mm〜250mm、好ましくは2.5mm〜200mm、例えば1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250mmの体積を有する。
本発明の第8または第9の態様の一実施形態において、吸収性プローブは、1〜50μl、好ましくは5〜25μl、さらにより好ましくは10〜20μl、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50μlの全血の所定の最大容量を吸収するように構成される。
吸収性プローブおよび/または親水性ポリマー材料の他の実施形態に関しては、本発明の第1または第2の態様に言及されている。
本発明は以下のように要約される:
1. 全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去する方法であって、
(i)全血サンプルの全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブを提供するステップと、
(ii)(全血を再構成させるために)吸収性プローブを流体と接触させるステップと、
(iii)ステップ(ii)からの流体を回収して、長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去するステップと、を含む、方法。
2. 長さが200ヌクレオチド以上の前記RNA画分がリボソーム18S RNAおよびリボソーム28S RNAからなる群から選択される1つまたは複数のRNA分子を含む、第1項の方法。
3. 全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製する方法であって、
(i)全血サンプルの全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブを提供するステップと、
(ii)(全血を再構成するために)吸収性プローブを流体と接触させるステップと、
(iii)ステップ(ii)からの流体を回収して、長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製するステップと、を含む、方法。
4. 長さが200ヌクレオチド未満の前記RNA画分が、miRNA、tRNA、siRNA、piRNAおよびsnorRNAからなる群から選択される1つまたは複数のRNA分子を含む、第3項の方法。
5. 前記親水性ポリマー材料が6g/cm以下、好ましくは4g/cm以下の密度を有する、第1項から第4項のいずれか一項の方法。
6. 前記親水性ポリマー材料が0.5〜6g/cm、好ましくは1〜4g/cmの密度を有する、第5項の方法。
7. 前記親水性ポリマー材料が多孔質である、第1項から第6項のいずれか一項の方法。
8. 前記親水性ポリマー材料が、前記材料の全体積の20〜70%、好ましくは30〜50%の細孔容積を有する、第1項から第7項のいずれか一項の方法。
9. 前記親水性ポリマー材料が、直径または最大断面寸法で100μm以下、好ましくは50μm以下の細孔を含む、第7項または第8項の方法。
10. 前記親水性ポリマー材料が、直径または最大断面寸法で10〜100μm、好ましくは20〜50μmの細孔を含む、第9項の方法。
11. 前記水性ポリマー材料が、綿、多糖類、ポリオレフィン、ポリエステルからなる群から選択される、第1項から第10項のいずれか一項の方法。
12. (i)前記多糖類が、セルロースであり、
(ii)前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリメチルペンテンからなる群から選択され、または
(iii)前記ポリエステルが、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される、第11項の方法。
13. 前記吸収性プローブが1〜50μlの全血の所定の最大容量を吸収した、第1項から第12項のいずれか一項の方法。
14. 前記吸収性プローブが10mm以下、好ましくは5mm以下の長さを有し、また40mm以下、好ましくは20mm以下の断面積を有するか、または前記吸収性プローブが250mm以下、好ましくは200mm以下の体積を有する、第1項から第13項のいずれか一項の方法。
15. 前記吸収性プローブが2〜10mm、好ましくは2〜5mmの長さを有し、また5〜40mm、好ましくは5〜20mmの断面積を有するか、前記吸収性プローブが、1mm〜250mm、好ましくは2.5mm〜200mmの体積を有する、第14項の方法。
16. 前記親水性ポリマー材料に吸収された全血が乾燥されている、第1項から第15項のいずれか一項の方法。
17. 前記方法が、
(iv)1つまたは複数の分離技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を単離するステップをさらに含む、第3項から第16項のいずれか一項の方法。
18. 1つまたは複数の分離技術が、遠心分離、蒸発/再構成、濃縮、沈殿、液体/液体抽出、および固相抽出からなる群から選択される、第17項の方法。
19. 長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定する方法であって、
(i)第3項から第18項のいずれか一項の方法を実施するステップ、および
(ii)適切な技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するステップを含む、方法。
20. 長さが200ヌクレオチド未満の前記RNA分子が、miRNA、tRNA、siRNA、piRNAおよびsnorRNAからなる群から選択される、第19項の方法。
21. ステップ(ii)で決定された前記レベルが発現レベルである、第19項または第20項の方法。
22. 前記適切な技術が核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、ポリメラーゼ伸長、配列決定、および質量分析、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される、第19項から第21項のいずれか一項の方法。
23. (i)前記核酸ハイブリダイゼーションがマイクロアレイ/バイオチップ、ビーズ、またはin situハイブリダイゼーションを使用して実施され、および/または
(ii)前記核酸増幅がリアルタイムPCRを使用して行われる、第22項の方法。
24. 個体における疾患の診断方法であって、
(i)第3項または第18項の方法を実施するステップであって、前記全血サンプルが個体由来である、ステップと、
(ii)適切な技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するステップと、
(iii)前記レベルを1つまたは複数の参照レベルと比較するステップと、
(iv)該個体が該比較に基づいて該疾患に罹患しているか否かを診断または鑑別診断するステップと、を含む、方法。
25. 前記適切な技術が核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、ポリメラーゼ伸長、配列決定、および質量分析、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される、第24項の方法。
26. 個体における疾患を診断する方法であって、
(i)第19項または第23項の方法を実施するステップであって、前記全血サンプルが個体由来である、ステップと、
(ii)前記レベルを1つまたは複数の参照レベルと比較するステップと、
(iii)個体が比較に基づいて疾患に罹患しているか否かを診断または鑑別診断するステップと、を含む、方法。
27. 前記1つまたは複数の参照レベルが、
1もしくは複数の健康な被験者、
疾患に罹患している1もしくは複数の被験者、および/または
他の疾患に罹患している1もしくは複数の被験者、の1つまたは複数の参照全血サンプルを測定することによって決定される、第24項から第26項のいずれか一項の方法。
28. 全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去するための親水性ポリマー材料の使用。
29. 長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分が、リボソーム18S RNAおよびリボソーム28S RNAからなる群から選択される1つまたは複数のRNA分子を含む、第28項の使用。
30. 全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製するための親水性ポリマー材料の使用。
31. 前記長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分がmiRNA、tRNA、siRNA、piRNAおよびsnorRNAからなる群から選択される1つまたは複数のRNA分子を含む、第30項の使用。
32. 前記親水性ポリマー材料が6g/cm以下、好ましくは4g/cm以下の密度を有する、第28項から第31項のいずれか一項の使用。
33. 前記親水性ポリマー材料が0.5〜6g/cm、好ましくは1〜4g/cmの密度を有する、第32項の使用。
34. 前記親水性ポリマー材料が多孔質である、第28項から第33項のいずれか一項の使用。
35. 前記親水性ポリマー材料が材料の全体積の20〜70%、好ましくは30〜50%の細孔体積を有する、第28項から第34項のいずれか一項の使用。
36. 前記親水性ポリマー材料が、直径または最大断面寸法で100μm以下、好ましくは50μm以下の細孔を含む、第34項または第35項の使用。
37. 前記親水性ポリマー材料が、直径または最大断面寸法で10〜100μm、好ましくは20〜50μmの細孔を含む、第36項の使用。
38. 前記水性ポリマー材料が、綿、多糖類、ポリオレフィン、ポリエステルからなる群から選択される、第28項から第37項のいずれか一項の使用。
39. (i)前記多糖類が、セルロースであり、
(ii)前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリメチルペンテンからなる群から選択され、または
(iii)前記ポリエステルが、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される、第38項の使用。
40. 疾患を診断または鑑別診断するための、第19項から第23項のいずれか一項の方法の使用。
41. (i)親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブを含むキット。
42. 前記キットが全血サンプルを採取するのに有用である、第41項のキット。
43. 前記キットが、
(ii)個体から血液を取り出す手段、
(iii)長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および/または長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子の前記レベルを決定するための手段、
(iv)容器、および/または
(v)吸収された全血サンプルの全血サンプルを有する吸収性プローブが、第1項から第27項のいずれか一項の方法において使用できるという情報を含むデータ媒体をさらに含む、第41項または第42項のキット。
44. (i)親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブに吸収された全血を再構成するための流体
を含むキット。
45. 前記キットが第1項〜第27項のいずれか一項の方法の実施に有用である、第44項のキット。
46. 前記キットが、
(ii)長さが200ヌクレオチド以上のRNA分子および/または長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子の前記レベルを決定するための手段、
(iii)容器、および/または
(iv)第1項〜第23項のいずれか一項の方法をどのように実施するかに関する指示が入力されデータ媒体
をさらに含む、第44項または第45項のキット。
47. 前記親水性ポリマー材料が6g/cm以下、好ましくは4g/cm以下の密度を有する、第41項〜第46項のいずれか一項のキット。
48. 前記親水性ポリマー材料が0.5〜6g/cm、好ましくは1〜4g/cmの密度を有する、第47項のキット。
49. 前記親水性ポリマー材料が多孔質である、第41項〜第48項のいずれか一項のキット。
50. 前記親水性ポリマー材料が、材料の全体積の20〜70%、好ましくは30〜50%の細孔容積を有する、第41項〜第49項のいずれか一項のキット。
51. 前記親水性ポリマー材料が、直径または最大断面寸法で100μm以下、好ましくは50μm以下の細孔を含む、第49項または第50項のキット。
52. 前記親水性ポリマー材料が、直径または最大断面寸法で10〜100μm、好ましくは20〜50μmの細孔を含む、第51項のキット。
53. 前記水性ポリマー材料が綿、多糖類、ポリオレフィンおよびポリエステルからなる群から選択される、第41項〜第52項のいずれか一項のキット。
54. (i)前記多糖類が、セルロースであり、
(ii)前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリメチルペンテンからなる群から選択され、または
(iii)前記ポリエステルが、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される、第53項のキット。
55. 前記吸収性プローブが1〜50μlの全血の所定の最大容量を吸収するように構成された、第41項〜第54項のいずれか一項のキット。
56. 前記吸収性プローブが10mm以下、好ましくは5mm以下の長さを有し、また、40mm以下、好ましくは20mm以下の断面積を有するか、または前記吸収性プローブが250mm以下、好ましくは200mm以下の体積を有する、第41項〜第55項のいずれか一項のキット。
57. 前記吸収性プローブが2〜10mm、好ましくは2〜5mmの長さを有し、また、5〜40mm、好ましくは5〜20mmの断面積を有するか、または前記吸収性プローブが1mm〜250mm、好ましくは2.5mm〜200mmの体積を有する、第56項のキット。
本発明の範囲から逸脱することのない本発明の様々な改変および変更は、当業者には明らかである。本発明は特定の好ましい実施形態に関して説明したが、特許請求されている本発明がそのような特定の実施形態に不適当に限定されるべきではないことは理解されたい。実際、関連分野の当業者には明らかである本発明を実施するための記載された様式の各種改変は、本発明によって網羅されるものとする。
次の図は、本発明の単なる例示であり、添付の特許請求の範囲によって示されている本発明の範囲を制限するように解釈すべきではない。
i)吸収性プローブを使用して200ntを超える長さのRNA画分を除去した全血サンプル(Mitra Microsampling Device、下の曲線)、またii)ヒト個体由来の200ntを超える長さのRNA画分を除去していない全血サンプル(全血はPAXgene Blood RNA Tubeに回収、上の曲線)から単離したRNAのAgilent Bioanalyzer Nanoの結果の比較を示す図である。上の曲線は、mayorRNAピーク(18S、28SリボソームRNA)がまだ存在していることを明確に示しているが、下の曲線では、前記18Sおよび28S RNAおよび200ntを超える長さの他のRNA種が、全血サンプルを親水性ポリマー材料の吸収性プローブに吸収させることによって効果的に除去された。 親水性ポリマー材料の吸収性プローブ(Mitra Microsampling Device)を使用して200ntを超える長さのRNA画分を除去した、ヒト個体から採取した全血サンプルから単離したRNAのAgilent Bioanalyzer(Nano RNA kit)の結果を示す図である。限定するものではないが、最も顕著なリボソームRNAピーク(約2000ntの18Sフラグメントおよび約4,000ntの28Sフラグメント)を含めた200ntを超えるRNA画分は、親水性ポリマー材料の吸収性プローブ(Mitra Microsampling Device)を使用することにより、全血サンプルから得たRNAから除去される。 200ntを超える長さのRNA画分からの、全血サンプル由来の長さが200nt未満の短鎖RNA画分のクローズ・アップは、親水性ポリマー吸収性プローブの使用によって除去されたことを示す図である。ここで、前記短鎖RNA画分は、miRNA(約15〜35nt)、tRNA(約60〜80nt)、siRNA(約20〜25nt)、piRNA(約26〜31nt)またはsnorRNAのような種々の短鎖RNA種を含む。 親水性ポリマー吸収性プローブの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である:(A)親水性セルロース含有ポリマー吸収性プローブ材料;例えば、Non−Indicating FTA Classic Card(GE Healthcare Life Science社製、Buckinghamshire、英国)、Non−Indicating FTA Elute Micro Card(GE Healthcare Life Science社製、Buckinghamshire、英国)、HemaSpot HF(Spot On Sciences社製、Austin、TX、米国)、HemaSpot SE(Spot On Sciences社製、Austin、TX、米国)、TNF(Munktell社製、Barenstein、ドイツ)、およびTNF−Di(Munktell社製、Barenstein、ドイツ);(B)親水性有機ポリマー吸収性プローブ材料;例えば、Mitra Microsampling Device。 miRNA発現データを示す図である:親水性ポリマー吸収性プローブの使用によって処理された全血サンプルから200ntを超える画分を除去した後に得られた短鎖RNA画分(Agilent dnaマイクロアレイ上で、詳細は実施例8を参照されたい)において発現されることが見出されたmiRNAを示した。ここでは、例として、ポリマー性吸収性プローブ、例えば、Mitra Microsampling Deviceまたは親水性セルロース含有吸収性プローブ(例えば、Non−Indicating FTA Classic Card(GE Healthcare Life Science社製、Buckinghamshire、英国)、Non−Indicating FTA Elute Micro Card(GE Healthcare Life Science社製、Buckinghamshire、英国)、HemaSpot HF(Spot On Sciences社製、Austin、TX、米国)、HemaSpot SE(Spot On Sciences社製、Austin、TX、米国)、TNF(Munktell社製、Barenstein、ドイツ)、TNF−Di(Munktell社製、Barenstein、ドイツ))を、前記親水性ポリマー吸収性プローブを含むデバイスとして使用し、全血サンプルから200ntを超えるRNA画分を除去した。以下を使用する:SEQ ID NO=配列識別番号;miRNA=miRBaseによるマイクロRNA idenfier;gTotalGeneSignal(A)=200ntを超えるRNAを除去する親水性セルロース含有吸収材料を使用した場合に検出される対応するmiRNAの相対発現レベル;gTotalGeneSignal(B)=200ntを超えるRNAを除去する親水性ポリマー吸収材料(Mitra Microsampling Device)を使用した場合に検出される対応するmiRNAの相対発現レベル。 Mitra Microsampling Device:親水性吸収性プローブが前記デバイスの頂部先端に含まれていることを示す図である。 全血サンプルから単離されたRNAのAgilent Bioanalyzer Nanoの結果の比較を示した図である。(i)吸収性プローブ(親水性セルロース含有吸収性デバイス、例えば、Non−Indicating FTA Classic Card(GE Healthcare Life Science社製、Buckinghamshire、英国)、Non−Indicating FTA Elute Micro Card(GE Healthcare Life Science社製、Buckinghamshire、英国)、HemaSpot HF(Spot On Sciences社製、Austin、TX、米国)、HemaSpot SE(Spot On Sciences社製、Austin、TX、米国)、TNF(Munktell社製、Barenstein、ドイツ)、TNF−Di(Munktell社製、Barenstein、ドイツ)、下部曲線)を使用して200ntを超える長さのRNA画分を除去したもの、ならびに(ii)ヒト個体からの200ntを超える長さを有するRNA画分を除去しなかったもの(PAXgene Blood RNA Tubeに回収された全血、上部曲線)。上部曲線は、mayor RNAピーク(18S、28SリボソームRNA)は依然として存在するが、下部曲線では、前記18Sおよび28S RNAならびに200ntを超える長さを有する他のRNA種は、全血サンプルが親水性ポリマー材料の吸収性プローブに吸収されることによって効果的に除去された。 乾燥血液スポットからのmiRNomeの安定性を示す図である。A.各環境要因に対する異なる条件の散布図および相関。B.環境要因に影響を及ぼすPVCAプロット。 アジュバント処置患者と緩和処置患者との比較に関する制御解除miRNAのVolcanoプロットを示す図である。 肺がん治療による生物学的変化を示す図である。発現強度、変化倍率、p値、および制御解除されたmiRNAの受信者動作特性曲線(AUC値)の下部面積。
以下に記載した実施例は単に例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
I部:
実施例1:親水性ポリマー吸収デバイス(Mitra Microsampling Device)を使用する血液サンプル回収
血液は、無菌の安全性ランセット(Safety−Lancet Extra 18G、Sarstedt、Numbrecht、ドイツ)と各個体当たり4つのMitra Microsampling Device(neoteryx、Torrance、CA、米国、Ordering No.10005)を使用して、左手中指を穿刺することにより、異なる個体(n=3)から回収した。Mitra Microsampling Device(図6)の血液を周囲温度で2時間乾燥させた。Mitra Microsampling Deviceのサンプラー本体から各個体あたり4個の血液充填サンプラーチップを取り出し、2mlチューブ(Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に移した。
実施例2:Mitra Microsampling Deviceからの短鎖RNAの抽出
長さが200nt未満の短鎖RNA抽出(マイクロRNA画分を含む)は、フェノール−クロロホルム抽出技術を使用して行った。短鎖RNAの精製は、miRNeasy Serum Plasma Kit(Qiagen GmbH、Hilden、ドイツ)を使用して行った。ここでは、1mLのQiazol試薬(Qiagen GmbH、Hilden、ドイツ、カオトロピック試薬としてのチオシアン酸グアニジンおよびフェノールを含む)を、4つのMitra Sampler Tip(実施例1、血液サンプル回収を参照)を含む2mLチューブにピペッティングした。次いで、チューブを4℃、振盪機上で1000rpmにて16時間インキュベートした。その後、全上澄みを、新しい2mLエッペンドルフチューブに移した。200μlのクロロホルムを添加した後、混合物を15秒間十分にボルテックスし、室温で2分間インキュベートした後、12,000×gにて15分間4℃で遠心分離した。その後、上部の水性相を他の2つの相に触れることなく新しい1mLのチューブに移した。1.5容量の100%エタノールを水性相に添加し、ピペッティングにより十分に混合し、室温で10分間インキュベートした。次いで、700μlのサンプルをQiagen MinEluteカラムに移し、13,000rpmにて15秒間、室温で遠心分離し、流出液を捨てた。最後の2つのステップを、全サンプル体積がカラムに適用されるまで繰り返した。その後、700μlの緩衝液RWTを各カラムに添加し、13,000rpmにて15秒間、室温で再度遠心分離し、流出液を捨てた。次いで、500μlの緩衝液RPEをカラムに加え、13,000rpmにて15秒間、室温で遠心分離し、流出液を捨てた。その後、500μLの80%エタノールをカラムに添加し、13,000rpmにて2分間、室温で遠心分離し、流出液を捨てた。次いで、カラムを新しい2ml採取管に入れ、開放蓋を用いて13,000rpmにて5分間、室温で遠心分離して乾燥させた。カラムを新しい1.5ml収集チューブに移した。総RNA含有量の溶出については、マイクロRNA14μlのRNaseフリー水をカラムにピペッティングし、1分間インキュベートし、室温で13,000rpmで1分間遠心分離した。別のRNaseフリー水14μlをカラムにピペッティングし、室温で1分間インキュベートし、室温で13,000rpmにて1分間、遠心分離した。長さが200nt未満の溶出された短鎖RNA画分(マイクロRNA画分を含む)を、品質管理および定量化まで氷上で保存した。
実施例3:親水性セルロース含有吸収性デバイスを使用する血液サンプル回収
血液は、無菌の安全性ランセット(Safety−Lancet Extra 18G、Sarstedt、Numbrecht、ドイツ)を使用し、左手薬指を穿刺することにより異なる個体(n=3)から回収した。約0.5〜4.0平方センチメートルの面積をカバーしている親水性セルロース含有吸収性デバイス(Non−Indicating FTA Classic Card(GE Healthcare Life Science社製、Buckinghamshire、英国)、Non−Indicating FTA Elute Micro Card(GE Healthcare Life Science社製、Buckinghamshire、英国)、HemaSpot HF(Spot On Sciences社製、Austin、TX、米国)、HemaSpot SE(Spot On Sciences社製、Austin、TX、米国)、TNF(Munktell社製、Barenstein、ドイツ)、TNF−Di(Munktell社製、Barenstein、ドイツ)を含めた様々な製造業者製のセルロース含有濾紙)に、各個体当たり血液2滴を加えた。様々な親水性セルロース含有吸収性プローブを2時間乾燥し、次いで周囲温度で1週間保存した。親水性セルロース含有吸収性プローブの血液吸収領域を切り出し、2mLチューブ(Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に移した。
実施例4:親水性セルロース含有吸収性デバイスからの短鎖RNAの抽出
長さが200nt未満の短鎖RNA(マイクロRNA画分を含む)の抽出は、フェノール−クロロホルム抽出技術を使用して行った。短鎖RNAの精製は、miRNeasy Serum Plasma Kit(Qiagen GmbH、Hilden、ドイツ)を用いて行った。1mLのQiazol試薬(Qiagen GmbH、Hilden、ドイツ)を、乾燥により全血サンプルが吸収された親水性セルロース含有吸収性デバイスを含む2mLチューブにピペッティングした(血液サンプル回収、実施例3を参照されたい)。次いで、チューブを4℃、振盪機上で1000rpmにて16時間インキュベートした。その後、全上澄みを新しい2mLエッペンドルフチューブに移した。200μlのクロロホルムを添加した後、混合物を15秒間十分にボルテックスし、室温で2分間インキュベートし、次いで12,000×gにて4℃で15分間、遠心分離した。その後、上部の水性相を他の2つの相に触れることなく新しい2mLチューブに移した。1.5容量の100%エタノールを水性相に添加し、ピペッティングにより十分に混合し、室温で10分間インキュベートした。次いで、700μlのサンプルをQiagen MinEluteカラムに移し、13,000rpmにて15秒間、室温で遠心分離し、流出液を捨てた。最後の2つのステップを、全サンプル体積がカラムに適用されるまで繰り返した。その後、700μlの緩衝液RWTを各カラムに添加し、13,000rpmにて15秒間、室温で再度遠心分離し、流出液を捨てた。次いで、500μlの緩衝液RPEをカラムに加え、13,000rpmにて15秒間、室温で遠心分離し、流出液を捨てた。その後、500μLの80%エタノールをカラムに添加し、3,000rpmにて2分間、室温で遠心分離し、流出液を捨てた。次いで、カラムを新しい2ml採取管に入れ、開放蓋を用いて13,000rpmにて5分間、室温で遠心分離して乾燥させた。カラムを新しい1.5ml収集チューブに移した。短鎖RNA含有物の溶出については、マイクロRNA14μlのRNaseフリー水をカラムにピペッティングし、1分間インキュベートし、室温で13,000rpmにて1分間、遠心分離した。別のRNaseフリー水14μlをカラムにピペッティングし、室温で1分間インキュベートし、室温で13,000rpmにて1分間、遠心分離した。長さが200nt未満の溶出された短鎖RNA(マイクロRNAを含む)を、品質管理および定量化まで氷上で保存した。
実施例5:PaxGene血液RNAチューブを使用する血液サンプル回収
血液は、異なる個体から採取した(n=3)。ここでは、各献血者について、2.5mlの全血をPAXgene Blood RNAチューブ(PreAnalytix、Hombrechticon、スイス)への静脈穿刺により回収した。血液細胞は、遠心分離によって全血サンプルを処理することから得られた/取得した。ここで、前記採血管に回収した全血からの血球は、5000×g、10分間の遠心分離により遠心分離した。上澄み(細胞外血液画分を含む)は廃棄したが、血球ペレット(赤血球、白血球および血小板を含む細胞血液画分)はさらなる処理のために回収した。短鎖RNA(miRNA画分を含み、200nt未満)を含むが、200ntを超えるRNA画分も含む全RNAは、miRNeasy Mini Kit(Qiagen GmbH、Hilden、ドイツ)を使用し、回収した血液細胞から抽出した。詳細については、実施例6を参照されたい。
実施例6:全RNA(200ntを超えるRNA画分を含む)のPAXgene Blood RNAチューブからの抽出
短鎖RNA(miRNA画分を含み、200nt未満)および200ntを超えるRNA画分を含めた全RNAの単離は、miRNeasy Mini Kit(Qiagen GmbH、Hilden、ドイツ)を使用して行った。ここでは、血球ペレット(実施例5で概説したようにして得られた)を、上下にピペッティングすることで700μlのQIAzol溶解試薬に十分に再懸濁し、直ちに懸濁液を新しい1.5mlエッペンドルフチューブに移した。次に140μlのクロロホルムを添加し、十分にボルテックスし、室温で2〜3分間インキュベートした後、12,000gにて15分間、4℃で遠心分離した。その後、上部の水性相を、他の2つの相に触れることなく、細心の注意を払い新しい2mlチューブに移した。次いで、1.5容量の100%エタノールを移した水性相に添加し、ピペッティングにより十分に混合した。次いで、700μlのサンプルをカラムに移し、13,000rpmにて15秒間、室温で遠心分離し、流出液を捨てた。その後、700μlの緩衝液RWTを各カラムに添加し、13,000rpmにて15秒間、室温で再度遠心分離し、流出液を捨てた。次いで、500μlの緩衝液RPEをカラムに加え、13,000rpmにて15秒間、室温で遠心分離し、流出液を捨てた。その後、別の500μlの緩衝液RPEをカラムに添加し、13,000rpmにて2分間、室温で遠心分離し、流出液を廃棄した。次いで、カラムを新しい2ml採取管に入れ、13,000rpmにて1分間、室温で遠心分離して乾燥させた。カラムを新しい1.5ml回収チューブに移した。総RNA含有量の溶出については、マイクロRNA40μlのRNaseフリー水をカラムにピペッティングし、1分間インキュベートし、室温で13,000rpmにて1分間、遠心分離した。次いで、溶出液を同じカラムに戻し、室温で1分間インキュベートし、再び1分間遠心分離した。低分子RNA(200nt未満、miRNA画分を含む)および200ntを超えるRNA画分を含む溶出全RNAはNanoDrop 1000を用いて定量し、発現プロファイリング実験に使用するまで−20℃で保存した。
実施例7:短鎖RNA画分の品質管理
抽出したRNAの品質管理および定量は、AgilentのBioanalyzer(Agilent Technologies、Santa Clara、CA、米国)を、製造業者のプロトコールおよびBioanalyzer SmallおよびNano Assayに従って使用して行った。RNAを70℃で2分間変性させた後、Small and Nano Assayの両方のBioanalyzerチップに1μLを適用した。チップを2,400rpmでボルテックスし、Bioanalyzer Instrumentで5分以内に泳動させた。
実施例8:マイクロRNA発現プロファイルのマイクロアレイベースの決定
マイクロRNA画分を含む全RNAサンプルを、AgilentのヒトmiRNA 8x60kマイクロアレイ(リリースv21)で、製造業者のプロトコールに従って分析した。マイクロRNAのCy3酵素標識および回転ハイブリダイゼーションオーブン中での55℃、20時間のアレイハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイスライドを2回洗浄し(非ストリンジェントおよびストリンジェント)、その後、AgilentのSureScan Microarray Scannerでスキャンした。得られた画像データをAgilent Feature Extractionソフトウェア(バージョン11)を用いて評価した。Feature Extractionソフトウェアによって生成された生データファイル(Gene View)は、本コール解析のためにExcelにインポートした。
II部:
乾燥血液スポット(DBS)が安定したmiRNA測定を容易にするか否か、また生物学的変動に対する技術的安定性の比較をさらに系統的に調査した。第1に、異なる環境条件(例えば、温度および湿度)に暴露された同一個体由来のサンプルの全ゲノムワイドmiRNAプロファイルを生成することによりDBSサンプルの安定性を試験した。第2に、同一個体から採取したサンプルを7回繰り返すことによる技術的再現性を調べた。第3に、異なる治療を受けている53名の肺がん患者からのサンプルを調査した。3段階の間に、108のゲノムワイドmiRNAプロファイルが生成され、生物統計学的手段によって評価した。
材料と方法
サンプル回収:試験のため、乾燥血液スポット上に合計78サンプルを回収した。TNF紙(Munktell、Barenstein、ドイツ)(Ahlstrom)を使用した。到着後、RNA抽出まで、乾燥血液スポットは−80℃で保存した。安定分析については、1つの個体が含まれており、異なる環境条件に暴露された。温度は摂氏26〜35℃、湿度は38.5〜60%の間で変化させた。ワークフロー全体、すなわち異なる抽出と異なるマイクロアレイとの間で再現性を獲得するため、本発明者らは別の個体の技術的な7回の複製を実施した。それぞれのサンプルは、肺がん試験と共にプロセスコントロールとして測定した。また同一個体も、乾燥血液スポット上のmiRNAレパートリーを比較するためのPAXGene Blood Tubes(BD)を使用し、血液チューブを用いて調べた。臨床事例として、異なる治療法に曝露された53名の肺がんサンプルを調査した。詳細には、治癒(アジュバント)治療を受けている患者に属する17サンプルと、緩和ケアを受けている患者の36サンプルであった。アジュバント治療は、治癒の機会を改善するための一次外科的治療に追加的に適用され、一方、緩和ケアは進行がんの症例である生活の質の改善のために使用された。試験は、地元倫理委員会により承認されており、参加者から書面による同意を得た。血液サンプルは乾燥血液スポット上に回収した。すべてのサンプルを、miRBase V21マイクロアレイ(Agilent)で測定した。異なるマイクロアレイを比較するため、26サンプルのサブセットもmiRBase V19マイクロアレイ(Agilent)上で測定した。合計で、30種の全miRNomeがV19でプロファイリングされ、78種の全miRNomeがV21マイクロアレイでプロファイリングされた。
miRNA抽出:RNA抽出前に、DBSサンプルを室温で1時間解凍した。全血液滴を切り出し、2mLエッペンドルフチューブに移した。DBSペーパーをシェーカー上で、1,000rpmおよび4℃で、1mLのQiazol Lysis Reagent(Qiagen GmbH、Hilden、Germany)中、16時間インキュベートした。上澄みは、さらなる処理のため、新しい2mLチューブに移した。RNA抽出および精製は、QiagenのmiRNeasy Serum/Plasma Kit(Qiagen GmbH、Hilden、ドイツ)を用いて行った。製造業者の説明書(Agilent Technologies、Santa Clara、米国)に従って、短鎖RNA Kitを使用し、Agilent 2100 Bioanalyzerを用いて、RNA含量およびmiRNA品質をチェックした(品質管理およびRNA溶出液の定量化を行った)。
miRNAの測定:マイクロRNA発現プロファイリングのために、最新のmiRBase v21含有量のAgilent Sureprint G3 Human miRNA(8x60k)マイクロアレイスライドでサンプルを分析した。各アレイは、プローブあたり20の複製を含めて、2,549個のマイクロRNAを標的とする。さらに、テクニカル評価のために、AgilentのSureprint miRNA Slidesの以前のバージョン19でサンプルの一部を測定した。抽出したマイクロRNAを標識し、製造者のプロトコールに従って、AgilentのmiRNA Complete LabelingおよびHybridization Kitを用いてハイブリダイズさせた。55℃で20時間、ハイブリダイゼーションをローテーションした後、スライドを2回洗浄し、AgilentのSureScan Microarray Scannerでスキャンした。スキャナからの画像ファイルは、Feature Extraction Software(Agilent Technologies)を用いてテキスト生データに変換した。
データ前処理:プロファイリングされたサンプルの前処理のために、microRNA Agilentマイクロアレイデータの前処理および分析用に設計されたBioconductor library AgiMicroRnaを適用した。処理した発現値は、ロバストなマルチアレイ平均(RMA)アルゴリズムによって、以下の3つのステップで得られた。プローブ(miRNAの20のプローブ複製のうちの1つ)の測定シグナルが最初にバックグラウンド補正され、次いでアレイが量子化によって正規化され、最後に、miRNAの最終シグナルが、対応するプローブシグナルを要約することによって推定された。追加のフィルタリングを適用することにより、いかなる実験群でも検出されなかったコントロールの特徴およびmiRNAがデータセットから除去され、バイオインフォマティクス分析用の発現された特徴のみが得られる。
バイオインフォマティクス解析:技術的再現性を評価するため、ピアソンの相関をプロセスコントロールに対して計算した。これによって、1つのmiRBaseバージョンに属するチップと、異なるmiRBaseバージョン(v19およびv21)に属するチップとの比較がなされた。同時に、変動係数(CV)を、技術的複製の相対miRNA発現値について推定した。またこれらのmiRNAは、それらのGC含量およびmiRBaseへの最初の導入に関して分析した。さらに、階層クラスタリング手法を適用し、湿度および気温などの環境条件の異なる実験群とカテゴリーを評価した。対の観察の間の距離測定は、ユークリッド距離に基づいた。3つの群(アジュバント、緩和およびプロセスコントロール)を区別する候補を確認するための生物統計学的評価のために、t−検定を使用し、ペアワイズ比較を実施した。偽発見率を制御するために、すべてのp値をBenjamin−Hochberg調整を用いて調整した。有意値に加えて、レシーバー動作特性曲線下面積(AUC)を計算した。
結果
この試験の目的は、乾燥血液スポットからのゲノムワイドmiRNAプロファイルを確実に測定し、疾患診断における適用を促進するか否かを検討することであった。3段階のアプローチを実施した。第1に、異なる環境条件下での複製をプロファイリングした。第2に、プロセスコントロールとしての技術的複製が確立され、一連のマイクロアレイ上で測定された。第3に、臨床的実現可能性を、肺がん患者サンプルを使用して試験した。3段階において測定されたmiRNomeの数値の概要を以下の表1に示す。
乾燥血液スポットからのmiRNomeの安定性
異なる環境条件に暴露された一連の乾燥血液スポットサンプルからmiRNAを抽出した。3つの温度と3つの湿度レベルの組合せを調べ、各組合せを3回測定した。したがって、3つの形態の6つの組合せを有することにより、合計18のmiRNomeがマイクロアレイ上にプロファイリングされた。クラスターヒートマップを確立した(データは示さず)。異なる条件を相互に比較した。結果を図8Aに示す。0.997の最低相関が温度に関して計算された。最も低い影響に対応する最も高い相関−湿度(相関0.999)について計算した。これらの結果は、主要な様々な構成要素分析によっても確認されている(図8B参照)。これらの結果は、乾燥血液スポットから測定されたmiRNAが固有の安定性を有し、例えば、サンプルの中央実験室への輸送によって引き起こされる、様々な条件にそれらが暴露されたとしても、診断情報のキャリアとして技術的に適していることを示している。
時間経過によるmiRNAの再現性
次に、乾燥血液スポットから再現性のあるmiRNomeがマイクロアレイ上でどのようにプロファイリングされるかについて調べた。1名の個体から、7つの異なるAgilentスライドでの7つの技術的複製(Agilent技術では、1つのスライド上で物理的に8つに分離されたアレイ上での8つのサンプルの並列処理が可能)で実行した。これに関して、処理しようとするサンプルはまた、プロセスコントロール(=健常コントロール)と考えることもできる。これらのプロセスコントロールの平均相関は0.993と高かった。同じ測定を、バージョン21の代わりにmiRBAseバージョン19のAgilentマイクロアレイの旧バージョンで繰り返した。ここでは、4つのプロセスコントロールが含まれており、同等の相関が得られた(データは示さず)。以前の分析における結果として、ある個体から複製されたプロセスコントロールは乾燥血液スポットからのmiRNAsが技術的観点から診断ツールとして適していることが強調されている。
肺がん治療に基づく生物学的差異
最後に、肺がん患者サンプルとプロセスコントロールのサンプルとの間の生物学的差異を調べた。これは2つのステップで実現した。第1に、V19およびV21の両バージョンのAgilentマイクロアレイ上の30個のサンプル(26個の肺がん、4個のプロセスコントロール)をプロファイリングした。階層的クラスタリングを適用することにより、各バージョンについて、類似のサンプル分布を有する2つのクラスターを得た(データは示さず)。治療形態が同じのサンプルは一緒にクラスター化される傾向があっただけでなく、プロセスコントロールもまた1つのクラスターに分類された。第2のステップでは、60個のサンプル(53個の肺がんおよび上述の7個のプロセスコントロール)をmiRBase V21のAgilentマイクロアレイ上にプロファイリングした。この分析ステップの平均相関は0.974であった。プロセスコントロールサンプル(0.993)と肺がんサンプル(0.976)に関する平均相関はこの値を超えていたが、プロセスコントロールサンプルと肺がんサンプルの間で最も低い平均相関(0.967)が計算された。興味深いことに、2つの異なる肺がん治療コホート間に差異があった。したがって、次に「アジュバント」処置患者グループと「緩和」処置患者グループとの間の統計的対比較を、両側t検定を使用して実施した。研究の探索的性質により、生のp値が0.05未満のmiRNAは、有意に制御解除されたと考えられた。前述の比較(アジュバント対緩和)については、51の有意に制御解除されたmiRNA(全591発現miRNAの8.6%)が両側t検定および選択したアルファレベル0.05に基づいて確認された。これらの51のmiRNAのうち、11はアジュバント群(20%)において高い発現を示した。p値が0.019の最もアップレギュレートされたmiRNAはhsa−miR−150−5pであり、p値が0.014の最もダウンレギュレートされたマーカーはhsa−miR−642a−3pであった。すべてのmiRNAは図9のボルケーノプロットに示されており、ここでは、アップレギュレートおよびダウンレギュレートされたmiRNAをそれぞれダークグレー(上方右側)で、またライトグレー(下方左側)で強調している。発現強度、倍率変化、p値および受信者動作特性曲線下の面積(AUC値)に関する詳細情報を図10に示す。
考察
様々なヒト疾患に対し、非侵襲性バイオマーカーとしてmiRNAsを用いる研究の数が増えている。多くの場合、これらのmiRNAは、血清、血漿または全血由来であった。PAXgeneおよびEDTAなどの保存チューブが一般に使用されているが、DBSからのmiRNAの研究はまだ新しい領域である。
本研究においては、DBSからのmiRNAの測定の信頼性を以下の3つの態様:(1)異なる環境条件下でのサンプル安定性、(2)チップバージョン間の技術的安定性および再現性、ならびに(3)肺がん患者の例を使用した臨床サンプルの比較、を追求することにより分析した。
第1の態様に関して、DBSから測定されたmiRNAは、1つのカテゴリー内の異なる環境条件(湿度および温度)の比較を考慮することにより高い安定性を有することが明らかにされた。
この研究の第2部において、一方のプロセスコントロールでは、等しく高い相関が、異なるチップバージョンV19およびV21にわたって技術的安定性の証拠を示すことが明らかとなった。もう一方では、V21からの臨床のサンプルおよびプロセスコントロールのクラスタリングパターンもまた、v19と同様の構造で検索することができた。これらの同様の結果は、チップ上の異なるmiRBaseバージョンにもかかわらず、DBSで測定されたmiRNAの高い再現性を示唆している。
この研究の第3部は、3つの異なる群:プロセスコントロール、アジュバントを受けている患者、緩和療法を受けている患者間での臨床比較に関するものであった。制御解除されたmiRNAの統計的有意性の場合、肺がん患者とプロセスコントロールとの間に非常に多くの有意なmiRNA(調整されたp値<0.05)が存在した。この高い数値は、肺がん疾患自体と治療法の適用によって生じ得る。

Claims (20)

  1. 全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去する方法であって、
    (i)該全血サンプルの全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブを提供するステップと、
    (ii)該吸収性プローブを流体と接触させるステップと、
    (iii)ステップ(ii)からの該流体を回収して、長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去するステップと、を含む、方法。
  2. 全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製する方法であって、
    (i)該全血サンプルの全血が吸収されている親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブを提供するステップと、
    (ii)該吸収性プローブを流体と接触させるステップと、
    (iii)ステップ(ii)からの該流体を回収し、それにより長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製するステップと、を含む、方法。
  3. 前記親水性ポリマー材料が、6g/cm以下、好ましくは4g/cm以下の密度を有する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記親水性ポリマー材料が綿、多糖類、ポリオレフィンおよびポリエステルからなる群から選択され、好ましくは、
    (i)該多糖類が、セルロースであり、
    (ii)該ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレンおよびポリメチルペンテンからなる群から選択され、または、
    (iii)該ポリエステルが、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. (iv)1つまたは複数の分離技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を単離するステップをさらに含み、
    好ましくは、該1つまたは複数の分離技術が、遠心分離、蒸発/再構成、濃縮、沈殿、液体/液体抽出、および固相抽出からなる群から選択される、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定する方法であって、
    (i)請求項2から5のいずれか一項に記載の方法を実施するステップと、
    (ii)適切な技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するステップと、を含む、方法。
  7. 前記適切な技術が、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、ポリメラーゼ伸長、配列決定、および質量分析、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 個体における疾患の診断方法であって、
    (i)前記全血サンプルが個体由来である、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法を実施するステップと、
    (ii)適切な技術によって、長さが200ヌクレオチド未満のRNA分子のレベルを決定するステップと、
    (iii)該レベルを1つまたは複数の参照レベルと比較するステップと、
    (iv)該個体が該比較に基づいて該疾患に罹患しているか否かを診断または鑑別診断するステップと、を含む、方法。
  9. 前記適切な技術が、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅、ポリメラーゼ伸長、配列決定、および質量分析、またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
  10. 個体における疾患の診断方法であって、
    (i)前記全血サンプルが個体由来である、請求項6または7に記載の方法を実施するステップと、
    (ii)前記レベルを1つまたは複数の参照レベルと比較するステップと、
    (iii)該個体が該比較に基づいて該疾患に罹患しているか否かを診断または鑑別診断するステップと、を含む、方法。
  11. 前記1つまたは複数の参照レベルが、
    1または複数の健康な被験者、
    疾患に罹患している1または複数の被験者、および/または、
    別の疾患に罹患している1または複数の被験者のうちの1つまたは複数の参照全血サンプルを測定することによって決定される、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 全血サンプルから長さが200ヌクレオチド以上のRNA画分を除去するための親水性ポリマー材料の使用。
  13. 全血サンプルから長さが200ヌクレオチド未満のRNA画分を精製するための親水性ポリマー材料の使用。
  14. 前記親水性ポリマー材料が6g/cm以下、好ましくは4g/cm以下の密度を有する、請求項12または13に記載の使用。
  15. 前記親水性ポリマー材料が、綿、多糖類、ポリオレフィンおよびポリエステルからなる群から選択され、好ましくは、
    (i)前記多糖類が、セルロースであり、
    (ii)前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレンおよびポリメチルペンテンからなる群から選択され、または
    (iii)ポリエステルが、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される、請求項12から14のいずれか一項に記載の使用。
  16. 疾患を診断または鑑別診断するための、請求項6または7に記載の方法の使用。
  17. (i)親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブを含むキット。
  18. 全血サンプルを採取するのに有用である、請求項17に記載のキット。
  19. (i)親水性ポリマー材料を含む吸収性プローブに吸収された全血を再構成するための流体を含むキット。
  20. 請求項1から11のいずれか一項に記載の方法の実施に有用である、請求項19に記載のキット。
JP2018549217A 2016-03-18 2017-02-28 親水性ポリマー材料を使用するrna画分の精製 Active JP7093305B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP16161077.9 2016-03-18
EP16161077 2016-03-18
PCT/EP2017/054582 WO2017157650A1 (en) 2016-03-18 2017-02-28 Purification of rna fractions using a hydrophilic polymeric material

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019513352A true JP2019513352A (ja) 2019-05-30
JP7093305B2 JP7093305B2 (ja) 2022-06-29

Family

ID=55587144

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018549217A Active JP7093305B2 (ja) 2016-03-18 2017-02-28 親水性ポリマー材料を使用するrna画分の精製

Country Status (11)

Country Link
US (1) US11566290B2 (ja)
EP (1) EP3430373B1 (ja)
JP (1) JP7093305B2 (ja)
CN (1) CN109154544B (ja)
AU (1) AU2017233436B2 (ja)
DK (1) DK3430373T3 (ja)
ES (1) ES2952950T3 (ja)
FI (1) FI3430373T3 (ja)
PL (1) PL3430373T3 (ja)
SG (2) SG11201806794RA (ja)
WO (1) WO2017157650A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10656059B2 (en) 2018-03-07 2020-05-19 Alcala Pharmaceutical, Inc. Method for qualitative and quantitative multiplexing of drug analytes from biological samples
US11162921B2 (en) 2019-04-01 2021-11-02 Alcala Pharmaceutical, Inc. Method for extracting pharmacogenetic DNA from biological fluid retained in a solid resin collection device
GB2623570A (en) * 2022-10-21 2024-04-24 Wobble Genomics Ltd Method and products for biomarker identification

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009518020A (ja) * 2005-12-09 2009-05-07 キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 短鎖核酸の濃縮方法
WO2013067520A1 (en) * 2011-11-04 2013-05-10 James Rudge Method and apparatus for acquiring blood for testing
WO2014143714A2 (en) * 2013-03-15 2014-09-18 Ge Healthcare Uk Limited Methods for one step nucleic acid amplification of non-eluted samples

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6627226B2 (en) 1988-10-05 2003-09-30 Whatman, Inc. Dry solid medium for storage and analysis of genetic material
EP2407540A1 (en) 2010-07-15 2012-01-18 Qiagen GmbH Method for purifying a target nucleic acid
SG2014009682A (en) 2011-08-09 2014-05-29 Vereniging Voor Christelijk Hoger Onderwijs Wetenschappelijk Onderzoek En Patiëntenzorg A method of analysing a blood sample of a subject for the presence of a foetal disease or condition marker
WO2013043562A1 (en) 2011-09-23 2013-03-28 Waters Technologies Corporation Solid phase extraction device for dried sample cards
US9044738B2 (en) 2012-04-30 2015-06-02 General Electric Company Methods and compositions for extraction and storage of nucleic acids
CN105659092B (zh) 2013-10-22 2018-05-25 豪夫迈·罗氏有限公司 测量干血斑中无细胞病毒颗粒的方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009518020A (ja) * 2005-12-09 2009-05-07 キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 短鎖核酸の濃縮方法
WO2013067520A1 (en) * 2011-11-04 2013-05-10 James Rudge Method and apparatus for acquiring blood for testing
WO2014143714A2 (en) * 2013-03-15 2014-09-18 Ge Healthcare Uk Limited Methods for one step nucleic acid amplification of non-eluted samples

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CLINICAL CHEMISTRY, 2015, VOL.61, NO.10, SUPPLEMENT, P.S123-S124, B-010, JPN6021002856, ISSN: 0004715840 *
JOURNAL OF MEDICAL DIAGNOSTIC METHODS, 2013, VOL.2, NO.3, 1000125, PP.1-7, JPN6021002853, ISSN: 0004715838 *
PEDIATRIC RESEARCH, ONLINE PUBLICATION 27 JAN. 2016, VOL.79, NO.5, PP.799-805, JPN6021002854, ISSN: 0004715839 *

Also Published As

Publication number Publication date
AU2017233436A1 (en) 2018-10-11
FI3430373T3 (fi) 2023-08-18
ES2952950T3 (es) 2023-11-07
EP3430373A1 (en) 2019-01-23
DK3430373T3 (da) 2023-10-02
US11566290B2 (en) 2023-01-31
WO2017157650A1 (en) 2017-09-21
US20200199672A1 (en) 2020-06-25
PL3430373T3 (pl) 2023-10-30
SG11201806794RA (en) 2018-09-27
EP3430373B1 (en) 2023-07-05
JP7093305B2 (ja) 2022-06-29
SG10202010005TA (en) 2020-11-27
AU2017233436B2 (en) 2022-11-24
CN109154544A (zh) 2019-01-04
CN109154544B (zh) 2024-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3688763B1 (en) Immune receptor-barcode error correction
JP6966508B2 (ja) 尿バイオマーカーコホート、遺伝子発現特性、およびその使用の方法
US20200332361A1 (en) Method for assisting detection of alzheimer's disease or mild cognitive impairment
US11345957B2 (en) Methods of treating glioblastoma in a subject informed by exosomal RNA signatures
JP7093305B2 (ja) 親水性ポリマー材料を使用するrna画分の精製
CN102286464B (zh) 尿毒症长链非编码核糖核酸差异性表达图谱模型及其构建方法
US10815528B2 (en) MiRNAs as non-invasive biomarkers for inflammatory bowel disease
US20150184223A1 (en) Method for improved quantification of mirnas
EP3935190A2 (en) Reagents, methods and kits for identifying pregnant human beings at risk for placental bed disorder(s)
EP4010498B1 (en) Method for diagnosing breast cancer
CA2974433C (en) Method and device for correcting level of expression of small rna
CN109609649B (zh) 一种用于直肠腺癌诊疗的lncRNA
CN113999912A (zh) 用于预测酪氨酸激酶抑制剂耐药的标志物
CN110669844B (zh) 一种用于检测培美曲塞+顺铂治疗适用性的试剂盒
CN108611410B (zh) N6-甲基腺嘌呤在自身免疫性疾病的用途
Jimenez Development and Application of High Recovery Nucleic Acid Extraction Methods
Saha et al. Future Directions and Challenges Involved in Cancer Noncoding RNomics
EP4269621A2 (en) Mirnas as biomarkers for parkinson's disease
WO2024017613A1 (en) Artificial small rna spike-in cocktail for process control and normalization
KR20240058548A (ko) 유방암 진단 또는 재발 예측을 위한 세포외 소포체 유래 miRNA 유전자 바이오마커 및 이의 용도
US20230160010A1 (en) Method for aiding detection of alzheimer' s disease
CN113999913A (zh) 生物标志物在预测慢性粒细胞白血病患者对酪氨酸激酶抑制剂敏感性中的应用
WO2019002536A1 (en) NOVEL ARNMI-BASED BIOMARKERS AND THEIR USE
WO2018085897A1 (en) Transplant rejection assay

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210803

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20211102

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220301

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220510

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220524

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220617

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7093305

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150